少女「円光稼業は楽じゃない」 (61)

 
教師「───で、あるからして」

少女「……」

教師「出た数値をxに代入すると……」

少女「……」


   少女  高校生


少女「……」


   趣味 無し

   特技 無し

   彼氏 無し


少女「……」


   処女


少女「……」

教師「えーと、じゃあ田中、答えてみろ」

「え……」 ガタ…

教師「何だ、聞いてなかったのか? ったく……」

「すいません…」 「ハハハ」 「キャハハ」

教師「いいか。 お前たちも来年は受験生なんだからな。 日頃からしっかりと……」

少女「……」

 いつからだろう。

教師「いいか、もう競争は始まっているんだ。 全国のライバルがだな……」

少女「……」

  人生が、つまらない。

少女「……」
 

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 キーン コーン カーン コーン


教師「えー、今日はここまで」

 ガタガタ… ザワザワ… 

教師「あ、そうだ この間配った進路希望調査、提出は今週中だからな。 遅れるなよ」

 エエー ダルーイ ヤダー

少女「……」

教師「自分の将来についてしっかり考えるんだぞ」

少女「……」

少女(……将来……やりたいことも無い)

少女(考えたくないな……)

少女「……」 ピラ


  第一志望 : _____
                   

少女「……」 サラサラ

 
  第一志望 :  未 定
            ̄ ̄ ̄ ̄            

少女「……」
 

  
教師「では、気を付けて帰るように」

 「終わったー」 「帰ろ帰ろー」
   「あ、ねえねえ! 駅前のクレープ寄ってこーよー」

  アハハハ  キャハハハ


少女「……」 ゴソゴソ

少女「! あ」

友「…」 テクテク

少女「ねえ、友、一緒帰ろう」

友「! あー……えーと……ごめん! 今日ユミたちと帰る約束しててさ!」

少女「あー…… そっか、じゃあ、うん、いいよ! また今度!」

友「うん~ ごめんね~」

ユミ「友ー! 行くよー!」

友「あ、うーん! 今行くー!」 タッタッタッ

少女「……」

少女(帰ろ……) ゴソ…
 

 
ユミ「ねー、友ってあの子と仲良いよね?」

友「え? う、うん」

A「そういえばいっつも一緒にいるかも~」

B「オナ中なの?」

友「うん……」

ユミ「ぶっちゃけあの子ってあんま話したことな~い」

A「あたしも~」

B「ちょい影薄くね?w」

友「あは、は  そうだね」

ユミ「認めてるし~w」

 キャハハハ アハハハ

ユミ「あの子ってマジメ系? だよね?」

友「うん」

ユミ「ぶっちゃけ暗そう~」

A「言えてるー」

友「……」

B「ちょw 声でかいって~w」

少女(聴こえてるよ……) ゴソゴソ…

ユミ「てか、聴こえてるっしょw ゼッタイ」

少女「……」 ビク

少女「……サヨナラ…」 サッ

 ガラララ パタン


少女「……」


 \ どっ /

  「ほらー 聞こえてたじゃーん」

 「……サヨナラ」 「ぶはっw 似てるーw」


少女「……」 ギュッ
 

 
───


  テクテクテクテク


     テクテクテクテク


少女(つまらない、つまらない、つまらない)

少女(あいつらは不良だ。 万引きしたりお酒飲んだりしてる不良だ)

少女(なんであいつらの方が威張ってるんだろう。 私の方がビクビクしてるんだろう)

少女(少し派手だからって、男子からも人気があるらしいし……)

少女(友達も多い……? ううん、あんなのただの取り巻きだし。 友達じゃないし)

少女(……友、あっちのグループに入りかけてるなぁ……  最近うっすらメイクして登校してるし……)

少女(……)

少女(おかしいよ  親や先生はいい子にしてろって言うじゃん)

少女(なのにいい子にしてても報われない世の中、おかしいよ)

少女(宿題だってちゃんとやるし、試験前に勉強するし、髪も染めてない、ピアスもしてない、スカートも短くしてない)

少女(私の方がエラいはずだ。 私の方が……。)

少女(………)

少女(つまんない、つまんない、全部つまんない)

少女「はぁーっ……」

少女「……」

少女「……ゲーセン、新しい音ゲー入ってるかな」
 

 
───

 【繁華街】

  ワイワイ ガヤガヤ

少女(ゲーセンは好きだけど、人が多いとこは苦手だな……)

 「クチャクチャ」 「でよー」 「マジありえなくね?」

少女(……不良っぽい人うろうろしてるし……)

「アン?」チラ

少女「っ…」 サッ

少女(カツアゲとかナンパとか怖いよー……) テクテクテクテク

「でさー!」 「キャハハハ!」

少女「!!」

ユミ「チョーうけんだけどw」

少女(ユミ達だ!) サッ

ユミ「でさーw」

A「マジー?w」

友「あははは!w」

ユミ「ねー、この後さー、男呼んでカラオケ行こーよー!」

A「いいねー!w」

B「さんせ~!」

友「え……」

ユミ「友?」

A「……」

B「……」

友「い、行きたい行きたーい!」 キャハハ

ユミ「だよねー♪ 行こ行こー!」

 アハハハ キャハハハハ



  ゴソ…

少女「……」 ヒョコ

少女「はぁーっ……」

少女(……何で隠れちゃったんだろ……) ゴソゴソ
 
少女(……そうだ、あんな奴らと絡んだっていいことないからだ。 だから隠れたんだ)
 

  
少女「……」

少女(友……完全にもうアッチ側だな……)

少女(まあいいや。 別に親友ってワケじゃないし。 先に裏切ったのはアッチだし)

少女(どうせ不良になって変な男とくっついて悲惨な人生……)

少女「……」

少女「はぁ……」

少女(もう音ゲーする気分でもないや  帰ろ……)

リーマン「ねぇ、君」

少女「え……?」 
 
リーマン「君だよね? "リナちゃん"って」


少女「へ? え?」

リーマン「いやぁ~ すぐ分かったよ~ 黒髪でスカート長めの子ってココじゃ逆に目立つからさぁ~」

少女「へ……?」

リーマン「ん~ いいねぇ!分かってるねぇ! すっごいリアルな感じ!」ジロジロ

少女「?」

リーマン「まさかほんとに高校生? いや~ 今日は当たりだなぁ!」

少女「???」

リーマン「じゃ、行こっか♪」 グイ

少女「え!?」

リーマン「えー? まさかここに来て値上げとか言わないでよ? もう値段交渉とかめんどくさいから!」 グイグイ

少女(な、何!? 怖い!!)
 

 
リーマン「ほらぁ! ね、とりあえず入ろ。 ね?」 グイィッ!

少女(や、やだ! 声が出ない! 怖いよぉ!!)

リーマン「わがままな子だなぁ…… 分かったよ、もう五千上乗せするから……!」

少女(こ、これ……エ、エンコーって奴!? やだやだやだやだ! 気持ち悪い! 気持ち悪い!)

リーマン「ねえ、ほら、ちゃんとゴム付けるから! ね?」 グイグイ

少女(やだ……こんなことしたら……もう、元に戻れない……!)

少女(今の自分に戻れなくなる……!)

