【艦これ】提督「目が覚めたら女になってた」翔鶴「その8ですよ」瑞鶴「提督さん」 (344)

・はじめに

艦これの二次創作です
提督はヒロイン。異論は認める
キャラ崩壊してる可能性があります
人によっては胸糞に感じる描写もあります
タイトルに入りきらなかったけど、安価スレです
このスレは前スレの続きとなっております

以上の点にご留意ください

前スレ
【艦これ】提督「目が覚めたら女になってた」秋月「その7です、司令」【安価】
【艦これ】提督「目が覚めたら女になってた」秋月「その7です、司令」【安価】 - SSまとめ速報
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十四日目経過時の好感度表

提督からの好感度
朝潮 1028
利根 566
U511 537
五月雨 457
筑摩 383
大和 304
榛名 198
浜風 161
加賀 157
山城 133
大鳳 98
舞風 82
瑞鳳 77
叢雲 36
如月 35
響 21
日向 11

パーソナル値
16

それでは、宜しくお願いします

丁度埋まってやったぜ

好感度判定
U511 37

古鷹 9

大和 3

パーソナル値
2

夜の部
↓1~3 艦娘

提督「ふむ」

筑摩「どうかしました?」

山城「きっと、何か小言を言われるのね……ふふふ」

浜風「相変わらずですね……」

提督「全員が妹で、浜風以外は姉love勢の集まりだったから」

山城「扶桑姉様の話が聞きたいのですか?」

提督「言ってないよね」

筑摩「姉さんは私が居ないとダメな人なんですよ」

提督「語り出さなくて大丈夫だよ」

浜風「か、陽炎姉さんは……」

提督「……無理しなくても良いから」

山城「遠慮しなくて良いんですよ、提督」

筑摩「姉の話なら、一夜では語り尽くせない程ありますので」

浜風「私は一人と絞ると、そう沢山のエピソードはないんですが……」

提督「……またの機会にお願いしようかな」

↓1~3 用事等。高コンマ二つ

山城「扶桑姉様の魅力はですね、あの薄幸な所から始まりまして」

筑摩「姉さんにはもっとしっかりして欲しいという気持ちもあるんですが、事あるごとに筑摩筑摩と頼ってくるのが可愛くて」

提督「……どうしたものだろうか」

浜風「……提督の自業自得と思いますが」

提督「そうだよねえ……」

山城「扶桑姉様はよく空を眺めるんですが、きっと艦船だった時に日本から出る事もなく、空を眺める事でしか時間を潰せなかったという昔を思い出しているのだと考えると泣けてきますね」

筑摩「今でこそカタパルトをきちんと整備して戦場では索敵機の発艦に問題はありませんが、昔はそれはもう大事な場面でやらかす事も多くて。それで助かった場面もあるんですが、私としてはもう少し頼れる様になって欲しいかななんて」

浜風「提督の趣味はなんなんですか?」

提督「将棋。そこまで強くないけど」

浜風「勝負ごとが好きなんですか?」

提督「んー、どうだろうね。ただ、負けず嫌いではあるかも」

浜風「なるほど」

山城・筑摩「提督」

提督「……ん?」

山城「話を」

筑摩「聞いてましたか?」

提督「も、勿論……」

↓1 浜風好感度判定
↓2 筑摩好感度判定
↓3 山城好感度判定

パソ値忘れ

↓1 パソ値判定

0は10でも宜しいか

好感度判定
浜風 16

筑摩 8

山城 42

パーソナル値
12

提督の部
↓1~3 艦娘

U511「お昼はdanke……です」

提督「あれくらいならお安いご用ってやつだね」

大和「私も久し振りに提督の料理を食べられて嬉しかったですよ」

五月雨「そんなイベントがあったんですか! 羨ましい!」

提督「料理が出来る面子しか居なかったからこそ出来た芸当だけどね」

五月雨「わ、私だって!」

提督「……今度、試しに一緒に厨房に入ってみようか」

五月雨「え、良いんですか! あれほど入るのを拒んでいたのに」

提督「まあ、やる前から諦めるのも良くないと思うしね」

五月雨「あ、有り難うございます!」

U511「良かったね」

大和「挑戦は確かに大事ですから」

提督「最初から上手く出来る人なんて、そう居ないもんね」

↓1~3 用事等。高コンマ二つ

提督「艦娘って体温の調節機能ついてるんだっけ」

大和「艤装にですよ。私達だって普段は四季を肌で感じたいんですから」

U511「……寒いの?」

提督「少し。けど、寒い方が空は澄み渡るんだよね」

五月雨「つまり、絶好の天体観測日和という事ですね!」

提督「いきなり星を見に行きたいと言われた時はどうしたものかと思ったけども」

U511「迷惑だった?」

提督「そんな事はないよ。懐かしい気分になったし」

U511「昔、やってたの?」

提督「一時期、ね」

五月雨「星……厨二……あっ」

大和「では、星を眺めつつ、大和特製のラムネをどうぞ!」

提督「……冷えてるね」

大和「暖めましょうか?」

提督「美味しくなくなるんだよなあ」

U511「Admiral」ピトッ

提督「ん?」

U511「くっついてたら寒くないよ?」

提督「……そうだね」

五月雨「私も私も!」

大和「不束ものですが……」

提督「肉眼で天体観測をする羽目になりそうだね」

↓1 U511好感度判定
↓2 五月雨好感度判定
↓3 大和好感度判定
↓4 パソ値判定

提督日記 十五日目

結局な話。
身体が女になった所で、そう簡単に心までは変わらないという話である。

なんて、半月経ったから真面目に書いてみた。

十五日目終了

提督からの好感度
朝潮 1028
利根 617
U511 615
五月雨 546
筑摩 391
大和 319
榛名 242
浜風 177
加賀 157
山城 175
大鳳 98
舞風 82
瑞鳳 77
叢雲 36
如月 35
響 21
日向 11
古鷹 9

パーソナル値
22

十六日目
↓1 一度に交流する艦娘人数判定

お二人様。そして、これにて今日は終了ですぞ。お疲れ様でした

↓1~2 艦娘
↓3~4 理由。高コンマの方を選択

大和「おはようございます、提督」

提督「おはよーはよー」

五月雨「昨日、最後の方はそこそこ寒かったですけど、体調に変わりはないですか?」

提督「大丈夫だよ。念のため、手洗いうがいはやったし」

大和「良い心掛けですね」

提督「一度、油断して崩しちゃったからねえ。痛い目にあってから予防を心掛けるのはどうかと思うんだけど」

五月雨「喉元過ぎれば熱さ忘れてしまいますから……」

大和「このまま習慣付けてくださいね?」

提督「あはは……耳が痛いや」

五月雨「提督は朝御飯は食べましたか?」

提督「今からかな」

大和「それでは、ご一緒しませんか?」

提督「いいよー」

五月雨「やりましたっ。善は急げです。早速、食堂に向かいましょう!」

↓1 五月雨好感度判定
↓2 大和好感度判定
↓3 パソ値判定

今日は10時過ぎくらいまで

好感度判定
五月雨 26

大和 46

パーソナル値
31

昼の部
↓1~2 艦娘
↓3~4 理由。高コンマの方を

お風呂直行!

↓1~2 風呂イベント

~浴場~

利根「榛名よ。提督が来るまでにじゃんけんで勝負をしようではないか」

榛名「提督の背中を流す権利を賭けて、ですか? 良いですよ。受けてたちましょう」

利根「ふっ。如何に幸運艦と言えど、ここは我輩に譲ってもらうぞ」サイショハ

榛名「勝手は! 榛名が! 許しません」グー

利根「じゃん」

榛名「けん」

利根「ぽん!」グー

榛名「ぽん!」パー

利根「くぅっ、またしても!」

榛名「やったっ!」ガッツポ

提督「……何やってるのさ」

利根「なんでもないぞ。……しかし、髪を下ろすと印象が変わるのう」

提督「利根も下ろしてるじゃん」

利根「洗えぬからな」

榛名「どんな提督でも素敵ですっ」

提督「……そ、そう」

榛名「では、お背中流しますので、こちらにどうぞ」

提督「自分で出来るんだけど」

利根「労られるのも上司の役目じゃ。大人しく受け入れい」

提督「……しょうがないか」ストン

利根「相変わらず、タオルは離さんのな。いい加減、慣れても良い頃合いじゃろうに」

提督「そんな簡単に区切りはつかないよ」

榛名「えっと……直接掛けて、んっ、少し塗り込んで……」

提督「榛名?」

榛名「はいっ。お待たせしました。榛名、いきます!」ムニュッ

提督「ふぁっ!?」

利根「……お主、何をしておるのじゃ?」

榛名「何って、んぁ、背中を、んっ、流して……やっ、あっ……」

提督「」

利根「……刺激が強すぎた様じゃな」

榛名「やだっ、こ……これっ、なんだか……イケない気持ちに、んんっ!」

利根「そっとしておこう」

↓1 利根好感度判定
↓2 榛名好感度判定
↓3 パソ値判定

そしてこの榛名への好感度の上がりっぷりよ

好感度判定
利根 23

榛名 80

パーソナル値
37

夜の部
↓1~2 艦娘
↓3~4 理由。高コンマの方を

提督「夜は好きかい?」

筑摩「好きですよ」

浜風「昼の活気も好きですけど、夜はこの何処と無く感じられる寂しさが良いですよね」

提督「この静まりかえった海岸線って良いよね。波の音は人によっては恐怖を覚える人も居るみたいだけど」

筑摩「潮風に当たりすぎるのも良くはないんですけどね。この静けさは内陸では味わえません」

浜風「まあ、ここも時間帯によっては五月蝿くなるのですが」

提督「川内は夜になると無駄に元気だから、仕方ない」

筑摩「重巡寮は彼女が騒ぐ場所と少し距離があるのですが……」

浜風「駆逐寮は軽巡寮と近いですからね。私はそこまで気にしてませんけども」

提督「あはは……それとなく伝えておくよ」

筑摩「もう少し歩きますか?」

提督「……そうだね。もうちょっとここに居たいかな」

浜風「お付き合いします」

提督「有り難う」

↓1 筑摩好感度判定
↓2 浜風好感度判定
↓3 パソ値判定

好感度判定
筑摩 27

浜風 49

パーソナル値
30

提督の部
↓1~2 艦娘
↓3~4 理由

提督「提督だっ!」バン

古鷹「いらっしゃいです、提督」

筑摩「迷惑かけます……」

古鷹「いえいえ。慣れてるので」

五月雨「提督! 対象を発見致しましたっ!」

提督「ご苦労。ふむ……これから何が起こるのかも分からず、惰眠を貪っているな」

筑摩「今日はどんな起こし方をするんですか?」

提督「今日使うのはこちら」ジャーン

古鷹「おろし山葵……」

五月雨「うわあ……」

提督「鼻の下に少量垂らします」

加古「ん……うー……」ムズムズ

提督「後は暫く放置で大丈夫です」

筑摩「鬼ですね……」

五月雨「見てるだけで辛い」

加古「ん……!? うわぁっ!? なんかヒリヒリする! ふ、古鷹!」

提督「おはよう」

加古「あ、提督。おはよ……じゃない! 提督の仕業か! ちくしょー!」

提督「目覚めの気分は如何かな?」

加古「最悪だよ!」

提督「これが嫌ならきちんと起きる事。何度目かな、この台詞……」

五月雨「加古さんをそんなに起こしてるんですか?」

古鷹「うーん。私はどうしても甘やかしちゃうからねえ」

筑摩「分かります」

加古「普通に痛い。キツい。もっと良い起こし方があるだろ!」

提督「ちょっとやそっとじゃ起きないじゃん。毎回、起こし方を考える身にもなってよ!」

加古「頼んでないし!」

↓1 筑摩好感度判定
↓2 五月雨好感度判定
↓3 パソ値判定

提督日記 十六日目

困った。昼のお風呂の後くらいから、身体が少しおかしい。

原因を考えてみたら、心当たりが一つだけあった。
思春期。すっかり忘れていたこの単語。……彼女達のスキンシップにドキドキしてしまうのは、きっとこれのせい。……半月経っても根は男という事かな。

十六日目終了

提督からの好感度
朝潮 1028
利根 640
U511 615
五月雨 575
筑摩 451
大和 365
榛名 322
浜風 226
加賀 157
山城 175
大鳳 98
舞風 82
瑞鳳 77
叢雲 36
如月 35
響 21
日向 11
古鷹 9

