346プロダクション事務所:休憩室
南条光「なぁ、何を弄ってるんだ?」
二宮飛鳥「anello di enigma……知恵の輪さ」カチャカチャ
光「へー。ピカピカしてるな」
飛鳥「なかなか良いデザインだったからね、衝動買いしてしまったよ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418467793
南条光(14)
http://imgur.com/FE4C6Ch.png
二宮飛鳥(14)
http://imgur.com/YhYc2Ix.png
飛鳥「一時の熱情に身を委ねる生き方も間違いでは無いだろうけれど。ふふ、知性の否定の告白とは、かくもこそばゆい……」カチャカチャブツブツ
光「よくわかんないけど、キラキラしててカッコいいな!オブジェにしてもいいし」
飛鳥「それは、パズルのパズルたる所以の否定になる。この銀色は、解かれたがっているんだ」カチャカチャ
光「ふーん……解けそう?」
飛鳥「まあ、パターンがあるからね。あとは押し込んで……!」カチャコックルンッ
光「……一周しちゃったな。座り込んだらゲームオーバーだ、がんばれっ」エイエイオー!
飛鳥「こういう時も、あるか。……ボクはちょっと失礼させてもらうね」ガタッ
光「じゃあ、戻ってくるまでパズル借りてていいか?」
飛鳥「フッ……いいよ。楽しんであげてくれ、パズルが喜ぶ」
光「パズルが喜ぶ?……よし、だいたいわかった!」
346プロダクション事務所:事務室
飛鳥(……解けないからと言って、一時撤退は理性的な行いじゃなかったかな)
モバP「お、いたいた」カツカツカツカツ
飛鳥「P?どうかしたのかい」
モバP「衣装点検を手伝って欲しくてな。飛鳥のチェックなら外れないだろ」
飛鳥「信用してくれるのは、こそばゆいな……」
モバP「十五、いや二十分くらい付き合ってくれるか?」
飛鳥「新しい状況には、自分から飛び込むべきと学んだからね。喜んで手伝うよ」
モバP「ありがとう」
モバP「ただ、まず最初に結論を言うことを癖にした方が良い」
モバP「最後まで聞かないとわかんない話を聞いていられるほど、奇特な人はそう多くないのだから……」クドクドブツブツ
飛鳥「わかったわかった。何処の衣装室かな」
モバP「地下二階の突き当たりだ。俺が案内する」
飛鳥「これで迷うこともない、か」
モバP「大きいものな、この事務所は」
飛鳥(……キミや光たちもね、キミの言う『奇特な人種』なんだよ?)クスッ
モバP「何か?」
飛鳥「何でも」
モバP「そう……。おっ、エレベーターがようやくだ」
チーンッ
事務所地下二階:突き当たりの衣装室
飛鳥「随分あるね……どれを点検したいんだい?」
モバP「co系を頼む。PaPさんが、属性に拘らず衣装の融通を効かせたいみたいでな」
モバP「そのために、ダメージの大きいのは事前に繕い直したいんだ」
飛鳥「アイ・アイ・サー。えっと、ブルーナポレオンB72番系、上から順に良・良・可……」
モバP「そこまで注意して見なくていいぞ。大きな修繕箇所を知りたいだけだから」
モバP「それにしても、よくタグを見ないでわかったな」
飛鳥「マネキンの胸を見れば、一目で理解ることが出来るさ」
モバP「けったいな……どうしてだ?」
飛鳥「言わせないでくれ。愛海の強制特別レッスンのことなんか、ね……」
モバP「むぅ。ご愁傷様」
飛鳥「さて、次の衣装は……あ、これは」
モバP「パープルタイプのフリフリドレスは、橘ありすの?状態は良い様だが」
飛鳥「いや、属性関係なく融通するんだろう」
飛鳥「そうとして、光がこれを着たらどうなるのか……ってね」
モバP「フリフリ着ても、走り回りそうだな。売り込みかける時の武器が増えるのは、良いことなんだが……」
橘ありす(12)
http://imgur.com/t8qe0TB.png
光『見てみて!ヒカブレラってどうかなっ!?』ハイッー!
