女教師「♂と♀の性物学を始めよう」 (282)



※このSSは卑猥な表現があります。R-15

※科学系SS。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1428243001


女教師「どうも、私は君達の1時限目の授業を受け持つことになった女教師だ」

女教師「さっそくだが、君達には今日から♂と♀の性物学の授業を受けてもらう」


真面目「」

お嬢様「ななな、何言ってんのよこの変態!」

チャラ男「ちょwwwなにそれエロいwwww」

天然娘「zzz………ふぁ」


女教師「最初に断っておくが、君達の考えるようなおハレンティーな内容ではないぞ」

女教師「ちゃんとした生物についての授業だ。……多分」

チャラ男「ええwwwどっちなんスかwwwww」

女教師「まあ、思春期真っ盛りな君達には[禁止事項です]の話題の方が興味が湧くのは無理もないがね」

お嬢様「は、はぁ!?そんな訳ないじゃないこのスケベ!」ガタッ

女教師「この私をスケベだと?全く舐められたものだな……」

女教師「今度はジト目でもう一度お願いします」ハァハァ

真面目「うわぁ」ドンビキ

天然娘「先生は変態さんなのぉー……」


女教師「さてと……私の紹介はここまでにしておこう」


女教師「ところで君達は、生物についてどのくらい知っているかい?」

真面目「どのくらい?うーん……」

チャラ男「はいはーいwwww俺俺www生物代表wwwww」

お嬢様「あんたは気楽そうで良いわね……」

天然娘「オバケじゃないものかなぁ?」

女教師「君達、もう少しマシな回答は無かったのかね……」


真面目「確か生物の定義は【自分で増える】【細胞を持つ】【エネルギーのやり取りをする】の3つだったと思います」

女教師「うむ、良く知っているな。それに【自分の状態を保つ】【外からの刺激に反応する】を加えれば完璧だ」

お嬢様「……。ええ、そのくらい知ってたわ。常識よね」

チャラ男「ちょっと何言ってるか全然分かりませんね」キリッ

天然娘「ぜんぜん知らなかったぁ」


女教師「教科書通りの説明ならそれでいいかもしれない。だがまあ……私個人としてはそうは思わないがね」

お嬢様「えっ……教師がそれってどうなのよ?」

女教師「知ったことか。何せこの授業は性物学だからな」フンス

チャラ男「それ答えになってないっスよwwwwww」


女教師「まあそう言うな。ところで、生物の最も基本な行動は【食う】【寝る】【ヤる】の3つ」

お嬢様「こ、言葉を選びなさいよっ!///馬っ鹿じゃないの!?」

女教師「他に良い表現が無いからしかたあるまい……ところでこの3つは、とどのつまり三大欲求だな」

女教師「特に【ヤる】は重要だぞ?なんせ増えるにはヤってヤりまくらなきゃならんからな」ニヤニヤ

お嬢様「もーっ!連呼するんじゃないわよこのセクハラ野郎!」

女教師「分かった分かった。冗談だよ……とにかく、そのとき親から子供に生物の設計図である遺伝子が半分ずつ受け渡されるわけだが……」

女教師「私は思うのだ。実はこの『遺伝子そのもの』が"真の生物"ではないか?とな」

チャラ男「いやいやwwww俺のオタマジャクシはピチピチだけどもwwww」

天然娘「遺伝子って生き物なのぉー……?」


女教師「いや、遺伝子自体は生きてはいない」

女教師「だがもし【自分で増えて】【進化する物】を生物であると定義するならば、これこそが生物の本質であるとは言えないか?」

お嬢様「うーん……納得するような、しないような……」

真面目「でも、何でその2つなんですか?」


女教師「少し昔の話をしよう。今から約25年前……生命をコンピューター上でシミュレートするという試みで"人工生命"が開発されたことがある」

女教師「そのソフトの名前は【ティエラ】。セル・オートマトンと言うシステムを応用した生命シミュレーターだ。……言っておくが事実だぞ?」

真面目「じ、人工生命?」

チャラ男「うはwwwwww急にファンタスティックwwwwww」

天然娘「機械の中に生き物が入ってるのぉ?」

女教師「まあ厳密には違うが……このソフトにはデジタル生物が住んでいて、一定の確率で突然変異を起こすようにプログラムされているんだ」

チャラ男「デ○モンっスかwwwww」

真面目「ちょっと違うと思う……」


女教師「すると生き残ったデジタル生物達はあらゆる進化を遂げ、"寄生体"や"免疫防御"、さらには"多細胞生物"のような、我々のいる世界とそっくりな進化を果たしたんだ」

真面目「なるほど……だから【自分で増えて】【進化する物】が生物、ということなんですね」

女教師「そうだな。そしてこの【自分で増える】つまりは生殖に関する領域が、私の専門分野といわけだ」


お嬢様「フツーに説明できるんだったら、最初っから下品な言葉なんて使わないでしなさいよっ」

女教師「私に死ねと申すか」キリ

お嬢様「そこまで!?」

天然娘「やっぱりへんたいさんなの……」

女教師「合法的にJKから罵られる……やっぱり教職員は最高だな!」

チャラ男「マジ羨ましいっスわwwwwwwww」

真面目(もうやだこの教師)


女教師「おっと、思ったよりも導入に時間が掛かってしまったな。それでは第1回の授業を始めるとしよう」

お嬢様「流石に授業中はちゃんと下の話は抜きでやるんでしょうね?」

女教師「は?無理に決まっているだろう」

お嬢様「ちょ」

真面目「不安だなぁ……」

女教師「では、1枚目のプリントからだな。今日の授業は……」ペラッ


女教師「第一回目の授業は【ハーレム】についての遺伝子学だッ!」

お嬢様「いきなりタイトルからおかしいわよ!何よハーレムって!」

女教師「まあそう言うな。男性諸君の君らはこう言うのは好きだろう?」

真面目「え、えーと…その///」

チャラ男「俺の将来の夢ですwwwww」

女教師「君達とは旨い酒が飲めそうだ」グッ

お嬢様「どうしようもないわねコイツら」ハァ


女教師「さて、今回は君達にハーレムについての理解を深めようと思う。次の写真を見てくれないか?」

天然娘「アザラシさんだぁ」

真面目「真ん中の一匹だけ、すごく……大きいですね」

女教師「そう、そいつはゾウアザラシのハーレムを撮った写真だ。大体【オス1匹に対しメス100匹】と言ったところか」

チャラ男「ヤベえwwwwww超絶倫wwwwwww」


女教師「ここで問題だ。【このゾウアザラシの子供が生まれてくる時、オスとメスの比率は何:何か?】」

お嬢様「そんなの簡単よ。答えは【1:100】だわ!」ドヤァ

真面目「僕もそう思います。そっちの方が無駄が少ないし、種全体のことを考えると効率的かと……」

天然娘「むぅー……【1:1】かなぁ?良くわかんないけどぉ」

チャラ男「いやいやwwwwwだったら残りのオス99匹は孤独死するじゃんwwwwww」


女教師「良くわかったな。正解は【1:1】だ」

チャラ男「えっ」

女教師「ちなみに残りの99匹のオスは独身で生涯を終えるか、"中古"を貰うかの惨めな二択を迫られる」

チャラ男「」


真面目「ちょ、ちょっと待ってください!それって種としては非効率なんじゃないでしょうか?」

女教師「君は何か勘違いしているようだが、ゾウアザラシの遺伝子にとって『ゾウアザラシの種が繁栄すること』なぞどうでもいいのだ」

お嬢様「ええっ!?じゃあゾウアザラシの遺伝子は99匹の仲間を見捨てて、一体何がしたいのよ!?」

女教師「決まってるだろう、『自分の遺伝子が残ればそれで十分』だ!」ドンッ

チャラ男「自己中すぎんだろwwwwwwwwひでぇwwwwww」

天然娘「アザラシさん、自分勝手なのぉー……?」

真面目「で、でもそれがオスとメスの比率1:1で生まれてくる理由になるんでしょうか?納得できません……!」

女教師「ふむ、やはり想像が難しいか…では少し見方を変えてみよう」

お嬢様「見方?」


女教師「ではそうだな……ゾウアザラシの"オスの遺伝子"と"メスの遺伝子"の気持ちになって考えてみたまえ」

チャラ男「遺伝子の気持ちとかwwwww意味不wwwwww」

お嬢様「えぇ?遺伝子の気持ちになるって……どういうことよ?」

女教師「まぁやってみればわかるさ。さて、今現在【オスとメスの生まれる比率が1:100】としよう」

女教師「遺伝子からすると、オスとメスの比率をどのようにすればより多く子孫を残せるかな?」

女教師「つまり、どうヤればできるだけ多くの遺伝子をバラ撒けるか?ということを考えてみてほしい」


お嬢様「なんだか釈然としないわね……とにかく、今はオスが自然にハーレムを築いてる状態なのよね?」

チャラ男「じゃあ子供はオスの方がいいなwwwww息子もハーレムで桃源郷だぜwwwwww」

お嬢様「そうね。言い方はアレだけど、子供はオスの方が沢山のメスからモテるわ」

女教師「そう、オスとメスの生まれる比率が1:100の時は【オスを産ませる方が将来繁栄する】。では次のケースを考えてみよう」


女教師「さっきのオスを生ませる遺伝子が繁栄したことで、オスが産まれる比率が多くなった」

女教師「その結果、今度は【オスとメスの産まれる比率が100:1】まで逆転してしまった。この場合はオスとメス、どちらを産ませた方が得だ?」

天然娘「逆ハーレムなのぉ」

お嬢様「さっきの逆ね……でもさっきと同じように考えたら、メスを産ませた方が子供は引く手数多ね」

チャラ男「魔性の女wwwww乙女ゲーかよwwww」

女教師「そう、オスとメスの産まれてくる比率が100:1の時は【メスを産ませた方が将来繁栄する】。ここまでで何か気づいたことはないか?」

真面目「これって……【オスかメスかは関係なしに、比率の少ない方を産ませた方が繁栄する】ということですか?」

女教師「その通り!こうして遺伝子達は自分の利益を最大にするために、シーソーを漕ぎ続けているのだな」

お嬢様「なるほど……延々と少ない方を増やそうとしたら、結局【オスとメスの産まれてくる比率は1:1】に落ち着くわけね」

女教師「そういうことだな。この現象は【フィッシャーの原理】という」

女教師「この仮説により、(一部の例外を除き)ほとんどの生物のオスとメスが同数で生まれてくる説明を裏付けることができるんだ」

女教師「遺伝子からみれば、自分の最大の利益を上げるのならばたとえ99匹の同族のオスが野垂れ死のうが知ったことではないという訳だな」


お嬢様「たとえハーレムでも性比は1:1になるって訳ね……あれ?」

チャラ男「じゃあなんでゾウアザラシはハーレムを作れるんだよwwwwwもしかして俺にもワンチャンあったりすんのwwwwwww」

女教師「それはない」

お嬢様「即答!?」

チャラ男「」チーン

女教師「いや、別にチャラ男が魅力の無い奴と言う意味ではないぞ。これには性比とは全く別の要因がアザラシに存在するからだ」

真面目「全く別の要因?」

女教師「そう。そしてそれは【オスとメスの体格差】に関係する」


女教師「ヒトの男女差はさして変わらないが、アザラシのそれは顕著だ」

天然娘「……まだまだ伸びるもん」ググ

お嬢様「まー、身長高い男の方がモテそうではあるわね」

チャラ男「ちょっとバナナオレ飲んでくる」ガタッ

お嬢様「そこは牛乳にしときなさいよ。どんだけ甘党よ」

真面目「でも体格が違うということは、そんなにハーレムを作ることに影響するものなんですか?」

女教師「君達はモテるモテないを基準に考えているが、決してそう言うことではないぞ……」


女教師「どうやら【オスとメスの体格差が大きい生物種ほど、オスがメスを取り合う際に争いがエスカレートする傾向がある】らしい」

天然娘「わたしのためにあらそわないでぇ」

女教師「つまり勝負を仕掛ける側も仕掛けられた側も、重大なケガを負うリスクが高まるわけだ」

お嬢様「ふーん……でもハーレムのオスに仕掛ける方は独身だし、失うものもないんじゃない?」

お嬢様「なら、一生独り身よりはチャンスにかけた方が得だと思うのだけど?」

女教師「君は分かってないなぁ……仕掛ける側のアザラシの気持ちにもなってみろ」

天然娘「アザラシさんのきもち?」

女教師「かたや自分は孤独なルーキー、かたや相手はありとあらゆる女をはべらす百戦錬磨のチャンピオンだぞ?」

女教師「35歳無職童貞が22歳新卒所帯持ちから女を寝取るようなものだ」

チャラ男「無理ゲーじゃねーかwwwww」

真面目「マトモに戦いを挑めば死んでしまうリスクもある……勝率の高い相手と戦うのは危険ですね」


女教師「メスの数は文字通り、オスにとってのステータスとなる。こうしてゾウアザラシはオス対メスが1:100という一夫多妻を築くのだ」

チャラ男「それってただのヘタレじゃんwwwwwww」

女教師「断じてヘタレではない!」

女教師「彼らはそう……平和主義者だ!!」バァーン


お嬢様「やっぱりヘタレじゃないの」


女教師「まあチャラ男の言い分も分かる。確かにゾウアザラシの中では無謀な戦いを挑み、見事ハーレムを勝ち取る勇敢なオスもいたのかもしれない」

女教師「だがそれは圧倒的に少数派だ。他の多数のオスは"独身を貫く""おこぼれを貰う""オス不在のハーレムをかっさらう"などの行動をする」

女教師「なぜならば、それがゾウアザラシの歴史の中で最も安全で安定したやり方だったのだろう」

女教師「ヒトの価値観から見ればみっともないかも知れない。だがそれは彼等や彼等の遺伝子が必死に編み出した物だと言うことを覚えて欲しい」


キーンコーンカーンコーン


女教師「おっと、もうこんな時間か。ではこれにて性物学第1回の授業は終了だ。起立、礼」

生徒達「ありがとうございました!」


―――――――――――――――…

今日はここまで、続きは明日更新



女教師「ふむ……生徒達が受ける次の授業は私の右腕、女教授が担当してるのか」

女教師「あいつはジョークは言えないが、態度に関しては誠実だからな」

女教師「もし彼女の授業に興味があるのなら、君達も覗いてみてやって欲しい」

女教師「私の似非生物学では満足しない者も、暇潰し程度にはなるかもしれないな」


【女教授「心と科学の生物学を始めましょう」《心と科学の生物学を始めましょう - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428330552/)》】




真面目「ただいまー」ガチャ

真面目兄「お帰り真面目ー!お兄ちゃんついにやったぞー!」バタバタ

真面目「……兄さんどうしたの?そんなに興奮して」

真面目兄「長かった……!くる日もくる日も積み重ね、ようやく!ついにこの日が来た!」

真面目兄「これを見よ真面目!『祝!エロゲキャラ攻略1000人達成!!』」バーン

真面目「あー……うん、おめでとう……?」


真面目兄「ここまで来るのにどれほど苦労したことか……!時に積み上げられるエロゲとティッシュの山に倦怠感を抱くこともあった……!」

真面目兄「まともなエロゲのリソースが尽き、泣く泣くカブトムシ(♀)や消しゴム(♀)と愛を育んだことも今となっては懐かしい思い出だ」ジーン

真面目(うわぁ)

真面目兄「真面目ー!今日は久々にお赤飯を炊いてくれー!」ヒシッ


真面目姉「うっさいおにぃ!真面目ちゃんに変な教育を吹き込まないでよ馬鹿ぁ!」バタン

真面目兄「お、なんだいたのか妹よ」

真面目姉「ずっといたよ!というか女の子の前でそんなイカ臭い会話しないでよヘンタイ!」

真面目兄「ハァン?女の子?そんなもんどこにいるの?現実見ろよ」

真面目姉「オメーがな!」ゲシッ

真面目「あ、あはは……じゃあ僕は晩ご飯のカレー作ってくるね」トトト


真面目(身長差のせいで人間はハーレムにならないって先生は言ってたけど……)ザクットントン


真面目姉「だいたい現実みてないのはおにぃの方じゃん!鏡見る?そんなホラー映画の冒頭で死にそうな印象残らないツラでモテるわけないよ」プ

真面目兄「こういう普段目立たなそうな顔の方がモテるんだよ!お前知らないの?」

真面目姉「ラノベ脳乙!だいたい身長だってもうすぐ真面目ちゃんに抜かされそうじゃん。男として悔しくないの?」クスクス

真面目兄「真っ面目ー!やっぱり今日は牛乳たっぷりシチューなー!!」

真面目「……いいけど、僕も食べるんだから意味なくない?それ」グツグツ

真面目兄「あ、やっぱりカレー!甘口な!」

真面目姉「甘口とかwwwお子様舌乙www」

真面目兄「ハァ?辛口好きはカプサイシンの取りすぎで頭おかしくなってんじゃねーの?」

真面目姉「ハァ?」カチン

真面目兄「ハァーン?」カチン


真面目(……もし現実にハーレムが出来ても、妬み嫉みですぐ修羅場になるだろうなぁ……)

真面目「……中辛で良いかな」ボチャン


…―――――――――――――――



女教師「近親相姦――――それは人類のタブーであり、禁断の果実」

女教師「しかし人類史を振り替えれば、古代エジプトや中世ドイツ、中国スペイン日本ポルトガル……世界中で近親婚の事実は残っている」

女教師「現代日本では優生保護法は廃止され母体保護法に移行したと言うのに、未だに優生学に基づき近親婚は禁止されている」

女教師「一体どうしてなのか、考えたことはないか?」クルッ


お嬢様「知らないわよ!相変わらずキモいわね!」

真面目「よくそんな発想が浮かびますね……考えたこともなかったです」

天然娘「ひとりっ子だからわかんないのぉ」

チャラ男「流石に笑えねぇwwwwwwww」


女教師「君達の感性はどこもおかしくない。一般人からしてみれば、近親相姦と言うワードだけでドン引きするのが普通だろう」

女教師「だが、"なぜだ?"」


お嬢様「なんでって、それは……あれ?」

お嬢様「まあ何でもいいわ。とにかく家族でその……するとかキモい!」

真面目「テレビとかで見たんですけど、近親婚で産まれた子供は先天性の病気にかかりやすいって言ってました」

チャラ男「そもそも妹とか姉にコーフンする奴なんていねーwwwwww」

天然娘「お年玉がへっちゃうのぉ」


女教師「そうだなあ……色々な意見が出たと思うが、まずは前回同様に遺伝子から見たメリット・デメリットを探ってみようか」

女教師「次のプリントの図を見て欲しい。2種類の色のハツカネズミが写っているだろう?」

天然娘「黄色いねずみさんだねぇ」

真面目「もう片方は黒い色のネズミですね」

女教師「遺伝子と言うのは安全のために"スペア"を持っていて、片方が壊れていてもあまり問題にならないようになっている」

女教師「この黄色いハツカネズミは片方の遺伝子が壊れていて、『メラニン色素を作るのを止めろ』と言う命令がいつも出しっぱなしなんだ」

お嬢様「色素が作られにくいから明るい色をしてるのね。で、こっちの黒いヤツは色素が作られ過ぎて真っ黒と」

チャラ男「じゃあ壊れた遺伝子2つがセットだったら、色が全然作られなくて真っ白なんじゃね?wwwwwwwwカッケェwwwwww」

女教師「その場合、産まれる前に死ぬ」

チャラ男「」


女教師「恐らくメラニンが重要な役割を果たしているのだろうが、この壊れた遺伝子がセットになる場合"幻の白いネズミ"は死んでしまうんだ」

女教師「このように、2つ揃うと産まれる前に死んでしまう壊れた遺伝子を【致死遺伝子】と呼ぶ」

お嬢様「産まれる前に死んじゃうなんて、ちょっと可哀想ね」

真面目「もしかして……人間にも致死遺伝子があったりするんですか?」

女教師「何もヒトだけが特別な訳ではないぞ。諸説あるが、ヒトの致死遺伝子は1人につき平均して約2個前後あるらしい」

チャラ男「マジかよ怖ぇwwwwwwでも当たらなければどうと言うことはないんじゃね?wwwwwwww」

女教師「そうだな。見知らぬ他人ならハズレを引くことはまずないだろう」


女教師「だが親子や兄妹だと話は別だ」

お嬢様「あー……それは何となく分かるわ。遺伝子が半分ぐらい自分と同じだからよね」

女教師「察しが良いな。致死遺伝子を持つ確率が50%とは言え、将来産まれる子供の数は確実に減るだろう」

女教師「何も致死遺伝子だけではない。死に至らずとも先天性の遺伝子疾患を患うリスクは十分ハネ上がると思われる」

チャラ男「ムリしてヤらなくても、知らねー奴とスるのが一番ってことだなwwwwww」

天然娘「でも障害のある恋って、ドラマチックであこがれちゃうの」

お嬢様「ドラマの中限定だからドラマチックって言うのよ」


女教師「ところでだ。遺伝子的には近親相姦は何としても避けたい」

真面目「はい」

女教師「ならどうすればいい?」

お嬢様「……。は?」

真面目「言っている意味が良く分かりませんが……」

女教師「意味も何も、言葉通りの解釈だよ。まさか遺伝子が頭の中で『あいつと子作りするのは止めとけ』とでも囁くのか?」

お嬢様「そんな訳ないじゃない!……そんな訳ないけど!」

女教師「遺伝子に『義妹最高!』とか『やっぱり小学生は最低だぜ!』などと日本語やアルファベットで書かれているのか?それこそあり得ない」

お嬢様「ぐぬぬ……!ならどうやって家族とするなんてことを避けてるのよ!」


女教師「まずそこからだな。そもそも遺伝子はどうやって"家族"を認識しているんだ?」

チャラ男「家族は家族でしょwwwwww何いってんのwwwww」

天然娘「生まれたときからずっといっしょにいる人だよぉ」

お嬢様「そんなの当たり前じゃない、見知らぬ他人だったら怖いわよ」

女教師「いや、天然娘が言った答えで間違いではない」

天然娘「ふぇ」

真面目「つまり家族と認識される人物は、生まれたときにずっと近くにいた人と言うことですか?なんだか無理があるような……」

女教師「ざっくり言えばそういうことだな。2枚目の写真を見て欲しい」


ピラッ

お嬢様「ヒゲのオッサンがカモと戯れてる……」

女教師「オッサンとは失礼な奴だな……この人は【コンラート・ローレンツ】といって、【刷り込み】に関する研究に大いに携わった研究者だ」

真面目「刷り込み?」

女教師「刷り込みとは、生まれたばかりのヒヨコが最初に見た者を親と認識する現象のことだ。このヒヨコはコンラートを母ガモと思っている」

チャラ男「こんなムサいオッサンが母親とかwwwwwウケるwwwww」

天然娘「おじさんなのにおかあさんなのぉ?」

女教師「我々からすればあり得ないことだが、この子カモは姿も性別も母ガモとはかけ離れたコンラートを母と認識しているのだ」


女教師「そしてコンラートの後に続く研究者は、この刷り込みが起こる"トリガー"を模索した。最初の仮説は【生まれてからの時間】だ」

真面目「刷り込みは、生まれてすぐにしか起こらないと言うことですね」

天然娘「でもおとなりのおじさん、いっぱい大人の人からママっって呼ばれてるよぉ?」

お嬢様「それは違っ……いや、ある意味刷り込みね」

チャラ男「むしろ洗脳じゃねwwwww」


女教師「しかし、これは半分正解だが半分は間違いだった。確かに明るい部屋で実験した場合はこのヒヨコはすぐに刷り込みが起きたんだ」

女教師「だがこれに対し、【光のない暗い部屋で実験したところ、ある期間を境に刷り込みが起こらなくなった】」

チャラ男「暗ぇとこで引きこもってたから性格がひねくれたのかwwww」

真面目「つまり、刷り込みにはタイムリミットが存在する……?」

女教師「そう、刷り込みには【時間制限】そして【光の刺激】と言う2つの条件が必須と言うことだ」


お嬢様「刷り込みが小さい頃にしか起きないのは感覚的にわかるわ。でもなんで光が必要なのかしら?」

女教師「良いところに目をつけたな。この光と言うのは言わば"スイッチ"だ」

天然娘「すいっち?」

女教師「我々の脳は電気信号や神経伝達物質の他に、ホルモンによっても影響を受けることがある」

女教師「幼いヒヨコが光の刺激を受けると、あるホルモンが脳の神経細胞に放出されるのだ。見事当てられたら私のセクチーな写真集をやろう」

生徒達(い、いらない……)


