女騎士「は、離せ!」騎士団長「まあまあ、すぐ終わるから」 (20)

女騎士「やめろ!やめてくれ!!」

騎士団長「一度は受け入れただろう?どうして今更怯えるんだ」

女騎士「あの時より太い、こんなの無理だ!頼む、後生だ。やめてくれ!!」

騎士団長「だめだ、王の御命令だからな。諦めろ」

騎士団長「仕方ない。お前を見ていて同情したよ」

騎士団長「これを飲め。全部飲んだらやめてやろう」

女騎士「本当か!?」



女騎士「う、うぁぁ...こ、これって眠り薬...」バタッ



女騎士「っ、ここは...」

騎士団長「起きたか。お前が寝ている間に終わらせたよ」

女騎士「終わらせた...?」

女騎士「!!本当か!終わったのか!?」

騎士団長「ああ、お疲れ。部屋に帰れ」

女騎士「失礼します!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1426756670

ーー翌日ーー

女騎士「はっ!」ズオォォン

騎士A「なあ女騎士、どうだったんだ?昨日。随分嫌がってたけど上手くいったのか?」

女騎士「鍛錬の邪魔をするな、後にしろ」

騎士A「はいはい。鍛錬だけは真面目に取り組むなあ」




女騎士「はあ...そろそろ上がるか」

女騎士B「あっ、女騎士。ちょうど良いところにいた。団長が呼んでるぞ」

女騎士「団長が?」



ーー騎士団長室ーー

騎士団長「今日もするぞ」

女騎士「...え」

騎士団長「そのように辛気臭い顔をするな」

騎士団長「さあ、鎧を脱いでその椅子に座るんだ」

女騎士「...昨日で終わったのではないのですか?」

騎士団長「昨日の分が終わっただけだ」

女騎士「っ!」

騎士団長「なんなら昨日のように眠り薬を飲むか?」

女騎士「...いえ、いいです」

騎士団長「なら、始めよう」




女騎士「今日のは、少し細いし小さいですね」

騎士団長「昨日あれだけ嫌がられたからな、俺も工夫するさ」

女騎士「...お気遣いいただきありがとうございます」

騎士団長「皮肉か?」

注射かな?

騎士団長「よく頑張ったな、女騎士」

女騎士「もうこれで、全部終わったんですか?」

騎士団長「ああ。これでお前は晴れて魔族対策室に配属されることとなる」

騎士団長「騎士団で唯一フィールドワークを行って魔族の生態などを研究する独立組織だ。当たり前だが、体が毒の抗体を持っていなければ話にならん」

騎士団長「もし新しい予防薬ができたら注射する必要があるが、今はお前に打った分で全てだ」

女騎士「...嬉しい。本当に、よかった」

騎士団長「しかし注射程度に恐れを抱いているようじゃ、先が思いやられるぞ」

女騎士「だ、大丈夫です!」

騎士団長「そうか...ふふ」

騎士団長「しかし、昨日焦りすぎて俺にため口で「やめろ」と命令していたお前を思い出すと笑えてくるな」

女騎士「あの時はっ!」

騎士団長「さあ、もういいぞ。3日後には異動となる、早いうちに準備しておけ」

女騎士「はい」



ーー食堂ーー

騎士A「女騎士の奴、どうなったんだろうな」

騎士B「まあ、騎士団長がどうにか策をめぐらせてたようだけど」

騎士A「ああ、それ聞いた!わざわざ女騎士の為に自費で注射針を買ったんだろ?」

騎士B「そうらしい。というか騎士団長自ら注射するってどうよ」

騎士A「それは...仕方ないだろ。死に物狂いで暴れるあいつを抑え込めるのは騎士団長ぐらいだ」

女騎士「...あまり陰口を叩くな。暴れてやろうか?」

騎士A「ひっ!」

騎士B「なんだ、お帰り。無事生還できたな」

女騎士「生還とは...物騒な言い方だな」

騎士A「注射が死ぬほど嫌いなんだろ?なら間違ってはないな」

女騎士「まあ、確かに...」

針が怖くて何が騎士だ!
貴様は敵の剣が恐いのか!?

騎士A「異動はいつだ?」

女騎士「3日後だ」

騎士B「少し時間がある。荷造りは手伝わなくても大丈夫そうだな」

女騎士「ああ」

騎士A「しかし...もう、お前と一緒に王の護衛に就くことはなくなるのか」

騎士A「お前が一緒だと気が楽だったのに」

女騎士「なんだそれは」

騎士B「女騎士ほど強い奴が一緒だと心強いってことだよ」

騎士A「そうそう。新人と組んだときって「あいつ大丈夫かな?持ち場変わった方がいいかな?」みたいな心配をしちまうんだよ」

女騎士「騎士Aは面倒見がいいからな」

騎士A「いや、そういうわけじゃ」

騎士B「褒められてんだ、素直に受け取れよ」

騎士A「なんか恥ずかしいな」

女騎士「ははは」

女騎士「さて、腹も膨れたし午後の業務だ」

騎士B「俺と女騎士は城門警備か」

騎士A「俺は...王の護衛だな。新人と一緒に」

騎士B「頑張れよ」

女騎士「じゃあ、行くか」

ーー城門ーー

門兵「入場許可証はお持ちですか?」

商工「ああ、これだ」

門兵「ありがとうございます...はい、確かに確認いたしました。どうぞ」

商工「うむ」

騎士B「なあ、女騎士」

女騎士「なんだ?」

騎士B「うちの王様って慈悲深いお方だよな」

女騎士「...突然どうした」

騎士B「魔族対策室に異動する奴には注射をしろって御命令を下してるんだろ?」

騎士B「死んで欲しくないって理由で」

女騎士「ああ、国王様は我々のことをとてもよく考えてくださっている」

騎士B「そんな王様の御慈悲を女騎士は嫌がってた」

女騎士「」

騎士B「ダメなんじゃないか?それって」

女騎士「」ワナワナ

騎士B「ほら、集中しろよ。今日の業務はまだまだ続くぞ」

女騎士「...」

女騎士「なあ、騎士B」

騎士B「何だ?」

女騎士「私はこれからちゃんとやっていけるだろうか?」

騎士B「いまさら怖気づいたのか」

女騎士「そういうわけではない...なんというか、寂しいんだ」

騎士B「寂しい?」

女騎士「...お前たちと離れることがたまらなく寂しい」

騎士B「そうか。嬉しいことを言ってくれるじゃないか」

騎士B「騎士Aが今のを聞いたら照れて顔を真っ赤にするんだろうな」

女騎士「首まで赤くするかもな」

騎士B「かもな」

騎士B「...俺たちも寂しいさ。まあ、同じ騎士団に所属しているんだ。城内ですれ違うこともあるだろう」

女騎士「そうだな」

騎士B「しかし、魔族対策室か...相当仕事きついんだろうな」

女騎士「分かってる。覚悟の上だよ」

女騎士「...」

女騎士「時間だ、おい、門兵!門を閉めるぞ」

門兵「はーい」





ーー城内ーー

騎士B「おやすみ、女騎士」

女騎士「おやすみ。私は業務日誌をまとめてから自室に戻るよ」




黒騎士「おい、お前が女騎士か?」

女騎士「え?はい、そうですが」

黒騎士「俺は黒騎士。魔族対策室の者さ」

女騎士「!失礼しました」

黒騎士「いや、いい。業務日誌を書いているのか?そのまま続けてくれ」

女騎士「は、はあ。有難うございます。あの...」

黒騎士「お前を見てみたかった。突然押しかけてすまないな」

女騎士「いえ、そんな」

黒騎士「ふん...お前、女だてらに俺より腕っぷしが強そうだな。一目でわかるほどだ」

黒騎士「しかも...悪い、少しそれを読ませてくれ」

女騎士「日誌をですか?」

黒騎士「ああ」

黒騎士「ほお、読みやすい」

黒騎士「...お前がうちに来てくれたら随分助かりそうだな」

女騎士「お役に立てるよう努力します」

黒騎士「ああ、じゃあ三日後にまた会おう。邪魔したな」

女騎士「いえ」




女騎士「わざわざ会いに来た?いや、ここを通るついでに寄っただけだろう」

ーー異動日ーー

騎士A「おはよう、そしていってらっしゃい」

騎士B「おはよう、元気にやれよいってらっしゃい」

門兵「おはようございます、頑張ってくださいいってらっしゃい」

女騎士「あ、うん。なんかあっさりしてないか?」

騎士B「実は「私、あなたたちと離れたくない!寂しい!」ってお前が言っていたこととみんなに伝えたら」

騎士B「雑に見送ってやった方が寂しさを紛らわせてやれるだろうということになってな」

女騎士「なんだそれは。呆れた」

騎士A「寂しいのは否定しないのか?」

女騎士「ああ、寂しい。ずっと慣れ親しんできた面々だ。それが離れ離れになるんだ、寂しいに決まっているだろう」

女騎士「騎士A、お前にはいろいろなことを教えてもらった。私が魔族対策室に異動できることになったのはお前のお陰でもある。有難う」

騎士A「っ!」

門兵「騎士Aさん、全身真っ赤になりましたね」

騎士B「指の先まで赤くなるとはな」

女騎士「面白い奴だな、お前は」

騎士A「う、うるせえ!」

騎士A「...いつでも部隊に帰ってこいよ」

女騎士「ああ」

女騎士「じゃあな、いってくるよ」

今日、というか今回はここまでです。

>>3速攻でバレた

>>5ドラゴンボールの悟空も戦士なのに注射が嫌いなんですよね。筋肉が太いからぶっとい注射針を使われたんでしょうか  
「日本人なのに納豆食えないの!?」って言われたことがあります

