にこ「にっこにっこにー」穂乃果「す、すごい……」 (396)

微シリアスです。

Ifモノです。

漫画やアニメなど多数の設定がごちゃごちゃです。

大量のオリジナル設定があります。


業界については妄想です。



時々、最近趣味の雑コラが貼られる可能性があります。不快に感じられましたらブラウザバック推奨です。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408727390

穂乃果「絵里ちゃんなんとかしてよ!!!」

絵里「いくら穂乃果の頼みとはいえ……」




真姫「ねえ海未、穂乃果と生徒会長ってどうしてあんなに仲がいいの?」


海未「ああ話していませんでしたっけ、幼馴染なんですよ絵里も」



海未「私とことりと穂乃果は同じ学年ですが、絵里は一つ上、それだけです」

真姫「なるほどね」







希「まず第一に部員が足りない」

希「9人、9人必要なんよ」




穂乃果「……絵里ちゃんから聞いてます」



希「そっか……あと、顧問が見つからないんじゃぁねえ」

穂乃果「そんな……それは……希先輩……なんとか出来ないんですか」






真姫「穂乃果って敬語使えたのね……」


海未「あなたの方がよっぽど不安ですよ……」


真姫「なんでよ!?」

海未「いきなり私達に普通に話してきてびっくりしましたもん」

ことり「そういえばタメ口だったね」


真姫「ど、同学年だと思ったのよ!!」

凛「嘘だよ!」



真姫「なっ」

凛「敬語面倒くさいとか言ってたもん!!」





海未「やっぱり……」

ことり「穂乃果ちゃんが敬語無しって案出してくれて良かったね」

穂乃果「……どうすれば部活として認めてくれますか」



希「うーん……」

絵里「……」



希「どうする、えりち」


絵里「……似たような部活が既にあるのよ」



穂乃果「似たような部活……」


穂乃果「……」


穂乃果「アイドル部的なものが?」








絵里「――そう、アイドル研究部よ」








http://i.imgur.com/ic6A4BQ.jpg

◇◇



穂乃果「はぁ……」


海未「どうしましょう……」

海未「まず場所とかそういう問題よりも、人数が足りないというのが……」

穂乃果「……」





穂乃果「――私、絵里ちゃんと希先輩にµ’sに入って欲しい」


真姫「……本気?」


穂乃果「うん、あの二人ならきっと入ってくれそうな気がするんだ」



海未「しかし、二人とも生徒会がありますし」

穂乃果「海未ちゃんだって今だに剣道に未練あってやってるでしょ?」

海未「そうですが……」

ことり「絵里ちゃんが入ってくれるとは思わないよ……」




穂乃果「……」


穂乃果「よし……まずは希先輩に頼もう!!!」





◇◇




希「話って?」


希「告白ならごめんなさい」


穂乃果「あいやそういうことじゃなくて……」


希「――穂乃果ちゃん達……結局グループ名は決まったんやっけ」


穂乃果「あ、µ’sっていう名前に……」




希「そっか……」

希「……」



穂乃果「誰かが箱の中にいれてくれたんです」


穂乃果「少しでも期待してくれている人がいるんだって、本当に嬉しくて……」


穂乃果「希先輩、お願いがあります」





穂乃果「――µ’sに入って下さい」






希「……」



希「うん、いいよ」


穂乃果「本当ですか!?」


穂乃果「本当に!?」





希「本当やって。実はウチも楽しそうやなーと思ってたんよ」


希「誘ってくれたなら、断る理由はないもんね」

穂乃果「ありがとうございます!!」



希「タメ口でいいよ」


穂乃果「でも……」

希「そっちの方がµ’sに入ったって感じ、するやん?」




穂乃果「わ、わかったよ!」

希「なーんかたどたどしいなぁ?」

穂乃果「仕方ないじゃん!」

希「ふふ……じゃ、よろしくね」









にこ「……」




◇◇



真姫「本当に入ってくれるなんて……」



穂乃果「凄いでしょ!! 私の勧誘力の力だよ!!」


真姫「意味わかんない」



真姫「よ、よろしくお願いします」



希「あはは、タメ口でいいって。みんなも」

真姫「ほ、本当?」





凛「真姫ちゃん人見知り激しいにゃー」

真姫「仕方ないでしょ!!!」





希「これからよろしくね」

ことり「こちらこそ」


穂乃果「歓迎会でもやるー!?」


希「気持ちは嬉しいけど、まだ早いんやない?」



花陽「人数が……」


希「練習はしつつもメンバーを探さんとね」




海未「他にあてが……」

希「――穂乃果ちゃん、えりちに入って欲しいんでしょ?」


穂乃果「な、なんでそれを……」




希「見てたらわかるよ」

穂乃果「でも……絵里ちゃんは……」



希「誘ってみたら。多分入ってくれるよ」




希「ちょっとだけ手間取るかもしれないけどね?」

◇◇


穂乃果「お願い!!」ギュッ


穂乃果「µ’sに入って……?」


絵里「穂乃果……」


絵里「……」


穂乃果「私……絵里ちゃんのこと……ずっと……」





絵里「……」ドキドキ

希「ストップストーっプ」




希「このままだと海未ちゃんがえりちを殺ってしまいそうだからダメー」





海未「ど、どういう意味です!!」



穂乃果「……あ、ごめん」




絵里「……」

穂乃果「絵里ちゃん、ダメかな……」

穂乃果「みんなで音ノ木坂を救うんだよ!! みんな好きな、みんな大好きなこの音ノ木坂を!!!」





絵里「――無理に決まってるでしょ!!!!」




穂乃果「っ……」


絵里「私達1生徒がいくら頑張ったて……」


穂乃果「確かに……私がいくら剣道でがんばっても、なんの意味も無かった……でも」




穂乃果「でも諦めたくないのっ!! 音ノ木が好きだからっ!!!」




絵里「そもそもどうして部活にそんなにこだわるの」



穂乃果「ラブライブっていうスクールアイドルの大きな大会があって……それは部活として認可されていないとダメなんです」






絵里「……なるほどね」




絵里「……音ノ木坂は、綺麗に終わらせるべきよ」

絵里「それが私達が音ノ木に対して、出来ること」





穂乃果「え……」


絵里「その為に、私達生徒会がいるの。それなのに、希、どういうこと?」

希「……」


絵里「私はµ’sには入れない……ごめんね」

バタン



希「……ダメやったか」


穂乃果「絵里ちゃん……」


真姫「そもそも、入りたくないんじゃないの?」


穂乃果「追いかけよう」


海未「しかし……」

穂乃果「いいから!!!」

http://i.imgur.com/PMgi8V8.jpg


希(……まったく、手のかかる子やね誰かが手を引いてやらんと。ああ見えて自分のしたいことも出来ない上品な奥手さん)クスッ


希(手を引けるのは、穂乃果ちゃんしかおらんのよ)




穂乃果「絵里ちゃんはキレイに終わらせるなんて言ってたけど、そんなこと本当の心の奥の奥ではきっと望んでないよ。私は、そう感じるんだ」



ことり「穂乃果ちゃん……」




◇◇





絵里(……中途半端は嫌い。やることなら100%、半端なことを言って文句を言うのはキライ。自分のことは自分でしたい)



絵里(ましてやこの廃校の危機にあって、自分たちの学校のことだもの。自分たちでやらないとって)




絵里(そういう気持ちで生徒会も頑張ってきたけど――)

絵里(音ノ木が好きって言いながらキレイに終わらせるだなんて言って、それが現実的態度……だったのかしら)





絵里(嫌だったのに、廃校になるのが。心の奥では本当に嫌だったのに……)



絵里(それを止めることなんてできこっこないって。考える前から諦めてた)




絵里「私は……どうしたいの……」







穂乃果「――絵里ちゃん」




絵里「み、みんな……」










穂乃果「一緒にやろう!!!!」





希「ふふ……」











◇◇

穂乃果「あと一人……か」





希「えりちとウチが入って二週間かあ」




海未「進展はなし、ですね」

凛「練習が厳しくなったにゃー」

ことり「あはは」



穂乃果「絵里ちゃん、誰か知らない?」

絵里「……」


希「――にこっちなんかどうかな」



穂乃果「にこっち?」



絵里「――無理よ、希」

希「……なら、会いに言ってみる? どっちにしろいつかは解決しなきゃ」

絵里「……あの子は……」



穂乃果「何か心当たりがあるの?」




希「まあ少しだけね。これが解決出来たなら、部活としても認められちゃうかも?」



海未「それは、どういう……」


希「いいからいいからじゃ、みんなで行こうー」

◇◇



穂乃果「ここは?」



絵里「――アイドル研究部の部室よ」


穂乃果「ここが……」




絵里「あなた達も知っているとは思うけれど、ここがある限り私達の部活は承認されることはないわ」



希「――アイドル研究部と併合しない限りは、ね」



穂乃果「……」




真姫「つまりここの部長さんに併合させて下さいと頼むわけ?」

希「そういうこと」





ことり「部員は何人くらいいるの?」

希「一人だけ」


海未「一人? 部長一人というわけですか」






花陽「……希ちゃん、もしかして……もしかして……ここって……」

なんだこの雑コラ

…ところで雑コラ頼めば作ってくれるのだろうか

希「あら花陽ちゃんは知ってるの。まあ有名やしね。逆にここまで言って知らないみんながおかしいよ」


穂乃果「なんのこと?」





コンコン



希「にこっちー」



ガチャ





にこ「希!?」パァッ





にこ「――と、あんた達は……」




希「こんにちはにこっち」







穂乃果「――や、矢澤にこさん……」



花陽「こ、こんなに近くで……」

海未「……なるほど、理由がわかりました」



ことり「矢澤さんがアイドル研究部の……」



真姫「ふぅん……」



凛「……か、かよちんどういこと? 有名なの、矢澤さんて」



花陽「知らないの矢澤にこ、超トップアイドルだったんだよ!? なに言ってるの!? 今もテレビとかで時々みるよ!?」



凛「ぇぇええええええ!?」



にこ「……なにも用がないなら帰って」



希「そんなこと言わんで――」



にこ「なにが言いたいかは大体わかるわよ。ここ、渡さないから」



にこ「せっかく希が来てくれたと思ったのに、台無しよ」



にこ「さ希、入って」


希「じゃ、お言葉に甘えて」




穂乃果「……」



希(任せてね)ウインク


穂乃果「!!!」コクッ

◇◇




希「どうして冷たい態度取るん?」



にこ「だって……」



希「今をトキメクアイドルさんが、あんな所を一般人に見せたらダメなんやない?」


にこ「いいわよ、別にもうどうでもいいし」


にこ「せっかく希が来てくれたって思ったのに……あいつらなんて連れてきて……」



希「いい子達よ、だからにこっちもちょくちょく練習覗いたりしてたんやろ?」



にこ「……認めないわよ」



にこ「あんな素人集団。歌もダンスも何も出来てないじゃない」



希「歌はにこっちも……」



にこ「歌はいーの。私に合ってれば」

にこ「――どうしてあいつらの味方をするの」



にこ「どうしてあんなことに参加したの!?」





希「……なんでかな……なんだかあの子達を見ていると、急に動きたくなったんよ」



希「不思議やね」


にこ「……ふん」




希「いつかあの子たちの話を聞いてやってくれんかな?」



にこ「嫌よ」


希「そっか……」シュン


にこ「あ、いや……」


にこ「ごめん……」




にこ「でもこれだけは……。イライラするのよ、なんの覚悟もなしに、あんなこと」

希「っ……ご、ごめん……」



にこ「の、希はいいわよ……」

にこ「……」


希「……」


希「最近大丈夫?」

にこ「え、ええ。問題ないわよ」



にこ「ひっさしぶりに学校来たけど楽しくないのなんの……」



希「声かけてくれれば良かったのに」


にこ「あんたがいっつも生徒会長といるから……」ボソッ


希「ん?」





にこ「……」


にこ「とにかく、今日くらいはお喋りしてましょうよ」




希「仕方ないなあにこっちは」

◇◇




穂乃果「まさか、にこ先輩がアイドル研究部に居たなんて……」


海未「私でも知っているくらいの有名人ですからね……」


真姫「あの人テレビで見たことあるけれど、この学校に居たのね。知らなかったわ」

絵里「矢澤さんはあまり学校に来ていないのよ。お仕事の関係とかでね。最近は来ているようだけど」



凛「あの……」




絵里「どうしたの?」



凛「……あんまり知らないんだけど」

絵里「……本当に?」







花陽「矢澤にこ……中学二年生でデビューして、めきめきと頭角を表す。最初はユニットに属していたんだけど、高校一年生の時点で脱退。そのままバラエティやドラマ、CMとかで活躍してまさにトップアイドルって感じだったの」

凛「な、なんで凛は知らないの……」




花陽「テレビ見てなかったんじゃない?」



穂乃果「凄かったよねぇ。テレビつければゲストとかで出てる感じだったもん」



真姫「でも、トップアイドルって感じだったってどういう意味?」





花陽「ああ……それは……」


絵里「――前にスキャンダルとかがあったみたいでね……」




絵里「高校二年生になった辺りからはテレビで見ることも少なくなったわ」


絵里「そのことを本人には言えないけれど」


真姫「まあ……絵里がそんなに持ち上げる人なんだからきっと凄い人なんでしょ」



絵里「まあ……そうね……」



絵里「……少し気難しい人でもあるから……」

真姫「……?」


ガチャ




希「ただいまー」


穂乃果「どうだった!?」


希「それが……」

希「全然ダメやった……あはは」

穂乃果「そ、そっか……」





海未「なぜ矢澤にこさんは希だけ招き入れたのですか?」

希「ああ……」



絵里「希と矢澤さん、仲が良いのよ」



花陽「す、凄いです!!! 友達なんですか!?」



希「ま、まあそうやね」




絵里「もう矢澤さんは希にべったりよ? 私が希と居ると睨みつけてくるくらい」

真姫「絵里の言動がにこ先輩のことを嫌っているようにしか聞こえないんだけど」


絵里「嫌ってなんかいないわよ」



ことり「でも、どうしよう……アイドル研究部と併合しなくちゃ部活として認められないんでしょ?」



穂乃果「……にこ先輩を説得するしか、ないよね……」



絵里「本当に仲が良い希が交渉しても無理だったんでしょ? それなのに出来るのかしら……」




真姫「なるほど、だから絵里はあの子は無理って言ったのね」





真姫「過去に何かあったんじゃない?」

絵里「ぅ……いいのよ、その事は!」

穂乃果「希ちゃん……なんとか話くらいは出来るように交渉して貰えないかな? そうしたら私頑張るから」




希「……それはちょっと……」


穂乃果「え……」




希「可能な限り頑張ってはみるけど……難しいかもしれんね」



穂乃果「そ、そっか……」


海未「とりあえず練習をしませんか。こうやって考えていてもどうしようもありません」




真姫「8人になったんだし、今までよりもやることは増えるしね」

◇◇



ツバサ「はぁ……疲れたわー」



あんじゅ「最近お客さんは満員ばかりね」



ツバサ「嬉しいことなんだけどね」



ツバサ「こう満員が続くとモチベーションがねえ」


あんじゅ「そう? 私は嬉しいけど」



恵令奈「そんなこと言ってるとすぐに追い抜かれてしまうぞ」


ツバサ「はいはい、分かってるって。先輩は怖いなー。なんかこう……熱いライバルが欲しいというか」



あんじゅ「……あの子もこんな気分だったのかしら」

英玲奈「テレビで見ることも減ったような気もするが……」


ツバサ「まあ大丈夫でしょ」

あんじゅ「そうねー」




ツバサ「元気にしてるといいわね」



英玲奈「会いに行ってみる?」



あんじゅ「それは……私達も忙しいし」




ツバサ「そうね、ま、会えたらいいわね」

◇◇


にこ「……」




にこ「なによ、あいつら……」


にこ「希まで……あんなこと……なにがスクールアイドルよ……」



にこ「あの生徒会長もスクールアイドル始めたとか聞いたけど……」

にこ「意味が分からないわ……」







カナシミニトザサレテー~♪







にこ「……ダンスなんか素人同然じゃない。これでアイドル? ふざけてる、ふざけてる」





にこ「ふざけるな!!」バン








にこ「独りでこんなこと言ってても意味ないのに……」




http://i.imgur.com/80KdQuC.jpg

今回はここまでです。また次回。

>>22
見ての通り編集力は皆無ですが、個人的に楽しんでます。このレベルの雑コラでもいいならば。

◇◇




二週間後







にこ「……」




「ねえねえこの後どこか行こうよ!」

「じゃあ部活のみんなも誘って……」






にこ「っ……」ギリリ


希「にこっち?」


にこ「の、希……」




希「大丈夫?」


にこ「……入って」



ガチャ


希「……あら、またアイドルグッズ増えたん?」

にこ「そうよ」

希「全く……」







希「あ……今日の体育の時間、ごめんね……ペア組んで上げられなくて……」

にこ「別に……余ってた人、居たし……」




希「……」


希「なんでそんなに、人と関わりを持たないん?」


にこ「……人なんて……所詮自分のことしか考えてないの。私を含めて」


にこ「信じて、関係を持つだけ、無駄よ」

希「……そんなこと……」




にこ「希は違うわよ。こんな私にも声かけてくれて……仲良くしてくれて……」


希「ありがと」

にこ「……ごめん……ちょっと……」ジワッ

希「うん、いいよ」ギュッ


にこ「うぅ……ぅうああああああ……」

希「よしよし……」






希(にこっちは……寂しいんやね……普段は外さないアイドルの仮面すら外れてしまうくらい)