リーマン「ね、おじさん気に入ったら定期になってあげても……」

少女(今の自分に……   今の……)

少女(……別の自分……?   別の……) ジッ…

少女(別の自分て……    何?)

リーマン「もうこうなったら時短でもいいから……」 グイグイ

  ガシッ

少年「おじさん、手ぇ離しなよ」

リーマン「!?」 ググ…

少女「ぁ……」

少年「この子、『フツーの子』だよ あんたが求めてる相手じゃない」

リーマン「な、何を……」

少年「……」 ググ…

リーマン「へ!? あ!! そ、そうか! 美人局か! そういうことか!」

少年「はぁ……違う違う」

少年「ほら、あんたの相手はあっち」 クイ

黒髪「……」

リーマン「えっ……」

少年「人違いなの。 この子はフツーの女子高生。 OK?」

リーマン「え、あ、あぁ!  ごごごごめんなさい!」

少年「……早とちりはダメだろ。 ちゃんと相手確認しなきゃ」

リーマン「あ、ご、ごめんなさい……って、え? 君は?」

少年「別に。 ただの通りすがり」

リーマン「そ、そっか! すまなかった! それじゃ!」 タッタッタッ

少女「……」
 

 
 タタタ…

リーマン「お、お待たせ~」

黒髪「!」

リーマン「…」 ヒソヒソ

黒髪「…」 コク…

 テクテクテク

少女(……二人で行っちゃった……)

少女(あの二人……今から……するんだ…… うわぁ……)

少年「はぁ…… マジで困るわ、ああいうの……」

少女「あ、あの……」

少年「ん?」

少女「……ありがとうございましたっ」 ペコッ

少年「……いいよ、こっちの為でもあったし」

少女「そ、そうですか……」

少年「……あのさ」

少女「はい?」

少年「何で一瞬、逃げるのやめたの?」

少女「え!?」

少年「リーマンに絡まれてる時…… 一瞬だけ、ついて行こうとしなかった?」

少女「そ、そんなこと……!」

少年「興味あるの?」

少女「へ!?」

少年「エンコー」

少女「な、何言っ……」

少年「……ちょうど、真面目そうな子欲しかったんだよねー」

少女「真面目そう……  ほ、欲しいって……あなた一体……」

少年「楽してお金稼ぎ……興味ない?」
 
 お金なんて、別に興味は無かった。
 ただ、何となく自分もワルっぽくなってみたかった。
 それだけだった。
 
 きっかけは、そんな小さな誘惑だった。  のに

少女「……」

 ドクン…  ドクン…



  第一志望 :  未 定
            ̄ ̄ ̄ ̄            

                  
       : i l | | [ つづく ] | | l i :
 

 
───

 ガチャ

少女「……ただいまー」

少女母「おかえり! 遅かったわねー」

少女「う、うん」 ビク

少女母「またゲーセンで遊んでたんでしょー」

少女「え、あ、うん」

少女母「もう、ゲーセンは不良のたまり場なんだから、行っちゃダメって言ってるでしょー」

少女「……うん」

少女母「ほら、ハナ叔母さんのところのケンちゃん、ゲーセンで不良からカツアゲにあったんだって! 怖いわよね~」

少女「うん……」

少女母「あんたも気を付けなきゃ、最近の若い子は何するか分かんないからー」

少女「……」

少女母「ほら、早く手洗って着替えなさい ご飯にするわよ」

少女「……はい」


 ジャー

少女「……」 バシャバシャ

 キュッ   

少女「……」 ジッ

少女(……何も変わってない。 私、だ)

少女(……見た目は)



少女母「それでね、お母さん言ってやったのよ。 パートだからって舐めないでください、って」

少女「……」 モグ…

少女母「そしたら池添さんが加勢してくれてね、 あ、池添さんってこの間言った惣菜部の人で……」

少女「……」

少女母「もうね、池添さんったらおかしいのよ。 この間水筒持って来たと思ったら、フフ、何入ってたと思うー?」

少女「……」 モグモグ…

少女母「……ちょっと、大丈夫?」

少女「え、うん」

少女母「どうしたのよ、ぼーっとしちゃって」

少女「え、あー、うん……ちょっと、最近勉強疲れちゃって……」

少女母「あらー、あんまり根詰め過ぎないようにね? 体壊しちゃ大変よー?」

少女「うん……」

少女母「あれよ、疲れにはリンパマッサージがいいんだって! あとね、酵素! 酵素の力で体の免疫を上げるといいんだって!」

少女「へー……」 モグモグ
 

 
───

 【少女の部屋】

少女「……」 ゴロゴロ
    
『友』 { 今日はごめん! 誘われて断りきれなかったよ~。゚゚(つД≦。)°゚。 ]

少女「……」

少女「……」 トストストストストストストストストストス

『少女』 { ううん! 全然気にしてないし! また今度一緒にかえろー!+.(*'v`*)+  ] 既読

少女「……」

『友』 {うん! 良かったぁ! Chu!(●´З`●) ]

少女「……」

少女「気にしてないワケないでしょ」 ピッ

少女「 だ・い・き・ら・い 」 トストストストストストス

『少女』 { ダーィヽ(*´∀`*)ノ スキッ★ ] 既読

少女「……はぁーっ……」 ゴロン

少女「……」





少女「で、できません」

少年「できない?」
  
少女「できません……私にエンコーなんて……」
 

 
少年「なんで?」

少女「なんでって……エ、エンコーって犯罪で……悪いことで……」

少年「悪いこと?」

少女「悪いことじゃないですか! お、お金のために……イヤらしいことをして……」

少年「それが何で悪いことなの?」

少女「へ?」

少年「客のおじさんが癒しを求めてやってくる。女の子がそれを癒す。客が金を払う。需要と供給が成り立った人助けだ」

少女「ち、違う! 犯罪です!」

少年「犯罪? 何て法律?」

少女「え、えと……」

少年「売春防止法?」

少女「そ、それです!」

少年「売春防止法で刑事処分の対象とされているのは……勧誘・周旋・契約・使役だよ」

少女「?? え……」

少年「つまり、法律上罰則があるのは売春を『させる』ことで、すること自体は罰してないんだよ」

少女「え……」

少年「つまり……」 ズイ

少女「あ……」

少女(か、顔、近……)

少年「 君は悪くない 」 ヒソ…

少女「っ……」

少女「そ、そんな屁理屈……」

少年「法の解釈なんて屁理屈と詭弁のゴッタ混ぜだよ」

少女「そ、んな……」
 
少女「……」

少年「……話だけ、聞いてみない?」

少女「……」
 

 
───

少女「話って……どこでするんですか?」 テクテク

少年「……」 テクテク

少女「あの……私、あんまり、その……知り合いに見られたくないというか……」

少年「……」 ピタ

少女「え……」

少年「ここ」

少女「え? こ、ここって……」

 【カラオケ シルバー】

少女「カラオケボックスって……」

少年「いいでしょ、人目に付かないし」

少女(なんか、汚いなぁ……ボロボロのビルだし……)

