真人「理樹!そんなことよりID腹筋でもしようぜ!」
>>1お前は俺の心をもてあそんだ
恭介「あぁ、そうだ。それを学内で売って、我らがリトルバスターズの資金源とする」
理樹「さすがにそれは……」
恭介「理樹、今度の卒業旅行に行けなくなってもいいのか?」
理樹「いや、それはもちろん行きたいけど、そのためにみんなをダシにするっていうのは……」
謙吾「俺も理樹の意見に賛成だ。写真集はやりすぎだぞ、恭介」
恭介「ほう……お前までたてつくのか、謙吾」
恭介「だが、これを見てもそう言っていられるか……?」スッ
謙吾「こ、これは……!」
謙吾「西園の水着写真……ッ!? お前、どこでこんなものを……!?」
恭介「ある伝手からな……詳しくは企業秘密だが」
理樹「企業って……」
謙吾「……っ」ゴクリ
恭介「さぁ、謙吾……どうする? 写真集には、この西園のグラビアフォトシリーズも収録予定だぞ」
謙吾「し、シリーズだと!?」
恭介「あぁ、実にバリエーション豊かだぞ。あんなものや、こんなものまである」
謙吾「み、見せてくれ!」
恭介「あぁ、もちろん……だがそれは、写真集が完成した暁に、だ」
謙吾「ぐっ……!」
理樹「謙吾、まさか……」
謙吾「理樹、やるぞ! 写真集を俺たちで完成させる!」
理樹「やっぱり……」ガクッ
恭介「おい、真人。お前も筋トレしてないで俺たちの会話に加われ」
真人「フッフッ……俺は、フッフッ……他人の筋肉なんかには、フッフッ……興味ないんでね……ッ」
恭介「……」フム
恭介「お前が望むなら、初回限定スペシャル袋とじとして、お前の筋肉写真を収録してやることもやぶさかではないが?」
真人「……!」ピクッ
真人「俺の筋肉が……袋とじに……?」
バッチーン!
理樹「っ! 真人のエキスパンダーが……!」
真人「やってやろうじゃねえか! 俺の筋肉をこの世界に知らしめるいいチャンスだ!」
真人「なぁ、理樹?」
理樹「う、うん……そうだね」
恭介「それじゃ、さっそくだが働いてもらうぞ」
理樹「あの、僕まだやるって言ったわけじゃ……」
恭介「謙吾はまず、笹瀬川に許可を取りに行ってくれ」
謙吾「笹瀬川? だがあいつはリトルバスターズのメンバーじゃ……」
恭介「我がチームの宿命的ライバルとして、別枠のコラムを掲載する予定なんだ」
理樹「もうなんか何でもアリだね……」
謙吾「わかった。だが、なぜ俺なんだ? 俺はあいつと話したことなんてほとんどないぞ」
恭介「察しろ、謙吾」
謙吾「? まぁいい。行ってくる」
恭介「あぁ、頼んだぞ、謙吾」
スタスタ...
恭介「真人と理樹、お前たちにはこれからメンバーのところへ行って許可を取ってきてもらう」
理樹「なんで僕と真人は一緒なの?」
恭介「真人ひとりに行かせたら、変態呼ばわりされて即通報だろ」
理樹「たしかに」
真人「おい、お前らさりげなくひどいこと言ってねえか」
恭介「誰から当たるかはお前たちに任せる。最終的には全員分を掲載するつもりだからな」
恭介「まぁ最初はフォーミングアップに、許可が出やすそうな神北辺りが妥当じゃないか?」
理樹「そうだね」
真人「それじゃ行くか、理樹」
理樹「うん」
スタスタ...
恭介(頼んだぞ……お前たち。ミッションスタートだ!)
理樹「小毬さんはどこだろう……?」
真人「さぁな。まずは教室に行ってみようぜ」
理樹「そうだね」
ガララ...