希(……こんなに苦しんでるのに……なんで……ウチはなんにもしてあげられないん、やろ……)

希(誰か……誰か助けて……あげて)






希「……大丈夫?」

にこ「ええ、ありがと」




希「にこっち……お願いがあるんよ」

にこ「ん?」





希「――µ’sに入らん?」

にこ「それは……出来るわけないでしょ」


希「……」


にこ「あんなの……認め、ないんだから」



ガチャ



穂乃果「失礼します」



にこ「あんたら……」



穂乃果「す、凄い……」


ナニナニー? ゾロゾロ





にこ「な、なんで全員入ってきてんのよ」






穂乃果「す、凄いアイドルグッズ」


花陽「あああ! これは伝伝伝!!」

凛「す、凄いものなの?」

花陽「知らないの!? 凄いなんてもんじゃ――」


にこ「――なにしに来たの」





穂乃果「……話が」



にこ「……」


穂乃果「私たちスクールアイドルをやっておりまして」

にこ「知ってる。希から聞いた」


穂乃果「それなら――」


にこ「ここと併合したいってんでしょ?」

穂乃果「そうなんです!」






にこ「――お断りよ」


穂乃果「え……」


にこ「お断りって言ったのよ」



海未「私たちは、µ’sとしての活動場所が欲しいだけで」

にこ「――あんたらはアイドルを穢してる」



穂乃果「で、でも、私たちダンスも歌もしっかり」

にこ「――あの程度で?」


穂乃果「っ……」






にこ「――それに、キャラ作りしてるの?」

ことり「え?」



にこ「アイドルってのはお客様に夢のような時間を楽しんでもらうためにいるの。ふさわしいキャラってのがあるのそうね……例えば」








にこ「にっこにっこにー!! あなたのハートににこにこにー! 笑顔届ける矢澤にこにこー!! にこにーって覚えてラブにこ!!」






穂乃果「す、すごい……」

海未「……」

ことり「これがアイドル……」


希「おー」


花陽「はぅあ……こんなに近くで」





真姫(……無理、こんなの私無理よ)

凛(さ、寒くないかにゃ? でもこれがアイドル……)





にこ「……」


にこ「分かったでしょ、出てって」

穂乃果「ちょ……」


にこ「出ていって!!!」





グイグイー

バタン


にこ「……」


希「それを見せるなんて大サービスやね」


にこ「いいでしょ、別に」


希「この部室、狭く感じたね」


にこ「……広い方がいいわよ」








◇◇







希「じゃ、ウチ練習あるから」



にこ「……ええ」



にこ「……」


にこ「また一人……」


にこ「……帰ろ」

にこ「待って、仕事あるんだった」



プルルルルルル

にこ「もしもし……迎えに来るの家じゃなくて、学校でお願いします。はい、はい……分かってます。お願いします」


にこ「家帰るのも面倒だしこれでいっか」





~~~~~~~~♪




にこ「ん?」

にこ「ピアノの音……」


にこ「音楽室か」






にこ「誰が弾いてるのかしら」


にこ「……あの子は……さっきの」



真姫「……!?」

にこ「気づかれた……」


ガチャ



にこ「こんにちは」


真姫「にこ、先輩……」


にこ(ああ……またあの目だ……私を見る、希以外が私を見る目だ)




にこ「上手ね」


真姫「どうしたんですか、急に……」





にこ「こっちのセリフよ。私は通りかかっただけ」


真姫「新曲作りに……」


にこ「……なに、あんたが曲作ってるの?」



真姫「ええ……その為にµ’sに入ったみたいなものだから」

にこ「ふぅん……」


にこ「――利用されてるんじゃないの?」




真姫「は?」




にこ「曲だけ作らされて、結局美味しいところは全部持っていかれる。所詮は穴埋め要因」



にこ「その可能性だってあるんじゃない?」




真姫「どういう意味ですか」


にこ「そのまんまの意味よ」

真姫「そんなこと、あるわけ――」

にこ「そんな簡単に人を信用していいのかしら」


真姫「……なんなんですか、あなた」





真姫「私を見つけてくれた人を悪く言うなら許しませんよ」

にこ「……これがアイドルの本性……よ」

真姫「……」キッッ




にこ「また来るわ……あんた、なかなか面白いわね」




真姫「……来ないでいいです」



ガチャ




穂乃果「あれ、にこ先輩!!」


にこ「……あんた達……」


穂乃果「どうしてここに!?」キラキラ



にこ(この子の目……)


穂乃果「もしかして少しでも話を――」

にこ「――じゃ、私仕事あるから」

穂乃果「あ……」


海未「ちょっとそれは無いんじゃないですか」ガシッ

にこ「……なによ」


海未「もう一度話くらい聞いてくれても、いいのではないですか?」


にこ「聞くだけ無駄よ。スクールアイドルだっけ。あんなもの」


海未「あんなのものとはなんですか!!」

ことり「ちょっと海未ちゃん……」

海未「しかし……」



にこ「こんなことしてる暇合ったら、練習でもしてたら?」




にこ「じゃあね」

◇◇


穂乃果「見て見て見て見てー!!!」




絵里「どうしたの穂乃果」


穂乃果「これ見て!!」



希「合同ライブ?」



穂乃果「UTXから招待だよ!?」

ことり「どういうこと!?」





海未「どれどれ……なるほど、この周辺の高校のスクールアイドルを集めて合同のライブをすると……主催はアライズ。場所はUTX」


ことり「うわ……すごい」



穂乃果「でるしかないよね!?」



凛「よーし燃えてきたにゃー!!!」



真姫「曲はどうするの?」



穂乃果「真姫ちゃんがこの前作ったばかりの曲で行こう!!!」


真姫「……まあいいけど」


穂乃果「よしよしよし、練習だぁあああああ!!」

◇◇



ツバサ『みんなー! 今日は来てくれてありがとー』

英玲奈『みんなが声を出してくれれば、それだけ私達も頑張れるから』


あんじゅ『みんなで楽しみましょー!!!』





「このように現在UTX高校のスクールアイドルを紹介致しましたが、全国にこのようなスクールアイドルは存在――」


ブチッ



にこ「あー……やだやだスクールアイドルスクールアイドルって……」



にこ「まあ、あいつらは別ではあるけど」

にこ「……」


こころ「お姉様、最近家に居ることが多いですね?」


にこ「こころ……」


にこ「……ちょっとだけ、ちょっとだけ……休憩、してるの」



こころ「そう、ですか」

こころ「またお姉様のことをテレビで見たいのです」


にこ「ごめんね……またいつか……ぜった……」


にこ(ぜった……い……?)



にこ「……またテレビに出れるように頑張るから」


 その言葉はスッと通り抜けて行った。口先だけの、なんの心も篭っていない言葉。



 私は今、アイドルとして……どう見えるんだろう。



 こころの視線が、痛かった。


 悪気はないし、なんにも知らない子なんだから……。

 こころの頭を撫でて、私は浴室へ向かった。




◇◇


~~~~~~~♪



にこ「……また。朝なのに」


ガチャ




真姫「つまずいたらどうする――っ!?」




にこ「おはよう」


真姫「に、にこ先輩……」

真姫「どうしたんですか、こんな朝早くに」



にこ「私は普段からこの時間だから。そっちこそ、朝から歌ってるのは初めてなんじゃない?」



真姫「……気分で」

にこ「そう」


真姫「……」



真姫「なんのようですか?」

にこ「別に、気分よ」


にこ「ねえ、歌ってよ」


真姫「はあ!? お、オコトワリシマス!!!」



にこ「なんでよ」

真姫「歌なんて人前で歌うもんじゃ――」

にこ「仮にもアイドルなのに?」

真姫「っ……で、でも」

にこ「……出来ないの?」



真姫「出来ます!!」

にこ「ふふ、だと思った」


にこ(何この子この子……すっごいチョロいわね)





真姫「……」


にこ「何を歌うの?」


真姫「私が作った曲です」

にこ「ふぅん」




 つり目の彼女が鍵盤に指を沈みこませて行く。




 ――雰囲気が、変わる。

真姫「愛してるばんざーい、ここでーよかっ――」



にこ「……」


 凄い。すっごく歌が上手い。多分、私より。



 さっきまでは全くそんな気配を見せなかったのに……今は堂々として……。


にこ「……」




真姫「終わりです」


にこ「まあ……上手いんじゃないの」




真姫「なんですか、その言い方」

にこ「褒めたんだから喜びなさいよ!」



真姫「褒め方が嫌味ったらしいです!」

にこ「なんですってぇ!?」


真姫「む……」





にこ「……あんた、名前は?」

真姫「西木野真姫」


にこ「……ぁぁ、あんたが」



真姫「私のこと、知ってるんですか?」



にこ「そりゃあね。にこほどじゃあないにしても、この学校ではそこそこ有名じゃない、あんた」




にこ「――丘の上の病院の一人娘……お嬢様って」




真姫「っ……」


にこ「……」



 少しだけ、垣間見えた気がした。

 この少女の抱える闇が。

 それは、もしかしたらわたしと似ているのかも、しれない。





にこ「いいわね、お嬢様は」


真姫「……」ギリリ



 様子が変わってきた。もう少しだけおせばこの子の……本当の姿が――。


にこ「お嬢様だからってデッカいお家に住んでなんでも許されたり、好きなこと出来たりするんでしょ?」



真姫「そ……そんなことあるわけ――」





穂乃果「――にこせんぱーい!!!」ギュッー



にこ「ぐふっぅ!!!」



穂乃果「おはようございます!」

にこ「な、なにすんのよぉ!!」


穂乃果「――にこ先輩、µ’sに入って下さい!!!」


にこ「は、はあ!?」


真姫「穂乃果、どういうつもり!?」

穂乃果「だってそうすれば全部解決だよ?」



ことり「はぁ……はぁ……穂乃果ちゃん急に走り出すから……」


海未「まったく……。え……にこ先輩……」


にこ「この子なんとかしなさいよー!」


穂乃果「にしし」ギュッー


海未「どういう状況ですか?」



真姫「穂乃果が急ににこ先輩にµ’sに入って下さいって」



海未「穂乃果、それは一体……」



穂乃果「だってさ、部活として認められたいんでしょ? それならばアイドル研究部と併合しなきゃいけない、ならにこ先輩もµ’sに入っちゃえばいいんだよ!!」


真姫「あなたね……」


にこ「はなせー!」バタバタ



ことり「と、とりあえず離してあげようよ」

穂乃果「そうだね」




にこ「はぁはぁ……」


海未「大丈夫ですか?」

にこ「大丈夫なわけないわよ……ったく」



穂乃果「それで、にこ先輩、µ’sに……」

にこ「――入るわけないでしょ」




穂乃果「え……」


にこ「第一私はアイドルなの。偽物じゃなくて、本物の」



にこ「そんなことをしている暇はない」


穂乃果「そんな」

海未「当たり前じゃないですか、アイドルがスクールアイドルをやるだなんて聞いたことがありません」




穂乃果「いいと思ったのに……」




にこ「別に不可能って訳じゃないんだけどね」



穂乃果「え?」



にこ「中には本物のアイドル業とスクールアイドルを兼任している人だっている」



穂乃果「なら!」



にこ「――嫌よ」


にこ「私、あんた達のこと、認めないから」



スタスタ


穂乃果「あ……」

海未「穂乃果、無茶なことは辞めて下さい」



ことり「これ以上は矢澤さんにも迷惑になっちゃうよ……」



穂乃果「でも……」



穂乃果「あ、そういえば真姫ちゃん、どうしてにこ先輩はこっちに来てたの?」



真姫「いや……なんだか通りかかったらしくて。歌わされたわ」


海未「は?」



真姫「アイドルなら急に歌うことくらい出来るでしょう? って」



海未「なんですかそれ」

真姫「さあこっちが訊きたいくらいよ」


ことり「歌ったの?」


真姫「そりゃあね、挑発されたんだから」


海未「あなたらしいですね」

真姫「どういう意味よ」





穂乃果「でも、部活として申請出来ないと……」


ことり「……ラブライブ以外にも、なんとか出来る方法だってきっとあるよ!!」

◇◇



にこ「……そろそろか」


にこ「ラブライブ」


希「うん、そうなんよ」




にこ「うわぁっ!!」


希「驚かせちゃった?」



にこ「当たり前でしょ」



希「ラブライブ、これが最後の希望だと思ってるんよ」




にこ「どういう意味」

希「にこっちはウチらがなんでスクールアイドルをやっているか、知ってる?」


にこ「アイドルの真似事してチヤホヤされたいんじゃないの」


希「あはは……そう思われちゃってるのね」


にこ「違うの?」



希「ウチらは――廃校を阻止したい」

にこ「は?」




にこ「意味がわからな――」


絵里「希ー!」


にこ「……」

絵里「あ……矢澤さん」

にこ「お邪魔なようだから、失礼するわ」

絵里「ちょ、ちょっと待って」




にこ「なに?」

絵里「あ、あの……」




にこ「……」



絵里「な、なんでも、ないわ……」


にこ「ならいちいち話しかけないで」




絵里「っ……」



希「に、にこっち……」


絵里「……」



絵里「わ、私は……あなたとも友達に、なりたくて……」


にこ「――私を利用しようとしたくせに?」

絵里「……仕方なかったの……あ、焦ってて……ごめんなさい」

にこ「……それがあんたの本性なじゃないの。生徒会長さん」


希「にこっち、そのくらいに……」



にこ「希も生徒会長の味方するのね……」


希「そういう訳じゃなくて!」


にこ「……みんな、裏切って裏切って……そんな人ばかり」




希「……」



希「なら、どうしていっつも泣くの?」


にこ「……」


希「……寂しいんやろ?」

にこ「……うるさい」



希「ウチらのこと、すこしくらい信用して? いつでも、受け入れるから」


にこ「うるさいっ!!!!」

絵里「……」



希「えりちも気にしない方がいいよ。にこっちは……ちょっと繊細になりすぎてるだけやから」



絵里「……でも」



希「大丈夫、利用したなんてそんなことないから」



絵里「……」

絵里「矢澤さんは……」




希「……寂しいんだよ。ずっと一人やから」



希「きっと色々あったんやろね」

希「ウチらが想像出来ないくらいのことが」

絵里「友達になれるかしら」



希「なれるよ、絶対」



希「まず、µ’sの中でもウチ以外ににこっちと友達になれそうな人がいるしね♪」



絵里「え……?」



希「口ではあんなこと言って、本当は友達が欲しくてたまらないんやから。居場所って言った方がいいのかな」

希「本当、にこっちは天邪鬼なんやから」



希「……口から出るのは本心と正反対のことばかり。我がµ’sが誇る天邪鬼さん」


希「結構二人って似てると思うんよ」

◇◇



にこ「――今日もいるのかしら」


にこ「あ、居た」





真姫「someday いつのーひかーかなようよー願いがー」

真姫「someday いつのーひかー届くと――」





真姫「……またか」

にこ「こんにちは」




真姫「今回は通りかかったとかないわよね」

にこ「ええなんか面白そうだから」

真姫「意味わかんない」



にこ「また歌ってよ」

真姫「い、いやです!」

にこ「さっきの曲も自分で作ったの?」

真姫「ええ」

にこ「ふーんやるじゃない」

真姫「……」

にこ「そうねえ、自分の曲歌わせてもつまんないし……」


真姫「……?」

にこ「これ聞いてみて!」スッ


真姫「きゃっ」



ピョンピョコピョンピョンカーワイー



真姫「な、なんですかこんなのきかせて!!」

にこ「知ってる?」

真姫「まあ……」

にこ「ありがとー、私がデビューして最初のソロだから結構昔の歌なんだけど」


真姫「これが何か?」

にこ「――歌って?」



真姫「は、はぁぁあああ!?」



にこ「あれぇ出来ないのぉー?」


真姫「で……で……」



にこ「いや、無理はしなくてもいいのよ? アイドルの中でもこういう系の歌う人はそんなにいるわけじゃないしぃ?」


真姫「できますー!!!!!」



にこ「あ、そう、じゃあ歌って」

真姫「あ……」



真姫「えと……」

にこ「ん?」


真姫「ぅぅう……」




にこ「出来ない?」

真姫「ぴょ……」

真姫「ぴょんぴょこ……ぴょんぴょん……///」

にこ「歌ってないじゃない」

真姫「む、無理よ!! こんな恥ずかしい歌!!」



にこ「クス……最初から無理って言えばいいのに」

にこ「あんた面白いわね」

真姫「私は面白くありません!!」




にこ「あはは、そういうとこが面白いのー」

真姫「もうっ!!」



ガチャ





花陽「あ、あの真姫ちゃ――ひっ!」


真姫「花陽……」

花陽「あ……矢澤にこ、さん……」


にこ「あなたは……入学式の日に……あとこの前部室で伝伝伝を」



花陽「あ、あの時はありがとうございます!!! サイン宝物にしてます!!!!」



にこ「本当?」

花陽「はいっ!!! ずっとにこさんのファンで!!!」



にこ「嬉しいわ、これからもよろしく」ギュッ



花陽「はぅぅ!! こんな近くで握手!? ぁぁあああああ」


にこ「ちょっと動揺しすぎよ?」


花陽「だ、だって……握手会だと全然話せないし」

にこ「握手会も来てくれたの?」



花陽「ほとんど行ってます!!!」


にこ「わ……凄いのね」

真姫(そういえば花陽ってアイドルオタクなんだっけ……)

真姫(なんだかこのちんちくりんな先輩がアイドルだなんて信じられないけど)

ペチャクチャペチャクチャ




真姫「……」




――数十分後――


にこ「そうよね、そうよね!」

花陽「はい、わかります!」


花陽「なんだかにこ先輩、芸能人だからもっととっつきにくいかと思ってました」


にこ「え……」

花陽「でも全然そんなことなくて!」



にこ「あ、あり……がと……」








真姫「……」

花陽「そういえば真姫ちゃんはにこ先輩と何をしていたの?」



真姫「花陽完全に忘れてたでしょ」


真姫「なんかこの人が色々言ってくるのよ」

にこ「真姫ちゃんだっけ、なんだか面白くて」







絵里「……確かに……楽しそうね」

希「そうやろ?」



希「にこっち……意地なんて張らなければいいのに」


希「花陽ちゃんとも打ち解けたみたいやん」


希「誰かさんにそっくり」

絵里「わ、私!?」



希「内面なんかそっくりやん。自分のことも全然分かってない」


絵里「むぅ……」

絵里「矢澤さんのことみんなとそっくりって言ってない?」

希「色んな人と似てるのかもね」

希「にこっちは……居場所が欲しいんだよ。きっとね」

◇◇



にこ「あんたさ、スタイルなかなかいいわよね」

真姫「なんですかいきなり」

にこ「いやなんとなく」




 この音楽室に通い始めて何日くらいが経っただろう。


 音楽室は飲食禁止だというのになんとなく二人で弁当を持ち込んで、なんとなく音楽室に。



 時々花陽も来たりして3人で食べることもあるけど。



 ……本来ならこんなことするべきじゃないのに。



 またみんな離れて――。




真姫「いきなり人の身体見てなにいってるんですか」



にこ「ちょっと立ってみて」



真姫「……」スッ



にこ「胸は……そうでもないわね」サワ

真姫「ひゃぁっ!」

真姫「ちょ、ちょっと!!!」

にこ「いいじゃない」





真姫「あなたよりは5cm以上大きいけどね」


にこ「む……」




にこ「ウエストは……」




真姫「56cm」

にこ「ほっそいわね……」

真姫「当然でしょ」ファサー

にこ「じゃあヒップ――」


真姫「も、もういいでしょ!!///」

にこ「あれ、なにかあるの?」ニヤニヤ

真姫「人の身体なんてどうでもいいでしょ!!」




にこ「いいからいいから!」モニュ

真姫「ちょっ! や、やめ……ふぁ……」


にこ「うわ……」モニュモニュ


真姫「ふぅぁ……」


にこ「なるほど……おっきいのね、お尻。µ’sのホームページによると……83……ほぅ。ウエストとの差が凄いわね」


真姫「うぅ……」

真姫「最初からそのホームページ見てればよかったでしょ!?」

真姫「ていうか最近先輩のキャラ変わりすぎじゃないですか!? もっと暗かったじゃないですか」

 言われて気がついた。


 なんだかこの子や花陽と話している時は不思議と笑っている。自然に、作らずに。






にこ「な、なにを凹んでるのよ……」

真姫「一応コンプレックスなんだけど……」



にこ「いやいや、あんたね……」

にこ「胸がないならどこで勝負すると思ってるの? お尻しかないでしょ!?」

にこ「今はアイドルもグラビアで表紙をとるのが普通」



真姫「……」

にこ「武器になるのよ!!」

真姫「な、なにを熱弁してんのよ」

にこ「あんたアイドルなんでしょ、そんくらい自覚しときなさい」




真姫「もう!!!!」



にこ「怒らない怒らない」



にこ「私のグラビア見たことある?」

真姫「ありませんよ」



真姫「でも、そんなんでグラビア出来るんですか?」

にこ「痛いとこつくわね……」

にこ「まああんたみたいにスタイル良ければ需要はあるんでしょうけど……私の場合ちょっと需要が特殊なのよねぇ」

真姫「そんな気がするわ」パク

にこ「――お弁当豪華ねー」


真姫「そうかしら」

にこ「家にいるお手伝いさん的な人が作ってくれてたり?」

真姫「まあ……」

にこ「本当お嬢様ねー」


真姫「っ……」


真姫「あんまり、家のこと、言わないで」

 またあの目だ……。


真姫「……好きじゃないの、そう言われるの」

にこ「……」

にこ「そうなんだ」




にこ「……あんた、友達いないでしょ」

真姫「い、居ますよ!」

にこ「星空凛と、花陽?」

真姫「……」




真姫「ほかにも……」


真姫「……」


にこ「やっぱりね」



にこ「――私ね、友達いないの」

にこ「体育なんかじゃいつも一人」

真姫「え……」

真姫(わたし、も……)




にこ「まあ希とかは友達だけどね」

真姫「……」




にこ「色々あってね。なんだか、あんたと私似てるんじゃないかなって」



真姫「似てませんよ……」



にこ「そうかもね」フフ



にこ「じゃ、私もう行くわ」


真姫「ちょ、ちょっと!」


◇◇



 ああ話しすぎた。なんであんなこと……。





 あの子は多分、お嬢様として見られるのが嫌なんだ。



 この学校で有名人になるくらいだ。誰しもがあの子を見る時に西木野真姫ではなくて、病院の一人娘というフィルターを通して見てしまうんだろう。


にこ「……私と似てるわね」

にこ「まあ私の方がタチは悪いけど」


にこ「アイドルなのに、アイドルとして見られたくない……とか。贅沢過ぎるわよね」







希「――楽しそうやったね」


穂乃果「こんにちは!」




にこ「あんた、本当に神出鬼没ね。穂乃果だっけ……あんたも懲りないわね」

希「そうでもないって。それより最近毎日真姫ちゃんと会ってるね」



にこ「別に……」

希「友達になれば?」




希「いや……もう友達なのかな」

穂乃果「真姫ちゃんも楽しそうだし!」

にこ「……」

にこ「別にあの子はそんなんじゃ」


希「真姫ちゃんといるにこっち、ウチといる時より楽しそうやったなあ、嫉妬しちゃうわ」

にこ「そんなわけないわよ」

希「クス……嬉しいこと言うね」



希「そろそろ真姫ちゃんのことも分かってきたんやない?」


希「丘の上の病院の一人娘。お嬢様西木野真姫ちゃんを」


穂乃果「……?」

にこ「……」

希「あの子も……きっと教室とかでは肩身が狭い思いをしてるんやないかな。でも、なんで彼女が全く折れないかわかる?」


にこ「知らないわよ」



希「――µ’sは、真姫ちゃんを、真姫ちゃんとして見るからや」



にこ「……何が言いたいの」



希「お嬢様とかそんなフィルターは通さずにね? 素のままありのままの真姫ちゃんを受け入れてくれる」

希「どんなに辛いことがあっても、ウチらだけはあの子を癒してあげたい。安心出来る空間にしてあげたい。そんな居場所を作ってあげたい」


希「ねえにこっち……にこっちも」

にこ「……必要ない」





希「なんで、なんでそんなに意地を張るん!? ウチらはにこっちのことをいつでも信用するし、受け入れて――」



にこ「どうせみんな裏切るじゃない!!!」


にこ「どうせ、どうせ!!」




穂乃果「……そんなことない。私たちは……にこ先輩が必要なんです」

希「どうせ、その言葉を使うのに、なんで真姫ちゃんや花陽ちゃんとの縁は切ろうとしないんやろね」


にこ「そ、れは……」



穂乃果「にこ先輩、私たちと一緒に夢を見ましょう! そして、廃校を――」



にこ「簡単に夢なんて言葉口にしないでっ!!!」

穂乃果「っ……」





にこ「……信用出来ない。じゃあね」


穂乃果「……」




穂乃果「にこ先輩!! 今度の、UTXでやるライブ、来て下さい!!」

穂乃果「待ってますから!!!!」




穂乃果「いっちゃった……」

希「……」

穂乃果「希ちゃん、一体にこ先輩何があったの?」

希「昔なスクールアイドル、やってたんよ」

穂乃果「え……」



希「一年生の後半からアイドル研究部に入って……」





希「でも、当時の矢澤にこっていうブランドはこの学校のスクールアイドルを破壊してしまった。スクールアイドルとはいえどアイドル。そう言ったにこっちとの温度差とか、その他諸々で。それで一人になってしまった」




希「……教室でもにこっちのことをアイドルだとして見る人が多すぎた。宿命だとはいえ、変な理想を押し付けられ、嫉妬され……次第に味方はいなくなってた」





希「……いつも一人なんよ」



穂乃果「……」




希「――あとは、みんなの前で話した方がいいかもね」


◇◇



にこ「なによ、なによなによ!! あんなこと言って!!!!」


にこ「どうせみんな、どうせ……」


希『どうして縁を切らないん?』



にこ「知るか……そん、なの……」




サムデーイツノーヒカー



にこ「これ……新曲? 真姫ちゃんが歌ってた……」



にこ「みんな、楽しそう……」



にこ「……なんにも有名じゃないのに、なんにも実績もないのに……」



にこ「私の方が実績も実力もなにもかも上なのに……」

にこ「なんで私より……楽しそうなのよっ……!!」


プルルルルルルル


にこ「電話……あ!!!」



にこ「もしもし!」











ツバサ「――もしもし、久しぶりねにこ」



にこ「……ツバサ」


ツバサ「ふふ……いきなりで悪いんだけど、お仕事の話していいかしら?」

また次回。
時間があるときに投下しに来ます。
ラブライブの大会設定などは基本的には改変してあります。

おっつん、良かったよ
雑コラ途中で無くなったけど


http://i.imgur.com/hL9QKKx.jpg
「お前たちが私のツバサだ!」

これで雑コラおなしゃす!!


あっお前ズルいぞ

http://i.imgur.com/ZgfJuxt.jpg
「(……この温もり、一生守ってみせる)」
お願いします!

◇◇



穂乃果「新曲の評判いいみたいだよ!!」



真姫「当然でしょー!」



穂乃果「さっすがまっきちゃーん!!」



絵里「練習もしたし、今度のライブ楽しみね」


凛「ラブライブに出場出来ないなら、こういうことで注目を集めるしかないもんね」



絵里「今度のUTXでのライブは、他のスクールアイドルと合同だから……目立たないとね」


花陽「で、でもあのアライズが出るって……」

ことり「強敵だね……」





穂乃果「関係ないよっ!! 私たちは私たちの出来ることをするだけだよ!!!」

◇◇





にこ「はぁ……まさかあそこでやるなんて……。すっごい気が進まないんだけど」


にこ「というか何よ、出戻り的な感じなの?」

にこ「たくツバサのやつ、どうして今更」


にこ「マネージャー通せっての」






 私は弁当を持って部室に向かっていた。

 なんだか希にいいように言われて少しイラついたし。



 でもでも決して希があんなことを言ったから音楽室に行かないわけではない。

にこ「たまには一人で食べるのもいいわよね」


 一人で食べるのなんてもう飽き飽きしているはず、なのに。






「好きです、付き合って下さい!!!」





にこ「ん?」




 角から生徒の声が聞こえた。


 それは人が恋い焦がれる相手に自分の想いを伝える言葉。

 私は気配を消して角の先を覗き込む。





海未「……あ、いや……えと」


「……ダメですか?」



海未「気持ちは嬉しいのですが……」

「そ、そうですか。……ありがとうございました!」タッタッタッ




海未「ぁ」

 告白されていた生徒には見覚えがあった。手にはお弁当を持っていて、さしずめお昼移動中にでも捕まったのだろうか。



 芯の強そうなµ’sのメンバー。いつだったか思い切り腕を掴まれたのを思い出す。



にこ「……あいつは」


 彼女は告白を断ったようで、相手が去った後も俯いて動かない。




海未「――人が告白されているところを覗き込むなんて、悪趣味ですねにこ先輩」



にこ「!?」



 急に距離が詰められる。



にこ「あ、いや……たまたま」


海未「……はぁ、まあいいです」

にこ「……モテるの? 女の子から」

海未「いや……そういうわけでは」

にこ「今まで何人くらいから告白されたことあるの?」


海未「あ、えっと……14、ですかね」



にこ「……そのうち男は?」



海未「……0です」
 

にこ「なんか、あんた凄いわね」


海未「そう言わないで下さい」







海未「――にこ先輩は今からお昼ですか?」



にこ「え、ええ」


海未「なら一緒にどうでしょう?」


にこ「え……?」

◇◇


ことり「にこ先輩!?」


にこ「……」

ことり「ど、どうしてにこ先輩と来てるの?」

海未「さきほど色々ありまして」


 なんで私ついて来てるんだろう。いや最早半ば強制的にこの子に連れて来られたみたいなもんだけど。


ことり「へぇーどうぞ!」

 そう言って彼女は位置をズレてパンパンと場所を叩いた。


 少しも嫌な顔をしないのはなんでよ。ほとんど面識無い相手といきなりご飯よ?



にこ「……」



海未「にこ先輩?」

にこ「あんたらが居るってことは穂乃果もくるの?」


海未「穂乃果は今日は先生によびだされていて」

にこ「ふぅん」


にこ(ま、それならいいか。あの子強引すぎてね)








にこ「って――なんで私が挟まれて座ってるのよ!!」


 校庭のベンチで二年生に挟まられながら昼食。なんだか屈辱的。




ことり「なんだかにこ先輩小さくて可愛いから」

にこ「はあ? あんたね――」

ことり「ことりです、南ことり」




にこ「……あ、あっそ」


海未「私は園田海未といいます」


にこ「……」


ことり「それにしても一体なにがどうしてにこ先輩が」

にこ「……この子が告白されてるところを偶然みちゃってね。それで」

海未「ちょ、ちょっと!!」




ことり「海未ちゃんまた告白されたの?」

海未「はい……」


ことり「あはは、モテモテだね!」


海未「もう……」


にこ「……そういえばあんた」

海未「海未です」


にこ「う、海未は部活剣道やってなかったっけ」

海未「ああ、やってましたよ」

にこ「今はやってないの?」


海未「ええ……今はスクールアイドルをしていますから」

にこ「こう言っちゃ悪いんだけど、スクールアイドルやるようには見えない」


海未「よく言われます」

にこ「じゃあどうして」

海未「……穂乃果ですね」

ことり「ふふ」

海未「……穂乃果に言われたら、断れなくて」


にこ「……後悔してないの。剣道辞めて、よくわからないスクールアイドルなんかして」


海未「はい」


海未「私とことりと穂乃果はずっと一緒で。穂乃果は言い出すと聞かないので……」



ことり「海未ちゃん最初は断ってたんだけどね。恥ずかしい恥ずかしいって言ってても満更でもなさそうで」

海未「そ、それは!」

にこ「恥ずかしいなんて言ってたらなんにも出来ないわよ?」



海未「わ、分かっています」


海未「……後悔、と言いましたが、私は多分あのまま剣道部に残っていたら……きっと後悔していました」




海未「スクールアイドルをやっているから穂乃果ともっと仲良くなれた、ことりともっと仲良くなれた。……µ’sのメンバーに出会えた。自分の居場所を見つけることができました」




にこ「……居場所」


ことり「海未ちゃん……」

海未「ふふ、なんだかつまらない話をしてしまいましたね」




海未「――にこ先輩、そのお弁当美味しそうですね」





にこ「ん? ああ、自分で作ってるのよ」

ことり「そうなんですか? すごい!」

http://i.imgur.com/TdriMkx.jpg

にこ「料理くらい作れないとね。色々料理スキルあると便利だし」


海未「料理番組にも出てましたっけ」

にこ「――昔はね」


ことり「私普通の料理よりお菓子作りの方が」

にこ「ああ、そっちね。女の子らしって言えばらしいわね」

ことり「あのぉ……にこ先輩の料理食べたいなー……なんて」


ことり「今度お菓子作って来ますから!」


にこ「別に構わないわよ」


ことり「本当ですか? あーん」


にこ「ふぇ? ちょ、自分で取りなさいよ」

海未「ことりったら」

ことり「いいじゃないですか!」

にこ「……」

にこ「は、はい……そんな大層なもんじゃないわよ//」



ことり「ぱくっ……んぐんぐ……おいしぃ」

ことり「美味しいです!」

にこ「と、当然よ!」



ことり「こんどお菓子作って来ますね!」

にこ「別にいいわよ……」

海未「ことりのお菓子は美味しいですからね」

ことり「えへへ」





 あれ、楽しい……?


 なんだか、安心するような。



 

ことり「にこ先輩」

海未「にこ先輩」


にこ「え!? あ、ごめん聞いてなかった」


ことり「にこ先輩ってスクールアイドルやってたんですよね」

にこ「そんな話誰から聞いたの?」

海未「希が」



にこ「ああ……あれはあいつの勘違いよ。なんて言ったかは知らないけど、私はアイドル研究部でアドバイスをしていただけ」

ことり「アドバイス?」

にこ「振り付けとか歌とか心構えとか」



海未「なるほど」




にこ「……みんな辞めちゃったけどね」


ことり「え?」



 私、なんでまたこんなこと話して……。




にこ「どいつもこいつもやる気のないやつばかり。私が少し言っただけで萎縮してさ」

にこ「……言い方も悪かったのかも、しれないけど……」

 こんな、こんなこと話しちゃダメ、弱みを希以外に見せたらつけ込まれて――。




海未「そんなことがあったんですか」


にこ「自分で言うのはアレだけど、当時はたくさんテレビ出てたから、鼻についたのかもしれないわね」



にこ「だから、穂乃果に言っておいて。私は――ここのスクールアイドルを潰した人、だからµ’sに入れない方がいいって」

にこ「幼馴染なんでしょ? 幼馴染二人が言えばあの子も――」





海未「――それは出来ません」

ことり「私も」



にこ「は?」

海未「にこ先輩はそれだけその人達のことを想ってたということですよね?」


にこ「い、いや」


ことり「その人達を良くしてあげようって見ていたから、色々物事を言ってたんですよね」



にこ「どこをどう解釈したら――」


海未「私は今確信しました」



海未「にこ先輩の力が必要です――µ’sに入って下さい」

ことり「あ、私も言おうと思ったのに!」






にこ「あ、あんたらまで何言い出すのよ!!」


海未「正直、最初は穂乃果が一人で言っているだけで気は進みませんでした」

ことり「アイドルとの兼任だもんね」



海未「はい、迷惑にもなるかと思いまして」

海未「……ワガママかもしれませんが、私たちがスクールアイドルとして上に行くためには……あなたの力が必要なんです」

ことり「絶対に諦めないから!」


海未「にこ先輩の求める完璧までは届かないかもしれません、でもみんなでそれに近づくように努力します」



にこ「……」



ことり「お願いします!」



にこ「馬鹿じゃないの……あんたらは穂乃果と違って頭がいいかと思ったけど……とんだ大馬鹿よ」



にこ「……私はスクールアイドルなんて出来ない」







海未「……」




にこ「失礼するわ」

申し訳ありません。また時間があるときに来ます。


>>107誰が言っているかどういう状況なのかわからないため作成出来ませんでした…

>>109http://i.imgur.com/4gm4wnu.jpg

◇◇





数日後



UTX 舞台裏





希「これがUTX……」

凛「すごいすごい!」


真姫「入学者が多いのもわかるわね」




真姫(もしかしたら私もここに通えてたのかもしれなかったのに……ま、今は後悔していないけど)



