突然だけど、おれはあの子が好きなんだと思う。
一目惚れってやつかもしれない。
でも、正直どうやって話しかければ良いのかさっぱりなんだ。
例えば、
「今日はいいお天気ですね」
典型的すぎる!っていうか相手も反応に困るだろ。
もっと相手が話しやすそうなのがいいな・・・
「趣味はなんですか?」
趣味から話を広げるのはありかもしれないけど、自分の範囲外だったら話ふくまらないぞー
なんか最近変わった事とかを話題に・・・
「髪型変えた?可愛いね」
ハードルが高い!!悶絶するわ。それに全然しゃべった事のない男子がいきなりそんな事言ったらキモがられるかも・・・・・・そもそも髪型変わってないんだが
もっと素直に自分の事を話す感じで・・・
「好きです。」
いやいやいやいや、直球過ぎるだろ。素直な気持ちになり過ぎだ、ドン引きだわ。
う~ん、どうしよう、わからない。頭がぽぽぽぽーんしそうだ。
ん?「ぽぽぽぽーん」・・・だと・・・
まほうのことばで、たのしいなかまが、ぽぽぽぽーん!!??
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
完璧だ!!話しかけ方としてこれほど自然で違和感無く自然な言葉があるだろうか!?
いや、無い。断言しよう、まず持って間違えなく最高だ。
ちょっと想像してみろよ―――
妄想少年「あっ妄想少女ちゃん、おはよう!!」
妄想少女「あっ妄想少年くんだ、おはよう!!」ニコッ
ぐはっ想像以上だ・・・・・・※想像です
明日!明日の朝一番に実行しよう。今夜は早く寝よう、明日の準備も終わらせちゃって。コマゴマ
翌日―――
いざ実行となると、き、緊張するぅー
いやいや、クラスメイトがクラスメイトに朝の挨拶するだけじゃないか。
どこに緊張する要素がある?
後は昨日のシミュレーション通りに、シミュレーション通りにすればいいだけ。ナムナム
さっそくターゲットを確認。
目標まで約18歩、作戦を開始する。ミギアシ ヒダリアシ ミギアシ・・・
少女「・・・なになに?・・・ははは・・・」
ぬっ目標の周りに多数の動体反応を確認、緊急事態だ。撤退せよ。
まったまった少女さん一人だって恥ずかしいのに、女子グループだとぉ!?
こんな事態はシミュレートしてないぞ、おれの中では少女さんと2人っきりの世界だったのに・・・・・・
クラスメイト「・・・な、なにやってるんだろう。男君・・・」ヒソヒソ
冷静になれ、少年。挨拶だ。例え一人であろうがなかろうが、挨拶なんだから関係ないだろ。
大丈夫、シミュレーション通りで問題ない。行くぞ!ヒダリアシ ミギアシ ヒダリアシ・・・
少年「おひゃよう!」
少女「お、おはよう?」
少年「・・・・・・」
少女「・・・・・・」
少年「あーおれ、日直だったわ。黒板消してくる」ダッ
あ…ありのまま今起こった事を話すぜ
『俺はまほうのことばを言ったと思ったら、いつの間にか黒板消し持っていた』。
な…何を言っているのかわからねーと思うが、
俺も何をされたのかわからなかった…
心臓がどうにかなりそうだった…歩き方だとか女子グループだとか、
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいもの・・・mp切れを味わったぜ…
うん、落ち着いた。
黒板は汚れ一つ付いてないけど、後ろ振り向けないから磨き続けるよ!
