理樹「沙耶……アフター?」 (82)
恭介「その後、朱鷺戸沙耶というスパイがタイムマシンで逃げていったらしい…と俺が言ったら信じるか?」
理樹「恭介……僕は信じるよ」
17年前
沙耶「……」パチッ
沙耶「あら…何でまだ私は…?それにここは……」
父「アヤ、目が覚めたかい?」
沙耶「……!」
沙耶「ええ」
父「またいつもの子が来ているよ、多分父さんが思うにあの子はアヤが好きなんじゃないかな?」
沙耶「ふふっ、パトーナーとしてはまだまだよ。それじゃあ行ってきますっ!」
タタタッ
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最近やっと沙耶編のOVAを見れた…今までラストをイマイチ理解出来ていなかったけどOVAと本家、それに公式を見て多分、分かったはずなので沙耶ルートのその後を書いてみる。
これはリトバスのssだけど沙耶が誰だか分からないか人は今すぐリトルバスターズ!EXか18歳未満ならCEを買ってプレイしてもらいたい
沙耶「じゃあ公園に行こっか」
理樹(幼)「うんっ!」
公園
理樹「えいっ」
コロコロ
沙耶「よっと」
ゲシッ
沙耶(過去に戻った……まさか時風…いいえ、棗恭介が本当にタイムマシンを作ってしまったのかしら?)
コロコロコロ
沙耶(そんな事起こるはずが無い、でもあの世界だって作れた彼等なんだからこれぐらいおかしく無いわ。だとしても今いる世界があの世って可能性も否めない訳だけど……)
理樹「おーい!そっち行ったよー?」
沙耶「ああっ、ごめんなさい」
家
沙耶「ううん……」
父「どうしたんだい、今日のスープはお気に召さなかったかな?」
沙耶「そ、そういう訳じゃないわ…」
沙耶(いくら考えても分かるわけないわよこんな超常現象!)
沙耶「でも…」
沙耶(でもここが本当に過去だというならこれから起こることは……)
グラウンド
理樹「ああ、また!」
鈴「なんだお前猫に恨みでもあるのかっ!?」
理樹「はぁぁ……」
理樹(恭介には、ああ言ったけど沙耶は本当に死んでいないのだろうか?たとえ恭介といえどタイムマシンなんてSFじみた物が作れたりなんか……)
ボスッ
理樹「ぶっ」
鈴「すまん…」
恭介「浮かない顔だな理樹」
理樹「き、恭介……」
恭介「……」
理樹(恭介は僕が考えていることを全て見透かすような目でじっと見つめた)
恭介「心配するな、とだけ言っておこう」
理樹「えっ?」
恭介「さあ練習再開だ!」
理樹(あの世界のことは断片的にしか覚えてないけど沙耶と冒険した事だけはハッキリ覚えている)
沙耶「曇ってきたわ…」
父「そうだね、父さんは少し仕事があるから出かけるがアヤはどうする?」
沙耶「……家にいる。今日は大雨になって山の方で土砂崩れになる気がするわ」
父「ああ…あそこは前から危ないと言われていたな、それじゃあ気をつけるよ。いってきます」
沙耶「いってらっしゃーい…」
沙耶(本当はお父さんが私に言うべきだったんだけどね。まあ誰もあんな事になるなんて予想出来なかったんだけど)
ドドドドドーッッ
作業員「大変だ!あっちで土砂崩れが起きている!!」
父「ハッ!」
監督「誰か巻き込まれていないのか!?」
作業員「今確認中ですが今のところ人らしい姿は見えないそうですっ!」
監督「『そうです』じゃない、ほら行くぞ!」
作業員「はい!」
ダダッ
父「ほ、本当に起きた……」
夜
家
バタン
沙耶「お帰りなさい」
父「ただいま…ごめんな遅くなって」
沙耶「いいわよ、そんな気がしてたもの」
父「アヤの言うとおり本当に土砂崩れが起きたよ」
沙耶「やっぱりね…行かなくて良かったわ」
父「何故…そう分かったんだい?」
沙耶「だって私は未来から来たもの」
父「ふふっ、そうだったか」
沙耶「うん!それより晩ご飯まだー?」
父「今作るよ」
沙耶(これで死から逃れたのかしら…?昔見た映画だと目の先の死を回避しても別の方法で何度も死ぬ運命が襲ってきたけども……)
グツグツ
父「そうだアヤ、悪いがまた外国へ飛ぶよ。多分あちこち回るからまた長くなるかもしれない……」
沙耶「ええっ、でも!」
父「本当にごめんな…しかし今度からアヤを危険な目に合わせない為、安全な国しか回らないから……」
沙耶「……うん」
沙耶(多分お父さんはこれでも妥協している方なんだ、本当はまだ紛争地で苦しんでる子達に薬を届ける所を私のために心配して……だからここでわがまま言っちゃいけないのは分かってる。大丈夫よ、生きてる限りきっとまた理樹君に会えるんだから)
沙耶「それで最初はどこへ行くの?」
父「ああ、最初はそう…確かテヴアとかいう所だったかな?あそこは比較的余裕がある方だが……」
理樹部屋
恭介「おっ、それだ」
真人「うああぁぁああーっ!やっちまったぁーっ!!」
恭介「ふっ、まだまだ…倍プッシュだ」
理樹「ドンジャラにそんなルールないからっ!」
鈴「もうすっかり涼しくなってきたな」
謙吾「もう10月か…長いようで短く感じるな」
理樹「そうか…あれからもう何ヶ月も経ってるんだ」
真人「俺もあの頃の筋肉とは格段に違うぜ、試してみるか?」
理樹「どう試すのさ……」
キィーン
アナウンス「4番ゲートでお降りのお客様は~~」
カラカラカラ
父「荷物は全部持ったかい?」
沙耶「ええ…ちょっと空港のコンビニでジュース買ってくるわ」
父「父さんは手続きを済ませてくるから電話してくれ」
沙耶「分かってるってば!」
タタッ
ゴクゴク
沙耶「ぷはっ……」
沙耶(遂にこの時が来たわ。帰ってきたわよ理樹君)
とりあえず今日はこの辺で
朝
理樹部屋
真人「ふあぁあ……おはよう理樹」
理樹「おはよう」
食堂
ガヤガヤ
恭介「悪い、遅れたな」
理樹「珍しいね恭介が寝坊なんて……」
理樹(何故か大きなカバンを担いで来た。まるで今の恭介はバックパッカーだ)
恭介「ちょっと色々準備しててな」
謙吾「準備だと?なんのだ」
来ヶ谷「大方、就職活動のことだろう」
恭介「ご明察。また何日か開けるが元気でな」
理樹「今度はどこまで行くのさ?」
恭介「東京」
葉留佳「いつになく遠いですネ?」
恭介「ああ、実はこれ食ったらもう行くんだ」
謙吾「なにぃ!?」
理樹「ええぇ……」
真人「唐突過ぎんだろ…」
理樹(そう言い終えるとあっという間に恭介は食べ終わった)
恭介「ふぅ….という訳でまたな」
理樹「って本当にもう行っちゃうの!?」
恭介「風の気のままに行くさっ」
ダッ
鈴「忙しい奴だな」
教室
ザワザワ
生徒「おい聞いたかよ…」
生徒2「アタ坊よ!」
生徒3「どんな子かしらっ」
理樹(辺りが騒がしい…一体何の話だろう)
理樹「ねえさっきから何を騒いでるの?」
生徒「ああ直枝、実を言うとだな!おっと…」
理樹(大事な所で担任が来たので話を聞きそびれた、でも何の話なのかはこのあと直ぐに分かった)
生徒2「気をつけ、礼!」
ザッ
教師「さっそく噂になってるようだな。お前達が勘付いているように今日は重要な発表がある」
真人「なんだ?遂に勉強科目に筋肉が追加されるのか?」
理樹「真人しか得しないよね、それ」
教師「今日は転校生が来ている!男子は喜べそれも女だ!」
ウォォォ
理樹「ああ、なるほど……」
教師「さあ出てきて自己紹介してくれ」
ガラッ
トコトコ
理樹「……っ!!」
クド「わふー!綺麗な人ですっ!」
真人「……」チラッ
謙吾「……」コクッ
来ヶ谷「ふむ…」
鈴「……」スースー
生徒「かっ、可愛い……」
教師「じゃあ名前と~~」
理樹(何も言えなかった。本当なら「何で君がここに!?」とか「嘘だ…信じられないなんて何らかのアクションを取るべきなんだろうけど僕はただ空いた口が塞がらなかった…)
カリカリカリ
沙耶「~アヤと言います、気軽にアヤと呼んで下さいっ!」ニコッ
前のレスを訂正
トコトコ
理樹「……っ!!」
クド「わふー!綺麗な人ですっ!」
真人「……」チラッ
謙吾「……」コクッ
来ヶ谷「ふむ…」
鈴「……」スースー
生徒「かっ、可愛い……」
教師「じゃあ名前と~~」
理樹(何も言えなかった。本当なら「何で君がここに!?」とか「嘘だ…信じられない……」なんて何らかのアクションを取るべきなんだろうけど僕はただ空いた口が塞がらなかった…)
カリカリカリ
沙耶「~アヤと言います、気軽にアヤと呼んで下さいっ!」ニコッ
教師「じゃあそこの席に…」
沙耶「はいっ」
放課後
ガヤガヤ
生徒4「ねぇねぇ前はどこに居たの!?」
沙耶「少し前までお父さんと海外の~~」
真人「ふぅぅ~…じゃあ理樹行こうぜ」
理樹「真人は、あの転校生に興味は無いの?」
真人「ん?ああ……」
理樹(真人は微妙な顔になった、もしかして真人も沙耶さんとあの世界で会っていたのか?)
理樹「健吾は?」
謙吾「うむ……」
理樹(謙吾もまた同じ反応だった)
チラッ
理樹(目が合ってしまった)
沙耶「…ごめんなさい、少し用事があるから……」
トトトッ
理樹「こっ、こっちに…」
沙耶「理樹君、久しぶりね」
理樹「……っ」
沙耶「えっ、ちょっといきなり泣かないでよ。ねえってば……理樹…君……うぐっ…」
理樹(実際話しかけられるまで信じられなかった、まさか本当に沙耶が僕の前に戻って来るなんて……。そう思うと急に目頭が熱くなってしまった、僕のそんな姿をみて沙耶も釣られたのか涙がポロポロと落ちていた)
生徒2「どっ、どうした!?」
生徒「なんかよく分からんがいきなり2人が泣いたんだ!」
生徒3「はぁ!?」
ザワザワ
真人「ここは俺の出番だな…」
ガシッガシッ
理樹「えっ!?」
沙耶「なっ!」
真人「行っくぜえぇぇーっっ!!」
理樹(真人が僕らを両脇に挟んで一気に教室を飛び出した!)