チャラ男「俺知ってる知ってるwww【インスリン】だろwww飯食って賢く育つんだぜwwww」

お嬢様「私は【アドレナリン】だと思うわ。だって強烈な出来事は忘れにくくなるもの!」ドヤッ

真面目「僕は【成長ホルモン】だと思います。時期もあってますし……」

天然娘「んーとぉ……たぶん【チロキシン】だと思うのぉ」


女教師「ふむ、君達も中々博識じゃないか。正解は【チロキシン】だな」

女教師「正直当てられるとは思わなかったぞ……天然娘、約束通り私の写真集をやろう」スッ

天然娘「ありがとぉ。女教授さんにみせてくるねぇ」ゴソ

女教師「あっ、それはダメだ。やっぱり返せ」ガシッ

天然娘「むぃぃぃぃー」グググ

お嬢様(大人げないわね……)


真面目「チロキシンってなんですか?僕はじめて聞きました……」

女教師「チロキシンとは『甲状腺ホルモン』の一種で、アミノ酸の『チロシン』にヨウ素が4つくっついたようなホルモンだ」

チャラ男「ヨウ素って海草にタップリ入ってるんだぜwwww」

お嬢様「中学の時に実験で使ったわ。デンプンに垂らすと色が変わるのよね」

天然娘「うがいぐすりにも入ってるよぉ」

女教師「チロキシンは代謝を促進させる働きがある。このホルモンが多くなってしまう『バセドウ症』では常に満身創痍になってしまうのだ」


お嬢様「なんか、それを聞いたら刷り込みと関係ないような気がしてきたんだけど……」

女教師「生物とは一枚岩ではないと言うことだ。子供の頃と大人では全く逆の作用を示す物質もある」

女教師「このチロキシンにしても、あるときは全身でホルモンとして働きもすれば脳では刷り込みのスイッチとしても働くと言うことだ」

真面目「ふ、複雑なんですね……」

女教師「特にセ○クスの時なんかヤバいぞ。全身のありとあらゆる場所から生理活性物質のカクテルが

お嬢様「そ、その話は別にいいわよっ!」


女教師「とにかく、ヒヨコはこの"チロキシン・スイッチ"によって刷り込み現象を起こしていることが研究により明らかになった」

女教師「これは遺伝子が『家族』と言うものを抽象的に認識している証拠に他ならない」

チャラ男「でもそれってヒヨコだけじゃねーのwwwww」

真面目「人間にも同じことが起こりうるのでしょうか?」

女教師「あー……私の方針としてはあまり人間のケースは出さないようにしているのだが、今回ばかりは致し方ないな……こんな話がある」

女教師「とある中国の一部の地域では、家が決めた将来結婚する相手を子供の頃から同棲させるという風習があるんだ」

天然娘「いいなずけが幼なじみなの?ちょっとロマンチックなの」

チャラ男「やべーwwwwwwそれなんてエロゲだよwwwwww」


女教師「だが、そのカップルの離婚率は統計的に一般的な中国人と比べると有意に高いことが判明した」

お嬢様「現実は非常ね」

真面目「夢のない話だなぁ……」

女教師「そこで詳しく統計データを解析すると、どうやら約3歳頃までに同棲していたカップルはほとんど離婚していたことが分かったのだ」

お嬢様「なるほど、人間の刷り込みのタイムリミットは3歳って訳ね」

女教師「そういう見方もできるな。まあヒヨコのそれとは全く違ったメカニズムなんだろうが……」


女教師「人もヒヨコと似た現象を起こすかもしれない。だが同時に、人間の脳は他の動物と比べて非常に複雑であることも忘れてはいけない」

女教師「現に、この刷り込み現象を研究した他でもないコンラート自身が幼馴染みで年上の女性と結婚しているのだからな」

真面目「ええっ!?」

チャラ男「ちょwwwwww説得力ねえじゃんwwwwwww」

お嬢様「身も蓋もないわね……」

女教師「それについては、さすがのコンラートも弁解の言葉はないらしい……」

天然娘「うっかりさんだねぇ」


キーンコーンカーンコーン


女教師「お、もうこんな時間か。何かいい忘れた質問などはあるか?」

チャラ男「質問質問!wwwwwじゃあさ、エロゲとかでよく妹が攻略対象になったりするじゃん?wwwwwww」

チャラ男「あれもリアルでありえたりすんの?wwwwwww」

真面目「た、確かに3歳以上離れた妹には刷り込みは起こらない……」

チャラ男「そうそうwwwwwwだからあれって現実でもありえるんじゃね?wwww」


女教師「はあ?それはないな」ヘッ

お嬢様「ど、どうしたのよ急に……むしろあんたが好きそうな話題だと思うんだけど」

女教師「この際はっきりしておこう……君達の言う"理想の妹"は、現実のものとは一切関係ない!」

女教師「そもそも君達のイメージする"理想の妹"と言うのは……!」


女教師「自分のことを『お兄ちゃん』と愛称で呼び!」

女教師「一つ屋根の下で同棲していて!」

女教師「可愛くて!」

女教師「背が低く!」

女教師「自分だけに心と股を開いてくれる!」

女教師「奥行きのない女の子のことだぁぁぁ!!!」


生徒達(い、言い切ったーーっ!!)


真面目「そ、そんなの横暴です!」

女教師「なら私がさっき言った条件を全て真逆にして想像してみろ。どうだ、現実が見えてきたんじゃないか?」

チャラ男「ぐわあああ」

お嬢様「チャラ男が死んだわ!」

天然娘「なーむー……」

女教師「現実があり得ないから人間は理想に走るのだ。それでは今日の授業はここまで!起立、礼」

生徒達「ありがとうございました!」


今日はここまで


―――――――――――――――…


チャラ男「今帰ったぜーwww」ガチャ

チャラ妹「おかえりなさいお兄ちゃん、今日も外で食べてきたの?」テテテ

チャラ男「おっ……おう!すまねーなwwwバイトのまかないで食ってきたわwww」

チャラ妹「そっか……バイトも大事だけど体調崩さないでね?お兄ちゃんの体はお兄ちゃんだけのものじゃないんだから」ニコ

チャラ男「ご、ごめんなーwwwところで風呂って沸いてるか?」アセッ

チャラ妹「うん、お兄ちゃんが帰ってくる前に全部終わったよ。あたし偉い?」

チャラ男「じゃ、入ってくるわwwwいつもありがとなwww」ダッ


チャラ妹「………ふふ、また褒められた……」ボソ


チャプ……


チャラ男(俺の妹は可愛い。なんでも高校のミスコンに準優勝したらしく、モデルのスカウトに声をかけられたこともあるそうだ)

チャラ男(ついでに頭も良い。常に成績上位で生徒会役員にも入ってるし、海外に赴任した両親に代わって家事や家計を完璧にこなしている)

チャラ男「(あいつは自他認める"理想の妹"だけど…)」


ガサガサ……

チャラ妹『………』


チャラ男(あいつはどこかおかしい。血の繋がった兄妹なのに、あろうことか俺のことを異性として見てるらしい……)

チャラ男(親父達が向こうに行ってから、最近はもっとエスカレートしてきた気がする。正直引く)


チャラ男(俺の皿に何か混ぜている所を目にして以来、あいつの手料理は今も食えないし、)

チャラ男(気味の悪さから一番風呂はいつも譲ってもらっている。あいつの入った後の湯船に浸かりたくもないしな……)

チャラ男(あと、いつの間にか秘蔵のツンデレ物がぜんぶ妹物にすげ替えられていたときは殺意よりも恐怖を覚えた)

チャラ男「はぁ……どうしてこうなった」チャプ

チャラ男(なあ先生、血の繋がった兄妹で欲情するとかゲームじゃないとあり得ないって言ってたけど……)

チャラ妹『お兄ちゃん、まだ入ってるの?あたしもう脱いじゃったよ』ガチッガチッ

チャラ男(……これはどう説明するんですか?)ブクブク


チャラ男「んで……なんで今日は布団まで入ってくるんだよ?www」

チャラ妹「昔はよく一緒に寝てたよね?それと同じだよ」ゴソゴソ

チャラ男「なんか嫌なことでもあったのか?……ああ、そういえば聞いたんだけど、お前隣のクラスのDQNに振られたらしいなwww」

チャラ男「後で兄ちゃんが慰めてやるから、今日はもう自分の部屋に戻……」


チャラ妹「違うっ!!あんなダサい奴なんか相手にするわけないよ!!」

チャラ妹「お兄ちゃんよりも格好よくないクセにしつこくつきまとってさぁ、振ってやったら変な噂流し始めたのよ?ほんっとゴミだよね?」


チャラ男「」


チャラ妹「お兄ちゃん、あたしのこと好き?」

チャラ男「……お、おうっ!家族として好きだぜ!」

チャラ妹「ねえ……それってお嬢様先輩よりも?天然娘さんよりも?委員長さんよりもギャル先輩よりも真面目さんよりも元気娘さんよりも?」ウツロメ

チャラ男(アカン)

チャラ男「ま、待て!俺はそこまで守備範囲広くねぇよ!」

チャラ妹「でもみんなお兄ちゃんと話してたよね?私以外のヤツと…」

チャラ男(なんで知ってんだよ……)ゾワ


チャラ妹「もう、いい加減にしてよ……っ!」グイッ

チャラ男「な、なに脱がせようとしてんだ!?」バッ

チャラ妹「あたしお兄ちゃんなら『そういうこと』されても良いよ?誰にも言わないし、ピルだって……ほら!」スッ

チャラ男「なんでそんなもん持ってんだよ……そーゆーのって病院いかねーと貰えないんじゃねーのか?」タジ

チャラ妹「ギャル先輩から貰ったの。あの人アバズレだからさぁ、彼氏とヤるってお金渡したら簡単にくれたよ?」

チャラ男「っ……!おかしいだろ、だって

チャラ妹「『あたしたち、兄妹だから』?」ズイッ

チャラ男「!?」ビクッ


チャラ妹「あたしお兄ちゃんのことなら何だって分かるの!例えば……今日のお兄ちゃんはどんな授業受けたのか、とかね」

チャラ男「な、なら分かってんだろ?兄妹でもそうじゃなくても、ずっと一緒に暮らしてきたらフツー欲情なんかしねーんだよ!」

チャラ妹「それって動物の話だよね?」ガシッ

チャラ男「ひっ……」

チャラ妹「ねえお兄ちゃん。あたし達は『人間』なの。下等な動物とは違う」
チャラ妹「その証拠に、昔は近親相姦は特別なことじゃなかったんだよ?ううん、むしろ血統を絶やさないための神聖なものだった」
チャラ妹「今は世間一般の常識で近親相姦はタブーって言うのが当たり前だけど、お兄ちゃんは本当は世間の目が気になるだけ」
チャラ妹「お兄ちゃんは本当は遺伝子的な理由なんてどうでもよくて、自分の価値観とはかけ離れたものを排斥したいだけなんだよね?」

チャラ妹「お兄ちゃん……人間は動物なんかと違って考えることができるのよ?駄目だから駄目だなんて、ただの思考停止だよ」ハァハァ


チャラ男「――――いい加減にしろよっ!!」ドンッ

チャラ妹「っ!」ヘタッ


チャラ妹「なんで……なんで!?お兄ちゃんはあたしとシたくないの?あたしもお兄ちゃんも幸せになれないんだよ?」

チャラ妹「あ、そっかぁ。お兄ちゃん優しいから子供ができないか心配なんだね。安心してよ、ゴムもあるから――――」

チャラ男「そうじゃない!……そう言うことじゃないだろ……!」グッ

チャラ妹「なにがちがうの」

チャラ男「俺はお前と違ってデキがよくねーから、お前が何いってるかサッパリわかんねーけど……でもな!」

チャラ男「兄妹で一線越えるとか、フツーに考えて頭おかしいだろ……お前はたぶん親父達が居なくて寂しいのを勘違いしてるだけだ」

チャラ妹「………」

チャラ男「お前は俺の妹で、大事な家族なんだよ……家族の絆ってそんな簡単に切れるもんじゃねぇ!」


チャラ妹「……じゃあ、夫婦も家族だよね?」サワッ

チャラ男「――――触んなっ!出ていけ!!」バシッ!


チャラ妹「分かった。今日のところはごめんね」スクッ

チャラ妹「お兄ちゃん……またくるから」ニコ

チャラ男「―――――」


バタン


チャラ男「………はぁぁぁ……」

チャラ男(なんであいつ、ああなっちまったんだ……)

チャラ男(……性物学なんて、あてになんねーな……)スゥ


…―――――――――――――――

今日はここまで、明日は授業パート更新します



女教師「今回はヤリ○ンの生態についての授業をしよう」

お嬢様「だから!越えちゃいけないライン考えなさいよ!」バンッ

女教師「今まで遺伝子やら脳ミソやら、目に見えないものを扱ってきたからな。今日は君達の身近なことをテーマにしてみた」

天然娘「○には何がはいるのぉ?」

チャラ男「んんwwwwwヤリゴンはありえないwwwww」ペヤッ

真面目「てっ……貞操観念が生物にとって重要とはとても思えないのですがっ……!」

女教師「君は何を言ってるんだ……ヒトにしろ動物にしろ、どんな奴とヤりたいというのは繁殖において極めて重要なファクターだぞ」


女教師「そうだな……これまでずっと机に座って辛いだろう。真面目とチャラ男はこっちに来てくれ」

真面目「は、はい」

チャラ男「まさかwwww待望のえちぃシチュエーションっスか?wwww」


女教師「君達には今から……お嬢様をかけて逆立ちで勝負してもらうッ!」ドンッ

お嬢様「は、はぁっ!?何勝手に人を懸けてんのよ!?」

真面目「いや、僕は別にいらないからいいです……」

チャラ男「あれwwwあれwwww負けるのが怖いんですかぁ?wwwww」

真面目「むっ……そうとは言ってないじゃないか」カチン

お嬢様「ちょ、ちょっと!煽るようなことは止めなさいよっ」

天然娘「………」


真面目「そんなこと言われたら、僕だって引き下がる訳には行かない」グッ

チャラ男「よっしゃwwww吠え面かかせてやんよwwwww」

女教師「両者位置について!よーい……スタート!」

お嬢様「止めてぇっ!私のために争わないでーっ!」


――――――――――30秒後―――――――――


天然娘「………zzz」

チャラ男「なぁ……真面目さんよ……」プルプル

真面目「何、チャラ男くん……」ガクガク

チャラ男「俺達……いったい何を求めて競っているんだろうな……」プルプル

真面目「うん……正直、どうでもいいよね……」ガクガク

お嬢様「あ゙?」

チャラ男「……俺、もうゴールしてもいいよな……?」プルプル

真面目「あ、ずるい。僕だって今すぐ止めたいのに」ガクガク

お嬢様「も、もうちょっと耐えなさいよ!私はそんな安い女じゃ

チャラ男「……もう限界でーすwwwww」ベシャッ

お嬢様「ちょっとぉおおおおお!」


女教師「おめでとう。君の女としての価値は50秒だ」

お嬢様「」ピシッ


女教師「このようにオスがメスを奪い合う際に【持久戦】を挑む種の場合、どんどん持久力を持つオスが進化するだろう」

女教師「だが持久には時間と体力という"コスト"がかかる。コストがメスの"真の価値"を上回った場合、さっさと別のメスを探す方が得策だ」

お嬢様「ゴジュウビョウ……コノワタシガ……」グスン

天然娘「よしよし」ナデナデ

チャラ男「責任とらなくて大丈夫か?wwww」

真面目「……それ君が言うの?」


女教師「では別の勝負の例を見てみよう。今ここに【ヘタレ】なオスと【脳筋】なオスの2種類がいる」

お嬢様「あんたのボキャブラリーはどうなってるのよ」

女教師「ヘタレは他のオスに出会うと威嚇行動をする。ヘタレ同士が出会うと威嚇勝負が起こるが、脳筋と出会うと尻尾を巻いて逃げだす」

天然娘「こわがりさんだねぇ」

女教師「脳筋は他のオスに出会うととにかくケンカだ。特に脳筋同士が出会うと激しい勝負を繰り広げる」

チャラ男「男らしいぜwwwwやっぱり拳で語らなくちゃなwwww」

お嬢様「あんたはどっちかと言うとヘタレ寄りよ」


女教師「ここで次のような3つのルールがあるとするぞ」

①勝負をすれば時間や体力の浪費で-10P
②勝負に勝てばメスを勝ち取り+30P
③ケンカで負ければケガをして-50P


女教師「最初にヘタレ99%の集団がいたとすると、1匹のヘタレが出会うのはほぼ確実にヘタレだ」

お嬢様「ほぼ全員ヘタレって、田舎のヤンキーみたいね」

女教師「このヘタレが威嚇勝負を仕掛けると、勝った方は-10+30=+20P、負けた方は-10Pを獲得する。【ヘタレの平均は+5P】だ」

真面目「全体から見ると+なので、少しずつ繁栄しているんですね」


女教師「しかし、ここにいる1%の脳筋に至ってはそうではない。何故ならこの脳筋は出会う全てのオスに勝つことができるのだからな」

チャラ男「ヤンキーが本物のヤクザに勝てねー見てーなものかwwwww」

女教師「このときヘタレは一目散に逃走するので時間や体力の消耗は起こらず【脳筋は+30P】を得るが、ヘタレはPを獲得できない」

天然娘「へたれさんよりもポイントがいっぱいなのぉ」

女教師「やがて脳筋はヘタレよりも繁栄するだろう。だがここで脳筋に思わぬ事態が遭遇する」

真面目「脳筋が繁栄してヘタレが衰退したせいで、必ずヘタレに当たるということがなくなった……?」

女教師「そう、脳筋同士でケンカが起こる確率が増えたのだ。このとき一体何が起こるのだろうか?」


女教師「脳筋同士がケンカをした場合、勝った方は-10+30=+20Pを獲得するが、負けた方は-10-50=-60Pという大損な結果になる」

女教師「つまり【脳筋の平均は-20P】だ。これにより脳筋は衰退を始める」

お嬢様「そりゃあいつも上手くいくとは限らないでしょ……」

天然娘「やっぱり平和がいちばんだねぇ」

女教師「こうしてヘタレと脳筋の繁栄・衰退が釣り合うとき、このグループのヘタレと脳筋の平均得点は同じになるのだ」

真面目「でも、それって1:1ではなさそうですね……?」

女教師「その通り。実際にこの集団は【少し脳筋が多い偏った編成】をしていて、100%ヘタレの集団よりも1匹あたりの平均得点は低くなる」

女教師「このような集団のことを、生物学者のジョン・メイナード=スミスは【ESS(進化的に安定な戦略)】と名付けた」


女教師「このESSはいつもただ1つではない。時に最初に多く存在した集団が覇権を握り、ESSがシフトすることもある」

天然娘「どーゆーことぉ?」

女教師「ふむ……では分かりやすいように次は【侵略ゲーム】の説明をしよう」

真面目「侵略ゲーム?」

女教師「ルールは簡単だ。【侵略する・侵略される】条件のとき、【攻撃する・逃走する】行動をとる集団について考えるんだ。例えば……」


ドポンッ!


お嬢様「うわっ!そんなでっかい水槽どっから取り出したの!?」

天然娘「お魚さんがおよいでるよぉ」

チャラ男「2匹もいるぜwwwww」

女教師「この魚は【トゲウオ】といって、巣作りや子育てを行う社会性の淡水魚だ。紹介しよう、こっちがトゲ一郎でもう片方がトゲ次郎だ」


トゲ一郎『ドゥフフwww』

トゲ次郎『フォヌカポォwww』


女教師「まずこうしてコイツらを別々のフラスコに移し替える」チャポン


トゲ一郎『ヤメテ!ランボウスルンデショウ!エロドウジンミタイニ!』

トゲ次郎『クッコロセ!』


天然娘「離ればなれなんて、かわいそぉ……」


トゲ次郎『テンネンムスメタンマジテンシ』

トゲ一郎『ウッ…フゥ』


女教師「そしてこのフラスコをコイツらの巣の近くに戻してセット完了だ」チャプ

真面目「何が始まるんです?」

女教師「そう急かすな。よく見ておけ……まずこのトゲ一郎の入ったフラスコをトゲ次郎の巣の元まで移動させる」スィー


トゲ次郎『テメッ!ナニカッテニワレノシマニハイットルンジャゴラァ!!』バシャバシャ

トゲ一郎『ピィイイ!ゴメンナサイユルシテクダサイ!!ナンデモシマスカラ!!』ガタガタ


真面目「と、トゲ次郎がトゲ一郎を威嚇してます!」

チャラ男「トゲ一郎のヤツwwwビビって逃げようとしてるぜwwwww」

女教師「では今度は逆のことをしてみよう。つまり、トゲ一郎の巣にトゲ次郎を近付けさせるのだ」スィー


トゲ一郎『オンドゥルルラギッタンディスカー!!ダディャーナザァン!!』バシャバシャ

トゲ次郎『オデノカラダハボドボドダ!!』ガタガタ


お嬢様「今度は立場が逆転してるわ!」

天然娘「やられたら倍がえしなのぉー」


女教師「ネタばらしをすると、このトゲウオは【侵略するとき逃走し、侵略されるとき攻撃する】いわゆる"自宅警備型"の戦略を取る」チャプン


トゲ一郎『ハタラキタクナイデゴザルwww』スィー

トゲ次郎『ハタライタラマケカナトオモッテルwww』スィー


お嬢様「ああ、どうりで口調が……」

天然娘「くちょう?」キョトン

お嬢様「……なんでもないわ」

女教師「この自宅警備型の戦略が集団の大半を占めるとき、常に先住者が有利となるが侵略者は逆に不利となる」

真面目「なるほど……トゲウオは集団のほとんどが自宅警備型になることがESSなんですね」

女教師「余談だが、この法則を発見した【ニコ・ティンバーゲン】はトゲウオの様々な研究でノーベル生理学賞を受賞しているんだ」


女教師「君達にはもうひとつ見てほしいものがある。よっこら、せっ!」


ズドォォン!!


お嬢様(だから!そのデカい虫籠とかはどっから出してるのよ!)

真面目「いっぱいの土の中に、無数の穴が空いてますね」

女教師「この中には、チリグモ科の一種で社会性のある【オイコビウス・キーウィタース】というクモが入ってる。この穴はクモの巣だ」ヒョイ


オイコビウス『キャーエッチー』ジタバタ


天然娘「かわいい~」キュンッ

お嬢様「き、キモッ!はやく戻しなさいよ!」ヒキッ

女教師「このキモ可愛さが分からんとは……お嬢様もまだまだだな」フッ

真面目(えっ、これ僕がおかしいの?)


