女騎士「オークのオークション」(41)

実況『さぁ、今年もやってまいりました! オークのオークション!』

実況『全国のオーク愛好家が集まるこの一大イベント!』

実況『今年もこの私が実況を務めさせていただきます! どうぞよろしく!』

実況『さらに本日は特別ゲストとして……』

実況『オーク評論家の女騎士さんをお招きしております!』

実況『女騎士さん、本日はよろしくお願いします』

女騎士『よろしく』

実況『さっそくですが、今年はオークの当たり年と聞いておりますが?』

女騎士『うむ、そのとおりだ』

女騎士『例年になくハイレベルなオークが競りに出されることだろう』

女騎士『となると、当然落札価格も例年より高額になることが予想される』

女騎士『参加者は自身の予算と相談し、無理をすることがないようにして欲しいものだ』

実況『なるほど~、ありがとうございます!』

実況『それではいよいよオークション開始です!』

実況『今年はいったいどんなオークが競りに出され、誰に落とされるのでしょうか!?』

競売人「まず最初のオークは──」

競売人「健康的な生活を送ってきたという“痩せオーク”です!」

オォォ……!



痩せオーク「体脂肪率は10%を切っています」スラッ



実況『いかがでしょう、女騎士さん』

女騎士『オークの利点といえる肉付きのよさをあえて捨てたオークだな』

女騎士『頼もしさはないが、守ってやりたくなるようなか弱さがポイントといえよう』

実況『なるほどぉ~!』

競売人「では50万からスタート!」カンッ

女僧侶「60万!」

女戦士「70万!」

女魔法使い「100万!」

女剣士「120万!」

女賢者「200万!」



実況『順調に価格が上がっていきます!』

女盗賊「250万!」

女商人「270万!」

女オーク「280万!」

女戦士「300万!」

競売人「300万が出た! さぁ、だれかいませんか!?」

競売人「決まった! 300万Gで落札です!」カンッ

女戦士「やった!」



実況『いきなり300万とは! いやぁ~、驚きですね!』

女騎士『うむ、やはり今年は例年に比べてハイレベルだ』

女騎士『痩せオークとあの筋肉質の女戦士はお似合いだ。どうか幸せになって欲しい』

実況『そうですねぇ~!』

~ 落札者インタビュー ~

インタビュアー「このたびは落札、おめでとうございます!」

女戦士「ありがとう」

インタビュアー「痩せオークとはどのような生活をしていきたいですか?」

女戦士「アタシの鍛え抜いたこの肉体で」

女戦士「痩せオークのアバラの浮いた体をやさしく抱き締めてやりたいと思ってるよ」

痩せオーク「えへへ……」

インタビュアー「ありがとうございました! どうぞお幸せに!」

競売人「続いてのオークは──」

競売人「年齢まだ10歳の、“ショタオーク”です!」

オォォ……!



ショタオーク「こ、こんにちは!」ペコッ…



実況『この子はどうですかねぇ~、女騎士さん』

女騎士『オークとしてはまだまだ未熟で、発展途上ではあるが』

女騎士『成長する姿を愛でることができる、という利点はそれらに勝るであろうな』

実況『なるほどぉ~!』

競売人「では50万からスタート!」カンッ

女盗賊「100万!」

女魔法使い「110万!」

女商人「150万!」

女オーク「180万!」

女賢者「200万!」



実況『さぁ、順調に価格が上がっていきますが……?』

女僧侶「210万!」

女スライム「220万!」

女盗賊「300万!」

女武闘家「310万!」

女旅人「320万!」

女盗賊「450万!」

競売人「さぁ、どなたかいらっしゃいますか!? ──落札です!」カンッ

女盗賊「っしゃ!」グッ



実況『いやぁ~女騎士さん、一気に決めにきましたねぇ~!』

女騎士『自身の本気を見せつけることで、他の参加者の戦意を削ぐ……』

女騎士『これも一つのテクニックといえるな』

実況『そういうことですかぁ~!』

ええぞ

~ 落札者インタビュー ~

インタビュアー「このたびは落札、おめでとうございます!」

女盗賊「へへへ、どうも」

インタビュアー「この子はまだずいぶん幼いですが……?」

女盗賊「まぁね~、だけど将来性を買ってみたよ」

女盗賊「お姉さんが可愛がってあげるからね~、ボ、ウ、ヤ」チュッ

ショタオーク「は、はい……!」ドキドキ…

インタビュアー「ありがとうございました! どうぞお幸せに!」

競売人「続いてのオークは──」

競売人「魔物刑務所から出所したばかりの“凶悪オーク”です!」

オォォ……!



