門番「おや、お客様でしょうか」 (108)

男(・・・・・・この壁、ずっと続いてるなぁ)スタスタ
 (今のところ扉のようなものも無し。――あの角を曲がれば、どうなるものか)


男「おお――ようやっと見えたか」デカイモンピ

男(む、門の前に誰かいるな。この家の人かな?)







門番「――――」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414259088

『――男へ

  久しぶりの挨拶が文字だけになってしまった。
  直接会って顔を見て伝えたいのに、申し訳ないと思う。

  思えば早や4年、お前が私と同じ道を志してくれて本当に嬉しい限りだよ。
  卒業祝いといってはなんだがぜひ勧めたい職場がある。私の居る所だ。
  候補のひとつ程度に捉えてもらってもかまわない、選ぶのはお前だからね。
  
  地図と住所を同封しておく。
  日にちはいつでもいいが、できれば早い内がいいだろう。
  私は楽しく料理して待っている。

  ――父より』

男「すいません、お尋ねしたいのですが」

門番「――――」

男「あのー、もしもし?」セガ タカイヒトダナー

門番「――――zZZ」

男「・・・・・・立ったまま寝てる」

門番「おや、お客様でしょうか」

男「うわっ、起きた!?」

門番「は? 私が寝ていたみたいに言うのはやめてくださいよ」ダラーリ

男「よだれよだれ」

門番「ジュル ――私はこの屋敷の警備です。ご主人様の安全お守りする為、24時間寝ずの番をしているのですよ。寝たりするわけ無いじゃないですか」ゴシゴシ

男「はぁ、さいですか」

門番「で、あなたは? お客様なのでしょうか?」

男「客、ではないです――」ゴソゴソ


門番「では敵ですね」ゴゴゴゴゴゴゴ


男「こちらで――ってなんですかちょっと! 何の構えですかそれ! 敵じゃない敵じゃない!」

門番「なんだ、違いましたか」スッ

男「勘違いも甚だしいうえに短絡的過ぎるでしょう」

門番「住人以外では新聞屋さんと郵便屋さんしかまず訪れないので――さて、あらためまして、貴方は?」

男「こちらに勤めています、調理師の『父』の息子で『男』といいます。これ、父からの手紙です」

門番「ふむ、確かに声はよく似ていますね・・・・・・」カサリ

男「手紙にもある通り、父にここを訪ねるように、と・・・・・・」

門番「・・・・・・・・・・・・いいでしょう。中へどうぞ」ガシャンッ キィィ

男(しかし、デカイ屋敷だな・・・・・・親父は本当にここで働いてるのか? 働いてる姿は見たこと無いしな)

門番「まっすぐ玄関にお進みください。あまりふらついていると侵入者と間違えられるかもしれません」

男「はい」





男「呼び鈴は・・・・・無いな。ああ、コレかな」

ガンッ ガンッ

男「・・・・・・」

――――――ガコッ

男「!」

ギィィイイ バタン

メイド「ようこそいらっしゃいました。ワタクシ、館内を切り盛りしています『メイド』と申します」ペコリ

男「えっと、『男』です。ここに勤めています『父』の息子で、今日は便りを受けてここに来ました。コレを――」

メイド「拝見させていただきます」カサリ カサリ

男「・・・・・・」キレイナヒトダナー



メイド「――――承りました。中へどうぞ」


メイド『こちらの部屋でお待ちください。ご主人様に用件を伝えてまいります』

男(客間と思われる部屋に通され、そう言われた。ここは俺の住んでる1Kアパートより広いな・・・・・・)

男「つーか、親父はいつ現れるんだよ・・・・・・」

コンコンコンコン

男「っ、はい!」

カチャリ

メイド「お待たせいたしました。これからご主人様の執務室へご案内します」

男「わかりました」

メイド「それと、今確認してきましたが、コック・・・・・・貴方のお父様は先ほどロンドンに到着したそうです」

男「へー、ロンドン・・・・・・」

メイド「・・・・・・」

男「pardon?(ロンドンですか?)」

メイド「London(ロンドンです。)」





メイド「聞いていらっしゃらなかったのですね」カツ カツ

男「ええ、てっきりここに居るものとばかり」スタスタ

男(てゆーか手紙に待ってるって書いたクセに)

メイド「まあ、あの人らしいと言えばらしいですけれど」カツ カツ

男「そんな印象を持たれてるんですね、父は。なんだか申し訳ない」スタスタ

メイド「お気になさらず」カツン

カチャ カチャ カチ

メイド「これより先はご主人様のプライベートエリア、許可なく入ることは許されていません。ワタクシは別ですが」

男「なんだか、薄暗くないですか?」

メイド「・・・・・・ここは館の北西に増設された塔でして、窓も少ないのでいつもこのぐらいです」

男「なるほど、わかりました」

メイド「では行きましょう。執務室は二階です」カツ カツ

男「はい」

コンコンコン

メイド「お連れしました」

「・・・・・・」

メイド「失礼致します」 カチャ キィッ


男「失礼致します」

男(この人がここの主人? 女だったか、しかも若い)

主「・・・・・・」ジー

男(いや、若いっていうか――――少女だ)カワイイ

メイド「ご挨拶を」

男「は、はい。こちらで調理師として勤めています『父』の息子、『男』と言います。突然の訪問となったこと、お許しください」

主「・・・・・・」コクリ

メイド「では先ほどの話の通り、只今より当館の調理師として勤めていただきます。よろしいでしょうか?」

主「・・・・・・」コクリ

男「え? 誰がですか?」

メイド「貴方以外にいませんでしょう?」

男「えっ あの、面接というか審査というかそういう感じのものは・・・・・・」

メイド「御望みとあらば致しますが――――ま、いいんじゃないですか? 彼の息子ですし」

主「・・・・・・」コクコク

男「えー」

メイド「なにより今この屋敷には調理の専門家が不在なわけですから、補充しなければ飢えてしまいますわ」

男「ええー」

メイド「あら? なにか?


    ――――ご不満でも?」ゴゴゴゴゴゴゴ


男「・・・・・・よろしくお願いしゃす」

メイド「はいよろしくお願いしますわ♪」

主「・・・・・・」アクシュ

男「ぅぅぅ」アクシュ

メイド「あとこの屋敷において男性は貴方だけですので、ご承知下さい」

男「」

こんな感じでやって行きます。
いつ飽きるかも分からないので見かけたら見てみよう程度でよろしくお願いしゃす。
初SSです。

タイトルこそ門番「」ですが、そこに焦点を絞ったりはしませんのであしからず。

紅魔館かな?

ほとんど客の来ない館の中でだらだらやりたい。
時代背景は現代寄りファンタジー。

>>12
正解。ただしキャラクターのイメージのみ。
本当は美鈴といちゃいちゃするSSの予定だったのさ。

メイド「ここが厨房です」

男「おお、ここもまた広いな」

メイド「ここの管理は貴方に一任しますから、火の元水周りはもちろん食材の管理などお願いします。食材はまとめてあちらの倉庫に。鍵は冷蔵庫のものと同じで、番号は398です」

男「冷蔵庫に、鍵?」

メイド「この館には夜な夜な食料を荒らすでっかいネズミが出ますので」ギリッ

男「へ、へー・・・・・・」

メイド「ではさっそくですが夕食の用意をお願いします。時刻は7時、人数は貴方を含めて5です」

男「了解です。避けるような食べ物はありますか?」

メイド「お嬢様はなんでも食べられますわ――というか、食べさせます。でも、そうですわねぇ――」

男「はい?」

メイド「あの、できれば極端に辛いものは、ちょっと・・・・・・」

男「はあ・・・・・・なにかあったんですか?」

メイド「ええ、以前に門番が少し・・・・・・」





メイド「ではよろしくお願いします」

男「はい」

男「さて、とりあえず中を見てみようかな?」

カチカチ カチャッ キィ

男「――おお、こりゃすごい」

 (手前は粉類、穀物、調味料。次に野菜。奥には肉類、魚類か? つーか、なんだこの倉庫、まるっと冷蔵庫みたいなものなのか。このコンソールで管理してるのか?)

男「――ん?」ヒョイ

 (ノートだ・・・・・・)

 パラパラパラ   ペラッ ペラッ 





 PM6:45

 カチ

男「これでスープはおっけー、あとは魚を――」

メイド「順調ですか?」ヒョコ

男「おうっ! ああ、なんだメイドさん――はい、順調ですよ」

メイド「それは良かった。どうですかこの厨房は?」

男「すばらしいですね。何もかもが揃っていて、何でも作れそうです。なにより手入れが行き届いてる」

メイド「・・・・・・」フフフ

男「・・・・・・なんですか?」

メイド「自慢のお父様なのですね、と思ってしまいまして」

男「? ・・・・・・あ、いや、そういうわけでは!」

メイド「まぁまぁ」フフフ

男「ちょっと、いや、あのですね――そうだ! 味見! 味見してくださいよ!」バタバタバタ



メイド「・・・・・・・・・・・・」

男「まずはスープを――」

メイド「はい、横から失礼」ヒョコ

男「ぅぉっと!?」

メイド「ん~」スンスン

男「・・・・・・に、匂いでわかるんですか?」

メイド「当館内においてワタクシに不可能はありませんのよ?」クフフ

男「はぁ・・・・・・さいですか」

メイド「ふむ、良いですわね。ここに慣れればもっと良くなりそう。期待してますわよ?」

男「はい! ありがとうございます」





男「時間ですが、給仕はどうするんですか?」

メイド「基本的にお嬢様は私が行います。その他の方へは、まぁそのときによりますね――今日はどうしたいですか?」

男「ご挨拶を兼ねてやらせてください」

メイド「それは良い心がけですわね」

男「それで、気になったんですけど、あと一人まだ顔を知らない方がいるのですが・・・・・・」

メイド「ああ、そういえばお伝えするのを忘れていましたわね。うっかりですわ」





「その方は今、部屋に居られるかと思います」

「お嬢様の食客分であり、かれこれ30年ほどですか、ここで暮らしておられます」


   カタン  シャー  カリッ


「・・・・・・これはささいな注意事項ですが」


   カリカリカリ  カカッ  


「『彼女』と接するときは努々その言葉に惑わされぬよう」


  パラパラパラ    パタン     カリカリカリ


「なにを隠そう、『彼女』は」


『――――?』『・・・・・・』『――――』『――』





「――――【魔女】ですから」

ちょっと休憩。
情景を書き表さないでどこまで通じるもんなんでしょ?
>>16-17 の様子ってわかりますか?

メイドさんのナレーションとともにクロスフェードしていく感じにしたかったんだ。
ナレーションで語られる人物が物音だけで作業する様子が映される、みたいな。
背後からしか見られない、顔が映らない、程よいチラリズム的な?

無理って言うか、限界があるね。

男(2階に上がって一番近い大扉――あれだな)



コンコンコンコン

男「・・・・・・」

ガチャッ

?「・・・・・・」

男(この人が魔女? 赤い眼鏡にスーツベスト・・・・・・魔女というかまるで司書だな)

男「えーと、夕食をお持ちしました」


  「――――あらだぁれ?」


男「!?」

?「・・・・・・」スッ

男(部屋の中にまだ誰か居る? これは中に入れってことか?)

?「・・・・・・」スタスタ

男「失礼します」

?「――あらあらもう夕食の時間だったのね失念していたわいけないわねついつい没頭してしまったわ」

男「えーと、今日からここで働かせて頂きます『男』といいます。『父』の息子です」

?「へぇあの人のなるほど確かに似ているわね、目とか鼻とか耳とかとかとかとか」

男「そんなに似ていますか? 門番さんにも言われたんですけど」

?「ええそっくりもそっくり門番に言われたですって?なるほどそれなら本当に根っからのそっくりさんなんでしょう」

男「???」

?「ひひひひひ――さてそれで夕食なんだったわね今机を片付けさせるから用意して頂戴」

?「・・・・・・」スッ ガサガサ ドサッ

男(それ机の下に落としてるだけじゃん――つーか、この部屋汚ぇ! でもめっちゃ広い! 図書館かよ! でも本とかがあふれてて狭ぇ!)

?「ん?あらあらそういえばこちらの自己紹介がまだだったわね――私の名前は『教授』よ」

男「教授、さん」

教授「そうそうそうなのよろしくね、ときどき博士とか賢者とか呼ばれる事もあるけれど私はあんなに頭は固くないわ」

?「・・・・・・」ドヤァ

教授「ああ貴女も紹介しないとね、貴方の後ろに居るのが私の身の回りの事や事務仕事とかいろいろ任せている『秘書』よ」

秘書「・・・・・・」ペコリ

教授「見ての通り?聞いてのとおり?何もしゃべらないけれどそれ以外はちゃんとしてあるから私になにかあればこの子に伝えてくれてもいいわよ」

男「わかりました。ありがとうございます」

教授「んん、じゃあ食べさせてもらいましょうか貴方の初料理」

男「はい。今日のメニューは白身魚のソテーとコンソメスープです」

秘書「・・・・・・」ジー

男「あ、運んで下さるんですか?」

秘書「・・・・・・」コクコク

教授「気をつけなさいよぉ?」

秘書「・・・・・・」ソロソロ

男「・・・・・・」

教授「・・・・・・」

秘書「・・・・・・」ガツ ヨロリ

男「あ」  バシャ

教授「だから言ったのに」ヤレヤレ

男「うわ、わ! だ、大丈夫ですか!?」ダダダ

教授「ああ心配ないわこの子ってばちょっと足元が見えにくいのよ体の作りの問題でね」

男「そっちもですが! 教授さん熱くないんですか!? 今すぐタオルを――いや、氷! 水!」

教授「んん、ああそういうことね問題ないわタオルを頂戴」

秘書「・・・・・・」コクン

男「っ!? ・・・・・・??」

教授「実はね私は熱さとか痛みを感じないのよ、正確には感じなくなったというのが正しいのだけれど」

男「えっと・・・・・・それはどういう?」

教授「むかーしむかしにねちょっと悪魔と契約したときにその辺りの感覚を全部持っていかれちゃったのよ」

男「あく、ま?」

教授「まぁ若気の至りね良い勉強代だわ、不便が無いじゃないけれどそれなりに役立つのよ?主に実験の時とか」

男「・・・・・・」

秘書「・・・・・・」フキフキ

教授「――痛みは体の発する危険信号だというけれど――――精神力と魔力と――――」ブツブツ


男(・・・・・・・・・・・・あ)

 『彼女と接するときは努々その言葉に惑わされぬよう』

男(そういうこと、なのか?)

教授「あらあら聞いてるのかしら」

男「あ、はい」ビクッ

教授「ほんとぉかしら、まいいわとにかく気にしないで頂戴片付けもこの子にやらせるから」

男「はい、注ぎなおしたお皿、置いておきますね」

教授「はいはい――っとああそうだわ」スッ

男「?」

教授「これからよろしくね」アクシュ

男「・・・・・・よろしくお願いします」アクシュ

秘書「・・・・・・」ペコリ





男(・・・・・・教授さんの手、水みたいに冷たかった)

 (まさか)

 (まさか本当に――――魔女?)

今夜はこれで終了。
これだけの人数でだらだら暮らしていこうと思います。
次回は門番さんとのお話です。

男「門番さーん」スタスタ

門番「っふが・・・・・・?」

男「夕食をお持ちしました――って、また寝てました?」

門番「は? 私が寝ていたみたいに言うのはやめてくださいよ」ダラーリ

男「よだれよだれ」

門番「寝てないですよ? 私を寝かしつけられたら大したもんですよ」

男「さいですか」フゥ





男「メイドさんから外にお皿ごと持っていくよう言われましたが、良かったんですか?」

門番「ええ、私は常にここにいますから、食事もここでとっています」

男「・・・・・・睡眠も?」

門番「・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

男「すいません、構えを解いてください。お願いします」

門番「・・・・・・あー、私の大好きな杏仁豆腐が食べたいですねー」

男「・・・・・・」

門番「どこかに作れる人いないですかねー」

男「・・・・・・わかりました、今度お持ちしますよ」

門番「んふふ♪」

東方を詳しく知らない俺は、予習しないと>>1のこの後の話(レスの内容)に追いつけない?

門番「では、いただきまーす! んーいい匂いですねぇ」

男「はいどうぞ、いただいて下さい」

門番「おおやわらかい・・・・・・もぐ、これは魚ですね! 好きですよ魚は」

男「・・・・・・? 覚えときますね」

門番「はい。ま、肉も好きなんですがね? というか食べるのが好きです」

男「ははは、じゃあ腕によりをかけますよ――ところで、ずいぶんと奇抜な食べ方ですね。まるでフラミンゴだ」

門番「失礼、無作法者でして。私はここを離れるわけにいかないのでこうするしかないんですよ」シャキッ

男「太ももがテーブルとはまた・・・・・・すごいバランス感覚ですね」

門番「いやーこれでも一応、武を修めておりますから。朝飯前ですよ」

男「俺にはできそうに無いですよ、ははは」

門番「・・・・・・ふふ。少々お待ちを、すぐに食べ終わりますので」カツカツカツ

男「はい。あせらなくて結構ですよ」

門番「ええ」

男「・・・・・・」

門番「――――」モグモグモグ

男「あの・・・・・・食べてるときにすいません」

門番「もん? もがふがふ?」(はい? なんですか?)

男「教授さんの、ことで聞きたいことが、あるんです」

>>28
『紅魔館』で画像検索しておくとキャラクターのビジュアルが掴みやすく、イメージしやすいかもね、というだけのこと。
知らない人でも問題なく無理なく読めるようにするつもり。
ていうか、本当にキャラのソトガワだけ借りてるようなもの。

門番「んが、ごくん。――何かされました?」

男「いえ、被害みたいなものは何も・・・・・・ただ、あの人は本当に『魔女』なんだろうか、と」

門番「ああ、魔女で間違いないですよ」

男「そうですか・・・・・・って! いやそんなあっさり!」

門番「事実なんですからどうしたっていずれ分かる事ですよ。具体的には何を言われたんです?」

男「悪魔を召喚したとか、契約した、とか。感覚がほとんどないっていうのは、見て信じられますが」

門番「『見て』?」

男「ああはい、秘書さんがスープを教授さんの足にこぼしてしまって・・・・・・」

門番「なるほど、あの子はあいかわらずのようですね――ふーむ、しかしなにをどう話したらよいやら」

男「・・・・・・」

門番「いや、私が話す事など無いのでした。そもそもここに居ない方の素性や事情をペラペラ話すのは良くない」

男「そうですね・・・・・・」

門番「メイドさんもたぶん似たようなことを言われたかと思いますが、慣れないうちは積極的に関わろうとしないことをオススメします」

男「ははは、言われました」

門番「まぁメイドさんはよくからかわれているので、少々険のある言い方をしたんじゃないかと推測しますけど、おおむね正解です。教授さんは悪人ではないのですが、100%善人ではないので」

男「なんだかよくわからない人という印象です」

門番「ああ、そうですね。私もあの人の事はおそらく半分も分からないでしょう。今日会ったばかりの貴方が分かるほうが変なのでは?」

男「確かに」

門番「でしょ? 『いずれ分かる事』です。基本的にはおしゃべりな方なのでいつかあの方から話してくれますよ」

男「そうか・・・・・・そうですね。せいぜい気をつけて食事を運びますよ」

門番「うんうん。それに感覚が無いと言った所で貴方は別に接し方を変に変えたりはしないんでしょう?」

男「っ・・・・・・それはもちろんです」

門番「――ああ、では答えとはまた違ったものになってしまいますが、話してしまいましょう」

男「・・・・・・なんです?」

門番「この世に完璧で完全な存在なんてありはしないんです。特に生き物っていうのは十人十色、それぞれ有ったり無かったりするものです。それはこの屋敷に住む全員も例外ではありません」


門番「――――貴方も含めてね?」


男「・・・・・・っ!・・・・・・」

門番「そしてもちろん私もです。――――さて、ここでクイズです」

男「え?」

門番「私に無いもの、それはなんでしょう? わかりますか?」



さてここでクイズです。
『門番さんに無いものはなんでしょう?』

一応、>>1->>33を読んで思い至れるようにしているのですが、どうでしょうか?

今夜はここまで。
もしよろしければ盛り上げる為にもageてかまわないので、答えを書き込みしてみてください。
明日の夜、続きと答えを書き込みます。
じゃ、おやすみ。

自分の仕組んだ事がちゃんと上手くいくことのなんと嬉しい事か。
いや、クイズの事じゃなくて。

ぶっちゃけ誰に何が無かろうが、このお話の根幹には関わらないのですよ。

キャラを特徴づけるためのものだと御思い下さい。
このスレではネタバレ、展開予測はひかえて欲しい、「まさかこうなるのか!?」程度ならおk。
そんな感じで今夜の分、いって見ます。





男「・・・・・・・・・・・・視力、ですか・・・・・・?」


門番「正解です」

男「・・・・・・本当に見えてないんですか? それにしては随分と・・・・・・」

門番「本当に見えてませんよう。ただ見えないというにはちょっと違って、うん、違う『モノ』が見えます」

男「違うもの?」

門番「『氣』ってご存知ですか?」

男「き?」

門番「はい、生命力・精神力、気質・性質、空気・大気、息、呼吸、いろいろなものと絡ませて表現される事の多いアレです」

男「あ~、はい。マンガとかで・・・・・・」

門番「結構。――私が武の道に入って間もない頃、私は光を失いました。元々素質があったようで、それ以来『氣』の扱いを主として鍛錬を重ねたんです」

男「・・・っ・・・」ゴク

門番「今、私は視覚以外の感覚に加えて氣を使って物事を把握しています。この眼は光を受け付けませんが、それ以外のあらゆる物が私にあらゆる事を教えてくれるんです」

男「・・・・・・」

門番「んふふ、信じられませんか?」

男「いえ・・・・・・」

門番「『嘘にしては振る舞いや行動がそれらしい』」

男「!?」

門番「『思い当たる点がないじゃない』って感じですか?」

男「っ! ・・・・・・っ、っ」

門番「すいません、ちょっと意地悪でしたね。コレもまた氣の応用みたいなもので、本当に心が読めるわけではないのでご安心を」

男「・・・・・・何がどこまで見えているんです?」

門番「生き物でしたらそれぞれ固有の『氣』を持っているのでそれを見ます。近づいたり触れたりすれば氣が輪郭に合わせて形になる事もありますが、たいていはボンヤリとしたモヤモヤが見えるくらいですよ。合わせて耳で声や心音を聞いたりして感情を読み取ったり」

男「それ、見えてないっていえるんですか・・・・・・?」

門番「見えませんよー。モノの色なんて9割分かりませんし。なんとですね果物ってほとんどがオレンジ色の氣をもってるんですよ」

男「ははは、もうちょっと分からなくなってきました」

門番「まー他人の感覚を理解しろっていうほうが無茶ですからねー・・・・・・そして、貴方はこうも思ってもいる」

男「?」



門番「――――『氣』を認めてしまえば【魔女】を認める事になる」



男「」

門番「超常現象とくくってしまえば同じものですからねぇ。でも――」

男「でも?」

門番「いーじゃないですか、そういうものがあるんだと飲み下してしまえば。――――貴方のお父様のように」

男「・・・・・・やっぱりそうなんですね」

門番「はい、そうなんです。そういう方ですもんね」

男「はぁ・・・・・・まったく」

何かを失ったからここに住んでいるのではなく、ここに住むと何かを失うのだろう…

まさか、父はこの男を身代りとして逃げたのか!?
まさか、この男もだんだんと何かを失っていくのか!?
まさか、厨房でノートを読んでた時に不自然に時間が飛んでるからこの男が失っていくのは「記憶」なのか!?

(やるなって言われるとやりたくなる)

男「まったく、石のような父親で、呆れてしまいますよ」

門番「んふふ、『石』ですか。それはまた言いえて妙な」クスクスクス

男「――わかった。わかりました。受け止めましょう。知らなかったんです。この世には魔女も氣もあるんですね」

門番「あらら、意外とあっさり」

男「ええ、まぁ、これでも『石』の息子なんで」

門番「いいですね、それならココでもやっていけると思います」

男「はい。さっきまで実は逃げようかとも思ってたんですけど、親父が帰ってくるときまでは勤めて見せますよ」

門番「がんばってください、門の外から応援していますよ」

男「では改めまして、よろしくお願いします」アクシュ

門番「おいしい杏仁豆腐、待ってますからね」アクシュ





門番「ていうか、おや? と思いましたが本当に逃げようとしてたんですね」

男「あ、ばれてました?」

門番「ええ、氣を読むまでもなく・・・・・・結構顔に出やすいんですね」

男「む、そうなんですか? っていうか、え? ――顔?」

門番「あ」

男「!?」

>>43
は、ははは、ははハズレだし。1つもあってないし。
ミリ単位ですらかすってもいねーし!
                         ・・・・・・ホントだしぃ。


難しい線引きだけど、私の中ではこれ位ならまだおk。歓迎できるレベル。

ギィイイイ  バタン

男「ちょっと長話が過ぎちゃったかな・・・・・・」

男(てゆーか、今日が初日だよな? なんだこの驚きの連続、心臓に悪い・・・・・・)


「――――戻りましたね、門番はちゃんとしていましたか?」


男「メイドさん」

メイド「なにやら話していたようですが、ココに早く馴染めそうで良かったです」

男「はい、がんばらせてもらいます」

メイド「では、早速ですが私たちも夕食にしましょう」

男「? あ、一緒にたべんるんですか?」

メイド「ええ、私たちだけ一人で食べるのもいかがなものか、と言われたので」

男「父に、ですか?」

メイド「お嬢様にも、です――さ、厨房に行きましょう。実は楽しみだったのですよ? お嬢様に給仕しながらずっとそわそわしていましたわ」

男「はははは、ありがとうございます」

今夜はココまで。
他事しながら書いてたら時間かかっちゃった。申し訳ない。
クイズのご参加ありがとうございました。

次回はメイドさんとのお話です。

ちょっと間が空いてしまいましたね。
これから書いていきます。

メイド「では、いただきます」

男「はい、どうぞ」

メイド「・・・・・・ん、やっぱり。おいしいです」

男「ありがとうございます」

メイド「お嬢様にお出しする前にココで1回、直前に1回、ちょっとつまんでしまおうかと思ったぐらいですもの、かなり私好みの味ですわ」

男「・・・・・・ちょっとびっくりしてます」

メイド「はい?」

男「いえ、そういうこと言うんだなぁと」

メイド「ワタクシは機械ではありませんよ? ま、第一印象が生真面目になりやすいのは自覚してますし、意識もしてるんですけど」アクマデ シヨウニンデスカラ

男「いやー、今日だけで人を見た目で判断してはいけないとあらためて思いました。教授さんにも門番さんにも驚かされてばかりで」

メイド「・・・・・・ま、何を言われたのかはだいたい想像がつきますわ」





男「あ、そういえば秘書さんなんですけど、メイドさん数え忘れてませんでしたか?」

メイド「? ああ、料理の数の話ですわね――だから貴方と私のメニューが違うのね」

男「ええ、ちゃんと置いてきました。つまりこの館には全部で6人居るわけですね」

メイド「えーと・・・・・・教授さんからはなにも聞いていないのかしら」

男「というと? 魔女っていうのは信じる事にしましたが」

メイド「ああ、そうですか。でももうひとつ、秘書さんのことは?」

男「・・・・・・あの人も何かあるんですね」

メイド「そんなに身構えるような事ではありませんわ。ただあの子は『食事をしない』という事を覚えておいて欲しいだけです」

男「食事を、しない? 何も食べないんですか?」

メイド「そうです。一応食べる事はできますし、味について機械的な意見もいえるようですが」

男「・・・・・・何者、なんでしょうか」

メイド「そうですね・・・・・・端的に言えば『ゴーレム』ですか。つまり――」

男「つまり・・・・・・」


メイド「あの子は【人間】ではありません」


男「それは、流石に信じられませんよ・・・・・・だってあんなにも」

メイド「あんなにも?」

男「・・・・・・」


   何もしゃべらないけれどそれ以外はちゃんとして『ある』から

   心配ないわ ――――  体の作りの問題でね


メイド「納得できまして? まあ表情は豊かなほうなのでうっかり忘れる事もありますけれど」

男「本当に、この館には信じられないものばかりがありますね・・・・・・」

メイド「事実は小説よりも奇なり、ココではあまり常識にとらわれないほうがいいですわ」

男「そうみたいですね・・・・・・ええ、数十分ぶりに考えをあらためました」

メイド「これから貴方は何度、衝撃に見舞われる事になるのでしょうね」フフフフ

男「まだ、なにかあるんですか?」

メイド「ええ、いっぱいいっぱいありますわ」






男「明日の朝、昼のお話なんですが」ジャブジャブ

メイド「はい。朝食は7時、教授さんと秘書さんは朝は食べませんのでそのように」キュッキュッ

男「メニューは?」ジャブジャブ

メイド「基本的に洋食でそろえておりますが、ときどきお嬢様の思いつきで和食になることがあります」キュッ  カチャカチャ

男「へぇ」ジャブ

メイド「昼食は12時過ぎに、こちらは秘書さんを除く全員分お願いします」キュッキュッ

男「はい。全員で会しての食事はないんですね?」ジャー キュッ

メイド「・・・・・・」

男「・・・・・・メイドさん?」

メイド「・・・・・・お嬢様は、北西塔から出られませんので。一緒に食事する事はまずありえません」キュッキュッ カチャ

男「・・・・・・」

メイド「過去に何度か、お嬢様の御部屋で食事をした事はありますが、楽しい雰囲気にはなりませんでしたわ」

男「そう、ですか。わかりました。・・・・・・すいません」

メイド「いえ、まだ貴方が知らないだけですから、なにも悪くありません」

男「・・・・・・あの」

メイド「はい?」

男「何か知っておくべきことは他にありますでしょうか」

メイド「そうね・・・・・・」ジー

男「・・・・・」ドキドキ



メイド「無いです」



男「」

メイド「正確には『まだ無い』です。こんな初日に、立って話すような事ではありませんので」

男「・・・・・・」

メイド「焦らないでください。急遽始まった生活ですから、前任が居た仕事ですから、いずれ同じようにできる様になればいいのです」

男「・・・・・・はい」

メイド「それよりももっと楽しくなる話をしましょう。料理の事とか、聞きたいですわ」

男「はい、そうですね・・・・・・なんでも聞いて下さい!」

メイド「では今日のソテーのソースですが――――」





男「そうですそうです、そこで隠し味を」

メイド「ひょっとして『しょうゆ』ですか?」

男「そうです! すごい良く気がつきましたね」

メイド「自信はありませんでしたが、なるほどそうなのですね」

男「舌が利かないのにすごいんですね」

メイド「・・・・・・」キョトン

男(げっ! しまった、地雷!)

メイド「・・・・・・誰に聞いたんです?」ジロリ

男「いや、誰に聞いたというわけでは。本当にそうだったのか・・・・・・じ、自分で推理したというか!」

メイド「・・・・・・」

男「・・・・・・ヒントをもらって・・・・・・」




メイド「――――教授さん、ですね?」


男「えっ」

メイド「あれ? 違いましたか?」

男「ええっと・・・・・・教授さんからはとくにそういったことは聞いてませんが」

メイド「・・・・・・おかしいですわね」ハテ?

