真人「……」理樹「どうしたの真人?」 (32)

真人「で、筋肉と物理のどっちがいいんだい?」




時はK.A(筋肉アフター)元年

僕はあの時物理を選んでいたらこうなる事はなかっただろう



全てを巻き込んだ筋肉旋風(センセーション)は留まる所を知らずこの世界は筋肉で包まれた

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このssを友人、井ノ原真人に捧げる


自分なりの筋肉論をまとめて筋肉アフターをここに記す、ネタが分からない人は「筋肉エンド」で検索



城の一室

理樹「ううん……」

理樹(ここは真人が建てたマッスル城の内部にある一室、リトルバスターズのメンバーと二木さん、笹瀬川さん、それとよく分からない金髪の人もここで住んでいる)



食堂

理樹(城と言っても作りはほぼ学校と同じで、変わっている所といえば城の上に丸々学校を置いたお陰で屋上の景色がかなり良くなっているという事ぐらいだろう)

クド「おはよー筋肉なのですっ!」

来ヶ谷「うむ、おはよう筋肉だ」

謙吾「おっ、理樹!今日もなかなか筋肉が様になってるな」

理樹「いやいや謙吾ほどじゃないよ」

理樹(ちなみにクドや来ヶ谷さんの言ったような挨拶をしなかったら不敬罪にあたるらしい)

理樹「皆これからの予定は?」

葉留佳「私は筋肉で仲良くなった佳奈多とショッピングに行きますヨ!」

クド「私はトレーニングジムですっ!」

来ヶ谷「今日は筋肉賛歌の作曲に勤しむとするよ」

西園「私は筋肉牧水の詩をゆったりと読もうと思います」

小毬「プロテインを使ったお菓子作りをやってみるよぉ~」

鈴「今日はモンペチを買いに行く」

恭介「俺は謙吾と共に筋トレだな」

謙吾「ああ。今日は滝に打たれながら三点倒立をやってみようと思う」

葉留佳「ちなみに、そう言う理樹君は?」

理樹「僕は筋肉の最終定理を進めてから真人に会いに行こうかな」

鈴「奴によろしく言っといてくれ」

理樹「分かってるよ」

理樹(真人はこの世界の皇帝となったのでたとえ友人であってもなかなか直接会えない。僕は世界筋肉議会の会長を務めているので望めば直ぐにでも話にいける)

理樹「じゃあ行ってくるよ。さよなら筋肉だ」

「「「また来て筋肉!」」」

廊下

トコトコ

理樹(もう少し説明すると僕はここでは学者として名を馳せている。もちろん筋肉専門家だ)


『では今日は偉人の名言についてだ。「んまっ つぁ ちょぎ!」この意味が分かる奴は手を上げろ』

『はい!マヨネーズをお持ちしました!(天を仰ぎながら)ですっ』

理樹(通りかかった教室から授業が聞こえる。皆熱心だなぁ…)

ガラッ

【寮長室改】

理樹「おはよう筋…ってあれ?二木さん今日は葉留佳さんと出掛けるんじゃないの?」

葉留佳「それは午後からよ。あっ、これ新しい筋肉目安箱に入ってた意見。なんでも男性用大○筋強制サ○ーターの市民の認知度が低いから何とかしろって内容ね」

理樹(二木さんは僕らの筋肉革命を一度は止めた人物で、その度胸と功績を称えて議会の幹部の席を与えられた。ここの生徒同士なので仕事場もやりやすいようにここを配備された)





ッターン

理樹「ふぅ……今日はこの辺にしておこう」

佳奈多「私もそろそろ葉留佳との時間だわ」

理樹「じゃあ僕も真人と会ってくるよ」

佳奈多「ええ、じゃあさよなら筋肉」

理樹「また来て筋肉」

理樹(ここは学校の作りと同じだと言ったけど実は真人のいる場所はこの学校の奥にある最上階行のエレベーターの先にある)


ウィンウィン

チーン

マイク『声紋認証と合言葉を』

理樹「リトルバスターズ最高」

ピーン

マイク『直枝理樹様、こんにち筋肉です』

カチッ

理樹「真人、入るよー」

シーン

理樹「……あれっ?」ガチャ

理樹(返事が無いので不在かと思ったけど扉を開けるとちゃんとそこにいた)

真人「……」

理樹「どうしたの真人?」

真人「……ねぇんだ…」

理樹「えっ?」

真人「……あれが届かねえんだよぉぉーっ!!」

理樹「……えっ?」

続く

うわしまったぁぁ!!KA(筋肉アフター)じゃなくてAK(アフター筋肉)元年だったぁーっ!!


