【アイマス】響「教えて、教えてよ。自分の中に誰がいるの?」【東京喰種】 (500)


自分は本の主人公じゃない…

どこにでもいるってわけじゃないけど、ただの動物好きのアイドルだ…

だけどもし、自分を主役にひとつ作品を書くとすれば…


それはきっと…










“悲劇”だ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1430488825

本家アイマス×東京喰種のクロスSSです。

東京喰種サイドは今回、モブキャラ以外出てきません。

アニメ、原作、オリジナルの描写が混ざっていますのでご了承下さい。

あと響を臭いとか言う奴はタロちゃんコースな。

~たるき亭~

『ーー28日、高田ビル通りで男性の遺体の一部が発見されました。』

『現場には“喰種”のものと思われる体液が残されており、捜査局はこれを“喰種”の補食と見て周辺調査を開始しています』

『東京の町を襲う“喰種”の恐怖…彼らの実態とは…?』

『今日は“喰種”研究家の小倉先生にお話を伺いたいと思います』


貴音「おや。また小倉殿ですか」ズルズル

東京喰種わからなくても読めるかのう

貴音「高田びるとは…また近いところで事件が起こってしまったようですね……」ズルズル

貴音「貴女がいつ補食されてしまうかと考えると、らぁめんも喉を通りません……」ウウッ



貴音「どうか暗がりには近付かぬよう……響」



響「食べられるのは貴音じゃなくて自分なの…?」ズルズル

>>4
東京喰種知らないひとでも引き込めるように
ある程度解説は入れるつもりッス

貴音「自身を顧みれば自ずと分かることですよ。響の料理は真美味な上、健康にもきちんと気を使ったものでもあります。
さらにダンスも得意となればその身が引き締まっているのは言うまでもなく…」

貴音「そして何より……」チラッ

響「何より…?」ムチッ

響「…」スラッ

響「…な、何じろじろ見てるさー?」プリン

貴音「……」ゴクリ

響「!?」ビクッ

響「今自分のこと見て涎だしたよね!? まさか貴音が“喰種”なんじゃないだろうな!?」

貴音「わたくしはれっきとした“人間”です! その上で響を美味しそうと思ったのは認めますが!」キリッ

響「それはそれでタチ悪いぞ!?」

響「はぁ…貴音だって“喰種”に襲われるかもしれないでしょー。
…貴音だって十分美味しそうだし」

貴音「む…では響は“喰種”なのですか?」

響「違うって」

      グール
響「大体……“喰種”なんて本当にいるの? 人を襲って食べるような怪物なんて…」

貴音「それは…これ程の報道がなされている以上、やはり実在しているのでは?」

響「そうなんだろうけどさぁ…。だって自分、今まで“喰種”に出会ったことなんてないぞ。
人間とほとんど変わらない見た目とは聞いてるけど…」

貴音「案外…すぐ傍に潜んでいるのやもしれませんね」



「………………」

「どうかしたのー?」

「…いえ、何でもないわ」

ーーーーーーーーーー

貴音「…ときに響。響が勧誘を受けたと言う殿方は、まだいらっしゃらないのですか?」

響「んー? そろそろ来る頃だと思うぞ。今、約束した時間の10分前くらいだし…」チラ

ガチャ

響「あ、来た」

貴音「ほう」チラッ

「お待たせ、響。そっちの子は?」

響「自分の友達だぞ! 貴音って言うんだ!」

響「貴音、こっちの人がさっき言ってた…」





P「765プロダクションのプロデューサーだ。よろしくな」ニッ


貴音「響をアイドルとしてすかうとして下さった方ですね。どうか響を、よろしくお願いいたします」ペコリ

P「ああ!」

P「……うーん」ジー

貴音「? どうしました?」フワッ

P「……っ」ゴクッ

P「い、いや、ええと……」

P「…君もアイドルに興味無いかな? 今日は響に765プロについて簡単な説明をしに来たんだけど、良かったら君にも一緒に話を聞いていって欲しいんだ。
君もアイドルとして、とてもいい素質を持っていると思うんだが…」

貴音「ふふ、とても魅力的な御誘いなのですが…
残念ながら、わたくしはわたくしで別の事務所に勧誘を受けています」

貴音「わたくしは一先ず、そちらへ向かわねばならないので……
響。また後日、互いに感想を交換いたしましょう。よい話を期待していますよ」クスッ

響「うん!」

P「そうか……惜しいな」

貴音「わたくしが765プロに入るか否かは、響からの話で判断致しましょう。
では、これからわたくしも向かわねばなりませんので…」ペコリ

響「また明日ねー!」ブンブン

ーーーーーーーーーー

「あれ? なんか片方帰っちゃったね?」

「ホントだ。あのお姫様みたいな人はスカウトした子じゃなかったのかな?」

「プロデューサーはスカウトしたのは一人だと言っていたわ」

ーーーーーーーーーー

いままでもその酉使っていろいろ書いてたみたいだから言いにくいんだが
それググったら一発でキーが出てくるんだよ
数字だけとか意味のある単語とかはあまり勧めない

P「さて、と。これから響に、簡単に765プロについて説明しようと思うんだが……


……その前に!」グイー

「わあっ!?」
「きゃー!」

響「!?」ビクッ

P「春香! 真美! お前らまーた先回りして盗み聞きしようとしてたな!」ユサユサ

真美「うえええ!? なんで真美達が他のお客さんのフリして潜んでるってわかったの!?」ブラーン

春香「す、すみません! どうしても気になっちゃって……えへへ」ブラーン

P「お前らなあ…千早もいたのなら止めてくれよ。響もビックリするだろ」ストン

千早「すみません、どうしても二人が聞かなくって」ハァ



春香「そんな事言って、千早ちゃんが一番気になってたでしょー」ブー

真美「そーだそーだー! カモフライのために頼んだおソバ、ほとんど食べないくらいシューチューしてたじゃーん!」ムー

千早「……ええ、そうね」フイ

P「……カモフラージュ、な。ええと…」

響「……」ポカーン

P「765プロはこんだけ騒がしくて楽しいアイドルが9人、裏方も含めたら13人いるような事務所だ」



P「よろしくな、響」

ーーーーーーーーーー

響(自分が出会った春香、千早、真美以外のアイドルは、その日は皆仕事が入っていて居なかった)

響(明日は事務所の皆が揃う日みたい。だから明日また事務所に来て、765プロの皆と話をする……
そんな約束をして、今日は解散した)

響(本当は貴音も連れて行きたかったけど…貴音は貴音で、新しく友達が出来たみたい。
明日はその友達のことを良く知るために、一緒に行動すると言っていた)

響(少し寂しかったけど…)


貴音『響…もしや、わたくしと共にいられなくて、寂しいのですか?』

貴音『…ふふっ、わたくしもですよ。彼女の都合さえ合っていたなら、ぜひとも響も交えて3人でこの街を歩きたかったものです』

貴音『ずっと傍で支えてくれた響を、私は仲間外れになど決して致しません。いずれ、響にも彼女を紹介致しましょう』

貴音『ですから、貴女も明日は楽しんで……是非、貴女の話をわたくしに聞かせてください』

響(……それなら、自分も765プロの事をもっと知ろう。そして、貴音と、その友達も一緒に765プロに入って、一緒にアイドルを始めよう)

響(そう約束して、今日は別れた)

響(それが…)

















響(それが貴音と……
















“人間でいられた”自分との、最後の別れだった)

今日はここまで。
これ書く直前にフェアリーのインタビューのドラマCD聞いたんだけど、
なんと言うか貴音が若いというか小娘っぽい声で驚いた。


あと、指摘をいただいたので、今から酉はこれにします。

響(ーーーどうして?)

響(どうして、こうなった?)

響(自分は、やっとアイドルになれるって思って)

響(ここなら上手くやっていけるって思って)

響(この765プロにきたはずだったのに)

響(どうして……っ!)














響「……どうしてドアを開けた瞬間、顔にケーキを投げつけられているんだろう…………」ベチャア

亜美「イエ→イ!」

真美「歓迎ケーキ作戦せいこ→う!」

春香「せ、折角作ったのにぃ……!」

律子「こらーっ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~翌日~

響(ーーーどうして?)

響(どうして、こうなった?)

響(自分は、やっとアイドルになれるって思って)

響(ここなら上手くやっていけるって思って)

響(この765プロにきたはずだったのに)

響(どうして……っ!)














響「……どうしてドアを開けた瞬間、顔にケーキを投げつけられているんだろう…………」ベチャア

亜美「イエ→イ!」

真美「歓迎ケーキ作戦せいこ→う!」

春香「せ、折角作ったのにぃ……!」

律子「こらーっ!」

雪歩「だ、大丈夫……? タオル持ってきたよ?」スッ

響「ぷはっ…ありがとう……あ、結構美味しいや」ペロッ

やよい「もー! 亜美! 真美! 食べ物を粗末にしちゃ、めっ!だよ!」プンプン

真美「粗末になんかしないもーん」トテテテ

亜美「そーそー、エコは大事だよNE!」ススッ

ツイッ

響「うひゃっ!?」ビクッ

亜美真美「「…フフン」」スー

ペロッ

亜美真美「「ーーーーーっ!!」」

亜美「ちょれ!」

真美「ビア→ン!」

亜美「ナンダコノアジワー!」

真美「舌の上で深く絡み合う…」

亜美真美「「ハァァァモニィィィィ!!」」ペカーン



伊織「何してんのよ…汚いじゃない」ハァ

春香「ま、まあ…食べてもらえただけいいのかな……?」アハハ…

真「もー、ボクだって春香のケーキ楽しみにしてたのにさあ」プクー

あずさ「あらあら~」ウフフ

春香「えっと……ごめんね響ちゃん。クッキー焼いてきたんだけど、食べる?」スッ

響「…ありがと」チョイ

響「…お、すごく美味しいぞ! 手作り?」モグモグ

春香「うん! 料理はまだまだだけど、お菓子作りには結構自信あるんだー! 本命はケーキだったんだけど、亜美真美のせいでねぇ……?」ジトー

亜美「ゴメンねはるるん! 亜美にもクッキー頂戴!」

真美「本当にゴメンね! 真美にもちょーだい!」

春香「もー……しょうがないなあ。皆の分も作って来たから、今度はちゃんと食べてね?」

「「「わーい!」」」








真美「兄ちゃんも食べなYO! ほらほらー!」ズイズイ

P「いやいや、俺はいいよ。皆で食べてくれ」ヒラヒラ

春香「えー? プロデューサーさんの分も作ったから、食べてくださいよー」

P「うーん…じゃあ、一枚だけ」スッ

パクッ

P「……」モグモグ

春香「ど、どうですか?」

P「……」フッ

ペチンッ

春香「あいたっ! な、何でいきなりデコピンするんですかー!?」ガバッ

P「アハハ、うまいうまい」

春香「ほんとにですかー…?」ムー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~夜 帰り道~

響「ーーーまっっっっったく! 何なんだあの事務所! 亜美真美は少し気を抜けばイタズラばっかりしてくるし、春香はすぐ転ぶし、真はセンスが…なんかその、あれだし!」

P「あはは、皆いい子だと思ってたんだが…響には合わなかったか? だったらごめんな」

響「う……そりゃ、雪歩のお茶は美味しかったし、やよいは色々気遣いのできるいい子だし、春香や亜美真美や真だって、明るくて一緒にいてて楽しかったけど……うう…」カア

P「そうそう、皆無邪気で楽しい、真っ直ぐな子ばかりなんだよ。…まあ、亜美真美や伊織や千早は…その、それぞれ性格で直してほしいところはあるけどな…
響もなんだかんだ言って楽しそうだったように見えたが、違ったか?」

響「そりゃ、今日一日すごく楽しかったけどさぁ……」プクー

響「……ま、ああいう所なら自分は入ってやっても……」チラ

『ーーー駅付近のーーーにて、女性の遺体が発見されており、捜査局はこれを喰種のーーーーー』

響「あ…また“喰種”のニュースだ。やっぱり増えてるよなあ…」

P「“喰種”、なあ」

P「…なあ響。響はさ、“喰種”についてどう思ってる?」

響「自分?

響「…うーん……自分も“喰種”についてよく知ってるわけじゃないけど……」

響「…やっぱり人を襲うなんて怖いぞ。早くいなくなって欲しいな……」

P「……そうか」

P「…あのさ、響。少し覚えておいて欲しいことがあるんだがーーーーー」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

響「ーーーそんな事? それぐらいなら、別に頼むようなことでもないと思うんだけどな」

P「…まあ、頭の片隅にでも追いやってくれて構わないさ。ただ、一応伝えておこうって思ってな」

響「うーん…プロデューサーが何を言いたかったのか、いまいちピンと来ないけど……とりあえず、いいぞ!
自分、完璧だからな! プロデューサーの頼みだってパパッとやっちゃうぞ!」フフン

P「それは良かった…」

P「……なあ、響」

響「ん? なあに、プロデューサー?」

P「響が765プロに来てくれるなら、俺は精一杯、お前がトップアイドルになれるようプロデュースする。お前が見たいものを、俺が見せる。
響からすれば、俺じゃ少し頼りないかも知れないが…響さえよければ、765プロに来て、春香達と一緒にトップアイドルを目指してみないか?」

響「!」

響「…しょうがないなあ。ま、自分、歌もダンスもルックスも完璧だからな!
プロデューサーが頼りなくても、自分がいればなんくるないさー!」

P「…ははっ、それは頼もしいな!」

P「それじゃ、これからよろしーーー」

響「……」

P「? どうした響?」

響「えっ!? あ、いや、その……」

響「…自分ね。立派なアイドルになりたくて沖縄を飛び出して来たんだけどさ。実は…最近ちょっと、不安になってたんだ」

P「……」

響「自分って、空気読めなくて周りが見えてないところがあるらしくって……
だからかな、ずっと色んな所のオーディションを受けて来たんだけど、ずっと受からないまま、スタートにすら立てないままだったんだ」

響「そんなんだから、友達もなかなか出来なくて……貴音とだけは仲良くなれたけど、
いつか貴音もデビューしちゃって、自分ひとりだけずっと迷ってるんじゃないかって、それを考えるだけですごく怖くて……!」ジワ


ーーー『響ちゃん!』

ーーー『響!』

ーーー『ひびきん!』


響「…でも、今日こうやってプロデューサーと出会えて、765プロの皆と出会えて……やっとアイドルになれるんだ、
しかもこんなに優しくて楽しくて、すごくいい仲間とまで出会えたんだって、そう思えて」

響「…自分、すっごく嬉しかったんだ……!」




響「だからね、プロデューサー。自分、765プロでアイドルやって、レッスンも仕事もいっぱい、いっぱい頑張るぞ!」

響「絶対トップアイドルになって、プロデューサーも春香達もいつか出来るファンの皆もいっぱい笑顔にしてみせるから!」

響「これからよろしくね、プロデューサー!」ニカッ

P「ああ! ……今の響、すごく綺麗だったぞ」ニコッ

響「ふえっ? な、なに? いきなりそんな事言って……」カアア

響「何かプロデューサーって、いきなり笑ったりキザな事言ったりちょっと良く分かんないぞ! もー!」プイッ

P「アハハ、ごめんごめん」

響「…もー……」

とりあえずここまで。
もうちょい進めたかったけど、何時間かおいてからまたトーカします

響「…自分ね。立派なアイドルになりたくて沖縄を飛び出して来たんだけどさ。実は…最近ちょっと、不安になってたんだ」

P「……」

響「自分って、空気読めなくて周りが見えてないところがあるらしくって……
だからかな、ずっと色んな所のオーディションを受けて来たんだけど、ずっと受からないまま、スタートにすら立てないままだったんだ」

響「そんなんだから、友達もなかなか出来なくて……貴音とだけは仲良くなれたけど、
いつか貴音もデビューしちゃって、自分ひとりだけずっと迷ってるんじゃないかって、それを考えるだけですごく怖くて……!」ジワ


ーーー『響ちゃん!』

ーーー『響!』

ーーー『ひびきん!』


響「…でも、今日こうやってプロデューサーと出会えて、765プロの皆と出会えて……やっとアイドルになれるんだ、
しかもこんなに優しくて楽しくて、すごくいい仲間とまで出会えたんだって、そう思えて」グシグシ

響「…自分、すっごく嬉しかったんだ……!」




響「だからね、プロデューサー。自分、765プロでアイドルやって、レッスンも仕事もいっぱい、いっぱい頑張るぞ!」

響「絶対トップアイドルになって、プロデューサーも春香達もいつか出来るファンの皆もいっぱい笑顔にしてみせるから!」

響「これからよろしくね、プロデューサー!」ニコッ

P「ああ! ……今の響、すごく綺麗だったぞ」ニコッ

響「ふえっ? な、なに? いきなりそんな事言って……」カアア

響「何かプロデューサーって、いきなり笑ったりキザな事言ったりちょっと良く分かんないぞ! もー!」プイッ

P「アハハ、ごめんごめん」

響「…もー……」

少しだけ修正。

響「…それにしても、わざわざ家まで送ってもらわなくて良かったのに。
自分の家は徒歩で帰れる距離なんだから、わざわざ付き添ってもらう必要なんて無かったと思うぞ」

P「…まあ、2人の時に話しておきたいことがあったからな。それだけだ。
もう用事も終わったことだし、家までついていくつもりもないからこの辺でーーーーー」

ガサッ

P「っ!?」ピクッ

響「? どうしたの?」

P「…響。俺の後ろにいろ」サッ


「……」


P「嘘だろ…」


「腹…減った…」


響「ぷ、プロデューサー…? あの人は誰…? あの目は……?」


「肉…肉喰わせろ…」


P「…響。あれは“人”じゃない」


「喰わせろ……」


P「アレは…………っ」







ギョロッ





        グール
P「ーーーーー“喰種”だ!」





「喰わせろおおおオオオオオオオっ!!!」

バッ

P「響っ!!」ガバッ

ズサアッ

響「きゃああっ!?」ドサッ

「ーーーふうううううっ……」ビキビキ

P「響! 無事か!?」

響「う、うん。大丈夫、だぞ……!」

響(ぐ、喰種!? あれが!?)