男(あー・・・・・・そういえば門番さんが


  ――まぁメイドさんはよくからかわれているので


  とか言っていたな・・・・・・でもこれなんだか根が深そうだけど・・・・・・?)


メイド「じゃあ消去法で門番の仕業ですね」

男「げっ」

メイド「もぅ・・・・・・まぁ、彼女ならばそんなに吹聴するような感じではなかったでしょうから、貴方の推理というのも本当でしょうけど」

男「いやー、ははは」

メイド「いずれ分かる事ですから特に嫌悪したりはしませんけど」

男「・・・・・・ありがとうございます」

メイド「あまり、冗談が過ぎたりしないようにしてくださいね」

男「はい、気をつけます」








メイド「では、私はこれで」

男「はい、今日はもうお休みになるんですか?」

メイド「基本的に夕食以降は自由をいただいています。貴方もそうですから、あとは自由にしてくださって結構ですよ」

男「えーっと・・・・・・どこで?」

メイド「あー・・・・・・そういえば貴方の部屋がありませんでしたわね」

男「父はどうしていたのでしょう?」

メイド「・・・・・・さぁ?」

男「さぁ!?」

メイド「なに分、黙々と作業される方でしたから、いつの間にか休憩していつの間にか働いているような方でしたわ」

男「流石だよ、親父・・・・・・」

メイド「明日、お嬢様と相談しますから、今日のところは使用人用の詰め所にでも居てください。少々せまいですが、しばらくの時間を過ごすには良い部屋ですわ」

男「うう・・・・・・わかりました」

メイド「ではあらためまして、失礼します」ペコ スタスタ

男「はい――――あ、そうだ」

メイド「?」クルリ

男「あらためまして、本日より御世話になります」アクシュ

メイド「ああ――はい、よろしくお願いします」アクシュ






こうして、初日の業務が終了した。

以上、メイドさんとのお話でした。
ひとまず住人への挨拶が済んだので、次回からだらだらできるかと思います。

時間がちょっと跳んで、働き始めて10日が過ぎた頃になります。
早朝から深夜までの一日の様子を追っていく感じにしようと思うので、よろしければ何かお題を下さい。
『時間』『物事』『人物』などなんでもいいです。

ではまた次回ノシ

ピピピピ ピピピピ


男「――――・・・・・・んっ」ムクリ

男(・・・・・・おはようございます、かーさん)

やっべ挨拶わすれたこんばんわ。
乙ありがとう、お題ありがとう、できるものから消化していく。

男「――お、今日もやってるな」


 ユラーリ スッ スッ ユラーリィ・・・


男「門番さん、おはようございます。今日も精が出ますね」

門番「おはようございます。よければ一緒にやってみます? 目も覚めますよ」

男「いやー俺には精々ラジオ体操が限界ですよ。――あと目はしっかり覚めてますから」ダレカ サント チガッテ

門番「新聞屋さんにも同じ事言われちゃいました。なんでも出発前に社員みんなでするそうです」

男「あーなるほど、いい日課ですね」

門番「ラジオ体操も太極拳も、同じ様なものだと思うんですけどねー」

男「んー、時間がかかるからじゃないですか?」

門番「ああー・・・・・・」





門番「も? むぐんむおおももん?」(え? 私の強さですか?)

男「はい、やっぱり警備を勤めるくらいですから腕が立つんだろうな、と」

門番「もぐもぐもぐもぐ・・・・・・もぐもぐ」

男「あ、ゆっくりどうぞ」

門番「もぐ」(はい)

門番「ごくごく・・・・・・ぷはっ、失礼、のどに詰まりました」

男「いえいえ」

門番「さて、私の強さですか・・・・・・んーどう説明したものでしょうか。仮にですけど」

男「はい」

門番「熊とか余裕ですって言っても想像できます?」

男「えーと、スゴイという感想が浮ぶくらいです・・・・・・」

門番「ですよねー。せめて種類は違ってもなにかしら武術をたしなんでいれば伝わる部分も有るかと思いますけど」

男「へんなこと聞いちゃってすいません」

門番「いえ構いません――――あ、そうか」

男「・・・・・・なんですか?」

門番「私が貴方に武術を教えれば良いんですよ! そうすればどれくらいか分かってもらえますよね!?」

男「ははは、ご冗談を」

門番「ははは、冗談ではないですよ。とりあえず太極拳からはじめましょう。朝の運動がてらに」

男「無理ですって! ラジオ体操でも息が上がるんですから!」

門番「なぁに心配いりません、私の居た某省某寺では125歳で百人組み手するおばーさんとか両足が義足なのに私が手も足も出ないおじーさんとか居ましたから」

男「そんな魔境の人々と一緒にしないで!」

門番「大丈夫だいじょうぶ! はい、まずはユーペイシーから~」ガッ

男「肩押さえないでででえででで! 痛いいたい! 握力! あくりょくスゴい!」ギギギギ









門番「はーい、朝はここまで~」



男「」タヒーン





【朝】


男「あ~朝から酷い目にあった・・・・・・肩、内出血してるんだけど・・・・・・」



メイド「――おはようございます」

男「あ、おはようございます」

メイド「朝からなんだか悲痛な顔していますが、どうかしまして?」

男「いや、ちょっと門番さんと太極拳を少々・・・・・・」

メイド「まぁ! それは難儀だったでしょう、武術に関しては加減を知らないところがありますからね彼女は」

男「加減を知らないというか、容赦が無いというか・・・・・・汗びっしょりになりましたよ」

メイド「ああ、だから髪が濡れているのですか」

男「ええ、シャワーしてきました。汗かいたまま料理はしたくありませんから」

メイド「ええ、それがいいでしょう。ですが、お嬢様の朝食に間に合いますか?」

男「大丈夫です。門番さんの分を作るときに下拵えは済ませましたし、メイドさんの分はあとで俺のと一緒に作りますから」

メイド「そうですか」





メイド「そうそう、今日の昼前に食材の卸売り業者の方が来ますので、応対してください」

男「了解です」

『買い物』

男「そういえばここでの必要雑貨なんかはどうしてるんですか? 街まで買いに行くんですか?」

メイド「いえ、電話で注文して先ほど言った業者さんに持ってきてもらいます」

男「おお、便利ですね」

メイド「というか当然の流れですわね。皆忙しくて、ここには街へ御遣いに行ける者が居ませんので」

男「あー・・・・・・先日ここに来たとき道を尋ねた人達がいい顔しなかったのって」

メイド「ああ、噂になっているそうですね。街の外れの山の上に怪しい洋館が建っている、ですって」

男「人付き合いはしないんですか?」

メイド「・・・・・・・・・・・・最低限でいいのです」

男「・・・・・・」

メイド「それに新聞屋さんや業者さんなどここを尋ねる人とはちゃんとやり取りをしますし、噂も言いたい人が大声を出しているだけですわ」

男「・・・・・・そうですね、そういう噂は誰かに話す事が目的みたいなものですよね」

メイド「むしろ業者の方は気さくに話しかけてきます、こっちが仕事したいのに」

男「どんな人なんですか?」

メイド「そうですね・・・・・・うさぎさんみたいな人ですわ」

男「うさぎ・・・・・・?」

ごめん眠くなったのでここまで。
更新頻度を上げたいな、と思う。 思う、だけである。







男「うさぎってどういう事なんだろう・・・・・・」グツグツ

   [call] ビ―――――

男「おっと――門番さんから?」カチ

門番『業者の方がお見えになりました。応対をお願いします』

男「はい、すぐに行きます」






?「ちわーッす」

男「ご苦労様です」

?「ァン? なんだ新顔か? いつものヒゲはどうしたよ」

男(なんかガラが悪い・・・・・・)

門番「ロンドンに出張中ですよ」

?「ほーン、ご苦労なこッて」

門番「それで、彼が今の調理師で――」

男「『男』といいます。はじめまして」

?「おゥ、俺は『業者』だ。なんか欲しいモンがあッたら言いな、届けてやるよ」

男「はい、いずれお願いすると思います」

門番「さて、今日は何を持ってきたんです?」

業者「食い物と、飲み物と、あとよくわかんねェキノコとか真ッ白い粉とかが3箱」

男(大丈夫かソレ!?)

