女「あ~あ、退屈だなぁ」 (86)

短編予定


「貴様は…」

苦虫を噛み潰したような男。向かい合わせにあっけらかんとした女。

森林深くに囲まれた屋敷、その書斎に二人。周囲に人はおらず。

「だってさ、あんたについてけば、たくさん人を殺せると思ったんだよー。さ、ん、ぼ、う、さん。あ、ごめんごめん。戦争屋さんか」

「侮辱するのもいい加減にしろ!」

聞いてけらけら笑う女。

「してないよー。それで次は誰を殺せばいい? 誰を殺したらもっと人を殺せるかな?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1419977285

ご飯を催促するペットのような女。

「もう無駄だ! このイカレた戦争は、あの忌々しい勇者どもの為にな!」

「え~つまんない。それが、今まで散々人々を引っかけ回して、金を稼いでた人の結論なんだ」

ペットが飽きた玩具を見るような眼差し。

「今すぐには無理だ。一度地下に潜り、新たなシナリオを描いてやるまでよ」

「それはいつ? 明日?」

「そんな簡単な話なわけがない!」

ガンと叩かれる豪華なデスク。

「そっかー。戦争屋さん、アレがあるからのんびりしちゃうつもりなんだね」

懐から小型のPDAを取り出す。

「じゃ~ん。起爆スイッチ君です」

「…貴様」

「じゃあ、ポチッとな」

押されるが何も起こらない。

「貴様が裏切らないとでも思っていたか? 全ての爆弾は全て――」

小さな爆発音。四散するデスクのペン立て。

「全てが、どうしたの? 探すならちゃんとしないと。だから勇者なんかに遅れをとるんだよ~」

「クソ、無能な奴らめ、よりよって私の書斎のを見逃すなどと!」

「だいじょぶだいじょぶ。この爆弾じゃよくて大怪我だよ、死にはしないよ~」

「だから、本命はこっち~」

屋敷を揺れ動かす振動、爆発音。

「な!?」

「あははは、ダメだよー、全部確認したのにまだまだのこってる~」

輝きを増していく女の瞳。そして、書斎の窓から、爆発位置を確認する男。

「バカな、あそこに貴様は立ち入っていないぞ?」

「うん、四日前に仕掛けた時は、行ってないよ~」

驚愕の顔をする男。

「初めてここに招いた時に仕掛けておいたの。ちょっとずつちょっとずつ、来る度に」

再度、屋敷が振動する。

「一体何が目的なんだ!」

「だから、人殺しだよ? ほら、発破かけないと動かない人がいるからさ~」

「私を殺す気か!」

「なんで? あんたを殺したら、本当に戦争終わっちゃうもん。そんなわけないよ~」

振動、そして書斎の壁が一部崩れる。

「こんなことをして、何が違うと言うんだ!」

「そうだな~。あんたはお金が有り余っちゃったから、のんびりしちゃうんでしょ? まだまだ殺し足りないの、もっともっと、もっともっと、人を殺したいの。だから」

振動、今度は屋根が崩れ始める。

「そのお金が無くなっちゃえば、頑張って戦争を引き起こして貰えるよね?」

とても、無垢な笑顔。

振動、崩壊。床は崩れ、一階に落ちる二人。

「がぁ、腕が…」

「あははは、変な方に曲がってる。この程度の高さの床が抜けたぐらいで、ちゃんと降りれないとは思わなかったよ~」
男に近づく女。

「そうそう、屋敷だけじゃないからね~」

持っていたPDAを見せる。

「これ、は」

「あんたが秘密裏に所有してたのも含め、拠点や自宅も爆破したよ~。これで、早急にお金を稼がなきゃならなくなったね」

「何をしでかしたかわかっているのか!? 活動拠点を破壊され、基盤を失ったんだぞ!」

「だいじょぶだいじょぶ、武器庫や兵器類、後、精霊鍛錬所は無事だよ~」

にこやかに、催促するように。

「皆、化け物を殺せる武器がほしいんだもん。配っちゃおうよ~」

「が…、ぐ」

理解する男。そしてたじろぐ。

