武内P「萩原雪歩さん……ですか」 (106)

高木「萩原君かい? ああ、彼女は少し男性恐怖症気味なところがあるがとてもいい子だよ」

武内P「男性恐怖症……」

高木「うむ。……君が彼女をプロデュースするのは少し大変かもしれないねぇ」

武内P「……いえ、やらせていただきましょう。私は、萩原雪歩さんをプロデュースすることにします」

高木「ははっ、君ならそう言うと思っていたよ。ちなみにどうして萩原君を選んだんだい?」

武内P「笑顔です」

高木「…………」

武内P「…………」

高木「……宣材写真の彼女は笑っているかい?」

武内P「いえ…………おそらくカメラマンが男性だったのでしょう。彼女が何かに怯えているように見えます」

高木「…………」

武内P「…………」

高木「……彼女は今給湯室でお茶を汲んでくれているはずだよ。早速顔合わせをしてみるといい」

武内P「……ありがとう、ございます」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420825216

テンションだけで立ててみた
一つ質問なんだけど武内Pって○○(名前)さんなの?フルネームで呼ぶの?○○(苗字)さんなの?
アニメ中途半端にしか観れなかったから教えて欲しい

武内P「失礼します」

ガシャーン

武内P「あ……湯呑みが……」

雪歩「お、男の人……!!」ビクビク

武内P「……怖がらせてしまって申し訳ありません。私、この度貴方をプロデュースすることになった——」

雪歩「きゅうっ」バターン

武内P「は、萩原さん!?」

雪歩「…………」スヤスヤ

武内P「…………」ズーン

小鳥「……あ、あのぉ……武内さん? どうかなさいましたか?」

武内P「……まさか」

小鳥「…………?」

武内P「まさか、顔を見ただけで気絶されるとは思いませんでした。昔から自分は強面だと自覚はしていたのですが……」

小鳥「あー……確かに雪歩ちゃんは男の人が苦手だから……」

武内P「……整形した方が良いのでしょうか。若しくは性転換手術を受けて」

小鳥「そ、そこまでしなくてもいいと思いますよ!?」

武内P「……本当ですか?」

小鳥「……確かにそれはそれで美味しいシチュエーションだけど……」ブツブツ

武内P「……なるほど、ならば早速タイに」

小鳥「行かないでくださいね!?」

武内P「……冗談、です」

雪歩「んっ……うぅん……?」ゴシゴシ

小鳥「あっ、雪歩ちゃんが目覚めましたよ武うt「ひうっ」ドサッ

武内P「……どうやらいたちごっこ……のようですね」

小鳥「……何か対策を考えましょうか」

赤羽根P「ただいま帰りましたー……ってそちらの方……は……」

響「どうしたんだプロデューサー? ……って何かあそこに居るぞ……」

美希「……袋? みたいなのを被ってる人が居るの」

貴音「面妖な……」

小鳥「あ、お帰りなさいプロデューサーさ……じゃなくて赤羽根さん!!」

赤羽根P「ど、どうして急に苗字呼びに?」

武内P「……あなたが赤羽根さんですか」

赤羽根P「は、はいそうですけど……あなたは?」

武内P「……私、この度萩原さんをプロデュースすることになった武内と申します。以後、よろしくお願いします先輩」

赤羽根P「あ、ああ赤羽根です。こいつら3人のフェアリーというユニットをプロデュースしてます。これからよろしくお願いします……」

武内P「はい、先輩」

赤羽根P「え、ええと……俺も1ヶ月前に入ってきたばかりなんで、先輩後輩の関係ではなく同僚としてお互いに頑張りましょう、武内さん」スッ

武内P「……はい。よろしくお願いします赤羽根さん」ガシッ

美希「……あ、これマックの袋なの」ツンツン

ちょっともう流石に寝る
世界観いじりまくってるけど多分大丈夫だよね

同僚ととしてってなんかおかしいから修正版を投下
書き溜めて一気に投下ではなく毎日ちょっとずつ投下して行きます。投下量はその日のモチベーションによって変わります

赤羽根P「ただいま帰りましたー……ってそちらの方……は……」

響「どうしたんだプロデューサー? ……って何かあそこに居るぞ……」

美希「……袋? みたいなのを被ってる人が居るの」

貴音「面妖な……」

小鳥「あ、お帰りなさいプロデューサーさ……じゃなくて赤羽根さん!!」

赤羽根P「ど、どうして急に苗字呼びに?」

武内P「……あなたが赤羽根さんですか」

赤羽根P「は、はいそうですけど……あなたは?」

武内P「……私、この度萩原さんをプロデュースすることになった武内と申します。以後、よろしくお願いします先輩」

赤羽根P「あ、ああ赤羽根です。こいつら3人のフェアリーというユニットをプロデュースしてます。これからよろしくお願いします……」

武内P「はい、先輩」

赤羽根P「え、ええと……俺も1ヶ月前に入ってきたばかりなんで、先輩後輩の関係ではなく同じ事務所の仲間としてお互いに頑張りましょう、武内さん」スッ

武内P「……はい。よろしくお願いします赤羽根さん」ガシッ

美希「……あ、これマックの袋なの」ツンツン

響「と、ところでどうして武内プロデューサーはマックの袋を被ってるんだ?」

武内P「これですか?」

小鳥「…………今は袋を取ってもいいと思いますよ武内さん」

武内P「わかりました」カサッ

貴音「……なるほど、そういうことでございましたか」

赤羽根P「ど、どういうことなんだ貴音? 俺には武内さんが至って普通に見えるんだが……」

美希「……あ、もしかして雪歩が?」

武内P「……ええ。どうやら、萩原さんは私の顔を見ると気絶してしまうようで」

響「えー……雪歩ってそこまで男の人が苦手だったか?」

武内P「いえ、私の顔がいけないのです。昔、叔父から老け顔で目が怖いと笑われたことがあるほどで」

赤羽根P「い、いやそこまで思い悩まなくてもいいと思いますよ!? 俺だって最初は全員プロデュースしようと思ってたんですけど、雪歩に半径1メートル以上近づけたことがなくて……1人でも欠けると意味が無いから、とりあえずはこの3人をユニットで売り出すことにしたんです」

小鳥「雪歩ちゃん、あの時は本気で怖がってましたもんね」

赤羽根P「ええ、いつかはみんなをプロデュースできるようになれればと思ってるんですけど……」

武内P「……申し訳ありません。私は貴方の目標を……奪ってしまったようですね」

赤羽根P「ど、どうして謝るんですか!? 同じ765プロの仲間じゃないですか武内さんは!」

小鳥「そうですよ武内さん。765プロはアイドルも研修生もプロデューサーも事務員も社長もみーんな仲間ですよ!」

武内P「仲間……ですか」

貴音「ええ。私たちフェアリーも、まだでびゅうしていない春香たちも、律子嬢率いる竜宮小町も。全員、765プロとして日々精進するのです」

響「へへっ、でも今は自分たちが1番すごいんだぞ!!」エッヘン

赤羽根P「すごい、って言ってもみんなとの実力差はそんなに無いし、精々テレビ番組のちょい役とかしか仕事が無いんだけどな……」

美希「ミキ、そろそろ今の仕事に飽きてきちゃったの……あふぅ」

赤羽根P「おいおい俺も頑張るからそんなこと言わないでくれよ美希……」

武内P「……なるほど。わかりました」





武内P「では、私は765プロのプロデューサーとして、仲間として。萩原雪歩さんをトップアイドルへ導いてみせます」

赤羽根P「……俺だって負けませんよ、武内さん!!」



そうです。今日はこれだけです
いつもは最後まで書き溜めてから投下してたからちょっとずつ投下するのは中々不安。矛盾などが発生したらごめんなさいね

——次の日



雪歩「お、おおおおおお茶です!!」ブルブル

武内P「あ、ありがとうございます萩原さん」

雪歩「い、いいいいえーー!!」タッタッタッ

武内P「あ……」

小鳥「……うーん、やっぱりまだ難しいですかねー」

武内P「……気絶しない分昨日よりはマシですが」

小鳥「まあそうですけど。でもこれからのお話もできないとなると……」

武内P「…………」

高木「おや、やはり苦戦しているようだね武内君?」

武内P「……社長」

高木「ははは、まあゆっくり歩んで行けばいいさ。時間は掛けられるだけ掛けておいた方がいい関係を築けるからね」

武内P「……しかし、それでは経営が」

高木「確かに今の765プロは危機的状況にある。が、まずは何よりもキミと萩原君のデビューが優先事項だ。アイドルがデビューしなければ何も始まらないからね」

高木「だから最初は彼女とのコミュニケーションを取ることを目標にしなさい。オーディションや営業に行くのはそれができたらで構わないよ」

武内P「……わかりました」

小鳥「ふふ、雪歩ちゃんなら多分給湯室に居ますよ。頑張ってくださいね武内さん」

武内P「……ええ」

武内P「…………ふぅ」

武内P(……まずは顔を見せないように給湯室の外から話しかけてみましょう)

武内P「……萩原、雪歩……さん?」

雪歩「え……あ、は、はいぃ!!」

武内P「……このままで構いません。少し、話を聞いてもらえますか?」

雪歩「……え、えっと……プロデューサー……ですよね?」

武内P「……!! ええ……ご存知でしたか? 昨日は私があなたのプロデューサーの任に就いたことを伝えられませんでしたが……」

雪歩「は、はい。昨日帰る前に小鳥さんが……」

武内P(……なるほど。ありがとうございます音無さん)