門番「なんだ、いつも通りじゃないですか」

男「!?」

業者「あとはお嬢からの頼まれもんとォ、こッちはメイドにだ」スッ

門番「はいはい、こっちもいつも通りですね」

業者「ッチ・・・・・・そォだけどよォ」

門番「じゃあ代金はいつものようにしとくんで、ご苦労様です」

業者「おォ、じゃあな」 クルッ スタスタスタ

男「・・・・・・ご苦労様でーす」





男「なんだか見た目とは裏腹な感じの人ですね」

門番「でしょう? 目つき悪いし口も悪いし、あれで常に他人の為を慮るってんですから、1周回って笑えます」

男「・・・・・・意外だ」

門番「ですです。――さて、それではこれらの荷物、全部運んでくださいね」

男「え!? 全部ですか!? ダンボール10箱どころじゃないですよ!」

門番「9割が食材ですからいっそまとめて、ね。貴方の管理するべきものでしょう? 御父さんも黙々と運んでましたよー」

男「親父ならそうなるでしょうよ! せめて館の入り口くらいまでは手伝って頂けませんかね」

門番「いやーまぁ、がんばってくださいよ。――――忘れてるかもしれませんが、私は忘れてませんよ、あの日の杏仁豆腐」

男「忘れてた! じゃあおやつに2つ作れば手伝ってくれるんですか!?」

門番「いえ、私はココを離れるわけにはいきませんので。あしからず」

男「ですよねぇ!」





男「・・・・・・ふっ、とっと・・・・・・よいしょっと」ドスン

男(これで全部か、思ったより重いのが多かったなぁ・・・・・・しかもまた汗をかいてしまった)ベタベタァ


メイド「――あら、荷物運びご苦労様です」


男「あ、はーい。とりあえず業者さんから受け取ったものはすべてココに運んできました。食料以外、皆さんの荷物はどうすれば?」

メイド「お嬢様へは私が。あとのものは昼食と一緒に届けてあげてくださいまし」

男「了解です。――――あ、そうそう、メイドさん宛ての荷物もありまして・・・・・・」エート

メイド「む・・・・・・そうですか」ヤッパリ

男「あれ、無くなってる・・・・・・? いや、そんな馬鹿な」ハテ?

メイド「えーと、たぶん門番の所でしょう。――ふむ、ではこうしましょう。私が門番に昼食を届けますから、貴方は教授さんの方をお願いします」

男「そうですか? すいません、忘れてきちゃったみたいで」

メイド「お気になさらず」





男「さて、教授さんのところにいこうかな」

男「教授さーん」コンコンコン

                「・・・・・・・・・・・・」

男(――3・4・5――――10、返事は無し。でも焦らずに)

男「教・授・さーん!」ドンドンドン

                「・・・・・・・・・・・・」

男「・・・・・・」

                ガチャ


秘書「・・・・・・」ジー

男「おはようございます、秘書さん。教授さんの昼食・・・・・・いえ朝食を持ってきました」

秘書「・・・・・・」コクン

男「中に入っても大丈夫ですか?」

秘書「・・・・・・」ウーン?  ・・・コクン

男「本当ですね? 教授さんは服着てますね?」

秘書「・・・・・・」ブンブン

男(やっぱり・・・・・・)

男「少し待つので着せてきてください。ええ、靴下からなにからちゃんと、ええ」

秘書「・・・・・・」コクン  ギーガチャ






男「・・・・・・裸で寝るのは自由だけどさー・・・・・・ちゃんとしてよ」






教授「何かステキなイベントをスルーした気がするわ」

男「・・・・・・何の話ですか?」

教授「いえそんな気がするだけだから気にしなくて結構よ」

男「さいですか」


秘書「・・・・・・」ヒョイ  ズンズンズン    ドスン

教授「ちょっと秘書?もう少し丁寧に置いて頂戴」ズッ ガサガサ ドサッ

男「その片付け方(?)をしながら言っても無駄なのでは・・・・・・」



教授「ホコリがたつじゃない」

男「掃除しないからじゃん!」


教授「朝から元気いっぱいねなにかあったのかしら」

男「もう昼ですよ。こっちは朝から太極拳したり荷物運んだりしてるんで、元気にあふれてるんで」

教授「はぁご苦労さんねあんな踊りを朝からしようだなんて」

男「いえ、意欲的に取り組んだわけでは・・・・・・」

教授「まあなんにせよいただきましたごちそうさま今日も素晴らしくおいしいデキだったわ」

男「ありがとうございます」

教授「これであとは午後の実験材料にでもなってくれたら十全なんだけれど」

男「じゃ、洗い物があるのでこれで」シュタッ

教授「・・・・・・」パチン

秘書「・・・・・・」スッ

秘書「・・・・・・」ガシッ

男「ぐえっ」

教授「――あらやだ酷いじゃないにべもなく断りもせず出て行こうだなんて」

男「ぐぐぐ放してください! ここ最近でようやく分かってきたんですから貴女の危険度!」

教授「いやねぇこーんな美人二人捕まえて危険だなんてあひょっとして危険なほど美しいという意味かしらね」

男「そんなわけぇえええたいたい痛い!」

秘書「・・・・・・」ムスッ ギリギリ

男「びび美人というのは! その通りでしたたただだ」ギリギリギリ

秘書「・・・・・・」フフン  ギューッ

男「いや弱まってない弱まってない! なにこの力強さ!? 門番さんの比じゃないんですが!?」ググググ

教授「ああその子のベースってこの館の全員なのよ身体機能に関しては門番をベースにいろいろなセーフティをとっぱらってあるの」

男「それを外すだなんてとんでもない!」

教授「存外役に立っているわねこういうと・き・と・か♪」ツツ ツィー

男「!!」ゾゾゾ

秘書「・・・・・・」///

教授「えい」プツン

男「痛っ! なんですか――髪の毛?」

教授「もういいわよ逃がしてあげなさい」

秘書「・・・・・・」コクン

男「な、なにを・・・・・・するつもりですか、人の髪の毛で・・・・・・」ゲホ ケホッ

教授「んーそれは全てが終わってからのお楽しみかしらね楽しみにしていなさいな絶対に面白くなるわ」

男「100%俺以外の人が面白がるやつじゃないですか・・・・・・」

男「と、とにかく髪の毛を返してください」

教授「あらあら器の小さな事だこといいじゃないの1本や2本や100本くらい」

男「その1本の損失を絶望に感じる男性も・・・・・・じゃなくてですね、器の問題じゃなく教授さんの信用の問題ですよ」

教授「たかが髪の毛でそこまで信用を失うものかしら?」

男「それ以上信用を失う事は無いでしょうに。信用に足りないと言いたいんですよ――分かってていってるでしょ!」

教授「ひひひひひひひ」パチン

秘書「・・・・・・」コクン  ムンズ

  ヒョイ

  ガチャ

  ポイ

  バタン

男「・・・・・・・・・・・・」

  カチン

男(鍵っ!?)











男「・・・・・・結局、泣き寝入りだよ・・・・・・」グツ グツ グツ

そういえば毎日昼まで寝てる設定の教授ですが、お題にあった『教授の朝』はまた別の形でお見せするつもりっす。

『昼ごはんを食べ終わってポカポカな日光をあびてる門番』

男「さて――」ガチャ

男(そろそろ固まったかな~・・・・・・ん、いいな。さっそく持っていってあげようかな。時間もちょうどおやつ時だしね)





男「・・・・・・」 ソロリ ソロリ

門番「・・・・・・」ポケー

男「・・・・・・あれ、起きてる」

門番「んあ? ああ、コックさん。こんにちわ、いい天気ですねぇ・・・・・・」ポケー ダラー

男「よだれよだれ」

門番「おっと」ジュルリ

男「確かにいい天気ですけど・・・・・・いや、てっきり寝てるんじゃないかと思ってましたが」

門番「HAHAHA、確かに良いお昼寝日和ですが、私は絶対に寝たりしませんよ」

男「・・・・・・」

門番「絶対に寝たりしませんよ」

男「そろそろ認めませんか?」

門番「ななな何をでしょう」

男「メイドさんも言っていました。『門番はちゃんとしていましたか』って」

門番(メイドさんにもバレてる!?)

