男「突然だけど俺はぼっちだ。友達はいない」
男「寂しくなんてないが、安価で一人で色々なことをしてみようかと思うんだ」
男「目指せ、プロぼっち!」
男「まずは一人〇〇からやってみよう」
男「一人カラオケとか一人焼き肉とか……そうだな。後はなんだろ」
↓1(〇〇に入る言葉)
男「一人入学式か……なるほどな」
男「時期も重なってるし俺んとこの学校も明日は入学式。ちなみに俺は新入生。一人入学式、やってやろうじゃないか」
男「入学式といえば一生に何度も経験することはないイベントの一つ」
男「大体の奴は新しい出会いに心ときめかせ校門をくぐるだろう」
男「だが!」
男「俺はぼっち!」
男「知らない奴とは絶対に話さない。馴れ合わない。無視を貫く!」
男「わざわざ精神をすり減らし、仲良くなれるかも分からぬ相手喋る必要もあるまいて。実に精神衛生上“良い”!」
男「これが俺なりの! 一人入学式よ!」
男「さぁ、明日に備えて寝るぞ! ぼっちの朝は早いのだ」
男「」スヤァ
――次の日 新入生控え室
ガヤガヤ
男(やかましい奴らだ。入学式開始前にぺちゃくちゃぺちゃくちゃと)
男(これでは先生の次の指示が聞こえぬではないか)
男(入学式当日から怒られるなんてイヤだぞ俺は)
担任教師「はーい、静かにー。体育館に並んで移動してくださーい」
「「はーい」」
男(そこ! 携帯なんかいじくるなよ! バカ!)
男(……さて、移動の時間だ。いよいよ始まるぞ。俺の一人入学式が!)
男(幸いここにいる同級生達には一言も話しかけられることはなかった)
男(今日学校した会話という会話は、担任教師に「あれ? 君……ウチのクラスの生徒でいいのか……な?」と聞かれた時くらいか)
男(俺はもちろん「B組です。間違っていません」と答えたぞ!)
担任教師「男くーん、こっちねー。みんなに着いて行くんだよー」
男「はい」
男(いかんいかん。独り言が過ぎたようだ。行こう)
――体育館
「新入生、入場」
男(歩きながら話すなこのバカども!)
男(ふふふ……入場というものは良いな)
男(誰からも指図されず“一人”で歩くことができる。まさにぼっち!)
男(ここはぼっちの見せ場、姿勢良く歩くぞ……。腰を曲げてはいけない。手は軽く振る。周りをキョロキョロ見ない!)
男(上手に着席するのも大事だ。決してパイプ椅子をガタガタと鳴らしながら座ってはいけない。ストンと着地するように――)
男(座るのだ)
男(ぼっちになる、つまり独りになることで自分を見直す。これがぼっちを極めるのに大事なこと)
男(これからぼっちになる者は覚えておこう)
校長「で、あるからして――」
新入生A「ふわぁ~あ」
新入生B「でさー」
新入生C「ほへー」ボーッ…
男(校長の話……つ ま ら ん)
男(確かにつまらんがあそこにいる同級生達のように振る舞ってはいけない)
男(まずはAを見ろ。欠伸をしているだろう? 端から見てみっともない)
男(己を律しろ。欠伸は……飲む!)ゴックン
男(Bのようにお喋りしてはならん。こういう場で人が話している時は黙る!)
男(次にC! ボケーッとするな!)
男(ぼっちとは言え俺は人間。そのコミュニティの中に属している“フリ”をしなければいけない。これはぼっちでなくても通じる話だ)
男(校長のつまらん話も聞く“フリ”をする。聞いているフリをする事こそが、俺が入学式に参加している証となる!)
男(話す相手を見る。これだけでいい。それ以外はするな!)
男(ぼっち入学式も楽ではない。もう少しの辛抱だ。頑張ろう)
「以上で、入学式を終了します。一同、礼」
男(ふぅ、無事に入学式を終えることができた。おかげで誰にも話しかけられることなく教室にも帰れそうだ)
男(ここから俺の楽しいぼっち学園生活が始まるというわけか。ワクワクするぞ!)
男(まだまだ俺のぼっち生活は始まったばかり。次はどんな一人〇〇をしようか)
↓1
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