千川ちひろの野望 ~未来創造編~ (21)
――事務所内倉庫――
池袋晶葉「モバP? いないのか?」
大石泉「あれ、晶葉? どうしたのこんなところで」
晶葉「むっ泉か。いや、そっちこそ、どうしてここに?」
泉「・・・ひょっとして、晶葉もプロデューサーに呼び出されて・・・?」
晶葉「なっ!? い、いや、違うぞ! 決して二人っきりで会いたいだなんて手紙があった訳じゃ・・・!」
泉「はぁ・・・私と同じか。いったい誰がこんなイタズラしたんだか」
晶葉「ぐぐっ・・・イタズラだったのか! この天才を騙すとは、許せん!」
???「イタズラなんかじゃありませんよ」
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泉「えっ?」
晶葉「その声は!?」
ちひろ「ふふっ、私です」
泉「ちひろさん? どういうこと?」
ちひろ「騙したことは謝ります。ごめんなさい。でも、どうしても二人にお願いしたいことがあって」
晶葉「それはモバPにはナイショで、か?」
ちひろ「はい」
泉「・・・まあいいわ。それで、その秘密のお願いって?」
ちひろ「二人とも、アイドルを辞めてもらえませんか?」
晶葉「なっ! ふざけるなっ! アイドルを辞めろだとっ!? 言っていいことと悪いことがあるぞっ!」
泉「っ・・・そうです! いきなり何を言うんですかっ!」
ちひろ「二人とも、アイドルとして人気が出てきて、今が一番充実して楽しい時期だということは分かっているわ・・・。でも、あなたたちのその才能を埋もれさせて置くわけにはいかないの」
晶葉「断る。私はやりたくてアイドルをやっているんだ。それをどうこう言われる筋合いは、ない!」
泉「私も同じ。昔と違って、私にはさくらと亜子がいる。二人を裏切るような真似は出来ないわ」
ちひろ「それでもっ・・・それでも、私の巨大ロボ計画に協力して欲しいのよっ!!」
晶葉「・・・・・・はっ?」
泉「きょだいろぼ、ぷろじぇくと?」
ちひろ「そうよ! 空にそびえる鉄の城! 巨大なボディが地を掛け空を飛ぶ! 怪しく黒光りする装甲に唸る重厚な駆動音! そんな巨大ロボを動かしたいのよッ! 私はッ!!」
泉「はぁ?」
ちひろ「苦節○年。アイドル事務所の事務員として働く傍ら、プロデューサーをだm、の協力で集めた資金を元に、株とFXで増やして積み上げた額はほぼ国家予算!」
ちひろ「すでに研究所の着工は済ませていて、早ければ来年から研究開発に移れるわ」
晶葉「ちょ、ちょっと待て。なんだそれは!?」
ちひろ「その研究所で二人に巨大ロボを作って欲しいのよ! 私のために! お願い!!」
泉「い、いや・・・・・・その、ちひろさん?」
ちひろ「何かしら? 巨大ロボのためなら何でもするわ、任せて頂戴」
泉「私、救急車呼びましょうか? というか、何で巨大ロボ?」
ちひろ「それは――漢のロマンだからよッ!! 決まってるじゃない!」
泉「はぁ?」
晶葉「むぅ・・・確かに、それはそうなのだが・・・」
泉「そうなの!?」
晶葉「だがちひろよ、そもそも実際に動く巨大ロボを作ろうとするなら私と泉の二人だけでは・・・」
ちひろ「もちろん、他にも優秀な研究者には片っ端から声を掛けているところよ。スタッフと予算に困らせるような事は絶対しないわ」
晶葉「うっ・・・そ、それは・・・」
泉「ちょっと晶葉!? あなたいいの!? だいたいこんなことプロデューサーだって・・・」
晶葉「そ、そうだ! モバPは?」
ちひろ「彼は何も知りません。しょせんは資金集めの駒に過ぎませんから」
泉「っ・・・そんな言い方って!」
ちひろ「事実ですから。それに話したところで、彼に私の野望を理解できるとは・・・」
モバP「いや、話は聞かせて貰いました」
ちひろ「えっ、な・・・なんで」
泉「プロデューサー!」
モバP「ちひろさん、どうして・・・」
ちひろ「どうしてこんなバカなことを・・・ですか?」
モバP「どうして・・・どうして、もっと早く言ってくれなかったんですか!?」
泉「えっ!?」
モバP「作りましょうよ! 巨大ロボ! 俺も子供の頃からずっと夢だったんですっ!」
ちひろ「っ・・・モバPさんっ・・・・・・」
モバP「ちひろさん・・・・・・」
泉「あっ・・・え? えぇ?」
晶葉「なんとっ・・・」
モバP「そういうことだ、泉、晶葉。この通りだ!」
泉「ちょ、ちょっと・・・」
モバP「俺からも頼む! 巨大ロボを作り上げてくれ!」
泉「はぁ!?」
晶葉「そ、そうか・・・モバPがそこまで頼むなら・・・」
泉「えっ・・・いやちょっと、晶葉!?」
モバP「泉も頼む・・・!」
ちひろ「私からもお願いします!」
晶葉「協力してくれ!」
泉「えっ、いや・・・その・・・・・・」
こうして池袋晶葉と大石泉は、(泉の強い希望により)アイドル活動を継続することを条件に巨大ロボ計画に携わることになった。
計画始動から十年の月日を経て、ついに試作人型巨大ロボが完成する。
その初お披露目では、開発資金を全面的に提供した千川ちひろが搭乗する予定であったが、謎の乱入者によって巨大ロボの操縦桿を奪われてしまう。
その人物は巨大ロボでアヤトリや縄跳び、剣玉をするといった革新的な器用さで人々を魅了した。
それに続いて今度はバク宙や空中三回転ひねりといった豪快なアクションでその華麗なまでの操縦技術を披露した後、いずこともなく消えたのだった。
謎の人物が去ったコックピットには置き手紙が残されており、そこにはこう記されていたという。
『これが世界レベルよ』
なお、この件で出資者である千川ちひろは激怒し、犯人を国際指名手配したが、逮捕されたという報告はない。
そして、彼女が夢見た巨大ロボは更なる研究と開発によって進化を続け、後にこう呼ばれることになる。
"Immortal Defender of Legatee"
―― iDOL
To be coontinued in XENOGLOSSIA...
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