【まほいく安価】スノーホワイト「地下施設で20人目と」【魔法少女育成計画JOKERS】 (647)


前スレ
【まほいく安価】プフレ「19人目はかき回してくれた」【魔法少女育成計画limited】
【まほいく安価】プフレ「19人目はかき回してくれた」【魔法少女育成計画limited】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1485364028/)
の続き

・なんどめだまほいく並何番煎じ
・安価とコンマで進行
・キャラメイクは1人のみ
・基本的にそのキャラが主人公となり、前スレまでの主人公は準主役的(or出番無し)な視点
・突然原作QUEENSまでのネタバレが出ても責任はとれないぽん

・魔法少女育成計画JOKERS(原作6巻)が舞台
・これから原作読もうと思っている人はバリバリのネタバレ注意

・頑張って生き残ってほしいぽん


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1485430905


  魔法少女募集中


魔法少女をご存じですか?

神様からとっておきの魔法と素晴らしい身体能力を授かり、ご町内の揉め事から宇宙の危機まで解決してまわる不思議で可愛らしい女の子達のことです。彼女達は元々ごく普通の人間(たまに例外もあります)ですが、秘密の呪文を唱えてポーズを決めることで正義の味方、みんなのアイドル、最強ヒロイン、魔法少女に変身するのです

今まで夢と魔法の世界は重く固い扉に閉ざされていました。魔法少女になるためには、1万人に1人の才能と、それに運が必要でした。それら諸々がなければ、魔法少女に変身することはできなかったのです。それはとても悲しく寂しいことです

ですがご安心ください。技術というのはいつだって日進月歩、魔法少女という存在は、全く新しいテクノロジーによって次のステージへ導かれました。才能の有無に関係なく、やる気と勇気と愛があれば、誰でも魔法少女になることができるようになったのです

「才能が無いから魔法少女になんかなれない」「年齢的に無理がある」「関係者との出会いがなかったから」

そんな理由で魔法少女の道を諦めてはいませんでしたか? 私達はそんな方々を応援しています魔法少女になるための協力、なってからのアフターケア、一から十までお任せください。万全のサポート体制で24時間受け付けています

途中で課金が発生することもありません。ご安心ください

魔法の世界への扉は開きかけています。あとはあなたが少しの勇気を出せばいいだけです


 前スレ主人公


魔法少女「メルティ☆セルティ」のステータス

本名:本郷麻由(ほんごう まゆ)

魔法:【影を自在に操ることができるよ】

容姿:随所に装飾が施された真っ黒なドレス。なんかお前透けてね?

性格:竹を割ったような人(現在は荒んでいる)

口調:異様に穏やか

身体能力……50 ★★★
知力……70   ★★★★
精神力……67  ★★★★
幸運……18   ★
自己主張……  ★★
野望・欲望…… ★★★★
魔法のポテンシャル……★★★★

スキル「悲運」……身体能力、知力ロール時に-10

持ち物
「四次元ポシェット」

外交部門所属の魔法少女。B市の事件で魔法の国の捜査班と共に犯人逮捕のために尽力した
正義感が強く、戦闘能力が低いという劣等感から多様性のある戦い方をするようになった自分に負けない子
今回、人事部門の調査で訪れた地下施設でとある事件に巻き込まれる


>>4
少し訂正
今回セルティは主人公でないため、今までのキノやシャナのように幸運がロールコンマに作用することはありません


 レディ・プロウドとアンブレンを……>>↓5まで

 1.出す
 2.出さない


  勢力紹介

  
  
・ピュアエレメンツ


心に剣 輝く勇気 確かに閉じ込めて 奇跡 切り札(JOKER)は自分だけ
とある人物により、素質の無かった者達が魔法少女になる。ピュアエレメンツはそんな戦闘向けの魔法少女の集まりです
皆仲良く、強く、美しい人達です


・フリーランスの魔法少女

とあるメールによって呼び寄せられた魔法の国に所属しない野良の魔法少女のことです
お金がほしいです


・監査部門

スノーホワイト、ラ・ピュセル、ハードゴア・アリスの3人は監査部門に入ったタレコミから、とある地下施設の調査に向かいます
3人共現実でも友達で仲良しです


・外交部門

B市の事件でやらかしたため、色々と大変です
魔王パムの発言力が弱っている中、外交部門のトップを目指すためレディ・プロウドがアンブレンを連れてきます


・人事部門

監査部門と外交部門の魔法少女が密かに動いているのではという情報を得て動きます
警戒のために、悪を許さない正義の魔法少女メルティ☆セルティを地下施設へと向かわせます


・プリズムチェリー

普通の魔法少女です
ピュアエレメンツと一緒に活動することになります


・???

どうやら地下施設には他にも別の目的を持った魔法少女がいるようです


 キャラメイクを開始します

 勢力を選んでください


 1.ピュアエレメンツ……戦闘向けかつ特殊な魔法少女なのでメイク時の幅が狭まります

 2.フリーランス

 3.プリズムチェリーの友人


 >>↓5まで


 結果 3.プリズムチェリーの友人


 20人目の魔法少女の名前……>>27

オティヌス


 オティヌスの……

 人間状態の名前……>>33

音桐菫

 
 音桐 菫(おとぎり すみれ)

 ……の、年齢・性格・職業(※プリズムチェリーは中学2年生)

 >>38

安価下


you達の設定達に感謝


 オティヌスの

 口調・容姿……>>50

丁寧だが冷たさを感じる口調
地面につくほどの長い青髪に旋風で構成された服を纏っている


 禁書も読んだことないのでどういう奴かは知らないですが
 restartで主人公やってた奴より痴女ですね


参加メンバー一覧
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira127136.jpg


out

スタンチッカ


in

ラ・ピュセル、ハードゴア・アリス、メルティ☆セルティ


・・・・・・


加賀美桜は普通だった。幼い頃から成績は平均点、身体能力も平均点。生活もごく普通。よく中学生が求めるような「特別」は何一つとして持っていなかった

対して、音桐菫は特別だった。成績は上位、スポーツ万能、人当たり穏やか、友達多し、純真無垢、天真爛漫。このままいけば彼女はいいとこの高校や大学に進学して大手企業に就職するんだろうなぁと教師陣の評価も高い

だが、菫は別に特別になろうとは思わなかった。自分の限界を決めつけ、口癖は「私って〇〇だよね~」と自分を言葉の枠にはめたがる。菫にはひとつの芯とも言うべき座右の銘があった

「みんなにやさしく」

菫は争い事を好まない。幼い頃、小学生低学年くらいだっただろうか。クラスのみんなで椅子取りゲームで遊んでいた時のことだった。ゲームに勝つことに夢中になっていた菫はつい同じ椅子を取ろうと思っていた同級生をお尻で突き飛ばし、泣かせてしまった。友達の家でゲームをやっても、夢中になり勝ちまくって友達を泣かせてしまった

その場では先生や親が収めてくれたが、泣かせた相手と2人きりな場面もあり、「すみれちゃんなんかきらいだ!」と言われショックを受けた

些細なことでも、周囲で起こることは子供に影響を与えやすい。菫は「与える」ということを覚えた。それは菫を同年代の子供達よりもお姉さんにした

それは他の色々なものと混ざって捏ねられてグチャグチャになって、菫を「限界を決めつけて人をなるべく負かさない」人間にした

あらゆる競争には相手に負けたくないという闘争心と敵愾心がつきものだ。菫はそれを嫌っていた。自分が嫌われるのが嫌だった

優しくしていれば誰かに嫌われることもない。嫉妬心というものを知らない菫はそれが唯一の処世術だと覚えた

そして桜もまた、菫に優しくされた者のひとりだった


中学2年生に上がった頃だった。あなたは魔法少女に選ばれましたなどというアホみたいな文面と共に、オティヌスを与えられたのは

簡単な選抜試験があった。菫はそこで自分を押し通した。人並みに魔法少女を夢見ていた菫は今までの生き方から逸脱した行動をとったライバルを蹴落とし、見事プリズムチェリーと共に魔法少女として魔法の国に認可されたのだ

だがそこでも、菫は勝ったために嫌われた。「なんであんたに」「私の夢を奪わないで」「魔法少女になりたかった」試験の中で他の候補者が抱く嫉妬の炎に菫の心は焼かれた

ああ、やっぱり勝つのは嫌だなぁ

だが魔法少女のメンタルはそんなことでしょげない。オティヌスは脱落していく候補者に聞こえないように呟いた


「黙れ雑魚共」


それが菫の中に生まれた新しい感情だった


 オティヌスの魔法……>>65
 

様々な欲求を失わさせるよ


オティヌスの魔法は「様々な欲求を失わせる」だった

試験官にバレないようにオティヌスは脱落に抗議する魔法少女達に「魔法少女になりたいという欲求」を失わせた

すると「まいっか。数日夢見れたし」「やっぱ魔法少女むりかね」「あんたらは頑張ってね」と、嫉妬に焦がれていた彼女達はあっさりと引き下がった

勝っても嫌われない……なんと素晴らしい魔法だろう


プリズムチェリー「これから頑張ろうねっ! 菫ちゃん!」

オティヌス「本名禁止だよ、プリズムチェリー」フフッ


そして試験官から言い渡されたのは「じゃあ適当に街の平和を守ってね」というなんとも肩透かしな送る言葉だった


 ステータス

 コンマで決める欄はコンマ二桁で、01~00(100)で決めます


身体能力(公式ステ基準の『破壊力・耐久力・俊敏性』をまとめたステ)……>>↓1コンマ

知性……>>↓2コンマ

精神力……>>↓3コンマ

幸運……>>↓4コンマ

自己主張……性格と職業から★★

野望・欲望……性格と職業から★

魔法のポテンシャル……★★★


幸運の霊圧が……消えた……!?

 オティヌスの……

 好きなもの……>>105

平穏な生活


 オティヌスの

 嫌いなもの……>>115

平穏を妨げるもの


魔法少女「オティヌス」のステータス

本名:音桐 菫(おとぎり すみれ)

魔法:【様々な欲求を失わさせるよ】

容姿:右目を眼帯で覆い、三角帽子を被っている。マントを羽織りその下は胸と股間のみを布で隠した姿

性格:純真無垢で天真爛漫

口調:偉そうに気遣う

身体能力……28 ★★
知力……92   ★★★★★
精神力……20  ★
幸運……1   ★
自己主張……  ★★
野望・欲望…… ★
魔法のポテンシャル……★★★
好きなもの……平穏な生活
嫌いなもの……平穏を妨げるもの

スキル「悲運」……身体能力、知力ロール時に-10

持ち物
「槍」

プリズムチェリーと共に魔法少女になった
大人びているが、中身は子供で何にも染まることができてしまう
争い事が無ければ基本的に天真爛漫である
魔法少女になって偉そうに周りを気遣う口調になるのは、魔法少女という絶対上位の存在であるが故。本人にその気は無いが、無意識に周りを見下している


追記:美しい妖精のシャナと出会った場合、二大痴女 夢の国大決戦が勃発する

あ゛あ゛あ゛あ゛

>>50
丁寧だが冷たさを感じる口調
地面につくほどの長い青髪に旋風で構成された服を纏っている
でした……とんだミスです。申し訳ない

せめてもの償いとして
オティヌスの髪は地に着くほどの長い青髪、でなんか周囲にはオティヌスを取り巻くように風が微弱な発生している
気遣う中に時折冷たさを感じさせる
を追加させていただきたい


ある日、桜に学校で話しかけられた。自分を取り巻いていた友人達に断り、誰もいない廊下で2人話す。こういう時は大抵魔法少女絡みの話だ


桜「菫ちゃん……あの、昨日ね……」

菫「うん」

桜「マルダンって分かるよね? スーパーの。そこの屋上で変身したのを同級生に見られてて……」

菫「っ、それじゃ桜は魔法少女の資格を……!」

桜「でもその子が、『私も魔法少女だ』って……」

菫「えっ……?」


オティヌスとプリズムチェリーの担当はK県のS市である

スーパーマルダンのある殿江町という地区はS市ではあるが、2人が担当しているところではない。何故そんなところにプリズムチェリーがという前に、同級生の中に魔法少女がいるということにすべての興味を奪われた


桜にそれを打ち明けた魔法少女の正体は青木奈美。確かに同級生だ。しかもクラスメイトだ


菫「なんで……奈美が……!?」

桜「分からない……どうしよう」

菫「……いいんじゃない? 奈美は明るいし、別に変な人じゃないから」

桜「そうかなぁ?」

菫「私のことは話したの?」

桜「>>直下コンマ一桁」


 奇数→話しちゃった
 偶数→話してない


桜「ううん。話してないよ」

菫「そう……」


菫は平穏な生活を好む。新しい魔法少女と出会っていざこざでもあったらたまったものではない

魔法少女とは誰もが自分が主人公を地でいく。衝突になることは少なくないと試験官も言っていた。衝突――嫌いな言葉だ

争い合いたい奴は争い合いたい奴同士で適当にやっててくれとまで思っている


菫「まぁ奈美は桜に興味があるみたいだし、適当に相手してあげれば?」

桜「適当にって?」

菫「一緒に遊びたいなら遊べばいいし、魔法少女として協力したいっていうならすればいいと思うよ」


さりげなく桜を主体として話す。彼女は魔法少女になってもあまり自己主張が激しくない。菫の好むタイプだ。アドバイスは惜しまない。が、面倒事に巻き込まれたくないから自分は1歩引いたところで話す


菫は別に付き合いが悪いというわけではない。誘われれば遊びに行くし、乞われれば助けもする

ただ自分から厄介事に首を突っ込むのが嫌いなだけだ

もし桜が奈美と付き合っていく上で色々と助言なりなんなりを求めてきたら助けてあげよう


菫「頑張れ、プリズムチェリー」

桜「い、今はプリズムチェリーじゃないしなんか恥ずかしいよ……」

菫「ははは、とにかく、何か困ったら言ってね。力になるから!」

桜「うん……ありがとう」


今日も残りの授業と適当に入った手芸部をつつがなく過ごし、帰路についた


 今日は……>>152
 
 1.人助けをしよう
 2.リラックスして寝よう


人助けをするか。魔法少女のお仕事だ

別に熱心なわけでもない。が、かといって適当に過ごしているわけでもない。子供の頃は人一倍魔法少女への夢を持っていた。それが現実になった。これは幸運だ

菫は運がいいわけではない。というか、ぶっちゃけ悪い。今まで車が水たまりを通った時の被害を被ったことは数知れず、くじは当たらない、席替えは友達と遠い、じゃんけんには負ける

だから菫は考えた。運が悪いなら自分で頑張ればいいと。水たまりには近づかない、くじは当たらないもの、クラス全員と友達になれば席替えでこまらない、じゃんけんは定番の思考パターンや相手の癖を研究。幸い、日常の不運を回避する方法を考え思いつく頭は持ち合わせていたから、それらを駆使して菫は普通に生きていられる