真人「悪い…取り乱しちまったな、よく来てくれた理樹。スポドリかマスエクならあるが…」

理樹「じゃあエクササイザーを貰おうかな」


コポポポ

理樹「それで来ないって何の話さ?」

真人「ああ、俺はここの所よぉ…手紙のやり取りをほとんどした事がねえんだ」

理樹「ああ…確かにちょっと難しいよね」

理樹(皇帝になってからというものの、真人は立ち位置の都合上持ち歩いていた携帯を別の物に変えてしまわなければならなかった。)

理樹(その携帯も僕らのメアドは入れられずもっぱら仕事用だ。元年が定められた今年はこれでも忙しく真人もすっかりまいっている)

真人「送られてくる内容はどいつもこいつも承認メールばっかで一方的な物さ、理樹が来てくれるから嬉しいがそれ以外の奴らとはもう何年もレンズをとっていない様に感じるぜ…くっ」

理樹「真人……」

理樹(ちなみにレンズじゃなくてコンタクトだ)

真人「はぁ……すまねえなこんな事聞かせちまって…でも俺の筋肉もこの調子じゃすぐ萎びるぜ」

執事「直枝会長、そろそろ皇帝にはお仕事の時間が…」

理樹「分かった、また来るよ真人…」

真人「おお……」

理樹(力なく振る彼の鍛え抜かれた腕も今や棒切れの様に頼りなく思えてしまった)

裏庭

小毬「すぴー…」

理樹(小毬さんがだらしなくヘソを見せて寝ていた)

理樹「こりゃ風邪を引いちゃうな…この上着を布団代わりに敷いておこう」

理樹(近付くと小毬さんが持っている物に目が止まった)

理樹「絵本か…二つある」

理樹(『2人はともだち』と『走れメロス』…か。どちらも小毬さんらしい選抜だ)

理樹(僕自身仕事じゃない時は真人ほど忙しくは無いので隣の人を尻目に本を読んでみた)

理樹「見た所カエル君達の友情のお話かな




理樹(……っ!!)

理樹「そうか……もしかしたらコレなら真人を…っ!」

理樹(僕は大急ぎ部屋に戻り、紙とペンを用意し、封筒に『真人へ』と書いた)


裏庭

理樹「小毬さん起きて!」

小毬「ほわぁ…どしたの理樹君…?」

理樹「ぜひこれを書いてほしいんだ!」

小毬「ほぇ…?これって……」



図書室

クド「えーっと…超ひも理論がMN理論とぉ…」

理樹「クドっ」

クド「あっ、グッド筋肉ですリキー!」

理樹「ちょっとこれ書いてくれない!?」

クド「この紙は……あっ!」



理樹(その後もリトルバスターズ全員を回っていった)

葉留佳「なるほど~!それはいいアイディアですナ、理樹君らしいね」


来ヶ谷「ふむ…まあ乗らない手は無いな」


西園「…よいお考えかと。ここに書けば良いのですね?」


恭介「オーケー!他ならぬ真人の為だ」

謙吾「そうとも。とことん馬が合わなかったがここで無下に断るほど薄情者ではない」

理樹「ありがとう…っ!」

ニャーニャー


理樹「鈴っ」

鈴「理樹が来たっ降りろお前達!……ふぅ、どうした?」

理樹「ちょっとここに真人への日頃の気持ちを書いてくれないかな」

鈴「なんでだ」

理樹「真人へ皆の手紙を渡したいんだ」

鈴「手紙?」

理樹「真人は今孤独だ、あのままではいずれ心が折れてしまう。だから皆の手紙をあげて勇気付けたいんだ!」

鈴「そうか…おーまーいーが」

理樹「まだ続いてたんだねそれ…」


理樹(そして皆の思いが詰まった手紙をいつもの真人がいる塔へ届けに行ったがそこで思わぬ障害と出くわした)