響(…ほとんど人間じゃないか……! あれが……!)チラ

響(でも…何だよあの目っ……!? あんなに真っ赤になって…あれじゃ本当に化け物じゃないか!?)

響(コレが…人食いの化物……!?)チラ

「ーーー」ニタア

響「ッ!」ビクッ


「ようやく…ようやく獲物にありつける……しかも美味そうな女だ! 俺に、俺に喰わせろおっ!」


響「…えっ……?」ビクリ

響(美味そうな女って……自分? 自分、これからこいつに食べられて……)



響(…やだ……怖い……)

響(こわいよ…………!)ジワ

P「響っ!」ギュッ

響「あっ……ぷろ、プロデュ、サ」ガタガタ

P「…立てるか、響」スッ

響「う、うん……な、なんとか、た、立てる、ぞ……」ガタガタ

P「……」

P「……逃げろ響」ギリッ

響「………えっ?」

P「俺がこいつを引き止める。家より、近くの捜査局か……ダメならせめて交番に逃げてくれ」

響「で、でも…プロデューサーは? 危ないぞ、一緒に逃げようよ……!」

P「ダメだっ!」

響「だ、ダメって……そんなこと言われても自分、嫌だぞ! プロデューサーを置いていけないよ! だってプロ……」


ヒュンッ


P「!」


P「危ない響っ!」ドンッ






ザクリ


響「デュ……?」ビチャ

P「かはッ……」ビチャッ

響「ぷ、ぷろ、プロデューサー……お腹、突かれて……!」ガタガタ


「……チッ」

「喰いたいのはお前じゃねえよ…。自分が狙ってたからって割り込んでくんじゃねえ……!」イライラ

「……今度こそ、く わ せ……」ガクッ

「…………ああ?」ガチリ

P「…」ガシッ

「てめえっ……邪魔だ! 手え放せえっ!」ヒュッ


ドゴッ


P「ーーー!」ビキッ

響「プロデューサー!」

P「い…行けっ!」グジュッ

響「やっ…やだよ、プロデューサー……!」

P「行ってくれ! お前を死なせたくない!!」ドンッ

響「ううっ!」フラッ

響「ああ……っ」チラ

響「……うううううううっ!!!」クルッ

タッタッタッタッタッ

P「…行ったか……」ゼエゼエ

P「さて……」チラ



「ふーっ、ふううううっ……!」ビキビキ



メキッ

メキメキメキ

ビキッ




P(“赫子”を使える奴か……! 俺だって弱ってるのに、よりにもよって……!)

P(いつもならこんな事無いって言うのに……話し込んでて気付かなかったなんて、これじゃあ本末転倒じゃないか……!!)ギリッ


P(…やるしか、ないか……!)スウッ




メキッ



すまん寝る

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

タッタッタッタッタッタッタッ

響「はっ、はあっ、はあ……」ゼエゼエ

響「プロ、デュー、サー……」ゼエゼエ

響(…言われるままに逃げちゃったけど……これで良かったの?)

響(どこかで聞いたことがある……喰種の力は人間の4~7倍くらいだって……)

響(それじゃあプロデューサーは、ただ喰われるしかないんじゃないか……!?)

響(…そんなのダメだ! 自分なら…確かに喰種と戦うのは無理かも知れないけど……!)

響(それでも、何か出来ることはあるはずさー! このままプロデューサーを見殺しには出来ないぞ……!)クルッ

響「プロデューサー…死んじゃダメだからね……!」

タッタッタッタッタッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「かはっ……」バタリ


P「はあ、はっ、はぁ………、ぐうっ……」ヘタリ

P(響は…ちゃんと逃げたか……良かった………)

ジク

P(クソッ……倒したはいいが……傷が……っ)

ジクジク

P(ち、くしょう、なお、ら、ない……!)

ブシュ、ぶじゅる、ぐちゅ

P(ーーーーー腹減ったーーーーー)

P(肉、にくが欲しい、よこせ、喰わせろ、肉、肉肉にくニクにくーーー!!)

P(…!)ハッ

P(ーーーダメだ、呑まれるな! 早く移動しろ!)ズリ

P(今まで何のために生きて来た、思い出せ、夢を願いを思い出せ! みんなのことを…っ!)

P(ヒトがいない今ノうちに、肉、逃ゲテ、ハカでもいイ、血、骨デモ、若くてヤワらかい肉、違う、ちがう、ちがう)ズリ

P(落ち着け、なんでもいい、なんでもいいから……)

「ーーーーーーーは」

P「ーーーーーまちは」





P「 ーーーーーまちは はれいろ、こころもはれて 」ブツブツ

P「 なやんでないでおいしいもの、たべ、たべにゆこう 」

P「 いつもわらっえいれあ、いれああい、いね 」

P「 まあり あて きにい ないで わたひらいく 」



P「 おひゃれなかさ にじをわらって みらころないあおおら 」

P「 さがしもの 見つかった? みつ、もう、もう大丈夫だ か ら……」




P「……………………」




P「……………………」グスッ




「プロデューサー!」




P「…ア……?」

響「プロデューサー! 無事か!? もう大丈夫だから、すぐに病院に…っ!」






P「ひ、ひびき……?」


P「……」


P「じゅるり」

響「良かった、まだ生きてーーーーーって!」

響「ひどい傷じゃないか! こんなに血がたくさん出て…! 待ってて、自分すぐに救急車呼ぶから!」ゴソゴソ

P「響」ズリ

響「ああ、その前に止血処理だっけ!? 包帯とかはないけど、タオルくらいならもってるからこれで縛って……!」

P「響」ググッ

響「プロデューサー!? 血がなくなるから立っちゃダメ! 大人しく寝てるか座ってーーーーー」チラ

ヌッ

P「響」ガシッ

響「ーーーーーえ?」








ギョロッ








P「 ひびき 」ニタァ







がぶり

とりあえずここまで。

東京喰種未読者でも分かると言ったな、あれは嘘だ

こっちで書き込めるか一応テスト

響(…噛?)

響「え、な、なに……?」フラ

P「ーーーーーっハアァァァ……」ゴクリ

P「…アハ」ペロリ

響(プロデューサーが、自分に噛みついて……今プロデューサーが食べてるのは……)



響(……自分の肉?)



P「うま」グチャグチャ

なんで響すぐ食われてまうん?

響(ーーーーー何で)

響(ーーーーー何だよこの目っ……!?)

響(プロデューサーの目、真っ赤っ赤で……)

響(…これじゃまるでーーーーー)





響(ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー“喰種”じゃないかっ!?)




響「うわああああああああああああっ!!!?」ドサッ

P「あっ、アハッ、アハハハハハ」グチャグチャ

響(嘘だ……嘘だ、うそだ、うそだっ!!)

P「にくっ、肉ゥ! おいしい、すごくおいしい!」ジュルジュル

響(さっきまで普通に会話して、喰種から自分を守ってくれたプロデューサーが、何で、)

響(何で、地面に落ちた自分の血を、舐めて、なんて)

P「アッハァ、こぼれる、もったいない、うま、うま」ベチャベチャ

響(痛い、やだ…)

P「もっと、もっともっと、もっとたべたい」

響(……やだ……何で………!!)




P「もっと…」ジロリ


響「ひッ…!」ビクッ


P「もっと」


響「ぷ、プロ……」ガタガタ









P「ーーーーーもっと」ビキッ







メキッ

メキメキ


P「もっとくわせろ」






ドギョ







響「かっ……」ゴボ

響(お腹が、自分のおなか、が……)

響(なに、今の……プロデューサーの腰から…赤い…爪……?)

響(…くるしい…)

響(…やだ……)

響(こんなの……やだよ……!)










響「ーーーーー」フッ



P「アハハハハ、ひびき、ひびきい~」ニタニタ

P「響、ヒビキ、ひーびーきー」ニタニタ

P「ひ、ヒビ、ひびび………」

P「…………」











P「……………………響?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




響(ーーー自分の体から、血が無くなっていくのが分かった)

響(それと一緒に体温も逃げていったみたいで、だんだんと体が冷たくなってくる)

響(頭からも熱が引いて行って、ひんやりとした気持ち悪さでくらくらした意識は、少しずつ薄れていってーーー)


響(目がかすれて見えなくなった世界から、最後にーーー)





響(ーーーーー激しい衝突音だけが聞こえた)





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「――おい…何かすげえ音しなかった?」

「…えっ?」

「ねえ…あれっ…鉄骨の下…人じゃない!?」

「うわっ…!! きゅ…救急車!!」








P「―――――」

響「……………」

--------------------

響(……………)

「―――っ! ―――!」

響(…何だ?)

「腹部…損…が…」

「臓器…移…が…必…だ…!!」

響(自分はどこにいるんだ…?)

「――この人の臓器を…血液型は同じだ…っ」

響(声だけが頭に響く…)

「…そんなっ……本人や遺族の意思確認もなく……!」

響(遺族…? 臓器…?)

「双海先生…!」

「――他に方法などないッ…!! 頼まれたからにはやるしかないんだ…!!」

響(一体、何の…話なんだ…?)

「見殺しには出来ん! すべての責任は私がとる!」







「彼の臓器を、彼女に…!!」





--------------------

「―――脈拍安定!」

「―――手術は成功だ!」

--------------------

--------------------

響「……」


ピッ


ピッ


ピッ


ピッ


ピッ






響「…」ピクッ





ピッ












ギョロッ

ここまで。
狂ってる描写は一歩間違えば痛いだけの文にしかならないのでかなり気をつかった。

>>75
だって765プロじゃ響が一番美味しそうやん?

--------------------

~双海総合病院~

響「……」ボー

「我那覇さーん、そろそろ病室に戻ってくださーい」

響「…あ、はい……」ユラ

「もうすぐお友達の皆さんとも会えますからねー、あと少しの辛抱ですよー!」

響「うん……」

響「……」

響(―――自分が765プロの事務所を見学した直後…喰種だったプロデューサーに襲われてから、もうすぐ一週間になるのかな)

響(あの日のことは、未だに誰にも話していない)

響(…と言うか、時間が経過すればするほど……)

響(あの日の出来事が、全部ウソだったんじゃないかって思えてくる……)


響(765プロの皆とずっと一緒にいて、自分をトップアイドルに導いてくれるって約束してくれたプロデューサーが…)

響(実は喰種で、自分を喰い殺そうとしたなんて…)


響(…まるで、たちの悪い、嫌な夢だ)

響(……でも……)スッ



プチ プチ

スルッ



響(この傷は本物なんだよな……)スス

















響(…それに……)

響(…あれを『ただの夢』として片付けようとしても……)

響(あの記憶と今の『アレ』が、何の関係があるかも分からないのに絡まって……)

響(ずっと頭に引っ掛かり続けているんだ……)

--------------------

双海父(以下双海)
「…う、うん。経過は順調なようだね。こ、これなら数日中に退院できるだろう」

響「…はい。…ありがとうございます」

双海「い、いやいやいや。君はこれから亜美と真美と同じ事務所に来るって、き、聞いているからね。これから……」

双海「……その……」

双海「……娘たちを、よろしく頼むよ」

響「…はい……」



双海「…そ、そそ、そういえば! 君の担当をしている看護師から聞いたんだがね!?」

響「?」

双海「その……病院食は気に入らなかったかい?」

響「!」

響「…あっ……そ、その…えっと……」

双海「……」

響「……目が覚めてから、ずっと……」

--------------------

~明朝~

響「……」カチャカチャ

むしっ

響「…」パク

響「ーーーッ!」ゾク

響「うっ……げほ、ゲホッ」コホコホ

響(……生臭い……)

響(…ダメだ……口に入れていられない……食べられないぞ……!)カチャ


--------------------


響「…魚が、すごく生臭く感じるんです」

響「魚だけじゃない。味噌汁は濁った油みたいだし」

響「芋はチョークを食べてるみたいで…」

響「お米も糊みたいにベタついて、臭くて……!」



響「…目が覚めてから……」









響「何を食べても不味いんだ……!」






--------------------

響(―――亜美と真美のあんまー…お父さんは、この事を『大量出血が原因の味覚障害』と言った)

響(一時的なものだって言っていたけど……結局、いつまでたっても病院食は不味いままで)

響(自分は退院するまでの数週間を、ほとんど水だけで過ごした)


響(病院の門から外に出たのは…時々雪が降ってくる、すごく寒い二月の初め)










響(食欲は…減る一方だった)

ここまで。

涼ちんがサイドMに登場したのを昨日初めて知った。まじか。

~響の家~

響「着いたぞお前達ー」

ハム蔵「ヂュイ!」
いぬ美「ワンワン」
ねこ吉「ニャー」
ウサ江「ニャーニャーうっさいんだよ!」
へび香「相変わらず馬のクソみてーな部屋だな」
オウ助「タダイマー」
ブタ太「ぶ」

響「ごめんな皆、いきなり入院して他所に預けることになっちゃって……」

響「……」ガシッ







響「誰の部屋が馬のクソだって?」ゴゴゴゴゴゴ

へび香「イヤあの…クソって言うのはホラ、いい馬のクソっていうか……」ビクビク

響「まったく……ん?」スンッ

響「……?」グイッ

へび香「?」

響「……」スンスン








響「……んん?」

響「ハム蔵。ちょっとこっち来てくれる?」

ハム蔵「ヂュイ?」トコトコ

響「……やっぱり」スンスン

響「…いぬ美もだ」スンスン

響「ねこ吉も、ウサ江もブタ太も……」


響「…なあ、皆」

「「「?」」」


響「……何かきつい匂いのシャンプーでも使われたの?」










響「みんな、何だか嫌な匂いがするぞ」

ここまで。
今日は短め。

響「何だか皆…ほんの少しだけどさ…腐りきった生ゴミとか、塩素系の洗剤がかかった発酵食品とか…」

響「そんな感じの、食べたら間違いなく体に有害だってわかる……そんな感じのきつい匂いがするぞ……?」

「「「……」」」

ハム蔵「……」チラ

いぬ美「……」コク

いぬ美「…わう」(…ねえ、響ちゃん)

響「? どうしたんだいぬ美?」

いぬ美「わふ」(私たちは、特に変な匂いがつくような事はされていないわ。預け先の人には、本当に良くしてもらったの)

響「えっ…じゃあ、何でこんな匂いが」

いぬ美「(それにね)」


いぬ美「(私からすれば、匂いが変わったのは私たちの方じゃないわ。
そんなに嫌な匂いじゃないから、特に気にしていなかったんだけど…今日また会ってからずっと……)」









いぬ美「(変な匂いがするのは、あなたの方よ?)」

響「…自分が? それってどういう……」

Prrrrrrr

響「…っと。ゴメンな皆。電話がかかって来たみたい」トトト

響「はいもしもし、我那覇です…」











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

響(ーーー自分の部屋に帰って、すぐにかかって来た電話。かけて来たのは貴音だった)

響(内容は退院祝いとして、自分たちがよく行く沖縄料理のお店での昼食の誘い。貴音が奢ってくれるって話だった)

響(……それと……)







貴音『響が好いた事務所を疑うのは、少し気が進まないのですが……』

貴音『765プロに行った日に大怪我をした事は、あちらに何か関係があるのでしょうか?』

貴音『…もしそうであるならば、わたくしは響を傷つけた者を決して許しません』

貴音『あの日に何があったか、どうか私に話してはいただけませんか…?』





響(ーーー背筋が凍る思いがした)

響(貴音は世間知らずで抜けているように見えて、たまに勘が鋭いんだ)

響(特に自分のことになると…貴音に隠し事をしたいわけじゃないけど…
何処まで見透かされているのかたまに不安になるくらい、ズバズバと自分の気持ちや状況の変化を見抜いてくる…)

響(事実……あの事件に『765プロ』自体は関係なかったけど、『765プロのプロデューサー』に自分は襲われた)



響(退院祝いをしてくれるのは嬉しかったけど、それ以上に今の貴音を放っておく事に、何か言葉に表せないような不安を感じたんだ)



響(だから……)



響「ーーーゴメンいぬ美、それにみんな!」ゴソゴソ

響「ちょっと大事な用事が出来ちゃったから……二時間もすれば帰ると思う!」ガチャ






響「…話の続きはその後聞くから!」






バタン

とりあえずここまで。

今日は一日かけてちまちまトーカちゃんしていきます。

…ちなみに、いぬ美は響の違和感を匂いで感じ取りましたが、多分この設定は原作とは違うんだろうなあと思います。
犬に分かるんだったら判別するために犬を訓練してるでしょうしね。

喰種の嗅覚は犬の何倍もあるんでしょうかね?

