白魔導士「はじめまして」 男「は、はじめまして」(112)

立ったら書いてみる。

◆一週間前 男自宅

男「え?城に招かれて演説・・・ですか?」

賢者「そうじゃ」

男「あの・・・なぜ俺が?」

賢者「おぬしは国の傭兵として、若いながらに勲章までもらった」

男「それは俺がすごいわけじゃn

賢者「いい加減、自分を認めんか」

男「・・・」

男「賢者さまのご厚意があったからです。」

賢者「わしはたまに話に付き合ってもらっただけじゃろ。」

賢者「白魔導士たちへの良き教育になるだろうと考え、私が推薦したのじゃ」

男「!?」

男「え!あの”白魔導士”たちの前で話せと!?」

賢者「何だ、畏れ多いか?」

男「と、当然です!国民の大半が会うことも許されない純潔の魔導士ですよ!?」

賢者「そうじゃけども」

賢者「まぁ堅く考えるな。彼女らとて同じ人間。同じ飯を食うておる」

男「いやいや!だからって・・」

賢者「この件はもう正式に決まっておるからな!」

賢者「ふふ、楽しみにしておるぞ」

男「」エエ

男「(大変なことになった・・・)」

◆二時間前 城

賢者「それでは次に、勇敢な傭兵である男の話を聞いてもらう」

賢者「男よ、こちらへ参れ」

男「(おぅふ)」
男「(こ、これが白魔導士かぁ)」ガッチガチテクテク

男「(全部で10人くらい・・・か)」

男「(ものすごーく凝視されてるんですけど・・・。」

男「・・よし、頑張るぞ)」

男「し、失礼致します!傭兵 男と申します!わ、私は傭兵として---」


男「---であります。以上で終わります」礼

パチパチ

男「(後半は何とか落ち着いて話せたな)」

男「(熱心に筆まで動かしてもらえたし・・)」

男「(まぁ、ホントに貴重な経験だったな)」

賢者「はは、中々見事な話しぶりじゃった。呼んで正解だったな」

賢者「改めて拍手を!」

パチパチパチパチ

男 深く礼

男「(ふー、緊張で死にそうだ。俺がいるべきところではない)」

男「(さっさと帰ろう。んで、白魔導士に会えた感動を胸に寝よう)」ササッ

賢者「おい、男よ、どこへ行く」

男「!?」エッ


賢者「盲目ではあるまい。」

賢者「おぬしにはこれが見えないのか?」

ッピーン ズラッ

男「(なんだなんだっ!)」

男「(白魔導士たちがめっちゃピーンって手を挙げてる・・・!)

賢者「それでは質問ターイム!はいっ!まず君!」

白魔1「ッはい!!」

男「」

男「(うそやん)」


白魔1「どんなことをして”友”と”遊ぶ”のですか!?」キラキラ

白魔2「”土”を掘って生きる”モグラ”とは、本当にいるのですか!?」

賢者「待て待て、一人ずt」

白魔3「”水浴び場”とはどんな場所なんですの!?」キラキラ

白魔4「”絵画”を見たことはおありですか!?」

賢者「」

男「(おぉすごい勢い、何事だ・・・め、目がキラキラしている・・・)」

男「(こりゃ、逃げられそうにもないな・・・)」

男「あの、一つ一つお答えします!」


賢者「はーい!質問ターイム終了じゃ!」

白魔たち「えぇー!!!」

賢者「わしは悪くないじゃろうが!」

男「(つ、疲れた・・・)