あっ黒板に『日直:山田』って書いてあるー・・・消そっか、ね。
教師「はいはい、席着いてー」ガヤガヤ
教師「おっ今日は黒板が綺麗だな。日直は誰かな?」
山田「あっぼk『はいはいはい!!僕が日直です!!!!』」
教師「お、おう・・・よく頑張った、少年えらいぞ。では今日は―――」
今日はやっちまったぜ。
まほうのことばも成功しなきゃ意味無いよな。
まさか呪文を間違えるとは、おれとした事がシミュレーション不足だったな。
今夜はありとあらゆる可能性を考慮したシミュレートが必要だな。
また、今回の反省を活かすためにも呪文の反復練習を・・・・・・コマゴマ
翌朝―――
のどが痛い。
いかんいかん、本番でガラガラ声で挨拶だなんてマイナス印象でしかない。
おれがガラガラ声で挨拶した場合のシミュレーション結果では、絶縁となっている。
前回の汚名をすすぐ為にも成功させなければならない、必ず。
おっターゲットを確認。女子グループも確認。
目標まで約21歩。作戦プランb21、目標に接近します。ヒダリアシ ミギアシ ヒダリアシ・・・
クラスメイト「あっ少年じゃん、おっはよー!」
少年「」ビクッ
まずいまずい横槍が入ってきたぞ。
だが、落ち着け。作戦実行中にクラスメイトがおれに話かけてた場合は、作戦プランc08に移行すれば問題ない。
作戦プランc08『深呼吸』!!!
少年「スゥーーーハァーーー」
クラスメイト「」
よし、これで多少落ち着きを取り戻せたはず。
作戦を引き続き実行する。ミギアシ ヒダリアシ ミギアシ・・・
少年「おはよう!」
少女「お、おはよう」
少年「・・・・・・」
少女「・・・・・・」
少年「あーおれ、飼育係だったわ。エサやってくる」ダッ
あ…ありのまま今起こった事を(ry
この前は余裕なくて見れなかったけどよ。少女さんの表情、あきらかに困惑してるじゃねぇか!!
冷静に考えればそらそうだよ。
今まで一言も話してなかったヤツからいきなり挨拶されても困るわな。
おいおい、どーすんだよ。ダメダメじゃん、おれ。
けど今更やめるのも不自然だしなー、続けるしかないよな。
それに突然だったから困惑してるだけで、そのうち慣れたらちゃんと挨拶してくれるんじゃね?
やべーそんな気がしてきた。(涙目
少年「な?そう思うだろ?」
ウサギ「」モグモグ
少年「うはっウサギちゃんマジ天使」
教師「はいはい、席着いてー」ガヤガヤ
山田「先生ー。飼育係で朝来たらウサギのエサが無くなってました」
教師「それは大変だ。今日の朝、ウサギのエサが無くなっていたそうです。誰か心当たりのある人いませんか?」
ソンナコトイワレテモーシラナイシー
少年「」ソワソワ
・・・・・・ガタッ
少年「―――全部、僕が食べました!!!」
教師「お、おま、生野菜だぞ!?ホントに食ったのか?」
少年「とってもおいしかったです!!!」
教師「ゴホンッ・・・あとで職員室に来なさい。では今日は―――」
今日はやっちまったぜ。
少女さんを困惑させてしまうとはな。恋は盲目ってことか。
続ける以上はできるだけ少女さんを困らせないようにしなければ・・・・・・そうだな、思えばおれも表情が硬かったかもな。
もっと表情を豊かに、柔らかく、上品にしよう。
そのために表情筋を鍛えてかつ上品な仕草を勉強しなくては・・・バレエか?