まあ、いぬ美の場合は家族だから匂いの変化にギリギリ気付いたってことにしておいてください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

響「ええっと……まず入院したのはプロデューサーに襲われたからで…って、こんな事言うのもな…」ブツブツ

響「とにかく、まずは春香や千早や社長、律子とかは関係ないってことを話して……」ブツブツ

響「帰り道に喰種に襲われたのは事実だから、そこはそのまま伝えるか……」ブツブツ


響「……」ピタ


響(皆……今なにしてるんだろ)

響(一ヶ月近く入院してたからなあ……また近いうちに会いにいくかな……)テクテク

響「それにしても、あの店か……」トコトコ



響(あそこは東京にまで店舗を構えているけど、基本的に地元…自分の故郷の人が料理を作ってる)

響(トップアイドルになるまでは故郷に帰らないって決めていたけど…あそこの料理、特にゴーヤチャンプルーなんかは、よく家で食べていた、とても懐かしい味がして)

響(落ち込んだ時や故郷が恋しくなったとき、よく食べに行ったんだ…)

響(貴音と出会う前からお世話になっていた、いわば自分にとってのもう一つの故郷……)

響(…なんてね)クスッ




響「…はっ!?」

響(いけない。あの店のことばっかりで、貴音と大事な話がある事が一瞬頭から抜け落ちてた……)ブンブン

響「あとは何を話せばいいのかな……?」ブツブツ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



響(この時ーーー自分は人混みの中を歩いていて、周囲はふわりとした美味しそうな匂いに満ちていた)

響(そういえば、今はお昼時だっけ。皆…美味しいものでも食べて来たのかな?)


響(そんないい匂いに包まれて……減る一方だった食欲は、少しだけ増えてきた)

響(…早く何か食べたいな……)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~某沖縄料理店~

響「…お。貴音ー!」

貴音「! 響!」パッ

タッタッタッ


貴音「退院おめでとうございます、響。元気なようで少し安心しました」ニコ

響「うん! 心配かけちゃってごめんね貴音。この通り体調は元通りだぞ!」グッ

貴音「ええ、そのようで。本当に安心しました」ホッ





貴音「…その、響。先ほども話した用件なのですが……」

響「あっ! え、えっと…」

響「それについてはテーブルについてから話すぞ! だから、とりあえず中に入ろ?」グイッ

貴音「……ええ」




ギイッ

「メンソーレー…あら、響ちゃんじゃない? 最近来なかったから、ちょっと心配してたのよぉ~?」

響「あはは…ごめんね心配かけて。昨日まで色々あって、ちょっと入院してたんだ」

「えっ? 入院!? 大丈夫なの響ちゃん!?」

響「ちゃんと完治したから安心して欲しいぞ! 今日は貴音が退院祝いに奢ってくれるんだってさ!」

「そうなの…? ンもぅ、響ちゃんはカワイイんだから、あんまり自分を傷つけるようなことはしないでよぉ?」

響「はーい」エヘヘ

「ンもぅ……まあ、いま響ちゃんが元気なら、それでいいわ! カワイイカワイイ響ちゃんの退院祝いだから、今日は お 姉 さ ん 、張り切っちゃうわ!
美味しいものたっくさん作ってあげるから、残しちゃダメよ?」ウフン

響「…えへへ、ありがと」



響(変わってないなあ。ここも、店長も)

響(…ちょっとだけ、安心したぞ……)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「さてと…響ちゃん、貴音ちゃん。何から食べたいかしら?」

響「んー…自分はゴーヤチャンプルーかな。久し振りに食べたいぞ!」

貴音「わたくしはいつものソーキソバを」

「かしこまりましたァん♪」キャピッ

タッタッタッタッタッ



貴音「…響。毎回思うのですが、あの店主はおt」

響「そこは触れちゃいけないところだぞ。気持ちは分かるけどさ」

貴音「……分かりました。では響……」

響「う、うん…。えっとね。まず、765プロの皆について何だけど……」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

響「…ってわけだから、765プロの皆は関係ないんだ。自分が帰り道に、喰種に襲われただけだぞ」

貴音「成程。では響は765プロの者に良いように弄ばれたわけではないのですね」ホッ

響「うん! むしろ皆仲が良くて、自分も一杯仲良くしてもらって、ここなら上手くやっていけるって思ったぞ!」


響「だから貴音も……」


響「……貴音も……」


響「……?」

貴音「…響? わたくしがどうかしましたか?」キョトン

響「い、いや、えっと、その……」


響「…あのね貴音。また明日にでも765プロの皆を貴音に紹介するから……だからそれまで、貴音が765プロの事務所に行くのは待っててほしいんだ」

貴音「はて…? それは何故?」

響「な、なんとなく! 必ず紹介するから! とにかく待っててくれないかな!?」

貴音「…? わかりました。何ゆえかは分かりませんが……」

響「い、いやー…ゴメンね……」














響(今、貴音が765プロに単独で行くのを止めたのは、ほんとうに『なんとなく』止めた方がいいって思ったからだ)

響(あの場で“喰種”だったのはプロデューサーだけだ。そのプロデューサーもいなくなってしまったから、どう考えても貴音を引き留める道理なんて無いんだけど……)

響(本当になんとなく、貴音をこのまま765プロに連れていくのは、なんだかまずい気がしたんだ)

響(…何で自分は、そんな事を思ったんだろ?)

貴音「…ふむ…そういえば765プロのプロデューサーは、響と同じく“喰種”に襲われて、亡くなっていたのでしたね。
それならば事務所で告別式があるのでしょうから、確かにいきなりわたくしだけが訪れてはあちらの方々を困らせてしまいますね」

響「! そう、それそれ! 皆忙しいだろうし、ちょっと自分たちは大人しくしてようと思うんだ!」



響(双海先生の話だと…プロデューサーはあの後、車に轢かれてしまったんだっけ。そういえば、あそこは公道のど真ん中だったな…)

響(何トンもある重いやつに跳ね飛ばされてしまったから、即死だったって。だから、その腎臓を自分に移植したって……)











響(…ん?)

響(…待てよ)


響(それじゃあ……)










響(自分の体の中に、プロデューサーのーーーーー)


響(ーーーーー“喰種”の臓器があるの?)










ゾワッ

響「ーーーーーッ!!」ブンブンブン

響(いやいやいや、それがどうしたって言うんだ……それが今の自分に何の関係が……)




響(…でも…喰種の臓器なんて、人間に移植して何もないものなのか?)

響(自分は……自分はいったい、どうなってるんだ?)


響(身体の中にあの化け物の臓器が入っている自分は……!)










貴音「響、料理が出来たみたいですよ」

響「!」ハッ

響「あ……」

「お・ま・た・せ♪ 友達思いの貴音ちゃんにも、ちょっとだけサービスで盛ってあげたわよ! じゃんじゃん食べてちょーだい♪」ゴトッ

貴音「ふふ、お気遣い感謝します店主殿」

「あ? 殿?」

貴音「い、いえ…店主、嬢?」

「うふふ、オッケー♪」

貴音「ほっ……では響、ともに頂くと致しましょう」スッ

響「う、うん。そうだな……」スッ



響(いや……自分の中に誰の臓器が入ってても、自分ってことは変わらないよな。こんな事で悩むことなかったぞ)フゥ

響(とりあえず、折角食欲が復活してきたんだし、久々に美味しいご飯を……)


響「いただきまーーー」チラ










響(ーーーーー)









響(何だ、これ)

貴音「…やはり、いつ来てもここのそぉきそばは真美味ですね……流石は響の故郷の味です!」ズルズルズル

貴音「はふっ、はふ……今日はなんと良き日……わたくしは幸せです……!」

貴音「良ければ、あなたのごぉやちゃんぷるーも……」チラ


貴音「…響? なぜ、手を付けていないのです?」


響「はっ! う、ううん、食べる…食べるぞ……」カチャカチャ


響「ーーーあーーーーーーー」



ぱく

響「…………」

貴音「…?」

響「な、なあ貴音……ちょっと一口だけ、これ食べてみてくれないか……?」

貴音「一口のみならず、何口でも頂けますが…では」アーン

貴音「あむ」モグモグ

響「…ど、どう?」

貴音「どう、と申されましても……卵がふわふわしていて、真美味な味わいですが…」キョトン

響「う、うん。やっぱりそうだよな! …これ、美味しいよな……」

響「き、気を遣わせてごめん……食べる、食べるから……!」カチャカチャ

響(…そうだよな…こんなにも美味しそうに出来ているじゃないか。いつも食べてるものと同じじゃないか)

カタ

響(自分は…この店の料理の中でも、ゴーヤチャンプルーが特に好きなんだ)

カタカタ

響(故郷にいたころ…よくあんまーに作ってもらったんだ。トロトロとした卵に、鰹節の風味がよく染み込んだ豚肉)

カタカタカタカタカタ

響(その鰹節なんかは、豆腐と合わせて食べると、口の中で柔らかく砕かれて混ざりあって)

カタカタカタガタガタガタガタガタ

響(濃すぎず、薄すぎない風味のよく出る味が、何とも言えない美味しさで!)

ガタガタガタガタガタガタガタガタ

響(そこにゴーヤが混じったら! シャッキリとしたゴーヤの歯ごたえが柔らかいチャンプルーのいい刺激になって! 苦味も、ダシの美味しさを引き立てて!)

ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

響(そんな豊かな味が……自分は大好きだったんだ………………!!!)





パクッ






響(ーーーなのに)





響(ーーーなのに、なんでッ……!)





響(何でーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー)















響(ーーーーーーーヌルっとした排水管の中身を舐めているような味しかしないんだ!?)












響「おええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!」ボタボタボタボタボタボタボタボタボタ

ひとまずここまで。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

貴音『響っ!? 響、ひびきっ!! どうしたのです!?』

『ちょっ……響ちゃん、大丈夫!?』








貴音『…申し訳、ありませんでした。手術の後遺症が残っている可能性を鑑みず、食事に誘うなどと……』

貴音『片付けはわたくしが責任をもって執り行います……響は、先に自宅で身体を休めてください』

『そうね…お代はいいから、ゆっくり休みなさい。落ち着いた頃にまた来てくれればいいから……』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

響「はぁ…はぁ……」ヨタヨタ




響(ーーーおかしい…どう考えてもおかしい……)

響(双海先生は、一時的な味覚障害って言っていたけど……『一時的』って、いったい何時までの事を言うんだ……?)

響(それに、さっきのは……ただ不味いんじゃなくて……喉が…飲み込むのを嫌がっている感じまでした)







響(身体が……食べるのを拒否している感じがしたんだ……)

「ひぃ…ひぃ……」

「お疲れー。よく頑張ったよー」

「いつも…ぜえ……こんな…距離を走ってるの……?」

「いつもはもっと多いよ?」

「ぜえ……はあ……し、信じられないですぅ……」



響(ーーーとにかく、まずは体を休めないとーーーーー)



「まあ、少しずつ伸ばしていこう…って、あれ?」

「? どうしたの?」

「いや、あれってもしかして……」


「響ー!」


響「…?」クルッ


響「……あ……」





響「真に……雪歩?」







真「やっぱり響だ! 一か月ぶりくらい?」

雪歩「お、お久し振りですぅ」

真「聞いたよ、入院してたって。体の調子はどう? なんか顔色悪いように見えるけど……」

響「あ、えっと……ぼちぼち、かな。ちょっと食あたりにあっただけだぞ」

雪歩「ごめんね、お見舞いにいけなくて。行こうって思ってたんだけど、社長や双海先生に止められてて……」

響「…そうなの? …いや、気にする必要なんてないぞ? 心配してくれてたなら、それだけで嬉しいさー」

真「そっか…まあ、病み上がりなんだし身体には気をつけなよ? とりあえず無事みたいで安心したけどさ……無事で……」



真「…………本当に安心した。響が無事で、本当に良かった……」グスッ

響「? なんで泣いて……」



響「…あっ……」


響(ーーーそっか。自分は生きてるけど、プロデューサーは死んじゃったから……)


響(…………)

響(ーーーそう言えば、自分はアレが“喰種”だって知ってるけど……真や雪歩…下手したら事務所の誰も知らないで、アレと一緒にいたのか)

響(あんなに仲良くしてたんだから、きっと悲しかったはずだぞ。皆からすれば、優しくて頼りになるプロデューサーだったんだろうから……)

響(……例えそれが、裏では人を喰う化け物だったとしても…………)



響「…えっと…真は今まで、雪歩と一緒にランニングしてたの?」

真「うん……」グシッ

真「そうだよ。雪歩から『一緒に走ってください』って頼まれちゃってさ。プロデューサーがいなくなっちゃってから、雪歩すっごく頑張ってるんだ!」ガシッ

雪歩「ひゃあっ!? …う、うん! 相変わらずダメダメだけど、何時までも事務所の皆に頼りっきりじゃダメだって思ったから…まずはちゃんとダンスが出来るよう、体を鍛えなきゃって思って……」モジモジ

響「ははっ、雪歩は偉いぞ!」



響「…うん、本当に偉いぞ。雪歩ならきっと、すごく素敵なアイドルになるさー」




雪歩「……!」

雪歩「…えへへ。ありがとう」

真「…とまあ、そんなわけでついさっきまで雪歩とランニングしてたんだけどさ……雪歩、走ってる間ずっと上着閉じたままだよね? それ暑くない?」

雪歩「ふえっ!? た、確かに暑いけど……でも、下はTシャツくらいしか着てないのに、汗で透けてるかもしれないのに…そ、外で脱ぐなんて……ちょっと恥ずかしいですぅ……!」

真「なーに言ってんの! 熱中症になるかも知れないでしょ! ほら脱いで脱いで」グイッ

雪歩「ひゃあっ!? こ、こんなひんそーでひんにゅーでちんちくりんな私だけどやっぱり脱ぐのは恥ずかし……!」アタフタ

真「…は?」プツン

真「ーーーキミはボクを怒らせたあああああああああっ!!」ガバッ

雪歩「ひゃああああああああっ!?」バサッ

響「あ、アハハハハ……」

響「えっと…あんまり無理に脱がさなくてもーー」











ムワッ















響「」ゴクリ




響「……えっ?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

雪歩「う、うう……やっぱり透けてる……恥ずかしいですぅ……」フルフル

真「うわぁ……汗で透けてるどころか張り付いてて、形がハッキリわかっちゃう……脱がさなきゃよかった……」グヌヌ

雪歩「ひ、響ちゃん助けてぇ……」チラ



雪歩「………あれ?」

真「? 雪歩、どうかした……あれっ?」キョロキョロ



真「……響はどこ行ったの?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

響「はっ……はっ……ぜえ…………」ハァハァ

響「…な、なん、で…………」

響(ーーーあれって……雪歩の、汗の匂い、だよな…………?)

響(ーーーずっと、『ない』ままだったのに。入院してから今まで、こんなことなかったのに)

響(ーーー何で、あれ、を、嗅いだ、瞬間ーーーーーーー)








グウウウウウウウウウウウウウ




響(お腹が、空いてきたんだ)





響「……?」ヌチャ

響(ーーー口元のコレ……)



ズルッ…




響(---涎……?)ベトォ










響(ーーーゴーヤチャンプルーの時は、食欲なんて起きなくて。むしろ、食べたくなくなるような不気味さがあった)

響(ーーーだけど、雪歩の匂いを嗅いだ瞬間、お腹が空いて、涎が止まらなくて)

響(ーーーその首元とか、腕とか、胸とか……どこでもいいから、齧り付きたくて仕方なくなった)





響「……何、だよこれ…………」

響(ーーーこれじゃあまるで…………!!)









響(ーーーーー雪歩を食べたいと思ってるみたいじゃないか!?)

とりまここまで。

腹減ってる時に限ってこれ書くのがメチャクチャ捗る。なんでや。

あと、雪歩はメインディッシュじゃなくて食後のデザートにいただきたい感じがする。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

響(ーーー空腹は、家に帰るまで、帰った後も、止むことは無かった)

響(家を出てから帰るまでに、自分の表情はどれだけ変わってしまったんだろう……。一匹残らず出迎えてくれた家族の皆は、皆さみしそうな目で自分を見つめていた)

響(いぬ美が何かを伝えようとしてくれていた。ハム蔵は近くに寄って自分を慰めようとしてくれた。皆が、自分のために何かをしてくれようとしていた)

響(その気持ちは嬉しかった。自分からだけの一方通行じゃなくて、皆も自分のことを愛してくれる事が分かって、涙が出るほど嬉しかった)

響(ーーーでも……ゴメンね皆。優しくしてくれたのに、本当にゴメンね)



響(ーーー不愉快なんだ)

響(ーーーお腹が空いて仕方がないのに、すぐ近くで有害な匂いをまき散らされてーーーーーーー)



響(ーーーーーーー不快なんだよーーーーーーー)

響(ーーーーーーーあっち行ってよーーーーーーー!!)


