子供の頃は本気で自分に隕石が落ちてくると怯えたものだが、今は違う。不運はつきもの。それとどう付き合っていくかと割り切れば嘆いてばかりのものではない

オティヌスの人助けは、自分のように不運に嘆く人達を救うという、ほんの少しの情熱を秘めていた


変身すると自分を取り巻く風が発生し、常にマントが揺れている。ついでに動くと中学生では絶対に得られないような胸も揺れている

傍から見れば痴女だろう。だが気にするだけ無駄だ。それを分かっている

むしろどうどうとしていなければいけない。魔法少女ならば


困った人達の人助けを終え、家に帰り、クラシックの音楽をかける。外は不運が多い。今日も犬に吠えられ、奥様方に噂された。ああ、嫌だ……

そんな気分を少しでも和らげるのが自室だ。緑色の壁紙、観葉植物、とにかくリラックス効果のあるものは片っ端から試している

魔法少女のメンタルは頑丈に出来ているだろうが、菫のメンタルは脆いのだ。学校で見せない面などいくつもある


菫「…………ふぅ」

菫「明日も、学校……がんばろ」


・・・・・・

~翌日 学校~


菫「おっはよう!」

「おはよー」「今日も元気だね~」

菫「今日は給食がカレーだからね」

「食いしん坊かっ!」「あはは!」

桜「……」

菫「…………あ、桜おはよう」

桜「うん、おはよう」

菫「……昨日の、どうだった? 会ってたんでしょ?」

桜「……うん」


いつもの廊下に移動し、桜の話を聞く

桜の興奮具合から悪いことではなかったのだと安心した


桜「なんかね、4人いたの。炎、水、土、風みたいな!」

菫「へぇ……4人もこの辺に魔法少女がいるなんてビックリ」

桜「でね、4人はディスラプターっていう名前の怪物を倒してるんだって!」

菫「…………怪物?」

桜「ビックリだよね。私達の地区には現れないけど、知念山とかには出るらしくて。4人は正義の味方なの!」

菫「正義の味方かあ……そんな人達がいるんだったらこの街は安泰だね」

桜「うん。でもなんか……色々と私達と違うみたいなの」


自分達との違い。それは4人共衣服と名前がある程度統一されていること、ディスラプターと戦うために日々鍛えていること、必殺技があること、研究所出身だということ

色々気になったが、特に研究所という単語には違和感を感じる。魔法少女は偶然選ばれるものではないのか


 菫は……>>163
 
 1.その人達に興味が湧いた
 2.なんか面倒そうだと思った

2


ディスラプターと呼ばれる怪物との戦い、研究所とかいう意味不明な施設。ああ、こりゃまずい

これはまずい。近寄るべきではない。だめだめだめだめ

戦うということは、危険だ。分からない施設というのは、危険だ

菫は奈美に近付かないと決めた


菫「……でもさ、怪物と戦うなんて危なくない?」

桜「えー……でも、かっこいいよ!」

菫「魔法少女は戦うだけのもんじゃないでしょ」

桜「キューティーヒーラーは?」

菫「あれは別」

桜「うーん……もう一緒に活動するって決めちゃったのに、これじゃ菫ちゃんは誘えないかな……」

菫「……え、一緒に活動!?」

桜「そう! 私、やっと魔法少女になってから意味のあることができそうなの!」


菫「……試験官にも言われたでしょ。魔法少女は適当に平和を守って過ごしてればいいって。それじゃだめなの?」

桜「私、いつも普通で……平凡だったから。魔法少女になれたら何か特別になれるかなぁって思ってて、でも、普通に街の平和を守ってても……結局普通なんだって思って……」

菫「(……ああ、そういうことね…………私が異常な方だった)」


中学生というのは夢見がちだ。冒険のにおいに弱い。街の平和を守って後は私生活に精を出すというのは、「普通の魔法少女」だ

桜は「特別」を求めて魔法少女になった。なら、普通の魔法少女という言葉は彼女にとってもっとも避けたいはずの状況だろう。そして、プリズムチェリーは普通の魔法少女だったがついに特別ななにかを手に入れた

それを邪魔することはできない


菫「…………分かったよ。でも危なくなったらやめてね? プリズムチェリーがいなくなったら相棒無しのソロになっちゃう」

桜「うん。菫ちゃんも気が向いたらいつでも来てね!」

菫「うん。ありがと」


菫は桜を大切に思っているんだと思う。きっかけは初めて同じクラスになった時に名前がどちらも春の花だったことだ。くだらない共通点が脳の片隅に残った。そして共に魔法少女になった。ただのクラスメイトではいられない。パートナーとして、大事にしなくてはいけない

プリズムチェリーは桜同様、どこか頼りない。守ってあげなくては。だけど、オティヌスは厄介事に首を突っ込みたくないから陰からコッソリと


傲慢という言葉の意味は知っている。教科書に書いてあった通りに

だが菫はそれが自分の中で巣食っているなんて思わないし、傲慢なんて単語はアニメや漫画の世界でよく使われるだけの言葉だという印象だった

菫は――オティヌスは傲慢だ

桜を大切だと思いながらも自分が厄介事に巻き込まれそうになると自然と桜から遠ざかってしまう。今もそうだ

だがそれがなんだというのか。厄介事になんか巻き込まれた私の精神はボロボロになる。放っておいてくれ平穏でいさせてくれ

桜の心配をするなら、自分も共にプリズムチェリーと行動すべきだった

だがそれでも菫は、桜よりも自分をとった。所詮はその程度だ

菫は傲慢だ

利己的な行動をとりつつ、本心から桜を心配している。何かあれば駆けつければいいと思っている

そしてその「なにか」は起こるのだということを、菫はまだ知らない


一週間が過ぎた。桜は喜々としてピュアエレメンツについて喋って来る

4人組の魔法少女。戦隊ヒーローみたいな名乗りを口上と武器、そして技。桜の望んだ通りの特別な魔法少女だったようだ

菫は「よかったね」と返す。桜が嬉しそうなら、菫も嬉しい


桜「それで、菫ちゃんはどうかな? そろそろ興味持ってくれた?」

菫「うーん……」

桜「今日も夜に集まるんだけど……」


 菫は……>>180

 1.安全そうだし一緒に行くと言った
 2.やっぱこの生活は捨てられない。誘いを断った
 

2


菫「やっぱいいや。桜が楽しそうだからそれで」

桜「そう……? ならいいけど」

奈美「プリ……加賀美さーん!」

桜「あ、今日は部活休みだったんだ……もう行かなきゃ」

菫「うん、楽しんどいで!」

桜「それじゃね!」タッタッタ

菫「………………ふぅ」


危ないところだった。桜がそこまで言うなら行ってみてもいいかなと思ってしまった

菫はあまり遠出をしない。未知の土地になるべく行きたくないのだ。行くとしても、念密な調査を行う。そうすれば不幸対策になるからだ

研究所というところの見取り図とか4人の詳細データとかあって何があっても対処可能なら行ったかもしれないが、そんなものは無い。初めて行く場所で不幸に見舞われたらたまらない

今日は早く帰って深くリラックスしよう


数日後の夜だった

プリズムチェリーから「魔法少女に襲われた」とのメールが飛び込んで来たのだ

ほらみろ、だから言ったんだ。そもそも魔法少女は研究所出身という奴はいない。魔法の国の研究所所属というのなら分かるが

桜は特別を求めるあまり、平穏な生活が脅かされているようだった

やはり厄介事に首を突っ込むことはよくないのだ。普通が一番

桜の心配する文を作って返す。返信はすぐだった


桜『なんか分かんないけど、その人達は人造魔法少女とか言ってて……』

菫『人造魔法少女ね……その4人は普通じゃなかったわけだ』

桜『皆強いから負けるようなことはないと思うけど……』

菫『なら桜だけそこから逃げな。プリズムチェリーは襲ってきた相手を返り討ちにできる魔法少女じゃないでしょ?』

桜『うん…………そうなんだけど……でも、皆を守りたい』


桜からの返事は意外なものだった。プリズムチェリーの魔法「鏡に映し出すものを自由に変えられる」というものはピュアエレメンツのそれと違って直接的に戦えるようなものではない。なのに桜はピュアエレメンツと行動を共にすると言う

勝手にしろと思った。だが、桜は大切だ。大切なパートナーだ。そんな危険に晒せない


菫『今どこに?』

桜『今は家……明日は休みだから、起きたらすぐに研究所に行かなきゃ』

菫『そんな危険な場所に行くんじゃない!』

桜『ありがとう。もし危なかったら助けてくれる?』


菫「ッ……!」


桜は分かってて言っているのだろうか。いや、きっと分かっていない。桜の言い方はまるでヒロインだ。もしピュアエレメンツが襲ってきたという魔法少女と戦い、彼女が危なくなったらヒーローは誰か。自分だ。自分に助けを求めているのだ。この音桐菫に

ズルい奴だと思う


平穏な生活は捨てられない。どこかに冒険に行くわけでもなくこの街に骨を埋めたい

だが、菫は自分が思っていた以上に、心の中の桜を思う気持ちは強かったようだ


菫『その研究所の住所と見取り図とピュアエレメンツの詳細なデータ、襲ってきた魔法少女のこと、なんでもいいから送って』

桜『え、あ、うん』


畜生、なんで自分から首を突っ込む。突っ込むんじゃないよ。お前、不幸になるぞ

でも、心のどこかで自分は首を突っ込む必要は無いのではないか。ピュアエレメンツとかいうヒーローがプリズムチェリーというヒロインを守り切ってくれればそれでいい

あくまで自分が首を突っ込まないよう、なおかつ桜を助けられるよう、こちらは手を回そう


ほどなくして求めた資料が魔法の端末に送られてきた。そして襲われたのがプリズムチェリー自体ではないとの連絡も来た。よかった。今桜が手を引っ込めれば、完全にプリズムチェリーはその事態から無関係になれる。が、そうもいかないだろう

襲ってきた魔法少女の外見をピュアエレメンツのメンバーから聞いたらしい。糸と玉の魔法少女、オーバーホールにシャボン玉の魔法少女、喪服みたいな黒い魔法少女

魔法の国の監査部門に連絡を入れた。警察というからにはそこに連絡するのがいいんだろう


『はい、こちら魔法の国監査部門です。いくら24時間受付とはいえこんな時間に非常識な通報をどうぞ』

菫「(…………)」

菫「あの、友人が魔法少女に襲われたそうなんです」

『傷害関連ですね。襲ってきた魔法少女の特徴は?』

菫「えっと――」

『――なるほど。資料に一致するのがいます。フィルルゥ、ウッタカッタ、カフリアというフリーランスの魔法少女ですね』

菫「じゃあ早く友人を助けてください」

『少々お待ちを……偶然にもそちらに監査部門の魔法少女が1人いますね。詳しい話はその人にどうぞ』ガチャ

菫「え、ちょ、ちょっと!」


適当……というわけではなかったが、対応してもらえたことに安堵する。だがこの街に監査部門の魔法少女がいるとはどういうことだろうか。別にこの街で変なことをした覚えはないし、変なことは起こっていない。件のピュアエレメンツ関連以外では

ということは、監査部門はピュアエレメンツを……? いや、早計だろう

いくら普通の魔法少女ではないとはいえ、監査部門が直々に監査しにくるなんて………………いや、普通の魔法少女じゃないから監査部門が来るのか

…………まずい。もしピュアエレメンツが本当は悪い連中で、摘発されるようなことを裏でしてたらプリズムチェリーは……

監査部門の魔法少女から連絡があった。近くにいるとのことだ。どうやら相手はこちらの位置が分かるらしい。おいおい発信機か?

電話越しに今どこにいるのかと聞くと、コンコンと窓を叩かれた

1人だと聞いていたのに、白いのと黒いのと、なんか騎士っぽいの……3人の魔法少女がそこにいた


・・・・・・


監査部門の魔法少女スノーホワイトはラ・ピュセル、ハードゴア・アリスと共にS市にあるという人造魔法少女の研究所を調査するべく、街中をさまよい研究所を探していた

現在、監査部門は革命軍の告発により立場を危ぶまれている。他の部門より優位に立つには、輝かしい手柄を立てて上塗りしなければならないだろう

そこでどこからかタレコミがあった。S市に人造魔法少女を研究している施設がある。と――

監査部門は眉唾なその話に飛びつくとはいわないまでも興味を示した。人の手で魔法少女を生み出すなど、魔法の国への侮辱、反逆、etcなんでも言える

本当なら本当で摘発、ガセなら適当に帰ってきていいとの極秘任務を承ったスノーホワイトは、S市についてから色々とあった

魔法少女は目立つため人間の姿でS市を回っていると、なんと旧友の緋山朱里と再会したのだ。研究所とやらはまだ見つからない。S市内に研究所があることは確かだそうだが……これ以上見つからなければガセネタだ。無駄骨だ

その後、極秘任務を帯びていると知らない窓口担当から「傷害事件の通報があったのでそちらへ向かってください」と言われ、今に至る


スノーホワイト「監査部門のスノーホワイトです。あなたは通報した魔法少女?」

菫「あ、はい……」

スノーホワイト「……とりあえず変身してもらってもいいかな?」

菫「…………分かりました」


菫がオティヌスへと変身。騎士の視線が逸れるのを感じる


オティヌス「襲われたのは私の友人のプリズムチェリーの友達です」

アリス「…………友達の友達?」

オティヌス「まぁ、そう……です」


スノーホワイト「プリズムチェリーのもとに行きますか?」

オティヌス「っ……」

スノーホワイト「……そうですか。プリズムチェリーが事件に関与していたら困る…………どんな事件ですか?」

オティヌス「えっ……?」

スノーホワイト「ピュアエレメンツと研究所の事件……」

ラ・ピュセル「これは当たりだね」

スノーホワイト「うん。みたい」

オティヌス「え、なんで……!」

スノーホワイト「私の魔法。ごめんなさい。あなたの考えていることは、大体読めちゃいました」

オティヌス「…………」

スノーホワイト「でもプリズムチェリーは関係ないから、もし研究所が悪い施設だとしても捕まえないでほしい……と。それが通報内容の詳細ですね」


スノーホワイトとラ・ピュセル、ハードゴア・アリスはプリズムチェリーの自宅へ向かうと言った

さっきの電話窓口の魔法少女は適当な奴だった。まさか監査部門は警察と謳いながら適当な取り締まりをしているのではないか……だとすればプリズムチェリーを適当に検挙して……と思ったところでスノーホワイトに一緒に来るかと言われた。そうだ、コイツ、心を読むんだった

このままでは桜が……いや、私の平穏な生活は……


 精神力(20)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→平穏な生活を守りたい
 失敗→ついていった


 64……失敗


だめだった。桜を監査部門に任せて自分は悠悠自適という選択肢がとれなかった

クソッ、クソッ、クソッ!! なんだよ! なんだよ桜って!? なんで桜のために自分の平穏を壊す真似をするんだ私は!! そんなに桜が大事か!? 