パーソナル値
31

十七日目
↓1 一度に交流する艦娘人数判定

三人でございます

朝の部
↓1~3 艦娘

山城「おはようございますっ」

提督「……あ、うん。おはよう」

山城「……やるんじゃなかったわ。暗いイメージを払拭出来るかもと期待してたのだけれど」

五月雨「げ、元気出してください」

山城「貴女は良いわよね。ドジではあるけれど、不幸ではないもの……」

五月雨「……ごめんなさい」

提督「ちょ、山城!?」

U511「絡み上戸、なの?」

山城「やっぱり面倒臭いわよね、私。……ごめんなさい」

提督「とりあえず、落ち着いて。山城は自然体が一番素敵だから!」

山城「ふふ、見え透いたお世辞ね」

U511「Admiralはきっと本心から言ってるの」

五月雨「そうですよ! 山城さんが鬱陶しいなら、そもそも練度を高めるような事もしない筈です!」

山城「本当?」

提督「……ああ、うん。うちの主力の一人だし、とても大事に思ってるよ?」

山城「そう。ふふふ、そう……」

↓1~3 用事等。高コンマ二つ

風呂イベントだけ募集しておしまいですかねー。お疲れ様でした

↓1~2 風呂イベント

~浴場~

五月雨「山城さん、山城さん!」

山城「何よ。貴女に近づかれると、少し恐怖を覚えるのだけれど」

五月雨「……なんでですか?」

山城「別に。気にしなくて良いわ」

提督「ああ……。ドジに巻き込まれるかもだから……」

U511「……本人が聞くと、きっと悲しむの」

山城「それで、何かしら?」

五月雨「私も改二になりたいのです!」

山城「……提督」

提督「検討中です」

U511「……逃げた?」

五月雨「なれるんですか?」

山城「そもそも私の改二改装が、実在しない改装だから。貴女みたいに戦果を挙げた艦ならば、いつかなれると思うわ」

五月雨「わぁっ! 本当ですか!? 嬉しいですっ!」

山城「え、ええ……」

U511「テンションに圧されている……」

提督「改二になって何が変わったとか興味があるなら、丁度良いし山城に聞いたら良いんじゃない?」

山城「ちょ」

五月雨「山城さん!」

山城「ていとーー」

U511「Admiral、髪を洗って欲しいの」

提督「良いよ」

山城「……」

五月雨「山城さん?」

山城「仕方ないわね……。答えられる範囲で良いなら」

五月雨「はいっ」

山城「……不幸ね」

↓1 U511好感度判定
↓2 五月雨好感度判定
↓3 山城好感度判定
↓4 パソ値判定

ゆーちゃんの放置ボイスで提督呼びをしている事に、昨日気がついた俺提督
よそはよそ!うちはうち!(ごめんなさい)

好感度判定
U511 20

五月雨 59

山城 87

パーソナル値
30

昼の部
↓1~3 艦娘

提督「……疲れた」ゼェゼェ

利根「鍛え方が足りんのではないか?」

筑摩「姉さんは張り切りすぎです」

榛名「お水です、提督。お疲れ様でした」

提督「はぁ……ふぅ……。有り難う」

榛名「いえいえ」

筑摩「提督も無理に姉さんに付き合わなくて良かったんですよ?」

提督「身体を鍛えた方が良いのは事実だから。それに、一人だとどうしても妥協してしまう所もあるし」

榛名「真面目ですね」

利根「で、軽く走った感想を聞いても良いかの?」

提督「んー。少し爽やかな気分になれたかも。時たま吹く風が気持ち良いね」

利根「そうかそうか。それは僥倖。筑摩は中々付き合ってくれんくての」

提督「そうなんだ」

筑摩「……まあ、走るのはちょっと」

榛名(下着を着けてないから、揺れて痛いんですね)

提督「榛名?」

榛名「い、いえっ! 何も邪な事は考えてませんよ!?」

提督「……そう」

↓1~3 用事等。高コンマ二つ

~ロビー~

提督「……ん。あれ……?」

利根「おお。目が覚めたか」

筑摩「おはようございます、提督」

提督「えっと……ああ、寝ちゃったんだ。途中までは記憶があるんだけどなあ」

榛名「ごめんなさい。お疲れだと気付かずに、誘ってしまって」

提督「いやいや。榛名は悪くないよ」

榛名「ですが」

利根「まあまあ。提督が気にするなと言っておるのじゃ。あまり気に病むでない」

筑摩「しかし、最後の方は盛り上がりも凄かったので。それを見逃した提督は、後悔した方が良いかもしれません」

提督「えぇーっ! やば、それは見たかったなあ!」

榛名「また見に行けば良いのですよ」

利根「そうじゃな。演目は季節によって変わる可能性があるが、変わったら変わった奴もまた楽しめば良い」

筑摩「是非とも、また来てみたい物ですね」

提督「よし。今度は最後まで起きていられるように、体力も頑張ってつけよう」

利根「その意気じゃな。我輩に出来ることなら手伝おうぞ」

筑摩「私も微力ながら」

榛名「提督の為に、頑張りますっ!」

↓1 利根好感度判定
↓2 筑摩好感度判定
↓3 榛名好感度判定
↓4 パソ値判定

好感度判定
利根 28

筑摩 37

榛名 9

パーソナル値
28

夜の部
↓1~3 艦娘

加賀「……ふっ」シュッ

スコーン

提督「おおーっ!」

浜風「素晴らしい命中率です」

大和「さすが一航戦ですね」

加賀「……いえ。まだまだよ」

提督「しかし、なんでまた夜間に弓を?」

加賀「私も夜戦に参加したいからよ」

浜風「ですが、夜間飛行は発着艦の際に危険が伴うから厳しいのでは」

大和「海上の夜は、どうしても着艦する空母を見失ってしまいますし」

加賀「言いたい事は分かるわ。でも、私が探照灯を装備すれば、妖精達が私を見失う事はない」

提督「そもそも空母に探照灯は積めないんだけど」

加賀「何とかしてくれると助かるわ」

提督「無茶を仰る」

浜風「夜戦は駆逐艦の本分ですから。そこは譲って欲しいですね」

大和「まあ、確かに加賀さんは元戦艦ですから。すごく無理をすれば、探照灯を積める可能性もなくはないかもですね」

提督「その気にさせる様な発言はいかんでしょ」

↓1~3 用事等。高コンマ二つ

加賀「第一次攻撃隊、全機発艦!」ビシュッ

大和「提督、気分は大丈夫ですか?」

提督「まあ、船酔いはしないけど。わざわざ曳航させちゃって悪いね」

浜風「実演を見るには洋上に出なければ仕方ないので」

加賀「各艦載機は着艦準備。……浜風」

浜風「了解です。探照灯、照射」

提督「探照灯を積んだ艦は目立つから、艦載機でも攻撃はしやすいかもね。やっぱり、問題は帰還か」

大和「夜戦はお互いに動き続けますから。幾ら探照灯で味方の位置が分かっても、空母に着艦が安定する姿勢を取らせるのも厳しい気がします」

加賀「つまり、発艦の時から動いてないこの状況で失敗してしまえば、論外……というこどぁっ」ゴン

浜風「艦載機が頭に直撃したみたいです、提督」

提督「うん。見てたから分かってるよ」

大和「曳航する艦が増えるのはちょっと……」

加賀「そ、その必要はないわ。……やはり私に探照灯を積むしかないみたいね」プルプル

大和(滅多にしない失敗を提督の前でしたから、恥ずかしいのかしら)

提督「とは言ってもねえ」

加賀「て、提督……お願いします……」

提督「まあ、考えてみる」

浜風「そう言う熱意を無下に出来ない所、好きですよ」

提督「よせやい」

↓1 加賀好感度判定
↓2 浜風好感度判定
↓3 大和好感度判定
↓4 パソ値判定

加賀と赤城はどこで差がついてしまったのか

好感度判定
加賀 43

浜風 4

大和 48

パーソナル値
20

提督の部
↓1~3 艦娘

利根「夜間飛行か」

提督「水上機でやってみたいって思った事は?」

筑摩「少し酷ですね。それに、自前の砲塔が泣いちゃいます」

U511「ゆーも、はっちゃん達みたいに瑞雲飛ばしてみたいなって」

日向「良いセンスだ」

提督「お呼びじゃないので……」

日向「まあ、そうなるな」

利根「我輩達は夜戦で存分に戦えるが、空母では確かに厳しいものがあるのう」

提督「……ま、おいおい考えていくよ」

筑摩「無理はしないでくださいね?」

利根「そうじゃぞ。思考に行き詰まれば、身体を動かす事も大切じゃ」

U511「ゆーと泳ぐ?」

提督「ん。有り難う」

↓1~3 用事等。高コンマ二つ

U511「Admiral、今日も一緒に寝て良い?」

利根「……今日、も?」

筑摩「詳しく聞かせてもらっても?」

提督「なんか、雰囲気とか諸々の要因が重なって落ち着くらしく、時たま一緒に寝ています」

U511「好きなの。誰かと一緒に居るのが」

利根「……潜水艦じゃもんな」

筑摩「孤独感や寂寥感は一潮……ですね」

U511「せき……りょう……?」

提督「それにドイツから来た子だからね。潜水艦の子達と馴染んではいるみたいだけど」ナデナデ

U511「~♪」

利根「なるほどのう。ならば、我輩も一肌脱ぐとしようか」

筑摩「そうですね」

提督「四人もベッドに入れませんが」

利根「何とかするんじゃ。提督じゃろ」

U511「今日は四人で寝るの? ……えへ、楽しみ」

筑摩「この笑顔を曇らせて良いと仰るんですか?」

提督「むう。負けを認めるしかないかなあ」

↓1 利根好感度判定
↓2 筑摩好感度判定
↓3 U511好感度判定
↓4 パソ値判定

提督日記 十七日目

別に見られて困る内容ではないが、日記を見られるのは恥ずかしい。
だから、誰かと一緒に寝るときは隠しておこうと思った。

十七日目終了

提督からの好感度
朝潮 1028
利根 682
U511 640
五月雨 534
筑摩 507
大和 413
榛名 331
山城 262
浜風 230
加賀 200
大鳳 98
舞風 82
瑞鳳 77
叢雲 36
如月 35
響 21
日向 11
古鷹 9

