侍「バレンタイン?」 (30)

侍「チョコを無理矢理渡してホワイトデーに見返りを求める事でござろう?」

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町娘「だいたいあってる」

侍「なら拙者も誰かにチョコを無理矢理渡すでござるよ」

町娘「手作りの方が喜ばれますよ」

侍「ならそうするでござるよ」

侍「で、今からチョコを手作りするでござるよ」

侍「調理アシスタントは犬でござるよ、おろ~」

犬「わんわん」

侍「ちょっと不衛生でござるが、それが江戸スタイル」

犬「わん」

侍「まずはチョコを細かく砕くでござる。犬、細かく噛み砕くでござるよ」

犬「わん、がぶがぶ」

ボロボロ

侍「おろ~、チョコがあっという間に細かく。これをボウルに入れ、湯せんでござる」

侍「全ては愛のターメリック。という訳で隠し味にターメリックを入れてみるでござるよ」

ファサー

侍「なんかノリでオリーブオイルも入れちゃえでござる」

モコミチー

侍「おっ、なんだか美味そうになってきたでござるな」

犬(そうか?)

侍「ではこれを容器に入れ、冷蔵庫で冷やすでござる」

侍「冷やしている間は暇なのでパズドラでもしているでござるよ」

犬「じゃあ僕は懐かしのラブプラスでもやるわん」

犬「寧々さん!寧々さん!寧々さん!寧々さぁぁぁあああああああああああああああああああああああああん!!!あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!寧々さん寧々さん寧々さん寧々さんぅううぁわぁああああ!!!あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん」

侍「チッ、うっせーぞこの犬っころ。ぶちころがすでござるぞファッキン!」

犬「キャイン」

侍「ゆっくりパズドラもできやしねーでござるよ」

侍「まぁいいや。そろそろチョコが固まった頃でござろう」

カタカタ

侍「かちこちでござるよ」

犬「で、次は何をするわん」

侍「飾り付けでござろうな。食紅でどぎつく着色したクリームでデコるDETH!」

犬「しょうもないドライフルーツとかもどうでしょうか」

侍「悪くないでござる」

侍「おらおら、赤と緑のクリームまみれにしてやるァァァ」

犬「私はドライマンゴーを散りばめて!」

侍「ところでマンゴー好き?」

犬「嫌い」

侍「なんにでもマンゴー入れる風潮、嫌い」

犬「同感。やるならバナナにしろや」

侍「とか言ってるうちに完成でござる」

犬「…ん?ちょとまてちょとまてお兄さん」

侍「あ?」

犬「見るからにまずそうですよコレ」

侍「たしかに」

犬「そもそもコレ誰に送るつもりなんですか」

侍「…」

犬「…なぜ私を見つめるのですか」

侍「犬って甘いもの好きでござるよな?」

犬「わん」

侍「…そういう事でごさるよ///」

犬「いやいや…そもそも私オスですしおすぎ」

侍「…つまりそういう事でごさるよ」

犬「侍さんは、男好きなの?」

侍「まぁ、穴があったらなんでもいいでござるがな」

犬「レンコンでも?一生愛せる?」

侍「無論、死ぬまで」

ポイッ

犬「じゃあ、このレンコンを愛してみなさいよ…愛してみなさいよ!!」

侍「お、おろ~。まさかレンコンを所持していたとは」

犬「口だけの男なんて星の数ほど見てきたわ。あなたは違うんっしょ?」

侍「も、もちのろんでござる…よーし、やるぞぉ」

ヒョイ

侍「おろ~、レンコンには複数の穴があってどこから挿れたらいいでござるか」

侍「どの穴も魅力的で選べないでござるよな?」

犬「私に訊くなよ」

侍「でも、だって」

犬「なら、選ばざるをえないようにしてやろう」

パチンッ←指を鳴らした

犬「さぁ、ここに6つの新たなレンコンを用意した。なんだか分かるかな?」

子レンコンA「いや…」

子レンコンB「おうちにかえりたい」

侍「ま、まさかその小さなレンコンたちは!」

犬「そのでかいレンコンの子供たちさ。ちょうど穴の数と同じだけ子供がいる、そこでだ」

犬「お前はでかいレンコンの穴を一つ選び、挿れろ。」

侍「だ、だから選べないでござr…」

犬「選ばなければ、子レンコンを全て酢レンコンにする」

侍「なっ…!?」

犬「でかいレンコンの穴をそれぞれ右回りにA~Fと割り当てる。各々に子レンコンが対応しているってぇ寸法さ」

侍「そ、それで…」

犬「とっくにご存知なんだろ?」

侍「…」

ゴクリ

犬「お前が挿れた穴に対応している子レンコンは、助けてやる」

侍「挿れなかった穴の子レンコンたちは…?」

犬「…」

クイッ

犬「酢レンコンだ」

子レンコンC「やだよー、酢レンコンやだ!」

子レンコンD「帰りたいよー!」

子レンコンE「南無」

子レンコンF「パパママー!」

侍「くっ、この腐れ外道めが!」

犬「だってよ、アーサーなんだぜ?」

侍「誰でござるか」

犬「さぁさぁ早く。こっちは酢と調味料の用意はできてるんだぜ」

タラリ ポタッ

子レンコンA「う、うわぁ!」

子レンコンB「酢が!酢が!酢が!」

子レンコンC・D「ぎいやぁぁぁ!」

侍「や、やめろでござる!後生で…後生でござるよォ…」

クウッ

侍「拙者は…どうすれば」

レンコン「…若いのや」

侍「れ、レンコン…」

レンコン「すまないね、私の子供たちのせいで」

侍「何を言うでござるか…拙者は…拙者は!」

レンコン「私たちは君を恨まない。好きな穴に挿れたまえ。さぁ…さあ、やれぇぇぇぇぇ!」

侍「うっ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁう゛ぇっえっえっぅぃぃぃぃ!」

ズプヌ

レンコン「はっ、ハウルの動くし…」

ロォォォォォォォォ…

その時奇跡が起きた。
侍のソレは光の矢となり
レンコンの穴という穴を這い
まるで龍のように突き抜けた。

犬「あ、天翔龍閃…」

子レンコンA(るろ剣ファンに怒られるわ)

だが
それがいけなかった―――

レンコン「ひ、ひぎぃらっ」

ブチィ

子レンコンC「ま、ママ!」

侍のソレは光速を超え
周辺に超振動波を発生させ
レンコンをいとも容易く切り裂いた。

侍「と、止まらない…!」

グオン グオン

ブチィ ブチィ

レンコン「ぐふっ…」

侍「と、まれぇぇぇ!」

フシュゥゥゥ

侍「くっ、やっと収まったでござ…」

レンコン「ぐふっ…」

侍「レンーーコン!」

レンコン「こ、これでいいのさ。君は全ての穴に挿れたんだ。私の子供たちも助かる」

侍「でも、でもよォォォ!」

レンコン「しっかりおし。君は侍なんだろう」

侍「…」

レンコン「侍なら、しゃんとしていなさ…い…」

侍「れ、レンコ…」

レンコン「ぐふっ…」

侍「…犬ぅぅぅぅぅ!」

犬「ははっ、怒っているのかい?」

侍「早く酢をよこすでござるゥゥゥ!」

犬「ファッ!?」

侍「調理器具!そのほか調味料!早く持ってクルでござるよ!」

犬「わん」

そうしてなんやかんやで

大量の酢レンコンが完成した。

侍「パリッ!パリッ!」

ムシャムシャ

犬「ツーン!」

ムシャムシャ

子レンコンたち「いけるやん!」

ムシャムシャ

皆、涙しながら
酢レンコンを食べたのだった。
酸っぱくて、しょっぱくて
そんなちょっと悲しい
酢レンコンの お話…

おしまい

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