遊馬(15)「ロスト・ミレニアム?」(42)

語り:小鳥(15)

遊馬とアストラルの最後のデュエルから、2年が経った。

私と遊馬は中学3年生になり、仲間たちと平和な日々を過ごしていた。

中学最後の夏休みに入ったその日。遊馬と二人で帰りの道を歩いていると、カイトが飛んで来た。

遊馬のご両親とどこかの遺跡調査へ行っていたカイトの突然の帰国に、遊馬は「久しぶりにデュエルしようぜ!」と喜んでいたが、カイトは真剣な表情でこう言った。

カイト「ドン・サウザンドに奪われたデュエルの歴史を取り戻しに、過去へ行く。遊馬、小鳥。今すぐ準備しろ」

新たな戦いが、始まったーー

遊戯王ZEXAL連作SSの第一弾です。

「ZEXAL」本編で、なぜ殆どエクシーズしか使われなかったのか。
「決闘庵」の像に、「スターダスト」等がいなかった理由。
それらは全て、ドン・サウザンドの陰謀と関わりがあった!

という内容です。具体的には、遊馬たちが過去(5D’s・GX・DM)の世界へ行き、「失われた千年史」を取り戻す、遊戯王作品内のクロスオーバーです。

*デュエルは現在のOCGルール。各キャラの使用カードもOCG準拠です。
*作者オリジナルのカードも登場します。
例:遊馬がシンクロ召喚!?
*原作から2年後の物語なので、一部キャラに性格の変化があります。

デュエル内容のミス、勘違いや矛盾など、ありましたら是非指摘・ご指導下さい。
また、更新ペースがかなりゆっくりになるかもしれませんが、気長にお付き合い下さい。なるべく、支援していただかなくても大丈夫なように更新して行きます。

本編開始は明日以降となります。暫しお待ちください。

ZEXALベースでやるのはいいが5D’sやGXの設定を出すのはやめて
前スレの権現坂みたいに5D’sやGXのキャラを汚されたくないから

>>3ご意見ありがとうございます。前スレでは本当にごめんなさい。

当ssでは「キャラ汚し」等のファンを不快にさせる内容は一切入れません。天地神明に誓います。
あくまで、「時間経過による内面の成長」と「日常の中での笑い」にとどめます。
もし、これらを逸脱した、皆様が「不快」と感じた表現や描写、キャラの言動がありましたら、遠慮無く叩いて下さい。謝罪の上修正します。

極力、原作の性格や立ち位置、関係性に沿って進めますので、暫くは見守って下さい。

ーー突然「過去に行く」と言い出したカイト。その表情はどこか焦っているようだった。

遊馬「な、なんだよイキナリ、」

カイト「今は詳しく説明している時間は無い。直ぐ調整作業に戻らねばならん。
いいか遊馬、小鳥。これは世界の危機にも繋がる問題だ。凌牙や他の仲間たちに連絡を取り、来れるヤツだけでいい、明日の正午までにハートランドタワーに集合させろ」

小鳥「明日の正午…さっきお昼になったばかりだから、大体24時間…」

カイト「それだけあれば、国外にいる連中も来られるだろう。ゴーシュなどは遊馬が呼び掛ければまず間違い無く来る」

小鳥「いやでも、そんな急に…みんな予定が、」

カイト「行くのは『過去』だ。出発した時間から数分後の時間点に、帰って来ればいい」

カイト「…もっとも、『この世界』に帰って来られるかは、分からんがな…… 」

遊馬「どういうことだよ?てか過去なんてどうやって、」

カイト「アストラルが、俺たち…お前の力を必要としている」

遊馬「アストラルが!? 」

カイト「ドン・サウザンドの陰謀は、まだ終わっていない。否、かつての『バリアン七皇』の件だけではなかったのだ」

遊馬「けど、ドン・サウザンドはもう倒した、」

カイト「ヤツの最後の言葉を忘れたか?ドン・サウザンドは不滅の存在。世界に『カオス』がある限り、決して滅びない。
それに、ヤツの放った影が七皇の運命を変えた七体だけだなどと、アストラルでさえ言ってはいない」

小鳥「まさか…… 」

カイト「とにかく、お前たちはさっき言った事を実行しろ。集められるだけ決闘者をかき集めるんだ」

遊馬「よく分かんねーけど、アストラルが俺たちを必要としてるってんなら、過去でも未来でも行ってやるぜ!」

カイト「フッ。任せたぞ、遊馬、小鳥」

小鳥「う、うん!」

遊馬「よっしゃ!久しぶりにかっとビングだ!行くぜ小鳥!」

小鳥「あ、ちょっと!置いてかないでよ遊馬ぁ~!」

「皆の連絡先とか分かってんの~!?」「知らねぇ!」「胸張って言うなー!」

オービタル7「ダ、大丈夫でアリマショウカ、トンマ ニナドマカセテ…オイラ 不安デアリマス」

カイト「遊馬一人ならばそうだが、小鳥がいれば心配要らん。俺たちも行くぞオービタル!」

オービタル7「カシコマリ!カイト様!」


その日の内に連絡先が分かる仲間全員に、カイトに言われた事を伝え、それだけでかなりの人数が応えてくれた。元バリアン七皇など、一部現況の分からない人たちには璃緒さんとシャークが心当たりを探してくれるらしい。
カイトの言う通り、ゴーシュさんとドロワさんは二つ返事で了承してくれた。

ゴーシュ「ちょうど休暇中で、良いノリだぜ!!」


そして、翌日。約束の場所にはーー

本編再開の前に、>>2,>>4補足

*当ssのキャラはアニメ準拠ですが、無理の無い範囲内で漫画版のキャラ設定を混同します。
例:漫画版の遊馬は姉の影響でバイク(又はそれに類する乗り物)の運転ができる→同じ理由で実はアニメ遊馬も。
*現在OCG化されていないアニメ・漫画のカードを使用します。又、漫画に登場したカードやNo,も使用します。この際、既にOCG化されているものはそれに準拠します。

次レスから本編再開です。

>>19
無理のない範囲って漫画版とアニメ版を混同させることがまず無理なんだけど
アニメとマンガじゃ世界観が違うから間違いなく矛盾するしカードだって漫画とアニメじゃ全然違うのにどう両立させんのよ

11:45 / ハートランドタワー前

ワイワイ…ガヤガヤ…

ハルト「遊馬!」

遊馬「お、ハルト!元気そうだなぁ!」

小鳥「ハルトくん、久しぶり!」

ハルト「凄い人数集まったね!兄さんも下で驚いてたよ」

遊馬「おう!これが俺たちの『決算力』だぜ!」

小鳥「それを言うなら『結束力』ね……」

ハルト「アハハ!相変わらずみたいだね遊馬。小鳥さんも大変だ」

小鳥「あはは…もう慣れっこだけどね」

遊馬「ところでハルト、カイトは?」

ハルト「まだ、下で船の調整してる。全員集まったら案内するよう言われてるんだけど……」

>>20
混同と言っても、世界観などのマクロな話ではなく、一部キャラの能力や特技などのレベル。
カードは、例えば『決闘竜』は出しません。
『ガガガガール』のように、アニメと漫画でテキストが異なるカードは全てOCG又はアニメのテキストに準拠します。
漫画登場のカードをアニメ版が使うのは、「アニメで使わなかったor手札に来なかっただけでカードプールとして存在はしていた」という解釈です。
アニメと漫画で世界観が丸っきり違うのは5D’sだけで、ZEXALは世界観同じでストーリーが違う=パラレルワールドの扱い。
基本的に、各キャラのデッキはアニメ準拠(カードはOCG)。チラホラ漫画登場のカードが使われる場合もある、ということです。
話が進む中で「コレは絶対に変」という事案が発生した場合は、ご指摘願います。

遊馬「多分、これで全員のハズだぜ?まあ一人、呼んでもないのに来ちまったのもいるけど……」

小鳥「あの、本当に来るんですか?明里さん…」

明里「なーにー?あたしが行っちゃダメなわけ?」

遊馬「むしろ何で来るんだよ…」

明里「ドンなんたらってのはよく分かんないけど、誰も知らない歴史を見に行くんでしょ?記者として、黙ってらんないわ」

小鳥「でも、もしかしたら…いえほぼ確実に危険が…」

明里「それ言ったら小鳥ちゃんだって同じでしょう?だーいじょうぶよ。腕っ節なら遊馬より強いし、デュエルだって、下っ端の相手くらいならできるからさ。六十郎のじいちゃんに、デッキ借りてきたし」

小鳥「はあ。てそう言えば、六十郎さんと闇川さんは来ないの?遊馬」

遊馬「ああ…師匠は夏風邪とギックリ腰で動けなくて、闇川さんはその看病をしなきゃだから決闘庵を離れられないんだと」

明里「なんだかんだで歳だもんねぇ、六十郎じいちゃん。ま、二人には遠く及ばないけど、足手まといにはならないからさ。連れて行きなさい」

遊馬「う゛…分かったよ。しゃーねーな」

GXは全面的(OCG化済みのカード以外)にアニメ準拠。若干ネタバレになるけど『三幻魔』が関係するから。
ただ、十代の使用カードのみ漫画登場カード(特に『M・HERO』)を使用するか検討中。『プラネット』は出しません。他は全員アニメ版のデッキ。
DM勢はアニメ・漫画・Rでの登場・使用カード全てから、OCG化済みのカードのみを使用します。

