絵里「ずいぶん久しぶりね、ここも」 (10)
いつも絵里関係の話を書くしせっかくなので、と絵里誕に向けてゆっくり書いていく予定です。
前書きするような注意点はないと思いますが、
合わない、嫌いだと思ったらその時にブラウザバックしてもらえたら嬉しいです。
では、よろしくお願いします。本編は>>2から。
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秋が近くまで来ていることを想わせるようなそよ風も、いまだに夏を主張する濃い緑の木々も、ずいぶんと懐かしい。
心地良い風に包まれながら、少し傾き始めた陽の光を浴びる。
何十年も離れていたわけではない。
それでも懐かしく感じられるのは、それだけ当時の日々が濃密なものだったということだろうか。
何年か前に自分たちが幾度となく駆け上がった石段の最上段にそっと腰を下ろし、
じわりと滲む汗を額に感じながら、思いを馳せる。当時のこと、今のこと。
遡ること数年。
自分たちが通う音ノ木坂学院の廃校の危機を知って立ち上がり、
スクールアイドル活動によって学校を救い、
それに留まらず、ラブライブ優勝という偉業をも達成した、μ'sという存在。
もちろんスクールアイドルグループという存在ではあるが、メンバーにとってはそれ以上に大きな存在でもある。
みんな、今なにをしているのかしら?ずいぶん会っていない子もいるわね。
私たちの卒業と共にμ'sは解散したけれど、そのあとも穂乃果や花陽を中心に、亜里沙や雪穂ちゃんも迎えて
全国に名を轟かせ……なんてこともあったけど、それも今は昔、というところかしら。
今は、
にこは夢に向かって突き進んで勢いそのままにアイドルに。昔から情熱はすごかったけど、さすがよね。
希は都内で会社勤めをしながら、占いの本でちょっと有名になったんだっけ。ホント、希って感じ。
穂乃果は実家の穂むらを継ぐために本格的に修行スタート。穂むらを全国区にするんだって言ってたわね…
海未も実家の道場を継ぐことになったけれど、その一方で働いてもいるんだったかしら?勤勉な海未らしいわ。
ことりは高校卒業の後、前に断ったデザイナーさんに頼み込んでもう一度デザイナーの道を進んでるのよね。
凛は普通の会社勤めだったわね。ふふっ、上司に叱られてるところとか、なんとなく想像つくわね。
花陽は農業に関する開発が専門の企業に勤めてるのよね。詳しくはわからないけれど、なんとも花陽らしいわ。
真姫は中高生相手にボイストレーナーとかしてるのよね。自分も歌手活動とか作曲とかしてるって、ほんと多才ねあの子。
かくいう私はというと…
大学で経営について興味を持って、在学中に学びなおした故郷のロシア語を使って、おばあさまの地元で起業。
上昇気流に乗ったのはよかったのだけれど、忙しくてなかなか日本に帰ってこられなかったのよね。
みんなとはたまにメールとかで連絡を取ったりもするけれど、実際に会わないとやっぱり、なかなかね。
1年ぐらいバタバタして、ようやく落ち着いてから日本に帰ってきたというわけなのだけど…
やっぱり落ち着くわね。特に、ここは。
眺める景色だってあんまり変わってないし。
この石段を上ると、昔の思い出が自分を包み込んでくれるような気がする。
日本と海外といえば、今となってはμ'sのメンバーはずいぶん散らばってるわね。
にこはたまに海外遠征してるし、ことりは海外修行だし、花陽もお米の調査で各地を飛び回ってるわけだし。
何より、穂乃果が海外ボランティアに飛び出していったっていうのは驚きだった。
穂むらで修行しながらたまにボランティア活動をしてるのは聞いてたけど、まさか海外まで行くとは…
無茶苦茶っぷりが穂乃果らしいといえばそうなのだけれど、半年前から、1年間の海外だったかしら?
インターネットが使えないようなところで活動してるみたいで、すっかり連絡も取れない状態なのよね。
月に1回手紙が来てるから元気なのは元気らしいけど、すこし寂しいわよね
僕らは今の中で、か…
言い方は変だけど、「今は今しか味わえない」っていう気持ちで駆け抜けた1年。
後半はみんなが気を使ってくれて、私たちの卒業後のことを考えてくれたり。
卒業式まですごい勢いで時間が過ぎたのよね。
ふふっ、相当の覚悟はしてたけど、結局卒業式ではみんなボロ泣きだったのよね。
ホント、何十年も経ったみたいな言い方になっちゃうけど、何もかもが懐かしい……
ちょっと心が安らいだせいで疲れが出てきたのかしら…?
「残された時間を握りしめて」なんて歌詞が「それは僕たちの奇跡」にあったけれど、本当にそんな感じ。
今はみんなそれぞれ活動しているけれど、根っこにはあのころがあるのよね、きっと。
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