男「24時間警備し続けているのは知っていますし、お気持ちをお察しできますが、隠さなくてもいいじゃないですか」

門番「ははは、はは、は・・・・・・いや~、その」ポリポリ

男「というかですよ、そもそもこの広いお屋敷を全部一人で守るだなんて無茶ですよ。それも毎日24時間・・・・・・もう無茶どころか無理ですよ」

門番「ん~」ポリポリ

男「そもそもどうしてこんな形態(こと)になってるんです?」イマサラデスガ

門番「それは、私一人で十分だからですよ。私は『氣』で生命の位置を把握できますから、この敷地内くらいはわけないんです」

男「それなら室内にいればいいじゃないですか」

門番「それでは門を守るものがいなくなります。敷地を囲む塀も鉄柵も、どちらも乗り越える事はできません。『そういう風』にしてあるからですが、この門だけは『そういう風』になっていないのです」

男「『そういう風』というのは・・・・・・?」

門番「生き物が乗り越えようとしますと・・・・・・」

男「しますと」ゴクリ

門番「爆発四散します」



男「ちょっとまて」



門番「だから唯一の出入り口であるこの門を――なんですか?」

男「なんなんですかその危険極まりない単語は!」

門番「分かりやすくそういう仕掛けにしたんだそうです。詳しい仕組みはよく理解できませんでしたが・・・・・・」

男「・・・・・・誰がしたんですか?」

門番「『教授』さんですけど」

男(――――あの女ァ!!)

門番「まぁそんなわけで私は基本的にはこの門を抑えておけばいいのですよ」

男「なるほど――で、それと昼寝はどう関係が?」

門番「えっ!? その、あっ! 実はですね寝てるようで寝てないんですよ実は」

男「ほほう、というと?」

門番「寝ているように見えるときは周囲の氣を探っていてですね、反応が遅れるというか――いや、ちょっと心外だなぁ寝てるだなんて言われるのは」

男「へー」




男「で、本当は?」

門番「お昼寝 超気持ち良い」




男「やっぱり・・・・・・」

門番「あの、内緒にして下さいね。怒られちゃうんで」

男「いや、こればかりはちょっと・・・・・・」

門番「私、睡眠が浅いので何かあってもすぐに対処できます! 問題ありません!」

「いえ、寝ていること自体が問題なの」

男「その通りですね――え?」

門番「――――え?」



メイド「・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

男「・・・・・・」

門番「メ、メイドさん・・・・・・」

メイド「ようやく自白したわね・・・・・・いつもいつもごまかしてばかりで真面目に答えないくせに。コックさんにはずいぶんと正直なぁのぉ、ねぇ?」ゴゴゴゴゴゴゴ

門番「」

男「あの、メイドさん――」

メイド「何か?」ニッコリ

男(笑顔が怖い!)

男「あの、これ、今日のおやつの杏仁豆腐なのですが・・・・・・」

メイド「あら、いい匂いの正体はそれだったのね」

門番「そ、それはまさか!」

男「ちょうど二つあるので、ぜひお嬢様とご一緒にお食べ下さい――ええと、今すぐ、に」

門番「私の――」

メイド「んん”?」ギッ

門番「・・・・・・」フイッ

メイド「・・・・・・それはつまりワタクシを買収しようというわけですね?」

男「いえそんなつもりはまったく・・・・・・」



メイド「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ」

男「!」


メイド「まぁ、コックさんの優しさとお嬢様の笑顔に免じて門番を許しましょう」

門番「――♪」パァッ

メイド「居眠りについてはもうお嬢様に報告済みですので」

門番「えっ」

メイド「言質を取れたという事でまぁ近いうちにどうにかなるでしょう」

門番「!?」

男(いったい何が許されたっていうんだ・・・・・・?)

メイド「ワタクシを差し置いておしゃべりしていた事ですわ」

男「!?」

メイド「ふふ、何も心が読めるのは門番だけではないのですよ?」

男「・・・・・・」ガクガクガク







男「・・・・・・行きましたよ」

門番「――ドウシヨウ・・・ドウシヨウ・・・ドウシヨウ――」

男「門番さん?」

門番「コックさん、もし私がクビになったら後生ですから遺灰は故郷の土に返してくださいね」ガシッ ウルウル

男「落ち着いて・・・・・・」





門番「うう・・・・・・私の杏仁豆腐ぅ・・・・・・」

男「また作ってあげますよ。――しかし、メイドさん、本当に不可能がないんじゃなかろうか・・・・・・」

門番「グスッ・・・・・・・あーそうですね、確かに万能ですね」

男「職業的な意味でのメイドさんて、どこで腕を磨くんでしょうかね」

門番「専門機関とかじゃないですか? メイドさんは違いますけど」

男「ご存知なんですか?」

門番「ええ――彼女の技術は全て経験と努力によるものです。たぶん事前に専門的な事は一切学んでいないと思います」

男「へー・・・・・・いつからここに勤めてらっしゃるんですか? そういえば門番さんもいつから?」

門番「えー・・・・・・私は先代の頃からですが、メイドさんはいつだったかなぁ――ご本人に聞いてみてください」フッ

男「? わかりました」





男「ちょっと長居が過ぎましたね」ドッコイショ

門番「今夜の夕食はなんですかね?」

男「カレースープですよ」

門番「おおー、お肉は入ってますか?」

男「牛肉を」

門番「いいですね、楽しみです」

男「ライスとパン、どちらが良いですか?」

門番「ライスでお願いします!」

男「わかりました――じゃ、お仕事がんばってくださいね」

門番「はい、お任せください!」

スタスタスタスタ・・・・・・

        ガチャン
           バタン



門番「――――ふぅ・・・・・・ついにバレてしまいましたか・・・・・・」        ポカポカ

  「こんなに日当たりの良いところで寝るなと言う方が無茶だと思うんですけどねぇ」    ソヨソヨ

  「杏仁豆腐食いっぱぐれちゃいましたし、今日の午後は気分的にはローですかね」   ポカポカ

  「さて、仕事しますか」スッ

  「周囲に怪しい気配、なし。氣の様子、安定。ちょっと遠くも探ってみますか――――」ググッ











門番「グー・・・・・・gu......」スヤスヤ  g-g- スヨスヨ




【つづく】

久しぶりの書き込み、長っちりになりましたが、これで以上です。

ちょっといそがしい。
だからこそ息抜きがてらに。

【夕食後】

メイド「は? 私の勤務年数ですか?」

男「ええ、門番さんは先代様の頃からと言ってましたが・・・・・・メイドさんはどうなんだろうと思いまして」

メイド「あー・・・・・・はいはい、そういうことですか。私は代々この家に勤めていますので、かれこれ・・・・・・ええと」ンー

男「――意外ですね、メイドさんなら日数単位で把握してるかと思ったのに」

メイド「さすがにそこまで気にしていられませんわ。ま、それくらい長いということで」

男「あれ? そういえばメイドさんは今 メイド「なんですか?」」

男「・・・・・・まだ何も言ってないですけど」

メイド「失礼な顔をしています」

男「失礼な顔!?」

メイド「いえ、間違えました。失礼な事を考えている顔です」

男「あ、ああ。なんだビックリした」

メイド「女性は年齢に敏感なんですからね。貴方ももう一端の社会人、些細なマナーには注意してください」フンッ

男「すいませんでした」ハハハ

メイド「まったく――――あ、ひょっとして教授さんにもなにか失礼をしたんじゃないですか?」

男「えっ」

メイド「先ほど夕食を運んだときに執拗にコックさんでないことを確かめられましたよ」

男「いえまったく身に覚えがありません。そうなった経緯には心当たりしかないですが」

メイド「というと?」

男「実はですね――――」

メイド「なるほど、実験材料ですか」

男「いったい何をされるのか、気が気でないんですが・・・・・・」

メイド「悪いようにはならないと思いますよプププ」

男「笑われた!?」

メイド「さっきは後姿しか見られませんでしたが、すぐに夕食に手をつけなかったことから察するに、実験はまもなく終わるという事でしょう」

男「何か変わった様子とか、実験の様子とかは・・・・・・?」

メイド「あの人は全ての実験を机上で済ませ、本番では最高の結果を出す人ですから。何も分かりませんわ」

男「そう、ですか・・・・・・」ズーン

メイド「『机上の究論』『紙上最高の魔法使い』などという二つ名もあるそうですよ」

男(なにそれカッコいい・・・・・・)