女教師「先に説明すると、このクモの戦略は【侵略するとき攻撃し、侵略されるとき逃走する】ヒステリック型だ。穴があったら入ろうとする」

チャラ男「えwwwじゃあ今そいつを戻したらカオスになんじゃねwww」

女教師「……どうなるか、見たいとは思わんかね?」ニヤァ


オイコビウス『ピィイー!』ポテッ


オイコビウ子『キャアアアドロボウヨォオオ!』ガサガサ

オイコビウ美『アンタコソダレヨオオオ!コナイデエエエ!』シュババッ

オイコビウス男『タスケテエエエエ!ダレカアアア!』ズザーッ

オイコビウ理『アナノナカニカクレルノヨ!』ガタガタ

オイコビウ野『トジコメラレタ!』バタバタ

オイコビウ星『ワナカ……』ゴソゴソ


天然娘「わあ」

お嬢様「混沌と化してるわね……」

真面目「あっ、力尽きた」


女教師「このようにオイコビウスは穴に入ろうとするが簡単に住みかを手放してしまうため、誰かがアタリを引くまで巣の大移動が起こり続ける」

女教師「だがこの習性のおかげで誰も傷つくことがないため、オイコビウスは種全体として安定していると言うことだ」

真面目「このクモにとっては、これがESSなんですね」

女教師「このトビウオとオイコビウスは全く正反対の戦略を取るにも関わらず、最初に多い集団によってESSが変化する例だな」

チャラ男「でもよwwwwもしかしたら反対の作戦の方がいいんじゃねぇの?wwwwやってみなきゃ分かんねーじゃんwwww」

女教師「君達がそう言うと思い、あらかじめ用意したのが…これだ!」


メカトゲ三郎『オンシャオンシャー』ガチャガチャ

メカオイコビウス『フヒヒwwwサーセンwww』ピーガガッ


お嬢様「謎の技術力!」

天然娘「すごーい」キラキラ


女教師「このメカ達は、それぞれ元になった生物の正反対の戦略を取る」

女教師「こっちのメカトゲ三郎は【侵略するとき攻撃し、侵略されるとき逃走する】戦略を取る」


メカトゲ三郎『チイキウンドーボランティアー』ガシャガシャ


女教師「そしてこのメカオイコビウスは【侵略するとき逃走し、侵略されるとき攻撃する】行動をするんだ」


メカオイコビウス『コポォwwwリアジュウバクハツwww』ガショーン


女教師「コイツらをそれぞれ元の集団の中に紛れさせると何が起こるか?予想は難しくない」ポイー


メカトゲ三郎『ワタシノチョウショハジブンヲマゲナイコトデス』ガッシャガッシャ

トゲ一郎『アアン!?ナニサマノツモリダテメー!!』バシャバシャ


真面目「メカトゲ三郎がトゲ一郎の巣を自分から攻撃してます!」

女教師「防衛側と侵攻側がとちらも攻撃する場合、縄張り争いが起こる」

お嬢様「あっ、トゲ一郎がボロ雑巾になったわ」

チャラ男「弱ぇwwww」

天然娘「にかいきゅーとくしんなの」


トゲ一郎『マシンニハカテナカッタヨ……』ボロッ

メカトゲ三郎『ガクセイジタイハサークルカツドウヲガンバリマシタ』ウィーンガシャン


女教師「だが、他のトゲウオに侵攻されたときは易々とその座を明け渡してしまうのだ」


トゲ一郎『トクテイシマスタwww』バシャバシャ

トゲ次郎『VIPカラキマスタwww』ビッタンビッタン

メカトゲ三郎『スタッフサイボウハアリマァス!!』ピーガガガ



女教師「こうしてメカトゲ三郎はところ構わずケンカを繰り返し、ついには大破するだろう」

お嬢様「出る杭は打たれるって訳ね……」

真面目「こ、こっちの虫籠もなんだか様子が変です」


メカオイコビウス『イヤダァアアアア!!ハタラキタクナイィイイイイ!!』ジタバタ

オイコビウ美『オラッ!!サッサトデテキナサイッ!!』ガッゴッ

オイコビウ男『ハロワイクゾオラァ!!』ガタンバタン

メカオイコビウス『シュウキュウナノカ!シュウキュウナノカ!』ウィーンガタタッ


女教師「回りのクモは侵略されるときに争いは起こらないが、このメカオイコビウスは必死に抵抗するせいでボロボロだな」

お嬢様「世間の風は冷たいわね……」

女教師「重ねて言うが、これらの例からESSはより多くの集団を占めた戦略によって決定するのだ。そこから外れた者は"制裁"を受ける」


女教師「つまり"異常"な個体が増えすぎた場合は、もはやそれは異常ではなくなるのだ」ボチャチャチャ


メカトゲ四郎『ホモォ…』ガション

メカトゲ五郎『レズゥ…』ガション

メカトゲ六郎『ショタァ…』ガション

メカトゲ七郎『ケモォ…』ガション

トゲ一郎『ソメラレルッ…!ソメラレルッ…!!』ガタガタ

トゲ次郎『イヤダァアアアア!yesロリータnoタッチイィイイイイ!!』プルプル


お嬢様「それまでマトモだったヤツが異端扱いになるのね……」

女教師「このESSが逆転する割合のことを【誘引域】と呼ぶ」


天然娘「じゃあー、みんなが色んな作戦だったらどうなるのぉ?」

女教師「それでは、今日の最後のゲームを君達にやって貰おうか」

真面目「もう逆立ちは嫌ですよ」

女教師「ふふん、心配するな。君達がやるゲームは……これだ!」


●婚活ゲーム●


お嬢様「ああ……ろくでもないゲームじゃないのは大体予想がついたわ」


女教師「このゲームでは君達に4つの役をそれぞれロールプレイしてもらう。そうだな……私が直々に決めてやろう」

女教師「真面目は【誠実】」

真面目「は、はぁ」

女教師「お嬢様は【ツンデレ】」

お嬢様「だ、誰がツンデレよ!」

女教師「天然娘は【ビ○チ】」

天然娘「」

女教師「チャラ男は【ヤリ○ン】だ」

チャラ男「」


お嬢様「つ……ついに自重しなくなったわねこのセクハラ教師!」

女教師「私は役職を指定しただけだ!何なら私が変わってやってもいいのだぞ?」

真面目「そ、それでもビ○チは流石に酷すぎます!」

天然娘「ふぇぇ」

女教師「想像してみろ、こんな純粋そうな子がビ○チとかむしろ興奮しないか」

チャラ男「………良い」グッ

お嬢様「この裏切り者ぉおおおお!!」

女教師「とにかくルールを説明するぞ。それぞれの役はこの設定に従ってくれ」


・ルール
①『誠実』は長い交際期間と結婚費用を貯める。結婚後も育児を分担する
②『ツンデレ』は長い交際期間と結婚費用がなければ結婚しない。結婚後も育児を分担する
③『ビ○チ』は結婚の条件なし。結婚後も育児を分担する
④『ヤリ○ン』は短い交際期間で結婚費用を貯めない。結婚後は育児を放棄する


女教師「ひとまずこの条件で役に成りきり、アドリブでゲームを進行してほしい」

お嬢様「むぐ……言いたいことは山々あるけど、仕方ないから付き合ってあげるわ」

天然娘「がんばるねぇ」


女教師「最初に想定する集団は、オスは誠実99%でメスはツンデレ99%の編成だ。この集団は一人あたりの利益がかなり高い」

女教師「ツンデレは伴侶の条件にとても高いステータスを要求するが、誠実はなんとかそれに見合った努力を怠らない性格を持つ」


ツンデレ『歳は25歳未満、年収は最低でも500万以上ね。あと高身長でイケメンで外車と一軒家を持ってる事。婚前交渉なんてもっての他よ!』

誠実『コツコツ貯めてきたけど、ようやくツンデレさんと見合う人になって結婚できそうだよ』

誠実:↑ ツンデレ:↑ ビ○チ:↓ ヤリ○ン:↓ 


女教師「しかし、ここでツンデレと誠実の集団にひとたび『ビ○チ』が紛れ込むと破竹の勢いで繁栄しだす」

女教師「ビ○チは結婚費用も交際期間も関係ないからな。その結果、相対的にツンデレが行き遅れて衰退しだすのだ」

チャラ男「年収1000万の男を要求する40歳のババァみてーな?wwww」


ビ○チ『ねぇー、いいこと……しよ?』ダキッ

誠実『ご、ごめん……まだ貯金も全然貯まってないし』

ビ○チ『あいじょーがあればもんだいないのぉー』ムギュー

ツンデレ『はぁーあ!私と釣り合う年収1000万の男はいないのかしらぁ?こ、こう見えても見持ちが固いからまだ処女なのよ?』チラチラ

誠実:↑ ツンデレ:↓ ビ○チ:↑ ヤリ○ン:↓



女教師「しかし、ここに登場するのが『ヤリ○ン』だ。コイツは定職にもつかず、見かけたメスをヤり捨てまくる」

お嬢様「サイテーね……」ジトッ

天然娘「女のテキなの」ジトッ

チャラ男「それでも僕はヤってない」

女教師「こいつは結婚するのになんの努力もしないし、育児もしないのでこと増えることに関してはゴキブリ並みの生命力を誇る」

女教師「その結果、相対的に誠実は衰退しヤリ○ンは繁栄する」


ヤリ○ン『そんなヤツより俺とワンナイトラヴしよーぜーwwww』

ビ○チ『わいるどなタイプもすてきかもぉー』

誠実:↓ ツンデレ:↓ ビ○チ:↑ ヤリ○ン:↑


お嬢様「うわぁ……なんというか世紀末ね」


女教師「だがここで問題が発生する。ビ○チの衰退だ」

真面目「え?どうしてですか?配偶者に困らないならむしろ繁栄するのでは……」

女教師「あのなぁ、女は産む機械ではないぞ……このビ○チはヤリ○ンに誑かされた場合、配偶者の支援もなく1人で子供を育てなきゃならん」

女教師「生きるのよりも莫大なコストがかかるのだ。これによりビ○チは衰退し、相対的にツンデレが復権を取り戻す」


ビ○チ『ぐすん……ヤリ○ンくん、赤ちゃんのせわもしないで出ていっちゃった……つらいよぉ』

ツンデレ『結婚はまだだけど、ああはなりたくないわね……』

誠実:↓ ツンデレ:↑ ビ○チ:↓ ヤリ○ン:↑


女教師「こうなるとヤリ○ンはツンデレにすり寄るしかない。しかし、ツンデレは一方的にヤリ○ンを振りまくるだろう」

天然娘「ツンデレさんはオオカミさんがきらいなんだねぇ」

女教師「そうしたことでヤリ○ンは衰退し誠実は繁栄、そして1サイクルが終了し再び最初に戻るのだ」


ツンデレ『はぁ?脳みそ下半身で出来てんのアンタ?お断りよ』パシッ

ヤリ○ン『たわらばっ!』

誠実『やっぱり、地道に頑張るのが一番だよね……』

誠実:↑ ツンデレ:↑ ビ○チ:↓ ヤリ○ン:↓


真面目「なるほど……4つの戦略がお互いに影響を与えあっているんですね」

女教師「実際には繁栄と衰退を繰り返して数が増減するのではなく、繁栄と衰退の釣り合うESS地点に向かって収斂する」

女教師「ESSに到達した集団をコンピュータ上でシミュレートしたところ、【誠実とツンデレが大部分を占めビ○チとヤリ○ンは少数】になった」

天然娘「やっぱりマジメな人がいちばんなんだねぇ」


女教師「さてと、今日の授業はここまでだ」

天然娘「今日はちょっと長かったねぇ」

お嬢様「演劇なんか慣れないことやってるからよ!」

女教師「ま、そのぶん身を持って理解しただろう。男も女もホイホイ体を安売りするなということをな」

真面目「説得力ありますね……」


女教師「さて、これで今日の性物学第3回目の授業は終わりだ。起立、礼」

生徒達「ありかとうございました!」


ここまで
バレないと思って入れたネタが一瞬でバレてドキリとしました

感想レスありがとうございます
蛇足かもしれませんが、一応キャラの設定など…


・女教師

長い黒髪を束ねていてスレンダーな体型。性格に目を瞑ればパーフェクトビューティー、でもそろそろ婚期がヤバい
趣味はエロトークで経験豊富(自称)。スーツを着崩していて無駄に露出が多いが胸は貧相


・真面目

グループのまとめ役。背は一般的な男子学生と同じくらい、中性的な顔立ちをしていてよく間違われる
得意なことは裁縫。将来の目標は大学を出て兄と姉に恩返しをすること


・お嬢様

ツッコミ担当。化粧品を始めとした巨大複合企業の社長令嬢だが、とくに世間知らずということはない
潔癖症で虫や汚いものが苦手だが、納豆やヨーグルトなどの発酵食品が大好物


・チャラ男

とにかくチャラい。主にボケ担当だが頭が良くない訳ではなく、陰で努力を怠らないタイプ
健康には人一倍気を使っているのでバイト代はサプリに消える。そこそこモテるが、妹が潰してまわっているので本人の耳には届かない模様


・天然娘

グループの癒しキャラ。間が伸びたしゃべり方で背は低い。デカい
とても頭の回転が早く、一部では性格は養殖天然だと噂されているがその真偽は本人のみぞ知る


―――――――――――――――…


天然娘「ただいまぁ」ガチャ

天然父「……遅かったじゃないか、何をしていた?」

天然娘「あのねぇ、今日は学校がおわってからせんせぇといっしょに勉強してたんだよぉ」

天然父「勉強?……お前は勉強しても成績は変わらないんだから、その時間をもっと別の有意義なことに使いなさい」

天然娘「………はぁい」トテトテ

天然父「……待て。夕食はもう私が作ったから手を洗ってきなさい」

天然娘「………」


天然娘「いただきまぁす」パチン

天然父「……そうだ、この前に試験があっただろう。見せなさい」

天然娘「ん……」モグモグ

天然父「ふむ……ん?………上から30位だと?」ガサ

天然父「なんだこの成績は……信じられんな。お前は本当に私の娘か?」

天然娘「………」モグ…

天然父「まったく……その気の抜けた喋り方といい、一体誰に似たのか」ハァ

天然娘「……お母さんだよ」ボソ

天然父「やれやれ。天然娘、次からはもっと……」


ガチャン


天然姉「ただいま帰りましたの!……あら?あらあらあら?なんてことですの!天然娘がいるのですの!」

天然娘「……おねぇちゃん、おかえりなさぁい」


天然姉「学生がこんな時間に夕食なんて素行が修まってないですわね!立派な淑女の片隅にもおけませんわ!」

天然姉「お父様もですわよ!いくら医療職に携わるものといっても、こんな時間にディナーなんて体に毒ですわよ?」

天然父「……天然姉、早く席につきなさい」

天然姉「いわれなくても……おや、なんですのこれ?」ガサ

天然娘「あ……」

天然父「天然娘の試験の結果だ。……お前はどう思う?」

天然姉「ふーん、ふーん!……んっ!?さ……30位ですの!?」ガタッ

天然姉「まったくこんな成績をとるなんて!それでも天然娘はこの県内トップの大学に在籍するこの!わ・た・く・し・の!妹なんですのぉ?」

天然父「やめなさい天然姉。お前とこの子では比較にもならん……余計な恥をかかせるな」

天然姉「はぁーあ!こんな成績をとれるぐらいなら、もっとわたくしのように……」


ガチャンッ!