少年「こういうビルの一角で細々とやってるカラオケ屋はね、会員登録はいらないし、持ち込み自由だから店員も来ない」

少年「それに、『僕たち』みたいなのが来ても不自然じゃない……ね?」 ニコッ

 ガチャ

少年「入んなよ」

少女「いえ、お先にどうぞ……」

少年「そう?」 スッ

少女「……」 バタン

少年「……ふぅ」 トスン

 ガサゴソ

少年「あー、タバコ吸っても……」

少女「……」

少年「ダメ、みたいだね」 スッ

少女「……タバコの臭いが付くと、お母さんがうるさいから」

少年「……へえ、『お母さん』がいて『心配』する家庭なんだ」

少女「……それで、話って何ですか」

少年「ま、飲みなよ ウーロンでいいよね?」 スッ

少女「……いいです」

少年「何も入ってないよ? さっき買った缶だし」

少女「いりません……」
 

 
少年「……」

少女(……怒らせちゃった、かな……)

少年「……いいね」

少女「え……?」

少年「君、頭いいでしょ」

少女「何、言って……」

少年「俺が用意した飲み物に、一切口を付けようとしない」

少年「それに、この部屋に入るとき、さりげなく俺を先に誘導して、奥に座らせた」

少女「……」

少年「常に自分を出口に近い位置に置いて、いつでも逃げられるように……」

少女「……」

少年「信頼、されてないね」

少女「……」

少女「あ、当たり前じゃないですか いきなり連れて来ら」

少年「そこが、イイ」

少女「え……」

少年「エンコーで一番大事なことって分かる?」

少女「え……  そりゃ、可愛さ、とか……おじさん?を?虜にする?テ、テク?とか……」

少年「違う」

少女「え……」

少年「警戒心だ」

少女「警戒……心……」

少年「エンコーは裏の商売だ。 表のシゴトみたいにシャカイやケイサツが守ってくれるわけじゃない」

少年「変態オヤジなんかまだいい方さ。 中には金を払わず逃げようとする奴、
    女の子を脅迫しようとする輩、暴力を振るうヤクザまがいの奴……」

少年「色んなヤバい奴がいる」

少女「……」

少年「問題ある客とトラブった時……どうすると思う?」

少女「え……んーと……」

少女(裏の世界……裏の世界……)

少女「き、金属バットを持って相手のとこ行って……オラーって……」

少年「……」

少女「オラー……」

少年「……ぷっ」

少女「わ、笑うことないじゃないですかッ!!!」

少年「いや…クク……ごめん、ちょっと……つい、クフフ……」

少女「仕方ないじゃないですか……援助交際のコトなんか分からないですよ!」

少年「そうだよね、クフフ、ハハハ」
 

 
少女「……それで……トラブった時はどうするんですか」

少年「泣き寝入り」

少女「え……」

少年「 泣き寝入り、だよ 」

少年「裏の世界だからってやりたい放題だと思ったら大間違いだよ」

少年「俺たちみたいな日陰者は、それこそ国家権力やヤクザに目ぇ付けられたらソッコーでおしまい。」

少年「さっきも言ったよね。 警察や表の人間は助けてくれないし、頼れない」

少年「表の人間なら当たり前に出来る『110番』も『お母さん助けて』も『先生、相談があるの』も使えない」

少年「だから、泣き寝入り」

少女「そんな……」

少年「裏の人間ほど、弱い。 これ、鉄則」

少女「……」

少年「で、最初の問題……『どうしたらいい』?」

少女「どうしたら……」

少年「……」

少女「…… 最初から関わらない、ですね」

 パチパチパチパチ

少年「そう! 大正解! やっぱり君頭いいねー」

少女「……」

少年「そう。 ヤバい奴らと会わないことが有効策。  っていうか……それしか出来ない」

少女「……」

少年「だから、さっき言った『警戒心』が凄く大事になる」

少女「……」

少年「俺に出来るのは『紹介』と『セッティング』だけ……」

少年「一度、女の子、つまり君を客に派遣したら、俺はもう君には何もしてあげられない。
    後は何が起ころうと、君が自分で対処しなきゃいけないんだよ」

少女「……」

少年「危ない奴に会った時、警察にパクられそうになった時、君がいち早く気付いて逃げなきゃ
    こっちまでヤバいことになる」

少女「……」

少年「その警戒心をフルに使ってね」

少女「……つまり、」

少年「ん?」

少女「適任、ってことですか。    私が 」

少年「……ククッ」

少女「……何が可笑しいんですか」

少年「いや、やる気マンマンだなーと思って」

少女「ッ……そ、そんな! 私は別にやる気なんて……!」

少年「……ククク……フフフフ」
 

 
少女「それに、やるなんて…… 一言も……!」

少年「やるんでしょ?」

少女「……はぁ?」

少年「だって、やるんでしょ?」 ジッ

少女「っ……  だ、だから……そんなこと……」

少年「やめようよ、いい子ぶるのは」

少女「いい子ぶるって……!」

少年「君は今まで『普通の家庭』で『普通の子』として育てられたってだけで……『普通の人間』じゃあない」

少女「な゙……ッ!」 ガタッ

少年「そうやって激昂したフリして立ち上がって……本当は気付いてるんだろ? 自分の本性に」

少女「訳が分からない……! 不愉快です!!」

少年「立ち上がったのは、決してキレたからじゃない」

少女「……!」 

少年「自分がいつでも走って逃げ出せる状況を作って、俺を不利な立場に追い込もうとした
    というより、俺に『口を慎め』と言外に示したんだ……」

少年「それも…… 無意識に 」

少女「ッ……違…… 私は……そんな人間じゃ……」
 

 
少年「自分を偽るのはやめなよ  もう、会った時から分かってたんだ」

 バンッ!!