自分が嫌になる。前に桜に誘われた時は適当に返し、自分を取っていたくせに、いざ桜に危険が降り注ぎそうになると行動を起こしてしまった。それが認められなかった


オティヌス「あそこがプリズムチェリーの自宅です」

スノーホワイト「みたいですね……困っている声が聞こえます。仲間を襲ってきた魔法少女がまた来たらどうしよう……って」

オティヌス「そうでしょう。だからプリズムチェリーは研究所に無関係です」

ラ・ピュセル「だがそれが人造魔法少女の悪事の否定にはならない」

オティヌス「……」

スノーホワイト「まぁまぁ。プリズムチェリーが悪意を持って彼女達と接していないと分かっただけでも成果だよ」

アリス「これであとは研究所の場所が分かれば……」

オティヌス「(……そういやどこにあるかも桜から送られてきた資料の中にあった…………っ、やば!)」

スノーホワイト「……どこにあるか教えてくれますね? オティヌス」ニコッ


今日はここまで

仮に死ぬ場合、オティヌスの死に際の言葉は「サクラとスミレで……きっと、綺麗だから」


スノーホワイトの前では隠し事ができない。なるほど、監査部門の魔法少女らしい魔法だ

だが電話では監査部門の魔法少女が1人ここにいると言っていたが、残り2人はなんだろう


ラ・ピュセル「私は監査部門ではないよ。スノーホワイトの騎士さ」

アリス「私はスノーホワイトの持ち物です」


なるほど

この研究所のデータを渡せば監査部門が今から研究所にガサ入れに行っておしまい。おお、素晴らしいじゃないか。桜は自宅にいて、オティヌスは今からデータを渡してとっとと帰ればいい。事件に巻き込まれることなく解決される。完璧だ


 幸運(01)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→スノーホワイト達はすぐに研究所へ向かった
 失敗→他の魔法少女が襲い掛かって来た


 04……失敗


ファル「スノーホワイト、近くに魔法少女反応2だぽん」

スノーホワイト「新しい反応?」 
 
「ヒャッハー!」



ライダーキックが飛んできた。それに3人はすぐ反応した

アリスがオティヌスを担いで跳び、スノーホワイトとラ・ピュセルがキックを得物で受け止める

スノーホワイトが持つ電子妖精マスコット「ファル」はキークによって通常のFAシリーズからはるかに逸脱した性能を誇っている。キークが逮捕されたとき、スノーホワイトが回収したものを再利用している

ファルがいる限り、スノーホワイトに不意討ちは通用しない


ファル「あれは袋井魔梨華……あの武闘派揃いの魔王塾からでさえ放逐された荒くれものぽん」

スノーホワイト「魔王塾……」

魔梨華「ほう、マスコット付きか! てことは骨のある魔法少女だってことだ!」

ファル「気を付けるぽんスノーホワイト、コイツはその見た目通り頭にお花が咲いてるぽん! その花は色んな能力があって――」

魔梨華「挨拶は無用かぁ! なら口上無しでいかせてもらうぜぇ!」

ラ・ピュセル「スノーホワイト、さがって!」

魔梨華「スノーホワイト……? なるほどぉ、監査部のエースさんかい!」


ラ・ピュセルの剣と魔梨華の拳が交錯する。そこにスノーホワイトが割って入り、2対1の状況に持って行く

スノーホワイト達は堅実な戦い方をする。数の有利はそのまま戦いの結末を決める場合だってある。いくら屈強な魔法少女でも数で攻められたらなす術がない

だが袋井魔梨華は違う。スノーホワイトの読心による防御や回避によって有効打は決めていないが、2人の攻撃もまた、魔梨華にヒットしていないのだ

オティヌスは混乱していた。突如プリズムチェリーの情報に無い魔法少女がやってきて、監査部門だろうとお構いなしに戦闘をしかけてきた。コイツ、頭のネジが何本か足んねぇみてぇだ。私は早く監査部門に事件を解決してほしいんだ


 手を出すべきか……>>231

 1.魔法を使う
 2.スノーホワイト達に任せる

1


短いけど今日はここまで


ここで足止めされるのは面倒だ。そして見るからにこの袋井魔梨華という魔法少女は平穏とは程遠い。戦闘狂というやつだろうか

交戦的で仕草が粗暴だ。オティヌスの嫌うタイプ


オティヌス「(こういう奴は戦いたがってるって感じか。なら……)」


オティヌスの魔法――あらゆる欲求を失わせる魔法で「戦いたい欲求」を無くせばいい

魔法が発動するには条件がある


 それは……>>262
 
 1.槍で突き傷付ける
 2.眼帯を取り、右目と相手の目が合う


オティヌスの右目は眼帯で塞がれている。それを開放することが魔法のトリガーだ

普段開かれている瞳は緑色だが、右目は違う。黄金色に輝いている

その右目と相手の目が合うことによって魔法が発動するのだ


オティヌス「……」

アリス「えっ」

魔梨華「なんだぁ? テメェ」

ラ・ピュセル「危ない、下がっているんだ」


突如スノーホワイト達の前に出たオティヌスに誰もが注目する。3人を背に、オティヌスは眼帯をめくり、袋井魔梨華をじっと見た

目が合う。さぁこれ以上戦うな


魔梨華「………………チッ、なんか気が削がれちまった。やめだやめ」


やった、成功だ


この魔法の効果時間は……>>直下コンマ一桁x時間(00の場合10時間)


この魔法の効果は9時間持続する。つまり魔梨華は9時間は戦いたい欲求が無くなる

9時間あればこの場をしのぐには十分だ。共に行動する者同士でない限り、別れてはいさよなら。選抜試験の時も土壇場でこの魔法を使ってライバルの成績を下げたりした。結果発表のときにも使い、非難を避けて来た

この魔法の難点を挙げるとすれば、目を合わせなければならないから視力の無い相手やこちらを見ない相手に効果が無いことと、1回につき失わせる欲求がひとつ限りだということだろう。もう1度同じ相手に魔法をかけたいと思ったら9時間待たなければならない

魔法で無双するには相当相手の核となる欲求を失わせなければならないのだ。だが、オティヌスにはそれができる。オティヌスは相手を的確に分析する目と、それを紐解き、暴いていく頭がある。音桐菫が生まれ持った頭脳がそれを可能にする


オティヌス「こんなところで戦ってはあなたにもスノーホワイト達にも得はないでしょう。矛を収めていただきたい」

魔梨華「わぁーってるつの。チッ……そういや美々どこ行ったっけ」

「なにやってんですか!!」


そこにまた派手な人間が現れた。見た目で分かる。人間ではなく魔法少女だ


ファル「スタイラー美々ぽん!」

スタイラー美々「物騒なことはやめてください!」

魔梨華「うっせぇなぁ。もうやめたっつの」

スタイラー美々「えっ?」


スタイラー美々は目を見開いた。ということは戦闘狂である袋井魔梨華のことを知っている人物だ

ファルが彼女もまた魔王塾の関係者だと説明してくれた。なるほど、お友達か


スタイラー美々「えっと、でも戦いはしたんですよね?」

魔梨華「少しだけな」

スタイラー美々「ああああ! すみませんすみません! ウチのバカがお世話をかけました!」


なるほどそういうコンビか。彼女は苦労人だ


魔梨華「なーんか急につまんなくなっちまったな……帰るか?」

スタイラー美々「えっ、でもメールの件は?」

魔梨華「あーメールな……人造魔法少女とかいう面白そうな連中だろ? でもなーんかそいつらとも戦おうって気にならなくなったんだよなぁ」


人造魔法少女という言葉に反応するスノーホワイト達をスタイラー美々は見逃さない。この危ない戦闘狂の相方をやれてるだけあるということか


スタイラー美々「あなた達もメールを?」

スノーホワイト「いえ。監査部門に通報があって」

魔梨華「なんだ、同じ目的か?」

オティヌス「(監査部門の調査は分かる……だがこの人達も人造魔法少女を……? しかもメール?)」


 >>279
 
 1.魔梨華達になんでここに来たのか聞く
 2.とっととおさらばする


オティヌス「帰りたいなら帰った方がいいですよ。あなた達は監査部門じゃないのでしょう? 私は監査部門に通報したんです。どういうわけかそれも人造魔法少女関連だった……私は家に帰ってこの人達の事件解決を待ちます」

スタイラー美々「えっ、あなたも帰っちゃんですか?」

オティヌス「厄介事に巻き込まれるのは嫌なんです。それじゃ」


 幸運(01)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→自宅に帰って静かに暮らす
 失敗→突如動きを封じられる


5人を置いて家に帰ろうとしたときだった。突如背後に気配を感じたかと思うと、体が動かなくなったのだ


「現行犯です」

オティヌス「な……!?」


ゆっくり穏やかな声が聞こえる。誰もが驚いた。そこには誰もいなかったのに、本当に突然現れたのだ。瞬間移動だ


「私は人事部門のメルティ☆セルティと申します。あなた、監査部門ですね? 袋井魔梨華と交戦したあなたに色々と質問があります」

オティヌス「はぁ!?」


その後、なんとか誤解を解いた


セルティ「申し訳ありません! てっきり監査部門と外交部門の衝突があるものだと思い、いてもたってもいられず……」

スノーホワイト「(……嘘はついてない)」


メルティ☆セルティは人事部門に入った「監査部門と外交部門が妙な動きをしている」という情報から、S市にやってきたのだとか。そこで監査部門のスノーホワイトが何者かと争っている。見ればあの袋井魔梨華ではないか。スノーホワイトの側についてる魔法少女が帰ろうとしたので止めた

セルティの早とちりにより帰るタイミングを失ったオティヌスは見るからに不機嫌な顔をしてその場に留まった


セルティ「我々人事部門としては、前に色々やらかしてくれた外交部門と監査部門の動きを野放しにするわけにはいきません。いつもは警察を謳う監査部門ですが、今回ばかりはこちらがあなた方の監視をさせていただきます」

魔梨華「あれ? ウチら外交部門だったっけ?」

セルティ「あれ? 魔王塾は全員外交部門じゃ?」

スタイラー美々「あれ……そうでしたっけ…………?」

セルティ「……コホン、ともかく。外交部門がこの街に入っているとの情報は得ているんです」


セルティ「――なるほど、人造魔法少女…………その研究所を探していると?」

スノーホワイト「はい。もう場所は分かっているのですぐにでも向かおうかと」

セルティ「…………それは反対ですね。このS市にはまだ多くの魔法少女が入ってきているとの情報があります。なんでもフリーランスの魔法少女達も来ているとか」

ラ・ピュセル「フリーランス? その人達も人造魔法少女を?」

セルティ「分かりませんが、もし人造魔法少女なるものが実在すれば、それは魔法の国への冒涜です。人間が人間よりも優れた魔法少女を生み出すなど……仮にそれを確保して魔法の国に引き渡せばフリーランスの魔法少女にとって良いことばかりでは?」

オティヌス「(確かに……魔法の国へのコネもあるし、きっと謝礼もたんまりだろう)」

アリス「……信用できますか?」ヒソヒソ

スノーホワイト「大丈夫。この人は本心から人事部門の仕事をまっとうしようとしてる」ヒソヒソ

セルティ「私としては、研究所より先にフリーランスの魔法少女達とコンタクトを取る方がいいと思います。仮に現場で鉢合わせになって誤解から争いに発展するのは避けたいですからね」

オティヌス「私は帰っていいですか?」

セルティ「あなたは我々の極秘情報を知りすぎたため、同行していただきます」

オティヌス「勝手に喋ったんでしょ!!? ああぁぁこれだから私は運が無いんだァ!!」

セルティ「おやあなたもですか? 私もよく運が無いと思う瞬間があって。お仲間ですね」


セルティ「あ、一応私のデータをお渡ししますね。部門長から『名乗って信じない相手なら渡せ』と命じられているので。身分証明ということで」


各々の魔法の端末にセルティのデータが送られてきた

メルティ☆セルティ。人事部門所属。性格は正義感が強く曲がったことが許せない。どちらかというと監査部門寄りの性格だ

かつて新人研修があった時に例のB市の事件に巻き込まれ、同部門7753、監査部門マナ、下克上羽菜らと共に事件の調査にあたった。そこでも彼女は正義感から行動を起こそうとしたが、力が足りず暗殺者は自殺、B市も外交部門の暴走により消滅した。その事件以来、セルティは外交部門監査部門を嫌う傾向にある

なるほど、本人が「お恥ずかしい」と顔を赤らめるほど詳しい情報が載っている


スノーホワイト「(…………この経歴にも変なところはない。彼女は普通の人事部門の魔法少女だ)」

魔梨華「おぉ、魔王パムといたのか。アイツ元気だったか?」

セルティ「はい。あの事件を共に戦った者として、魔王パムの現在の立場は非常に心苦しいものがあります」


魔王パムは外交部門の顔から、一気に立場を悪くしていた。暴走した部署は無論相応の処罰を受けたが、外交部門はそれだけでは飽き足らず、魔王パムを事件の引き金にしたという暴論で保身に図ろうとした。一部は魔王パムの失脚を目論んでいるらしい。だが、それは魔王パムのカリスマと戦闘力から難航しているようではあるが


スタイラー美々「魔王パムの影響力はすさまじいですからね。いくら外交部門がワーキャー言おうとほとんどの者は魔王パムを悪者にしようとはしません。むしろ外交部門はそれでますます白い目で見られてます」

魔梨華「ま、アイツが政争の犠牲者になるこたねーだろうな」

スタイラー美々「魔王パムもなーんかあの事件からやる気無くしてるんですよね。上の空になることが多いというか」

ラ・ピュセル「それで、フリーランスの魔法少女達の居場所は分かっているのかい?」

セルティ「それが分からなくて……手分けして探しませんか? 見つけたら魔法の端末に連絡し合うということで」

スタイラー美々「あの、私達も帰っちゃダメですよね?」

セルティ「申し訳ありません」

魔梨華「めんど……」

セルティ「ここには7人いますね。相手がどう出てくるか分かりません。4人と3人で別れましょうか


 オティヌスは……>>301
 
 1.スノーホワイト達と行動を共にした
 2.魔梨華達と行動を共にした


チーム分けはスノーホワイト達の3人+セルティ、魔梨華達+オティヌスとなった


オティヌス「(…………9時間以内に別行動したい)」

魔梨華「よろしくな。ウチらについてくるってことは相当腕があるみてぇだ」

スタイラー美々「その槍立派ですねぇ……どうやら戦う魔法少女のようです」

オティヌス「(…………そういや私、戦ったことなんて無いや。まぁ槍持ってるんだし私はきっと強いはず)」


 3人は……>>直下コンマ一桁
 
 奇数→一晩かけてフリーランスの3人を見つけた
 偶数→一晩探しても見つからなかった
 ぞろ目→外交部門の魔法少女と出会った
 


一晩かけてやっと見つけた魔法少女達は3人いた。どれも桜からの情報通りの見た目だ。確か名前はフィルルゥ、ウッタカッタ、カフリア

もう陽が昇ってきている。朝だ


フィルルゥ「ッ、袋井魔梨華!?」

ウッタカッタ「これは……想定外の大ピンチでございますな」

カフリア「…………」ジリ

スタイラー美々「ああ待って待って! あなた達3人、人造魔法少女の情報を得てここに来たんですか?」

フィルルゥ「ってことは……あなた達も?」

スタイラー美々「そんなメールが来ました。そうですよね?」

カフリア「ええ。フリーの私達としては魔法の国にコネを持てるしお金も貰えるからってことで飛びついたわ」

スタイラー美々「ということは目的は同じですね」

魔梨華「そんなん興味ねーぞ」


オティヌス「スノーホワイト、フリーランスの魔法少女3人を見つけました」

スノーホワイト『分かりました』

スタイラー美々「他にご同業は?」

カフリア「研究所を探すために街中探し回ったけど、研究所はおろか他の魔法少女も……あ、例の人造魔法少女と思わしきのとは会いましたが」

ウッタカッタ「妙に統一感のあるコスチュームでございました」

オティヌス「(……ピュアエレメンツ)」


スノーホワイト達と合流し、研究所のデータをもとに割り出した住所に向かうとそこは廃工場だった


ラ・ピュセル「……怪しい」

スノーホワイト「人が来ないというって点なら隠れ蓑にはうってつけだけど……」


廃工場の入り口には2人の魔法少女がいた。ファルは見るなり「レディ・プロウドとアンブレンだぽん。外交部門ぽん」と騒いだ


レディ・プロウド「貴様、魔王塾の……!」

魔梨華「あ? もう魔王塾じゃねーよ」

アンブレン「……こんなに魔法少女がいるんなら帰ってもいいんじゃない?」


アンブレンがやる気なさげに言った言葉にオティヌスは激しく首を縦に振った。ここには9人もの魔法少女がいる。こんな光景選抜試験以来だ

だがセルティが帰してくれない以上、ついていくしかないんだろう。桜は……まさかもうこの中にいないよな?


