姫「（ザルな見張りよね～、これじゃうちの警備とどっこいどっこいじゃない）」


姫「（そうよ、ザル警備だからさらわれちゃったのよ、まったく・・・）」


姫「（こんな警備だったらすぐ抜け出せるって・・・・）」


姫「（・・・ん？）」


姫「そうよ！助けに来ないのならこっちから抜け出せばいいんだわ！」


見張り「ん？」


姫「ひっ！」


見張り「ンゴォ・・・ｚｚｚｚ」


姫「ふぅ・・・・」

姫「（でも、どうやって抜け出そうかしら・・・）」


姫「（窓は・・・だめね、鉄格子が・・・・）」


姫「（どっかに抜け道・・・あるわけがないか・・・・）」


姫「（扉は鍵付きね・・・普通は見張りが鍵をもってるもんよね）」


姫「（変にさわったら起きそうだし・・・そーっと・・・）」


見張り「ｚｚｚ・・・・」


姫「（うわ・・・体硬い・・・魔族ってやっぱ人間とちがうわねー・・・）」サワサワ


姫「（・・・・・・・）」


姫「（アソコってどうなってるんだろ・・・・）」

姫｢（うわ・・・、こんなかんじなんだ、意外とやわらかいわね・・・）｣


姫｢（あれ、なんかどんどん硬く・・・）｣

見張り｢おんっ///｣ビクン


姫｢ひっ！｣ビクン


姫｢ばかばか！こんなことしてる場合じゃないでしょうが！｣

姫｢（だめね・・・、鍵が見当たらない・・・）｣


姫｢（こいつがもってなかったらここから出ようがないじゃない！）｣


姫｢あー、どうすりゃいいのよ～！｣


バンッ！！


姫｢ん？｣


竜騎士｢ほら入れ！｣

？？｢・・・｣


姫｢（人の子供・・・？私以外にもつかまった人がいるなんて・・）｣


？？｢・・・｣ピョィピョィ


姫｢（いや・・・、尻尾ついてるし・・獣人ってとこかしら・・・）｣

竜騎士｢毎回、毎回、命令にそむいて殺して、反省というものをしらんのか！｣


？？｢・・・｣


竜騎士｢お前の失態はこの私が責任を負うことになるのだぞ！｣

竜騎士｢わかっておるのか！｣


？？｢・・・終わりかよ｣


竜騎士｢なにｨ・・！？｣


？？｢説教が終わったんなら早く消えろよトカゲもどき｣


竜騎士｢なんだと・・・｣


竜騎士｢この誇り高き我が種族、竜人のことを侮辱したな貴様！｣

姫「（あちゃー、なんか喧嘩しちゃってるよー・・・・）」


竜騎士「このっ！」ブンッ


？？「」バキッ


竜騎士「魔王様に一目おかれているからといって調子にのるなよ！」


姫「（まったく・・・こんな態度じゃムカついちゃうのも無理ないよねー）」


姫「（私だったらもうこてんぱんのやつざきに・・・って何で敵に同情してんだ私・・）」


？？「・・・俺だって好きにここに来たわけじゃないのに・・・」ﾎﾞｿｯ

竜騎士「おい、見張り」


見張り「ｚｚｚ・・・」


竜騎士「おい！！」


見張り「なんだうるせ・・はっ、竜騎士隊長！！」


竜騎士「居眠りとはずいぶん余裕だなー、お？」


見張り「す、すいません！」


竜騎士「姫を逃したら私にも責任がかかるのだぞ・・・もし逃したら・・・」


見張り「大丈夫です！もう体力はつきましたので存分に仕事させていただきます！」


竜騎士「よし、ついでにそいつも見張っとけ、暴れた場合はこの笛を吹け」


見張り「はい、了解！」

見張り「よーし・・・・」ｼﾞｰｯ


姫「（くっ・・もうこれで動けなくなっちゃったじゃない・・・）」


姫「（あー、勇者はやく助けにきてよー・・・・）」


？？「・・・・・。」

～夜～