少女「いい加減にしてください!!」

少年「……」

少女「……」 フー…  フー…

少年「……君は、自分が普通のいい子だと思ってるんだね」

少女「事実です」

少年「最初に援交の勧誘をした時、断ったよね」

少女「そうです。 援助交際は悪いことですから。 悪事を断るのは善良な一市民として当然のことです」

少年「でさ、僕は言ったよね? 援助交際を行うこと自体には罰則規定は無いって」

少女「……罰則がないからって、やっていいことでは……」

少年「クハッ……ククク……違う違う」

少女「違う?」

少年「クフフッ……だからさ、『斡旋』する俺の方は刑事罰に問われるってコト……ククク……」

少女「そんなの……当たり前じゃないですか……」

少年「フフフ……あはは……だからさぁ……」

少年「あの時、こう断るはずだよね。 『私が協力したら、あなたが罪に問われます。だからやりません』って」

少年「本当の善人ならさぁ」

少女「ッ!!?!」

少年「……君は、あくまで"自分が罪に問われるかどうか"しか気にしなかった」

少年「俺がどうなるか、俺を放置することが社会にとって正義か悪か、そんなことは欠片も考えなかったはずだ」

少女「……」

少年「君は、自分のことしか考えてない……その上、そのことにすら気付いていない、」

少年「正真正銘の、ワルだ」

少女「……」

少年「 それ が いい 」

少女「え……」

少年「そこがイイんだよ 信用できる」

少女「し、信用……?」
 

 
少年「正義だ善を基準に動く人間は信用できない…… それら程、不確かで曖昧なものは無いからね」

少年「読めないんだよ。動きが。 そりゃー管理側にとって、行動が予測できないってのはスゲー嫌なことだよ」

少年「イザって時に変な正義感で警察に駆け込まれても困るしねー」

少年「その点、エゴで動く人間は分かりやすい。 だって、損得が基準だから」

少年「自分の不利益になるようなタレコミは絶対にしない。 なんたって自分が一番大事だから」

少女「……」

少年「おっと、そんな怖い顔しないでよ 褒めてんだからさ、一応」

少女「……」

少年「座りなよ」

少女「……」

少年「……」

少女「……イヤです」

少年「好きにしなよ」 …プシッ ゴクゴク…

少年「……ぷは」

少女「……やりますよ」

少年「え?」

少女「……やりますって」

少年「え? 聞こえなーい」

少女「やりますってば!!」

少年「よし、契約成立だ」

少女「え……」

少年「何。 やるか、って聞いて、やる、って答えたんだから。 口約束でも契約は成立だよん?」

少年「じゃ、明日、同じ時間、ココで待ち合わせね」

少女「……」 ジッ…

少年「怖。」
 

 
少女「やればいいんでしょ、やれば」

少年「クフフッ……最後まで強情だなぁ……『やらされてる』コトにしようと必死じゃないか」

少女「違います。正確には『やらされそうになってる』んです。  現段階ではね」

少年「……」

少女「アナタなら、この意味分かりますよね」

少年「……えーと、日本語に訳すと……」

少年「 『私はこの後警察に駆け込んでもノーダメージです。でもアナタには致命傷です』 」

少女「……正解」

少年「……」 ゴク… ゴク…

少年「…………はぁーっ……」

少年「とんでもない子に声かけちゃったなぁ……」

少女「今、アナタの方が不利。 それは分かりますね」

少年「重々承知の助」

少女「……では、ひとつ質問します。 心して答えてください」

少年「アイアイ」

少女「……アナタは、これが初めてじゃないはずです」

少年「……そりゃまあね、手慣れてるもんね」

少女「仲間がいるはずです。 女の子の共犯が……。 今までこの仕事をしていたパートナーが。」

少年「……俺がケツ穴を売ってたのかもよ?」

少女「フザけないでください」

少年「はい。  ……今は仲間はいないよ。 俺一人。 だから女の子が欲しいんだよ」
 

 
少女「……では、もう一つ質問します」

少年「さっき『ひとつの質問』って……」

少女「……」 ジッ

少年「何でもございません」

少女「……前にパートナーだった女の子は…… どうしたんですか?」

少年「……」

少女「……」

少年「君は、頭が良い」

少女「ッ……質問に……」

少年「頭が良い人を信頼させるには、ひとつの方法しか無い」

少年「嘘を付かないこと」

少女「……」

少年「俺は、君に嘘を付かないよ」

少女「……質問に答えて下さい。 女の子はどうしたんですか」

少年「死んだよ」

少女「ッ……!!!」

少年「………」

少女「………」

少年「………」

少女「………ッ」

  ガシッ!

少年「あ、それ、俺のウーロン……」

少女「~~~ッ!」 グビッ グビッ ゴクッ ゴキュゴキュゴキュ

少年「……」 ポカーン

少女「ゴキュ、ゴクンッ   ぷはっ!!」

    カンッ!

少女「ご馳走様でした」

  クルッ  

    カッ カッ カッ カッ

  ガチャ   バタン!!

少年「………」

少年「……」 ゴソゴソ

  スッ
      シュボッ

少年「……ふーっ」

少年「………"飲んでくれる"とはねー……」

少年「……」

少年「禁煙、した方がいいな」
 

 
────
──


少女「……」 ゴロ…

『友』 {遅いからもう寝るね! 明日もあるし(*´艸`) ]

少女「……」

少女「………」 スッ


   『そうだね』


      『明日もある』


   

   既読は付かなかった。

                 
       : i l | | [ つづく ] | | l i :
 

不謹慎な内容を含むSSですので、
スレに書きにくいご意見、ご感想、体験談等はこちらへ→hobetsu15アットyahoo.co.jp

※当SSはフィクションです。
※このSSの世界の公転周期は730日です。
※このSSの世界では未成年という言葉は未熟者という意味を含みます。
※当SSは年端もいかない純情で無垢な少女達を犯罪へと巧みに誘う悪辣非道な勧誘者達の実態とその被害者の悲惨さを訴え
 少しでも性的犯罪撲滅の一助になればという(略)社会正義(略)断固(略)笑顔(略)平和(略)希望(略)未来(略)

 
───

 ガララッ

少女「…!」

友「あ、おはよー!」

少女「おはよ!」 ニコッ

友「ねえ、昨日の古文の宿題重くない?」

少女「重かったー」

友「シゲハル(古文の先生)燃えすぎー」

少女「それな」

友「ねー」

少女「あ、そういえばさ……」


  今日、用事があるから


友「?」


   一緒に帰れないって


 ガララッ

ユミ「おはよー!」

A「ユミ~おはよ~!」 タタタッ

B「ユミっち おっはー!」 タタタッ

友「あっ! ユミっ! おはようっ!」 タ タ タッ

  キャハハハ  キャイキャイ


少女「……」


  言おうと 思ったん だけど


友「……(汗)」 スッ (ごめん)



少女「………」

 

 
 1限 現代文

 2限 体育

 3限 英語

 4限 地歴

 5限 化学→自習に変更

 6限 数学Ⅱ



 「終わったー」 「疲れたー」 「ねみー」

担任「えー、皆、車に気を付けて帰るようにー」

 ガタ…ガタ… 
 
    「帰ろー」 ガヤガヤ

  「部活ダリー」 ザワザワ  「お前ん家寄っていい?」 


 タッ タッ タッ

友「少女ー。 ごめん、今日ちょっとユミちゃんに誘われて…… あれ?」 キョロキョロ



 テク テク テク

少女「……」 テクテク


 課外活動 エンコー


少女(えっと……待ち合わせはカラオケボックスって……) テクテクテクテク

少女「……ここだ」

少女(相変わらずボロボロのビルだなぁ……)

 【カラオケ シルバー】

少女(え、でもどうやって入ったらいいんだろ…… ビ●グエコーとかなら分かるけど……」 ジッ
 

 
少女「何か受付の店員さん怖そうだし……っていうかジャージだし……」

店員「ん?」

少女「ひゃっ……」

店員「あー、アンタこの間彼氏と来た子だよね?」

少女「彼氏!?  あ、あー……カレシじゃないです。ただの知り合い……」

店員「何だっていいよ 部屋は取ってあるから、入って。 金は彼氏が払ってったよ」

少女「え……」

店員「2番ルーム……あ、エレベーター出て右行って、トイレの正面ね。 2時間コースで取ってあっから。 あと1時間だけど」

少女「あ、はい……どうも」 ペコ

店員「……」

少女(うぅぅ……怖かった……) テクテク

 【 2 】

少女「ここだ……」

 ガチャ

少女「……来ましたよ、約束通り」

少女「あれ?」

 誰もいない。

 薄暗い部屋には、皮の剥げたソファーと割れ目の目立つテーブルがあるだけだ。

少女「嘘……部屋間違えた? ううん、確かにここだって……」

 スタスタ

少女「ん……?」

 良く見ると、テーブルの上に白い紙が乗っている。
 メモの切れ端のようだ。

少女「何これ……」

 カサ…

少女「何か書いてある……」

 『最初に会った場所』

少女「え……」

 しばらくメモを眺めると、少女はそれをポケットに入れて部屋を出た。
 そのままエレベーターを降り、ビルから外に出る。

店員「あれっ?」

少女「あっ、す、すいません! 用事、を、思い出し、て!」

 振り向きながら、とってつけたような言い訳をする。
 店員の怪訝そうな顔が視界の端に映った。

少女「んもう!!」 タッタッタッ
 

 
───

少女「はぁ……はぁ…… ここ、だよね」 キョロキョロ

少女「うん、確かこの辺りだったはず……」

  ポ ン

少年「やっ!」

少女「ひゃあ!?」 ビクゥ!