レディ・プロウド「お前達も人造魔法少女の情報に踊らされてきた者共か」

セルティ「ということは、外交部門と監査部門……さらにはフリーランスの魔法少女にも同じメールが送られているのですね」

オティヌス「(見るからに誘われてる……メールを送った人は皆不明だとかで、ますます怪しい……)」

チョイ1時間ほど中断。人事部門長に問い合わせて研究所の見取り図を調べてくる


レディ・プロウド「こんなに魔法少女がいるなら、班やリーダーを決めておくべきではないかい?」


レディ・プロウドの言うことはもっともだ。しかし魔法少女は誰もがリーダー足り得るものだ。そうおいそれとリーダーを決めるのは――


アンブレン「プロウドでいいんじゃない?」

セルティ「それでいいかと」

スタイラー美々「あーそれでいいんじゃないですか」

オティヌス「(いいのか!?)」


どうやら世渡りがうまい魔法少女が多いようだ

まぁこんな連中のリーダーなど頼まれてもやりたくないが

レディ・プロウドを急造チームのリーダーに決め、廃工場へと踏み入った


工場を手分けして調査する。ふむ、何もないようで何かありそうだ

住所と内部の見取り図は教えてもらったが、肝心の工場から施設への入り方はまさか来るとは思っていなかったので聞いていない。仕方ないので桜に聞いてみた


オティヌス「プリズムチェリー、今工場に来てるんだけど……ここからどうやって中に入るの?」

プリズムチェリー『えっ、ホント!? あのね、そこの――』

オティヌス「…………なるほど。分かった。それじゃ中に入ってみるよ」

プリズムチェリー『入口のパスワードは設定してないから普通に開くはずだよ。中で待ってるね!』

オティヌス「……………………え?」


通話が切れた。まさか、何故だ。ああそうか、もう朝で今日は休日。早起きして夢中になってるピュアエレメンツのもとへと行くのは別に不思議ではない

だが認めたくない。仮にこいつらの誰かがプリズムチェリーに手を出そうとしたら……


オティヌス「中への入り口が分かりました」

レディ・プロウド「早いね」

オティヌス「内部に友人がいるんです。その子は人造魔法少女なんかじゃなくて、普通の魔法少女で――」

スノーホワイト「オティヌスが監査部門に通報して私を頼って来たのも、その子には手を出すなってことらしいです」

魔梨華「見分けがついたらな」

スタイラー美々「その子の特徴とかを教えてください。保護できるかも」

オティヌス「名前はプリズムチェリー。魔法は鏡に映るものを変えられる……なんの害も無い子です。お願いします」

ラ・ピュセル「大丈夫さ。仮に人造魔法少女が悪い連中でもしっかり守ろう」

フィルルゥ「あの、それ仕事として頼んでくれませんかね? 金欠で」

オティヌス「え、あ……私もお金はあまり……」

カフリア「残念。ま、今回の仕事の報酬内訳と思いましょ」


プリズムチェリーが言っていた言っていたポイントはこの建物だ。この倉庫にゲートがある

入るとまた魔法少女が居た。おいおい何人集まるんだよ。これで11人か


「クビヲハネヨ」

オティヌス「えっ……!?」

スノーホワイト「っ……!」チャキ

ウッタカッタ「……あれは、魔法の国の本国の方でございますかな?」

フィルルゥ「知ってるんですか?」

ウッタカッタ「ええ。もしかしたら本国の情報局の方かもしれないでございますです」

レディ・プロウド「本国……?」


ウッタカッタは1度仕事で本国の魔法少女と交流したことがあるらしい。通訳を買って出てくれた

といってもウッタカッタがへりくだり、不思議の国のアリスに出てくるハートの女王みたいな魔法少女が「クビヲハネヨ」としか言わない謎の会話であったが


ウッタカッタ「あの女王様っぽいのがグリムハート、お付きのトランプっぽいのはシャッフリンというそうでございます」

アンブレン「よくわかるね」

ウッタカッタ「こういう会話にはそういうものがあるのでございます」

カフリア「どういうのよ……じゃあ彼女達の目的は?」

ウッタカッタ「我々と似たり寄ったりでございますですよ」

レディ・プロウド「ならば味方か……ついてきてもらいましょうか」

グリムハート「クビヲハネヨ」

オティヌス「(………………大丈夫? 意思疎通できるのこんなんと?)」


>>321訂正
×これで11人か
〇これで14人か


どうやら倉庫内には下に向かう梯子がある。これが入口だろう

フィルルゥとウッタカッタが魔法を組み合わせ、鳴子のようなものを作ってくれた。フィルルゥの糸をウッタカッタのシャボン玉に通し、シャボン玉が感じた空気の微妙な揺れをフィルルゥが感知するというものだ。梯子の下は真っ暗で何も見えない。この鳴子は役に立つだろう


フィルルゥ「…………OK。何もいません」

レディ・プロウド「では入る前に班を決めよう。オティヌスよりもたらされた見取り図で入ってすぐ二股に道が分かれているのは知っているね?」

魔梨華「どの班も構わねぇ! さっさと戦わせろ!」

オティヌス「(あ、もうあれから9時間経ったんだ……)」

レディ・プロウド「……スノーホワイトは3人行動と名高い……袋井魔梨華にはスタイラー美々がいないと暴走する…………グリムハートは……」ブツブツ


班が決まった

A班がレディ・プロウド、アンブレン、スノーホワイト、ラ・ピュセル、ハードゴア・アリス、カフリア

B班がグリムハート、シャッフリン、袋井魔梨華、スタイラー美々、フィルルゥ、ウッタカッタ


 オティヌスとセルティは……>>直下コンマ一桁
 
 奇数→オティヌスがA班でセルティがB班
 偶数→セルティがA班でオティヌスがB班


セルティはA班、オティヌスはB班となった。レディ・プロウドは丁度偶数いてくれてよかったと額を拭う素振りをする


セルティ「よろしくお願いします。私としても外交部門と監査部門の両方を見張れるこの編成は賛成ですよ」

レディ・プロウド「そう言うと思ってこう分けたのさ」

ウッタカッタ「だからってグリムハートを押し付ける必要は無いんじゃないでございますよ!」

カフリア「頑張ってー」ハハハ

フィルルゥ「A班だからってデカい顔しないでくださいよ!!」

オティヌス「(これ、完全にグリムハート押し付けられ損だよね!?)」

カフリア「あなた、オティヌスだったわね?」

オティヌス「え、はい」

カフリア「そちらのチームに、1番先に死ぬ人がいるわ」

オティヌス「怖いこと言わないでもらえますか?」

カフリア「脅しでもなんでもない事実よ。それじゃあ頑張ってね」


スノーホワイトは別れ際、ハートの3をモチーフにしたシャッフリンが腰に下げている袋を見た。あれは自分が持っているものと同じ、四次元袋だ。ということは魔法の国の情報局かもしれないというのは正解だろう。だが、シャッフリンはともかくグリムハートの心が読めない。まるで蓋をされているように……


ファル「気を付けるぽん。ここから先、見取り図があるとはいえ罠もあるかもしれないぽん」

スノーホワイト「分かってる。ラ・ピュセル、アリス。いくよ」

ラ・ピュセル「ああ!」

アリス「……」コクッ

レディ・プロウド「ではいいな? 梯子を降りたら我々は右側でそちらは左側だよ。連絡は密に」

フィルルゥ「はい。というか、B班の班長は……」

スタイラー美々「よろです」

フィルルゥ「ええぇー!」


真っ暗闇の中梯子をおよそ20mは下り、大きなゲートの前に出た。どうやらゲートは体重感知式のようで、勝手に開く

ゲートの向こうは廊下になっており、明かりもついていた。白い壁と床がここは研究所ですよといった雰囲気を出してくれる

何かあれば連絡し、まずいようならここに撤退と決め、14人の魔法少女達は二手に別れて進んでいった


オティヌス「(見取り図によると……しばらく進むと砂漠のトレーニングルーム。砂漠?)」


トレーニングルームと言われるとジムのようなものを想像していたが、違った。外側に広がる二股の廊下の左側をフィルルゥを先頭、グリムハートとシャッフリンを殿に進み、突き当りのシャッターを開くとそこには砂漠があった。天井が無ければ本当に砂漠に来てしまったと錯覚するほど砂漠だ

そして、そこに待ち受けていた魔法少女は2人。赤いのと緑のだった


フィルルゥ「あら、昨日ぶりですね」

魔梨華「敵かァ! よっしゃ腕がなるぜ!」


オティヌスはここに来て致命的な間違いを犯していた。自分は他の魔法少女と来ていると言わなかったのだ。いや、言えなかったと言うべきか。先程プリズムチェリーはオティヌスが一緒にピュアエレメンツと共に活動してくれると思い早口でまくし立てていた。言う暇が無かった

だがその後メッセージでも送ればよかったのに送らなかったのはオティヌスのミスだろう。ピュアエレメンツは自分達を悪い侵入者だと思って対処している

赤いのは確かプリンセス・インフェルノ、緑色のはプリンセス・テンペストだったか。プリズムチェリーから聞いた通りの見た目だ


インフェルノ「侵入者とはねぇ。ここには何もないよ」

魔梨華「何があろうと関係ねぇ! バトろうぜ!!」ダッ

フィルルゥ「あっ、ちょっと! 人造魔法少女を殺したりしないでくださいよ!?」

テンペスト「捕獲したディスラプターも投入して!」


テンペストがそう言うと、砂漠エリアに影の塊のような、黒ずんだなにかが現れ始めた。ディスラプター……つまり、怪物だ


ウッタカッタ「なんでございますかあれは!?」

オティヌス「ディスラプターという名前の怪物だそうです。人造魔法少女はアレを使役している」

フィルルゥ「沢山来る! 戦いますよ!」

魔梨華「ヒャッハー!」

インフェルノ「くっ、強い……!」

テンペスト「負けそうじゃん!」

インフェルノ「うるさい! ラグジュアリーモード、オン!!」

オティヌス「(……ますます変身ヒーローみたい……だけど、強くなる……)」


インフェルノの動きが変わった。数合撃ち合ってみた感じ、魔梨華が圧倒的に優勢だったがこれで分からなくなった

魔梨華はインフェルノと、他の魔法少女はディスラプターと連携するテンペストと戦っている。後ろを見るとシャッフリンが怯えていた


 オティヌスは……>>341
 
 1.ディスラプター達と戦う
 2.自分はプリズムチェリーの友人だと言う
 3.魔法を使い相手の戦意を奪う


とりあえずこのくだらない戦いをやめさせなければならないだろう。ピュアエレメンツが本当に人造魔法少女なら魔法の国からそれ相応の対処をされればいいし、違うなら今共にいる魔法少女達は納得して帰る

そのためには自分がプリズムチェリーの友人だと理解してもらうしかない

インフェルノは魔梨華に忙しそうだ。比較的余裕のあるテンペストに話しかけるか

が、まずはこのディスラプターを何とかしなければ始まらない……

大声を出しても舞い上がる砂塵と戦闘の音にかき消されるだろう

槍を構える。ディスラプターは戦隊ものでいう雑魚敵だ。魔法少女の私が負けるものか


 身体能力(28-10=18)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→ディスラプターを斬り払いテンペストのもとに辿り着く
 失敗→ディスラプター相手に手こずって何もできない


 25……失敗

 
 
オティヌス「はぁぁ!」



槍でディスラプターを突こうとするも、弾かれた。コイツ、強い!?

騎士のような黒い怪物が剣で槍を弾き、こちらに攻撃をしかけてくる


オティヌス「(クソッ……周りの皆は……)」


スタイラー美々は曲がりなりにも魔王塾の人間だ。ディスラプターに遅れはとらない。フリーランスのフィルルゥとウッタカッタも思い思いにディスラプターに優勢をとり、たまに攻撃してくるテンペストを凌いでいる。これはつまり――


