フィアンマ「俺様はこの世界を救う。学園都市の治安もな」 (142)

フィアンマ「俺様はこの世界を救う」

フィアンマ「とはいえ、どうしたものか。世界中で起こっている争いは簡単に根絶できるものではない」

フィアンマ「些か手荒な方法を使えば、俺様の右手で救済は行えるが……」

フィアンマ「その前に、やれることをやってみるとするか」

フィアンマ「まずは学園都市だ。科学サイドの核だけあって、その内情はほとんど知れたものではないからな」

フィアンマ「おいヴェント、テッラ、アックア」

ヴェント「何よ」

テッラ「私は美味しいパンを焼くのに忙しいんですけどねー」

アックア「うむ。今日も完璧な肉体美である。将来が楽しみである。私の」ムキムキ

フィアンマ「俺様は学園都市に渡る。少し留守にするぞ」

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テッラ「あなたが学園都市へ? 一体何のために? あっ、焦げてしまいました」

フィアンマ「世界を救うためには、世界の現状を知る必要がある」

フィアンマ「神の右席として世界の現状はほとんど把握しているが、一つ決定的に欠けている部分があるのでな」

ヴェント「それが、学園都市。ひいては科学サイドってことね」

アックア「なるほど。いい心がけである」ババッ

テッラ「あなたが空港のチェックをパスできるとは思えませんけどねー。……こんなパンをお客様にお出しするわけにはいきませんね」

アックア「無論違う方法で渡るのであろう」ビシッ

アックア「フィアンマならば一歩でどこへでも行けるのであるしな」バッ

ヴェント「おいそこの筋肉ダルマ、いちいちきめぇポージングとってんじゃねえ目障りだぶっ殺すぞ」

フィアンマ「……アックアの頭もいつか救ってやらねばならんかもな。まあいい、行ってくる」ブン!!

スタッ


フィアンマ「さて……と」

フィアンマ「しっかり『簡単安心 学園都市のあるきかた 大丈夫、ファミ通のガイドブックだよ』を持ってきている俺様に死角はないぞ」ペラ

フィアンマ「ここは……第七学区。随分賑わっている地区のようだ。いいポイントだな」

フィアンマ「よし、ではしばらくかけてこの街の在り様を……ん?」

チンピラA「っだコラァ!! っぞコラァ!!」

チンピラB「先っちょだけ!! 先っちょだけだから!!」

佐天「あーもうー、なんでいつもこうなるのよー!!」

フィアンマ「……いきなりだな。学園都市、大丈夫か?」

フィアンマ「まあいい。世界を救うならその前にまず目の前の人間くらい救わなくてはな」

チンピラA「っぞコラァ!! っだコラァ!!」

チンピラB「ふひひ、もう逃げられないなぁ?」

佐天「な、なんだかとってもピンチでーす!! 誰か助けてー!!」

フィアンマ「全く……相手はまだまだガキじゃないか、情けない」

フィアンマ「さて、それじゃあ……ん、待てよ?」

フィアンマ(よくよく考えてみたら、俺様が学園都市で表立って動くのはまずいかもしれん)

フィアンマ(まあ、俺様を知っている者などこの街にはいないだろうが、誰がどこから見ているとも限らん)

フィアンマ(と、なれば……)コッソリ

チンピラA「ひでぶっ!!」バタッ

チンピラB「ボリショイ!!」バタッ

佐天「え、なに!? なになに、一体何が起きたの!?」

佐天「なんでこの人たちいきなり倒れて……ああもう、風紀委員ー!!」

フィアンマ「よし、とりあえずあの女は救った。ひとまず戻るか」

フィアンマ「何か手段を考えねばな」

ヴェント「……で、その答えがこれってワケ?」

フィアンマ「そういうことだ」

アックア「最高であるな。憧れるのである」

テッラ「そもそもどうしたんですかそれ」

フィアンマ「科学と魔術、その双方の粋を結集させて作らせたものだ。これなら完璧だ」

アックア「羨ましいのである……」

フィアンマ「アックア、全てが終わった暁にはお前にもやらんでもないぞ。では俺様は再び学園都市へと立つ」

ヴェント「……もうやだこの神の右席」

テッラ「やはりクロワッサンは至高ですねー」

アックア「それよりテッラ、見るのである私のこの肉体美を。こいつをどう思うであるか?」

フィアンマ「よし、これなら……」


チンピラA「チョモランマッ!!」バタッ

女子生徒A「え……?」


チンピラB「マーキュリー!!」バタッ

女子生徒B「な、何が……あ、あなたは……?」


チンピラC「あべしっ!!」バタッ

男子生徒A「あ、ありがとうございます!! あの、お名前を……」


チンピラD「まっそー!!」バタッ

脳幹「危うくもふもふされるところだった。礼を言うよ、君」


兄「ゆんふぁー!!」バタッ

妹「お兄ちゃんー!?」イヤアアア

初春「知ってますか、佐天さん? 最近学園都市に困ってる人を助ける何者かが出没するって噂があるんですよ」

初春「どこからともなく現れて、困ってる人を助けて、どこかへと去っていく」

初春「そんな正体不明のヒーローの話です」

佐天「もっちろん知ってるよ。その話で最近ネットも持ちきりだもん」

黒子「……ヒーロー、ねぇ」

美琴「何よ、黒子。不満そうね。誰だか知らないけどいい人じゃない」

黒子「その行い自体は褒められたものですけれど、その方は何の後処理もせずに去っていくんですもの」

黒子「おかげで風紀委員は後処理に追われて大変ですの」

黒子「そもそも、そういった行為はわたくしたち風紀委員の仕事ですの」

佐天「でもさー、そのおかげで大勢の人が助かってるんだよ?」

美琴「そうよ、それに風紀委員じゃ間に合わないことだってあるでしょ」

黒子「まあ、それはそうなのですけれど……」

佐天「そういえば、あたしもちょっと前におかしな連中に絡まれちゃってさー」

佐天「その時、あたしは何もしてないのに突然その連中がばったりと倒れちゃったのよ」

初春「ど、どういうことですか?」

佐天「あたしにもよく分からないけどさ。今考えてみると……」

黒子「そのヒーローとやらの仕業かもしれない、と?」

佐天「そういうことです」

美琴「ふーん。困ってる人を助ける正体不明のヒーローかぁ」

初春「更に気になるのが、そのヒーローによって倒されたと思われる人の中にはレベル4の能力者も含まれていたんです」

初春「その人に絡まれていた人は、やはり突然倒れたと証言しています」

美琴「つまり、そのヒーローはレベル4をなんなく下せる力を持ってるってことか」

初春「です」

美琴「一度会ってみたいなぁ」

黒子「お姉様、お姉様は一般人なのですからくれぐれも余計なことに首を突っ込まないように」

美琴「わ、分かってるわよ」

佐天「風紀委員の方で何か分かってることとかないの、初春?」

佐天「っていうか、あたしの時は無理だったけど他の人は顔とか見てないの?」

黒子「残念ながら。その方はどうやら常にヘルメットのようなものを被っているようですので」

美琴「ヘ、ヘルメット?」

初春「はい。どうやら変装しているみたいなんです」

佐天「くぅ~。なんか魅かれるねぇ!! 俄然興味沸いてきましたよ!!」

初春「ヘルメットの他にも真っ赤な服やマントまで着ているそうで」

初春「当然、助けられた人たちの中には名前を聞いた人も少なくなかったそうです」

黒子「すると、そのお方は決まってこう答えるそうですわ」





黒子「――――――グレートフィアンマン、と」




美琴「ダッサ」

フィアンマ「これでいい。これで変装は完璧だ」

フィアンマ「そして何者かと聞かれたら、俺様はこう答える」

フィアンマ「俺様は、グレートフィアンマンであると」

フィアンマ「どうだ、この迸るセンス!! 隠しているつもりでも溢れてしまうな、俺様のセンスは」

フィアンマ「そして俺様に相応しい決めポーズも五時間練習した」

フィアンマ「いける……いけるぞ!! 俺様はグレートフィアンマンとして、世界を救う!!」

フィアンマ「はーっはっはっはっはっはっは!!」

フィアンマ「……それにしても、ヴェントの奴はこの素晴らしさが理解できていないようだったな」

フィアンマ「仕方ないか。俺様のセンスのレベルが高すぎて、ヴェントではついていけなかったのだろう」

フィアンマ「いずれ時代が俺様に追いつくだろう」

フィアンマ「さて、今日も今日とて学園都市だ」

フィアンマ「全く忙しいな、正義の味方というやつは」フフ

フィアンマ「……む? なんだ、あの屋台は?」テクテク

フィアンマ「おい」

店員「は、はい?」

フィアンマ「こいつは一体何だ?」

店員「ク、クレープですが……」

フィアンマ「クレープだと……? 面白い、一つもらおう」

>ッシャッシャッシター

フィアンマ「クレープ……噂には聞いたことがあるが……」

フィアンマ「……」ジー

フィアンマ「……」ツンツン

フィアンマ「!?」ビクッ

フィアンマ「……やわらかい、な……」

フィアンマ「……」スンスン

フィアンマ「……甘い香りだ」

フィアンマ「……」ドキドキ

フィアンマ「……!!」パクッ

フィアンマ「……!! こ、これは……!!」

フィアンマ「美味い!!」

フィアンマ「クソったれ、ヴェントたちの野郎クレープなんてもののことを黙っていたな」

フィアンマ「このクレープを世界に展開すれば世界の争いの五割は消えるだろう」フム

フィアンマ「さて、いつまでもこんなことをしている場合ではない。俺様は世界を救うのだから」

フィアンマ「……む、なんだあれは」テクテク

フィアンマ「たこ焼き……だと……?」フラフラ

フィアンマ「これがジャパニーズカルチャーか……いや、カルチャーオブジャパンか……」

フィアンマ「おい店員」

日雇いのバイト店員「何だ貴様。ぶっ殺されたいか」

フィアンマ「たこ焼きを一パックよこせ」

日雇いのバイト店員「それが人に物を頼む態度か? 礼儀ってモンを知らねぇようだな。その頭の中は空っぽってことか」

日雇いのバイト店員「テメェなんかに人権なんてものはねぇ。分かってくれたかなぁ、その動作不良の頭でも」

日雇いのバイト店員「テメェみてぇな落ちこぼれがどの面下げてここに立ってんだって話だよな。クズが。大体テメェからは全体的にダッセェオーラが漂ってやがる」

フィアンマ「……」

フィアンマ「……」

フィアンマ「……」

フィアンマ「……!!」ブッチィ

フィアンマ「俺様のセンスが……貴様などに分かるものかぁあああああああああああああ!!」ブン!

日雇いのバイト店員「ぎにゃあああああああああああ!!」ドガバキゴガグチャベチャピチャ

フィアンマ「戦利品としてたこ焼きはいただいていくぞ、落ちこぼれ」

フィアンマ「this is……じゃぱにーずTAKO-YAKI……」

フィアンマ「……」パクッ

フィアンマ「っ!?」

フィアンマ「あつ、あっつ、あっつ!!」アチチチ

フィアンマ「なんひゃひょののあちゅさは。ひゅわせるひひゃあひゅのひゃ?」

フィアンマ(……舌火傷した)

フィアンマ「俺様の右手の力でたこ焼きを食えないという試練を克服し、火傷も治療したが……」

フィアンマ「恐ろしい食べ物だったな。味はいいだけに、兵器としても転用できるかもしれん」ウム

フィアンマ「……む?」チラ


「どけどけぇー!!」ズギャギャ

「どけっつってんだよ!!」パッパァー


フィアンマ「なんだあの暴走車は。大方逃走中なのだろうが」


>ウワー!

>ニゲロ、ニゲロー!

>ヒカレルゾー!

>フン、ショセンソノテイドノスピードカ……

>ダレカアンチスキルヨベー!

フィアンマ「放置しておいては被害は避けられんだろう」ワクワク

フィアンマ「仕方あるまい」ソワソワ

フィアンマ「出陣だ」ドヤ

フィアンマ「へーんしーん!!」ポチ

シュン!

フィアンマ(実はこの腕時計についているボタンを押せばいつでも一瞬でグレートフィアンマンの衣装に変身が可能なのだ!!)

スタ

「う、うわっ!?」

「ああああっ!?」

ギャギャギャー!!

男A「な、なんだぁテメェは!! いきなり現れやがって!!」

男B「危ねぇだろうが!! 母ちゃんからもらった一つしかない命、大事にしやがれ!!」

フィアンマ「そんな無茶苦茶な運転をするな。危うく人を轢き殺すところだったぞ?」

男B「お、お前がいきなり目の前に現れたんだろうが!!」

男A「何者なんだテメェは!! 間抜けな格好しやがって、この変態野郎!!」

フィアンマ「くっくっく……」

男A「なーにいきなり笑ってんだよ」

フィアンマ「何者かと聞かれたら、答えてやるのが世の情け」テケテケ

フィアンマ「俺様は、悪は絶対に許さない正義の味方」ババッ

フィアンマ「グレートフィアンマンだ!!」バーン!

フィアンマ「これからは街中では安全運転をすると俺様に誓うんだな!!」

男A「……」

男B「……」

フィアンマ「……」


ヒュォオオオオ……


男B「……ぷっ」

男A「ぎゃーっはっはっはっはっはっは!!」ゲラゲラ

男B「く、はははははははははは!! わ、笑い死ぬ、笑い死ぬぅ!!」ゴロゴロ

男A「グ、グレートフィアンマン!! グレート、フィアンマン!! はっははははははは!!」バンバン

男A「格好もダッセェーが名前もダッセェー!! イカれてんぜこいつ!!」

男B「本物だぜこいつぁ!!」ゲラゲラ

フィアンマ「……」ビキビキ

フィアンマ「馬鹿にするなぁ!!」ドン!

バキ、ピシピシズガン!

男A(あ、あいつが地面を踏んだだけで何か光って……)

男B(ア、アスファルトの地面が……)

フィアンマ「一生懸命考えた名前だぞ!! 衣装も俺様のデザインだ!! この決めポーズは五時間練習した!!」

フィアンマ「それを……貴様らは……!!」ワナワナ

男A「す、すみません……よく考えたらすごくかっこいい名前でした……衣装も、ポーズも……」ブルブル

フィアンマ「だろう? 全く、気付くのが遅いぞ貴様」フフン

男B「これからは安全運転します……」ビクビク

フィアンマ(分かってくれた……!! この調子で俺様は世界を救うぞ!!)

黒子「風紀委員ですの!! これは一体何の騒ぎですの!?」

美琴「地面が割れてる……?」

フィアンマ(まずい、早々に退散だ。なにしろグレートフィアンマンは神出鬼没で正体不明の正義の味方なのだから)シュン

通行人「あ、風紀委員ですか?」

黒子「ええ、よろしければ何があったのかお聞かせ願えません?」

通行人「いやね、一台の暴走車が危険運転をしてたんですけどね」

通行人「そこに突然おかしな格好をした人が現れて、その暴走車を止めたんですよ」

通行人「いつの間にかどこかへ行ってしまったみたいですが……グレートフィアンマンとか名乗ってましたけど」ハテ

黒子「グレートフィアンマン……またですの」ハァ

美琴「ダッサ。ダッッサ」

ミコっちゃんはお子様志向なだけで、センス自体がおかしいわけではないのです(断言)

上条「ふっふふ、ふっふふ、ふっふっふーん♪」

上条「ふっふふ、ふっふふ……ん?」

女子生徒「こ、困ります……」プルプル

チンピラA「ウェヒヒ、まあいいじゃねぇか」

チンピラB「そーそー。いつかはちゃんと帰れるからさ」

上条「ったく……。路地裏の世紀末っぷりは変わんねぇな」ヤレヤレ

上条「はいはい、ちょっとすみませんねー」

上条「駄目だろー、勝手に離れたりしちゃー」グイ

女子生徒「え、え?」グイ

チンピラA「おいなんだテメェ」

チンピラB「いきなり入ってきてんじゃねぇよ」

上条「いやすいませんね連れが勝手に……」

チンピラC「お、なんだなんだ?」ゾロゾロ

チンピラD「誰だこいつ?」ゾロゾロ

チンピラE「ふぁーあ。眠ぃ」ゾロゾロ

チンピラF「あー、最近アメリカ兵殴ってねぇなー」ゾロゾロ

上条「あっ……」サッシ

上条「あーなるほど。あー、そう。こういう展開ね」ウン

チンピラA「この数に喧嘩売るんだ、そりゃあ大層な能力者なんだろうな?」

チンピラB「そのご自慢の能力とやらを見せてもらおうじゃねぇか」

チンピラC「自慢の能力(意味深)」

上条「……よし逃げろ!!」ダッ

女子生徒「え、なに――」グイ

上条「とにかく走れ!! 逃げるが勝ちだぜ!!」ダッ

チンピラD「逃げやがった!? 自分から出てきたのに!?」ダッ

チンピラE「とにかく追え!! 全力で走れ!!」ダッ

チンピラF「あーなんか今日本調子じゃないかも。なんか今日本調子じゃないかも」

>マテヤー!

>コラー!

>ヒットラエロー!

>クソ、ニガスナ!

上条「はっ、はっ、はっ、は……」ダッ

女子生徒「はぁ、はぁ、はぁ……。いつの、間に、あの人、たちの、姿が、見せませ、んね……」ハァハァ

上条「なんとか、撒いたみたいだな……。二人か三人程度ならともかく、どうしてあんなに群れてんだよ……」ハァハァ

「安心するがいい、お前たち。敵は殲滅しておいた」

上条「だ、誰だ?」

女子生徒「声……?」

フィアンマ「俺様だ」スタ

女子生徒「あなただったんですね!!」

上条「いや誰だよ」

女子生徒「知らないんですか? この姿は間違いなくグレートフィアンマンですよ!!」

上条「グ、グレート……? ああ、最近噂になってるっていうあの……」

フィアンマ「そうだ。世界一周どこへでも、呼ばれて飛び出て、グレートフィアンマンだ!!」バーン!

女子生徒「わー……!!」パチパチ

上条(……ど、どうしよう。おそろしくダサいんですが)

フィアンマ「俺様が来たからにはもう安心だ。お前たちを追う奴はいない。気をつけて帰ることだな」

フィアンマ(というよりよく見たらこいつ、幻想殺し……上条当麻ではないか。まあ、こういう時のための変装だ)

上条(信じられねー。一体どんなセンスしてるんだこの人……。ここまでダサくなるって逆に難しくないか?)

フィアンマ「時にそこの幻想殺し」

上条「え、はい?」

上条(あれ? なんでこのダサい人俺の右手のこと知ってるんだ?)

フィアンマ「俺様とお前は似た者同士だ。性能こそ異なるものの、特異な右手を保有している点も含めてな」キリッ

フィアンマ「お前ならば、必ずや俺様と並ぶほどのセンスの塊になれるはずだ」キリリッ

フィアンマ「凡百の者たちには到底追いつけない次元に、立てるはずだ」ドヤッ

フィアンマ「精進することだな。俺様は先にその領域で待っているぞ」シュン

女子生徒「ああっ!? グ、グレートフィアンマン様!? まだお礼がー!!」マッテー!

上条「……は?」

上条「……え?」

上条「俺とあれが、同レベってことですか?」ブルブル

上条「俺がいつか、あれみたいになるってことですか?」ガクガク


――上条『待たせたな!! 愛と正義と自由の戦士、グレートフィアンマンただいま参上!!』バーン!


上条(……あんな、馬鹿みたいな格好をして?)

上条(……あんな、クッソダサいポージングをとりながら?)

上条「う、うわああああああああああああああああああ!! そんなの絶対嫌だああああああああああああああ!!」ダッ

女子生徒「ああ!? だからちょっと待ってくださいってばー!!」

上条「嫌だ、嫌だ、それだけは絶対に嫌だあああああああああああああ!!」ダッダッ

上条「ぶごう”だあ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」イヤアアア

フィアンマ「やはり俺様の見込んだ男だったな」バッ

フィアンマ「あいつの秘めた潜在能力と可能性は凄まじいものがある」ババッ

フィアンマ「まさか俺様と同じレベルで世界を見ることができるかもしれん奴が他にもいたとは」バッ

マタイ「……フィアンマ、鏡の前で何をしているんだ?」

フィアンマ「見て分からんのか。ポージングの鍛錬だ」

フィアンマ「日々の弛まぬ鍛錬こそが俺様を更なる高みへ導く」

フィアンマ「うかうかしていてはあの幻想殺しのセンスに追い抜かれてしまうかもしれんからな」

マタイ「嬉しそうだな。最近ずっと何度も何度も変身して」

マタイ「しかし、そのおかしな格好は一体なんだ? もっと別のものはなかったのか?」

フィアンマ「おかしな……?」ピクッ

フィアンマ「やれやれ、お前のセンスも耄碌したな。年はとりたくないものだ」ヤレヤレ

フィアンマ「こうも素晴らしいというのに、それが理解できんとは。哀れみさえ覚えるぞ」

フィアンマ「あの幻想殺しは、上条当麻は、この素晴らしさを理解できていたというのに」ハァ

フィアンマ「もう一度その未熟なセンスを一から研磨し直すことだ。ではな」スタスタ

マタイ「……フィアンマ。むしろ私は、お前に哀れみを覚えるぞ」ポロリ

マタイ「大丈夫だ、フィアンマ。信じる心さえ失わなければ、主はきっとお前をも救ってくださる」ポロポロ

上条「……ただいま」グッタリ

インデックス「おかえりとうま。……どうしたのかな、そんなに疲れた顔で」

上条「……いや……大丈夫だ……」

上条「大丈夫だ気をしっかり持て俺だって俺は小指の甘皮ほどもあれをいいとは思ってないだから俺は大丈夫だ」ブツブツ

インデックス「何をぶつぶつ言ってるのかな。変なとうま」

インデックス「それよりとうま、さっきてれびーが言ってたんだよ!!」

インデックス「最近ぐれーとふぃあんまんっていうヒーローが出没してるって……」

上条「ぎゃああああああああああああああ!! 俺を洗脳するなインデックスうううううううううううううう!!」ゴロゴロ

>ドン!
>ウルセーゼヨカミヤン!

インデックス「おかしなとうまは放っといて、ふれーとふぃあんまんってカナミンみたいなものかな」

インデックス「ねー、スフィンクス」

スフィンクス「せやな」ナァー

フィアンマ「グレートフィアンマンの朝は早い」

ヴェント「……ううう……。あと五分……」ムニャムニャ

フィアンマ「そう言って本当に五分後に起きる奴はいない。さっさと起きんと……」ゴソゴソ

フィアンマ「この特製ワサビをお前の鼻の穴に詰め込み、目の周りにたっぷり塗りたくるぞ?」

ヴェント「やめろぉ!!」ガバッ

フィアンマ「よし、起きたな」

ヴェント「クッソが……。マジでこいつ早く死なねぇかな……フリーダムすぎんぞ……」ゴシゴシ

フィアンマ「もう朝食ができる。早くしろ」スタスタ

ヴェント「ふわぁーあ……。さて、もう一眠り……」モゾモゾ

フィアンマ「したら、お前の寝顔に油性ペンで落書きしそれを撮影した後、ネットにアップするぞ?」

ヴェント「だからやめろって!!」ガバッ

テッラ「フィアンマ、ヴェントの様子はどうです?」ジュー

フィアンマ「もう降りてくるだろう。それにしても相変わらずいい焼き加減だな、お前の目玉焼きは」

フィアンマ「ところでアックアの奴はどうした?」

テッラ「一万キロメートルランニング中です。そのあとに筋トレをしてから朝食を摂ると」

テッラ「全く、折角のご飯も冷めてしまいますねー」ヤレヤレ

フィアンマ「あの筋肉ダルマにはバッタでも食わせておけ。俺様たちで全部食ってしまおう」

ヴェント「あー眠い……」テクテク

テッラ「おはようございますヴェント。丁度トーストも焼きあがったところですし、いただきましょうかねー」

フィアンマ「よし、ではいただこうか」

フィアンマ「中々の味だったぞテッラ。では俺様は学園都市へと向かうか」

ヴェント「また行くの? アンタも飽きないねぇ」

テッラ「昼食はどうします? とびきりのパンを作る予定なんですがねー」

フィアンマ「そいつは次の機会にしておこう。ではな」シュン


スタ


フィアンマ「さて、学園都市に着いたな。朝食を食べたばかりではあるが……」

フィアンマ「以前に食べたたこ焼きやクレープ……この街にはまだまだ素晴らしい食料が溢れていそうだ」テクテク

フィアンマ「さてどんなものが俺様を待っているやら」テクテク

小萌「えーん、遅刻しちゃいますー!!」ワタワタ

フィアンマ「なんだ、子供か?」

小萌「目覚まし時計が壊れてるなんてあんまりなのですよー!! 昨日買いなおしたばかりなのにー!!」ウワーン

フィアンマ「この口調、覚えがある……。お前……」

フィアンマ「テッラ!?」

フィアンマ「何故だ、何故テッラがここに……」

フィアンマ「おい、そこのお前?」

小萌「ふぇ? 先生のことですかー? 申し訳ないですけど、先生は今ちょっと忙しくてですねー……」

フィアンマ「おいテッラ、何故お前がここにいるんだ? その変装は一体なんだ?」

小萌「テ、テッラ? 何のことですかー?」ハテ

フィアンマ「何をとぼけている。お前一体どこへ行こうとしていたんだ?」

小萌「あ、そ、そうなのですー!! 急がないと学校に遅刻しちゃうのですよー!!」アセアセ

フィアンマ(学校……小学校か。しかし、一体何故テッラがそんなところに……)

フィアンマ(いや、待てよ……ハッ!?)コテリン!