響(……こんな事、思いたくないのに)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キューン……

響「ん……」

響(嫌な臭い……気分が悪い。最悪の目覚めだ……)

響(やめてよ……その鼻が詰まるような息を吐きかけないでくれ……)

響「…いぬ美……」ナデナデ

いぬ美「クーン……」クシャクシャ

響「…そっか。帰った後で、話の続きをしようって約束してたんだっけ……」ナデナデ

響「ゴメンな、いぬ美……今ちょっと余裕なくて、まともに話を聞けそうにないんだ……」


いぬ美「キュウ……」ショボン


テクテクテクテクテク……

ボスン


響「……」グウウウウ

響(…いぬ美……ゴメンな……)




響(…テレビでもつけるか…………)


ピッ

響「…何か、面白い番組でもやってるかな……?」ピッピッ

響「……」ピッピッ


ピッ


『ーーー高田ビル通りであった“喰種”の捕食事件ーーー』


響「……!」ピクッ


『ーーーここで喰種研究の権威である、小倉先生にお話を伺いたいと思います』


響(…“喰種”の番組……?)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『…“喰種”ってのは、実はそんなに食べないんだ。死体一つあれば平気でひと月ふた月生きられる』

『普段はヒトの姿で我々と同様に生活しているから、発見は非常に困難だね』

響(…そうなんだ……)

『へぇー…そうなんですか』


『…ところで……』





『“喰種”は、人間と同じ食事では満足できないんですか?』





響「!」ピクッ


『ーーー“喰種”はそもそも、ヒト以外から栄養を摂取できない』

『ーーーーーーーおまけにーーーーーーー』







『“喰種”は舌の作りが我々人間と違うから』










『 食 べ 物 が メ チ ャ ク チ ャ 不 味 く 感 じ る 』









響「……え…………?」


『サラダは青っぽく、肉や魚は生臭く感じるらしい』

『人前ではガマンして食べるだろうけど…』

『食べた後は強い吐き気に襲われるだろうね』















響「…嘘だ」


響「嘘だ」


『家族から感じる有害な匂い』


響(嘘だ)


『排水管の中身を舐めているような味』


響(嘘だ)


『身体が食べるのを拒否してる感じ』


響(嘘だ)


『雪歩を食べたいと思った』


響(嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ)


『人混みから漂う美味しそうな匂い』


響(嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ)


『身体の中に“喰種”の臓器が』


響(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ)














『何を食べても不味いんだ』












響「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!」ダッ


響「あああああああああああああああっ!!!!」

ダダダダダダダダダッ

響(嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ! そんなわけがない!)

響(自分がーーー)

響(自分はーーーーーーー!!)

ガチャリ


響(…ハンバーガー……!)バク

響「!」ゾワッ

響「オエエエエエエッ!!」

響(違う、違うだろ!)

響(ホットドッグ……おにぎり……ポテトチップス……!)

バク

ムシャ

響「おえっ…げええええっ!!!」

響(そんな…そんな……!)

響(リンゴ、牛乳チーズバナナココアコロッケハンバーグドーナツ)

ムシャ

ゴクッ

ゴキュゴキュ

ガリッ

響「おええええええ!!」

響(白菜豚肉ブリトマト鶏肉牛肉小松菜じゃがいもご飯)

ガツ

バク

ゴリッ

響「うぷっ……うええええええ」

響(パンうどん玉葱カレー粉わさび醤油しょうが辛子)

響「おぷっ……おえええええ」

響(ケーキお茶もやしオレンジジュースラーメン)

響「ゴホッ…かっ、はぁ、げえええええ」

響(小麦粉キャベツレタス大根人参ピーマンシャケ味噌ポン酢、)

響(ヨーグルトバター豚足卵ワカメ茸豆腐、黒砂糖サーターアンダギーゴーヤーーーーーーー!!)























ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


響(ーーー気付いた時には冷蔵庫の中身は空っぽだった)


響(自分は口の中に残る気持ち悪さを吐き出そうと必死になっていて)


響(周りは自分をただ見つめる臭くて仕方がない家族たちと)


響(吐瀉物に塗れて悪臭を放つ、齧りかけの食材たちが散らばっていた)



響(とにかく臭かった。不味かった。気持ち悪くて何度も吐いた)











響(そんな事しか考えられない自分を含めて、全部が気持ち悪くて仕方がなかった)

ここまで。

今日中にアニメ第一話範囲終わるといいなあ…

すまぬ…書く気が湧かなくて今日は続きを書けそうにない。
今回は原作一巻収録分までの投下となるので、多分エタりはしないと思いますが…

誰がカズオをどーんするのか予想でもしながら待ってて下さい。


正解者には芳村店長の赫包をプレゼントします。

まさかのカズオさん下剋上に花京院の魂を賭けるぜ

~翌日~

Prrrrrrr

『ーーーただいま電話に出ることが出来ません。ピーという発信音の後にメッセージを入れてください』

ピーーーーー

『もしもし……貴音です。あれから調子はいかがですか?』

『響の言いつけ通り、765プロには未だ向かっておりません』

『新しくオーディションの知らせを手に入れたので、もし必要ならば折り返し連絡を』

『……以上です。それでは、お大事に』

プツッ


響「……」ボー



響「……」フラッ

響「……」キュッ


ジャーーーーーーーーーー


響「…あぐっ……!」ゴクッ

響「んぐっ、んぐ、ぷぐっ……!」ガブガブ

響「ぐっ、んぐっ……ぷはぁ」



響「はぁ……はあ……」ゼエゼエ



響「……みんな、今からご飯用意するからな」フラッ

響「……」ゴソゴソ


響「……あ……」サラ


響「…ごめんな、いぬ美。いぬ美の分のご飯、切らしちゃったぞ」

響「…元々、自分が作ってたから……非常用に少しだけしか買ってなかったんだっけ」

響「…今の自分じゃ味がわからないから、作ることも出来ないし……」

響「…って言うか、材料も全部自分がダメにしちゃったんだっけ……」









響「……そんな顔しないで。自分は大丈夫だから」




響「皆の分のご飯、ちょっと外に買いに行ってくるね」

~ペットショップ~

響(…これとこれでいいかな)

「ありがとうございましたー」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

響(気分転換にでもなればと思ったけど……)

響(…ペットショップの匂いがすごく不快だ)

響(気分が悪くなる前にさっさと帰ろう……)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「やっぱはるるんだよな! あのクラスにいて同級生の俺に優しくしてくれそうな感じが~~」

「ーーーはい、はい。その内容でお願いします。はい、よろしくお願いします」

「次はあの店ー! ほらほら、」

「ママ! あのねあのね! 昨日かすみちゃんがね! ~~~」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



響(……やっぱ東京って、人がいっぱいだな……)

響(そういえば…貴音とあの店に食べに行った時も、途中でこんな匂いがしたんだっけ……)

響(いい匂い……美味しそうな匂いだな……)
















響(……子供)


響(青年、女、女、少女)


響(女、男、肉、少じょ)


響(女、女、少ねん、肉、男、あかん坊、子ども、にく、おんな、にく)


にく


響(おんな、しょうねん、にく、おとこ、にく、おんな、しょうじょ、にく、にく)


にく、にく、にく


響(おとこ、にく、にく、にく、にくにくにくにくにくにく)


にく、にく、にくにくにくにくにく


響(にくにくにくにくにくにくにくにくにくにくにくにくにくにく)


にくにくにく、肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉肉






響(にく、  肉!    肉!!     肉!!!)





















「……?」

「…お姉ちゃん?」





響「……ふー」



ギリギリギリギリギリギリギリギリ



響「フーッ、フーッ……!!」




響「グウウウ……! ウウウウウウウウウッ……!」


「ねえ…ちょっとあの子……!」

「馬鹿、見んなって……」

「ちょっと頭が『アレ』なんだろ……」








響「うーっ、うぅーっ…!!」ギリギリ

「お姉ちゃん、どうしたの……?」

響「うっ……ウゥ、ググ……!」ダラダラ

「お腹空いたの……?」

響「ウウッ、ウー、ウウウ、グゥーーー……!!」








「…ねえ、お姉ちゃん……」











「お目目赤いよ……?」










響「グ……」ピタ

響「……」

響「……赤?」



響(…赤って何だ? 自分の目が?)


響(赤? 紅? 緋? 銅?)



響(……いや……)







ーーー『もっとくわせろ』















         アカ
響(ーーーーーーー赫?)




















「あっ……お姉ちゃん!?」







響(ーーー気付けば、また自分は走り出していた)

響(ーーー目を見られないように両手で覆いながら、鏡を求めてとにかく走った)













響(ーーーーーーーそしてーーーーーーー)










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



響「あ……ああ…………!!」



響(今まで食べられたものが食べられなくなった)

響(人間を見て、お腹が空くようになった)


響(ーーーこれだけの変化で、疑わない方がおかしい)



響「何で…何でっ……!」



響(“アレ”の臓器を体内に入れられた)

響(きっかけさえ、十分に納得の行くものなのに)

響(ーーーなのに、今までずっと心のどこかで)

響(自分はまだ人間だ、“アレ”なんかじゃないんだ)

響(ただ、変な病気や障害に囚われているだけだ)

響(必死に、そう自分に言い聞かせている自分がいた)

響「何で…自分が……っ!!」



響(鏡を凝視し、何度も目を擦り、夢や幻覚から覚めようと必死に頬を叩いても、映る像は変わらない)


響(それは、病んで涙にまみれた右眼とーーー)













響(ーーーーーーーうえて赫くギラついた、ばけものみたいなひだりの眼)












響「うわあああああああああああっ!!!」




ガシャンッ




響(ーーーパニックになって鏡を殴ると、割れた破片で手が裂ける)


響(でも、すぐに治った。“人間”なら、こんな速さで傷が治るわけがない)








響(“人間だった”最後の記憶。自分の肉を喰らったあいつが、今の自分に重なって見えた)

響(ーーーーーーーもう、疑うことはできない。否定することも……)















響(自分は“喰種”になってしまった)

響(ーーーーーーーもうーーーーーーー)









響(人間じゃなくなってしまったんだ)








一旦ここまで。

今晩まだ続けるかどうかは、気分転換後の眠気次第。

響「……何で」

響「……何で……!」

響「自分が何かしたのか……?」

響「何で……どうしてこうなった……!?」


響「自分はただ……“喰種”に襲われて」


響「手術で臓器を移植されただけじゃないか……!」














響「…移植……」ハッ









響「…そうか……!」

















響「あの手術のせいだ」


響「分かっていたはずじゃないか」


響「あいつの臓器を移殖されたのがいけなかったんだ」


響「“喰種”の臓器さえ移殖されなければ……!」










響「それなら……!」

ムクリ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Prrrrrrr


響「…ああ、もしもし貴音?」

響「今朝言っていたオーディションのやつだけどさ……そのお知らせの紙、ちょっと持ってきてもらっていいかな」

響「うん、うん……ありがと。じゃあね」


ガチャ





響(ーーー万が一の保険もかけた)





響「…ハム蔵。それに皆」

ハム蔵「ヂュ?」

響「もし自分が危険な状態になったら……ドアの鍵は外してあるから、外に助けを呼びに行ってくれるかな」

ハム蔵「……ヂュ?」

響「危ないから、みんなは近寄っちゃ駄目だぞ……」グッ







スラリ







「「「!!!」」」










響「みんなが入ってこれないように、こっちのドアはちゃんと閉めて……っと」バタン





響(…久し振りだな)


響(ーーーーーーー包丁を持つのは)ギラッ


ハム蔵「ヂュッ! ヂュイイイッ!」

いぬ美「ワウッ! バウバウバウバウバウ!」

「ピイイイッ!!」「ブーッ!」「ニャアアアアッ!!」

ガタガタガタガタガタガタ

ドンドンドンドンドンドンドンドン











響(原因はわかってるんだ。だったら、それを取り除けばいい)

響(ーーーーー自分に移植された、“喰種”の臓器を)

響(自分は、移植されたのが腎臓だって双海先生から聞いている)

響(腎臓を傷つけて、運が良ければ…別の臓器を移植してもらえるかも知れない……)




響(……本当に……運が良ければ……)


響(…万が一、自分で救急車を呼べなくなっても、貴音がパンフレットを見せにきてくれる)

響(それが間に合わなくても、ハム蔵が助けを呼びにいってくれる)












響「…ふーっ、フーッ、フーッ」


響(…あとは……)


響「フーッ、フーッ、フーッ、フーッ、フーッ……!」


響(……痛みに耐えるだけ……)


響「フーッ、フーッ、フッ、フッ、フッ、フッ、フッ、フッ、フッ……!」


響(……一瞬、痛みに耐えるだけだ…………!!)


響「フッ、フーッ、い、フーッ、いく、フーッ、フーッ、行く、ぞっ………!!」

























響「ンウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!」













         ドッ



























響「…………」


パキン

カランッ




響「…………」ドサリ













響(ーーー“喰種”の身体も、こんな感じなのかな)

響(包丁の方が折れて、自分の体には傷一つつかないなんて)




響(…こんなの、どうやったら傷がつくんだ)

響(どうやって、腎臓を取り出せって言うんだ)


響「…は、はは……」

響「もう……もう、何も出来ないじゃないか…………」









カサ




響「……?」

響(何か手に当たって…………)



響「…これって……」





響「……クッキー?」



キューン……



響「……あ」



響「…いぬ美…? どうしたの……?」

いぬ美「クーン…」


響「…自分が貴音に会いに行った間に、春香が届けてくれたの?」

いぬ美「クーン…」コクリ


響「……そっか……」











響(ーーーそう言えば)

響(あの日最後に食べたものは、春香が作ってくれたクッキーだったな……)


ーーー『響ちゃん。クッキー焼いてきたんだけど、食べる?』

ーーー『…ありがと』

ーーー『…お、すごく美味しいぞ! 手作り?』

ーーー『うん! 料理はまだまだだけど、お菓子作りには結構自信あるんだー!』


響(ーーーあの時食べたクッキーは)

響(しっとりとした生地が口の中でほどけていって)

響(…わずかな砂糖と小麦粉の甘さが、舌にやさしく溶け込んでいって)

響(たまに混ざりこんでいたココアパウダーやアーモンドなんかも、落ち着いた深いコクや、ナッツ特有の乾いた旨みがあって)

響(作ろうと思えば誰でも出来そうな味だったかも知れないけど)

響(…そんな春香のクッキーの味が、自分はすぐに好きになった)


響(何回でも食べていたい味だって思ったんだ)


響(ーーーこれを口に入れればどうなるか、自分は知っているはずだ)

響(……でも……)


響(それでもこれだけは食べたかった)

響(どうなるか分かっていても……せめて、最後の思い出に縋っていたかった)ガサッ

















サク

サクリ

ムシャ



モグ
















響「…………」




響(ーーーーーもし)



























響(もし、嘔吐物を粉末状に出来たとして)



響(それに汚水を混ぜ込んだ生地を作って焼いたとしたら、こんな味になるんだろうか)


響「……ねえ、ハム蔵」


響「自分ね、あの時ゴーヤチャンプルーを不味く感じてから……」

響「…本当はどんな味だったか、故郷で食べた味がどんな風だったのか……思い出せなくなっちゃったんだ」


響「今も同じ……」

響「最後に食べた春香のクッキーが……とっても美味しかったはずなのに、もう味を思い出せない」






響「今まで食べたもの全部が、嫌な味にしか思い出せなくて……」



グウウウウウウウウウウウウウ



響「…なのに、お腹だけが空いてきて」


響「あの時嗅いだ人の匂いが忘れられなくて」



響「今はそればっかり……」




響「そればっかり考えてるんだ……!!」



響(…自分を傷つけることすら出来ず…)

響(今まで味わったことのない飢えに苦しめられながらも、その満たし方がわからない…)


響(ーーいや…“ある”)

響(ひとつだけ…きっと“そう”なんだろう…)



響(だけど……)




響(『それ』をしてしまったら、自分はもうこれから……)

響(ヒトとして生きられないかもしれない……)




響「……っく…………」



響(……でも………もう他に………)





響「ひくっ……ぐすっ……ひっく…………」



響「ひぐっ……うう、うううううう…………!」





響(他に…………)























響「ーーーーーえええええん……」





響「…ヒック……うえええええええええん………!!」















響(もう他に、どうしろって言うんだよ)

一旦ここまで。

あと一回の更新でアニメ第一話分が終わります。

コーヒーだ、コーヒーを飲むんだ

…誤爆

母さんにハンバーグ作ってもらえばよかったな(寝起きの挨拶)。


長らくお待たせして申し訳ない。少しスランプ気味だったんだ。

では董香します

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


























響(ーーー自分はいつの間にか、泣きつかれて眠ってしまったみたいだ)

響(…もしかしたら夢の中に逃げ込みたくて、わざと眠ろうとしていたのかもしれない)

響(でも、もしそうだとしても……いつかは目が覚めてしまう)

響(十分休んでしまえば、あとは現実と向き合わなきゃいけなくなる)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

響「……」ムクリ

響(毛布……いぬ美がかけてくれたのかな)


いぬ美「……」スースー

ハム蔵「ヂュイ……」クカー


響(今日はみんな、自分から離れて寝てるんだ)

響(……嫌な匂いだって思ってたの、バレたかな……?)