オティヌス「(私、弱いの!?)」


ディスラプターに目と思わしき部分は無い。つまり、オティヌスの魔法はディスラプター相手に役に立たない


オティヌス「ぐっ……このぉ……!」

スタイラー美々「危ない!」


鍔迫り合いになり、負けかけたところでスタイラー美々に助けられた

屈辱だ。魔法少女が敵に後れをとる。違うだろう。魔法少女はもっと――


スタイラー美々「コイツ1匹1匹は大したことないですが、戦闘に強い個体も混じっているようですね。このままでは……」

オティヌス「……撤退、ですか?」

スタイラー美々「フィルルゥさんに聞いてみます」


フィルルゥの答えもそうだった。スタイラー美々はまさか魔王パムの羽根のような敵が出てくるとは、と勇み足になれないようだ

はしゃぐ魔梨華をスタイラー美々が掴み、B班は来た道を戻っていった


ゲートの前に戻ると、A班も戻って来ていた

B班撤退の連絡を受け、大事をとって戻ったらしい。あちらにも人造魔法少女2人が現れたとか


アンブレン「皆無事っぽい?」

レディ・プロウド「しかし、驚いたな……悪魔を使うとは」

フィルルゥ「悪魔?」

魔梨華「魔法使いとかが使役するような黒い影の化け物のことだよ。お前らも戦ってただろーが」

スタイラー美々「ああ、あれが悪魔なんですね……てっきり魔王パムの羽根みたいなのかと思って怯えましたよ」

スノーホワイト「……少し3人で話をします」

オティヌス「(まさか私があんなに弱いなんて……うう……………………ん?)」

オティヌス「ちょっと、皆さん……足りなくないですか?」


そういえば、と皆が周りを見る。個性豊かな魔法少女達が減っている。14人いたのに、今は……


ウッタカッタ「……カフリアはどこにいったでございますか?」

レディ・プロウド「なに!? あ、本当だ…………あれ、どこに……」

スノーホワイト「どうしました?」

フィルルゥ「カフリアがいないんです。A班に同行してましたよね?」

レディ・プロウド「ああ。いたよねアンブレン? ………………………………アンブレン?」

ラ・ピュセル「え、あれ?」

アリス「……消えた?」

レディ・プロウド「馬鹿な! アンブレン!! どこ!?」


オティヌス「(…………逃げた? いや……皆の目を盗んでゲートに行くなんて……)」

オティヌス「(思い出せ……カフリアの話をしたとき、何があった? あの時まだアンブレンはいた)」

オティヌス「(……確か、カフリアが居ないとキョロキョロした時にグリムハートがシャッフリンに怒ってて、それにびっくりして目を向けた。その間にアンブレンは……)」

スノーホワイト「……カフリアとアンブレンの心の声は聞こえない……完全にこの場からいなくなってる」

ウッタカッタ「カフリアめ逃げたでございますか?」

魔梨華「アンブレンも連れてか?」

レディ・プロウド「アンブレンは逃げるような魔法少女ではない!」

セルティ「消える魔法では? 外交部門は姿が消える暗殺者を飼っているとの噂がありますが」

レディ・プロウド「それについても否定しよう。アンブレンの魔法は消えるものではないし、そんな暗殺者とやらも知らないね」

フィルルゥ「カフリアの魔法も消えるような魔法じゃなかったです」


A班から2人もいなくなった。何かがおかしい逃げても消えてもいないなら可能性はひとつ。敵に捕らわれたと考えるべきだろう


レディ・プロウド「おのれ……! 捕縛用のトラップか!」

フィルルゥ「B班からは特に誰も消えてませんよね?」

魔梨華「多分な」

スタイラー美々「多分じゃ困るんですよ! 誰も消えてません!」

セルティ「では……やはり敵に…………人質をとるとは、随分と情報と違いますね」

オティヌス「……そうだ、プリズムチェリーに連絡をしてみます。彼女から人造魔法少女を説得できれば、カフリアとアンブレンも――」


これで万事解決だと魔法の端末をいじり、プリズムチェリーへと連絡をとる

プリズムチェリーは出なかった


スノーホワイト「プリズムチェリーが出ない?」

オティヌス「はい……ここに入るまで普通に話してたのに」


魔法少女達が施設に侵入し、プリズムチェリーが……桜がどうなっているか分からない。まさか、本性を現した人造魔法少女にスパイとして…………


オティヌス「プリズムチェリー……」

アリス「……どうしますか?」

スノーホワイト「今ここから出ても何の解決にならない。進むしかない。もし彼女達がカフリアとアンブレンを捕まえているなら、交渉して……」


今冷静でない魔法少女は袋井魔梨華――彼女はいつも冷静という言葉を知らない――、レディ・プロウド、オティヌスだ。冷静な者が判断するしかないだろう

フリーランスの2人とスタイラー美々はいまだにシャッフリンを叱り続けるグリムハートを捨て置き、スノーホワイトに助けを求めた。3人1組で、なおかつ冷静で強い。リーダー変更が求められるところだろうか


 スノーホワイトは……>>直下コンマ一桁
 
 奇数→全員で右側の道から行こうと言った
 偶数→再び二手に別れて行こうと言った


スノーホワイト「またA班とB班に分かれて行きましょう。いいですね? レディ・プロウド」

レディ・プロウド「え、ええ……」

スノーホワイト「人数に差が出来てしまいました。B班から1人、こちらにお願いします」

アリス「というよりも……オティヌス」

オティヌス「え?」

スノーホワイト「グリムハートとシャッフリン、袋井魔梨華とスタイラー美々、フィルルゥとウッタカッタは基本的に2人1組です。B班でこちらに来れるのはあなただけ」

オティヌス「……わ、分かりました」

スノーホワイト「大丈夫。プリズムチェリーはきっと無事です」

オティヌス「心を読んで慰めないでください……」


今日はここまで
グリムハートは見た目は可愛い


今度はA班についていく。二股の道を右に行き、突き当りのボタン操作式シャッターを開けると、そこはジャングルだった。本当に木々が植えてある

砂漠といいジャングルといい、本当にリアルだ

そこには再びプリンセス・インフェルノが姿を見せていた。インフェルノの他にもう1人、青いのはプリンセス・デリュージだ


インフェルノ「お前ら、テンペストをどこにやった!」

レディ・プロウド「なに?」

スノーホワイト「………………朱里ちゃん?」

ラ・ピュセル「えっ」

インフェルノ「えっ?」

スノーホワイト「朱里ちゃん、だよね?」

ラ・ピュセル「ばかな、まさかあの朱里!?」

インフェルノ「……誰よあんたら」


するとスノーホワイトは変身を解いた。誰もが驚愕した。敵地で変身を解くなど、とても歴戦の監査部門がとる行動ではない

だがその行動に毒気を抜かれたのか、レディ・プロウドもデリュージも殺気を抑えたのが分かった


インフェルノ「……小雪…………?」

小雪「……ラ・ピュセル」

ラ・ピュセル「え、わ、私も?」

小雪「うん」

ラ・ピュセル「…………分かったよ」

インフェルノ「お前、何変身を…………って、颯太ぁ!!?」

颯太「うう…………」

オティヌス「(え、男? 男!!?!???)」


すぐさま小雪がスノーホワイトに戻り、インフェルノへと向き直る


スノーホワイト「そうちゃんも変身戻していいよ。テンペストという魔法少女は知らない。私達の仲間が消えた。何か知らない? 人質をとってるとかない?」

インフェルノ「そんなことあるわけないじゃん、そっちこそテンペスト隠してんじゃないの!?」

レディ・プロウド「つべこべ言わずにアンブレンを出せ!」

スノーホワイト「彼女達はアンブレンとカフリアを捕えてません。捕まえているなら心の声が聞こえるはず」

レディ・プロウド「なら……」


その時だった。木々のいたるところから黒い影が現れたのだ。ディスラプター――もとい、悪魔だ

悪魔達が次々と襲い掛かって来る。スノーホワイトの魔法がなければ都合の悪いことを聞かれた相手が苦し紛れに攻撃してきたように見えるだろう。だが悪魔は何故かピュアエレメンツにも襲い掛かったのだ


デリュージ「ちょっと! なんで勝手にディスラプターを……っていうか、なんでこっちにも攻撃してくるのよ! プリズムチェリー! 早くディスラプター止めて!!」

オティヌス「ッ、プリズムチェリー!」


オティヌスはすぐに答えを導き出した

先程と同じような悪魔が出てくるということは、この悪魔達はあの砂漠やこのジャングルのような場所にしか出てこない。通路にいるときに襲わなかったということは通路には出せない。コントロールしているのだ

そしてデリュージはプリズムチェリーと言った。つまりプリズムチェリーがこの悪魔達を操っている。そして今仲間であるはずのピュアエレメンツにも攻撃の手が及んでくるということは、可能性は2つ

プリズムチェリーが裏切った。もしくは、プリズムチェリーでない者が操っている

前者はありえない。仮に後者だった場合……ソイツはこちらの味方でも、ピュアエレメンツの味方でもない


オティヌス「(……第3勢力ってやつか)」


 オティヌスは……373
 
 1.ディスラプターの撃退に集中する
 2.ピュアエレメンツにプリズムチェリーのことを聞く


オティヌス「(今度は失敗しない……悪魔とは戦わずに、あいつらに……!)」

「誰よ、あなた!」

オティヌス「あなたは……プリンセス・クエイク?」

クエイク「なんで私を……」

オティヌス「私はプリズムチェリーの友達です。プリズムチェリーはどこに?」

クエイク「ブリーフィングルームに残して……」

オティヌス「早く戻って! これがプリズムチェリーの仕業に思えますか!?」

インフェルノ「ちょっと、なに敵と話してるの!?」

クエイク「プリズムチェリーの友達だって」

デリュージ「プリズムチェリーの?」

オティヌス「音桐菫、この名前に聞き覚えくらいあるでしょ、青木奈美!!」


デリュージが目を見開いた瞬間だった。何かの爆発音が聞こえたのだ


オティヌス「(なに?)」

スノーホワイト「撤退を!!」

ラ・ピュセル「くそっ、さっきより量も質も……!」

セルティ「オティヌスさん!」

オティヌス「…………」


 オティヌスは……>>379
 
 1.共に撤退した
 2.ピュアエレメンツと行動すると言った

2


オティヌス「私はピュアエレメンツと行動を共にし、プリズムチェリーの確認に行きます! 何かあったら私の端末に!!」

スノーホワイト「っ……!」

ラ・ピュセル「レディ・プロウドもやられた! 悪魔には気を付けるんだ!」

オティヌス「(レディ・プロウドが? ……ということはさっきの爆発音は……)」

インフェルノ「デリュージ!?」

デリュージ「くっ、そっち頼む!」

インフェルノ「っ、小雪、デリュージを――」


言い終わる前にスノーホワイト達はジャングルルームから撤退し終わり、シャッターが下りていた。デリュージは悪魔と戦うことに夢中になるあまり、スノーホワイト達が居る方で戦っていたらしく、シャッターの向こうでは今頃デリュージがスノーホワイト達と気まずそうにしているだろう。だが、インフェルノは「小雪なら大丈夫」という保証にもならない保証を内心に抱き、オティヌスを連れ、クエイクと共にブリーフィングルームへと撤退した


クエイク「それで、あなたはプリズムチェリーとデリュージのなんなの?」

オティヌス「クラスメイトです。プリズムチェリーは同じ試験の合格者同士で、一応相棒でした」

インフェルノ「……そう。因果ってやつね」

クエイク「…………っ」


先頭を走っていたクエイクが急停止してくれたおかげでインフェルノがぶつかり、インフェルノにオティヌスがぶつかった

どうしたと責めるよりも先に、クエイクの先に見えるスペードをモチーフにしたトランプの兵士が見えた


オティヌス「シャッフリン?」

クエイク「……くる!」

インフェルノ「ッ!?」


シャッフリンが同じくスペードをモチーフにした槍を突き出してくる。馬鹿な、何故シャッフリンがと問う前にクエイクはその手に持つハンマーでシャッフリンを潰してみせた


オティヌス「うっ…………」ウプッ

クエイク「はぁっ……はぁっ……」

インフェルノ「…………どうして、ブリーフィングルームからアイツが?」

オティヌス「……考えられる可能性としては、私達の仲間が別ルートからそのブリーフィングルームとやらにいることかと」

インフェルノ「そういえばさっきの頭に花が咲いてたやつは見なかったけど、まさか逆側から?」

オティヌス「私達は最初14人いたんです。だから半分に分けて……」

クエイク「なら突破され、ブリーフィングルームを抑えられたということね……あなた、お仲間なら説得できるでしょう?」

オティヌス「はい。もし仲間がブリーフィングルームに居たら私が話をします」


シャッフリンの圧死体を捨て置き、ブリーフィングルームへと走った。ここよ。とクエイクがシャッターの開閉パネルを操作し、隔壁が上へと上がっていく

まず見えたのは、赤い液体だった


オティヌス「な……っ!?」

クエイク「またトランプか……!」


ブリーフィングルームにプリズムチェリーの姿は無かった。代わりにあったのは壁や床に散らされた赤い液体――血と、複数人の魔法少女の姿だった

オティヌスは彼女達に見覚えがあった。見覚えはあるのだが、おかしい。彼女はさっき死んだはず。それに、彼女はこんなに多くなかったはず


グリムハート「クビヲハネヨ」


スペードのJ、Q、Kが槍を手に立ちはだかる。魔梨華やフィルルゥ達の姿は無い。ブリーフィングルームに居るのはグリムハートと大量のシャッフリンだけだ

彼女達には殺意がある。こちらを排除しようとする殺意が

クエイクとインフェルノがオティヌスへと迫る槍を止め、斬り返していた。動きが速い。ついていけない


クエイク「インフェルノ、ラグジュアリーモードは?」

インフェルノ「もう使ってる!」

クエイク「こっちも……! 何よコイツら、強い!」


クエイクとインフェルノは押されていた。シャッフリンの小柄な体躯からは想像もできない動きと槍捌きで2人を追い詰めている


オティヌス「(なによこの状況は……一体どうなってるの? 何故グリムハートとシャッフリンが? 他のB班の連中は?)」


状況がうまく呑み込めないが、目の前に広がる光景から今すべきことは分かる。


 今自分は……>>388
 
 1.魔法を使ってこの場を収めることだ
 2.相手は3人。自分も加わって3対3にすべきだ
 3.ブリーフィングルームに飛び込んで桜の無事を確認することだ

1


自分がいるのだ。グリムハートがピュアエレメンツを排除するつもりなら、魔法を使って戦いをやめさせなければ――

失わせる欲求は……クソッ、なんだ!?

魔梨華のようなタイプなら分かりやすくて失わせる欲求の内容もすぐに分かった。だがシャッフリンは違う。無表情で淡々とグリムハートの「クビヲハネヨ」に従っている

こういう奴は厄介だ。だが魔法少女である以上、感情はあるはずだ。忠実に従うのなら、その忠誠心を削いでやる

クエイクとインフェルノを押しのけ、最前線に飛び出た

眼帯を外す。シャッフリンの目は自分に向いている。今だ


 知力(92-10=82)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→「命令を実行したいという欲求」
 失敗→「従いたいという欲求」


 98→ファンブル

 
 
オティヌス「(お前たちの『グリムハートに従いたい』という欲求を無くしてやる!)」


シャッフリン「…………」


魔法を使った。どうだ? ああ、確認するまでもない

シャッフリンは欲求を失ったにもかかわらず、槍を突き出してきた。何を間違えた。彼女達は何を考えて皆を――


 オティヌスの首根っこを引っ張ったのは……>>直下コンマ二桁
 
 奇数→クエイク
 偶数→インフェルノ


突然、何かに後ろに引っ張られた。体が廊下に飛び出し、無様に尻餅をつく


オティヌス「いっつつ………………え?」

インフェルノ「く、クエイク!!」


クエイクは喉を貫かれていた

血が槍を伝い、シャッフリンの手にこびりつく


クエイク「…………い゛……け゛…………!」


「行け」と聞こえた

インフェルノがクエイクを貫くシャッフリンを偃月刀で斬り殺そうとするも、他の2体に邪魔をされる。時間が無い


オティヌス「…………クソッ……!」


オティヌスは駆けだした。あの場に居たら確実に死ぬ。そう察した

魔法が効かなかった。恐らく間違えた。久しぶりに本当の間違いを犯した

菫はテストでトップを取らないよう、敢えて数か所を空白で出すことがままあった。帰って来た答案を見ると書き込んでいた箇所はすべて合っていた。わざと間違いを犯すことで周りとの軋轢を作らないようにしてきた

だが、今は違う。間違えたら命取り。なのに間違えた。恐らくクエイクはもう……

砂漠の手前までやってきた。シャッターは閉じたままだ。このまま砂漠を突っ切ってスノーホワイト達と合流……


インフェルノ「ッ、このぉ!!」


壁に叩きつけられた


インフェルノ「お前のせいで、お前のせいで!!」ドカッバキッ

オティヌス「ぐっ、うあっ……じゃ、あ……どうしろって!」

インフェルノ「なんで前に出た! 弱いくせに!!」

オティヌス「私の魔法を、使おうと思った! 使ったが、効かなかった!!」

インフェルノ「お前のせいで、クエイクは……!」


インフェルノは絶え絶えに語った。あの後死にかけのクエイクと共にアルティメットプリンセスエクスプロージョンというピュアエレメンツ2人以上で繰り出す大技を放ちシャッフリンは全滅させたがグリムハートには傷一つついていなかったこと

その後また新たにスペードの1が現れ、今度こそ死ぬと確信したと同時にクエイクが自分を廊下へと投げ飛ばし、隔壁を閉じたこと

クエイクに致命傷を負わせる原因となったオティヌスが許せないこと


 知力(92-10=82)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→インフェルノの怒りをしずめる
 失敗→インフェルノに恨まれたまま


 23……成功!