ありす『そのパラソル、開きませんよ?……ところでこの衣装、足出てて寒く無いですか』
光『アタシは動きやすくていいんだけどなぁ。ありすちゃんこそ、この服って何か転びそうにならない?』
ありす『ひっかかるようなダンスは、しなかったので……あまり意識したことないです』
光『そっかぁ。うーんっ、傘を使ってアクションか』
ありす『……歌舞伎とかどうです?少し調べてみましょうか』
光『おおっ!やっぱりありすちゃんって、頼りになるねっ』
ありす『そんな……私じゃ無くって、タブレットがよく働いてくれるだけです』
光『それを使いこなせるのが、ありすちゃんのすごいところなんだよ!よっ、日本一!』
ありす『……おだてたって、検索結果しか出ないのに』
ありす『……えへへ』
光『あ、なんか出たよ!……へーっ、これが歌舞伎の見栄なんだ!』
モバP「……って風に、仕事そっちのけで暴走しそうというか」
飛鳥「ブレーキが働かないって言うのは、わからなくは無いかな」
飛鳥「しかしその想定だと、ありすがヒーロー服を着ることになるよ」
モバP「もしもの時の融通性を考えてるんだから、本当に着るタイミングが来るかもな?」
モバP「それに、飛鳥に蘭子の衣装を……その逆も、出来るわけだしな」
飛鳥「フッ……同じ属性でもかい」
モバP「フリル系とは少し趣向が違うけどな」
飛鳥「構わないさ。俄然、能率も上がるものだよ」
モバP「頼りにしてる。そうだ、飛鳥が光と交換した場合は」
飛鳥「サイズ差が厳しく無いかい?」
モバP「それもそうか。えっと、次の衣装は……」
……………………………………………
飛鳥「……これでフィニッシュ、と」
モバP「お疲れ様。時間は……すまない、十五分オーバーだ」
飛鳥「許容範囲内さ。それに、口を動かしながらだったからね」
モバP「なら良かった。ジュースは何を飲みたい?」
飛鳥「奢ってくれるというなら、ありがたいね。パンダのモーニングスターコーヒーをお願い出来るかな」
モバP「『違いがわかるわ』ってコピーの奴か。どれ、少し離れるな」スタスタ
飛鳥「あ、もう一つだけ。オレンジジュースを一つ」
モバP「了解」スタスタ
飛鳥(……これでお土産は充分かな)
346プロダクション事務所:休憩室
飛鳥(ご立腹……はしてないだろうけれど、三十分は離れすぎたかな)
ガチャッ
飛鳥「ただいま戻っ……えっ」
光「…………」カチャカチャ
飛鳥「光?まだやっていたのか」
光「……♪」カチャカチャ、カチャッ!
光「……!」カチャコッ!……クルンッ
光「……っ」シュン
飛鳥「……お楽しみの途中、失礼するよ」ブンブン
光「……♪」カチャカチャ
飛鳥「……おーい、光さーんやーい……?」
光「…………」カチャカチャッ、ガッチャ!
飛鳥「ジュースあるよー……?」ペチペチ
光「……♪」カチャリンコ
飛鳥(すっかり自分のセカイに入り込んでいる……。ならボクは、構って貰えないのがさみしいのか?)
飛鳥(断じてノゥだ。だが、返してもらえないのも気に食わない)
飛鳥(そうであるなら、スマートじゃ無いが荒事に頼る他無いだろう)
飛鳥(愛海が身体をもって教えてくれた技術を……試させて貰う!)
光「……!」カチャカチャ、カチャコックルンッ
飛鳥(目標は今、過集中をおこしている。そして、光がミスを起こしたタイミングこそ、付け入る隙となるだろう)
光「……っ」……ドンヨリ
飛鳥(背後に……そう。敵のまさかと思うポジションが、こちらの優勢の位置となる)
光「……♪」カチャカチャ、カチャッ!
光「……!」カチャコッ!……クルンッ
飛鳥(今だ。加速して!)ガバッ
こちょこちょ
光「ひゃあっ!?な、何!?』
飛鳥「お目覚めの気分はどうかな、リトルヒーロー」
光「……飛鳥?ああ、お帰り!結構早かったな」
飛鳥「いや、三十分はここを離れてたはずだよ」
飛鳥「……もしかして、ずっと弄ってたのかい」
光「三十分……経ってたの!?ほんと!?」
飛鳥「イグザクトリィ」パチンッ
飛鳥「君の認識にとっては、驚きみたいだね。時の歩む早さは人によって違うと言うけれど、これほどまでとは」ヤレヤレ
光「あ、あははー……」
飛鳥「ところで。答えはパッケージ裏にプリントされてるのに、どうして見ないんだい?」
光「いや!これはアタシとパズルの、真剣勝負なんだ……手出し無用だぜっ」
飛鳥「五分くらいを目安にして遊ぶものだよ、これは。……いいかな」スッ
光「あっ」
飛鳥「思い出したんだ。押し込む前に、一捻り加えることをね」ガチャガチャ、カチャコッ、ツルンッ
飛鳥(本当は、戻りのエレベータでこっそりパターンを再確認したんだけど……まあ、見栄を張りたい時くらい、誰にだってあるさ)
光「……カッコいい!」キラキラキラキラ
飛鳥「そ、そうかい?でも、パターンがあると言ったろう」
光「そのパターンを知ってるから、飛鳥はカッコいいんだよ!飛鳥だって、アタシのヒーローだ!」キラキラキラキラ
飛鳥「……フッ、ありがとうね」
飛鳥(これが、良心の呵責というものか)ズキンッ
飛鳥「しかし、ボクがヒーローか」
光「うんっ!飛鳥に解けないパズルはねぇ!パズルタイムの始まりだ!みたいな感じ」
飛鳥「ふぅん……なら、ボクにもヒーローらしい名前が欲しいかな」
光「うーん、自分で決めるか人に呼ばれるかだしなぁ。ミッシングピース飛鳥とかどう?」
飛鳥「もう貰ってる名前だよ、それは」
飛鳥「……そうだ。光の読んでた雑誌があったね」
光「てれびOんのこと?」
飛鳥「多分ね。それに乗ってたヒーローに倣って、飛鳥・真って言うのはどうかな」
光「それはちょっと止めたほうがいいかも」
飛鳥「む、そうかい」
飛鳥「他にもパズルは持って来てるんだけれども……まず、ジュースは如何かな」
光「出来たらパズル先に……あ、オレンジだ」
飛鳥「好きだろう?はい」
光「ン……サンキュ。いただきますっ」カシュッ
飛鳥「待ってくれ。ボクも空けるから」カシュッ
光「おう!……でも、先に飲んでも良かったんじゃ?」
飛鳥「無粋なことは、言わない主義なんだ。乾杯」コチンッ
光「かんぱーい!」コチンッ
飛鳥 光「んくっ、んくっ、んくっ……」
飛鳥 光「ぷはー」
光「うーんっ、ジューシーだなあ。丸ごと徳島勝浦みかんー♪」
飛鳥「輸入オレンジだと思うけど。……それにしても、両手で缶を持つんだね」
光「缶ジュースって、なんかサイズ大きいし。ところで、パズル見せて!」
飛鳥「やれやれ。食い気より色気か……」ハァ
光「少し違わない、それ?」
飛鳥「ボクのコトバは、広辞苑なんかに曲げさせないよ。……あった、ギャロップだ」ゴソゴソ
光「おおっ。あんまり馬っぽくない!」
飛鳥「それはご愛嬌だね」
………………………………………………
ありす「ただ今到着しました。……あれ、あの二人は何をしてるんですか?」
モバP「こんばんは。知恵の輪勝負、だとさ。止めても聞かないし、困ったもんだ」
飛鳥「フ……解き方に焦りが見えてるよ。そろそろ糖分を摂取したらどうかな」カチャカチャガタガタ
光「へへ、そっちこそ。逃げたいのなら降りればいいだろ、このバトルを……!」カチャカチャガタガタ
飛鳥「優しいんだね、光は。……尚更勝ちたくなった……!」カチャカチャゼェハァ
ありす「どう考えても、限界を超えてます!Pさんは、どうして止めないんです!?」
モバP「……言ってどうにかなるのなら、とっくにどうにかしてるよ。なんか俺疲れちゃった」
ありす「ち、ちひろさんを……早くちひろさんを呼ばないと!」ダッ!
二人は無事保護されて終了
おわり
>>22の前に一つ抜けてたので、今追加します
光「うーん、まぁいいや。次はアタシが勝つぞ!」
飛鳥「競ってたのかい。……パターンを覚えてないのはアンフェアーだし、いくつか解法を説明させてもらうね」
光「聞かせて聞かせて!」
飛鳥「ふふ。まずオーギャ型って言うのはね……」
光「うんうん!」
や・お・いだったりミスがあったりと、申し訳ありませんでした。
衣装が白・黒だとか、同じ状況になると正反対の行動をするとか。飛鳥と光は面白いと思います。
拙い作品に最後まで付き合っていただいて、本当にありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません