魔王「ニャー」勇者「」(33)

魔王「ニャー?ニーニー」

勇者「(萌え死ぬ!萌え死ぬからその仕草をやめろおおおおぉ!)」

魔王「ニャ?」シッポフリフリ

勇者「」

勇者「わ、わ、わきまえろ!」

魔王「ニャー…」

勇者「き、貴様は魔王かっ!?」

魔王「ニャー!」

側近「…やば…間違えて魔王様に猫化の薬を飲ませてしまった…」

魔王「…ふえぇ」うにゅー

側近勇者「!?」

魔王「…ふえぇ…にゃーにゃー」

魔王「ふえぇ…みやってぇぇゆーしゃあ♪にゃあ♪」

勇者「…連れて帰ろう」

側近「な、なんですとーっ!?」


魔法使い「ちょっと勇者、どういうこと!? 魔王を人間の世界に連れてくるなんて!」

僧侶「わたしも勇者様の行動には賛同しかねます」

勇者「そう言われてもな。だってお前ら、見てみろよ」

魔王「ニャー♪(背中をベッドのシーツにこすりつけるようゴロゴロする)」

魔王「にゃふぅ」

魔法使い僧侶 ズキューンッ

勇者「こんな可愛い野良猫を連れて帰らないなんて、そんな話があるか?」

魔法使い「ま、まあそうね! 野良猫なら仕方ないわね!」

僧侶「神はおっしゃいました。かわいらしいものは愛でよ、と」

勇者「だろ? だからきちんと連れ帰って、お風呂に入れてやって、ノドをゴロゴロ鳴らすくらい世話してやろう」

勇者「なにせ野良猫だしな」


側近「ちょっと待ったあああぁぁぁ!!」

魔法使い「魔族だわ」

僧侶「魔族ですね」

勇者「……誰?」

魔王「にゃにゃ?」

側近「忘れたか勇者め! 魔王軍一の忠臣、側近の姿を!」

勇者「魔王にまで忘れられてるじゃねえか」

側近「ハハハ、そんな馬鹿な」

側近「ほーら魔王様、忠実な側近ですよー」

魔法使い「えい」

三 毛玉

魔王「にゃっ!」


僧侶「えいえい」

猫じゃらし ノシ

魔王「にゃふっ、にゃっ!」

側近「    」

勇者「どんまい」

側近「    」

側近「はっ!?」

側近「誰が何と言おうと、私は魔王様の忠実な部下だ!」

勇者「なら主に薬を盛るなよな」

魔法使い「ちょっと聞いた僧侶?」

僧侶「女を薬で思いのままにしようとする……最低ですね、死んでほしいです」

側近「なっ! きさまそれでも神のしもべか!」

勇者「ザキを覚えさせるような宗派に何を言ってんだ?」

魔王「ふーっ、にゃにゃー」クイクイ

側近「魔王様……? 私の足を引っ張って。何か御用ですか?」

魔王「にゃっ、にゃう」クイッ

側近「ズボンをめくろうとしている? ええと、こうでしょうか」メクリメクリ

魔王「なうー」ザリザリ

側近「ま、魔王様!? 私の足で爪を研がれては……!」

勇者「よかったな、側近」ニカッ

側近「うっさい! 腹立つわ!」

勇者「ひとまずは魔王を王様のところまで連れて行こうぜ」

勇者「この姿を見れば、魔王討伐の命だって取り下げるさ」

魔王「ふにゃーっ……」セナカノビノビ

魔法使い(かわいい)

僧侶(かわいい)

側近(魔王様のためなら死ねる!)

側近「はっ!? 待て勇者! そんなことして王が魔王様を殺そうとしたらどうする!」

勇者「その時は……なあ?」

魔法使い「そうよねえ?」

僧侶「ですです?」

側近(DEATHです?)

勇者「というわけで王様、魔王を連れてきたんだが」

王「やめろ! 離れんか!」

王「なぜそんなものをワシの前に連れてきた!?」

側近「こんなもの、だと?」

魔法使い僧侶「――――」ゴォ

王「お前ら、言っとくけどワシ王だからね!? 殺意を向けちゃいかんよ!?」

勇者「王位を引きずり下ろすぞこのヒゲめ。なんでこんな愛らしい魔王を嫌うんだよ」


王「だってワシ、犬派だもん!」


魔王「にゃうー↘」

勇者「ちっ、猫様の素晴らしさもわからない屑め」

僧侶「そこの魔族さん」

側近「なんだ破戒僧」

僧侶「ごにょごにょ」

魔王「にゃごにゃご」ぺろぺろ

側近様「はうんっ。魔王様、耳をなめてはいけませんっ」

僧侶「話を聞いてください、ぶち殺しますよ?」

魔王「にゃー……ゆーしゃ、にゃあ?」クビカシゲ

勇者「心配すんな、魔王のことは守ってやるよ」

勇者「王を亡き者にしてでもな!」

王「誰じゃよこいつを勇者に選んだの!」

大臣「王では?」

王「えーい、誰かワシを助けんかあ!」

大臣「騎士たちは今、猫耳魔王とエルフ姫さまのどちらが萌えるかの議論に忙しいのです」

勇者「魔王はさ、どうしてこんな国を落とせなかったんだ?」

魔王「にゃんっ」シッポフリフリ

魔王「にゃー、にゃっ」

魔王「にゃおんっ!?」

魔王「にゃ~」パタリ

魔王「――――にゃにょにゃっ!」

勇者「かーわーいーいー♪」ギュッ

魔王「にゃふぅん……」デレッ

側近「なっ!? きっさまー、私の魔王様を!」

魔法使い「あんたのものじゃないでしょ」

僧侶「魔王軍一の奴隷ですもんね」

僧侶「というか魔物さん、早く用意してください」

魔法使い「魔王をかわいがるのは任せなさいって」

側近「くっ、人間に魔王様を待たせておけるか! 今すぐ……!」

側近「えーっと、これとこれとこれとこれと……」

魔王様ブロマイド
魔王様の湯
魔王様への愛の歌
犬耳の絵

側近「これを錬金釜で混ぜ合わせれば……!」

>>17
待たせて→任せて


側近「ぐーるぐーる♪」

勇者「キモイ」

魔法使い「身の毛がよだつわ」

僧侶「神はおっしゃいました。滅せよ、と」

王「大臣よ、全軍に出撃の号令を」

大臣「滅ぼしましょうぞ我らが敵を!」

魔王「にゃう……」ビクビクッ

側近「そんなに嫌わないで!?」

側近「できた! 犬化の薬だ!」

勇者「魔王、ちょっと飲んでくれるか?」

魔王「にゃん?」

勇者「ほーらほーら」アゴクスグリ

魔王「んにゃ~♪」

勇者「よし側近、行け」

側近「わかりました!」

僧侶「私の作戦、うまくいけばいいのですが」

魔法使い「大丈夫よ、猫でも犬でも、魔王はみんなに愛されるわ」

側近「魔王様、あーん」

魔王「にゃー……?」アングリ

魔王「ん、にゃぅん」コクコク

パアァァ!!

……


魔王(猫耳→犬耳)「わんっ」

王 ズキューゥンッ

魔王「わふっ?」タレミミ

王「す、素晴らしい!」

魔法使い「うまくいったわね」

僧侶「ふぅ、よかったです」

王「この魔王はワシのもとで可愛がろう! 殺すなどもってのほかじゃ!」

勇者「あん?」

側近「なんだとキサマぁ!」

王「へっへーんだ、おぬしらに魔王は渡さんもんね!」


魔王「わふ……わぉん!」ジタバタ

王「ふっふっふ、暴れるでない魔王。今宵はその体を心行くまでもふもふしようぞ」

勇者「おい側近! どうしてくれるんだ!?」

側近「私のせいか!? 貴様の仲間の作戦だぞ!」

僧侶「それよりも、魔王ちゃんを早く助けなくては!」

側近「はっ!? それもそうだな!」

魔法使い「頭の弱い部下しかいなきゃ、人間を滅ぼすことも難しいわね、そりゃ」


側近「まずは魔王様をお助けする……! まずは魔王に戻る薬を、てーい!」

バシャンッ

魔王「――――はっ!? わらわは何をっ!」

魔王「……いやああぁぁ! 誰じゃこのヒゲはっ、わらわに触るでないわっ!」

ガシゲシ

王「あふんっ」パタリ

魔法使い「あら、死んだ?」

僧侶「いえ、達しただけのようです」

大臣「王がマゾだということが国民にばれてしまった……」


側近「そして次に! こちらに戻ってきた魔王様に猫化の薬を飲ませる!」

魔王「これはどういうことじゃ側近! 何が起きておる!?」

側近「魔王様、ご無礼!」

魔王「待、な……んぐっ、ごくごく……」

勇者「ヤンデレの部下って恐ろしいな」

魔王「――――にゃん?」

側近「ふう。これで魔王様は元通りです」

魔王「……ふにゃっ!」

側近「あふぁ!?」

魔法使い「猫パンチね」

僧侶「命を刈り取る勢いでしたけどね」


勇者「これでひとまず安心か」

王「――――はっ!? いかんいかん、美女に足蹴にされる素晴らしい夢を見ておったわい」

大臣「王、それは現実です」

王「なんと! どこのどいつじゃ、褒美を取らす!」

大臣「犬耳魔王のことはよろしいので?」

王「そちらも大事じゃ! 魔王、ワシの魔王や!?」

魔王「にゃに?」

王「猫耳じゃーーー!」

勇者「滂沱の涙を流すほど悲しいか」

側近「人を外見でしか評価できない下種め」


勇者「おいヒゲ、よく聞けよ。猫魔王は俺たちのものだ!」

王「ならん、ならんぞ勇者! 犬耳こそ至高! 獣耳は犬こそが一にして絶対なのじゃ!」

魔法使い「話にならないわ。帰りましょうよ、魔王の城に」

僧侶「そうですよ。見てみたいですしね、魔王ちゃんのお城」

勇者「お前ら、美肌の温泉に浸かっていたいからって魔王討伐に同行しなかったくせにこの野郎」

側近「ごちゃごちゃうるさい! 早くルーラせんか!」

魔王「るーにゃ?」

魔王「にゃー、にゃにゃにゃー、るーにゃ!」

バシュンッ

王「そ、そんな……ワシの犬耳魔王が」

大臣「どうされますか?」

王「全軍、出撃じゃ! 悪の勇者から魔王を取り戻すのじゃ!」

大臣「聞いたな、騎士たちよ。魔王様に会いたいものから武器を捨てて進軍するのだ!」


勇者「ここは……?」

魔法使い「原っぱね。この陽気からすると、魔王の城の東にある大陸じゃないかしら」

蝶 ヒラヒラ

魔王「にゃにゃっ?」

蝶 ヒラリッ

魔王「にゃっ、にゃっ!」ピョンピョン

蝶 フッ、、、

魔王「んーっ、にゃっ。んーっ、にゃっ!」ヒョイッ

魔王「にゃふぅ……」ショボン

勇者「はう――俺、魔王のためなら死ねる」

魔法使い「魔族に寝返るわ。魔王のために」

僧侶「神に言いましょう。この命は魔王のために、と」

側近「こんな奴らが人間の希望じゃ、そりゃ戦争は終わらんよな」


魔王「にゃる……にゃ……?」

ボフン

側近「魔法を使ったせいか。これまでより薬の効果時間が短いな」

魔王「――――側近! わらわの体に何があったのにゃ!」

魔王「っ/// にゃんで!?」

魔王「にゃーっ/// どうして猫語になるんのにゃっ!?」

魔法使い「猫耳もそのままよ?」

魔王「にゃうっ」ミミカクシ

僧侶「魔王の威厳と猫耳の可愛らしさのミスマッチがたまりません」

側近「こいつを僧侶に選んだのは人選ミスだろ」


勇者「…………」

勇者「魔王、聞いてくれ」

魔王「にゃっ!? お前は勇者だにゃっ!」

魔王「わらわが地獄に送ってやるのにゃわっ!」

魔王「くっ……/// しまらないのにゃーっ!!」

勇者「俺が魔王を守る。どこの誰が来ようと、その猫耳には触れさせない」

魔王「にゃわっ!?」

側近「魔王様は男性とおつきあいしたことがないので、直球に弱々です」

魔法使い「あんたは何してたのよ?」

側近「いつでも眺めておりました」

僧侶「草食系ですね」

僧侶「ああいえ、あなたの体を思えば植物系でしたか」

魔法使い「何それ、光合成しかしないってこと?」

魔法使い僧侶「www」

側近「馬鹿にされてる気がするな……」


勇者「魔王。俺と一緒に、猫耳を立て、尻尾を揺らしながら、世界を生きてくれないか?」

魔王「にゃう、にゃう……」ボフン



後の世でケモミミ戦争と称されたこの争いは、猫と犬のみにとどまらず、多くの亜種に支持が広まったという。
魔王は勇者に褒められた自慢の猫耳をピンと立てながら、迫りくるケモナーの魔の手を退けたという。
やがて、ケモミミに貴賤なしの思想が広まると、戦火は収縮の一途をたどる。

そして平和になった世界で、魔王は可愛がられては尻尾をふりふりさせるのでした。

終われ

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