見張り「グガー、スピー・・ｚｚｚｚ」


姫「・・・うっさいわねこいつ！寝れないじゃない！」


姫「ったく、笛吹いてやろうかしら・・・」


？？「くっ！」ザシュザシュ


姫「・・・隣の部屋で何か聞こえる・・・・」


姫「（そういや昼間に、獣人の子が牢に入れられてたわね・・・）」


姫「（暇だから話しかけてみようかしら、警備なんてないようなもんだし、大丈夫よね）」

姫「あの・・・・・」


？？「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお！！」


姫「ひっ！」ビクッ


見張り「んがあ・・・・こー・・・ｚｚｚｚ」


姫「ふう・・・・・」


姫「（向こうで何やってるのかしら・・・、話しかけるのあぶなそうだしやめとこ・・・）」


？？「くっそ・・・・・親父・・・おふくろ・・・・」


姫「ん？」


？？「もう二度と会えねえってのかよ・・・・くっそ！！」

姫「（もしかして・・・無理やりここに連れてこられた子かしら・・・）」


姫「・・・・」


姫「あ」


姫「（そうよ！もしそうだとしたらここをでたいはず！この子と手を組めば・・・）」


姫「（じゃあ、まずは交渉ね・・・）」


姫「あの・・・・」


？？「あァ！！？」

姫「ひっ！」


姫「（いやいや、ひるむな、これに賭けなきゃ何も変わらないのよ！）」


姫「（け、けど、なにからはなしたらいいんだろう、あー、わかんない！）」


？？「おいお前」


姫「は、はい」


？？「お前、人間か？」


姫「そ、そうですけど・・・」

？？「なんでこんなとこにいるんだよ、明らかに場違いだろ」


姫「あの・・・魔王に連れ去られちゃってですね・・・」


？？「なんで？」


姫「いや、なんでか知らないですけど、多分王国のものだと思いますから・・・」


？？「！？てめえ！人の王族か！！」


姫「は、はい！そうですけど！？」


？？「てめえら俺らの土地をよくも奪いやがったな！しかも不利な交渉でよ！」


姫「いやそんな・・・・あ」

姫「（そういや街はずれの土地に店が・・・・）」


姫「（まわりにみかけない人たちがいるなあって思ったらこの子達の土地だったからか！）」


？？「おら！土地返せよ人間！」


姫「し、知らないよ、私がやったわけじゃないし・・・」


？？「しらをきるつもりか！？」ドコォ


姫「ひいっ！！」


姫「（やっば・・・同じ部屋だったら絶対殺されてたわ・・・・）」

？？「絶対殺してやる！」ドコォ！


姫「ひぃい！」


姫「（こわい～、こわいよ～、あー、壁様さまだよ・・・）」


壁「バコォン！！・・・ガラガラ・・・・・」


姫「うっそォ！壊れた！？」


？？「覚悟しやがれ・・・このやろう・・・・」

見張り「ん？なんだ、どうした！？」


姫「た、助けて！」


見張り「こらやめろ！そいつは大事なサンプルだぞ！」


？？「サンプル？」


見張り「そうだ！無事にしとかないと魔王様が黙っていないぞ！」


？？「・・・ふーん」


？？「じゃあおとなしくしとくからさ、壁なおしにきてよ」


見張り「あん？勝手にこわしといてなんだその言い草は・・・」


？？「悪かったって、けど、こんな凶暴なやつと一緒じゃお姫様もかわいそうだろ？」

見張り「それはお前がおとなしくしときゃいいだろうがまったく・・・」ガチャ


？？「もーらい！！」ドガッ


見張り「うごォ！！」


？？「へへっ・・ようやく魔王の弱みを握ったぜ・・・・」