理樹部屋
バタン
ドサッ
真人「後は2人でゆっくり話しな、俺は謙吾っちの所へ行ってくるからよ」
理樹「ありがとう真人……」
理樹(真人は普段空気を読めていない様に見えるがこういう時は鋭い)
パタン
シーン
理樹・沙耶「「えっと…」」
理樹・沙耶「「あっ、先にどうぞ!」」
理樹「ふっ…」
沙耶「……ふふっ」
理樹・沙耶「「あははっ!」」
沙耶「はぁ…笑ってたらなんだか落ち着いてきたわ」
理樹「それは良かった」
理樹(普通ならもっと慌てるんだろうけど何故か冷静でいられた。多分僕らは突拍子のない事を何度も経験しているからだろう)
理樹「何から話そうか…」
沙耶「そうね、とりあえず何故私がまた理樹君と会えたのかを話すわ。といっても私自体全てを理解してる訳じゃないんだけどね」
理樹「うん…」
沙耶「最初はまだ夢の続きなんじゃないかと思ったわ…」
17年前
父「さあこれで大丈夫だよ」
患者「~~!!」ペコリ
沙耶「……」ニコッ
沙耶「ただ夢にしてはあまりにも現実的で世界中のどこにでも行けたし、何より彼らがそんなことする意味が分からなかったの」
理樹「……」
沙耶「そして気付けば何年も過ぎていたわ。私もその…タイムスリップする以前の年になったわ」
理樹「それから?」
沙耶「それからお父さんは流石にいつまでもこの活動を同行させるのは抵抗があったみたい。だから日本の全寮制の高校に入学させたわ、図らずともこの高校だったのは驚いたけど」
理樹「そんなことがあったんだ…やっぱり恭介の言ってた事は間違ってなかったんだ」
沙耶「ええ、手続きも含めてこんなに時間はかかっちゃったけどね」
沙耶「今でも理樹君が目の前に居るのが信じられないわ!だけど考えていても分かるはずも無いしとっくに受け入れたわ」
理樹「そう…とにかく沙耶とまた会えて良かった」
沙耶「ええ、私もよ。それにしても貴方浮気してないでしょうね?」
理樹「ええっ!?」
沙耶「この5ヶ月で新しい人が出来ていてもおかしくないわよね、だって誰にだって優しいし、女装したら可愛いし、それに時には男らしいし……って何言わせてんのよ馬鹿っ!!」
理樹(どうも僕の周りの人間は自爆する傾向にあるらしい……)
チラッ
理樹「あっ、もうこんな時間だ!」
沙耶「へっ?」
理樹「そろそろ練習の時間だよっ」
沙耶「ああ、そういえばあんた達そんなことやってたわね……」
理樹「ほら沙耶さんも制服のままでいいからっ!」
沙耶「ちょ、ちょっと!」
グラウンド
トコトコ
真人「おう、遅かったな」
理樹「うん。やっぱり長くなっちゃったよ、ほら沙耶」
沙耶「うう……」
クド「わふー!今日の転校生さんですっ!」
葉留佳「えっ、ドコドコ!?」
理樹「紹介するよ。こちら朱鷺戸沙……」
理樹(違う違う、そういえば何故か名前が変わってるんだった!あとでその辺りも聞いておこう)
沙耶「ア、アヤと言いますよろしく…」
小毬「よろしくねぇ、あーちゃん!」
沙耶「ええ…」
葉留佳「ほほぅ…これはこれは姉御に引けをとらないナイスボデェですナァ」ニヤニヤ
沙耶「ちょっ!どこ見てるのよっ!?」
理樹(さっそく馴染んでいるようだった、これなら……)
西園「所で直枝さん、ここに彼女を連れてきたということは…」
理樹「うん、沙耶もリトルバスターズのメンバーにしようと思ってさ」
沙耶「はぁーっ!?聞いてないわよそんなの!」
来ヶ谷「む?そういえばサヤはあだ名なのかは知らないが少年は呼び捨てなのだな」
理樹「あっ、えっとそれは……」
1.昔の幼馴染だったんだ
2.実は生き別れの兄妹だ
3.婚約者だ
選択権は次のレス
理樹「実は彼女は婚約者なんだ」
鈴「何ィ!?」
葉留佳「さっ、流石理樹君進んでるぅ…」
クド「わふー!学生結婚ですかっ!!」
沙耶「ちょっと来なさい…」
グイ
沙耶「どういうことよ!勝手に引っ張ってきたかと思ったら部に入部って!?しかもこっ、婚約者とか……」
理樹「ごめん、婚約者はぶっちゃけその場のノリだったんだけどリトルバスターズには是非入ってもらいたくてさ」
沙耶「えっ……?」
理樹「ほら、影が襲ってきた時は頭がそれしかなくてゆっくり考えることが出来なかっでしょ?でも今はそんな心配は無いし前は出来なかった事、沙耶をリトルバスターズに入れたかったんだ。皆良い人だし入ってくれたら僕はとても嬉しい」
沙耶「ふっ、しょうがないわね…」
理樹「沙耶…!」
タタッ
真人「あっ、戻って来たぜ」
理樹「ごめん皆!実は婚約者ってのはちょっとしたジョークなんだ」
謙吾「心配するな、そんなこと信じるのは馬鹿しかいない」
クド「ガーン…」
葉留佳「馬鹿とはなんだ君ィー!!」
理樹「それでさ恭介こそ居ないけど沙耶を入団させたくて」
来ヶ谷「うむ、そういう事なら今は理樹君がリーダーなのだし君が好きに決めるといい。」
理樹「ありがとうっ」
鈴「でも一つ忘れてるぞ」
西園「入団テスト……ですか」
沙耶「はっ!」パシッ
ビュッ
来ヶ谷「なかなか良い身体能力じゃないか?」
タタタッ
沙耶「はぁ…はぁ…それでどうって?」
理樹「うん、これは文句無く合格…」
真人「待ちな」
理樹(面倒くさそうな事を言い出しそうな真人が間に通った)
真人「実技は申し分無いが頭の方はどうかな…?」
鈴「お前が一番アホだろ」
沙耶「?」
真人「じゃあ問題だ「今夜はビートイット」のパロディ「今夜はイートイット」を歌ったのは!?」
沙耶「アル・ヤンコビック」
真人「合格だ」
理樹「今の問題頭の良さ関係なかったでしょ!?」
理樹(そんなこんなで今日も練習に明け暮れたのだった……)
夜
理樹(そのあと沙耶と話をして恭介が時風瞬だったこと、沙耶が何故アヤという名前だったのかを教えてもらった。一度に沢山の情報を伝えられて少し戸惑ったけど)
ガチャ
謙吾「ん?今日は鈴が来ていないんだな」
理樹「まあ恭介がいないからね、遊ぶなら全員揃ってやる方がいいと思うんだ」
謙吾「そっか…そうだよな……。皆が一緒じゃないとな……」
理樹(謙吾の背中が凄く寂しかった)
バタン
理樹「それにしても…」
理樹(沙耶の突然の登場と恭介の退場、これはただの偶然だったんだろうか?…しかし今は沙耶との再会を噛み締めておきたかった、そんな事を考えながら今日も夜は更けていく……)
続く
完結完結ってどんだけ信用無いんだよ!?今まで放置した事はないからそこは安心してほしい。ただ俺はあくまでその後を想像して書いているのであってハッピーエンドにしたかったから書くわけじゃない、俺はあの終わり方も良かったと思うが
朝
バクバク
真人「なあ理樹、今日はどっか遊びに行かねえか?」
理樹「そうだね」
沙耶「それ私も行っていいかしら?またゲーセ……服とか買いたいし」
理樹「じ、じゃあ買い物の後ゲームセンターに行こうかっ」
沙耶「えっ、いいの!?」
謙吾「実を言うと今日は俺も暇なんだ」
鈴「お前らも出かけるのか?今日はモンペチの特売日だから小毬ちゃんと一緒に行く約束だったが」
小毬「うんっ、それじゃあ理樹君達と一緒に行きましょ~!」
クド「葉留佳さん、そろそろ枕の殻を変えに行きませんかっ!ちなみにリキ達と偶然同じ道ですが」
葉留佳「よぉーし!」
来ヶ谷「では西園女史、昨日言ってた作者の本だが……」
西園「はい、ですがあの本屋は偶然直枝さん達と同じ道順ですね」
理樹「ぜ、全員で行こうか……」
商店街
鈴「こっちだ」
理樹「モンペチは重いから最後に寄るって言ったじゃないか!」
鈴「何ィ!?」
本屋
理樹(一旦入ると皆思い思いの本を探して行った)
理樹「真人は何を読んでるの?本を読むなんて珍しいね」
真人「ああ…こいつだ」
理樹(本には『真・筋肉を極限まで鍛えろ!完全版』と書かれてあった、なるほどこの中じゃ真人しか読まなさそうだ)
沙耶「でも私は……」
理樹(沙耶が西園さんと何か話をしていた)
西園「つまりその漫画がお好きだったんですね」
沙耶「ええ…恥ずかしながら小説は一度も最後まで読み切ったことが無いの…」
西園「でしたらこんな本なんてどうでしょうか?」
沙耶「これは……ノベル版スクレボ!?こんなのがあったのねっ!」
理樹(なんだかんだで皆と打ち解けているようだ)
服屋
ガラッ
沙耶「ねぇ理樹君!こんなのどうかな?」
理樹「ど、どうなんだろうね…」
真人「すげー似合ってるぜ、かなり大爆笑」
沙耶「絶対心から言ってないでしょっ!ていうか爆笑される様な着こなしなのこれ!?」
謙吾「ほう、理樹に次いでツッコミが冴えてるな」
理樹(そう、沙耶はこのメンバーで数少ない常識人なのだ、これで僕の仕事の2分の1は自然と消費してくれるだろう)
来ヶ谷「はっはっは。とても似合ってるぞ葉留佳君」
葉留佳「うーん…なんだかスースーしますネ」
クド「わふー!せくしぃーなのですーっ!」
理樹「ちょっ、ちょっと来ヶ谷さんなんて格好させてるのさ!?」
来ヶ谷「理樹君も試すか?」
理樹「いやいやいや……」
ゲームセンター
謙吾「真人」
真人「あ?」
謙吾「あれ、やってみないか?」
理樹(謙吾が指差した方向には昔懐かしのパンチングマシーンがあった)
真人「ふっ、俺様に勝負を挑もうってのかい…。いいぜ、受けてたとうじゃねーか」
謙吾「よし来た!」
パンパンッ
小毬「ぞ、ゾンビが襲ってくる~~!」
理樹(一方小毬さんは来ヶ谷さんに無理やり体感型シューティングゲームをやらされていた)
沙耶「あっ……」ウズウズ
理樹「行ってきたら?」
沙耶「……うんっ!」
パパン
来ヶ谷「ふはは!翻弄してやろうっ……む?」
パンパンッ
沙耶「小毬さん!あとは私に任せて!」
来ヶ谷「ふむ…君はこのゲームをやりこんでいるのか?かなり慣れた手付きだが」
沙耶「いいえ、まったく!」パパパンッ
理樹(皆楽しそうだなぁ…)
鈴「理樹、あれやるぞ」
理樹「あれって?」クルッ
ドドドン
理樹「ああ、太鼓のゲームだね。そういえば鈴はゲームセンターあまり行ったこと無かったかな?」
鈴「こういうのは得意だ」スッ
バキンッ
真人「あ、余りに力入れ過ぎたせいで折れちまった……」
謙吾「しかし俺の勝ちだな。スコアを見てみろ、0だ」
真人「はぁぁー!?そんなもん認められるかっ!!」
葉留佳「ていうか壊しちゃったこと謝りにいかないと!」
パンッ
『スコアMAX!』
クド「わふー!皆の中で1位なのですっ!」
沙耶「いい戦いだったわ、互角だなんて思いもしなかったけど…」
来ヶ谷「うむ、また用があれば寄るか」
フルコンボ
理樹「ええぇーっ!!」
鈴「まあまあだな」
理樹(鈴の意外な才能を見つけてしまった気がする)
理樹「じゃあそろそろ……」
沙耶「ちょっと待ってあれ…」
理樹「ああ、そういえば好きだったねそれ」
西園「クレーンゲームですか」
沙耶「実を言うと日本に帰ってからこれがしたくて堪らなかったのよね…」
理樹(嫌な予感がした)
ポフッ
沙耶「あっはっは!どうよ私に任せたらどんな子だって思いのままだわっ!」
真人「なんか…こいつも大概だな」
謙吾「ああ……」
理樹「沙耶、そろそろ…」
ポンッ
沙耶「はっ!……ぇーっと、もしかして私待ちだったりする?」
理樹「そうなるかな…」
沙耶「ふっ……ええそうよ」
理樹(来た!)
沙耶「どうせ私は皆が「今日は楽しかったねー」「また来ようね!」とか言ってるなかで1人尋常じゃないテンションでクレーンゲームに勤しんでる空気の読めない残念な子よ、そんなんじゃドン引きも当たり前だわっ!笑なさいよ?笑えばいいわ!アーッハッハッハッって」
沙耶「アーッハッハッハッ!」
理樹「こればかりは真人の言いがかりさえ凌ぐよ…」
小毬「えっと…あーちゃん?クレーンゲーム上手だったし私は見てて楽しかったよぉ~?」
沙耶「うう…せっかく今日はドジ踏まない様にしようとしたのに……ブツブツ」
理樹(小毬さんの決死のフォローも今の沙耶には届かないのであった……)
昼
真人「どっかで飯食おうぜ!」
葉留佳「さんせー!」
理樹「うーんどこがいいかな…」
1.ハンバーガーショップ
2.中華料理屋
3.ファミレス
ファミレス
真人「せっかくだから俺はこの赤のソースを選ぶぜ!」
店員「デミグラスソースですね」
葉留佳「クド公まだー?」
クド「すっ、すいません!ハンバーグも捨てがたいし、このエビフライも美味しそうなので……」
来ヶ谷「ふむ、じゃあこれはどうだ?」
クド「わふー!これなら全部ありますっ、私はこれにするですっ!」
葉留佳「それお子様ランチじゃん!……クド公らしくていいけど」ボソッ
沙耶「じゃあ私はこの真イカのパプリカソース和えと…あとジンジャーエールで」
理樹(物凄い人数で来てるから店員さんには迷惑かけてるなぁ…)
店員「お子様ランチでお待ちのお客様ー?」
クド「あいむひーあー!」バッ
理樹「凄いや店員さんまったく不信感を抱いてないよ」
葉留佳「ふっふっふっ…」
ソロー
理樹「ええっ!?」
理樹(葉留佳さんが真人のコーラに備え付けの醤油を入れた!)
真人「そんで言ってやったのさ『お前はショートケーキの様に甘い奴だ』ってな!」
謙吾「ハハッ!それ本当なのかっ」
真人「ふぅ…喋ってたら喉乾いていたぜ」
葉留佳「きたっ…」
理樹「まっ、真人そのコーラは!」
ゴクッ
真人「んっんっ……あれ、なんか甘い」
理樹「ええぇーっ!?」
葉留佳「本当に!?ちょっと頂戴っ」
真人「あっ、こら勝手に取るな!」
ゴクリ
葉留佳「あっ、本当だ」
理樹「嘘っ!」
葉留佳「マジマジ、理樹君も飲んでみてよ」
理樹(疑いながらも一口飲んでみた)
理樹「あ、甘い……」
真人「だから何勝手に飲んでんだよ!?俺のコーラが減るじゃねーかっ!!」
葉留佳「いいじゃないですカ?真人君はドリンクバー頼んでるんだし」
真人「俺は手間を惜しんでるんだよっ!!」
沙耶「あははっ」
理樹「……」ニコッ
理樹(良かった、どうやら沙耶さんは退屈しなかったようで)
夜
真人「あー…今日は流石の俺も疲れたぜ」
理樹「うん」
真人「だから今日は腹筋50回に抑えるぜ!ふっ…ふっ!」
理樹「僕はもう寝るよ…」
ポチポチ
理樹「今日は楽しかった?っと…」
ピロリン
沙耶『ええ、とても。あのあと皆でメールアドレスも交換したわ』
理樹「それは良かった」
理樹(本当にそう思う、皆が平和に仲良くしていけるのがこんなに幸福な事だと感じることが。もしも影との戦いが無かったらこんなことは思いもしなかっただろう)
真人「…ほっ!ああそれと理樹、明日は午後から大雨らしいから気を付けろよ」
理樹「うん、それじゃあお休み」
理樹(こうして夜は今日も更けていく……)
お休み、今の時点では無いだろうけど質問とかあったら気軽にどうぞ
彼氏はいますか
どうすれば戦争は無くなりますか?
番外編
教室
教師「今日は自習だ、あまり大声を出したり騒いだりしないように」
ピシャリ
真人「マジかよ、ひゃっほーう!」
理樹(今日は物理の教師が病欠だった、代わりさえ居ないからか教室には生徒以外に誰もいない)
ポチポチ
理樹「うわ…恭介まだやってたんだ……」
理樹(『棗恭介の一問一答』前回好評だったのか次々と更新されていた。暇なので少し読んでみる事にする)
P.N>>53
Q.彼氏はいますか?
A.理樹だ。と言いたい所だが理樹は皆の理樹だからな、俺だけ独り占めする訳にはいかない
理樹(次を読み進めてみる)
P.N>>54
Q.どうすれば戦争は無くなりますか?
A.逆に考えるんだ、「何故戦争が起きるのだろうか」と考えるんだ。それ見ろ解決方法が分かってきただろ?
理樹(今回もなかなかハードなお題に答えているなぁ…おっとまだ宿題が終わってないのに読みふけってしまった、今日はこのぐらいにしておこう)
番外編終わり
朝
理樹(窓を覗いてみると昨日真人が言った通り雨が降りそうな雲だった)
真人「じゃあ行こうぜ」
理樹「うん、そうだね」
食堂
鈴「うりゅ……」
理樹(鈴に落ち着きが無かった)
理樹「どうしたの鈴?」
鈴「昨日のモンペチだがスモークサーモン味を買うのを忘れた…」
真人「んなもんどーでもいいだろ」
鈴「よく無い、あれはドルジの大好物なんだっ」
小毬「……」
理樹(なるほど、ドルジの好物であるお目当ての味を買えなかったのが原因だったのか。実に鈴らしい悩みだった)
理樹「でもこの天気予報だと帰りが危ないよ?」
鈴「だからこうして迷ってるんだ」
理樹「うーん…また今度じゃ駄目なの?」
鈴「だがドルジが凄い悲しむ…二律背反だ」
理樹(そんな言葉どこで覚えたんだろう……)
昼
理樹部屋
理樹(結局鈴は諦めたらしい、そこで開き直ったのか謙吾と沙耶の3人で部屋に居座っている)
謙吾「恭介が居ないがこれで5人だな」
沙耶「いつもはここに彼を含めて遊んでいたの?」
理樹「まあ、そうなるかな」
真人「せっかくだしこのメンバーでなんかやろうぜっ」
鈴「理樹、なんか言え」
理樹「ぼ、僕が?」
謙吾「今はお前がリーダーなんだ、今のうちに慣れておけ」
理樹(まさか恭介が卒業したらずっと代わりに提案しなければならないんだろうか…とにかく何か考えよう)
1.筋肉復活感謝祭
2.トランプ
3.ローソンの話をする
理樹「ねえ聞いてよ!学校の近くのローソンでポテト半額だって!行こうよ!」
謙吾「はぁ?急にお前は何を言い出すんだ」
沙耶「また始まった……」
理樹「だってローソンって凄いんだよっ!?セブンイレブンにはないよさがあるよね、ろっぴーでSFCの専用ゲームがダウンロード出来るしカービィ3やファイヤーエムブレムの新作もダウンロードして遊んだっけ!新鬼が島も出てたけど後からパッケージで売り出して任○堂の馬鹿って思わず叫んじゃったよっ!ロッピー先生のCMも印象深い…。『ろーーーぴぃーーーかもんかもんちゅうもんOK?』この歌最高!」
鈴「……」バタン
真人「あっ、鈴の奴脱出しやがった!」
理樹(その後もローソンの素晴らしさについて小一時間語った)
理樹「……で、どうかな?」
沙耶「いや、行かないわよ?」
理樹「ええぇー……」
謙吾「じゃあ俺はそろそろ剣道の練習に行く、もうすぐ試合なんだ」
真人「じゃあ俺も筋トレしてくっか…よっと!」
バタン
沙耶「2人になっちゃったわね…」
理樹「うん…」
理樹(再開したカルチャーショックから抜け出したあともう一度2人きりになったら昔の様にドキドキしてしまう、こればっかりはどうしても慣れない)
沙耶「理樹君……」
スッ
理樹「さ、沙耶…」
理樹(沙耶が何を求めているのか分かっている、僕もそれに答えようと歩み寄ったその時だった)
バタン
鈴「大変だ理樹!」
理樹「うわぁぁーっっ!?」
沙耶「ひゃっ!?」
鈴「どうしたんだ?」
理樹「いっ、いや何でも無いよ…それでなんて?」
鈴「小毬ちゃんが居なくなったんだ……」
理樹「……!!」
理樹「まさか……」
鈴「2人とも心当たりは無いか?」
沙耶「いいえ…どこに行ったのかしら…」
鈴「そうか…じゃあ私は探してくる、沙耶達も探しておいてくれ」
沙耶「ええ、分かったわ」
バタン
理樹「そんな馬鹿な!……もしかして『また』なのか……っ!?」
理樹(最悪のケースを想像して指が震えた、目の視界がボヤけて気分も悪い…今にも吐きそうだ)
沙耶「どっ、どうしたの?怯えが尋常じゃないわよ!一体何が貴方を……」
理樹(『急に人が居なくなる』こんな事は前にも合った、笹瀬川さんの時だ。あの時も鈴が僕に知らせてくれた)
理樹(しかしそんなことに怯えている訳じゃない、問題はその後判明した事実だ)
理樹「ここは本当に僕が知ってる世界なのか…?」
理樹(少し前、あの時は笹瀬川さんが飼っていた猫のクロがいつの間にか作り出したんだ。恭介達と同じ理想の願いを叶えるための世界を)
理樹「だったらこの世界はいつから偽物だったんだ!いつから夢に入ったんだよっ!!」
沙耶「落ち着いて理樹君、まずは何があったのか私に話してみて」
理樹(沙耶さんは何を言われても受け入れる覚悟を持った目をしていた)
理樹「沙耶……」
理樹「…実はバスの事故のあと、沙耶と再会する前に笹瀬川さんという人と不思議な体験をしたんだ…」
理樹(沙耶に恭介達が作った世界と似たような物にまた入った体験を話した、そして急にその世界にとって好ましくない存在が消えていった事を)
沙耶「そんな……」
沙耶「じゃあもしかして小毬さんが居なくなったのってまた同じような現象が起きてるって訳!?」
理樹「…まだ断言は出来ないけどこのまま見つからないのならそうだと思っていい」
沙耶「でも…その世界も作った人の願いによって作られたんでしょ?なら誰が……」
理樹「……っ」
沙耶「……も、もしかして作ったのは…私?」
理樹「そうと決まった訳じゃない!」
沙耶「………でも考えてみなさいよ、それなら今までの事柄に全て説明が付くわ」
沙耶「まず世界が作られた動機、これは多分私が理樹君達と一緒に居たいという想いを断ち切れなかったと思うの」
沙耶「そして作った時期はさっき言った事から考えるとバスの事故の直後。私の思いが消えるギリギリだと思うわ」
理樹「ちっ、違う……」
沙耶「そしてこれの世界が偽物だと裏付ける最大の証拠がタイムマシンよ!冷静に考えたらそんなものあるはずが無いものっ!全部私が無意識に作った都合のいい妄想だったに決まってるわ!」
理樹「沙耶!」
沙耶「来ないで!」
バタンッ
理樹(沙耶がドアから飛び出した、急いで僕もその後を追った)
ダダッ
理樹「なんでこんな事になったんだよ…朝まで皆で笑いながら話していたじゃないかっ!」
理樹(そんなことを愚痴っても状況が変わる訳じゃない、今は沙耶を追うしかなかった)
校内
理樹「はぁ…はぁ…一体何処へ…!?」
ガタン
理樹(今の音は最上階の階段の方向からだった)
理樹「まさか……」
階段
理樹「やっぱりだ……窓が開いてる…」
理樹(その窓の先はもちろん屋上へ続くものだった)
屋上
沙耶「……今度こそ…」
理樹「沙耶!」
沙耶「来ないでって言ったじゃない」
理樹「そんなこと出来る訳無いよっ」
沙耶「本当にお節介ね……理樹君は」
理樹「早くそこから離れてよ…危ないから」
沙耶「危ないからいるのよ。ねえ理樹君、私のためを思っているのならせめて、このまま私の最期を見届けて」
理樹「何を言って…!」
沙耶「分からないの?私は貴方達をこの世界から閉じ込めてでも幸せになろうとしてるのよ、そんな人生……こんな人生に延命措置は要らないわ。私が無意識にこの世界を作っているというのだったら私が自分から死なない限り全員出られないのよ」
理樹「そんなっ、まだ何故小毬さんが世界から消えたのか分からない…というかそもそも本当に消えたのかだって分からないじゃないか!」
沙耶「そんなこと確認するまでも無いわ、ねえ知ってる?夢で自分が死ぬ所を最後まで想像してしまうと、脳が錯覚して本当に死んでしまうって話。私はもう充分過ぎるほど貴方達から幸せを貰ったの…もうこれ以上は要らないわ」
スタッ
理樹(駄目だ、このままじゃ沙耶が飛び降りてしまう。僕は……)
1.それなら僕も一緒に……
2.もう少しこの世界を信じてみる
理樹「それなら僕も一緒に死ぬ」
沙耶「はぁっ?自分で言ってる意味が分かってるの!?」
理樹「もちろん理解してるよ、沙耶が死んで救われるのは僕だけじゃない。僕は沙耶が死んだ世界で同じ様に生きていける自信がないんだ」
沙耶「そんな……」
理樹「僕は沙耶が好きだ、本当に死ぬ程愛している。だから沙耶とは何処までも一緒だよ」
沙耶「……本当にいいの?」
理樹「君だけに怖い思いはさせない」
沙耶「……ありがとう、理樹君ったら本当に優しいのね」
理樹(そして僕らは2人で抱き合いながら下へ落ちていった、後悔は微塵もない。僕はこの選択を間違ったものと最期まで思わないだろう…しかし地面にぶつかる寸前で沙耶の目から涙が溢れていた、僕もだった)
BADEND
別ルートも描くなら多分明日になると思うの。お休み
理樹「もう少しこの世界を信じてみてもいいんじゃないかな?」
沙耶「でも…!」
理樹「これは受け売りなんだけど…例えば沙耶が滅んだ世界を目の前に神様が現れたとして、『お前がどうやっても、この結果は変えられなかったのだ』と言われるのと、『お前が諦めねば、この結果は変えられたのだ』って言われるならどちらの方がいい?」
沙耶「うっ……」
理樹「自暴自棄になっちゃ駄目だ沙耶、絶望するのは最後にしよう。もしも本当にこの世界が沙耶の作った物なら僕もその時は一緒に死ぬよ」
沙耶「そんなの駄目よ!」
理樹「じゃあ小毬さんを探そうよっ!」
理樹(沙耶は少し考えてからフェンスから離れてくれた)
沙耶「……ええ、分かったわよ。行動してからでも遅くはないもの」
ザァァ
理樹(とは言ってもどこを探せばいいんだ…小毬さんがこんな雨の中行くような場所なんて……)
鈴『昨日のモンペチだがスモークサーモン味を買うのを忘れた…』
真人『んなもんどーでもいいだろ』
鈴『よく無い、あれはドルジの大好物なんだっ』
小毬『……』
理樹「そうだ…もしかしたら小毬さんはあの時の会話を聞いて……」
理樹(だとしたらすぐに向かわないと!)
ダッ
沙耶「ちょっとどこ行くのよ!」
小道
ダダダッ
理樹「多分小毬さんは鈴の飼ってるドルジのためにモンペチを買いに行ったんだ。しかしこんな時間になっても帰ってこないってことは!」
沙耶「もしかしてあの川で小毬さんが!?」
理樹(この雨の量だとかなり増水されているはずだ、しかもあそこは濡れている所為で転びやすくなっている…それを前が見えにくい状態で帰ったりなんかしたらっ!)
ズォォォ
理樹「小毬さん……」
理樹(辺りを見回す、自分達も転んではいけないので慎重に行くのがじれったかった)
沙耶「理樹君見て!」
小毬「うぅ…っ」
理樹(沙耶が指した方向を見ると枝に捕まった小毬さんがいた、そしてそこからかなり下った所にモンペチがバラバラに流れている)
理樹「小毬さん!」
小毬「あ…理樹君……」
理樹「そのまま動かないでっ!今から行くからっ」
ガシッ
理樹「沙耶も持ってっ!」
沙耶「分かってるわよ!」
小毬「ごめんね2人とも……私が勝手に出ていったから…」
沙耶「礼は後で聞くから大人しく助けられなさいってば…っ!」
グッ
理樹(枝を引っ張って徐々に小毬さんを土手に寄せていった)
ズルッ
理樹「しまった…!」
バキンッ
小毬「あぁ……っ」
理樹(足を滑らせた反動で枝が折れてしまった!小毬さんを支える物が無くなり流されてしまう)
沙耶「とりゃあっ!」
バッ
理樹「沙耶!?」
理樹(沙耶が飛び込んだ、そして小毬さんの所まで泳いで行く!)
ガッ
沙耶「小毬さんっ!」
理樹(小毬さんを脇に抱えそのままこちらへ向かおうとするが流れが早過ぎてこのままじゃ一緒に流れがされてしまう、そこでさっき折れた木の枝を沙耶に向けた)
理樹「これに捕まって!」
ガシッ
沙耶「掴んだわ!」
理樹「うっ、うおぉーっっ!!」
グンッ
理樹「はぁ…はぁ……」
小毬「ひぐっ……ごめんあーちゃんっ!理樹君…!!」
沙耶「いいって…皆助かったんだからそれでいいじゃないの……」
理樹(土手に上がりきった沙耶は泣いている小毬さんを安心させるように抱きしめていた)
理樹「それにしても何であんな無茶したのさ?」
沙耶「だって…理樹君が助けてくれるって信じていたものっ!」
理樹「あまり信じてもらっても困るよ……」
理樹(とはいえ沙耶があの時信じてくれたお陰で今こうして小毬さんも助かったんだ)
理樹「さあ、このままだと風邪を引いちゃうから帰ろうか…」
小毬「へへ…そうだね…」
沙耶「ええっ」
夕方
理樹(そのあと、ずぶ濡れになって帰ってきた僕らは皆に心配されながらシャワーを浴びた)
真人「まったく心配かけやがって…」
鈴「小毬ちゃん…ごめん」
小毬「ううん…私が話を聞いてなかったのが悪いから……」
葉留佳「やはは…まあいーじゃないですカ!ほら全員無事だし、めでたしめでたしですヨ!」
謙吾「とにかく3人とも今日は早く寝ろ…体力はもうほとんど残ってないだろう」
理樹「そうするよ…」
ピロリン
来ヶ谷「ふむ…恭介氏は明日帰ってくるそうだ、まだ新入部員のことは伝えてないから驚くだろうな」
沙耶「もしかしたら気付いているかもしれないけどね…」
真人「えっマジかよ!?」
夜
理樹部屋
真人「とりあえず先に布団も敷いておいたぜ」
理樹「うん…ありがとう」
真人「俺も、もう寝る。しっかり寝て体調を治しな」
理樹「お休み」
真人「お休み」
理樹(今日も色々あったなぁ……明日恭介が帰ってきたらまずはどこから話そうか……)
…………
………
……
…
…
……
………
…………
朝
理樹「ううん……おはよう」
沙耶「相変わらず遅いわね!そんなんだからいつも一駅分走ることになるのよ?」
理樹「あはは…まあいい運動にもなるし」
沙耶「もうっ」
理樹「ねえ沙耶、なんで最初僕を好きになってくれたの?」
沙耶「そんなもの、『好き』って気持ちを他の言葉でいい表せたらそれは好きとは言わないわ」
理樹「そうだね…」
沙耶「ほら早く支度しなさいよ、あの子が起きたら同時に世話してらんないわ」
理樹「うんっ、分かってるよ」
ガチャ
理樹「…っと、それじゃあ行ってきます」
沙耶「行ってらっしゃい」
終わり
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