武内P「……それなら話は早い。あなたのデビューの件についての話があるのですが……聞いていただけますか? 勿論、このままでも構いません」

雪歩「………………い、いえ!! 私、ちょっとだけ……ちょっとだけ頑張ってみます!!」

武内P「!! ……ありがとうございます、萩原さん」

雪歩「い、行きますよ……?」

武内P「ええ、どうぞ」

雪歩「え、えい!!」ピョン

武内P「……大丈夫ですか?」

雪歩「だ、大丈夫です……今からそっち向きますねプロデューサー」

武内P「はい」

雪歩「う、うぅ……えいっ!! ……!?」

武内P(マックの袋形態)「……念のために装備しておいたのですが……大丈夫ですか?」

雪歩「……ぷふっ、ぷ、プロデューサー……!!」

武内P「ど、どうしましたか?」

雪歩「……ぷ、プロデューサーって意外と面白い人なんですね……ふふっ」

武内P「……私なりの真面目な対策なのですが」

雪歩「あ、ご、ごめんなさいぃぃ!!」

武内P「あ、いや別に怒っているわけでは……」

真「あれ? どうしたの雪歩?」

武内P「申し訳ありません菊地さん」

雪歩「ごめんね真ちゃん……」

真「い、いやボクが一緒に居るだけで雪歩が大丈夫なら別にいいよ。レッスン終わっちゃってヒマだったしね」

武内P「……では、早速ですが本題に入ってもよろしいでしょうか」

雪歩「お、お願いします!!」

真「……ボクも一緒でいいんですか? ほら、武内プロデューサーと雪歩だけの機密事項とかあったらいけないし……」

武内P「いえ、その心配はありません。今後の萩原さんの方針とデビュー曲の話をするだけですから」

真「いや、それを機密事項って言うんじゃ……」

雪歩「デビュー曲……ですか」

武内P「ええ」

武内P「まず今後の方針ですが……とりあえずは今と同じようにレッスンを続けていただきます」

雪歩「あ、はい」

真「……レッスンって大体どれぐらいの期間続けるんですか?」

武内P「未定です。私はまだ萩原さんの実力を知りませんので……明日萩原さんのレッスンを見てから決めようかと」

雪歩「す、すみません……」

真「ふーん……」

武内P「……私自身、デビューについてまだ決めかねているところが多いので……とりあえずは明日の様子を見てからということにします」

雪歩「わ、わかりました!!」

真「……へへっ、頑張ってね雪歩!!」

雪歩「うん!! 私頑張るよ真ちゃん!!」

武内P「……実のところ、これは菊地さんにも関係のある話なんです」

真「……へ?」

雪歩「ユニット……ですか?」

武内P「ええ。まだ絶対に結成するとは決めていませんが……やはり才能ある皆さんをデビューさせずに候補生のまま置いておくのはあまりにも損だと思いまして」

真「え、じゃあつまり……ボクもデビューできるってことですか!?」

雪歩「ま、真ちゃんも!?」

武内P「現在企画中ですが。一応菊地さんは現在第1候補です。見た所萩原さんとの相性が良さそうですから」

真「へへっ、やーりぃ!! これでボクもフリフリでキャピキャピの可愛い衣装が……!!」

雪歩「真ちゃん……」

武内P「……現在、企画中ですから」

武内P「それで、とりあえず今日はデビュー曲だけ決めてもらおうかと思います」

雪歩「は、はい」

真「デビュー曲って……もう作ってあるんですか?」

武内P「……ええ、まあ」

雪歩「試聴とかってできますか?」

武内P「音無さんに頼めばCDプレイヤーを貸していただけるはずです。一応、これがまだ声の入っていないインストの音源ですので。2番目のトラックには作曲者さんの声が入ったものもあります」スッ