翌朝―――
全身が筋肉痛だわ。
ふくらはぎパンパンだし、肝心の表情筋も強張ってるー
笑顔で固定されてるから大丈夫かなぁ。
あーピクピクしてきた。
んっターゲットを確認。女子グループも確認。クラスメイトの反応、周囲にありません。
目標まで29歩。作戦プランd45、目標に接近します。ヒダリアシ ミギアシ ヒダリアシ・・・
ぐはっアベッ、両足ツッタ、イタイイタイ、顔もアバイ、ウッウゥウウウー・・・・・・アヘガオダブルピース
クラスメイト「ギャーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
撤退、撤退せよ。ターゲットに気づかれる事なく撤退せよ。
ほふくぜんしん、ほふくで切り抜けろ。この醜態を見せるわけには・・・
ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・
ヤベェ、まじヤベェよ。これは校門からやり直さないとな。
後ストレッチ、ストレッチしないと。フンッフンッハァー
・・・・・・ストレッチ最強だわ、もうのびのびしてるし。
くそっバレエのレッスンによって両足をツッタ場合のシミュレーションなんかしてないぞ。
いや、切り替えろおれ!校門からやり直したから大丈夫だ。
作戦プランe68、目標に接近します。ミギアシ ヒダリアシ ミギアシ・・・
少年「おはよう!」
少女「おはよう」クスッ
少年「・・・・・・」
少女「・・・・・・」
少年「あーおれ、次プールだったわ。着替えてくる」ダッ
少女さんが笑ったぁああああああああああ!!!!!!!
むっちゃくちゃ可愛かったわ。『クスッ』って破壊力抜群、世界ぶっ飛んだでしょ!!!!????
地球自転やめてたわwww時止まったからwwwwww余裕で月まで逝けるwwwwwwwwwwwwwwww
うん、おk、冷静になろう、な?
あ…ありのまま今(ry
よし、落ち着いた。
最強ストレッチでたるんだ顔見て笑っただけだから。わかってる(涙目
そして、あまりの可愛さに話題を逸らそうとしたのが、なんにも浮かばなかった。
そもそも話題がなかったわ。全然考えてなかったぞ。
少女さんと何を話せばいいんだ?
教師「はいはい、席着いてー」ガヤガヤ
教師「・・・・・・少年。次は算数の時間のはずだぞ、なんで水着なんだ?」
少年「しゅ、趣味なんです!!!」
教師「あー・・・うん、個性ってあるよな。では今日は―――」
少年「おい、山田」ヒソヒソ
山田「なんだよ海パン野郎」
少年「うっせ、それより女子ってどんな話してるんだ?」ヒソヒソ
山田「いきなりなんだよ、オレだって知らないに決まってんだろ」
少年「山田、まともに女子としゃべった事ないのぉ?」ヒソヒソ
山田「今イケメンに聞こうかと思ったけど止めた」
少年「海パン一枚で勘弁してください」
山田「いらんわ!」
教師「そこ、話を聞く」
今日はやっちまったぜ。
バレエのレッスンによって両足をツッタ時のシミュレーションを考えていなかった。
シミュレーションをもう一度再構築しなければな。コンディションによって常に適応するシミュレーションを作らねば。
そしてイケメン君提供の今時の話題もチェック!
自分でも話題を仕入れなければ・・・・・・海パンが何枚あっても足りないからな。
翌朝―――
風邪ひいた。
全裸がまずかったか。コンディション最悪だ。
この状態で少女さんと会ったら、風邪がうつるかもしれんからな・・・
今日は休みか・・・・・・不安だ。
思えば今まで結局会話らしい会話はまったくしてない。
おれは話しかけ方を研鑽するので頭がいっぱいになってしまった。
せっかく今日こそは話題も用意して準備万全だったのだが。
それも叶わぬか。
おれと少女さんのツナガリなんて、毎朝のあいさつしか無いと言うのに。
今日休んだらあいさつすらできない・・・・・・不安だ。
もし今日あいさつしなかったら少女さんとのツナガリも切れてしまうのでは・・・・・・
ま、平気じゃね。またあいさつすれば良いだけだし、
そもそもツナガリがあるかどうかさえ怪しいわw・・・w・・・・・・・w・・・・・・・・・・
ネル
翌朝―――
少年「風邪治ったけど、ふわんだっ・・・・・・」ブワッ
少女「あっ少年くん、おはよう!!」ニコッ
少年「お、おはよう!・・・・・・えっ?なんでここに?」
少女「お見舞いかな?もし元気だったら一緒に登校しようと思って」
少年「・・・・・・」
少女「・・・・・・」
少年「あーおれ、学級委員だったわ。朝の会やんなきゃ」
おわる
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