オティヌス「私だって、逃げたくて逃げたと思う!?」

インフェルノ「思うものか! あいつらはなんだよ!? なんで攻撃してくるんだよ!?」

オティヌス「知らない! あいつらは上の工場に着いたら既にいて、成り行きで一緒に行動したに過ぎない。あんな連中だとは……!」

インフェルノ「っ……なんなの……なんなのよ……もう……!」

オティヌス「私にも分からない……けれど、シャッフリンはトランプをモチーフにしていた…………ハートはただ情けなくグリムハートに従っているだけだった。スペードは、さっき見た通り、戦闘要員……仮に本当のトランプのように50人以上いたら……」

インフェルノ「…………」

オティヌス「……私を殴りたいならもっと殴ればいい。だけど、それでこの状況を……プリズムチェリーを助けられるなら……殴って、殴ってよ!」

インフェルノ「っ、くそぉ!!」


今度は殴られなかった。代わりに、壁にヒビが入った

インフェルノは「これからどうすればいい」と尋ねて来た。やることはひとつ。A班かB班どっちでもいい。合流することだ

>>398訂正
×→砂漠の手前までやってきた。シャッターは閉じたままだ。このまま砂漠を突っ切ってスノーホワイト達と合流……
〇→森林の手前までやってきた。シャッターは閉じたままだ。このまま森林を突っ切ってスノーホワイト達と合流……


森林エリアに移動すると、A班がいた。A班だけではない。B班もいる

どういうことだと思った。何故撤退したはずのスノーホワイト達が…………答えは簡単だった。A班B班は撤退戦をしているのだ


オティヌス「あれは、またシャッフリン……!」

インフェルノ「くっ……! あの魔法少女達は味方で合ってるんでしょうね!?」

オティヌス「デリュージも一緒にいる。味方!」

インフェルノ「ならあのトランプ共を殺しつくしてやる!!」


インフェルノが戦列に加わった。オティヌスもスノーホワイトと合流する。何があったとお互い尋ねた


オティヌス「ブリーフィングルームという司令室がグリムハートに占拠されました。プリズムチェリーの姿も……あと、プリンセス・クエイクが……」

スノーホワイト「そう……こっちは入口の前まで退いた後、砂漠から撤退している最中のB班と合流しました。砂漠で奇襲されたみたいで、ウッタカッタが……」


森林を焼き尽くす勢いでインフェルノが偃月刀を振るう。ハートはそれで消し飛んだが、スペードとクラブは戦闘要員だ。容易にやられてくれない


デリュージ「インフェルノ!? なにが?」

インフェルノ「クエイクが殺された……あのトランプ共に!」

デリュージ「っっ、嘘……!」

インフェルノ「殺してやる!」

ラ・ピュセル「アリス、邪魔!」

アリス「に見えますか?」

ラ・ピュセル「? ああ、いいんだな?」

アリス「お願いします」


ラ・ピュセルの振るう二振りの剣が伸び、アリスごとスペードとクラブを切り裂いた。おいおいマジかよと真っ二つになったアリスを見ると、すぐさま割れた胴体がくっついていた。なるほど再生魔法か


デリュージ「こっち! 岩場エリアへ!」

ファル「このまま岩場に誘い込んで一網打尽にするぽん!」

スノーホワイト「……」コクッ

フィルルゥ「任せてください!」


ブリーフィングルームへと続く道とはまた別に、森林には道が繋がっている。会話からして岩場だ

岩場エリアは大きな岩山と、麓にはまたゴツゴツした地面がある。オティヌス達は岩山に上り、麓にシャッフリン達が集まったところでフィルルゥが全員を魔法の糸で縫い付け、拘束した


魔梨華「で、そいつらは成り行きで一緒にいるけどそこの赤いのと青いのは味方でいいわけ?」

スノーホワイト「味方でいいですよ。彼女達に私達と敵対するつもりはないようです」


魔梨華「それはまた心を読んでどーこーって?」

スノーホワイト「はい。そもそも彼女達は自分が人造魔法少女だと知りません」

デリュージ「人造魔法少女? なにそれ」

フィルルゥ「読んで字のごとく。人につくられた魔法少女ってことですよ」

インフェルノ「えっ? 魔法少女って田中先生にしてもらうんじゃ……」

スノーホワイト「その田中先生とやらが誰かは知りませんが、普通の魔法少女は魔法の国に選ばれて偶然なるものなんです。そんな風に変身後の姿に共通点ができることも……」

オティヌス「(……心を読む。そういえばスノーホワイトの魔法って)」


 知力(92-10=82)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→スノーホワイトの魔法は利用できる
 失敗→何も思いつかない


 18……成功!


オティヌス「……スノーホワイト」

スノーホワイト「なにか?」

オティヌス「心の声が聞こえるなら、その人達が何をしたいのかも分かりますか?」

スノーホワイト「ええ。大体は」

オティヌス「ならそれを私に教えてほしいのですが。私の魔法は『あらゆる欲求を無くす』魔法なんです」

魔梨華「ん? つーことは……ああっ! 昨日戦う気が失せたのもお前か!」

オティヌス「あの場を穏便に済ませるためでした。ということで、あなたの力を借りたい」

スノーホワイト「分かりました。確かにシャッフリンやグリムハートとの戦いをやめるにはそれが一番ですね。ただグリムハートの心が読めないのが……」

オティヌス「この際グリムハートは捨て置きましょう。シャッフリンの攻撃を止められないまでも動きを鈍らせることができれば」

スノーホワイト「ハートはただグリムハートに従うだけで、スペードやクラブは私達を排除しなければ困ると思っています」

オティヌス「排除…………」


魔梨華「おっとお客さんだ」

インフェルノ「ッ、アイツは……!! 気を付けて、アイツは群を抜いて……!」


インフェルノが言うまでもない。シャッターが上がった先に居たスペードのエースに誰もが一目見ただけで身構えた

コイツは他のシャッフリンとは格が違い過ぎる。Kとやりあったインフェルノですら、この二者の間には驚くほどの差があると分かるのだ

下手をしたら全滅……


セルティ「来ますね。さて、うまく影に誘い込んでくださいね。フィルルゥさん、共闘といきましょう」

フィルルゥ「どうやってですか?」

セルティ「私の魔法は影を操る魔法です。あなたの糸と私の影縫い……重ねて動きを封じればきっと倒せない相手ではないでしょう。あとは袋井魔梨華さんやラ・ピュセルさんに」

魔梨華「けっ、うざってぇ作戦だが、この際文句は言えねぇか」

ラ・ピュセル「ああ。任せろ」


 魔法少女達の数値……>>↓1コンマ二桁
 スペードの1の数値……>>↓2コンマ二桁

 魔法少女達の数値が勝っていた場合……スペードの1撃破
 スペードの1の数値が勝っていた場合……誰かが負傷(70以上上回っていた場合、誰かを撃破)


 負傷するのは……>>直下コンマ二桁
 
 01~10→インフェルノ
 11~20→デリュージ
 21~30→セルティ
 31~40→フィルルゥ
 41~50→スタイラー美々
 51~60→ラ・ピュセル
 61~70→スノーホワイト
 71~80→オティヌス
 81~00→アリス(実質無傷)
 


魔法少女達は作戦を決めた。まず魔梨華が突っ込んで影に誘い出し、フィルルゥとセルティで動きを封じる。それでもダメならオティヌスの魔法で欲求を無くす。動きが止まったところで魔梨華なりラ・ピュセルなりスノーホワイトなり殺傷力のある魔法少女が倒す

魔梨華がひと当てしたが、やはり強い。押されながらもスペードの1を岩山の影に誘い出した


セルティ「今!」

フィルルゥ「はぁっ!」


セルティが岩山の影と繋がったスペードの1の影を縫い付け、フィルルゥが魔法の糸でさらに地面へと縫い付ける。だが、スペードの1は止まらなかった


セルティ「くっ、影が薄すぎる……!」

シャッフリン「……」グイッ

フィルルゥ「うわっ!?」


スペードの1が壊れた人形のようにギギギと力任せに動かない体を動かし、糸を引っ張る。フィルルゥがスペードの1に突っ込む形となり、そのまま槍が脇腹を裂いた


フィルルゥ「ぐ、うぅ……!」

オティヌス「チッ、私達を排除したいという欲求を!」

シャッフリン「!? …………」


明らかに動きが鈍った。やった。効く

だが完全に動きを封じたわけではない。スペードの1的には「やる気まったくないけどやれと言われたから仕方なくやる」といった感じだ。動きのすべてがめんどくさそうだ


 スペードの1を倒したのは……>>直下
 
 1.3馬鹿
 2.魔梨華
 3.赤と青


アリスがスペードの1の頭に正面から飛びついて視界を塞いだ。槍を刺そうが引き剥がそうがアリスは離れない


ラ・ピュセル「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

スノーホワイト「……!」


ラ・ピュセルがアリスごと縦にスペードの1を叩き斬った。が、両断はしていない。体の前半分に切れ込みを入れた感じで、割れ目からは色々と見たくないデロデロしたものが飛び出る

トドメはスノーホワイトが行った。首を刎ねたのだ

やる気と首を失ったスペードの1は何をするでもなくその場に崩れ落ちた


アリス「やりました」

ラ・ピュセル「アリスも斬れて一石二鳥だ」

セルティ「フィルルゥさん、大丈夫ですか!?」

フィルルゥ「だい、じょうぶ……なんとか」


 プリンセス・クエイクは……>>直下コンマ一桁

 奇数→首を刺されたが生きており、グリムハートに捕縛されていた
 偶数→首の傷が致命傷となり死んでいた。実験体を1体失ったグリムハートはカンカン


今日はここまで
本日の脱落者:レディ・プロウド、カフリア、ウッタカッタ、プリンセス・クエイク、シャッフリン多数
行方不明者:プリズムチェリー

セルティは本心から自分を人事部門の正義の魔法少女だと思っている。誰かを殺すなんてとんでもない


魔梨華「この汁を舐めろ」

フィルルゥ「これは……?」

魔梨華「今栽培したちょっとした痛み止めだ」

スタイラー美々「あ、それ舐めすぎないでくださいよ。頭ぱっぱらぱーになっちゃいますから」

セルティ「恐ろしい植物があったものですね」

魔梨華「何個か栽培しといた。お前らも使え」

デリュージ「別に痛み止めなんて……」

魔梨華「さっきみたいなのがまた来たらケガじゃすまねぇんだ。痛みは動きを抑制しちまう」

ラ・ピュセル「これからどうする?」

スノーホワイト「……スペードの1は心の中で『自分が死ぬのはいいけど別のところにいる本体がやられたら困る』って言ってた」

インフェルノ「それってつまり、本体をやらないと意味が無いってこと?」


オティヌス「(本体……か。シャッフリンはそういう魔法少女)」

オティヌス「(できれば早くブリーフィングルームに行ってプリズムチェリーの無事を……)」

セルティ「見取り図通りなら、あそこの扉から通路を行けば直接ブリーフィングルームに行けますが」

スタイラー美々「穴とか掘って脱出はできないんですか? 入口はパスワードを要求してもう外に出られませんし……」

魔梨華「だめだ。この施設全体が魔法を無効にするようになってる。流石のデイジービームでも穴は空かねぇだろう」

スノーホワイト「ならせめてカメラの無いところに移動したいですね……ブリーフィングルームからはここは丸見えなんでしょ?」

デリュージ「そうね。なら廊下に出ましょう。あそこならカメラも無い」

オティヌス「ちょっといいですか?」

インフェルノ「?」


 オティヌスは……>>444
 
 1.一刻も早くブリーフィングルームに突撃すべきだと言った
 2.念密な作戦会議をすべきだと言った


運営からのお知らせ アンブレンさんが脱落しました


オティヌス「敵が復活し続けるなら、いたずらに遭遇戦を繰り返していてはジリ貧です。作戦をちゃんと決めましょう」

スタイラー美々「賛成です。このまま1人1人やられるのは……」

フィルルゥ「私も、賛成…………です……あんま役に立たないですけど」

スノーホワイト「……」コクッ

オティヌス「2人も、それでいいですか? ここまで来たらもう敵だ味方だもないでしょう」

デリュージ「……うん」

インフェルノ「分かった」

オティヌス「とりあえず廊下に……」


 どこの廊下に移動する?……>>450
 
 1.岩場と森林の間
 2.岩場とブリーフィングルームの間


魔法少女達は岩場と森林の間の廊下に陣取った。どちらのシャッターも閉め、開くようならすぐに分かる。片方にはフィルルゥが、もう片方にはセルティが足止め役として配置された

この施設は入口から右に行けば森林、岩場へと行き、左に行けば砂漠、水場へと行く。それぞれのエリアはブリーフィングルームと繋がっている

仮にブリーフィングルームと岩場の間に陣取ればブリーフィングルームから大挙してやってくるシャッフリンに対処しきれない場合があると考えた。だがこの岩場と森林の間なら、相手は挟み撃ちをする場合どうしても戦力を2分しなければならない。仮にスペードとクラブ全員が襲い掛かって来ても13人が二方向からやってくるだけで済む

いや、済むとかそんな問題ではないのだが


オティヌス「とりあえず皆さんの魔法を……」


魔法を教えてもらった。なるほど……色々と使えそうな魔法ばかりだ


 知力(92-10=82)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→作戦を思いつく
 失敗→考えるのに時間がかかった



 91……ファンブル

 
 
各々の魔法を有効活用する方法を考えているところだった。二方向から同時にシャッフリン襲来との報を受けたのだ


岩場側を見ていたセルティの方にはクラブ全員が、森林側を見ていたフィルルゥの方にはスペード全員が押し寄せて来たらしい

まずい。全員ということは、インフェルノとクエイクですら苦戦したJ、Q、Kの他に1もいる。負傷したフィルルゥではスペード全員を止められない


魔梨華「考えてる暇はねぇ! スペードのとこに行ってくる!」

スタイラー美々「のようですね!」

インフェルノ「私達はクラブに!」

デリュージ「ええ!」

オティヌス「私は>>458


 1.クラブに
 2.スペードに

1


オティヌス「私はクラブに行きます」

スノーホワイト「なら>>直下」


 1.ラ・ピュセルはクラブに行って
 2.アリスはクラブに行って
 


スノーホワイト「ラ・ピュセルはクラブに行って。私とアリスはスペードに行く」

オティヌス「(これでこちらも丁度半々……何とかなればいいけど)」

スノーホワイト「相手は私達を排除したがってる」

オティヌス「……」コクッ



 セルティの身体能力(50)ロール……直下コンマ二桁
 
 成功→廊下の照明を潰し、シャッフリン全員を影縫いしていた
 失敗→影で壁を作るも苦戦していた

 
 
 フィルルゥは……>>↓2コンマ一桁

 
 奇数→うまく逃げて魔梨華達の後ろに回った
 偶数→シャッフリンに攻撃を受けた
 


 22……成功!