理樹「……いないね」
??「やはー、理樹君!」
真人「てめえは! 埼玉銘菓!」
??「誰が十万石饅頭か!」ペシッ
理樹「三枝さん、どうしてここに?」
葉留佳「いやぁ、誰かにイタズラしかけようと思ったんだけどいなくってさー」
真人「またおめえは性懲りもなく……」
葉留佳「やはは、それが私の生きがいなのですよ」
理樹「うーん……」
理樹「この際だから、先に三枝さんにお願いしてみる?」コソコソ
真人「あぁ、こいつならコロッと騙されてくれそうだしな」コソコソ
葉留佳「あのー、なに二人でこそこそおしゃべりしてんの?」
理樹「い、いや! 別になんでもないよ!」
葉留佳「ふーん……」
理樹「それより三枝さん、ちょっと相談があるんだけど」
葉留佳「なになに?」
理樹「実は、リトルバスターズの写真集を作ることになったんだけど、そのモデルとして出てくれないかなぁって」
真人「って、ド直球かよ、理樹!」ヒソヒソ
理樹「だってしょうがないでしょ! 嘘いうわけにもいかないし」ヒソヒソ
葉留佳「私が……モデルに?」
理樹「う、うん! 三枝さんスタイルもいいし、きっといいモデルさんになれると思うんだ」
真人「スタイルいい……? 俺の筋肉の方が……」
理樹「真人は黙ってて!」グイッ
理樹「ど、どうかな?」
葉留佳「え……い、いやぁ! そ、そんなの無理だって!」
理樹「え、どうして?」
葉留佳「だ、だって私……胸も小さいし、体も貧相だし……男っぽいって言われるし」
葉留佳「そ、そんな私がモデルとか……! それこそお笑い草だよ!」
葉留佳「三枝だけにね! やはは……」
理樹「……っ、そんなことないよ! 三枝さんは十分魅力的だよ!」
理樹「もちろん、女性として!」
理樹(って、何を口走ってるんだ僕は……!///)
葉留佳「あ、あの……理樹君、声大きすぎ……///」
理樹「あ、ごめん……でも、今のは本心だよ」
葉留佳「……ぅ、そ、そういってくれるのは……素直にうれしい、かな///」
理樹「そ、それじゃあ」
葉留佳「う、うん……理樹君がどうしてもっていうなら、引き受けてあげても」
真人「よっしゃあ! やったぜ、理樹! まずは一匹目だ!」
理樹「そんな、逃げ出した動物を捕獲して回ってるんじゃないんだから……」
葉留佳「そ、それで……私はどうすればいいのかな?」
理樹「えーっと、どうすればいいんだろう?」
葉留佳「へ?」
理樹「あぁ、ごめん! 今、恭介に確認するよ」ピッピッ
prrrrrr...ガチャ
恭介『どうした、理樹』
理樹「あ、恭介? 今三枝さんからオッケーもらったとこなんだけど、どうしたらいいの?」
恭介『やるなぁ理樹、もう一人目か』
理樹「うん、まぁ大したことはしてないつもりだけど」
恭介『それでもすごいじゃないか。俺は誇らしいぞ』
恭介『三枝には部室に来るように伝えてくれ。他のメンバーについても同じように頼む』
理樹「わかった、部室だね? それじゃ切るよ」
恭介『あぁ、健闘を祈る』ピッ
葉留佳「部室に行けばいいの?」
理樹「うん、恭介が待ってると思うから」
葉留佳「わかったよ。じゃ先に行って待ってるね」
理樹「うん、僕たちもすぐに行くから」
葉留佳「じゃーねー!」ブンブンッ
真人「さてと、理樹。次はどうする?」
理樹「今度こそ、小毬さんを探そう」
真人「他に目星はあるのか?」
理樹「うーん、とりあえず屋上かな」
ガチャ
「今日~は ステキな お菓子の日~♪」
「は~い、鈴ちゃんの分」
「ん……ありがと、こまりちゃん」
理樹「……鈴もいるみたいだね」コソコソ
真人「都合がいいじゃねえか。二人まとめてゲットしてやるぜ!」コソコソ
理樹「だから、動物じゃないってば」コソコソ
スタスタ...