響(家族たちの嫌な匂い)

響(折れた包丁)

響(春香のクッキーとその嘔吐物)

響(…誰かが舐めて掃除してくれたみたいで、その量はかなり減ってた)










響「……」



響(…夢じゃなかったんだな)


響(ーーーもう眠くない)

響(無理に寝ようとしても、お腹が空いて苦しむだけだ)

響(…でも)

響(起きてどうするって言うんだ)

響(ヒトを襲って食べろというのか?)

響(それとも、いつまでもこうやって苦しめって?)


響(……それとも……)






響(今の自分には、もう生きる権利すらないって言うのか)













フワッ












響「!」ピクッ


響(…あれ? 今の匂い……)フラ

響(こっちから……?)


バタン


響(やっぱりだ……!! この匂いは外からする……!)


響(ーーー今まで感じた、不快なものなんかじゃない……)



響(ーー自分の食欲を強烈にそそる……!)



響(…初めて嗅ぐのにどこか懐かしいような…)

響(あんまーの手料理のような優しい香りだ……!)


響(……もしかして)

響(普段食べられないような食材を使った料理を出している店がある?)



響(ーーーーーーーーーー今の自分でも食べられるものがあるのか!?)












響「……っ!」パアァ


タッ

響「あはっ……」

響「やった……」

響「やった……!」



響(ーーーこの匂い……あの場では…自分の冷蔵庫に置いてあったものは違う)

響(自分の家族も誰一人美味しそうな匂いはしなかったから、ウサギとか犬の肉とかでもないんだろう)

響(だとしたら何だろう? 猿とか?)

響(…もしそうだったら、それはそれで少し抵抗あるけど……)




ギョロッ



響(ーーーでも! 今はそんな事どうでもいい!)

響(自分に食べられるものがある! やっとこの空腹を満たせる!)

響(何処だ!? 何処だ、何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ!!)

響(匂いが近い……ここだ!!)



響(この角を曲がったすぐそばに!!)







響(ここに!!!)









響(ご馳走が!!!!!)


































ズルッ

ベチャ

グチャグチャ

グチャリ




響「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえ?」


「…!?」バッ

響「……あ…………」








響(ーーー角を曲がった先には、地面に座り込んで)

響(まるで犬みたいに食事を貪っている男がいた)

響(自分に気付いて振り返ったその男の両眼は真っ赤で)

響(自分はすぐ、そいつが“喰種”だとわかった)



響(ーーーーーーーーーーそいつの“食事”が何なのかも)


























響(ーーー死体の香りに釣られていたなんて)


「な、なんだ……ビックリした……」

「……喰種……だよな?」

「お嬢ちゃん? どうした?」

「な、何があったのか分からないけどよ、泣かないでくれよ」

「えっと……俺、カズオって言うんだけどよ」





カズオ「あんた見かけない顔だが……他所の区から来たのか?」

カズオ「…もしかしてコッチに来たばっかりで…」

カズオ「獲物を上手く狩れなくてお腹が空いてるのか?」

カズオ「な、なら……」グチャ


カズオ「俺も久し振りの食事だからあんまし分けてやれねーけどよ……ほら、食い


 「どーん」


なよッ」ドチャ

ちょっと間の問題で訂正。











カズオ「俺も久し振りの食事だからあんまし分けてやれねーけどよ……ほ、ほら、食い


 「どーん」


なよッ」ドチャ






















響「……!」ピチャッ




「はぁーあ……」

「全く、ヒトの喰場荒らさないでほしいな」












美希「ここはミキの喰場なの。勝手にここでお肉食べてたオジサンが悪いんだよ?」

一旦ここまで。

と言うわけで、>>166の正解はミキミキでした。

>>167さんにはユーモア賞ということで鯱さんとラプンツェルする権利をプレゼントします!

あとね、これ個人的な自慢であくまで推測なんだけど


もしかしたら東京喰種の二次創作ssでまともにカズオさん書いたの俺が最初じゃないかな


ほら、東京喰種のssってカネキが本編と違って上手く立ち回ること多いからあのシーンが書かれてること自体見た事ないのよ


響(あれは……あの眼は……あいつも“喰種”!?)

響(…え、今なにが起こって…………)ノシッ

響(今、自分がキャッチしたものって……?)チラ




カズオの首「」ゴロン




響「ーーーーーーーつ!!?」

響「うわああああああああっ!!!?」


美希「で、もう一人のオジャマ虫さんは……っと」チラ


響「あ、ああ………」ガタガタ


美希「…あれ? キミ見たこと無い喰種なの。新入り?」

美希「って言うか、何で片目だけ赤いの? ショージキ気持ち悪いの」ガシッ


ドンッ


響「ぐっ!?」ゴホッ


美希「あのね。ここはミキの喰場なんだから、勝手に食事しないで欲しいな。ここの“喰種”ならナワバリのルールくらい知ってるよね?」

美希「…ま、ミキとしてはミキの喰場を荒らされて、もう十分イヤなカンジ?」


ギリリッ


響「かはっ……ち、違うんだ。ここが誰かの場所だなんて知らなかったんだ! 自分はたまたまここに……!」

美希「……」ハァ


美希「…はーい想像してー。キミの恋人がハダカで縛られてますー、そこで知らない女の子がまたハダカでこう言ってるの。




『私は何もしてませーん、たまたまここにいましたー』




…どう? キミ信じる? ミキならそんなコ殺しちゃうよ?」









美希「だから、ミキの喰場にいたキミは殺しちゃっても……」



「その人を離して」



ひびみき「!」

響(…あれ……この声、何処かで……?)


美希「…誰? 今日はいつものヒトじゃないんだ?」


「…あなたがプロデューサーの言っていた『ミキ』ね」

「縄張りを主張するのは勝手だけど、殺すのはやりすぎよ。その人を離しなさい」


美希「はぁ? ミキの嫌なことする人にミキがなにしよーがミキの勝手なの」

美希「765プロみたいな日和ったヒトたちなんかにどーこー言われる筋合いないって思うな」


美希「…っていうか、折角あのヒトが来なくなって好き勝手やれると思ってたのに、あのヒトと言いあなたと言い鬱陶しいの」


















美希「うるさいから殺していい?」ギロリ


「……そう。素直に従う気はないのね」


ジリッ


美希「……へえ。やる気?」ポイッ


ドサッ


響「かふっ……」ゲホッ


「ええ、大人しく従わないなら」ス…











「実力行使よ」ギョロッ


バシュッ


美希「なのっ!!」バキンッ


ズパッ










「……っ!」トッ

美希「……」スタッ

























パクッ

美希「…へえ、結構やるの」ダラリ

美希「……でも……」




ズパンッ

「!」ドロッ




美希「勝てない相手じゃないってカンジ? あはっ♪」

「……!」ズキリ


美希「ミキを止めるつもりなら、いつものヒトでも連れてくるの。あなたじゃミキに勝てないよ?」ハァ

「……プロデューサーのことかしら」

美希「多分その人? いつもいつもお前のためだーお前のためだーって一ヶ月前くらいまで鬱陶しかったけど、そこそこ強かったの」


美希「ミキに言うこと聞いてほしかったら、あのヒト連れてきてーーーーーーー」









「それは出来ないわ。プロデューサーはもう亡くなってしまったから」









美希「ーーーーーーーえっ?」


美希「…え、何? 死んだって……は?」

「貴女の言う一か月前の事よ。大型車に轢かれて、回復できずに亡くなったわ」

美希「は…………」

「だから、貴女を止める役目も出来ない。…もういい?」

美希「……あ…………」



















美希「…………」クルッ

「……美希?」

美希「…飽きたから帰るの。そこの子はもうどうでもいいから、ミキのことはほっといて」


スタスタスタスタスタ……

一旦ここまで。

美希のキャラがなんか違う気がするけど、背景とか経歴の差だと思ってください。


>>245のシチュエーションって、アイマスssだと割りとよくありそうな話だよね

それと、途中から仲間入りというストーリーの都合上美希をキャスティングしたけど、
性格で考えたら馬糞先輩はいおりんが一番あうと思う。

面倒見いいしなんかしぶとそうだし。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








響「……あ……」ポツン


響「あ………」チラ


カズオ「」


響「……っ!」フイ

















響(ーーー何なんだよ、これ)

響(これが、喰種?)

響(同じ喰種なのに……同じ仲間同士でも殺しあうなんて)


響(ーーーこんなのーーーーーーーー)

















「…はあ……」







響(ーーーーー?)



響(……あれ? さっきの死体に)

響(ヒトの死体に近づいて…)

響(あいつ、何をする気…………)


「…思ったより傷を負ってしまったわ」

「一口、食べておく必要がありそうね……」グイ











バキ

ゴキリ

メキメキメキメキッ



ブチッ



響(ーーーーーーーーッ!?)ゾワリ


響(ーーーなんで千切った?)

響(ーーーヒトなのに)

響(ーーーあんな、食べ物みたいに)







響(ーーー食べ物?)

















「……」スッ

響(ーーーまさか)


「……」アー

響(ーーー嘘だろ?)
















がぶり

















響(ーーーあの時の事を思い出した)


「……はっ、はふっ」

グチャ

モグ

グチャリ


響(ーーー自分の肉を食べた、プロデューサーのことだ)


「んっ……ぱ、あふっ」

モチャ

ペチャペチャ


響(ーーーあの時のプロデューサーも、あんな風に目をギラつかせながら肉を貪っていた)


「んちゅ……んく、……っんん…………」

ジュルッ

チュルル


響(ーーーすごく怖くて、不快な光景だった)


「…………ぷは」

ゴクン


















響(ーーーーーーーー最悪な気分だ)


響(ーーー最悪だ)

響(最悪だ)


響(最悪なのに)




ドロリ


響「うっ……」


じゅるっ


響「う、ああ、あああ」


ぬとっ

べとり


響(ーーー最悪なのに!)








ボタリ

ボタボタ

ジュルッ

ベチャ

ベチャリ









響「やだ、やだあああ…!」


響(涎が止まらない)

響(肉から目を離せない)

響(何も考えられない)



響(ーーーなんで自分まで)










響(ーーーいやだ)

響(ーーー自分はーーーーーーーー)



響(ーーー自分はーーーーーーーーー!!)


















「ーーーーーーーーー我那覇さん?」























響「……?」

響「……!?」パッ









響(…なんで)

響(自分のなまえ)


響(この声)

響(さっきミキとたたかった)


響(さっきまで)

響(肉を食べてた)




響(なんで)

響(自分の、名前を、知って)



響(きみは)

響(だれーーーーーーーーー?)







チラリ













響(ーーーさらさらした長髪)

響(ーーー細い身体)


響(765プロにいた)



響(…いや、その前に)




響(あそこで、春香と真美と一緒にいた)










響(何で君がここにいる?)


響(何できみが、そんな真っ赤な目をして)


響(なんできみが、ヒトなんかたべて)
























響「ーーーーーーーーーーちは、や?」































「……な……」
















千早「…なんで…………我那覇さんが…………?」

今日はここまで。

ようやくちーちゃんを出せました……!


千早「何で我那覇さんが……」

千早「あの時、我那覇さんから匂いなんてしなかったのに」

千早「いや、でも……」

千早「それに、その眼……何で片方だけ……?」


響「千早……? なんで、千早が……」

響「何で、ヒトの、にーーーーーーーーー」



響(ーーーにくーーーーーー)

響(ーーーーーーにく)

響(ーーーーーー肉!!)










響(ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!)


響「ーーーーーーーーーーアアアアアアアアアアアアアアアっっっ!!!!」

千早「!?」

響「ウウッ……ウアアア…………」





響「……ふざけるな……」

響「いやだ……こんなの……」

響「たすけて……」

響「だれかたすけてよ……!!」





千早「我那覇さん……?」





響「…千早……」

響「千早ぁ…………!!」




ポタッ



響「…助けて…」


響「……助けてください……」


響「信じてもらえないかも知れないけど、自分は人間なんだ……」



ポタッ ポタッ  ポタ



響「…それなのに、あの時からずっと、自分の中に化け物がいて」


響「そいつのせいで、全てが最悪で……」


響「食べたくないのに、その肉が…ヒトの肉が……!」


響「欲しくて欲しくて仕方なくて…………!」



響「…でも、もしそれを食べてしまったら、自分はもう……」








響「もう、人間じゃなくなってしまう……!!」









千早「……『最悪』……?」ピクッ

千早「…これが欲しいの? そこまで苦しいなら、食べればいいじゃない」



スッ



響(ーーー肉!)

響(ーーー肉が目の前に!!)


響「あは……」

響「……っ!」








バシッ


響「ーーーーーーーー嫌だッ!」

響「嫌だ、嫌だ嫌だイヤだイヤだいやだやだやだやだやだやだやだやだあああああっ!!!」



響「ふざけるなよッ!!!」

響「こんなもの食べられるわけないだろッ!!! お前らと一緒にするなあッ!!!」




響「……何なんだよ……」

響「何なんだこれ……何なんだよ喰種って……!」

響「ヒトは殺す……仲間同士でだって殺し合う……」

響「秩序も道徳も何もない……」

響「……最悪の生き物だ……!」








響「……自分はそんなのじゃない……」

響「自分は人間なんだ……!!」
















響「ーーーーーお前ら化け物とは違うんだあッ!!!」















千早「…………っ!」


響「はぁっ……はあっ……」

響「っ……ヒック……うええ…………!!」

千早「…………」ギリッ




千早「……そう」


千早「馬鹿みたいね」



千早「早く諦めてしまえばいいのに」




スッ




響「……?」

響(今度は何を……?)











千早「涎と涙でグチャグチャなのに、そこまで『これ』を食べたくないの?」

千早「……みっともない」




グチャリ









千早「……食べる勇気が無いのなら」











ギョロッ















千早「私が手伝ってあげる」


































ドチャッ





















響(ーーー千早の姿をした赤い眼の化け物は)

響(気が付くと死体の前から目の前に飛んできていた)





響(ーーー自分は)

響(自分の口にねじ込まれた味を、一瞬、ヒトの肉のそれだとはわからなかった)


響(あれだけ食べたくなかったヒトの肉は)


響(とても柔らかくて)


響(甘かった)







響(…多分、一ヶ月振りだった)















響(こんなに美味しいものを食べたのは、すごく久しぶりだったんだ)





ゴクン

今日はここまで。

…ようやく、アニメ第一話相当の範囲が終わりました。

響を追い詰めるためだけにわりかし丁寧に書き込んで虐めまくった第一話、如何だったでしょうか

…失礼、途中送信でした。

前にもチラリと話しましたが、今回は序章として、原作一巻、アニメ第二話までを書こうと思っています。


次回は濃厚なひびたかや、凶悪な獣としての喰種の一面など、もっと両方の作品の魅力を引き出せるよう頑張っていきます。



どうか最後まで、よろしくお願いします。

ではまた今週末。











ドクン










響(脳味噌がとろけていくような気がした)

響(『その味』は喉元から、舌先から自分の体を隅々まで駆け巡って)

響(自分そのものが、快楽に浸されるような感じがした)


響(理性なんて、一瞬で吹き飛んでしまいそうな……)







響「-------ーーーッ!!」


響「ウッ……」


ダッ


響「うぶっ……オエエエエエエエエエッ!!」ビチャッ



千早「……」



響「ごほっ、カッ……オエエッ!!」

響「ハァッ、ハァ……」


響「…何で……」

響「何でこんなことするんだッ! 無理やりこんな、こんなやり方……っ!!」


千早「……」ガシ


響「むぐっ!?」ブンッ


ガッ

ガゴンッ

ズガッ

ドシャア


響「っつ……!」ドサリ


千早「……偉そうに」

千早「私が化け物なら貴女は何? ヒトの肉しか食べられないし、今受けた傷もすぐに治る。なら貴女は何?」


響「……っ」シュウウウウ


千早「その眼と、言っていることから考えて…貴女は元々人間で、今は“喰種”ってこと?」







千早「……ねえ、教えてくれないかしら?」


千早「『クッキー』って本当はどんな味がするの?」


千早「吐くほど不味いから分からないのだけど、あれを人間は美味しそうに食べるわ。ドーナツやタルトも……」


千早「誰にも命を狙われない生活はどうだったの? CCGや頭のおかしい喰種に怯える必要のない日々は?」



千早「……ねえ」










千早「ーーーーーーーーーー教えなさいっ!!」


千早「……全てが最悪? ふざけないで」


千早「それなら私は……」










千早「生まれた時から最悪ってこと……!?」
















「そこまでにしておきなさい」







千早「っ!?」バッ

響「……?」チラ










「久しぶりだね、我那覇君」



高木「765プロの社長の高木順二郎だ。覚えているかい?」



千早「……社長」


高木「……苦しかったろうね」

響「……!」


高木「……」クルリ

高木「来たまえ。事務所はこの近くなんだ」


千早「社長っ!? 何で……」

千早「この人……元は人間なんですよ!? そう易々とあげるなんて……!」

                ナカマ
高木「…私には、君たちと同じ『喰種』に見えるけどね」
               ワ タ シ タ チ
高木「『喰種同士助け合う』のが765プロの方針だよ、如月君?」


千早「……っ!」

千早「……」ギロリ

響「!?」ビクッ

~765プロダクション事務所~


ギイ


高木「少し待っていてくれたまえ。是非君に味わってほしいものがある。音無君ほど上手く淹れられる腕ではないがね」カチャカチャ


トポポポポ…


響(……味わってほしいもの?)