少年「っとと……驚かせちゃったかな」

少女「き、急に後ろから声掛けないでください!」

少年「ごめんごめん」

少女「あと、気安く触らないでください。 セクハラですよ」

少年「エンコー少女が何言ってんだか」

少女「まだやってません!!」

少年「ま、いいや。 さて、場所移そうか」

少女「へ? また移動するんですか?」

少年「そだよ。 ここで立ち話する訳にも行かないでしょ」

少女「ど、どこに行くんですか?」

 相手が相手だけに、一抹の不安がよぎる。

少女(ラブホテル、とか? 行ったことないんだけど……)

少年「カラオケだよ」

少女「え、また?」

少年「んー、"また"ってのはちょっと違うかな。 とりあえずまあ、ついて来て」

少女「あっ、ま、待って!」 タタッ
 

 
───

少年「ほら、ここ」

 【カラオケ ブロンズ】

少女(さっきのとは違う……)

少女「でもまたボロボロのビル……それに看板も小さいし……。 こんなカラオケボックスどうやって見つけるんですか?」

少年「君たちJKは大手のカラオケしか知らないだろうけどね、探せばこういう隠れカラオケ屋って結構あるんだよ」

少女「ふうん…… にしても、どうしていっつもボロボロなトコなんですか。 もうちょっと綺麗な……」

少年「ククッ……綺麗なとこ、即ち金のある所はね」

 微笑みながら耳を寄せてくる。

少年「監視カメラがあるんだよ」 ヒソ…

 ギィ

少年「さ、入って」

少女「……お先にどうぞ」

少年「ククッ 相変わらずだね」

 ガチャ

   バタン

 テクテク

 ドスッ

少年「さて」

少女「……」

少年「早速話を始め……ようと思うんだけど、何か聞きたいことは?」

少女「あの、場所のことなんですけど……」

少年「場所?」

少女「何で、前回のカラオケボックスから場所を移したんですか? それに、メモで待ち合わせ場所を変更したり……何であんなことを?」
 

 
少年「ああ、んー…… そうだね、メモの件から話そうか。 あれはね、」

少年「警察にチクってないかチェックした」

少女「へ!?」

少年「当然だろ? 俺は昨日君を援助交際に誘ったんだぜ? 『フツーの善い子』なら親か警察にチクってるだろ」

少女(……)

 私は善い子では無い、ということを言外に示しているのだろう。 こいつはそういう奴だ。
 会って間もないが、だんだん分かってきた。

少女「私には分かりません。 何でアレが警察にチクってないかどうかのチェックになるんですか」

少年「んーとね、まず大前提として、『警察が来るかもしれない』状況で、俺はカラオケボックスなんて閉鎖的な場所でノンビリしてないよ」

少女「!」

少年「もしも、もしもだよ? 僕があのカラオケの部屋にいて、君がお巡りさんとあの部屋に突撃してたら……逃げ場無いよね?」

少女「そう、ですね」

少年「だから、そもそもあそこで待ち合わせようとは思わなかった。 だから、メモを残して誘導したんだよ」

少女「……それでもやっぱり分かりません。 次の待ち合わせ場所にしたって、そこに私が警察と一緒に来る可能性もあったはずです」

少年「その可能性は消していた。 だから、俺は君の前に現れた」

少女「???」

少年「いいかい、僕の狙いはこうだ。 まず、君を高校の出口で待ち伏せする」

少女「え!?」

少年「そんなに驚くことかな」

少女「わ、私が学校を出た時に、そこにいたってことですか!?」

少年「うん。 君の制服から高校は特定できてるからね、待ち伏せは簡単だよ」

少女(ぜ、全然気づかなかった……)
 

 
少年「もちろん、隠れて見てただけだけど。 そこから、カラオケボックスまで尾行したんだ」

少女「尾行って……」

少年「君を追う、というよりは…… 君の周りをうろつく警察がいないか、の方を重視した尾行だったけどね」

少女「!  『可能性を消した』っていうのは……そういうことだったんですか」

少年「ああ。 もし君が警察にチクっていたとしたら、警察は君とコンタクトを取る人間をすぐに発見できるように傍にいるはずだからね」

少女「……」

少年「で、最終段階として、君は一人でカラオケボックスに入って行った。 これは警察がいるなら有り得ないことだ。」

少年「なぜなら…… 君はあの、閉鎖的で、逃げ場のない、薄暗い部屋で……レイプされる可能性が十分にあったんだからね」

少女「……ッ!」

 慌てて身を固くする。
 そうだ、いつこの場で組み伏せられたっておかしくないのだ、自分はそういう状況にある、と改めて再認識する。

少年「おいおい、安心しないよ。 ヤるならとっくにヤってるって」

 全く安心できない軽口を叩く。

少年「……コホン。 とにかく、君は一人でカラオケ屋に入っていった。 その時点で僕の君への疑いは晴れ、僕は一足先に次の待ち合わせ場所へ向かった、って訳」
 

 
少女「……」

少年「あれ、どうしたの 険しい顔して」

少女「それって……私を信用してないってことじゃないですか」

 ふてくされたような声を出してみる。
 これを聞いて焦るかな、と思ったが、

少年「クククククククッ」

少女「……何が可笑しいんですか」

少年「いやー、何で微塵も思ってないことを言うかなー」

 ニヤけた顔で少年が見つめてくる。

少年「逆、でしょ」

少女「逆?」

 一応復唱してみる。

少年「確かに、俺は君を疑った。 でもその結果……」

少年「君は、俺を信用するようになった。 違うかい」

少女「……」

 正解、だった。

少女「……ええ。 正直、安心しました。 あなたは割と慎重な性格なようですね」

少年「見直した?」

少女「まあ、少し」

 少女にとって、最大の懸念材料は『少年がドジを踏んで警察に捕まること』。
 芋づる式に自分まで捕まってしまえば、そのまま親や学校に連絡が行くことは必至。
 それは、この先の一般的で安泰な人生の崩壊を意味する。

少女「そりゃ、私はエンコーに興味はありますよ。 でも、前科がつくのはゴメンです」

少年「うん、俺だってネンショーはごめんだよ」

少女「……」

 少女は、少年の瞳の奥で光が揺れるのを見た。
 

 
少年「さて」

少女「!」

少年「連絡先、教えてくれる?」

少女「え」

少女(確かに……そっか……必要か…… でも、ちょっと抵抗あるな……)

少年「クククッ なんてね」

少女「え?」

少年「大丈夫、ケー番やメアド教えてって言ってるんじゃないよ。 むしろ、そんなもん別に要らない」

少女「え……?」

少年「君さ、LINEはやってる?」

少女「やってますけど……」

少年「用途は? 友達とか?」

少女「ええ……あと家族とかも」

少年「じゃ、カカオは?」

少女「カカオは……やってません」


 【 LINE 】
 利用者同士でチャット、通話ができるアプリ。スタンプ機能やその簡便性から中高生を中心に爆発的な広がりを見せた。
 しかし、IDを知るだけで連絡を取り合うことが出来るという特性から、ネット上で見知らぬ人間同士の繋がりが増え、
 同時に未成年者を中心としたトラブルも増加。配信側がその機能に年齢制限を設ける等の対策に乗り出すまでになった。
 最近ではメールアドレスを利用したセキュリティホールを突かれた「乗っ取り」が問題となっており、ギフトカード詐欺、
 ハッキングサイトへの誘導等のトラブルが頻発している。
 驚くことに、これらのトラブルが取沙汰されたのは2014年に入ってからであるが、セキュリティホールについては2012年から
 既に指摘する声が上がっていた。現在利用者は世界で5億人を突破している。

 【 カカオ 】
 正式名称はカカオトーク。LINEと同様のメッセンジャーアプリケーション。
 機能的な差異は余り無いが、カカオの場合は登録時点で自動的に電話帳を参照し、
 友人と思われる人間とコンタクトを同期するのが特徴である。

少年「そりゃ良かった。 早速カカオ入れてくれる?」

少女「え……?」

少年「ほら、早く」

少女「え、あ、はい……」

少女(えっと……インストールして、電話番号入れて……) トストストストス

少年「あ、IDとかは今まで使ったことが無い奴にしてね」

少女「え……」

少年「よく、LINEと共通のIDとかにしてる人いるけど、あれ絶対やっちゃダメ。 分ける意味無くなっちゃうから」

少女「はあ……」 トストストストス

少年「それと、設定で友達登録を自動で行わないようにしといて」

少女「はあ……」 トストス

少女「できました」

少年「よし、じゃ、僕のと赤外線で交換して、と……」

少年「送るよ」

 ポン

[ 少年 ] { 届いた? ] 

少女「あ、来ました」
 

 
少年「よし、これが君の『エンコー専用アプリ』だ」

少女「へ? エ、エンコー専用?」
 
少年「そう。 これからシゴト関係の連絡も、客とのやりとりも、全部ソレでするんだ」

少女「は、はあ……」

少年「専用、だからね 間違っても友達とソレで話したり、家族と話したりしないようにね」

少女「あの……素朴な疑問、いいですか」

少年「何?」

少女「何で、わざわざカカオ入れたんですか? 私もうLINE入ってるので、連絡もお客さんとのやりとりも全部LINEですればいいじゃないですか」

少年「うーん、それマズいんだよなぁ」

少女「何でですか?」

少年「あのね、スマホの画面って意外と友達とかが見てるんだよ」

少女「……?」

少年「例えばね、君が友達と話してるとする」

少年「その時、お母さんからLINEのメッセージが届く。 君は『あ、ちょっとゴメン』と言いながらスマホを操作する」

少年「で、LINEって、イジってる時に『どんな人』から『どんなメッセージ』が届いてるのかチラッと映ることあるよね?」

少年「その時、友達の目に『今夜3万でどう!?』とかいうメッセージが目に入ったらどうする?」

少女「……絶対エンコーしてる、って思われます……」

少年「だろ? だから、アプリで分けるんだよ  人前で開くのはLINEだけ。 カカオの方は絶ッッ対に人前では開かない。 ね?」

少女「なるほど……」

少年「ま、使い分けるって点では、君に携帯をもう一台渡して、それをエンコー用にしちゃうって手もあるにはあるんだけどね」

少女「!」

少女(ケータイ2台持ち……! 何かかっこいいかも!)

少女「そ、それはダメなんですか?」

少年「ダメ。 どんなに隠してても母親とかには見つかるもんさ。 もし自分の子が見知らぬケータイを持ってたら……問い詰めるだろ?」

少女「そ、そうですね……」

少年「でも、『なんでカカオ入れてんだ』って追及する母親はいない。 OK?」

少女「よく分かりました……」
 

 
少年「さて……あとはネットで募集して……」 ブツブツ

少女「あ……ネットで募集するんですか?」

少年「うん? そだよ。 直接声掛ける方法もあるんだけどさー、あれたまに私服警官とかいるからね」

少年「声かけたら、ソッコーで補導だよ」

少女「……」 ギュッ

少年「流石にマズいっしょ? ネットの方がまだ安心。 ま、最近はサイバー補導とかもあって厄介だけどね……」

少女「サイバー補導?」

少年「ネットでエンコー募集するでしょ。 んでオッサンから返事来るでしょ。 待ち合わせ場所行くでしょ。 オッサンが警察でしたー補導ーってパターン」

 【 サイバー補導 】
 出会い系サイトや掲示板等で援助交際や下着の売買といった未成年者による書き込みを見つけた警察が、
 客を装って会いに行き、その場で補導するという手法。その場で補導した未成年者の携帯履歴から、「過去の客」
 が芋づる式に逮捕されることも多い。2014年の上半期だけで220人がサイバー補導されている(警視庁発表)。

少女「でも、実際にネットで募集ってどうするんですか?」

少年「んー、実際見てもらった方が早いかな」 トストス

少年「ほら、これひ●トーークってアプリなんだけど」 ズイ

少女「んん?」

 『佐保です。ホ別WUでゴ本でお願いします。  LineID:~~』

少女「……は?」

少年「あー、えー、そっか、そこからか。 えーと、とりあえず訳すと『エンコーしませんか。ホテル代は別で2万円、ゴム有りで、本番有り、でどっすか?』ってこと」

少女「!!?!」

少年「ま、そこら辺はおいおい覚えてくとして…… こういう出会い系アプリや出会い系サイトを中心に募集してこう」

 【出会い系アプリ】
 「ネット上で友人を作ろう」といった触れ込みで配布されるが、どう考えても利用者の目的は別のところにある。
 前述したひ●トーークは「出会えるアプリ」として一世を風味したが、未成年者の援助交際やそれに伴うトラブルが頻発。
 2013年9月には「エンコー女のフリをして呼び出したオヤジを、4人の男が暴行し現金を奪う」という事件も起きた。
 また、児童買春斡旋の温床となったことも明らかとなり、現在はAndroid版は削除されている。
 現在も利用は可能ではあるが、有名になりすぎたため業者とサクラしかいない現状となっている。
 なお二匹目のどじょうを狙った似たような出会い系アプリが乱立している現状であり、警察と業者のイタチごっこが続いている。

少女「あの……素朴な疑問なんですが……」

少年「何? あ、ウーロン飲む?」 グビグビ

少女「私にも……できるんでしょうか…… エンコー……」

少年「えー? 何? 今更やめるとか言わないでよ?」 グビグビ

少女「だって……その……知らない男の人と、その、エ、エッチなこと……するって……」

少年「大丈夫大丈夫、普通にいつもやるようにやったらいいんだよ」 グビグビ

少女「あの……私……」

少年「何」 グビグビ

少女「処女なんですけど」

少年「ブゥ───── ッ!!!」 

                 
         : i l | | [ つづく ] | | l i :
  

