犬「ご主人様!ご主人様!」猫「落ち着けよ」 (39)

ガチャン

犬「あああ…出かけちゃったあ…」

猫「ん?どうした」

犬「ご主人様が…出かけちゃったんですよお」

猫「なんだ?悲しそうな顔をして。毎日のことじゃないか」

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犬「そうですけど…やっぱり寂しいです、ボク」

猫「寂しいって…あいつ、お前とあんまり遊んでないじゃないか」

犬「そんなことないですよ!」

犬「よくナデナデしてくれますし、ボールも投げてくれます!」

猫「散歩はどうだ?昔と違って、行かなくなったよな」

犬「まあ…。でも時々連れて行ってくれますから。ボクは待ちます!」

猫「なあ、歩き回ってないで座ったらどうだ?」

犬「座っている場合じゃないですよお。ご主人様が行っちゃったんですから!」

猫「…ま、好きにしろよ。よいしょっと」

スタッ

犬「あ、ダメですよ。そこに登ったら」

猫「お前はそうかもしれんが、俺は禁止された覚えはないな」

犬「落ちたら危ないですよ」

猫「そう簡単には落ちんよ。そう言うお前はどうなんだ?今なら登っても怒られないぞ」

犬「いやいや。登ったらまた、バァン!!って音がしますから」

猫「そりゃ、お前の愛しのご主人が、怒る時に出す音だろ。雑誌をスパーン!って叩きつけて」

犬「え。そうなんですか?」

猫「気づいていなかったのか?まさか、自然に出る音だと?」

犬「ま、まあ…そう思ってましたけど」

猫「馬鹿だな」

チュンチュン

犬「あー、どうしようかなあ、何しようかなあ」

猫「遊び道具なら、そこにあるじゃないか」

犬「嫌ですよ、ボクだけで遊ぶのは」

猫「そうか?。ほら、こうやってボールを…」

コロコロ

猫「あいや!!」

ビシッ!

猫「ちょおお!」

ザクッ!

犬「何が楽しいんですか…。そんなことして」

猫「お前だってボールを追いかけるじゃないか」

犬「投げてくれるからですよ。ご主人様が」

猫「だろうな。じゃあ、あれはどうだ?」

犬「あれ?」

猫「天井からぶら下がっているヤツだ」

犬「届きませんよ…あんなに高いの」

猫「それほど高くないと思うぞ。どりゃああ!」

ベシッ!

猫「ほらな」

犬「いやあ…怖くて跳べませんよお」

猫「確かにお前、壁がないとジャンプできないよな」

犬「そうですよ。バランスを崩したら危ないじゃないですか」

猫「バランスを崩さなきゃいいんだ。はいよおっ!」

ペチ

犬「美しいジャンプですねえ」

猫「お前の方が体格がいいぞ。もっと機敏な動きができるんじゃないか」

犬「ボク…滑って転んだり、家具にぶつかったりしますから。鈍臭いんです」

猫「うーん…じゃあ、ちょっと走ってみろ」

犬「え、今ですか?」

猫「そうだ。部屋の端から端まで」

犬「…分かりましたよ。それっ!」

シャカシャカシャカシャカ!!

犬「どうですか?」

猫「走り方がだらしないな。うるさいし」

犬「仕方ないでしょ…生まれつきですから」

猫「犬は損してるんじゃないか?鳴き声もうるさいし」

犬「犬は家具にオシッコかけたりしませんよ」

猫「嘘だな。ここに来て1週間ぐらいは、そこかしこにやってたじゃないか」

犬「…それは、トイレに慣れていなかったからです」

猫「おまけに、お前はカーペットにクソしてたしな」

犬「勘弁してくださいよお…」

猫「あとお前、どういうわけか俺をメス犬だと勘違いをして、俺のケツにチン…」

犬「だめええ!!それは言っちゃだめええええ!!!」

猫「元気だね、まったく」

犬「いいじゃないですか!元気で!それに今だって、ボクはオスとしての機能を持っているんですから」

猫「まあな。それについては返す言葉がない」

犬「え、あ…ごめんなさい…」

猫「構わんよ。4年も経ったら何とも思わない」

猫「だが、ここにメス犬が来ることはないと思うぞ」

犬「寂しいなあ…。ボクの本能がうずいています!」

猫「まあ頑張れや。よいしょ…あ」

ガタン

犬「あ、あああ〜!!こ、こ、コップ倒したああ!!」

猫「なんだ?」

犬「たた大変ですよお!何やってるんですかっ!!」

猫「空のコップだ。問題ない」

犬「いやいや!きますよ!バアン!!ってきますよおお!!」

猫「俺が怒られるって?あり得んよ」

犬「え、そうですか?ボクが鼻でツンって倒すと、怒られちゃうんですよ」

猫「俺のすることに文句を言えないんだよ、奴は」

犬「さすがですねえ〜。ん…」

犬「んぐ…」

犬「ンブウッシュルルルルル!!!」

猫「ぬが。びっくりした!きったねえクシャミしやがって」

犬「ムズムズしたんですよ。なんか寒くないですか?」

猫「いんや。でも、天気は悪くなってきたようだ」

ゴロゴロ…

犬「ひゃ…あ、あの音は…」

猫「おいおい…頼むから騒がないでくれ」

ピカッ!!!

ドゴゴゴゴゴ!!

犬「ぎゃあああああああああ!!!!!!」

猫「…」

ピカッ!!!

ドッシャアア!!

犬「ひゃあああ!!グワン!!ワンワンワン!!ゴワン!」

猫「うるせー」

犬「ワン!バウン!バウンウン!」

猫「うるさいんじゃ!!」

ペシッ!

犬「はっ!ボクとしたことが…我を忘れてしまいました!」

猫「何が怖いんだ?ただピカッと光って、ゴロゴロ鳴ってるだけだろうが」

犬「そりゃあ怖いですよ!ピカッと光って、ゴロゴロ鳴るんですから!」

猫「困った奴だ。ともかく、この天気はしばらく続きそうだな」

犬「うう…嫌だなあ」

ゴロゴロ…

ザーーー…

犬「ううん、腹が減りました」

猫「いつも思うんだが、毎日あんなものを喰ってて飽きないのか?」

犬「いやあ、味とか分からないんで。食べ物だったら何でもいいんです」

猫「そうは言ってもねえ、あのニオイは食いもんとは言えないぞ」

犬「ご主人様がくれたものなら、何だって食べますよ!」

猫「そうかい」

犬「はあ、ご主人様はまだかなあ」

猫「そろそろ眠ったらどうだ?まだ昼だし、相当時間がかかるぞ」

犬「…そうですね。いつも通り、ひと眠りしますか」

ザアーーー…

犬「…」

猫「毛づくろい、毛づくろいっと」

犬「…」

猫「うりゃ!せい!」

ビシビシ

犬「…」

猫「Zzz」

犬「…」

猫「Zzz」

犬「いいなあ、ぐっすり眠れて。ボクなんか小さな物音ですぐ目覚めちゃうのに」

犬「はあ…ご主人様…」

カア…カア…

ガチャ

犬「!!!!」

猫「Zzz」

犬「ご主人様あああああああ!!!」

シャカシャカシャカシャカ!

猫「ん?なんだ?」

犬「はっはっはっ!」

カチャカチャカチャカチャ

猫「ドアを引っ掻いても無駄だぞ」

ガラッ

犬「ご主人様!!ご主人様!!」

ドタバタドタバタ

猫「落ち着け」

犬「ペロペロペロペロ」

猫「…まあ、俺だって、ちょっとは嬉しいけど…」

スタスタ


end

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