凶悪オーク「ぐへへへへ……女どもがウヨウヨしていやがる!」ジュルリ…



実況『見るからに修羅場をくぐってそうなオークですねぇ~! いかがでしょう?』

女騎士『顔を見るだけで、彼奴の攻撃的な性質がピリピリと伝わってくる』

女騎士『虐待されることに快感を覚える者であれば、たまらんだろうな』

実況『なるほどぉ~!』

競売人「では50万からスタート!」カンッ

女剣士「70万!」

女僧侶「90万!」

女賢者「120万!」

女武闘家「170万!」

女魔法使い「230万!」



実況『熾烈な入札合戦が繰り広げられております!』

女兵士「240万!」

女魔物使い「300万!」

女僧侶「400万!」

女賢者「500万!」

女僧侶「530万!」

女賢者「600万!」

競売人「600万! さぁ、他にいらっしゃいますか!? ──落札です!」カンッ

女賢者「やりましたわ!」



実況『このオークションにおける歴代最高額が更新されました!』

女騎士『あの落札者の表情……一切悔いはないといった表情だな。実にいい』

~ 落札者インタビュー ~

インタビュアー「このたびは落札、おめでとうございます!」

女賢者「ありがとうございます」

インタビュアー「しかし、かなり凶悪なオークですが、本当に大丈夫ですか?」

女賢者「大丈夫、というよりむしろ大好物ですわ!」

女賢者「これから先のことを考えるだけで、わたくし……」ポッ…

凶悪オーク「ぐへへへ……たっぷりと調教してやるぜ!」

インタビュアー「ありがとうございました! どうぞお幸せに!」

競売人「さて、続きましては──」

競売人「触手に寄生され、共生関係となった“触手オーク”です!」

オォォ……!



触手オーク「いやぁ~、こんなんなっちゃいました」ウネウネウゾウゾ



実況『この業界ではオークと双璧を成す触手が、オークと奇跡の合体!』

実況『これはかつてない高額落札が期待できそうです!』

女騎士『いや……どうかな』

実況『……と、おっしゃいますと?』

女騎士『説明するより、実際に見る方が早いだろう』

競売人「では50万からスタート!」カンッ

女僧侶「60万!」

女スライム「70万!」

女オーク「80万!」

女旅人「90万!」

女剣士「100万!」



実況『おや……? 意外と上がり幅が少ないようですが……?』

女魔法使い「120万!」

競売人「120万が出ました! どなたかいらっしゃいますか!?」

競売人「はいっ、120万で落札です!」カンッ

女魔法使い「ふぅ」



実況『これは……?』

実況『思ったより伸びませんでしたが、どういうことなんでしょうか?』

女騎士『たとえば、料理でおいしいもの同士を混ぜ合わせたとしても』

女騎士『必ずしもよりおいしくなるとは限らんだろう?』

実況『た、たしかに……』

女騎士『オーク道もそういうものなのだ』

女騎士『人気者同士のオークと触手が一緒になったとしても』

女騎士『それが必ずしもいいことだとは限らない、ということだな』

実況『なるほどぉ~! オーク道、実に奥が深い!』

~ 落札者インタビュー ~

インタビュアー「このたびは落札、おめでとうございます!」

女魔法使い「ありがと」

インタビュアー「落札されたのは、ずいぶんと特殊なオークですが……?」

女魔法使い「そうね。だけどこのままじゃやっぱり魅力半減だから」

女魔法使い「なんとかオークと触手を分離させる魔法を開発してみせるわ」

触手オーク「もし分離できたら、女魔法使いさんをたっぷり楽しませます」ウゾウゾ

インタビュアー「ありがとうございました! どうぞお幸せに!」

競売人「続いてのオークは──」

競売人「世にも珍しい黒いオーク、“ブラックオーク”です!」

オォォ……!