 
───

 ガチャ

少女「ただいま」

 パタパタパタ

少女母「おかえり」

少女「……」

少女母「遅いわよ、最近。 またゲーセンじゃないでしょうね」

少女「……」

少女母「もう、行っちゃダメって言ったじゃない! そんなことしてたら不良になっちゃ……」

少女「お母さん、違うの」

少女母「え?」

少女「……ちょっと、一旦着替えてから」 スタスタ

少女母「うん……」

 ゴソゴソ

少女「……ふぅ」

  スタスタ

少女「お待たせ」

少女母「それで?」

少女「あのね……今、ボランティア部の新しい活動が始まったの」

少女母「ボランティア部? そういえば1年生の時に入ったって言ってたわね…… しばらく名前聞かなかったけど」

少女「うん。 細々とした活動だったからね」

少女(ほんとは名前だけ貸しただけの幽霊部員だけど…… まさかこんなとこで使えるとは)

少女「だからね、最近遅かったんだー」

少女母「でも、どんな活動してるの?」

少女「うーんと、街に出てゴミ拾いとか……それと、部会の話し合いで遅くなることもあるし。 あ、土日もたまに活動入るかも」

少女母「そうだったの……」
 

 
少女「心配かけてごめんね、お母さん」

少女母「いいのよ、ちゃんと理由があるんだったら。 あ、お父さんもうすぐ帰って来るって連絡あったから、帰ってきたら夕ご飯にしましょ」

少女「はーい。 じゃ、それまで部屋で宿題やってるー」

 そう言って少女は2階の自室へ上がって行った。

  パタパタパタ

少女母「……いい子に育ったわねぇ……」


 パタパタパタ

  ガチャ

      バタン

少女「……」

 罪悪感は、全く無かった。

少女「……」

 よくこうも笑顔で嘘がつけるものだと、自分でも驚きだった。
 
少女「……」 ゴロン

 本性、という言葉を少年は使っていた。
 これが自分の本性って奴なんだろうか……?

少女「……」

 いや、違う。
 自分だけじゃない。
 皆、そうだ。
 世の中の皆、多かれ少なかれ笑顔で嘘をつき合って生きてるんだ。
 お母さんも、お父さんも、先生も、友も

少女「……」

 
 少女はほんの1時間前の、少年とのやりとりを思い出していた。

───

少女「ちょっ……大丈夫ですか!?」

少年「ゲホッ! ゴホッ!」

少女「えっと……」

少年「ゴホ……今、なんて?」

少女「え……」

少女「しょ、処女です、って……」 モジ…

少年「……マジ?」

少女「…」 コクリ
 

 
少年「……うーん…… マジか。 マジなのか。 え、あのさ、男と付き合ったことは?」

少女「…………」 フルフル

少年「えーと、付き合ってない男とキスしたり、フェラしたり……」

少女「無いです!」

少年「……ですよね」

 そう言って少年は頭を掻いた。

少年「……参ったな」

少女「……」

 こんなに焦っている彼を見るのは初めてだ、と少女は思った。

少年「あのさ、何でエンコーしようなんて思ったんだよ 処女なのに」

少女「あなたに誘われたからです」

 ピシャリとした物言いに、少年は言い返すこともできず言葉に詰まった。

少年「……あー、何だろ。 今、俺、焦ってるように見えるよね」

少女「いや、ていうか焦ってるでしょ、どう見ても」

少年「うん。 まあ、焦ってる。 でも、何ていうか、プランの変更は余儀なくされたけど、悲観はしてない、とりあえず」

 いちいち言葉を区切った物言いがたどたどしい。
 が、その目はむしろ光を増したようにも思える。
 今まさに頭がフル回転しているのだろう。

少年「うん、大丈夫、オッケ、分かった、なるほど、はいはい。 ってことは、うん、そうか、なるほど」

 脳内でえらいスピードでプランとやらを練り直しているのだろう。
 少女の方をちらりとも見ずに独り言のように呟き続ける。
 一人の世界に入りかけた彼を少女の言葉が引き戻す。

少女「あの、もしもーし」

少年「へ? ああ、はい」

少女「処女だと問題なんですか」

 普通に考えれば、問題はありそうだが。

少年「えーと……問題っていうか。 メリットとデメリットがはっきりしてる」

少女「メリットとデメリット?」
 

 
少年「メリットは、良い意味で希少価値がある。 つまりは君の人気と値段が上がるってこと」

 "値段"という言葉に、自分のことを商品と見ている思考が察せられ少し引っ掛かる。

少女「処女に価値ってあんまりピンと来ませんけど。 だって経験不足ってことじゃないですか」

少年「女を金で買うような奴は自分に自信が無く、かつプライドだけは高いって生き物だ。 処女相手の方が妙な支配欲を満たせるんだよ」

少女「支配欲?」

少年「要は『自分の方が偉い』、『自分の方が凄い』と思ってほしいのさ。 処女相手なら前の男と比べられる心配も無いだろ?」

少女「分かったような分からないような…… それって要するに怖がってるだけなんじゃ……。 自分と他の人を比べられるのを。」

少年「容赦ない言い方するね。 否定はしないけど。」

少女「何にせよ、処女の方が好まれると」

少年「そう」

少女「じゃあ、デメリットは?」

少年「客に処女は出せない。 客は『痛くない処女膜の破り方』なんて知らないだろうし、客と本番した時に、君が痛い痛いって騒いだらそれで客は萎えちまう」

少年「いや、逆にそれで興奮する奴もいそうだな…… いやいやいや、それはそれで問題だ。 二度と客にはしねぇわ」

少女「……えーと、とにかく処女のままで客には出せない、ってことですか」

少年「そ。 そりゃ場合によったら痛くない場合もあるだろうけどさ、そんなん破ってからじゃなきゃ分からないしね」

 【 処女膜 】
 実は膜ではない。
 未経験女性の膣の入り口にあるヒダ。穴を塞いでいる訳ではなく、狭めているだけ。
 平均喪失年齢は18歳(宮崎県)~21歳(大阪府)とされている。(LC調べ)
 破れるときは痛い/痛くない、血が出る/出ない、2回目以降も痛い/痛くない、等は個人差があり感想は一定しない。
 処女膜を破る時に痛みを軽減する方法は①十分に濡らす②一気に(無理せず)奥まで入れる③角度は膜に対し垂直に挿入、等があるとされる。
 何にせよ男側の配慮が不可欠だ。
 ちなみに一番効果があるとされるのは、大好きな人とすること。

 【 処女の価値 】
 「処女の方が良い」「非処女の方が良い」という論争はたびたび巻き起こる。
 両者の意見は、
 処女派:「新品の方が良いのは当たり前」「自分だけのモノにできる」「前の男と比較されたら凹む」「性病の心配がない」「貞操観念がある」
 非処女派:「処女は面倒くさい」「経験があった方が良い」「年齢によるが地雷率が低い」
 などなど、どちらも完全に自分たちのさじ加減である為、結論は出ず平行線である。
 ちなみに、議論に参加せずに「愛があればどっちだって関係無い」と言える人間がどちらも手に出来る世の中である。