フィアンマ(そうか、分かったぞ!!)

フィアンマ(テッラには女装癖があったということか!! それも、幼い少女になることで快感を覚えるタイプだ!!)

フィアンマ(普通の女になっただけは物足りんということだな……。なるほど、得心がいったぞ)

フィアンマ(おかしいとは思っていたんだ。パン屋を経営したいと語った時のテッラのつぶらな瞳、あの料理の腕といい全般的な女子力の高さ)

フィアンマ(今、全てが一本の線で繋がった!!)

フィアンマ「おいテッラ」

小萌「だから先生はそんな名前ではないのですよー!!」

フィアンマ(ここまで来て、尚やめるつもりはないということか、半端な覚悟ではないな)

フィアンマ(見上げた根性だテッラ)

フィアンマ「学校に向かうのだろう? 俺様が連れていってやる。場所を教えろ」

小萌「え?」

フィアンマ「いいから早く教えろ。さもないとお前の読んでいる本の栞を全て違うページに挟み直すぞ」

小萌「え、ええと……すぐ近くの高校なのですけど……」

フィアンマ(高校? 小学校ではないのか?)

フィアンマ(なるほどな……。テッラめ、只者ではない)

フィアンマ(こいつはただの女子小学生になったのではない。その姿で高校に向かうということは)

フィアンマ(小学生が高校に入れば当然人目を引く。声をかけてくる者も少なくないだろう)

フィアンマ(テッラは、それによるスリルに激しい快感を覚えているんだ)

フィアンマ(知らなかったぞテッラ。お前がここまでの変態だったとは)

フィアンマ「まあ、趣味思考は人それぞれだ。個人の趣味の範囲であれば俺様はとやかく言うつもりはない」

フィアンマ「さて、地図によると近くの高校は一つだけだな。では行くぞ」シュン

小萌「え、い、行くってどk」シュン

フィアンマ「到着だ」スタ

小萌「えー!? 一体何が起こったのですー!?」ワタワタ

フィアンマ「何を慌てているテッラ。お前は何度も見ているだろう」

小萌「だから先生はそのテッラという人ではないのですよー!!」

小萌「空間移動能力者さんなんですー? まあ、何にしても助かったのですよー。ありがとうございますです!!」

フィアンマ「うむ。テッラ、ほどほどにしておけよ」シュン

小萌「だーかーらー!!」プンプン




スタ


ヴェント「フィアンマ。お早いお帰りじゃない」

テッラ「どうしたんですかねー?」

フィアンマ「!?」

フィアンマ「テッラ!? お前、何故ここに!?」

テッラ「何を言っているのですかフィアンマ。私はずっといましたよ?」

フィアンマ(まさか……テッラは1と0では現せない領域に踏み込んだとでも言うのか!?)

フィアンマ(女装癖も極まると頂点の領域に届くのだな……)ゴクリ

小萌は。体内時計がとてつもなく正確だから。家には時計の類いを持たないはず。

>>49
言われてみるとそんな設定あったなと
果たしてあの設定はまだ生きているのか

色々とあれだけど、やっぱり魔術師としては優秀なフィアンマさんの回

フィアンマ「い、いや……なんでもない……」

フィアンマ(テッラめ……恐ろしい変態だ……)

フィアンマ「で、では俺様は再び立つ」シュン

ヴェント「……なーんか様子がおかしかったわね」

テッラ「なにやら私のことを気にしていたようですが……抱かれたい男ナンバーワンの私の魅力に気付いたんですかねー」フフン

ヴェント「……ちょっとやめて、今本気で鳥肌立ったから。大体どこからの情報だよそれ」ウワ

テッラ「私調べですが?」

ヴェント「テメェのクッソキメェ妄想じゃねぇか!! 神の右席でまともなのは私だけか!?」

テッラ「『ブサメンを上位に、イケメンを下位に』」

ヴェント「できんのかそれ!?」

フィアンマ「学園都市へと戻ってきたはいいが……いやしかし、まさかだな」

フィアンマ「テッラの女装癖……しかも幼い少女になることが趣味。そしてそれを公衆に見せつけることでスリルを快感として味わう」

フィアンマ「アックアは自分の将来が楽しみだとか言っているし、ヴェントは原作のロシア編で俺様に舌を裂かれてから全く登場しない」

フィアンマ「まともなのが俺様だけとは……神の右席、大丈夫なのか?」

フィアンマ「とりあえず変身だ。俺様のセンスを再確認することで、今後神の右席を建て直す方針を決めなければ」ヘンシン

フィアンマ「……ん? あれは……?」

風斬「……」テクテク

フィアンマ(一見するとただの女に見えるが……そうではない。俺様の目は誤魔化せんぞ)

フィアンマ(あの女からは人間らしい生気が全く感じられん。生身の人間とは思えんほどに)

風斬「……?」

フィアンマ(……確かに、魔術サイドにしても魔術生命体というものは存在する)

フィアンマ(実際、イギリス清教の聖人がそれに関わる案件を扱っていたようだし……)

フィアンマ(まああれはブリュンヒルド=エイクトベルというワルキューレが裏で手を引いていたようだが)

風斬(あの人、じっと私を見てる……何かしちゃったのかな……ていうか、すっごくダサい……)

フィアンマ(尤も、魔術生命体を研究する酔狂な魔術師などもはやほとんど存在せんが)

フィアンマ(しかし端的に言って、あの女が人間であるとは思えん)

フィアンマ(だが同時に僅かな挙動を見るにあの女は独自の思考回路を持っていると考えられる。人間としての感情も)

風斬(な、なんだかすっごく睨んでる気がする……あ、謝った方がいいのかな……?)

フィアンマ(これは魔術生命体と共通する性質だ。科学的に生み出された、人の紛い物と言ったところか?)

フィアンマ(この街には特殊な力場が満ちているし、それを使ったものなのかもしれんな)

フィアンマ(とはいえ、生まれ方がどうであれ人間と変わらん性質・感情を持っているのであればそれは人間として扱うべきではあるだろう)

フィアンマ(というかあの女、ずっとこちらを見ているな。何のつもりだ?)

風斬「あ、あの……」

フィアンマ「む?」

風斬「な、何か……?」

フィアンマ「なんだ、用があるならはっきり言え」

風斬「ひぅ……い、いや、その……ですね……」

フィアンマ「いや、待てよ……そうか、お前の目的が読めたぞ」

フィアンマ「ははは、いいだろう。かかってくるがいい」ボウッ

風斬「きゃっ!?」サッ

フィアンマ「隠しているつもりだろうが、お前の力が俺様には分かるぞ。どうした女、そんな程度じゃないだろう」

フィアンマ「ナッパの奴を倒した時はこんなものじゃなかったはずだ。見せてみろ」

風斬(な、菜っ葉……? っていうか、なんか分からないけどこのままだとやられる……)

風斬(喧嘩は嫌だけど……仕方ない)カッ

フィアンマ(科学の天使と言ったところか……。しかし、変身。やはりな)

フィアンマ「だが、お前には圧倒的にセンスが足りんのだ!!」ブン

風斬「え、何――」バタッ

フィアンマ「33-4。ウィナー、俺様。勝因? 格の違いと言いたいところだが、実際はセンスの違いだろうな」

フィアンマ「超サイヤ人の紛い物ではな……」

フィアンマ「その程度のセンスで俺様に、グレートフィアンマンに取って代わろうなどとは笑わせる」

フィアンマ「大方、大活躍する俺様を妬むあまり俺様を倒し、あの超サイヤ人のような変身を使って俺様に代わるヒーローになろうとしたに違いないが……」

フィアンマ「道場破りのようなものか。仕方ない、ヒーローを妬む者はいつの世にもいるものだ」

フィアンマ「人間とは、かくも醜い生き物か」

フィアンマ「しかし初対面にも関わらずいきなり戦いを仕掛けてくるとは」ハァ

フィアンマ「曲がりなりにも人間と変わらん存在であるなら、もう少し常識というものを身に着けてほしいものだな」ヤレヤレ

黒子「ついに見つけましたわよ、グレートフィアンマン」シュンシュン

フィアンマ(この女……瞬間移動? いや、違うな。消えてから現れるまでほんの僅かだがタイムラグがある)

フィアンマ「何者だ?」

黒子「風紀委員ですの」スタ

フィアンマ「それはあれか? アルケイディアの、特殊騎士団の……」

黒子「それはジャッジですの。それより、この倒れている女性についてお話を伺いたいのですが」

フィアンマ「俺様を妬んだ道場破りを撃退しただけだが?」

黒子(何言ってんですのこいつ)

黒子「ええとですね、グレートフィアンマンさん。すぐそこにある監視カメラに事の一部始終が映っているんですの」

黒子「それでですね、その映像をわたくしの同僚に送ってもらってですね。これを見ると、どう見ても先に手を出したのはあなたですの」

フィアンマ(何言ってるんだこいつ)

フィアンマ「まあそういう風に見えたかもしれんな、素人には。大体正義のヒーローが嘘をつくはずがないだろう」

フィアンマ(俺様を妬みその座を奪おうとしていたのはあの女だからな)

黒子(駄目ですのこいつ、手に負えませんわ)

黒子「……とにかく明確な証拠がある以上、あなたには風紀委員支部までご同行願いますわ。これは任意ではありませんの」

黒子「その後取調べの後、アンチスキルへ引き渡します」

フィアンマ「何の用だ? え? テッラがキモいだと? そんなことは今に始まったことではないだろう」モシモシ

黒子「って聞いてませんの!? 何こんな状況で電話なんてしてるんですの!?」ガビーン

フィアンマ「アックアが汗臭いのもいつものことだぞヴェント。消臭力を購入しておいたはずだが」

黒子「弁当……? なるほど、とりあえず休憩して弁当でも食べようと言うんですのね。こんな時に暢気な方ですの……」ハァ

フィアンマ「ああ、ではな。……さて。話を元に戻すが、やはりラーメンの命はスープだ。俺様としてはあっさり醤油味が……」

黒子「何の話をしてるんですの!? ええい、もういいですの!! 連行します!!」

フィアンマ「カツ丼の味は濃い目で頼むぞ」

黒子「シャラップッ!!」シュン

黒子「さて、そんなわけで第177支部まで来たわけですが……」

初春「あ、あなたが……グレートフィアンマン……」ワー

固法「初春さん、感動してないでよ……とにかく。そのヘルメット、外してもらえる?」

フィアンマ「世の中には、謎のままにしておいた方がいいこともある」

黒子「同意ですわ。もっともあなたにそれは当て嵌まりませんけれど」

フィアンマ「そうやってお前は人の夢を奪うのか?」

フィアンマ「グレートフィアンマンは正体不明のヒーローだからこそ愛される存在」

フィアンマ「それを無理に暴こうとすれば、待っているのはゲコ太の中身を目撃してしまったフェブリの悲劇だ」

初春「な、なるほど……たしかに子供の夢を壊すのは良くないですね!!」

固法「納得しないでよ初春さん……」ハァ

黒子「……では、一度質問を変えます。先ほどの電話のお相手はどなたですの?」

フィアンマ「ヴェントだ」

固法「弁当?」

フィアンマ「いや、弁当ではなくヴェント……ん? 弁当だったか?」ハテ

初春「ヴェント、さん? 外国の方ですかね」

フィアンマ「弁当で思い出したが、カツ丼はまだなのか?」

黒子「……そのヴェントさんとお話はできますの?」シカト

黒子(この方と話していても埒が明きませんし)

フィアンマ「なんだ、ヴェントと話したいのか? まあいいだろう」ホレ

黒子「お借りします……あ、もしもし? わたくし、日本の学園都市の……」

ヴェント「ええっ!? フィアンマが!?」

アックア「どうしたのであるか? 大声を出して」ツーン

テッラ「何かあったんですかねー。それとあなたはさっさとシャワーを浴びてください」クセェ

ヴェント「はい、はい……分かりました、すぐにそちらへ向かいます」

ヴェント「はい、本当に申し訳ありません、うちのフィアンマが……」ペコペコ

アックア「電話越しに頭を下げているが、あれは日本の文化であるか?」

テッラ「でしょうかねー。にしてもフィアンマは一体何をやらかしたんでしょう。それとちょっと離れてください」サッ

ヴェント「はい、では……」ガチャ

テッラ「ヴェント、フィアンマが一体どうしたと言うのですか?」

ヴェント「……あの野郎」プルプル

ヴェント「あっのクソ野郎ォォおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!! 殺す、殺す、絶対殺す!!」

ヴェント「面倒なことしでかしやがってクソが……!!」

フィアンマ「どうしたヴェント、そんな大声をあげて。喉を痛めるぞ?」シュン

ヴェント「おわっ!?」ビクッ

アックア「フィアンマ、突然現れるのはやめろと言ったはずだ。私の繊細な心がびっくりしてしまうのである」

テッラ「どうしてフィアンマがここに?」

フィアンマ「いやなに、白黒テレビみたいな奴がヴェントと会おうとしていたのでな。俺様が連れてくることにした」

アックア「一体何者であるかそいつは……」

ヴェント「フィアンマテメェェエエエエエエエエ!! 馬鹿かテメェ、馬っ鹿かテメェは!!」ガァアアア

ヴェント「魔術師が学園都市内で暴行沙汰起こして、しかも捕まってんじゃねぇよ!! アホか死ね!!」ギャース

フィアンマ「俺様は暴行など起こしておらんよ。ただ道場破りを撃退しただけだ」シレッ

フィアンマ「まあ、お前なら話せば分かるだろう。それより、一向にカツ丼が出てこないのだがお前からも何か言ってやってくれ」

ヴェント「今この時ほどテメェを天罰術式で始末できないのを悔しく思ったことはないわ」チクショウ

フィアンマ「そういえば。ヴェント、お前も正体がバレんようにこういうコスチュームを着なければな」

ヴェント「着るかッ!! 私は別にバレてもいい!! 大体学園都市で誰にバレるってんだ!!」

フィアンマ「格好いいのにな……」シュン

フィアンマ「ヴェントを連れてきたぞ。カツ丼はできたか?」スタ

ヴェント「ああ、来ちゃったよ学園都市……」スタ

黒子(ヴェントさんも、グレートフィアンマンには負けますがえらく奇抜なファッションですの……)

黒子(というより、テレポーター? あの映像では炎を出していたような……)

美琴「うわ、うっわ。この人がグレートフィアンマン? 驚愕のダサさね。突き抜けてるわ」オジャマシマス

初春「そ、そこまでではないと思いますけど……」

固法「いや、たしかにダサい。っていうかものすごくダサいわ」

フィアンマ「ふっ、お前たちのようなケツの青いガキには理解できない領域というものがあるのだ」フフン

美琴「な、なんですって!? そんなダッサい格好して!! よくそんなダッサい姿で外歩けるわね、そんなダッサい姿で!!」

ヴェント(よく言ってくれたそこの女!! なんとかしてフィアンマのイカれたセンスを正してくれ!!)

ヴェント(そしてあのクソダッセェ格好をやめさせてくれ、頼む!!)

美琴「そのヴェントって女の人も呆れた顔してるじゃない!!」

フィアンマ「黙れ小娘!! お前に世界が救えるか!!」クワッ

美琴(何言ってんのこいつ)

固法(何言ってんのこの人)

黒子(何言ってんですのこいつ)

ヴェント(何言ってんだこいつ)

初春(カツ丼、作った方がいいのかな……)

海原「本当に自分の御坂さんのお尻が青いかどうか、自分が確認してもいいですか?」ヌッ

風斬「……う、ううん……? ここは……」モゾ

黒子「あ、目が覚めましたのね。ここは風紀委員支部ですの」

ヴェント「その女がフィアンマがボコボコにしたっていう? オラ早く謝れやダサンマ」オラオラ

フィアンマ「だが断る。道場破りに語る言葉はない」

風斬「ど、道場破り……?」

風斬(というか、私やられたの……? 何が起きたのかも分からない内に……?)

風斬(この人、すっごくダサいけどおそろしく強い……ものすごくダサいけど……)

初春「そ、その道場破りってどういう意味なんですか?」

ヴェント「っていうか道場破りって何よ?」

固法「レッツグーグル」

フィアンマ「この女がグレートフィアンマンの大活躍ぶりを妬んでな。俺様を倒し、それに代わるヒーローになろうとしたのだ」

風斬「えっ」

美琴「いやないでしょ」

固法「ないわね」

ヴェント「ねえわ」

黒子「風斬さん、ですわよね。一応、念のため、確認しておきますけれど今の話は本当ですの?」

風斬「……意味が、分かりません……」

黒子「……ですってよ、グレートフィアンマンさん?」

ヴェント「全部テメェの勘違いじゃねぇかビチクソ野郎!! 死ね!!」

初春(そこまで言わなくても……)

フィアンマ「……お前は道場破りではなかったのか? それは、まあ、悪かったな」ウン

風斬「いえ、それはいいですけど……」

ヴェント「ちゃんと頭下げろや!! 鉄板の上で土下座しろ、そんで死ね!!」

美琴「ダサいけど、思ったより素直に謝ったわね」

黒子「ですわね、間違いなくダサいですけれど」

固法「まあ、すごくダサいけど、当人である風斬さんがいいと言うのならとりあえずこの件は……」

フィアンマ「そんなことよりカツ丼出せよ!!」カッ

黒子「」イラッ

ヴェント「あークソ、テメェの余計な一言のせいで散々私が謝り倒すことになったじゃねぇか……」グッタリ

フィアンマ「カツ丼が出なかった……これも、四大属性の配置が歪んでいる弊害か……」ブツブツ

ヴェント「テメェの頭が歪んでんだよ死ね」

ヴェント「……とにかく、今日はもう帰るぞ」

フィアンマ「……ああ」シュン

フィアンマ(カツ丼……)


「……」

「……グレートフィアンマン……ふっ」

垣根「……で、本当にお前じゃねぇの?」

白垣根『だから違いますよ。分かるでしょう?』

垣根「まあ、お前は俺だからな。あんな腐ったセンスを持ってるとは考えたくなかったが」

垣根「でもお前もカブトムシとして都市伝説になってんだぞ。知ってんのか?」

白垣根『知ってますけど、グレートフィアンマンなんてセンスは流石に……』

垣根「だよな……ああ、じゃあな」ピッ

垣根「やっぱりあいつじゃねえってよ」

心理定規「あらそう。アテが外れたわね」

ゴーグル「しかし上もあんな天元突破のダサい奴の正体を調べてどうするつもりなんスかねぇ」

垣根「さてな。そいつは分からねえが……分かるのは」

心理定規「あの変態野郎のセンスと頭がイカれてるってことくらいね」

一方通行「……今までで一番舐めた仕事だなァオイ」

海原「グレートフィアンマンの正体、ですか」フム

土御門「全く上の意図が読めんが、仕事は仕事だからな」

結標「超どうでもいいわ。それよりそろそろ小学校の下校時間だから帰るわね」シュン



浜面「グレートフィアンマンねぇ……」

麦野「誰だその馬鹿」

滝壺「ぐれーとふぃあんまん……ふれめあが話してたやつだよね」

フレメア「にゃあ、大体その通り。正義のヒーローグレートフィアンマン、にゃあ」

絹旗「超胡散臭さ100億パーセントなんですがそれは」

フレンダ「結局、どうでもいいってわけよ」

エイワス「……グレートフィアンマン、か……ふふ、悪くないセンスだ」

エイワス「彼の噂はもはや学園都市に留まらず世界中にまで広がっている」

エイワス「アレイスター、君が気にするのも頷けるよ」

アレイスター「グレートフィアンマン……一体何の右席の何ンマなんだ……?」ゴクリ



美琴「いやー、面白いもの見たわね。まさかあんなダサいのが実在するとはね」テクテク

美琴「何の冗談かと思ったわ。まあ、あんなダサいのは世界広しと言えども流石にあいつくらい……ん?」

妹達×4「……」

美琴「ど、どうしたのアンタたち、こんなとこで四人も集まって」

「――ミサカ!!」ババッ

「ミサカ!!」シュババ

「ミサカ!!」バッ

「ミサカ!!」ビシッ


「「「「五人揃って、ミサカ特戦隊!!」」」」バーン!!

美琴「……」

ミサカ10032号「……」

ミサカ10039号「……」

ミサカ13577号「……」

ミサカ19090号「……」


ヒュォオオオオ……


美琴「……」

ミサカ10032号「……」

ミサカ10039号「……」

ミサカ13577号「……」

ミサカ19090号「……」

美琴「……」

ミサカ10032号「……」

ミサカ10039号「……」

ミサカ13577号「……」

ミサカ19090号「……」

美琴「……」

10039号「説明しましょう、とミサカは涙目で進言します」ズイ

美琴「助かるわ。うん、なんかごめんね? 全体的に」ウン

御坂妹「ミサカ特戦隊とは、全てのミサカの中でも選りすぐりのミサカによって構成された戦隊です、とミサカは涙を堪えながら説明します」

13577号(まあ実際のところ単に学園都市内にいるメンバーから選んだだけなのですが、とミサカは泣きそうです)

19090号「せっかく、たくさん練習したのに、とミサカは……」グス

美琴「いや、ほら、その、ごめんね?」

美琴「ええと、うん、その特戦隊だけど。アンタたちは四人しかいないのに、どうして『五人揃って』なの?」

美琴「いやね、まあ考えたくはないんだけどさ。お願いだから外れてくれないかな私の予想」

13577号「よくぞ聞いてくれました、とミサカは胸を張ります」フンス

19090号「ミサカたちがミサカ特戦隊を結成する際、やはり隊長が必要だという案が出ていました」

10039号「だから考えたのです。全ミサカの中で隊長に相応しい、一番のミサカは誰かと」

御坂妹「そう、それはオリジナルにして全てのミサカのお姉様であるあなたしかいない!! とミサカは満場一致で決定したことをお知らせします」

美琴「……」

御坂妹「……」

10039号「……」

13577号「……」

19090号「……」

美琴「……」

妹達「……」グス

御坂妹「ううう……ミサカたちの生きる目的を探すのを手伝ってくれるというあの言葉は嘘だったのですね、とミサカは……」

19090号「や、やっぱりミサカたちはクローンでいくらでも代わりの利く……」

美琴「あー!! 分かった分かったわよ!! そういうの持ち出すの反則!!」

美琴「しょうがないわね、お姉ちゃんなんだし隊長だかなんだか知らないけどやってあげるわよ!!」ドウニデモナーレ

10039号「その言葉が聞きたかった、とミサカは勝利の余韻に浸ります」

13577号「来た、見た、勝ったッ!! とある魔術の禁書目録及びとある科学の超電磁砲、とある科学の一方通行完結ッ!!」

美琴「何がどうしてこうなったの……」ハァ

19090号「全ての始まりは巷で噂のあのグレートフィアンマンです、とミサカは種明かしします」

御坂妹「あれをたまたま目撃しまして、格好いいなって思ったのがきっかけです、とミサカは語ります」シミジミ

美琴「あいつのせいかァァアアアアアア!! いっぺんぶん殴るッ!!」ギャース


そのころ……

「……グレートフィアンマンの仲間にしてほしい」

フィアンマ「……ほう。では、面接を開始する」ニヤ

御坂妹「ミサカ!!」ババッ

ミサカ10039号「ミサカ!!」シュババ

ミサカ13577号「ミサカ!!」バッ

ミサカ19090号「ミサカ!!」ビシッ

美琴「み、みさか……///」

「「「「五人揃って、ミサカ特戦隊!!」」」」

御坂妹「駄目ですよお姉様、もっとちゃんと発声しなければ、とミサカは訴えます」

13577号「その通りです、とミサカは同意します。ポーズにもまだキレが足りません」

10039号「恥じらいを捨てるのです、何も恥ずかしいことなどありません、とミサカはお姉様を鼓舞します」

19090号「無心になるのです。恥さえ捨てれば、お姉様はきっとなれるはずです、超ミサカ人に、とミサカは説得します」

美琴「ね、ねえ、やっぱりこんなのやめにしない? こんなの絶対おかしいよ……」

御坂妹「何を言っているのですかお姉様、お姉様には隊長として頑張っていただかねば、とミサカは語ります」

13577号「ミサカたちは調整があるので一旦戻りますが、お姉様は是非スペシャルファイティングポーズの練習を、とミサカは進言します」デハ

妹達「」ゾロゾロ

美琴(ど、どうしよう……安請け合いしちゃった……)