パーソナル値
23

十八日目
↓1 一度に交流する艦娘人数判定

三人です。そして、今日はここらへんで。お疲れ様でした

朝の部
↓1~3 艦娘

Oh……634だったか。次回合算時に修正しておきます

利根「暇ぞ」

提督「と言われましてもね」

U511「朝は忙しいの?」

提督「連絡事項とか、目を通さなければいけない書類とか諸々の事は昼までに終わらせておきたいからね」

五月雨「お手伝いしましょうか?」

提督「気持ちだけ受け取っておくよ」

利根「そんな文字だらけの紙より、我輩達にもっと構わんか」

提督「三人も居るんだから、自分達で頑張って暇を潰して欲しいんだけど……」

U511「Admiralと一緒の方が楽しいから」

提督「……そうかい」

五月雨「んー、四人で出来る事ですかー」

↓1~3 用事等。高コンマ二つ

↓1~2 風呂イベント

~浴場~

利根「お主、髪の毛は手入れしとるのか?」

提督「んー。気が向いた時にたまに」

利根「ふむ。出来れば毎日した方が良いと思うが。我輩達みたいな髪の毛を括る組は痛みやすいからの」

提督「利根はきちんと手入れしてる訳だ」

利根「我輩の場合は、やらなくても筑摩が勝手にやるからな。あまり世話をかけたくないと、覚え始めたのじゃ」

提督「道理で。綺麗な髪の毛をしていると思ってた」

利根「そ、そうか……」

U511「Admiral、私は?」

提督「ゆーちゃんの髪も綺麗だよ。撫でやすいし、サラサラしてるし」

U511「本当? danke」

五月雨「私の髪の毛も触ってみますか?」

提督「五月雨は髪の色から綺麗だよね。よく似合ってるし」

五月雨「あ、有り難うございます!」

提督「髪の毛ねえ。もう少し意識してみようかな」クルクル

↓1 利根好感度判定
↓2 U511好感度判定
↓3 五月雨好感度判定
↓4 パソ値判定

好感度判定
利根 86

U511 46

五月雨 80

パーソナル値
18

昼の部
↓1~3 艦娘

提督「大和ってさ」

大和「はい?」

提督「見た目は大人っぽいし、雰囲気は大和撫子って感じがするんだけど」

大和「はあ」

提督「時折、凄く子供っぽいよね」

大和「なっ」

浜風「ああ、よく分かります」

大和「浜風さんまで!」

榛名「言われてみれば」

大和「うぅ……。意地悪しないでくださいよぉ……」

提督「ごめんごめん。普段は凛々しいんだけど、間宮のアイス食べてる所とか、大和に憧れている子には見せられない様な顔つきになってたりするし」

浜風「後は視線の動きが分かりやすいですね。好きなものをずっと眺めてます」

榛名「あっ、だから時たま提督をずっtんんー!」モガモガ

大和「榛名さん? 話があるから、ちょっと向こうに行きましょうね?」ニッコリ

↓1~3 用事等。高コンマ二つ

ルールはググったから理解しましたが、何分やった事がなくて、上手く表現出来るか不安なので、申し訳ないですが再安価でお願いします

↓1 用事等

大和「そう言えば、バレンタインの時に浜風さんはクッキーを作ってましたよね」

浜風「そうですね」

提督「美味しかったよ」

浜風「有り難うございます」

大和「えっ」

榛名「私もチョコを渡しましたよ」

提督「良い感じの甘さだったね」

榛名「きっと沢山チョコを貰うだろうと思ったので、少し甘さ控えめにしたんですよね」

大和「えっ」

浜風「大和はバレンタインは提督に何か?」

大和「えっ、やっ、その……」

榛名「あげてないんですか?」

大和「て、提督っ!」

提督「どうしたの?」

大和「い、今から大和特製のチョコレートを作るので! 受け取ってください!」

提督「や、確か大和はバレンタインに出撃してたし、仕方ないって。気にしなくて良いよ」

大和「ダメです! 提督が許しても私が自分を許せません! 浜風さん、榛名さん! 手伝ってください!」

浜風「構いませんが」

榛名「気合い入ってますね……」

大和「とびきりのチョコレートを作ってみせます!」

提督「ほ、程々にね……」

↓1 大和好感度判定
↓2 榛名好感度判定
↓3 浜風好感度判定
↓4 パソ値判定

コンマ神は中庸がお望み

好感度判定
大和 19

榛名 43

浜風 36

パーソナル値
8

夜の部
↓1~3 艦娘

舞風「お、提督じゃーん。奇遇だねー」

提督「そうだね」タッタッ

舞風「ランニングー?」

提督「ジョギングかな」タッタッ

舞風「身体を動かす事は良い事だからねー。この後、一緒に踊るー?」

提督「余力があれば……かな」

響「やあ、司令官。こんな夜に運動かい?」

提督「日課にしないとすぐにやめるだろうからね」

響「良い心掛けだね」

提督「有り難う……ふぅ……」

山城「お疲れ様」

提督「もう少し走るつもりではあるけど。山城はいつからここで待ってたの?」

山城「い、いつでも良いでしょ。そんな事より、水分もちゃんと補給してください」

提督「ふふ。了解了解」

響「素直じゃない」

舞風「ねー」

山城「う、うるさいわよ!」

提督「平和だなあ」

↓1~3 用事等。高コンマ二つ

舞風「提督、座って座って」

提督「んー?」

舞風「身体を動かした後はストレッチをしないと痛めちゃうから」

提督「じゃあ、お願いしようかな」ストン

舞風「まっかせといてー!」ムギュッ

山城「むっ」

響「どうかしたのかい?」

山城「いえ。なんでもないわ」

響「ふふっ。素直にならないと、足元掬われるかもしれないよ?」

山城「……それもそうね。て、提督っ!」

提督「ふっ、ふっ……どしたー?」

山城「お握りを作ったのですが、食べますか?」

提督「じゃあ、頂こうかな」

山城「そうですか。それでは、どうぞ」サシダシ

提督「いや、今すぐには食べられ」

山城「食べさせてあげますから、口を開けてください」

舞風「わー、積極的だなあ」

響「無駄に身体を接触させている君が言うのか」

↓1 舞風好感度判定
↓2 山城好感度判定
↓3 響好感度判定
↓4 パソ値判定

艦娘安価だけして今日はおしまいです

好感度判定
舞風 38

山城 41

響 11

パーソナル値
4

提督の部
↓1~3 艦娘

榛名「提督? 何をしていらっしゃるんですか?」

提督「折り紙」

大和「なんでまた」

提督「駆逐艦の子達の暇潰しにでもなれば良いなって思って。これが凝ってみると案外楽しくて」

五月雨「そうなんですか?」

提督「折り鶴を作った後に足生やしたりとか」

榛名「アレンジしている……」

大和「前衛的なフォルムですね……」

提督「教えるためのコツ掴みで始めたんだけど、気付けば夢中になってたよ」

五月雨「そんなに楽しいんですか?」

提督「たまにやりたくなる感じかな?」

榛名「机が折り紙だらけに」

大和「作ったものはどこかに飾るんですか?」

提督「……」

五月雨「提督?」

提督「考えてなかったね」

↓1~3 用事等。高コンマ2つ

大和「私に折り紙を教えて頂けませんか?」

提督「大和に?」

大和「はい。私はいつまでも駆逐艦の子達の憧れでありたいので」

提督「折り紙の教えを請われた時に対応出来るようになりたいと」

大和「です」

提督「良い心構えだね。でも、真面目すぎると疲れるよ?」

大和「心得てますよ」

提督「さすが大和って感じかな?」

榛名「私にも教えてください、提督」

提督「榛名も?」

榛名「私は単に、提督と楽しみを共有したいだけですよ」

提督「なるほど。榛名らしいね」

五月雨「私は紙を弾みで破ってしまいそうなので遠慮しときます……」

提督「いつも前向きなのに珍しい。紙なら幾らでもあるし、挑戦してみたら良いんじゃないかな。自信もつくよ」

五月雨「ですかね?」

提督「五月雨が頑張っている事は知ってるから。これも挑戦挑戦」

五月雨「はいっ」

↓1 五月雨好感度判定
↓2 大和好感度判定
↓3 榛名好感度判定
↓4 パソ値判定

ああああぁぁぁぁ! >>1 の家が!!!   〈     . ’      ’、   ′ ’   . ・
                           〈     、′・. ’   ;   ’、 ’、′‘ .・”
                          〈       ’、′・  ’、.・”;  ”  ’、
YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY´     ’、′  ’、  (;;ノ;; (′‘ ・. ’、′”;

                              、′・  ( (´;^`⌒)∴⌒`.・   ” ;
::::::::::::::::::::::   ____,;' ,;- i                、 ’、 ’・ 、´⌒,;y'⌒((´;;;;;ノ、"'人

::::::::::::::::::   ,;;'"  i i ・i;                _、(⌒ ;;;:;´'从 ;'   ;:;;) ;⌒ ;; :) )、___
:::::::::::::::  ,;'":;;,,,,,, ;!, `'''i;.               / ( ´;`ヾ,;⌒)´  从⌒ ;) `⌒ )⌒:`.・/\
:::::::::::  ,/'"   '''',,,,''''--i               / :::::. :::>>1 ´⌒(,ゞ、⌒) ;;:::)::ノ. _/    \
:::::::::  ;/  .,,,,,,,,,,,,,,,,,   ;i'⌒i;         /    ノ  ...;:;_)  ...::ノ  ソ ...::ノ__/       \
:::::::  i;"     ___,,,,,,,  `i"        /_______________/|          |\
::::::: i;    ,,;'""" `';,,,  "`i;          ̄|   _____  .______.  |          |
::::::: |  ''''''i ,,,,,,,,,,  `'--''''"          |  |       |  |         |  |          |
::::::: |.    i'"   ";                 |  |       |  |         |  |          |
::::::: |;    `-、.,;''"                    |  |       |  |         |  |          |
::::::::  i;     `'-----j             |  | ==== .|  | ===== .|  |          |
                           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


急で申し訳ないんですが、終わる気配がないので、ここで終わらせます
今日を終えると、また暫く更新出来そうになくて、このままズルズルいっても良いことはなさそうなので

膠着状況をなんとかする為の策をもう少し練るべきでした。すみません

十八日目終了

提督からの好感度
朝潮 1028
利根 768
五月雨 739
U511 686
筑摩 507
榛名 474
大和 461
山城 303
浜風 266
加賀 200
舞風 120
大鳳 98
瑞鳳 77
叢雲 36
如月 35
響 32
日向 11
古鷹 9

パーソナル値
10

モチベーションが素晴らしく怪しいので、相当お待たせすると思いますが、それでも宜しければ

エンディング時の男女選択
奇数が女性で、偶数が男性です。ゾロ目は両方
とねちくは勝手ですが纏めます
数が多いので、連投しても大丈夫です

↓1 朝潮
↓2 利根・筑摩
↓3 五月雨
↓4 U511
↓5 榛名
↓6 大和
↓7 山城
↓8 浜風
↓9 加賀
↓10 舞風

ご協力有り難うございました

朝潮  男
利根・筑摩  女
五月雨  女
U511  女
榛名  女
大和  男
山城  女
浜風  男
加賀  女
舞風  女

次スレはおそらく時間の問題で厳しいと思われます。そんな訳で、目が覚めたらシリーズはこれでおしまいになります
お疲れ様でした

誰が選ばれても恨みっこなしで、三人で同時に告白した。
だが、想い人の返答は歯切れの悪い物で。

提督「……ごめん。今はまだ答えは出せそうにないの。気持ちは嬉しいけど、今すぐ誰かを選ぶなんて事は出来ない」

それは半ば予想出来ていた答え。
故に次の言葉は既に用意出来ている。

大井「提督が愛してくれると言うなら、三人纏めてでも大丈夫ですよ?」

提督「えっ……」

案の定、提督の目が丸くなった。

北上「そだねー。アタシ達は、そこんとこをちゃんと話し合って納得したし」

提督「斜め上すぎる提案ね」

木曾「まあ、確かに急な話ではあるかもな。それに三人纏めてとは言ったものの、提督に負担が掛かるのは宜しくない」

大井「なにいきなり常識人ぶってるのよ! そうやって提督の好感度を稼ぐつもりね!」

木曾「ちげーよ! 変な言い掛かりはやめろ!」

大井「あら。急に声を荒げるなんて、淑女としてどうなのかしら?」

木曾「……良いぜ。表に出ろ、ぶっ飛ばしてやる」

大井「身の程を知りなさい。貴女が私に勝てる訳ないでしょう?」

木曾「やってみなきゃ分からねえだろうが」

北上「喧嘩はやめなよー」

大井「北上さんがそう言うならっ」

木曾「こいつ……」

提督「ふふっ」

大井「提督?」

北上「どうかしたー?」

木曾「何かあったか?」

提督「いいえ。なんでもないわ」

それは提督が誰かを選べない理由。

提督「やっぱり、この時間が好きなのよね」

彼女達の自然体なやり取り。
三人が同じ立ち位置に居るからこそ出来る応酬。
一人でも選べば、遠慮や優越感が生まれ、二度と見れなくなるであろう光景。

それが例え杞憂だとしても、この居心地の良さを手離す事が出来なかった。
その選択が間違いであると気づかずに。

最初の数週間は平和だった、と思う。

大井「提督、今日は宜しくお願いしますね」

提督「こちらこそ、頼むわね」

一日ずつ交代で秘書艦を回す。

北上「今日はこのハイパー北上様が秘書艦をやったげるよー」

提督「ふふ。お願いね?」

一週は七日。三人で二回ずつやれば、六日は埋まる。

木曾「今日は俺に任せろ。なに、一瞬で終わらせてやる」

提督「頼もしい」

余った一日は提督の休みと重なっていれば、四人で遊びに行く。提督が休みでなければ、自由行動を取っていた。

大井「このアクセサリー、種類が沢山あるわね」

北上「ホントだ。お揃いにするなら丁度良いかもね」

木曾「少し気恥ずかしいな」

提督「そう? 木曾だとこの色が似合いそうだけど」

木曾「……お前がそう言うなら、それにしとくぜ」

大井「提督」

北上「アタシらのもお願い」

提督「仕方ないわね。三人ともこのアクセサリーで良いの?」

大井「提督も買うんですよ?」

北上「そうそう。アタシ達の結束の証みたいな物だからね」

木曾「四人でいつまでも仲良くしていたいからな」

提督「……そう。それはとても良い事ね」

それはとても大切な繋がり。少なくとも、その時はそう思っていた。

おかしくなり始めたのはどこからだったのか。
今となっては、よく分からない。

大井「提督、金剛さんから美味しいお茶の葉を頂いたのですが……って、北上さん?」

北上「あー、おかえりー、大井っちー」

茶葉の入った缶を抱えて執務室の扉を開けると映る光景。
ソファに座る提督の膝を枕にし、身体投げ出す様に横になる北上が片手を上げた。

大井「お仕事は終わったんですか?」

ソファに座る提督は手持ち無沙汰なのだろう。
北上の頭を優しく撫でていた。

提督「いえ。けど、北上が根を詰めすぎるのも良くないって言うから」

大井「それで、どうして膝枕をする事になっているんですか?」

北上「細かい事はいいじゃーん。大井っちも来る?」

大井「北上さんがそう言うなら……」

元々、休憩を提案しようとは思っていた。
だから、北上のそれは都合の良い言葉ではあるのだが。

大井「……今日は私が秘書艦なのに」

胸中に生まれる不満。
せっかくの二人きりの時間を邪魔された事に対して愚痴が漏れる。

提督「何か言った?」

大井「い、いえ! なんでもありませよ!」

問われて気づく。
自分の漏らした呟きの内容に。
大事な相棒であり、大好きな姉を無意識の内に邪魔者扱いしてしまった事に自分で驚いた。

提督「……そう?」

大井「はいっ。あ、私、お茶でも淹れてきますね!」

心中で北上を邪険に扱ってしまった罪悪感。
つい居たたまれなくなって、怪訝そうな表情浮かべる提督に愛想笑いを返し、その場から逃げ出した。

北上「…………」

思うに、ここで背を向けてしまったのがいけなかったのだろう。
彼女達と向き合う事を放棄し、自分の気持ちを下手に押し殺してしまったのが、この狂騒に拍車を掛けた。
もっとも、今更言ったところで、後の祭りではあるのだが。

違和感を覚えたのは、それからすぐだった。

木曾「俺をもっと頼ってくれても構わないんだが?」

提督「気持ちは有り難いけどね」

提督から少しでも目を離すと、二人の内のどちらかが、どこからともなく涌いて来る。
二人同時に現れる事がないのは、彼女達もまた水面下で腹の探り合いをしていたからだろう。

大井「あの。お仕事の邪魔なので」

木曾「なんだ。まだ終わってねえのか。俺も手伝ってやろうか?」

提督「それは助かるわ」

快諾する提督。木曾の言葉を純粋な厚意と信じて疑っていない。
その信頼感に少し苛立った。

大井「今日は、わ・た・し・が! 秘書艦なので、木曾は手伝わなくて大丈夫よ」

その上、秘書艦である自分を差し置いて、木曾に頼ろうとする姿勢も苛立ちを加速させた。

木曾「おいおい。人の善意は無下にするもんじゃないぜ?」

大井「貴女のそれは押し付けと言うのよ」

木曾「大井姉にとっては……だろ?」

今まで無理矢理目を逸らしていた事実を突きつけられる。
姉妹だからと、そんな事はないと自分に言い聞かせ続けていたのに。

それは二人が明確な意思を持って、自分と提督との時間を邪魔していると告げる言葉だった。

大井「っ……!」

既に磨り減っていた精神。余裕のない感情のまま、思わず振り上げた腕。
だが、それは木曾に振り下ろされる事はなく。

提督「……それをしたら、もう戻れなくなっちゃうわ」

手首を掴む提督に諭される。
だが、彼女は何も分かってはいない。

木曾「…………」

木曾の冷ややかな視線が身体を貫く。
それは北上がたまに向けてくる視線と同じモノ。
時既に遅く。ただの姉妹には戻れない所まで、自分達は足を踏み入れていた。

それでも秘書艦は続けていた。提督の事が好きだったから、一緒に過ごせるだけで幸せだった。何度邪魔されても、提督への情愛は変わらなかった。
一方で、提督に心配は掛けまいと仲良し姉妹を表面上演じる日々が続いた。

だが、そんな日々は大井の心を確実に蝕んでいった。

北上「ねえ、提督を譲ってよ」

そして、それは唐突に。

大井「は?」

北上「大井っちってさ、アタシの事が大切なんだよね?」

昔は確かにそうだった。北上の為なら、火の中水の中へと飛び込めた。

大井「え、ええ……」

北上「その大切なアタシのお願い。聞いてくれるよね?」

にやりと口角吊り上げて笑う彼女は、既に自分が大好きだった姉とは何もかも違った。

大井「いえ……。……良いですよ。大切な北上さんの頼みですから」

最初は一蹴しようとした。だが、閃いてしまった。
とてもとても簡単な事を。

北上「ホント? やー、大井っちと争うのはアタシも嫌だったからさー。とても有り難いねえ」

言葉を受け入れられた事に喜ぶ北上。
笑みを浮かべはするものの、そんな彼女を見つめる視線に親愛の情は既にない。
胸の中にあるのは黒く染まった醜い感情だけ。

大井「北上さん、私に良い案がありまして」

北上「お、なになにー?」

さあ、賽は投げられた。
後は流れに身を任せましょう。

事件があったのは、その次の日。

木曾「大井姉ぇっ!」

大井「……なによ」

一人になる必要があった為に、誰も居なかった談話室にて静かに読書をしていた。
そこに飛び込んできた木曾に、平素と同じく低い声で対応する。

木曾「提督を見なかったか!?」

大井「いいえ?」

木曾「チッ、ハズレか!」

大井「……どうかしたの?」

木曾の慌て方は尋常ではない。
この騒動を仕組んだ本人が目の前に居るのだが、気づかれてはないらしい。

木曾「提督がどこにも居ねえんだ。それと北上姉の姿も確認出来ない」

大井「それって」

息を呑む。
我ながら完璧な演技だと思う。

木曾「ああ。ヤバい状況だ。北上姉と同室だろ? どこに行ったのか知らないのか?」

案の定、木曾も頷く。
続いた問いは予想出来ていた事。

大井「私はずっとここに居たから知らないわ。……今まで探した場所は?」

木曾「食堂、工廠、入渠施設、波止場、執務室、提督の私室。目ぼしい所は大体探した」

大井「おかしいわね。提督、今日は休みではないから、外には行かない筈だけど」

本を閉じて立ち上がりつつ、木曾の様子を横目で窺う。
苛立ちのあまり普段の冷静さを全く感じない。
そう仕向けたのは自分とは言え、出来すぎた状態だった。

木曾「クソッ。どこに居やがるんだ……!」

大井「落ち着きなさい。私はもう一度、貴女が探した場所を探すわ。木曾は念のため外をお願い」

木曾「了解した」

悪態をつく彼女を宥めつつ、二人して談話室を出る。
予定していた時間より少しばかり早いが、大丈夫だろう。
どうやら、運はこちらに向いているみたいなのだから。





程なくして木曾は二人を見つけてくれた。
お互いの片手に買い物袋を持って仲睦まじげに帰ってきた二人を。

木曾「よう、お二人さん。こんな時間からデートとは良い御身分だな」

北上「あー、やだやだ。嫉妬は見苦しいよー」

出会い頭の皮肉に、北上が露骨に顔をしかめる。

提督「デートじゃなくて、鳳翔に食材の買い出しを頼まれたのよ」

睨み合う二人に困惑したのだろう。少し弱い口調で外出の理由を語る提督。

北上「で、鳳翔さんに頼まれている所にアタシが偶々通りがかってね」

三人の会話を死角になる位置から聞く。
木曾はともかく、北上の行動なら話を聞くだけで手に取るように分かる。
今となっては嬉しくもなんともない特技だが、利用出来るのなら利用するべきだろう。

木曾「……ハッ。本当に偶々だったのか怪しい物だな」

木曾が北上の言葉をにべもなく一蹴する。
そんな彼女の態度に北上は露骨に溜め息を吐いた。

北上「……この一連の騒動をアタシが仕組んだって言いたいの?」

木曾「そう聞こえたと言う事は、後ろめたい事でもあるんじゃないのか?」

木曾は怯まない。
返す刃に真っ向から叩きつける。

北上「……性格の悪い末妹だね」

提督「二人ともどうしたの?」

一方で、提督は二人の豹変ぶりについていく事が出来ない。
そろそろ潮時だろうか。

大井「提督。探しましたよ」

それらしい事を言いつつ介入する。

北上「あ、大井っち」

木曾「遅かったな」

大井「遅かったな、じゃないわよ。貴女、見つけたのなら連絡くらいして頂戴」

木曾「悪い」

緊張していた空気が弛む。

大井「提督。事情は鳳翔さんから聞きました。食材を早く届けてあげてください」

提督「あ、うん。了解したわ」

北上「じゃあ、これも一緒に宜しくねー」

提督「はいはい」

その空気を利用して強引に話を進める。
頷いた提督が北上の持っていた荷物を受け取ろうと彼女に近づく。

北上「隙あり」

それは一瞬の事だった。

提督「なにーーんっ!?」

差し出された手を引っ張り、体勢を崩した提督の唇に触れるだけの口づけを。

北上「今日付き合ってあげたから、そのお礼を先払いで貰っておくね。それじゃ、バイバイ」

そして、荷物を持ったまま軽やかなステップで北上は立ち去っていく。

木曾「お、おい! 待てよ!」

やがて我に返った木曾が北上を追い掛ける。それに釣られて、提督の硬直から解放された。

大井「……提督」

そんな提督に声を掛ける。

提督「わひゃい!」

大井と北上は異常なまでに仲が良い。
提督は未だにそれを信じている。だからこそ、大井の低い声に何か糾弾されるのではと飛び上がる。

大井「今の北上さんの行動を、決してうやむやにしないでくださいね」

提督「えっ?」

大井「私も行きます。あ、それと秘書艦も暫くお休みさせて頂きます」

それだけ言い残すと、提督を残してその場から立ち去る。
北上の最後の行動は自分が指示した物ではない。

大井「ふふっ。幾ら北上さんと言えど、やって良い事と悪い事があるのよ?」

でも、今は敢えて看過しよう。
寧ろ、やり易くなった事に感謝しよう。
どうせ、結末はどう足掻いても変わらないのだから。

数日が過ぎた。

木曾「……大井姉」

大井「何かしら?」

助言もあってか、提督は北上と正式に付き合う事を決めた。
それに伴い、北上が秘書艦の任を独占する事になった。

木曾「どうすれば、アイツを取り戻せる?」

他人の目を気にしなくなった北上の行動は更にエスカレートし、提督も提督で満更でもなさそうな対応をする。
端から見れば、とても微笑ましい光景。

他の艦娘も彼女達の様子に苦笑いこそ浮かべはするが、心の底では祝福をしている。
嫌悪感を剥き出しにしているのは、目の前に居る末妹くらいなもので。

大井「それを聞いてどうするの?」

木曾「決まってるだろ」

自分の大切な人が、他の人と懇ろな関係になっている。
しかも、それを見せつけてくる。
木曾が憔悴するのも理解は出来た。

大井「私に北上さんを裏切る真似をしろと?」

木曾「先に裏切ったのはアイツだろ。義理はない。それに、大井姉も俺と同じ気持ちだと信じているからな」

大井「そう。なら、手を貸しましょう。最近の北上さんは目に余るもの」

お互い好きな人間を奪われた者同士。同じ傷を負ったという事実は、強固な信頼関係を生み出す。

木曾「よし。大井姉が居れば百人力だ。このまま作戦会議といこうぜ」

木曾は既に精神的に余裕がない。恋敵である大井に頼る時点でそれは明確な事。

大井「そうね。一つだけ考えがあるんだけど」

木曾「お、早速か。聞かせてくれ」

だから、気付かない。
信頼が一方通行である事に。

大井「その前に良いかしら?」

木曾「なんだ?」

大井「裏切りは許さないから」

木曾「お、おう……分かっているさ」

大井「なら、良いのよ」

小さく笑う。
本当に分かっているのなら、頼る相手を間違える事もなかっただろうに。
北上の事を聞くなら確かに適任ではあるが、その選択は不適切と彼女はいつ気づくのだろうか。

全ては掌の上。
そろそろ詰みといきましょう。




北上が行方不明になった。

今日の執務を終えて部屋に戻ってきた少女に問う。

大井「提督の様子は?」

木曾「大分参っているみたいだったな」

大井「そう」

北上が消えてから三日程。その間の提督のケアを木曾に一任していた。
提督を独り占めする事に難色を示していたが、建前に過ぎなかったのだろう。
これ以上、姉妹で争いたくないと言ったら、彼女はあっさりと引き下がった。

木曾「ま、俺が支えているんだ。すぐに復活するさ」

大井「そうね」

斯くして提督は、北上が消えた事への喪失感を木曾に対する依存へと徐々に塗り替えていく。

大井「復活してくれないと困るのよね」

立ち直った提督が木曾にもっとすり寄った時が頃合いだろう。
少女の小さな呟きは中空へと溶けて消えた。

それは絶望の奏。
破滅への輪舞曲。

北上「……どういうつもり?」

盛大に上がった水飛沫を受けながら、目前の姉妹を睨み付ける。

木曾「誤射だ。他意はない」

北上「ふーん?」

すぐ脇で爆ぜた魚雷の影響により、薄い装甲は貫かれ、纏う衣服は既にボロボロ。中破と大破の合間くらいだろうか。

木曾「邪魔だ。下がってろ」

機能が低下すれば、避ける事に専念しても敵の攻撃を躱しきる事は難しい。
それ故の忠告であったのだが、

北上「……今の木曾っちはちょっとばかし信用出来ないねえ。下がった先で何があるやら」

北上はそれを断る。

木曾「……そうかよ。なら、存分に立ち回ってくれ」

北上「勿論。アタシはこんなところでくたばれないからさ」

敵の艦載機の爆撃に二人が晒されたのは、この直後の話だった。

北上「うひゃー。これはキツいねー」

練度の高さから、敵の艦載機の攻撃を躱し続ける北上。
加速と減速を駆使し、爆撃を避け、雷撃をも躱す。
だが、躱した先、自身の目標未来位置に複数の雷跡が迫っていた。

北上「……くっだらない幕切れな事で」

気付いた所で、既にどうしようもない。
嘆息混じりに吐き捨てると、回避運動を諦めて、木曾を睨み付ける。

木曾「悪いな」

直後、木曾から放たれた魚雷が北上に次々と炸裂した。
そして、そこで映像は途切れ、再び始めから再生される。

木曾「……これはどういう事だ?」

闇に包まれた執務室。
そこでは映写機がスクリーンに永遠と映像を映していた。

木曾「なんだよこれ……」

執務室に呼ばれ、室内に入った途端、この映像は始まった。
それは紛れもなく北上の失踪理由。

木曾「ふ、ふふ……。冗談キツいぜ……こんな……こんな悪辣な編集を」

何故。
どうやって。
誰が。

大井「編集? 全て事実じゃない」

聞きなれた声。
いつの間に部屋に入ってきたのかという疑問は既にどうでも良い。
ここに来て漸く理解する。
自分は嵌められたのだと。

木曾「俺を謀ったのか」

大井「いつから味方と思っていたの?」

木曾「……狸が」

映像を執務室で流していたという事は、提督も事実を知ったという事になる。
つまり、木曾の居場所はここにはない。否、もうどこにもない。

木曾「ならばせめて」

一矢報いなければ、自分に葬られた北上も浮かばれない。

大井「無駄よ」

だが、通じない。
艤装を身に付けていない木曾が、艤装を纏った大井に勝つ事は叶わない。

木曾「ぐっ……クソッタレがあぁぁっ!」

吼える。
身体を押さえ込まれても、まだ手がある指がある顎がある。
懸命に状況を打破しようと全身に力を漲らせる。

大井「眠りなさい。次起きた時には、全部終わっているから」

それすらも、大井からしてみれば些細な抵抗にしか過ぎず、容赦のない一撃を振り下ろすと木曾を昏倒させた。

大井「……ふふっ。貴女は良い役者だったわ、木曾」

立ち上がり映写機のスイッチを切る。
ついで、執務室に灯りを点けると、それを合図に憲兵が突入。
気絶した木曾を抱え、退出していく。

大井「うふふ。提督、これでやっと……貴女は私の物よ……あはっ」

半身の様な存在を二度失った虚無感。
それを埋める際に提督はどんな声で鳴くのか。
それを想像するだけで、とてもとても心地好かった。

~後日談~

「ふぇぇ、臨場感ありすぎだよぉ」

「そ、即興の、か、怪談にしては中々でしたわ」

「恋は人を狂わせるんだな」

「ここからがこの話の面白い所なんだけどね、話す人によって続きが変わるんだよ」

「えぇ~。もうお腹一杯だよぉ」

「は、ハッピーエンドじゃないんですの?」

「既にバッド一直線だろうに」

「一つは壊れた提督さんを甲斐甲斐しくお世話して、やがて立ち直った提督と共に一緒に幸せを掴む」

「一つは囚われた木曾が脱獄し、大井に復讐を遂げ、提督に別れの挨拶をしてから姿を消す」

「一つは深海棲艦と化した北上が鎮守府を襲撃。提督を連れ去り、深海で最期の時まで傍に佇む」

「最後の一つは、全てに絶望した提督が木曾を本当の意味で解体してから大井を殺害し、自身も自殺をして果てる」

「全然面白くないやい!」

「や、安っぽいお話ですわね!」

「強がるくらいなら何故聞いているのか……」

「私からのお話は以上だよ」

「ふぅ……次は誰がいく?」

「わ、私はお花を摘みに」

「付いていってやろうか?」

「け、結構ですわ!」

「わぁっ!」

「きゃあぁぁぁぁっ!」

「あはは。驚きすぎだよ」

「あ、貴女ねえっ!」

「……本当に付いていかなくて大丈夫か?」

「…………。お願いしますわ」

「ん。じゃあ、あたしも行こうかな」

「およ。独りぼっちかー」

「留守番お願いだよぉ」

「貴女はそこで頭を冷やしてなさい」

「すぐ戻る」

「はいはいっと。……ん。時間も良い感じだし、そろそろお開きかな。三人が帰ってきたら、明日に備えて寝るとしよう」

「ちゃんと帰ってこれたら……だけどね」

ヤンデレ育成過程で力尽きた感。一ヶ月近く考えた割にクオリティがお察しレベルなのがなー
語彙貧と展開に悩まされすぎたか

最後も丸投げ。受け取り方は人それぞれって感じで。多分、大半の人が大井ルートだと思う
埋めネタに間に合わず、しかも10数レス程度しか書けなくて本当にすまないと思っている

毎日ポンポン書ける人が羨ましいですね。マイペースに頑張ります。エンディングはおそらく舞風から順番に。気長にお待ちください

因縁の地だった。
トラック泊地空襲。
あたしが沈んだ場所。

「きゃあぁぁぁっ!」

「赤城さん!」

「私は……大丈夫です……!」

敵の攻撃が赤城さんに直撃する。衣服は無惨にも裂かれ、飛行甲板も壊滅的なダメージを負っている。
おそらくは大破。しかし、一航戦としての矜持か、その足は海面にしっかりと着いていた。

「舞風さん、赤城さんを連れて退避してください!」

「は、はい!」

榛名さんに請われ、あたしは少し裏返った声で返事をする。

「私達で敵を引き付けます。その隙に!」

言葉と同時、敵に向かって真正面から突撃する榛名さん。
その気迫に一瞬呑まれそうになったが、あたしは自分の役割を思い出して、赤城さんに駆け寄った。

「大丈夫ですか!? 肩をお貸しします!」

「……有り難う。また貴女に雷撃処分を頼む羽目にならなかったのが、唯一の救いですね」

余力を見せる事で、深刻な空気を少しでも払おうとした気遣いだったのだろう。
笑えない冗談だった。

「赤城さんは……」

「はい」

「赤城さんは、沈むのが怖くないんですか?」

自沈の経緯をネタになんて、あたしには出来ない。
不謹慎だとか、気を遣わせたくないとか、そんな事よりも我儘な理由で。

「舞風ちゃんは沈むのが怖いですか?」

「……はい」

隠していても仕方ない。
聞いた時点で聞かれる事は覚悟していたのだから。

「私も同じですよ」

「へ……?」

「厳密に言えば違うかもしれませんが」

激痛が身体を襲っているだろうに、その声は気丈のまま、赤城さんは語る。

「私は、私が沈んだ事で他の子達を守れなくなる事が怖いんです」

制空権のない洋上の恐ろしさ。
それはあたし達の記憶に深く刻まれている。

「舞風ちゃんは、どうして沈むのが怖いんですか?」

先程と似ている様で全然違う問いかけ。

「あたしは……」

理由。それはとても簡単な物。
もう二度とーー

「その気持ち、提督にも伝えてみたら如何です? きっと力になってくれますので」

あたしの言葉を聞いた赤城さんは優しく微笑む。
傷ついても尚、凛としている姿がとても美しく感じた。





「舞風? どうかした?」

帰投後、鎮守府からトラック基地まで出向いて指揮を振るう提督を訪ねた。
作戦が終わったのだろうか。丁度、提督は一息ついていた。

「提督、あたしね……」

事情を簡潔に説明する。
沈むのが怖い。心配を掛けまいと野分にすら言わなかった事を。

「そっか」

「うん」

暫くの沈黙。提督は神妙な顔付きであたしの言葉を吟味する。
優しい人だ。あたしの我が儘に真剣に付き合ってくれるのだから。

「じゃあ、舞風はどうしたい?」

「え?」

「怖くて辛いなら、戦いから降りても良いんだよ?」

それは立場を考えると絶対に口にしてはいけない言葉。

「……どうして」

「ん?」

「どうしてそんな事が言えるの?」

敵前逃亡を認めるなんて、あってはならない。
艦隊の秩序や士気にも支障をきたす。

「決まってるでしょ」

なのに、提督はあっけらかんと笑う。

「家族同然の皆を支えられなくて、何が提督か。世論なんてどうでも良い。我の前に道はなく、我の後ろに道は出来る」

芝居染みた口調は照れ隠しなんだろう。
けど、提督の言葉はとても身に馴染んだ。

「……そっか」

そう言う事だったのだろう。

「提督」

「んー?」

「あたし、戦うよ」

艦娘として、どうせいつか乗り越えなければいけない事。
ならば、このトラック島を巡る戦いは、ダンスを舞うのにお誂え向きの舞台と言える。

「舞風ならそう言うと思ってたよ」

笑みを浮かべる提督だが、ふと表情に疑問が宿る。

「ところで、舞風はどうして沈むのが怖いの?」





「野分いぃぃぃぃっ!」

あたしを貫く筈だった砲弾が、間に入った相棒に突き刺さる。
盛大な爆発と共に吹き飛んでいく野分を見て、勝手に動き出そうとした身体を懸命に押し留めた。

(あたしが動くと陣形が……!)

「艦隊、野分さんを中心に輪形陣! 舞風さんは野分さんの救援に向かってください!」

旗艦である榛名さんの号令が飛ぶ。あたしは一瞬だけ榛名さんに会釈すると、野分に駆け寄った。

「野分っ! 野分っ!」

助け起こしてから呼び掛けると、野分は薄目を開けて、力なく笑った。

「っぅ、ふ……ふふ、まい、かぜ……無事……?」

「うん! 野分が庇ってくれたから、あたしは平気だよ!」

「なら……よか、った……」

「良くない! 全然良くないよ!」

どうして庇ったのか。
どうして敵に隙を見せてしまったのか。
どうしてもっとしっかりしてなかったのか。

頭の中を後悔が永遠に駆け巡る。
こんな事なら戦いから降りておけば良かった。
そんな思考を遮ったのは、頬に宿る冷ややかな感触。

「まえ、は……守れ、なかった……から……」

駆逐艦に耐久力はない。そこに戦艦の攻撃が突き刺さればどうなるか等、明白な事で。
添えられた手に温もりは既にない。意識を保っていられるのも時間の問題だろう。

気絶してしまえば、格好の的である。
今はまだ空母棲姫の放った艦載機や戦艦の砲撃を榛名さん達が懸命に牽制しているが、そうなってしまえばどうなるのか、想像に難くない。

野分が沈む。
嫌だ。
自分が沈む事よりも嫌だ。
せっかく再会出来たのに、もう別れるなんて絶対に嫌だ。

「これ、で……やっ……と……」

震える手が力をなくし、頬から滑る。
野分の手が頬から離れた瞬間、あたしはその手を強く握り締めた。

「待ってて、野分」

榛名さん達の対空迎撃を掻い潜った艦載機があたし達に攻撃を行う前に叩き落とす。
それと同時に艤装の応急修理を担当する妖精を全員野分に送った。

「すぐに終わらせてくるから」

守られた命。野分の為になら燃やす事も厭わない。
次はあたしの番。
もう二度と、あたし達の仲を引き裂かせはしないーー!

ーーーーーーーーーー

「……ここは?」

目が覚めたら白い天井が目に入った。

「おはよ」

「おはようございます。って、今何時?」

「んー、何時だっけ。まぁ、細かい事は気にしない」

いい加減な提督だった。
そこで気づく。右手の温もりに。

「……あ」

上体を起こして顔をそちらに向けると、あたしが横になるベッドに突っ伏す様に眠る野分の姿が目に映った。

「え? なんで、あたしはベッドで寝てるの?」

「覚えてない? 舞風、空母棲姫を撃破した後、倒れたんだよ?」

「……全然」

「とりあえず、入渠させたんだけど、完治したのに目覚めなくてねー。かれこれ三日程経ったかなー?」

だから、医務室で寝てるのかと納得する。
そして、後れ馳せながら理解する。事の重大さを。

「えぇぇぇぇぇっ!?」

「駆逐艦としておかしな性能を発揮した代償だってさ。ま、目覚めて良かったよ」

「うぅ……心配、掛けたよね?」

「野分程じゃないけどね。野分は凄いよー。四六時中、舞風の看病してたんだから」

「野分が……」

繋がった手を軽く握ると、野分の肩が少し揺れた。

「トラック島はどうなったの?」

「お陰様で、深海棲艦は無事倒せたよ。今は後始末の真っ最中」

「そう……なんだ……」

最後まで一緒に戦えなかった。
少しだけ寂しく感じた。

「提督! 見つけましたよ!」

そんな雰囲気をぶち壊す闖入者。

「うげっ……」

「舞風を見舞うのは自由じゃが、もうちっと余裕のある行動をして欲しいのう」

「司令、やることがまだまだ残ってます。今から夜までは執務室から出しませんので」

「分かった分かった。じゃ、後は相思相愛同士、ごゆっくり」

あれよあれよと言う間に、提督は医務室から連れ出されていく。
余計な言葉を残して。

「相思相愛って……」

余程熱心に看病をしてくれていたのだろう。あれだけ騒いだのに野分は安らかに眠り続けている。
そんな彼女の頬をつつく。

「んぅ……まい、かぜ……」

「今度は一人にさせないからね」

あたしの言葉が届いたのかどうかは分からない。
けれど、微かに笑った様な気がした。





「あらら」

朝潮の監視を掻い潜り、医務室に戻った提督はその光景に苦笑する。
二人は仲良く眠っていた。

「さてさて、頑張った舞風にはご褒美をあげないとね」

舞風の左手は都合の良い事に空いている。

「練度を更に上げる事さえ出来れば、あんな無茶をしなくても良くなる。舞風が野分を大切な様に、私も舞風が大切なの。だから、渡しておくね」

答える声はない。
舞風の左手にメモを一枚乗せ、それの重しとなる様に小さな箱を重ねる。
起きた後の反応が気になりはするが、あまり長居は出来ない。

「これからも宜しく」

まだこの想いは一方通行なのかもしれない。
今の舞風は野分の事で精一杯で、余裕がないかもしれない。

それでも、指輪を見て時たま自分の事を考えてくれるのなら。

それは、とても嬉しい事に思えた。

鶴翼を読んでいたら、カッコいい舞風を書きたくなったんですね
モチベがあっても時間がないなあ。次は加賀さん。またお待たせすると思いますが、ご了承ください

……ここから暫く巨乳キャラばっか続くのか

「提督が鈍い?」

「はい」

一航戦の二人が使っている部屋。
加賀に話があると言われ、何だろうと思いつつ、対面に座しての第一声がこれだった。

「……えー、それをなんで私に?」

「赤城さん位にしか相談出来ない事なので」

信頼されている様で嬉しいら悲しいやらである。

「どんな風に鈍いのですか?」

ひとまず、詳しい話を聞いてみなければ何も分からない。
恋愛に拘わらず、感情表現自体が乏しい加賀の事だ。ちょっとしたすれ違いの可能性もある。

「それはですね……」

「はい」

何故、その問題の解決に自分が駆り出されているのか、赤城にとっては甚だ疑問ではあるのだが、他ならぬ加賀の頼みである。
そう無下にも出来なかった。

提督とケッコンする事になって、あれほど喜んでいた彼女を知っているのだから。

ーーーーーーーーーー

「うえぇぇ、また寒波が来るのか……。体調管理には気を付けないと」

ニュースから流れる気象情報。
それを耳にした提督の表情が曇る。

「……今年は寒暖差が激しいわね」

「そうだねえ」

「……」

「……」

沈黙。室内には提督が今日処理しなければならない書類のリストを捲る音が響く。

「あの……」

「ん?」

暫くの後、加賀が意を決した様に口を開いた。

「私、常人より体温が高いの」

それは、あまりにも唐突すぎた。

「……?」

「私は、他の人より体温が高いと自負してるのよ」

疑問を浮かべる提督にもう一度。加賀なりに噛み砕いて。

「えーと……?」

だが、伝わらない。

「……もう良いです」

無表情ながら、どこか憮然とした加賀に提督は困惑する。
だが、彼女が話を打ち切った時点で蒸し返すのも悪いと提督もそれ以上は聞かない。

「今日も秘書艦を宜しくね」

「はい」

それは、二人が恋愛に不馴れだった為に招いた結果だった。

ーーーーーーーーーー

「一つ良いですか?」

「なんでしょう」

話を聞いてから赤城は問う。

「どうして直接言わないんです?」

「…………」

無言。だが、一瞬にして紅潮した頬から、加賀の心中を察する事は出来た。

「ダメですよ、加賀さん」

原因は分かった。後は手解きしてあげるだけ。
不器用ながら、お互いを尊重する二人だ。進み方さえ間違わなければ、きっと上手くいく。

「……はい?」

「大切な事は言葉にしないと」

「ですが……」

「相手に察して欲しいという気持ちも理解は出来ます。ですが、本心というのは伝えて初めて、相手に届くものなんですよ」

「それは……そう、ですけど……」

「加賀さん」

微笑む。彼女の背中を押すのは、同じ一航戦である自分の役目だ。

「……はい」

「加賀さんは私が好きですか?」

「……は」

「好きじゃないんですね……」

大仰に落ち込んでみる。

「い、いえっ! 好きです! 大好きですっ!」

案の定、慌てる加賀に小さく吹き出してしまった。

「ふふっ。上々ね」

「? ……あっ」

赤城の策略に気付き、再び頬を真っ赤に染める加賀。
恥ずかしいのだろう。視線は下に落ちて行く。

「気持ちを素直に伝えるのは勇気が要ります。けど、きっと加賀さんなら出来ますよ。他ならぬ、私の大好きな加賀さんなら、ね?」

タイミングよく叩かれる部屋の扉。

「加賀。居る?」

扉一枚隔てて聞こえる提督の声に加賀の肩が跳ねた。

「……さて。私は小腹が空きましたので、間宮にでも行きますね?」

ではでは、邪魔者は退散すると致しましょう。





「提督、寒くはない?」

「……んー、実はね」

「はい」

「恥ずかしくてよく分からないや、えへへ……」

「っ。そ、そう……」

お互いに歩み寄った結果、一つのベッドで身体を寄せ合って横になる。
既に電気を消しているので、見ることは叶わないが、二人とも顔を真っ赤にしている事だろう。

「ん。でも、確かに暖かいかも。身体だけじゃなくて、心も」

「……なら、良かったわ」

加賀よりも小柄な提督。
胸の中に収まる少女の髪に、加賀は恐る恐る手を伸ばす。

「んっ……」

「! い、嫌だったかしら?」

髪に触れた瞬間、提督の肩が揺れた。
その事に驚いて、加賀は手を引っ込める。

「んーん。……けど、意外だよね」

「……何が、と聞いても?」

「加賀はもっと物怖じしないタイプだと思ってたから。髪も昔は普通に触ってたし」

「昔の私の方が、提督は、その……」

「昔も今も引っ括めて加賀が好き。……それじゃいけない?」

暗闇の中で視線がかち合った。
耳まで真っ赤にしながら笑う提督に釣られて、頬が緩む。

「私も……」

「ん?」

「私も提督の事を、愛していますよ」

少しだけ素直になれた気がした。

お待たせする(大嘘)

ポンコツか王道かで少し悩んだ結果、王道の方が書きやすかった
ポンコツの場合、提督が赤城に泣きつきます。
赤城「加賀さんが、エッチの時に必ず瑞鶴の真似をしてって言う?」提督「とても辛い」

いや、ツインテとか甲板胸とかの他の属性を活かせるチャンスでは。とか思ったの。思っただけで文字には興せなかったからやめた

次は浜風。浜風までは問題なく書ける筈。山城大和が結構時間掛かるかもしれません。それでは

「提督。私の妹になってみません?」

話は唐突に始まった。

「……もう一回言ってくれる?」

書類を片付ける手を止めて、提督は山城に向き直った。
そんな提督を真剣な面持ちで見据える山城はもう一度口を開く。

「私の妹になってみません?」

表情に内容が伴っていない。

「あ、聞き間違いじゃなかった。で、なんで?」

「私も可愛い子にお姉様って呼ばれてみたいんです!」

「うわあ……」

珍しくテンションの高い山城に着いていけなかったか、提督の表情がひきつった。
それがいけなかった。

「今、ひきました?」

「い、いや? 別に?」

「ふ、ふふ。分かっているのよ、自分でも気持ち悪い願望だなあって。でも、こんな事頼めるのは提督くらいしか居ないし、なんだかんだでケッコンしてるからやってくれるかなって」

「ちょ」

「でも、そっか……。よくよく考えなくても私が姉なんて嫌ですよね。あーあ、これなら言うんじゃなかったかしら。これからどんな顔で提督の秘書を務めたら良いの」

「あの」

「改二になった辺りが絶頂期だったのね。これからは慎ましやかに目立たず細々と頑張るわ。提督、変な事を言ってごめんなさ」

「分かった! 分かったから! 今日一日、山城だけの妹になってあげるから! だから、戻ってきてぇっ!」

長くなりそうな一日の幕が開ける。

ーーーーーーーーーー

「それで、山城の妹になったんですか?」

「一日だけね」

扶桑型の部屋。事情を説明する為に足を運んだ。

「自慢の妹なんです!」

「お姉ちゃん、暑いから離れて欲しいんだけど」

いつもは扶桑にベッタリだと言うのに、今日ばかりは提督を胸の中に抱えて山城は上機嫌。

「照れなくても良いのよ。私にもっと甘えてくれても良いんだから」

「お姉ちゃん、それ違う子の台詞だから」

そっと身体を離そうとしても、山城がそれを許さない。
正直、山城の主張する所がはっきりと主張されている身体に密着するのは、同性と言えど中々に居心地が悪かった。

「山城。提督をあまり困らせてはダメよ? 節度を持って行動してね?」

「……姉様がそう言うなら」

そんな提督の気分を察したか。扶桑が口添えする。
漸く提督は少しの自由を手に入れた。いつもより距離は近いままではあるが。

「有り難う、扶桑。事情を説明するためとは言え、ここに来て良かったよ」

「…………」

礼を言うも、反応がない。

「姉様?」

「あの、提督」

「ん?」

「提督は山城の妹なんですよね?」

嫌な予感がした。

「え? あ、うん」

「なら、私の妹と言うことにもなりますよね?」

「…………え゛?」

「姉様!?」

「提督、私の事も姉と呼んでくれないでしょうか?」

「姉様には私が居るじゃないですか!」

「そろそろ新しい妹が欲しいなあって思ってたんですよ」

「思ってたの!?」

扶桑は案外お茶目なのかもしれない。

「珍しく騒がしいな」

「楽しそうな事でもやってるの? お邪魔しまーす!」

「ノックくらいしなさい! 瑞雲バカコンビ!」

「私を日向と一緒にしないで!」

「……これは怒っても良いのか?」

「わー、収集がつかなーい」





「ふむ。話を纏めてみよう」

「なんで貴女が仕切っているの」

場所は変わらず扶桑型の部屋。人数が増えた為に少しだけ手狭に感じる。

「那珂ちゃんも、そろそろ姉キャラをやってみたいなーなんて」

「提督さえ良ければだが、俺を姉と言っても構わないんだぜ?」

「特別に私の事を姉と呼ぶ権利を差し上げますわ」

「……増えすぎじゃない?」

何故か、末妹に属する他の艦娘も、何人かこの場に居た。

「ごめん。騒いでた時は気付かなかったけど、青葉に聞かれてたみたい」

「すみません。私のせいですね……」

「……まあ、いつかは広まる事だからねえ」

一日だけ山城の妹になると知られたら、こうなることは分かっていた事で。

「提督の姉になりたいかあぁーっ!」

「「「「おぉーっ!」」」」

「提督にお姉ちゃんと呼ばれたいかあぁーっ!」

「「「「おぉーっ!」」」」

「提督を妹として甘やかしたいかあぁーっ!」

「「「「おぉーっ!」」」」

謎の熱気。
慕われている事自体はとても嬉しく感じる。
だが、

「……せっかく勇気を出したのに。不幸だわ」

一番大事な人の表情が曇っている。
これは、彼女の不器用な愛の形。
自分はそれにきちんと応えなければいけない。

「扶桑、伊勢」

「分かりました」

「任せて」

元々、一人の少女の為に始めた事。
ならば、最後までやり遂げなければならないだろう。





「ふう」

私室に辿り着き、一息吐く。
片手をしっかりと山城と繋ぎながら。

「あの、提督……? あの場に残ってなくて宜しかったんですか?」

訝しげな山城。
そんな彼女と向き合うように立った。

「大丈夫大丈夫。後の事は扶桑と伊勢に押し付けたから」

「でも」

「約束したから」

「へ?」

「今日一日は、山城だけの妹で居てあげるって」

大切な少女の願い。
他の子よりも優先度が高いのは当然だろう。

「と言うのは建前に過ぎないんだけど」

「え……」

山城の表情が絶望に染まる。
姉に操を立てていた頃では、考えられない表情だろうか。
それほどまでに、彼女は提督を慕っていた。
もっとも、

「山城の妹と言う事にしておけば、今日はずっと一緒に居られるでしょ?」

情愛の大きさなら負けていないと自負している。
悪戯気な笑みを顔に刻むと、言葉の意味を理解したのか、山城の表情も徐々に変わる。

「提督っ!」

やがて弾ける様な笑顔を浮かべた彼女が、胸に飛び込んできたのは言うまでもない。

浜風編は頭の中では出来てるけど、上手く文章に出来ませんぞ
エタる事はないと思うので、時間が出来た時に細々とやっていきます

浜風より先に大和が書ける可能性もなきにしもあらず。それでは

「……遅いな」

磯風を始めとした第十七駆逐隊の面々に夏祭りに誘われた。
故に祭りの開催地である最寄りの神社の鳥居に凭れて彼女達を待っていたのだが、約束の時間を過ぎたにも拘わらず、少女達は姿を現さない。

「事故にでもあったか?」

四人が四人とも遅れるなんて事は考えにくい。
鎌首もたげた不安が足をその場から動かそうとする。

「おうおう、マブいねーちゃんじゃねーか」

「えらいべっぴんさんやのう。どーかいな、うちらとお茶でも」

「……ん?」

瞬間、聞き覚えのある声を耳にした。

「い、いえ……。ひ、人を待って……ますので……」

「せやけど、その待ち人も全然あらわれんやん」

「かーっ! こんな可愛い子待たせるなんて、どうかしてるぜ!」

一人の少女を囲む二人の男ーーのつもりなんだろう。
惜しくらむは背丈やらなんやらが色々と足りていない。

「こ、困るんです……そういうの……本当に」

だが、不馴れな事に動揺し下を向く浜風は気づかない。
そして、そこで二人の少女の内の一人である谷風から目配せされている事に気付いた。

「なるほど」

意図を把握すれば後は容易い。

「浜風、行くぞ」

「え?」

「なんやなんや」

「待たんかコラ」

輪の中に入ると少女の手を取り走り出す。
急な展開に呆気に取られる浜風ではあったが、足だけはちゃんと動かしてくれた。

横目で流し見る背後。谷風と龍驤がひらひらと片手を振っていた。





「助けていただいて有り難うございました」

ある程度、人の波を掻き分ける様に進んでから人気の薄い隅で一息つく。

「磯風達と一緒じゃなかったのか?」

谷風が軟派な役を演じている時点で分かりきった問い。

「急な用事で行けなくなったが、提督を一人にさせる訳にはいかないから、私だけでも行けと言われて」

「そうか」

案の定な理由に頷くと申し訳なさそうに浜風が眉根を下げた。

「……私と二人きりはつまらないですよね。すみません」

「まさか。珍しい浜風が見れただけでもお釣りが来る」

「……忘れてください」

顔を真っ赤にして恥じらう浜風がまた珍しく。
濃紺の着物に朱に染まった白い肌が凄く扇情的に見えた。

「さて。せっかくの宴だ。今宵はお互い享楽の果てに堕ちるとしようぞ」

繋がった手、少し走った事と夏の暑さも相俟って、とても熱っぽい。
だが、この温もりが二人の距離を更に縮めた様な気がして。

「はいっ。来れなかった三人の分まで楽しみます」

きっと夜空に大輪が咲く頃にはもっと深く相手の事を理解している事だろう。

なお、祭りに来ていない筈の三人に、その日の事をからかわれた際、浜風は無言で自身の左手薬指に嵌められた指輪を見せたと言う。

結局文字に出来なかったから、本来大和のエンドで使うつもりだった夏祭りを投入

凄くあっさり終わってしまった。赤面する浜風が書きたいって気持ちのまま書いたらイチャラブが蛇足となって消えた。すまんな

新社会人とか言う社会の歯車になったせいで時間が全く取れないのです。毎回毎回お待たせして大変申し訳ありません
次回は大和。ホテルじゃありません!

「第五斉射! ってぇー!」

海原を裂けんばかりに轟く重厚な衝撃音。
それは寸分のズレすらなく敵に突き刺さり、一瞬にして爆沈させた。

訪れる静寂。目視による敵艦隊の索敵を続けつつ、鋭く叫ぶ。

「残敵の確認を!」

「周囲に敵影はない様です」

「了解しました。それでは油断なく帰投致しましょう」

翔鶴の答えは素早く簡潔で。
それを聞いて漸く艦隊の空気は弛緩した。

「やっぱり戦艦って凄い! 私も早く大和さんみたいな戦艦になりたいなー!」

「向かうところ敵なしっぽい?」

「хорошо」

「わ、私だって翔鶴姉と一緒ならどんな敵でもやっつけちゃうんだから!」

鎮守府へ針路を向けて海上を滑る少女達は会話に華を咲かせる。

「ふふ。私も怖い事はあるんですよ?」

「例えば?」

「提督や仲間を失う事です」

途端に落ちる沈黙。
タイミング的には丁度良い。

「帰投まで時間も掛かりそうですし、少し昔話をしましょうか」

先導を行く彼女は謳う様に言う。
それは大和の生き様を定めた出来事。
他の誰かを護るために誰よりも強くありたいと願った一人の少女のお話。

ーーーーーーーーーーーー

鎮守府への着任が遅かった。
聞けば武蔵の方が早く着任していたらしい。
武蔵は強かった。
練度の面もあったが、その武人の様な在り方が強かった。

それを姉として誇らしく感じる一方で、劣等感も同時に抱えていた。
その劣等感は大した時間を掛けずに、嫉妬心へと姿を変えた。

私の方が早く着任していれば。
私の方が練度が高ければ。

何かに追われていた訳ではないが、当時の私はとても焦っていた。
そして、その焦燥感が致命的なミスを生んだ。

「そんな! この私の装甲が抜かれるなんて!」

雷跡に気付いた時には遅かった。
大した回避もままならず、複数の魚雷を受け装甲に深刻なダメージを負った。

「敵、撃滅完了。提督、大和さんが大破しています」

「そうか。撤退だ」

加賀さんと提督の通信。
聞こえた言葉には頷けなかった。

「残存敵戦力は僅かです! ここは進軍するべきです!」

「ダメだな」

「大和の事は気にしなくて大丈夫です! ですから!」

ここで引けば、武蔵との差が埋まらない様な気がして。
私は心の底から叫ぶ。

「…………」

「提督が認めないと言うなら、私一人だけでも敵の撃破に向かいます!」

「……仕方ないな」

「良いのですか?」

私の意地に根負けした提督。そんな彼に加賀さんが聞き返す。

「ああ。加賀、それと大和以外の艦娘に告ぐ。くれぐれも大和の事を頼んだぞ」

「……では、進軍しましょう」

通信が切れた後、私達は海域の最深部に向けて舵を切った。





戦闘は散々な結果だった。

「やめてください! どうして私を庇うんですか!」

機関部がやられたのか、艦隊行動に支障を来していた私は敵と戦闘を開始した直後、集中砲火を浴びた。

「提督から頼まれたからです」

「大和さんを失う訳にはいかないという提督の指示に従っているだけです!」

避けきれない魚雷や砲弾。それらを味方の艦娘達が文字通り身体を張って受け止める。

「もうやめて……やめて!」

「榛名は大丈夫です!」

「飛行甲板に直撃しただけよ。まだ動けるわ」

装甲の厚い艦娘はまだ中破で済んではいるが、それでも大破してしまうのは時間の問題だろう。
駆逐の子達も必死に相手を撹乱しているが、焼け石に水に見える。

「は、はは……」

おかしな話だ。
皆を護りたいと願って再び生を授かったのに、皆に護られている。
何も成せずに沈んだ事をひたすらに悔いた筈なのに、また繰り返している。

「私は……やっぱり……」

「ーー笑うが良い」

声が響いた。
無線封鎖を解く愚行を犯してまで、その声は続く。

「どれだけ絶望的な状況でも、貴様は笑え。決して折れるな。これは上司に反抗した大和への罰だ。拒否は認めん」

「てい……とく……?」

「誰かの目がある所で弱味を吐くな。辛い事があっても我慢しろ。強くありたいのであれば、人の心を捨てろ」

未だ砲撃の音が轟く中で、その声は胸の中に簡単に溶けていった。

「我が貴様の心を貰ってやる。返して欲しい時だけ、我が居城に来るが良いさ」

言いたい放題である。
そんな事、いきなり言われて実践出来る訳がない。
だが、

「ふふ……。戦艦大和、推して参ります!」

自然と笑みが零れた。
戦況は未だ劣勢なれど、砲門が無事ならやりようはある。

漸く本当の自分というのに出会えた気がした。

ーーーーーーーーーーーー

「「「「ごちそうさまでした」」」」

「хорошо」

「べ、別にそんなつもりじゃ……!」

「どう聞いてもノロケにしか聞こえないって。ねえ、翔鶴姉?」

「そうね、瑞鶴」

「笑顔が少し怖いですよ、翔鶴さん」

「いえいえ。私より後に着任したのに、いつの間にか大和さんに練度が抜かされているという謎が判明したので、機嫌は良いですよ?」

「言葉の端々が刺々しい!」

「人の心、失ったっぽい?」

「失うと困ります……」

「戦艦になったら提督も振り向いてくれるかな?」

「て、提督は渡しません!」

「「「「ごちそうさまでした」」」」

「хорошо」

「も、もうっ! からかうのはやめてください!」

この後、事情を説明して提督に慰めてもらった。

推敲はしてないんだ。誤字脱字あったらすまない

漸く折り返し地点。後は、榛名朝潮利根筑摩五月雨ゆーちゃん
多分、思い付いた順に適当に。ゆーちゃんが一番簡単かなあ……分かんないけど

のんびりお待ちくだしあー

「うあぁぁぁぁっ!」

大気を震わす雄叫びと共に砲身を構えて放つ。
だが、

「わっ! わわっ!」

勢いが空回ったか、全力滑走中に攻撃体勢に無理矢理移行したせいで、バランスを崩した。

「っと! あっ、へぶぅっ!」

顔面から盛大にこける。
幾ら水面とは言え、叩きつけられればとても痛い。

「だ、大丈夫ですか!?」

指導役を頼んでいた神通さんが駆け寄ってくる。
これで何度目だろうか。

「えへへ……またやってしまいました」

バツが悪くて私は苦笑を浮かべる。
水を思いっきり被ったせいで、身体は余すところなくびしょ濡れ。

「……まだやりますか?」

そんな出来の悪い私。自分でも呆れてしまう。
でも、神通さんの瞳は純粋に私の身を案じるだけ。それが眩しく見えて。

「今日はこの辺に……。付き合ってくれて有り難うございました」

私は逃げるように視線を逸らした。

「いえいえ。いつでも声を掛けてくださいね」

その好意が嬉しくもあり、苦しくもあった。





「はあ……」

漏れる溜め息。
練度が高くなれば、きっと失敗やドジもなくなるだろうと思って訓練をしてきたが、いつまでも変わらない結果にさすがに自信をなくしてしまう。

「向いてないのかな、やっぱり」

「何が?」

心臓が止まるかと思った。

「て、提督!?」

「や。五月雨も朝風呂?」

「は、はい」

「やっぱりお風呂はいいよねー。暖かいし広いし気持ち良いし」

「そ、そうですね」

訓練をしていた為に早朝。
まさかそんな時間に自分以外のドック使用者が居ると思わず、言葉の端々に焦りが滲む。

「……どうかした?」

そんなあからさまな態度を提督は見逃さない。
放っておいて欲しかった。

「言いたくないなら言わなくても良いけど」

ちゃんと逃げ道を用意してくれる優しさ。
今はそれに甘えていたかった。

「あ、そうそう」

膝を抱えてお湯の中に顔半分沈めていると、湯船に足だけ浸かった提督が唐突に言った。

「次の出撃メンバーに五月雨入ってるから。宜しくね」

「……え?」

言葉の意味がよく分からなかった。

「榛名を旗艦に、利根と筑摩、朝潮と加賀、それに五月雨。この六人で行こうかなって」

出撃メンバーの名前を聞いて戦慄する。
自分が浮いている気がしてならない。

「わ、私……!」

「自信がない?」

「っ……!」

またも心が見透かされる。
こうなる事が分かっていて、提督は何故艦隊のメンバーに私を加えるのか。

「それはどうして?」

「わ、私……他の人よりドジだし……きっと皆に迷惑掛けちゃいます」

「だから?」

「だから……私じゃなくてもっと相応しい人が居ると……思います……」

「そっか」

「はい」

沈黙。浴場には提督がお湯を蹴る水音だけが響く。
少し気まずくなって、そろそろ立ち去ろうかと考えた辺りで、提督が口を開いた。

「でももう決めちゃったしなー。五月雨以外にも伝えちゃったから、今更変更手続きするのもなー。大淀に迷惑掛かっちゃうなー」

「ふぇっ!?」

「榛名達も急なメンバー変更に戸惑うだろうなー。朝潮も久々に五月雨と組めて嬉しいとか言ってたけど、悲しむだろうなー」

「ず、ズルいですよ、提督! あっ!?」

「五月雨!」

逃げ道が塞がれていく。
慌てて提督を止めようとして立ち上がり、思いっきり足を滑らせた。
一瞬の浮遊感の後、盛大な水飛沫。

「っぅ……」

「あ、あわわわわ、提督! お怪我はありませんか!?」

庇われた。
提督に抱き締められている格好ではあるが、そんな事を気にしている余裕はない。

「大丈夫」

安堵の息が漏れる。

「五月雨がドジをしても、誰かがこうやって助けてくれる。だから、失敗する事を恐れて、前に進むのを諦めないで」

「っ……」

「五月雨が努力している事は皆知ってる。五月雨が頑張っている事を皆知ってる。だから、大丈夫」

温もりが伝わる。
恐る恐る提督の身体を抱き締め返すと、自分の背中に回る腕の力が増した。

「積み重ねた努力は五月雨を裏切らない。時には立ち止まるのも良いけど、すぐに前を向いて歩き出す様な、そんな五月雨を私は信じてるから」

髪から滴る水滴に混じって、暖かな雫が提督の胸に零れ落ちた。

出撃任務は無事に遂行しました。まる

予告は守られない
順不同でも投稿する事が大切なんですよ、多分

イベント始まるまでに残り四人を書きたい。……無理かな
まあ、ゆるりと。それでは、また次回までゆっくりしていってね

「なんででちか」

「? どうしたの、でっち?」

「なんででちか」

「……なんで怒ってるの?」

「なんででちかあぁぁぁぁっ!」

「Admiral、でっちが壊れた」

「せっかくの休暇なのに、幸先良くないね」

「その! せっかくの! 休暇に! なんで! 海に! 来てるの!」

「ゆーちゃんが日本の海で泳ぎたいって言うから」

「いつも泳いでるでちよおぉぉぉぉっ!」

「我が儘聞いてくれて、有り難う」

「ゆーちゃんの頼みとあらば」

「……danke」

「このバカップル、お話にならないよぅ……」

「じゃあ、ゴーヤは泳がないのね? お留守番宜しくなの!」

「イクに続けー! きゅーそくせんこー!」

「ま、待って! 浮き輪をまだ膨らませてる途中だから!」

「水の中でも読める本が欲しいですね」

「……ゴーヤがおかしいんでちか?」

「まあまあ。ゴーヤも今日は羽目を外しても良いから。楽しみなよ」

「……はあ。仕方ないでち」

「Admiral、ゆーも浮き輪を使ってみたい」

「イムヤから奪おうか」

「やめて!」

「むふふー。浮き輪なんて邪道なのね!」

「……ところで、まるゆはどうしたんですか?」

「単身でオリョクルしてる」

「「「「…………」」」」

「ん?」

「……お土産沢山買ってあげよう」

「……そうね」

「……鬼畜が居るでち」

「大丈夫大丈夫。……多分」

「今更気にしても仕方ないのね」

「まるゆの分まで遊びましょう」

「……うん。楽しむ」





「ふぅ……」

「お疲れさま、Admiral」

伊号潜水艦の子達に散々に振り回された後、パラソルを立てた場所に戻ってきて漸く小休止。

「一度スイッチが入ると、駆逐艦の子並に元気だからねえ、皆」

「大変、だったね……」

「日焼け止めを塗ってくれと言われた時はちょっと焦ったよ」

女同士ではあるけども。
無防備な背中を晒されるのは、少しばかり心臓に悪い。
それが、伊19や伊58の些細なからかいであると理解はしているのだが。

「……むぅ」

「どうかした?」

苦笑気味に語るとU511が膨れた。

「やっぱり、でっちやはっちゃんみたいなおっぱいが大きい子の方が好きなの……?」

「ぶふぅっ!」

噎せた。

「ゆーはつるぺただから」

「イクー! ちょっとこっちに来てー!」

「はーい? 提督、休憩はもう良いのね?」

何も疑わずに傍まで近付いた伊19の肩を掴む。

「……ゆーちゃんに何を吹き込んだ?」

「……知らないのね」

目が泳いでいる時点で、その言い分は通用しない。

「今言えば怒らないから」

「既に目が笑ってないの」

「そこの岩場まで付き合ってくれる?」

「やーん。イク、秘密のお仕置きされちゃうのー!」

「……Admiral?」

伊19の冗談を真に受けたか、U511の声色が冷ややかになった。


「……はあ。もう行って良いよ」

「むふふ。提督は何をしても怒らないから好きなのね!」

「はいはい」

仕方なしに伊19を解放してやると、彼女は楽しそうに笑う。
そして、そのまま跳ねる様に駆けていった。

「Admiral」

水着の上から着ていたTシャツの裾が引かれる。

「イクの言う事は気にしなくてーーんんっ!?」

控えめな主張をする少女に小さな笑み浮かべて振り向くと、視界一杯に広がる白色。
同時に唇に柔らかな感触。

「んっ……。私と、Admiralだけの……挨拶。まだ、してなかったから」

時間にして一瞬の交わり。
だが、海の潮騒が確かに遠退いた。

「べ、別に後で幾らでも……」

「今じゃなきゃ、ダメ……だったから」

指差す後方。
その言葉に振り返ると十の視線に貫かれた。
喧騒が徐々に戻ってくる。

「Admiralは誰にも渡さないからね」

可憐に微笑んだ少女の言葉は、とてもよく響いた。

とある安価スレを思い付くも時間の関係上諦めの境地である
何をするにしても終わらせてからですけども

残り三組。ゆるりとお付きあいくだされば

「水偵の皆、着弾観測宜しくね?」

砲撃音が水平線に響いた。

「この時の為に、カタパルトは整備しておいたのじゃ!」

上がる水柱を横目に、その身に爆弾を抱える瑞雲を空へと射出する。

「副砲仰角最大! 対空射撃、撃ち方始め!」

水偵からの弾着報告。主砲は誤差修正中で対空には回せない。
ならばと積んである高角砲が火を噴く。飛来してきた瑞雲は、激しい対空射撃を越えられず、爆撃を諦めて帰還していく。

「……ふっ。今日は一段と気合いが入っているようじゃの!」

「当然です! 昨日は不覚を取りましたが、二日連続とはいきません!」

お互いに向き合って主砲を撃ち合う。
弾は演習弾ではあるが、兵装が20.3㎝連装砲の時点で当たればそこそこに痛い。

「「水偵!」」

二人して叫ぶ。
お互いの弾はまたも外れた。
そも、動き回る人型に砲を当てるのは難しい。
故に初弾命中なんて事例は演習では殆どなく。
それを可能にするのは、経験と運に因るところが大きい。

「むぅ、瑞雲をもう一度飛ばせれば!」

「それはお互い様ですよ、姉さん!」

攻撃を避けながらでは、艦載機の安定した射出は出来ない。
相互距離が近付いた今なら、空と海からの同時攻撃への対処は中々に難しいだろう。
二人はカタパルトに載る瑞雲を放つ機会を虎視眈々と狙う。

そして、その時は来る。

「きゃっ!」

弾着観測により、筑摩に命中弾。
すんでの所で回避運動をとったが間に合わず、装甲に黄色のペイントが付着した。
小破。戦闘能力への支障はない。だが、無理な回避でバランスを崩したのが致命的だった。

「今じゃ!」

利根のカタパルトから再び瑞雲が飛ぶ。

「この勝負、もらったぁっ!」

彼我の距離は近く、既に直上へと駆ける瑞雲に対空射撃は難しい。
同時に再びの誤差修正を経て、利根の主砲が筑摩に照準を合わせる。

絶体絶命。

脳裏にそんな言葉が宿る。

「っ……まだっ!」

だが、諦めない。
諦めたくない。
もう眺めているだけは嫌なのだ。
二回も同じ苦痛を味わうのは御免である。

「飛んで、瑞雲」

カタパルトから瑞雲が飛ぶ。上ではなく真っ直ぐに。
そも、直上に飛ばすには姿勢も悪いし勢いも足りない。
だが、一縷の望みがあるならそれを掴むしかない。

「提督の背中を流すのは、私なんですからぁっ!」

理由が理由でなければ、それはとてもよく映えた気がした。





「うむむ。まさか反跳爆撃とはのう……」

湯船に浸かりつつ縁の上で両腕を組み、更にその上に顎を乗せた利根がぼやく。

「あはは。いつまで言ってるのさ」

「悔しいものは悔しいんじゃ! 我輩が思い浮かばなかった攻撃方法で破れてしまったのが特にな!」

「動機は不純だけど、二人の練度が向上している様で何よりだよ。お見事だったね、筑摩」

「……偶々ですよ。でも、有り難うございます」

急に話題を振られるも筑摩の声色は平常と変わらない。
だが、提督の背中を洗う手に一瞬だけ力が籠った。

「次は負けんからな!」

「姉さんと言えど、次も譲りません」

筑摩の小さな変化。姉である利根と付き合いの長い提督はそれを見逃さない。
自分と違い、何事も数歩後ろから眺める様な筑摩にも熱くなれる物が出来た。
それが利根にはとても嬉しく感じた。

「力加減は如何ですか、提督」

「うん。気持ち良いよ」

「今日は前もしましょうか?」

「ちょ」

「待たんか」

幾ら喜ばしい変化とは言え、それは看過出来ない。
利根は浴槽から立ち上がる。

「あら、姉さん。何か?」

「我輩達は、あくまでも背中を流す権利を賭けて争ってた筈よな?」

「ええ。ですが、前を洗ってはいけないなんて事を言ってもないですよ?」

「うわあ、超理論だあ」

提督の苦笑染みた言葉を聞き流す。

「……第二ラウンドといくか?」

「望むところですよ」

「……あれ? 私の意志は?」

不敵に笑う二人。
だが、浴場で艤装を持ち出す訳にはいかず、結局ジャンケンでけりをつけた。

ゆーちゃんが二周年ボイスでAdmiral呼びしてた事に感激しました。那珂ちゃんのファンになります

イベント前ギリギリ滑り込み。残り二人。次は誰か……というより、トリが誰になるのかは多分もうバレていると思いますが、お付き合いください
この回は最後まで健全だよ!(エロ書く気力も時間もない)

「提督。夜は暇かしら?」

「提督、お腹は空いてませんか?」

鎮守府で建造され、明石の導くままに執務室に連れて来られた彼女はその光景を前に絶句する。

「フッ。今宵は月が綺麗な夜でな。こう言う日は血が騒ぐんだ」

「……また徹夜ですか」

「身体を壊しますよ?」

「我を誰と心得る。要らぬ心配よ」

提督とおぼしき人物と二人の艦娘。秘書艦という役割を知ってはいたが、朝潮の目には彼女達は仕事を手伝っている様には映らない。
事実、加賀と榛名は何も書類仕事をしておらず、提督の隣に控えているだけである。

真面目な朝潮にとって、それは提督の邪魔をしている様にしか見えず。

「客人か。悪いが手を離せそうにない。加賀、榛名。彼女の面倒を頼む」

こちらに気付いた提督は一瞥をくれただけ。
すぐに手元の書類にかじりつく。

「はいっ」

「……駆逐艦、ね。貴女、名前は?」

「……朝潮型一番艦、朝潮です」

憮然とした態度。だが、二人は気にした様子もない。

「わぁっ! 朝潮型は初めて見ましたけど、こんなに可愛いんですね! 申し遅れましたが、私は金剛型三番艦の榛名です!」

「加賀よ。一航戦所属ね」

「……宜しくお願いします」

まだ初日。
右も左も分からない。
幾ら実直とは言え、この鎮守府ではこれが普通なのかもしれない。
そも、提督のキャラも意味不明。
もう少し様子を見る必要がありそうだった。





「それで? 何か用かしら?」

「単刀直入に言います。私に秘書艦をやらせてください」

暫く経ってから二人を呼び出して、そう告げた。
数日程、提督と秘書艦の仕事ぶりを見ていたが、いつも仕事をしているのは提督だけだった。

「……? 何故、私達に言うんですか? 提督に直接言えばやらせて貰えると思いますが」

少しだけ言葉に詰まった。

「榛名。私達はあの提督に慣れているけど、この子はまだ新参よ」

「あっ……」

何かを察した表情の榛名を傍目に加賀は一瞬悩む素振りを見せる。

「そうね。私は変わっても良いけれど」

「本当ですか?」

「断る理由も見当たらないもの」

「私も大丈夫です。提督には私達から伝えておきますね」

「お願いします!」

こうして朝潮は秘書艦になった。
そして知った。秘書艦は何も提督の仕事を手伝うだけが仕事ではないのだと。

ーーーーーーーーーーーー

「懐かしい話だ」

「ええ。ですが、とても大切な思い出です」

縁側に座りながら楽しげに笑う。

「あの二人は手伝わなかったのではなく、手伝えなかっただけと知ったのは初日でした」

「提督が目を通さなければいけない物しかなかったからな。それに」

「艦娘のやるべき仕事は陸地にはない、でしょう?」

「……そうだな」

朝潮に先を越され、小さく頬を掻く。
さすがにあの頃は若さのまま発言していたと理解している。だから、改めて言われると中々に恥ずかしい。

「変わりませんよね、司令は」

「そう言う朝潮は変わったよな」

「……そうですか?」

「ああ。真面目一辺倒すぎて、口を開けば仕事仕事と」

指摘をすれば朝潮の頬に朱色が混じった。

「それは最初だけですっ!」

「……そうだったか? そうだったかもな」

「はい。司令は私が言わなくても十分に出来る人でしたので」

それを知ったからこそ、憧れて真似をしてみたりしたんですが。と胸中で呟く。

「その割りに敬意とか全く感じなかったんだが」

「それは……その……」

ただの照れ隠し。偶々会った提督に散々に憎まれ口を叩いた後、自分の部屋のベッドに戻っては後悔やら恥ずかしさやらでジタバタしたものだ。
同室の荒潮はそんな朝潮を見て、いつもニヤニヤしていた。

「まあ、良いんだが。今が幸せなら、それで」

肩に回る腕。自然と頭が提督の肩に乗る。

「はい。私は幸せですよ、司令」

穏やかな空気。暖かな日差し。
それらに身を任せる様に朝潮は目を閉じた。

高波が出ないんですよ(挨拶)
イベントはまだまだ続くのでのんびりやっていきましょう。まだ磯風掘りとかいう地獄が待ってるし

予想出来てたかもですが、トリは榛名です。長かった物語も次で終わりです。本当にありがとうございました
それでは、また次回

金剛型の四人で歩いていると偶々廊下を歩む提督を見つけた。

「提督。今日のお昼は何が食べたいですか?」

丁度良いと駆け寄る榛名。彼女に振り向いた提督は少し悩む素振りを見せる。

「んー……。オムライス?」

「分かりました! 榛名、頑張って作りますね!」

「お願い。あ、それと」

「ふふっ。分かってますよ、提督。ケチャップライスにデミグラスソース、ですよね?」

「分かっちゃう?」

思考を読まれ、照れ臭さから頬を掻く。
しかし、榛名はどこか申し訳なさそうに眉根を下げた。

「ええ。ですが、提督」

「ああ、うん。市販の奴で良いよ」

以心伝心。皆まで言わずとも提督には伝わる。

「すみません。拘りたいのは山々なんですが」

「良いの良いの。あくまでもメインはオムライスなんだから」

「ありがとうございます」

「ん。じゃあ、楽しみにしてるね」

「はいっ!」

笑顔浮かべて提督を見送り振り返ると、三人の苦笑に迎えられた。

「な、なんでしょうか……?」

「いやー、やり取りが夫婦だなあって」

「そ、そうですか?」

「女性同士なので厳密に言えば夫婦ではないですけどね」

「もう。霧島ってば細かい事は気にしないの!」

「比叡お姉様が大雑把すぎるんです!」

「いっその事、本当にケッコンしたら良いと思いマース!」

金剛を除いた三人の時間が一瞬止まった。

「Why?」

そんな三人の様子に首を傾げると、いち早く我に返った比叡が焦った様に言う。

「い、良いんですか、お姉様!?」

「良いも何も、提督と榛名の間に入る余地が見当たらないネ。人のromanceを邪魔する奴は、馬にkickされてgo to hellヨ!」

「お姉様がそう言うなら……」

「良かったわね、榛名。金剛お姉様公認よ」

若干のからかい含む笑み浮かべながら、霧島が祝福する。

「Yes! 提督にburningなlovecallをしてくるネ!」

「わ、分かりました! 榛名、精一杯頑張ります!」

勢いのまま三人に送り出された榛名は、提督を小走りで追い掛けるのであった。





しかし、勢いというのは長くは続かない。

「……どうしたの?」

提督に追い付きはしたものの、小首傾げられてしまえば、二の句が告げなくなった。

「榛名?」

そんな榛名の様子に、怪訝そうに一歩近付く提督。
先程の会話のせいで、変に意識してしまったからだろう。たったそれだけの事で身体が熱を帯びる。
このまま無造作に近付かれるのはとてつもなく不味かった。

「はいっ! 榛名は大丈夫ですっ!」

何か言わなければと焦った結果、口癖が漏れる。

「……大丈夫じゃなさそうだね」

「い、いえ! 本当に大丈夫ですので! それでは、榛名は昼御飯の用意をしますね!」

提督の表情が真剣な物に変わった。
余計な心配をさせてしまった事に罪悪感が芽生え、その場から逃げ出す為の口実を。
だが、

「待って」

行動に移す直前で腕を掴まれた。

「な、ななななんでしょうかっ!?」

思いの外、動揺する。
おそらく頬まで真っ赤な気がするが、自分では確認のしようもない。

「ちょっと付き合って欲しい事があるんだ」

榛名の気持ちを知ってか知らずか、神妙な面持ちのまま提督はそう告げた。





「あの……」

「ん?」

場所は執務室。
榛名の視線は上向き。視線の先には提督の顔、頭の下には柔らかな感触。

「どうして榛名は膝枕をされているのでしょう?」

「最近、榛名に頼ってばかりで労ってなかったから……かな?」

「お仕事の方は」

「……細かい事は良いじゃない」

露骨に視線を逸らされた。

「提督、気持ちは嬉しいんですが……」

自分を労る事で、後々提督が無理をする。さすがに看過出来なかった。

「良いの良いの。……それとも、榛名は私の膝枕がご不満?」

起き上がろうとしたら頭をやんわりと押さえられた。
そして、提督はそのまま榛名の前髪を弄ぶ。

「そう言う訳では……」

「なら、暫くこのままで、ね?」

「ですが……私から提督にお返し出来るような事が何も……」

「そう? 十分、頑張っている様に思えるけど」

小さな笑みを浮かべる提督。
チャンスな気がした。

「いえ、まだまだ足りません。ですので、もっと提督のお傍に、おいて、くだ……さい……」

千載一遇と勢いのまま言い出したものの、途中から完全に尻すぼみ。

「具体的には?」

しかし、ちゃんと届いてはいたのだろう。提督からの追い打ちが飛んできた。
予想だにしていなかった追い打ちが。

「……え?」

一瞬、頭の中が真っ白になる。

「秘書艦にする頻度を増やすとか、そう言う事じゃないんでしょ?」

見透かされていた。
気恥ずかしさやら何やらで頬が朱色に染まっていくのを感じる。
だが、好機でもあった。

「提督」

お膳立ては既にされている。
後は繋げるだけ。

「何かな?」

視線を合わせる。
頬に片手伸ばした。

「私と」

言いながら頭を持ち上げる。

「結婚してください」

「ーー喜んで」

二人の距離が零になった。

くぅ疲

純愛のエンディングって考えるのが難しいよね。そんな訳で、これにて終了でございます
お付き合いありがとうございました!

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