アニ「話って何? ベルトルト」
ベルトルト「あの、えっと…ライナーが…」
アニ「何、喧嘩でもしたの?」
ベルトルト「そんなんじゃないよ。 ただ、ライナーが…」
アニ「ライナーに何かあった?」
ベルトルト「いや、ライナーにというか、僕にというか…いや、両方っていうか……」モゴモゴ
アニ「何かあるんなら早く言って」イラッ
ベルトルト「ご、ごめ…その、実は昨日ライナーが…あ、周りに誰も居ないで一人で居たのを僕がたまたま見かけた時の話なんだけど」
アニ「うん」
ベルトルト「何だか、すごく辛そうな顔してたんだ」
アニ「……それで?」
ベルトルト「え…? いや、それだけなんだけど…」
アニ「は? それだけ?」
ベルトルト「うん…」
アニ「…そんなの別に大したことじゃないでしょ? やけに深刻そうな顔してると思ったら」
ベルトルト「あぁ、そうだね…。 けど、ちょっと聞いて欲しいんだ」
アニ「…何?」
ベルトルト「ライナーがすごく辛そうな顔してたって言ったけど、僕はライナーのそんな顔は見た事がなかった」
ベルトルト「僕はそれをライナーが強いからだと思ってたんだ、強いから辛くなんかないんだって…」
ベルトルト「けど、本当はライナーも辛かったんだって事…僕は昨日のライナーを見て初めて気づいたんだ」
アニ「そう」
ベルトルト「それってつまり、辛い事があっても表に出さずに、自分の内側だけで消化して来たってことだろ?」
アニ「そうなんじゃない?」
ベルトルト「だから、大丈夫なのかなって…」
アニ「そう。 …で、何でそれを私に言うの?」
ベルトルト「えっと、その…僕にはどうすればいいかわからないから…」
アニ「だから私に協力して欲しいの?」
ベルトルト「えっと…うん」
アニ「……あのさぁ」
ベルトルト「え?」
アニ「私としてもライナーの事は一応頼りにしてるし、万が一でもあいつがダメになったりしたら私も困る」
ベルトルト「だったら…」
アニ「けど私だって自分一人のことで一杯一杯なんだ」
ベルトルト「……」
アニ「それに私達は表向き赤の他人同士、あいつの為に動くなんて出来ない。それくらいわかるでしょ?」
ベルトルト「そう、だよね……ごめん」
アニ「……けどまぁ、どうすればいいかって話なら…さ」
ベルトルト「え?」
アニ「泣かせちまえばいいんじゃない?」
ベルトルト「え…」
アニ「あんた長ったらしく喋ってたけど、要するにライナーが色々と内側に溜め込みすぎて破裂しちまわないか心配だって事でしょ?」
ベルトルト「う、うん…」
アニ「だからあいつもたまには表に出した方がいいんじゃないかって言いたいんでしょ?」
ベルトルト「…うん、多分」
アニ「はぁ?」イラッ
ベルトルト「あ…いやっ、うん。そうだよ」
アニ「そう…。なら、泣けばすっきりするんじゃない?」
ベルトルト「泣くかな? ライナーが」
アニ「さぁね。 けど、あいつはきっと辛いことがあっても話してなんかくれないよ」
ベルトルト「そうだね…」
アニ「なら、とりあえずどんな方法でも泣かせる方がまだ楽なんじゃないの?」
ベルトルト「そうか…けど、どうやって?」
アニ「それはベルトルトが考えなよ。 私よりあんたの方がライナーの事よく知ってんだから」
ベルトルト「そうだね。うん、分かったよ。ありがとう、アニ」
アニ「…ま、頑張んなよ。ベルトルト」
ベルトルト「うん……」
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ベルトルト(けど、ライナーを泣かせる方法なんてあるのか…?)
ベルトルト(どうしよう、色々考えては見たけどどれもライナーを泣かせられるような事とは思えない…)
ベルトルト(やっぱりやめようか…いや、それは嫌だ。 けど、どうすれば……う~ん)
ベルトルト(もういっそのこと、思いついた事を片っ端からやって行くのが良いのかも…)
ベルトルト(そうだ、あれこれ考えるだけで結局何もしないくらいならその方が何倍もましだ)
ベルトルト(まずは真っ先に思いついた>>9の方法でライナーを泣かせてみよう)
※どう考えても泣かせるのが目的じゃないと思われる方法は安価下で
サプライズ誕生日パーティーで感動させる
ベルトルト「やっぱり平和な方法が一番だよね。決して誕生日を祝い忘れていた事を今思い出したわけじゃないよ」
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手紙『 ライナーへ
本日就寝時間後、兵団敷地内の森の奥の洞窟で待っています
ベルトルト 』
ライナー(いつの間にかポケットにこんな手紙が入っていた)
ライナー(ベルトルトの奴、今日は何やらそわそわしていたが何かあったんだろうか…)
ライナー(それにしても何故こんな森の奥深くに…余程人気を避けたい理由でもあるのか?)