小鳥「でも明里さん、春さんは?お一人だと色々大変なんじゃ」

明里「オボミが里帰りしてくれてるから、平気だよ」

ハルト「自分が出掛けてる間、子どもたちと一緒に遊馬の家で過ごせってオービタルが」

小鳥「そうなんだ」

ハルト「それで遊馬、メンバーはこれで全員かい?」

遊馬「俺と小鳥で呼びかけたのは、皆来てるぜ」

小鳥「璃緒さんとシャークが探してくれた人はどうかな?」

凌牙「呼んだか?」

遊馬「お、シャークに璃緒。お前らが呼んだのって、もう全員来てるよな?」

璃緒「七皇は一名を除いて、全員集合しましたわ。あとの一人は、来るかどうか……」

ベクター「ジャジャ~ン!良かれと思って来てやったぜぇ?」

遊馬「ベクター!」

璃緒「あら、来たんですの?意外ですわね」

ハルト「……」さっ

遊馬「 ?ハルト?」

ベクター「あ~らら~遊馬の後ろに隠れちゃって。人見知りなのかな~?」

ミザエル「止せ、ベクター。貴様が信用ならない奴だとカイトから聞かされているのだ」

ドルべ「改心したとは言え、すぐに良からぬ事を考えるのは相変わらずだからな」

ベクター「おいおい、久々の再会だってのにひでぇな~。オレ様はもう悪い事からは足洗って、真面目に生きてんだぜぇ?」

凌牙「その割には、俺の昔のワル仲間の情報網に引っかかって、連絡着いたんだがな?」

ベクター「ピューピュピュー♪」

凌牙「ワザとらしくスルーすんな。イラっとくるぜ」

璃緒「まあまあ皆さん、万一の時は私が凍らせますから。『今は』仲良くしましょう。ドン・サウザンドが絡む以上、仲間は一人でも多い方が良いですわ」

ベクター「さっすがメラグちゃん!お優しいね~オレを庇ってくれるなんて」

璃緒「良からぬ事をしたら今度こそ氷漬けにして庭に埋めますから、お気をつけなさい?」ニッコリ

ベクター「前言撤回。やっぱおっかねぇ」

ハルト「……で、これで全員?」

遊馬「ギラグとアリトは?」

凌牙「あっちでゴーシュと話してるぜ。ただでさえ暑いってのに、アイツらの周りは更に熱っ苦しくてイラッとしちまいそうだ」

璃緒「ギラグとアリトの二人は、夏休み中山籠りをする予定だったそうですわ。二人が出発する前に連絡が取れて、間一髪でした」

遊馬「はっはっは!アイツららしいや。とにかく、これで全員揃ったってことだよな?」

小鳥「もう時間だし、そういうことになるね。ハルトくん、カイトは下にいるって、このタワーの地下?」

ハルト「うん、そうだよ。それじゃ皆!案内するから、ぼくについて来て!」

ハートランドタワー地下

小鳥「ココって、昔来たゴミ処理場?」

ハルト「うん。兄さん達が色々改装して、今は実験所になってる。迷路みたいに複雑だから、逸れないでね!」

凌牙「そこまで入り組んでたか?」

ハルト「うーん…色々とやってる内に増築っていうか、次第に拡がってっちゃってね。ぼくでも地図が無いと迷っちゃうんだ」

小鳥「ハルトくんが迷子になったら、カイトが大騒ぎしそうね」

ハルト「あはは…あちこちに監視カメラがあるし、オボット達が24時間見回ってるから、多少は迷っても平気だけどね。と、あのゲートの向こうだよ」

璃緒「随分と地下深くに来ましたわね。こんな場所に一体何が……」

ハルト「入れば解るよ。ちょっと待って。えーっと…」

No49と書かれたゲートには、カードキー・パスコード・指紋認証・網膜認証と四重のロックがかけられていた。一つ一つハルトくんが外していき、最後のロックが解除されゲートが開くと、その先にはーー

V「む、来たか……」

ーーカイト・V・フェイカー・トロンが巨大な潜水艇の調整をしていた。

III「遊馬!久しぶり!」

遊馬「お、III!連絡つかねーから心配したぜ!」

III「ゴメンよ、父様たちの手伝いで忙しかったから」

Ⅳ「ようやく来やがったか。待ちくたびれたぜ凌牙」

凌牙「Ⅳ!お前も連絡つかなかったじゃねーか!」

璃緒「お久しぶりですわ。貴方もご家族の手伝いを?」

Ⅳ「よう、璃緒。オレは仕事のキャンセルでな。IIIがコッチに付きっ切りだったもんで、全部オレがやらなきゃいけなくてよ。どうせココに来れば会えんだし、急だったからな」

遊馬「おーい、カイト!皆来てくれたぜー!」

カイト「少し待て!今最終チェック中だ。オービタル!」

オービタル7「ハッ!現在ノトコロ、異常ナシデアリマス!」

トロン「クリス、そっちはどうだい?」

V「ハイ。もう間もなく完了します。あと数分で出発できるかと」

フェイカー「おお、よく来てくれた」

遊馬「Dr,フェイカー!なあ教えてくれよ、皆を集めてどうすんだ?」

フェイカー「カイトから聞いていないのかね?」

遊馬「昨日は、『過去に行く』ってこと以外は殆ど何も聞いてないぜ。アストラルが呼んでるって言うから、とりあえず皆を集めたけどよ」

フェイカー「そうか…いや実は、ワシも詳しいことは聞いておらんのだ。ただ、君の父一馬からな」

遊馬「父ちゃん?」

フェイカー「『カイトを手伝ってくれ』と頼まれ、あの一馬が珍しく焦っておったのでな。ワシもバイロンもただ事ではないと思い、この潜水艇を急遽建造したのだ」

遊馬「父ちゃんが焦るなんて、一体何があったってんだよ?」

V「カイト!プログラムのアップグレードが完了した!」

オービタル7「コチラモ、全体ニ異常ナシデアリマス!」

カイト「よし。ならばすぐに出発する。全員乗り込め!凌牙はデッキを貸せ!」

凌牙「あぁ?デッキ?」

遊馬「いやオイ、その前に皆に説明を」

カイト「出発してから聞かせてやる!つべこべ言わずに乗れ!」

いつも以上に強引なカイトの表情は、昨日と同じく酷く焦っていた。
常に冷静な彼が(ハルトくん絡み以外で)こうも焦るのは珍しい。皆、多少不満気な顔をしつつも黙って潜水艇に乗り込んだ。

因みに、呼びかけに応えて集まったメンバーは、
・元バリアン七皇全員・ナンバーズ倶楽部全員・ゴーシュ・ドロワ・明里(敬称略)。
地下ドックで待っていたIIIとⅣ、更になんとハルトくんも一緒に行くらしい。よくカイトが許したなぁ…。
トロンとDr,フェイカーは遊馬のお父さんに残るよう言われているらしく、代わりにと新しいカードを渡してくれた。
アンナはタイミングが悪かったのか連絡が着かず、エスパー・ロビンこと風也くんは海外ロケで時間にはどうやっても間に合わない、すまないと何度も謝られた。
同じく海外に居たゴーシュとドロワさんは、休暇中だったこととチャーター機を取れたことで、私と遊馬がタワー前に着いた時には既に待っていた。

遊馬・カイト・シャークに璃緒さん、V。それに私とオービタルも含めて総勢22人が、潜水艇に乗り込んだ。

凌牙「俺のデッキ、何に使うんだよ?」

カイト「いいから貸せ。後で必ず返す」

凌牙「当たり前だ。ったく、ほらよ」

カイト「お前たち、席に着け。出発する。クリス」

V「ああ。我々が開発した新型エンジン。凌牙、キミのデッキならば十分なパワーを得られるだろう」

凌牙「はあ?なんだそりゃ?」

カイト「見ていろ。お前のデッキをこのケースにセットし、蓋を閉じる。これだけだ」

V「デュエルモンスターズのカードは、『No,』でなくとも全てが謎のエネルギーを宿している。もっともこれは、我らの父がかなり以前から発見していた事だ」

カイト「この船に搭載した新型エンジンは、カードに宿るエネルギーのみを動力とする。『No,』などの特殊なカードであれば、数枚かモノによっては1枚でも足りるのだが、一般に流通しているカードでは最低でも1デッキ分は必要だ」

凌牙「カードならなんでもいいんなら俺のデッキじゃなくても、それこそお前のデッキを使えばいいじゃねーかよ」

V「そこは半ば実験だ。海、水中を行くのだから水属性のデッキを使えばより出力が得られるのではないかとな」

凌牙「どんなメルヘンだよ……」

カイト「あながち間違いではないようだ」

V「これは!着水しているだけで想定値を超えるエネルギー出力が出ている」

カイト「カードは生きている。改めて証明されたな。オービタル!」

オービタル7「ハッ!エネルギー伝導率、95%…96…97…98…99…100%!システム、オールグリーン。プログラム、オンライン。発進準備満了!イツデモOKデアリマス!」

カイト「よし、発進する。潜水開始!」

フェイカー「カイト。ハルトを任せたぞ」

カイト「分かってる、父さん。行ってくる」

ハルト「行ってきます」

トロン「クリス、トーマス、ミハエル。気をつけて行っておいで」

V「ハイ」

Ⅳ「行ってくるぜ」

III「ご心配無く、父様」

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