気付くと全裸で女さんと便所しかない狭い部屋にいた(12)

男「ん……あ……」

男(頭いた。えーと)

女「動くな!」

男「あ?」

女「見るなって言ったのに!」

男「ごめん!」

男(振り向くと、そこに女さんが裸でいた訳で。身体をちぢこまらせて、肝心なところを隠していた訳で。反応してしまった訳で。ついでに言えば、俺も全裸だと今さらながら、気付いた訳で)

女「ぐすっぐすっ」

男「あのさ」

女「うっ……うっ」

男「泣かないで答えてくれよ」

女「うるさい」

男「どうして、こうなってるの」

女「私が知りたい」

男「……えーと、女さんだよね」

女「当たり前じゃない」

男「声しか、今は聞こえないから…あー」むくむく

女「?」

男(肌色成分が多かったから、勃起してしまった)

男「今、どういう状況」

女「知らないよ。バカじゃない」

男「うん、うん…。まず、俺は壁を見てます。後ろに女さんがいるからだよね。お互いに裸だからだよね」

女「……」キッ

男(何だか、視線が冷たい気がする)

男「で、何でこんな状況になるのさ」

女「あんたが仕組んだんじゃないの?」

男「……あー。怖がってるってことなのかな。確かに同じ立場だったら、俺も怖い。あのね、でも、そんなことをする意味はないでしょ。何が目的で? だから、状況を知りたいんだ」

女「い、いやらしいことを…しようと……」

男「混乱してるね。現状、俺は壁しか見れないから、聞いているんだ。ところで」

女「何よ」

男「俺のケツがまるみえだと思うんだけど、どうか……いた!」

女「死ね!」

男「正論だ」



女「なんなのよ。これ」

ぐすっ

男「うん。俺も知りたいんだけど。落ち着いてよ。女さんは、冷静な判断が出来る人だと、俺は思ってる」



「知らないよ」

男「俺も解んないから、教えてってことだよ。女さんがいいって言うなら、俺は隅々まで調べるよ。ああ、部屋のことだけど」

女「ひっ」

男「失言だった。ごめんなさい」

女「……」がたがた

男「まず、確認をさせてください。ひとつ、この状況は俺が仕組んだものではありません。だから、俺も状況が解りませんから、教えて欲しい。もうひとつ、俺は女さんに危害を加えません」

女「……」

男「信じてもらうための、根拠はありませんが、これまで積み上げてきたものを思い出して欲しい。少なくとも、俺は君を踏みにじるようなことはしてこなかった……つもり……だよね?」

女「……」

男「……えーと、ともかく、俺も今の状況が解らなくて、困っています。一緒に協力して、問題があるならば乗り越えられればと思います。だから、教えて。どうなってるの?」

女「……」

女「男くんはどうして、ここにいるの?」

男「俺?俺は……」

男「えーと……」



それは学校の帰り道だった。
すっかり暗くなった、電灯もまともにつかない薄暗い夜道を歩いていると、空から光が落ちてきた。
懐中電灯で誰かがからかっているのだろうか?
考えていると、妙な生き物が光に沿って、降りてきた。
宇宙人?
グレイ型だな。
などと考えていると、そいつは銃を出した。声を出す間もなく、発射された環状の光線が俺を撃ち抜いた。



男「えー、宇宙人にさらわれた」

女「……」

男「納得がいきませんか?」

女「私も宇宙人にさらわれたと思う」

男「女さんは、どうしてここに?」

女「家に帰ろうとしていたら、急に光が降ってきて。宇宙人が。気づいたら、こんなことになって……」

男「同じだね」

女「うん。目が覚めたら、男君が寝転がっていて……私、裸だし、どうしたらいいか……」

男「あー、反対だったら良かったのに。って、こんなことを言うから、疑われるんだな。それで」

女「それで……」

男「あー、そうじゃなくて」

女「?」

男「俺の裸を見て、興奮した?」

女「からかってばっかり!」

男(散々、蹴られたよ)

女「!!!!」

男「ごめん。ごめんってば。落ち着いてね」

女「」フウフウ

男「今の様子を教えて」

女「私、服を着てなくて、男くんも裸で」

男「そうじゃなくて。ここ部屋でしょ。どんな風になっている」

女「部屋?白くて…」

男「壁、白いね。俺は女さんに、早く服を着て欲しいんだけど」

女「無理だよ」

男「無理?」

女「だって、ドアも窓も何もないから」

男「……嘘ばっかり」

女「嘘じゃないよ」

男「えっ…て振り向きたくなっ痛い痛い、蹴らないで、振り向かないから……本当?」

女「本当」

男「じゃあ、閉じ込められてるってことなのかな」

女「……たぶん」

男「そっか」

女「どうしよう」

男「ねえ。あのさ、他に気付いたことある?」

女「うん…」

男「教えてよ」

女「おトイレが、部屋の真ん中にある」

男「トイレ?」

女「うん」

男「和式?」

女「洋式だね」

男「ウォシュレットとは?」

女「ないよ」

男「えーと、俺たちはトイレに閉じ込められたってこと?」

女「ドアも窓もない?」

男「あーーーーーーーーーーー」

男「解らない!」

男「だね」

女「そうだね」

男「女さん」

女「何?」

男「頭が痛いよ」

女「私もだよ」

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