少女騎士「昨晩さ、父上が私の結婚相手を紹介してきたの。」姫「え……」 (12)

少女騎士「僕達ってまだ14歳じゃん?なのに結婚なんて早過ぎるよね。」

姫「………」

少女騎士「相手は20歳。父上の元部下で、部隊を離れてからもたまに話したりするんだって。」

姫「そ、それで……?」

少女騎士「え?」

姫「もちろん、断ったんだよね?」

少女騎士「……あー……まーね。さすがに今すぐ結婚とか無理じゃん。」

姫「……そうですか。それなら良かったです。」


少女騎士「あれれ~?ひょっとして、心配したの?僕が結婚してしまうんじゃないかって……」

姫「い、いや……その……」


少女騎士「あははは。
まぁ確かに、相手の人もまぁまぁ面白そうな奴だったし、何しろ父上が気に入ってるんだから凄い人に違いないもんね。階級は三等兵の凡人みたいだったけど。
……別に結婚してもいいんだけどね。父上の勧める人なら……」


姫「!?」

少女騎士「あはは、冗談だって。安心してよ。姫ちゃんが結婚するまでは、僕は結婚なんてしない。
ずっと姫ちゃんの傍にいるからね!」


姫「……そ、そうですか……それはありがとうございます……」




『姫ちゃん!僕は絶対に姫ちゃんの王子様になるから!大きくなったら、結婚しようね!』

『うん!私も騎士ちゃんのお嫁さんになる!』




『親衛隊への入隊おめでとう!騎士ちゃん!今日からいつも一緒だね!』

『うん!これからは学校からお城の中まで、ずっと姫ちゃんの傍にいるからね!』




姫(……騎士ちゃん……。あの約束、忘れちゃったの……?)

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少女騎士「そしたらさ、姉上達も父上に怒り出すんだよね。『騎士ちゃんの気持ちも考えずに結婚なんて、ふざけないで!』とか、『まだ14歳じゃない!結婚なんて早過ぎる!』『胸だってまだ形すら出来てないお子ちゃまなのに!』。

……って、胸の話は関係ないだろーっ!」


姫「……」

少女騎士「そりゃさ、僕は14歳にもなるのに全く育ってないよ。まな板だよ。
でも姉上達だって大きいんだし、僕だって……」


姫「……あのね、騎士ちゃん。」

少女騎士「ん?何?」

姫「……騎士ちゃんって、その……好きな人とかいないの?」

少女騎士「僕の好きな人?そりゃ、姫ちゃんや父上や姉上や………あ、二番目の姉上は嫌いだけど。」


姫「そうじゃなくて!」

少女騎士「……え?」

姫「……結婚したいぐらい、好きな人とかはいないの……?」

少女騎士「え?結婚?……あー……」


姫「………」

少女騎士「うーん……難しいなぁ……。
結婚するんなら……父上みたいな人がいいけど……」

姫「……騎士ちゃん。やっぱり、覚えてないんだ……」

少女騎士「え?何が?」

姫「……いや、もういい。」

少女騎士「?」



メイド「失礼します。お嬢様、騎士様。」

少女騎士「どうかしたの?」

メイド「騎士様、親衛隊長様から伝達が来てます。至急、本部に集まって欲しいとのことです。」

少女騎士「えー……仕方ないな。じゃあね、姫ちゃん。また今度……」


姫「……うん。またね……」

メイド「騎士様は本当にお元気な方ですね。いつも笑顔で、活発で……たまに男の子みたいな行動力も発揮しますし。」


姫「そうだね……」

メイド「でも、お嬢様とご一緒の時はやっぱり騎士様も普通の女の子にみたいですよね。」


姫「そうだね。私と一緒の学校に通って、一緒の授業を受けて、一緒の帰り道を歩いて、一緒の店に行って、一緒のお菓子を食べて……」


メイド「騎士様が親衛隊に入るまでは、大人の護衛の方がいつもお嬢様の登下校に付き添ってて、寄り道もあまり許してくれず、そのせいで中々お友達も出来てませんでしたもんね。
……だから、お嬢様はいつも辛そうな顔をしていて……。