高木「さあ、召し上がれ」コトリ

響「……? これって……」

高木「『コーヒー』だ。もしかして、嫌いだったかね?」

響「う、ううん……そうじゃないけど……」


響「でも、自分……」


高木「我那覇君、このコーヒーをよく見てみてくれ。……どう思う?」


響「えっ?」

響「…………」ジー

響「……すごく、美味しそう……でも……」


高木「そうだろう?」





高木「さあ、一口に」





響「……う……」

響「……っ!」ゴクッ



響「……!?」



ゴクッゴクッゴクッ



高木「……どうだい?」


響「……美味しい」

響「……美味しい!」



響「今まで何を食べても酷い味だったのに……あの日からずっと……」グスッ

響「……ずっと……ヒック……ううっ…………!」


高木「“喰種”はね、コーヒーだけは美味しく飲めるようなんだ。人間と同じようにね」

高木「……だが、それで喰種の飢えを防ぐことはできない。生きるためには、ちゃんとこれを摂取しないといけない」スッ


カサッ


高木「必要になったら、また来なさい」


響「これって……」


高木「……ああ。君の思っている通りだよ」










高木「“喰種”の唯一の主食……人肉だ」


響「……あのさ」

響「もしかして、社長も……」

響「…って言うか、765プロのみんなも……?」

響「でも、この匂い……」スン


高木「おや、もう匂いで判別できるのかい?」

高木「確かに如月君の他にも“喰種”はいるが、私はれっきとした人間だよ。少し変わり者なだけでね」

高木「如月君以外のアイドルも、全員が“喰種”と言うわけではないんだ。例えば、天海君や亜美君、真美君などは人間だ」










高木「もっとも、彼女たちは如月君たちを“喰種”だと知らないのだがね」

―――――――――――――――――


高木「…私からの話は以上だ。気を付けて帰りたまえ」

高木「ああ、ついでにこれも着けていきなさい。君は赫眼……その赤い眼を抑えきれていないみたいだから、今は何かで左眼を隠しておいた方がいいだろう」


―――――――――――――――――

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

千早「…社長。何であんな子に……」ムスッ

高木「如月君。最近あった、追突事故のことは知っているね?」

千早「…ええ。プロデューサーが轢かれた事故ですね」

高木「そうだ」


高木「……だが、その場にはもう一人、人間の少女が居合わせていたらしくてね。その人間は事故が起こる前、すでに瀕死状態だった」

高木「彼とその少女は一緒に運ばれていったらしいんだが……どうも医者が彼を“喰種”だと気付かなかったらしい」

高木「彼の臓器は、慌てた医者が瀕死の少女に移殖してしまったようなんだ」



千早「…移殖……?」

千早「…それなら、あの眼はまさか……!!」

高木「…ああ」











高木「『彼女』だ」










高木「こんなケースは私も初めてだが……」

高木「もしかすると彼女の体は、だんだん君たちに近づいているのかもしれないね」

書いててコーヒー飲みたくなってきたので、すこし席を外します。

コーヒーはセブンイレブン派だけど、マックスバリューのも捨てがたい…

―――――――――――――――――



響「……」トボトボ


響(……あの振る舞いから考えて)

響(高木順二郎……765プロの社長は“喰種”と長く関わったんだと思う)

響(そんな社長が、自分が嫌がっていると分かっていて、これを出したってことは……)
















響(……本当に)

響(……“喰種”はこれを食べないと生きていけないんだ)


響(事務所を出る瞬間、千早が吐き捨てた言葉がまだ頭の中で回ってる)



千早『…確かにあなたは“喰種”じゃない』

千早『でも…人間でもない』

千早『どちらにもなりきれないのなら、あなたに居場所なんてあると思わないで』

千早『そこまで人間気取りしたいのなら…一度、限界まで飢えてみたらいいわ』




千早『言っておくけれど、“喰種”の飢えは……』

千早『本当に地獄だから』





響(―――自分が“人間”じゃないなんて……)

響(…でも、確かに千早の言うことは正しいのかも知れない)

響(ヒトを喰わなければ生きていけない人間なんて、どう考えても普通じゃない……)

響(“喰種”でも…ヒトでもない自分には……本当に居場所なんてないんだろうか…)


響(…だとしたら自分は……)







響(これから先、誰にも頼ることなくたった一人で)







響(残りの一生を過ごしていくのか……?)







ゾッ


響「……ッ」


響(ーーーどうして?)


響(どうして、こうなった?)


響(自分は、やっとアイドルになれるって思って)


響(ここなら上手くやっていけるって思って)


響(あの765プロにきたはずだったのに)







響(どうして……っ!)





















「…むっ?」

「―――――――あれはっ!」





響「……ん?」
















「ひ!」







「び!!」







「きいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!」







ガバッ


響「わっ!? な、何!? なに!? なに!?」


「なに!? ではありません!」

「わたくしには765プロと関わるなと言っておいて、そう言う貴女は連絡1つつかず!」

「例の案内を持って向かっても家におらず!」

「響はわたくしを孤独死させるつもりですか!?」










貴音「兎は孤独で死ぬのですよ!!!」














響「た、貴音……?」

響「…………」

響「え、あ……」

響「……えっと……」















響「……貴音、それ迷信だぞ? それに君ウサギじゃないだろ」

貴音「なんと」

一旦ここまで。

ここからスーパーひびたかタイム入ります。


貴音「…いえ、そんな事は最早どうでもいいのです」


ギュッ


響「ぷあ……っ!?」

響「た、貴音……?」ムギュウ


貴音「本当に……本気で心配したのですよ。あの店でもどしてしまってから、わたくしは響が何か奇妙な後遺症に悩まされているのかと気が気ではありませんでした……」

貴音「そんな中で……響が何処にもいなくなって、向かった家はひどい荒れ様で、ただ存在した貴女の家族は、皆一様に暗い目をしていて……」


響「……」


貴音「わたくしは……響が何かひどい症状か事件に遭っているのではと、ひとりで何かとてつもない困難に苦しめられているのではと思って……」

貴音「そのような苦悩を持ったまま何処かに消えてしまったのかと思うと、わたくし自身も苦しくて苦しくて仕方がなかったのですよ……?」


貴音「……どうしてわたくしに何も言わないのです……」







貴音「わたくしがちゃんと傍にいるのに……」







貴音「貴女が一人で苦しむ必要など、何処にも無い筈でしょう……?」ギュ







響「……!!」
















響「……ごめん。ごめんね、貴音。心配かけて本当にごめん」

響「大したことじゃ無かったんだぞ。ただ、ちょっと嫌な気分になってただけ。……それだけだったんだ」

響「今までずっと……ちょっと気分が悪かっただけでさ。それで頭がいっぱいで、貴音のことが頭から抜けてたんだ。頼れる人なんか誰もいないって勝手に思い込んでて、勝手に一人で苦しんでただけ」





響「自分には貴音がいたんだ……」







響「ごめんね、ずっと忘れてて……」ギュウ


響「……ごめん。ちょっとだけ、自分のこと抱きしめてもらっていいかな」

響「今まで忘れてたのに、貴音のこと利用するなんて、都合のいい考えかもしれないけど……」


貴音「それでいいのですよ、響。わたくしでよければ、好きに利用してください」

貴音「貴女は決して、一人ではないのです……。わたくしはここに、ずっといますから……」







ギュウウ







響(……あったかい)

響(まだ、自分にもいたんだ……)

響(こんな風に、温かさを感じられる人が……こんな自分を抱きしめてくれる人が……)








響(…そうだ)

響(まだ自分には、貴音がいるじゃないか)

響(まだ、自分の居場所があるじゃないか……)

響(ここに来てからずっと、自分の傍にいてくれた……)

響(自分を大事に思ってくれる友達が……)





響(…それがあるうちは、まだ……)







響(まだ…きっと、大丈夫だ……)






一旦ここまで。

自分が本気で追い詰められているとき、わりとマジで自分が孤独だと思い込んでしまう。
そんな時に友達が差し伸べてくれた手は、本当に温かい。


…と、珍しくマジレス。
















――――――――――――――――――――


響『……あのさ、貴音』

響『ちょっと明日、気分転換に付き合ってもらってもいいかな?』

響『…ごめん……えっと……自分のことについてはまだ上手く整理できてなくて……』

響『だから、まだ貴音に話すことは出来ないんだけど……』

響『……その! ちゃんと話す! 整理出来たらちゃんと話すから!』

響『だからそれまで……ほんのちょっと待ってて欲しいんだ』

響『いつか……ちゃんと話すから』


――――――――――――――――――――

~響の家~


ガチャ


響「ただいまー」


「「「!!!」」」


ドタドタドタドタバタバタガタンガタン


「「「……!!!」」」ジイイイイ


響「えっ……どうしたんだ皆、そんなに自分のこと見つめて……?」


「「「……」」」スウッ







「「「ーーーーーハァァァァァァ…」」」ヘタリ







響「な、何でみんな、そんな深い溜息……」



響「……あ、そうか……」


響「そういえば自分、皆に何も言わないで真夜中に出て行っちゃったんだっけ……」

響「今考えてみたら、あの時の自分の落ち込みよう、すっごいものだったもんな……」







響「……ゴメンね、みんなにも心配かけちゃって」





響「自分はもう大丈夫だぞ」

――――――――――――――――――――

響(――結局……貴音には、自分の身体のことについて何も話さずに別れた)


響(その代わり、気分転換に付き合って欲しいって貴音に頼んだ)


響(明日、ちょうど昼ご飯が終わる午後一時から、夕食時の午後七時までの六時間ほど……)


響(その間、適当に街を歩くって言うお粗末なものだけど……貴音はそれを簡単に受け入れてくれた)







響(……ありがと、貴音。自分の我儘聞いてくれて)
















響(千早に『アレ』を喰わされて、少しだけ空腹がマシになったのもあって……今は、かなり冷静にものを考えられるようになっている)


響(そうなると、今後どうするべきか考えなくちゃいけない問題が、山ほどあることに気付いてしまう)


響(学校はどうするの、とか。こうなってもアイドルは続けられるの、とか)





響(……人肉しか食べられないと分かっちゃった今、どうやって食い繋げばいいの……とか)


響(……春香達のこともある。高木社長は、千早以外にも喰種がアイドルをやってるって言ってた)


響(それと……春香や亜美真美みたいに、普通の人間も一緒にアイドルをやっているってことも)





響(……それじゃあ春香たちは……千早たちに、餌としていつも狙われてるんじゃないか?)


響(そうならないために、春香達を……765プロから引き離さなきゃいけないんじゃないか……?)





響(……でも、どう言って引き離す?)


響(曲がりなりにも、春香達はあそこで上手くやってるみたいだし……引き離した後、アイドルを続けさせられるコネが自分にあるわけじゃないし……)


響(何より、まだ一日しか関わってない自分の言うことを、信じてもらえるのかどうか……)
















響(……ダメだ。次から次へと問題が浮かんできて、考えがまとまらない……)


響(何だか見捨ててるみたいで、ちょっと罪悪感はあるけど……)







響(明日、ちゃんと気分転換して……その後で考えることにしよう…………)


~翌日 午後1時 繁華街~

響「……あ! おーい貴音―!」

貴音「! 見つけましたよ響。無理は……していないようですね」

響「あったりまえだぞ! ……貴音のおかげでね」

貴音「ふふ、お役に立てたようで何よりです」










貴音「ところで、その眼帯は? 昨日から付けておりましたね」

響「えっ!? えっと……オシャレ?」

貴音「……なんと! そういえば前にも、御洒落で眼帯をした方を見たことがありましたね……何やら動物のような恰好もしていましたが……」

響(……本当にオシャレで眼帯する人いるんだ……)


貴音「さて、何処に向かうか考えようかと思うのですが……その前に、響」

響「えっ……な、何?」ビクッ







貴音「―――貴女は―――――――」





















貴音「本当に昼食を摂って来たのですか?」















貴音「…顔色が悪いですよ?」


響「……へっ」ビクッ


貴音「いくら手術後で体調が乱れているとはいえ…食べるものも食べないと、ますます身体を崩してしまいます」

貴音「空腹を満たす時間が足りず、これから何処かで昼食を摂る必要があるのなら、喜んで付き合いますが……」


響「あっ…ああ……」

響「いや……ちゃんと食べてきたぞ。食欲が無かったから、簡単なものしか食べてこなかったのは、確か、だけど……」

響「そんな、また何処かに食べに行くほどお腹も空いてないから……」


貴音「……そう、ですか。しかし、無理はなさらないよう」


響「う、うん……」










響(まただ……)

響(また、貴音は自分のことに気付いて……)


貴音「では……何処に行くか、歩きながら考えるとしましょうか」

響「……うん」















響(自分の身体のことがバレてしまったのかと思った……)

響(貴音は、必要以上に自分をについて探ろうとはしないでくれてるみたいだけど……)

響(……ふとした瞬間に、自分が“喰種”の身体になってしまったことに気付いてしまうかもしれない……)







響(……もしも……)

響(いつか、自分が本当に……人間じゃない“何か”になってしまって)

響(貴音がそれを知ってしまったら……)
















響(こんな風に一緒に歩くことも……もうなくなっちゃうのかな)














貴音「――おや。響、ちょっとあちらを見てもらえますか」

貴音「……響?」


響「――はっ!? ご、ごめん貴音。何?」


貴音「前に、たるき亭で食事をした後……わたくしの受けたおーでぃしょんの場で、新しく友人が出来たと話したことがあったでしょう?」


響「新しく……えっと……」

響「……あ、アレか。思い出したぞ」


貴音「その友人が、今目の前にいたのですよ。どうやら一人で行動なさっているようですし、貴女にも紹介いたしましょう」





貴音「――――――――――“ミキ”!!」





響(……そっか。貴音にはもう、新しい友達が出来てたんだっけ……)

響(……)





響(……ん?)

響(……“ミキ”?)


響(ミキって……どこかで聞いたような……)


「? ミキの名前を呼んだのはダレ?」

「……あっ! 貴音なの!!」


貴音「奇遇ですね“ミキ”。今日は一人なのですか?」


「うん。今日はミキの好きに歩きたいなーって思って」

「貴音の方はオトモダチと一緒?」


貴音「ええ。響、後挨拶を」


響「あ、うん……えっと、よろし……」チラ
















美希「――――――――――あれ?」















響(ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー)







『ここはミキの喰場なの。勝手にここでお肉食べてたオジサンが悪いんだよ?』


『ミキとしてはミキの喰場を荒らされて、もう十分イヤなカンジ?』


『うるさいから殺していい?』







響「ッッ!!」バッ


貴音「!?」


響(こ、こいつ……! 路地裏で喰種の首を吹っ飛ばした……!!)


貴音「えっと、その……響……いったい何を?」


美希「……」ハァ










美希「ねえ、そこの人」


響「!」ビクッ


美希「いくらミキが金髪だからって、そこまで怖がられるとショージキ傷つくの。貴音のお友達だよね?」


貴音「え、ええ……この子が前に話していた『響』です。上京した頃からの友達……なのですが」



美希「ふーん……」










美希「…………そっか。ヒビキって言うんだね」


ザッ


響「……っ!」ビクッ





響(何でだろう。こっちに近づいてくる美希の姿を見て)

響(昨日の千早の台詞が、急に頭の中に蘇った)







響(『…確かにあなたは“喰種”じゃない』)



美希「ミキは“星井美希”」



響(『でも…人間でもない』)



美希「チューガクセーの15歳だよ」











『どちらにもなりきれないのなら』





『あなたに居場所なんてあると思わないで』















美希「よろしくね、響」ニコッ

一旦ここまで。

「こんな風に歩くことも~~」は、東京喰種の中でもかなり好きなセリフです。


美希「……確か、16歳なんだったっけ? 思ってたよりちっちゃいね」



響「あ、あああ……!!」カタカタ










美希「…………」フゥ








クルッ







美希「それじゃ、早く服買いに行こ? ミキがコーディネートしてあげるの」クイッ

貴音「ええ。参りましょうか」


響「……えっ?」


美希「? 何してるの、えっと……響? 置いてっちゃうよ?」


響「えっ……あ、うん」タタタ







響(…あれ?)



響(…何か普通だぞ……)
















~5時間後~


「アリアトッシター」


美希「…ん、大体欲しいものは買えたの」

貴音「美希の選ぶ服は、まこと素晴らしいものばかりでしたね。響にも良く似合うものが揃っていました」

響「う、うん……」


響(――あれから5時間……)


響(美希は結局、何もしてこなかった……)


響(今だってただ服を選んだだけで、自分が着せ替え人形みたいにされただけで……)


響(……)







響(“喰種”も普段は、こんなものなのか……?)