真人「よ、神北に鈴!」
小毬「あれ~、真人君に理樹君だ~」
小毬「どうしてこんなところに?」
鈴「……なにしにきた、お前たち」
理樹「ま、まぁまぁそういきり立たないで」
鈴「……怪しい」ジトッ
理樹「あ、怪しくないよ! ねぇ、真人?」
真人「おめえら二人とも、自分の筋肉を世の中に知らしめたくはねえか?」
小毬「ふぇ?」
鈴「……何を言ってるんだこのバカは」
理樹「ま、真人! いきなりはまずいって!」ヒソヒソ
真人「なんでだよ、さっき理樹だって三枝に同じように言ってたじゃねえか」
理樹「全然同じじゃないよ!」ヒソヒソ
理樹「ていうか、僕たちのこと警戒してる鈴がいるんだから、少しは話を濁さないと」ヒソヒソ
真人「で、でもよぉ……」ヒソヒソ
鈴「……お前たち、ジャマだから帰れ」
小毬「鈴ちゃん、お客さんにそれは失礼だよ~」
鈴「で、でも……」
小毬「理樹君に真人君。二人もお菓子どうですか~?」
理樹「あ、それじゃいただこうかな」
真人「お、うまそうじゃねえか。もーらいっと」ヒョイ
鈴「あ、それあたしのだ! 返せ!」シャー
小毬「け、喧嘩しないで~。まだまだたくさんあるから」
鈴「くっ、こいつ……」
真人「~♪」モグモグ
小毬「それで、さっきの筋肉がどうとかって何の話~?」
理樹「あ、それはね……」カクカクシカジカ
------------------------------------
小毬「えぇ~! 私と、鈴ちゃんが写真集に~!?」
理樹「うん」
鈴「シャシンシュウ……?」
真人「己の肉体を写真に収めて本にしたもんだよ」
理樹「び、微妙に意味が違うかな……」
小毬「写真集っていったら、よくアイドルの人とかが出してる~……」
理樹「そうそう、そんなイメージのやつだよ」
鈴「あ、アイドル!?」
理樹「って言ってもそんな大げさなものじゃないよ。制服のままでいろんな角度から写真を撮るだけだと思うから(たぶん)」
鈴「い、いろんな角度から……」ポワンポワン
鈴「や、やるかそんなもん! 変態が!」
理樹「い、痛いって! な、なにを想像したのか知らないけど絶対に違うから!」
小毬「私はちょっとやってみたい~。アイドルって少し憧れだったんだ~」
理樹「そ、そう? ならよかったよ」
真人「もちろん鈴もやるよな?」
鈴「やるかボケ!」
小毬「えぇ~、鈴ちゃんも一緒に写真に写ろうよ~」ダキッ
鈴「ふ、ふにゃ……///」
小毬「鈴ちゃ~ん」
鈴「や、やめろぉ~///」
理樹(こ、これはこれですごくいい絵になるな……)ドキドキ
真人「で、やるのかやらねえのか」
鈴「……こ、こまりちゃんがそこまで言うなら」ボソッ
理樹「あ、ありがとう! 鈴!」
真人「これで三匹ゲットォ!」
小毬「三匹って~?」
理樹「あ、いやなんでもないよ! あはは……」
理樹「それじゃ、部室へ行っててくれるかな? そこで恭介が待ってると思うから」
鈴「も、もしかしてあのバカ兄貴が撮るのか……?」
理樹「うん、そうだと思うけど……」
鈴「……っ、やっぱやめる!」
小毬「そんなこと言わないで~。ほら行こ~、鈴ちゃん~」
鈴「は、はなせ~!」
バタンッ
真人「さーて、次はどうする?」
理樹「そうだね、次はクドがいいんじゃないかな」
真人「たしかに、あいつならチョロそうだもんな」
理樹「よし、それじゃ行こう」
------------------------------------
スタスタ...
理樹「……どこにもいないね」
真人「あぁ、校舎はほとんど回ったはずなんだがな」
理樹「もしかして中庭かな?」
真人「よし、行ってみるか、理樹」
理樹「うん……って、あの二人は」
謙吾「……あぁ、写真集のモデルになってくれないか?」
佐々美「わ、わたくしがモデルに……!?///」
佐々美(ど、どうして宮沢様がわたくしにこのようなことを……?)
佐々美(はっ! もしかして写真集というのは口実で、実は宮沢様がわたくしの写真を欲しいだけでは……)
佐々美「……!///」ボフンッ
謙吾「だ、大丈夫か?」
佐々美(ぁあ……宮沢様がこんな近くに……)ドクンドクン
佐々美「……っ! へ、へへへ平気ですわ!!///」
佐々美「し、写真集のモデル……喜んでお引き受けいたしますわ!」
謙吾「本当か! 嬉しいぞ!」
佐々美(あぁ……宮沢様ったら、こんなにも無邪気に喜んで……///)
謙吾「それじゃ、一緒についてきてくれ」
佐々美「え、えぇ……///」
スタスタ...
理樹「……さすが謙吾だね、たいていの女の子なら一発KOだ」
真人「ほんっと、なんであの袴野郎がモテるのか理解に苦しむぜ」
理樹「はは……ところで、僕たちは僕たちでクドを探さないと」
真人「そうだな、中庭へ行くか」
スタスタ...
理樹「あ、いたよ! ……って」
クド「あ、直枝さん! え、え~っと……グ、グッドアフタヌーン、です~」
??「あら、直枝理樹……それにそこのデカいの。何の用かしら?」
真人「デカいのってのは俺のことか? へへ、照れるじゃねえか……」
理樹「ふ、二木さん……君もいたんだ」
佳奈多「あら、いちゃ悪いのかしら?」
理樹「い、いやそんなことはないけど……」
理樹(うわ~……一番会っちゃいけない人に合っちゃった気がする……)
佳奈多「それで、何の用?」
理樹「い、いや……用があるのはクドの方なんだけど」
クド「わふー、私ですか?」
理樹「うん、そうなんだ……だから二木さんにはちょっと……」
佳奈多「あら、私に聞かれたくないことでもあるの?」
理樹「え、ええと……うん、まぁ」
佳奈多「ふーん……」
理樹「……」アセアセ
佳奈多「……いいわ、席を外してあげる。その代り」
理樹「な、なに?」
佳奈多「……校則を破るようなことをしているのなら、すぐにでも生徒会の耳に入ることと思いなさい。いいわね」ギロッ
理樹「あ、はは……校則なんて破らないよ……」
佳奈多「……ふん、それじゃあね」
スタスタ...
理樹「はぁ……すごく会話がすごく疲れる人だ」
クド「どんなことないですよー、二木さんはとてもいい方です! わふー!」
理樹「う、うん……まぁ、悪い人じゃないのは僕も知ってるけど」
真人「それより理樹、クド公にあのこと話さねえと」
理樹「あ、そうだった」
理樹「クド、写真集に興味ない?」
クド「しゃしんしゅー……ですか?」
理樹「うん、クドのいろんな写真を撮ってもらって、そこに載っけるんだ」
クド「わ、私の写真をですかー!?」
理樹「なんならストレルカとベルカも一緒でいいよ。その方がクドには映えるかもしれないし」
クド「ぜ、ぜひぜひやりたいですー!」
理樹「よかった、三枝さんや鈴たちも一緒に載るんだよ」
クド「わふー! それは楽しみです!」
真人「無事、5匹目ゲットだな」
...ガサゴソ
クド「わ、わふっ!」ビクッ
理樹「だ、誰!?」
真人「おい、そこにいるのはわかってるんだぜ。出てきやがれってんだ」
??「や、やめなさい! は、放して!」
真人「お、おめえは……」
理樹「二木さん……?」
佳奈多「あ、あんた! この木偶の坊! さっさと降ろしなさいよ!」ジタバタ
真人「お、おう」ヒョイ
佳奈多「はぁ、はぁ……」
クド「か、佳奈多さん、どうしたんですかー?」
理樹「も、もしかして今の話……」
佳奈多「き、聞いてたわよ! もちろん!」
理樹「あ、あちゃー……」
佳奈多「あ、あなたたち……写真集を作るそうね」
理樹「う、うん……まぁ」
佳奈多「……っ、そ、その……は、葉留佳も載るのよね……?」
理樹「……? そうだけど」
佳奈多「……っ///」
佳奈多「……くら……?」
理樹「え……?」
佳奈多「い、いくらかって聞いてんの!」
理樹「え、ええぇええ!!?」
佳奈多「な、なに驚いてんのよ!」
理樹「い、いや……てっきり生徒会に報告するものだと」
佳奈多「こ、今回だけよ……み、見逃してやるのは……」
真人「……ほほーん」ニヤ
真人「おい、冴えないアシカの姉」
佳奈多「な、なによ」
真人「お前も載ってくれるんなら、その写真集、タダでやってもいいぜ」
佳奈多「なっ……!?」
理樹「ま、真人!?」
真人「しかも姉妹でツーショットもたくさん撮ってやろうじゃねえか」
佳奈多「……っ」ゴクリ
クド(か、佳奈多さんの心が揺れ動いていますですー!?)
佳奈多「し、仕方ないわね……」プルプル
佳奈多「い、いいわよ! 引き受けてあげる!」
真人「おしっ!」グッ
佳奈多「そ、その代りこのことは葉留佳には内緒よ!」
真人「わかってるわかってる、毎度」ニカッ
理樹「はは……まぁ、怪我の功名ってやつなのかな?」
理樹「それじゃ、クドと二木さんは先に部室に行ってて」
佳奈多「わ、わかったわ。クドリャフカ、行きましょう」
クド「はいですー!」
ワンワンッ
理樹「ナイスだったよ、真人」
真人「へへ、理樹にばっかり頼りっぱなしってのもアレだったからな」
理樹「それじゃ次はどうしようか」
真人「次って言っても、残るは西園とライライ谷の2匹だけだろ?」
理樹「うん。でも、どっちも手強そうなんだよね……」
真人「たしかになぁ……」
理樹「ちょっと、恭介に相談してみようか?」
真人「そうだな」
理樹「……」ピッピッ
prrrrrr...ガチャ
恭介『俺だ。どうした、理樹?』
理樹「あ、恭介。どう? メンバーは集まってくれてる?」
恭介『あぁ、大量も大量だ。お手柄だぞ』
理樹「そのことなんだけど、後は来ヶ谷さんと西園さんだけなんだ」
恭介『ほう……なかなか難しそうな奴が残ったな』
理樹「うん……だから、少しでも恭介のアドバイスが聞けたらと思って」
恭介『ふむ……まずは西園、こいつはやっかいだ』
理樹「ど、どうしてそう思うの?」
恭介『なにより主体的でない。写真の被写体に自らなろうとするタイプではない』
理樹「たしかに」
恭介『そして、弱みがない。まぁ、理樹が耳元で甘く囁けばイチコロかもしれんがな』
理樹「そ、そんなのイヤだよ!」
恭介『まぁそれはひとまず置いておくとして……最後の難点が、科学部親衛隊だ』
理樹「あぁ……あの人たちね」
恭介『あいつらをどうにかしないことには、西園とコンタクトをとることすら不可能だ』
理樹「そ、そこまでではない気がするけど……」
恭介『そこで、そっちに謙吾を派遣することにした。真人と協力して、奴らを蹴散らしてもらえ』
理樹「そんな物騒な……」
恭介『理樹! お前がそんなんでどうする!』
恭介『お前は西園の萌え~なコスプレ衣装姿を見たくないとでも言うのか!』
理樹「え、いや……その……///」
恭介『見たいだろう、そうだろう! なら心を鬼にするしかないんだ、わかったな?』
理樹「う、うん」
恭介『来ヶ谷に対してのアドバイスはまた後でだ。それでは幸運を祈る』
理樹「わかった。ありがとう、恭介」ピッ
真人「なんだって?」
理樹「謙吾がこっちへ来るみたいだ。それまで待とう」
理樹「次のターゲットは……西園さんだ」
タッタッ
謙吾「すまない、待たせた」
真人「おせーぞ、謙吾」
理樹「それじゃ作戦を言うよ」
理樹「まず真人ひとりで西園さんにコンタクトを図る」
真人「おう」
理樹「そこで、すかさず親衛隊が現れると思うから、その人たちを謙吾が横から叩く」
謙吾「なるほどな」
理樹「その隙に、僕が西園さんをなんとか説得する。これでどうかな?」
謙吾「いい作戦じゃないか」
真人「俺は理樹に従うぜ」
理樹「ありがとう……それじゃ、ミッションスタートだ」
真人「お~い、美魚っち~!」
美魚「……?」
真人「よぉ、元気か?」
美魚「……誰ですか?」
真人「うぉ、ひでえ! 俺だよ俺! 真人っちだよ!」
美魚「……」
真人「……」
美魚「……あぁ、井ノ原さん。そういえば今朝も会いましたね」
真人「おぉ、思い出してくれたか!」
真人「ふぃ~、まったく冷や汗もんだったぜ」
ゾロゾロ...
真人(へっ……きたか)
親衛隊A「おい、そこのお前。西園さんになに気安く話しかけてるんだ」
真人「なんだよ、同じ部活のメンバーが話しかけちゃいけねえのかよ」
親衛隊B「……っ、お、お前は怪しすぎるんだ。二度と西園さんに近づくな」
真人「ったく、ちっとばかし人より筋肉が目立つからってこの扱いかよ……」
真人「仕方ねえ……やってやろうじゃねえか!」
親衛隊C「くっ……こいつ、やる気だぞ! かかれ!」
親衛隊「「「「おー!!!」」」」
真人「上等だァ! まとめてかかってきやがれ!」
親衛隊A「容赦するな! ペットボトルレーザー砲、射出用意!」
ガシャコン!
親衛隊A「発射!」
??「させるかーーーー!! マーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!」
バシィィンッ!
親衛隊「「「「ぐぇっ!!!」」」」
真人「へっ、かかりやがったな!」
親衛隊D「くそ……誰か、西園さんを……」
謙吾「……お前の相手は、この俺だ」
親衛隊D「ひぇえええええええ!!」
理樹「……西園さん、こっちへ」
美魚「……直枝さん?」
スタスタ...
理樹「ごめんね、こんな手荒な真似しちゃって」
美魚「いえ、むしろ鬱陶しかったので助かりました」
理樹「あはは……やっぱりそうだったんだ」
美魚「……それで、なにか私にご用ですか?」
理樹「そうだった……あのね、西園さん」
理樹「……写真集のモデルになってみない?」
美魚「お断りします」
理樹「ぇ……」
美魚「……」
理樹「えーっと……」
美魚「お断りします」
理樹「……」
理樹「そ、そんなこと言わずに……」
美魚「直枝さんは私に写真集のモデルになってもらって、どうしたいんですか?」
理樹「い、いやそれは……」
美魚「私に萌え~なコスプレ衣装を着させて、あらぬ妄想を掻き立てるのでしょう」
理樹「ち、ちが……」
美魚「どうしようもない変態ですね。軽蔑します」
理樹「……」ガクッ
美魚「……」
理樹「……」
美魚「……冗談です」
理樹「そういうのやめてよ! 本気にするから!」
美魚「でも、モデルにはなりたくありません」
理樹「そんな……どうしてもダメ?」
美魚「ふむ……そうですね」
美魚「その写真集に棗×直枝、宮沢×直枝、井ノ原×直枝……の濃厚な薔薇写真も収録するというのでしたら、引き受けます」
理樹「そ、そんなのイヤに決まってるでしょ! ていうか、なんで全部僕が受けなの!?」
美魚「じゃあ最後のはいらないです」
理樹「そういうことじゃないから!!」
美魚「……それでは、この話はなかったということで……」
理樹「……っ、ま、待って待って!」
美魚「……やってくださるんですか?」
理樹「ど、どんなことをすればいいの……?///」
美魚「えっとですね……」コソコソ
理樹「……///」カアァ
美魚「……みたいな」
理樹「そ、そんなのできるわけないよ!!///」
美魚「じゃあ交渉は決裂ですね……」
理樹「ぐぐ……」
理樹「わ、わかったよ! やるから!」
美魚「……ふふ、よかったです」
理樹「だ、だけどさ……っ」コソコソ
美魚「はい」
理樹「これは……その……じゃなくて……///」コソコソ
美魚「ふむ……ふむ……」
理樹「……こうして……にしてよ。……わ、わかった?///」
美魚「ええ、その程度でしたら」
理樹「うぅ……どうやって恭介たちに事情を説明しよう……」
美魚「大丈夫です、私からすべて伝えますから」
理樹「ぜ、全然大丈夫には思えないよ……」ガクッ
美魚「それでは、お先に失礼しますね」
理樹「うん、部室に恭介たちがいると思うから」
美魚「わかりました、それじゃ」
スタスタ...
理樹「やっと残り1人か……なんだか今回のでどっと疲れたよ」
謙吾「お疲れ、理樹」
理樹「あ、謙吾に真人」
真人「西園は大丈夫だったか?」
理樹「うん、なんとかね……」
謙吾「それじゃ、残るは……」
??「私か? 少年とバカ二人」
理樹「く、来ヶ谷さん!?」
来ヶ谷「ごきげんよう」
真人「ったく、どっからともなく現れやがって……」
来ヶ谷「あれだけ大騒ぎしていたんだから、見つからない方がおかしいだろう?」
謙吾「たしかにな。ところで、さっきの言いぶりからして俺たちのやっていることはすでに……?」
来ヶ谷「あぁ、どうやらとても愉快なことをしているらしいな」
理樹「別に言うほど愉快なことじゃないけど……」
来ヶ谷「そうか? 私もぜひ混ぜてほしかったんだが」
理樹「え、ほんと!?」
来ヶ谷「もちろん、メンバーを集める側としてな」
理樹「だ、だよね……」ガクッ
謙吾「そう落ち込むな、理樹。俺に任せろ」
理樹「謙吾……」
真人「謙吾が竹刀を床に置いて正座に……」
謙吾「……来ヶ谷、頼みがある」
姉御「まぁ、聞くだけ聞こう」
謙吾「……どうか、俺たちの作る写真集のモデルになってくれ! 頼む!」ザッ
理樹(け、謙吾が土下座……!?)
真人(あ、ありえねえ……!)
謙吾(こ、これも……西園の写真を拝むためだ……ッ!)
姉御「……却下だ」ズカッ
理樹(し、しかも断られた……!)
真人(その上、土下座の姿勢のまま椅子にされてんぞ!)
謙吾「ぐっ……」
姉御「私がモデルだと? ありえないな」
姉御「どうせこの学校にはびこるゲスどもの妄想の種にされるのがオチだ。そんなことに私は加担したくはない」
理樹「い、言ってることはもっともだけど……」
理樹(それ、来ヶ谷さんが言えたことじゃないよね……?)
姉御「神北君たちのあられもない姿を写した写真が拝めないのは非常に残念だが、それも仕方ない」
理樹「……」
姉御「君たちも即刻手を引くんだな。教師たちの目に入る前に」
真人「ちっ……ここまでいわれちゃ、もうどうしようもねえか」
理樹「……っ」
理樹「ってなんでそんなもん持ってるのさ」
真人「そんなことはどうでもいいとして、どうだ 買うのか」
理樹「……ま、待ってよ。来ヶ谷さん」
来ヶ谷「……なんだ、少年」
理樹「ぼ、僕たちは……たしかに最初は、女子メンバーたちの写真を収めることが目的だった」
理樹「でも、どういうわけか……僕や真人、それに謙吾だって写真集に掲載されることになったんだ」
姉御「……ほう」
謙吾「お、俺もか!?」
理樹「う、うん……まぁね」
理樹(あえて、どういう形でとは言わないけど……というか言いたくないけど)
理樹「だから、この写真集はもうすでに『リトルバスターズ女子の写真集』じゃないんだ」
理樹「『リトルバスターズメンバー全員の、思い出の写真集』になってるんだよ!」
来ヶ谷「……思い出……」
理樹「だから、メンバーが一人でも欠けたらそれは完成とは言えない……」
理樹「来ヶ谷さんが写ってくれないと、ダメなんだ!」
来ヶ谷「……っ」
理樹「だって、来ヶ谷さんは僕たちの仲間なんだから!!」
真人「理樹……」
謙吾「り、理樹……(重い……っ)」
来ヶ谷「……」グスッ
理樹(来ヶ谷さんが……泣いてる?)
来ヶ谷「……っ……少年、君も口がうまいな」
来ヶ谷「いいだろう、私もその写真集のモデルとして参加してやる」
来ヶ谷「ただし、販売はなしだ。いいな?」
理樹「……うん、そうだね」
理樹(恭介もきっと、わかってくれる……)
来ヶ谷「それでは、行くとするか。みんなを待たせてしまっているのだろう?」
理樹「そうだね」
真人「おし、行くぞ!」
謙吾「ぐっ……こ、腰が……」
ワイワイ...キャッキャッ...
来ヶ谷「なにやら楽しそうな声が聞こえるな」
ガラッ
小毬「あ~、唯ちゃんだ~」
来ヶ谷「待たせたな、諸君」
理樹「恭介、これで全員そろったよ」
恭介「おお、でかしたぞ理樹!」
理樹「と、ところで恭介……」
鈴「い~~~や~~~じゃ~~~!」ジタバタッ
佐々美「な、棗鈴! 少しはジッとしなさいですわ!」
葉留佳「鈴ちゃんを押さえろ~~っ!」
佳奈多「ちょ、葉留佳! 服が乱れてるわよ!」
小毬「恭介さ~ん、私とクーちゃんも撮ってくださ~い」
クド「べ、ベルカ! くすぐったいのですー! わふー!」
理樹「……そ、想像以上にカオスなことになってるね……」
恭介「あぁ、だがおかげでいい画がいっぱい撮れたぜ」
理樹「そっか、それはよかったよ……あぁ、あとさ」
恭介「写真集の販売のことだろ? 大丈夫。あれは口実さ、口実」
恭介「誰も売りさばこうなんて思わない。みんなの大事な思い出の写真だ」
理樹「な、なんだぁ……」ホッ
理樹「まったく、恭介も素直じゃないよね」
恭介「悪かったな。だが、今は自分の欲するままに写真を撮ってるぜ」
理樹「ははっ、それはよかった」
真人「おし、せっかく全員集まったんだし、集合写真でも撮ろうぜ」
恭介「それはいいな」
謙吾「撮影はさっき捕まえてきた科学部の奴に任せるか」
親衛隊D「……はい、何でも致します」
ちょいメシ
葉留佳「むふふ、かなた~」ムギュ
佳奈多「ちょっ! し、しょうがない子ね、まったく……///」
鈴「ち、近寄るなぁ~!」
恭介「なんだよ、いいじゃないか」ホレホレ
真人「筋肉筋肉~♪ ほれ、神北も」
小毬「き、筋肉筋肉~♪ な、なにこれ恥ずかし~よ~!」
佐々美「み、宮沢様……///」
謙吾「に、西園……その、今度メシでも行かないか?」
美魚「……お断りします」
クド「わふー! こんな大勢で撮ると埋もれちゃいますー!」
来ヶ谷「ふふ……クドリャフカ君、お姉さんの膝の上にくるといい」ポンポンッ
理樹「さ、さりげなくセクハラするのやめようね……」
理樹「あの、オッケーです!」
親衛隊D「それじゃ、いきますよ……ハイ、チーズ!」
パシャ!
こうしてリトルバスターズとしての思い出がまた一つ増えた。
これからも、この写真集には新しいページが加えられていくのだろう。
それは今みたいな何の変哲もない日常の出来事でもいい。
そんな些細なことこそが、僕らリトルバスターズの絆を形作っていくのだから。
ところで、今度の恭介の卒業祝いの旅行、お金はどうしようかな……まぁ、なんとかなるか。
おわり
PS.
美魚「……直枝さん、こっちへ来てもらえますか」
理樹「どうしたの? 西園さん」
ガチャ
恭介「理樹……」
理樹「あ、恭介……って、なんで上半身裸なの!?」
美魚「棗さん、カメラはばっちりです」
恭介「あぁ……心の準備はいいか、理樹」
理樹「え、えっ?」
美魚「ふふ……これはとてもいいものが撮れそうですね」
アッー!
ほんとのほんとにおわり
支援保守ありがとう
即興なんでところどころ粗いのは勘弁してください
リトルバスターズ最高! もっとSS増えろ!
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