「戦争をするためには、皆が武器をもってもらわないとね~」

「貴様、本当に気狂いだったとは…!」

「人と殺し合いたいと思うのが、そんなにダメなことかな?」

不思議そうに首をかしげる女。問いに答えられない男。

「まぁ、明日中にはお願いね~」

PDAを懐にしまい、ガレキから去る女。

「おっと」

背後から発砲音、しかしその前に、女は横に飛んでそのまま半回転。

「アハハハ、そっかそっか、あんたが代わりに殺し合いしてくれるんだ」

「ぐ、避けただと…」

「殺気ぐらい感じるよ~、殺し屋だもん」

ゆっくりと歩み寄る女。弾丸はすべて、当たらない。

「知ってる? ある人は、弾丸とかが赤い線で飛んでくる位置が見えたんだってさ。多分、本当だと思うよ、あたしも見えるもん」

弾が切れた銃。

「無くなっちゃった? じゃあコレあげるよ」

懐から出したナイフを、男に投げ渡し女も別のナイフを持つ。

「さぁさぁ殺し合おうよ!」

「この、クソアマがあ!」

走り出し、動かせる腕で無様にナイフを振り回す。それが、軽く女の頬をかすめた。

「アハハハ、いいじゃないいいじゃない! その必死さ、好きだよ~、でもね」

「ご、が」

スルリと男に腹部へナイフが入り込み、そのまま胸上部を流れて外に出た。

「やっぱりあんたじゃ、力不足かな。飢えてたからいいけどさ~」

「あちゃあ、戦争振りまいてもらわなきゃいけないのに、殺しちゃった」

血まみれの装いで考える女。

「まぁ、いいや。どうせ、この人以外にも戦争屋さんなんていっぱいいるもんな。新しい雇用主さんでも探そかね~」

手に持ったナイフを、倒れた亡骸に投げつける。

「次はどこがいいかな~。マンゴールドは殺しちゃったから、ヨチユ辺りにでも戦争ふっかけてもらうよう頼もうかな」

楽しげに考えを巡らせる女。

「そうと決まれば行動するか~」

そのまま、今度こそガレキから去る女

とりあえず終わり。続き浮かばなかったら、依頼しますわ。

あ、下のとかいろいろ書いてます。

ウェイター「俺は勇者じゃないんだけども」 女兵士「貴様は勇者だよ」
ウェイター「俺は勇者じゃないんだけども」 女兵士「貴様は勇者だよ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417413035/)



じゃあ寝る。十四時間勤務でそのまま二時に寝て五時半に起きて列車に揺られてるとこで睡魔限界。

殺人狂の口調や言動がありきたりというかss板のこういうキャラは皆同じに見える

>>13
テンプレートだからね~。このシーンだけうたた寝したからテキトーな世界観ぶっこんで書き出したものだから続けるかはわからない

「よっと」

崩れ落ちる化け物。

「気まぐれに化け物討伐引き受けたけど、つまらないな」

依頼があった街に戻る女。

「武器を配ってあげてもいいんだけどね。それしちゃうと皆団結しちゃいそうだし、ん~、しばらく勇者達の出方を見ようかな?」

「理想的な、人間と人間の戦争が復活してもらわないと、ね」

振り返る女が可愛らしい仕草で。

「あのおっさんの残党でしょ? 24時間張っても、あたしに隙なんてできないよ?」

だけれど、その笑みは妖絶に歪む。

「3秒だけ待つよ、出ないなら、戦闘開始ね~」

化け物を殺した特殊な剣を無造作に投げ捨てる。

「時間切れ」

脇から抜き出した拳銃を使い、林道の左側にある茂みに撃ち込む。

「お、逃げた逃げた。ストーカーさんサヨウナラ」

拳銃をしまい、剣を拾い上げる女。

「こんなものと化け物がいなければな~」

心底いやそうな顔。

「だから、勇者には頑張ってもらわなきゃならないか。全ての化け物と異次元空間(ポータル)を破壊してもらうためにね」

期待

>>17
期待、ダメ、絶対

>>18
これも貴方でしたかw

>>19
エスパーがおるぞ…!

「ご飯ご飯~」

適当な食堂に入り、注文を済ませる女。

「(とりあえず、お敵さんは三人か~)」

暢気な仕草とは思えないほど、わずかな殺気を認識する。

「(腹ごなしに殺しあえるなんて、あぁ、なんてゾクゾクするんだろ)」

徐々に、顔は紅く染まり、その態度とは不釣り合いな色気が見える。

「あ、きたきた。いただきま~す」

美味しそうに食事を平らげる女。

「(食べ終わったら、ふふっ)」

「ちゃんとおあつらえ向きな場所に誘ってあげたのに、残念だなぁ」

裏路地で、人から肉の塊になった存在を見下ろす女。

「部下がこうも簡単に殺されるようなら、あなたのお門も知れたようなものかな?」

更に近づいて、死体の胸元に話しかける。

「殺したいなら構わないよ? もっともっと、こっちによこしてよ。殺し合おうよ、ねぇ」

バッと死体のスーツめくるとカメラがある。

「じゃあまたね」

そのまま、カメラに弾丸を叩き込む。

「うん、いい感じ」

「ちゃんと本名で記入もしたし、このホテルにいるのもわかるようにしたからだいじょぶだね」

「早く来ないかな~」

イベント前の子供のようにソワソワする女。

「でも久し振りだな、こんなとこで寝るの」

「ベッドが柔らかすぎるなぁ…。落ち着かないや」

不満そうな様子。

「しかし、この地域は化け物が少ないみたいね。うまく利用できないかな?」

思案する素振り。

「ま、いっか。後で考えよっと」

ベッドに潜り込む女。

女の眠る部屋の扉が静かに開く。

「………」

一人が出すハンドサインで、複数の人間が流れ込む。

「てい」

全員が入ったところで、見張りの人間を外にいた女が蹴り入れて、自身も部屋に入り扉を閉めて鍵をかける。

「やっぱりさぁ、ベッドのスプリングは固めがいいと思うんだよねぇ」

他愛のない世間話に、潜入者は反応できない。

「ま、いいや。ちょっとあんた起きて」

蹴り倒した見張りの頭を掴んで起こし、盾にする

「これっていいよね、戦力も削れるし、簡単な盾にもなる。勝手に動かれるのが難点だけど」

「や、やめ――」

見張りのわき腹に鋭い拳が突き刺さる。

「盾は黙っててよ…。でも、この距離なら有効な手段がもう一つあってね」

見張りを真ん中にいた敵へと蹴り飛ばし。

「一瞬でも、味方の動きに目がいっちゃうから」

気付けば、女は手が届く位置にいて。

「意外に接近を許しちゃうんだよね」

隠し持っていたナイフを、近くの敵の首に突き刺した。

見張りが気付いた時には、彼の仲間は誰も動かなくなっていた。

「残りはあんただけか。随分とあのおっさんに忠義立てするんだねぇ」

「………」

声がでない。

「頭の理解が追い付かない。軽いパニックか、残念、殺し合いじゃなくて虐殺になっちゃった」

期待していたおもちゃが、それを下回った時の子供の眼。

「じゃあ、さよならだね」

ストンと、見張りの頭部にナイフが生える。

「ま、あたしが封印した精霊鍛錬所に、用(よう)って感じか。いいね、それで殺しに来てくれるなら、しばらくはそのままにしておこっと」

女は何事もなく部屋を出、扉を閉めた。

とりあえず今はここまで

「退屈だなぁ。誰も手を出してこないし。この場所に、居るのがわかるようにしてるのにな~」

ベッドに寝転がり、足をブラブラと動かす。

「パソコンちゃんは、ま~だ調べがつかないみたいだしなぁ」

テーブルに置いてあったナイフを、気まぐれに投げる。

「こうなったら勇者にでも相手してもらおうかなぁ。そこそこ実力はあるだろうし」

独り言。誰にも、自分にも向けてはいない。

「お、きたか。ふむふむ。この間のはここの一派か。じゃあ正当防衛がてら、殺しに行きますか~」

ショッピングにでもいくような気軽さで、女はアジトを出た。

先ほど投げたナイフは、磔にされた男の胸に深々と刺さっている。

おつかれさま!

>>29
あい、ありがとう

「あははは、楽しいね!」

なぜこんなこと。

「おっと危ない。いい狙いだね」

問う。

「さすがアジトなだけはある。まだまだいるね」

しかし、今更。

「おっとと。防弾チョッキ(これ)着てて良かった」

わかっている。

「じゃあ、お返しの手榴弾、ポイッとな」

けれど。

「ふんふん、いい感じに削れたね」

だからこそ。

「ここは制圧、後はあんただけだね」

求める。

「悪魔め…」

それを。

「いやぁ、反撃が手厳しいね。あたし喜んじゃうよ~」

奥に進み、鉄の嵐が襲う。

「ふんふん、簡単ながらバリケードあり、およそ六名がその後ろかな」

鏡を使い、先を確認する。

「じゃあまぁ、これでねっと」

新たに投げられたら手榴弾は、火の壁を作り出す。

「焼夷手榴弾、さてこの建物何分保つかな?」

楽しげに更に同じ手榴弾を投げる。

「どうしたの? 攻撃の手をゆるめちゃダメだよ」

鉄の嵐がやんだ瞬間に飛び出し、火の海を越え。

「こうなっちゃうから」

次に出来たのは血と肉の海。

見てるよ

>>33
貴様、見ているな…!

「あははは、よく燃えるねぇ」

建物中に広がる炎。

「みーんな、燃えちゃえ。みんなね」

ガラガラと崩れる。

「……、もっと見ていたいけど、そろそろ出なきゃね」

窓を突き破って外に出る。

「ん~? なんだまだいたんだ」

突きつけられる複数の銃口。

「いいよ、殺しあおう?」

視界を覆う赤い線。

「ぐが!」

それを縫うように動く女。

「足りない」

鳴り止まぬ火薬の音。

「ぎ!」

彼らには女が何に見えるのだろう。

「足りない足りない」

そもそも見えているのか。

「まだ。足りない」

崩れ落ちようとする建物は何も答えない。

「痛いと思ったら、肩に銃創あるし」

躊躇いもなく、ナイフを突き立て弾をとる。

「縫うもの縫うものっと」

そのまま、躊躇なく針を通し、傷口を閉じる。

痛みすら、女にとってはある種の甘美。

「……、疲れたな」

何にかすらもわからない。

「まだ、続ける?」

誰に問うている。

それすらもわからないほど。

「いいや、少し寝よう」

女は。

夢を見る。

女は夢を見る。

どんな夢。

深い深い闇の夢。

ただ、闇を認識する夢。

そして夢と気づく。

その時に、闇に朱が混じる。

無造作に、撒かれる朱。

朱に彩られる。平面に、立体に。

夢、ただの夢。

そして、それに飽いた時。

ゆっくりと女は目を覚ます。

一瞬だけ極彩色になった視界に目を奪われる。

「…、ふぅ」

戻った視界は、ただ陽が入るだけの部屋。

「肩の傷は、まぁ血が止まってればいいか」

冷蔵庫に向かい、牛乳を手に取り飲み干す。

味気はない。

「しばらくは療養かな?」

あの組織は徹底的に叩いた。

あるのはその名残だけ。

「勇者の動向でも見て、ぼんやりしてますかね」

ベッドに座る女。

電源が切れたように、ただ、座り。

いつしか、陽は入らなくなった。

語ることなどない。

女に語ることなどない。

語れるような人間はいない。

そうしてきたのだから。

女も語らない。

語り方を知らない。

自身がもともとどうであったか。

覚えてもいない。

火薬と鉄、血と炎、肉と臭い。

それが全て。

望むもの。

女が望むもの。

それは。

語りようがない。

ざっくりここまで。

私にも女がよくわからない。

「あなたは?」

「しがない旅人、ってとこ?」

化け物を殺し、振り返ると勇者がいた。

「あんたは…、噂の勇者さん?」

「えぇ、そう言われてますが……、あなたが倒したのですか?」

勇者は化け物を見て聞く。

「そうだけど?」

「その剣は精霊の加護を?」

「うんまぁ、貰いものだけどね」

剣をみる勇者。

「あなたも何かの導きを?」

「………、ま、そんなとこ」

次に女を興味深げに勇者は見る。

「あたしは見れたもんじゃないわよ。じゃね」

「あ…、行ってしまったか」

「思ったより隙がなかったなぁ」

出会った勇者を思い出す。

「加護があるとは言え、やっぱり修羅場をくぐり抜けてるわけか」

ゆがんだ笑み。

「楽しみが増えたな~っと」

ベッドを起き上がり、窓から街を見る。

「ま、とはいえ後処理が先だよね」

端末を操作する。

「真昼の花火も、良いものよね」

わずかにだけ、窓が揺れる

「これで有力なマンゴールドの残党は、これで全滅かな」

端末を閉じる

「さて、雇用主さん探しと、火種を作らないと」

「(まさか雇いたいとあっちから来るとはね)」

パラパラと資料をめくる。

「(有名どこの、陰謀大好きな宗教家さん達ってとこか。情報があまり洩れないタイプだから、調べるのも一苦労と)」

コーヒーをすする。

「(でも、嫌いじゃないかな。神の名の下で人殺しを容認してくれるんだもの。そんな神様はいい神だよね。ふふっ)」

自然にゆがんだ笑みが出る

「(ま、ここでいいか。接触した理由を探りつつも、戦争を広げてくれるなら、あたしにはどうでもいいや)」

「ふーん、若いね」

「よく言われますよ」

「それで、あたしにどう動いてほしいの?」

「今のところは何も」

「なら、自分勝手にやるけど」

「はは、噂通りの方だ」

少しだけ首をかしげ。

「あたしに噂なんてあったんだ」

「殺人狂とは伺ってます」

「外れてはないかなー」

「正しくはないと?」

「ねぇ、雇い主さん。なんで勇者なんて現れたんだろうね?」

「さぁ?」

「あんたならわかってるんじゃない。すっごく、同じにおいがするけどさ」

「………」

「ま、いいや。その答えはとりあえず、私も似たようなものってことだけだよ。ね、似た者同士さん」

「なるほど」

勇者は世界を救うために導かれた。

なら、それ以外にも。

そうすることが誰かの導きというなら。

その誰かを止めるのはいったい、誰。

「や、やめてくれ」

「やだ」

「ぎっ!」

考えたところで。

そういうことなのだ。

それが存在するなら。

それも存在する。

「さて、擬似指紋をぺたぺたーっと」

「ついでに回収した毛髪もぱらぱらーっと」

わかりきったことでも。

事実としてあるなら。

それは誰にも止められない。

「もっともっと」

歪む。

「殺し合いを」

軽い酒を飲んで人心地つく。

「あ、また会いましたね」

人懐っこい笑顔。

「ふーん、勇者さん」

「あなたも化け物退治をしに?」

「旅人に目的なんてないよ」

視線も顔も合わせない。

「そういうものですか。こんな世の中ですからね」

「何か用?」

「いえ、そういうわけでは」

濁る空気。

「マスター、ここ、置いとく」

「あ、お名前は」

「……、好きに呼べばいいと思う」

外の空気も、苦々しい。

『本日未明、○○国の大臣が殺された事件で――』

その知らせも、白々しい。

「ありがとうございます!」

「礼はとかいらないから」

化け物を殺す。

人は喜ぶ。

「そんな、あの化け物達を簡単に倒すなんて、名のある方を存じます」

「……、今は戦闘で気分が高揚してるから。放っておいて、時間をおいて、礼に伺うから」

「そうでしたか! お待ちしておりますよ!」

去る。

見えなくなったのを確認して、村を出る。

「……は」

力なき笑い。

同じ殺し合いのはずなのに。

楽しくない。

「狂ってる?」

しかし、そうではない。

女は別に狂ってなどいない。

とりあえずここまで

女「あ”~…」

苛立ち。

女「………………」

枕を切り刻む。

女「足りない足りない…」

いつまで満たされない。

女「もう、誰でもいいかな?」

しかし、そうではない。

女「えい」

「危ないですね」

投げたナイフを受け止められる。

女「ちょうどいいから殺しあおうよ」