でも、騎士様がお嬢様の護衛となってからは、お嬢様は毎日が楽しそうです。」


姫「うん……。騎士ちゃんはむしろ、私を色々なところに連れて行ってくれるから……。」

メイド「ホント、私達メイド一同も、騎士様には感謝しています。お嬢様に笑顔を与えてくださって……」


姫「………」


メイド「……お嬢様?」


姫「……なんでもない……。」

メイド「……。さっきの騎士様は笑顔でしたのに、お嬢様だけが暗い顔……。
喧嘩をなさった……わけではないのですよね?」


姫「なんでもないから……。別に……」

~その夜~


姫「……結婚?」

メイド「旦那様!お嬢様はまだ14歳です!結婚なんて……」

執事「静かにしたまえ!使用人が口を挟むことではない!」


公爵「結婚相手は第3王子だ。今のところ、もっとも王位継承の可能性が高いと言われる若者だ。」

メイド「第3王子……?それって、旦那様と敵対関係にある皇族達のリーダー格の子孫では?
何故いきなりその様な方との結婚が……?」

姫「………」


執事「それ以上深入りするようなら、首を切るぞ!」

メイド「納得いきません!急過ぎます!顔も知らない敵側の青年との婚約なんて……」


姫「……お父様。」

公爵「ん?どうした?」

姫「その人と結婚すれば、お父様は嬉しいのですか?」


公爵「………これはお前の為でもあるんだぞ。相手は最も玉座に近い青年だ。」

メイド「……旦那様!相手に適わないと分かり敵対関係から協調路線へと持ち込むつまりなのですね。その口実にお嬢様の結婚を利用するつもりなのですか!?」

執事「違います!結婚はあくまで相手側の申し出です、お嬢様!」

メイド「でも、旦那様はご自分の位を守る為に、それに便乗するつもりですよね!お嬢様のことなんて、全く考えずに……」




姫「……私は、その人と結婚するべきなのですか?」


メイド「!!」

公爵「ああ。お前の未来の為だ……。」

姫「なら……私、結婚します。」

少女騎士「ちょっと待って?それってマジなの?」

姫「うん。さっき、お父様と話したの。」


少女騎士「えー……。僕が結婚を勧められたっていう話をしたその晩に、姫ちゃんのお父様も結婚の話を持ってくるなんて……」

姫「相手も皇族の人だって。」

少女騎士「へぇ~。どんな人なの?」

姫「……知らない。」

少女騎士「え?」

姫「まだ会ったことないの。ただ、その人が私と結婚したいらしいの。」

少女騎士「ええっ!?じゃあ、顔も見ずに結婚を決めたの!?」

姫「……うん。」


少女騎士「……ちょ、ちょっと待ってよ!それっていくらなんでも……」


姫「騎士ちゃんは……私が結婚するの、どう思う?」

少女騎士「そ、そりゃ~嬉しいけどさ。友達が結婚するって言うのなら……」

姫「……友達……」

少女騎士「え?……あ。い、いや、“お嬢様”が結婚するんだから、使用人の私としてもね……」


姫「……そうじゃなくてさ……」

少女騎士「え?」

姫「私が結婚して寂しいとか、そういう感じにはならないの!?」

少女騎士「さ、寂しいって……別に姫ちゃんが結婚するからって、私と離れ離れになるわけでもないしさ。
だって、私と姫ちゃんはずっと友達じゃん。」



姫「……もういい。」

少女騎士「姫ちゃん……?」

姫「とにかく!私はもう結婚するから!相手は次の皇帝になる人らしいから、私は多分幸せになれからね!」

少女騎士「こ、皇帝!?……てことは、姫ちゃんも皇帝夫人なの?」

姫「……うん。だから、あまり騎士ちゃんとも会えなくなるかも……」

少女騎士「そ、そんなことはないよ。僕の方からいつでも会いに行くからさ……」

……私、何してんだろ………


なんでこんな………




姫「結婚なんかしたくなあのに……、なんでこんなことになるの……」



なんで、騎士ちゃんは……止めてくれないの?