ブラックオーク「ブヒヒ……」キリッ



実況『いやぁ~、ツヤのある黒い肌が美しいですねぇ!』

実況『魔物であるにもかかわらず、どことなく高貴な印象すら受けます!』

女騎士『うむ、オークの持つ野性味に“黒”という色がみごとに調和している』

女騎士『黒とは格式の高さをあらわす色でもあるからな』

実況『なるほどぉ~!』

競売人「では100万からスタート!」カンッ

女剣士「150万!」

女魔物使い「200万!」

女オーク「270万!」

女武闘家「350万!」

女兵士「400万!」



実況『今までとは上がり方がまるでちがいます! 早くも400万を突破!』

女スライム「500万!」

女兵士「550万!」

女僧侶「700万!」

女ゴブリン「800万!」

女商人「850万!」

女僧侶「900万!」

女商人「1000万!」

競売人「1000万出ました! さぁ、どなたかいらっしゃいますか!?」

女僧侶「……1050万!」



実況『1000万を突破ァ! さすがブラックオークといったところでありましょう!』

女商人「1100万!」

女僧侶「1200万!」

女商人「1300万!」

女僧侶「1500万!」

競売人「1500万が出た! さぁ、いらっしゃいますか!?」

競売人「はいっ、1500万Gで落札!」カンッ

女僧侶「やりました……!」ホッ…



実況『なんとぉ~! ブラックオーク、1500万Gで落札!』

女騎士『なかなか見応えのある戦いだったな』

~ 落札者インタビュー ~

インタビュアー「このたびは落札、おめでとうございます!」

女僧侶「どうもありがとうございます」

インタビュアー「非常に高額での落札でしたが……」

女僧侶「この日の為に貯蓄してまいりましたので……」

女僧侶「まさかブラックオークが出されるとは思ってなかったので、嬉しいです」

ブラックオーク「1500万G分、せいぜい精進するさ。ブヒヒ……」

インタビュアー「ありがとうございました! どうぞお幸せに!」

実況『いやぁ~、まさか1000万を超えるオークが出てくるとは!』

実況『驚きですねぇ~、女騎士さん』

女騎士『今年のオークのハイレベルさがうかがえるな』

実況『それにしても、なぜ今年はこれほどの当たり年となったのでしょうか?』

女騎士『一つは……魔物の生活水準が向上し、オークの質もまた向上したのだろう』

女騎士『そしてもう一つは……オーク自身も自分の役割──“使命”のようなものを』

女騎士『なんとなく分かってきたからではないのだろうか』

女騎士『心の成長は、体をも成長させるからな』

実況『なるほどぉ~! 外的要因と内的要因があるわけですね!』

女騎士『そういうことだな』

その後もオークションは続き──



競売人「デブオーク、480万Gで落札です!」カンッ



競売人「はいっ! 足長オーク、700万Gで落札となります!」カンッ



競売人「ここまで! 1080万Gにてニヒルオーク、落札!」カンッ



競売人「370万Gにて、おしゃべりオーク落札です!」カンッ



実況『良質なオークたちが、次々に高額で落札されていきます!』

実況『そしていよいよ、最後のオークの登場です!』

競売人「最後のオークは──」

競売人「なんの変哲もないオーク、ずばり“オーク”です!」

オォォ……!



オーク「よろしく」ブヒッ



実況『最後の最後に出てきたのは、意外にも特徴といえる特徴がなにもないオーク!』

実況『まさにシンプルイズベスト、ということなんでしょうか? 女騎士さん?』

実況『ん……?』

実況『あれ……女騎士さん!?』キョロキョロ

競売人「では100万からスタート!」カンッ

女剣士「120万!」

女スライム「140万!」

女旅人「170万!」

女魔物使い「220万!」

女忍者「250万!」

女騎士「10億」

女剣士「270万! ──え!?」

競売人「じゅう……え!? じゅう……おく……?」

競売人「あのそちらの方、もう一度おっしゃっていただけるでしょうか?」

女騎士「10億だ」







シ~ン……

競売人「他に……いるわけ、ないですよね……」

競売人「ということで……最後のオーク、10億Gで決定です!」カンッ

女騎士「フッ……」



実況『あ、あれ? いつの間にあんなところに……!』

実況『なんと、最後のオークは女騎士さんが落札してしまいました!』

実況『し、しかも10億Gという超高額落札!』

実況『おそらく今後、この記録が破られることはないんじゃないでしょうか……!?』

実況『と、とにかく、落札者インタビューに移ります!』

~ 落札者インタビュー ~

インタビュアー「えぇ~と……このたびは落札……お、おめでとうございます」

女騎士「かたじけない」

女騎士「代償として、一文無しになってしまったがな」

オーク「ぐふふ……没落した騎士をなぶるってのも悪くねえなぁ?」グイッ

女騎士「くっ、殺せ!」

オーク「といいつつ、心ん中じゃ期待しちまってんじゃねぇかぁ~?」ニヤニヤ…

女騎士「だれが貴様などに屈するものか!」



実況『うわっと! この二人、とても放送できないことを今にもやりそうなので』

実況『ここで放送を打ち切らせていただきます!』

実況『それでは全国のオークファンの皆さま、さようなら~!』





                                 ─ おわり ─


来年も期待

ゴミクズ以下スレっと

流石女騎士さんや

これ、1億でも十分じゃなかったんですかねぇ

女騎士ネキほんとすこ

糞スレだった。後、乙してる奴もクズ以下だな

そんなにゴミか?

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