穂乃果「き、緊張してきたかも……」

花陽「オープニングが始まるね!」







ツバサ「――みなさーん! 今日は私たち主催のスクールアイドル合同ライブに来てくれてありがとー!」



ツバサ「私たち以外にもすっごく可愛いスクールアイドルがたくさんいるから楽しんでねー!!!」

ワーワー


穂乃果「やっぱり凄いなぁ」



ツバサ「そして、今日はそんな私たちスクールアイドル合同ライブにサプライズがあります!!」


ツバサ「――どうぞ!!」

穂乃果「なになに?」











にこ「――みんなー、こんにちはー!!!!」



ウォォオオオオー‼︎‼︎




真姫「あ、あれは!?」


絵里「矢澤さん…….!?」


海未「ど、どうして……」





ツバサ「今日は私たちが無理を言って、矢澤にこちゃんに駆けつけてもらいましたー!!!」



にこ「こんにちは、矢澤にこです! にっこにっこにー!」


にこ「今日はみなさんにスクールアイドルというものをうんっと楽しんで貰う為に、精一杯前座として頑張ります!」

あんじゅ「にこちゃんはスクールアイドルとか知ってるの?」

にこ「そりゃもちろんです!」

恵令奈「本物のアイドルに知られているとは、光栄だな」


にこ「最近はスクールアイドルのレベルもとっても高くて……」

にこ「にこもファンになっちゃうかも!」

にこ「じゃ、今日のメインは私じゃなくてスクールアイドルのみなさんなので……本日は一曲だけ! お願いします!」






穂乃果「すごい……」


ことり「本当にアイドルなんだね」






~~~~~~♪♪






にこ「Hi hi hi! にっこりしてみてよ
Hi hi hi! にっこりって大事だもんー」







海未「……」


花陽「魔法使いはじめましただ!!!」

凛「凛も聞いたことあるよ!」





希「海未ちゃん?」


海未「すごいですね……全然、レベルが違います」

海未「自分をどう魅せれば魅力的に見えるかそれらを全て分かっているような……」




真姫(こんなに凄いなんてね)






にこ「届けぇー魔法  笑顔のまほう
みんなをしあわせに」


真姫(上手いじゃない……)


絵里「時々見せる大人っぽいところとか……凄いわね……」

花陽「うぅぅ……正面から見たい、裏からじゃ良く見えないよ……」






にこ「ありがとーございました!!!」


にこ「今日一日楽しんで下さいね!!!」





ツバサ「ありがとうございました!」


ツバサ「では次はこのグループです!」






真姫「……何が前座よ。次にやるとこが可哀想ね」




穂乃果「あはは……」







にこ「ふぅ……」


穂乃果「にこ先輩!!!」


にこ「あ、あんた達……」



穂乃果「凄いですね!!」



穂乃果「感動しました!」


にこ「ありがと」


希「流石やね」


穂乃果「失礼ですけど、正直にこ先輩がアイドルだなんて実感出来なくて……」




にこ「え……?」


穂乃果「にこ先輩はにこ先輩だからアイドルって見れてなくて、ごめんなさい」


真姫「私も。正直このちんちくりんな先輩がアイドルだなんて思わなかった」




にこ「なっ……!!」



希「ふふ……」

にこ「あんたらねぇ!!」



絵里「……」


希「どうかな、えりち」


絵里「そうね……」








ツバサ「――にこ」


英玲奈「全く、遅刻してくるから話す暇も無かったじゃないか」

あんじゅ「くす……にこちゃんたら可愛い」


にこ「悪かったわよ」



穂乃果「あ……A-RISE……」



花陽「はぅぁ!!!」



にこ「久しぶりねツバサ、英玲奈、あんじゅ」


真姫「え!?」

http://i.imgur.com/DFYSuaA.jpg

絵里「……」

凛「アライズと知り合い!?」



にこ「あぁ……まあね」





ツバサ「そちらの方々は……」


英玲奈「確か音ノ木坂のスクールアイドル、µ’s」

英玲奈「ん……君たちは……神社で」


穂乃果「……あ、あの時の!!!」


凛「あの時のUTXの人だ!!」

花陽「……一年前の。あれ、よく考えたら私あの時会ってた!?」


あんじゅ「知り合いなの?」


英玲奈「いや……ウチの生徒が無礼なことをしていたから」


あんじゅ「ふぅん」カミノケクルクル



穂乃果「おかげさまで剣道、優勝出来ました!!!」


英玲奈「そうか、おめでとう」

ツバサ「にこ、最近どう?」




にこ「別に」

ツバサ「大丈夫なの?」


にこ「……」



英玲奈「ツバサが最近張り合いないってぶーぶー言ってるんだ。にこなら――」


ツバサ「ちょ、いいでしょそのことは」


穂乃果「ど、どういう……」



にこ「仕方ないでしょー、文句はそっちの生徒会長に言いなさいよ」


ツバサ「……私たちは信じてるわよ」

あんじゅ「濡れ絹なんでしょ?」カミノケクルクル


にこ「当たり前よ」


ツバサ「……ねえ、戻ってこない? UTXに」



ツバサ「私はあなたがUTXに居た頃を知らないけれど、ずっとテレビとかで見ていた」

ツバサ「それなのに……」






真姫「……え?」


絵里「……」

希「……」






にこ「――もう戻れないわよ。わかるでしょう?」


ツバサ「今ならあんな生徒会長の力私たちで抑えられる!」


英玲奈「こうしてUTX内で仕事だって出来ているだろう?」

ツバサ「だから!!」




にこ「……無理よ……もう。戻りたいとも思わない」


英玲奈「……そうか」


あんじゅ「ねえ、今日これ終わったらご飯でもどうかな?」カミノケクルクル


にこ「……」


ツバサ「いいから拒否権なんて無いわよ!」グッ



にこ「ちょっ……待ってよツバサ!!」


穂乃果「……」


希(にこっち、ちゃんと友達おるやん。ふふ)



穂乃果「どういうこと? にこ先輩が戻るとか……」


花陽「……にこ先輩はね、昔――UTXに居たらしいよ」



海未「そ、そうなのですか!?」

ことり「ウソ!?」

真姫「なにそれ!?」




穂乃果「絵里ちゃんと希ちゃんは知ってたの!?」

絵里「ええ……」

希「まあそりゃ」




穂乃果「どうして言ってくれなかったのさ!!!」



希「うーん、言うことか迷ったから」



穂乃果「……ねえにこ先輩のことでまだ色々あるんじゃない? 希ちゃん、この前のことだって……」




希「……じゃあ話そうか」


真姫「ごくり」


希「にこっちはね、最初入学したのはUTXの芸能科なんよ」



希「……当時から頭角を現していたにこっちは芸能科でもエース的な存在だったらしくてね」

穂乃果「じゃあなんで音ノ木に……」



希「……今のUTXの会長、女優やってるの知ってる?」


海未「いえ……」


希「名前言えばわかるかな……」

――――





穂乃果「あ、あの人ってUTXだったの!?」

花陽「あの女優さんもUTX……」

凛「UTXってすごいにゃー」

絵里「……あの人……あんまり好きにはなれないわね」

真姫「どんな人?」

絵里「……まあ、嫌な人」





希「にこっちと同じ世代で、まあ芸能科のWエースとか言われてたんや」


希「でも、にこっちの才能が開花した。もうアイドルユニットに属さなくてもバラエティやらドラマやらなんでも出来るようになって……」


希「次第にUTX芸能科のWエースとは言われなくなった――」




にこ「――なに余計なこと話してるの、希」


希「にこっち……」




にこ「馬鹿なこと言ってないで、目の前のライブに集中した方がいいんじゃない?」


穂乃果「っ……」

穂乃果「にこ先輩、私、もっとにこ先輩のこと知りたいです」




にこ「知っても、意味なんてないわ」



にこ「じゃあ、"頑張りなさいよ"」





穂乃果「……」



海未「応援してくれた?」


ことり「そう、だね」


希「まったく……」



絵里「矢澤さんのことは後にして、とにかく私たちはライブに集中しましょう!!」


穂乃果「うんっ!!」


◇◇





にこ「……」


ツバサ「もう、なんでそんな嫌そうな顔するのよ」


にこ「いやそんなことないわよ」

あんじゅ「µ’sだっけ、あの人達と仲いいの?」カミノケクルクル



にこ「いや別に……」

ツバサ「まあ……どこにでも居る感じのスクールアイドルだけど」


英玲奈「何かが足りない」


あんじゅ「ツバサったらその何かが加わった瞬間、凄いことになるってずっと言ってるの」


ツバサ「なんだかそんな感じがしたのよ」


ツバサ「……ミューズ……本来の意味は9人の女神。……きっと足りないものが加われば」

にこ「ふぅん」


ツバサ「興味なさそうね? 自分の高校なのに」

にこ「別に興味ないわ」


ツバサ「そう」



あんじゅ「私はあんまりにこちゃんと話したことないんだけど……ここに居ていいのかしら」カミノケクルクル


英玲奈「問題ないよ、そうだろう?」

にこ「ええ、少しくらいなら話したことあるじゃない。というか私が居なくなってからあんじゅは入学したんだから当然よ」


ツバサ「英玲奈がにこと仲が良かったみたいだから私も必然的に関係を持てたわけだしね」



あんじゅ「……もしもにこちゃんがUTXに居てくれたら……多分私はアライズに入れなかったんじゃないかな」カミノケクルクル


にこ「どういう意味?」

恵令奈「今三年生は私だけだが……その……私たちの代は、ずっと不作と言われていたからな」

にこ「まあ」

英玲奈「にこがアイドルとして活躍しだした時、きっとUTXはアライズに入れようと思ったに違いない」


にこ「……スクールアイドルとの兼任なんて……」



あんじゅ「音ノ木坂で一時期やってたって聞いたけど」



にこ「ああ、あれは違うわ。スクールアイドルの裏方みたいなもんよ。アドバイスとかそういうの。……まあみんな辞めちゃったけど」



ツバサ「事務所契約のアイドルとの兼任でやってる人もいるけれど、あまり良いようには思われないわね」



にこ「暗黙のルールってやつね。売れてないアイドルとかは居るけれど」



英玲奈「当時のアライズは今や初代ほど大きくはなかったから……ツバサの加入でそれは変わったけど」


にこ「待望の黄金ルーキーだったわけね」

ツバサ「そんな……」

あんじゅ「――基本的にアライズは三人制、にこちゃんが居たら、恵令奈、にこちゃん、ツバサっていう構成になっていたと思うの」カミノケクルクル




恵令奈「そうなっていたらバランス的に私がセンターだったかもな」フフ


にこ「ツバサは小さいからねー」


ツバサ「いや身長同じでしょ……」


にこ「あれ、アライズって各学年一人じゃないの?」

英玲奈「あ……」

あんじゅ「私関係なかったわね」

にこ「そもそものとこ忘れんじゃないわよ……」




にこ「――で、どうなの今回のラブライブ」


ツバサ「優勝するに決まってるでしょ」


にこ「流石ね」

英玲奈「前回はツバサが体調不良で万全ではなかったからな……今回こそは」

あんじゅ「私は初めてだから足を引っ張らないように頑張るわー。そしたらにこちゃんも見に来てね」


ツバサ「――今回のアライズは強いわよ」

にこ「見ればわかるわ」


にこ「あんた達だけスクールアイドルなんて枠組みのレベルじゃないことくらい」

http://i.imgur.com/IprqjXb.jpg

ツバサ「――ま、あなたには関係ないことよね」



にこ「ええ」



英玲奈「……それよりあんじゅ」

あんじゅ「なあに?」カミノケクルクル




ツバサ「……その髪の毛くるくるしてんのやめなさい」

あんじゅ「あ……」

あんじゅ「クセなんだもん」

ツバサ「あんたね、ライブ中とかもしだすわよそのうち」

あんじゅ「大丈夫よー」




「あれ、アライズと矢澤にこじゃない?」

「そんなわけ……え、マジで?」






ツバサ「……場所を変えましょうか」

にこ「そうね」


◇◇



ツバサ「こんなこと言いたくないけれど、本当に大丈夫?」

にこ「ん?」




ツバサ「あんまりテレビでみなくなったっていうか……」



にこ「あぁ……」



英玲奈「やっぱりあのスキャンダルのせいなのか?」

にこ「それもあるし……」


あんじゅか「大体真偽もわからないスキャンダルで追放とかする?」



ツバサ「……注目が大きければ大きいほど疑惑が出ただけで大打撃になる。にこの場合は当時大注目のアイドルだったから、疑惑が出た瞬間火消し出来ないと踏んだんだと思う。UTXはそういうスキャンダルには厳しいからね」



にこ「……退学したのだって私の意思だしね」


英玲奈「まあ……学校側も退学させるように仕向けていたようだが」



にこ「――最近、目標がわからなくなって……」


ツバサ「……」

にこ「――ごめん、このことは」

ツバサ「そうね、ごめんなさい」


あんじゅ「二人とも、そろそろ時間よ」


ツバサ「あ、本当だ」


にこ「久しぶりに三人に会えて良かったわ」

ツバサ「ええ、私も」


英玲奈「UTXに戻りたくなったらいつでも言ってくれ。もうあの会長の好きにはさせない」

にこ「うん……」


あんじゅ「じゃあねにこちゃん」






にこ「……」

にこ「はぁ……」

にこ「あの子達といると……嫌なことまで思いだしちゃう」

にこ「……帰ろう」

◇◇




にこ「……今日のライブ動画あがってる」



サムデーイツノーヒカー



にこ「やっぱり……楽しそう……」


穂乃果『にこ先輩はにこ先輩だからアイドルって見れてなくてごめんなさい』



にこ「……私のこと、アイドルじゃなくて……矢澤にことして見てくれてた、のかな」



真姫『私も。こんなちんちくりんな先輩がアイドルだなんて信じられないもの』


にこ「あの子の言い方はイラっときたけど」

にこ「ふふ……」


にこ「な……ダメよ、言葉に耳を貸しちゃ……」



ミンナーキョウハアリガトー


オトノキザカノミューズデシタ




にこ「……真姫ちゃん、こんなに笑って……」


にこ「……」ギリリ



にこ「羨ましくなんか……ない」


◇◇


真姫「今日はこないのかしら……」


真姫「完全に一人でお弁当食べるのって久しぶりね」



 いつものように音楽室にピアノを弾きに来て、そのついでに昼食も持ってきていた。



 しばらく弾いていればどうせあの先輩が昼食を持ってやってきて一緒に食べるハメになるから。



真姫「……」

真姫「別に待ってなんかない!」


 いつもきていたひとが来なくなるのは少し新鮮というかなんというか狂うというか。



真姫「……」モグモグ


真姫「……凛と花陽は違う人と一緒に食べてるし」



真姫「……」モグモグ


真姫「もう食べ終わっちゃった。喋りながらじゃないとすぐ終わるのね」



真姫「いいや、ピアノ弾いてましょう」

ではまた次回。


◇◇


にこ「あ、よろしくお願いします」



「あー矢澤さん、今日はよろしくね」

にこ「はい、よろしくお願いします」



「一応台本には目を通してある?」

にこ「ええ」

「じゃその通りにやってもらって」

にこ「頑張ります!」





 私はこのバラエティ番組のディレクターに挨拶をして、その場を後にした。






にこ(あれ、やる気……出ない)




にこ「なんでだろ……」

「あ……矢澤にこだ」

「……なんだか久しぶりに見た」


「そりゃそうよ……恋愛経験ないとかいいながらファンの人とホテルよ?」



「あそこの事務所、若いアイドルとかタレントは恋愛禁止だから」


「……まあそんなとこ撮られたらねえ」

「例え本当じゃなくてもスキャンダルが出た時点でね」


「事務所からも干されてるんでしょ」

「UTXも退学したとか」

「本当? もったいない」








にこ「っ……」ギリリ




 楽屋へ向かう途中でそんな声が耳に入ってきた。なんにも、なんにも知らないくせに。

◇◇



穂乃果「この前のライブどうだったかな!?」

真姫「アライズが凄かったわね」


希「王者の風格って感じやね」

絵里「でも、前回のラブライブでは優勝していないんでしょ?」



花陽「はい、アライズというのは基本的に何代も続いていくもので今は4代目なの。スクールアイドルブームのひっつけ役となったのが初期のアライズだから、前回優勝していなくても常に優勝候補であることには変わりないんだよ」



凛「へー」



花陽「そもそも前回は当時一年生のツバサのパフォーマンスが全くいつもの感じじゃなかったってのもあるから……」



穂乃果「みんなも見たでしょ? アライズのパフォーマンス」


海未「凄かったですね……」


ことり「あの……凄いといえば、にこ先輩のことなんだけど……」

穂乃果「希ちゃん、話してくれる?」


真姫「私も気になってたわ」


希「……分かった」



希「どこまで話したっけな……そうそう。にこっちがUTXの中でも突出した存在になりかけていた時、ある一つの出来事が起こったんよ」



希「――スキャンダル」


花陽「っ……」


希「にこっちが一年生の時のことやから、みんなは覚えてるか微妙やね」


希「……一般人とホテルから出てくるところを週刊誌に撮られたんよ」




穂乃果「ほ、ホテルって……」


希「ま、一般的にはエッチなことをするホテルやね」


穂乃果「そ、そんな……」


ことり「にこ先輩が……?」



希「……そのスキャンダルがあって事務所とUTX芸能科は大激怒。UTXに居場所はなくなって、ここ、音ノ木坂に。どうやって国立のここに編入したかは……わからないけどね」

希「編入してきたのが一年生の後半だったから穂乃果ちゃん達も知らないんよ」


真姫「なるほど……」


海未「でも、にこ先輩がホテルというのは本当なのですか?」

希「……」

希「これを見て。携帯でごめんね、当時の記事なんやけど」







絵里「……矢澤さんね」


花陽「……にこ先輩だ」

真姫「恋人繋ぎね」

穂乃果「……本当に?」



希「――これは別人」


海未「し、しかし……にこ先輩に見えます」

真姫「完全にそうだけど……」

希「カラーだったことが幸いしてね、このにこっちのリボン見てみて。青やろ?」


ことり「それがどうしたの?」

真姫「……あ」

真姫「あの人、赤いリボン以外してないわ」


希「――そういうこと。本人もリボンなら赤しかしないって」


絵里「じゃあこれは誰なの!?」





希「……それが。ただのそっくりさん」

真姫「ただのそっくりさんをスキャンダルにしたってわけ!?」



希「どうもUTXの会長さんが絡んでるらしいんよ」

絵里「どういう意味?」

希「……わからない。にこっちがあいつにハメられたってそう言ってただけやから」


ことり「……UTXの会長さん、綺麗な人だよね」

凛「そうだね」

凛「でもハメられたって……」


希「……わからない」


絵里「私、今度会議でUTXに行くことがあるの。そこで会長さんに聞いてみて――」

希「そんなことして大丈夫なん?」


絵里「まあ一応面識はあるし」


絵里「いちいち嫌な言い方してくるから好きにはなれないけどね」


海未「絵里がそんなこと言うくらいですから……相当なんでしょうね」



絵里「ええ、あれは相当なものよ。芸能人の性格批判とかが多い理由がなんだかわかる気がするわ」

◇◇




にこ「本番までもう少しね」


コンコン


にこ「はい、どうぞ」


UTX会長「――こんにちは、矢澤にこさん」





にこ「あ、あんたは……」



にこ「ど、どうしてここにいるのよ!!!」


UTX会長「同じ番組で共演するんだから挨拶に、くるのは当たり前よね?」


UTX会長「それとも矢澤にこさんはそんなことも出来ないのかしら」クスクス



にこ「っ……あんたね……」



にこ「一年振りくらい? よくもまあ私の前に顔出せたわね」

UTX会長「そんなに怖い顔をされて……可愛いらしいお顔が台無しですよ」


にこ「いちいちイラつくわね。あんたのせいで私は!!!!」


UTX会長「くすくす……あんな単純な工作に引っかかるマスコミ方が悪いのではなくて?」



にこ「黙れ!」



UTX会長「では私はお先にスタジオに行ってます。今日はよろしくお願いしますね」


バタン



にこ「っ……クソッ!!」バンッ‼︎



にこ「ぶん殴ってやりたい……」ギリリ


◇◇



にこ「本番中は大人しかったわね」

UTX会長「ええ、他の共演者の皆様に迷惑をかける訳には行きませんから」


にこ「……」


UTX会長「なんだかあなた……随分とやる気がないようでしたけど。仕事には手を抜かないところは尊敬していましたのに、ついに心まで腐ってしまいましたか?」



にこ「……失礼するわ」



UTX会長「ねえ」

にこ「なによ」





UTX会長「――もう一度スキャンダルが起きたら……どうなるかしらね」

にこ「どういう意味」



UTX会長「いえ、純粋な興味ですよ」


にこ「……そうなったらクビでしょうね」

UTX会長「クス……せいぜい気をつけてくださいね」




にこ「言われなくてもホテルの周りなんて近づかないわよ」








部室








にこ「……昨日の収録ダメだったなぁ。次のオファーはなさそうね」


にこ「あれ……なんでなんとも思わないんだろう」

にこ「わかんないや」



にこ「……なんで、私……アイドル、してるんだろ」




にこ「……」


 なんだか部室がとても広く感じた。窓の外を眺めて見ると空は灰色で、より一掃電気のついていない部室は暗く感じる。




 昔はここに部員が沢山いて、部長がいて。私はみんながいなくなったから部長になっただけ。




にこ「はぁ……最近変なことばかり考えちゃうわ」


にこ「……昨日は数少ないチャンスだったのに」




 最近はテレビの仕事はめっきり減ってきて……それなのに、それなのに番組に対するモチベーションはとても低くて。

 あいつに言われたことはごもっともだった。


 番組中にあからさまに手を抜いて。



 もう、私は……。




にこ「――こんなんでアイドル続けてて、いいのかな」




カチッ



希「――電気もつけないでなにやってるん」



にこ「希……」





希「――酷い顔」

にこ「え」

希「もっと、笑ってよ……」





にこ「な、なによいきなり」

http://i.imgur.com/4bFKC6R.jpg

希「……」

希「きゅ、急にごめんね」


にこ「希?」


希「……行こう」

にこ「は?」



希「遊び行こ!! 今から!!」


にこ「はあ!?」


希「そんな顔してたらなんにも出来んよ!! だから遊びいこ! 色んなこと全部忘れて!」



希(ウチに出来ることを)



にこ「引っ張んないで! あんた練習は!?」


希「今日はえりちが会議出掛けててないから!」




にこ「はぁ!?」

希「いいからいいから!!」グイッグイッ

◇◇


にこ「全く……」


希「そんな怒らないでって」



にこ「いきなり走らされて当たり前でしょ!?」


にこ「それに、遊ぶとこも考えてないとかなによ!?」



希「あー……いや思い付きだったから」

にこ「もう」


希「街の方にでも行く?」

にこ「まあそれでもいいけど」



希「あ、でも見つかったら大変なことになるかな?」


にこ「――別に、もう私の人気なんて落ちてるし」

希「……ご、ごめん」

希(笑ってくれない……ウチは……)

希(にこっちをこんな顔にしか、出来ないの?)

にこ「はぁ……まあ中には気がついてくれる人も居るとは思うけどね」

にこ(ツバサ達との時も気がつかれたし)



希「じゃあ……」

希「神田明神でもいこか!」


◇◇



にこ「こんなとこ来てなにすんのよ」



希「神社は嫌い?」


にこ「別に嫌いってわけじゃ」

希「この静かな雰囲気いいと思わん?」


希「みんなね、あの坂で訓練してるんよ」

にこ「ふぅん」



希「ここはウチにとって、思い出の場所。µ’sも屋上で練習する前は朝よくここを使っていたり」

希「穂乃果ちゃんも――」

にこ「――あいつらの話ばかり」ブスー




希「あ……ご、ごめん」

にこ「もう、二人で遊び来たんでしょ?」



希「そ、そうやね」

にこ「だったらあんまり他の人の話ばかりしないで」


にこ「ま、まだ希以外に心を許してる訳じゃないんだから……」


希「……」


希「ふふ……ありがと!」ギュッ

にこ「な、なによ!?」





希「でもにこっち最近真姫ちゃんとか他の人とも話してるみたいやん?」

にこ「あ、あれはたまたまよ!」




希「ふぅん?」

にこ「なによ」

希「なーんでもなーい」

希「何かお願いしてこよか!」




にこ「お願いか」





希「うーん」

にこ「……」

カランコロン



希(……にこっちを笑顔に出来ますように)


希「ふぅ……」


希「――あれ、お願いしないの」



にこ「お願い、見つからなくて」

希「なんにもないの?」



にこ「……目標もないし。夢は、叶えたし」

にこ「もう何も」

希「そっか……」




希(そんな、そんな悲しい顔しないでよ。お願いしたそばから……こんなにこっち、見たくない)


にこ「なに落ち込んでんのよ」



希「うん」



にこ「あんたはラブライブ出場とか願ったの?」



希「いや、今のウチには、もっと大切なものがあるから」



にこ「なんだろ」

希「――お願いは人には言わないもんなんよ!」

また次回

にこ「えー、なにかしら。あ、彼氏とか!?」


希「そんな人おらんて」

にこ「欲しいとか?」ニヤニヤ

希「別にいらない」



にこ「女子高生が彼氏も作らないとかどうなの?」

希「それだけが全てやないからね」


希「――ねえにこっち。これから暇?」

にこ「暇だけど」

希「ウチの家に来ない?」


にこ「希の、家?」

希「ご飯くらい作るよ!」

にこ「……希の家なんて、久しぶりね」

希「二年生の時は良く来てたね」


にこ「そうね、懐かしい。……でもあんた料理作れないでしょ?」

希「ま、まあ」

にこ「うーん……私がつくろっか」


希「いいの?」

にこ「仕方ないわね。どうせ冷蔵庫の中なにも入ってないんでしょ、ほらスーパー行くわよ」

希「う、うん!」

◇◇






UTX



絵里「はぁ……全く……なんだか入りにくいわね」

絵里「第一高校のクセにビルってなんなのよ。高校らしくないわ」






UTX会長「――絢瀬さん」


絵里「……こんにちは」

UTX会長「今日も一人かしら」


絵里「ええ、今回も報告することはありませんので」

UTX高校「そうですか。文化祭、どうなりそうですか?」

絵里「またその話ですか」

UTX高校「いえいえ、純粋にどうするのか気になっただけですよ」

絵里「……」

UTX高校「そういえば最近……あなた方の高校にスクールアイドルが発足したとかツバサから聞いたわ。絢瀬さん、あなたもそのメンバーだとか」

UTX「ここUTXでライブもしたとか」


絵里「……それが何か」


UTX会長「あなたならもっと賢い判断をすると思ったのだけれど。文化祭にはライブとかするのかしら?」

絵里「まだその予定はありません」


UTX会長「まあそうでしょうね。アライズと同じ日程でライブなんかしたら閑古鳥が鳴いてしまうもの」


絵里「あなたねっ……」



絵里「ちょうどいいです。私も聞きたいことがあります」

UTX会長「なにかしら」


絵里「――アイドル矢澤にこのことです」


UTX会長「急にどうしたのですか」

絵里「いいから教えて下さい」


UTX会長「懐かしいですね。一時期はしのぎを削った良きライバルだったのですが……」


UTX会長「元気にしていますか?」

絵里「矢澤さんが音ノ木に来たのは、あなたが原因だと聞いています。スキャンダルを起きた原因が」


UTX会長「クス……なんのことかわかりませんね」



絵里「……何か知っていますね?」



UTX会長「さあ、わかりません。矢澤にこさん、将来を期待されていた良きライバルでしたのに」


絵里「……」


UTX会長「――それはそうとわたし、絢瀬さんのこととても評価しているんですよ」サワサワ


絵里「な……」

UTX会長「……好きな人はつい虐めたくなってしまうんです」

UTX会長「矢澤にこさんのことも、大好きなんです」ササヤキ


絵里「や、やめて下さい」パシ




恵令奈「――その辺にしておいたらどうだ」

UTX会長「あら、英玲奈どうしたの」

英玲奈「矢澤にこのことだ。今までは黙っていたが、あんたが仕組んだことくらい分かっている」



英玲奈「この写真、にこじゃない。とてもそっくりだが別人。よくもこんな人を見つけたな」

英玲奈「あんたはこの矢澤にこにそっくりな人と適当な男がホテルから出てくる場面を作り出して、自らシャッターを切った」

英玲奈「こんなところじゃないか」

UTX会長「……」


UTX会長「――ただ私はたまたま矢澤にこさんにとってもそっくりな人と、男の人がホテルに入っていったから写真に収めただけです」

英玲奈「たまたま?」

UTX会長「まあ……隠す理由もありませんし……。大体英玲奈が言った通りですよ。くすくす……目撃者も沢山いますしね」



英玲奈「やっぱりか。どうせその目撃者とやらもあんたが仕組んだんだろう」



絵里「あなた……なんでそんなことしたのよ!?」


UTX会長「だって、あの人はUTXを背負う器じゃないもの。それは私の役目」

時々英玲奈が誤字りますがご勘弁を。

絵里「……そんなことで一人の人生をおかしくしたんですか?」

UTX会長「私にスキャンダルを仕組まれるのも含めて彼女の人生なんじゃないでしょうか」




英玲奈「前からあんたのことは気に食わなかったが……まさかこれほどとはな」


UTX会長「くすくす……もう終わったことだもの。そんなに掘り返さないで」



英玲奈「最低だな」


UTX会長「では私はこれで失礼します。絢瀬さん会議には遅刻しないで下さいね」ペコリ





絵里「……」



英玲奈「……あれがあの女の本性だよ」

絵里「ええ……」

絵里「全部、仕組まれてたってことですか」

英玲奈「そういうことだ」



絵里「許せない……!! どうしてあんな人をのさばらせておくんですか!?」


英玲奈「……芸能界ってのは汚い世界だ。私は直接体験しているわけではないが……こんなことは日常茶飯事なんだろう」


絵里「……」

恵令奈「欲望とか、陰謀が渦巻いている世界。一度起こったことはどうしようもない」

絵里「そんな……」


英玲奈「そんな世界でにこはずっと生きている。凄いよ、本当に」

英玲奈「あの子はなんだか人気が出れば出るほど、それとは対照的に暗くなって人と話さなくなっていったんだ。何があったかは……わからないが……」


絵里「そんな、そんなこと……」


英玲奈「――もう、疲れているのかもしれない」



英玲奈「私たちではもうにこの居場所を作ることは出来ない。にこが寂しそうにしてたら、なんとかしてやって欲しい」


絵里「――ええ、任せて下さい」

◇◇




ツバサ「あの人と何を話していたの?」

英玲奈「にこのことを」


あんじゅ「……やっぱりあの生徒会長が全部やったの?」

英玲奈「ああそうみたいだ」


ツバサ「……はぁ、やっぱりね」


ツバサ「何も出来ないのが辛いけど」


英玲奈「私のせいだ。私がにこを守ってやることだって出来たはずだ」


あんじゅ「……正直あの写真が週刊誌に出た時点で、どうしようもなかったと思う」

ツバサ「そうね、UTXに通っていて芸能デビューしてる人があんなスキャンダル起こして今でも活動出来ているのが幸運なくらいよ」



あんじゅ「ウチの学校厳しいからねー。ていうかなんであの事務所にまだ所属出来ているの?」


ツバサ「当時にこはトップアイドルだったから、スキャンダルが起きてもなんとかまだ復活の可能性の方が高いと事務所が判断したんでしょうね」


ツバサ「真偽もわからないただのスキャンダル。そういうのから守るための事務所なのに……守って貰えるはずのものからも守ってもらえなかった」


ツバサ「自分達で言うのもなんだけど、酷いところね。UTXは」

あんじゅ「……」



あんじゅ「ふぅん……ていうかそもそも恋愛禁止って意味がわからないんだけど」


ツバサ「人気にも直結するところだから」

あんじゅ「ぶー、高校生なのに恋愛一つ出来ないなんて人格否定もいいとこよ」

ツバサ「じきに慣れるわよ」


英玲奈「だがもしにこに次、スキャンダルが起きたら――」









ツバサ「――ま、ゲームオーバーでしょうね」

◇◇


希「美味しい」

にこ「当たり前よ」


希「なんだかウチが誘っておいてご飯作って貰うとかおかしくない?」

にこ「あんたが作れないのが悪いんでしょうが」

にこ「どうせ適当に惣菜買ってきて野菜もロクに食べてないんでしょ」

希「た、食べてるよ! ウチのサラダうどんは絶対美味しいから!」

にこ「はいはい」




にこ「――なんか、安心する」

希「え?」

にこ「あ、ごめん、いきなり」


希「う、うん」

にこ「……でも本当。私希と二人で居るの結構好き」


希「も、もうなんやそんなこと」

にこ「覚えてる? 私と希が最初に話したの」


希「えーと体育の時やったね」

にこ「転校してきて一ヶ月で友達無くすって相当よねー。私アイドルだったから色々話かけられたりしたのに」


希「あはは、当時のにこっちは尖りまくってたからね」


にこ「そうね。……誰も信用なんて出来なかったから」

希「……」


にこ「こんな私にしつこく話かけてきて……迷惑だったのよ?」

希「しばらくしたら普通になったくせに」

にこ「……冗談よ」


希「知ってる。にこっちは素直やないからね」

にこ「む」

希「ふふ」

にこ「じゃ片付けましょうか」

希「うん」

――――


にこ「本当に見送りなんていいって」

希「駅までやから」

にこ「全く」

希「夜道に一人は危ないからね」

にこ「あんた帰りは一人よ」

希「ウチのことはいーの」


にこ「あんたはいつもそうね」

希「別にいいやろ?」

にこ「まあ」




にこ「――あ、公園!!」


希「遊んでいきたいん?」クスクス

にこ「い、いやそんなんじゃ」


希「よし、ちょっと遊ぼ!」

にこ「は、はあ!? もう仕方ないわね」






にこ「ブランコかぁ」


希「小さい頃は好きやったなあ」

にこ「たまにはいいかもね」



希「にこっち立ち乗りはダメやって」


にこ「誰も見てないでしょー!」


希「もう……」




にこ「ふふふ、希ー、希もどう!?」

希「ウチはいいよ」


にこ「えー楽しいわよー?」


キーキー

希「ふふ」



にこ「ふぅ……」


にこ「たまにはブランコもいいわね」

にこ「大きくなってからは全然ブランコなんて乗る機会無かったし」

希「そうやね」


にこ「あーなんだかすっきりしたような気がするわ」


希「そう?」


にこ「ええ、ありがと」


希「うん」


にこ「なんだか二人で夜の公園なんてロマンチックね」


希「ウチのこと好きになっちゃったー?」

にこ「うるさい」



にこ「――私ね、希さえいれば別にそれでいいの」

希(また……そんな嘘……)



 そう言ったにこっちの顔はどこか悲しげで……。

 それはそうだ。



 ウチだけで満足しているなら、あんなに泣いたりしない。強い、とても強いにこっちがあんなに泣いたりしない。


 居場所がなくて、居場所を欲っして。


 そしてウチは……にこっちの居場所には、なれなくて。



にこ「だから、私は大丈夫! 今日みたいに時々構ってくれれば」

にこ「本当、今日はありがとね」



にこ「じゃ私は帰るわ。そろそろ遅いし、本当に見送りはいらない」

希「でも」

にこ「いいから、ばいばい!」タッタッタッ




希「ぁ……」

 走り去るにこっちの背中目掛けて手を伸ばす。

 でも伸ばしたそれは届かなくて――。






希「……神様……お願い」


◇◇



にこ「ったく……」


真姫「なんか機嫌悪いわね」

にこ「はぁ、嫌なこと思いだしたの」

真姫「ふうん」


にこ「またなんか歌ってよ」

真姫「いやよ、そんな気分じゃない」

にこ「もう……あんたなんでそんなに曲作れるの?」

真姫「さあ、なんでかしら」

にこ「歌詞とか書いてると恥ずかしくならない?」

真姫「別に……」


真姫「しかも最近は歌詞書いていないからね」

にこ「?」


真姫「園田海未って人が書いているのよ」


にこ「園田海未……」



にこ「あの子が」


真姫「知り合いなの? なんでも詩とかが得意みたいでね」


にこ「へえ」

にこ「もう一ついい?」

真姫「なに」

にこ「あんたらのグループ、衣装ってどうしてるの。どっかで買ってるの?」

真姫「あんなの全員分買ってられるわけないでしょ、部活でもないんだし」


にこ「じゃあどうやって」


真姫「作ってるのよ」

にこ「……自分達で?」


真姫「ことりがデザインとかが好きでね。間に合わない時は私たちも手伝うけれど、基本的にはあの子が作ってるの」



にこ「ことりが」

真姫「今も被服室で作ってるんじゃないかしら」


にこ「ふぅん」

真姫「というかあなた今放課後なのになんでいるのよ」


にこ「なんとなく?」

真姫「あっそ」


真姫「じゃあ私もう練習戻るから」

にこ「あ、うん」



にこ「待って!」

真姫「なに?」

にこ「最近思ってたんだけどさ」


真姫「ええ」

にこ「――なんでナチュラルにタメ口なのよ……」



真姫「……敬語嫌いなの。以後気をつけます」


バタン


にこ「……」


にこ「あれ、嫌な感じがしない」



 普通下級生、しかもあんなツンケンしてる人から舐められた態度取られたらイライラしそうだけど……なんでだろう。


 下級生のツバサとかあんじゅにタメ口で話されていたからかな……。



にこ「これからどうしようかな。仕事もないし。家帰っても暇だし」

にこ「久しぶりに妹達の相手を――」



真姫『被服室に居るんじゃない』





にこ「……」

◇◇


被服室


にこ「別に気になったとかそう言うんじゃないんだけどね」



にこ「というか真姫ちゃんが練習行ったならあの子もここに居るわけないわよね?」


ガララ


ことり「……」ガチャガチャ



にこ「あ……」


 被服室の扉を開け放ち、中を確認してみる。中には真剣な面持ちでミシンを走らせていることりが居た。




ことり「!? な、なんでにこ先輩が」

にこ「あ、いや……」

ことり「……?」


にこ「真姫ちゃんからことりがここで衣装作ってるって聞いて……少し気になったというか」

ことり「そうなんだ!」


ことり「こっち、座って下さい!」

にこ「いやでも作業の邪魔になるし」


ことり「いいからいいから」


 ことりは笑いながら立ち上がり、私のためのイスを用意してくれた。

にこ「……」



ことり「そういえば最近真姫ちゃんと仲いいですね」

にこ「そ、そうかしら」



ことり「真姫ちゃんもみんなの前でにこ先輩のことばかり話してるんですよ」

にこ「え、本当?」


 なによあの子、可愛いとこあるじゃない。

ことり「――羨ましいな」


にこ「え?」



ことり「私もにこ先輩と仲良くなりたいです」


にこ「な……///」


 顔が少しだけ熱くなって目を逸らす。

 ことりはそれとは正反対に真っ直ぐ私を見て来て……。


 おかしいなこんなことあんまりないのに。演技だって得意なのに。



ことり「にこ先輩は、この衣装についてどう思いますか?」



にこ「……」


 ことりが不意に見せて来た衣装は、赤を基調として中心には黒くて太いライン、腰部分にも両サイドからライン入って、首元には大きなリボンがつけられていた。スカート部分は白。

http://i.imgur.com/iTiiBqJ.jpg

にこ「……ふむ」


ことり「ど、どうですか?」

にこ「まあ王道って感じね」


にこ「……衣装のパターンをどうするかわからないけど……メリハリが欲しいわね」


ことり「メリハリ」


ことり「一応考えてるんですけど……」ガサゴソ



ことり「見て下さい」


にこ「すご……これ本当に自分でデザインしたのね」



 大きなスケッチブックには今見ていた衣装とそっくりのものが描かれていた。

ことり「もう何パターンか作ろうとは思うんですけど……」ペラ


ことり「ポジションによってここのスカートの部分を短くしたり……」


にこ「ふぅん、ならここは赤一色にしたらどう? センターをより目立たせるように」

ことり「でもセンター以外もちゃんと目立つようにしないと」


にこ「そうね……じゃあスカートの赤いヒラヒラをなくして白を目立たせてみるとか」




――――





ことり「え、でもそうなると」



にこ「だからそこはポジションの問題になって――」


ことり「なるほど……」



ことり「……あ、もうこんな時間」

にこ「え? あ、本当だ」


にこ「こんな時間経ってたのね」


にこ「そろそろ帰らないと」



ことり「にこ先輩待って下さい」ガサゴソ



にこ「ん?」

ことり「はい!」

にこ「な、なにこれお菓子?」


ことり「今日渡そうかと思って三年生の教室に行ったんですけど見当たらなくて……」


ことり「この前のお礼です!」


にこ「……」


 差し出されたのはなにやらパイのようなもの。型抜きだろうか、見知ったキャラクターの柄がある。



にこ「食べていい?」

ことり「はい」

にこ「んぐ……」


ことり「どうですか?」

にこ「美味しい」




にこ「美味しい!」


ことり「良かった!」

にこ「なにこれ、パイ的な? チーズケーキみたいな」


ことり「そうですよ」

ことり「ブルーベリーチーズケーキパイですよ!」

にこ「へえ……なんだか凝ってるわね。食べたことなかったけれど、美味しいのね」ニタァ

ことり「チーズケーキって作るの簡単なんですよ」



にこ「へぇ」ニタァ


ことり「なんか顔面白い!」

にこ「し、仕方ないでしょ!」

にこ「こんな凝ったもの……」




ことり「だから凝ってないですよ。じゃあ私もそろそろ屋上行きますね」


にこ「あ、うん」




ことり「――にこ先輩の分の衣装、デザインしておきますから!!!」



バタン





にこ「……あいつ」



 ブルーベリーチーズケーキパイを一口。……甘い。



 まるで……ことりみたい。本当に、本当に甘いんだから。

絵里がUTXに会議行くとこは漫画からとったのですが、一体他校に会議とか何を会議しているのでしょうか…?

また次回。

◇◇




にこ「はぁ……体育だる」



真姫「独りだから?」




にこ「黙れあんたもでしょ」


真姫「うっさい」


にこ「それにしても音ノ木のジャージってダサいわよねー」


真姫「そうね、赤一色とかふざけてるわ」


にこ「あんたがジャージ着ると赤すぎておかしいわね」


真姫「うるさい」



にこ「そういえばことりから聞いたわよ」

真姫「何を」

にこ「――私のいないとこで私の話ばかりしてるだってー?」



真姫「な……!」


真姫「そ、そんなわけないでしょ!? ばっかじゃないの!?」



にこ「……顔真っ赤、タコみたい」

真姫「だ、大体ことりの言うことなんて――」

にこ「――そういえば最近見ないわね花陽」

真姫「ちょ!!」



花陽「――にこ先輩!」





真姫「……凄いわね、話をしたら来たわ」


凛「かよちんどこいくにゃー!」


にこ「……」




凛「あれにこ先輩」





花陽「久しぶりですね」

にこ「そうね」


凛「毎回真姫ちゃんとご飯食べてるの?」

にこ「まあ……時々」

花陽「そんなことより聞いて下さい! ES5のライブの情報が!」


にこ「どうせ特典商法でしょー? それなら一杯買い占めれば」

花陽「違うんです! 今回はなんと――」



にこ「――なんですって!?」

にこ「そんなのってあり!? たたでさえ凄い倍率なのに!?」




――――



真姫「また始まったわ」

凛「こっちのかよちんも好きだにゃー」


――――



十五分後



にこ「な、なるほど……」


花陽「はぁはぁ……」




真姫「なに疲れてんのよ」

花陽「喋りすぎて」



凛「あははは」


凛「かよちんについて来れる人初めてみたにゃ」



にこ「当然でしょ!」

凛「……凛はかよちんのこういう話についていけないから」


真姫「り、凛?」

凛「いやー、ちょっとさ悔しいんだよね。かよちんの話したいこと話せてないのかなーって」


真姫(ずっと一緒に居ても、悩んだりするんだ)


凛「だから教室とかでかよちんがにこ先輩と話したいって言ってたりして……」


にこ「……//」



凛「本当に良かったって思ってます。これでかよちんが嬉しいなら。凛もかよちんとにこ先輩がこんなに語っているところ初めて見たけど……とっても幸せな気持ちになったというか……」


凛「凛に出来ないことをしてくれているから」


にこ「あなた……」




凛「あ、星空凛ていいます」




真姫「なんだか珍しいわね。凛がそんなこと考えてたなんて」

凛「凛だって真面目な時もあるよ!」



凛「そうだ……にこ先輩、µ’sに入って下さいよ!」

にこ「は?」


凛「そうすればかよちんだって話したい時に話せるし、それをみて凛も幸せになれるから!」




花陽「凛ちゃん……」




花陽「わ、私も……にこ先輩に入って欲しいです!」


にこ「……だ、ダメに決まってるでしょ、私なんて」


凛「えぇ……どうしたら入ってくれるんですか?」



にこ「どうしたらって……」



凛「あ! わかったにゃ!!」


凛「――真姫ちゃんに言われたいんだ!!!」





真姫「はぁ!?」


凛「だってそうだよ、ずっと二人でご飯食べて……にこ先輩は真姫ちゃんのことが……ぐふっ」ペシッ




にこ「何考えてんのか知らないけど、それ以上言ったら脳天カチ割るわよ」


真姫「本当……意味わかんない」

◇◇






穂乃果「すごいすごい! ちょっと順位上がってる!」



凛「この調子でどんどん行くにゃ!」



真姫「とりあえず次のオープンキャンパスが山場になりそうね」

ことり「ここをなんとか出来れば廃校阻止にも繋がるからね!」

絵里「……」


希「えりち?」





絵里「――みんな聞いて欲しいことがあるの」



海未「どうしたのですか」


絵里「矢澤さんのことなんだけど」


◇◇




穂乃果「ひ、酷いよ」

凛「なんとか出来ないの?」

絵里「もう起こったことは無理って、アライズの人が言ってたわ」

絵里「……」

希「……にこっちがなんで人を信用したがらないのか、わかったよ」

希「芸能界っていう世界で、ずっと人に裏切られたり、人の汚い部分を見てきたから」


穂乃果「……」



にこ『どうせみんな裏切るじゃない!!!!』



穂乃果「だからあの時……」




希「にこっちにとってアイドルになること、トップアイドルになること……それはずっと夢だったんよ」

希「必死に努力して夢を叶えて、待っていたものは――嫉妬と欲望」





真姫「……」


希「……夢を叶えるってのは案外そういうことなのかもしれないね。誰かを蹴落として自分達が夢を叶えるんだもん」

穂乃果「私……簡単に夢とか言っちゃった……」

希「にこっちは覚悟をして欲しかったんやないかな。夢を叶えた後に何が待っているか」

穂乃果「……私、やっぱりにこ先輩にµ’sに入ってもらいたい」


絵里「穂乃果……」


穂乃果「馬鹿の一つ覚えって言われるかもしれないけど、にこ先輩の力が必要なの! アイドルのこととか色々教えて貰いたい」

穂乃果「――それになにより私は……にこ先輩と友達になりたいから」


希「……ふふ」


希「うん」


真姫「ま、あなたが言うならそれでいいんじゃないの」

凛「真姫ちゃん最近にこ先輩のことばっか話してたくせにー」

真姫「なっ……」



海未「……それがにこ先輩にとって救いとなるならば、私もそれに賛成です」

ことり「うん!」

絵里「……私も、謝りたいことがあるし」



花陽「にこ先輩が入ってくれたらもっと楽しくなるもんね」



希「……」



希「にこっち、後は手を伸ばすだけ、だよ」

◇◇




にこ「……」


 なんだか、世界が灰色に見えた。


 今日は練習が無かったのか、誰もいない屋上で風に吹かれて街を見下ろす。


 私はアイドルという仕事を通じて何が得られただろう。


 貴重な経験もたくさんした、普通では体験できないようなことも沢山した。

 でも、それ以上に辛いことが多かった気がする。


にこ「ふぅ……」



 楽しいことはすぐに消えて行くけれど辛いことはいつまでも心に影を落とすようなそんな感じがした。


 夢を叶えて、飛び込んだ芸能界。たくさんの裏切りにあったし人の汚い部分も見て来た。

 調子がいい時は同業者達からの嫉妬での嫌がらせ。振るわない時は番組の責任者なんかにおもてなしという名の行為を迫られたこともある。


 あの時身体を捧げてれば、もっと幸せになってたのかな。

にこ「はは……こんなんじゃ……人を笑顔になんて出来ないな」



にこ「……」


 人を笑顔にする仕事。

 でもそれは自分が笑うことが出来なければ成り立つことはない。

 心から笑うことが出来なくなったのはいつからか、もう覚えてはいない。



 
にこ「――にっこにっこにー……」ジワッ

にこ「な、なんで……涙」


 思えば人の前で泣くこともアイドルとしてはあってはならないこと。それなのに希の前であんなにわんわん泣いて。


にこ「私は……もう」



絵里「――矢澤さん」

にこ「……なによ生徒会長さん」



 声で誰だかわかった。だから振り向く必要なんてないし、きっと涙目になってるから振り向きたくもない。


絵里「……あの時はごめんなさい」


にこ「……」


 彼女が言っているのは、私がこっちに編入してきてすぐのことだろう。

 その時すでに音ノ木は廃校が決まっていて――。

にこ「……今思えば、なんで私はあんなに怒ったんだろう」


絵里「え?」


にこ「……あんたがこの学校が好きで、それを阻止したかったっていうのが、今ならわかる」


絵里「矢澤さん……」



にこ「あの時の私、余裕がなくて。こっちに編入してきたばかりでなんにも信じてなくて……」

絵里「でも、私があなたのことを音ノ木の広告塔に使おうとしたのは事実よ。本当にごめんなさい……」


にこ「私があの時、本気出してここの学校を宣伝してたら……何か変わったのかな」

絵里「……過ぎたことはもう」


にこ「そうね」


にこ「――過ぎたことは、どうしもないわよね」



絵里「……本当にごめん」

にこ「いいわよ、もう。私もどうかしてた」



絵里「……」


にこ「そ、その……今までキツく当たって悪かったわよ」

絵里「……ねえ矢澤さん」





にこ「なに」


絵里「――にこって呼んでもいいかしら」

にこ「べ、別にいいけど」


絵里「良かった、断られるかと思っちゃった」

にこ「……私のことどう思ってたのよ」


絵里「うーん、希の恋人……?」


にこ「は、はあ? それあんたでしょ」



絵里「なに私もそんな風に思われてたの?」

にこ「夫婦みたい。いっつも一緒にいるんだもの」


にこ「おかげで私が希と話せないわよ」

絵里「あら、それはごめんなさい。でも――次からは私と希とにこ、三人で居ればいいじゃない?」




にこ「……む」


にこ「ふ、ふん……勝手にすれば」

http://i.imgur.com/s3CHaKV.jpg

絵里「あ、もしかして希を独り占めするつもり~?」

にこ「べ、べつにそんなんじゃ」

絵里「ふふ」




 なんでこの人はこんな恥ずかしいことを真っ正面から言うんだろう。

 いや、この人だけじゃなくてµ’sの人、全員。あ、真姫ちゃんは違うか。

絵里「ねえにこ、µ’sに入らない?」


にこ「またそれいい加減しつこいわよ?」

絵里「私はあなたと――」



プルルルルルルルル





にこ「ごめん、電話」

にこ「もしもし、マネージャーさん」

にこ「……え、どういうことですか」

にこ「はぁ!? すぐに行きます!!!」

絵里「ど、どうしたの?」

にこ「ごめん、急用が出来た!!」



◇◇




UTX会長「ふふふ、あははは」





◇◇


あんじゅ「ねえこれを見て!!!」


ツバサ「どうしたのあんじゅ」


英玲奈「雑誌……?」




ツバサ「どれどれ」



英玲奈「な……!! これは」


ツバサ「……前と同じ……」


英玲奈「っ!! 生徒会長はどこだ!!!!」


ツバサ「落ち着いて、今はドラマの撮影をしているわ」




英玲奈「クソ!! またあいつの仕業だ!!!」




ツバサ「落ち着きなさい」

英玲奈「だが!!」


あんじゅ「もう、私たちには何も出来ないわ」

英玲奈「何か出来ることがあるはずだ! なんで二人とも落ち着いていられる!?」

ツバサ「英玲奈」

英玲奈「にこが、にこがまた……!」ガタガタ


ツバサ「……英玲奈!」

英玲奈「収録現場はどこ!? 私がいまから行って――」






ツバサ「――落ち着きなさい!!!」バンッ‼︎‼︎



あんじゅ「っ……」


英玲奈「……」



英玲奈「ごめん」

ツバサ「起こってしまったらもう止められない。それはあなたが一番よく分かっているはずよ」


ツバサ「事が起こらないように出来なかった、私たちの完敗、ね」

英玲奈「クッ……ソ!!」ギリリ



ツバサ「……」ギリリ




あんじゅ「……」


あんじゅ(こんな英玲奈とツバサ……初めて、見た)





◇◇


穂乃果「ふぁぁ」


雪穂「疲れてるね」

穂乃果「そうだねー」



穂乃果「あれ雪穂なに見てるの?」

雪穂「ん、有名なアイドルが事務所解雇されたんだってー」

穂乃果「へー、だれだれ」



穂乃果「――え?」







「人気アイドルの矢澤にこさんが、週刊誌に取り上げられた問題で――」


「事実は確認出来ていない模様ですが、これ以上の広がりを良しとしない事務所は矢澤にこさんを解雇処分すると報じました」



「いやーびっくりですよね。いきなりのことですから」

「本当なんですかねえ」

「うーんアイドルというのはイメージが大切ですからね。二度もこのようなことがあると」

「違う事務所で活動を続けるんですかね」



「これからの動向が気になりますね」







穂乃果「……なん、で」

◇◇


ツバサ「……ゲームオーバーになると言ったとはいえ、本当に解雇処分だなんて」

あんじゅ「あの事務所、厳しいから」

英玲奈「……」


UTX会長「アライズのみなさんこんばわ」


英玲奈「っ、お前!!」グッ



UTX会長「暴力ですか?」


ツバサ「英玲奈」


英玲奈「くっ……」


英玲奈「どういうことだ」



UTX会長「なんのことです?」

UTX会長「矢澤さん、最近アイドル業に身が入っていないようでしたので」


UTX会長「私が休息を与えてあげたんですよ」



UTX会長「いつまで休息を取るのかは……わかりませんけどね」

英玲奈「ふざけるな!!!」

ツバサ「……あなた、なんでそんなこと」

UTX会長「――さあ、なんだか目障りなんですよね。矢澤にこさん」


英玲奈「くっ!」パァン‼︎‼︎


ツバサ「英玲奈!!」

あんじゅ「ちょっと!!」

英玲奈「ぁ……」



UTX会長「……満足ですか?」



UTX会長「本当なら問題にしても良いのですが……まあ今回は見逃しましょう」

UTX会長「では、私はこれで」


ツバサ「――私たちが、あなたのことをこのまま見過ごすと思わないことです」


ツバサ「あなたは今この瞬間、私たちを敵に回した」



UTX会長「くすくす……楽しみです」

◇◇



数日後


雪穂「お姉ちゃん、大丈夫?」


穂乃果「……」


雪穂「矢澤にこのこと?」


穂乃果「うん」

雪穂「……スクールアイドルやりたいんだっけ、一緒に」

穂乃果「うん……」


穂乃果「でも、あんなことがあったんじゃ……」


雪穂「……」

雪穂「どうなるんだろうね」


穂乃果「全然学校にも来てなくて」


雪穂「辛い?」

穂乃果「うん」


雪穂「……わかんないけどさ、あの人はずっと戦ってきたんじゃないかな」

穂乃果「え」



雪穂「事務所の方針でユニットも脱退せざるを得なくて、当時の仲間からも嫉妬されて、広い広い芸能界で大人相手にずっと……」



穂乃果「……」

雪穂「それこそ青春とかそういうのを全部犠牲にして」


穂乃果「辛いのはにこ先輩だよね……」

雪穂「そりゃそうでしょ」



雪穂「支えてあげればいいんじゃない?」

雪穂「きっと今も苦しんでいると思う」


雪穂「それはアイドルとしての矢澤にこじゃなくて、多分素の矢澤にことして」



穂乃果「素の矢澤にこ……」


穂乃果「……今なら、本当のにこ先輩が、見えるのかな」

穂乃果「あの人のこと、もっと知ることが出来るのかな」


雪穂「きっとそうだよ」


穂乃果「ありがとう雪穂!!!」


◇◇




希「……」


 にこっちが事務所を解雇されて二日ほどして、にこっちが引退するとの報道がなされた。



 なにが彼女をそうさせたのか。まだにこっちのことを雇ってくれる事務所だってあったはずなのに。


穂乃果「にこ先輩来ないね」


絵里「そうね」



 流石に引退報道から二週間が経った今、世間の話題は違うものにシフトして行った。

 記者会見もなく、ただただ引退という二文字だけ突きつけられたウチらには本当ににこっちが引退したなんて実感は無かった。



 だってまだにこっちが前に収録したであろう番組が放送されていたりするんだもの。


花陽「こんなアイドルの引退は……」


凛「……」

穂乃果「私……ますますにこ先輩に入って欲しくなっちゃった」


海未「え?」



穂乃果「こんなこと、言っちゃダメだと思うんだけど……今なら本当のにこ先輩を誘うことができるんだよ? アイドルの皮とかそういうものを被ってないにこ先輩を」

穂乃果「今ならもっと、理解出来る気がするの」

穂乃果「……それ以上に、にこ先輩が苦しいなら少しでも力になりたいの」


海未「穂乃果……ふふ、そうですね」




希「……ごめん、ちょっと気分転換してくる」

穂乃果「あ、うん」




海未「希……?」


絵里「希はずっとにこと一緒に居たから……」

絵里「きっと、希の前だけじゃ、あの子はアイドルじゃなかったのね」

◇◇


希「どうして何も言ってくれないん」

希「どうして全部一人で終わらせたん」

希「どうしてどうして……」



 今だににこっちのことが理解出来なくて、どうしてが先行する。


 ウチは結局何も出来なかった。


 泣かせるだけ泣かせて。

 ウチがいくら撫でても、いくら抱きしめても……それは悲しい顔を見ることしか出来なかった。


 他の人なら上手くいったのかな。


希「屋上行こうか……」


 廊下の窓から外をみて見ると重くて暗い雲が太陽を覆い隠していた。


 外はきっと涼しい。



にこ「……」


希「え?」

 屋上に向かう階段を登るウチの眼前には、ツインテールをゆらゆらと揺らしてゾンビのような足取りのにこっちの姿があった。



希「にこっち!」


 叫ぶ。

 屋上への扉に手をかけていた手がピタリと止まる。

にこ「の、ぞみ」

 消え入りそうな声が、にこっちの口から漏れでた。


 酷く衰弱している、表情を見ればそれはすぐに分かった。



希「だ、大丈夫?」



 大丈夫な訳ないじゃないか。そんなこと分かっているのに、ウチはボロボロになったにこっちに対して掛ける言葉が見当たらなくて。



 大丈夫よ。


にこ「大丈夫よ」

 ほら、やっぱりそう言う。

希「ね、ねえにこっ――」


にこ「……」ギュッ

希「え」



 少し目線を逸らした瞬間に、軽い衝撃とともにふわりと揺れたツインテールがウチの頬を掠めていた。



 締め付けるような力で、腰に手を回される。


にこ「……」


希「どう、したの」



 身体が震えているのが伝わる。
 小さな呻き声は胸に顔を埋めているからはっきりとは聞こえないけれど……それでもすぐに気がついた。




 ――泣いて、る。




にこ「大丈夫……大丈夫だから」


にこ「だから、だから……ずっと一緒に、居て……」

希「……」

希「うん」ギュッ


にこ「うぅぅ……ごめん、ごめん……」



希「大丈夫、大丈夫だよ?」ギュッッ


 ウチが強く抱きしめれば抱きしめるほど、にこっちの嗚咽は強く、酷くなっていった。


希「にこっち」ギュゥゥ




希「うぅ……ごめん、ね」




――――



にこ「……」

にこ「ごめん」

希「ううん、いいよ」

にこ「……後悔なんて、してないから」

希「……」

にこ「さっきのことは忘れて」

希「え?」

にこ「……ずっと一緒に居てってやつ」

希「いや」

にこ「ちょっとおかしくなってただけだから」

希(……じゃあそれが、にこっちの本音)

希「……いるよ。ずっとにこっちのそばにいるから!!」

希「にこっちがそうしたいな――」

にこ「あの子達のことはどうするの」

希「え」

にこ「あんたが居なかったらµ’sはどうなるのよ!?」

希「っ……」

にこ「そうでしょ。だから、だから……いままで通りでいいから」


希「待って!」

にこ「……今のあんたには私より大切なものが、やらなきゃいけないことがあるでしょ」



 にこっちは扉に手をかけながら、少しだけ微笑んだ。酷く悲しそうな顔をしていた。




バタン



希「……」

希「そんなわけ、ないやん。……そんなわけないでしょ!!」

希「今のウチにはにこっちが一番大切なの!」


 屋上に消えていったにこっちの背中に向けて叫ぶ。でもそれは扉に遮られて、踊り場に木霊した。


 これを本人に言えたら。


希「だって……µ’sは、9人で一つのグループって……決めてるんやから」



 でもウチ一人じゃあ、もうどうしようもなさそうだった。
 本音もぶつけ合えない弱いウチ、じゃ。


希「神様……ううん……みんな!」


希「助け、て……」


 自分への無力感。悔しさから溢れてくる涙を止められそうになかった。足も力が抜け、フラフラとその場に座りこむ。


希「ひっ……ぐ……うぅ、みんな」








穂乃果「――希ちゃん?」

絵里「希!?」

ことり「どうしたの?」

海未「の、希……」

凛「えとえと……」

花陽「なにか、あったの?」

真姫「希がこんなになるって相当なことなんじゃない」



希「みんな」

穂乃果「大丈夫、立てる?」スッ


希「うん」


希「……」


 みんなの目線がウチに集中しているのがわかった。人前でなんて泣いたことなかったのに。きっと今のウチの目は腫れ上がって……。



絵里「希、どうしたの?」

希「……」

穂乃果「私たちが力になれることかな」

希「みんな、お願いがあるの」

海未「なんですか」

希「この先に、にこっちがいる」

真姫「本当に!?」

希「うん」




希「――みんな、お願い」


絵里「なあに?」



希「にこっちを……助けてあげて!! ウチじゃ助けられなかった、でも、でもみんなとなら!」


希「お願い! お願い!!!」



穂乃果「……」



穂乃果「――行こっか、みんな」

真姫「ええ」



希「みんな……」


希「ありが、とう……」



◇◇



 あれどうしてだろう。前にこの景色を見た時は灰色に見えたのに、今ではそんなことない。


 何かから解放されたような感じ。


にこ「……これで良かったのかな」



 思えば私の人生はずっとアイドルのことだけ考えて生きてきた。


にこ「これから、どうしようか」


 これもきっとUTXの会長の仕業だろう。それを思ってか、ツバサ達からも良く電話を貰うけども出る気にはなれなかった。





 将来のビジョンが全く見えなかった。これからなんとなく高校生活を消費してこれからなんとなく就職して――。




にこ「はは……なんだ、私にはアイドル以外何もなかったんだ」ポロポロ



にこ「分かってたこと、なのに」


 もうあんな世界疲れ果てて、結局私は普通の女の子に戻った。誰も守ってくれない、みんなが、みんなが敵。



 それでも私はアイドルが好きで、アイドルになりたくて、アイドルが私の全てで……。


 この気持ちは後悔なのかな。もうわからない。

 ただ、大きな大きな穴が空いてしまったようなそんな感覚。


にこ「希には散々迷惑かけちゃったなあ」

にこ「――あの子達とラブライブ、出れるといいけど」

にこ「ツバサ達がいるから……厳しいかもだけど」




穂乃果「――にこ先輩!!!」

にこ「っ……あんたら」

 不意に聞こえた声。振り向いた私の前に居たのは、音ノ木坂のスクールアイドル。

にこ「――なにしに来たのよ、あんたら」




にこ「……笑いに来たの? 私はもうアイドルでもなんでもない! もう私に価値なんかない!!」

にこ「あんたらのスクールアイドルに入ったってスキャンダルまみれの堕ちたアイドルをプラス評価する人なんていない!!」

にこ「ファンの人とホテルよ!? はは……そんな、そんな元アイドルなんて……ふふ」



にこ「――だから、だからもう放っておいて!!!!」





穂乃果「――私、にこ先輩と友達になりたいんです」

にこ「え……」


穂乃果「ここにいるみんな、にこ先輩と友達になりたいってそう思ってます」


にこ「どういう」


穂乃果「この前は簡単に夢を語ってごめんなさい」

穂乃果「でも、私たちは覚悟しているつもりです。夢を見て、それを叶えて、そのあとに何が待っていようと私たちは次の夢に向かって頑張れる」


にこ「……」


穂乃果「にこ先輩、夢って、ありますか?」


にこ「……」

穂乃果「今の私たちの夢はラブライブに出場して、廃校を阻止すること」


にこ「あんたら……そんなこと……」



穂乃果「――お願いがあるんです。私たちとスクールアイドルをやって下さい!!!」


「お願いします!!!」



にこ「な……なんで、なんで頭なんか下げるのよ!」




穂乃果「私たちは本気です」

にこ「だから私なんか入っても、もうマイナスイメージのアイドルで――」


希「――そんなの関係ない」


海未「私たちはアイドルとしての矢澤にこに入って欲しいのではありません」



穂乃果「アイドルじゃなくて、普通の高校生として、私たちはにこ先輩にµ’sに入って欲しいんです」

ことり「にこ先輩に辛いことがあるなら、私たちも一緒に苦しみたい」

にこ「……」


真姫「入りたいなら入ればいいんじゃない?」

真姫「ま……にこ先輩が入ったって負けない自信があるけどね?」

花陽「真姫ちゃん……」

真姫「ぅ……」




にこ「……」

絵里「以前は本当にごめんなさい。あなたを使って音ノ木の入学者を増やそうとして」

絵里「本当に、本当に反省しています」


絵里「ごめんなさい」

にこ「もういいって言ったはずよ。それ以上言うと怒る」



絵里「……ありがとう」

希「にこっち」

希「ウチ、にこっちが苦しんでいるところずっと見てきた。でもウチじゃ助けられなくて、力不足で」

にこ「そ、そんなことない! 私は希が居たから」



希「ありがとう……でもならなんでそんな辛そうなん?」

にこ「辛く、なんか」


希「今なら助けられる。みんなで、にこっちのことを」



にこ「……」


希「――ねえ、一緒にスクールアイドルやろ?」





にこ「う、うるさい!!」


にこ「私は……私はこんなこと!!!!」


タッタッタッ






希「にこっち……」




真姫「……」


花陽「やっぱり、ダメなのかな」



穂乃果「……同じだ」



凛「え?」

穂乃果「ちょっと強引だけど、いいこと思いついたよ!!!」


穂乃果「みんなでとびっきりの居場所、作ってあげようよ」


穂乃果「ね、みんな」

◇◇

翌日




 もうあんな誘いはきっと来ない。そんなことわかってる。


 私は……このまま一人で。



「ねえ、今日どこか行こうよ」

「ええまたぁ?」



にこ「仲良さそうに話してさ……」


 私は一人。

 いつでも孤独。


 ……でも、それが私が選んだ道なんだ。




にこ「……ぅ」ジワッ


 居場所なんてない、居場所なんて必要ない。


 今のアイドル研究部に入ったのだって、仲間が欲しかったからとかそんなんじゃない。

 潰したかったから、そうスクールアイドルなんて――。


 

にこ「――居場所なん、て……ぅぅ……うぅ」




希「――にこっち」

にこ「……しつこいわよ」




希「――自分の気持ちに正直になって」

希「もうウチが言えるのは、それだけ」


にこ「……」


 希がすれ違い様にそんなことを言う、自分に正直になんてもうなってる。


 壁によりかかる希を尻目に私の城にたどり着く。



 ――ああなんだ、私の居場所はあるじゃない。

 この扉の向こう。アイドルグッズが沢山あって、薄暗くて、一人には広すぎる立派な部室が。




ガチャ


にこ「……」


 暗い。


 これが一人暮らしの気分だったりするんだろうか。


 電気を――。


パチッ



「お疲れ様でーす!」



にこ「え……」


穂乃果「お茶です、部長!」

にこ「部長!?」

ことり「今年の予算表です部長」

にこ「な……」

凛「ぶっちょー、ここにあったグッズ邪魔だったんで棚に移動しておきましたー」


にこ「こら、勝手に!!」


真姫「さ、参考にちょっと貸して、部長のオススメの曲」


花陽「なら迷わずこの伝伝伝を」

にこ「だからそれは!」


穂乃果「ところで次の曲の相談をしたいのですが部長!」

海未「やはり次はアイドルらしさを意識したものがいいかと」

ことり「それと振り付けも何かいいものがあったら!」

穂乃果「歌のパート分けもよろしくお願いします部長!」




にこ「――こんなことで押し切れると思ってるの」




 なんで、この人達。私は……この人達のことあんなに拒否した、のに。



穂乃果「押し切る? ……相談しているだけです」


穂乃果「――音ノ木坂アイドル研究部所属のµ’sの9人が歌う、次の曲を」



 な、なに……言って……。

にこ「9人……」


ガチャ


絵里「遅れてごめんなさい」

希「同じく」




にこ「……」




にこ「なん、で」

にこ「あんなに、あんなに拒否したのに……なんで……」


 なんだか、とても部室が狭く感じて、そして……暖かくて……。


にこ「ぅ……」ジワッ

絵里「にこ」ポン

にこ「……」



希「ふふ……」



 なんで。

 どうして。


 私から放棄した居場所なのに、どうしてそっちからやってくるの。どうして……。

 ――どうしてそっちからやってくるの?




 なんだかとても、とても暖かい。





にこ「――厳しいわよ」

 自然と口が動いていた。

 この空間の暖かさに、感じたことのない暖かさに、口が緩んでいるのかもしれない。


にこ「あんたは甘々、あんたもあんたもあんたたちも!」




にこ「いい、アイドルってのは笑顔を見せる仕事じゃない。――笑顔にさせる仕事なのよ」

にこ「それをよーく自覚しなさい!」



穂乃果「にこ先輩……」


にこ「敬語はいいわ」



穂乃果「え?」





にこ「……わ、私だけ敬語なんて、そんなの嫌じゃない」

穂乃果「……」


穂乃果「うん!!!」


穂乃果「にこちゃん大好きぃ!!!」ギュッー


にこ「だ、だから急に――」

 こんな私を受け入れてくれた。


 こんな私を。


 私は最初から居場所を求めてたんだ。みんなで熱くなれるようなそんな居場所を。


 だから私は昔、アイドル研究部に入った。




 中途半端なところからだけど、もう一度夢、見ていいのかな。



にこ「……ぐす」


にこ「ふふ……」



穂乃果「よし! オープンキャンパスまで時間がない、練習練習! いっくよー!!!!」

◇◇

生徒会室



絵里「ふふ……アイドル研究部、か」



希「……スタートラインやね」





絵里「ええ……高校で部活なんて入るつもりなかったんだけどね」





希「……見て、雨やんでる」

絵里「私たちも行きましょうか」

希「うん、そうやね」

◇◇




数週間後





穂乃果「皆さんこんにちは! 私たちは音ノ木坂学院のスクールアイドル、µ’sです」



穂乃果「私たちはこの音ノ木坂学院が大好きです!」



穂乃果「この学校だからこの9人が出会い、このメンバーが揃ったんだと思います」


穂乃果「これからやる曲は、私たちが9人になって初めてやる曲です」


穂乃果「私たちのスタートの曲です! 聞いて下さい!!」





 ――僕らのLIVE 君とのLIFE





◇◇


穂乃果「良かった!!」


希「うん、完璧やったね」




海未「にこは凄いですね、短期間でこの曲の振りを覚えて」

にこ「あったりまえでしょー?」


ことり「ふふ」








ツバサ「――ちょっといいかしら」

穂乃果「っ……あ、アライズ!?」

にこ「……」

ツバサ「久しぶりね、にこ」


にこ「ええ、来ていたのね」


英玲奈「なるほど、にこも私たちと同じステージというわけか」

あんじゅ「ふふ、なんだか運命的ね」


にこ「……」

ツバサ「――良いLIVEだったわ」

にこ「ありがと」


ツバサ「でもまだまだね」



穂乃果「っ……」

にこ「今に見てなさい」


あんじゅ「……」


恵令奈「にこ……なんだか生き生きとしている」

ツバサ「そうね」



にこ「今はまだあんたらには及ばない。でも、私たちは絶対に諦めない!」

ツバサ「――にこ、この先どうするつもりなの」


にこ「……」

あんじゅ「本当にアイドル辞めちゃうの?」

にこ「……わからない」

にこ「この先のことは考えていない。もしかしたらまたアイドルとして芸能界に戻るかもしれない、そのまま普通に進して、就職するかもしれない」



にこ「でも――これだけは言えるの。今一番やりたいことはこの9人で……ラブライブを目指すことだって」


にこ「――この9人だから私はやりたいって思ったの! 私はまた夢を見れたの!」


にこ「もう計算ばかりして生きていくのは……疲れちゃった」


にこ「だからあんた達なんてぶっ倒して、ラブライブ、絶対に絶対に優勝するんだから!!!」



ツバサ「ふふ……大きく出たわね」


ツバサ「にこ、あなたは自分の価値を分かっているの?」

にこ「どういう意味」



ツバサ「µ’sに矢澤にこがいる。あのアイドルだった矢澤にこがいる。それだけで良い意味でも悪い意味でも注目されるでしょうね」







ツバサ「――あなたの名前で大きくなったµ’sに価値なんてない」





ツバサ「……にこ、あなたはこれから矢澤にことしての名前に苦しむことになるわよ?」

にこ「そんなこと、そんなことわか――」


希「そんなこと関係ないですよ」

にこ「希」


希「世間がにこっちに注目するのもわかる。……それはウチらが力不足やから。にこっち一人のグループじゃないってそう思わせる為に頑張るつもりです」



にこ「希……」

希「もうにこっちに寂しい想いなんてさせんからね」



穂乃果「――うん!! アライズの皆さん、私たちあなた達に勝つつもりですから!」

にこ「穂乃果……」



恵令奈「へえ……」



ツバサ「――あなた、高坂さん、だっけ。分かっているの? このA-RISEに勝つってことがどういうことなのか」



穂乃果「……」

ツバサ「貴女みたいな口先だけのスクールアイドルなんていくらでもいるのよ」

穂乃果「っ……」


にこ「怯えないで」


にこ「私たちなら出来る、そうでしょリーダー?」


穂乃果「にこちゃん……」



ツバサ「……」


穂乃果「……あなたが、あなた達がどこの誰だろうと私は――私達はそれを超えるつもりです!」



ツバサ「……」

あんじゅ「……ふふ、期待してるわね」カミノケクルクル


真姫「ええ」カミノケクルクル




ツバサ「じゃあ私達はこれで。またいつか会いましょう」



ツバサ「――あ、それとUTXの生徒会長に、今後はもうあなたの邪魔はさせないから。思う存分やりきりなさい」


にこ「急に上から目線ね」

ツバサ「当たり前でしょ?」

ツバサ「――あなたはもう挑戦者」



にこ「ま、そうね。でも足元すくわれないようにしなさいよ」


ツバサ「ご忠告、ありがとう」





◇◇


UTX



ツバサ「……練習するわよ」



あんじゅ「えぇ!? さっきしたばかりじゃん!」

英玲奈「ツバサ、久しぶりに燃えているな」


ツバサ「ふふ……そんなんじゃないわ」

ツバサ「でも、にこにあんなこと言われたら、ね」



英玲奈「久しぶりに張り合いが出てきたんだろう?」


あんじゅ「うぇぇ……」


あんじゅ「ねえ……ツバサが言ってた何か足りないものって」


ツバサ「うーん」


英玲奈「……これも運命だったのかもしれない」


ツバサ「そうね。そういうのもロマンチックね」







ツバサ「――ふふ、九人の女神……µ’sか」










おわり

http://i.imgur.com/7OFaciy.jpg

終わりです。無理やりな設定と雑コラが多かった中読んでくれた方はありがとうございます。


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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年09月08日 (月) 11:46:26   ID: LlgWBc3-

期待

2 :  ( ⌒,_ゝ⌒)   2014年09月08日 (月) 13:52:46   ID: UMCAC3du

これ最終的にのぞにこだよな、にこまきにすんなよ、にこちゃんちょろすぎだろう
希ちゃんに恩があるんだからゴリラに流れたら不自然だし、イミワカンネェ
にこまき信者死ね

3 :  SS好きの774さん   2014年09月08日 (月) 14:32:21   ID: W6rajw0G

最近にこまきアンチがしゃしゃりすぎてて目障りだな
にこまき別にすきじゃないけどどこにでも湧いてく荒らすことしか能がないにこまきアンチは死んだ方がいいんじゃね

4 :  SS好きの774さん   2014年09月09日 (火) 01:37:55   ID: 7OSj1GIv

暴れてるの全部同じやつだしな

5 :  SS好きの774さん   2014年09月09日 (火) 03:53:24   ID: 8bkh5k93

ここのアンチとスレのアンチも同じだろうな

6 :  SS好きの774さん   2014年09月09日 (火) 12:06:44   ID: QY7PoeO6

「~~が好き」は個人の自由だけど他を否定する様な発言は不快だな
アンチはもう少し自分の言動を省みるべき

せっかく楽しく読んでいたのに不愉快だわ

7 :  SS好きの774さん   2014年09月10日 (水) 11:54:57   ID: fgt9zStK

↑ほんとそれ
嫌いなら嫌いでいいから一々しゃしゃり出てこないで欲しい
見てて気分悪くなる

8 :  SS好きの774さん   2014年09月12日 (金) 03:44:35   ID: QIIMiFcE

はははははははッ!
希ちゃん大勝利やっぱりにこまきって糞だよ、にこのぞこそ最強米欄キモいの多いw
にこまき信者死ね、本当にゴミだな

9 :  SS好きの774さん   2014年09月12日 (金) 18:04:03   ID: s4VyOIA2

アンチきもすぎ
こんな奴に好かれるにこのぞが可哀想

10 :  SS好きの774さん   2014年09月13日 (土) 10:11:15   ID: 1u9BbhRM

アンチほんとキモいな
にこのぞもにこまきもどっちもいいと思うよ

11 :  SS好きの774さん   2014年09月14日 (日) 16:08:39   ID: Y-dm1MW3

面白かったよ。

12 :  SS好きの774さん   2015年02月07日 (土) 02:25:16   ID: Cph6BFr_

にこのぞとかにこまきとかじゃなくて内容を評価しようぜ

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