男「(とんでもない勢いだったな)」

男「(ギリギリの質問で、思わず『妹属性やっほい!』って言っちゃった)」

男「(皆が理解してくれなくて良かった・・・)」

賢者「へぇ、妹属性なんじゃなー」

男「忘れてくださいっ!!」


賢者「さて・・・各自、時計を見よ!」

白魔たち「「あ・・」」

賢者「”祈り”の時までに、各々精神統一を済ませるのじゃぞ」

白魔たち「「はい!」」

男「(ん?何かあるようだな、一気に表情が変わったぞ)」

賢者「白魔よ」

白魔「はい」

賢者「君は残りなさい」

白魔「承知しております」

男「(あの人は・・唯一人、質問しなかった白魔導士だ)」

男「(白魔導士の中で、一番・・・)」

賢者「男よ、紹介しよう。彼女が---」


◆現在

白魔「はじめまして」ニコ

男「は、はじめまして」

白魔「先ほどは皆が質問攻めをしてしまい、困りましたでしょう?」

男「いえ・・・」

白魔「」ニコ

白魔「賢者さま。この後、私と、賢者さまと、男さまの三人で食事ということでよろしいですね?」

男「!!?」

賢者「ああ、そうじゃ。男よ、問題ないな?」

男「(ありすぎるだろっ!!!)」

男「ももも、もちろん!問題ありません!」

男「(何たることだ、今日で死ぬのかもしれないな・・・)」


◆城内 飾られた大部屋

男「(城内はこのようになっているのか・・)」

男「(向かい側に座っているのは白魔さま)」

男「(き、緊張する!)」

男「改めまして、傭兵 男です」

白魔「私は白魔と申します。お話、楽しく聞かせていただきました」

白魔「他の白魔たちの無礼、お許しください」

男「無礼だなんてそんな!その、光栄でした」

白魔「光栄、ですか?」


男「はい」

男「白魔導士さま方は国民にとって、まさに天使のような存在です」

男「こうして隣に座っているのさえ・・・」

男「(ありがとうございますっ!)」

白魔「ふふ、そんなことありませんよ」

白魔「きっと、この”城”と外界との隔たりがそう思わせるのでしょう」

白魔「しかし皆、普通の女の子なのですよ?」

白魔「ですから、外界が気になってしょうがないのです」ニコ

男「(そうか、確か・・・)」

男「日を浴びることが許されないんですよね?」

白魔「よく御存じで。その通りです。」

白魔「私たちの世界は、とても狭いのです。」

男「」

賢者「」

男「だから、あの質問攻めでしたか」

白魔「はい。特に、その、男さまのような若い男性とは、会うこともないので・・・」

賢者「故に、あの興奮じゃな」

男「」

男「(名前を呼ばれてしまったっ!!)」ズキューン

男「あ、でも、白魔さまは一つも質問されませんでしたね」


白魔「」ギクッ

白魔「え、ええ。皆が質問していたので、私はする必要がないかと」

男「そ、そうですよね、はは・・(白魔さまは興奮していなかったと・・・)」

男「(何を期待してんだおれ。浮かれるな。)」

白魔「そ、それでも興味深く聞かせて頂きましたよ!?」

男「あ、ありがとうございます(気を遣わせてしまったよ・・・)」

白魔「」カァ

白魔「(い、言えないよー、ずっと見惚れていたなんて)」

賢者「」

賢者「(ふむ・・・)」


白魔「で、では、いま質問してもよろしいですか?」ニコ

男「も、もちろんです!(救われたか?)」

白魔「先ほどのお話と通じますが」

白魔「美しい絵画を見たことがある、と仰っていましたよね?」

男「はい。それはそれは素晴らしい色でしたよ!」

白魔「何とも羨ましい・・・」

白魔「城内には、絵が一つもありません。」
男「?はぁ、見かけませんでしたが。どうしてでしょう?」

白魔「私たちの”純潔”を死守するためです」

白魔「故に、絵画を文書で知ることしかできないのです」

男「”純潔”?」


白魔「ええ。私たちの知る”世界”を極力狭めて」

白魔「”祈り”の力をより大きくするため・・でしたね?」

-白魔は小首を傾げて賢者を見る

賢者「そうじゃ。一点集中の理論で考えればよい」

賢者「最も恐れるべき自然の脅威」

賢者「さらには軍国としての安寧までを、長い年月”祈り”で保っている国じゃからな」

白魔「はい。ですので私たちは”純潔”を守らなければならない」

白魔「生まれたときからそうなのです」

男「」

男「私との出会いは、よろしいのでしょうか?」


賢者「む、察しが良いのぉ」

賢者「はっはっは!むしろ必要であったのじゃ」

男「?」

賢者「代々、このような所謂ガス抜きは行っていてのぉ」

賢者「じゃから気にするでない。必要なことなのじゃから」

男「(・・・一瞬、賢者さまが何かを隠したような?)」

白魔「あまりに世界を狭めてしまうと、私たちも辛いんです」

白魔「だから、このように勉強会を取り持って頂いております」

男「なるほど。そういえば、窓もない・・?」


男「ということは、風景さえも知らないのですか?」

白魔「はい」

白魔「私たちは”風景”というものを知りません。」

白魔「書物で、想像を膨らませるばかりでございます」

男「(城内に入るまで幾つもの扉、そして窓のない城内、徹底しているな)」

男「」

男「文書に書いてある以上の話をするのは難しそうですが・・」

男「ですが、本当に素晴らしい。それだけは確かです」

白魔「ふふ、さらに見たくなってしまいました」ニコ

白魔「良ければ、その剣を見せていただいても?」

男「もちろん。どうぞどうぞ」


-その後、あれこれと質問を受けた。

-最中、びっくりしたり、下らない飲み屋話に笑ったり

-野盗との戦いを、手を結び、息を飲んで聞いたり

-熊の恐ろしさにわなわなしたり

-白魔さまは楽しんでいた様子だった

-途中、胸板を触らせた時は死ぬほど緊張した

-もちろん提案したのは賢者さまであった

---


◆第四城門前 

賢者「では男よ、ゆくぞ」

男「はい・・(もっと白魔さまとお話ししたかったな)」

男「(聞く表情、笑顔、所作の丁寧さ、すべてにおいて惹かれる人だった)」

白魔「男さま・・・」

男「はい」

白魔「」

賢者「白魔よ、ここより先は行けぬぞ」

白魔「分かっております!」


白魔「男さま、いつかまたお会いできるでしょうか」

男「・・・。それは難しいかと・・・」

男「私はただの傭兵です。このような機会はもう・・・」

賢者「何を言う、また勲章をもらうほど立派に努めたまえ」

男「!?」

男「では、また勲章をもらったときに」

白魔「」

白魔「それは・・・いつになるのでしょう」

男「え、それはd


門番「門を閉めます!!」ゴゴォ

白魔「あ」

男「そう遠くないはずです!ですから・・」

白魔「か、必ず!」

男「はい!」

ゴォン

白魔「」

白魔「(胸が苦しい・・・)」


白魔「(は!恥ずかしいっ。なぜしつこく聞いたのでしょう!)」ワタワタ

白魔「(あれでは、また会いたいと思っていることが伝わってしまうではないですかっ!)」

白魔「(あぁ、もー・・・)」

白魔「(・・・部屋に戻って思い出したいです!)」

白魔「」カァァ

白魔「(あぁ、もーどうしたらいいかわかりませんっ!)」ワタワタ

白魔2「」

白魔2「・・・モグラの真似?」

白魔「!?ち、ちがいますーっ!!」


◆帰り道 馬車内

賢者「」

賢者「男よ」

男「・・・はい」

賢者「城はどうであった?」

男「とても、綺麗で品性が高く、美しくありました」

賢者「くく、それは、城のことか?白魔のことか?」

男「白魔さまのことですね・・・っておい!」

賢者「賢者に向かっておいって言うんじゃない」

男「も、申し訳ありません!」

賢者「全く、上の空じゃのぉ」


賢者「傭兵 男よ」

賢者「秘密を、守れるか?」

男「? それは一体・・・」

賢者「もう一度聞く。秘密を、守れるか?」

男「・・・守れます」


賢者「白魔を、どう思った」

男「・・・とても美しく、気高く、それでいて儚い。そう思いました」

賢者「好いておるのか?」

-その質問は、男には早いように思えた

-男は亡き母の誇り高き姿に白魔を重ねていた

-それはとてつもなく遠い記憶

-懐かしく、温かい想いが、男の胸を埋めてゆく

-男は自らの想いを確信していた

男「・・・間違いなく、好いております」

賢者「よろしい。心して聞け」


賢者「白魔は、もう、長くない」

男「!?」


男「それはどういう・・・」

賢者「(こんな表情をするか、鬼か、蛇だな)」

賢者「追って説明しよう」

賢者「彼女が、白魔が、白魔導士”幾人分”もの”祈り”を持ち主であることは説明したな?」

男「はい」

賢者「本来、白魔導士は最低15人は必要とされている。」

賢者「時に、このように、白魔導士の”祈り”が足らなくなる危機が訪れるのじゃ」


男「(きっと国民は誰もそんなこと知らないだろうな)」

男「それより、白魔さまはもう長くないって・・・」

賢者「日々の”祈り”は簡単ではない。それこそ、命を削っておる」

賢者「5人以上の”祈り”を捧げ続けている白魔への負担は、大きいのじゃ」

男「では今すぐ白魔導士を増やすべきでは!?」

賢者「簡単に言うではない」

男「そもそも、白魔導士はどのように選出させているんですか!?」

賢者「・・・」

賢者「それは貴様とて話すに及ばん」

男「そんな・・・」

男「それじゃどうすればいい!!!」


賢者「落ち着け!まだ話が済んでおらん!」

男「ハァハァ・・・申し訳ありません・・・」

賢者「先ほど申したじゃろう、時に、このような危機が訪れる、と」

-それを、男は分かっていた

-しかし、賢者が言ったのは”危機”の話

-危機を回避した歴史と、白魔が助かることがイコールかは、わからない

-順を追って聞かなければいけないこの会話が

-どうしようもなくもどかしく感じていた
男「ハァ・・・では、今までどのように危機を回避したのですか!」

賢者「その危機は”あること”で避けられてきた」

男「あることとは!?」

-男は祈る

-”あること”が、白魔の延命に繋がることを

-賢者は、なぜか僅かに笑みを浮かべながら、言った


賢者「白魔導士を”白魔導師”に転生させることによってじゃ」

男「!?」

けんじゃ「あ、字で書くとこうなるのよ」
おとこ「あ、なるほど。何言ってんのかな、ふざけてんならやっちゃうぞって思いました」
けんじゃ「きついなぁ」


男「”白魔導師”・・・初めて聞きました」

賢者「そうじゃろう。最後の”白魔導師”はおぬしが生まれて間もなく死んでいるからな」

賢者「”白魔導師”は一人でこの国を支えるほどの”祈り”を持つのじゃ」

男「・・・すごい力ですね」

男「白魔さまが”白魔導師”になれば・・・!?」

賢者「その通り。生き永らえるぞ」

男「!?で、では、どのように”白魔導師”にするのですか?」

賢者「」

賢者「愛じゃ」ボソ

男「」

男「は?」


男「ちょ、ちょっと待ってください」

男「どういう意味ですか?」

賢者「単刀直入に言う」

男「お、お願いします」

賢者「彼女を愛し、彼女に愛され、彼女を”白魔導師”にするのじゃ」

賢者「そうすれば国は救われ、彼女が死ぬこともない」

男「!?」


男「(俺は、どう考えたって白魔さまに惚れている)」

男「(でも白魔さまはどうだ?・・・わからない)」

男「賢者さま、私はどうすれば・・・」

賢者「男よ。今、何を想う?」

男「」

男「国のことは俺にはわかりません」

男「さっき賢者さまが言った、 ”彼女がすぐに死ぬこともない”」

男「そればかりを考えています」

賢者「・・・それは”愛”とは呼べんか」

男「!?」

男「でも会うことも叶わない相手ですよ!?」


賢者「おぬしらの逢瀬はわしに任せるのじゃ。」

賢者「しかし、お互いの本物の愛を育むのに、わしの助言や手助けは無駄でしかない」

賢者「おぬしの愛を、行動にするしかない」

男「」

賢者「どうじゃ、男よ」

賢者「白魔を、愛し通す覚悟はあるか」

-男は、間を置いた

-悩んだわけではない。覚悟を腹に落とし込める間であった

男「もちろん、あります」


◆男 自宅

男「」

-男は、ベッドに腰掛け、目を見開き、考えた

男「(俺に何ができる)」

男「(こんな、俺に・・・)」

-男の横には、賢者から渡された書物があった

男「(とりあえず賢者さまから受け取った本を読もう)」

男「(えらく準備がいい気もするけれど・・・)」

男「・・ん?」

男「白魔導”師”は日を浴びれるのか。」

男「」

男「明日、賢者さまに聞いてみるか」


-男は賢者の言葉を思い出す

------

賢者「彼女への愛が導いた行動なら、何一つ制限などないぞ」

------

男「なら、俺は・・・よし」

◆城へと続く森

ザザッ

男「ここは通さないっ!」

盗賊「あぁ?へっ、傭兵に何ができるんだよぉ!

盗賊「おらぁ!」ブン

男「えやぁぁ!!」キーン

盗賊「なに!?

盗賊2「足もらったぁ!!」

男「!? フンッ!」

盗賊2「飛んだ!?」


男「はぁ!!」ガギィーン

盗賊2「くっ・・・」

盗賊「兄貴ぃー!」

盗賊「」バンッ

盗賊「なにっ・・・くっ、殺せよ!」

男「殺さない、逃がすからもうここへは近付くな」

盗賊「へっ、優しいこったなぁ」

男「その代り、武器と身ぐるみを置いていけ」

男「お前らは逃げるのにはこの布二枚で十分だろう?」

----------

盗賊「くっ、なんだってんだよっ!」

盗賊「兄貴!伸びてんじゃねぇ!」ズルズル

盗賊「覚えてろ!!」


男「はぁ・・・はぁ・・・」

男「これで、また勲章がもらえるだろう」

男「謝礼金も、もう十分に達した」

男「ふっ・・・楽しみだな」

男「すぐにでも行こう!」


◆城内

白魔1「白魔、最近呆けていることが多いわよ?」

白魔「え?・・・そうかしら?」

白魔4「”祈り”も強さもぶれるし、どうかしたの?」

白魔「ううん、なんでもないの」

白魔「最近、疲れてて・・・」

白魔3「大丈夫ですか?」

白魔「大丈夫よ・・・」

白魔「」

白魔「(男さまのことばかり考えてしまっている)」

白魔「(それに・・・)」

白魔「(私には・・・わかるわ)」

白魔「(だからこそ・・・辛い)」


-男は寝ずに城近辺の現れる野盗を待った

-しかし、待つだけでは時間がかかる、と

-多くの罠を張り、仲間を募ると、アジトまで制圧した

-傭兵 男の名声は再度、王の耳に入ることになった

-傭兵としては異例の授与式が、簡易ではあるが執り行われることになった


◆城内 式の間

-男が、王の座へと歩を進める

-近衛兵の後方に幾人かの白魔導士も並んでいる

-男はそれに気付くと、白魔の姿を探すが、居ない

-賢者を横目に見ると、アイコンタクトを送っている

男「(白魔さまに会わせてくれる、ってことだよな)」

-王から授かった勲章は、一際輝いて見えた

続きは、また明日書いてみます。
もし、読んでくれた方がいたらですが、ありがとうございます。
拙い運びで申し訳ない。

読んで頂けているとは・・・
ありがとうございます

今日中に終える予定です
よろしくお願い致します


◆白魔 自室

白魔「」ソワソワ

白魔「(本日の授与式とは、なんだったのでしょうか)」

白魔「(期待・・はしない方がいいですよね)」

白魔「(あの日から、まだ10日も経っていないというのに)」

白魔「(想いは、募るばかりでございます)」

白魔「(賢者さまに相談したところ)」

白魔「(無言でグッドサインだけでしたし)」

白魔「はぁ」


◆城内

賢者「男よ、よくぞ参られたな」

男「」

男「当然です」

賢者「良い顔をしておるのぉ」

男「それで例のモノは?」

賢者「こちらへ来い」

賢者「わしとて、裁かれかねないモノじゃからな」

男「賢者さま、もう一度確認させてください」


賢者「? なんじゃ?」

男「」

男「”彼女への愛が導いた行動なら、何一つ制限などない”」

男「でしたね?」

賢者「そうとも」

賢者「じゃなれば、このことを手伝いはせんわい!」

男「それもそうですね」

男「・・・信じます」


-男は多くの不安を抱いていた

-それは当然のことであった

-自分の思考は正しいのだろうか

-自分の行動は正しいのだろうか

-”愛の導いた行動”とは”真”であると言えるのか

-それでも・・・、と男は決意する

-その何もかもを超えていくしかない


◆白魔 自室

コンコン

白魔「? はい」

賢者「わしじゃ」

白魔「賢者さま?今開けます」ガチャ

白魔「どうしましt・・・!!」

男「こ、こんにちh」ドアバンッ

男「・・・え」


白魔「(え?え?)」カァ

白魔「(男さま!?)」

白魔「(やはり、呼ばれたのは男さまであったということ!?)」

白魔「」ブンブン

白魔「(い、今は置いといて・・)」

白魔「(ま、まずは、落ち着いて・・・・)」

白魔「」

白魔「(無理ですっ!!)」カァ

白魔「・・・」トトノエテ

ガチャ 

白魔「こ、こんにちは」ニコ

男「こ、こんにちは(やはり天使だっ!)」

賢者「きちんとドアを開けなさい」

キィ

白魔「き、今日はどうしたのですか?」

賢者「まず男を部屋に入れてあげなさい」

白魔「えっ!」


賢者「ええじゃろぉ」

賢者「わしは職務が残っている、後にまた来るぞ」

男&白魔「えっ!」

賢者「またな」スタスタ

男「」

白魔「」


白魔「ど、どうぞ、おかけになってください(賢者さまめー!)」

男「あ、ありがとうございます」スッ

男「」

男「あ、あの!」

白魔「は、はい!」

男「また、会うことが出来ましたね」ニコ

白魔「!」キュン

白魔「ええ。嬉しく思っております」カァ


白魔「ええと、あ、勲章ですね」

男「は、はい。また頂くことが出来ました」

-想いが、男を加速させる

男「白魔さまに再び会うために、命を懸けました」

白魔「!」

男「あ、いえ、ですがこうして生きているわけで・・・」

男「」

男「なんと言ったらいいか・・」

白魔「私のために、命を懸けてくれたと・・?」


男「・・はい。」

白魔「」

白魔「まず、生きていてよかったです・・」

白魔「次に」

白魔「とても満たされる想いであります」ウルウル

男「え!いや!あの、その」

白魔「再び会えることが出来て、本当に嬉しく思っております」

男「」

男「はい」ニコ


白魔「」モジモジ

男「(綺麗にされてるなぁ、たくさんの本がある)」

男「(白魔さまに似合った気品ある部屋だ)」

白魔「あの・・・あまり見られると・・・その」

男「し、失礼しました!」

白魔「」カァ


男「今日は目的があって来ました」

白魔「? なんでしょう?」

男「白魔さまに見せたいものがあるんです」

白魔「?」ハテ

白魔「もしや、その大きな四角いものでしょうか?」

男「お察しの通りです」

男「安心してください。賢者さまにも通してあります」

白魔「?」

男「ご覧ください」バッ


白魔「・・・!」ゴクッ

白魔「なんと・・・これはもしや・・・」

男「見たかったんでしょう?”絵画”」

男「私が感動した作品を、なんとか手に入れてきました」

白魔「」

男「ん?」

白魔「」

白魔「」ウル

男「え!?」


男「白魔さま!?どうしましたか!?」

白魔「」ポロポロ

男「あわわ(どうしよう、固まって泣いてる!)」

男「こ、これを!」サッ

白魔「すみません・・・ぐすっ」フキ

白魔「あまりに、あまりに”美しい”ものですから」

白魔「うん・・・”美しい”の本当の意味を」

白魔「今、知りました」ニコ

男「」

男「(俺もです)」


男「これは”始まりの丘”を描いた絵画です」

男「世界の一番美しいと言われる景色を描いたものです」

白魔「! 書物で読んだことがあります!」

白魔「これが・・・」

男「ええ。素敵でしょう?」

白魔「言葉にし難く思います・・・」

-白魔は目が離せないでいた


-絵画が美しいという感情は確かにあったが

-それ以上に

-白魔は、最後に

-男が自分にこのような機会をくれたことが

-自らも知らない激情を生み出していたからであった


ガチャ

賢者「男よ、済まぬ」

男「! 何事ですか?」

賢者「もう隠し切れん。時間じゃ」

男「・・・早かったですね」

男「分かりました」

白魔「え?あ、あのもう・・・」

男「行かなければなりません」

男「このような逢瀬には、限りがあります」


白魔「そ、そうですよね」

男「」クル

白魔「え?あの絵画は持ち帰らないのですか?」

男「うまく隠して、時々見てください」

白魔「いいのですか?」

男「何がですが?」

白魔「絵画は値が張ると聞いていたもので・・・」

男「ああ、気にするのは野暮ってもんですよ」

男「あなたのために、手に入れたのですから」

白魔「」

白魔「あの、男さま---」


◆帰り道 馬車内

男「」

賢者「どうじゃった」

男「喜んでくれていました」

賢者「そうじゃろう。おぬしは”愛”に行動し、結果を出し続けたのだからな」

男「・・・はい」

男「(白魔さまのためなら、どんなことでも頑張れる)」

男「(でも・・・)」

賢者「最後の言葉、気になっておるのか」

男「・・・はい」



---白魔「大切な、何よりも大切なものを知りました」

---白魔「ありがとう。・・・さようなら」


男「」

賢者「ふむ」

賢者「白魔は」

賢者「白魔は、自分がもうじき死ぬことをもう悟っている」

男「・・・迫っているのですね」

賢者「ああ」

男「(だろうな)」

男「」

男「(ならば、あれしか)」


男「--賢者さま、お願いがあります」


◆翌日真夜中 城裏手

男「ハッ・・ハッ・・」

賢者「時間がない、急げ!」

男「はい!」スタッ ササッ

男「(この長い避難通路、使われていないせいか足場も悪い)」

男「(一刻を争うかもしれない・・・)」

男「(急ぐぞっ!)」


◆城内 白魔自室

白魔「」

白魔「(眠ることもできなくなりましたね)」

白魔「(・・・この絵画は、本当に美しい)」

白魔「」ウル

白魔「(でも・・・)」ポロポロ

白魔「(”あなた”が、何よりも大切だと私は知れたのに・・・)」

白魔「うぅ・・・」


--コン コン

白魔「え?」


-キィ

男「白魔さま」

白魔「! なぜ?どうしてここに・・・?」

男「お話はあとでゆっくりしましょう」

男「”外”で」

白魔「え?外?あの、え、うわっ」グイッ

男「少し揺れますから、服につかまってください」サッ

白魔「---!(抱きかかえられてるっ!)」カァァァァ

白魔「(一体、何が!え!あ)」

白魔「(男さまの顔が近くて、---!)」ボンッ

男「白魔さま!?」

男「(放心状態だ・・・驚かせちゃったな)」


◆真夜中 城裏手 

賢者「まだか・・・」

賢者「!」

賢者「成功じゃな!」

男「はい、ありがとうございます賢者さま!」

賢者「なにを言う、はよ行け!」

男「はい!」

白魔「賢者さま!?え?私、いま外に!」

男「そうですよ」

男「あなたには”外”を知ってほしいのです」

白魔「!?」


白魔「男さま・・・」

男「世界を見渡せる丘へ向かいます」ヒヒーン

男「」グイッ

白魔「(これは・・・馬!?)」

男「さぁ、手を取ってください」

白魔「」カァ

白魔「はい!」

男「大丈夫。俺を信じてください」

白魔「はいっ」ニコ

ヒヒーン パカラッパカラッ


-”愛”が導いた行動

-それは極端に単純な想いからであった

-『白魔さまに、文書ではわからないことを、知ってほしい』

-『もっと、もっと感動してほしい』

-『そして』

-『-たくさんの表情を、俺に見せてほしい』


-男の”愛”が導いた行動は

-いみじくも、男が願う未来へと繋がっているように見えた

-男もそれを信じて疑わなかった

-”言葉に出来ない確信”があった

-なのに


-なのに、どうして・・・


◆始まりの丘

男「ふぅ」

男「着きました」

白魔「(・・・男さまの背中、とても暖かかった)」

白魔「ここは?」

男「”始まりの丘”です。世界で一番美しい景色が見れる場所」

白魔「! あの絵画の!?」


男「そうです。調べ上げました。」

男「・・まさか、母の墓標がある場所が、”始まりの丘”だったとは」

男「自分でも、驚きです」

白魔「・・・ですが、何も、見えませんが・・」

-白魔の言葉が聞き取りづらくなっていく

-男は気付くが、振る舞い続ける

男「今はただの暗闇ですが、日が昇れば”全て”が変わります」

白魔「・・・男さま・・なぜ、私を、ここへ?」


男「昨日、白魔さまは”さようなら”と言いました」

白魔「・・・はい」

男「”何よりも大切なものを知った”とも言いましたね?」

白魔「」ウル

白魔「・・・はい」

男「私は、私はとても悲しかった!」

白魔「」ウルウル


男「俺は、何十回何百回でも、あなたに会いたいと思っています」

白魔「っ!」

男「”さようなら”なんて、言わないでください」

白魔「で、も・・・私は・・・」

男「絵画を見て、あなたは何よりも大切なものを知った」

男「でも、世界はもっと広く、美しい」

男「それを見せたくて、連れてきたのです」

