村娘「私だって姫様と結婚したいっ!」 (16)
-王宮-
王様「本日は娘の花婿となるべくして、試練に耐えうる屈強な『男』に集まって貰った」
武道家「……」
魔法使い「……」
村娘「ワクワク」
戦士「……?」
王様「……のじゃがっ!」
王様「何故『女』がおるのじゃあッ!!」
村娘「何故だとは、何ですか!」
村娘「私だって姫様と結婚したいっ!」
王様「なんと……!?」
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王様「ええいっ、ならぬ! 衛兵ーッ!」
衛兵「はっ、ここに」
王様「この娘を摘まみ出すのじゃ! 適当に菓子でも持たせてな!」
娘「嫌ですっ! それに私はお菓子で満足する子供じゃありません!」
王様「煩い! 衛兵、なんとかせい!」
衛兵「……はぁ」
魔法使い「……んっ、こ、こほん!」
魔法使い「王様、お言葉ですが」
王様「ん?」
魔法使い「女だから女と結ばれてはいけない、などとお考えでしょうが……それは」
魔法使い「まるで化石のような考えです」
王様「なっ!?」
魔法使い「あ、そ、そういう僕は男ですけど!」
魔法使い「でも、その考えは全ての民を理解する一国の主たるもの、改めた方がいいと思います……!」
村娘「よく言ってくれました!」
王様「ぐっ、ぐぬぬ……」
王様「ならば仕方がない、参加を認めて────
戦士「おっと、待ってくれよ王様!」
戦士「さすがにそりゃあおかしいぜ」
王様「なに?」
戦士「王様は確かに『屈強な男』と言った。よく見てくだいよ、あの小娘は『華奢な女』だっ!」
村娘「うぐっ」ビクッ
戦士「そんな女に試練を受けさせるとでも? 死ぬかもしれない危ないもんにィ!」
戦士「それは王様、ちょっとおかしいだろうよ」
王様「うーむ」
魔法使い「で、ですが彼女は真摯に姫様との結婚を希望しています!」
魔法使い「その想いは僕らと何ら変わらないはずですっ!」
武道家「ふぅ、甘いな小僧」コソッ
魔法使い「えっ?」
武道家「これ以上競争率高めてどうするんだ。姫様はこの中の『一人』としか結ばれないんだぞ」
武道家「ここは、女だろうが一人でもこの時点で蹴落とすべきだ。利口そうな君なら分かるだろう」
魔法使い「で、でも……」チラッ
村娘「……うぅ」
王様「確かに女はおかしいな。やはり、おぬしには諦めて貰おう」
王様「衛兵」
衛兵「はっ」
戦士「ふふん」ニヤリ
村娘「……くっ」
村娘 (ここで私の淡い夢は……消えちゃうのかな……)
衛兵「さあ、こっちにこい!」
村娘「……」
魔法使い「あっ……!」
王様「少し揉めてしまったが、続けるとしようか」
王様「試練の内容についてだが────
戦士「ふむふむ」
武道家「……」
魔法使い (何だか悔しいけど……でも、僕だってやっぱり)
衛兵「そらっ、とっとと行け!」
村娘「……はい、お世話になりました」
衛兵「それと、これだ。菓子も持っていけ」
村娘「いえ、それは……」
衛兵「良いんだ。これは王様のお心だ」
衛兵「……姫様とは、今世を幸せに生きてから。来世に結ばれるとなるといい」
村娘「……はい」
-農村と城の間の峠-
村娘「はあ……悔しいなあ。結局もう一度姫様に会うことすら叶わなかった」
村娘「……来世、かぁ」
男「おや?」
男「お嬢さんは随分と暗い表情をしている。身内の葬式にでも行ったのかい?」
村娘「いえ、そういうわけでは。それより貴方は……?」
男「俺はただの旅人さ。それより、お嬢さんは今何かに悩んでいたね?」
村娘「は、はい。まあ」
男「では、その悩み。この俺が綺麗さっぱり解決出来るといったら、乗るかい?」
村娘「……」
村娘「は?」
村娘 (やだ……新手のナンパかな? 困るなあ)
男「いや、これは本当さ。疑ってるようだけどね」
男「君が少し『対価』を払うだけで、その抱いてる願いが叶うんだ! 素敵だろう?」
村娘「いや、怪しすぎですけど」
男「……まあ、そうだろうね。言ってる俺も凄まじく怪しいと思った」
村娘 (怪しい匂いがし過ぎて鼻がひん曲がりそうだけど……悪い人では無いのかな)
村娘 (どうせ嘘だし、まあ、試すだけやってみようかな。対価なんてのも『この後お茶どう?』っていうアレだと思うし)
男「うーん、どうしたものか」
村娘「乗ります」
男「あ……えっ?」
村娘「この悩み、払拭出来るんですよね? じゃあ、お願いします」
村娘 (どうせできないだろうけどね)
男「や、やった! じゃあ俺に話してごらんよ、その悩み!」
村娘「ええと、ですね」
村娘「実は私、姫様を慕っているんです。この国の」
男「ほう」
村娘「ですが……やはり性別というものが邪魔をしてですね、絶対に届かない恋なんです……」
男「それが悩みかい」
村娘「はい……」
男「じゃあ、俺に『願い』をいってごらんよ。僕はそれを叶える。悩みを拭う『願い』を!」
村娘「……願い」
村娘 (それだったら、一つしかない……!)
────村娘「でしたらっ! 『この世界を同性愛が当たり前の世界』にしてください!」
村娘 (……なーんて、何言ってるんだろうか私は)
パチンッ!
男「はい、叶えたよ!」
村娘「あ……そうですか?」
男「うん。明日にはその願いが世界に広がるよ……っと、では対価だ」
村娘 (何だろう)
男「んー、まあ簡単さ!」
村娘「はい」
男「ちょっと人間辞めて貰うからっ! 宜しく!」
村娘「はい……」
村娘「……は?」
眠いので寝る。また今度。
この駄文は、書いていく内になんとかするので。
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