美希「響はちっちゃくてカワイイから、服を選ぶ方も楽しいね!」アハッ

貴音「その気持ち……わたくしも良く分かります」ニコニコ


美希「…あ、そうだ貴音。確か貴音、オーディションの情報が欲しいって言ってたよね?」


貴音「ええ。響が765プロとは関わるなと申すので、他のぷろだくしょんを探す必要が出てきたのです」

貴音「何かいい所はありませんか?」







美希「……へえ、765プロ行かないんだ」

美希「だったら、良い所見つけてるんだけど……」

美希「持ち歩くのメンドー臭いから、案内は家に置いてっちゃったの」


美希「だから貴音……」










美希「今からミキの家まで取りに来ない?」









響「――――――――――!!!」


貴音「ふむ……致し方ありませんね」

貴音「…すみません、響。本日は美希の家に寄っていくので、先に帰っておいてはくれませんか?」


響「……」

―――――――――――――――――

貴音「美希の家は、ここから近いのですか?」

美希「少し歩くけど、遠くは無いよ?」







響(“喰種”…星井美希は……今は大人しく振舞ってるように見える)

響(きっと、いつもこうやって人間を欺いてるんだ……)

響(……“欺いてる”ってことは、つまり本当の姿を隠してるってことだ)

響(そして自分は、美希の本当の姿……あの残虐な姿を知ってる……)










響(貴音一人じゃ行かせられない……!)


響「……ねえ」

響「自分も一緒に行っていいかな?」


貴音「……はて」

貴音「よいのですか? 響はまだ病み上がりでしょうし、美希の都合も……」ピタ







響「……」ジッ



貴音「……」







美希「…いいんじゃないの? 来れば」


貴音「えっ」





美希「別に知られて困る家じゃないし……やることは変わんないの」

貴音「そう……ですか? 美希は響とは初対面なのですし、気まずいかと思ったのですが……」

美希「だからミキ、そういうの気にしないってば」

――――――――――――――――――――

美希「またこっちでショッピングするつもりだし、ちょっとこの服どこかに預けてくるね」







貴音「…どうしたのです、響? 無理をしてまで来るようなことでもないと思ったのですが」

響「い、いや、そんなことないぞ」



響「自分だって、765以外に受けるプロダクションとか選んでおきたいかな~って……思って……」サスリ



貴音「……? そう、ですか……」





響「……」

貴音「……」











響「…あっ! えっとさ」アセッ

響「美希とはさ、あの日の見学で知り合ったんだよね!? 美希のことどれくらい知ってるの!?」


貴音「美希ですか? ……そうですね……」


貴音「…知り合って一ヶ月ほどですが……あまり深くは交流できていませんね」

貴音「都内の中学校に通いながら、わたくし達と同じようにアイドルを目指して方々の事務所に訪れている……」

貴音「そこまでは本人から聞いているのですが……ところどころ他人行儀と言うか、心の大事な箇所を隠しているというか……」

貴音「こうして街中を案内してくれている以上、嫌われてはいないと思いたいのですが」


響「そ、そっか……」


響(……星井美希……“喰種”……)





響(何でこうも、自分の周りに“喰種”が現れるんだろう……)







響(――いや、違う……)


響(自分が気付いてなかっただけで、こいつらは最初から『そこ』にいたんだ……)
















響(“喰種”の世界に迷い込んじゃったのは、自分の方なんだ……)















美希「お待たせ。……それじゃ、行こっか」











――――――――――――――――――――


グギュルルルルルルル


貴音「…おや。もう7時ですか」

美希「あ、ホントだ。しかも7時ぴったりなの」チラ

響「相変わらず貴音の腹時計は正確だな……」



貴音「美希の家に向かうついでに、何処かでお腹を満たしておきたいのですが……らぁめんはこの近くにはないようですね」キョロキョロ



美希「…んー…じゃあさ」







美希「――ちょっとおにぎりでも食べよっか?」


響(っ!?)


美希「ここの手握りおにぎりは美味しくて結構人気なの。はい、貴音。響」ポス

貴音「おお……!!」キラキラ

響「あ、ありがとう……」



響(胸がむかつく匂いだ……食べたら吐く、絶対吐くぞ……)

貴音「あむっ……これは! 磯の香が絶妙に残る海苔に、ふっくらとして雑味のないお米の味が溶け合って……」



貴音「……真美味です!!」



美希「気に入ってもらえて何よりなの」


美希「…あれ? 響は食べないの?」

響「い、いや、食べるぞ…食べる…後で……」





響「……って言うか、美希こそ食べないの? さっきから手で弄ってばっかだけどさ!」

響(お前だって食べられないんだろ!? “喰種”はモノを食べられないんだし……)











美希「ああ、ミキは今から食べるよ? いただきます、なの」アーン



パクッ



響(―――――――はあっ!?)


美希「んー……絶妙なもちもち具合なの」モグモグ







響(う…嘘だろ? 何で食べられるんだ!?)

響(……我慢してるのか? アレを!?)


響(……ありえない……っ!)

響(“喰種”は……いつもこうやって、自分の正体を隠しているって言うのか……?)





貴音「はふっ、はふっ……わたくしは今、とても幸せです……♪」モグモグ


響(――美希は人間社会に溶け込んでる…本当に、普通の女の子みたいに……)

響(貴音も…美希が通ってるっていう中学校の誰も、美希が“喰種”だなんて気付きもしないんだろう…)


響(――自分は……)
         ヒ ト
響(ここまで完璧に人間を演じる、美希っていう“喰種”が恐ろしいと同時に……)

響(…素直に凄いとも、少しだけ思った……)

響(こんなことが……もし自分が美希の立場だったら……)



響(自分は同じことが出来るのか……?)グウウウウ












美希「…んー」ポリポリ


響(あれ? 美希の首元……)

響(――千早にやられた傷…まだ残ってるんだ)



響(もしかして、傷が深いと治りにくいのかな……?)
















――――――――――――――――――――

美希「突き当たり曲がったらスグそこだよ」

貴音「かなり裏の道を通るのですね」



クイッ



貴音「……?」ピタッ



貴音「……はて」
















貴音「…………行き止まりのようですが」





























美希「うん」















ヒュッ














ドガッ















貴音「かッ……!?」





ヒュウウウウウウウウウ





ゴシャアッ





貴音「……う……」ガクン










美希「人目につくとメンドーでしょ?」


響「……た……」

響「――貴音ぇっ! たか…」ガッ

響「っか……!!」ブラン



美希「…まーたキミに会っちゃうなんてね。このまま楽しくやってるって本気で思ってた?」ギリリ


響「あ……っ!」キュウウ



美希「……」スンスン


美希「何このニオイ。……くっさいの」


美希「何で男の喰種みたいなニオイが……」







美希「何でキミから『あの人』のニオイがするの?」ジロッ







美希「……気持っち悪……」ギリッ


響「う……」チラ

貴音「…………」クタリ

響「たか、ね……!」





美希「…貴音のコトが心配?」





美希「分かるよ、響」







美希「食べるつもりだったんでしょ? あの子」







響(……は?)







美希「自分を信じきってたおバカさんを裏切るあの瞬間……」

美希「浮かび上がる苦しそうなカオ……」

美希「マヌケな人間がゼツボーしてるカッコほど、食欲そそるものは無いもんねえ?」







美希「―――――アッハハハハハハハハハハハハ!!!!!」







美希「キミもそうなんでしょ!? ひーびーきー!!!」


響「……何だと?」

響「……た…貴音…を…食べ…る……だって……?」



響「…誰がそんな事っ……!!」



響「―――――自分をっ!」





響「―――――お前ら“喰種”と一緒にするなあッ!!!」





美希「……」

美希「……は?」ピキッ


ズグンッ





ドシャア





響「ごぼっ……!」

響(か……身体に穴がっ……!!)







美希「……脆っ。豆腐でも突いてるのかと思ったの」

美希「あの人もあの女もキミもさあ……」







美希「ベラベラベラベラベラベラベラベラ、うっとーしくってしょうがないの」


美希「……はあ」ザッ

美希「カラダ動かしてたら、気分悪くなっちゃった。さっき食べたおにぎりのせいだね」


響(……!)

響(貴音の方に……!)





美希「まったく……人間ってのはさ、よくあんなもの進んで食べるよね」





美希「ミキはもう、さっさと吐いちゃいたくて仕方ないの」レロン


ズボッ










美希「オエエエエエエエエエエエエエエエッ!!」










ビチャッ

ビチャッビチャッ



響「……ッ」










美希「………あーー…スッキリした」

美希「あはは、きったない顔になっちゃったね貴音ぇ」ガスッ


貴音「……」グニッ


美希「……ごめんね、響」















美希「―――――響の食べモノ、汚しちゃったの! あはっ♪」














今日はここまで。


ミキミキPの皆さん、美希に汚い行為をさせたり、直後の展開もあったり、色々とごめんなさい。

良い所も今後ちゃんと書いていくので許してください。なんでもしまむら。

それと、なんとか明日中……ギリギリ五月中に、この章を完結させることが出来そうです。

最後までよろしくお願いします。


美希「――貴音とは長い付き合いなんだよね?」

美希「一体いつ食べる予定だったの?」

美希「襲い掛かるシチュエーションは?」

美希「場所も大事だよねぇ?」

美希「ミキにも教えてよ、響センパーイ?」

美希「どうする気だったの?」

美希「ねえ?」

美希「ねえっ?」

美希「ねええっ??」


美希「ひとの食事のプランをブチ壊しちゃうのって、サイッコーに気分が――」


響「……食い物じゃない」


美希「――ん?」


響「貴音は食い物じゃないっ!!」


響「―――――その足をどけろ……ッ!!」










美希「どのアシぃ?」グリッ


響「――――――――――ッッッ!!!」

ダッ


響「やめっ……ろおおおおおォォォォォっっ!!」ブンッ


美希「アハハっ!! ほんき!?」スカッ

美希「カバンで攻撃って……キミ」ガシッ





美希「女のコっ!!!?」ドッ





パアアアアアアアアアンッ





響「グ…あああああああああああああああっ!!!」ビュウッ


美希「あっ……実際女のコだっけ」


ドオンッ


美希「―――どう? キクでしょ、ミキの蹴り。本気出せば真クンにも負けないの」


響「…………っつ……ううっ……」ズキ

響(……お腹の傷が……!)










美希「――ねえ、キミもわかんないコだね」
       ミキタチ
美希「…結局“喰種”にとっての人間なんて、ただの食べ物……“ヒト”にとっての牛さんや豚さんと同じでしょ?」

美希「そんなヒトたちと“友達ごっこ”なんてやってさ。キミ楽しいの?」


響「……!」


響「…じゃ…ない……」


美希「?」


響「……“ごっこ”じゃない……」

響「貴音は……自分の……」


響「……親友なんだ……っ!!」







美希「……………あっそ。仮にそれが本気でもさぁ」





美希「――貴音を選ぶのは危険だと思うけど?」





響「!?」


美希「貴音はさ。ちょっと見ただけなら世間知らずのおマヌケさんかと思うけど……」

美希「……街にいるような頭スッカスカのコたちより、ずっと周りが見えてて勘も鋭いの」

美希「そーゆーコが周りにいるとさ、何かと色々やりにくい……それぐらいキミもわかんない?」

美希「ここに来る前に一度キミを帰そうとしたのも、ミキから何か感じ取ったからかもしれないしね」










響「……」


響(――確かに貴音は……自分のちょっとした変化にも、良く気付いた。自分の食事のこととか、765プロのこととか……)

響(前から、勘のいいやつだとは思ってたけど……それはあくまで、自分と貴音の付き合いがそこそこ長いからで…)


響(他人までそう感じてるなんて思ってもいなかった……)





美希「そんな眼帯なんかで隠してて…眼のコントロールも出来ないの?」グイ

美希「――そんなのじゃ、貴音にキミの正体がバレるのも、時間の問題だったんじゃないかな」パサッ


響「……っ」ギョロリ





美希「……で、どうするの?」

美希「何もしないんだったら、もう貴音のこと食べちゃうよ?」ケラケラ


響「―――――ッ!!!」グッ


ブンッ


美希「おっと」スカッ


ブンッ


美希「あはは、何それ? 殴ってるつもり?」スカッ







美希「―――――ほーらっ」メキッ

美希「―――――避けなよ?」シュルッ


響「――――――――――!?」ガッ





ドガアッ





美希「…って、キミじゃ無理か。あはっ♪」ギョロリ






ヒュウウウウウウウウウ……





響(―――今……あいつ、何を出した?)

響(―――爪? プロデューサーが、出してたような……)

響(―――こんなの)

響(―――こんな化け物、勝てるわけないじゃないか)



響(―――千早は、こんなやつ相手に)

響(―――体に残る傷だけでも)

響(―――あいつに)

響(―――あんな化け物につけて見せたのか)






ガンッ





響(―――痛い)

響(―――体中がズキズキする)







響(――――――――――ああ――――――――――)







響(お腹……空いたな……)







ドサッ

                     カグネ
美希「――ちょっと遊びすぎちゃったかな?“赫子”出したらすぐだったのにね」

美希「…ま、流石に『こっち』だけでいっか。さっさとオシマイに……」



グッ



美希「…?」チラッ





貴音「…………」クンッ


美希(…寝たまんま、ミキの服をつまんで……)


響「……」


響(貴音……)


美希(…無意識? それとも寝てるフリ? どっちだろ)



美希(…………まあ)

美希「どっちでもいっか」


メキメキメキメキメキッ


美希「――貴音、折角だから教えておいてあげる」
      コッチ     リンカク
美希「ミキの赫子はね、『鱗赫』って言うんだよ?」










美希「…バイバイ、貴音」ググッ

響(待って……)

美希「キミは後で、ゆっくり味わうことにするね?」ザッ

響(やめてくれ……)


響(――やめて)ズル


貴音『本当に昼食を摂って来たのですか? 食べるものも食べないと、ますます身体を……』


響(――貴音に手を出さないで)ボタッボタッ


貴音『貴女が一人で苦しむ理由など、何処にも無い筈でしょう……?』


響(――貴音は、いつだって)フラッ


貴音『ずっと傍で支えてくれた響を、わたくしは仲間はずれになど決して致しません』


響(――いつだって、自分の傍にいてくれた子なんだ)ドシャ


貴音『響…もしや、わたくしと共にいられなくて、寂しいのですか? …ふふっ、わたくしもですよ』


響(――いつだって、自分のことを思ってくれて)グググ


貴音『響……何か、嫌な事でもありましたか? 響さえよければ、わたくしに話してはいただけませんか』


響(――いつだって、自分と一緒に、笑ってくれて)ズルッ


貴音『響! ひびき! 見てください! 新しくらぁめんのお店が出来たようです! 一緒に食べに参りましょう!!』


響(――一緒に、泣いてくれて)ズシャ


貴音『また……おーでぃしょんに落ちてしまいましたね。わたくしも……とても、悲しいです……』





貴音『……ですが、まだ次があります。共に更なる修練を重ね、今度こそ2人で夢を掴みましょう』





響(――自分には、それが)グジュリ


響(――それが)


貴音『響……このすてっぷの事なのですが、少し実演してもらえないでしょうか?』


響(――とても、あたたかくて)


貴音『ふわふわのとろとろ……響の故郷の食事は、なんと美味なのでしょう…! いつか、響の故郷に訪れてみたいものです……!!』


響(――自分のことを考えてくれて)


貴音『……少し、じいやや妹のことを思い出していました』


響(――自分の幸せを願ってくれる)


貴音『わたくしも、響と同じ、帰れぬ身……ほんの少しだけ、隣にいてはくれませんか……?』


響(――そんな、貴音だから)











響(――自分だって)


響(――幸せになって欲しい)


響(――アイドルとして、輝いてほしい)


響(――ずっと、笑っていてほしいって)


響(――そんな事を、いつも)


響(――貴音のこと)


響(――大好きだから)


響(――大好きな)


響(――親友だから)










響(――そんなことを、ずっと)


響(――ずっと、思い続けていたんだ)


――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――





『…また、落ちちゃったぞ』

『はぁーあ……こんなんじゃ、にぃにやあんまーに顔向けできない……』

『……こんなザマじゃ帰れないぞ……』


『……はぁ…………』





『――あの』





『?』


『最近、よくアイドルのおーでぃしょん会場で見かけますが……』

『いつも一人で受けていますね。お友達はいらっしゃらないのですか?』


『……わ……悪い?』


『いえ、そうではなく……』

『わたくしも、こちらに上京してきたばかりで……友と呼べる者がまだいないのです』



『……ですから……』
























貴音『わたくしと、友達になってはいただけませんか?』















響『え……あっ』


貴音『だめ……でしょうか』


響『う、ううん! そんなことないぞ!!』


貴音『なんと! 真ですか!?』


響『えっ……えっと! 自分、我那覇響! よろしくね!』


貴音『ふふっ……』





貴音『わたくし、四条貴音と申します』





貴音『以後、お見知り置きを―――――』

――――――――――――――――――――
















――――――――――――――――――――


響(――今思えば……)

響(あの時も貴音は…上京したばっかりで友達のいない自分を気遣って、声をかけてくれたのかも知れない……)


響(――貴音……)

響(今もまた、自分の事を……)

響(救おうと、してくれたのか……)










響(――嫌だ)




響(――嫌だ)





響(――貴音が死ぬのは)

響(――嫌だ)


響(――貴音が食べられるのは)

響(――嫌だ)





響(――絶対に嫌だ)

響(――絶対に、嫌なんだ)






響(――貴音がこのまま、食べられてしまうなんて)





響(――何もできずに、ただ食べられるのを見ているだけなんて)










響(―――――そんなの……)

響(―――――そんなの……!!!)