姫「あわわわわ・・・・」


？？「おい、一緒に来い」


姫「い、いやよ！あんたみたいな凶暴なやつと一緒なんて！」


？？「ふーん、どうせここにいてもロクな目にあわないのにね」


姫「うっ・・・」


？？「じゃあね、サンプルちゃん」

姫「まって、わたしもいく！」


？？「そうかい、じゃあついてきなサンプルちゃん！」


姫「その言い方やめてよ！下等生物みたいじゃない！」


姫「私は一応王族なのよ！プライドぐらいはあるわ！」


？？「はいはい、足元にお気をつけてきてくださいね、お姫様」


？？「（うまくいったぜ・・・まさか今日魔王の弱みを握れるとは予想してなかった・・・）」


？？「（この散々苦しめた封印ともおさらばだ・・・まってろみんな！）」

姫「そういやあなた誰なの？」


？？「俺は獣戦士だ」


姫「なんで人間界にいたの？」


獣戦士「なんでって・・・獣人がいたらわりィのかよ・・・・」


姫「いや、そういうわけじゃなくて・・・こういうのみるの、結構めずらしいから・・・」


獣戦士「オオカミと人が子供作ったら獣人が生まれるのは当然だろ、あほか！」


姫「そ、そうなんだ（生まれるんだ・・・）」

姫「そういや行くあてがあるの？」

獣戦士「ああ、ここだよ」

姫「酒場？こんなところに用があるの？」

姫「っていうか閉店って書いてるんですけど・・・」

獣戦士「ういーっす」ガチャッ

姫「え！こらこら！」

マスター「ん？字が読めないバカがまたきたのかい？」

マスター「たまには開店時間に来てほしいもんさ、あんたのせいで睡眠時間が削れる」

獣戦士「いやいや、迷惑も今日で終わりだからさ、勘弁してくれよ」

マスター「ん？後ろのかわいこちゃんは誰だい」

姫「いや、かわいいだなんてそんな・・・」

獣戦士「滅相もありません不細工です」

姫「おいこらぼけ犬っころ」

マスター「いやいや、かわいいよ、ていうかかわいいから彼女にしたんじゃないのかい？」

獣戦士「いーや、こいつは魔王の実験サンプルちゃんだ」

獣戦士「いうなれば・・魔王の弱みだ・・・」

マスター「ふーん・・・じゃあ、今日出て行くんだね・・・」

獣戦士「そういうこった、お別れをいいにきたんだよ」

マスター「それだけじゃないだろ？あれをとりにきたんだろ？」

獣戦士「お、気が利くね」

マスター「ほら、あんたの武器とバンダナ」

獣戦士「へへっ、これがねえと動きがしまらねえんだよな」

姫「ナイフなんかで大丈夫なの？もっと強そうな・・・」

獣戦士「ばーか、これが一番使いやすいのさ、剣なんてかったりい」

姫「大丈夫だよね、死んだりしないよね？」

獣戦士「大丈夫だよ、俺こう見えて強い方だから」

マスター「まあ、無理だけはしないことね・・・・」

マスター「ていうかあんたらそのまんまの恰好じゃ城ん中のお祭り騒ぎはさけられないわよ？」

獣戦士「むう・・・じゃあどうするよ」

姫「変装とかしたらどうかな・・・？」

マスター「なるほどねー、じゃあ服かしてあげるわ」

獣戦士「あのさーマスター、俺靴ボロボロなんだよな、新しいのくれない？」

マスター「ハイヒールしかないけどよかったらどうぞ」

獣戦士「いらねえよ！！」

姫「では、動きやすい服を貸してくれませんか？」

マスター「じゃあこのミニスカートなんてどう？フリルかわいいでしょ？」

姫「きゃー、かわいいこれ！」

獣戦士「俺も動きやすい服かしてくれ、俺の服結構ボロボロでさあ・・・」

マスター「ワンピースとか動きやすいんじゃない？」

