二宮飛鳥「キミの中の英雄」 (18)


12/25朝

346プロダクション事務所:事務室


光「この白いのに……赤い付け毛!くれたの飛鳥だろ?ありがとねっ」

飛鳥「白のコートは、ボクひとりの選択<チョイス>ではないよ」ファサァ

光「そうなのか?」

飛鳥「まあね。誰かは秘密にさせてもらうよ」

光「秘密が多いのも、ヒーローだからって、意地悪……」プクーッ

飛鳥「何とでも言うがいいさ。ボクは善きことをしてる。フフッ、信心だね……」

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飛鳥「それともう一つ。エクステは髪につけるものであって、服に貼り付けるものじゃないよ」

光「えっ……そうなのか?」

飛鳥「それはそうさ。リボンとは別のものだからね」

光「違ったんだ……。フォトOブラッドみたいで、カッコイイって思ったんだけどなぁ」ガックリ

飛鳥「発想の柔軟性は、賞賛に値するよ。頭に使った柔軟剤はレノヴァハチミツかな」

光「アタシが使ってるのは、ダウナーってやつだよ。乃々が試供品を分けてくれたんだ!」

飛鳥(フレグランス・イメージをつける為に写真をとって、その時たくさん渡されてたのを回されたんだね)クスッ


光「どうかした?」

飛鳥「いや、搦め手も良いけれど、エクステの王道に興味は無いかな……ってね」シュルッ

光「な、何するの?」

飛鳥「髪につけ直すのさ。ン……ちゃんと結ってみる気は無いかい」

光「うーん……なんか、手間取りそうで」

飛鳥「活動的なポニーも、キュートなツーサイドアップもね。光の髪は、それを可能にする資源なんだよ」

光「そうは言ってもさぁ、特訓とかで忙しくって」

飛鳥「アイドルとは思えない発言だね、それ。頭皮マッサージを先にしてみようか」

光「あははっ、なんかくすぐったいっ!……っ」





ありす「おはようございます。……二人は何をしてるんですか?」

モバP「また光は、飛鳥に遊ばれてるな……」


……………………………………………


飛鳥「そうそう。この笛は、どう使えば良いのかな」ピーヒョロピッピー♪

光「飛鳥が助けを呼びたい時に、三回ピーッて吹くんだよ」

飛鳥「すると、どうなるんだい」

光「驚き桃の木、アタシが助けにやってくる!」シュパバババッ!

飛鳥「ふぅん。二回と一回の時だと、場合分けされたりするのかな」


光「……しまった。考えてなかった!」ワーッ!

飛鳥「なら、今後考えればいいさ」ハイ、クッキー

光「うーん、いいのか?ちゃんとしてないと、むずかゆい感じするし……」サクサクアマウマー

飛鳥「いいんだ。時間をかけることでしか、出来上がらないものだってあるだろう?」オカワリイルカイ?

光「確かに、最後まで観ないとメッセージなんてわかんないものだってあるけど……」チョーダイ!

飛鳥「フッ……それなら最初から、コタエはキミの中にあったのさ」


飛鳥「それにしても。キミが使う笛はあるのかい?」ヨシヨシ

光「アタシが……使う?どういうこと」ナンデナデルノ?

飛鳥「キミには、助けて欲しいヒトがいるのかな……。そんなことさ」イヤカイ?

光「アタシは助けるほうだよ?」ハズカシイッテイウカ

飛鳥「早計かもね。……早速吹いてみるよ」ナルホドナデナデ

ピーッ!ピーッ!ピーッ!


光「任せろ!。で、何をすれば良いんだ?」デモアタマハハナセーッ

飛鳥「ン……こっちに寄ってもらうことかな。この服は、少しだけ冷えるんだ」イヤダヨナデナデ

光「押しくら饅頭かぁ」…ドウシテモ?

飛鳥「そうなるね。……キミは知るべきなんだ。孤独こそが、本当の寒さだってね」ウン

光「アタシは別に、寒いの平気だけど。昨日まで半袖だったし」ムー…

飛鳥「なら明日からは、コートを着るんだ」

光「うぅん……じゃあ、今日から少し、気にしてみる!」

飛鳥「よい兆候だよ。よいね」フフッ


モバP「あと二十分くらいは休めるが、何処でどうする」

ありす「ここにいます。二人って、見てて飽きませんから」

モバP「そう……。俺はデスクの方で、事務員さんたちにクッキー配ってくるから」

ありす「その石炭みたいなの、クッキーなんです?」

モバP「ああ。甘いぞ」サクサク

ありす「甘くないクッキーなんて、お煎餅の方がマシです」

モバP「そうだな。皆クレーム対応でてんてこ舞いだから、甘いもので精をつけて
貰ってくる」


……………………………………………

後日/「上手く午前中に仕事が片付いた昼下がり」

346プロダクション事務所:休憩室

光「……ってわけで飛鳥!晶葉から帽子を貰ったんだ!どうかな?」ババンッ!

飛鳥「まずボクに見せてくれたのかい?」

光「いや、晶葉が最初だけど。……どうしたの?」

飛鳥「……何でもないさ。それにしても、随分光るね?」


光「LEDを仕込んだんだって。カッコイイだろ!しかも脳波でコントロール出来る!」ピカァ!

飛鳥「いい色合いだよ。ヒトのこころの光みたいだね」クスッ

光「へへ……でさ、これに似合う服とか、今度選ぶの手伝って貰っていいかな?」

飛鳥「喜んで。……さて、そろそろ移動した方がいいね」

光「あ、本当だ。じゃ、先に行ってくるぜっ!」ビュンッ

飛鳥「……疾いね」


ありす「ああいう光り物をかぶるのって、アイドルの仕事じゃないと思うんですけど」

モバP「晶葉本人の意向だろうが、大方たらい回しになったんだろうな」

ありす「他の部署と折り合いが悪いんですか?社運をかけた新部門だって聞くんですけど」

モバP「その為に色んなところから、PaPさんが好き放題引き抜きをしててな」

モバP「挙句、手柄も無いのに予算を取ってくのだから、嫌われもする……」

ありす「世知辛いんですね」

モバP「まぁ、救う神あれば拾う神ありだし、能天気で元気なひとの方が多いから……あれ、無い」ガサガサ

ありす「必要なものなんです?」

モバP「ああ。先に降りて、光と待ち合わせてて欲しい」

ありす「わかりました。来てくださいね?」タッタッタッ

モバP「もちろん」


三分後

モバP「ハンカチ、ティッシュ、飴にケータイ、サイフに常備薬にクーポンはよし。……十徳ナイフだけ無い」ガサガサ

飛鳥「女子高生の鞄かい?必要ないと思うけど」

モバP「飛鳥まで、そう言うのか」

飛鳥「クリスマスあけの、ごく短いオフだからね。急かしたりもするよ」

モバP「……すまない。救急セットに裁縫セット、筆記用具に……あったあった。これでよし」

飛鳥「見つかったならよかった。ありすたちを、待たせているよ」


モバP「車を出せなくてすまない。すぐに行く」

モバP「……光によくしてくれて、ありがとう。きっかけでもあるのか」

飛鳥「出会いかな。あるいは、宿命さ」

モバP「説明出来るような理由は、無いということか」

飛鳥「……稀に、キミは無粋になるね」ファサァ

モバP「……むぅ」

飛鳥「フッ……」

飛鳥「……歩み出す勇気を知ったんだ。止まる勇気だって、伝えられるはずさ」

モバP「そういうことを誰彼構わず言ってるから、蘭子に引っかかれるんだ」

飛鳥「……いいだろう?生きてるってプライドさ」ヒリヒリ


346プロダクション事務所:オフィスビル前


光「おーい!皆でベイマックO、観るんだろー!いそごーよー!」ピョンピョン

ありす「予約とってるから、急がなくても大丈夫ですよ」

光「えっ、とってたの」

ありす「とってるんです」

ありす「……一応評判だから観に行くんです。そう、教養のためなんです。決して興味とか……」ウズウズブツブツ

光「誰に言ったの?」

ありす「何でもないです」プイッ

ありす「……聞こえてて!?//」

飛鳥「遅れてごめんね。さて、二人のお守りをしないと」

モバP「はいはい。飛鳥から順に、奥に詰めて乗ってくれ」


ガチャ、バタン!
……ンヴッ!ブロロロロ……


ベOマックスにどハマりした飛鳥が午前様となり、蘭子に平謝りして『コーラを一気飲みした後、しゃっくりせずにもみじ饅頭を十五回連続』という恐ろしい拷問を受けるハメになったのであるが、それは話の本筋ではない。



おわり


短いですが、これでおしまいです。プレゼント交換ネタでした。

飛鳥と光に、些細ながら接点が出来て嬉しいです。正反対な行動や、似た意味のセリフがあったりして、二人は興味深いです。

本筋に関係しないので割愛しましたが、

二宮飛鳥「メビウスの輪から抜け出せなくて」

橘ありす「波間さすらう難破船のように」

二宮飛鳥「空の雲凍って降り注いだ」

橘ありす「見上げる空は遠いけど」

と、世界観が共通しております。


拙い作品に最後まで付き合っていただき、本当にありがとうございました。



おまけ 嘘次回予告

ありす「巴さんにたいへんな仮のある私は、ライブを繋がなければならなくなりました」

ありす「なのにドレスとマイクは別々で、歌いようがありません」

ありす「……けど、やれちゃいました」ドヤァ

ありす「次回、シンデレラガールズ『敵は961プロダクション』。見たくなったでしょう?」

>>12

救う神あれば拾う神×

捨てる神あれば拾う神あり○

でした。どうやってもフォローされますよこれじゃ

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