【咲-Saki-】美穂子「最近久が冷たい」 (23)


美穂子「どうしてだと思いますか?」

ゆみ「さあ?私には見当もつかないな」

美穂子「先日の私の誕生日前後から、急に冷たくなったんです」

ゆみ「きっかけがあるのか。具体的にどう冷たいんだ?話しかけても無視されるとかか?」

美穂子「そういうわけではないのですが…」

ゆみ「ふむ、単純な話ではなさそうだな。長くなるだろうから、注文を済ませてしまおうか」

美穂子「では、私はメロンソーダを」

ゆみ「私はコーヒーと日替わりパフェを」

美穂子「店員さんを呼ぶにはこれを押せば良いのでしょうか?」

ゆみ「ああ、私が押そう」ポチッ


ピコーン


店員「はーい、ご注文伺いまーす」


ゆみ「メロンソーダとホットコーヒー、それから日替わりパフェ」

店員「はい、メロンソーダとホットコーヒー、日替わりパフェですね。承りました」


ヒガワリヒトツデース リョーカーイ


ゆみ「で、美穂子の誕生日以来、久が冷たいんだったか?何があったか話してもらえるか」

美穂子「そうですね…まず…」


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~回想~


美穂子「久、明日は何の日か分かる?」

久「もちろんよ!と、言いたいところだけど、明日はちょっと外せない用事があるの。ごめんね」

美穂子「外せない用事…ですか?」

久「ええ、本当ならあなたの誕生日を優先したいところなんだけどね」

美穂子「用事というのを聞いてもいいのかしら?」

久「ちょっと病人の看病で何日か鹿児島に行かなきゃいけないのよ。私も昨日急に言われてね。今日来たのもそれを伝えるためなの」

美穂子「御親戚か何かでしょうか?」

久「そんなとこね。本当にごめんなさい」

美穂子「いえ、それなら仕方ないです」

久「じゃあ、行って来るわね。何日か会えないけど、ちゃんと電話するから」

美穂子「はい、お気をつけて」

~回想終了~


美穂子「ということが…」

ゆみ「ああ、あったな、いきなり一週間ぐらい連絡取れなくなった時期が。何をやってるんだあいつは」

美穂子「電話は約束通りちゃんとしてくれましたし、後で確認したら鹿児島行きのチケットは実際に取っていたので鹿児島に行ったのは本当だと思いますが…」

ゆみ「しかし、それだけじゃないだろう?それだけならそこで終わりで今更私に相談なんかしない」

美穂子「はい、それからもこんなことが…」


~回想~

久「ごめん、今度の日曜、行けなくなっちゃった。土曜日でいいかしら?」

美穂子「それは構いませんが…なにがあったんですか?」

久「ちょっと大阪に呼ばれちゃって…ほら、ドラフトで大阪のチームが私の交渉権を取ったから…」

美穂子「むー…そんなの呼びつければいいんです。久にはそれだけの価値があります」

久「あはは、向こうでの住むところとかチームの設備とかの説明もあるから私が行く方が都合がいいのよ」

美穂子「うー…その分、土曜日にしっかり埋め合わせをしていただきますからね」

久「いいわよ、期待しててちょうだい」

~回想終了~


美穂子「私のチームは呼び出したりとかはないので、今思えばあれも少し引っかかります」

ゆみ「鹿児島に大阪、か…インターハイ後に交流を持っていたようだが…まさかな」

美穂子「それから…」

ゆみ「おい、まだあるのか」


~回想~

美穂子「あ、あの…久さん、今夜、両親が居ないんです。だから、私、さびしくて…もし嫌でなければ、今夜泊まっていただけませんか…なんて…」

久「あ、ごめん、今夜は用事があって無理なの。本当にごめんなさい」

美穂子「…今夜『も』じゃないですか?最近、何度お誘いしても、毎回用事があると言って…」

久「いや、本当に用事があるのよ」

美穂子「用事ってなんですか?」

久「い、いや、、あのね…多分美穂子が思っているようなことじゃ…」プルルルル

美穂子「…出て良いですよ」

久「ごめん」

ピッ

久「もしもし、一?うん、ごめん、すぐ行くから。ええ、大丈夫、忘れてないわよ、じゃあ、また後でね」ピッ


美穂子「…はじめ、ということは、国広さんですか?」

久「え、ええ…ちょっと龍門淵のお屋敷に呼ばれてて…」

美穂子「おひとりで?」

久「咲も一緒よ、麻雀を打つだけだもの」

美穂子「最近、宮永さんとも妙に親しいですよね?」

久「後輩だし、全国に行けたのもほとんど咲のおかげだもの」

美穂子「最近、なんだかないがしろにされてる気がします…」

久「そんな…私はそんなつもりじゃ…って、ごめん、そろそろ行かないと」

~回想終了~


ゆみ「国広か…合宿の時も何やら親しげだったからな」

美穂子「…どう思いますか?」

ゆみ「どう思うも何も、状況的には真っ黒だろう?」

美穂子「真っ黒?」

ゆみ「…私に相談したということはそういうことだろう?今更とぼけるな」

美穂子「…認めたくないんです。なにかの間違いであってほしい」

ゆみ「そうか。で、確かめてほしいと、そういうことだな?」

美穂子「出来れば気付かれないように、お願いできますか?」

ゆみ「私より本人にお願いすればいいんじゃないか?」

美穂子「本人…久に直接聞けと?」

ゆみ「いや、お前が依頼しようとしてる奴にだよ」スッ

美穂子(…パフェ?ゆみが頼んだものが何故私のほうに…しかも、空になって…)

美穂子(ああ、なるほど、そういうことですか)


美穂子「いつから…?」

ゆみ「最初からだよ。お前相手でも他の人間と二人きりで会うのは認めてくれないらしくてな」

モモ「当然っす。竹井さんの息がかかった人間は信用ならないっすから」

美穂子「そうですか。で、お願いできますか?」

モモ「そうっすね…あなたには竹井さんを捕まえておいてもらわないとこっちも困るっす。協力するっすよ」

美穂子「ありがとうございます」

モモ「尾行して、浮気の事実があるかどうかの調査をすればいいっすか?」

美穂子「はい。必要な経費については先払いでお支払します」

モモ「オーケー、引き受けたっす」

美穂子「交渉成立ですね、よろしくお願いします」

ゆみ「私のほうでも探りは入れてみる、何もなければいいんだがな」


久「ねえ、今夜もいいかしら?」

一「構わないよ、……退屈してたし」

久「ふふ、じゃあ、今夜は張り切っちゃおうかしら」

一「君に張り切られ…と体が持たないよ。…が…………は嬉しいけど」

久「咲も呼ぶから、みんなで楽しみましょう」

一「………………よく体が持つね。聞いた話だと、ボク以外にも色々……………………るそうじゃないか?」

久「………のためだもの、これぐらいはね」

一「でも、もうちょっと美穂子さんに構ってあげた方がいいんじゃない?」

久「………………のよ。………………だから」

一「せめて………………てよ?ボクは美穂子さんに刺されたくないか…ね」

久「そこらへんは上手くやって……ら大…夫よ」

一「ホントかなあ…」



モモ(竹井さんは勘が鋭いから流石に離れないとバレる可能性があるっす。この距離だと聞き取れない部分もあるけど仕方ないっすね)

モモ(で、初っ端から真っ黒っす。今夜は張り切るだの体が持たないだの…刺される自覚があるなら浮気を止めろっす)

モモ(しかも、福路さんから聞いた話だとこれは氷山の一角に過ぎないっす。今日はここで引き揚げて家で報告書をまとめるっすけど、明日以降も他の相手について探りを入れるっすよ)


翌日

久「ねえ、まこ?」

まこ「やれやれ、まだやっちょるんか?ええぞ、放課後な」

久「ありがとう」

まこ「あんまり……過ぎたらダメじゃぞ?……が立たなくなるけえの」

久「そうは言ってもどんなに………した後でもすぐ立つじゃない。モテる女は辛いわ」

まこ「言っとれ」


桃子(立つ…って、染谷さん、生えてたっすか?IPS技術はそこまで行ってたんすね)


久「まこだって、最近ご無沙汰だから入……たいでしょう?」

まこ「ま、それは否定出来んの」


桃子(最近ご無沙汰ってことは、以前から関係があったってことっすね。酷い人っす)


久「なんなら、今から咲と……一緒に……」

まこ「おんしがええなら…」


桃子(そして、ここで嶺上さんの名前が出るんすね。国広さんとの話でも名前が出てたし、福路さん曰く、最近妙に仲が良いとのことっす…もしかしたら彼女が黒幕ということもありえるっすね)


更に翌日


モモ(誰を待っているのかと思えば…ちょっと、これは流石に私も予想外っすよ)


ゆみ「すまないな、遅くなった」

久「いいのよ。で、メールした件だけど」

ゆみ「ああ、それ関係で少しこっちの調整をしていたら遅れてしまった」


モモ(しかし…そうっすよね。竹井さんだって年がら年中発情しているわけでもなし。先輩と会うときは浮気じゃなくまともな用件でもおかしくないっす)


ゆみ「で、今夜だったか?一応私と蒲原と妹尾が行ける。初めてだから緊張しているがな」


モモ(はああああっ!!??)