天然娘「………ごちそうさまぁ。お夕飯、おいしかったよぉ」スタスタ

天然姉「ちょ、ちょっと待ちなさい、天然娘!……行っちゃいましたの」

天然父「まったく……どうしていつもこうなんだ」ハァ


天然姉「まーったくですわ!これではわたくしと同じ大学に入学させようと言う計画がパァですわ!」

天然父「……仮にあの子がお前と同じ大学に進学したとしても、一番偏差値の低い学部にAO入試で合格したお前とは天と地ほどの差があるがな」

天然姉「なぁに、入れば看板は同じですの」キリッ

天然父「それに二者面談で聞いたぞ。お前……すべての単位で不合格を取った上に教授達に土下座参りをしているらしいな」ギロ

天然姉「ギクゥ!?ですの……」ダラダラ

天然父「私の顔に泥を塗りたくった挙げ句セメントで固定するつもりか、このバカ娘……少しはあの子を見習え」ハァ

天然姉「ケッ、看護師風情が偉そーですの。天然娘の爪の垢を煎じて飲めばいいんですの!」

天然父「はぁ……あの子は前々から他と比べて頭一つ分は秀でているとは思っていたが、まさか全国模擬試験で30位とはな……」

天然姉「さすが女医の娘ですの。でも本当にお父様の子ですの?」ヘッ

天然父「……お前は間違いなく私の娘だがな」ズキズキ


天然姉「あの子は勉強ばかりで根を詰めすぎですの。少しはわたくし達アホ二人組のように怠けるすべを身に付けるべきですの!」ドヤ

天然父「私を含めるなバカ娘。まあ私も常日頃からそう言っているのだがな……どうしたものか」ウーム


天然姉「おっと、長話で飯が冷めちゃいますの。ぐふふ……天然娘のご飯を食べれば1日の疲れも吹っ飛びますの!」パク

天然父「すまん、今日の夕食は私が作った」

天然姉「!?うへぇ!マッジぃですの!ゴミを食卓に並べるなですの!」

天然父「そんな馬鹿なことがあるか、天然娘はうまいと……」パク

天然父「…………ゴホッ」オエ

天然姉「こ、これを全部平らげるなんて……ちょっとわたくしが作り直してくるのですの!」ダッ

天然父「やめろ、あの子にとどめを刺す気か」ガシッ

天然姉「んもう!どうしてわたくし達はいつもこうなんですのー!?」


…―――――――――――――――



女教師「おはよう学生諸君。朝っぱらから私の下ネタが聞けるなんて清々しい日とは思わんかね?」

真面目「いえ、特に……」

お嬢様「正直もう慣れてきたわ……癪だけどね」

女教師「む、マンネリはいかんな……では今日はNTRについて勉強しよう」

天然娘「えぬてぃーあーるってなぁに?」

チャラ男「紳士のエクストリームスポーツさ」キリッ

女教師「最初の頃の純粋な君達はいったいどこへ行ってしまったんだ……?」

お嬢様「大体あんたのせいよ」


女教師「まあいい……今日はNTR、もとい【血縁度】についての授業をしよう。プリント4枚目の絵を見てくれ」ペラッ


天然娘「おとーさんとおかーさんが女の子と手をつないでるの」

お嬢様「オチが見えたわこのクズ野郎」

女教師「私はまだ何も言ってないぞ……」

チャラ男「NTR思考は日常生活に支障をきたすぜwwwww」

真面目「家族3人で仲睦まじい光景ですね」

女教師「さて、ここで問題だ。【この幼女が母親と血が繋がっている確率は何%か?】」

天然娘「ふぇ?【100%】だとおもうよぉ」

お嬢様「そんなの当たり前じゃない。自分のお腹を痛めて産んだ子なんだから間違えようがないわ!」

女教師「そう、【母親とその子供が親子である可能性は100%】だ。特に哺乳類においては物理的にほぼ確定的だな」


女教師「では、【この幼女と父親が親子の確率は何%だ?】」

チャラ男「そんなの【100%】に決まってんだろwwwwww」

真面目「………」

お嬢様「あー………」

天然娘「?」

女教師「他の奴は薄々勘づいてるようだな。そう、【父親とその子供が親子である可能性は100%未満】になる。……説明はいらないな?」

お嬢様「こっそり別の男に誑し込まれてるかもしれないってことね……」

天然娘「お昼のドラマなの」

女教師「この『別のオスから精子のみを提供してもらうこと』を、某掲示板のスラングでは【托卵行為】と呼ぶ」

お嬢様「イヤな掲示板もあったものねぇ」

真面目「なんだか父親が可哀想ですね……」


女教師「この托卵行為は母親にとってはさして重要ではない。なぜなら種の中身はどうであれ、子供は自分の遺伝子を常に50%引き継ぐからな」

女教師「しかし父親にとっては一大事だ。自分の遺伝子を一切持っていない『赤の他人』を、多大なコストを払いながら育児しなければならん」

お嬢様「じゃあなんで托卵とかゲスいことが起こるのよ?誰も得してないじゃないの」

女教師「いや……いわゆる『種の提供者』は、自分の子供を仕込んだ上で育児のコストもかからないから非常に得をしているんだ」

チャラ男「人妻孕ませて1人勝ちするとか、とんだクズ野郎じゃねーかwwwwwうらやまけしからねーwwwww」

女教師「実際に日本の法律ではこの托卵行為を防止するため、女性は離婚後6ヶ月経たないと再婚できないようになっている」


女教師「また、この幼女が将来結婚し子供が生まれたとしよう」

女教師「その場合、『孫の父親の父親(父方の祖父)』よりも『孫の母親の母親(母方の祖母)』の方が自分の孫をより愛する傾向にあるのだ」

真面目「自分の遺伝子を持っていると確信しているからですね」

天然娘「おじいちゃんよりもおばあちゃんの方がやさしいのぉ」

女教師「だが、父親も口を咥えて見ているだけではない。次の写真を見てほしい」ペラッ


天然娘「ねずみさんが2匹いるのぉ」

お嬢様「こっちのネズミはお腹が大きいわね。妊娠してるのかしら?」

真面目「もう片方のマウスは父親でしょうか?」

女教師「このつがいのマウスは新婚……つまり母マウスの腹の中には別のオスとの子供がいる。このままでは父マウスにとって不利だろう」

女教師「では、【この父マウスは托卵を避けるためにどうするべきか?】」

真面目「うーん……難しいですね……」

チャラ男「なら【腹パン】しようぜwwwwもしくは堕胎キックwwww」

お嬢様「さ、最低!赤ちゃんもママも可哀想じゃない!一体何考えてるのよ馬鹿ぁ!」

女教師「お、1発で答えが出たな。正解は【堕胎させる】だ」

お嬢様「」


女教師「ただ物理的に母胎を傷付けるのではない。この父マウスは特別な【フェロモン】を分泌し、化学的に堕胎させるのだ」

天然娘「えげつないの……」

女教師「そしてこのフェロモンを嗅いで堕胎した母マウスは発情状態となり、父マウスと新たに子作りを始めようとするだろう」

お嬢様「」

チャラ男「快速乗り換えwwww」

女教師「こうして父マウスは母マウスの托卵行為に抵抗するのだ。この現象のことを【ブルース効果】と言う」


真面目「そういえば『托卵』って、なんだか意味が逆なような気が……」

お嬢様「そうよね、今までの話を聞いてたら『托精』の方がしっくり来ると思うのだけど……どうして托"卵"なのかしら?」

女教師「それは元々の語源にある。『托卵行為』とは最初は生物学用語、それも【カッコウの習性】を表した言葉から来たものだからだ」

真面目「カッコウ……うちの近所にもよくウグイスと一緒に見かけます」

女教師「それはカッコウ科の【ホトトギス】だな。奴らはウグイスの巣に侵入し、自分の卵を産み付けるのだ」

お嬢様「ええっ!?そんなことしたらすぐバレちゃうんじゃないの?」

女教師「そう、ホトトギスの雛はウグイスと比べて大きいし、鳴き声だって違う。だがな……」


女教師「このウグイスの巣で生まれたホトトギスの雛は、産まれるやいなや他のウグイスの卵を巣から蹴落とし始める」

お嬢様「そ、そんな残酷なことを雛がするの!?」

チャラ男「兄より優れた弟など存在しねーwwwwww」

女教師「これによりライバルを減らすのだ、まさに弱肉強食だな。そして生まれた雛はまんまと母親を欺きエサを給餌させる」

天然娘「おかあさん鳥は自分の赤ちゃん鳥がわからないのぉ?」

女教師「良い質問だ。実はこの母ウグイスは自分の子供の見分けがつかない」

お嬢様「あ、アホじゃないの!?じゃあどうやって自分の雛だって思ってるのよ!」

女教師「この母ウグイスの考えることは1つ、【自分の巣にいる、大きな赤い口の中にエサを放り込め】。そもそも子供なんぞ認識していないんだよ」


真面目「母ウグイスは雛を認識していない?どういうことですか……?」

女教師「母ウグイスは、自分の巣にいる"赤い入れ物"を見るとエサを入れたくなる衝動に駆られるのだ。見た目がどんなにおかしくてもな」

女教師「ちなみにこの研究も、前回の授業で紹介したトゲウオの習性を研究しているニコ・ティンバーゲンが発見したんだぞ?」

天然娘「なんでも研究してるおじさんだねぇ」

女教師「だがウグイス側も托卵されてはたまったものではないから、ウグイスとホトトギスの卵を色や柄で判別するようになった」

チャラ男「そりゃそうだwwwwどうみたってバレバレだしなwwww」

女教師「うん、まあホトトギスの卵が柄を似せるように進化したものだから無意味に終わったがな……」

お嬢様「ちょっ……結局ダメじゃないの!」

女教師「ここで重要なのは、生物が托卵を回避するように進化すると言うことだな。人間だってDNA検査が発明されたら皆こぞって飛び付いたぞ」


お嬢様「なるほどねぇ……不倫は動物の世界でもタブーってことね」

真面目「なら、人間もDNA検査が開発されるまで何か不倫に対する対抗手段を持っていたと言うことですか?」

女教師「ふふふ……よくぞその質問を聞いてくれたな!」

チャラ男「嫌な予感しかしねーぜwwwww」

女教師「では次のプリントを開いてくれ。そして一番上の写真を見るんだ!」ペラッ


お嬢様「………?なにこの……何?」

天然娘「赤くて細長い棒かなぁ……?先がとんがってるねぇ」

チャラ男「あわわわわ」タラタラ

真面目「円錐形?初めて見るものですね……一体これは何ですか?」






女教師「それはチンパンジーの お ち ○ ぽ だ!!!」



真面目「」

お嬢様「」

天然娘「」

チャラ男「」


お嬢様「な……なな、ななななっ……!///」カアァ

天然娘「わ、わぁー……///」ドキドキ

真面目「こ、こんな形なんだ……///」チラッ

チャラ男「さ、流石にこれはアウトだろwwwww」

お嬢様「そ……そうよそうよ!こんなの校長のハゲに報告するわよぉ!!」

女教師「大丈夫だ、許可はとってある」キリッ

お嬢様「残った毛を毟り取ってやる!!」

天然娘「やめたげてよぉ」

真面目「じゃ、じゃあその下の写真の袋みたいなものは……」

女教師「それはチンパンジーのキ○タマだ!」

お嬢様「い……いやぁぁああああっ!!ヘンタイ!ドヘンタイ!!」

女教師「ありがとうございます!(教師に向かって変態とは何だ!)」

真面目「先生、逆です」

チャラ男「で、でっけぇ……www」

天然娘「………///」チラチラ


女教師「おほんっ……そう、チンパンジーのキ○タマは人間のそれよりも遥かに大きく、同じ霊長類のボノボよりも上回る」

女教師「キ○タマがデカいほど貯蓄できる精子も体積も多くなり、これは卵子を巡る戦いにおいて有利な条件に持ち込めるんだ」

真面目「ボノボや人間の方が、キ……///、睾丸が小さいというのは?」

女教師「実は【キ○タマのサイズは、その種の不倫率に相関する】。ゆえに一夫一妻制の人間やボノボはキ○タマが小さいのだ」

お嬢様「な、なるほど……じゃなくて!さっきからキ○タマキ○タマ連呼しすぎよっ///」

女教師「ほう、お嬢様はおち○ぽの方が好みか」

お嬢様「誤解を生むような言い方は止めなさい!」


女教師「おち○ぽ……つまり陰茎には様々な種類がある。【円錐型】【鍵型】【傘型】などだな」

女教師「まず【円錐型】は、別のオスの『精子が固まった蓋』を突き壊すために細長く進化したと考えられる」

女教師「次に【鍵型】は興奮状態のときにメスの膣内から抜けず、別のオスの侵入を物理的に防いでいるのだ」

女教師「そして【傘型】は我々人間が当てはまるな。他のオスの精子を掻き出すような形に進化したのだ」

真面目「」プシュー

天然娘「」ボンッ

お嬢様「はわわわ……///も、もう良いわっ!十分理解したから!」

チャラ男「じゃあさーwwww猿のチ○コって骨があるって聞いたんだけどwwwww」

お嬢様「む、蒸し返さないでよっ!」


女教師「ふむ、その話も実に興味深いものだぞ。このおち○ぽの骨は【陰茎骨】と呼ばれ、勃起を容易にさせる役割がある」

お嬢様「あーーあーーあーー!聞こえなーい!」

真面目「……ごめん、ちょっと黙っててくれる?」イラ

天然娘「お嬢様ちゃん、さっきからうるさいの」ジト

お嬢様「ご、ごめんなさい……」シュン

女教師「……まあ、結論から言うと人間は猿よりも勃起しにくいと言うことだな。身体や精神の状態が健康でないと行為にいたるのは難しい」

チャラ男「EDってヤツかwwwwww」

天然娘「じゃあ『ぼっき』ってなぁに?」

女教師「勃起とは【海綿体】と呼ばれる組織が充血しておち○ぽが肥大化することだ。これにより交尾が容易になる」


女教師「このメカニズムも非常に面白いぞ。まず性的刺激を受けると、おち○ぽ細胞内の【NOS(一酸化窒素シンターゼ)】が活性化する」

真面目「い、一酸化窒素が体内で作られるんですか!?」

女教師「そう、NOSはアミノ酸のアルギニンから一酸化窒素を合成するのだ。そしてこれが次に【GC(グアニル酸シクラーゼ)】を活性化する」

天然娘「伝言ゲームみたいだねぇ」

お嬢様「シモの話になった途端、急に専門的な内容になったわね……」

女教師「このGCが活性化されるとGTPという物質がcGMPに変換され、こいつがおち○ぽ内の筋肉を弛緩させることで海綿体に血液が流入する」

真面目「性的刺激→NOS→(アルギニン)→一酸化窒素→GC→(GTP)→cGMP→勃起、と言うことですね」

女教師「そうだな。ちなみにNOSは心臓にもあり、cGMPが増えすぎないように分解する【PDE(ホスホジエステラーゼ)とセットで存在する】

女教師「心臓病の治療薬として開発されたのが、PDEを働かなくしてcGMPを増やす薬……すなわち【バイアグラ】だ」

お嬢様「バ、バイアグラって元々は心臓病の薬だったのね……」

チャラ男「それにしても悪用されすぎだろwwww」

女教師「まあな……毎年バイアグラが強制勃起薬として使用され、心不全で命を落とす者は後を絶たない」

チャラ男「テクノブレイクってヤツだなwwwww」

お嬢様「どっちかというと腹上死よ」


女教師「生物は増えることに必死だ。托卵や堕胎など、我々から見れば非人道的な行為も易々と行われている」

女教師「だがそこから目を背けず、事実とその理由を追及することが我々人間だけに許された唯一の特権だと私は考えている」

女教師「む、少し時間が余ってしまったな。何か質問はあるか?」

チャラ男「はいはいwwwwwNTRって結局なんスか?wwwwww」

真面目「そういえば、タイトルに出てた割には1度も説明がありませんでしたね」

女教師「おっと、そうだったな。すっかり忘れていた」

お嬢様「こ、これも生物学上で重要な役割が……」ゴクリ


女教師「NTRとは、マゾヒズムの一種だ」

お嬢様「」


女教師「古来より『トリオリズム』と呼ばれ、マゾヒスト傾向のある人間の趣向の1つだ。近年NTRという単語が作られ流行しているようだが……」

女教師「ようは人間のフェチであり、生物学とはまったく関係ない」ドンッ

チャラ男「な……なんだそれwwwww」

女教師「いや、こういうタイトルなら君らが食い付くと思ってな……」


キーンコーンカーンコーン


女教師「お、タイミングがいいな。では今日の性物学第4回の授業はこれで終わりだ。起立、礼」

生徒達「ありがとうございました!」

今日はここまで


―――――――――――――――…


お嬢様「ただいま、パパ!」ガチャ

お嬢父「お帰りお嬢様。もうすぐ夕御飯できるからね」ジャー

お嬢様「ママは?」

お嬢弟「今日も会議で遅いんだってさ、姉貴。そろそろ帰ってくると思うけど」

お嬢様「ふーん……ま、いつもそんな感じだしいいわ!」ポスッ

お嬢弟「なんだよ、今日テンション高くね?年甲斐もなくはしゃいで若干キモイんだけど」

お嬢様「あんたに言われたくないわ、この下着泥!」ケッ

お嬢弟「うぐっ……だ、だからあれは違ぇって言ってんだろ!」


ガチャン


女社長「ふぃー、いま帰ったぞー。お嬢父、飯だメシー!」

お嬢父「おかえり。今日はママの好きなハンバーグのシチューがけ作ってるよ」コトッ

お嬢様「お帰りママ!」ダッ

女社長「おう、ただいま!」ニカッ



お嬢様「……でね、2限目の生物学の授業の時に教えて貰ったんだけど」カチャ

お嬢様「こういう方法で計算したら、私とコイツの遺伝子って1/4ぐらい離れてるんだって!」モグモグ

お嬢弟「コイツって言うなよ」パク

女社長「へーえ、普通の姉弟の半分ぐらいなのか。じゃあおねーちゃんの下着をとっちまうのも無理ないな!」ハハハ

お嬢弟「だーかーら!違ぇーっつってんだろ!」

お嬢弟「借りてたマンガの置場所が分かんなくて、たまたま手に取っただけだっつーの……」ゴク

お嬢様「最近私を見る目がイヤらしく……」

お嬢弟「なってない!誰が姉貴なんかに欲情するか!」

お嬢父「まあ間違いは誰にだってあるさ」ハハハ

お嬢様(でた、パパ最大の自虐ネタ)ヒソ

お嬢弟(デキ婚なのまだ根に持ってるのかよ)ヒソ


女社長「まーなんだ、うちは商業高校だったから生物の勉強なんてサッパリわかんねーが……」

女社長「遺伝子なんか繋がってなくても、アンタはうちの娘だ。そんくらい言わなくても分かってんだろ?」グシグシ

お嬢様「わーっ、やめてよママっ!髪がグシャグシャになっちゃうじゃない!」ワタワタ

お嬢弟「……メシ冷めるぞ」モグモグ

女社長「なぁんだ、構って貰えなくていじけてんのか?」ニヤニヤ

お嬢弟「ばっ……そんなんじゃねーよ!」ゴク

お嬢父「いやー、男は辛いよなあ。パパもよく分かるぞ」ウンウン

お嬢弟「一丁前に父親面してんじゃねーよ!主夫の癖に!」カチャン



―――――カランッ……

女社長「いつも悪いな、晩酌付き合わせちまって」グイッ

お嬢様「別に良いわよ、好きでやってるんだから」カチャ

女社長「お嬢様、学校の方はどうだ?つっても後一年で卒業だけどな」

お嬢様「うーん……最近変な先生が変な勉強教えにきたけど、特に問題ないわよ」

女社長「ふーん……んで?そろそろ好きな奴は出来たか?」ニヤニヤ

お嬢様「そそそ、そんな奴はいないわよっ!?ママのバカァ!」ポカ

女社長「あははっ!アンタはいつも面白い反応するなぁ!からかいがいがあるってもんだ」ゲラゲラ

お嬢様「もー……あの先生みたいな冗談は止めてよ……」トクトク

女社長「ああ、そういえばママはあいつとちょっとした知り合いだぞ」

お嬢様「え゙っ!?あの先生ってそんなスゴいヤツだったの!?」

女社長「いや、この辺の居酒屋で酒飲んでたらたまたま隣になってなあ。意外と話があって盛り上がったんだよ」グビ

女社長「まーぶっ倒れるぐらい酔わせたら、偶然装って取引先に良い顔したかったってゲロりやがったけどな!」ハハハ

お嬢様「先生らしいわね……」

女社長「ぐでんぐでんになるまで酔わせたら、職場の誰にもセクハラされないって泣きついてきたなぁ……変なヤツだった」


女教師『聞いてくれよぉ……女2男7のチームなのに一度も男共からセクハラされたことがないんだ……私に女の魅力がないってことか?』グスン

女社長『知るか、男のケツでも揉んでろ』

女教師『それはもうやった』


お嬢様「いやそれが原因よ!」


女社長「なんでも某抗体医薬メーカーの人事課ってんで、企業お抱えの大学建てるから全国から生徒をスカウトして回ってるらしい」ゴク

お嬢様「えーっ!?そんな話全然聞いてないわよ!」

女社長「あははっ!そりゃそうだ、アンタはうちの娘だからなぁ!」ゲラゲラ

お嬢様「ああ、それなら仕方がないけど……」


女社長「にしても……うちの会社もデカくなったもんだ。かれこれ15年になるか」トクトク

女社長「ツレを亡くして一人でアンタを育ててた旦那を慰めてたら、いつの間にか結婚してて息子も授かってさ」

女社長「いつまでも貯金食い潰すのもダメだってんで企業したら、あっという間に会社も子供も大きくなってやがった」グイッ

女社長「すまねえな……何一つ、アンタ達にママらしいことできなくて」

お嬢様「……そんなことない!ママはいつだって格好いいし、私の理想のママよ!」

女社長「ふふっ……嬉しいもんだ」カラン


女社長「なあ、お嬢様……アンタ本当に大学に進学するつもりか?」

お嬢様「……うん。そのつもりだけど」

女社長「うちの会社なら部下どもはガキの頃からアンタを知ってるし、大学の4年間よりも会社での4年分のキャリアを積んだ方が実力がつく」

女社長「なあに、仕事なんて何年もやってりゃ猿でも身に付くさ。アンタはうちに似て要領いいしね」

お嬢様「でも……」

女社長「うちは強制するつもりはないさ。でもな……」

女社長「ママは本当は怖いんだよ……家庭を省みず仕事ばっかりで、血も繋がってない娘に他にやれるものなんてあるのかってな……」グビ

女社長「心ん中では軽蔑されてるかもしんねえし、それもひっくるめてママからの一番のプレゼントだ。……受け取ってくれねえかな?」

お嬢様「―――――ッ!」

ガシッ

グビッ

女社長「お、おい……」


お嬢様「ぷはっ!ま……マッズぅ!?何か苦いし、ママこんなの美味しそうに飲んでたの!?」ペッペッ

女社長「お前……無理すんな、水!」バッ

お嬢様「ふぁ……にゃんか、きもひいい……///」フラ

女社長「慣れてもねえのに飲むから……!一息で飲む酒じゃねえぞ!」

お嬢様「ママ……えへへ……らいすき……」ダキ

女社長「う、こいつは参った……酔うと引っ付くタイプか」ハァ

お嬢様「……ママはさあ、わらひのあこかれなんらよ」ニマ

お嬢様「いつもいそらひいのに、さんかんひはぜっらいきてきれるひ」

お嬢様「はっほほゆへはんばひやはんへひつほわらひほひはんはよ」

女社長「はいはい、何いってるか全然分かんねえよ……」

女社長「でも……ありがとな」ナデ

お嬢様「………zzz」スヤ


女社長「……しまった、返事をまだ聞いてねえ」

女社長「酒の弱さだけはパパにそっくりだな。……当たり前か」クス



お嬢様「あ゙~~~っ、頭イタい……私って二日酔いするタイプだったんだ……」ズキズキ

お嬢様「あのままリビングのソファで寝ちゃったし、早く私の部屋で着替えよ……今日が土曜で良かったわ」ガチャッ


お嬢弟「あっ、ヤベっ……」

お嬢様「えっ、なんでアンタが私の部屋に……て、え……」

お嬢様「…………」ススッ

お嬢様「なんでわたしのふくきてるの」


お嬢弟「これは……その……」

お嬢様「………」ジト

お嬢弟「あ、姉貴ってさ、よくメンズの服着てるじゃん」

お嬢様「………」

お嬢弟「ズルくね?」

お嬢様「は?」

お嬢弟「いやその……ズルく、ないですかね……?」タラ

お嬢様「は?」


お嬢弟「俺だって……俺だって!」プルプル

お嬢弟「レディースの服が着たいんだよ!!フリフリのスカートとかゆるふわのブラウスをおしゃれコーデで着こなしたい!!男だから駄目っておかしいだろ!!それの何がダメだって言うんだよぉぉぉ……!!」グスッ

お嬢様「うるさいさっさと脱げ、このクソ変態」ゲシッ


…―――――――――――――――

ここまで



女教師「おはよう生徒諸君、今日はホモについて勉強しよう!」

お嬢様「あんた、そのうち訴えられても文句は言えないわよ」

チャラ男「あのさぁ……」

真面目「だ、大丈夫なんでしょうか?」

女教師「自重?知ったことか」

天然娘「みんななかよくしないとダメだよぉ?」

お嬢様「むしろ仲良くなりすぎるからいけないというか……」

女教師「今回ばかりは人間以外の例で説明するのは難しいから、君達にも色々と協力してもらうつもりだ。その前に……」


女教師「一応聞いておくが……真面目とチャラ男、お前らはホモか?」


チャラ男「なわけねえだろwwwwホモとかキメェwwwww」

真面目「ぼ、僕がホモなんてあり得ないですよ!」

お嬢様「こ、こんなのプライバシーの侵害よ!それに本当のことを言うわけないじゃない!」

女教師「おやぁ?随分と突っかかってくるじゃないか……なら君達2人はどうだ、レズじゃないのか?」

お嬢様「せっ、……セクハラ!変態!そんなわけないでしょ!」

天然娘「んー……よく分からないのぉ」

お嬢様「えっ」

天然娘「ふぇ」

女教師「ん?」ピク


お嬢様「……ごめん天然娘、あんたレズなわけじゃないわよね?」

天然娘「うん、ちがうとおもうよぉ?」

お嬢様(ほっ……)


天然娘「だってねぇ、好きになったのが女の子だっただけだもん。だれでもいいわけじゃないよぉ?」ホワン

お嬢様「」ピシッ

チャラ男「キマシ?」

真面目(こ……この話題はマズい)

女教師「ほう?」ニタリ


お嬢様「す、ストーップ!しし深呼吸!あああ、あの……天然娘さん?」

天然娘「なぁにぃ?」

お嬢様「その……なんとなーく、一応聞いておくけどね?……私、あんたのことは友達と思ってるわよ?」タラタラ

天然娘「わたしもお嬢様ちゃんのことはだいすきだよぉ?」ニコニコ

女教師「なるほど、レズッ友か。うんうん青春だなぁ」ニヤニヤ

お嬢様「違っ……そういうことじゃなくて、えーっと……ああもう!」

真面目「こっ、この話は授業に無関係ですよね?早く授業を再開してください!」アセッ

女教師「チッ、この真面目が……まあいい、後で根掘り葉掘り詳しくお話ししようじゃないかぁ。な、天然娘?」ニヨニヨ

お嬢様(うわぁ……気味の悪いニヤケ面ね……)


女教師「とまあ、現代では男の同性愛者を【ホモ】、女の同性愛者を【レズ】と呼ぶのが普通だ」

女教師「しかし、ことホモに至っては動物界でも良くみられる行動だ。ち○ぽを後ろの穴にぶちこんでも子供はできないというのになぜだ?」

真面目「確かに……人間ならともかく、動物でも同性愛の行動をとるのはおかしいです。繁殖に不利になるはずでは?」

お嬢様「というか動物でもホモがいることを今初めて知ったわ……」ゲンナリ

チャラ男「メスに相手にされなさすぎてオスに走ったんじゃね?wwww」

女教師「まぁ人間にしろ動物にしろ、諸説あるにはあるが……まずは配布したプリントの写真を見てほしい」ペラッ


天然娘「ハエさんの写真なのぉ」

お嬢様「う……相変わらず汚ならしいわねぇ」

チャラ男「でも近くで見るとサイボーグみたいでカッコいいぜwwww」

女教師「このハエの名前は【satori(悟り)】といって、突然変異により【フルートレス】という遺伝子が壊れてメスに欲情しない種だ」

真面目「"サトリ"?なんだか煩悩がなさそうですね」

女教師「だと思うだろう?……実はこのハエはオスのケツを追いかけ回すガチホモであることが判明した」バアーン

お嬢様「全然悟れてないわよ!むしろ業が深すぎるわ!」

女教師「ちなみに、このサトリを1つのビンに集めたところ"貨物列車"が作られていたらしい」

チャラ男「き、汚ぇ列車だな……www」


女教師「なぜこんなことが起きたのか?それを知るにはこのフルートレスという遺伝子がカギだ」

真面目「フルートレスが壊れたからオスが好きになった……?」

お嬢様「ということは、フルートレスはさしずめ『メスを好きになる遺伝子』と言ったところかしら?」

女教師「その通り!このフルートレスはメスでは発現せず、オスのみ発現する遺伝子だ」

女教師「つまりハエは【メス好き】と【非メス好き】でヤる相手の性別を選んでいるということだな」

チャラ男「遺伝子1つでホモかノンケが決まんのかwwww」

女教師「まあハエに限ったことだがな……流石に人間ではそうはいかない」


女教師「サトリは人工的に作られたホモだが、自然界の動物でもオスがオスを襲う♂ケースはそれほど珍しくない。なぜだか分かるか?」

お嬢様「うーん……なにか意味はありそうなんだけど……」

天然娘「わかんなぁい」

女教師「ふふふ……聞いて驚け、その理由は……!」

真面目「そ、その理由は……!?」ゴクリ




女教師「……私にも分からん!」キリッ

真面目「」

お嬢様「」

天然娘「」

チャラ男「先生も知らねーのかよwwww」


お嬢様「いやいや!職務怠慢よ!ちゃんと教えなさい!」

女教師「教えろと言われてもだな……ありとあらゆる分野からアプローチはあるものの、いまだにホモ行為は完全に説明できんのだ」ハァ

女教師「やれ遺伝子がどうだ、ホルモンがどうだのと言われているが……実際にそれを証明できたら恐らくノーベル賞ものだぞ?」

真面目「そ、そんなに分かっていないんですか?」

女教師「特に人間についてはもはやブラックボックスとしか言いようがない……かつての嫌悪の対象は今や市民権を獲得しつつある」

チャラ男「まじかよパネェwwww」

天然娘「けんお?」

女教師「そうだな……他に話す話題もないし、今日は君達に【嫌悪】とは何かを教えるとするか」


女教師「まずは実験から始めよう。【今から唾を飲んでくれ】」

真面目「唾?」ゴクリ

お嬢様「今日のは随分と簡単ね?」コクッ

天然娘「んっ……はぁ」コクリ

チャラ男「なんかエロい」ゴクリ


女教師「これは普通にできただろう?では次に1人1個ずつ配った【水の入ったコップに唾を吐いてくれ】」

お嬢様「何かまだるっこしいわね……」ペ

チャラ男「よゆーよゆーwwww馬鹿にしてんのかよwwww」ンベッ

天然娘「ほぉははぁ?」タラー

真面目「これにどんな意味があるんですか?」チロ


女教師「全員終わったか?なら今から【コップに入った自分の唾入りの水を飲むんだ】」

お嬢様「えっ?それはちょっと……き、汚いわよっ!」

チャラ男「きたねーwwwえんがちょwwww」

女教師「汚いだと?それはおかしいな。なぜならそのコップの中身は君達の唾液が水で約100倍ほど薄まったものだ」

女教師「計算上さっき君達が飲み込んだ唾の100倍は綺麗なはずだが?」

真面目「そ、それはそうですけど……そういうことじゃなくて、あれ?」


女教師「そう、おかしなことに人間は【1度自分の身体から出たものは汚い】と認識するのだ。次に自分のコップを隣の人に渡してくれ」

チャラ男「うへぇwwwwツンデレ菌が感染するぜーwww」スッ

お嬢様「誰がツンデレよ!あんたなんか、この天然娘の涎でも煎じて飲めばいいわ!」チャポン

チャラ男「あっそれは結構です」

女教師「そう、愛する人の体液ならともかく【他人の体液は自分のものよりも汚く感じる】のだ。今ここで飲めといっても飲む奴はいないだろう

グビッ

天然娘「ご、ごめんなさぁい……のどがかわいてたからのんじゃったぁ」

女教師「」

お嬢様「」


女教師「ふ、フツーは汚いと感じるんだぞ!フツーはな!」

お嬢様「コイツにフツーを求めるのは無理な話よ」

天然娘「えへへぇ」ニコニコ

真面目「褒めてないよ?」

女教師「とにかく!……人が嫌悪感を感じるとき、脳のある部分が活性化する。それは【前部島皮質】だ」

天然娘「しまひしつ?」

女教師「この領域は【嫌悪感】と【エロいこと】を感じたときに良く反応するのだ。私の授業で君達の島皮質はビンビンというわけだな」ムフフ

お嬢様(主に嫌悪感の方でかしら)

チャラ男(一番ビンビンなの先生自身じゃね?wwww)


女教師「この島皮質は【大脳基底核】と呼ばれる部分と密接に繋がっており、その大脳基底核は【グルタミン酸】というアミノ酸で動いている」

真面目「グルタミン酸→大脳基底核→島皮質、というわけですね」

女教師「そう。ところで【ハンチントン舞踏病】を知っているか?あれは大脳基底核が徐々に破壊されるため、嫌悪感を認識する能力が低いのだ」

お嬢様「島皮質が直接ダメにならなくても、大元が壊れちゃ結局意味ないのね」

女教師「逆もしかりだな。【脅迫性障害】の患者の脳内では、グルタミン酸の読み取り機が突然変異している」

天然娘「壊れちゃってるのぉ?」

女教師「いや……むしろ逆に『普通の人よりも良く反応する』のだが、そのせいで他人よりも島皮質が活発になり強い嫌悪感を感じてしまうのだ」

チャラ男「ならさー、シマヒシツ自体がおかしくなってたらなんてビョーキになるんだ?wwwww」

女教師「そのような直接的な疾患は知られてないが……強いて言うなら、【サイコパス気質】の人間は島皮質の体積が通常の半分程度らしい」

真面目「サイコパスの人は普通よりも嫌悪感を感じにくいんですね」


女教師「おっとそうだ、今日はいつも私の授業を聞いている君達にご褒美を持ってきてやったぞ。忘れるところだった」ゴソゴソ

ゴトッ

女教師「こいつは『カース・マルツゥ』というチーズで、滅多に市場に流通しない幻の高級食材だ。いやー手に入れるのに苦労したものだ」ニッコリ

お嬢様「チーズっ!?」ガタッ

チャラ男「マジかよwwwwやるじゃん先生wwwww」

天然娘「…………」ススッ

真面目「うわ、なんだか美味しそうですね!蓋を開けてもいいですか?」

女教師「まぁ待て、ここは一人ずつ順番にだな……

お嬢様「はいはいはい!私が一番最初に食べる!高級な食べ物は高貴な私こそが食べるのに相応しいわっ!」キラキラ

天然娘「お嬢様ちゃん、本当にチーズだいすきだねぇ」


女教師「そうかぁ、そんなに食べたいなら仕方ないなー。なら特別にお嬢様には初めに食べさせてやろう」ニコニコ

お嬢様「ほっ、本当!?さっすがぁ!見直したわ♪」ウキウキ

チャラ男「キャラが壊れるほど好きかよwwww」

天然娘「あのねぇ、こんなこというのダメなんだけど……やめた方がいいとおもうよぉ?」ススス

お嬢様「ふふんっ、何?あんた達、最初に食べられなくて嫉妬してるの?私がしっかり食レポしてあげるから指咥えて見てなさい♪」パカッ

ピョーン!

