那珂「むー……そういえばさ、提督」

提督「ん？」

那珂「その、ね……明日から、あれでしょ？」

提督「明日？……あぁ、第十一号作戦」

那珂「それそれ」

提督「それがどうしたんだよ」


那珂「提督……作戦、どうするつもりかな？」

提督「……どうするつもりって？」

那珂「今度の作戦ってさ、那珂ちゃんたちにとって初めての……イベント海域？だよね？」

那珂「ほら、イベント海域って、すっごく難しいって言うじゃん？お姫さまとか、鬼さんとかが出てくるんでしょ？」

提督「お姫さまって……姫級だ、姫級」

那珂「でもさ、那珂ちゃんたちって、まだ……」

提督「……ああ、そういうことか」

那珂「うん……その、実力不足って、言うのかな？」

提督「……仕方ないさ、まだ、1ヶ月ちょいだからな」

那珂「そう、だよね……」

提督「あぁ…………星、きれいだな」

那珂「…………うん」





ｻﾞｻﾞｰﾝ……ｻﾞｻﾞｰﾝ……

提督「……みんなは、どうしてるんだ？」

那珂「……駆逐艦のみんなは、もう寝てる。軽巡のみんなも、神通お姉ちゃんも」

提督「……ん？川内は寝てないのか？」

那珂「ちょっと海に行ってくるって言って、行っちゃった」

提督「おいおい……変なとこ行ってなきゃいいけどなぁ。夜戦バカだから大丈夫だろうけど」

那珂「足柄さんたちはまだ鳳翔さんのところにいたよ。羽黒さんが倒れちゃってたけどね」

提督「また足柄か……いや、もしかして隼鷹もか？」

那珂「霧島さんと扶桑さんはお仕事してたよ……あれ？提督はお仕事しないの？」

提督「あいつらがやるって言って聞かねーんだよ」

那珂「ふぅん……起きていたのはそれくらいかなぁ……あ、日向さんと、赤城さんのことなんだけど……」

提督「……徹夜か」



那珂「うん……妖精さんたち、朝までかかるって言ってた」

提督「分かっちゃいたけどなぁ……相手はル級3隻、大破しない方がおかしいってんだ」

那珂「……でも、赤城さんも、日向さんも、笑ってたよ。これは、名誉の傷なんだ、って。こんなのへっちゃらなんだ、ってね」

提督「……後で、見舞いに行かねぇとな」

那珂「またボーキせがまれるよ？」

提督「うるせぇ、あいつらが死ぬくらいならボーキなんて幾らでもくれてやるってんだ」

那珂「優しいね、提督は」

提督「うっせ」

那珂「……でも、作戦は、難しそうだね」

提督「……これでやっと、だからな」


提督「南西諸島海域、沖ノ島攻略……つい、4時間前のことか」

那珂「……これが、今の私たちの、精いっぱい」




提督「……吹雪がいて、漣がいて、島風がいて」

那珂「羽黒さんがいて、川内お姉ちゃん、神通お姉ちゃん、那珂ちゃんがいて」

提督「高雄、愛宕、北上、扶桑、赤城、日向、比叡……」

那珂「……提督、結構はしょってるよね？」

提督「全部言ったらキリがねぇだろうが……今朝は、陸奥が着任したな」

提督「この1ヶ月、俺はたくさんの仲間に恵まれたよ」

提督「でも……まだ、道の半ばにも達してないんだろうなぁ」








那珂「……遠いね、提督」

提督「あぁ……遠い。暁の水平線なんて、見えもしねぇな」







ｻﾞｻﾞｰﾝ……ｻﾞｻﾞｰﾝ……

提督「……あぁくそ！こんなしっけた空気でやってられっかよ！！」

那珂「あはははは！やっぱり提督にはこんな空気似合わないねー！」

提督「帰るぞ那珂！今夜は付き合え！イヤなら寝ろ！！」

那珂「やった！それじゃあ、今夜の那珂ちゃんは提督だけのアイドルになってあげる！」

提督「ほう、そいつは楽しみだな……そうだ那珂、今すぐ川内呼び戻せ。アイツも誘おう」

那珂「川内お姉ちゃんも？……あ、あれってそうじゃないかな！？おーい！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

提督「よーし！今夜は朝まで呑むぞー！！」

提督「作戦なんてやってられっかバカヤロー！！」

那珂「ばかやろー！！」








（……でも）




（いつか、きっと…………）

＿いいこと？


＿暁の水平線に









＿勝利を刻みなさい！





艦！