なんで、あの時みたいに、言ってくれないの……?


『大きくなったら、結婚しようね!』



あの言葉………


私は信じてたのに……


ずっと………待ってたのに………




姫「……いつかは、騎士ちゃんも結婚しちゃうんだよね………。
他の……誰かと………」

メイド「お止めください!お嬢様は……まだ……」




姫「……?」




「ここがお姫様の部屋か?」


姫「え……?誰?」


「へぇ~。君がお姫様かぁ~。先代皇帝の妹の娘らしいな。俺にとっては一体どんだけ離れた親戚にあたるんだ?」


姫「……貴方も皇族?」

メイド「お嬢様。この方が、お嬢様の……」


婚約者「はじめまして。姫。俺があんたの結婚相手にあたる者だ。」

姫「貴方が?」

婚約者「ああ。あんたのお父上の所属する先代皇帝派ではなく、教会派の皇族だ。」

姫「教会……?」

婚約者「あん?そんなことも知らないのか?お前、父親から何も教わってないのか?」


メイド「お嬢様は何も知らされてません!何も知らないのに……」

婚約者「なるほどな、余分な情報は避けたのか。
まぁ、俺としてもその方が好都合だが……」

姫「何が好都合なのですか?」

婚約者「まぁ、つまりお互い仲良くしようってことさ。
なんたって、結婚するんだからな。」

姫「………」

姫「それで、今宵はどの様なご用件で参られたのですか?」

婚約者「つれないね~。今日からお互い夫婦になるっていうのに……」

姫「……今日から?」

婚約者「ああ。たった今から、いや正確にはついさっきから、俺達は夫婦になったんだよ。」


姫「……え?メイドさん、これは一体……」

メイド「お嬢様……先程、教会で婚約儀が行われました。旦那様と、そちらの婚約者様との間で……」



姫「……嘘……」

婚約者「まー、やるなら早いうちに済ましときたいだろ?どうせ結婚するんならさ……」

姫「え?じゃあ……私、もう結婚してるってことなの?」

婚約者「ああ。戸籍上では、俺とあんたは夫婦だ。」


姫「嘘だよね……?そんなの……」


婚約者「おいおい。だって、お父様はあんたが俺との婚約を承諾したって言ってたぞ?」

メイド「だからと言って、こんないきなりは酷過ぎます!お嬢様はまだ悩んでいらしたのに……」

婚約者「だからだろ?」

メイド「え?」


婚約者「せっかく承諾してくれたのなら、心変わりしないうちに済ませとかないと勿体ないしな。」

メイド「なっ……」

婚約者「俺は逃さない。こんな好機を……」




姫「……嘘……私は……結婚なんて………」


姫(私と結婚するのは騎士ちゃんなのに!どうして……こんな………)

姫「……こんなのないよ……」


婚約者「………。でさ、メイド。」

メイド「……何でしょうか?」

婚約者「いい加減、部屋から出ていってくれないか?」

メイド「どうしてでしょうか?」

婚約者「分かんないのか?それとも、新婚夫婦が仲良く初めての夜を過ごそうとしてるのに、水を差すつもりなのか?」


メイド「なっ!?そ、そんなの、いくらなんでも!!」

婚約者「なんで止めるんだよ?俺達は夫婦なんだぜ?」

メイド「お、お嬢様!!」


姫「え?な、何?なんなの?」

婚約者「あ、そう。そんなに見学したいのなら、勝手に見てればいいさ。」


姫「え?えっ!?な、何を……」


メイド「お嬢様……お嬢様!!」


婚約者「いいから、動くなって」

姫「い、嫌っ!!何するの!?」

婚約者「夫婦の営みだよ。ま、じっとしてな。」

姫「嫌っ!触らないで!!嫌っ!!!」



姫(嫌だ………嫌だ!!騎士ちゃん!!助けて!!)

先の展開が決まってないから
ひとまず打ち切ります

またいつか書き直すつもりで

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