ペシッ

お嬢様「ふぎゃっ!?な、何!?なんか顔に変なものが当たって……」スッ


蛆『やあ』ウネウネ


真面目「」

チャラ男「」

お嬢様「い、いやぁあああああああああっ!!?」ポイー


女教師「説明しようッ!カース・マルツゥとは内部でチーズバエの卵を孵化させ、幼虫の消化液で柔らかい仕上がりになったチーズのことだッ!」

お嬢様「ひぃいいいい!!なんて物食わせようとしてんのよぉおおお!!?」ゴシゴシ

女教師「ちなみに幼虫が腸を食い荒らす危険性があるため販売は規制されている。こいつは闇市で手に入れたものだ、高かったんだぞ?」ニヤニヤ

真面目(確かに嘘はついてないですね……)

お嬢様「ウジ虫入りのチーズを食べるなんて信じらんない!……ハッ、天然娘!あんた知ってて言わなかったわね!?」

天然娘「だって、お嬢様ちゃんチーズがだいすきだからたべられるかなって」

お嬢様「いくらなんでも食べんわ!!」ベシッ

チャラ男「高貴な心を忘れてるぜwwww」


女教師「嫌悪感とは2種類に分けられる。それは【生得的嫌悪感】と【獲得的嫌悪感】の2つだ」

女教師「さっきの実験のように他人の体液や不衛生的なものに対するのは前者、文化によって形成されるものは後者だな」

真面目「納豆やシュールストレミングのような、食文化に関するものなども獲得的嫌悪感でしょうか?」

女教師「それ以外にも、磯の香り(ジメチルスルフィド)は島国の人間にとってはいい香りだが内陸国の人間にとっては強烈に不快な臭いだ」

お嬢様「ううぅ……もうチーズ食べれない……」ポロポロ

女教師「す、すまなかったな……ほれ。お詫びに私が食べる分だったミルベンケーゼをやろう。ドイツの伝統あるチーズだ」スッ

お嬢様「んっ……おいひぃっ……!ちょっと苦いけど、深いコクと独特の芳醇な香りで大人の味がするわ……♪」モッキュモッキュ

天然娘「………。よかったねぇ、お嬢様ちゃん」ススッ


女教師「嫌悪と苦味の表情は良く似ている。苦いということは主に植物の【アルカロイド】や【配糖体】が口に入ったときに感じる味覚だ」

チャラ男「アルカロイドって知ってるぜwwwゲーセンとかにあるブロック崩しのことだぜwwww」

お嬢様「それはアルカ"ノ"イド……って、古いわね!いつの時代よそれ」

女教師「アルカロイドとは窒素を含む有機化合物のことで、摂取すると強烈な生理現象を引き起こす。薬や毒なんかに多い」

女教師「配糖体は糖と糖以外(アグリコン)が繋がった物質だ。ほとんど毒だが、ジギタリスなんかは昔は強心薬として使われていたぞ」

天然娘「りょーやくは口にニガしなのぉ」

真面目「食べる前に毒と分かれば、生存する確率は上がりますね」

女教師「もし同じものを食べた友人が明らかにヤバい顔をしたら、すぐに自分も口に入ったものを吐いた方が安全だろう」

女教師「次に同じものを見たときは食わない方がいいに決まってる。こうやって毒のある食べ物を見分けるために人類は嫌悪を発明したのだ」

チャラ男「毒=苦いって訳かwwwwじゃあピーマンって毒じゃね?www」

女教師「こういうアホに食われなくなるためにピーマンは苦く進化したという説がある」

お嬢様「あ、すごい納得」

天然娘「でもおじいちゃんはニガいお茶の方がすきだよぉ?」

女教師「人は歳をとると大脳基底核に放出されるグルタミン酸の量が減少する。子供の頃は苦いものがジジイになると旨く感じるのはそのためだ」


女教師「嫌悪感は人間に特徴的な感情だ。特に受け入れがたい【性癖】については特に強く反応する」ムフフ

真面目「あれ?でも嫌悪と性的興奮は同じ島皮質で起こるはずでは……?」

女教師「エロいとグロいは表裏一体。カニバ○ズムやネクロ○ィリアと聞いたとき、嫌悪と共に少しからず興味を抱くものだ」

お嬢様「はぁ!?全っ然興味ないわよ変態!」

女教師「人間、無意識では何を考えているか自分でも分からんものだ。ホラー映画や辛口カレーなど現にバカ売れしてるだろう?」

女教師「こうして自ら不快な刺激を求めることを、心理学者のポール・ロジンは【無害なマゾヒズム】と名付けている」

チャラ男「マゾじゃねーよwwwワクワクと探究心を求めてるんだよwww」


女教師「ここでもう一度ホモセクシャルについて考えてみよう。君達は【マシュー・シェパード法】という法律を知っているか?」

真面目「マシュー……?いえ、初めて聞きます」

天然娘「人のお名前みたいだねぇ」

女教師「これはアメリカでオバマ大統領が制定した法律で、またの呼び名を『同性愛者に対するヘイトクライム防止法』とも言う」

お嬢様「ホモやレズの悪口は言ったら駄目ってことね」

チャラ男「やり過ぎじゃね?wwww自由の国なんだろ?wwww」

女教師「確かにそう感じるかもしれないが……この法律が作られた背景に『マシュー・シェパード事件』という惨事が起こったのだ」

女教師「このマシュー君は自他認める『オープンゲイ』だったが、ただそれだけの理由で惨殺され犯人は終身刑を言い渡されたのだ」

お嬢様「え……ゲイは引くけど、それはさすがに可哀想ね……」

真面目「そんな理由で……!」

天然娘「ひどい……」

女教師「問題なのは、犯人にとってゲイは嫌悪すべき対象だったということだ。どこにでも両性愛や同性愛を気味悪がる人間は一定数は存在する」

チャラ男「呼ばれてるぜ、お嬢様wwww」

お嬢様「わ……悪かったわよ」ムスッ


女教師「しかしなぜここまで過剰に反応するのだろうか?自然の摂理に背くと言えばそれまでだが、それにしては少し大袈裟と思わないか?」

真面目「確かに……男性同士で子供ができるわけでもないし、ましてや女性の取り合いには発展しませんよね?」

お嬢様「言われてみれば、なんで私はレズが気持ち悪いのかしら……?」

天然娘「あんまりむずかしいことは考えたことないよぉ?だってぇ、すきなものはすきなんだもん」ホワン

女教師「これには主に次の3つの要因が合わさっていると考えられる。すなわち【体液嫌悪】【性病感染】【性癖感染】だ」


女教師「体液嫌悪はさっき説明したな?要するに体内(ケツマ○コ)に親しくない者の体液(ザー○ン)が侵入することで起こる原始的な嫌悪だ」

お嬢様「()の中身を口にしたら殺すわよ」

女教師「体液は嫌いな者なら汚ならしく、好きな者なら淫靡に感じる。男女であるとかどんな体液であるかはさほど問題ではない」

女教師「男女でもア○ルセッ○スは普通にするだろう?要は誰のち○ぽが突っ込まれるかが重要なのだ」

真面目「そ……それ以上はまずいですよ!」アタフタ

お嬢様「もう手遅れでしょ」ハァ

女教師「次に性病感染だが、今流行りのエイズなどの性感染症は同性間のセ○クスでも容易に感染する。感染源を嫌悪するのは本能的なものだ」

チャラ男「ヤるなら処女が良いなwww性病にかかってる率0%だしwww」

天然娘「じゃあー、チャラ男くんはどーてーさんなのぉ?」

チャラ男「しまった」ギク


女教師「最後に性癖感染の話をしよう」

真面目「性癖……感染?まさか……」

女教師「そう、そのまさかだ……!」



女教師「 ホ モ は 感 染 す る ! 」バァーン


生徒達「な、なんだってーーーー!?」


女教師「ホモにヤられた人間はホモになるのだ!これは細菌やウイルスといった病原体ではなく、『経験』が脳に感染することで発症する!」

チャラ男「そんな馬鹿なwwww」

女教師「我々は既に知っているのだ……ミイラ取りがミイラになることを!」

真面目「えぇー……つまり男性がホモを嫌悪するのは、ホモを病原体と同レベルで扱っているからということですか……?」

女教師「男同士で子供はできない。さしずめ非ホモの目には、ホモは『伝染る不妊症』のように映るだろう」


天然娘「でもあいぴーえす細胞で問題解決なのぉ」

女教師「ううむ……まだ【ゲノムインプリンティング】問題が残っているが、マウスでは既に成功している。近い将来マジでありうるかもな」

お嬢様「ね、ネズミで成功しているの!?」

女教師「実はiPS細胞で初期化しても、オスとメスでゲノムの【メチル化パターン】が異なるために同性の両親から子供を作るのはかなり難しい」

女教師「だが東京の某大学はこのインプリンティングコードを解析し、二母性マウス【KAGUYA(かぐや)】を誕生させたという実験結果がある」

お嬢様「す、すごい時代になったわね……」


女教師「嫌悪とは、この広大な地球上で我々人間のみが持つ特別な感情だ。高い知能を持つ動物の中でも他に類を見ない」

女教師「嫌悪はかつて人類が膨大な記憶力を手にいれたときから、生き残る知恵として有用に利用してきた便利なツールでもある」

女教師「これをコミュニケーションの一環として扱うのは細心の注意を払う必要があるし、同時に諸刃の剣であることを念頭に置いてほしい」


キーンコーンカーンコーン


女教師「さて、これで性物学第5回の授業は終了だ。起立、礼」

生徒達「ありがとうございました!」


ここまで。カース・マルツゥとミルベンケーゼは検索注意


―――――――――――――――…


チャラ男「―――ハッ、あれ……なんであいつの部屋で寝てんだ……?」

チャラ男「ちょっと熱出たから、買い置きのかぜ薬飲んで……」ガチッ

チャラ男「……は?なんだこれ……手錠?」ゾワ


チャラ妹「おはようお兄ちゃん」ニコ

チャラ男「な――――」


チャラ妹「やあっと飲んでくれたね、『これ』」ヒラヒラ

チャラ男「まさか……お前、かぜ薬と睡眠薬をすり替えてたのか!?」

チャラ妹「うふふ……これでお兄ちゃんはあたしのもの」スッ

チャラ男「何……包丁向けてんだよ……」カタカタ

チャラ妹「分かってるくせに。あたしはお兄ちゃんを食べてひとつになるのよ」ニタァ

チャラ男「お前……やっぱりおかしいぞ……!」タラ

チャラ妹「…………」


チャラ男「お、お前頭良いから分かるだろ?そんなことしたらどうなるかとか、そもそも肉食ったぐらいで一緒にならねーって!」ガチッガチッ

チャラ男「そもそも……好きだから食うって、どうかしてるだろ!」

チャラ妹「お兄ちゃんは勘違いしてるよ」ギラッ

チャラ妹「人は経年劣化していくの。次の一瞬はどうか分からないけれど、全体で見ればいつか老い朽ちてしまう」

チャラ妹「その人の思い、記憶、感情……愛してる人が劣化していくのは見てて辛いんだよ。だから一番良い状態で保存しなきゃ駄目なの」ジリ

チャラ男「なら……なにも食わなくても良いじゃねーかよ!」

チャラ妹「うん、そうすることも考えたけど……やっぱりあたしはお兄ちゃんを食べたいよ」ニィッ


チャラ妹「あたしの体はたった3日飲まず食わずで止まっちゃう」

チャラ妹「だから今のあたしが生きているのは、100%今まで食べてきた物のおかげなんだよ」

チャラ妹「だからあたしが食べたものは、あたしの『生』を証明し続ける証拠になる」

チャラ妹「あたしが生きているということは、あたしが食べたという事実があって成り立つことなの。それは生きてる限り絶対に忘れない思い出!」

チャラ男(狂ってる……)ガタガタ

チャラ妹「そう言うことだから……お兄ちゃんが今のお兄ちゃんでなくなる前に、あたしに食べられて?」スゥ…

チャラ男「っ!」ググッ


チャラ妹「………っ……」カタカタ

チャラ男「……やっぱり、お前……」

チャラ妹「う、うるさい!!黙ってよ!!」


グチャッ!!


チャラ男「―――うぁ゙ア゙ァ゙ア゙ぁ゙あ゙アッッ!!!」ビクンッ


チャラ男(肩がッ……焼きゴテ押し付けられて爛れたみたいに痛ぇ!!しかも金属の冷たい感触が中に直接届いて気持ち悪い……っ!!)ガクガク

チャラ妹「っ……切り取ら、ないと」グッ


グチグチ…


チャラ男「あ゙ギッ……ぅぐア゙あ゙ァ゙ア゙ぁ゙あ゙ア゙あ゙ッッ―――!!」ドクドク


ギチュッ…ブチン


チャラ妹「やっと千切れた……ふふっ……お兄ちゃんのお肉……」ヌル

チャラ男「ひ……ぁ……」ダラダラ


チャラ妹「ねえ、見ててよお兄ちゃん。今からあたしお兄ちゃんを食べるよ」

チャラ男「やめ……ろ……まだ引き返せる……」フルフル

チャラ妹「もう遅いよ。だってあたし、こんなにおかしいんだもん」スッ…


グチュッ…


チャラ妹「あ、は……美味し、……っ……んぐぅッ!?」バッ


ビチャビチャッ!!


チャラ妹「かはっ……駄目だよ、あたし……ちゃんと食べないと……」ブツブツ

チャラ男「もうやめろ……!そんなことしたって、本当は……」

チャラ妹「うる、さいな、ぁ……」ポロポロ


バクッ…ゴクン


チャラ妹「あは、は。食べちゃった……っ、ちゃんと食べれたよ、あたしお兄ちゃんを食べた!あははははは!やっぱりあたしはおかしいんだ!」

チャラ男「分かったから……もう止めてくれよ……」


ピンポーン


チャラ妹「ウザいなぁ……今いいところなのに。大人しくしててね、お兄ちゃん」バタン

チャラ男「ぅ……ぐ……」

チャラ妹「はい、何か……?」ガチャッ


女教師『どうも、壁殴り代行に来ました』ガッ

チャラ妹「……は?」


ドンッ


チャラ妹「きゃあっ!」ドタッ

女教師「お邪魔します!返事は聞かないがな!」ダダッ


チャラ男「先生……な、なんで」

女教師「うおっ、肩が抉れてる!あいつマジでやりやがったのか……とりあえず病院行け」カチャン

チャラ男「手錠が簡単に外れた……せ、先生実はゴリラだったの?www」

女教師「アホか。これはただのオモチャだよ」シャラン


チャラ妹「どうして!?なんで……警察じゃないの!?」

女教師「おい、そこのお前……」スッ


パシィィンッ!


チャラ妹「………っ」

女教師「自分の問題に私の生徒を巻き込むんじゃない!」


チャラ男「な……何がとういうことだよ……?」


女教師「まだ分からないのか?こいつは自分から警察に捕まろうとしたんだよ」

チャラ男「はぁ!?何のためにだよ?」

女教師「少しコツを掴めば外せる手錠も、家に鍵をかけてなかったのも、防音でない部屋で君に悲鳴をあげさせたのも全て想定済みということだ」

女教師「さっき警察から連絡があった。『お宅の学校の生徒が悪質なイタズラ電話をかけてきた』ってな」

チャラ男「だから……なんでそんなことする必要が!」


チャラ妹「愛してるの……本気で、お兄ちゃんのことが」フラ



チャラ妹「おかしいよね。あたしお兄ちゃんの家族で妹なのに」
チャラ妹「勘違いだと思った。忘れたいとも思ったよ。でも自分の心に嘘はつけない」
チャラ妹「あたしは客観的に見て精神異常者なの。人として不良品なんだ」
チャラ妹「だからあたしはおかしくないと駄目なの。誰からも仮面だけ見せて、まともな人間として生きるのは耐え難い苦痛だった……」

チャラ男「お前……」

女教師「私の同僚がスクールカウンセラーをやっていてな。聞けば私の生徒がヤバイと言うことで勝手についてきてしまった」ハハハ


チャラ妹『ごめんなさい。やっぱりあたし、自分の気持ちは誤魔化せません……失礼します』ガタ

女教授『ま、待つのですよっ!それは犯罪行為……』

女教授『うぅ……早く女教師さんに連絡しないとっ……!』プルルッ


チャラ男「……プライバシーもへったくれもねぇな」

女教師「まあな、カウンセラーは他人に危害が及ぶと確信した場合はカウンセリングの内容を他人に漏洩しても良いのだ」


チャラ妹「あたしを……どうするつもりですか?」ヘタリ

女教師「君としては警察か黄色い救急車を呼んでほしいのだろうが、君は普段の素行も良いし生徒会長、成績も優秀だ」

女教師「隠さずに言うと、天然娘の次に我々のキャンパスに欲しい人材だ。君の経歴にシミをつけるのはやぶさかではない。そこで……」スッ

チャラ妹「………鍵?」チャリン

女教師「ちょいと物理的に兄離れしてみたらどうだ?君があのカウンセラーの先生の所に居候するのなら、私は今日見聞きしたことを水に流そう」

チャラ男「………お前の好きにしていい」

チャラ妹「………」

チャラ妹「…………………」


チャラ妹「…………。わかり、ました……」ポロポロ


女教授「はい、了解しましたっ!この娘のことは私が責任を持って預かるのですよ~♪」

チャラ妹「お兄ちゃん……行って、きます」フリフリ


―――――…

女教師「ふぅー……一件落着ってとこだな」

チャラ男「あのさ……なんでアイツ、あんなことしたんだろうな……?」

女教師「本気で君のことが好きだったのだろう。だが世間の認識のズレから、自分が異常者であると思い込まなければ理性を保てなかったのだ」

女教師「異常者というのは、我々健常者の下でも後ろでもない……紛れもなく延長線上に存在する」

女教師「普通の人間なら立ち留まることができるだろう。だが止まることが出来ない人間は、もう突き進むしか救われる道はない」

女教師「カニバ○ズムの真似事をしたのも、彼女の良心がどこかで自らを罰しなければならないという欲求の表れなのかもしれんな」

チャラ男「そっか……何から何まですまねーな……wwww」

女教師「そんなことは気にしなくても良いから、君は早く病院に行ってこい」バシッ

チャラ男「アヒンッ!肩はダメっスよ肩はwwww」


チャラ男「ところでさー、本当にアイツを女教授さんの所に連れてって良かったのか?wwwメーワクじゃねーのか?www」

チャラ男「というか、むしろ俺が行きたかったんだけどwwwあの先生清楚で可愛いしwww」

女教師「なあに、ギブアンドテイクという奴さ」

チャラ男「?」

女教師「餓えたピラニアに生贄をやっただけだ」ゴクリ

女教師「数ヵ月後には、信じて送り出した妹が君に興味をなくしてるかもな……」タラ


…―――――――――――――――

ここまで
筆を進めてたらとんでもない事になってた、などと供述しており



女教師「今日は君達に【クオリア】の話をしよう」

真面目「クオリア……哲学ですか?」

女教師「君たち男性諸君らも賢者モードのときに一度は考えたことはないか?『意識はどこからくるの?』とかな。今日はその話をしようと思う」

天然娘「けんじゃもーど?」キョトン

チャラ男「昨晩は肩が痛くて自家発電できなかったんですけどwwww」

真面目「ち、チャラ男……その肩どうしたの!?」

チャラ男「いやーwwwちょっとヤンデレの妹に齧られたわwwww」

お嬢様「はいはい……あんたなんかでもみんな心配してるんだから、冗談言ってないでさっさと治しなさいよ」


女教師「さて、今日はいきなりで悪いが君達で実験をやってみようか。まずはこいつの香りを嗅いでくれ」キュポンッ


熊燐『ヤマトナデシコデゴザイマスノヨ』フワッ


お嬢様「あっ……いい匂い!」クンクン

真面目「これ……『サクラの匂い』ですね?」スン

天然娘「いーかおりなのぉー……♪」スゥ

女教師「こいつは私が独自に合成しブレンドしたお手製の香水『熊燐』だ。この中に含まれている『クマリン』はサクラの匂いがするぞ」キュッ

女教師「そして次はこいつだ」キュポン


素華陶留『ジョウネツテキナコイッテステキ』フワッ


チャラ男「これ香水で嗅いだことあるぜーwww」スッ

お嬢様「これは……ジャスミンかしら?それともバラ?」クン

天然娘「んー……♪」スンスン

女教師「良い匂いだろう?この『素華陶留』は分量の合成に苦労を掛けたものだ。こっちの10万倍濃いものも嗅いでみるか?」キュポンッ



素華陶留'『オトコドウシノコイッテステキ』ムワン


お嬢様「くっさぁーーーーーーっ!!」ジタバタ

真面目「う゛っ!?にゃ、にゃんですかこりぇ!?」ハナオサエ

天然娘「……っ……」ピクピク

チャラ男「こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!!」ズギャーz_ン

女教師「ははは!この匂いの成分『スカトール』は元々う○この臭いだ!こいつを10万倍希釈すると香水の香りになるのだよ」キュッ

お嬢様「ゆ、油断してたわ……ゴホッ」


女教師「ここまでは君達も一度は嗅いだことのある匂いだろう。だがいまから用意する臭いは全人類の半分未満は嗅いだことのない臭いだ」

真面目「全人類の半分……?それってどういう」

女教師「よかったな、これで君達は『過半数』の仲間入りだ」キュポン



秘辺理神『イッグゥ゙ヴヴヴ!!!イッヂャゥ゙ノ゙ホォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ッッ!!!』ムワッ


