梨紗「日本に帰国した晴の様子がおかしい」 (36)
晴「…………」ソワソワ
蘭子「…………」
飛鳥「…………」
蘭子「───我が眷属よ、契約に基づき汝の供物を望む!(お土産話聞かせて!)」ビシィ
飛鳥「ああ、約束を違えるつもりは無いさ」
飛鳥「何せ、キミはボクのもう一つの像…出来ることなら繋がっていたいからね」
蘭子「くく、言ってくれる(ありがとう!)」
晴「………」
晴「…おう」キラキラ
ありす「晴さんは何やってんですかあれ」
梨紗「……さあ」
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飛鳥「ヒトの言うセカイとは、自分の見えていることが全てでしかない…」
飛鳥「…それを知らしめられたよ、全く」
蘭子「うんうん」
飛鳥「──いや、感じていると言うべきかも知れないな」
飛鳥「匂い、音、空気…どれをとっても異世界のようだった」
飛鳥「静岡からこっちに来たときだって相当だった…が、国の違いとはかくも恐ろしいものかとね」
飛鳥「───どうかな?」
晴「理解るぜ」
ありす「理解るってなんですか、分かるじゃないんですか?」
ありす「おかしくありません?」
梨紗「そうね、おかしいわよね」
晴「ちっぽけなもんだぜ…ほんと」
飛鳥「…そう、海の隔たりに困惑してしまうほど、ボクらはちっぽけだったのさ」
蘭子「へえ…」
飛鳥「様々なことを学んださ…」
蘭子「如何様な」
飛鳥「フフ…ま、敢えて理解りやすい事を挙げるならばコミュニケーションさ」
飛鳥「梨紗だね…言語などと、所詮は記号の羅列…」
飛鳥「人の想いに勝てるモノではない、ってね」
晴「フッ……」
ありす「『フッ』って、今『フッ』って」
梨紗「ジェスチャーでコミュニケーションしてたのを大層な言い方して欲しくないんだけど」
ありす「梨沙さん、晴さんはどうなってしまったんですか?」
梨沙「…アタシだって訳わかんないわよ…」
梨沙「オーストラリアで合流した後、日が経つにつれて……」
────………
───────……………
晴『…あー…うん、わかんねぇ。飛鳥、もっとダイレクトにこいよ』
晴『ユッコと飛鳥は平気だろ。たぶん口だけで、変なことはやらないと思うし。』
晴『飛鳥はわかんねぇって意味では苦手かな? でも謎のカッコよさがあるよな…よくわかんねぇけど』
晴『飛鳥って作詞とかしてるはのか?今、そんな感じの言葉だったし』
晴『ユッコと飛鳥は、女の世界っていうか、別の世界に引っ張ろうとするけど。アレ、なんなんだろうな…』
晴『飛鳥の言ってるコト、やっぱわかんねぇけど…カッコいいな…』
晴『あー、何となく分かるような…?』
晴『オレ、理解るようになったぜ』
───────……………
────………
ありす「途中何かが起こってますよねそれ」
梨沙「知らない…日本に着いたらもう手遅れだったわ…」
梨沙「…中二病ってやつ?」
ありす「伝染病なんですか、それ」
あい「ナメてはいけない」
梨沙「ん、なによ」
ありす「おはようございます」
あい「いいかい、あの純粋な時期は色々と大変なんだ」
あい「…かっこいいと思ってやってたら、見事に浮いていたなんてこと、珍しくもない」
梨沙「…なんか例えが生々し
あい「兎に角!」
梨沙「………」
あい「…早くに手を打たなければ大変なことになる」
ありす「手って…」
飛鳥「大地の脈動…コンクリートの上では到底────」
蘭子「うん…うん…!」
「───ふふ、楽しそうだね」
飛鳥「……ン」
晴「来客…だなっ…」
凛「───ふふ…飛鳥、オーストラリアは楽しかった?」アオッ
奏「───久し振り、になるわね、飛鳥とは」ヴァニタスッ
蘭子「………!」
あい「」
ありす「あいさん?…あいさん?」
凛「何の話をしてたの?」
飛鳥「取り留めもない…ただのお土産話さ」
凛「ふーん…私も興味あるな、飛鳥がオーストラリアで見て、感じてきたこと…」
奏「ふふ…素敵な話聞かせてくれる?」
飛鳥「期待されると、困ってしまうけどね…ま、吝かではないさ」
凛「…海外って言うと、思い出すね…」
ヴェニスッ>
奏「蘭子ちゃん、隣いい?」
蘭子「はぃ…」
梨沙「……うっわ」
ありす「…その態度は……、…ううん…」
飛鳥「…そうだね、調度良いしジャングルに話を移そう」
晴「オレもそこからの合流だぜ」
蘭子「濃厚たる命の世界…」
飛鳥「そう、蘭子の言うとおりだ」
蘭子「へ?」
飛鳥「あそこではね、正しく全てが生きていたんだ」
飛鳥「周囲すべてが、踏みしめる大地でさえも息吹を感じさせる…」
飛鳥「在るべき姿…原初の鼓動に、ボク自身も飲み込まれてしまいそうだった」
飛鳥「文明に身を浸したヒトがいつしか忘れていたもの、そんなもので溢れていた」
奏「逞しい本能で満たされた空間…私には…ふふ、どうかしら」
奏「きっと、人の意志も些細なモノになってしまうのね…」
凛「…完璧じゃない。けど理解るよ」
凛「伝わる、飛鳥が歩んできた世界の…感動がね」
梨沙「出た、理解る」
ありす「もう、なんでも、いいですけれど」
飛鳥「感動かい?…フッ、圧倒されもしたが…そうだね、感動した」
奏「疲れたんじゃない?」
飛鳥「まあ、ね…或いは、やり遂げることができたのも幸運なのかも知れない」
凛「…ううん、私は幸運だなんて言って欲しくないな」
凛「紛れもない、飛鳥の実力だよ」
飛鳥「それは…フフ、光栄だね」
飛鳥「…そうだ、一つ付け加えておこう」
奏「それは?」
カラン
飛鳥「こうして悠々とコーヒーを飲めることの素晴らしさも知ることができた」
凛「ふふっ…」
晴(まずい…ついていけねぇ)ズコー
蘭子「はぁ…♪…ミンナカッコイイ…」
美優「…あっ、あいちゃんまた死んでる…」
あい「」
美優「…ごめんね?すぐに持ってくから…」
梨沙「…ざっつ」
ありす「…雑ですね」
奏「ン……そう、飛鳥」
飛鳥「何かな?」
奏「音葉がね、聞かせて欲しいって…」
奏「伝聞でもいいから得るものがあれば、ってね」
飛鳥「ふうん?」
凛「好きそうだよね、そういうの」
凛「…まあ、人のことは言えないけれど、ふふっ」
梨沙「ねぇ、もしかしてCoって」ジト
ありす「いいですか?そういうのを木を見て森を見ずと言うんです」ズイッ
ありす「一部の例外とその他大多数を同じにしないでください、分かりましたか」
梨沙「…分かってるわよ」
あい「…ハァ─っ!…ハァ─ッ!…」ヨロヨロ
あい「げほ、…ぉ……ぅ」スタ…スタ…
ありす「…戻ってきました」
あい「フウ──……フウ──……」
あい「………ゴハッ!?」ビチャア
梨沙「寝てろよ」
奏「───で、そのままウルルに行ってから帰ってきたんだったかしら?」
飛鳥「そうなるね、…一転して砂漠さ」
飛鳥「そのギャップに翻弄されそうにもなった…」
蘭子「偉大なる岩塊は、如何なる波動を宿すのか!?」
飛鳥「語らない理由は無い───」
飛鳥「────と、言いたいところだが」
飛鳥「語り部が変わらないのもつまらないと思わないかい?…」
飛鳥「…晴」
晴「……っオレか?」
飛鳥「キミもまたその資格がある、だろう?」
飛鳥「それに…長く語るには、ボクという人間が見た一側面はあまりにも湾曲し過ぎていることだろう」
飛鳥「…あまり話していると、コーヒーも冷めてしまうしね」
晴「オレは飛鳥みたいには…」
凛「…パスを出されたら、どうするの?」
晴「………っ」
晴「…狡いぜ、それはよ」フッ
蘭子「さあ、汝の物語を紡ぐがいい!」
晴「先ず、さっき飛鳥も言ったけど砂漠な…」
晴「強い乾いた風がよ、オレ達を拒んでいるようだったぜ…」
晴「まあ、だからこそ他のセカイに来ちまったって事を強く感じることができたんたけどな…」
奏「厳しいのね、あの大地は…」
晴「あと乾燥っつったらネネさんの特製ドリンクな」
晴「喉乾いたって言ってるのに青汁が出てくるかよフツー」
梨沙「……ん?」
奏「で、その眼で視るウルルはどうだったのかしら?」
晴「おう…凄まじい存在感だったな…」
晴「只の岩だって言うのにな、それだけじゃない何か…そう、神秘を見出す奴らが居るのも理解るような気がしたぜ」
晴「あと広さな、コート幾つ分か…」
晴「あんなんでサッカーやったら……」
梨沙「ちょくちょくメッキ剥がれてない?」
ありす「まだ間に合いますよ、あいさん」
あい「うん……うん…」
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