【咲】煌「優希に差し入れのお礼をしなければ」 (45)


煌「ごめん下さい」

京太郎「はい? どちら様で?」

煌「はい、私、花田煌と申します。こちらの部の片岡優希さんと原村和の中学の先輩後輩の間柄になります」

京太郎「ああ、例の。あのタコス狂いがタコスを差し入れした人ですか」

煌「とても美味しかったですよ。本日は、そのお礼に伺いました」

京太郎「いいですよそんなの。作り置きしないとあいつがうるさいから作ってただけなんで」

煌「へ?」

京太郎「優希の奴だってお世話になったお礼だって言ってたし、わざわざお礼なんてしなくても……」

煌「あの、つかぬことをお伺いしますが…」

京太郎「はい?」

煌「あのタコスは、お店で買ったものではないのですか?」

京太郎「いえ、多分俺が作ったタコスだと思いますけど……わざわざ買うとも思えませんし」

煌「すばら!!」

京太郎「!?」

煌「あのタコスを作れるとは、料理がお上手なのですね、とてもすばらです!」

京太郎「あ、いえ、タコスだけですよ。他の料理は人並みで……」


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優希「おーい、犬ー! タコスがあと10個しかないじょー!」

京太郎「あと10個もあれば十分だろ」

優希「私の体はタコスで出来ている、それを維持するためには大量のタコスが必要なんだじょ!」

京太郎「そのちんちくりんな体を維持するのに必要な量なんかたかが知れてるだろうが」

優希「なにをー!!」

煌「優希、人を犬呼ばわりするのは感心しませんね」

優希「む、何者だ!? って、花田先輩!?」

煌「はい、私です」

京太郎「ああ、いつものことなんで別にいいですって」

煌「ダメです、親しき仲にも礼儀あり。犬と呼ばれてうれしいわけではないでしょう?」

京太郎「まあ、普通に呼ばれるならその方がいいですね」

煌「なら、優希は謝るべきです」

優希「はい…だじょ」

煌「優希」

優希「きょーたろー、ごめん」

京太郎「ん、気にしてないから大丈夫だ」ポンポン

煌「一件落着ですね」


優希「って、問題はそこじゃないじょ! なんで花田先輩がここに居るんだ京太郎!」

京太郎「お前が差し入れたタコスのお礼だってさ」

煌「はい、とても美味しかったですよ、優希」

優希「あ、う、うん」

和「騒がしいですね……花田先輩!?」

京太郎「昨日の差し入れのお礼らしい」

和「そんな、わざわざ来ていただかなくても……とにかく上がってください」

煌「では、お言葉に甘えまして」


京太郎「お茶とアイスティーどっちがいいですか……って、アイスティーしかなかった」

咲「あ、ごめん、お茶飲んじゃった」

京太郎「わかった、後で買っておく」

咲「ありがと」

煌「須賀さんは、マネージャーか何かですか?」

京太郎「はは、麻雀はてんで弱いんで、俺が出来る事って言ったらみんなのサポートぐらいなんですよ。だから、自然にこんな感じになってますね」

和「とても助かっていますよ」

煌「進んで人のために働くその精神はとてもすばらです。ですが、自分を卑下してはいけません」

京太郎「……はい?」

煌「皆のサポートで役に立てるのは事実でしょう。けど、麻雀の方も諦めてはいけません。弱い私でも、麻雀で皆さんの役に立てることもあるのですから」

優希「花田先輩は、飛ばない能力を買われて抜擢されたんだじょ?」

煌「ええ、決して実力を買われたわけではないですが、たとえ弱くても、麻雀で誰かの役に立てるということが分かってとても嬉しく思いました」

京太郎「…弱いんですか?」

煌「はい、私は、とても……」

京太郎「嘘ですね。弱い人は、宮永照や園城寺怜相手に飛ばずに帰って来るなんてできませんし、宮永照の連荘を止められません」

煌「飛ばないのは、能力です。連荘を止めたのは、園城寺さんの差し込みです」

京太郎「能力は、実力です。差し込むためには、聴牌しなきゃいけないんです」

煌「……あ」

京太郎「花田さんは、強いですよ。俺は、準決勝を見ていてそう思いました」

煌「あ、ありがとう、ございます……」


花田先輩にフラグが立ちましたが、諸事情によりここからのストーリーを省略します


インハイ決勝戦に絡んでフラグを強化したり

哩さんや咲さん・原村さんの個人戦のために東京に残っている間に交流したり

インハイが終わってから部長が引退したり

部員不足で春季大会出れなかったり

新道寺に煌だけ残って両親が長野に転勤するところを色々あって煌も長野について来たり

それを決める時に最後の決め手になったのが京太郎の一言だったり

といったストーリーが展開される予定でしたが、染谷先輩がいないときに限って現れる謎のワカメによってごっそり省略されました。


というわけで、季節は3月あたりに飛びます。


煌「部長が居ないとさびしくなりますね」

まこ「おいおい、部長はあんたじゃろ?」

咲「結局、染谷先輩から押し付けられて花田さんが部長になったんですよね」

まこ「わしは家の手伝いがあって毎日部活に出るってわけにもいかんからの。花田の方が適任じゃ」

和「部長という立場の方が、須賀君を使いやすいでしょうしね」

優希「だじぇ!」

煌「だ、だから、私と京太郎君はそういう関係ではないと何度言えば……!」

咲「はいはい、いい加減素直にならないと、京ちゃんが和ちゃん辺りに浮気しますよ?」

煌「なっ!? 和!!」

和「事実無根です」

バタン

京太郎「遅れましたー、先生から麻雀部関係の書類渡されちゃって……煌さん、これお願いします」

煌「すばっ!?」

京太郎「すば?」

煌「い、いえ、ナンデモアリマセン。確かに受け取りましたよ、ええ、受け取りました」

京太郎「煌さん、どうしたんだ?」

咲「京ちゃんは鈍感だねって話をしてたんだよ」

京太郎「ああ……煌さんは俺を庇ってて、俺が皆の言ってた陰口を聞いてないか心配ってところか?」

咲「……これは手の施しようがないほどの鈍感だね」

京太郎「大丈夫ですよー、鈍感とかしょっちゅう言われて慣れてるんでー!」

煌「すすすす、すばっ!?」

和「…頭が痛いですね」

優希「全くだじぇ…」


咲「じゃあ、私たち先に帰るね京ちゃん」

和「お先に失礼します」

優希「ちゃんと花田先輩を送っていくんだじぇ?」

京太郎「おう、また明日な」

バタン

煌「京太郎君も、優希たちと一緒に帰ってもいいんですよ?」

京太郎「いいんですよ、俺が好きで残ってるんですから」

煌「そうですか?ならいいのですが……」

京太郎「次期部長は和でしょうけど、エースでもありますから、事務仕事は覚えて損しませんし」


?(そういう建前はいいからもっとストレートに恋心をぶつけるべきだと思うよ?)

京太郎(誰だよ、脳内に直接語りかけんな)


煌「あ…………そうですよね、こういった作業を覚えて、和の負担を減らしてあげないといけませんからね」

京太郎「ええ、あいつ、ほっとくと一人で抱え込むんで」

煌(……そうですよね、京太郎君が好きなのは、和ですよね……勘違いしてはいけません。私は、ただの、仲の良い先輩、なんですから)


煌「京太郎君、明日は事務作業がないので、和たちと帰っても構いませんよ?」

京太郎「いきなり明日の話ですか。ん~…でも、煌さんを送って行きますよ。あいつらは三人居るけど、煌さんは一人ですし」

煌「そういう無駄な気遣いはいいんです。後輩なんだから、先輩の気遣いに甘えなさい」

京太郎「いや、そりゃ、邪魔だっていうなら無理について行ったりはしませんけど……」

煌「私が来る前は四人で下校していたと、竹井さんから聞きましたよ」

京太郎「部長もまた余計なことを……」

煌「京太郎君は部内で重要な立場なんですから、ちゃんと同級生と親交を深めて下さい。これは部長命令です」


京太郎「…分かりました。けど、今日はいいですよね」


煌「う……それは、まあ、送ってくれるのは嬉しいですし…」

京太郎「じゃ、残ってる書類片付けましょう」


久「という展開なんだけど」

まこ「この際、いつカメラを仕掛けたのかは聞かんでおいてやる」

咲「…京ちゃんのドヘタレ…テレパシーって疲れるのに……」

久「むしろ使える時点でおかしいのだけど」


?(…お菓子って言った?)

久(誰よあんた……大体分かるけど)


和「これは、二人っきり作戦がまさかの裏目ですか?」

まこ「どんだけ奥手なんじゃあいつらは……」

久「私が二か月かかってくっつけられなかった二人よ、甘く見てもらっちゃ困るわ」

咲「あ、部長が引退してからこそこそやってたの、この二人がらみだったんですか?」

まこ「転校してきた経緯が惚気そのものだったから、ほっときゃくっつくと思っとったんじゃがのう」


【翌日】


咲「京ちゃん、今日はスイーツ食べ放題で女子会だから、ついてこないでね」

京太郎「へ?」

和「スイーツが食べたいのでしたら来ても構いませんが……」

優希「タコスも良いけど、たまには甘いものが食べたいのだ!」

煌「えっと……女子会、ですか?」

咲「はい、一年女子による女子会です」

まこ「わしと煌は仲間外れか。冷たいのう」

咲「一年同士じゃないと話しにくいこともあるんですよ」

和「はい、そのとおりです」

京太郎「例えば?」

咲「恋バナとか?」

煌「すばっ!?」

まこ「まー、ワシは色恋沙汰には縁がないからの。そう言われたらパスじゃ」

優希「残念、まこ先輩が食いついて来たらぜひとも誘おうって話になってたんだじぇ」

まこ「アホか、呼ばれてもパスじゃ」

京太郎「あー……部活後の予定が空いたな」

まこ「煌と一緒にうちに来るか?鍛えちゃるけえ」

煌「こ、こここ、恋バナなんて……」

まこ「なに動揺しとるんじゃ、お子様か?」


?(子供じゃない! ころもだ!)

まこ(この場に居ない奴に向かって言っとるわけないじゃろが!!!)


久「やっほー、みんな久しぶりー」

咲「あ、部長」

和「お久しぶりです部長」

まこ「おー、久しぶりじゃな」

煌「竹井さん、お元気そうでなによりです」

久「今の部長は煌でしょう?いつまで部長って呼ばれるのよ私は」

京太郎「本名の竹井久っていうのを忘れる程度には『部長』で通してましたからね、みんな」

まこ「じゃのう」

久「で、久しぶりに麻雀打ちに来たんだけど、今日は解散の流れ?」

煌「ええ、新入生が入ってからが本番ですし、今は根を詰めない方が良いかと」

まこ「三年はもうすぐ卒業じゃが、在校生は期末テストものこっとるからの」

久「残念ねえ…」

まこ「なんならうちに来るか?京太郎と煌を鍛えてやろうって話をしとったところじゃ」

久「あ、いいわね。行きましょう」


咲「…作戦開始時刻の設定は大丈夫かな?」

和「少なくとも私の時計は大丈夫ですから、問題ありません」

優希「台本もバッチリだじぇ」

咲「じゃあ、和ちゃんの家にいざ突撃―!」

優希「だじぇ!」


京太郎「ポン!」

久「…ツモ、3200オール」

京太郎「うげっ!?」

まこ「また腕をあげよったんか、久?」

久「そりゃ、春からはプロだもの。アマチュアには負けられないわね」

まこ「プロだからっていきなり強くなるもんでもなかろうが」

煌「いえいえ、志は大事です。プロとしての心構えが打ち方に影響しているのでしょう」

久「ま、そんなところね」

京太郎「勝てねえ……」

久「ふふ、いじめ過ぎたかしら? ちょっと休憩しましょうか」


久「」クスクス

煌「竹井さん、何を聞いてらっしゃるのですか?」

久「ああ、煌も聞く?面白いことになってるわよ」

煌「面白い……?」


『理想の男って言ったらやっぱり京太郎だな!顔も悪くないし、気配りも出来るし!』

『だよねえ……幼馴染のアドバンテージに胡坐かいてたら取られそうになってるし……はあ……』

『いくら咲さんでも、ここは譲れませんね』


煌「こ、ここここ、これっ!?」

久「私がなんの用もなく部室に行くとでも思った? さっき、ちょっと仕掛けさせてもらったのよねえ」

煌「な、なんてことを……」

久「恋バナって言ってたけど、これはお互いへの宣戦布告って感じね。そりゃ三人だけで話したいはずだわ」


『私、そろそろ告白しようかな……時間が空けば空くほど不利になる気がするし』


煌「んなっ!?」


『奇遇ですね。私も、新入生が来るまでには告白しようかと思っていたところです』


煌「あわわわわ……」


『私は相手にされてないっぽいじぇ……入部したあたりからずっとアプローチかけてるのに……』


煌「すばらあああああ!?」


久「あらあら、誰とくっつくか賭けでもしようかしら?」

煌「あわわわわ……」

久「須賀君、和目当てで入部したのよねえ……最初の頃は和しか見てなかったもの」

煌「うっ……」

久「咲を引っ張りこんだのも、和のためだったのよねえ……」

煌「ううっ……」グスッ

久「そんな和が、ついに須賀君に告白すると宣言したわけだけど……」

煌「もう絶望的じゃないですかあ……」

久「あらあら……須賀君は義理堅い人だし、和も他人の幸せを祝える優しい子よ?」

煌「……はい?」

久「和が告白する前に須賀君に告白して付き合ってしまえば、後はどうにでもなるわ。そう思わない?」

煌「ううっ!?」

久「とはいえ、あの勢いだと今日明日にでも告白するに違いない。となれば、チャンスは今しか……」


【翌日】


トナレバ、チャンスハイマシカ……カチッ


まこ「…で、こんだけ追い詰めても結局なんもなかったんか、あのヘタレ……」

久「だから言ったでしょ、あの二人のヘタレっぷりを甘く見ちゃダメって」

まこ「あそこまで脅してなんもせんとは流石に思わんかったわい」

久「で、ここから和と咲と優希にガチで須賀君に告白して振られてもらうわ。ついでにまこにも」

まこ「はあ!?」

久「あの子、消去法で自分を一番最初に消すもの。他の選択肢を残しちゃいけないの」

まこ「京太郎に振られるのは流石にへこむのう……」

久「じゃないと、あの二人永遠にくっつかないわよ」

まこ「ここまでやってダメなんじゃから、そうじゃろな」


やめろ、謎のワカメ! それは大事な書きためで……うわああああ!?

染谷先輩! 助けて下さい染谷先輩!

やめろ、そこは一番大事な、部長が告白して、京太郎の想い人を煌の目の前で問い詰めるシーン……やめろおおおおおお!!!

うっ…ひっく…染谷先輩さえいればこんなことには……

いつもいつも染谷先輩がいないときばかり狙いやがって! この卑怯者め!!



まこ「悪いな、ほかに書かなきゃいけないSSがあるんじゃ……」

咲「はい?」

まこ「こっちの話じゃ」


煌「さて、練習試合の申し込みが三件あるのですが、どうしましょう?」

京太郎「全部うちに来てくれるんですよね? 向こうに確認とって、四校での練習試合として受けちゃえばいいんじゃないですか?」

煌「すばらっ!早速そのように……」

京太郎「先方にはそれでも良いとお返事を頂いたので、あとは施設の利用許可ですね。四校が来るなら部室だけじゃ狭いですし、下の階も借りましょう」

煌「そうですね、では書類を取りに……」

京太郎「はい、来る途中で生徒会室に寄って取って来ました」

煌「……あまり私の仕事を奪わないでほしいのですが」

京太郎「煌さんに仕事回すと一緒に居られる時間が減るじゃないですか」

煌「すばっ!? そ、そういうことを真顔で言わないでください!!」


咲「熱いねー」

和「咲さんの指導の賜物ですね」

優希「ヘタレ発言の度に役満一回ぶち当てたのが効いたみたいだじぇ」

裕子「…や、役満って任意に直撃できるものでしたっけ?」

まこ「インハイ秋季春季の三冠王じゃからな」

裕子「マジですか……マホの奴に真似させたくないなそれは」


?(おーいユキ、揺杏が新しい衣装を作ったんだが……)

和(間違いテレパシーですね。こちらは原村和です)

?(おお、すまんすまん、胸の大きさが似てるから間違えた)

和(せめて道内で間違ってください…)


京太郎「ご褒美、ですか?」

煌「そうです、日ごろの京太郎君の頑張りに、何らかのお礼をしようかと思いまして」

京太郎「別に、俺は煌さんと一緒に居られればそれで……」

煌「はひゅっ!?」

京太郎「あ、ひざまくらとかお願いしていいですか?」

煌「な、なんと破廉恥な!?」


咲「和ちゃーん、ひざまくらしてー」

和「はいはい、どうぞ」

優希「ひざまくらぐらい、友達でもできるじぇ。恋人ならできないわけがないじぇ」


煌「う…うう……? なんというタイミングで唐突に膝枕を始めるんですかあの二人は…」

京太郎「どうですかね?」

煌「し、仕方ないですね。いいですよ」


咲(作戦成功だね)

和(いつまであの二人のフォローをしないといけないんですか私たちは?)

優希(付き合っても依然として花田先輩がヘタレだから仕方ないんだじぇ)

まこ(ちなみに、ご褒美をあげた方がいいと提案したのはわしじゃ)

裕子(なんなんですか、この四人の連帯感……)

咲(私たちがあの二人をくっつけるのにどれだけ苦労したと思ってるの?)

和(この程度の連携プレーなど造作もないことです)

裕子(知りませんよ、肝心なところ全部カットされてるじゃないですか)


京太郎「う…ん……」

煌「……眠ってしまいましたね。やはり、疲れているのでしょうか?」

?(今ならキスとかできちゃうかも)

煌「た、たしかに、今なら無防備……」ゴクリ

?(恋人なんだから起きてる時に普通にキスすればいいのにね)

煌「そ、そそそ、そんなことしてはしたない女と思われたらどうするんですか!?」

?(それで嫌うような狭量な男とは思えんが…)

煌「うう……な、なら、ちょっとだけ…」ソー

?(いや、寝てる時じゃなくて起きてる時にだな…まあいいか)

?(ほら、部屋に誰もいない今のうちに、ぶちゅっと行っちゃってください)

煌「か、顔が近くてドキドキしますね……」


ガタッ


煌「!?」


咲「裕子ちゃん、何やってるのかな? 気配を殺せって言ったよね?」

和「気配が殺せないならあなたを殺すとも言ったはずですが……?」

優希「この状況で気配を消せない奴は部員失格だじぇ」

?「なんで私並みのステルスを全員が習得してるっすかこの部……」

まこ「基本技能じゃ」

裕子「は、花田先輩!! 和先輩も宮永先輩も目が本気です!! 助けてください!!」


煌「宮永さん、和、優希、何をしてるんですか?」ゴゴゴ


咲「くっ……撤退するよ和ちゃん!」

和「仕方ありませんね」

優希「京太郎を膝に乗せたままでは追って来れないはずだじぇ!」

まこ(わしは気付かれとらんからここに残るぞい)

?(じゃあ私も残るっす)


まこ「あ、そうじゃ」

京太郎「はい?」

煌「どうしました?」

まこ「練習試合に来た連中にお茶ぐらいは出さんといかんじゃろ。茶葉が切れとったんじゃ」

煌「なんと」

京太郎「あれ? 買ってなかったっけ?」


和(咲さん、流石に煎茶の葉をそのまま食べるのは辛……)

咲(和ちゃんなら大丈夫!)

優希(タコスに挟んでくれれば私が食べたんだが……頼んだじょのどちゃん!)

和(もごもごもご――!?)


京太郎「あれ、切れてる……そんなにお茶入れたっけ?」

まこ「てなわけで、煌と一緒に買って来てくれんかの」

煌「お安いご用です!」

京太郎「あ、いや、それぐらい俺一人で……」

まこ「『煌と一緒に』、買ってきてくれんかの?」

京太郎「……はい」

煌「あ、そうか、お茶ぐらいなら私一人でも……」

京太郎「いえ、一緒に行きましょう」

煌「いえ、しかし……」

京太郎「一緒に行きましょう。煌さんと一緒に居たいんです」

煌「は、はい」///


煌「そういえば、京太郎君」

京太郎「はい?」

煌「タコス、最近作りませんね」

京太郎「あー、そういえば作ってないですね」

煌「練習試合に向けて、優希のために作ってみては?」

京太郎「うーん、イマイチやる気が出ませんね」

煌「ふふっ、優希が聞いたら怒りますよ?」

京太郎「最近はそうでもないですよ。タコス狂いも収まってきましたし」

煌「そうですか。久しぶりに京太郎君のタコスが食べたかったんですが」

京太郎「なら、作りましょうか?」

煌「……へ?」

京太郎「恋人からのリクエストなら、いくらでも作りますよ」

煌「かっ、からかわないでください! まったくもう!」

京太郎「いや、真面目なんですけど……」

煌「まだ言いますか!?」

京太郎「あ、煌さん、なにか好きな食べ物ありますか? 作りますよ?」

煌「も、もう! 年上をからかわないでください!!」


【練習試合】

衣「来たぞー!」

華菜「来たし!」

睦月「うむ!」

煌「ようこそいらっしゃいました。皆様に一部屋づつ控室を用意いたしましたので、ご案内いたします」


煌「…緊張しますね」

京太郎「練習試合ですよ?そんなに緊張しなくても……」

煌「昨年とメンバーが変わっていない龍門渕が相手だと、はっきりわかってしまいますから」

京太郎「…?」

煌「私が竹井さんの抜けた穴を埋められるのかどうか……はっきり言えば、どれほど清澄の戦力が下がったのか」

京太郎「それは……」

煌「新道寺は、先鋒というエースポジションで失点を抑えるために私を起用しました。京太郎君は褒めて下さいましたが、やはり、私に全国区の力はありません」

京太郎「……」

煌「清澄には絶対に先鋒に起用される優希が居るので、失点を抑えるだけの私の価値は更に下がります。だから、怖いんです。私は、清澄高校麻雀部の役に立てるのかどうか……」

京太郎「煌さんなら大丈夫ですよ。てゆうか、どうせ咲の奴がどうにかしますから。煌さんは絶対飛ばないから、咲に絶対つなげるんです」

煌「…そう、でしょうか?」

京太郎「そうです」


華菜「そろそろ始まるから清澄の部長を呼びに行くし!」トコトコ


?「空気をよんでくれるかな?」

?「ここから先は進入禁止です」

?「邪魔立てする者は全て烏有に帰せばいい」

?「なんなら、社会的に抹殺して差し上げましてよ」

?「私が殺人を犯せば、犯人は存在しないのと同じ、天災による不慮の死として処理されるっす」

?「なんか増えたじょ……」

?「久の奴が手を回して色々やっとった頃の協力者じゃ。東横はたまに来とるじゃろ?」


ニャアアアアアー!?


煌「なんとか勝てましたね」

京太郎「咲のやつ、天江さん相手でも容赦なく役満ぶち当ててたからな」

煌「ふふ、頼りになる幼馴染ですね?」

京太郎「ただのポンコツですよ」

煌「さて、今日は、二連覇に向けて幸先の良いスタートを切れました」

京太郎「おっ、ようやく二連覇する気になってくれましたか?」

煌「一年生の時に全国ベスト8まで行った龍門渕と勝負になるのですから、出来ない方がおかしいでしょう」

京太郎「頼りにしてますよ、部長」

煌「まあ、私の力は微々たるものですがね」

京太郎「またそういうことを」

煌「微々たるものでも、ちゃんと役に立てることが分かりましたから」

京太郎「…ですね」


煌「…むにゃむにゃ、すばらぁ……」zzz

京太郎「寝てるな……」

煌「zzz」

京太郎「」プニプニ

煌「zzz」

京太郎「この髪型、どうなってるのか気になってたんだよな……」

煌「zzz」

京太郎「ほっぺたプニプニでは起きなかった。行けるはず……」ソー

煌「」シャキーン

京太郎「痛っ!? え? 何今の動き!?」

煌「……うん? はっ!? 眠ってしまいました!」

京太郎「あ、おはようございます」


咲(…あの髪の毛は厄介かもしれない)

和(いや、あれどうなってるんですか?)

まこ(一回、雀卓に刺さって抜けなくなったことがある)

優希(マジでか!?)

ーー

この後、なんだかんだで長野予選を勝ち抜いたり

二人が出会ったきっかけとなったインターハイで更に深い仲に進んだりするらしい


END

ストーリ―ぶん投げて日常パートだけ抜き出したら思ったより甘くなかった。

ついでなんで、オチが思いつかなくて没にしたネタもこっちに落としていきます。

――ここから別のSS――


京太郎「すばらっていい言葉だな」

優希「……は!?」

和「それは……花田先輩の?」

優希「どういうことだ京太郎!? 何故貴様が花田先輩の口癖を知っているんだじぇ!?」

京太郎「あー、マジで先輩さんだったのか。まあ、嘘つく人じゃなさそうだったけど」

和「会ったんですか?」

京太郎「さっきタコス買いに行く時にな」

優希「貴様、まさか手を出したりしてないだろうな……?」

京太郎「……」

咲「京ちゃん? なんで黙るの?」

優希「ま、まさか京太郎……この浮気者―――!!!!」

京太郎「待て、誤解だ! あれは事故だ!」

咲「事故って……何かしたんだね」ハア

和「全く、見境のない……」


【回想】

京太郎「さて、急がないとあのちっこいのがうるせえからな」タッタッタ

?「わわっ!?」

京太郎「うわっ!?」

ドンッ


?「いたたた…お怪我はありませんか?」

京太郎「あ、大丈夫です。そちらは大丈夫ですか?」

?「お互い怪我もなく済んで、大変すばらです。これも日頃の行いというものでしょう」

京太郎「……すばら?」

?「はい、すばらです」

京太郎「えっと、すばらしい、の略ですか?」

?「そのとおりです、ところで、大変申し上げにくいのですが……」

京太郎「はい?」

?「先ほどから、胸に手が当たっていまして……気付かれるほど胸がないのかもしれませんが、そろそろ離して頂けると助かります」

京太郎「うわああああああああっ!? ごめんなさいごめんなさい! すぐどきます!」


京太郎「本っ当に!! 申し訳ありませんでした!!」

?「いえいえ、先ほども言いましたが、お互い怪我をせずに済んでなによりです」

京太郎「いや、しかしですね」

?「胸を触ったことでしょうか?」

京太郎「うっ……はい」


?「では、お詫びのしるしに、そのタコスを一つ頂きましょうか。それで水に流しましょう」

京太郎「へ? そんなんでいいんですか?」

?「昔、自称タコス好きの呪われた血族という後輩に勧められまして、タコスは嫌いではないのですよ」

京太郎「……そんなのが日本に二人も居るものなんですね」

?「おや、そちらにもいるのですか?」

京太郎「片岡優希って言うんですけどね。主食がタコスですよ」

?「優希? 優希のお知り合いなのですか? 世間は狭いものですね。こんなところで縁がつながるとは、すばらです!」

京太郎「……はい?」

煌「申し遅れました、私、花田煌と申します。ここで会ったのも何かの縁、連絡先を交換しませんか?」


【回想終了】

京太郎「ということがあってだな……」

咲「へえ~、優希ちゃんの知り合いと偶然会うなんてすごいね」

優希「犬! 貴様、花田先輩の、その、むむむ、胸を揉んだのか!? 許されないじょ!!!」

和「あの人らしいですね……悪意が欠片もないというか、相手の悪意すら微塵も疑わないというか……」

京太郎「……あ」

優希「今度はなんだ!?」

京太郎「連絡先交換に気を取られて、お詫びのタコスを渡しそびれた」

和「…気にしていないと思いますけどね。タコスも、須賀君が気にやまないように要求しただけだと思います」

咲「うーん……すごくいい人なのかな?」

優希「花田先輩は仏のような人だじぇ!」

京太郎「分かる。あの人が実は菩薩だって言われても俺は信じる」

久「花田さんって、新道寺の?」

和「はい」

久「なら、渡しに行けば? 下の階に居るわよ」

和・優希「はい?」

まこ「知らなかったんか? 入り口にも新道寺女子御一行様って書いてあったじゃろ」

咲「あ、そういえば」

和「…知りませんでした」

優希「そんな近くに居たのか…」


【新道寺部屋】


煌「ただいま戻りました」

哩「遅かったな、なにかあったと?」

姫子「煌はお人よしやけん、人助けでもしとったんやなかと?」

美子「ありうる」

仁美「迷子の子供の親御さんでも探しよったと?」

煌「あはは、私って、そんなにお人よしに見えますか?」

哩「遠くから見ても分かるレベルでお人よしオーラを出しちょるばい」

姫子「お人よしを絵に描いたような感じたい」

煌「そこまでですか……まあ、今回は人助けではありませんでしたよ」

姫子「人助け以外で煌が遅くなりゆーは珍しかね」

煌「あはは、中学の後輩の知り合いに会いまして、連絡先を交換していたんですよ」

仁美「怪しか」

美子「煌、騙されちょるかもしれん、そいつの連絡先見せてくれんか?」

煌「いえ、大丈夫だと思いますよ? 悪い人ではなさそうでしたし」

哩「私は悪人ですっちゅー雰囲気出しながら近づいてくる詐欺師がどこにおっと?いいから見しい!」

煌「あっ!?」

哩「須賀京太郎……ん?こいつ、清澄のマネージャーやなかと?」

姫子「清澄って、花田の後輩が居るっちゅーとこやったっけ?」

煌「ですから、大丈夫と申し上げたんですよ」

仁美「いや、まだわからん、呼び出そう。清澄なら同じ宿舎に居るはずばい」

美子「名前だけやったらいくらでも騙れるから、ちゃんと確認せんと」

煌「そんな大げさな…」

哩「」プルルルルル

煌「っちょ!? 部長!?」

哩「須賀京太郎か? 話がある、ちょっと新道寺の部屋まで来てほしい。話は部屋でする」ピッ

姫子「ぶちょーが標準語しゃべりよった…」

哩「方言やと通じんことがあっから、初対面の人間の前ぐらい標準語でしゃべるったい」

煌「はあ、なんだか面倒事に巻き込んでしまいました…」


咲「京ちゃん、今の電話…」

京太郎「い、いや、大丈夫だろ……お説教ぐらいで済むはず」

優希「は、花田先輩がいるんだから大丈夫だじぇ……」

和「なんなら、私たちがついて行きましょうか? 一人でとは言っていませんでしたし」

優希「それだ!!!」

久「先方に失礼のないようにねー、って、もう先鋒に失礼なことをした後だっけ?」

まこ「うっさいわ」

京太郎「はあ、とりあえず行くか……」


コンコン

煌「はーい」

優希「新道寺! 私の下僕を呼び出すとはどんな了見だじょ!?」

和「なんで喧嘩腰なんですか……」

京太郎「あの、お呼び出しを受けて伺いました、須賀京太郎です」

煌「おや、和と優希も一緒ですか。すみません須賀君、皆さん心配性でして……」

仁美「どうやら本物やね」

哩「ま、本物なら本物で用もあっ」

姫子「そゆことやね」

煌「とりあえず、立ち話もなんですから上がってください」

京太郎「あ、お邪魔します」

煌「あれ、うわわっ!?」コケッ

京太郎「あ、あぶな……」ガシッ

ドスン


煌「いたた……すみません、出会ったときに続いてお恥ずかしいところを……」

京太郎「モゴモゴ(スカートに顔を突っ込んでる)」

煌「ひゃうっ!?」


哩「……やっぱりこうなるか」

姫子「男子やからね」

仁美「どうこけたらああなっと?」

美子「花田に常識は意味なか」


優希「京太郎……貴様という奴は……」ゴゴゴ

和「花田先輩、大丈夫ですか?」

煌「あはははは、大丈夫です。優希も、悪気がないのは見ていればわかったでしょう?」

優希「う……」

京太郎「うう…何が起きたんだ?」


哩「まあ、見て分かったと思うが……花田は少し特殊なんよ」

和「えっと、すみません、よくわからないのですが」

姫子「いわゆる、ラッキースケベというのが起こりやすい体質ばい」

和「そんなオカルト……」

京太郎「ないとも言い切れねえ…初対面の時も胸触られて落ち着いてたし」

煌「あははは、あれぐらいは慣れっこなんですよ」

仁美「わらいごとじゃなか、割と深刻な問題たい」

哩「やけん、花田は進学先も女子校なんよ」

優希「知らなかったじぇ…」

煌「優希たちと一緒に居る時に男性に近づいたことはないですからね」

和「そんな……」

哩「そんなわけで、須賀君。花田との物理的な接触は控えてほしいんよ」

京太郎「はい、そういうことなら…」

まで書いたところで謎のワカメに襲われた。

依頼出してきます。

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