男「...死神だって?」 (13)
高三の春。
今年から俺は高校三年生になった。
いつもの変わらない新学期。
去年のクラスの友達とまた同じクラスになって喜ぶやつもいれば、知り合いが一人もいなくて少し焦ってるやつもいる。
そんないつもの新学期初日。
友達と普通に遊び普通に帰る、そんないつもと変わらない日。
そうだと思っていた、家に帰るまでは。
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いつものように鍵を開け、玄関に入る。
俺の家は俺が小学生の時に両親が離婚し、俺は親父の方に連れて行かれ、その親父が単身赴任してしまったので実質一人暮らしだ。
男「ただいま」ガチャッ
なんて誰もいないのに言って見たりしてな。一人だけどなんとなく言っちゃうんだよなこれ...
?「あーおかえりなさいです」
.....?うちには誰もいないはずじゃ...?
いやまて!まさか泥棒...?
そんなことを思いながら恐る恐る自分の部屋に入った。
男「.....」ソーッ
?「やっと帰りましたか全く遅いですよー」
男「...はい?」
俺の部屋に一人の女の子が座っていた。
男「...」
?「...?」
男「あ、あの...どちらさま?」
?「あ、すみません!申し遅れましたね」
?「私、死神というものでございます」
男「...死神だって?」
意味がわからなかった。
なんで俺の部屋に自称死神がいるんだよ。
男「...てかそんなことよりどっから入ったあんた!不法侵入だぞこれ!」
死神「まあまあ落ち着いて、ね?」
男「落ち着けるか!?」
死神「とりあえず座ってもらえます?」
この自称死神は自分は俺のベッドに座り、俺を地面に座らせた。普通逆だろ。
この自称死神は普通の女子高生にしか見えない。さらになぜかうちの高校の制服を着ていた。
死神「さて、少し落ち着きました?」
男「あ、ああまあな...」
色々と疑問はあるがまずは話を聞くしかあるまい。
死神「ではまず自己紹介をします。」
死神「私は天界からあなたの元に送られた遣い、死神です」
...はい?
のっけから意味が分からん。
死神「色々と質問はあるかと思いますが、取り敢えず最後まで聞いてください」
死神「本題から入りますと、あなたの寿命はあと一年です」
男「...は?」
死神「あなたは天界での監視サンプルに選ばれました」
死神「そして私はその監視サンプル、つまりあなたの監視役でここにきました」
死神「以上です。それでは質問どうぞ」
わけがわからん。
寿命が一年?天界?サンプル?頭大丈夫かこいつは。
男「と、取り敢えず聞きたいことは山ほどあるけど、まず俺の寿命があと一年てのはどういうことなんだ?」
死神「はい、あなたは今日の丁度一年後に亡くなります」
男「...マジで?」
死神「マジで」
マジかよ。
男「じゃ、じゃあ天界ってのは?」
死神「読んで時のごとく、天にある世界です。具体的にはあなたが今生活している世界のはるか上にあります。あなたの世界でいう天国ですね」
死神「そしてあなたはその天界のサンプルに選ばれたということです」
男「そのサンプルって?」
死神「はい、具体的には"自分の死が一年後にせまっていると知った人間が、その死の日までにどう過ごすかを見る"サンプルにあなたは選ばれました」
男「...つまり自分が死ぬことを知った奴が死ぬまで何するを監視するサンプルに選ばれたわけか俺は」
死神「そういうことですね」
男「俺、一年後マジで死んじゃうの?」
死神「死んじゃいますね」
男「そっか...」
死神「あ、あと死神っていうのはあなた方が思ってるイメージとは多分違うとおもいます」
男「そうなの?」
死神「はい、死神というのは別に人の魂を狩り取るとかそういうんではないです」
死神「運命の管理者みたいなもんですから、リ○ークとかとは違いますね」
男「そ、そうなのか」
死神「はい」
男「...」
死神「...」
死神「...落ち込んだりしないんですね」
男「ああ、なんか実感があんまりわかなくて...ハハハ」
死神「私は監視役を務めるのは始めてなのでよくわかりませんが、基本死を宣告された人間は落ち込むものだと聞いてました」
男「あーまあ人にもよるけど落ち込むひとはすごい落ち込むかもな」
死神「ふむふむ、勉強になります」
なぜたがわからないけど、あまり死にたいして怖い感じはなかった。
一年後なんて言われてもなんか実感わかないし、まだこれが夢なんじゃないかと疑ってる自分もいた。
男「そうえばなんでうちの制服着てんの?」
死神「あ、これですか?私はなるべく長い時間あなたを監視しなきゃならないので学校にも行きます」
男「そんなとこでも監視されるのか俺はは...」
死神「あ、トイレとかまでは入らないので安心してくださいね」
男「流石にトイレは困るな...w」
なんだか死神って聞いて驚いたけど、普通に話せるじゃないか。
むしろ女友達が少ない俺にとってはめちゃくちゃ話やすいぞ!
自分でもまだ信じがたい話だけど...実際目の前に死神がいるんだから信じるしかないな...。
男「そういえばどこから学校に通うんだ?」
死神「ここです」
男「え?」
死神「あなたの家から通います」
男「住むの...?俺んち?」
死神「はい、監視しないとなので」
死神「ちなみにあなたの家は父親が単身赴任してるので私が住みやすいのもサンプルに選ばれた理由の一つです」
恨むぞ親父。
男「そ、そうか」
死神「はい、なので今日からよろしくお願いしますね!」
男「は、はい」
こうして俺と死神(?)のにわかに信じがたい共同生活が始まった。
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