お嬢様「く、臭ァーーーっ!何この……何!?」ゲホッ

天然娘「あ、でもぉ……なんだかクセになっちゃうのぉ……♡」トロン

真面目「……?今まで一度も嗅いだことのない臭いですね……」クンクン

真面目「あ……///僕この臭い……結構好きかも……♡」トロン

チャラ男「………!?………!!?」パクパク

お嬢様「ちょっと!真面目と天然娘がおかしくなっちゃったじゃない!ヤバいものでも入ってんじゃないのそれ!?」パタパタ

女教師「なに、3人だと……?そんなはずは……ま、まさか」ハッ

女教師「じ、実験はここまでだ!さっさと次の説明に入ろうじゃないか!」キュッ


女教師「いま君達が感じた『におい』とは、空気中に散布された化学物質が鼻腔の受容体に反応し、電気信号として脳に処理されたものだ」

女教師「人間は何万種類の匂いを嗅ぎわけられるが、実は1800種類の匂いの組合せや濃度によって判別しているのだよ」

お嬢様「さっきのバラの良い匂いも、物凄く濃くすれば臭くなるのはそのせいね……」

女教師「私の『声』君達が見ている『黒板』それらは全て電気信号に変換され、脳ミソでこねくり回されて作られる。だが意識とは一体なんだ?」

お嬢様「ええっと……意識と脳は別なんじゃないの?ほら、タマシイとか!」

女教師「……ハッ!君は今まで何を学んできたのだ」プゲラ

お嬢様「鼻で笑われた!?うっざ!じゃあ一体何なのよ!」ムカッ

女教師「そんなもん決まってるだろう。意識も脳で生じる産物だ」

真面目「でも……それって証明できるんでしょうか?」

女教師「そうだな……それを説明するためにクオリアとは何かを教えねばならんな」


女教師「例えば赤いリンゴを見たとする。当然みんな『このリンゴは赤い!』と言うはずだよな?」

チャラ男「そりゃ当然だろwww」

女教師「だが『私の見ている赤色』と『君達の見ている赤色』が一致するとは限らない」

お嬢様「え?どういうこと?赤色は赤色なんだから、見えてる赤色はみんな同じはずでしょ?」

女教師「例えば色弱の人なんかはどうだ?彼らは特定の色に対する受容体の構造が異なるために我々と違う色が見えている」

女教師「だが生まれてからずっとそうだったのだ。我々と違う色が見えていたとしても「それは赤色だ」と答えるかもしれない」

真面目「それは……そうですけど……」


女教師「もっと極論を言えば、もしかしたら自分以外の人間は意識なんて持たず、プログラムされた解答を反射で返してるだけかもしれんぞ?」

女教師「『外見や振舞いは我々と変わらないが意識はない』こんな存在を【哲学的ゾンビ】と言うが、君以外はゾンビだらけかもな?」ニヤッ

お嬢様「ひっ……そんな怖いこと言わないでよっ!」フルフル

女教師「とまあ、このように今君達が感じている『その色』『その音』『その匂い』言葉にできないこれらを【クオリア(覚醒感覚)】という」


女教師「『甘味のクオリア』『熱のクオリア』『紫色のクオリア』……どれも本当に他人と共有しているとは限らない」

女教師「ぶっ飛んだ話、生物がロボットに見えてもそれを他人に証明するすべはないのだ」

真面目「うーん……分かったような、分からないような……」

天然娘「くおりあはどこからくるのぉ?」

女教師「そう、それだ。私の言いたいことは『クオリアも脳で作られる』ということだ。ところでこいつを見てくれ」カッカッカッ


(∵)


女教師「顔に見えないか?」

お嬢様「……だから何?」

チャラ男「∵」

天然娘「そっくりだねぇ」


女教師「人間の脳はたった3点の逆三角形があれば人の顔に見えてしまう。それはなぜか?」

女教師「その理由はおどろくなかれ、人の脳には『顔を専門的に見分ける領域』が存在するからだ!」

真面目「人の顔を見分ける領域……?そんな抽象的な……」

女教師「【相貌失認症】という疾患を知ってるか?これは人の顔を覚えられない病気で、人類の数%がこの病気を罹患していると言われている」

女教師「この患者の脳と健常者の脳のデータを集め比較したところ、大脳の後頭葉……頭の後ろ辺りの脳の一部が異様に小さいことが判明した」

お嬢様「わ、私も結構人の顔覚えるのニガテだけど……そんな脳レベルで欠陥があったわけ!?」ガーン

女教師「まあ絶対とは言い切れんが、こういうケースもあるということだな」

天然娘「しんれーしゃしんもみまちがえなのぉ……?」

女教師「心霊写真の99%は目の錯覚、見間違いだな。ちなみに残りの1%は捏造だ」

チャラ男「それ100%ニセモノじゃねーか!wwww」

女教師「まあ、このようにいくつかの神経細胞の集団が1つの対応したクオリアを生じることを【コラム構造】と呼ぶこともあるぞ」


女教師「これ以外にも、例えば視覚野のある部分に傷害を負うと『動いているものが見えなくなる』といった奇妙な症状が現れる」

お嬢様「はぁ?なにそれ?じゃあ動いているものが止まったら急に現れたように見えるの?」

女教師「その通りだが?」

お嬢様「……ま、マジで?」

女教師「いま君達の見ているものは網膜から視覚野に入るまでで20%、視覚野から大脳皮質に送られるまでで15%しかないんだ。つまり3%だ」

女教師「残りの97%は頭の中で処理され補われている。目の細胞数はたったの100万画素だが、私のスマホの方が遥かに高画質だぞ?」

真面目「いま僕たちが見ている景色のほとんどは頭の中で編集されたものなんですね……」


女教師「視覚や聴覚など、処理される情報はある程度局在化している。それらは電気信号で伝えられるが実際に電気が流れているわけではない」

お嬢様「えっ?電気が流れてないのに電気信号っておかしくない?」

女教師「まずは【神経細胞】について教えよう。細胞の内と外には【イオン】があって、種類によって偏りが生じているんだ」

女教師「まずは【K+(カリウムイオン)】。こいつは細胞の中にたくさんあって、少しずつ細胞の外に漏れだしている」

チャラ男「お漏らしかよwwwwばっちいなwww」

女教師「こいつが漏れているせいで+が減り、【細胞の中は-の電気を帯びている】のだ」

女教師「続いて【Na+(ナトリウムイオン)】【Cl-(クロライドイオン)】【Ca2+(カルシウムイオン)】は細胞の外に多く存在するんだ」

天然娘「ケガしちゃったとこをなめるとしょっぱいのぉ。お塩とおなじせーぶんだからなんだねぇ」

女教師「こいつらの細胞内外の比率により、細胞膜でだいたい【-70mV】ぐらいの電位が発生する。これを【膜電位】と呼ぶぞ」


女教師「そしてこの細胞の膜には【Na+チャネル】という"穴"が空いていて、何かの拍子で一瞬だけ開いたり閉じたりするんだ」

真面目「え?Na+が細胞の中に入ってきたら、せっかく作った膜電位がなくなってしまうのでは……?」

女教師「そう、これによりほんのちょっと膜電位が小さくなると次は隣のNaチャネルが開き、それが続いて反応がどんどん連鎖していくのだ」

お嬢様「まるで伝言ゲームみたいね。実際にイオンが動いてる訳じゃなくて情報だけが伝わってるのね」

女教師「脳にも神経繊維が多く存在し、これを【神経細胞(ニューロン)】と呼ぶぞ」


女教師「ちなみに末梢の神経細胞には【シュワン鞘】という絶縁体が巻き付いていて、切れ目の【ランビエ絞輪】までイオンがジャンプする」

真面目「まるで光ファイバーの動きみたいですね」

女教師「これにより、中枢の神経よりも高速でやり取りを可能にしているのだ」

女教師「脳の神経細胞では信号が【軸索】という出口まで伝わると、隣の神経細胞との繋ぎ目【シナプス】に向かって神経伝達物質が投げられる」

チャラ男「なんでそんなメンドクセーことしてんだ?wwwずっと電気信号でよくね?wwww」

女教師「シナプスは20nmの隙間が空いてるからな……こればっかりは物理的にどうにもならん」


女教師「この神経伝達物質は色々あるが……まあ8割方が【グルタミン酸】か【GABA】のどっちかだな」

チャラ男「グルタミン酸って知ってるぜwwwほ○ダシの元に入ってるうま味成分だぜwwww」

お嬢様「んなわけないでしょ……」

女教師「んなわけあるぞ。これを発見した研究者は当時は馬鹿げてると揶揄されさんざんイジられたらしい」

お嬢様「えっ」

女教師「とにかく、この軸索の末端から神経伝達物質がシナプスにぶん投げられると受け手【スパイン】にNa+が流入し、再び電気信号が流れる」

真面目「つまり、電気信号→神経伝達物質→電気信号、という風に隣の神経細胞に情報が伝わっていんですね」

女教師「この反応はかなり速く、だいたい1ミリ秒程度と言われている。我々の意識は0.1秒で生じるのでたった100回の伝達で心が作られるのだな」

チャラ男「な、なんかすげー単純なんだなwww」


女教師「投げられた神経伝達物質が【グルタミン酸】の場合、Na+が流入し電気信号が発生する」

女教師「だがもしこれが【GABA】の場合はCl-が流入するのだ。この場合どうなるかな?」

真面目「マイナスの電荷を持つイオンが入ってくるんですか?うーん……それだと電気信号は発生しないんじゃ……」

天然娘「もっとマイナスになっちゃうから、でんきが流れにくくなっちゃうのぉ」

女教師「そう!グルタミン酸は神経を興奮させ、GABAは神経を抑制する働きかけをする!」

お嬢様「面倒臭いわねぇ、だったら最初っから電気を流さなければいいんじゃないの?」

女教師「この抑制がない場合、電気信号が流れっぱなしになる【てんかん】になるぞ。あと人間の筋肉に制限があるのもこいつのお陰だ」

チャラ男「庶民の節約術は知恵の結晶なんだよwwwお嬢様www」

お嬢様「う、うっさいわねぇ!」

女教師「1つの神経細胞には多くのスパインがあり、このグルタミン酸(賛成派)とGABA(否定派)で多数決を行っているのだ」

真面目「こうして次の神経細胞が発火するかどうかを決めているんですね」

女教師「このように多数決で学習する素子を【ニューラルネットワーク】と呼ぶ。コンピュータにも応用されている柔軟性に優れた学習機能だ」


女教師「記憶には【短期記憶】【長期記憶】の2種類がある」

女教師「グルタミン酸が短時間に何度も『キャッチャー』に投げられると大量のNa+が入り電位が大きくなる。この時『補欠』が動員されるのだ」

真面目「より多くのグルタミン酸を捉えるために受け取り側の数を増やすんですね」

女教師「これが短期記憶のメカニズム。この追加した補欠は時間が経つとベンチに戻ってしまうから長続きはしない」

お嬢様「やる気のない奴ね……」

天然娘「ちょーききおくはどんななのぉ?」

女教師「これに対し、さらに長い時間グルタミン酸が投げ続けられるとこんどはCa2+がスパインに流入する」

女教師「すると『監督』タンパク質が作られ、追加した補欠がベンチに戻ることを防ぐのだ。これが長期記憶というわけだ」

チャラ男「スパルタかよwwww」

真面目「記憶って、こんな分子レベルでの変化で作られているんですね」


女教師「だが最近の研究で分かったことは、どうも情報伝達しているのは神経細胞だけではないらしい」

真面目「えっ?神経細胞以外にも脳で働いてる細胞があるんですか?」

女教師「我々の脳にある神経細胞は、実は全体のわずか10%にすぎない。残りの隙間は【星状膠細胞(アストロサイト)】で埋められている」

天然娘「お星さま?」

女教師「こいつは栄養を運んだりフィルターとして毒を除去しているのだが、どうもグルタミン酸に反応してCa2+を分泌しているらしい」

お嬢様「ニューロンが働くと、コイツらもつられて仕事するのね」

女教師「こうしてCa2+の波がアストロサイトを伝わり、時にシナプスにグルタミン酸(興奮)やATP(抑制)を分泌して情報処理に影響を与える」

真面目「情報を伝えるのは神経細胞だけじゃないんですね……」


女教師「とまあ、こんな風に神経細胞のシナプスで記憶は作られるわけだな」

チャラ男「でもよwwwノーミソの細胞って1000億個くらいしかないんじゃね?wwwwすぐパンクしそーなんだけどwwww」

女教師「なるほど、記憶の容量か。それについては君達が心配することはないぞ」

女教師「1つの神経細胞から作られるシナプスの数はおよそ約1万個だ。つまり脳の全シナプス数は1000億×1万=1000兆個だな」

お嬢様「い、1000兆!?」

女教師「もっとも全部の神経細胞が記憶を作るわけではないが……シナプスは『発火する』『発火しない』の2つの状態を取る」

女教師「ゆえに考えられる組合せは【2の1000兆乗】桁数にして10の後ろに0が300兆個続くほどの途方もない容量だ」

真面目「ほぼ無限大……!?」

女教師「実際にはこうならないが……少なくとも10万字の本を10万3000冊全て記憶するくらいのポテンシャルは一般人でも余裕で持っているのだ」

お嬢様「……一応聞くけど、『実際にこうはならない』ってどういうことよ?」

女教師「シナプスの数が1万に対し、神経細胞の数は1000億だろう?つまり三回も伝達を繰り返せばスタートに戻るわけだ」

天然娘「るーぷしちゃうから、そんなにたくさんのお友だちと会えないんだねぇ」

女教師「逆に言えば、ループによって自分自身がより強化(自己組織化)するということだ。これを【非エルゴード性】と呼ぶ」

女教師「オマケに普段は100回程度しかループしないしな。覚えてるのと思い出せるのとは雲泥の差があるのだ」


女教師「もうひとつ『記憶方式』について教えよう。【大脳記憶】と【小脳記憶】の2つだ」

女教師「大脳記憶とはさっきまで私が説明していた、受容体を増やすことによって記憶するボトムアップ方式の方法だな」

チャラ男「積み木みたいな?wwww」

女教師「そして小脳記憶とは神経細胞に巻き付いた【プルキンエ繊維】がエラー回路を構成し、ミスを消去していくトップダウン方式だ」

女教師「アスリートの体捌きなんかはそうだな。さしずめ『無駄に洗練された無駄のない無駄な動き』が小脳記憶だ」

お嬢様「いやどっちよそれ」

真面目「それぞれの利点なんかはあるんですか?」

女教師「利点か……強いて言えば、大脳記憶なんかは日常生活に欠かせない動きや思考に必要だ。長期向けのタイプと言える」

女教師「小脳は大脳に比べて非常にニューロンの数が多いし、迅速な修正を行えるから『一夜漬け』の記憶と言えるかもな」


お嬢様「……ちょっとまって!"大脳"記憶っておかしくない?記憶って確か【海馬】でされるんじゃないの?」

女教師「いや海馬も大脳の一部……って、そういう質問じゃないか。この海馬が記憶を保持するのはほんの短時間だけだ」

天然娘「どういうことぉ?」

女教師「海馬は記憶を司るが、それは主に『入力か出力』だけ。海馬で纏められた記憶は隣の側頭葉で記録されているのだ」

女教師「ちなみに海馬は脳組織の中でも最もループ回路が多い。やはり記憶はそれだけ大容量ということが伺えるな」

お嬢様「ふぅん、なかなかの強かさね」

女教師「だが記憶も完璧ではない。脳の【PP1】というタンパク質は長期記憶で増えたキャッチャーを強制的にベンチ送りにする役割がある」

女教師「つまりほっといても記憶が消えるのだ」

真面目「なるほど……『物忘れタンパク質』があると言うことですね」

女教師「実際にこのタンパク質を作る遺伝子を壊したマウスは記憶力が良くなったらしい。デザインベビーが実用化されたら真っ先に弄られるな」


女教師「最後に自由意思の話をしよう。つまり『我々の意思は脳の奴隷か?』と言うことだな」

お嬢様「奴隷ですって?冗談じゃないわ!私は私よ」フンッ

真面目「でも、もし自由意思が無意識で決まるのなら意思はないってことになるのでは?」

女教師「私たちの意識には【タイムラグ】が存在する。次のプリントの解説を見てくれ」ペラッ


・知覚の実験
皮膚への刺激の0.25秒後に大脳皮質へ0.5秒を越える刺激を加えたところ、刺激を加えた0.5秒後に大脳皮質への刺激は知覚されたが皮膚への刺激は0.5秒遡り知覚を書き消された


お嬢様「……??さっぱり訳分かんないんだけど……」

女教師「これを理解するには今から言う2つの予備知識が必要だ。最初の1つは……」


ムニィッ


天然娘「にゃあにゅぃー?」ムニュー

女教師「んほぉおおおっ!天然娘のほっぺた柔らかああああ!!(このように【皮膚への刺激と知覚は普通同時に起こる】)」グニュグニュ

真面目「また逆になってますよ先生」


女教師「……おほんっ、だが大脳皮質に直接刺激を加えた場合は少し事情が変わってくるのだ」ワキワキ

天然娘「ひひゃい……」スリスリ

女教師「まず1つ目【0.5秒未満の刺激を加えても知覚されない】」

チャラ男「一瞬だったら何されたのか理解できねーのかwwww」

女教師「そして2つ目【0.5秒以上の刺激は0.5秒後に知覚される】」

真面目「脳を直接刺激した場合はちょっと知覚が遅れるんですね」

女教師「この2つを組み合わせたのがさっきの実験だ。……もう一度読み直してみろ、どうなっていた?」

お嬢様「ええと、"皮膚に刺激したすぐあとに脳を刺激したら……"えっ!?ちょ、ちょっと待って!」

お嬢様「"皮膚を刺激したときの知覚が消えた"ってあり得ないわ!その知覚は一体どこに行っちゃったの!?」


女教師「そう、我々が同時と思っていた皮膚の知覚は後からやってきた刺激によって『上書き』されるのだ」

女教師「例えば私が君にセクハラしたとして、そのあとマッハ20で脳をこじ開け脳に0.5秒以上の刺激を加え続ければ完全犯罪が成立するのだよ」

真面目「む、無茶苦茶ですね……」

女教師「もうひとつ『意思決定の実験』を教えよう。人間は何かを自分の意思で決定するとき、その【0.5秒前にはすでに脳で決定済み】なのだ」

女教師「『好きなタイミングでボタンを押す』実験では、脳波を調べることで0.5秒前にいつボタンが押されるのか察知できるのだよ」

チャラ男「やべぇwwwぜってー勝てないジャンケンマシーンとか作れそうwwww」

女教師「この自由意思、実は【ヒル】にもそれっぽいものがあるらしい」

真面目「ええっ!虫……いや……ええと……。ヒルのような下等な生物にも自由意思が?」

女教師「……一応、ヒルはヒル網な。虫じゃあないぞ」


女教師「今日はイメージしやすいように教室まで持ってきたぞ。……よっ」ダプン


ヒル『コンチワヤデ』ウネウネ


お嬢様「グロっ!」ゾワワ

天然娘「かわいくない……」シュン

真面目(可愛さの基準が分からない)

女教師「ヒルは7個の神経細胞しかないが、そのうちの1つで『逃走行動』に変化があるとされている」

女教師「いま水槽の端にいるヒルをガラス棒でつつくとどうなるかな?」


ツンツンッ


ヒル『イタイヤナイカワレ』カプッ


女教師「FU○KIN!!」ズボッ

真面目「あっ」


ヒル『ヒェエエエエ』スィー


女教師「……このようにヒルは泳いで逃げることもある。しかし別のパターンもあり……」ヒョイ


ヒル『イテモウタロカ』カプッ


女教師「DI○K HEAD!!」ズボッ

お嬢様「ちょ」


ヒル『ヒャアアアア』スススス


女教師「……こうやって水槽の底を這って逃げることもある。どうやらヒルにも自由意思はあるようだ」ドクドク


女教師「そしてこの神経細胞を詳しく調べてみると、この神経細胞のNa+イオン濃度によって発火するかどうか決定していることが分かった」

女教師「脳内のイオン濃度は一定ではなく、常に濃くなったり薄くなったりを繰り返している。これを【揺らぎ】と言うぞ」

真面目「つまり、イオン濃度の揺らぎによってヒルの行動が変化すると言うわけですね」


女教師「自由意思やクオリアは無意識の産物かもしれない。だが全シナプスやイオンの動きを把握するのは間違いなく不可能だ」

女教師「科学とは再現性があって初めて科学となる。再現不可能なこれらはもはや科学ではない」

女教師「ただひとつ言えることは、君のクオリアは君だけの唯一の宝物だと言うことだ。クオリアは究極に複雑な有機機械の最高傑作なのだ」


キーンコーンカーンコーン


女教師「それではこれで性物学第6回目の授業は終わりだ。起立、礼」

生徒達「ありがとうございました!」


ここまで


―――――――――――――――…


女教師「――――と言うわけでして、彼女は非常に優秀な生徒です。この学力なら日本の……いや海外のどこの大学にも入学できるでしょう」

女教師「しかしより高みを目指すのならば、私共○○会社の経営する大学への進学を強く推します。学生の内から実践的なカリキュラムを……」

天然父「ええ、貴女方の企業の事は存じております。しかし具体的な実績がない以上……実態の分からない大学に進学させるのは憚られます」

天然姉「そ、そうですわ!OLなんかよりも医者の方がよっぽど社会的地位も収入もありますのよ!」

天然娘「…………」

女教師(くぅううっ!この頭の固い頑固者どもめっ!大体なんだあの腹が立つしゃべり方!キャリーウーマン馬鹿にしてるのかくそぅ!)

女教師「そっ、そうです!本人の希望はどうでしょう?これなら文句……ゴホンゴホン納得できる意見だと思いませんか?」ササッ


天然娘「わたしは……どこでもいいよぉ……」フイッ

天然父「だそうです。やはりこの娘のことを親身に理解している私達保護者が捉えるべき問題かと」

女教師(んぉあああああ!畜生畜生!なんだその超理論は!どう考えてもお前達が原因で言い出せないだけじゃないか分からず屋がっ!!)ガシガシ


女教師「で……ですが全く実態のないと言うことはありません!現段階でも68名の選考が終了してまして、かの……彼も!その内の1人です!」バッ


真面目「あ、あはは……どうも」ペコッ

真面目(なんで僕ここにいるんだろう)ダラダラ

天然父「……それが何か?」

女教師「彼はお子さんと最も仲の良い友人で、大学へ進学しても気の許せる学友がいるということはとても心強いとお考えになりませんか?」

天然姉「んまあっ!友人が同じ大学に行くからと囲い込みをするなんて、手段が下劣ですわよ!きっとロクな大学じゃありませんわ!」ビシッ

女教師(うるせーーっ!このウ○コ色の横ロールがぁ~~っ!巻き○ソみたいな髪型しやがってぇぇぇっ!!)ワナワナ

真面目(あ、先生たぶん心の中で悪態ついてるな……)チラ


天然父「はぁ……話にならないな。人命を扱う医者とたかが企業勤めのサラリーマン、比べる所から間違っていた」

女教師「なっ……なんだとォ!?」ガタッ

真面目「せ、先生落ち着いてください!」ヒシッ

天然姉「そもそも最初からこの娘は医者志望なんですわよ?お母様のような、立派なお医者様になるのがこの娘の夢なんですの!」フフン

天然娘「…………ぅょ……」ボソ

女教師「な、何ぃ!?さっきから聞いてれば……そんなに医者が偉いのか、この巻き○ソ姫がっ!」バンッ!