真「じゃあ雪歩、早速聴いてみようよ!!」

雪歩「う、うん!!」

武内P「曲の名前はディスクに書いてありますので。決まりましたら私に教えてください」

雪歩「えっと……『inferno』、『DREAM』、『tear』の3つですよね、わかりました」

武内P「…………」コクッ

高木「君が入社した時に私からの楽曲提供を渋っていたのはこういうことだったのか……」

武内P「申し訳ありません」

高木「いやいや。別に気にしなくていいさ。でもその曲はどうやって手に入れたんだい?」

武内P「…………知り合いの作曲家に」

高木「ほう、君も君なりにコネクションを持っていたということか。いやなるほど、それは素晴らしいことだね」

武内P「…………」

高木「……このことは君にとってあまり触れて欲しくないことのようだね」

武内P「……申し訳ありません」

高木「ま、とにかく今は萩原君とのデビューを目指したまえ。期待しているよ?」

武内P「ありがとうございます」

雪歩「ぷ、プロデューサー……」

武内P「どうされましたか?」

雪歩「ちょ、ちょっと……どれも歌うのが難しいかな……って」

真「どれもカッコよくて素敵な曲だとは思うんですけど……その代わり全部テンポが速いんですよね」

武内P「……なるほど」

雪歩「多分、私じゃ最後まで歌いきれずに途中で息切れしちゃうかも……」

武内P「…………」

雪歩「あうぅ……」

真「……武内プロデューサー」

武内P「……わかりました。少し予定を早めましょうか」

雪真「「……?」」

武内P「最初からユニットでデビューすることにします。複数人で各パートを担当すれば最後まで歌い切れるはずです」

真「じゃあボクも一緒にデビューできる、ってことですよね!?」

武内P「ええ。トリオを組むつもりなのでもう1人、メンバー決める必要がありますが」

真「へへっ、やーりぃ!!」

雪歩「お、おめでとう真ちゃん!!」

今日はここまで

武内P「……まず、デビューの方針と言いますか……イメージと言えば良いのでしょうか。今回はかっこいい、クールなイメージを目的としています」

真「かっこいい……」

雪歩「クール……?」

武内P「ええ。私の手持ちであるこの3曲は全てクール系統の曲ですし、何よりも……」チラッ

真「……どうしたんですか武内プロデューサー」

武内P「……いえ、なんでも」

雪歩「……あ!! もしかして真ちゃんがかっこいいからですか?」

真「ゆ、雪歩ぉ……」

武内P「…………萩原さんの声質、そして菊地さんのビジュアルなど、総合的に考えた上での判断です」

真「…………」

雪歩「へぇ……」

武内P「そして残るメンバーは後1枠ということになりますが……ここにはストイックな人に入ってもらおうかと」

真「ストイック?」

武内P「ええ。有体に言えばプロ意識が高い方が理想です」

雪歩「プロ意識が高いと言えば……」

真「千早……かな?」

武内P「如月千早さんですか?」

真「はい。もちろん、みんなのプロ意識が低いってわけじゃないですけど……千早は歌に命かけてるレベルですね。歌が生き甲斐、みたいな感じで」

雪歩「この前なんか軽い声帯ポリープになっちゃってすごく落ち込んでたよね……」

武内P「なるほど……歌が生き甲斐ですか」

真「でも、やっぱり歌に力を入れているだけあってすごく歌が上手いんですよ。ね、雪歩?」

雪歩「うん、私も千早ちゃんの歌は765プロで1番上手だと思うよ?」

武内P「そうですか……いえ、ありがとうございました」

真「結局最後の1人は千早にするんですか?」

武内P「……本人の意思に委ねます。明日、皆さんのレッスンを見て回りますので、その際に軽く面談を行おうかと」

真「さよならプロデューサー!!」フリフリ

雪歩「きょ、今日はありがとうございましたー!!」フリフリ

武内P「ええ、また明日」フリフリ

小鳥「……ふふっ、上手く行って良かったですね、武内さん♪」

武内P「……音無さん」

小鳥「雪歩ちゃん、すごく楽しそうでしたけど何かしたんですか?」

武内P「私は何もしていません。彼女が1歩、勇気を出して前へ踏み出しただけです」

小鳥「またまた、ホントは武内さんが魔法をかけたとか?」

武内P「……いえ、そのようなことは」

小鳥「……律子さーん、武内さんが構ってくれませーん」

律子「遊んでないで仕事してください。武内プロデューサーも困ってらっしゃるじゃないですか」

小鳥「ガックシ……わかりましたよ仕事しますよーだ」トテトテ

律子「頼みますよ小鳥さん」

武内P「…………」





武内P「…………魔法なんてあるわけありません」



キリが良かったので投下しました

——次の日



武内P「…………」

千早「えっと……今日は萩原さんたちとの合同レッスンなんですか?」

トレーナー「ええ。……噂によると今この部屋に居るあなたたち3人がアイドルデビューできるらしいですよ?」

真「あ"ーあ"ー、う"う"ん!! 頑張ろうね雪歩!! 千早!!」

雪歩「う、うん!! うぅ……緊張します……」

千早「……なるほど、武内プロデューサーがこのレッスンで私たちの実力を測るということですか」チラッ

トレーナー「レッスン……なんですかね?」

千早「……?」

武内P「……皆さん。昨日渡したCDの曲はどれほど覚えられましたでしょうか。それぞれ焼き増ししたものを歌詞カードと共にお渡しましたが」

雪歩「え、えと……まだ歌詞は覚えられてないんですけど……3曲のメロディーは大体覚えました」

真「ボクも雪歩と同じぐらいです……」

千早「一応、私は『DREAM』だけソラで歌えるぐらいには覚えてきましたけど……後の2曲は歌詞を覚えきれていません」

武内P「……なるほど、わかりました。では、お願いします」

トレーナー「はい、わかりました」

真雪千「「「……?」」」

トレーナー「皆さんにはこれから少し移動してもらいます」

真「ここって……」

千早「レコーディングルーム……ですか?」

武内P「ええ。今日1日だけ貸切にさせていただきました」

雪歩「か、貸切!? それって結構なお金がかかるんじゃ……」

トレーナー「あはは、うちのスタジオは設備もそれほど良いものではありませんから値段もそれほど高くありませんよ」

武内P「それに、貸切と言っても24時間借りるというわけではありません。あくまで皆さんが帰るまでの時間だけですので」

千早「……それで、私たちはどうすればいいんでしょうか」

真「やっぱりレコーディングとかですか!?」ワクワク

武内P「ええ。今日は皆さんに各曲のレコーディングをしていただきます」

雪歩「ええっ!? い、いきなり本番なんですか……?」

武内P「はい」

真「うわ、大体予想してたけどやっぱり緊張しちゃうなー……」

千早「……武内プロデューサーの考えが読めません。何故完璧に会得できていない曲のレコーディングを行うんですか? やはり、最高のパフォーマンスを発揮できる状態でレコーディングを行った方がいいと思いますけど」