獣戦士「なんでだよ！俺男だぞ！」

獣戦士「まさか・・・・」

獣戦士「女の服しかない？」

マスター「男の服買う女なんていないわよ、もうｗｗ」

獣戦士「俺着替えようねえじゃんそれ！」

姫「どうですか？これ」

マスター「あらん、かわいいわあ、この悪魔の羽とかつけたら城でもばれないはずよー」

獣戦士「もうどうすりゃいいんだよ・・・」

マスター「男を捨てればいいのよ」ガシッ

獣戦士「え・・・」シュルシュル

獣戦士「いや・・・」カチャカチャ

獣戦士「いやああああああああああああああああ」

３０分後～～

マスター「いってらっしゃい」

姫「いろいろありがとうございました」ペコッ

獣戦士「・・・・・・」

姫「・・・・・」

獣戦士「・・・・」

姫「・・・・あ」

獣戦士「・・・・・あ？」

姫「かわいいよ？」

獣戦士「うるせえよ！」

姫「わわ、こっちだれかくるよ！」

獣戦士「ん？」

見回り「お嬢様がた、こんな夜更けに城になんのご用でしょうか？（うひょー、上玉二人！）」

姫「（ほっ・・・ばれなかった）」

獣戦士「はい、あなたに・・・・」

見回り「え・・・私にですか？」

獣戦士「そう、愛の告白をしに来たのよ・・」

見回り「な・・・！（彼女イナイ歴＝年齢の俺の人生に風がふいてキターーーー！）」

獣戦士「あの・・・兜と鎧をはずしてくださいます？」

見回り「よろこんで！」ガチャガチャ

見回り「できました（もしかして、いきなり襲われるとかね・・ムフフ）」

獣戦士「じゃあ後ろを向いてください」

見回り「はい！」

獣戦士「もらい！」ドガァ！

見回り「ぐふっ！」

見回り「（ああ・・・襲われたよ・・襲われたけど・・・うれしくねえ・・・）」バタッ

獣戦士「さあ、着替えるか」

姫「・・・・」ｽｰｯ

獣戦士「引いてんじゃねえよ！」ｶﾁｬｶﾁｬ

１０分後～

獣戦士「これだけでいいか、鎧とか重いからパス」

姫「これからどうします？」

獣戦士「魔王のところにいくんだよ」

姫「えーーー！なんで！そのまま出ればいいじゃないですか！」

獣戦士「おまえな・・・それだったらとっくに脱出してる」

姫「じゃあなんで・・・」

獣戦士「・・・・・。」

獣戦士「俺はここに連れ去られてきたんだ・・・」

姫「え・・・・」

獣戦士「俺って、獣人の中じゃ超強い方なんだよ、そのせいか魔界のやつらに連れ去られて・・・」

獣戦士「それで売られた、人間界で言う人売りみたいなやつらにな・・・」

獣戦士「で、この城についたわけなんだが、落ち着いてられるわけもなく俺は脱出をこころみた」

獣戦士「んで、失敗して捕まった挙句、呪いを魔王のやつにかけられた」

獣戦士「この腕に焼印があるだろ」スッ

姫「これ・・・なんの呪いなの？」

獣戦士「魔界から出れない呪いさ、魔王の血をかけないと消えないらしい」

姫「・・・・じゃあどうするの？魔王より強いの？」

獣戦士「んなわけねえじゃん、それだったらもう戻ってるっつーの」

姫「じゃあどうすんの！？」

獣戦士「あのな・・なんのためにお前を連れてきたと思ってるの？」

姫「まさか・・・・」

獣戦士「人質」

姫「えぇ！！」

姫「ふざけないでよ！そんなおそろしい役いやよ！」

獣戦士「我儘いってんじゃねえよ！どのみちこのままじっとしててもお前は無事じゃいられないぞ」

姫「・・・そういやさ・・・」

獣戦士「ん？」

姫「私・・・どんなことされるの？」

獣戦士「・・・わかんねえけど、笑えるようなことにはならないだろうな・・・」

姫「・・・・そう」