響(――――――――――そんなの)







響(――――――――――許せない)















メキッ











『鳥は、卵の中からぬけ出ようと戦う』


『卵は世界だ』





『生まれようと欲するものは』



















『一つの世界を破壊しなければならない』









一旦ここまで。

次回クライマックスです。

――――――――――――――――――――


千早「……」


Prrrrrrr


千早「……」ピッ


千早「――もしもし。音無さんですか?」

千早「…すみません、少し用事が出来たので……ちょっと待っていてもらえますか?」


――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――


響「――――――――――!!!」


ギュオッ


美希「ッ!?」バシッ





美希(―――――赫子……!!)メキメキメキッ


響「―――!!」ダンッ


美希(―――――来る!)バッ


美希(―――あれは……鱗赫かな)





美希(…………)





美希(…………えっ?)

美希(…………は?)







美希「何……なのそれ……!?」


響「―――――ッ!!」ギュンッ


美希「!!!」

美希(しまっ……)





ズグ





美希「かはっ……」



美希(ゆ…油断したの……!!)


ズボッ







美希(―――――えっ?)

美希(―――――まさか)



美希「ちょっ……ちょっと待……!!」







ドシュ






美希「……いっ……!!」





ドシュ





ドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュ







美希「―――――イヤああああアアアアアアアアっ!!!」


美希「待ってっ! 死ぬっ! 死ぬの!!」



美希「死ぬの死ぬの死ぬの死ぬの死ぬの死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬううううううっ!!!」





響「――――――――――っ!!!」グリンッ





ガアンッ








美希「……ごぼっ…………!!」







美希(――何でっ……!)

美希(――何で、赫子、まで……)

美希(――あの人、の……!!)










美希「…………ね………ちゃ…」



美希「……おね……え……ちゃ……」





美希「」ガクリ
















響「……っ」

響「……はぁ、はあ……」ドサリ



響(……貴音、は……)


貴音「……」



響(…………たか、ね…………)

響(……はやく……無事、か、確認しない、と…………)











ズキリ










響(―――――!?)






響(―――――匂う―――――)

響(食欲を誘う芳醇な香り)

響(上品な甘い匂いが、自分の鼻をくすぐって……)





響(――こんな美味しそうな匂い、どこから――)

響(―――――いや―――――分かってるじゃないか―――――)














響(―――――貴音だぁ……!!)










響(―――――貴音から、こんなに美味しそうな匂いがするなんて……っ!!)ニヘ


響(―――――このまま、一口にかぶりついて……)


響(―――――もう、貪るように……!!)トロン



響「――はっ!?」


響「――アアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」





ガンッ


ガンッガンッガンッ





響(違うッ!! 違うだろ!!)

響(自分はなんて事を考えてるんだ!?)

響(貴音は食い物なんかじゃない!! 貴音は親友だろ!?)

響(自分の傍にいつもいてくれて……)

響(自分も、貴音には幸せになってほしくて……!!)






響(―――――でも、どう考えても美味しいよな……)

響(―――――あんな、むちむちとした肉付きで……!)

響(―――――体中の肉が、口に含んだらその場で蕩けてしまいそうな……!!)



響(―――――考えだしたらたまらないっ……!)

響(―――――ガマンなんて出来るわけ……!!)



響「ッ!!」ガンッ

響「…………こんなことしてる場合じゃない……」

響「たかねが、しんじゃうかもしれないだろ……!!」



響(―――――そうなったら食べてしまえばいい!!)

響(―――――置いといたって無駄だろ!? 誰かに食べられちゃうじゃないか!!)


響「――違うっ! 違う違う違うっ!!」





響(―――――よく見てよ! ほら! 貴音をさ!!)

響(―――――馬鹿じゃないの!? こんなに美味しそうなのに、放っておくなんて!! 食べないなんて!!)




響「違うって言ってるだろおおおおおおっ!!!」

響「貴音のことなんて食べたくない! 食べるわけにはいかないんだあああっ!!」







ポタッ


ポタッポタッ





響「……ああっ……ああ……」

響「ぐ、ぎ……あっ……うあ……!!」











響「……違う。違うだろ……」

響「貴音は自分の親友だ……親友を食べるわけにはいかないだろ……」















響(―――――親友だからこそだろ?)















響「……えっ?」








響(―――――親友だからこそ、自分が食べてあげなきゃいけないんじゃないか)


響(―――――このまま、他のやつに食べられてもいいのか?)


響(―――――貴音もさ、親友の自分に食べられるんだから……嬉しいに決まってる)


響(―――――ほら、貴音のためにも―――――)










響(―――――自分が食べてやろうよ―――――)














響「……ははっ」

響「……アハハっ、ほんとだ」

響「どうかしてるぞ……自分って奴は……!」





響「貴音は、自分の親友じゃないか……」


響「貴音だって……自分に食べられるんだから、嬉しいだろう……?」


響「みろ……せっかくの、ごちそうなんだ……」















響「自分が食べてあげないと」











「――昨日の今日で、とても“喰種”らしくなったわね」










響「……!?」ギロッ


「激痛と空腹で理性も絶え絶えで……死にたいくらい苦しいんじゃないかしら?」


「その苦痛から解放されるためなら……友達の命ですら、どうなろうと構わないでしょう?」







スタッ







千早「……」キッ








響「……どけよ……」


千早「…………」ハァ






千早「――そして貴女は、彼女を食い散らかした後に一人で後悔するの」

千早「…血と臓物の、海の上で……」










千早「――それが“喰種”の飢え。それが私たちの宿命」










千早「……本当にうんざりするわ」シュルッ



ズズズズズ









           タ ス ケ テ
千早「―――――今回は同情してあげる」



千早「大人しく倒れなさい」
















――――――――――――――――――――


響「……」パチ

響「っ!!」バッ


響(ここは……!?)


響「……」ベトッ


響(……口元の……これは……)








「―――目が醒めたかな?」







響「―――あっ……!」





響「…高木、社長……」


高木「ここは765プロの社内だよ。今は君たちしかいない。…如月君たちが運んでくれたんだ」


響「…千早が……?」


響「……あっ! あの!」

高木「ん?」

響「自分の友達がいなかった……いませんでしたか!? 自分と一緒に、倒れてたはずなんですけど……!!」

高木「……」

響「……あの……!!」


高木「……」フッ







高木「ついて来なさい」


高木「……ここだ」ガチャ


キイッ


響「たかっ……!!」バッ





貴音「……らぁめん……」ムニャムニャ



響「……あ……」





高木「…とりあえず、君の友達は無事だ。安心したまえ」


響「貴音……」


響(……よかった……)





スッ











ぞぶ










響(――――――――――)


響「……ねえ、社長」



響「……自分……ここ最近は、ずっと空腹が続いていたんだ……」

響「……特にあの時は、死にそうなくらいお腹が空いていて……自分でもワケがわからなくなって……」





響(……そして…………)

響(……貴音を…………)








響「……でも、今はそれが全くないんだ」

響「口についていた血…………」

響「…分かる、コレは自分のじゃない」







響「――社長。正直に答えて」


響「自分が寝てる間に……いったい、何を……」





高木「……」
















高木「喰種が空腹を満たす方法は一つしかない」















高木「…君も分かっているだろう?」


響「…………っ!」


高木「あのままだと君は……友人をその手にかけていたよ」

高木「…自分が何者であるか、知りたまえ」


響「……」







響「…………自分、は……」


響「……自分は、友達を傷つけたくない」

響「友達を……食べたくなんてない」



響「貴音とは一緒にいられない。春香たちとも……」


響「……でも……」


響「……自分は、“喰種”の世界にも入れない……っ!!」










響「今ならわかる……千早が自分に言ったこと……」


響「“人間”でも……“喰種”でもない自分は……」


響「……どっちの世界でも生きられない…………」




ポロッ



ポロポロ







響「……自分は一人ぼっちだ……」










響「―――――自分の居場所なんて、もう何処にも無いんだ………!!」
























高木「……“どちらでもない”?」


高木「それは違うよ、我那覇君」


響「……?」グシュッ







高木「キミは、“どちらでも無い”んじゃない。“どちらでもある”んだ」

高木「キミは“喰種”でもあり、“人間”でもある……」



高木「天海君や四条君のところにも、居場所を持てる」

高木「如月君のところにも、居場所を持てる」
















高木「ふたつの世界に居場所を持てる、唯一人の存在なんだよ」















響「……!」




     ナ ム コ プロ
高木「…“私たちの所”へ来なさい。彼女たちの生き方を……“喰種”の生き方を教えよう」
   キ ミ
高木「人間の居場所を守る道にも……きっと、繋がる筈さ」





高木「――そして、少しでもいい。人間でもあるキミに、彼女達のことを知って欲しい」

高木「キミには是非知って欲しいんだ。…彼女たちが、ただの飢えた獣なのかどうか」

――――――――――――――――――――


千早(……痛……)


ヒラッ


千早「……!」

千早(蝶、か……)スッ


ヒラヒラッ

ピトッ


千早「……!」





千早「…………ふふっ」ニコ


――――――――――――――――――――






高木「……どうかな? まずは……」

高木「嗜好のひとつとして、美味しいコーヒーの淹れ方からでも」


響「えっ?」

響「…あ…えっと……」ズズッ






響「……自分……空気読めなくて、周りが見えてないところがあるらしくって……」

響「それで……そんな自分だから、社長や皆に、いっぱい迷惑かけちゃうかも知れないけど……」



響「……その……」







貴音「…………」パチリ
















響「―――――自分でも……出来るかな?」





~続~

本編はここまで。

もうちょっとだけ続くんじゃよ




















――――――――――――――――――――
















「……ククク……」

「ここも久しぶりだなぁ…」

「確か……“リトルバード”の件以来、だったかな?」



「今はそれだけじゃねえだろ、オッサン。“Pヘッド”に“ELLIE”、“格闘家”に“吸血鬼”、“ムラサキ”、“ブルーバード”……」

「あとは、“ナオ”の妹もここに潜伏してるって話だったよな」
                     ク ズ
「今でこそ目立っちゃいねえが……こいつら“喰種”共は、今でもこっそり人を襲って喰ってやがるんだろうな」





「……許せねえッ……!!」


「ウィ、冬馬。義憤に燃えるのはいいが、冷静さを忘れるなよ?」

「ただでさえ貴様は直情的なのだ。然るべき時に冷静さを欠いては、狩れるクズも狩れんぞ」










冬馬「……ああ、そうだな。悪い、黒井のオッサン」

黒井「なあに…謝る必要などないさ、冬馬。さっきも言ったが、貴様の正義感だけは私も買っている」



黒井「他は色々と未熟だがな」ククク






黒井「……いい雨だ……」

黒井「雨は奴らの感覚を鈍らせる……絶好の駆逐日和じゃないか」

黒井「…まあ……1つだけ、この雨に難点を挙げるとすれば……」







黒井「―――奴らの断末魔が聞けないことだなあっ!!」



黒井「クックック……ハーッハッハッハッハッハ!!!」






            ク ズ
冬馬「……待ってろよ。“喰種”野郎……!!」ニヤリ

次回予告







「…あいつは何で殺された…? …捜査官だから? 人間だからか? ふざけんじゃねえ…ッ!」

「あいつの、いったい何処に…」

「どこに殺される理由があったんだよ……!!」


「…この世界は間違ってる……」





「……歪めてやがるのは……てめえら喰種だ!!」





(――仲間の命が奪われて怒るのは当然だ…)

(確かに多くの“喰種”が、数えきれないほどの悲しみを生み出してきたんだろう…)


(――あいつの言う通りだ…“喰種”はこの世界を歪めている…)

(自分だってそう思う部分はたくさんある…。冬馬の言うことは…正しい…)



(自分は何も言い返せな…)








『ねえ…ミキも、キラキラできる? 喰種のミキでも、あんな風にキラキラ出来るのかな…?』







(……)

(…でも……)





『涼さんや愛ちゃんや、尾崎さんと一緒にご飯を食べることは出来ないけど……』

『皆優しくて、アイドルはとっても楽しくて…』

『私はこれで…結構幸せ?』





(絵理の生き方は…? あの生き方は“喰種”として間違ってたのか…?)


(美希は…? 美希だって千早だって、他の皆だって……)


(他に食べられるものがなかったから、そう生きるしかなかったから、そうすることしか出来なかったから…)





(…そうだ)

(誰かの手で大切な人の命を奪われたのは、美希も同じじゃないか…)

(“喰種”にだって感情はあるんだ…その部分はヒトと何も変わらない)

(そこには目を向けないのか? 冬馬ならそれさえも思ってくれそ……)








(……あ……)







(“自分”だけだ)











(――それに気付けるのも、それを伝えられるのも……)


『どちらでもない? それは違うよ―――』







(“喰種”の自分だけだ)


(“人間”の自分だけだ)













(――自分が伝えなきゃ…)










(自分しか出来ないんだ)















次回

響「まだ空っぽな明日は、限りなく黒に近いグレイ」

8月頃公開予定

それっぽい次回予告と共に……終わりました。ようやく終わりました。


今でこそ「やむを得ない事情があると言える者同士の憎み合い、奪い合い」と言った感じのテーマが主流の東京喰種ですが、
喰種に人並みの愛や感情があると分かるのは2巻以降であり、
1巻時点での主人公にとっての喰種はただの恐ろしい人喰いの化け物、そしてそんな化け物が自分の中に出来てしまったことが怖くて怖くて仕方がない……

そう言ったところに焦点を絞って、今回は1巻範囲をわりかし丁寧に書いたつもりだったのですが……
結果として、期間も中身もメチャクチャ長くなってしまいました。
本当はGW中に終わらせる予定だったんですけどね。正直、人によってはかなりダラダラとした退屈な内容になってしまったと思います。

基本的にコメディばっか書いてきてシリアスは初めてだったので…間の取り方とか、3点リーダーとダッシュの使い分けとか、表現も結構不安定になってしまいました。

次回以降はもうちょいテンポよく、読みやすく書けるよう精進して行きます。


さて、今回は1巻範囲、アニメは2話までの範囲で終わりましたが、次回以降も章ごとにわけ、
エタり防止のため(もしくは打ち切りやすくするため)長期休暇などを利用して、合計1年くらいかけて全章完結させて行こうと考えています。

具体的な章分けは以下の通り。


「我那覇響編」原作1巻相当。今回のこれです。

「765プロ編」原作2~5巻相当。

「外伝」原作の展開、台詞も結構流用するつもりですが、話自体はオリジナルです。

「アオギリの樹編」原作6~8巻相当。

「完結編」原作9巻以降相当。

:reの範囲は今のところやる予定はありません。
オリジナル描写、オリジナル展開は章を追うごとに増えていくものと思ってください。

尚、このシリーズは「偶像喰種」シリーズと名付けて、以降ssのタイトルにつけていきます。
読み方はアイマスグールでもグーゾーグールでも、好きに読んでくださって構いません。


アイマス側のキャラクターについては、765組、876組、961組、デレマス組、エムマス組など、章を追うごとに新しく追加していく予定です。

:reも出来るならミリマス組もちゃんと入れられたのですが……
今後の:reの展開やミリマスのメディア展開なども考慮して、どこかに挟めないか、もうちょい考えてみることにします。







美希Pの皆さんにとっては、美希の待遇の悪さのほか、荒れてしまった感じのキャラ改変など、不満が残る形になってしまったと思います。
そこは次回きっちりフォローを入れていきますので、それまで待っていて下さい。
あと…今回は東京喰種の内容に重心を置いていて、アイマス要素が薄目だったので、そこも次回しっかりと触れていきます。







それでは…ここまで読んで下さり、本当にありがとうございました。
また次回以降も読んでいただければ嬉しいです。

良ければ、こちらの過去作もよろしくお願いします。



東京喰種関係

苗木「僕は苗木誠。超高校級の喰種だ」葉隠「俺は人間だべ!」

両津「なに!? クインクス手術だと!?」

東京雄種 -ト――キョ――ホ――ル-



アイマス関係

亜美「今日、亜美と真美の…」真美「どっちかが死ぬ…?」



ついでにデレマス関係

卯月「事務所に」凛「入ったら」未央「手錠があった」

凛「事務所に」奈緒「入ったら」加蓮「手錠があった」凛「…また?」

凛「トライアドプリムスwith手錠」

菜々「事務所に」まゆ「入ったら」凛「手錠があった」愛海「うひひ」

P「小梅が黒髪になっていた」

雑コラでいいので白響ください。

イメージが固まらなくて困っています。

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