ちなみに黒騎士が女騎士の強さを察したのは雰囲気からです。ムキムキだからじゃないです、スレンダーアスリート美人。

ーー魔族対策室前ーー

女騎士「城の地下に部屋があるのか」

女騎士「ここに来るのは初めてだな...」

女騎士「女騎士です。失礼します」コンコンガチャッ

黒騎士「おう」

女騎士「黒騎士さん。あの、他の方は...」

黒騎士「んー...聞いてた時間ちょうどだな」

黒騎士「じゃあ案内しよう」

女騎士「えっと、案内ですか?」

黒騎士「一応ここが本部だが、普段は別のところで活動してるんだ。研究資料や活動記録はほとんどそっちに置いてある」

女騎士「そうなんですか。だから誰もいないんですね」

黒騎士「さあ、いくぞ」

女騎士「はい」

ーー城門ーー

門兵「あれ、女騎士さん」

女騎士「さっき振りだな」



黒騎士「...城内で魔法が使えれば楽なんだがな。面倒で仕方ない」

黒騎士「俺の手を握れ、移動呪文を使う」

女騎士「移動呪文?は、はい」ギュッ

バシュゥゥゥン

門兵「うお!2人とも消えた...」


ーー魔の森ーー

女騎士「!これが移動呪文...噂に聞いたことはあったが」

黒騎士「移動呪文を含めいくつかの王国呪文は俺たちが考えた。まあ、最近は別のことをやっているが」

黒騎士「今はここ魔の森で、魔族が魔物をどうやって使役しているのかについて研究している」

黒騎士「少し待機所まで歩きながら話をしよう、着いて来い」




女騎士「魔族対策室の方々は全員呪文を使えるのですか?」

黒騎士「大半は使えるが、使えない者もいる」

黒騎士「お前は使えるのか?」

女騎士「いえ。幼いころから前衛騎士として鍛えられてきたので」

黒騎士「そうか、前衛騎士では呪文の鍛錬はしないからな」

黒騎士「だが、鍛錬したことがないだけで使えるかどうかはこれからのお前次第だ」

女騎士「はい」

ーー魔の森中心部ーー

黒騎士「ここが、待機所だ」

女騎士「え...どこにも」

黒騎士「お前、魔力操作の鍛錬もしたことがないのか」

女騎士「す、すいません」

黒騎士「あの白い石を見ろ」

女騎士「白い石?あの石がなんなんですか?」

黒騎士「てい」

女騎士「痛いっ!」

女騎士「って、うわ!突然目の前に建物が!」

黒騎士「さあ、早く入るぞ」



黒騎士「帰ったぞ、事務係ちゃん」

事務係「遅い、黒騎士」

事務係「遅くない、予定通りだ」

事務係「あ、いらっしゃい。君が女騎士ちゃんだね?」

少女「いらっしゃい」

女騎士「は、はい。今日からこちらに異動となりました、女騎士です」

事務係「うんうん、美人だ。礼儀正しいね、本当よく来てくれたね。君が来てくれて嬉しいよ」

少女「嬉しい。肉壁が増えて」

黒騎士「言葉が汚いぞ、少女」

少女「汚くない」

事務係「まあまあ」

黒騎士「少女の世話役はお前だろ、ちゃんと指導しろよ」

少女「事務係は友達」

事務係「そういえば黒騎士。一昨日の資料まだ受け取ってないんだけど」

黒騎士「あとで持ってくる」

事務係「了解。あ、女騎士ちゃんの部屋は3階の一番奥だから。荷物置いてきて」

事務係「またここに戻ってきてね、話したいことがめっちゃあるから」

女騎士「はい」

黒騎士「口説くつもりじゃないだろうな?レズ野郎」

事務係「さあ?」

女騎士「...ははは」

少女「...」



レズなのに野郎とはいったい

ーー部屋ーー

女騎士「思っていたより良い部屋だな」

女騎士「...あああ、分からない!なんで突然待機所が現れたんだ?」

女騎士「現れた、というより存在を視覚できるようになったのか...何がきっかけで?」

女騎士「あの白い石...?それとも黒騎士さんに殴られたことだろうか」

少女「後者が正解」

女騎士「ん?あ、さっきの...黒騎士さんは確か少女って」

少女「そう、私の名前は少女。ちなみに隣の部屋で寝てる。よろしく」

女騎士「よ、よろしく頼む」

女騎士「それより、さっきのって」

少女「あ、うん。黒騎士は多分女騎士の体に無理やり教え込んだんだと思う、魔力操作を」

女騎士「魔力操作?そういえばそんなことを言っていたような」

少女「...知らないだろうけど、魔力は常に空気中を漂ってる」

少女「けど、空気中の魔力は人間にとって毒でしかない。だから無意識のうちに取り込まれてしまうのを拒んでしまう」

少女「ちなみに、空気中の魔力を体に取り込み中和すれば、魔力の絶対量を増やせば魔族のように人間でも呪文が使える。それには鍛錬が必要」

女騎士「?」

少女「理解できない?」

女騎士「あ、ああ。理解できない」

少女「...せっかく説明したのに」

少女「死ね、くそごみ」

女騎士「え」



>>17間違えた...事務係は女だからただのレズ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom