エレン「今から壁の上行こうぜ」アニ「」(21)


思いつきで書く今日この頃。

…駄作の予感がします。



エレン「今から壁の上行こうぜ」

アニ「」


…コイツは死に急ぎ野郎。
本名エレン・イェーガー。

年齢は14歳、性別男。

頭の中が巨人の駆逐でいっぱいの死に急ぎ(本人は“死に急ぎ”って所は否定している)。
その巨人への殺意から来る訓練への姿勢は他の訓練兵からも注目され、全体の火付け役的な立ち位置にある。

綺麗な顔立ちのせいか(本人の家族と親友曰く、母親似。母親は今まで会った女性の中で一番の美人だとか)、人気もある。

“氷の女”なんて言われてる私から見たら、とても眩しい人間だ。


そんな少年が、なぜか今私の横にいる。

…ここ、女子寮なんだけど。


アニ「…夜なんだけど」

エレン「知ってる」

アニ「…点呼終わったばかりなんだけど」

エレン「だから来たんだろ。今なら抜け出してもバレないぜ」

アニ「…周りの連中寝てるんだけど」

エレン「じゃあ静かに行こう」

アニ「…ミカサなら起きるよ」

エレン「大丈夫、今日はミカサは起きないんだ」

アニ「…明日の休日はゆっくりしたいんだけど」

エレン「オレはお前と居たい」

アニ「…私、何かした?」

エレン「自分に聞け。ほら、行こうぜ」グイッ

アニ「ちょっ」


…コントみたいなやりとりの後、私は死に急ぎに連れ出された。

夜の帳が降りた空の下に。



at 0:00


エレン「おー、いい夜空だな。雲が全くないし、月も輝いてるぞ」

アニ「…」

エレン「…何だよ、もうちょっと楽しそうな顔しろよな」

…こいつは。全く、こいつらしいというかデリカシーに欠けるというか…。


アニ「無理矢理連れ出されて楽しいと思うかい?」

エレン「まだ怒ってんのか?」

アニ「…」

…愚問だね。


アニ「…何の為に私を連れ出したかによる」


エレン「お前と一緒に壁の上に行きたいってのが理由の大部分だけど」


…コイツは、またストレートに……。


アニ「…」

エレン「…怒った?」

アニ「………………許す」

エレン「お、珍し」

アニ「」シュッ

エレン「うわっ!」バッ


コイツは私の二撃目三撃目もさっさと避ける。そこまでは想定済み。


…そしてそのまま反撃することも。

エレン「」ビッ

アニ「甘い」パンッ

エレン「チッ!」ビッビッ

アニ「まだ甘い」ヒョイヒョイ

エレン「四ッ、五ッ!」グォッ

アニ「まだまだ」ヒョイ パシッ


そこでアイツの腕を絡み取り、アイツの個人領域に踏み込み、身体をアイツの身体に密着させて脚を払えば……。


エレン「グッ!」ダァン!



ほら、殺った。



アニ「私に勝つのはまだ早いね」

エレン「…次は勝つ」

アニ「言ってな」

エレン「クソッ!」ガバッ


エレン「よぅし、もう一回!」

アニ「…今から壁の上に行くんじゃなかったっけ?」


エレン「…………あ」


アニ「…」


…少しは訓練から離れたかと思ったら…………コレだ。

コイツの脳みそはどうなっているんだろう?

そこまでコイツの心の源風景は憎しみや怒りに染まっているのだろうか?





エレン「…よし、行くか」クルッ

アニ「やっぱり訓練バカだね」


本当に訓練駆逐馬鹿。

訓練のために本来の目的を忘れるなんて。

…そんな部分が数多の人々を惹きつけるんだろうけど。


アニ「…? どこへいくつもり?」

エレン「だから壁の上だって」

アニ「馬に乗っていかないの?」

エレン「それはつまらねぇから歩いていこう」

アニ「な…」

エレン「たまには良いだろ。二人でゆっくりのんびりと、ってな!」


アニ「…」

エレン「夜は長いんだ、楽に行こうぜ」


…どうやら急ぎでもないようだ。

コイツ、本当に私と壁の上に行きたいだけらしい。


なんと言うか…。

アニ「…今日はいつもと少し違うね」

エレン「違うって、どこが?」

アニ「………表情とか。いつもより顔が明るいよ」

エレン「…お前もな、アニ」

アニ「…」


…死に急ぎの癖に、生意気。


at 0:30


…月明かりで私たち二人と街並みだけが照らされる中、二人分の足音だけが響く。

この時間帯なら少しくらいは人が居るかと思ったけど、もうここら辺は寝静まっているようだ。


エレン「…誰もいないな、見事に」

アニ「不気味なくらいにね」

エレン「そんな不吉な発言すんなよ…」

アニ「私は後ろ向きだからね」

エレン「いや、どちらかと言えばポジティブ思考だろ、アニは」



at 01:30


街並みを抜けると、林道にさしかかる。
ここを抜けたらまた町があり、そこの町のリフトを使えば壁の上に上がれる。

…そういえば――――。


アニ「…壁のリフトの使用許可、取ってあるの?」

エレン「そりゃ取ってなかったら壁の上に行こうぜ、なんて言わねぇよ」


何と、そそっかしくて危なっかしいこの少年は、リフトの使用許可まで取ってあると言う。

今日は一体どうしたのだろうか。

どうやら思いつきで私を誘ったわけじゃないらしい。

ちゃんと計画を立てて、私を連れ出したんだ。

…アルミン辺りに頼んだか。


エレン「…しかし、この林も良いところだな。あの丘とかで昼寝でもしたら中々良さそうだ」

アニ「…そうだね」


…木々も多くあり、カップルの憩いの場や、子どもたちの格好の遊び場にもなる。


…そしてここは私達が話し合いに使った場所でもある。 ・・


…ライナー、ベルトルト……。


ライナー『…よし、現状は何も問題はない。特筆すべきは、やっぱりミカサかな…。アイツの前では不審な行動を取らないようにしよう。……それから、アニ!』

ライナー『…辛かったら、言えよ』

ベルトルト『そうだよアニ。最近の君は少し頑張り過ぎだ』

ライナー『エレンに付き合っているのかもしれん。それはまぁ良い。…だが、周りの連中のことなんて気にする必要はない…!!』

ベルトルト『君を非難したり、陰口を叩くような人間の言うことなんて理解しなくて良いんだよ』

ライナー『お前は恐らく周りの連中からの非難を振り切る為に訓練に打ち込んでいるんだろう。だが、やりすぎだ。エレンやミーナをお前は心配させているんだぞ』

ベルトルト『それに、君を非難する連中は“兵士としての君”に言うわけであって、“戦士としての君”に言うわけじゃない』

ライナー『辛くなったらエレンやミーナ、仲間を頼れ。それに罪悪感を感じるならおれたちの出番だ!』

ベルトルト『…ライナー…君は……、…………いや、良い。ライナーの言う通りだよ、アニ………』



アニ「…」

辛い?

そんなのは当たり前。

私は好きで“氷の女”なんて呼ばれてるわけじゃないし、それを振り切る為の自主訓練なんて更に辛い。

けど、仕方がないことなんだと私は思い込む。それが私たちの償いになるならば。

何せ、私たちが彼らにしたことは、こんなことでは償えない。

償う気なんて毛頭なかったけど、それは過ちだったとすぐに気がついた。

…彼らだって私たちと同じだ。

要は巨人化能力の有無、ただそれだけ。

訓練兵になって、気づいた事実だった。


エレン「…おーい、なにをボーッとしてんだ?」ヌッ

アニ「へ」

エレン「……“へ”?」

アニ「あ……」


エレン「…かわいらし嘘嘘嘘嘘悪い悪い。だからその蹴り足を下ろしてくれ」




…ふぅ、びっくりした。

ふと目の前に意識をやったらアイツの顔があったんだもの、心の準備なんて出来ているはずもない。


エレン「ほら、林道を抜けた。このまま行けば町、そして壁だ」

アニ「…うん」

エレン「何だよ、いつもより汐らしくないか?」

アニ「…気のせいでしょ」


…目敏い奴。

気づかなくて良い時に気づき、気づかなければいけない時に気づかない。

きっと、コイツの洞察力は自分の興味のあるものと、仲間の安否にしか向けられていない。

自分が知りたくないことなんて知ることが出来る訳もない、ということなんだろう。

このSSまとめへのコメント

1 :  伯耆溝口   2016年10月06日 (木) 09:01:30   ID: Q8Pc2GSc

あんま分からんかった

2 :  仁万   2016年10月06日 (木) 09:26:43   ID: Q8Pc2GSc

エレアニも新鮮さがあっていいよな

3 :  浜村   2016年10月06日 (木) 10:20:46   ID: Q8Pc2GSc

面白かったよ

4 :  松任   2016年10月06日 (木) 11:03:09   ID: Q8Pc2GSc

続きはないの?

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