オティヌスがセルティの方へ行くと、廊下の照明が消えていた。そしてそこに佇むのは数人の影

セルティは照明を潰して廊下を真っ暗にした後、クラブ13体を誘い込み、10以下のシャッフリンを影の槍で串刺しにしていたのだ


セルティ「やはり濃い影というのはいいですね。もう少し遅ければ全滅させられましたが、後はお任せしましょうか?」

デリュージ「ええ、是非に!」

インフェルノ「全員殺す!」


セルティが影縫いに集中し、動きの鈍いクラブのKまでを倒した。クラブの1はオティヌスとラ・ピュセルが

右目を見せ、排除したいという気持ちを抑える


 ラ・ピュセルの数値……>>↓1コンマ二桁
 クラブの1の数値……>>↓2コンマ二桁-50(影縫いとやる気消失)
 
 ラ・ピュセルの数値が勝っていた場合……クラブの1撃破
 クラブの1の数値が勝っていた場合……ラ・ピュセル負傷(60以上上回っていた場合ラ・ピュセル撃破)


ラ・ピュセル「はああぁぁぁぁぁぁっ!!」


二刀流で両腕を飛ばし、返す刀で横薙ぎにして上半身を飛ばした。クラブは全滅だ


デリュージ「やれるじゃん……!」

ラ・ピュセル「スペードが心配だ。行こう!」

セルティ「私は引き続きここで見張りをしています」

オティヌス「……私は考えることが」

インフェルノ「よし、行くよ颯太!」

ラ・ピュセル「颯太って呼ぶな!」


スペードは確かに危険だが、彼女達は歴戦の魔法少女達ばかりだ。自分が行かなくても問題なく対処できるだろう

肝心なのはここで手をこまねいていつまでもじっとしていないことだ。作戦を考えるにしても時間はかかる。もうこちらから攻勢に出るしかないだろう

考えるべきはプリズムチェリーの安否

ブリーフィングルームには壁や地面に血がこびりついていた。嫌な想像をしてしまう。いや、大丈夫。まだ生きてるはず。まさかこんなことになるなんて思わなかった。やっぱり関わり合いになるべきではなかった。プリズムチェリーはその平穏を壊した

いや、プリズムチェリーではない

グリムハートとシャッフリン……もし私の平穏を――”私と桜の平穏”を壊すようなら、絶対に許さん。ぶっ殺すのもやぶさかではない


オティヌス「(考えろ、ブリーフィングルームを奇襲する方法……シャッターは開いてすぐにばれる。奇襲するには、バレないように行くか、バレても問題ないように行くか)」

オティヌス「(バレない方法は……セルティ1人への荷が重すぎる。やはりバレてもいいように……)」


 知力(92-10=82)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→奇襲の手段を思いつく
 失敗→何も思いつかない


 06……クリティカル!
 クリティカル報酬、知力が1上がった!(93)

 
 
オティヌス「(問題はこの場面で私達が何をすべきかということ)」


オティヌス「(ファルというマスコットが言うにはグリムハートは魔法の国本国の人間だが、人造魔法少女を実験体として捕らえ、人造魔法少女を知る私達を排除しようとしているという)」

オティヌス「(然るべきところに通報すれば対処してくれると言ってた。なら、この施設から出て通報するのが一番良い)」

オティヌス「(そして施設から出るにはゲートのパスワードが必要……スノーホワイトはシャッフリンはパスワードを知らないと言っていた。なら知ってるのはグリムハート)」

オティヌス「(だがスノーホワイトはグリムハートの心は読めなかったと言っていた。心に蓋……そういう心理的な技か、魔法か……何かしらの方法でグリムハートの心を暴く方法は無いの……?)」

オティヌス「(グリムハートの魔法がどんなのか分かれば……)」


魔梨華「あー、やったやった」

スタイラー美々「ちょっと、血! 出まくってます!」

魔梨華「仕方ないじゃん、フィルルゥやられそうだったんだし」

フィルルゥ「ありがとうございます! ありがとうございます!!」


スペードは全滅させたようだ。魔梨華がかなりのケガを負っている

だが袋井魔梨華という魔法少女は相当クレイジーなようで、血が出てもお構いなしに楽しげだ

なんとか犠牲を出さずに済んだ。なら今度は……


 >>488
 
 1.こちらから攻めるべきだ
 2.隠れてグリムハート達の動きを見るべきだ

魔法を暴く方法に適するのはどれかしら?

安価下


オティヌス「皆さん、もうこちらから攻めるしかありません」

スタイラー美々「えっ、大丈夫なんですか!?」

魔梨華「おっ、いいねー嫌いじゃないよそういうの」

スノーホワイト「こちらも賛成です。アンブレンやカフリアもきっと彼女達に捕らえられてるはず」

フィルルゥ「なんで攫ったんでしょう?」

セルティ「こちらの頭数を減らすためでは? カフリアは魔法抜きに強いようですし、アンブレンのなんでも受け止める傘という魔法は敵としては厄介でしょう」

ラ・ピュセル「それよりもどうやって攻めるか決めるべきではないか?」

オティヌス「それに関しては考えがあります」


全員で水場エリアに移動した。水場というだけあって湧き水が絶えず、排水口もある。源泉かけ流しという言葉を思い出した

作戦はこうだ。どうせバレるなら派手にやろう

まずデリュージに排水口を氷で塞がせ、さらに砂漠エリアへと続くシャッターも氷で塞ぐ。あとはエリア内にも氷で壁を作り、ブリーフィングルームへと続く道に氷で道を作った

限界まで水をせき止め、あとはブリーフィングルームのシャッターが開けば濁流が流れ込むだろう


ブリーフィングルームのシャッターを開ける役はセルティが担ってくれた。なんでも水で廊下の床部分に影が出来ているからそこに忍び込めば泳がなくてもいいとのこと

水場に行く途中、すべてのエリアの天井を氷で覆いつくし、目は潰してある。やるなら氷が溶けないうちに、早めに


オティヌス「いいですね? 水と共に突入します」

セルティ「照明を潰せば全員の動きを封じられます。まぁエースあたりは分かりませんが」

フィルルゥ「私も動きの封じに全力を使います。攻撃は……」

魔梨華「任せろ!」

スタイラー美々「まぁ、やるしかないですね。人質がいた場合、私が救出します」

スノーホワイト「私達は攻撃と、グリムハートから声が聞こえたらパスワードを盗みます」

インフェルノ「私達は殲滅ね」

オティヌス「私が真っ先に突入して戦意を奪います」

デリュージ「大丈夫なの?」

オティヌス「……私は弱いようなので、誰か守ってください」

デリュージ「じゃあ私ね。菫ちゃん」

オティヌス「…………はい」


作戦開始だ。セルティがブリーフィングルームのシャッターを開けた

水が流れ込み、勢いが弱まりはじめたところでオティヌスが突入する


オティヌス「プリズムチェリー!!」


侵入者に誰もがオティヌスを見、やる気を失った。この場合、「状況を収集させたい」と誰もが思うだろう。それは大当たりで、ハートなんかはただ水にプカプカ浮くだけになった

だがスペードやクラブは状況を収集させたいと思うと同時に強く「排除したい」という欲求が現れる。そこまでは奪えない

襲い掛かる槍をデリュージが三叉槍で防ぎ、繋がった武器越しにシャッフリンを凍り付かせた

魔法少女達が次々とブリーフィングルームに突入する

部屋の隅には、何人もの死体があった。首を落とされていない死体も1体だけある。インフェルノは2人に見覚えがあった


インフェルノ「クエイク……テンペスト…………!!」


プリズムチェリー――桜の死体は……>>直下コンマ一桁

奇数→あった
偶数→なかった


プリズムチェリーの姿は無かった

首を落とされた死体はどれも加賀美桜のものではない


オティヌス「(ッ、どこに!?)」キョロキョロ

スノーホワイト「ここに死体が無い、つまり生きてる」

オティヌス「あ、……ああ……」

スノーホワイト「人質は全員殺されています。あと……グリムハートからパスワードは読み取れませんでした」


グリムハートを見ると、ジョーカーをモチーフにしたシャッフリンと共にテーブルの上に立ち、水をやり過ごしている。インフェルノが炎をぶつけるも、ジョーカーは避けたがグリムハートは微動だにしなかった

やったか!? と思ってやられてくれる相手など少ない。グリムハートは燃え盛る火をものともしなかった


オティヌス「(炎を防いだ?)」

魔梨華「大将首もらったぁーっ!」

グリムハート「……」

魔梨華「――ん!? なんだ、コイツ……」


魔梨華の飛び蹴りも効いていない。馬鹿な、ダメージは無くとも衝撃は通って身じろぐなりなんなりするはずだ

インフェルノの魔法も魔梨華の蹴りも、スノーホワイトの読心も効かない。まるで遮断しているようだ


 知力(92-10=82)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→グリムハートの魔法に察しがつく
 失敗→ハートちゃんマジチート


 訂正:知力93でした
 56……成功!

 
 
オティヌス「(遮断? ……ハッ!)」


オティヌス「そういうこと!?」

デリュージ「ちょっと、どうするのこれから!」

スノーホワイト「この人数でセルティとフィルルゥの魔法を使えばグリムハートはできなくてもシャッフリンの殲滅が……!」

オティヌス「…………私が決めるんですね。皆さんいいですか?」

魔梨華「もとより皆殺しよぉ!」

インフェルノ「早く決めて! エース強すぎる! ラグジュアリーモードでも……!」

オティヌス「>>510


 1.殲滅です!
 2.撤退です!
 

1


オティヌス「殲滅です!」

ラ・ピュセル「了解だ!」


ラ・ピュセルが剣を伸ばし、照明を潰した。辺りはモニターの明かりだけが頼りになる

魔法少女の目に暗闇など関係無いが、部屋が濃い影に覆われた今こそセルティの本領発揮だった


セルティ「それじゃ、ほいほいっと」

グリムハート「クビヲハネヨ!」

セルティ「グリムハートには通用しませんね……」

フィルルゥ「二重の動き封じ!」

スノーホワイト「位の高いのから狙って!」


 魔法少女達の数値……>>↓1コンマ二桁
 シャッフリンの数値……>>↓2コンマ二桁-30(二重のバインドにより)
 
 魔法少女達の数値が勝っていた場合……ジョーカー以外全滅(40以上上回っていた場合ジョーカーも撃破)
 シャッフリンの数値が勝っていた場合……ジョーカーが誰かを狙う
 


 魔法少女達の数値……79
 シャッフリンの数値……45-30=15

 
 
セルティ無双だった。影の槍や剣でシャッフリンを次々に殺しまくり、ランクの高いJ以上は戦闘力の高い魔梨華達に任せた


やばい、もう、やばい。地獄絵図だ。シャッフリンの血と死体が次々とビチャビチャ言ってる

グリムハートが慌てて喚くがもう遅い


ジョーカー「おのれ……!」

魔梨華「ちょせぇ!」

ジョーカー「ぐっ……くぅ!」


 ジョーカーにトドメを刺したのは……>>524
 
 1.3馬鹿
 2.赤と青
 3.魔梨華
 4.セルティ
 5.オティヌス

2


インフェルノ「お前が……クエイクとテンペストを!」


インフェルノの偃月刀がジョーカーの胴を薙ぎ、胸に火傷と切り傷を作った。たじろいだジョーカーの足を凍らせ、床に張り付かせる

グリムハートが邪魔をするが、既に人数はこちらの方が上だ。グリムハート1人でこちらの攻撃すべてを受けきることはできない


インフェルノ・デリュージ「はああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ジョーカーを2つの刃が貫いた。手に持っていた大鎌が地に落ち、ジョーカーは最期にグリムハートを見るとそのまま事切れた

既にブリーフィングルームは占拠した


 グリムハートは……>>直下コンマ一桁
 
 奇数→逃げ出した
 偶数→その場に佇んでいた


グリムハートは逃げ出した。こちらから手出しができないからグリムハートを取り押さえることすらできない。とりあえず全員で追った

グリムハートが逃げ込んだのは砂漠エリアだった。最後っ屁だと分かったのはそこに大量の悪魔が出現したからだ

逃げる前に端末を操作してすべての悪魔にグリムハート以外を狙うようプログラムしたのだろう。悪魔達は魔法少女を見るとすぐに襲い掛かって来た


デリュージ「ディスラプターがこんなに……!」

魔梨華「おぉーおぉーデザートかい! 丁度良かった、まだ腹はいっぱいじゃないんでね!」ダッ

スノーホワイト「グリムハートが逃げようとしてる! この施設から逃げられてゲートを閉じられたら、完全に閉じ込められる!」


 魔法少女達の数値……>>↓1コンマ二桁
 悪魔達の数値……>>↓2コンマ二桁
 
 魔法少女達の数値が勝っていた場合……悪魔を全滅させグリムハートが逃げる前にゲートに到達
 悪魔達の数値が勝っていた場合……グリムハート逃亡(50以上上回っていた場合誰かを撃破)


 魔法少女達の数値……06
 悪魔達の数値……51

 
 
魔梨華「オラオラァーッ!」


ラ・ピュセル「クッ、数が多い、逃げられる!」

オティヌス「グリムハート! プリズムチェリーをどこにやった!」

スノーホワイト「下がって! 強い……!」


魔法少女達は奮闘したが、ゲートにたどり着く頃にはグリムハートの姿はもう無かった


スタイラー美々「くっ、パスワードが無いと開かない!」ダンッ

オティヌス「このままではグリムハートが……!」

スノーホワイト「大丈夫」

オティヌス「え?」

スノーホワイト「アリス、私達がここに来てもう何時間経った?」

アリス「……多分、6時間は」


スノーホワイト「なら多分、大丈夫」

魔梨華「なにが大丈夫って? ひとり合点は困るなぁ」

オティヌス「……増援ですか?」

スノーホワイト「私はこの街に来る前に、『1時間おきに定時連絡を入れるから入らない場合は緊急事態』って言っておいたから」

フィルルゥ「……よ、よかったぁ…………」


グリムハートは梯子を上がり、工場へ出た。既に日は傾きつつある。屈辱だった。まさか魔法の国の、シェヌ・オスク・バル・メルの現身であるこの自分が低俗な蛮族共にしてやられるとは

人造魔法少女を捕まえる計画もすべて打ち壊された。許せない。魔法の国に戻ったら絶対奴らを誅してやる


キノ「はい、そこまでー」

リップル「監査部門です」


目の前に現れた魔法少女達に邪魔された


デリュージ「そうだ、ブリーフィングルームに行けばパスワードの改定履歴が見れるかも!」

インフェルノ「それだ!」

オティヌス「…………私は、プリズムチェリーの捜索に行きます」

セルティ「私も行きましょう」

オティヌス「……ありがとうございます」

セルティ「いいえ」

魔梨華「……………………とりま休ませてもらうわ」ドサッ

スタイラー美々「ちょ、ちょっと!? ケガだらけじゃないですか!」

魔梨華「いやー戦い楽しくてなー……」

スタイラー美々「とにかく治療を!」

スノーホワイト「私達はここで待っています」


・・・・・・


グリムハート「クビヲハネヨ!!」

キノ「うわぁっ!?」

リップル「キノ!」


リップルの手裏剣がグリムハートへ飛んでいく。が、到達する前に落ちた


リップル「効かない? 魔法!」

キノ「はい!」バァン!

グリムハート「クビヲハネヨ!!」

リップル「はぁっ!」


再び手裏剣を投げる。結果は同じだった


キノ「ッ、効いてない!? 魔法の弱化を撃ってるのに……」


グリムハートは再び現れた魔法少女に苛立ちをぶつけた。パンチやキックをする一瞬だけ相手に対しての魔法を解除して叩きこもうとするが相手も素早い

こうなったら仕方ない。シャッフリンはもういないのだから、屈辱を我慢して蛮族と話をしてやるしかない


 グリムハートは……>>直下コンマ一桁
 
 奇数→キノと話した
 偶数→リップルと話した


グリムハート「グリムハート……魔法の国、シェヌ・オスク・バル・メルの現身」

キノ「グリムハート……? それがあなたの名前ですか?」

グリムハート「この施設にいる蛮族を始末せよ。さもなければオスク派は貴様らの命を刈りつくすまで狙う」

キノ「この施設に居るのは私達の仲間……あなたがなにかやらかした人ですか?」

グリムハート「そこの魔法少女の首を刎ねよ!」

キノ「…………」


 キノの知力(35)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→グリムハートの言っている意味が分かった
 失敗→ワタシ、ニホンゴ、ムズカシイ


キノ「師匠、コイツの言ってる意味がよく分かりません。オスク派だのシェルなんとかだの」

リップル「オスク派……? なにそれ?」

グリムハート「この野蛮人がぁぁ!!」

キノ「ひっ!」バァン!


キノがグリムハートに震える手で魔法の弱化セットの残弾を討ち尽くす。すべて命中した

グリムハートの拳にキノが吹っ飛ばされ、建物に埋まった


リップル「貴様ァァァァァァ!! 死ねえええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


リップルの手裏剣がグリムハートを襲う。グリムハートは魔法を使えずにそれを受けてしまった


・・・・・・


オティヌスはセルティと共に施設中を探し回った

砂漠の砂を掘り起こし、部屋の床まで届いた

森林の木を倒しまくり、かぐや姫よろしく木の中にいないか調べた

岩山を崩し、平らにした

水の湧くポイントに影の壁を作らせ、潜って池の中を泳いだ


だが、プリズムチェリーは見つからなかった


オティヌス「…………桜……」

セルティ「……本当にどこにもいませんね。丁度いいタイミングで逃げ出したのでしょうか?」

オティヌス「なら連絡があってもいいくらいでしょう!?」


セルティ「そういえば人造魔法少女の先生……田中先生でしょうか? あの方もいないようですし」

オティヌス「桜……どこ…………」

セルティ「……行きましょう。ここにはもう、誰もいません」

オティヌス「桜ぁ…………」

セルティ「…………失礼します」


オティヌスはセルティに引き摺られ、ゲートへと連れていかれた

ゲートは既に開いており、他の魔法少女達は脱出したようだ。放心するオティヌスを背負い、セルティは梯子を上がった


オティヌス「……すみません。ご迷惑を……」

セルティ「人助けですから。私がしたいんです」

オティヌス「……」グスッ


外に出ると皆がいた

グリムハートは捕縛されていた。今まで誰も触れられなかったグリムハートが、誰にやられたというのだろう

見たことの無い魔法少女が2人いた。1人は顔が潰れて見れたものではない

脱出に成功したものの、皆の顔は暗い

随分減ってしまった……すべてグリムハートの仕業なのだろうか

いや、そもそもここに魔法少女達を呼び出した者は誰だ?

今まで状況にだけ目を向けていたが、原因はそれだろう。メールとやらが無ければいたずらに誰かが死ぬことも無かった


 知力(93-10=83)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→事件の裏を感じる
 失敗→今は何も考えたくない


 08……クリティカル!
 クリティカル報酬、知力が1上がった!(94)

 
 
そうだ、この施設の中なら、何かしらの情報が眠っているはずだ


仮に事件を裏で操っていた者がグリムハートと同じく魔法の国関連の魔法少女かなにかであれば、きっと手がかりがあるはず

オティヌスはセルティに礼を言い、忘れ物をしたと再び施設に戻っていった

ブリーフィングルームからありったけの資料を持ち出し、水場エリアで調べまくった


オティヌス「……資金提供…………」


そうだ、帳簿だ。帳簿の元を洗い出す。ほとんどの人事資料の名前は伏せてあったが、帳簿にあった金のルートは調べることができるようだった

桜は生きている。そう信じて、オティヌスは帳簿を手に施設を出た。せめて、死んだ者の冥福を祈った


・・・・・・


結衣はとりあえず物陰に行って変身を解いた


結衣「痛かった……」

リップル「結衣ぃー!」ダキッ

結衣「ぐええ! し、死ぬ! 魔法少女の腕力で死ぬ!」

リップル「あ」

結衣「…………でも、この事件……なんなんだろうね。謎のメールに呼び寄せられて……」

リップル「…………黒幕がいる。それには変わりない」


その後グリムハートは魔法の国に護送される途中、事故死したとの報告が入った

今回の事件に関わった者すべてにその報は送られ、他言無用とも言われた


魔梨華「…………」

スタイラー美々「……よかったですね。生きて帰ってこれて」

魔梨華「……つまらん」

スタイラー美々「私は生きてた方がいいと思いますよ」

魔梨華「……今回はまぁ楽しかった。けどな……まだ楽しめることがあるじゃん!? この世の中には!」

スタイラー美々「知りませんよ!! あ、なんか端末に連絡が」

魔梨華「あん?」


その後、袋井魔梨華とスタイラー美々は消息を絶った


・・・・・・


人事部門長プフレこと人小路庚江は、この状況を訝しんでいた

まず件のB市の事件で美しい妖精のシャナが行方不明になった。だがこれはいいだろう。わざわざ外交部門を通して魔王パムに彼女を助けてほしいと送ったのだから

だがここ最近になって、自分達の周りがおかしい。人事部門、監査部門、外交部門から数人、消息を絶つ者が現れ始めたのだ。さらには野良の魔法少女まで

ディティック・ベル、2代目ラピス・ラズリーヌとの連絡もつかない。久々に同窓会でも開こうと思っていたのに残念だ

今回起きたオスク派の失態は勿論耳に入っている。S市の地下施設にて魔法少女を殺しまくるという大変な違法行為をやらかし、護送中に”事故死”した。オスク派は今てんやわんやだ

だがこの事件が起きたということは、7753はちゃんと仕事を果たし、ピティ・フレデリカもまた、頼まれごとを果たしてくれたのだろう

7753は何も知らないからいいが、フレデリカを頼るというのは少しどうかとは思った。ただでさえ凶悪な魔法少女に借りを作ったのだ


庚江「…………ふっ、まぁいいか」

護「よくないですよ! 今上は大変ですよ!?」


庚江は地下シェルターにて、現在何者かに襲撃されている自宅のあの家具は大丈夫だろうかと思いながら紅茶を一口すすった

ベルとか生き残ったのに...こうなるのか


・・・・・・


ピティ・フレデリカはとある小屋で変態行為に及んでいた。正確には魔法少女の頭にむしゃぶりつくという行為だ


フレデリカ「いやーーーーーメルティ☆セルティを送り込んで本当に良かった! おかげでこんな拾い物を!」


プフレからの頼まれごとがてら、3代目ラピス・ラズリーヌに頼んで記憶を書き換えられたセルティをS市に送り込んだのははじめはただの余興のつもりだった

だが最初の方に血まみれで廊下の床を這うプリズムチェリーを見つけたのは僥倖どころではない。フレデリカはセルティに命じてすぐに誰にも気付かれないように回収させた

致命傷だったがなんとか治し、恰好に占い師なのになんで医者みたいなことをとと思う

プリズムチェリーにはトットポップの記憶を埋め込んだ。彼女から読み取った記憶をそのまま映してもらったのだ。ようはコピーであるため、トットポップから記憶は奪っていない。これでプリズムチェリーはフレデリカの弟子で、フレデリカに懐いている

回収したセルティに本当の記憶を戻し、話しかける


フレデリカ「どうでした? 正義の魔法少女は」

セルティ「今思い出すと吐き気がします」


フレデリカ「でも楽しかったでしょう? かつてのあなたは明るく真っすぐで、純粋に魔法少女に憧れていたのだと分かりましたし」

セルティ「…………」

フレデリカ「そう怒らないでください。記憶を読み取ったらそうだったと教えられただけなんですから」


セルティは自分の人生が悪い方へ転がっていく辺りからの記憶を抜かれ、元の性格のもと魔法少女になった記憶を植え付けられていた

全身全霊で仲間を守り、悪を許さない正義の魔法少女

あーまったくクソみたいな設定だ


プリズムチェリー「マスター、他の弟子っていうのはどこですか?」

フレデリカ「ああ、トットポップですか……どこに行ったんでしょうね」


トットポップは誰かからメールをもらうと「ちょっと急用ね!」と言ってどこかへ行ってしまった。もう何日も顔を見せていない


フレデリカ「スノーホワイトも久々に堪能できましたし……ああ、やっぱり彼女は素晴らしい」

セルティ「そこまでの魔法少女ですか?」

フレデリカ「ええ勿論。彼女は本物の魔法少女ですよ」

プリズムチェリー「?」

セルティ「それじゃ、帰らせていただきますね。トットポップによろしくお伝えください」

フレデリカ「ええ。あの子が帰ってきたら」

セルティ「…………思い出した。何故あの時あなたはプキンを見殺しにしたんですか?」

フレデリカ「あの時? ああ、B市から脱出する時ですか。また懐かしい話を」

セルティ「あの時私は気絶していましたが、起きたらいなかったので気になって」

フレデリカ「だって、ああいうタイプって御しきれないじゃないですか。後々裏切られても嫌だなぁって」

セルティ「ま、今この世にいない者の話をしても詮無き事ってやつですか」

フレデリカ「そういうことです」


・・・・・・


7753が上司からの頼まれごとを終え一自宅で息ついていると、血相を変えたマナが訪問してきた


マナ「羽菜を見なかったか!?」

7753「羽菜さん? いえ……」

マナ「………………クソッ!」

7753「羽菜さんがどうしたんですか?」

マナ「羽菜がどこかに行った。私に何も言わずにだ!!」

7753「ええっ!? え、なんで?」

マナ「知るか! お前も探すの手伝え!!」


せっかくの休暇を潰された代償に飯を奢ってもらえたが、肝心の羽菜は見つからなかった


オティヌスはS市を出るべく、目的地を調べまくった。町まるまるひとつが屋敷というのはいくらなんでもやりすぎだろう

いや、それくらいの金持ちだからあんな破天荒なものに出資できるのか


菫「(桜…………待ってて)」


電車に揺られバスに揺られ、途中切符を無くしたり乗り遅れたり財布を落として交番に走りこんだりと色々あったが、目的地には近づいている

平穏を取り戻す。菫の中にはそれだけがあった

考えを少し変えた。平穏はどうあっても壊れるもので、そのためには平穏を壊すものを打ち払う力が必要だ。オティヌスは力を得るために色々と手を尽くした。魔法の国にコンタクトを取り、なんとか7753という敏腕研修員の研修の予約をとりつけ、自分の魔法をさらに研究し、可能性を模索した

菫の平穏に桜は必要不可欠なのだ

プリンセス・デリュージこと青木奈美と交流を重ね、魔法の国に軟禁された彼女から魔法の国関連の情報は色々とある。そして帳簿から調べ上げたルートも分かった

雨が降って来た。あ、傘を持っていない

とりあえずコンビニに寄ろう。菫は売り切れになっているとも知らずにコンビニで傘を買うべく雨の中を歩きだした


  魔法少女育成計画JOKERS 完


お疲れ様でした
今回死ぬかどうかの判定を甘くし過ぎたのと、問答無用で死んでしまう人の救えるかどうかの判定を行えなかったのが力不足故の心残りです

力不足ついでに色々と状況が分からなかった場所など「ここはなんでこうなってるの?」などの質問にはお答えします
「消息を絶った連中どこにいったの?」以外で

とりあえずACESとQUEENSはひとまとめのスレにします。そしてすべての主人公が揃うため、新しいキャラメイクはありません
仮に原作の最新刊で新キャラ挟めそうならこのシリーズを復活させてもいいかなくらいな感じですが


フィルルゥは就職できました
短編は気が向いたら……
ラズリーヌは3人いて3代目は原作ではACES以降大活躍
また気が向いたら、無印をまた違うキャラ違う視点でやりたいとは思っています

新スレのお知らせ
【まほいく安価】プク「皆と仲良くなりたいな!」【魔法少女育成計画ACES & QUEENS】
【まほいく安価】プク「皆と仲良くなりたいな!」【魔法少女育成計画ACES & QUEENS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1485788894/)


元々JOKERSはシリーズ一分厚いながらも1巻完結なのと、事件が始まるまでに本編のほぼ半分使ってしまうのと、ブリーフィングルームの襲撃がうまくいってしまったので短くなりました
おかげでオティヌスの出番が少なくて「これ魔法少女になったばかりの頃から始めりゃよかった」と思わないでもないです
ACESとQUEENSの長さがどうなるかは不明……
セルティの記憶を書き換えたのはrestartキノのそれと同じ、3代目ラピス・ラズリーヌさんです。フレデリカは初代と3代目との交流があります

捕まったメンバーの死はクエイク以外全員原作通りのつもりです
初期シャッフリンは補充する時に他の魔法少女を殺して命を吸い取らないといけないので緑キノコとして現地調達されたのがアンブレンとカフリア
グリムハートは自分が許可した相手からの干渉しか受けない

JOKERS中盤は初代バイオハザードじみた面白さがあるからオススメだ、買おう

【魔法少女育成計画】ラ・ピュセルは魔法少年ママでトロ顔カリスマ可愛い10ポルチオ出産
颯太ママ


ttp://imgur.com/L2dRhOm.jpg
【魔法少女育成計画】ラ・ピュセルは魔法少年ママでトロ顔カリスマ可愛い10ポルチオ出産
9: 名無しさん@お腹いっぱい。(スププ Sd1a-nR4E)
2017/02/08(水) 11:48:08.75
ID:kOGgWum5d.net

おめでとうございます
ttp://imgur.com/L2dRhOm.jpg
593: イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/ (ワッチョイ 3e1b-z8KL)
2017/02/09(木) 00:31:07.47
ID:BYc3Xzeq0.net

ttp://imgur.com/L2dRhOm.jpg
いや、お前らも少し祝福わけてやろうよ
こんな幸せそうで安堵な表情は原作でも中々見れないもんだぜ
599: イラストに騙された名無しさん@\(^o^)/ (ワッチョイ f217-Kx9n)
2017/02/09(木) 00:44:29.92
ID:Pzb0EUdR0.net

>>593
俺が言うのも何だがこれは流石についてけないレベル

http://imgur.com/L2dRhOm.jpg
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