ライナー(ふぅ…洞窟に着いたが、流石に深夜に森を歩くのは疲れたな)
ライナー「おーい、ベルトルト! どこにいる?」
ライナー(返事はない…まだ来ていないのか? それともここからじゃ声が聞こえないくらい奥に行っているのか…)
ライナー(しかし今夜は霧が濃いな…ランプがあっても足元しか見えない。慎重に進まねぇと…)テクテク
ライナー(…というか、やけに熱くないか? どう考えても夜の気温じゃないぞこれは)テクテク
ライナー「…まさか奥で火事でも起こしたりしてねぇだろうな?」タッタッタッ
ライナー「ベルトルト! いるなら返事をしろぉ!」タッタッタッ
超大型巨人「」プシュー
ライナー「」
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ベルトルト(拳骨ってこんなに痛いんだなぁ…)
ライナー「どうしてよりによって洞窟の中で巨人になったりしたんだ?」
ベルトルト「えっと…ほら、もうすぐ10月31日だから」
ライナー「そういうことを聞いているんじゃねぇってことくらいわかるだろ?」
ベルトルト「えっと…ライナーが驚くと思って…」
ライナー「どうして俺を驚かせようとしたんだ?」
ベルトルト「黙秘権を行使します」
ライナー「…まぁそれはいい。だがな、こんな所で巨人になったらどんな危険性が有るかお前は考えたか?」
ベルトルト「…洞窟が崩れて生き埋めになるかも、とか…」
ライナー「わかってるなら何でやった? 俺を驚かせる為だけに生き埋めになるって馬鹿らしいと思わねぇのか」
ベルトルト「驚かせるのは目的じゃなくて手段だから…」
ライナー「そういう問題じゃねぇだろ」
ベルトルト「はい…」
ライナー「どうして危険を冒してまでこんな事をしたんだ?」
ベルトルト「万が一誰かに見つかったらまずいと思ったから…」
ライナー「そもそも巨人なんかになる事自体間違ってんだろ」
ベルトルト「うん、尤もだね…」
ライナー「…まぁ、巨人になるなんてよっぽどの理由があったんだろう。深くは聞かん」
ベルトルト(深夜のテンションで深く考えずにやったなんて言えない…)
ライナー「反省してるならもう何も言わねぇよ。とにかく何事もなくて良かった」
ベルトルト「うん…ごめんね」
ライナー「おう」
ライナー「よし、この話はこれで御終い! で? ベルトルト。今夜は何の用があって俺をここに呼び出したんだ?」
ベルトルト「あ、うん。それなんだけど…今年のライナーの誕生日辺りって色々と忙しくてロクにお祝いも出来なかっただろ?」
ライナー「ん? あぁ…そうだっけ?」
ベルトルト「うん、そうだよ。だから今ここで祝おうと思って…」
ライナー「……そいつは有難いんだが…どうして今ここでなんだ」
ベルトルト「えーっと…2ヶ月以上も前のことを今更祝うとなると、周りに茶化されるのが怖くて…」
ベルトルト(あぁダメだ、まともな言い訳が思いつかない。理由になってない)
ライナー「…それならわざわざ祝ってくれなくても良かったんだぞ?」
ベルトルト(うわぁ、完全に訝しげな目で見られている…もう強引に行ってしまえ)
ベルトルト「せ、折角肉とかパンとか野菜とかご馳走用意したんだからそんな事言わないでくれよ!」
ライナー「あ、あぁ…そうなのか? すまん。ありがとな」
ベルトルト「うん、どう致しまして。実は巨人になってたのは巨人の熱で調理するためでもあったんだ」
ベルトルト(嘘だけど。普通に火で調理したけど)
ライナー「へ、へぇ…そりゃすげぇな…」
ベルトルト(うわぁ、引かれてる。余計なこと言っちゃったよ)
ちょっと睡魔に襲われててまともなものがかけそうにないので今日はもう寝る
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