ミサト「偉大な黒魔術師だったあなたのお父さんが、この街を残したの」
シンジ「父さんが……?どうして」
ミサト「きっと、奥さん以外にまったくモテなかった人生の鬱憤を、息子であるあなたのムスコに託したのね」
シンジ「帰ります」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1430640073
ミサト「え゛。ちょ、ちょっと待ってシンジ君! いきなり帰るなんてどーして!?」
シンジ「3年振りに呼びつけられて、何かと思ったら―――僕は父さんの玩具じゃないんだっ」
ミサト「ええー……リツコ、あなたからも何か言ってよ」
リツコ「シンジ君。私達は、あなたを必要としているの。思いとどまってくれないかしら?」
シンジ「必要ってなにがですか? サキュバスで、男が必要だって言うなら他の誰でもあたって下さい」
ミサト「それが、そうもいかない事情があってね……」
リツコ「私達は、あくまでも黒魔術師碇ゲンドウが生み出した生命体。一般の伝説そのもののサキュバスとイコールの存在ではないのよ」
シンジ「どう違うんですか?」
リツコ「例えば、男性の精無しでも、通常の食物から栄養を摂ることができます」
シンジ「あ、なんだ。じゃあ余計に僕はいらない人間なんだ」
ミサト「なにちょっちガッカリしてんの?」
リツコ「そして、精はシンジ君―――あなたのものしか受け付けないのよ」
シンジ「え」
ミサト「さらに、私達にとってシンジ君のそれは、めっちゃ栄養素高くて美容に最適のゴチソウってわ。まだ実際口にしたこと無いから、本能的に知ってるに過ぎないんだけどね」
シンジ「か……っ、帰ります。今すぐ帰ります!」
ミサト「なんでそうなるのよっ」
シンジ「だってそんなの、怖いじゃないですか!!」
シンジ「っていうか父さんは!? ここに来て、まだ会わせてももらってないっ」
リツコ「……」
ミサト「……」
シンジ「……う。さっきからの言い回しで、なんとなく気づいてなかったわけじゃないけど、やっぱり……?」
ミサト「ここが完成した記念に、自分へのご褒美と称して海外旅行に出かけたわよ」
シンジ「旅行かよっっっなんだよそれ!」
リツコ「ちなみにあなた宛の手紙は、呼びつけるために私達がそれらしく捏造したの」
シンジ「サ、サイテーだ……」
シンジ「……」ガサゴソ
ミサト「ホントに帰り支度始めちゃった……参ったわね」
リツコ「少々強引だったかしら?」
ミサト「シンジ君。それでいいの? 何の為にここまで来たの?」
シンジ「父さんに会うためですよ。でも父さん、いないどころか手紙も嘘なら話にならないじゃないですか」ガサゴソ
リツコ「その通りね」
ミサト「リツコ! あんたどっちの味方なのよっ」
ミサト「ねーシンジくぅん」
シンジ「無駄ですよ、猫なで声出しても……出口どっちだっけ」
ミサト「もうさあ、シンジ君の歓迎会の用意までしちゃってんのよ。みんな楽しみにしてるし」
シンジ「地図ありませんか?」
ミサト「私の立場ってのもあるの。悪いんだけど、ここは助けると思って、お代官様!」
リツコ「はあ……シンジ君。分かったわ、明日、間違いなくあなたを駅まで送り届けると約束します」
ミサト「リツコ!?」
リツコ「でも今日はもう遅いから、一晩だけ我慢してちょうだい」
シンジ「一晩……ヘンなことしないでくださいね?」
リツコ「ええ。それも約束するわ」
シンジ「……分かりました」
カエデ「それでは―――シンジ君来場記念ということで、今日という日を祝して!カンパイ!」
「「「かんぱーい」」」
ガヤガヤガヤ
シンジ「……」
ミサト「なぁに縮こまっちゃってんの、本日の主役が」
シンジ「こういう会自体、中止してくれて良かったのに……僕、明日には出て行くんですから」
ミサト「言ったでしょ、もう用意しちゃってたって。片付けるより無駄にならないわよ。それに、この街にシンジ君が来てくれたことには変わりないんだし」
シンジ「……」
ミサト「大勢人がいるところ、苦手?」
シンジ「え? え、ええ」
ミサト「そんな感じよね。しかもここ、女性オンリーだから」
シンジ「はい……」
ミサト「加えてみーんな美人だから、余計男の子は緊張しちゃうわよね」
シンジ「ここにいる人達、全員サキュバスなんですか? 父さんが創った」
ミサト「そ。ね、シンジ君、中でも誰が好み? おねーさんにそっと教えなさい」
シンジ「……言っときますけど、い、色仕掛けとかしたって無駄ですよ」
ミサト「ぎくっ」
シンジ「僕は絶対、明日には先生の家に帰るんですから」
ミサト「は~。しゃーない、ここは退散してビールでも飲んでくるわ」スッ
シンジ「……」
ミサト(色仕掛けは無駄、か。それはどーかしら? シンちゃん、サキュバスを甘くみないでね)
ミサト「うっひっひ」
リツコ「……ミサト。シンジ君の様子はどう?」
ミサト「警戒してる。案の定、結局色仕掛けで押すつもりってのもバレバレ」
リツコ「そう。ま、当然ね」
ミサト「いつ始めるわけ?」
リツコ「もちろん、この場からよ。警戒されているからと思春期の少年一人堕とせないようでは、サキュバスの巣たるネルフ本部の名が泣くわ」
ミサト「んで、レイ達は? 失敗は許されないんだし、容姿が同年代のあの子らにはいてもらわないと」
リツコ「言われなくても呼んであるわよ。あの子達の到着が、作戦開始の合図」
ミサト「なーるほど」
リツコ「作戦部長……」
ミサト「ぐ。しゃ、しゃーないじゃない、シンジ君の話相手してて、仕切りはリツコに任せるしかなかったんだから」
リツコ「分かってるわ、冗談よ」
ミサト「とにかく。来るべき使徒襲来に備えて、シンジ君には間違いなくここに留まってもらわないとね」
一旦ここまで
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません