朝
学校前
男「おはようございます!」
先生「お、今日もお前は朝から爽やかだな」
男「あはは、ありがとうございます」
……
校舎内
ガヤガヤ
男「……」
男子A「おい、お前また一位かよ!」
男「頑張ったら取れちゃったよ」
男子A「お前まだ二位になったことないんじゃないのか?」
男「あはは、頑張ってるからね」
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……
男子B「ああ、やべ、足捻った……」
男「大丈夫? ほら、肩」
女子A「いいよ、男くん。どうせ自分で歩けるから」
男「そういうわけにはいかないよ。もし骨折でもしてたらどうするの?」
女子A「全く男くんは優しいなぁ」
……
放課後
男子C「委員ちょー、飯食いに行こうぜ」
男「ご飯? いいよ、行こう行こう!」
女子B「え!? じゃあ、うちも行きたい!」
ソレナラオレモ ワタシモ オレモ
男「ええ!? 随分と多くなっちゃったなぁ……」
女子B「やば。あたし今日そういえば掃除当番だったじゃん」
女子B「このままだと行けないなぁ……」
女「……」
女子B「あ! ねぇ、女さん今日みんなとご飯行かないでしょ!?」
女「……!」ビク
女子B「そうでしょ?」
女「……!」コクコク
女子B「じゃあ、代わりに掃除当番変わってもらえるかな?」
女「は、はい……」
女子B「ほんと!? 恩に着るよ!」
男「……」
男「あ! じゃあ、みんな先にモスに行っててくれる?」
男「僕、このあと少しだけ用事があるからさ」
リョウカイー
女「……」ガタ
男「さ、一緒に掃除しよっか」
女「え?」
男「二人ならすぐに終わるでしょ?」ニコ
女「でも……」
男「いいの。それに女さんダメだよ? 断るときは断んないと」
女「……」
男「まぁ、いっか。掃除やるよ」
……
女「あの、ありがとうございました」
男「あはは、なんでお礼言うのさ。元々はBさんの仕事だったのに」
女「でも……」
男「それじゃあ、僕はもう行くから」
女「あ……」
……
路上
女「……」テクテク
側近「お嬢様、お向かいに上がりました」
女「すみません。いつもご苦労様です」
側近「いえ、そのことはいいんですけど……」グググ
女「ど、どうしたんですか? そんなに拳を握り締めて……」
側近「あの糞餓鬼、お嬢様に色目使いやがって!」
女「きゅ、急になんですか!?」
側近「……」
女「……」
側近「失礼致しました」
女「いや、あの、私はどう反応すれば正解なんでしょうか?」
女「そ、それに男さんは私に色目なんて使ってませんよ」
側近「あれは完璧に女を狙う男の目でしたよ」
女「そんなことないですよ。私なんて地味ですし背も小さいですから」
側近「あなたは充分美しいです。学校では隠しているだけで」
女「学校も家もさほど変わりません」
側近「いえ、本来のお嬢様ならとっくに学校のアイドルですよ」
側近「ああ、お家の言いつけさえなければ……」
側近「そのせいで苦労も多いでしょうし」
女「いいんですよ。正体がばれてしまったら大変ですから。それに苦労はしてません」
側近「だと、いいんですけど」
女「それよりも今日の予定をお願いします」
側近「はい。では車の中に入ってください」ガチャ
バタン
ブロロロロ
女「今日の標的はなんですか?」
側近「口裂け女です。○○区で最近人が襲われたとの情報が入っております」
女「マスコミには?」
側近「警察側が上手く誤魔化しました」
側近「やはり隠し事だけは上手いですね」
女「口は災いのもとですよ?」
側近「申し訳ございません」
女「……側近さん、今日の討伐の準備をしたいので○○区にある公園に寄ってもらっても構いませんか?」
側近「かしこまりました」
側近「それにしても口裂け女ですか」
側近「現代の怪異、妖怪。なかなか手強そうですか?」
女「都市伝説から生まれた妖怪ですから大したことはないでしょう」
女「でも、やるからには全力です」
女「油断していたら首をはねられるかもしれませんからね」
側近「さすがお嬢様です」
女(都市伝説から生まれた妖怪は大したことない、か)
女「……」
……
夜
道路
男「……」
トルゥルゥルゥルゥ
男「もしもし、男ですけど」ニコニコ
メリーさん『あたしメリーさん。今とらのあなにいるの』
男「……なんのようだ」
メリーさん『ふふ、相変わらずいい声してるわね。電話の掛け甲斐があるわ』
男「切るぞ」
メリーさん『あら? 折角愛しのメリーから電話が来たのにもう切っちゃうの?』
男「サブカルに詳しい人形を俺は知らない」
メリーさん『今の持ち主が詳しい人なのよ」
男「切るぞ」
メリーさん『今日は随分と疲れているのね』
男「……」
メリーさん『学校、行くのやめたら?」
男「俺の勝手だろう」
メリーさん『あたしは心配なの。あなたは普通じゃないわ』
メリーさん『ご飯は食べなくていいのにご飯を食べ、そのお金を稼ぐために学校を行きながらバイトをする』
メリーさん『大体、学校に行くのだってデメリットが大きすぎるわ』
メリーさん『このまま下手に動いていると祓い屋に――」
男「お前はいつから俺の保護者になったんだ」
メリーさん『……あなたが切り裂き魔だということを忘れないでね』
男「……」
メリーさん『今日はもう切るわね』
ガチャ
ツーツー
男子A「あれ、お前こんなところでなにしてるんだよ」
男「あ、Aくん。今、帰るとこだったんだよ」
男子A「そっか。最近切り裂き事件とか頻発してるからまっすぐ家に帰れよ?」
男「うん。わかってる」
男子A「それじゃあな」スタスタ
男「……」
……
夜
高架下
女「……」スタスタ
女「ん?」
背の高い女「……」
女「あ……」
女「……」スタスタ
背の高い女「ねぇ」
女「はい」ピト
背の高い女「アタシ、キレイ?」
女「それはもうお綺麗ですよ」ニコニコ
背の高い女「ふふ、そう」
口裂け女「じゃあ、これでもか――!」
女(当たり!)
女「えい!」ピ
口裂け女「う……!」
女「その呪符で思うように動けなくなります!」
女「でも……私を殺したいなら追いかけてください!」タッタッタ
口裂け女「までぇ……まで!」
ピピピ
女「当たりました!」ハァハァ
側近『では、手はず通りに」
女「お願いします!」
側近『かしこまりました』
……
公園
女「はぁ……はぁ……」
女「ここまでくれば後は……」
口裂け女「ふふ……おいづめだ……」
女「そうですね」
口裂け女「あは……あは!」スタスタ
女(もう少し……もう少し!)
口裂け女「うぉぉぉぉ!」
女「終わりです」
口裂け女「あ……あ……!」
女「あなたは今私と側近さんで作った妖怪を捕らえるための強固な陣の中にいます」
女「なにをしても無駄ですよ」
側近「お見事です」パチパチ
側近「陣が不発したときの保険なんていりませんでしたね」
女「そんなこといわないでくださいよ」
側近「……それにしてもどうしてこんな回りくどいことをしたんですか?」
側近「呪符一発で祓うことは出来たでしょう」
側近「わざわざ陣を描くなんて……」
口裂け女「うご……うごがない……!」
女「ちょっとだけ事情があったんです」
側近「事情?」
女「……口裂け女さん。一つだけ質問があります」
女「その質問に答えられたらこの陣を解きます」
側近「お、お嬢様!?」
口裂け女「……言え!」
女「切り裂き魔についてです」
側近「……!」
口裂け女「ぐわじくはしらない……! でもメリーとはなかがいいどぎいたごとがある!」
女「そうですか、ありがとうございます」ゴソゴソ
女「これ、なんだと思いますか?」
口裂け女「……ば!」
女「呪符です。しかもさっきとは効果が違ってあなたを滅するためのものです」
口裂け女「おまえ――!」
女「さようなら」ピ
口裂け女「ああああああああああああ!」
女「……」
側近「……お嬢様が嘘をつくところを初めて見ました」
女「側近さん」
側近「なんでしょう」
女「言葉を喋る害虫に慈悲をあなたは与えますか?」
側近「……」ゾゾゾ
女「行きましょうか」ニコ
側近「はい……」
側近(あなたをそんな風にしてしまったのはやはりあれが原因なんでしょうか……)
……
男「……」スタスタ
高校生「なんだよ、俺が何したって言うんだよ!」
男「別に、なにも」
高校生「はぁ!?」
ブシュ
高校生「あ……ああ……」バタ
男「……気持ちよかったか?」
……
男「……」スタスタ
女「お願い……お願いだから!」
女「私のこと好きにしていいから命だけは……!」
男「興味がない」
女「うそ……なんで、なんで私が!」
女「いやぁぁぁ!」
ブシュ
女「な……んで私が……」
男「よかったな。あの世で待ってる奴が居るぞ」
……
男「……」スタスタ
強面「な、なんだてめぇ! ぶっころすぞ!」
男「うるさいぞ」
強面「なんだと!?」
男「黙れ」
ブシュ
強面「おま……本当……に!?」
男「……家族が待っている。安心しろ」
>>22 訂正
……
男「……」スタスタ
若い女「お願い……お願いだから!」
若い女「私のこと好きにしていいから命だけは……!」
男「興味がない」
若い女「うそ……なんで、なんで私が!」
若い女「いやぁぁぁ!」
ブシュ
若い女「な……んで私が……」
男「よかったな。あの世で待ってる奴が居るぞ」
……
男「……」スタスタ
男「……ふう」
メリーさん『……あなたが切り裂き魔だということを忘れないでね』
男「……」
男「忘れるわけないだろう」チラ
男「満月か……」
トルゥルゥルゥルゥルゥルゥ
ガチャ
メリーさん『あたしメリー。今BL本に囲まれているの』
男「……いいのか?」
メリーさん『嫌いじゃないわ』
男「そうか」
メリーさん『……』
男「……」
男「今日は月が綺麗だな」
メリーさん『告白?』
男「切るぞ」
メリーさん『冗談よ。さっき連絡があったわ』
メリーさん『祓い屋に一人やられたみたい』
男「……そうか」
メリーさん『気をつけてね。それじゃ……』
男「待て」
メリーさん『どうかしたの?』
男「俺は過去も未来も人を切り続ける」
メリーさん『……ふふ、また電話するわね』
ガチャ
ツーツー
男「……」
男「明日も学校か」
また明日時間があれば
学校
教室
放課後
女「はぁ......」
女「なんで私は今他の委員会の仕事をしてるのかな」
女「まぁこういった雑用は得意なんだけどね」
ガラガラ
女「.....!」
男「あ、女さん」
男「......またでしょ?」
女「......」コクコク
男「いいよ。僕も手伝うから」
女「ご、ごめんなさい」
男「気にしないで」
女「でも、昨日も」
男「僕がしたいだけだから」
女「そう、ですか」
.....
男「......」カキカキ
女「.....」カキカキ
女(こ、こういうときってどんな話をすればいいのかわかんないよぉ)
女(大体生まれてこの方ろくに同い年の人と会話したことなんてないし....)
女(今日は天気がいいですね? ああ、もう日が落ちそう)
女(勉強の話? でもそれだとつまらないかな)
女(ああ、なにも出てこない!)
男「女さんってさ」
女「は、はい!」ビク
男「なんで人とあまり接しようとしないの?」
女「えっと……その……ごめんなさい」
男「あはは、それじゃ会話のキャッチボールにならないよ?」
女「……私は人と接するのが苦手なんです」
男「んー、そうは見えないけどね」
女「え?」
男「だっていつも、みんなの会話の輪の中に入りたそうにしてるじゃん」
女「そんなこと……」
男「後はみんなでどこか遊びに行こうって話題が出ると誘ってもらいたそうな顔するしさ」
女「……」
男「人と接するのが苦手な人がそんな風になるかな?」
女「……」
男「ねぇねぇ、もしよかったらさ――」
女「私は人と関わりたくないんです……!」
男「……そっか。なんかごめんね」
女「いえ……」
女「後は私で片付けられるのでいいですよ」
男「そう? じゃあ僕はもう帰るね」スタスタ
女「……」
……
女「……」スタスタ
トゥルゥルゥルゥルゥルゥ
ピ
側近『今日は――』
女「今日の迎えはいいです」
側近『し、しかしこんな夜遅くに!』
女「まだ八時ですよ。一人で帰れます」
女「ごめんなさい、失礼します」
ピ
女「はぁ……」
女(入学して半年経ってクラスで孤立してる人間がいたら、どうにかしようと男さんのようなタイプなら思うよね)
女(それなのに私ったら……)
女(ああ、もうバカバカ!)
女(明日謝らないと)
女(はぁ、それにしてもまさか世間話すら出来ないとは……)
女(いくら学校の人間と関わってはいけないって言いつけがあったとしても世間話くらいできないと不自然だよね)
女(男さんには今日一日でいろんな意味で悪いことしちゃったな……)
女「あ……」スタ
女「こんなところに本屋さんがあったんだ」
女「いつも車だから、わからなかった……」
女「入ってみようかな」スタスタ
カランカラン
イラッシャイマセー
女「……」スタスタ
女(今日はそういえばファミ通の発売日だったよね)
女(あった!)
女(後それから……)
女(この前エンディングを見たゲームの完全攻略本をっと)
女(いつもはアマゾンか側近さんに買いに行ってもらってるから)
女(こうやって手に取って選ぶのってなんだかいいなー)
女(よし、じゃあ後はレジに持っていくだけだね!)スタスタ
女「これ、お願いします」
男「はい、ありがとうございます」
ピ ピ ピ
男「以上二点でお会計○○円になります」
女「ではこれ……で?」
男「あ、やっと気付いた?」
女「おとこ……さん?」
男「あはは、さっきぶりだね」
女「……」アワアワ
男「どうしたの?」
女(わ、私がゲーマーだということがばれちゃった――!)
女(ああ、どうしよう! 人にばれたくない隠し事二位を男さんに知られた……!)
男「……へー、こういうのが好きなんだ」
女「ち、違います違います! これはその……お、弟に買ってきてくれと頼まれたんです!」
男「ふふ、そういうことにしておこうかな」
女「ほ、本当なんですよ!?」
男「あはは」
女「なんで笑っているんですか?」
男「だってこんなに明るい女さん初めて見たから」ニコニコ
女「あ、いえ……これは明るくというより焦ってるといいますか……」
男「あ……ごめん。人とは関わりたくないのに無理に話をしちゃったかな?」
女「あの……えと、そのことなんですけど」
男「え?」
女「突っ張った言い方をして申し訳ございませんでした」ペコ
男「いや、別に謝らなくても」
女「そ、それじゃ私は失礼ます」
男「……」
男「あ! ちょっと待って!」
……
道路
男「いやー、急にはや上がりにされても困っちゃうよね」
男「こっちは稼ぐためにバイトしてるのにさ」
女「……」
女(うぅ……どうして私は同年代の方と一緒に帰っているんだろう)
女(いや、本来それが普通なんだけど……)
男「ねぇ、人と関わりたくないって本当なの?」
女「あ……いえ、人と関わりたくない、なんてことはないんです」
男「じゃあどうして?」
女「それは……言えません。でも私は人とは関われない事情があるんです」
男「ふーん。難儀だね」
男「だから、学校でも人と関わらないようにして友達も作らないの?」
女「はい……」
男「俺とも?」
女「え?」
男「俺とも関われないし友達にはなれない?」
女「えっと……」
女(とてもうれしい提案……生まれてからそんな言葉を掛けられたのは初めて……)
女(だけど)
女「――ごめんなさい」
訂正
男「僕とも?」
男「僕とも関われないし友達にはなれない?」
女「気を使ってもらえるのはありがたいんですけど……」
女「どうしてもダメなんです」
男「……そっか」
男「それなら僕も今後なるべく関わらないようにするよ」
女「本当に、本当にすみません」ペコリ
男「いいっていいって。事情があるならしょうがないでしょ?」
男「でも、困ったときは助けちゃうからね?」
女「……はい」ニコ
男「あ、でも今日は家に送らせてね?」
女「だ、大丈夫ですよ?」
男「女の子一人夜道を歩かせるなんて男がすたるからそこだけは譲らないよ」
女「……」
男「平気だよ。今日で最後だから」
女「……はい。折角ですしお言葉に甘いちゃいます」
男「ふふ、じゃあ行こっか」
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