-白魔は、伝えるまでは眠るものかと、力を振り絞った

白魔「---」

白魔「違う・・違うの・・・」


---夜が、明け始める


白魔「男さま、どうか聞いて」

白魔「きっと、これが最後---」


男「(くっ、どうして・・・!)」

男「っ!・・・もちろんです」

白魔「私、私ね、もうすぐいなくなってしまうの」

白魔「”さようなら”しか言えなくて・・・悲しませてごめんなさい」

-男は自分を呪い始める

-”言葉に出来ない確信”

-なぜ私はそんなものに・・・と


男「うっ・・・っはぁはぁ」

白魔「あとね、あと」ウル

白魔「”何よりも大切なもの”は」

白魔「”絵画”なんかじゃなくて---」

白魔「”あなた”だよ---」ポロポロ


-日の出が丘の向こうを照らし始める

-”始まりの丘”が姿を現し始める

---”全て”が変わり始める


男「・・・」ギュッ

男「白魔さま、どうか聞いて」

白魔「・・・は・・い」

男「俺は、あなたに恋をした」


男「初めて見たときに、一瞬で」

白魔「本・・当?」ニコ

男「はい。それで話して、もっと恋しくなって」

男「会えない時も、あなたばかりを考えて」

男「絵画を届けて、また話して、はっきりと分かったんです」

ギュッ

男「あなたを愛しています---」


---”絵画”のような景色が、現れる

白魔「私・・も・・・愛しています。・・男さ・ま」

男「ほら!見て」

白魔「あぁ・・・これ・・が・」

白魔「」

白魔「」ガクッ

男「すごいだろ、ねぇ、白魔さま・・・」

男「昔、もう死んだ父親に連れてきてもらったんだ」

男「母さんとの思い出の場所なんだって」

白魔「」


男「その時はこんな時間じゃなかったし」

男「目隠しされて連れてこられてさ」

男「あ、ねぇ?あの奥に見えるのが都だ、どんなところなんだろう」

男「馬を使えば三日で行けるんだよ」

男「食糧買い込んで、キャンプして、一緒に寝てさ」

白魔「」


男「ね?一緒に行こう。きっと道中だって楽しいよ」

男「もちろん、白魔さまは俺が守る」

白魔「」


男「ねえ、もっと話したいことがあるんだ」

男「白魔さまのためだったら、俺、なんだってするよ」

男「いや、できるんだ」

男「どんなことだって頑張れる」

男「だから、ねえ」

男「返事を、してくれよ・・・」

白魔「」


男「やっと外に出られたんだろ!?」

男「これからもっと色んなこと知ってさ、色んな表情見せてくれよ・・・」

男「もっと、笑顔を見せてほしいんだ・・・!くっ・・・!」

白魔「」


男「なんでだよ・・・」

男「なんでこんなに美しいんだよ」

男「なんだってするからさぁ・・・もっと」

男「なぁ・・・」

男「もっと」

男「もっと愛させてくれよぉ!!!」ポロポロ

男「うぅ・・・ううぅ・・・」


---景色が完成する
---”全て”が変わる

---

--

-男は夢を見ていた

-父親との遠い思い出


-男「ねえ、おとうさん」

-男「おかあさんでどんな人?」

-男父「んー?気になるかぁ!」

-男父「すごく美人で、すっごく力持ちだったんだ!」

-男「力持ちー!?」

-男父「そうだなぁ」


-男父「15人分くらいかなっ!」




--

---


白魔「---さま。--こさま」

男「ん・・ん・・・!?」

白魔「起きてください」

男「え?」

白魔「男さま、ね?」

-男は、”愛”が”真”であり

-間違っていなかったことを悟った

男「ああ、もちろんそうだよ」

男「・・・?」

白魔「私の愛する人。ふふ、泣き顔も”美しい”わ」

男「白魔さま・・・?」


男「(はは、もう、違うのか)」



---白魔導師「はじめまして」

---男「はじめまして」


以上になります。
読んで頂けたら、幸いです。
拙く運びで申し訳ないですほんと。

恐縮ですが、一応で続編の構想はあって、
下手ですが伏線も置いているつもりです。

ありがとうございました。

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