武内P「……構いません。今回は皆さんのテストのようなものですから」

千早「…………」

真「……ま、まあ時間がもったいないし早速録ってみようよ!! こんな機会滅多に無いんだよ?」

雪歩「そ、そうだよ千早ちゃん!! 今日はちょっと贅沢な練習みたいなものって考えれば……ね?」

千早「……わかりました。イマイチ納得はできませんが……デビューできる可能性があるならばやらせてもらいます」

武内P「……ありがとうございます。では、皆さんのパートごとに色分けした歌詞カードを配りますのでまずはそれを確認してください」

千早「……わざわざパート振りの指示をするって……ライブならともかく、3人別々で録った音源を後でミックスするから必要無いのでは?」

武内P「いえ、今回はみなさんでマイクを囲って最初から最後まで、先ほど配布した歌詞カードを見ながら3人同時にレコーディングしていただきます」

千早「…………」

真「……ま、まずはやってみようよ千早、ね?」

雪歩「イライラした時はひっ、ひっ、ふううぅ……だよ千早ちゃん!!」

千早「……それはラマーズ法と言って出産時の痛みを和らげるための呼吸法よ萩原さん」

トレーナー『では音源流しますよー』

千早「はい」

真「はい!!」

雪歩「は、はいぃ!!」

武内P『…………』

(DREAM)〜♪

千早(……武内プロデューサーが何を考えているのかわからないわ)

千早(武内プロデューサーの態度を見るに私のデビューはほぼ確定されているように思えるけれど……でも、こんなレコーディングの仕方をするわけがない)

千早(売り込みに使うCDなら最高のものを作り出すためにパートに合わせたレコーディングをして、それを後で最適な形にミックス、マスタリングするはず……それぐらいは新任とはいえプロデューサーならわかっているはずだけど)

千早(武内プロデューサーは何を考えているのかしら)

真「……始めは皆一瞬の刺激〜♪」

千早(……いけない。今は歌に集中しないと)

真「銃弾に撃たれた様だった〜♪」

千早『終わりは皆一生の悲劇〜♪』

武内P「……菊地さんの歌声も魅力的でしたが、やはり声量、声質などが飛び抜けていますね。如月さんは」

トレーナー「そうですね……歌に全振りしているような子ですから。確かな実力はありますよ」

武内P「…………」

雪歩『ねぇ、できないのならやるな〜♪』

真『だけど、やれるのならできる〜♪』

千早『自分に勝てるのは、自分〜♪』

雪歩『真っ直ぐに〜♪』

『『『戦え!!』』』

武内P「…………」

トレーナー『……はいオッケーでーす!! 1度休憩に入ってくださーい』

雪歩「はぁ……はぁ……あ、ありがとうございましたー」

ガチャッ

武内P「皆さんの分だけ水を買って来てありますので必要な方はどうぞ」

真「あ、はーいわかりましたー」

雪歩「あ、ありがとうございますー

千早「…………」

真「……? 出ないの千早?」

千早「……ええ、今行くわ」

千早「……すいません。レコーディングした後に誰か1人の声の音量だけを上げる、ということはできませんか?」

トレーナー「んー……流石にそれは難しいですね。ソロパートならまだなんとかなりますけど……複数の声が重なったところはちょっと。3人別々に録音するなら話は別ですけどね」

千早「そうですか……ありがとうございました」

トレーナー「次の曲、『inferno』の準備はちゃんとしておいてくださいね」

千早「ええ、もちろん」

武内P「お疲れ様でした如月さん。皆さんの喉のことを考えて水しか買って来てありませんが……よろしければどうぞ」スッ

千早「は、はい。ありがたくいただきます」

真「……なんかこの水変な味しない?」

雪歩「……あ、これ硬水だね。私は昔から何回か飲んでるから大丈夫だけど苦手な人は苦手かも」

真「うん……なんだかすごく飲みにくいね」

武内P「……!! 失礼しました、直ぐに軟水のものを選んで買って来ますので」

真「あ、別にボクは大丈夫ですってプロデューサー!!」

武内P「い、いえ完全に私の確認不足でしたが、硬水は人によってはお腹を壊す方もいらっしゃいますのでとにかく軟水のものを探して来ます」タッタッタッ

真「…………」ポカーン

雪歩「……珍しくパニックになってたねプロデューサー」

千早「……あの、ちょっといいかしら萩原さん」

雪歩「どうしたの千早ちゃん?」

真「…………?」

千早「えっと……キツい言い方になってしまうかもしれないけれど……萩原さんはもう少し大きな声で歌えるかしら?」

雪歩「ご、ごめんなさいぃ……私、これ以上声を出したら安定しなくて……」

千早「あ、いや、別に責めてるわけじゃなくて……ただ今の萩原さんがどう思ってるかを知りたかっただけなのよ」

真「どういうこと?」

千早「……正直に言わせてもらうと萩原さんの歌声は小さいわ。萩原さんだけのせいじゃないけれど、明らかにさっきは声量がバラツキ過ぎて上手くレコーディングできていなかった」

雪歩「うぅ……」

真「……千早、そんな言い方」

千早「ええ、わかっているわ。萩原さん、声量はレッスン次第で大きくできるからそんなに落ち込まないで。それに私だって最初から声量があったわけじゃない」

雪歩「ごめんなさい……」

真「…………」

千早「……私こそ今から失礼なことを言うのだから謝らなければならないわ。ごめんなさい萩原さん」

雪歩「そ、そんな、なんで千早ちゃんが? 悪いのは声が小さい私で……」

千早「強いて言うなら悪いのはこの状況なのだけど……だからこそよ」





千早「次の『inferno』では私と真と萩原さん、みんなで声量を合わせることを目標にしようと思うの」



トレーナー『では《inferno》流しますねー』

雪歩「は、はい!!」

真「はい!!」

千早「はい」

(inferno)〜♪

千早(さっきのは『私と比較的声量がある真で声が出ていない萩原さんのレベルに合わせようと思う』という意味……なんて上から目線で失礼な言葉なのかしら)

千早(けれど……)チラッ

雪歩「…………」コクッ

真「…………」コクッ

千早「…………」コクッ

千早(萩原さんも頑張って声を出してくれるみたいだし、私も声量のコントロールなんて初めてだけど……頑張らないと)

千早(……もしかしてプロデューサーは私たちの協調性をテストするためにこのレコーディングを?)チラッ

武内P『…………』

千早(……にしたってやり方が不器用過ぎるわね。ありえないわ)

千早『冷めたアスファルト〜♪』

トレーナー「……あれ? さっきより声が小さいですね千早ちゃん。1度止めましょうか?」

武内P「……いえ、構いません。このまま続けてください」

トレーナー「わかりました」

武内P「…………」

トレーナー『……はい!! 終わりましたので休憩に入ってくださいねー』

真雪千「「「ありがとうございました」」」

ガチャリ

武内P「……如月さん」

千早「……何でしょうか?」

真「?」





武内P「あなたと菊地さんと萩原さんの3人でユニットを組もうと思うのですが……どうされますか?」



武内P「…………」カタカタ

律子「ただいま帰りましたー……」

武内P「……お疲れ様です秋月さん」カタ…

律子「あれ、まだお仕事なさってたんですか?」

武内P「ええ、新ユニットの企画書をまとめていました」

律子「へぇ……って新ユニット!? 就任3日目で!?」

武内P「ええ。既に社長の許可もいただいています」ピロリン♪

律子「な、なるほど……チョットハヤスギヤシナイカシラ。ユニット名とかは決まってるんですか?」

武内P「ええと……」

from:如月千早さん
to:自分
件名:ユニット名の件ですが
本文:ゴンザレスなんてどうでしょうか?

武内P「……………………現在企画中です」

今回はここまでです

——1ヶ月後



トレーナー「1! 2! 3! 4! 1! 2! 3!4!」

千早「ふうっ……ふっ……!!」タッタッタッタッ

真「…………」タッタッタッタッ

雪歩「はあ……はあっ……!!」タッタッタッタッ

武内P『とりあえず、これからはダンスレッスンを中心にやっていただきます。後はダンスさえできるようになれば十分デビューできると思いますので』

雪歩(……よし、ダンスは苦手だけどデビューのためにもっと頑張らないと!!)