「残念ながらそんな趣味はありませんよ。お仕事というところです」

女「へー…」

「あなた好みの、殺し合いはできそうですよ」

よどみながら目は光る。

女「で、いつ、どこで?」

「明後日、この国の要人が入国します。それについてくる腰ぎんちゃくを殺してください」

女「あは、よかったー。たまりにたまってたからさー」

「手はずはまた明日ご連絡します」

女「うんうんうん、楽しみにしてるよ」

「ではこれで」

どさりとベッドに倒れる。羽毛が舞う。

女「あははは、楽しみだなー」

「必要なものは揃いましたか」

女「おっけ~おっけ~。一応殺すのが目的だから、これだけあれば大丈夫」

「やれやれ、本当に頼みますよ?」

女「仕事は仕事だからね。ちゃんと目標は殺しはするよ?」
「まぁ、今回は手段は問いません。あなたが我々のメンバーであると、公言されなければ結構ですよ」

「ふ~ん。まぁいいや。とりあえず派手にやりたくなったらやりますよ」

男が言う腰巾着が写った写真。

女「(……どうせ、あったら嫌でも殺しあいができる相手だもの。何の問題はないね)」

歪む。

沈黙。

「…………」

邪魔になるものは排除したが。

「……(はは、すごいゾクゾクする)」

震えに喜ぶ女。

「……(ま、気付かれてるみたいだし、堂々と行きましょ)」

開かれた扉。

「参ったね、こんなに早くけしかけてくるとは」

「そ、とりあえずご挨拶しとくね」

いくつか放たれる鉛玉。

「ま、そりゃ避けるか」

自身にも飛んでくる鉛玉を避ける。

「かなりの手練れ、か」

呟きが耳につく。

一方的ではない。

「はは、楽しいなぁ」

「なめるな!」

苛立ち。

「あなたは楽しくないの?」

「何?」

愉快。

「あたしにはわかる。あなたも殺しあいを、楽しんでる」

「ふざけたことを!」

頬をかすめるナイフ。

「ふざけてないよ。こんな濃密なコミュニケーションを知ったら、セックスなんて児戯じゃない」

「……、理解できんよ」

「大丈夫、その沈黙を答えとして受け取ったから」

歪まない笑顔。

殺意はない。

「あはは、いたーい」

流れる血。

「狂人め…!」

「クス、何をもってして、正常というつもり?」

狂っていない。

「考えちゃダメだよ」

「あが…!」

けして狂っていない。

「肝臓に刺さったね。もうだめか」

「ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!」

そうけして。

「じゃあ、さよなら」

はぜる。倒れる。

「ふふ、楽しめたよ。ありがとう」

女は狂っていない。

少しだけ。

「まだまだ、殺し合いたいなぁ」

痛む腕。

「この痛み免じて、我慢しますかね~」

わずかな幸福感。

「んん、久し振りに」

微睡む意識。

「……すぅ」

いるのは、あどけない顔をした。

何を望む。

『殺し合い』

何を望んだ。

『殺し合い』

何に願い。

『………』

何を委ねた。

『………』

欲し。

『殺し合いを』

懇願し。

『………』

どこへいく。

『……………在るべきところへ』

「良く会いますね」

「そうみたいね」

何故か、会いたくない相手。

「それで、今日は何の用?」

隠せない苛立ち。

「いえ、そういうわけではないのですが、用があってこちらにきたら、いらっしゃったものでしたので」

「そ」

また、顔をそらして飲み物で気を紛らわす。

「そうそう、ご存じだったらでいいのですが」

「なに?」

「要人の部下が殺されたのですが、何か心当たりはないかと」

敵意のない笑顔。

「そんな要人とか、関わりないよ」

「そうでしたか…」

「とりあえず、私はただの旅人。勇者につりあう人物じゃないってね。じゃ、親父さん、代金ここおいてくから」

居心地の悪さで、逃げる。

乱される。

「はぁ~………」

苛立ち。

「……………」

戸惑い。

「……………」

欲望。

「早く、誰でもいいから殺し合いたいな」

「相変わらず物騒なことを」

「着てたの、新しい任務?」

「それはまだ決まっていません。形式上ですがご用意しました」

置かれるアタッシュケース。

「いらないんだけど」

「今後の必要経費にでもしてください。どうするかは自由です。それに」

女のような。

「これで貴方を縛れるなんて思ってません」

いびつな笑み。

どこまでも。

「あたしも裏側じゃ、立派な賞金首かぁ」

自由。

「でも、卑劣卑怯は慣れてて、それができないと弱い連中ばっかり」

それでいて。

「もう、思ってだってテキトーに人を殺した方が早いかなぁ?」

不自由。

「殺し合うことができないなんて、つまらない」

見渡す。

「こんな一方的なんて、退屈」

一面の臓物と赤い液。

「どうして皆、こんなにもろいんだろう」

傾げる首。

「……お恵みを」

地に伏せ。

「……どうかお恵みを」

非力な懇願。

「生まれ変わりたい?」

気まぐれ。

「…お恵みを」

変わらぬ言葉。

「人様からの助けをだけを乞う人間に、これが意味があるとは追わないけど」

ケースが置かれる。

「これで、助けを乞う意味も分かるでしょ」

興味なさそうに去る。

「助かりたいなら、自分から動き続けなきゃダメなのに」

「風に吹かれて~♪」

珍しい光景。

「いつしか陽も落ち~♪」

静寂の部屋に満たす。

「いつ出会える~♪」

何かを重ねて。

「望むのかしら~♪」

もはや歌い手はいない歌。

「これがその終わり~♪」

そしてわずかな静寂。

「………ふぅ」

愉しい気分ではない。

「………」

むしろ陰鬱な気分。

「つまらないなぁ」

呟いて、また像のように数時間。

「………」

身動きしなかった。

血に滲む。

『助けて…たすけ…』

化け物ではない。

『誰か……』

それをしたのは。

『…はぁ、はぁ』

人だった。

『どうして……こんな………』

わかるはずもない。

『助けて、よぉ…!』

その願いは。

『…………』

叶ったのだろうか。

『……あは、ははは』

願いの代償。

『あははははははは!』

払ったものは。

『………殺したいんだよね?』

なんだったのか。

『いいよ……、殺し合おう』

それは、誰もわからない。

「退屈そうですね」

「殺し合いが出来ないからね」

静かに持つナイフ。

「やれやれ、貴女が前の組織に勤めていた時と状況が違うのですから、もう少しこらえてください」

「絶食寸前の人間に、栄養をとるなというのと同じなんだけどなぁ」

放たれるナイフ。

「その短気にはまいりますね。それさえなければ、素晴らしい方なのに」

「この至近距離でもそれを避けられるあんたとは、一度は殺し合いたいけどね」

身をソファーに投げる。

「それで?」

催促。

「この間の依頼の件で、面倒な方が関わりそうでですね」

「あ~、あいつでしょ」

浮かぶ人懐こい笑み。

「何度かお会いしてるようですね」

「なぜかね」

「その人物、勇者の介入は想定していませんでした。彼も独自に監視しておくべきでしたよ」

対照的な不敵な男の笑み。

「じゃ、内紛は起こせそうにない?」

「五分五分かと。可能性を高めるなら、勇者をこの地から遠ざける必要があります」

「で、その役割はあたしか」

まるで歪んだ三日月のような笑みに変わり。

「えぇ、頼みます」

これまた対照的に、苛立ちの態度に変わる。

「……まぁ、そうじゃないと困るんだけど」

背後から射る視線。

「物的証拠は残ってないけど、疑わしい情報をわざわざ残してるとはね」

「(それに、あの後勇者が私に事件を知らないかと言ったのも、あいつが残した状況証拠のせいか)」

かきむしる。

「(だからといって、こう尾行させ続けるのもイライラする。いつもなら、手頃なとこに招いて殺し合うからなぁ)」

「とりあえず我慢か。少なくともこの街から出てもらうまでは」

「(ここまでくればいいか)」

街は離れた。

「いい加減、姿を現したらどう?」

自然に。

「気付いていましたか」

「…、あら想定外。まさか勇者様とはね」

そう自然に。

「悪いけど勇者様に恨まれることをした覚えはないんだけど」

「君には要人の部下を殺した疑いがある」

「あぁ、なるほどね。あのクソじじぃやり口か」

振る舞う。

「大方あのクソじじぃに、あたしが恨みを持つからとかテキトーなこと吹き込まれたんでしょ」

「………」

「確かに嫌がらせでやるかもだけど、それならあのクソじじぃを殺すよ」

まるで道化。

「それでどうする? 疑わしきってだけで捕まるのも癪だし、抵抗するよ」

構える。

「確かに君は以前からただ者じゃない雰囲気を出してたよ」

「一介の旅人に随分過度の評価だね?」

「いや、君は一介どころじゃない。僕があった中でも、かなり人間なのはわかってる」

だからこそ。

「僕なりに、君なら出来なくはない。そう思えるんだ」

「…………、そりゃあどうも」

構えず。

「お願いだ、身が潔白なら、ついてきて欲しい」

近づく。

なぜか。

「戻る気はないよ、あんたがいい奴であっても、雇い主がそうじゃないんだし」

それを。

「君の潔白の証明のためだ」

望まない。

「あんた、しつこいってよく言われない」

「そういう性分だからね」

だから。

「そ、でもだからこそやなことがあるのよね」

爆ぜる。

「く………! どこに!?」

「これでお役目御免よね、あのクソやろう」

森は応えない。

「……今日は森の中で一泊か」

月明かり。

「このまま、どこか消えちゃうのも手かな」

「誰も、私を知らないようなとこで、殺しあいできる環境を作ればいいもんね」

それをするには。

「少し疲れたなぁ……、それとも、ずっと疲れてるのかな」

閉じる。

「…………」

自然音。

「………」

聞き入る。

「…………」

流れる水滴。

「………」

そのまま闇へ。

「………久しぶりかな」

舞う埃。

「最初の隠れ家、いや避難所かな」

気づいて。

「とっくの昔に朽ちると思ってたんだけど、まだまだしぶといなぁ」

誰かが。

「いつになったら、満たされるかな。いつになったら…」

無意味。

「らしくないかな、終わりを望んでも、終わるかもわからないのに」

呪詛。

「…………眠ろう」

対価。

「……疲れた」

繰り返す。

「あたしが、本当に望んでいることは……」

真なる願い。

「………………、全て利用させてもらうかな」

気付き。

「最後の最後まで、迷惑をかけてしまいそうね」

だからこそ。

「これは願いであり、そうしなきゃいけないこと」

決意。

「待っていたよ」

「やっぱり、君が!」

笑み。

「全ては、私の心を満たすため」

演技。

「あなたは、よくやってくれた。再び世界に戦争が起こり、私は少しだけ満たされた」

「ここまでのことをして、まだ満たされないというのか!」

「えぇ、まだ、足りない。まだ、殺し合いがしたい」

構え。

「もう、あなたはいらない。戦争を止める人間は、不要だから」

「…君は!」

「さぁ、殺し合いましょう」



End

いろいろ消化不良ですが、一応の結とします。

いかに地の文を省略化してやれるかという実験を途中から入れたのが悪いんだけどねぇ。

まぁ、設定はきっちりあるので、その内リメイクでリベンジするやもです。

それでは。

乙ですって
朗読劇見てる(聞いてる、じゃないよ)ような感覚のする不思議なSSでした

リメイクするときにも出会えたらいいなぁ

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