美琴(一体どうすればいいのか、私の演算能力でも分からないわ……)

美琴「で、でも、やるって言っちゃったし……よし……」

美琴「み……」

美琴「み……」

美琴「ミサカ!!」ババッ

美琴「五人揃って、ミサカ特戦隊!!」バーン!

美琴「……」

美琴(……なんだこれ……)

上条「……」

美琴「死にたい……」

上条「……」

美琴「……」

美琴「えっ」

上条「うわ……グレートフィアンマンと同レベの奴がいた……」ドンビキ

上条「マジか……うわぁダセェ……」ドンビキ

美琴「いやねえ違うのちょっと待ってほらわけが分からないよこれには事情がね」ペラペラ

上条「俺は絶対あんな風にはならない、改めて心に誓った」ウン

美琴「だから違うんだってばぁー!!」ウワーン!

フィアンマ「では、面接を開始する」

「ああ」

フィアンマ「……言葉遣いがなっていない。それに手は膝の上、座っていいと指示があるまで座らんのが常識だ」

フィアンマ「不合格だ。帰っていいぞ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!! いや待ってください!! もう一度、もう一度だけチャンスを!!」

フィアンマ「……仕方のない奴だ。特別だぞ」

フィアンマ「では、まず名前を聞こうか」

「オティヌスだ……です」

フィアンマ「何か資格はあるか?」

オティヌス「死角だと? そんなものは……あ、ありません。無敵です」

フィアンマ「特技は主神の槍とあるが?」

オティヌス「あ……は、はい。主神の槍だ……です」

フィアンマ「主神の槍とは、あの?」

オティヌス「はい。北欧神話の主神オーディンの持っていたとされる武器です。絶対に命中します」

フィアンマ「それが、グレートフィアンマンとして活動する上でどうメリットを生み出すと考える?」

オティヌス「はい、敵が襲ってきても(世界ごと)倒せます」

フィアンマ「いや、そんな輩は俺様が叩き潰す。それに世界を救うために活動するのがグレートフィアンマンなのだぞ」

オティヌス「で、でも、必ず命中する……しますよ」

フィアンマ「いや、命中するとかしないとかそういう話ではなくてだな」

オティヌス「色々フィルターも弄れますよ」

フィアンマ「ふざけるなよ。大体フィルターとは何のことだ。うちのエアコンは好調だぞ」

オティヌス「位相です。異世界とも言います。異世界というのはアースガルド、冥府、浄土、ニライカナイなど……」

フィアンマ「そっちの宗教概念フィルターか。もういい、帰っていいぞ」

オティヌス「あれあれ? 怒らせていいんですか? 投げますよ、主神の槍」

フィアンマ「いいぞ。投げてみろ、主神の槍を。それで満足したら帰れ」

オティヌス「運がよかったな、まだ主神の槍は作れないようだ」

フィアンマ「そりゃお前は主神の槍を持ってないし、作るにしても設計図も知らないし50パーセントの確率で自滅するからな。というわけで、帰れ」

オティヌス「面接結果は……?」

フィアンマ「不合格だ。今の会話の流れでそう聞けるお前は素直にすごいと思うぞ」

オティヌス「いや、いや。お前は最も大切なことを私に確認していない」

フィアンマ「というと?」

オティヌス「グレートフィアンマンになりたがる理由だ」

フィアンマ「そんなに聞いてほしいのか。まあ、確かに忘れていたな」

フィアンマ「では聞いてやろう。お前は何故グレートフィアンマンを目指す?」

オティヌス「お前を、グレートフィアンマンを見て、その格好良さ、他を寄せ付けぬ圧倒的なセンスの良さに心奪われたからだ」

フィアンマ「合格だ。お前を採用する」モンダイナイ

オティヌス「ついにか……」シミジミ

フィアンマ「まずは衣装選びだ。お前のその服装では通報されてしまうからな、この露出狂め」

オティヌス「う、うるさいな!! どうだっていいだろう!!」

フィアンマ「グレートフィアンマンとしての衣装は決まっている。お前のは俺様の色違いだ」

フィアンマ「俺様の赤いヘルメットに対してお前のは白、赤のコスチュームに対し黒、赤のマントに対し青だ」

オティヌス「おお……!! こ、これがグレートフィアンマンの……!!」キラキラ

フィアンマ「早速着替えて来い。それが終わったらポージングや台詞の練習だ」

オティヌス「わ、私は愛と正義と自由の戦士!!」

フィアンマ「声が小さい!! もっと腹の底から絞り出せ!!」

オティヌス「私は!! 愛と!! 正義と!! 自由の!!!!」

フィアンマ「うるさいぞ!!」

オティヌス「……」

フィアンマ「その中間くらいがいいということだ、そうしょげるな」

フィアンマ「では次はポージングだ。まず俺様が手本を見せる、よく見ておけ」バッババッシュビッガリガリッメキッ

オティヌス「こ、こうか!!」バッバババッ

フィアンマ「話にならん。まず腕の動きが足りん。そしてここだ!! と大地が囁いたタイミングでステップに移行する」シュバッギュオンギュオンギュオン

オティヌス「うむ……」ゴクリ

フィアンマ「ここの足踏みは六回だ。そして何かいい感じになったところで腕をクロスさせ、捉えたと思ったところで仕上げだ」シュピンズドッザシュザシュ

オティヌス「こうか!!」ババッバッ

フィアンマ「遅い!! もっと揉み上げながら妬み嫉み、そのもどかしさを回転させろ!!」

オティヌス「クソッ!!」ビッビビッ

フィアンマ「まだまだ!! あの夏の日を思い出しながら!!」

オティヌス「これでもかっ!!」ビシッババッ

フィアンマ「些細なことで喧嘩して体育館の影で泣いたことを胸に秘めろ!!」

オティヌス「くぬぅ!!」シュシュッシュパッ

フィアンマ「お前のことだから鼻くそを舐めて、ちょっとしょっぱくて美味しいとか思ったことがあるだろう!! それだ!!」

オティヌス「コツが掴めてきたぞ!!」ピッパシッシュパン

フィアンマ「片道三時間かけて登校したら日曜日だった!! その気持ちを頭に叩き込め!!」

オティヌス「いい感じだ!!」タカタカタカパパッビシッ

フィアンマ「『エリーゼのために』という愛する女を元にした名曲があるが、実際にはその女の名はテレーゼだった!!」

フィアンマ「その事実を知った時のジョージの気持ちを大事にして!!」

オティヌス「そろそろか!!」ファサッズドドド

フィアンマ「オセロで勝ったと思ったら、双方とも黒でプレイしていた!! 焼肉店で牛タンを焼いていたら知らん力士に相席を頼まれた!!」

フィアンマ「高いソフトを買ったら既に持っていた!! これらに共通するもの、その気持ちが今のお前に足りないものだ!!」

オティヌス「ふん、もう分かってきたぞ!!」バチバチバチザシュ

フィアンマ「好きな女をクリスマスの夜にディズニーに誘ったらOKをもらえた、だがそこで告白したらフラれた!!」

フィアンマ「電車に乗り遅れそうになって必死に走った結果、目の前で電車の扉が閉まった!! そういうことだ!!」

オティヌス「……!! 掴んだッ!!」ジリリリカタンカタン

フィアンマ「よし……ようやくレベルにまでなったな」フウ

フィアンマ「これでひとまず完了だ。あとは実地でやるしかない」

オティヌス「ああ、助かった。お前の的確なアドバイスのおかげで思っていたよりずっと早くマスターできた」フウ

オティヌス「こちらのシギンよりも的確な助言だったな」

フィアンマ「当然だ。俺様はグレートフィアンマンなのだから」フフン

オティヌス「そうだったな」

フィアンマ「よし。では行くぞ、学園都市へ。グレートフィアンマンの出動だ」

オティヌス「早速か……」ゴクリ

フィアンマ「そう緊張するな、サポートはしてやる」フッ

フィアンマ(そして今度こそあの女共からカツ丼を……!!)

オティヌス「ああ、助かる」フッ

フィアンマ「では」シュン

オティヌス「いざ」シュン


スタ


オティヌス「……ここが、学園都市か。来るのは初めてだ」

フィアンマ「ちゃんと着替えておいてよかったな。あの露出狂っぷりでは即座に通報されていた」

オティヌス「私の勝手だろう!! ……それで、グレートフィアンマンとしてまず何をすれば?」

フィアンマ「焦るな。まずはパトロールだ。困っている奴や暴れている連中がいたら出動だ」

「な、なんやあの金髪碧眼の超絶べっぴんさんは!? 天使!? 女神!? これは神様からのボクへの贈り物に違いあらへん!!」ピキーン

オティヌス「了解した。……む?」チラ

青ピ「ちょっとそこのお姉さん!! うわー、ほんまにめっちゃ美人さんやわ!! もしかして観光だったり? ボクに案内させ……ぐぶふぅ!?」メキメキ

オティヌス「……グレートフィアンマン、早速出動ということでいいな? というかこのまま殺していいな?」ヘーンシン

青ピ「ちょ、お姉さん、ギブギブ! 死んでまう!! ああ、でもこんな綺麗なお姉さんに絞め殺されるならそれはそれで……」メキメキ

フィアンマ「落ち着け、ちょっとナンパされたくらいでやりすぎだろう。まあ気持ちは分からんでもないが」

フィアンマ「というかこいつ、どうしてこの状況で恍惚とした表情を浮かべているんだ……?」ヒキ

青ピ「ハァハァハァハァ……」

オティヌス「……世界の秩序のために殺しておくべきだと思うのだが。いや、それでも喜びそうだなこいつ……」ドンビキ

フィアンマ「とりあえず意識を奪って放っておこう。すぐに誰かが回収するだろうさ」

フィアンマ「それより変身を解け。誰かに目撃されたらグレートフィアンマンの正体が白日の下に晒されてしまうぞ」

オティヌス「そうだったな。グレートフィアンマンは正体不明のヒーローだからこそだ」シュン

青ピ「」グッタリ

オティヌス「……だが、遅かったようだな。お前のせいだぞ人間!!」ゲシッゲシッ

青ピ「」ビクンビクン

フィアンマ「結構な人数のようだな。丁度いい。では、こいつらに見せてやるとするか」ニヤリ

オティヌス「血反吐を吐くほどに散々練習した、とっておきのポージングを……!!」ニヤリ




麦野「本当にあいつなのかよ」ゾロゾロ

絹旗「超間違いないでしょう。今目の前で変身したじゃないですか」ゾロゾロ

垣根「学園都市の人間にゃ見えねぇな」ゾロゾロ

一方通行「つかなンで二人なンだよ。グレープなンとかってのは一人じゃねェのか?」ゾロゾロ

滝壺「ぐれーとふぃあんまん……」ゾロゾロ

心理定規「外国人ねぇ……あんなのが学園都市にいるってだけで怪しさは全開だけど」ゾロゾロ

結標「こんな大所帯でぞろぞろしてる私たちの方がよっぽど怪しいんじゃない?」ゾロゾロ

浜面「それな」ゾロゾロ

フレンダ「結局、さっさと済ませようってわけよ」ゾロゾロ

海原(魔術師……?)ゾロゾロ

土御門(あいつら……?)

浜面「おい、あいつらビルの中に入っていったぞ。あそこはもう使われてない廃ビルのはずだけど……」

垣根「追うか」

結標「いやでも、本当に何やってんだろう私たち……」

絹旗「上はあんなの捕まえさせて超何がしたいんだか」

麦野「言ってても仕方ないでしょ。行くよ」

一方通行「……いねェぞ」

心理定規「まさか。あの二人が入ってまだ一分もたってないわよ?」

フレンダ「もしかして気付かれて逃げられた?」

海原「この隠密するつもりのない人数ではあり得そうですが……」

滝壺「……違う。みんな、あれを見て」ユビサシ

浜面「え?」クル

フィアンマ「……」

オティヌス「……」

絹旗「超間違いありません、グレートフィアンマンです。それにしてもなんて超ダサい格好でしょうか」

結標「あの女の方は聞いてないわよ……?」

土御門「どういうセンスなんだ……」


フィアンマ「この世に悪がある限り!!」 ババッ

オティヌス「正義の怒りが炎と燃える!!」バッ

フィアンマ「グレートフィアンマン1号!!」シュバッ

オティヌス「同じく2号!!」ビシッ

フィアンマ・オティヌス「「ご期待通りに、ただいま参上!!」」バーン!


11人「……」

フィアンマ「……」

オティヌス「……」

11人「……」



ヒュォオオオ……


フィアンマ「……」

オティヌス「……」


麦野「帰りにどっか寄ってかない? 浜面が奢ってくれるってさ」クルリ

絹旗「ほほう。でしたら乗らないわけには超いきませんね」クルリ

フレンダ「結局浜面もたまにはいいことするってわけよ!」クルリ

滝壺「はまづらの奢り……」クルリ

浜面「おいちょっと待てお前らそんなこと一言も言った覚えがないぞ」クルリ

一方通行「クソ眠ィ……」クルリ

垣根「早く帰ってFF10の続きやるか」クルリ

心理定規「シンはジェクトよ」クルリ

結標「ええっ!? ちょっとネタバレやめてよ!!」クルリ

海原「結標さんもプレイしてたんですね……」クルリ

土御門「FFは6か8が至高だにゃー」クルリ


フィアンマ「……」

オティヌス「……」

フィアンマ「FF7……PS4……うっ、頭が……」

オティヌス「……ちなみに、私は9が一番好きだ」

フィアンマ「そうか」

オティヌス「……私たちは、間違ってないよな?」

フィアンマ「なに、簡単なことだよ」

フィアンマ「俺様たちのレベルがあまりに高すぎて、あいつら程度のセンスではついていけなかったのだろう」

フィアンマ「全くセンスに溢れすぎているというのも問題だな」ヤレヤレ

オティヌス「所詮人間には理解のできない領域だったか……」ヤレヤレ




アレイスター「――なんて格好いい最高のポージングなんだ……!!」ワナワナ

アレイスター「この私の、スペシャルクロウリーポーズと同格……!?」ワナワナ

エイワス「落ち着きたまえアレイスター」

ヴェント「アンタ、活動を学園都市だけじゃなく世界にまで広げたらしいじゃない」

テッラ「結構魔術サイドでも噂になってますねー、正体不明の存在について」

アックア「どうして今になって世界にまで手を伸ばしたのであるか?」パクパク

ヴェント「テメェはどうしてご飯にプロテインかけて食ってんだよ肉塊」

フィアンマ「なに、簡単なことだよ。人手も増えたし、この活動にも慣れてきたからな」

フィアンマ「世界を救うためにはそろそろ手を伸ばしてもいいころかと思ってな」

テッラ「人手、ですか?」ハテ

アックア「そういえばフィアンマの他にグレートフィアンマン2号なる者が現れていると聞いたな」ムシャムシャ

ヴェント「それもうプロテインにご飯かけて食ってんだろ。死ぬわよアンタ、いや死ね」

アックア「聖母の慈悲は厳罰を和らげるのである」キリッ

フィアンマ「ああ、新たにオティヌスが加わった」

テッラ「聞いたことのある名ですねー。というか北欧の主神ですね」

ヴェント「……まさかあの魔神じゃないでしょうね」

フィアンマ「正解だ」ピンポーン

アックア「今の音はどうやって鳴らしたのであるか……」

フィアンマ「俺様の右腕にかかれば造作もないことだ」フンス

ヴェント「なんかこいつらの戦力ヤベェんだけど。あれなの? 世界を救うってのは世界を支配するってことなの?」

ヴェント「というかどうしてあんなイカれた活動に加わろうなんて思ったわね」

フィアンマ「戦力過剰なのはこの神の右席もそうだろう。まあ、オティヌスの加入を認めたのは戦力によるものではない」

テッラ「では何故? あっ、パンが焼き上がりましたねー」ハイ

フィアンマ「至ってシンプルだ。あの女は俺様の、グレートフィアンマンのセンスの良さに心奪われていたからな」アリガトウ

アックア「ローマ正教調べでは子供たちを中心にして世界中に二人のファンが急増しているらしい」

テッラ「イギリスの女王などもすっかりハマっているらしいですよ」

ヴェント「こんな せかいは まちがっている」

マタイ「いや、フィアンマの活動は一概に否定できたものではないぞ」ヌッ

アックア「ブフフォァッ!?」ゲホゲホッ

テッラ「アックアァアアアア! あなたが突然現れるからアックアが喉を詰まらせてしまったではないですか!!」

ヴェント「よくやったわよ爺さん」

マタイ「既にフィアンマとオティヌスの二人は二十を超える紛争を終わらせ、困っている人々を救い続けている」

マタイ「大きなことから小さなことまで。主の愛を世界へ届けているのだ」

マタイ(とはいえ、あの格好は何とかしてほしいものだが)

テッラ「フィアンマがこんなことをやり出すと聞いた時はまさかここまでになるとは思いもよりませんでしたねー」

アックア「」チーン

ヴェント「はぁ……もう、何を言っていいやらだわ、本当」

マタイ「ところでフィアンマ。相談があるのだが」

フィアンマ「本来の神の右席の姿だな。聞こうか」

マタイ「私の髪の毛も救ってはもらえないか?」

フィアンマ「無理だ」キッパリ

マタイ「ええ!?」ガビーン

フィアンマ「俺様やオティヌスにも少ないが、不可能なこともある。それはその中の一つだ」

テッラ「仕方のないことですねー。たとえ本物の唯一神でもあなたの髪は治療できないでしょう」フム

ヴェント「まあ、アンタの髪の生え際本当に後退してるからね」ケラケラ

マタイ「ぐぐぐ……」パサパサ

フィアンマ「いいや、違うな」

テッラ「はい?」

フィアンマ「生え際が後退しているのではない。マタイが前進しているのだ」

ヴェント(何言ってんだこいつ)


アックア「」チーン

オティヌス「こうか? いや……ここの動きはむしろ……右手の動きが……」ブツブツ

マリアン「……オティヌスは何をしてるわけ?」

トール「ポージングの練習だとさ」

フレイヤ「グレムリンとは何だったのか」

ヨルムンガンド「正直さ、クソダサいよね」

フェンリル「同意せざるを得ねぇ」

トール「……俺も最初はそう思ってたが、段々悪くねぇなって思うようになってきたわ」

フレイヤ「病院に行こうぜ☆」

マリアン「ああ、そう言えばオティヌス。また手紙が来てるけど?」

オティヌス「何? またか、しつこい奴め。フィアンマの方から何度も返事をよこしているというのに」

ヨルムンガンド「なんで加わりたいと思う奴がいるんだよ」

フェンリル「同意せざるを得ねぇ」

トール「つーかなんでそんな頑なに断るんだ? 入れてやりゃあいいだろ」

オティヌス「あいつには絶望的にセンスが足りん。そもそも三角木馬に股を割られて喜ぶような奴など入れられるか」

マリアン「あっ……(察し)」

フレイヤ「そんな気持ち悪かったのねぇあれ」

トール(やっぱあの領域の連中ってアレなのばっかだな……)

オティヌス「トール」ギロッ

トール「な、何でもねぇよ? ん?」キョロキョロ

「くっそおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

シルビア「うるさいわ馬鹿野郎!! また股割るぞコラァ!!」ガラッ

オッレルス「それどころじゃないよぉシルビアぁ……」メソメソ

シルビア「って、それ……また送ったんかい!!」

オッレルス「また落ちた……どうしてなんだ……」グスグス

シルビア「これで何度目?」

オッレルス「十を超えてから数えてない……」

シルビア「教えてやるよ、十六回目だ」

オッレルス「ぐわあああああああああああああああああ!!」ゴロゴロ

シルビア「つうかなんでそんなに入りたいんだよ!? 正直馬鹿の集まりだろあれ!!」

オッレルス「いやいや……格好いいじゃないかグレートフィアンマン……」

シルビア「……私には分からないね」ハァ

オッレルス「そんなことだからシルビアはシルビアなんだよ」ハッ

シルビア「おうどういう意味だコラちょっと来い今日は特製コースを味わわせてやる」ズルズル

オッレルス「ちょ、いや悪かった! 悪かったから許して!? 助けてグレートフィアンマン!!」ズルズル

脳幹「……久しぶりだな、アレイスター」

アレイスター「ああ」

脳幹「どうかね、修行の方は」

アレイスター「完璧だ。もはやグレートフィアンマンなど恐るるに足らん」

アレイスター「私のポージングセンスは一つの究極にまで至った」フフン

エイワス「やはり何だかんだでアレイスターは違うな。ホルスの完成形に近いポージングだ」

脳幹「そうか、流石だな。やはりロマンは大事だな」

アレイスター「……君も考えてみたらどうかね?」

脳幹「……私はゴールデンレトリバーだぞ?」

アレイスター「……すまなかった」

脳幹「うん」

エイワス(だが……ゴールデンレトリバーにはポージングはできないなどと誰が決めたのだろうな?)ニヤリ

オティヌス「おい。これは一体どういうことだ……?」ワナワナ

フィアンマ「ちくしょう……」プルプル

フィアンマ「やられた、パクリ商法だ!!」ガン

オティヌス「商法ではないと思うが、やはりそうか……!!」ワナワナ

フィアンマ「今度こそ道場破りだ……。俺様たちの活躍ぶりに肖り一気にのし上がろうという魂胆だな……!!」

オティヌス「そうはさせんぞ。一度格の違いというものを教えてやらなければならんようだな」

フィアンマ「その通りだ。行くぞ。今すぐだ」シュン

オティヌス「覚悟しろ愚かな挑戦者共」シュン

スタ

フィアンマ「学園都市に着いたようだな」

オティヌス「どうする。二手に分かれて探すか?」

フィアンマ「そうしよう。見つけたら互いにすぐ報告だ」

オティヌス「ああ」シュン

フィアンマ「さて、と……。どこに連中がいるか分からん。姿を隠しておくか」ステルスモード

フィアンマ(しかし、ついに現れたか。いつかはそういう連中も現れるだろうとは思っていたが)

フィアンマ(グレートフィアンマンもここまで来たということか)

フィアンマ(それにしてもこの隠密性。俺様にしか扱えんものではあるが、テッラにでも与えたら悲惨なことになるな)

フィアンマ(いやテッラは小学生女児に女装しそれを見られることで喜んでいるのだから、むしろ必要ないのか……?)

フィアンマ(……む)

姫神「……」ジー

フィアンマ(な、何だこの女は!? 間違いなく俺様に気付いている……!!)

姫神「そこのあなた」

フィアンマ(あ、あり得ん。しかも俺様と同等のステルス能力を自然に身に付けていやがる……!!)

姫神「私の。仲間?」

フィアンマ「……どういう意味だ。お前、何者だ」

姫神「私。姫神秋沙。あなたからは。同類の気配がする」

姫神「存在を奪われた。そんな気配」

フィアンマ「……お前はどうやってそこまでの隠密能力を身につけた。俺様と同等など……」

姫神「それは。私の方が聞きたい。自然に。身に付いてしまっていた」

姫神「漫画版。二巻……」

フィアンマ「……よくは分からんが、その力を解除すればいいだけだろう?」

姫神「基本的に。私の意思に関係なく常時発動。時々解除されるけど」

フィアンマ「なら俺様は同類ではなかろう。俺様は自在にオンオフが効くからな」ステルスモードオフ

姫神「……!! この。裏切り者!!」タッタッタ

フィアンマ「なんだったんだあいつは。しかし流石学園都市ということか」

フィアンマ「あれほどのスキルを有する者がいるとはな……む? オティヌスから連絡?」

フィアンマ「俺様だ」マジュツトーク

オティヌス『何をしていたんだお前!! 全く通信が届かなかったぞ!!』

フィアンマ「ああ、ちょっと姿を消していたのでな」

オティヌス『あの意味不明な隠密能力か。あれをされると私にも察知できんのだから連絡が届かんだろうが』

フィアンマ「すまなかったな。今度アルフォートでも買ってやるから許せ。それで見つかったのか?」

オティヌス『ああ。現在位置を送る。早くせんと先に手が出てしまうぞ』

フィアンマ「早まるな。今向かう」

フィアンマ「さて、と……こちらの方角か」シュン

スタ

フィアンマ「待たせたな。……こいつらか」

オティヌス「そういうことだ」

美琴「……」

御坂妹「……」

ミサカ10039号「……」

ミサカ13577号「……」

ミサカ19090号「……」

オティヌス「単刀直入に聞こう。お前たちのそれは……私たちのパクリだな?」

御坂妹「確かに、あなたたちグレートフィアンマンに影響を受けて作られたのは事実です、とミサカは肯定します」

ミサカ13577号「あなたたちに強い感銘を受けたのがミサカたちがチームを結成するに至った過程、とミサカは説明します」

ミサカ19090号「ですので、そのグレートフィアンマンにこうして出会えたのは感激の極みであるとミサカは素直に吐露します」

ミサカ10039号「……ですが、現在では既にミサカたちはあなたがたと同等、もしくはそれに近いレベルになっているとミサカは反論します」

美琴「叩き潰してあげるわよグレートフィアンマン」

オティヌス「……面白い。こちらが先攻を取らせてもらうぞ」

フィアンマ「いいだろう。受けて立ってやるさ、その無謀な挑戦を」

御坂妹「いよいよですね、とミサカは拳を固く握り締めます」

フィアンマ「オティヌス」スーッ

オティヌス「ああ」スーッ

ミサカ19090号「……」ゴクリ

フィアンマ「グレートフィアンマンがいる限り!!」ババッ

オティヌス「この世に悪は栄えない!!」シュババ

フィアンマ「グレートフィアンマン1号!!」ビシッ

オティヌス「同じく2号!!」バッ

フィアンマ・オティヌス「愛と正義と自由の戦士、ただ今参上!!」バーン!

ミサカ13577号「ぐっ……、さ、流石に……!!」ダラ

ミサカ10039号「す、隙がない……!! とミサカは狼狽します……!!」ジリジリ

美琴「……悪くないわね」ボソリ

オティヌス「ふっ。どうした、足が竦んで見えるぞ?」ドヤッ

フィアンマ「さあ今度はお前たちの番だ。その実力の程を見せてもらおうか」

美琴「行くわよアンタたち。大丈夫、いつも通りにやればいけるわ」

妹達×4「……」コクリ

フィアンマ(さあ見せてみろ……)

ミサカ10039号「ミサカ!!」ババッ

ミサカ13577号「ミサカ!!」シュバッ

ミサカ19090号「ミサカ!!」ビシッ

御坂妹「ミサカ!!」バッ

美琴「ミサカ!!」シュビッ

「「「「「五人揃って、ミサカ特戦隊!!」」」」」バーン!

フィアンマ「……ッ!!」

オティヌス「……ッ!?」

美琴「……どうよ!!」

フィアンマ(む、無駄がない……加えて動きに統一性があり、足や腕の角度も完璧だった。これは……)プルプル

オティヌス(何ということだ……。こんなことが……!!)プルプル

フィアンマ「……少々お前たちを誤解していたようだな」

オティヌス「ああ。どうせただの素人集団が軽い気持ちで真似ているのだろうと思っていた」

フィアンマ「だが違った。認めてやろう、お前たちのポージング、そのセンスは確かな高みにある」

オティヌス「五人の動きが見事にマッチしている。予想以上だった」

ミサカ13577号「いえ、そちらの方こそ予想を上回る見事なポージングでした、とミサカは爽やかな笑顔を浮かべます」

フィアンマ「無表情だぞ」

ミサカ19090号「お互いの実力を出し切った良い勝負でしたとミサカは流れる汗を拭います」

ミサカ19090号「叶うのならばお互いに連携しアイディアやアドバイス等の交換を行いませんか、とミサカは提案します」

御坂妹「良い考えですね、双方にとって良い刺激になると思います、とミサカは激しく同意します」

オティヌス「ああ、それは確かに良いアイディアかもな」フッ

フィアンマ「確かにな。またとない機会だ」フッ

美琴「……」フッ

フィアンマ「……時にお前。お前はグレートフィアンマンを全否定していたはずだろう」

フィアンマ「だと言うのに何故だ?」

美琴「……勿論、最初はあり得ないって思った。信じられなかった、こんなダサいものがってね」

オティヌス「……」

美琴「この子たちに今回のことを持ちかけられて、流れでOKしちゃって……」

美琴「でもね、どうしてかな、段々と何だか楽しくなってきちゃってね」ニコッ

美琴「こんな風にポージングを通して自分を表現すること、自分の想いを伝えること」

フィアンマ「お前……」

美琴「それも素敵なことなんじゃないかって思って。それを否定していいのかなって思ったら分からなくなっちゃって」

妹達×4「お姉様……」グス

美琴「もう小難しいことを考えるのはやめにしたの。楽しいって感じちゃうものは仕方ないでしょ?」

美琴「だからこそ今の私たちがある。誰にも否定なんかさせない」

美琴「だから、アンタには……謝らないとね」

オティヌス(フィアンマのポージングを通して、それが巡り巡って一人の少女を素直にした)

オティヌス(そして……他の四人も、当然。そしてそこから連鎖していくだろう)

オティヌス(そうか、何となく分かった気がする。フィアンマの『世界を救う力』の正体が)

フィアンマ「……気にすることはない。どうせお前には永遠をかけても理解できないと思っていた」

フィアンマ「だが、どうやら感違いだったようだ。互いの進化のためにこれからよろしく頼むぞ」スッ

美琴「ええ、こちらこそ」スッ

オティヌス「お前たちもだ」スッ

妹達×4「……はい」スッ

姫神「そうして。彼らは固い握手を交わした。ここに来るまで色々なことがあった。長かった、と思った」

姫神「燦々と輝く太陽の暖かな光は。まるで彼らの新たな門出を祝福しているようだった――」

オティヌス「な、何者だお前!? いつからそこにいた!?」ビクッ

姫神「最初から。ここにいた」

オティヌス「馬鹿な……まるで気配を感じなかったぞ……」

姫神「私が。妖精化を扱えるようになれば。サンジェルマンを仕留められる」


上条「……」プルプル

上条「違う……違うんだ……」プルプル

上条「あんなダサいポージングはあり得ない……絶対にあり得ない……そのはずなんだ……」プルプル

上条「なのに……っ!! どうして……こんな……!!」プルプル

上条(こんなにも魅力的に感じてしまっているんだ……!!)プルプル

最終回じゃないぞよ、もうちっとだけ続くんじゃ

ステイル「グレートフィアンマン、ね……」

ステイル「舐めた真似を……」ギリ

神裂「どうしたのですか、ステイル?」

ステイル「どうしたもこうしたもあるか。あんなものが蔓延っているのは我慢ならない」

神裂「どうしてですか? 彼らは世界を股にかけて大活躍していますが」

ステイル「そういう問題じゃない! あんな連中よりも僕の方がよほどセンスがあるに決まっているだろう!?」

神裂「……はい?」キョトン

ステイル「こう、こんな感じにだね、くるっと回って……」バババッ

神裂(……ああ、そうでした。すっかり気にしないでいましたけど、ステイルはまだ14歳ですもんね)ニッコリ

ステイル「見てくれ神裂、どうだ!?」シュババ

神裂「ええ、ええ、良いと思いますよ」ホッコリ

ステイル「だろう? そうとなれば……出て来い、グレートフィアンマン! 焼き尽くしてやる!!」クワッ

神裂「いやそんな叫んだって現れるはずが……」

フィアンマ「……盗人殺しハイジャック、悪事ときたら放っちゃおけん」

フィアンマ「愛と正義の伊達男、グレートフィアンマンとは俺様のことだ!!」バーン!

神裂「現れちゃったー!?」ガビーン

ステイル「とうとう姿を現したかグレートフィアンマン。行け、イノケンティウス!」ボウッ

神裂「いきなり何をしているのですか!? というか彼は私やあなたに敵う相手では……!!」

ステイル「神裂、心配しなくていい。計算では僕とグレートフィアンマンはほぼ五分と五分の力だよ」フッ

神裂(その計算は間違っていると思いますが……)

フィアンマ「俺様を呼ぶ声が聞こえたから、呼ばれて飛び出てきたら……いきなりなんだ?」

姫神「その後。盛大に勘違いした彼は。グレートフィアンマンにワンパンされた」

神裂「っ!? あ、あなたいつからそこにっ!?」ビックゥ

姫神「サンジェルマン。魔神じゃなかった。でも。原石という言葉が出てきた」

姫神「これは。いよいよもって私の時代が来る」スーッ

神裂「消えた……。か、彼女は一体……」

フィアンマ「今の女、学園都市で見たな。俺様と同等の隠密能力を有する謎の存在だ」

フィアンマ「おそらく学園都市の最高傑作、虎の子といったところだろう」フム

フィアンマ「……ところで俺様は何故呼ばれたのだ?」ハテ

神裂「ああ、そのことについては申し訳ありません。間違い電話です」

フィアンマ「そうか、間違い電話なら仕方ないな」ウン

神裂「……そういえばもう一人のグレートフィアンマン二号はどこに? 一緒ではないのですか?」

フィアンマ「ああ。あいつなら三人目のところへ行っている。そろそろ時期だろうからな」シュン

神裂「行ってしまいました……。しかし、三人目とは一体……?」

ステイル「うっ……僕は……」ゴソリ

神裂「おや、目が覚めましたか。全く……だから私は言ったんです」

ステイル「ああ……目が、覚めたよ」ムクリ

神裂「……ステイル?」

ステイル「今の僕ではあいつには勝てない。僕はもう一度、未熟なセンスを磨きなおしてくるとするよ」フーッ

ステイル「そしていつの日か必ず奴に勝ち、魔術少年すている☆マグヌスの名を知らしめるんだ」

神裂「そんな野望を持っていたのですかあなた」

ステイル「どうだい神裂、君も一緒にやらないかい?」

神裂「私も、ですか……?」



・・・


神裂『行きますよ。飛天天草流……』スッ

アックア『なっ、その構えは……っ!!』

神裂『九頭龍閃!!』ズドドッ

アックア『ぐはっ……、だが、まだ終わらん!!』ガクガク

神裂『終わっているのです、私がこの七天七刀を手にした時に……』チャキン

神裂『飛天天草流、奥義……天翔ける唯の閃き!!』ザンッ!

神裂『……神を裂き、火を織る者。神裂火織と申します。この名、覚えておくといいでしょう』

アックア『ば、馬鹿な……この、私が……』バタン

神裂『眠りなさい。またつまらぬものを斬ってしまいました……なんて』チン

インデックス『すごい、すごいんだよかおり!!』

ステイル『また腕を上げたね』

神裂『なぁに、この程度なんてことないですよ。さあ、行きましょう。この風が鳴り止まぬうちに……ね』スッ


・・・

神裂「……」ボーッ

ステイル「神裂? どうかしたのかい?」

神裂「……はっ!? いやいやいけませんいけません!! 違います!! 私はそんなこと考えてないですからね!?」アタフタ

ステイル(いきなり何を言っているんだ。どこかで頭でも打ったのかもしれないな)

神裂「と、とにかくもう行きますよ! この風が鳴り止ま……ああっ!?」ジタバタ

ステイル「この風が……なんだって?」

神裂「やかましいこのド素人があああああ!!」ブン!

ステイル「何故に!?」バキィ!

神裂「ふう、ふう……」ハーッハーッ

ステイル「」チーン

神裂「……また、つまらぬものを殴ってしまいました」




上条「……よし。インデックスはいない。隣の部屋の土御門兄妹もいない。オッケーだ」

上条「……スゥ」

上条「はっ!」シュババッ!

上条「更に!」ババッ

上条「ふう。悪くない、悪くないな」

オティヌス「ああ、悪くない。むしろ素晴らしく良いぞ」

上条「うおおっ!? だ、誰だいつの間に!?」ビクッ!

オティヌス「フィアンマの言っていた通りだな。おい、お前のセンスは凄まじいものがあるぞ」

上条「いや誰ですかこの露出癖のある方は」

オティヌス「だ、誰が露出狂だ!! ……ごほん。私はだな」

オティヌス「罪を憎んで人を憎まず! グレートフィアンマン二号だ!!」バーン!

上条「……まさかこのタイミングでグレートフィアンマンと出会うとは思ってなかったですよ」

オティヌス「お前なら分かるはずだ。グレートフィアンマンのセンスが。そして知れ。お前にもその資格があるのだということを」

オティヌス「お前に潜んでいる内なるポージング衝動。隠れたそのセンス」

オティヌス「私は、私たちはそれを理解できる。そしてお前もまた、私たちを理解できるはずだ」

オティヌス「私たちは理解者なんだよ。分かるか? 分かったなら……」スッ

オティヌス「この手を取れ。私たちはお前というセンスを歓迎しよう」

上条(……何だろう、この気持ち。何だろう、ポージングのこの高揚感)

上条(俺のやりたいこと……新たなステージに進むこと……まだ見たことのない世界へ……?)

上条(……やめだ。あれこれ細かいことを考えるのは俺には合わない)

上条(俺はただ、今まで通り一番に溢れる衝動に従えばいい……)

上条(そうだろう? インデックス……。そうだろう? 前の俺……。そうだろう? アウレオルス=ダミー……)

オティヌス「さあ、今こそ決断する時だ。自分の心で感じたままに物語を動かす時だ」

上条「何も迷うことなんてなかったんだよ。……よろしく頼む」ガシッ

オティヌス「……安心しろ。お前のその決断は後の歴史に正しかったと記されることになるだろう」ガシッ


フィアンマ「……ついに来たか、上条当麻」

上条「ああ。あんたたちのおかげで俺は一歩前に進めた気がするよ」

オティヌス「だが、訓練に手を抜いてやるつもりはない。精々頑張ることだな」

上条「上等!!」

フィアンマ「流石は俺様の見込んだ奴だ。以前に言った通り、お前ならば俺様を超えることすら不可能ではないだろう」

フィアンマ「では早速訓練を始めるぞ。まずは試験が始まって解答しようと思ったらシャープペンの芯がなかった時の気持ちを思い出せ」

上条「……こう、か?」

オティヌス「いや、それでは好きなコミックスを買って帰ったら既に同じものがあったことに気付いたといったところだ」

上条「なるほどな……。分かった。こうだろ?」

オティヌス「完璧だ。流石だな」

フィアンマ「元々の素養が高いおかげか、実に呑み込みが早いな。ではどんどんいくぞ」


・・・


フィアンマ「よし、これで全てのトレーニングは終了だ」

オティヌス「すっかりマスターしたようだな。ではいよいよ本番だ」

上条「いつでもいいぜ。準備はできてる」

フィアンマ「期待しているぞ。では活動を開始する!」

姫神「数ヵ月。経過」

上条「よし、この辺りはこれで終わりだな……ん? お前は……!」

ステイル「久しぶりだね、上条当麻」ザッザッザ

上条「どうした? 上条さんに何か用でせうか?」

ステイル「その前に一つ確認しておきたい。君がグレートフィアンマン三号になったという話は真実か?」

上条「ああ、事実だ。間違いなくな」

ステイル「なるほどね。……君に勝負を申し込むよ、上条当麻……いや、グレートフィアンマン三号」

上条「」ピクリ

ステイル「あの時は君たちグレートフィアンマンとの間に大きなセンスの差があった」

ステイル「だが今はどうかな? 僕はひたすらに研鑽を重ね、厳しい訓練に明け暮れた」

ステイル「僕を今までの僕と思ってもらっては困る。スーパーステイル……とでも呼んでもらおう」

上条「……いいぜ。お前が俺のセンスを上回れると思ってんなら、まずはその幻想をぶち殺す」

上条「ただし条件がある。俺が勝ったら今日の俺の晩飯を何とかしてくれ。お前が勝ったら……別に何もない。どうだ?」

ステイル「平等な勝負というわけか。いいだろう」

上条「では……」ヘンシン

ステイル「行くぞ!!」


神裂「……あの二人、五時間もずっとポージングし続けてますけど疲れないのでしょうか」


ルチア「シスターアンジェレネ! 甘いものばかり食べていると虫歯になるといつも言っているでしょう!」

アンジェレネ「だ、だって……」

ルチア「だってもでももありません! シスターアニェーゼからも何か言ってやってください!」

アニェーゼ「そうは言ってもですねぇ。私ももう食べちまいましたし」

ルチア「シスターアニェーゼ!!」

ボン!

アンジェレネ「わぷっ!? な、なんですかこの煙……」

オティヌス「……天下御免のヘルメット、グレートフィアンマン二号。ただ今参上」モクモク

アニェーゼ「グレートフィアンマンって、あの……?」

ルチア「た、助かります! シスターアンジェレネの大暴走を止めてください!」

オティヌス「おい、お前。虫歯になるということがどういうことか……分かるか?」

アンジェレネ「えっ……?」

オティヌス「虫歯になった者は九日間を経て歯が変形し出し、九週間を経て歯茎や周囲の神経の壊死が始まる」

オティヌス「九ヶ月を経て全身のあらゆる器官が毒され、九年を経て脳や心臓、肺といったあらゆる臓器が機能を停止すると言われている」

オティヌス「お前が甘いものを食いたいのなら食えばいい。それはお前の自由だ」

オティヌス「だが自由には責任が伴うように、その行動の結果は死という形で跳ね返ってくるぞ」

アンジェレネ「ひいいいい……で、でも歯医者さんに行けば……」

オティヌス「そうだな、だがお前はその痛みに耐えられるのか?」

オティヌス「虫歯を抜く際の激痛は衝動的に自殺しようとさえする者もいるほどだ」

オティヌス「それに抜けたとしても、既に転移が始まっていたら手遅れだ。サンジェルマンのように増殖するからな」

アンジェレネ「ぎゃああああああ!? ひ、控えますっ!! 甘いもの控えます!!」ガクブル

ルチア(嘘八百で脅してるだけじゃないですか……。まあ、でもこれでちょっとは考えてくれるなら……)

アニェーゼ(え、なに、マジですか? 虫歯ってそんなにヤバかったんですか!?)ダラダラ

オティヌス「では、適度に摂生していくとこのグレートフィアンマンに約束できるな?」

アンジェレネ「は、はい、約束しますっ!」

オティヌス「良い子だ」ボン!

ルチア「行ってしまいましたか……」

アニェーゼ「うん? これは……?」

アンジェレネ「歯ブラシと、チョコミント味の歯磨き粉……?」




フィアンマ「二人は実によく働いてくれている。順調極まりない」

ヴェント「そんな中アンタはなんで優雅にティータイムと洒落込んでるのよ」

フィアンマ「最大効率を生み出すためには適度な休憩も必要だからな」

アックア「あの幻想殺しが加わってからというもの、だいぶ楽になったようであるな?」バッバッ

ヴェント「……あの筋肉ダルマは何してるワケ?」

テッラ「プロテインをフライパンで炒めているようです。頭沸いてますねー」

フィアンマ「そういえばテッラ、お前の秘密は俺様以外は誰も知らんから安心していいぞ」

テッラ「秘密? 何のことですかねー」

アックア「私の秘密ならば……」


ドン! ゴゴゴゴゴゴ……


フィアンマ「っ!?」

ヴェント「うわっ、何地震!? 大きいわねこれ!」

テッラ「凄まじい地響きですねー」

フィアンマ「……!!」


上条「……ステイル」

ステイル「何だ! 言っておくがまだ勝負は着いて……」

上条「どうやら俺たちが戦う理由はなくなっちまったみてぇだぞ?」

ステイル「何を言って……こんな地震程度で僕は止まらないぞ!」

上条「いや、違う……」

トール「なんだなんだ? 随分デケェ地震だなおい!」

マリアン「これこの島津波に呑み込まれるんじゃ?」

フレイヤ「そこでヘルの出番でしょ☆」

ヨルムンガンド「ヘルなら寝てるけど。避難した方がよくないか?」

フェンリル「同意せざるを得ねぇ」

オティヌス「何を言っている、お前たち」

ロキ「何を、とは?」

オティヌス「これは地震ではない。こいつは……」


フィアンマ「間違いないな」

ヴェント「何一人で納得してんのよ! 地震じゃないってんなら説明しろ!」

フィアンマ「決まっているだろう」

テッラ「何がです?」

フィアンマ「世界が、ポージングをしているのだ」

ヴェント(何言ってんだこいつ)

アックア「む、いかん! 火が止まってしまったのである!」

フィアンマ「聞こえるか、世界の声が。よく耳を澄ましてみろ」



世界『弱きを助け悪事を挫く!!』バババッ


フィアンマ「……そうか。ついに届いたのだな」

ヴェント「何言ってんだテメェ! 何も聞こえねぇよハゲ死ね!」

アックア「ハゲの悪口はやめるのである!」クワッ

テッラ「また教皇が泣いてしまいますねー」

フィアンマ「少し、出てくる」シュン




フィアンマ「……やはり、感じたか」

オティヌス「当然だろう。すぐに分かったさ」

上条「たとえ他の人たちには分からなくても、俺たちは知ってる。世界のポージングってやつを」

オティヌス「ああ。……見事なものだ」

フィアンマ「二人とも、よくやってくれた。世界に俺様たちの心が届いたのだ」

フィアンマ「よって、これにて……」

フィアンマ「これにて、世界の救済は完了だ」

フィアンマ「世界は、救われた」

オティヌス「ついにやったのか……」

上条「何だか一気に力が抜ける気分だぜ……」フウ

フィアンマ「まずはお疲れと言っておこう。だが、いつまでも休んではいられないぞ」

オティヌス「? なんだ、まだ何かあるのか?」

上条「ああ、そうだな。ここからが本番だ」

フィアンマ「これから我々グレートフィアンマンは、世界をより良く、人類と世界の最高の共存のために活動する」

上条「まだ何も終わってはいないってことさ」

オティヌス「……ふん。いいだろう、やってやるさ」ニヤ

フィアンマ「そういうことだ……ん?」

上条「どうかしたか、フィアンマ?」

フィアンマ「分かってはいたことだが……やはり世界は救われてもマタイの髪は救われなかったようだ」

オティヌス「どうでもいいな」

フィアンマ「あとで学園都市にカツ丼を食いに行かなければな」


アレイスター「まさか彼らがここまでやるとはな。私の助力は必要なかったようだ」

エイワス「大いなる意思は世界に届く。人間の底力というものか」

エイワス「だが、私には君の助力が必要だ。血に乾いた獣とエミーリアが倒せないので協力してほしい」

アレイスター「いいだろう。右手は聖剣と斧、左手は短銃で行かせてもらう」

エイワス「あのゴールデンレトリバーは先に入っている。待っているよ」


オッレルス「また、落ちた……」ズーン

シルビア「これで24回目。もうやめた方がいいってほんと」ネ?

終わりです
いつになったら新約でフィアンマは本格的に動いてくれるのか

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月28日 (日) 14:09:02   ID: 0HEZhRuh

面白かったよ! オッレルスニセコイ笑ったww

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