少女「え、待ってください、今言ったメリットとデメリットまとめると……」

 メリット→客が喜ぶ

 デメリット→客に出せない

少女「どういうことですか! メリット生かせないどころか私何もできないじゃないですか!」

少年「まあ聞いてよ、良い方法がある」
 

 
少女「良い方法……   ハッ」


   少年『 ぐへへへへ…… 今この場で処女を散らしちまえばいいのさ~ 』 ズズズズ


少女「……バッ」

少年「待った、そのスマホしまって、110番しようとするのやめて、ほんとやめて、何もしないから」

少女「ほんとに何もしませんか……?」

少年「しねぇよ!! ここで君を襲ったって、警察に通報されたら終わるし!! されなくても信頼関係ボロボロで商売どころじゃないし!!」

少女「……で、でも……私みたいなちょっと可愛い子の処女を食えるならこの後どうなったっていいって考えたりしたら……」

少年「微妙に腹立つけど俺は金の方が大事だよ。 今は金稼ぐことしか考えてないの。 せっかく処女っていう希少ブランドを手に入れたのにみすみす捨てる訳ないでしょ」

少女「じゃ、じゃあ……私の処女をどうする気ですか」

少年「どうもしねえよ。 それはむしろキープしたいの。 逆だよ、処女のままで出来るエンコーに切り替えるっつってんの」

少女「そ、そんなことできるんですか? だってエンコーってセックスでお金を稼ぐ……」

少年「ホ本番だけがエンコーじゃない。 本番無しのエンコーだってザラにあるぜ? 風俗だって本番があるのはソープぐらいだろ?」

少女「そこら辺は良く分かりませんが……」

 【 本番無し 】
 エンコーや割り切り(成人による売春はこう言うことが多い)の募集の時に「本番有り/無し」をわざわざ表記することから分かるように、
 セックス以外を売りとする場合も当然存在する。
 その種類は手コキ、フェラ、素股、などなど、場合によっては「パンチラ鑑賞」もあるというのだから驚きだ。
 最も良く見かけるのは「車内フェラ」という形態である。
 客が車で待ち合わせ場所に行き、女を乗せ、人気の無い場所に移動して、そこでフェラだけを行い、金を払うという流れ。
 女としては1回の時間が短く済む為、1日に多数の客を取れるというメリットがある。
 客側は、安い料金で手早くスッキリしたいという場合が多いようだ。
 募集の際は「Fのみ」と表記される。
 

 
少年「それに、そもそも君は本番しなくても稼げると思うんだよ、JKと処女、この二つのブランドを最大限に生かせばね」

少女「そ、それってブランドなんですか?」

少年「そうだよ、JKなんて超人気ブランドだ。 JKビジネスって聞いたことない?」

少女「JKビジネス……うーん、何かニュースで聞いたことあるような…… あれですよね、JKリフレ?とかJKお散歩とか何とか」

少年「それそれ。 あと、他にもJKプロレスとかJKスケッチとかJK占いとかJKコミュニケーションとかJK体育座りカフェとか……」
 
少女「何ですかそれ!?」

少年「そういう商売も大人気だってさー。 信じられるか? JKって付けば何だって大儲けできるんだぜ?」

少女「うーん……男の人ってキモい……」

少年「俺の前でそれ言うかね。 とにかく、JKブランドは凄いの、裏の最強ブランドなの」

 【 JKビジネス 】
 まず一つ一つ解説していく。
 JKリフレ…女子高生が簡易マッサージをサービスする店。『膝枕』『尻枕(仰向けよりうつ伏せの方が料金高)』『ビンタ』『蹴り』といったオプションがある。
 JKお散歩…女子高生と秋葉原の街をお散歩できる、というサービス。食事をおごったり好きな物を買い与えたりエンコーを持ち掛けたり、客によって様々。
 JKプロレス…女子高生にプロレス技をかけてもらうサービス。 一番人気は足で首を絞めてもらう『三角絞め』
 JKスケッチ…指名した女子高生をマジックミラーごしに観察しながらスケッチする。客が女子高生にポーズを要求することも可。どんなポーズでも可。
 JK占い・JKコミュ…女子高生とお話したり悩み相談したり妙な交渉したり
 JK体育座りカフェ…ミニスカの女子高生たちが床に体育座りしている部屋に放り込まれて、ただただ周りを見渡す店。カフェ要素ゼロ。
 ちなみに当然だが軒並み摘発されている。
 JKと名前が付くだけで男心を刺激する何かがあるようで、これらの店は"大繁盛"していたようだ。
 本物の女子高生が働いているのか?という疑問はさておき、未成年者にとっても「割の良いバイト」と認識されている場合が多く、
 これがJKビジネスを蔓延させる原因ともなっている。
 しかし、どれだけ手を変え品を変えようと、『入ってはいけない裏の世界』の仕事である。
 「客の男に写真を撮られ、バラ撒くぞと脅されて、金と体を弄ばれた」「ヤクザに借金を背負わされ、風俗で働くことになった」といったトラブルは驚く程多い。
 店の雰囲気、仕事内容の説明等は極力明るく、合法であるかのように見せられる為、軽い気持ちでやり始め、結果人生を台無しにする若者が後を絶たない。
 忘れてはならないが、こういった店が繁盛してしまうのは、通っては大金を落とす男達がいるからである。
 JKが裏の最強ブランドと言われる所以である。 ちなみに表の最強ブランドは、『巨乳』。

少女「それじゃあ、私は何をすればいいんですか……?」

少年「うーん、今んとこ考えてるのは制服パンチラ手コキかなー。 単価落としても回転率上げれば行けそうだしリピーターも見込めそうだし……」 ブツブツ

少女「……」

少年「ま、細かいとこはおいおい考えていくよ。 とにかく君が経験があんまり無いってことはさっき知ったばっかだからさ、あんまり無茶はさせないよ」

少女「え……で、でも、私、がんばりますよ! もっと色々……」

少年「ダメダメ。 初心者がいきなり張り切ったっていいこと無いの。 まずは何人か経験積んで、様子見。 OK?」

少女「……分かりました」

少年「手コキだって難しいし奥が深いんだからさ。 ま、ゆっくりやろうよ」

少女「はい…」
 

 
少年「あ、それと…… 一つ大事なこと忘れてた」

少女「?  何ですか?」

少年「変装」

少女「へ」


少女母「少女ーっ!」

少女「ひゃあっ!?」

 階段下から、少女母が少女を呼ぶ声が響く。
 急に現実に引き戻されて、思わず全身で飛び上がった。
 
少女母「お父さん帰ってきたわよー! 食事にするから降りてらっしゃーい」

少女「はーい!」

 ガチャ

  スタ スタ スタ スタ

少女「……」

 少女は自分の表情を気にした。
 両親に怪しまれないように、いつもの表情を作らないと。

少女「……」

 が、そこで気付く。

少女(私…… 笑ってる?)

少女「……」

 何だろう。
 
 裏の世界の人間なのに

 決して信用してはいけない相手なのに

 少年と話しているときは、本音で語り合っている、そんな気がするのだ。

                           
    
                              : i l | | [ つづく ] | | l i :

  

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年09月29日 (月) 04:54:53   ID: Xpt7xyk_

ほう

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