ガチャッ キイィィィ…

雪歩(……? 誰か入って来たのかな?)チラッ

武内P「……」ヌッ

雪歩「きゃあああっ!?」バターン

武内P「!!」

真「雪歩!?」

トレーナー「だ、大丈夫萩原さん!?」

雪歩「だ、大丈夫です……痛ッ」ヨロヨロ

武内P「大丈夫ですか!?」ガシッ

雪歩「あ、えっと……男の人……!!」ガクガク

真「あ、雪歩のトラウマスイッチが」

武内P「す、すいません!!」サッ

雪歩「きゃっ!?」バターン

武内P「ああっ!?」オロオロ

真「なんでそこでまた離しちゃうんですか!?」

トレーナー「と、とにかく落ち着きましょう!! ね!?」

千早「……色々とグダグダね」

武内P「本当に申し訳ありませんでした」ドゲザー

雪歩「ど、土下座なんて止めてくださいよプロデューサー! 悪いのは勝手に怖がって転んだ私なんですから!!」

武内P「しかし私が原因で萩原さんが怪我をしてしまったのは事実です」

真「まあ集中してなかった雪歩も悪いけどプロデューサーも追撃したし……どっちもどっちかな」

雪歩「ごめんなさいぃ……」

武内P「…………」

千早「氷持って来ました」ガチャリ

トレーナー「ありがとう如月さん。わざわざ雑用させちゃってごめんなさいね」

千早「いえ、私にできることはこれしか無かったので……というかいつまで土下座してるんですかプロデューサー」

雪歩「よいしょ……っ」ズキッ

トレーナー「無理はしないで萩原さん。まだ痛むんだったら無理して立っちゃダメよ」

武内P「……申し訳ありません」

真「プロデューサーは謝り過ぎ」

トレーナー「レッスン終了時間まで30分もありますけどこれからどうされますか? 流石に萩原さんを参加させることはできませんけど」

雪歩「うぅ……」

武内P「……如月さんと菊地さんはどうされますか?」

千早「私は別に……強いて言うなら最近ダンスレッスンばかりでしたので歌のレッスンがしたいです」

真「ボクはもう止めておい方がいいと思います。振り付けとかは全部覚えましたけど、やっぱり3人揃ってのレッスンじゃないと感覚がおかしくなっちゃいそうですから。それに……誰か1人でも欠けたままでレッスンするのは寂しいですし」

雪歩「真ちゃん……」

武内P「……では今日のレッスンはここで打ち切らさせていただきます」

トレーナー「わかりました」

武内P「一度事務所に戻りましょう。お話があります」

真「で、どうしたんですかプロデューサー? もしかしてボクたちのライブが決まっちゃいました? いやー困っちゃうなぁ!!」ワクワク

武内P「いえ、その……」

雪歩「ど、どうしたんですか?」

武内P「……一週間後に萩原さんたちだけでのミニライブを開くことになりました」

真「へ?」

雪歩「え?」

千早「は?」

『ええええええええええええええええ!?』

響「」ビクッ

ハム蔵「」ビクッ

貴音「……?」ズルズル

美希「Zzz……」

赤羽根P「向こうから羨ましい悲鳴が聞こえる……」

武内P「急なスケジュールで申し訳ありません。偶然、会場が来週の日曜日に空いていましたので」

真「か、かかかかかかか会場ってどこですか!? デパートの屋上とかですか!?」グイッ

雪歩「そ、それともデパ地下!? 地下アイドルなんですか!?」グイッ

千早「地下で歌うから地下アイドルと呼ばれているわけじゃないのよ萩原さん……」

武内P「ち、近いです菊地さん萩原さん」

真「あ……ごごごごめんなさい!!」ヒュバッ

雪歩「…………お、男の人!!」ヒュバッ

千早「萩原さん、あなたわざとやっているの?」

武内P「来週の日曜日の正午にイベントを開始。場所は池袋サンシャインで——」

真「池袋サンシャイン!?」

雪歩「い、池袋サンシャインってあの池袋サンシャインですよね!?」

武内P「え、ええ」

真「すごいよプロデューサー!! アイドルの聖地じゃないですか!!」

雪歩「で、でも私たちがそんなところでライブなんてしていいのかな……」

武内P「許可は取ってありますので問題無いかと」

千早「……そういう意味ではないかと」

ここまで。悩みすぎてあんまり書き溜めててもアレなので落ちる前に投下
外出先からの書き込みですのでIDが末尾Oですが>>1です

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