理樹「真人が居ない?」

執事「先程東京まで走って行きました」

理樹「どうしてまた東京まで」

執事「実は彼は本格的な改革を行うため本部へおもむきそこで活動を続けるつもりなのです。当分はここへ戻れないかと」

理樹「どうしてそんな重要なことを言ってくれなかったのさ!?僕は会長であり、彼の友達だ!」

執事「だからこそです」

理樹「!?」

執事「皇帝は言いました……」



………

真人「今回の遠近だが…」

執事「転勤です」

真人「今回の転勤だが理樹達には言わないでくれるか」

執事「理由をお聞きしても?」

真人「多分この事を知ったら皆を悲しませるだろうからな…どうせ最近は話しても無い、どこかで誰かと出くわして俺の悲しみが有頂天に達する前に行きたいんだ。

執事「……」

………

理樹「そんな事が…」

執事「今ならまだ間に合います。彼に大事な事を伝えたいとお見受けしました、さあ急いで!」

理樹「……うん。ありがとう!」

執事「御筋肉運を」

prrrrr

理樹「もしもし真人?」

真人「…なんだ理樹か…」

理樹「聞いたよ!今から東京に行くんだって!?」

真人「……ああ」

理樹「どうしてさ!皆は真人が居なくなったら淋しいと思うに違いないよっ」

真人「いいんだ、どうせ俺に連絡一つ寄越さない奴らなんかどうだっていい…俺は今電車待ちだからよ、着たらもう掛けないでくれ」

理樹「じゃあ…もしも連絡が来たら行くのを留まってくれるの?」

真人「ある訳ねえよそんな事…まあ本当に来たら考える」

ブツッ

執事「次の東京行きの電車は20分後です」

理樹「……」コクッ

理樹「手紙良し、財布良し、エクササイザー良し…」



鈴「小毬ちゃんなに読んでるんだ?」

小毬「うんとね、これは『2人はともだち』って本でねぇ…?」


ガチャッ

理樹「…行ってきます…!」

執事「……」

理樹(今はもう主人がいない部屋を後にした)


小毬「がま君は自分の家の前で悲しんでいました、そこへかえる君がやって来たのです」

小毬「かえる君はどうして悲しんでるのか聞きました。するとがま君は言いました『僕は今手紙を待っているんだ。でも誰からもこないからこの時間は一日で一番悲しい時なんだ』するとかえる君は帰った後大急ぎで手紙を書きました、そして…」

鈴「小毬ちゃん、やっぱりこっち読んでくれ」

小毬「こ、こっち?別にいいんだけど…えぇーっとこれは『走れメロス』だね」

小毬「メロスは走った、己の親友の為に濁流にも負けない愛と誠の偉大な力を発揮せんと、力を振り絞り満身の力を足に篭めていくらめっぽう獅子奮迅のごとく走り抜いた」



理樹「はぁ…はぁ…っ!」

理樹(ここから駅まで約15分程度、全力で走ったらまだ間に合うはずだ!)

プープー

理樹「!?」



小毬「ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠を越えた所で一連の山賊が躍り出た」

鈴「そ、それでどうなるんだ……」キラキラ


理樹「そんな…通行止めだなんてっ!」

理樹(目の前の紙には大きく『工事中』と書いてあった、これでは今から回り道をするとなると到底間に合いそうもない)

理樹「……くっ」

小毬「その後、盗賊は倒すもメロスは疲労で倒れた。ああ、メロスよ!今ここで力尽きるとは情けない、愛する友はお前を信じたばかりにやがて殺されなければならぬ。許してくれ我がともよ、私は酷い裏切り者だ。どうともするがよい、やんぬるかな」

鈴「……やんぬる…なんだ?」



理樹(ダメだ…せっかく元の真人に戻そうと思ったというのに真人は今にも遠くへ行ってしまう…これでいいのか……)

キキーッ

恭介「理樹!」

理樹「恭介!?」

理樹(恭介が車の窓から僕を呼んだ)



小毬「その時メロスは水の流れる音を聞いた。すぐさま近寄って満足するまで飲み干すとほうっとため息が出て、夢から覚めた様な気持ちになりました。歩ける。行こう!メロスは消えかかった希望を取り戻した」



理樹「どうしてここへ!?」

恭介「事情は聞いたぜ!」

恭介「駅までだろ?シートベルトをしな、飛ばすぜっ!」

ブロロロロロ



恭介「ここまでだ、切符は買ったな?」

理樹「分かってるよ、ありがとう恭介。」

恭介「礼は間に合ってから言え」


小毬「私の命なぞは問題では無い、死んでお詫び、などと気前のいい事は言ってられぬ。私は信頼に報わねばならぬ…」

恭介・小毬「「走れ理樹(メロス)!」」


アナウンス『駆け込み乗車はご遠慮…』

真人「……」ガタッ



理樹「真人ーーっ!!」

真人「…り、理樹か?」

理樹「ごめん…遅れちゃった!」

真人「全くだぜ、…それは?」

理樹「手紙さ。皆真人のために書いた物だ」

真人「俺に……手紙」

理樹「読んでみてよ」

真人「あ…ああ…」


アナウンス『閉まるドアにご注意下さい』

プシュー

真人「『いつも大きなヒットを打って羨ましいです、いつかのホットケーキパーティーまた開きましょう。小毬』『私も貴方の様なダイナマイトボディになりたいです、また体が大きくなる秘訣を教えて下さい。クドリャフカ』……」

理樹「皆真人の事を大事に思ってるのさ」

真人「……っ」

理樹「真人。どうか僕を殴ってほしい、黄身がこんなになるまで放っておいたんだ。もし殴ってくれないならこのまま手を握る資格すら無い」


小毬「彼は全てを察した様子です邢台に響き渡るくらい精一杯の力を込めてメロスの右頬を殴った、それから優しく微笑むとこう言った」



真人「理樹、俺を殴れ。さっきと同じくらい力を込めて俺を殴ってくれ…俺はいつからかお前らの事を信じちゃいなかったんだ。お前が殴ってくれなきゃ俺だって握手すら出来ない」

理樹「……行くよ!」

バキッ

真人「…っつー!……ありがとう理樹!」

理樹「こちらこそ!」

理樹(僕らは硬い握手をした)

真人「お前らは俺の心に見事打ち勝った、信実ってのは妄想なんかじゃなかったんだ。どうか俺をもう一度仲間に入れてくれ…またリトルバスターズの一員にしてほしいんだよ!」

来ヶ谷「…もとより私達は君が脱退したなど聞いてなかったんだがな」

謙吾「全くだ、部を掛け持ちしてる俺ですら毎日通っている。お前が居なくてどうするんだ?」

理樹「来ヶ谷さん…皆!」

真人「うおぉぉお!俺は!今!猛烈に感動している!」

恭介「じゃあ、いつものアレやるか!」

真人「よしゃぁぁー!皆、俺に合わせてくれっ!それっ筋肉いぇいいぇーいっ!筋肉いぇいいぇーい!」

理樹「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」

クド「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」

西園「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」

来ヶ谷「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」

謙吾「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」

恭介「筋肉いぇいいぇーい!筋肉いぇいいぇーい!」

理樹(それを小一時間ほど続けていると小毬さんと鈴が遅れてやって来た)


小毬「こっちですよー!」

佳奈多「ええ分かってるわ…」


真人「いぇいいぇー……お?」

佳奈多「……」

真人「ど、どうしたんだよ風紀委員長…?じゃなくて今は幹部か…」

理樹「真人、君は今覚醒したじゃないか。きっと二木さんは生まれ変わったリーダーに直ぐお祝いの言葉を捧げられなくて口惜しいんど」

真人「ふっ…なるほどな」

佳奈多「……んな訳ないでしょうが!!」

真人・理樹「「!?」」

佳奈多「やっと洗脳が解けたのかしらないけどこんなバカバカしい事に付き合ってた自分が恨めしいわ!あんた達筋肉だの何だの言って勉強を疎かにしてたけどそこら辺はどうなのよ!?テストの結果見たわ、2人とも物理がボロっボロね、最低よ…。最低」

理樹「うっ…」

真人「でも俺は筋肉が…」

佳奈多「黙りなさい!今は物理の勉強よっ!私が特別に指導してあげるから覚悟しておきなさい…さあ早く帰るわよっ」

真人「う、うをぉおおおお!!!」



理樹(こうして世界は物理で包まれ、元通りとなった……)



後日

真人「ふあぁぁあ~……」

理樹「今日もいっぱい寝たね…」

真人「おっ、もう休憩時間か…何すっかな~」

理樹(僕はどうしようか)


1.屋上へ
2.さすらう
3.真人と遊ぶ


ピッ


終わり

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