姫「わかった！あなたにこの身をあずけるわ！」

獣戦士「ま、連れてきた理由は他にもあるけどな」

姫「何？他にもあるの？」

獣戦士「土地」

姫「はいはい・・・帰れたらちゃんといいますよ・・」

獣戦士「帰れたらじゃねえだろ、帰るんだよ」

姫「・・・ぷっ、あはははは」

獣戦士「な、なんだよ！」

姫「いや、なんか自信湧いて来たよ、ありがとう」

獣戦士「・・・・///」

獣戦士「じ、じゃあいくぞ！」

姫「うんっ！」

獣戦士「どっからいこうか・・・」

見回り2「おい、御前」

獣戦士「！？」

見回り2「装備は最後までしろよ・・・まったく若者はこれだから・・・」

獣戦士「ういーっす」

見回り2「で、その子は何だ？」

獣戦士「この子はですね・・・魔王様のアレですよ、ア・レ」

見回り「！？なに・・・魔王様・・・いつのまにそんな・・・」

獣戦士「それで魔王様のところまで案内してくれっていうからさ」

見回り2「ふむ・・・わかった、じゃあ服装はととのえてからいけよ」

獣戦士「はい！」

姫「・・・」

獣戦士「うまくいったか・・・」

獣戦士「・・・・あの角をまがれば・・・」

姫「あそこなの？」

獣戦士「ああ、ここだ」

？？「おい」

獣戦士「！？」

？？「こんなところでなにしてる？」

獣戦士「いえ、城に忘れ物をしたという子がいたので、今から帰すところです」

姫「ありがとー、おじちゃーん」

獣戦士「うふふ、おにいちゃんってよびましょーねー」

？？「ふふっ、檻につかまってた獣戦士君がわざわざ見回りとはごくろうなことですね・・・」

獣戦士「！？」

獣戦士「ふーん・・・まんまと踊らされたわけだ」

獣戦士「気づかれるとは・・・な」

側近「一応魔王の側近をしているものでね、このくらい朝食前ということです」

獣戦士「俺も一応強いからここに送られてきたわけなんだけど・・・」

側近「あなたのことはよくしってます、何回も王座の前に呼ばれてる問題児ですからね・・・」

獣戦士「ふーん・・・そっか」

側近「今から牢屋に帰ったら一応寿命は延びますけど？」

獣戦士「あんたも・・・ここを見逃してくれれば死なないかもよ・・・？」

側近「・・・・・」ジリッ

獣戦士「・・・・・」スッ

姫「え・・・」チャキッ

側近「お、なるほど、姫様を使って人質に・・・ふむふむ」

獣戦士「刀で首を斬れ」

側近「ふむふむ、これじゃ手をだせませーん」

側近「なーんて・・・あなた、私と手合せしたことないですよね・・・？」

獣戦士「・・・ああ」

側近「相手の手の内も知らずに・・・愚かな」

獣戦士「（・・・もしかしてどこかに援軍がいるのか・・・まさか・・・・）」

側近「ふーん、意外にかわいい顔してるんですねえ・・・」まじまじ

獣戦士「！？（こいつ一瞬で目の前に！）」

ザシュッ！！

獣戦士「・・・はあはあ」ポタポタ・・・・

姫「だ、大丈夫！？」

側近「ほう、とっさの判断で急所は避けましたか・・・」

側近「どうして、一瞬で目の前までこれたのかといいたげな顔ですね」

獣戦士「はあ・・・はあ・・・・」

側近「簡単です、時間をとめたんです」

獣戦士「な・・！？」

側近「いやいやｗ、魔界じゃこんな能力も普通のことじゃないですか」

側近「まあ、私と似た能力を使えた輩がいたとしても時を少し遅める程度でしょうがね・・・」

獣戦士「くっそ・・・」

獣戦士「（くそっ・・・こんな卑怯なことあるかよ・・・）」

獣戦士「（このままじゃ・・・確実に次で決められる・・・・）」