久「あら、妹尾さんも?」

ゆみ「ああ、邪魔になるようなら無理にとは言わないが、経験させておくのも悪くないと思ってな」


モモ(悪いに決まってるっすよ!てゆうかなにかおりん先輩を悪の道に引きずり込んでるっすか!?)


久「ん~…三人で十分なのよね。蒲原さんでお願いできる?見るだけなら妹尾さんも来て良いけど…」


モモ(観賞プレイとかド変態にもほどがあるっす。てゆうか、先輩…初めては私にくれるものだと思ってたっすよ…)


ゆみ「そうか、なら、妹尾は見学させよう」

久「決まりね」

ゆみ「しかし、こういう話なら清澄の部員でも良かったんじゃないか?」

久「咲も和も最近結構付き合わせてるからね。引退した三年の都合で振り回しすぎるのも良くないでしょ」

ゆみ「本人は望んで奉仕してると思うが…」

久「それでも、流石に最近は連れまわしすぎてる自覚があるわ。それに、あなた達との縁も繋いでおきたかったし。いずれにしても今日はあなたに声をかけるつもりだったわよ」

ゆみ「ふっ、嬉しいことを言ってくれる。では、これで失礼する。また今夜」

久「ええ、待ってるわよ」


モモ「…これは、他の浮気相手の調査とか言ってらんないっすね。至急、美穂子さんに報告してシメてもらう必要があるっす」


翌日、11月13日


モモ「ということで、真っ黒っす。会話などから確認できた浮気相手は、国広一、宮永咲、原村和、染谷まこ、加治木ゆみ、蒲原智美、未遂が妹尾佳織、おそらく他にもいるっす」

美穂子「…そうですか、やっぱり、浮気…」

モモ「先払いで頂いた経費の残り、お返しするっすよ」

美穂子「…ありがとうございました」

モモ「あんたがちゃんと首輪つけておかないから、先輩まで毒牙にかけられたっす」

美穂子「ごめんなさい…」

モモ「とりあえず、竹井さんのことはきっちりさせて下さいっす。先輩に手を出されるようだと調査なんかしてらんないっすよ」

美穂子「…ええ、それは、この後すぐにでも」

モモ「へ?」


カラーン


店員「いらっしゃいませー、お席ご案内します」

?「あ、連れが先に来てるので結構です」

店員「失礼しました」


モモ(このタイミングで来るっすか…おそらく、最初から待ち合わせをしていて、これに合わせて私から報告を受けたって感じっすね。とりあえず隣の席に避難するっすよ)


久「ごめん、待った?」

美穂子「いえ、全く。楽しいお話を聞かせて頂いていましたので」

久「ふーん?まあ、待たせなくて済んだなら良かったわ」

美穂子「それで、本日のご用件は?」

久「いや、分かってるでしょあなた。今日は何の日?」

美穂子「…」

久「あれ?教えてなかったかしら?じゃあ言っちゃうけど、私の誕生日なのよ。で、一日付き合って欲しいなって」

美穂子「そうですね、一日ぐらいは付き合って頂く必要がありそうですね」

久「…あれ?美穂子、なんか怒ってる?」

美穂子「ええ、怒ってますよ、とっても」


久「えっと…いや、まあ、そのね、確かに最近あんまりあなたと会えなかったけど、それはこの日のためで…」

美穂子「この日のため?浮気をするのが、この日のためですか?」

久「…は?」

美穂子「とぼけないでください!証拠だってあるんですよ!」

久「いや、とぼけてるわけじゃなくてね。本気で心当たりがないんだけど…」

美穂子「まだしらを切りますか!これを見ても同じことが言えますか!?」バシッ

久「写真?えっと…映ってるのは私と一かしら?」

美穂子「一昨日の密会の現場です!この時の会話も抑えてあるんですよ!」プンプン

久「えっと、浮気を疑われるような会話はなかったと思うのだけど…」

美穂子「これを聞いても同じことが言えますか!?」カチッ

ーー

再生中

ーー


久「ところどころ聞き取りにくいけど、至って普通の交渉だと思うけど?」

美穂子「どう聞いても浮気の約束じゃないですか!?」

久「どう聞いたらそうなるのよ!?」

美穂子「えっ?」

久「えっ?」

モモ「えっ?」


美穂子「えっと、確認しますけど、これは、国広さんに夜、………をするお誘いをしている会話ですよね?」

久「夜中に衣の麻雀の相手をするバイトの交渉よ。どう聞いたらそうなるの?」

美穂子「い、いや、だって、夜って言ってますし、張り切るとか体が持たないとか…」

久「衣の相手するんだから夜に決まってるじゃない。手を抜いて勝負になる相手でもないし、そもそも、咲を連れて行くんだから麻雀以外ありえないでしょ?」

美穂子「だって、宮永さんとも妙に仲がいいし…そ、それに、体が持たないって変じゃないですか!?」

久「満月の衣と全力の咲が入る卓で一般人が半荘一回耐えられると思う?言っとくけどあれマジできついからね」

美穂子「で、でも、他にも色々してるとかなんとか…」


久「ええ、他にもいろんなとこから仕事もらってバイトに明け暮れてたからね」


美穂子「…へ?」

久「その話は浮気疑惑を片づけてからね。で、こっちは…まこ?私とまこでなんかあるわけないでしょ」

美穂子「い、いや、しかし会話が…」カチッ

サイセイチュウデスヨー

久「卓が立たなくなるとか久しぶりに打とうとか言ってるのがなんで浮気になるのよ…ああ、そうか。てことは、これはモモの仕業ね?」


モモ(なんで分かるっすか!?)


美穂子「えっと…その…」

久「私を最初から疑ってかかった上で、変な妄想しないとこれは勘違いのしようがないもの。しかも、微妙に会話が聞こえない距離で盗み聞き…この音量で聞こえる位置なら私が気付くはず」

久「そもそも、探偵の浮気調査なら、その後の実際の行為の現場を抑えるわ。それをしてないってことは素人の仕業。これらの条件から、犯人はモモしかいない」

美穂子「はい…その通りです…」

久「はあ…まったく、なんで騙されるのよこんなんで…」

美穂子「面目ないです…」


モモ「ちょっと待ったっす!浮気疑惑は晴れてないっすよ!」

久「あ、居たの?」

美穂子「はっ、そ、そうです!そもそも、最近の久の様子がおかしかったのは事実で…」

モモ「てゆうか、先輩との会話は全部はっきり聞こえたっす!ここまでの会話みたいに聞き取れなかったところを都合よく補った言い逃れはきかないっすよ!」

久「いや、あの会話をどう聞いたら浮気になるのか逆に教えて欲しいんだけど」

モモ「夜に先輩達と何をしてたって言うんすか!3Pの上にかおりん先輩に見学させて、ド変態にもほどがあるっすよ!」

久「靖子から回してもらったナイトゲームの牌譜取りのバイトに決まってるでしょ!三人呼ばれたからゆみたちに声かけたのよ!」

美穂子「ですよね…普通に考えたら当たり前でした…」


久「で、まだなんかある?」

モモ「ふ、福路さんの誕生日をまたいだ期間に鹿児島に行ってたのは…」

久「春に紹介してもらって神代さんのとこで住み込みで働いてたのよ。お手伝いさんが腰痛めたから治るまでって契約で。旅費を入れても割のいいバイトだったわね」

モモ「付き合いが悪くなったのは…」

久「だから、いろんなとこで仕事もらってたのよ」

モモ「う…うがー!!そもそもなんでそんなに金が必要なんすか!?プロ入りも決まって、そこまで不自由してないはずっす!」

久「それは今日の本題だから部外者は出てってほしいわね」

モモ「ぐぬぬ…き、今日はこれぐらいで勘弁してやるーーーーっす!!!」


美穂子「…疑って、すみませんでした」シュン

久「いいのよ、誤解させた私も悪かったわ。これで別れるなんてことになったら何のためにやってたか分からなくなるもの、信じてくれてありがとう」

美穂子「そ、そんな…勝手に勘違いした私が悪いんです!」

久「そう?じゃあ、お詫びのしるしに一つお願い聞いてもらおうかしら?」

美穂子「は、はい!なんなりと!」


久「最初に言った通り、私、今日で18才なのよ」

美穂子「はい」

久「で、これにサインしてほしいの」

美穂子「…これ…?」

久「あとこれ、遅くなったけど、誕生日プレゼント」

美穂子「…開けて良いですか?」

久「ええ、どうぞ」

美穂子「ルビーとサファイアの、指輪?」

久「あと、サインしてもらう書類はこれね」ピラッ

美穂子「あの…久?」

久「何かしら?」

美穂子「あの、さっきの前科もあるし、私の勘違いだったら言ってほしいのだけど…これは、そういうことですか?」

久「まあ、同性だから実際に結婚できるわけじゃないけど、私が夫であなたがお嫁さん、ダメかしら?」

美穂子「…」


婚姻届「うっす。竹井さんのお名前は記入済みっす。印鑑も押してあるっす」


久「18までは結婚できないからねー。今日を待ってたわけよ」

美穂子「女子は16歳からですよ。私の誕生日でもよかったじゃないですか。そもそも、同性婚は無効です」

久「夫のところに名前書きたいじゃない?美穂子ってお嫁さんってイメージだし。それに、こういうのは気持ちが大事なのよ」

美穂子「だいたい、この指輪だってわざわざアルバイトなんかしなくても買えたでしょう?」

久「咲に連れて行ってもらったインハイの実績で拾ってもらったプロの契約金で買ってもねえ。やっぱり、これぐらいは自分の力で買ったものを渡したいじゃない?」

美穂子「…本当に、馬鹿なんですから…」ポロポロ

久「そうね、こんな可愛いお嫁さんを泣かせるやつは大馬鹿だわ」

美穂子「その先は言わなくても分かりますよ…だから、私のために泣き止んでって言うんでしょう?」グスッ

久「分かって来たじゃない。で、サインしてくれるのかしら?」

美穂子「はい、喜んで」



久「あら、あっさりオーケーするのね?そりゃ、日本じゃ受理されないから冗談みたいなものだけど、わたし、本気なのよ?」

美穂子「私だって本気ですよ。本気で、これにサインしてもいいと思ってるんです」

久「そう…ありがとう、嬉しいわ」

美穂子「当たり前ですよ」

久「ありがとう、美穂子。愛してるわ」

美穂子「私もです。浮気なんか疑って、ろくな誕生日プレゼントも用意してない私に、この言葉を言う資格があるかどうか分かりませんけど…」

久「あなたがそばに居てくれることが最高のプレゼントよ。むしろ、あなたの誕生日に居てあげられなかった私の方こそ、言う資格がないわ」

美穂子「誕生日おめでとうございます、愛してます、久…」

久「美穂子…」


咲「ねえ、和ちゃん」

和「なんですか?」

咲「部長たち、上手くいくかなあ?今日プロポーズするって言ってたけど…」

和「お二人の関係自体は、上手くいくでしょうね」

優希「どういうことだじぇ?」

京太郎「そりゃまあ、世界にあの二人しかいなければ、あの二人なら一生大丈夫だろうけど、世間の目ってやつがな…」

咲「女の子同士だもんね…」

和「と言っても、ささいなことです。今は女性同士でも子供が出来ますし、二人が愛し合っていれば何の問題もありません」

京太郎「つっても、日本じゃ結婚出来ないからな…」

咲「もう、京ちゃんは夢がないことばっかり…」

京太郎「事実だろ。あの二人には幸せになってほしいけどな」

咲「そうだね」

和「大丈夫ですよ、きっと」

優希「そうだな、なんて言っても、風越のおねーさんは…」

咲「…部長のことが大好きだから、ね」

和「清澄の部長は染谷先輩ですよ?」

京太郎「細かいこと言うなって」

優希「そうだじぇのどちゃん」

和「細かくありません、いつまでも竹井先輩に頼っていてはいけないんです。そのためにもそこはしっかりと…」

優希「おおう…のどちゃんのお説教が始まってしまったじぇ…」

京太郎「部長って呼んだのは咲だけなのに…理不尽すぎる…」

和「何か言いましたか?」ギロッ

「「イエ、ナンデモアリマセン」」




咲(きっとうまくいくよね。部長、お幸せに…)




というわけで部長の誕生日SSでした

(「うまく言いくるめるけど実際にはほんとに浮気してる」っていうドロドロのプロットから誕生日用にきれいな部長に設定変えて書きなおしたとか言えない)

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