天然姉「な、なんでわたくしのアダ名知ってますの!?」ガーン

真面目(それって貶されてるんじゃ……)


女教師「大体お前ら、勝手に人の夢を決めつけるなっ!自分の理想を押し付けているだけじゃないか!」

天然父「あなたがそれを言うのか?誰が何を言おうとこの娘の意思だ。……他人が口を出す問題じゃない」

天然娘「…………てよ……」

天然姉「それに友人っていうのもデタラメなんじゃありませんの?こんな男、今まで一度も教えてくれませんでしたわよ?」ズビシッ

真面目「僕も、今まで天然娘は一人っ子って聞いてましたけど……」

天然姉「え゙っ……それ……マジですの……?」ウルウル

女教師「とにかく!きちんと本人の意思が明確でない以上、話し合いをしても無意味だ!こいつに圧力をかけるのは親のすべきことじゃない!」

天然父「それは貴女方だって同じだろう!」ガタッ



天然娘「もうやめてよぉっ!!!」バンッ!!



真面目「て……天然娘……」


天然娘「本当は医者なんかなりたくないよ!」

天然娘「なのにお父さんはなんで私を勝手に医者にしようとするの!?私の気持ちはどうなるの!?」

天然娘「お姉ちゃんも変な喋り方で真剣に取り合ってくれないし!私を馬鹿にするのもいい加減にしてよ!」

天然娘「私は真面目くんと一緒の学校がいい!どうして私だけ我が儘の1つも許されないの!?私が何かしたの!?」

天然娘「人の気持ちも知らないで!勝手に想像して決めつけて!そんなだから……」ポロ


天然娘「お母さんにも……逃げられちゃうんだよ……」ポロポロ


天然姉「お母、様が……逃げた……?」サアァ

天然姉「どういう……ことですの……?お母様は……本当は、生きてらっしゃるんですの……?」カタカタ


天然父「知っていたのか、天然娘……」

天然娘「ずっと前から……知ってたよ……」



女教師(………あれ?もしかして修羅場?)タラ

真面目(僕達、場違いかもしれないですね……)


天然父「私があいつと離婚したのは、あの震災が起こる前の日のことだ」

天然姉「行方不明じゃ……なかったんですの……?」

天然娘「……小学生のとき、一人で会いに行ったことがあるの」

天然娘「お母さんと知らない男の人がね、今からでも遅くない、私達の子になれって……怖かった……悲しかった……」ポロポロ


ギュッ


天然姉「ごめんなさい……ですの……何にも知らないで、妹の気持ちも理解できないお姉ちゃんで……」ポロポロ

天然娘「お姉、ちゃん……」グシ


天然姉「いつからか、天然娘に何一つ勝てなくなった時期があったんですの」ズビーッ

天然姉「勉強も、運動も、家事も、友達の数も、あと胸のサイズも……いつかお母様みたいになって、急にどこかに行っちゃうような気がして……」

天然姉「だからお姉ちゃんらしい態度と言葉遣いだけは、絶対に負けないようにしてたんですの」ズズッ

天然娘「お姉ちゃん、やっぱりどこか抜けてるね……昔から」ギュッ

天然姉「ふふっ……初めて、妹から馬鹿にされたんですの」ニコ


女教師「えー、ゴホンッ!感動のシーンの最中で悪いが、この娘の意思は決まった……と言うことでよろしいだろうか?」

天然父「……そのようです。貴女が来なかったら、私達は望まぬ進路を強要していたかもしれない……すまない、ありがとう」

女教師「……さて!用事も済んだし、帰るぞ真面目!」ニッ

真面目「は、はい!天然娘、大学でも一緒に頑張ろう!」

天然娘「……うんっ♪」

天然姉(………ん?と言うことは天然娘はわたくしの大学ではなく、この男の大学へ入学することに……?)


ガシッ


天然姉「やっぱり駄目ですの゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!」グググ

真面目「えっ!?ど、どうしたんですかお姉さん!」ビクッ

天然姉「お、義姉さんと言いやがったですの!?天然娘はこんな奴に渡さないですの゙ぉ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!」ズリズリ

天然父(……まったく、こんな簡単なことだったとは。人の気持ちとは分からないものだ――――)フッ


…―――――――――――――――

ここまで

この生徒4人こっきりの授業は特待生の特別クラスみたいなもん?

面白かったので一気読みしてしまった、乙
秘辺理神(ヒペリシン?)が判らなかったからググったが、麻薬関係っぽい事しか判らなかった

>>224
読んでいただきありがとうございます
例の匂いは追々どこかで説明するつもりです(実験でたまに試薬として使われるので、知ってる人は知っているかも…)
それでは本日の更新を始めます



女教師「セ○クスの時に最も気を付けなければならない事とはなにか?」

女教師「体の相性?避妊具?それも重要だが、それ以上に細心の注意を払わなければならないことは―――――性病だ」

真面目「せ……性病ですか///」

お嬢様「高校生相手に生々しい話してんじゃないわよ!そんなの縁がないわ!」

女教師「そういう奴ほど後になって後悔するものだ……ヤるなとは言わんが、ヤるときはゴムを忘れるなよ!先輩からの忠告だ」

チャラ男「経験者は語るwwwwためになるぜwwww」

天然娘「女の子どうしはどうするのぉ?」

女教師「女性用コ○ドームを買え」

お嬢様「あんの!?」※あります


女教師「さて、今回は性病などを引き起こす【病原菌】について教えよう」

真面目「病原菌……というと、細菌やカビ、ウイルスなどですか?」

チャラ男「前にやったプリオンってやつもだぜwwww」

女教師「その通り……と言いたいが、残念ながら【ウイルスやプリオンは病原"菌"ではない】。あいつらは生きてないからな」

お嬢様「病原菌じゃなくて病原"体"の方がしっくりくるわね」

女教師「その2つは女教授の授業で聞いてみるといい。……とにかく病原菌は【細菌】【真菌(カビ)】の2つ、【原虫】を含めることもある」

女教師「性病を引き起こすのは主に細菌やウイルスだから、今回は細菌について勉強することにしようか」


女教師「まず初めに、君達は細菌についてどのくらいの知識を持っているかな?」

お嬢様「えっと……フツーに病気の原因じゃない?」

真面目「食べ物が腐敗するのも細菌が原因ですよね」

天然娘「なっとーとかおしょーゆを作ってくれるんだよぉ」

チャラ男「ヨーグルトの中に入ってるんだぜwwwビフィズス菌wwww」

女教師「うむ、その認識でおおむねあっている。病気を起こすものもあれば我々に有益な働きをするものも多数存在しているのだな」

女教師「細菌にも膨大な種類が存在するが、まずは共通している基本構造から解説していこう。動物と細菌の一番大きな違いは【細胞壁】だ」

天然娘「さいぼーへき?」

真面目「動物にはないですけど植物にはありますね。細菌は植物に近い存在なんでしょうか?」

女教師「いや、植物の細胞壁は【セルロース】というデンプンに近い繊維だが細菌の方は【ペプチドグリカン】という糖タンパクで出来ている」


お嬢様「植物と細菌の細胞壁は全くの別物なのね。ところでこのペプチドグリカンって何?」

女教師「ペプチドグリカンは【NAG(N-アセチルグルコサミン)】と【NAM(N-アセチルムラミン酸)】の2つが交互に編まれて作られている」

女教師「横糸はNAGとNAMが順番に繋がっていて(グリコシド結合)、縦糸はNAM同士が繋がっている(ペプチド結合)構造をしているのだ」


・細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)
※G→(N-アセチルグルコサミン)M→(N-アセチルムラミン酸)
MGMGMGMGMGMGMGMG…
| | | | | | | |
MGMGMGMGMGMGMGMG…
| | | | | | | |
MGMGMGMGMGMGMGMG…


天然娘「毛糸みたいだねぇ」

女教師「一部の例外があるとはいえ、ほぼ全ての細菌がこの細胞壁を持つと考えていいだろう」


女教師「そして細菌はこの細胞壁の割合で【グラム陰性菌】と【グラム陽性菌】の2種類に分類されるのだ」

真面目「この2種類の細菌を見分けることはできるんですか?」

女教師「普通はグラム染色という方法で【クリスタルバイオレット】という染色液を使い染め分ける。少し手間がかかるがな……」

女教師「だが私が改良したこの特別な染色液を使えば、たったの3秒で判別が可能だ!こいつをそれぞれのシャーレに垂らすと……」ポタッ


お嬢様「色が変わったわ!」

チャラ男「グラム陽性ってやつは【青色】になったぜwwww」

天然娘「ぐらむいんせーは【赤色】のまんまだねぇ」

女教師「そう、このグラム陽性菌はかなり厚い細胞壁があり染色液で青色に染まる。こっちは無害なものもあるぞ」

女教師「そしてグラム陰性菌は薄い細胞壁を持っていて染色液で赤色に染まる。こいつらはほぼ全員が細胞膜に【リピドA】という毒がある」

真面目「グラム陰性菌はほとんど危険な細菌なんですね」

女教師「またグラム陽性菌の細胞壁の『縦糸』は【ペンタグリシンクロスリンク】という余裕のある縦糸が使われていて目が粗い」

女教師「これに対しグラム陰性菌の『縦糸』は【ジアミノピメリン酸】という特殊なアミノ酸が使われていてキメが細かいのだ」


女教師「ちなみに抗菌薬の【ペニシリン】はペプチドグリカンを作る酵素を止めてしまうのだ。……名前ぐらいは聞いたことがあるだろう?」

真面目「青カビから採れる薬ですね」

女教師「日本人なら戦時中にお世話になったものだ。ペニシリンはキニーネの次に人類を救った薬だといっても過言ではない」

女教師「まあ今はほぼ使われてないがな」

天然娘「どうしてぇ?」

女教師「あまりに便利なもんだからバカスカと使いすぎた結果、細菌側に対策されてしまったのだ……」

お嬢様「駄目じゃないの!」

女教師「しかしここでへこたれる人類ではない!このペニシリンを改良した【メチシリン】を開発し、見事逆転することができたのだ!」

チャラ男「細菌風情が人間様に勝とうなんざ100年早いんだよwwww」

女教師「はっはっは、まあ10年と経たないうちにそれも対策されてしまったがな」

お嬢様「やっぱり駄目じゃないの!」


お嬢様「というか細菌みたいなヤツにそんなこと考える頭があるの?」

女教師「奴らは数がものを言うからな。細菌は染色体の他に【プラスミド】という輪っか状のDNAを持っている」

女教師「特に【F因子】というプラスミドは細菌のオスとメスを決定しているのだ」

真面目「細菌にもオスやメスがあるんですか?」

女教師「我々のイメージするオスメスとは少し異なるが……とにかくこのF因子を持つものがオス、持たないものがメスだな」

女教師「このF因子は【性線毛】という組織を生やしてメスに接合できるようにする遺伝子を持つ。要はおち○ぽを生やす遺伝子だ」

お嬢様「いちいち言い替えなくても分かるわよっ、もう!」

天然娘「えっちしたらどうなるのぉー……?///」

女教師「メスはF因子を注入されオス化する」

真面目「えっ」

チャラ男「アッー!」

女教師「ついでにこのF因子は染色体の一部を取り込んだり吐き出したりする。これにより遺伝子が他の菌に伝達されるのだ」

女教師「他にも薬に対して専門的に対処する【インテグロン】というプラスミドも存在するぞ。自分の遺伝子を染色体に組み込む最新兵器だ」

お嬢様「細菌も人間から生き残るのに必死なのね……」


女教師「さてと、基本知識はここまででいいか。次は細菌の種類別に1つずつ詳しく説明しよう。次のプリントの写真を見てくれ」ペラッ


お嬢様「なんか青くて丸いわね。ブドウみたい」

女教師「こいつは【黄色ブドウ球菌】青く染まってるのはグラム陽性だからだ。【食中毒】の原因菌でもある」

女教師「怪我をして膿んだ手でおにぎりや寿司を握ると、食った奴が腹痛で倒れるのはこいつのせいだな。加熱しても消毒できないのが特徴だ」

チャラ男「そんなきたねー手で握った寿司なんて炙ってもゴメンだぜwww」

女教師「ちなみにこの黄色ブドウ球菌は食塩に抵抗性があり、健康な人間の全身至るところに存在するぞ」

女教師「特に好んでいる住居は鼻○ソや耳○ソだ。塩分豊富だからな」

お嬢様「その情報はいらないわよ!」


天然娘「つぎのはみんなつながってるねぇ」

女教師「この細菌は【口腔レンサ球菌】黄色ブドウ球菌の親戚だな。主に【虫歯】の原因だ」

真面目「繋がってるから"レンサ"球菌なんですね」

女教師「ちゃんと歯磨きしないと歯に穴が開くのはコイツらが歯を溶かしているからだな」

女教師「ちなみに虫歯は命に関わるからちゃんと歯磨きはした方がいい」

チャラ男「命に関わるって大げさなwwww痛みでショック死でもすんのかよwwww」

お嬢様「そりゃーないでしょうよ……」

天然娘「はいしゃこわい……」プルプル

女教師「歯肉の傷から血流に乗って全身を巡り、心臓に辿り着くとそこで心内膜炎を起こすのだ。……決して痛いからじゃないぞ?」

お嬢様「む、虫歯から心臓病になるの!?」

真面目「ぞっとする話ですね……」


女教師「ふふふ……次の写真は【淋菌】だ!」

お嬢様「丸いけど赤く染まってるからグラム陰性球菌ね。この菌はどんな病気の原因なの?」

真面目「淋……あっ」

女教師「そう、こいつは【淋病】の原因菌で性感染症だ!比較的多い性病だからこいつには気を付けろよ!」

お嬢様「い、言われなくても分かってるわよっ!」

天然娘「感染したらどうなっちゃうのぉ?」

女教師「女の場合は不妊症にかかることがある。月経でもないのに血が出たりするとかもあるが、自覚症状が少いことがあるので注意だ」

チャラ男「男は?wwww」

女教師「ち○ぽが死ぬ」

チャラ男「」

お嬢様「まあ性病にかかるヤツなんてたかが知れてるし?自業自得なんじゃないの」プ

真面目「うわ、なんだか可哀想ですね……」

女教師「ちゃんと治療を受ければ治る病気だが、男のそれは尿道炎を起こして激痛が続くと聞く。もし感染したら御愁傷様だな」クスクス

チャラ男「俺もう童貞でいいや……」グスン

女教師「ま、とりあえずこの淋菌はグラム陰性球菌というレアな菌で人工培養はかなり難しい。微生物学的にもわりと重要な細菌の1つだ」


真面目「つ、次の写真……なんか緑色に光ってます!」

女教師「ああ、それは【緑膿菌】といって免疫が落ちたときの感染症(日和見感染症)の原因菌の1つだな」

女教師「【クオラムセンシング】という『菌の密度』を感知する機能を持っていて、これにより【バイオフィルム】という集落を形成する」

チャラ男「キョロ充かよwwww」

女教師「こいつらは【AI(アウトインデューサー)】という物質を分泌していて、AI受容体がその濃度に反応して1ヵ所に集まるのだな」

天然娘「じゃあー、なんで光ってるのぉ?」

女教師「緑膿菌は【ピオシアニン】という緑色の色素と【ピオベルジン】という蛍光色素を生産するからだ。……なぜかは知らんが」

女教師「非常に珍しいケースだが、古くなった食品が暗闇で薄ぼんやりと光ることがある。もしかするとこいつが原因かもしれんな」


女教師「次の写真は【大腸菌】だ。知らないヤツは恐らくいないであろう、最もポピュラーな菌だな。う○こに多く存在する」

お嬢様「まあ"大腸"菌ってぐらいだしね……」

女教師「細菌の中でも身近に手に入るしどんな環境でも元気に繁殖する。研究者と付き合いの長い相棒だ」

女教師「だから水質安全の指標にもなっている。日本では飲料水の中にこいつが1匹も検出されなければオッケーだ」

真面目「1匹も!?物凄く厳しい指標なんですね……」

女教師「ちなみにこいつはグラム陰性菌だが大腸以外……呼吸器や尿道にでも居着かない限りは特に悪さはしない。むしろ消化を助ける良い奴だ」

チャラ男「尿道ってwwwwそんな状況あんのかよwwww」

女教師「良い子の諸君、男同士は妊娠しないからと言ってゴムを着けるのは怠るなよ」


お嬢様「この写真の菌はなんか楕円形ね」

女教師「そいつは【エルシニア・エンテロコリチカ】という変わった食中毒菌だな。なんと低温で良く繁殖するマゾい奴だ」

女教師「冷蔵庫のチルドで保存してるからといって豚肉なんかを何日も放置していると、あっという間にこの細菌に腹をやられてしまうぞ」

真面目「へえー……冷蔵庫でずっと保存できないのって、ちゃんと理由があったんですね」

チャラ男「こっちのは似てるけど毛が生えてるぜwwww」

女教師「【ビブリオ】だな。こいつも食中毒菌の一種で、主に海水魚に好んで生息することが多い。釣りが好きな奴は知ってるんじゃないか?」

真面目「あ、そう言えば夏頃に兄さんが釣ってきた魚を食べてお腹を壊したことがあります。あのときはノロウイルスだと思ったんですが……」

女教師「ビブリオも加熱で消毒できないが、浸透圧の関係で真水で洗うと死ぬから覚えておくと良いぞ。ちなみにノロウイルスは冬の貝だ」


天然娘「ねずみさんといっしょに写ってるのぉ」ペラッ

女教師「こいつはヨーロッパで暴れまわった【ペスト】だ。ノミを媒介として恐るべき奇病【黒死病】を引き起こすヤバい細菌だ!」

女教師「一説によればこの細菌だけで全人口の1/3が殺されたとも言われている。人類史に残る凄まじい大流行だな」

真面目「恐ろしい細菌なんですね……」

女教師「症状も毒素生産、敗血症(血液に菌が溢れ返る)、呼吸困難と殺る気満々だ。致死率はほぼ100%近かったとも言われている」

女教師「現在は抗生物質があるから安心しても良いぞ」

天然娘「ねずみさん、ほんとは悪くないのにかわいそうなの……」

女教師「犯罪の片棒を担いだ時点で無罪とは言えんがな……このせいでヨーロッパ人にはネズミを嫌う人が多い」

お嬢様「ま、ネズミなんて日本人からしてみれば正直『尻尾が長いハムスター』程度の認識でしかないわね」


女教師「その下の写真は最もまぎわらしい名前No.1の【インフルエンザ菌】だ」

お嬢様「へぇー、インフルエンザの菌……ってちょっと!インフルエンザの原因ってウイルスじゃないの!?細菌だなんて聞いてないわよ!」

女教師「いやあ、初めてインフルエンザが流行したときにこいつが原因かと疑われたのでこんな名前になったのだ。結局は誤認逮捕だったが……」

女教師「今さら改名するのも面倒くさいと言うことでこの名前のまま通っている。ちなみにインフルエンザとはほぼ関係ないぞ」

真面目「研究者って思ったより雑なんですね……」

女教師「慣習を大事にすると言ってくれ。まあこいつはインフルエンザと同時に感染すると症状が増悪することで知られている菌だ」

女教師「君達の何人かは子供の頃にこの菌のワクチンを接種しているかもしれんな」


ペラッ


天然娘「おてがみと茶色いこなが写ってるよぉ?これなぁに?」

女教師「そうか、君達の世代は知らないのか……こいつは【炭疽菌】といって、かつて【バイオテロ】に使われた細菌だ」

真面目「ば、バイオテロですか?」

チャラ男「こえーwwwwそんなパネェやつが手紙に入ってんのかよwww」

女教師「かつてアメリカで起こった事件でな。手紙を開けた瞬間に胞子が舞い上がり、それを吸った上院議員5人が炭疽にかかって死亡した」

お嬢様「酷い!そんなのほぼ無差別みたいなものじゃない!」

女教師「最終的に犯人の自殺によってこの事件は幕を閉じたが……実は似たような事件が日本でも起こりそうだったことがある」

真面目「えっ!?日本でもバイオテロが……!?」

女教師「『亀戸異臭事件』というオウム真理教が起こした事件だ。もう名前でネタバレしたようなものだが、炭疽菌の純度が低く失敗に終わった」

チャラ男「マヌケじゃねーかwwww」

女教師「そう、奴らはマヌケだ!サリン事件のせいで科学力があると勘違いしがちだが、実際には一般人に毛が生えた程度の技術しか持たない」

女教師「裏を返せば一般人が躊躇するような事でも実行してしまうと言うことだ。奴らのせいで科学者がどれだけ肩身の狭い思いをしたことか!」

天然娘「せんせぇ、こわい……」フルフル

女教師「おっとすまん、柄にもなく熱くなってしまったな……次の細菌の説明に移ろうか」ペラッ


お嬢様「あら、美味しそうな納豆ね!」

チャラ男「うげー、納豆とかクセーだけじゃんwwww」

真面目(お嬢様って発酵食品が好きなのかな……?)

女教師「日本人の心強い味方、【枯草菌】だな。大豆を発酵して納豆を作る偉い奴だ」

天然娘「ねぎとごま油とゆずごしょーだよ」

お嬢様「ふ、分かってないわねー。オクラとアボカドと鰹節よ」

女教師「……まあ何だ、枯草菌は繁殖力が強く納豆は保存に適している。そのため造酒職人は納豆は食えない決まりになっているようだ」

女教師「納豆にはナットウキナーゼという酵素が含まれている。こいつを静脈注射すると血栓が溶解し……おい、聞いてるのか」

天然娘「おさとう!」

真面目「からし!」

お嬢様「山椒!」

チャラ男「女子のする会話じゃねえ!」


女教師「えー、次の写真に移って良いか?これは【ボツリヌス菌】と言って、自然界最強の毒素を生産する細菌だ」

チャラ男「ヤベーwwwwそんなあぶねー奴どこにいんだよwwww」

女教師「案外どこにでもいるぞ。缶詰や密封ハム、あとハチミツだな」

お嬢様「うえぇっ!?ハチミツって……そんなそこかしこに危険な細菌が住んでるの!?」

女教師「危険と言っても食中毒ランキングでワースト1位だし、そんなに気にするほどでもないがな。精々赤ん坊にハチミツを与えないくらいだ」

真面目「最強の毒と言っても、一番人に害を為している訳ではないんですね」

女教師「というかこいつは生態が特殊でな、酸素に触れるだけで死ぬから密閉した場所でないと生きられんのだ」

チャラ男「スペ○ンカーも真っ青の紙耐性だなwwww」

女教師「だが全く無害と言うわけでもない。【カラシレンコン事件】という事件を知っているか?」

天然娘「からしれんこん?おいしそうなのぉ」

女教師「伝統ある方法で密封し作っていたが、それが仇となりボツリヌス菌が増殖したのだ。今から約30年前のことだ」

真面目「密封したからといっても、絶対に安全と言うわけではないんですね」


お嬢様「次の写真は……うわっ!何これ!?」ヒキッ

女教師「何これとは失敬な……この写真はヒトの体内写真だ」

真面目「大腸と……?もうひとつは分からないです」

女教師「今から説明する細菌はどっちもヒトの体内に住んでいて、糖を分解し酸性に保ってくれる有益な菌だ」

女教師「まずは【ビフィドバクテリウム】、通称『ビフィズス菌』は大腸に住んでいて腸内環境を改善する良い細菌だな」

天然娘「ヤ○ルトにいっぱい入ってるのぉ♪」

女教師「もう片方の細菌は【ラクトバシラス】こいつも糖から乳酸を作ることで体内を酸性に保っているぞ」


お嬢様「ちなみに、このラクトバシラスって菌が写ってるのは体のどの部分なの?」

女教師「おま○こだ」

お嬢様「えっ」

女教師「おま○この中が酸性なのはこの細菌のおかげだ」

お嬢様「」


真面目「つ、次の細菌に移りましょう!この細菌達はバネみたいな形をしてますね」

女教師「そいつらは螺旋菌といって、右に写ってるのは【ヘリコバクター・ピロリ】だな。なんと強酸性の胃に偏在する奇特な菌だ」

チャラ男「テレビでやってたぜwwww胃酸をチューワしてるんだぜwww」

女教師「このピロリ菌はウレアーゼという酵素を持ち、尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解する。このアンモニアが塩酸を中和するのだな」カカッ


・尿素の加水分解(ウレアーゼ)
(NH2)2CO(尿素)+H2O→CO2(二酸化炭素)+NH3×2(アンモニア)
・塩酸とアンモニアの中和
NH3(アンモニア)+HCl(塩酸)→NH4+・Cl-(塩化アンモニウム)


女教師「これにより胃という強烈な環境でも生き延びられるのだ。そしてこいつが勝手に胃を中和するから胃の粘膜が傷つくのだな」

お嬢様「じゃあ右のは何?これもピロリ菌かしら?」

女教師「いや、そっちは【カンピロバクター・ジェジュニ(コリ)】という【食中毒】を引き起こす菌だ。ノロウイルスを除けば日本で最も多い」

女教師「鶏肉なんかを生で食えば確実にこのカンピロバクターにお世話になるな。レアとか馬鹿なことはやらずにちゃんと火を通して食えよ!」

お嬢様「ちなみに鶏の刺身はどんな味だったの?」

女教師「しっとりとした食感でとても美味かった……ハッ!」


女教師「この次に紹介するのは医学的にも歴史的にも重要な細菌だ。プリントを捲ってほしい」ペラッ

お嬢様「なんか凄そうね……ん?」チラ


イボち○ぽ『コンニチワ』


イャアアアアアアアア!!!

ペッシーン


お嬢様「最っ低!!もも、モザイクぐらいかけなさいよぉ!気持ち悪い!グロい!キモグロい!」

女教師「いや、前に猿のおち○ぽを見せたから大丈夫だと思ったのだが……」ヒリヒリ

天然娘「おとこの子のってこうなってるんだぁ……///」ドキドキ

真面目「わ、わぁー……大きい……」ジーッ

チャラ男「ま……負けただと……」ガクッ

女教師「とにかく!……こいつは【梅毒トレポネーマ】と言って、【梅毒】を引き起こす原因菌だ。感染すると写真のように性器にイボができる」


女教師「正直この細菌の説明だけで授業一回分の時間をかけれるが、今日はざっくり説明しよう。もう時間ないしな」

女教師「この細菌は性行為の時につく微細な傷から進入し感染する。放っておくと全身イボだらけになり、中枢神経が侵されて死に至る病だ」

真面目「?細菌が増えるには、宿主が生きていた方が都合がいいのでは……?」

女教師「無論だ。この菌は一度感染すると数年から数十年の潜伏期間を経て発症する。気付かない間に細菌をバラ撒いているケースが多い」

お嬢様「まるで見えない時限爆弾ね……」ゾワ

女教師「しかし以外と脆い面もあって、人間の体以外ではすぐに死滅する上に高熱にも弱い非常にデリケートな細菌だ」

女教師「研究しようにもすぐ死ぬから培養のしようがないしな……熱に弱いのでマラリアに感染させ、高熱によって治す荒治療もあったらしい」

チャラ男「とんでもねーなwwww本末転倒じゃねーかwwww」

女教師「現在は薬で治せるが、それでも【ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応】という最期の反撃で地獄の苦しみが数時間続くという」

女教師「この細菌はグラム陰性菌だからな。死ぬときに毒のリピドAを撒き散らすことで起こるのだ」

お嬢様「しぶといヤツねー……そんな病気、絶対かかりたくないわ!」

チャラ男「ふっ……また童貞が勝利してしまったか……」ヤレヤレ

天然娘「チャラ男くん、土俵にあがらないとしょうぶはできないんだよぉ?」ニコニコ

チャラ男「ぐふぅっ……否ッ!戦わずして勝つッ!!」キリッ

真面目(勝利ってなんだろう……)


女教師「最後に【クラミジア】について教えて今日は終わりにしよう。こいつは細菌の中でも飛び抜けて奇妙な生態を持つ!」

真面目「なんか……透けてる?」

女教師「そう、まずこいつは【ペプチドグリカンを持たない】ふにゃふにゃのスケスケな細胞壁を持っている。実にやらしい」

お嬢様「やらしいってアンタねぇ……でもペプチドグリカンが最初からないんじゃ、ペニシリンを使っても意味なさそうね」

女教師「そして次に、【細胞の中に寄生しないと生きられない】という特徴を持つ。実にあざとい」

チャラ男「ビ○チでタカりとかwwww性格悪そーだなwwww」

女教師「極めつけは【ATP(エネルギーの通貨)を宿主から横取りする】まさにとんでもないヒモだ!ド腐れビ○チだ!」

天然娘「いいなぁ」

真面目「なんか細菌の定義を色々と逸脱してますね……」

女教師「更に言えば、遺伝子をDNAに加えてRNAまで持っていて二分裂増殖するというメチャクチャな生態だ。本当に細菌かどうかも怪しい」

チャラ男「もうこれワケわかんねえなwwww」

女教師「特に【クラミジア・トラコマチス】は性感染症で、進行すると目に移住して【失明】する。恥ずかしがらずに病院で治療しろよ」


女教師「このように、一口に細菌といっても多種多様な種類や性質を持つ。増えることに関しては彼らの方が人間よりもよっぽど先輩だ」

女教師「そして食中毒や性病を引き起こすのは決して悪意があるわけではなく、それが増えるのに最適な戦略だったからだ」

女教師「だが人間は彼らの戦略に対処することができる。すなわち正しい調理法で飯を作り、ヤるときはゴムをつけろということだな」


キーンコーンカーンコーン


女教師「それでは今日の性物学第7回目の授業はこれで終わりだ。起立、礼」

生徒達「ありがとうございました!」


今日はここまで

>>223
自由参加制だけど受験前なのであまり人がいない、という設定です
真面目と天然娘は大学推薦の条件で、チャラ男とお嬢様はそもそも大学を受験しないので参加している感じです

>>240
「まぎ『わら』しい」になってましたよ

>>253
今まで勘違いしてました…脳内修正でお願いします
今日の分を更新します


―――――――――――――――…


お嬢様「あっ、あああ……あの!真面目!」

真面目「何?お嬢様さん」クル

お嬢様「今日の放課後……私と、一緒に帰りなさい!」ギュッ

真面目「?うん、分かったよ。ちょっと天然娘に連絡するね」ピ

お嬢様「っ………ええ、正門で待ってるわ」


スタスタ…


お嬢様(心臓がバクバクうるさい……なんでこんなヤツ好きになっちゃったんだろ……)ドキドキ

お嬢様(あいつ、天然娘とよく一緒にいるわよね……ううんっ、天然娘は他に好きな娘がいたって言ってたし!)ブンブン

お嬢様(でも……もし付き合ってたのを隠すカモフラージュだとしたら……ああっ考えちゃ駄目!)カアァ


真面目「ごめん、待った?」ヌッ

お嬢様「わっひゃあああっ!?」ビクーッ


お嬢様「いい、いたなら返事くらいしなさいよぉっ!ビックリしちゃったじゃない!」

真面目「はは……ごめんね、お嬢様さんがあんまり一人で色んなリアクション取ってるから後ろから見てて……」クス

お嬢様(み、見られてたーーーっ!!)ボンッ

真面目「そう言えば僕、お嬢様さんとあんまり話したことなかったよね?一緒に帰りながらお喋りしよっか」スッ

お嬢様「……こんなにした責任とってよね」ボソ

真面目「?」

*27

―――――…

お嬢様「それでね、ママったら私の写真撮って勝手に応募したのよ?結局英語が話せないからダメだったんだけど……」

真面目「あー、女の子の憧れだもんね、僕もよく分かるよ。あれって英語喋れないと駄目なんだ?」

お嬢様「そうなの!ふふっ……あんた今まで硬派だって思ってたけど、意外とこういう話も良く知ってるのね♪」

真面目「うん、僕の姉さんが芸能プロダクションの受付やっててね。三人兄妹なんだけど、一番上の兄さんは警察官なんだ」

お嬢様「へぇー、しっかりしてるわねぇ……お父さんとかお母さんは?」


真面目「……………両親は………もう……」

お嬢様「ご、ごめんなさい……」シュン

真面目「別に謝らなくてもいいよ。もう10年も前のことだし」ニコ


お嬢様(や、やっちゃった!何か明るい話題、明るい話題……!)アセッ

お嬢様「そ、そうだ!真面目は好きな人とかいるの?」

真面目「えっ?」

お嬢様(ああああああ!!ド直球すぎよ私ぃいいいい!!)ダラダラ


真面目「えーっと……どうしようかな……言うべきか……」ボソ


お嬢様(え、嘘……いる、の……?)


真面目「うん……いつか隠してもバレるし、お嬢様さんは僕の友達だから……」

真面目「実はさ
お嬢様「待って!」

真面目「………え?」


お嬢様(その続きを聞いたら、きっともう言えなくなる。だから……)


お嬢様「あのね……その前に私、真面目に言わなきゃいけないことがあるの……」


ザアッ……


お嬢様(すぅー、はぁー……うん、大丈夫。ちょっと心臓がうるさいけど)フルフル

お嬢様(ダメかもしれない。でも……ここで言わなきゃ絶対に後悔する)

お嬢様(勇気をもって、たったの一言!)スゥ


お嬢様「しゅ、好きです!付き合ってください!!」


真面目「――――――……」






真面目「ごめん……僕、天然娘と付き合ってて……」ポツリ



お嬢様(――――――あ、は)

お嬢様(だめ、かぁ………そりゃそうでしょ。いつも一緒だもんね)ポロ

お嬢様(悔しいけど、天然娘には敵わないなぁ………)ポロポロ

お嬢様「グスッ……ふえ、ぇ………ひっ、ぐ……」ポタポタ

真面目「ごめん……勘違いさせて、本当にごめん」ナデナデ

真面目「でも……僕も、君に言わなきゃいけないことがあるんだ」


お嬢様(………これ以上、何があるって言うの?)グスッ


真面目「実は――――――――」












真面目「―――――その……僕、本当は女の子なんだ」ピラッ




お嬢様「…………」

お嬢様「は?」

お嬢様「…………………………」

お嬢様「は?」




お嬢様「えええええええええええええええええええ!?あんた女だったのおおおおおおおおおお!?」ガーン

真面目「ずっと隠しててごめん……」スッ


お嬢様「じゃあ……じゃあ!天然娘が言ってた娘って……!!」

真面目「うん、それ僕なんだ」


お嬢様「…………レ」

お嬢様「………」ゴクリ

お嬢様「…………レズなの?」

真面目「いつか言おうと思ってた……」カアァ


お嬢様「…………」

お嬢様「ちょいと失敬」サワッ


真面目「んぅっ……///」ピクンッ


お嬢様「あ……ああっ……!サラシで分からなかったけど……!!」ワナワナ

お嬢様(私よりッ……!!遥かにデカイッ……!!)ドンッ!!

真面目「……?///」サッ


真面目「僕……初潮が来るのがすごく遅くて、高校に入るまでずっと男の子として生きてたんだ。やっぱりボロが出ることもあったけど……」

お嬢様「い、言われてみれば確かに……!」ホワンホワン


――――――――――――――――――――

真面目『円錐形?初めて見るものですね……一体これは何ですか?』

真面目『ぼ、僕がホモなんてあり得ないですよ!』

真面目『こっ、この話は授業に無関係ですよね?早く授業を再開してください!』アセッ

女教師『愛する人の体液ならともかく、他人の体液は自分のものよりも汚く感じるのだ』
天然娘『ご、ごめんなさぁい……のどがかわいてたからのんじゃったぁ』

真面目『……?今まで一度も嗅いだことのない臭いですね……』クンクン
女教師『なに、3人だと……?そんなはずは……ま、まさか』ハッ

女教師『ち○ぽが死ぬ』
真面目『うわ、なんだか可哀想ですね……』

真面目『ちなみに『性同一性障害』も性染色体異常なんですか?』

チャラ男『あー、真面目が女だったら俺ハーレムなのになぁwwwwお前実は女だったりしねぇ?wwww』
天然娘『何言ってるのチャラ男くん。少しおかしいの』

お嬢様『うふふっ、真面目……あんた男のくせに体柔らかいのね♪』ギュー
真面目『………え』

――――――――――――――――――――


お嬢様(ところどころ変なリアクションだったのは、真面目が本当は女の子だったから!?)

お嬢様(たしか唾液のテストの時は、天然娘→私→チャラ男の順で回ってきた。つまり順番は『天然娘→私→チャラ男→真面目→天然娘→…』)

お嬢様(天然娘は自分に回ってきたコップが誰のものか分かってたんだ……計算高すぎよアイツ)

お嬢様(あとで調べたけど、ピペリジンの臭いは……せ、精液と同じ///女の子の真面目が知らなかったのは当たり前ね……)


お嬢様「………はぁぁぁぁあ……まさか好きになった人が女の子だったなんて……」ガックシ

真面目「ごめんね、僕がもっと早くに打ち明けてれば良かったんだけど……」アセッ

お嬢様「大体なんで一人称が『僕』なのよ。紛らわしいじゃないっ」

真面目「それは兄さんに矯正するなって言われてて……男のロマンなんだって」

お嬢様「あんたのお兄さん、いい性格してるわね……」


真面目「知らなかったとはいえ、お嬢様さんを泣かせちゃったんだ。何でも言うこと聞くよ」

お嬢様「じゃあ……1つだけ、頼んでもいいかしら?」グスッ

真面目「うん、僕にできることなら何だっていいよ」

お嬢様「………じゃ、私と友達になって!」ガシッ

真面目「え、僕はもう友達だと思ってたけど……」

お嬢様「えーっと、そう言うんじゃなくて……ほらあれよ!私がアンタに告白したんだから、アンタも私には本音で言いなさいってこと!」

真面目「??」

お嬢様「んもーっ!だーかーら!友達以上、恋人未満!親友よ!」ブンブン

真面目「ああ、そういうこと……うん!これからも改めてよろしく。お嬢様」ニコ

お嬢様「うん……!よろしくね、真面目!」ギュッ


お嬢様(失恋はしたけど……同じくらい大事な友達が増えたから、まあよしとしようかな♪)




お嬢様「そうだママ、私やっぱり会社継ぐわ」

女社長「急にどうした」ガシャーン


…―――――――――――――――

ここまで



女教師「これまで続けてきた性物学の授業だが、それも今日でおしまいだ」

お嬢様「振り返ってみると色々あったわね」

チャラ男「割りとマトモな内容だったしなwwww思ったよりもエロ要素が少なくてびびったぜwww」

真面目「少ないことはなかったよね……」

天然娘「ちょっとさびしいのぉ」

女教師「湿っぽくなる前に、とっとと最後のテーマを終わらせるか。今日は君達に【ミーム】について教えよう」

真面目「ミーム?」


女教師「私の想定する生物の定義とは、『増える』『進化する』の2つ。DNA分子は確かにこの条件を満たしていた」

女教師「だがそれだけではない。我々が操る『言葉』『歌』『ダンス』『写真』『文化』……"情報そのもの"もこの条件を満たすのだよ」

お嬢様「情報が生物?なんかうまく想像できないんだけど……」

女教師「例えば歌だ。歌はそれを聞いた人の脳に感染して、さらに不特定多数の人間の脳に伝染するだろう」

女教師「感染した人の行動や思考を書き換えるかもしれない。また『歌詞を間違える』などの突然変異が起こるかもしれないな」

真面目「確かに……言われてみれば、どことなく生物みたいな振る舞いをしてますね」

女教師「このように脳に感染して増殖や進化をする『文化のウイルス』を、動物学者の【リチャード・ドーキンス】はミームと名付けたのだ」

真面目「文化のウイルス……」


女教師「我々人間の遺伝子はDNAだけではない。人間文化のミームがなければ人間に成長することはないだろう」

チャラ男「オオカミ少女ってドキュメンタリーでやってたぜwww狼に育てられたら狼そっくりになるんだぜwww」

お嬢様「なんか聞いたことあるかも……確かその子、母オオカミと離ればなれにして人間らしく教育したら死んじゃったのよね」

天然娘「かわいそう……」

女教師「だが勘違いしてはいけないことは、他のミームより生き残ることに優れた優秀なミームは常に正しいとは限らないということだ」

真面目「どういうことですか?生存力が強いミームは間違っていないと思うんですが……」

女教師「例えば神のミームは何千年もの間生き残ってきたが……私の口から言わせれば、長きに渡って人類を殺戮に追いやってきた独裁者だ」

女教師「今に見てろ、そろそろ科学が神を駆逐し始めるぞ」

お嬢様「うーん……私は神様はいると思うけど……」

女教師「問題はいるいないではない。そのミームが人に何をさせ、なぜ生き残ってきたかと言うことに注目すべきだ」


女教師「ここでひとつ思考実験をしてみよう」

天然娘「しこーじっけん?」

女教師「現実では絶対にあり得ない前提条件で行われる、頭の中で想像する実験だ。ガリレオは本当に真空の塔に登ったわけではない」カカカッ


・前提条件
1.入手が容易で致死量が少ない無色無臭の毒物が存在すること
2.すべての支払いはカードではなくキャッシュであること


お嬢様「えっ……これだけ!?」

女教師「これだけってなぁ……毒劇物取締法の目を掻い潜ってこんなヤバい毒物が入手できる時点で世紀末だぞ?」

チャラ男「毒が出てくる時点でヤベー感じしかしねーwwww」

真面目「カード払いができないなんて不便ですね……」


女教師「この条件でのパラレルワールドのある日、【貨幣や紙幣が毒物で汚染】されるという事件が起こった。痛ましいことに死者もでたらしい」

お嬢様「ええっ、怖いわね!そんなんじゃ安心してお金を使えないじゃない!」

女教師「それだけではない。通貨はどこから流通してきたのか特定することは非常に困難だし、あらゆる人間でも日常的に手にするものだ」

女教師「つまるところ、誰でも『完全犯罪の無差別殺人事件』が起こせる状況が作れてしまうのだよ」

天然娘「こわいねぇ……」フルフル

女教師「対岸のテロよりも群衆の恐怖心を大きく揺さぶるだろう。マスメディアはこぞって記事にする……すると何が起こると思う?」

チャラ男「そりゃあどうやったか報道しねーわけにはいかねーからなwwwwぜってー真似するヤツが出てくると思うぜwwww」


女教師「そう、『通貨の汚染』というミームは電子媒体や人の脳を介して拡散し、次なる連鎖を引き起こすだろう」

女教師「一度汚染された通貨を回収し刷り直したとしても、ミームに感染したネットワークや人の記憶まで洗い流すことは決してできない」

真面目「現実ではあり得ない前提条件の話とはいえ、ゾッとする筋書きですね……」ゾワ

女教師「そこから想定されるのは、通貨の物理的な信用低下に連なる貨幣価値の下落と仮想通貨への移行だ。間違いなく市場の混乱に繋がる」

お嬢様「でも……!誰でもできちゃうからって、実際にそんな馬鹿なことをやる人はいないわよ!」

女教師「そこだ。このミームは明らかに淘汰されるべき『悪しきミーム』だが、感染したからといって必ず実行されるとは限らない」

女教師「では、我々の中の何が実行するかどうかを決めているのか?」

真面目「倫理観というか……価値観、でしょうか?」

天然娘「悪いことはしちゃダメなんだよぉ?」

チャラ男「正義の味方がやりそうにないことだぜwwww」


女教師「『正義』と言えば見映えがつくが、かつてヒトラーの独裁政治下に置かれた人々は誰もが自分の行動を正義だと信じていただろう」

女教師「正義の形は人それぞれだし、時代や利害関係によっても異なる。『地球に優しい』を本気で信じてるバカはいるまい」

チャラ男「えっ」ガーン

天然娘「よしよし」ナデナデ

女教師「……だが、我々は【考える】ことができる。今ある情報から未来を見通すことができる力がある」

女教師「たとえどんなミームに感染したとしても、冷静になって最善の未来を選ぶことが出来ればミームの呪縛を振り払うことは簡単だ」

真面目「受信したミームをただ鵜呑みにするのではなく、しっかり自分で考えて行動することが重要ってことですね」

女教師「ぜひとも『お金を汚さない人間』になることを心がけたいものだな」


女教師「睡眠よりも優先するべき欲求がある」

女教師「いくら飢えてても、口にするものおぞましいものしかなければ飢え死ぬことを選ぶ者もいるだろう」

女教師「嫌悪すべき人物には性欲すら湧かない」

女教師「人類は生物の中でも初めてDNAの縛鎖から解き放たれた動物だ。三大欲求すら易々と乗り越えられる唯一無二の生物だ」

女教師「しかし、今度はミームに支配されてはいけない。いるかどうかも分からない髭のジジイのために他人の命を奪う必要はない」


女教師「なあ、なぜこの授業のタイトルが『男と女の性物学』ではなく『♂と♀の性物学』なのか分かるかい?」

チャラ男「さすがに自重したから?www」

お嬢様「そんな性格じゃないでしょ……」

天然娘「わかんなぁい」

真面目「あ……『人間』じゃなく『生物』だから、ですか?」

女教師「大正解!男と女はオスとメスだが、オスとメスは男と女ではない」

女教師「私が今まで説明してきたオスとメスの性物学は、人間にもあてはまるとは限らないということだな」

お嬢様「じゃあ……どうしてそんな授業を今まで私達に教えてきたの?」

女教師「私は君達に知ってほしかったのだ……君達のゲノムに刻み込まれた、かつてオスとメスであった生物たちの歴史を記した日記を!」


女教師「一夫多妻や多夫一妻の文化を持つ地域は今でも存在する」


女教師「歴史上、身内と契りを結んだ血族は叩けば舞うほど見つけられるだろう」


女教師「不倫をすれば目玉が飛び出るほどの慰謝料を払わねばならんし、」


女教師「DNA検査で親が誰だかすぐにバレてしまう」


女教師「今は人は男が男に、女が女に恋をすることができる時代だ」


女教師「我々が交尾ではなくセ○クスをするのは、ただ増えるのではなくお互いの心や孤独を分かち合うためかもしれないな」


女教師「性病がこんなにも蔓延したのも、性交を快楽を得る手段のひとつとした人間の特性が招いたものといっても過言ではない」


女教師「なぜならば、人間はミームという第二の遺伝子を持っているからだ」



女教師「さて、長かった♂と♀の性物学ももう終わりだ。なにか言いたいことや、良い忘れた、ことは……―――」クルッ

女教師「……いかんな、歳を取ると……目元が緩くて敵わん……」ボソ


天然娘「せんせぇ、ないてるのぉ……?」

女教師「ば、馬鹿をいうな。これは我慢汁だ」ブンブン

お嬢様「ふふっ、最後までブレないわねぇ……」

チャラ男「先生らしいっちゃあらしいなwwww」

真面目「本当にね……」フフッ


女教師「ああもう、湿っぽいのは無しだ!私から君達に教えることはもうないから質問は受け付けない!」

女教師「ではこれで性物学の授業は終わりだ!起立、礼!」

生徒達「今までありがとうございました!」


【女教師「♂と♀の性物学を始めよう」終わり】



参考文書

・『利己的な遺伝子』(箸:リチャード・ドーキンス)
・各参考書(出版:化学同人)
・Neuron、Nature、CiNii論文ほか


これでこのSSは終わります
初スレ立てで拙い文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました

女教授「心と科学の生物学を始めましょう」
心と科学の生物学を始めましょう - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428330552/)
↑こちらのスレが終わり次第HTML化依頼出してきます

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