メイド「真面目に言いますが、悪いようにはなりませんわ。お嬢様との契約で『身内に不利益は出さない』としているのです」

男「契約?」

メイド「食客分ですから、何かしら利益を出すのが勤めです。その為の契約があれこれあるそうで。流石の私も全ては知らされていませんけれどね」

男「なるほど」





男「――――おっと、もうこんな時間か」   ・・・ボーン ボーン ボーン・・・

メイド「あらやだ本当、これでは門番を笑ってもいられませんわね」カタン

男「はは、そうですね。片付けましょう」カチャカチャ

メイド「はい、ごちそうさまでした」カチャチャ

仕事中の休憩にSSを書いていた結果、寝落ちしてしまいSSを見られてから起こされて仕事をふられた事が貴方はありますか。
俺はあるぜ(;v;)

メイド「では、本日も御疲れ様でした」

男「御疲れ様です」

メイド「この後は?――また読書ですか?」

男「ええ、そのつもりです」

メイド「そうですか。すっかりあの詰め所が私室になっていますわね」

男「すいません。あそこがなんだか落ち着くんですよ。多分ここに来る前に居たところと同じくらいの広さだし、懐かしいというか」

メイド「まぁ、貴方になんの不満も無いならとやかく言いませんわ。他に使う者もいませんし」

男「ありがとうございます」

メイド「――――では、これで」ペコリ

男「はい、おやすみなさい」

メイド「おやすみなさいませ。夜更かしして寝坊しないようにして下さいね」

男「はい――と、そうだ、アレの6巻以降が見当たらないのですがご存じないですか?」

メイド「さぁ? 誰が買ったのやら・・・・・・詰め所に無ければ、図書室じゃないでしょうか」

男「ははは、図書室・・・・・・しばらくは続きが見れそうにないですね」

メイド「ふふふふ」






『大きなネズミ』

男「げ」チャリッ

男(冷蔵庫の鍵閉め忘れてる・・・・・・)チラ


 【00:43】コチ コチ コチ コチ


男「しゃーない、か」 ガチャ  バタン





男「そういえばメイドさん言ってたな・・・・・・」


  『この館には夜な夜な食料を荒らすでっかいネズミが出ますので』


男「今日まで特にそれらしい事は起きてないけど、鍵があったからだとすると・・・・・・嫌な予感しかしないぜ」





――厨房

男「・・・・・・」チラッ


?「――――」ガサガサ! カパッ カツカッカッ・・・ ゴトッ


男(何か居るぅぅぅううう!?)

男(ここからじゃ冷蔵庫の扉が邪魔で見えないけど・・・・・・人間? だよね? でっかいネズミっていうのは比喩だったのか)

?「――――」 ピッ カチャカチャカチャ ズズズズ コトッ

男(放っておくわけにはいかない、でも誰かを呼びにいったほうがいいのか? 門番さんとか・・・・・・いやいや! そもそも侵入者じゃん! 門番さん何やってんの!)


 ――門番「ぐー・・・・・・・ぐー・・・・・・ふが・・・・・・」


男(もし寝てるんだったらもうかばったりしないぞまったく・・・・・・あ、そうだ、内線)チラッ

―――――――――
、冷蔵庫、、、、|
侵入者、、、、、|男
、、、、、、、、
、、、、、、、、|
、、、、内線、、|廊下
―――――――――
※調理台などは記していない。


男(ちょっとヤバいかな? でも呼びに行ってる間に逃げられたら・・・・・・メイドさんの部屋に『緊急』を送れればそれでいい)ゴクッ

男「・・・・・・」ソー  ススッ ススッ ジリジリ

?「――――」 バリバリッ ポキポキ ポキポキ

男「・・・・・・」 ジリジリ 

?「――――」 サクサク サクサク  コンッ

男(・・・・・・あと2メートル弱・・・・・・侵入者も少し見えてきたぞ)チラッ

?「――――」 キュッポ ゴクゴク ゴクゴク

男(結構、小柄だな・・・・・・裸足に、薄着、銀髪・・・・・・・・・・・・ん? 銀髪?)











男「――――お嬢、様?」

主「!・・・・・・」ツルッ ガシャン

男「何をしていらっしゃるのですか? こんな夜中に、そんな格好で・・・・・・」パチン

【灯りON】

男「ネグリジェにドロワーズって・・・・・・いくら屋敷の中とはいえそれは流石に、ちょっと・・・・・・」

主「・・・・・・」フルフル

男「違う違うって何が違うんですか」

主「・・・・・・」チョイチョイ

男「? そっち行けばいいんですか?」

主「・・・・・・」チョンチョン

男「なんです、何か落ちてます?」ンー?

主「・・・・・・」スッ トン

男「ッ」ガクッ ドサ・・・

主「・・・・・・」クククク








ピピピピ ピピピピ


男「――――・・・・・・はっ!?」ガバッ

男(あれ? ここは・・・・・・使用人詰め所? 夢?)

男「いや、そりゃそうか、お嬢様が真夜中に夜食をあんな風に食べるわけ無いよな・・・・・・ポケットの鍵も無いし」

 コンコンコン

男「! ――はい!」

「コックさん? 起きてますわね? そろそろ働かないとお嬢様の朝食に間に合いませんわよ」

男「メイドさんか・・・・・・はい! 大丈夫です、すぐに取り掛かります!」

「まったく・・・・・・」 ヨフカシ シナイデッテ イッタ――カツ カツ・・・

男「・・・・・・行ったかな? ふぅ、さて、すぐ俺も行かないと――――」





【厨房】

男(朝食は何にしようかなー、門番さんは昨日の残ったカレーが良いとか言ってたっけ)

男「――うん、ちゃんと冷蔵庫に鍵掛かってる」ガチャ

男(・・・・・・あれ? なんだか冷蔵庫がすっきりしてる、ような? いやいや、まさか)

男「えー・・・・・・と、カレーの残りが、無いな。うん、確かにラップしたはずの杏仁豆腐も無い。おやつのポ○キーも無い・・・・・・中身だけ」

 カサッ

男「? 空き箱かと思ったら紙が入ってる」パラリ


 ――コックへ

  鳴く虫は捕らえられる。
  蛙は口ゆえ蛇に呑まるる。
  雉も鳴かずば撃たれまい。

  賢く有意義な選択を。


男「字ぃ汚っ! でも、うん、何が言いたいかはわかった」フゥ ヤレヤレ




 ――――だが只では済ましませんからね、お嬢様。

以上、お題「大きなネズミ」でした。
男のささやかな仕返しはまた今度に。
これでようやく朝から晩まで一日を追った話が終わりましたので、次回からイベントを始めていきます。
『魔女の御仕事』といった感じですか。そこで残ったお題2つも消化したいですね。
お題のリクエストはいつでも受け付けてます。忘れた頃に消化されると思いますが・・・・・・
じゃ、また次回ノシ

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