エレン「ミカサとアニの立場が逆転?」(324)

注意:
立ち位置の変更によりキャラの性格、性能が変化しています


―ウォール・マリア シガンシナ区近辺―

「エレン、起きろ。もうそろそろ帰らないと」

エレン「…ん、アニ?お前髪の色……」

アニ「エレン?どうして泣いてるんだ?」

エレン「え……?本当だ、なんで泣いてんだろ。何かすっげー変な夢見てた」

アニ「そう、そろそろ戻ろう。カルラお母さんも待ってる」

エレン「ちょ、待てよアニ。置いてくな!」


―シガンシナ区―

ハンネス「おう、エレンどうした?目元腫らして」

エレン「うぉっ、酒臭っ!?何昼間っから飲んでんだよ、ハンネスさん!」

エレン「アニも離れないで助けろよ!」

アニ「飲んだくれの相手は苦手」

ハンネス「ははっ、相変わらずそっけないなぁアニは。……ヒック」

エレン「大体、アンタら職務中に酒飲むって何考えてんだ?まともに働きもしないなんて巨人が攻めてきたらどうすんだよ!」

ハンネス「は?はっはっは!!……なぁエレン、巨人が壁の内側に入ってきたことなんてこの百年一度もなかった」


ハンネス「それに壁の修理に上に上がる事もあるが壁の高さは50m、幅も10mある」

ハンネス「大きくても15mの奴らにどうこうできるとは思えん。それに、俺らがこうして酒飲んでる間が一番平和なんだよ」

エレン「ふんっ、食うに困るやつが出るような檻の中が平和だって?俺はそんな家畜みたいな生き方はごめんだね!!」

アニ「エレン行こう、お酒の臭いで気分があまり良くない」

エレン「おい、アニ?ああもう。じゃあな、ハンネスさん!次飲んでるの見たら奥さんにある事ない事言いまくってやるからな!」

ハンネス「お、おいエレン!そいつはねぇよ、それだけは……行っちまった。アイツ、まさか調査兵団に入りたいのか?」



エレン「おい待てよ、アニ!お前嘘ついてまでどうしたんだよ!」

アニ「……エレン、人は正しいだけじゃ生きていけないんだ。正しくても力が無けりゃ意味が無い」

アニ「アンタがいくら正しくても、酔っぱらったハンネスさん1人倒せない。だからあの場ではエレンの言葉はただの戯言だ」

エレン「わかってる!、、それでも俺は……」

アニ「だから、戯言にしないためにぶっ倒れるまで私に蹴られてるんだろ。焦ったっていい事なんかない」

エレン「……ごめん」

アニ「……あ、あれ。調査兵団じゃない?外にいた時聞こえた音、帰還の知らせだったんだ」

エレン「!行こう、アニ。戦士達の凱旋だ!!」

アニ「うん」



“キース「私が無能なばかりに、いたずらに兵を死なせた挙句、何の成果もあげられませんでした!!」”

エレン「っ、、、」

アニ「さっきの団長の言葉?」

エレン「ああ、本当に戦った人達は無駄死にだったのか?成果を上げることが全てなのか?なあアニ……」

アニ「少なくとも街の人達はそう思ってるよ」

アニ「早く家に入ろう、今はまだ私達は戦場に立ってない。だからそれが無駄死にかどうかわからない」

エレン「そうだな、ただいま」

アニ「ただいま」


カルラ「お帰りエレン、アニ。座りなさい、もうご飯できてるわよ」

グリシャ「お帰り、今日もまた大量に拾ってきたな。これだと明日は拾いに行く必要もなさそうだ」

エレン「本当!?じゃあアニ、明日はアルミン誘って遊びに行こうぜ。午後は3人でどこいくか相談だな!」

アニ「そうだね、訓練はどうする?」

エレン「もちろん途中でやる!」

カルラ「訓練って、だからいつも生傷が絶えないの?」

エレン「調査兵団に入るなら強ければ強いほどいいじゃん、もう決めてるんだ」

カルラ「エレン、アナタまだそんなことを!」

グリシャ「エレンはどうしてそう決めたんだ?」カルラ「あなた!?」

エレン「外の世界が見たい。約束してるんだ、アニとアルミンと一緒に外の世界を見て回るって」

グリシャ「そうか…そろそろ船の時間だな」


グリシャ「帰ってきたら話の続きだ。エレン、その時にずっと秘密にしていた地下室を見せてあげよう」

カルラ「あなたどうして!」

グリシャ「カルラ、人の好奇心を無くすことはできないよ。行ってくる」

エレン「俺もご馳走様、行ってきます!アニ、先行ってるぞ」

カルラ「待ちなさいエレン!……もう。アニ、あの子は危なっかしい所があるけどアナタがいれば良く考えて動くわ」

カルラ「何かあった時は絶対に2人で一緒にいなさい。アナタ達なら助け合えばきっと大丈夫だから」

アニ「うん、私も行ってくるね」

カルラ「いってらっしゃい、アニ」

トリップ忘れてた、書き溜め尽きたからここから遅くなります。



悪ガキa「お前なんかアニやエレンがいなきゃどうってことね―んだよ!」

アルミン「痛グッ」

悪ガキb「悔しかったら殴り返してみろよ!お前のパンチなんて蚊が止まるみたいなもんだけどなwww」

アルミン「はっ。僕の言葉が正しいと思ってるから、そうやって暴力で言うことを聞かせようとするんだろ?」

アルミン「そんなお前らなんかに、僕が拳を固める事なんて絶対に……無い!」

悪ガキc「コイツ!?やっちまおうぜ!!」


エレン「テメー等、何してやがる!!」

悪ガキb「エ、エレン1人なら3人で囲めばっ……!」

アニ「性懲りもなくまた蹴られたいのかい?」

悪ガキc「ヒッ…!?アニもいた!!ヤバいって、逃げろ!」

悪ガキa「ちょ、お前ら待てって、待ってくれぇ~!!」ダダダッ

エレン「チッ、アイツ等こっちが2人いるときはいつもこれだ」

アニ「大丈夫かいアルミン」


アルミン「痛つつ、大丈夫。アニの蹴りに比べれば屁みたいなもんさ」

エレン「まーな、俺1人ならとか言ってたけどたいして痛くないから負けはしねーし」

アルミン「2人は揃うと何倍も強くなるからね、エレン1人にも勝てないんじゃそりゃ逃げるよ」

アニ「とりあえず川辺に行こう、傷口を洗うぐらいはしとかないと」



アルミン「ちょっ、痛い痛い!自分でできるから!!」

アニ「いいやダメだね。アンタは頭脳労働担当だろ、前に出た罰だ」


エレン「アニの言うとおりだぞ、ほら、おとなしくしろって」

エレン「アイツ等が隣の区の奴達と連携してきたときに決めただろ。お前は直接戦わないって」

アルミン「うう~、わかってるよ。今日だって油断しなけりゃ逃げ切れてたんだ」

アニ「言い訳は後で聞くよ。ほら」グリグリ

アルミン「痛ったぁ~~!!アニわざとはやめて!」

エレン「はははっ!アニ、反省してるみたいだしそれくらいにしてやれよ」

アニ「はいはい、っしょっと。これで大丈夫、そのハンカチ洗って返してよ」

アルミン「ありがとう。そうだ、今日は新しい本を見つけてきたんだ!」

アニメ組だからなぜアニがここまでピックアップされるかさっぱりわからん。

なので本編、ssともに期待


エレン「本当かアルミン!ここで出しても大丈夫なヤツか?」ワクワク

アニ「ここは隠れて読むのに適さないよ、危ないヤツなら早くいつもの場所に行こう」ワクワク

アルミン「大丈夫、これはずっと昔の兵法書さ。といっても子供の教科書みたいに簡単な事しか書いてないけど」

エレン「医学書ならともかく、他のはお前にしたら簡単でも俺らはチンプンカンプンだよ」

アニ「でもアルミンから習えば理解できるよ。どの本も書き方が分かり難くて仕方がない」

アルミン「ありがとうアニ、そういって貰えると教え甲斐があるよ」


アルミン「それでコレの内容なんだけど、簡単に言うと相手の考えを知りなさい。だって」

エレン「相手の考え?」

アニ「……ああ、そういう」

アルミン「アニは分かったみたいだね。昔は人間同士で争っていたから当然相手も作戦を考えるんだ」

アルミン「だからそれを理解して、その作戦を上回らないといけない。だから相手を知れって事だと思うよ」

アルミン「えっと、書いてある事をそのまま読むと。『敵を知り、己を知れば百戦危うからず』だね」

エレン「じゃあ『己を知れば』ってなんだよ?」


アニ「分かった。自分の実力を知らないと、それ以上の力がいる作戦を考えてしまったら実行もできない」

アルミン「そうだね、巻数が書いてあるから連作なんだと思う」

アルミン「他にも意味がありそうなんだけど説明書きが短くて……多分これは本物を要約した物なんじゃないかな」

エレン「え~?それ以外にも意味があるのかよ。分かったらおし、ッッッ!!何だ今の!?」

アニ「あっち!壁の外側に何かいる!!」

アルミン「巨人だ、でかい……。壁から頭が、、60mはある……っそうじゃない!エレン、アニ、急いで家族を!!」

アルミン「あの大きさだ、開閉門を狙われれば一溜りもないぞ!!」

>>17
かなり先の事ですが、設定上かなり大きなネタバレを含みます。



アニ「グリシャお父さんは今内地に回診に行ってる!エレン!!」

エレン「ああ!早く家にッッッ!?アニ先に行く!アルミンの話は頼んだ!!」ダッ

アルミン「クッ、2人は早く家に!僕の家族は内地に近い、ハンネスさんに声をかけておくから急いで!!」

アニ「アルミンも無事でいて!」ダダダッ

アルミン「2人とも、どうか無事で……」ダッ



エレン「(チラっとだけど家の方向に何かが飛んで行ってた。大丈夫、家だけに当たるなんて事あるはず無い)」


エレン「(ここを曲がれば、いつもの家が!)母さん!!!」

カルラ「うぅっ、エレン?ダメよ、逃げなさい……」

エレン「何でだよ、すぐに出してやるから。一緒に逃げるんだ!!(母さんの下半身は潰れた家に挟まれていた)」

アニ「カルラお母さん!?」

エレン「アニ手伝え!」グッ

アニ「分かってる!」グッ

エレン・アニ「「せぇ、の!!」」ギギギ


エレン「(駄目だ、軋むだけで1cmだって持ち上がらない)」

アニ「(どうする、何か、何か)あ、エレン。護身刀!アレでここに切れ目を!!」

エレン「それだ!ここでいいな、フンッ!!(遊び心に持ち出したナイフ、これで)」ガッ

エレン「アニ、蹴りならお前の方が上手い。任せた!」

アニ「分かって、るッ!!」バギッ

エレン「よし、これで少しぐらい!ッ急ぐぞ!!」

巨人「――――」ズシン、ズシン


カルラ「もう十分よ、アナタ達は早く逃げなさい。巨人が来たのでしょう?どのみち母さんは足が潰れて感覚もないわ」

カルラ「さぁ!早く逃げて!!」

エレン「嫌だよ!早く出てきてくれ!!俺が背負って逃げるから!!!」

アニ「――――。(世界は残酷だ、分かっている。このまま頑張ってもカルラお母さんは助けられない)」

アニ「(3人揃って巨人の餌になる。カルラお母さんを見捨てれば、私達は生き残る)」

    『父さんはアニがどんな選択をしても味方でいる。だから、その時があればアニが生き残れる選択をしてくれ』
    『お父さん?よくわからない』
    『それでもいい。親は子を守るものだ、そんな時は来ない方が良い』

アニ「(お父さん……私は……)」


ハンネス「カルラ!エレン!アニ!」シュッ

カルラ「嗚呼、ハンネスさんこの子達を連れて逃げてっ……!」

ハンネス「馬鹿言うなよカルラ、何のために訓練してきたと思ってんだ。コイツを始末して3人とも助ける!」チャキ

アニ「(嗚呼ダメだ、目がもう怯えている。)」

ハンネス「(それが家内を救ってもらった、俺の恩返しになる!!)」

アニ「(ここで出来る最善は、カルラお母さんを見捨てて逃げる事)」

巨人「―――――ニタァ」

ハンネス「ッ!?」

エレン「おい、アニ!?そのナイフもう役に立たないだろ!そんなの拾ってないで手伝えよ!!」


カルラ「アニ?……そう、アナタは優しい子ね。ありがとう」

エレン「おい、アニ!何やってんだ、何で母さんにナイフを!!ガッ!?」ドコッ

アニ「邪魔、手元が狂う。(首の骨の間、大丈夫。このナイフは薄い、本に書いてあることが本当なら痛みも一瞬)」ポロポロ

アニ「さようなら、お母さん」グサッ

ハンネス「逃げるぞっ!?アニ、お前……ええい、後だ!!」ガシッ

エレン「アニっっ!!お前っ!」ジタバタ

アニ「あれがっ、アレが最善なのッ!!エレンはお母さんに生きたまま恐怖に怯えて喰われろって言うの!?」ポロポロ


エレン「ッ、分かってる。分かってるよっ!!それでもっっ」ギリッ

ハンネス「チッ、追いつかれるか!?お前ら、絶対暴れるなよ!!」バシュッ

エレン「ッ(クソッタレ、何が強ければ強いほどだ。母さんを助けられなかった俺のどこが強い?)」

エレン「(殺してやる、絶対に。一匹残らずッ!)」

エレン「アニっ!俺はっっ、アイツ等を絶対に許さないっ!!」

アニ「っ」

エレン「手伝えっ!俺1人じゃ出来ない事も、お前となら出来る!!奴らを駆逐してやるんだ、この地上からっ!一匹残らず!!」

アニ「っ!!(エレンが私を許してくれるなら。無感情に、機械的に、藁のように死なせよう。一匹残らず)」

アニ「やるよ、絶対。エレンと一緒に」

今日はとりあえずここまでです。今後は書き溜めながらちまちま進めるので遅くなるかもしれません。

─843 シガンシナ区近郊、山間部─

アニ父「そう、そこで両手を合わせて。振り向いて、残心を忘れるな」

アニ「……ふう、お父さん疲れたよ」

アニ父「ん?あぁ、イェーガーさんも来ることだし今日はここまでにしよう」

アニ「エレンも?」


アニ父「そうだな、彼も来ると言っていた。この雨だし少し遅くなるかもしれん」

アニ母「ほら、汗を拭いて来なさい」

アニ「うん」トテトテトテ

アニ父「……覚えが早いな、あの子は」

アニ父「私が父に伝統のワイクルーを教わったのは、アニより5歳上だった」

アニ母「ふふっ、アナタはいつもそれね。でも私はもう少し女の子らしい事も覚えて欲しいわ」

アニ父「基本は全て叩き込んだ。あとはアニの気持ち次第だよ」

トントン

アニ母「あら?イェーガーさんかしら、アナタお願い。手が放せないわ」

アニ父「ああ。──こんにちわイェーガー先生、随分と早かったですね」

もしもしだとむずかしいな、続きは帰ってからにします。夜の予定と併せて25時ぐらい?

だいぶ遅くなった、それもこれも閉店間際に入ってきた客が悪い。というわけで再開します



グリシャ「エレン、今日は雨も降ってるから暴れるんじゃないぞ」

エレン「分かってるよ、家の中ではやらないってレオンハートさんと約束してるし」

エレン「はぁ、次いつになんのかな。早くアニに勝ちたい」

コンコンコン

グリシャ「レオンハートさん、イェーガーです。……?」シーン

グリシャ「レオンハートさん?……開いてるな」ガチャ

グリシャ「ッ!?」

エレン「父さん?どうしたの、早く入ろうよ……っ!?」

グリシャ「レオンハートさん!……駄目だ、亡くなってから時間がたっている。エレン、アニを探してくれ!」

エレン「分かった!」ダッ


グリシャ「奥さんの方も……駄目か」

エレン「父さん、アニが居ない!床に血がついてた、きっと攫われたんだ!!」

グリシャ「そうか、父さんは憲兵団を連れてくるからエレンはここで待っているんだ」

グリシャ「私の名前が聞こえない限り、鍵は決して開けてはいけないぞ。行ってくる!」

エレン「――――ッ」



―山間部中腹、山小屋―

人攫いa「畜生ッ足が痛てぇッ」

人攫いb「馬鹿野郎が、だから油断するなっつったんだ。本命の女まで殺しやがって」

人攫いa「だってよ、あの女が馬鹿みてぇな蹴りをしてくんだぜ?あんな凶暴なの買う奴いるかよ


人攫いb「だからガキを人質にとって地下闘技場に売る予定だったつってんだろうがッ!!」

人攫いa「何で女とガキがあんなに強ぇーんだよ、糞が」

人攫いb「あぁ?昔は人間にも種類があってな、コイツの父親は自由人っつー特殊な格闘術を受け継ぐ一族だ」

人攫いb「娘には次の世代に受け継がせるため、母親の方は護身術って事で習ってたんだろ」

人攫いb「父親の方は母親の比じゃなかった筈だぜ?不意打ちじゃなきゃ俺らが死んでた。折れた程度で済んでよかったな」

人攫いb「ガキの方が思ったより強かったのは嬉しい誤算だな、女ほどじゃねぇがそこそこの値はつくだろ」

人攫いa「何が嬉しいもんか、コイツのせいで完全に折れちまったんだぞ!殴りたりねぇよっ!」


人攫いb「やるなよ、綺麗な顔つきの奴が命がけで戦ってるから変態共が喜ぶんだ。顔はもちろん体に傷つけるのも許さん」

アニ「―――(お父さん、あんなに強いお父さんが簡単に殺されてしまった。お母さんも強いのに殺された)」

アニ「――――(どうして?今日はエレンと遊んで、教えてもらったばかりのワイクルーを見せて、楽しい日になる筈だったのに)」

アニ「―――(『アニが生き残れる選択を』……分かってるよ、お父さん。このまま売られればきっとすぐに死んじゃう)」

アニ「―――――(でも、今はまだ動きたくないんだ。体が動かない、こんなに寒い中、生き残って何になるの?)」

アニ「――(誰か、、、教えて……)」

コンコンコン

エレン「すみません、誰かいますか?」

人攫いa「ッ!ガキどうしてここが分かった!?」


エレン「ヒッ…!?あの、、その、山の中でお父さんとはぐれて、光が見えたから……」ヒックヒック

人攫いa「……あ、あ~すまなかったな、坊主。でもこんな時間に山ん中歩いちゃいけねぇよ、なんせこの辺には狼がでる」

エレン「―――汚い手で触んじゃねーよ糞野郎、死ね」ザシュッ

人攫いa「え、―――カヒュッ!?」ドサッ

人攫いb「なっ!?(咽喉を一突き?ただのガキじゃねぇっ!?)」

アニ「――(エレン?どうして、ここに?)」

エレン「フン、汚ねぇなクソッ」ゴシゴシ

人攫いb「――ッ」ブチッ

人攫いb「1人殺った程度で調子に乗ってんじゃねーぞコラァッ!!」ダッ


アニ「エレン、逃げてっ!!」

エレン「喋んなよ、臭い」バッ

人攫いb「ガッ――泥!?糞がッ」ブンブン

エレン「ただ振り回すだけの斧に当たるか、死ね」ドッ

アニ「(胸を突いて足掛け?あの技、ちゃんと覚えてくれてるんだ……)」

エレン「死ねッ死ねッ!!糞が、お前ら何か1秒だって長生きしていいものか!!」ドスッドスッ

アニ「エレン――もう死んでる。縄解いて、もう一人いたはず」

エレン「ハァッ、ハァッ――まだ、いるのか?アニ手を出してくれ。さっさと逃げよう」


アニ「うん(エレン、温かい。あんなに寒かったのに、力が湧いてくる)」ブチブチ

エレン「よし、すぐ逃げるぞ―――ッ!?」

ガチャ――キィィ

人攫いc「――おい、テメーが殺したのか。ガキ」

エレン「クッ――ガハッ!?」バキッ

人攫いc「ウソだろこんなガキに?殺してやる、クソッタレがっ!!」ギリギリギリ

エレン「ゥグッ――アニ!殺れっ!俺の次はお前だぞっ、ここでやらなきゃ生き残れないッッ!!」


人攫いc「この、喧しいぞっ!!」ギリギリ

エレン「選べっ!死ぬか、生きるか!!お前の技は何の為にあるッッッ!!!!」

アニ「あ、―――(そうだ、『生き残れる選択を』。私が戦わなければ、エレンも私も死ぬ)」

アニ「アアァァァッ!!(私の、お父さんの技はッ!!)」ダッ

アニ「フッ!!(狙うは膝の横!外を叩くんじゃなく―――芯を砕き抜く感じでッッ!!)」ゴキャッ

人攫いc「ギッ!――ガアァァッッッ!?足っ、俺の足がッッ!?!」

エレン「ゲホッ、ゲホッ……。死ね」ザシュッ

人攫いc「カハッ!?……」ドサッ

アニ「エレン!大丈夫?怪我はない?」


エレン「大丈夫、お前こそ怪我は?部屋に血がついてたけど大丈夫か?」

アニ「大丈夫、、痛っ」

エレン「どうした見せてみろ。―――おいおい、どこが大丈夫なんだよ。冷やすもの持ってくる、多分その足折れてるぞ」

アニ「ありがとう。でも後でいい、今はここにいて」

エレン「はぁ?その足すぐに冷やしとかないとヤバいぞ」

アニ「寒いんだ、とても。お父さんもお母さんも死んじゃった。エレンまで居なくなったら私は……」

エレン「……馬鹿、俺は居なくならないよ。これ貸してやるから、だからちょっと待ってろ。絶対返せよ?」グルグルグル

アニ「あ……コレ、お母さんに貰ったって言ってたマフラー」ギュッ


エレン「絶対無くすなよ?俺の宝物なんだからな、そこ座って待ってろ」タッタッタッ

アニ「エレン……温かい。温かいよ……」ポロポロポロ

アニ「グスッ――(お父さんの教えてくれたこの技、理不尽に打ち勝つ為の技。私は戦うよ、お父さん……)」

アニ「(生きるんだ、こんな酷い世界でも。綺麗なモノはきっとあるって、お母さんが言ってたから。絶対に負けるものか……)」

エレン「アニ、父さんに診てもらうまでとりあえずこれで冷やしておけ」

アニ「エレン、私の家なくなっちゃった。これからどこで生きていけばいいのかな?」

エレン「ハァ?何言ってんだ、家に来るんだろ。俺、お前にまだ一回も勝ってないんだからな」


エレン「父さんも母さんも俺が説得するから、嫌って言っても連れ帰るぞ」

アニ「いいの……?」

エレン「駄目って言われたら2人で住める場所、探しに行こうぜ。アニと会えなくなるのは絶対嫌だからな」

アニ「うん……うん……(帰る場所、あったよお父さん、お母さん。今度は、絶対に守るから……)」

エレン「女の子を守るのは男の役目ってアルミンも言ってたからな!」

アニ「ふふっ……じゃあ早く私に勝てるようになって貰わないと。それまでは私が守るよ」

エレン「何だとぉ~?足治ったら勝負だからな!絶対負けねー」

―現在公開可能な情報改変点―

・アニとミカサの立ち位置が逆転、それに伴い一部人物の能力が上下している。

・ミカサと出会ったのは誘拐事件だが、アニ父の格闘術に興味を示したためアニとは誘拐事件前に出会っている。

・アニはミカサと違い、全身支配に覚醒していないが同年代の練習相手(エレン)がいた為格闘能力が上昇している。

・幼少期の時点でアルミンの劣等感が改善されている。

本日分は以上です、次回は訓練兵団。
やっとミカサが出るよ!でも設定的に出番少ないんだ、ゴメンねミカサ
今までのまとめ的な情報改変点とかいらないかな?

一応区切りのいい所でトロスト区戦で終わりを予定してます。
つまり巨人ミカサに出番は(多分)無い!!……だってそれ以降は区切るには中途半端なんだもん
では続きです


―訓練兵団入団式―

エレン「(ようやくだ、ようやくここまで来た)」

キース教官「貴様!貴様は何者だ!?」

アニ「(守るって決めてから4年、エレンも私も強くなった)」

アルミン「はっ!シガンシナ区出身、アルミン・アルレルトです!!」

エレン「(あれから2年、鍛錬も怠っていない)」

キース教官「そうか、馬鹿みてぇな名前だな!親が付けたのか!?」

アニ・エレン「「(今度は絶対に、負けない!!)」」

アルミン「祖父が付けてくれました!!」

キース教官「何をしにここへ来た!?」


アルミン「友人を死なせないためにここへ来ました!!!」

キース教官「そうか、だがしょせん貴様の友人は巨人の餌だ」ガシッ

キース教官「第5列、後ろを向けッ!!」グルッ

キース教官「貴様、貴様は何者だ!?」

マルコ「ウォール・ローゼ南区ジナエ町出身、マルコ・ボットです!!」

キース教官「そうか、まるでモブキャラのような名前だな!」

キース教官「貴様は何をしにここへ来た!?」

マルコ「け、憲兵団に入り、王に身を捧げる為に来ました」


キース教官「そうか、それは結構な事だ。……だが覚えておけ、王はお前と違って、ホモでは無い」

キース教官「次は貴様だ、貴様は何者なんだ!?」

ジャン「はっ!トロスト区出身、ジャン・キルシュタインです!!」

キース教官「貴様は何をしにここへ来た!?」

ジャン「……憲兵団に入って、内地に行くためです」

キース教官「ほう、そうかそうか。貴様はなかなか素直な奴だな、気に入ったぞ」

ジャン「はっ!ありがとうございます!!」


キース教官「特別に夕餉まで走らせてやろう。存分に汗をかいてこい、今すぐだッ駆け足!!」

ジャン「は、はいっ!ジャン・キルシュタイン、夕食まで走ってまいります!!」ダッ

キース教官「良し、第6列後ろを向けッ!……貴様!貴様は何者だ!?」

コニー「ウォール・ローゼ南区ラガコ村出身、コニースプリンガーです!」

キース教官「何だ貴様、貴様は内蔵逆位か?貴様の心臓は右にあるというのか!?」ガシッ

コニー「うグググッ……」

キース教官「例えそうだとしても貴様一人の為に規律を乱す兵団ではない!敬礼は左だ、しっかりと貴様の小さな脳に叩き込め」

サシャ「モグモグモグ(うっわー、痛そう……)」


キース教官「×★※▼○!?……貴様、貴様は何をしている!?!」

サシャ「?ハグッ、モグモグモグ(誰が馬鹿な事したんかなー?)」

キース教官「貴様だ貴様!貴様に言っている!!貴様は何者なんだ!?」

サシャ「モグモグ、、ゴクン(え?私何か悪い事した?)はっ!ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身、サシャ・ブラウスです!!」

キース教官「貴様は何を食っている?」

サシャ「は?(え、わからんの?)蒸かした芋ですが」


サシャ「(調理場に蒸かし芋しかなかったのでとりあえず、って言うのはまずいやんな)」

サシャ「調理場に食べ頃の物が置いてあったので、今食べるべきと判断しました」

キース教官「だから、何故芋を食うのかと聞いているのだ!!」

サシャ「は?それは何故人は芋を食べるのかということですか?そこに芋があるから。というのが私の考えですが」

キース教官「……………。」アゼン

サシャ「あ、(さっきから怒鳴りはって、腹減ってんのかな?もったいないけど半分あげよ)」パコッ

サシャ「……(あっちゃー、大分小さなってもうた。小さい方でええよな、元々私のやし)よろしければ半分、どうぞ」


キース教官「…半、分?」

サシャ「(なんやの欲張りさんやな、でもこれは私の物やからあげんのはそっちや。早いもん勝ちやで)」ドヤッ

キース教官「き、貴様は死ぬまで走ってこいッッ!!」

サシャ「え?(ちょ、なんなんこの人、小さい方渡されたからって怒りすぎちゃう?)」

キース教官「返事はどうしたッ!!」

サシャ「は、ハイッ!!(まぁ夕食前の運動って思えばええか、獲物追いかけて食えへんかった時よりマシやろうし)」


キース教官「それと貴様はもう飯を持ってるからな、夕餉はそれで足りるだろう!配膳に伝えておいてやる、駆け足ッッ!!」

サシャ「は?」ガクゼン

キース教官「晩飯抜きだと言ったのだ!!さっさと走ってこいッッ!!!」

サシャ「―――――はい……(神は死んだ)」トッ…トッ…トッ

キース教官「フンッ、他にふざけた糞虫は居ないだろうなッッ!?第7列後ろを向けッ!!」

ナニモノダキサマー!!
ハッ!ジブンハブタゴヤシュッシン、カチクイカデアリマス
チガウ、キサマハトロストクシュッシンミーナ・カロライナダ!ジブンノナマエモオボエラレナイキサマナドセイブツデスラナイ!!
ハッ!ジブンハブタゴヤシュッシン、ワラヤネデアリマス



―食堂・夜―

エレン「おいお前大丈夫かよ?」

ジャン「こ、れが……大、丈夫に…見えるか?」ゼーッハーッゼーッハーッ

エレン「ほれ、運動後に冷たい水飲むとヤバいからな。ちょっと温いから気持ち悪いかもしれんがこれ飲んどけ」

ジャン「スマン―――ンクッ、ふぅ助かった」ゼハー

エレン「しっかしお前、正直なのはいいがあの場でアレはどうかと思うぞ?」


ジャン「ハッ、俺は自分に嘘はつけないタチでね。お前もどうせ憲兵団を目指してんだろ?」

エレン「いや、俺は調査兵団志望だ」

ジャン「おいおいマジかよ、死にて―のかお前?」

エレン「そうじゃねーよ、でもちょっとな。あの糞共には恨みがあるんだ、それに夢も」

ジャン「(夢見がち野郎の戯言ってわけでもなさそうだな、なんつー目をしてやがる……)」

ジャン「……そうかよ、まぁ他の誰がどこを目指そうが俺には関係ないね。精々巨人の餌にならないよう頑張れや」


エレン「おう、俺はエレン・イェーガー。お前は?」

ジャン「ジャン・キルシュタインだ」

アニ「エレン、食ったならそろそろやろう。就寝時間が思ったより早い。……誰?コレ」

エレン「おいおい、コレは無いだろアニ。ほら、教官に走らされてた男の方」

アニ「ああ、あの正直者か。アニ・レオンハート、よろしく。先行っとくよ」スタスタスタ

ジャン「おぅ、ジャン・キルシュタインだ……。エレン、お前あの女と知り合いか?眼つき恐ろしすぎんだろ」


エレン「幼馴染で家族だ、そんなに怖いか?ま、アニが待ってるからまた今度な」

ミカサ「待って」

エレン「ん?誰だアンタ」

ミカサ「ミカサ・アッカーマン、アナタ私とどこかであった事が無い?」

エレン「エレン・イェーガーだ。覚えはねーな、俺はシガンシナ区出身だけど近いか?」

ミカサ「……エレン、そう。ごめんなさい、私の気のせいだ。アナタもごめんなさい、邪魔した」

長編で大変だろうけど頑張ってくれ

楽しみにしてる


ジャン「………おぉ」ボーゼン

ミカサ「アナタ大丈夫?」

ジャン「お、おぅ。大丈夫、大丈夫だ」

エレン「俺はもう行くな、これからよろしく頼むな、ジャン、ミカサ」

ミカサ「ええ、邪魔にならない限り、よろしくさせて貰う」

タッタッタッタッ

アンタミカサ、ッテイッタカ
エエ
ソノ、キレイナカミダナ…
ソウ?アリガトウ



アニ「遅いよ、時間もほとんどないからさっさとはじめよう」

エレン「スマン、変わった女に絡まれてさ。お前見た事ある?黒髪で肌の色がちょっと濃い美人」

アニ「さあ?アンタが見てないなら私も見てないだろう、よっ!」ヒュッ

エレン「っと、そうだよなぁ。フッ!」ブンッ

アニ「クッ!?明日から訓練開始なんだ、少しぐらい加減しろ。訓練に合わせてこっちの内容も変えないと駄目なんだから」ブンッ

エレン「うおっ!っと。そうだな、今日は流す程度にしとくか」シャッ

なんかすごいssになりそうだ


アニ「っと。ああ、アルミンも今日は早めに戻るって言ってたしね」ブンッ

エレン「よっ。……じゃあアップは終わりにして、いくぞっ!」

アニ「きなっ!!」



エレン「ふぅ、こんくらいにしとくか」

アニ「そうだね、訓練で動けないってのは避けたい」

エレン「さっきの話だけどさ」ホラ、タオル

アニ「何、黒髪美人の事?」アリガト


エレン「おう、それで思い出したんだけど、お前って髪を黒く染めたことってなかったか?」

アニ「はぁ?そんな覚えないけど」

エレン「だよなぁ、なんかアイツ見た時さ、昔のお前を思い出したんだよ。なんでだろうな?」

アニ「私が知るか、何?そんなに黒髪が好きなら染めてやろうか」

エレン「え?いいよ別に。髪色の好き嫌いとかないし」

アニ「……だろうね、言ってみただけさ。じゃあまた明日」スタスタスタ

エレン「おやすみ。……なんだったんだ?」

短いけど書き溜め終了。ちまちま放出しないとやる気起きないので早かったら深夜、遅かったら明日に続きます。
>>92
長編って程にもならないかも。予定ではトロスト区戦まで、訓練期間で書くこと書いて思い浮かばなくなったらすぐ卒業する。
>>97
あんまり期待されるても困る、まだ書くの2回目だし

ミカサとアニ関係っていったら女型の巨人戦のエレン争奪戦だけどやんないのな
少し残念

とりあえず初夜(何かエロい)まで投下するよ!
>>102には申し訳ないけどこの展開で行くと争奪戦も難しいんだ


―訓練兵団養成所―

キース教官「本日より貴様等の訓練を開始するッッ!!」

キース教官「既に逃げ出した家畜の餌にもならんような奴等もいるが、この適性試験をクリアできない奴もたいして変わらん!!」

キース教官「準備を終えたものから順次素早く試験を開始しろッ!」

訓練兵一同「「「ハッ!!」」」



眼鏡教官「ふむ、今年は豊作のようだな」

新人教官「僕達の年はアレで結構な人数が開拓地行きになりました」


眼鏡教官「だが中途半端にできる子も扱いに困るものだ。あの子を見てみろ、まったくブレが無い」

ミカサ「―――。」プラーン

新人教官「凄いですね。……あ、あの子も」

アニ「―――ん。」フラ、フラ…プラーン

眼鏡教官「うむ、あの子は何かしらの格闘術を学んでいるのかもしれんな。重心のズレを正しく理解している」

新人教官「格闘術ですか?そうなるとそれなりに裕福の出ということになりますが」

眼鏡教官「あるいは山奥で隠居する達人に学んだのかもしれんな。道場は門下生をカモにしている所が多い」


新人教官「あ、あの……あの子はどういう事でしょう?」

エレン「―――よしっ、、、うぉ!?」フラ、フラ…プラーン、、、グルン

眼鏡教官「ん?」

新人教官「どうかいたしましたか?」

眼鏡教官「今の回り方、少しおかしいな。一度完全に安定していたはずだ」



キース教官「どうしたイェーガー!貴様はふざけているのか!?さっさと上体を起こせッッ!!」


キース教官「ん?おい、どうしたイェーガー!貴様はふざけているのか!?さっさと上体を起こせッッ!!」

エレン「はっ、はい!!(何だ今の!?安定したと思ったら急にひっくり返った!)」ブラブラブラ

アニ「今のは……」

キース教官「何をしている、まだ起こせんのかッ!?まるで触角を失った虫のような奴だなッッ!!」

エレン「くっ!?(体が持ち上がらない、さっきとは感覚が全然違うぞ!?)」ジタバタ

アニ「やっぱり……キース教官、申し上げます」

キース教官「何だ、レオンハート!」


アニ「はっ、イェーガー訓練兵は先ほど奇妙な転倒の仕方を致しました」

アニ「装備、特に留め具かベルトに破損が見られると思われます」

キース教官「(私が別の者を見ている間に何かあったか)ふむ、イェーガーを下せ」

キース教官「次の者が試験を行っている間に再点検を済ませろ!!レオンハートは補助を行え!」

アニ「ありがとうございます」

キース教官「次の者ッッ!ちんたらするなッ、貴様らは亀か!?ナメクジか!?カタツムリか!?」


エレン「畜生、なんだこれ。開拓地で練習してたのと全然違うぞ……」ドサッ

アニ「いいから、腰回りの装備点検だ。点検項目に入ってない所もちゃんと見てみろ、さっきのは絶対におかしかった」

エレン「ありがとう……留め具、問題無し。固定ベルト、、各所問題無し。後は……」ガチャガチャガチャ

アニ「腰ベルトも確認して、他に原因は思いつかない」カチャカチャ

エレン「おう、腰ベルト……ん?これか!!」プラーン


アニ「妙な剥がれ方してるね、報告しよう」

エレン「ああ。キース上官、申し上げます!!」

キース教官「何だイェーガー!?言ってみろ!!」

エレン「腰ベルト後方に破損が見られました!昨日指示された点検項目に含まれていない箇所です!!」

キース教官「ふむ、見せてみろ。……確かに、ここの破損は今まで報告されていなかったな」

キース教官「よろしい!そこの福教官とベルトを取り換え、再度適性試験を受けろ!!」


エレン「御心使いに感謝いたします」ザッ



新人教官「あれ?もう一度挑戦するみたいですね、彼」

眼鏡教官「どうやら装備破損のようだな、普通なら明日に持ち越しだ」

エレン「(大丈夫、さっきので感覚は掴んだ。伊達に何度もアニに投げられていない!)」プラーン

眼鏡教官「ほう、僅かとはいえ破損した装備でバランスを保ったことと言い、彼も中々出来る」


新人教官「私は初めての教導なので楽しみです」

眼鏡教官「うむ、担当教官としては座学に秀でる者もいてくれると嬉しいのだが。兵団の性質上、座学は疎かになりやすいからな」




―男子兵舎・夜―

アルミン「いやー、今日は少し焦ったよ。まさかエレンが失敗するなんてって」

エレン「俺もだ、やっぱり慌ててたからって全箇所チェックを怠るのは駄目だな」


アルミン「だから言ったじゃないか、今まで壊れなかった個所がその時壊れないとは限らないんだ」

アルミン「エレン君は今日、実戦だったら死んだんだよ」

エレン「分かってるよ、今後どんな時でも全身チェックは忘れないようにする」

ライナー「おう、お前今日ひっくり返ってた奴だよな。なんでお前だけ2回目があったんだ?」

ベルトルト「やあ、お疲れさま。2回目だと普通に出来てたし、ライナーも僕も気になってたんだ」

エレン「お前らは?」


ライナー「おおスマン、ライナー・ブラウンだ。コイツがベルトルト・フーバー」

エレン「俺はエレン・イェーガー、コイツはアルミン・アルレルトだ」

ベルトルト「よろしく」

アルミン「こちらこそ」

ライナー「で?どうしてなんだよ」

エレン「装備破損だよ、チェック項目にない所が破損してた」

ライナー「おいおい、マジかよ」


アルミン「それでチェック項目の修正に貢献した、って事で2回目が許可されたらしいよ」

ベルトルト「大変だったね」

エレン「いや、俺が悪いんだよ。自分の命綱の破損を気付けなかったんだから」

アルミン「君達も注意した方が良いかもね。チェック項目もざっと確認したけど思ったより杜撰だ」

ライナー「あれが杜撰だって?おいおい、何十箇所のチェック項目があると思ってんだよ」


アルミン「……つまり、その何十箇所程度のチェック項目に命を預けているわけだ。僕はその程度の数字に命は預けられないよ」

ライナー「はっはっはっ、中々神経質な奴なんだなアルミン」

アルミン「そうだね、僕は臆病だから……」

ベルトルト「臆病?じゃあなんで訓練兵に?」

アルミン「ここが一番情報を手に入れやすいからさ。僕は腕っぷしが全然だからね、友達を守るには情報が必要だ」

エレン「俺とアニが剣でアルミンが頭だな、昔からずっとそうやって来た」

ライナー「ハッハッ、俺らも似たようなもんだよな、ベルトルト!」バシッバシッ


ベルトルト「痛い痛いハハッ、そうだね。僕達も似たようなものさ、ライナーの決断力にはよく助けられてる」

エレン「へぇ~、でっけぇ図体して頭もいいのかよ、すげぇなオイ」

ライナー「図体のデカさは関係ないだろ……」ドヨーン

アルミン「ははっ、もしかして気にしてるのかい?」

ライナー「まぁ戦士として満足してるけどよ、デカすぎて女子が寄り付かん」

ドハハハハハハッ

オイオイ、センシトカイットイテオンナカヨ
オマエラハネーノカヨ
アンマカンガエタコトネーナ
エレンニハアニガイルジャナイカ
ナニ!?
キョウミナサソウナカオシテナカナカヤルネ
バ、アイツハオサナナジミデカゾクダ!ソウイウンジャネーヨ

短いですけど(エロくない)初夜分終了です。訓練時代はこれくらいの長さで続きます、短編連載的な?
>>1のエロが読みたかったら処女作の『エレン「アニ可愛い」ボソッ アニ「っ!?」』をヨロシク!(ステマ)

26時前には再開したいと思います、ただ今回は独自設定の嵐でチラ裏に帰れと言われそう

アニ可愛いの途中から書いてた人?

>>129
まとめサイトのことどうこう言うのはアレだけどエレファントに載ってる分は俺
では続き行きます。


―対人格闘訓練―

ライナー「いくぞっ!!」ダッ

エレン「フンッ!っっデリャァッ!!」ブンッ…ドサッ

ライナー「痛つつ、お前もっと手加減しろよ」

エレン「すまんすまん、どうも手加減って苦手でなぁ」

ライナー「ほんと、お前アニと組めばいいじゃないか。幼馴染なんだろ?」


エレン「そうだけどよ、俺とアニって同門なんだ」

ライナー「ああ、見てればわかる。技とか同じものが多いからな」

エレン「俺達の所って同門同士の対決は禁止されてるんだよ」

ライナー「へぇ、そんな所もあるんだな。……お、ジャンが伸びたか?丁度いい、ミカサと組んでみろよ」

エレン「そういやアイツとは組んだことなかったな」

ライナー「マジかよ、お前強さには貧欲だからミカサとも組んでるものかと思ってたぞ」


エレン「ほら、ジャンがな……?」

ライナー「あ~、そういやアイツってミカサにお熱だったか」

ライナー「でも相手が悪いと思うぞ、周りには一切興味ありませんって感じだ」

エレン「まぁこのご時世だ、楽しめる所は楽しんどくべきだろ。おーい、ミカサ!」

ミカサ「なに?」トットットッ

エレン「ジャンの奴伸びて困ってるだろ?3人でローテ組もうぜ」


ミカサ「いいけど、彼と同程度なら止めておいた方が良い。手加減は苦手だ、怪我する」

エレン「問題ねーよ、怪我したらそれは俺が弱いからだ。気にせず全力でこい!」

ミカサ「(まずは様子見)……行く」ダッ

ライナー「速いっ!」

エレン「(それに無駄が無い。けど技術も無いっ!)――フッ!」ガシッ

エレン「(良し、行けるっ!)取ったッッ!!」ブンッ


ミカサ「くっ!?」クルン―タッ

ライナー「マジかよ、あそこから立て直すのか……」

ミカサ「でもナイフは取られた……思ったより出来る」

エレン「お前の番だ。今みたいに手ぇ抜くなよ、この程度じゃないだろ。分かるぞ」

ミカサ「悪かった、謝罪する。うまく受けて」ザッ――ガシッ

エレン「なっ(何時の間に!?)」

ミカサ「エレン、飛んで……」ブンッ


エレン「うおっ!?っ~~~、痛ってぇ」ドシャッ

ライナー「か、片手でぶん投げやがった…どんな力してんだよ……」

ミカサ「上手く落ちてた。怪我はないと思うけど、大丈夫?」スッ

エレン「サンキュ、やっぱり強いな。お前何かやってたのか?」ガシッ

ミカサ「特に何も。ただ、全身に意識を向ければどこをどう動かせばいいのかわかるだけ。コレ返す」ハイ

エレン「あー、だからあんなに速く動けんのな。無駄が無いわけだ」オウ

キース教官「ようしっ、そこまでッッ!!各自そのまま休息を取れ、しっかり食って午後に備えよッッ!!!」


エレン「終わっちまったな。すまんライナー、お前の番まで回せなかった」

ライナー「俺はホッとしてるぜ、お前があんな簡単に投げられてたんじゃ俺も瞬殺だ。メシ行こうぜ」

エレン「そうだな、ミカサも来るか?」

ミカサ「……そうね、私も行こう」


ソウイヤミカサトクウノハハジメテダナ
ソウネ
イツモハダレトクッテルンダ?
ベツニ、ソノトキソノトキ
ナカイイヤツイネーノカ
ミカサハチカヨリガタイシナ
オオキナオセワ



―特別休暇の過ごし方―

アルミン「じゃあエレン、アニ。今日は前から言ってた通りだから」

アニ「分かってるよ、私達も早めに切り上げてそっちに行く」

エレン「まあ捗りすぎたらその限りじゃないけどな」ハッハッハッ

アルミン「はぁ~、そうやって3回に1回は来ないんだから。まぁいいや、じゃあ行ってくるね」スタスタスタ


エレン「また後でな」

マルコ「やあエレン、アニ。今アルミンが教官室の方へ歩いていくのを見たんだけど、どうかしたのかい?」

エレン「ん?ああマルコか、資料庫の利用証書を受け取りに行ったんだよ。マルコは……実家に戻るのか」

マルコ「そうさ、訓練兵に連続休暇なんてそうそう無いしね。こんな時ぐらい親に顔を見せておかないと」

アニ「そういえばミーナも帰るって言ってたね。会える内に会っておくのはいいことだと思うよ」


マルコ「……君達から聞くとその通りなんだって思うよ。そろそろ馬車の時間だ、じゃあね」スタスタスタ

エレン「親……か。父さんはいったいどこにいってんだか」ズキズキ

アニ「………さぁね」ズキズキ

エレン「それにこの頭痛………まぁ考えても仕方ない事もあるよな。さっさと今日の分済ませてアルミン追いかけようぜ!」パシッ


アニ「そうだね、始めよう」ザッ


マズハナガシデ、ソノアト3ホンズツデイイネ?
オウ、オソクナッタラマタアルミンノコゴトヲクラウ
エレンハザガクノタビニクラッテルダロ
ンナコトネーヨ!



―資料庫―

アルミン「(痛覚、切断後の経過、再生能力の有限性、意思疎通の可否、重量の謎、暗所での能力低下の差異)」パラパラパラ

「(活動時間の個体差、捕獲した巨人による食糧難対策……この本はこれだけか)」パラパラパラ――パタン


「………ふぅ(やっぱりこのハンジ分隊長の記録は役に立つな。なんで埋もれてるんだろ?)」

「(やっぱり研究内容の異端さゆえ?でもそれならなぜ資料庫に専用の棚がある?)」カキカキカキ

「(食糧難対策はその悍ましさを除けば実に合理的だ、その場で調理しての配給制にすれば消滅対策にもなる……)」カキカキ

「(それに兵団としても重要そうな“暗所での能力低下の差異”、暗所でも活発な個体の存在なんて座学になかった)」カキカキ

「(政府は何か大きな事を隠しているのは確実だ。でもそれが分からない……)」カキカキカキ


「(……材料が少なすぎる、考えても仕方がないな。今は巨人についてだ、もう一度熟読しよう)」スッ、パラパラパラパラ

「……?(あれ?何か書いてある、小さくて読みづらいな)」ジーッ

「っ!?(“巨人との意思疎通者を確認”!?)」

「(意思疎通実験の内容が濃すぎると思ったら、そういう事か)名前、名前はっ!?」パラパラパラ

「………っ、ふぅ(駄目か、意思疎通者もその内容も記されていない。まぁそもそもこれ自体が機密なんだろう……)」

「(でもこれではっきりしたな、あの超大型巨人と鎧の巨人は思考能力がある。でなきゃあそこまで綺麗に扉を破れない)」


「(今まではただの予測だったがコレはもう確定でいいな。思った通り壁の内側は安全地帯とは呼べない)」

「(人を殺す為に食う巨人。多分意思を持つ巨人は何かを探しているんだ)」

「(100年は壁の外を探していた、だからいつでも破れる壁を破らなかった)」

「(わざわざ探し物が外に流出する可能性を用意する筈もないから。そして4年前、外から壁の内側の捜索に切り替えた)」

「(この4年間ローゼが破られていないのはマリア内の捜索をしているからだろう、広い外の世界も100年で終わったんだ)」

「(どんなに長くても後6年以内、早かったら今年には破られる。そうなったら人類は終わりだ……)」


「(ローゼはマリアより狭い、例えば今年破られたとしてローゼの探索は3年かからないだろう)ハハハッ……」

「(この推測が当たっているとして、探しているモノの推理と穴を塞ぐ手段の模索。これをどうにか成さないと駄目だ……)」

「(探しているモノ……待て、巨人に消化器官は無いのになぜ食い殺す?どう考えても巨体を使って叩き殺す方が早い)」

「(人間以外には興味を示さない、人間を見つける能力、必要のない捕食……探しているのは人間?)」

「(例えばこの“胃に似た消化能力の無い器官”。これは探している人間を見分けるための器官、とか?)」

「(……この推測は他人に話さない方が良いな。笑い者になるだけならいいけど、悪ければ混乱幇助罪だ……)」


「(穴は……意思を持つ巨人がいるんだ、人間側の巨人がいてあの岩で塞いでくれると嬉しいんだけど……)」

「(……そんな都合のいい憶測じゃ駄目だ、疲れてるのかも。それに南から来るといっても意思があるならその限りじゃない)」

「(トロスト区以外の情報も集める必要があるな……)」

「(この辺はエレンとアニだけに伝えよう、幇助罪は勘弁して欲しいし。どちらにしても……)」

アルミン「人類に残された時間は少ない……」


ガチャ―キイィィィ

ワルイナアルミン、マタセタ
ナニカアタラシクオモイツイタコトアル?
アア、チョウドヨカッタ
ナニカワカッタノカ?
ウン、マズレイノチョウオオガタトヨロイダケド……

―現在公開可能な情報改変点―

・アニとエレンの使う武術は同門同士の対決は禁止とされている。

・ミカサはエレンの姿に既視感を覚えるらしいが、エレンに覚えはない。

・ジャンはエレンとそれほど険悪ではない。死にたい奴は勝手に死ねばいいと思っている。

・ハンジは兵団の資料庫に、捕獲した巨人の実験レポートを提出している。

・申請を出せば訓練兵団もこれを見る事ができるが、利用者は少ない。多くの者が内地を目指して立体起動に専念するためである。

・アルミンはシガンシナ区からの脱出以降、壁の内側を安全圏だと考えたことは一度もない。

・エレンとアニとアルミンは開拓地にいた頃から、超大型と鎧の巨人への対策を何度もシュミレートしている。

・しかし幇助罪を懸念し、他の人に漏らしたことはない。

以上で本日分終了です。あとはキース教官からの評価と卒業やってトロスト区、最後にミカサの話を入れるかも
書き溜めができたら次回は明日の24時前後を予定、日曜には終わると良いなぁ

トロスト区戦はちょびちょび地の文入れてもいいかな?
大筋は決めてるけど、どっちで書こうか悩んでる。続き行きます


―訓練兵団教官室―

キース教官「ふむ……(今期の訓練兵達も明日で卒業か、早いものだ)」

眼鏡教官「どうしたキース、またいつものか?」

キース教官「ああ、何度経験しても教え子を死地に送る事は慣れん。いや……慣れるべきでは無いのだからこれでいいのだろう」

眼鏡教官「実際に部下の死を見てきたお前だからこそ、こうして訓練兵団団長を任されているのだろう」


キース教官「………。最後の面談前に評価資料を見直すとしよう、伝えるべきを忘れて死なれては教官の名折れだ」

眼鏡教官「そうだな、今期は上位陣が粒揃いだ。別の時期に入隊していれば首席だっただろう、しっかり見ておけ」

眼鏡教官「私はそろそろ行こう……憲兵団の連中、卒業前から新人の値踏みをしたいらしい。適当にあしらっておく」スタスタスタ

キース教官「すまんな……さて、と」パラパラパラ

「(首席、ミカサ・アッカーマン。どのような場面でも自らの命を優先する悪癖があるが、それを補って余りある能力)」


「(単独で彼女に並ぶものなど、現在の調査兵団でも数える程だろう)」

「(次席、ライナー・ブラウン。本人の能力も高いが、特筆すべきは扇動能力の高さ)」

「(しかし彼自身の指揮官適性は高くない。自覚もあるようだから指揮能力の高い副官がいればその力を存分に発揮するだろう)」

「(3番、アニ・レオンハート。誰と組んでも一定以上の成果を上げ、突発の事態にも冷静に対処する能力がある)」

「(特にイェーガーと組めばその成果はアッカーマンにも劣らない。点差でブラウンに劣るが実戦で使うならば彼女の方か)」


「(4番、ベルトルト・フーバー。能力は高水準で平均的、特に秀でた個所は無いがこのレベルであればどこでも通用する)」

「(しかし決断を他者に委ねる悪癖がある、能力が指揮官向きなだけにこの悪癖は治すべきだろう)」

「(5番、エレン・イェーガー。才能では他に劣るものの地道な努力で徐々に伸ばしてきた、その伸び代は歴代でも随一だ)」

「(レオンハートやアルレルトと組めば鳴りを潜めるが、少々功を焦る嫌いがあり不安定。この点はよく注意すべきだろう)」

「(6番、ジャン・キルシュタイン。立体起動の扱いに秀でる他、今期一番の指揮官適性を持つ)」


「(他人との軋轢を生みやすいその性格をどうにかすれば、若くして団長に上り詰める事も夢ではないだろう)」

「(7番、マルコ・ボット。常に実戦を見据えた行動を取るため点数は高くないが、その囮技術には目を見張るものがある)」

「(問題は本物の巨人を目の当たりにしたことが無い点か、実戦でも冷静に力を発揮すれば多くの兵を生かすことに繋がるだろう)」

「(8番、コニー・スプリンガー。小回りの利く動きが得意で、巨大樹の森などの乱雑な地形で特に力を発揮する)」

「(ただ、作戦誤認の多さはとてつもなく大きな欠点だろう。これをどうにかしない限り昇進は無い)」


「(9番、サシャ・ブラウス。野性的な危機察知能力の高さは調査兵団のミケ・ザカリアス並み、身体能力も技術も高い)」

「(食糧盗難の罰則さえなければ2~3順位は上がっていただろう)」

「(10番、クリスタ・レンズ。上位9名には能力が一段劣るものの馬の扱いに長け、馬上からの立体起動は素晴らしい)」

「(引っ張るよりも抑え役に回ることが多く副官向き、少々死にたがりの気を見せるのが難点か)」


「ふむ……(他に特筆すべき者がいるとすればアルミン・アルレルト)」

「(自身の身体能力の低さを理解し、斬撃の一切を捨てた囮一点特化)」

「(体力に難はあるが機動力は高い、座学では最早教官にも勝る。作戦立案能力は歴代最高、参謀部への推薦を提案してみるか)」


カッチコッチカッチコッチ……


キース教官「む……そろそろ面談の時間だな、行くとしよう」



―卒業宴会・夜―

ジャン「っしゃあぁぁっっ!!!6番だぜ、6番!!エレンの野郎に劣ってるのは気に食わんがそれでも内地行きは確定だ!!」

マルコ「じ、ジャン。そういうことはあまり大声で言うものじゃないよ……」

ジャン「なぁ~にいい子ちゃんぶってんだよ!お前だって憲兵団志望じゃねーか。いや、エレンぐらいか?」

ジャン「調査兵団志望の頭花畑死にたがり野郎は」ハッハッハッハッ

エレン「コイツ、絶大に酔ってやがる……どんだけ内地に行きたかったんだよ………」ハァ


マルコ「あ、エレンごめんね。ジャンあんまりお酒に強くなくて」

エレン「ああ気にしねーよ、いくら強くても嫌々前に来られたんじゃ迷惑だしな」

ジャン「おうおう、言うじゃねーか。まぁお前も飲めよ!!お前の馬鹿面見るのも後数日ってなると貴重なもんだ!!」ヒャッハー

エレン「ははっ、一杯だけな。俺もお前の馬面見んのが後数回ってなると寂しいもんだ、馬見る度に思い出しそうだがな」ハッハー

ジャン「おまっ、馬面馬面っていつも言うがそんなに馬面か俺……」ドヨーン


エレン「落ち込むのかよっ、面倒臭ぇーなお前!!」

一同「「「ブッハハハハハハッッ」」」

卒業生a「お前らの漫才が見れなくなると思うと寂しーぜ!!!」

卒業生b「そのままコンビ組んで舞台にでも立てよ!巨人共を笑い死なせちまえww」


卒業生c「調査兵団お笑い部隊ってか?ばっかじゃねーのwww」

一同「「「ギャハハハハハハッッ!!」」」



エレン「コイツ等飛ばしすぎだろ……」ハァ

アルミン「お疲れさま」

アニ「全員で騒げるのも最後なんだ。教官から酒の差し入れもあったしな」


エレン「それもそうだけどな、素面であの中にいるのは辛いぞ?お前も行って来いよ」

オイ、マルコガヌギダシタゾ!!
ダレカトメロ!
キャーーーッ!!!  ――ドカッ
oh…  ――バタッ
マルコノムスコガシンダ!!
コノヒトデナシ!
オンナノモクゼンデヌグホウガワルイ!

アニ「……ごめん、無理」

アルミン「確かにアレを素面ではキツイね」

エレン「まぁ今日ぐらいは俺らもブッ潰れるまで飲むか?巨人も少しぐらい空気読むだろ」


アルミン「そうだね。夜間行動できる巨人の例は多くない、人類最強も明日の出発に備えて駐屯してるし」

アニ「そもそもまだ訓練兵の私達がそこまで気を張る事も無いか、飲もう」

エレン「本当の意味での常在戦場も明日からだな」

ミーナ「なぁーに端っこでコソコソやってんのよ!アナタ達も飲みなさい!!」ズイズイ

アニ「ちょっとミーナ酒臭い、ちょっと顔離して」


ミーナ「今日は無礼講よ無礼講!なーんたって教官が酒を置いてったんだからね!!の~み~な~さ~い~」グイグイ

アニ「はぁ、わかった、わかったから押し付けないで。飲むものも飲めないよ」

ミーナ「よぅ~し、それでいい!アニのちょっといいとこ見てみたいー」パンパン

ン?ナンダ?アニガノムノカ?
アノハガネノオンナガ!?
コオリノオンナガ!?
コウテツノショジョガ!?
アイツヨエルノカヨ?
イガイトミダレルカモシンネーゾ


アニ「……ねえミーナ、あの馬鹿共蹴り転がしてからでもいい?」

ナニ!?
ヤバイゾ!!
ソレデモ、ソレデモミーナナラトメテクレル!!

ミーナ「んー?……とくにさしゆるす!!」

アニ「行ってくる」ザッ

カクゴシナ、イノナカミカラッポニシテヤルヨ
ギャー!コイツマジダ!マジデヤルキダ!!
イマケリコロガサレタラゼッタイハク、マジヤバイ
イイカラニゲロッ!!

アルミン「これじゃまるで地獄だ……(いや、僕は知っていた筈だ。酔っ払い共に囲まれることがどれだけ危険な事かを……)」

エレン「アルミン、後ろ」チョイチョイ


アルミン「え?」クルッ

トーマス「お前素面だな?素面なんだろ!?飲んでけ!酒飲んでけっ!!」ガシッ

アルミン「(なんで…僕の体は動かないんだ?)」ゴボゴボゴボッ

エレン「おいトーマス、それヤバくないか?」ドンビキ

トーマス「問題無い」キリッ

アルミン「ゲホッ、ゲホッ!!(なんで……黙って飲まされているんだ?)」


エレン「ちょ、問題無いわけあるか!アルミン大丈夫か?おい、アルミン!」ペチペチ

アルミン「きゅー………。(エレン、アニ。ごめん、僕はもう……)」バタンキュー

エレン「アルミーーーンッッ!!」

トーマス「いぇい!」ドヤッ

アルミンガタオレタゾ!!
オレハアルミンヲキュウゴシツニツレテイク!アイツハマカセタゾ!!
トーマスヲトリオサエロ!アイツハキケンダ!!
コイツ、キコウシュカ!?アレダケノンドイテ、ナンテウゴキシヤガル!!
ミカサ!ソッチニイッタゾ!!
メイワク    ――ドギャッ
ギッ!?     ――バタンッ
oh…
ミカサノケリハダメダロ……
コイツノハニドトツカイモノニナランナ





―トロスト区・壁上―

エレン「昨日は酷い目にあった……」



トーマス「なあエレン、今日起きたらさ、股に感覚がなかったんだけど知らねーか?」

エレン「そのまま壁から落ちちまえ」

トーマス「おい、なんでだよ!!」

サムエル「奇行種トーマスの事は置いといてだな、お前ら何処に行くか決めてるのか?」


コニー「俺は憲兵団だな、せっかく10番内に入ったんだ」

サシャ「私もです、憲兵団の方が美味しいものが食べられるそうですし」ジュルリ

ミーナ「エレンは?いつも言ってた見たいに調査兵団にするの?」

エレン「おう、アニとアルミンもそうだ。俺ら3人には目的と夢があるからな」


サムエル「そういやよく言ってたけど聞いたこと無かったよな、それって―――なッ!?」


超大型「―――――。」


ゴオオオォオォォッッッ!!


エレン「クッ!?(超大型巨人!なんて熱風だ、飛ばされるッッ!!)」

エレン「全員、姿勢制御ッッッ!!!」バシュッ


一同「「「ッッッ!?!」」」バシュッ

エレン「(皆無事……)サムエルッ!!」

サシャ「フッ!!」ダダダッ―――バシュッ

サシャ「サムエール!動かないで下さいよ!?」

サムエル「…………。」


      ドゴオォォォッッ!!!


エレン「壁が……クッ、ミーナ!サシャのフォローについてサムエルを後方に!!残りは超大型を仕留めるぞッッ!!」バシュッ


コニー「おい!エレン!?」

エレン「絶対に逃がすなッッ!!(現状壁を壊せるのはコイツと鎧だけ!アルミンの考察ならコイツは鎧よりも仕留めやすい!!)」

ヒュン――ザッ……

超大型「――――――――。」

エレン「よう、久しぶりだな。そろそろ来る頃だと思ってたぜ、デカブツ」


超大型はゆっくりと視線をこちらに向け、腕を大きく振りかぶった。

エレン「(薙ぎ払いッッ!!)」ダッ

壁から飛び降りた数瞬後、巨大な腕は轟音を立てて壁の上を過剰に削っていく。
見上げると大きく離れた位置にあった物も含めて、固定砲が全て剥ぎ取られていた。

エレン「(狙いは固定砲かッ!)」バシュッ


トリガーを絞り振り切られた腕にアンカーを刺す。
即座にワイヤーを巻き取り巨腕に着地、うなじを狙って駆ける。
それを察した超大型が再度腕を振り回し、宙に放り出された。


アルミン『まず超大型だけど、シガンシナで現れてから扉を破るまでかなりの時間差があったことから動きは他と比べて鈍い筈だ』

エレン「(やはり鈍い!一番注意するのは削ぎ落とす深さッッ!!)」バシュッ


アルミン『だけど超大型は15m級の4倍はある、刀身の半分は埋めないと確実に仕留める事は出来ないだろう』

エレン「(チャンスは1度きり、次は無いものと思えッッ!!)」ヒュンッ

アルミン『まだ問題がある。あの時超大型はいきなり現れて消えた、危険が迫るとあの時と同じように消えると思う』

エレン「(速くッ!深くッ!!確実に仕留めるッッ!!!!)殺ったッッッ!!!」ビュンッ


アルミン『巨人の死体は高温の蒸気となって消滅する。そう熱を放出して消えるんだ』

アルミン『この法則が当てはまるなら、超大型も消えるときには大きさに見合った熱を放出するだろう』

エレン「グッ―――ウオォォォォォォッッッ!!!!(熱風!それは予測済みだ!!!)」ジャキッ

アルミン『これが今ある超大型の情報だ、これ以上はその場で得るしかない』


熱風に皮膚が焼ける、これは事前に予測していた。問題無い。


切っ先が超大型の皮膚に触れ、その感触に仕留めた事を確信する―――が。

   スカッ―――

エレン「なっ!?(この状態から突然消えた!?)クッ!」バシュッ

エレン「(蒸気が邪魔で何も見えないな、何か手がかりぐらい掴めたらよかったが……)」ヒュン――ザッ

コニー「おいエレン、お前アイツ仕留めちまったのか!?」


エレン「いや、逃げられた。あの熱風と共に消える能力、かなり厄介だぞ……」

トーマス「それよりも扉だ!巨人共が入ってくるぞ!!」

先遣隊a「お前たち、こんな所で何をしている!超大型出現時の作戦は既に始まっているぞ!!」

先遣隊b「超大型と対峙した者は報告を忘れるな。復唱はいらん、行けッッ!!」

エレン・トーマス「ハッ!」ザッ

コニー「先遣隊の武運を祈ります!!」ザッ


―トロスト区外縁駐屯兵団本部―

アルミン「そう、仕留めそこなったのか……」ガチャガチャ

エレン「ああ、刃は入っていたが気にも留めず消滅した」ガチャガチャ

アルミン「熱風を放った時点で撤退の準備は完了したと思っていいだろう、コレは厄介だぞ」ヤイバ、イジョウナシ

アルミン「もし穴を塞げても、突然現れて消える超大型と鎧がいる限り安息は無い」ガス、イジョウナシ。ダイジョウブダ


アルミン「巨人たちはもうマリアに用は無いんだ、あらゆる手段を尽くしてローゼに入るつもりだ」ヒュッ――カシャン

アニ「落ち着け、塞げば考える余裕が生まれるだろ。考えるのはまずそこまででいいよ」ヒュッ――カシャン

エレン「アルミン、今は先の事まで考えたら切りがない。一旦切り替えるべきだ」ヒュッ――カシャン

アルミン「あ、ああ……すぅ―――ふぅ。大丈夫、、行こう!」




ジャン「畜生が、なんだってこんな時に……明日から内地だったのによ」トントントントン


エレン「おい、どうしたんだお前ら」

ジャン「どうしたじゃねーよッッ!俺は明日から内地行きだったんだぞッッ!!」ガシッ

ジャン「他の奴等だって思ってるだろーよッ!卒業の翌日に巨人の餌だなんてふざけんなっ、ってなぁッッ!!!」

エレン「落ち着けジャンッ!俺等がやってきた事は巨人殺しの訓練だろうがッッ!!」


エレン「考えるのを止めるな!常に生き残る手段を模索しろッッ!!この3年を遊んで過ごしたわけじゃねーだろッッ!!」

エレン「俺は死なねーぞ、その為に3年間血反吐を吐いてきたんだ」バシッ

エレン「お前らも立てッッ!巨人に一番怯えているのは立ち向かう手段もない一般人だッ!それでも立って走って逃げているッ!」

エレン「それで?巨人殺しの訓練を受けてきたお前らは、立つ事も出来ん腰抜けかッ!?」

エレン「立てねーならそこで、親兄弟が巨人に食われるのを黙って見てろ。家畜共が」ザッザッザッ


ジャン「…………誰もがテメーみてぇに強かねーんだよ、死に急ぎ野郎が。糞っ、おい立てテメー等!」

ジャン「今まで散々馬鹿にしてきた死に急ぎ野郎にあそこまで言われてんだ。行くぞ、家族を守るのはテメ―等だろうが……」


ミカサ「私が後衛部隊ですか?」

駐屯兵a「ああ、キース教官からも推薦が上がっている。私達は一般市民の最後の砦だ、期待しているぞ」

ミカサ「はっ!」ザッ


駐屯兵a「よし、では準備を整えたら私の下へ来い」ザッザッザッ

アニ「ミカサ、アンタ後衛だって?」

ミカサ「聞いてたの?」

アニ「まあね。……中衛は編成に訓練兵が多い。討ち漏らしがかなり出ると思うけど、頼んだよ」


ミカサ「分かってる。私が死なない程度には、奮闘しよう」

アニ「フッ……、頼もしいね」トンッ

ミカサ「私も、アニの事は高く評価してる。恐らくエレンとアナタが組めば私以上に強い」トンッ

アニ「その評価、間違ってない事を示すよ。また後でね」ザッザッザッ



―トロスト区・中衛―

エレン「ようアニ、隣の班はお前のとこか」

アニ「キース教官が口添えでもしたんじゃない?私とアンタのコンビはミカサ以上らしいよ?」

エレン「なんだよそれ、誰が言ってたんだ?」

アニ「ミカサ」


トーマス「おいおいマジかよ、本人のお墨付きだと!?」

ミーナ「そりゃ頼もしいわね」

ナック「俺達も足引っ張らないようにしないとな」

アルミン「アニとエレンをメインに他は索敵や囮が良いと思う。特に索敵は重要だ、森と違って死角が多い」

エレン「そうだな、2班で組めば死角も大分減るだろう。確実に行こう」


観測手「第34班及び35班、前進しろッ!!」

一同「「「了解ッッ!!」」」バシュッ

ミリウス「大分前衛が押し込まれてるな」ヒュンッ

アルミン「元々僕らは一般市民が避難するまでの時間稼ぎだ、穴を塞がないと無尽蔵に巨人は湧く」ヒュンッ


アルミン「巨人を仕留める事より、注意を引いて門に向かわせない事が重要だ」バシュッ

アルミン「通常種は僕らが生きている限りそうそう後ろにはいかない。だから奇行種を優先的に狩っていこう」ヒュンッ

エレン「前方屋根の上1体ッッ!」バシュッ

    ダンッ―――!!

ナック「奇行種だッ!散開しろッッ!!」ギュルンッ

一同「「「ッッ!?」」」バシュッ―ギュルンッ


エレン「アニ、フォロー頼む!他は周囲警戒ッッ!!」バシュッ――ギュルンッ

アニ「私は左から行く、アルミン指揮は頼んだよ」バシュッ――ギュルンッ

アルミン「了解ッ!皆無事かい!?」タッ

ミーナ「トーマスが居ない!――あそこッ!!」


トーマス「あ、あぁあ―――」

奇行種「――ァ――ン。」バクンッ

アルミン「ッ―――まだまる飲みだ、助かる見込みはあるッ!2人に任せて周囲警戒を続けるよ!!」


エレン「(壁にへばり付いてる今がチャンス!)腹は任せたッ!」ギュルンッ

アニ「(動き出す前に足を削ぐ、腹はその後だ)――フッ!」ギュルンッ――ザンッ!


エレン「くたばれッッ!!」ザンッ!!

アニ「(仕留めたな、次は腹)」バシュッ――シャッ!

アニ「(トーマスは……)居た、上がるから警戒をお願い」バシュッ―ヒュンッ

エレン「分かった!」バシュッ――ヒュンッ


アルミン「2人が上がってくる、トーマスも一緒だ。周囲の状況は!?」

ミーナ「2時の方向に15m級1体、大通りには敵影無し!」


ミーナ「2時の方向に15m級1体、大通りには敵影無し!」

ミリウス「10時の方向5m級8m級それぞれ1体!」

アルミン「近づいて来たら報告頼むよ、アニ!トーマスの様子はッ?」

ヒュンッ―――タッ

アニ「気を失ってるけど生きてるよ、でも巨人の体液でどろどろ」ネチャァ


エレン「誰かトーマスを上に持っていく必要があるな。ナック、ミリウス、任せていいか」

ミリウス「任された。ナック背負ってくれ、俺が援護に回る」

ナック「ああ、よいしょっと。……っし、行こう」バシュッ――ヒュンッ

ミリウス「死ぬなよ……」バシュッ――ヒュンッ

エレン「縁起でもない事言いやがって……俺達も行こう」




―トロスト区・後衛―

駐屯兵a「クソッ、速くて追いつけんッッ!!」バシュッ――ギュルンッ


駐屯兵b「文句言ってる暇があったらガスを噴かせろッ!まだ一般人が残ってんだッッ!!」バシュッ――ギュルンッ

ミカサ「―――――ッ!」バッ―――ギュンッ…バシュッ――ギュンッ

駐屯兵a「なんて速さだ、キース教官の推薦状以上の能力だぞ……」バシュッ――ギュルンッ

駐屯兵c「アレが訓練兵団卒業したてとか言われても、誰も信じねーだろうよ!」バシュッ――ギュルンッ


ミカサ「(殺ったッ!)―――フンッ!!」ザンッッ!!


奇行種「――――ンァ。」ドスン

ミカサ「(刃は……まだ使える。)―――え?」チラッ

ザワザワザワ
ガヤガヤ

ミカサ「アナタ達、何してるの?」

商会長「おお!丁度いい、貴様もこいつ等に言ってやれ。門を通すのはこの荷馬車が先だと」


ミカサ「は――?今、兵士が死んでる。アナタ達の避難が終わらないからだ」

商会長「兵士は死んでナンボの商売だろうが、この荷馬車の価値と比べりゃ安いもんだ」

ミカサ「―――。」ザッザッザッ

ミカサ「確かに一般市民の代わりに死ぬのが兵士の仕事だ。でも、兵士1人の育成には最低3年いる」

ミカサ「それがアナタの妙な勘違いから無駄に消耗している。なら、私が原因を排除しよう」チャキッ


商会長「ッ、やってみろ。俺はテメー等んとこのボスにも顔が利くぞッッ!!」

ミカサ「―――首だけになっても喋れるか、試してみる?」



駐屯兵a「よくやった、アッカーマン。もめていたようだが何かあったのか?」


ミカサ「いえ、避難に際し障害が発生したので排除しただけです。問題ありません」

駐屯兵b「(コイツ、涼しい顔で何てこと言いやがる……)」

駐屯兵a「……ならいい、中衛の討ち漏らしを片付けていくぞ」

ミカサ「はっ!」

本日分はこれで終了です。
この辺は原作と殆ど変りませんが、この先はちょくちょく変化が出てくる筈です

―現在公開可能な情報改変点―

・エレンはアニ・アルミン意外と作戦行動を取ると功を焦る事が多々あり、不安定である。

・アニは誰と組んでも一定以上の成果を出すが、エレンと組んだときはその数倍の成果を出す。

・アルミンは斬撃力の一切を捨て、常に囮であることを意識している。そのため、機動力は他の追随を許さない。

・ミカサの目的は何をおいても生き残る事であり、家族を失っている今、自分以外の全てが死に絶えても深く気にすることはない。

遅くなりました、書いてて気づいたけど戦闘描写が鬼難い。全滅end書いた人マジ尊敬する
拙いけど続き行きます


『勝てば生きる、負ければ死ぬ』

『戦わなければ勝てない』

『生きて、アナタだけはどうか』

たった3つの言葉と1つの目的。私の全て、今の私には他に何も無い。
そうなったのは忘れ難いあの日。
家族を失い、一人ぼっちになった日。



―??? 山間部―

『勝てば生きる!負ければ死ぬッ!』

アナタは誰?

『こうすりゃ温かいだろ。ほら、帰ろうぜ』

知っている筈なのに、顔も名前も思い出せないの。


ミカサ「―――っ、ふぁ……」ゴシゴシ

この頃の私は毎日同じ夢を見ていた。とっても寒くて、でも暖かくなる夢。


ミカサ父「おはようミカサ」

ミカサ母「おはよう、まだ眠そうね」クスクス

ミカサ「うん……また夢を見たの」

ミカサ「あの子、誰なんだろう?」

ミカサ母「さぁ誰なんでしょうね、もしかしたら生まれる前の記憶かも」

ミカサ「生まれる前?」


ミカサ母「そうよ、それだけ何度も同じ子の夢を見るのなら……」

ミカサ母「もしかしたらアナタは、その子とまた会うために生まれてきたのかもしれないわね」

ミカサ「会ってみたい!あのね、その子ね、とっても暖かいの!」

ミカサ母「ふふっ。そうね、いつかきっと会えるわ」

そう、いつか会えると信じて生きている。
まだ会えていないけど、あの子もきっと私を探している筈なんだ。


ミカサ父「そろそろ行ってくるよ、夕方までには戻る」スタスタスタ

ミカサ母「いってらっしゃい」

ミカサ「いってらっしゃーい!……お父さん怒ってた?」

ミカサ母「怒ってたわけじゃないわ、きっとミカサが夢の子の話ばかりするから拗ねてたのよ」クスクス

ミカサ「なんで?よくわかんない」

ミカサ母「そうね、もう少し大きくなったらわかるわ。さ、ご飯食べましょう?」

ミカサ「うん!お皿出してくる!」

これがお母さんと食べる最後の食事になった。



お昼になる少し前、それは唐突に現れた。

ミカサ「……?お母さん、今の鉄砲近かったよ」

ミカサ母「おかしいわね、あの人は近くで撃たないようにしてるはずだけど」

銃声はどんどん近づいてきた、そして音が止んだと思うとお父さんが扉を蹴破って叫ぶ。

ミカサ父「巨人だ!3m程度の奴が一体だがこっちにくる!!逃げるぞッ!!」

ミカサ母「っ!?……ミカサ、行くわよ!!」

ミカサ「え、何?巨人?」オロオロ


ミカサ母「いいから走りなさいッッ!!」ダダッ

それがどういう意味かよく分からなかった私は、お母さんに手を引かれるまま走った。

ミカサ父「まだ弾はある、出来るだけ時間を稼ぐから急ぐんだッ!!」

お父さんはそれっきり、もう会う事は無かった。


ドン、ドン、と定期的に聞こえていた銃声が止んだ。
この時、お母さんと繋いだ手が凄く痛かった事を覚えている。

息を切らしながら山を駆け下りて、唐突に体が宙を舞った。

ミカサ「―――痛っ!お母さん、何するのっ!?」ドサッ


斜面を転がり、起き上がって目を向けた先。
お母さんは巨人に腕を掴まれていた。

ミカサ母「逃げなさいミカサッ!!アナタだけでもッ!早く!!」

私の体は動かなかった。
お母さんの頭に巨人がゆっくりと齧り付く。

ミカサ母「イギッ――あぁァ、生きて…アナタだけは……どうか―――」

―――ぐちゃり。



目の前で光がチカチカと弾けた、体は全く動かないのに頭の中では同じ言葉がグルグル回る。
あの子とお母さんが一緒になって頭の中で叫ぶ。

『勝てば生きる、負ければ死ぬ』

『生きて、アナタだけはどうか』

『戦わなければ勝てない』

『生きて……』

『負ければ死ぬ』

『アナタだけは……』

『負ければ死ぬ』

『勝てば生きる』

『戦わなければ……勝てない』



―――カチリと、頭の中で何かが切り替わった。毛先の一本まで意識が浸透する。
巨人が伸ばす手、後ろに跳ぶ、もう少し先に罠、走る、見つけた、留め金を蹴り飛ばす、巨人が転ぶ、勝てないから逃げる。
走る、走る、走る。
生きるのだ、生きてあの子に会うのだ。それだけを心にずっと走った。

お父さんが居なくなって、お母さんが食べられて、私に残ったのはそれだけだった。
お母さんは教えてくれた。あの子といつかきっと会えるって、帰ろうって言ってくれたあの子に会えるって。


私にはもう、帰る場所もないけど。きっとあの子は私に帰る場所をくれるんだ。

『勝てば生きる、負ければ死ぬ』

『戦わなければ勝てない』

『生きて、アナタだけはどうか』

あの子が教えてくれた言葉、お母さんの願い。これだけが私に残された全てだった。

何を利用しても、何を裏切っても生きる。あの子に会える、その日まで……


その後暫くの記憶は無い。気づいたら私の体は違和感だらけになり、初めて会う男が親しげに話しかけてくる。
彼が言うには私と彼らは同郷らしい、適当に合わせておく。


色々と話した結果分かった事は、彼らに私を含めた3人は故郷に帰るために動いているらしい。
もうあの場所には辛い事しかないというのに、なぜ私はそこに参加しているのか。
考える事もあったが、私のやることは変わらない。

生きる、あの子に会う。

ただそれだけだ、彼らが私を味方だと思っている間はそれでいい。
だけど、私の目的だけは誰にも邪魔させない。絶対に……





―850 トロスト区・後衛―

ミカサ「利敵行為は極刑、死ね」ヒュッ


商会長「――ッ!?」

少女「だ、ダメぇぇぇっっっ!!!!」

ミカサ「―――。」ピタッ

首を跳ね飛ばすために振るった刃を少女の声に止める。
一瞬考え、刃の代わりに肘を叩き込んだ。

商会長「グホッ!?―――貴様……」ゲホッゲホッ

ミカサ「まだ意識があるの?沈め」グググッ

商会長「カッ――………。」ドサッ

ミカサ「……アナタ達のボスは巨人を目の前に錯乱した、だから私が意識を断った」ザッザッ


ミカサ「アナタ達はボスに代わって速やかに避難を再開する。違う?」シャキッ

商会員a「ち、違いませんッ!速やかに馬車を引き、避難を再開しますッッ!!!」

ミカサ「そう、急いで」

商会員b「直ちにッッ!!」ダダダッ


ミカサ「さっき叫んだのは……」キョロキョロ

ミカサ「アナタ?」スッ


少女「えっと……はい」

ミカサ「そう……アナタは勇気がある、とても強い。お礼を言わせて貰う、無駄な殺しをする所だった、ありがとう」ニコッ

少女「!…あ、あのっ!私も、ありがとうございましたっ」

ミカサ「うん――頑張って生きて。私はまだだけど、いつかきっと生きててよかったと思える日が来る筈だから」ザッ

少女「はい!私はどんな時も、頑張って生きていきますっ!!」ザッ

ミカサ「さ、行って。ここは私が守るから……」バシュッ


ミカサ「(まだだ、私はまだあの子に会っていない。)フッ!!」ザンッ!!

駐屯兵b「あいつ、これで何体目だ?」タッ

駐屯兵a「討伐8、補佐1だな」タッ

ミカサ「今ので一先ず全部ですか?」ヒュン―トッ

駐屯兵a「ああ、それにそろそろ撤退の合図も……」


リンゴーン、リンゴーン、リンゴーン


駐屯兵a「噂をすればだな、撤退の合図だ。下がるぞ!」


ミカサ「(生き残れた。これでまたあの子を探せる)……了解です」

駐屯兵b「やっと戻れるな、一先ずってだけだろうが……」



エレン「撤退の合図だ。でも変だな、さっきから皆動こうとしない……」

アルミン「補給所に巨人が群がってる。いつからか分からないけど、皆補給を受けれてないから登ろうにも登れないんだ」

ミーナ「あそこ、ライナー達が固まってる!」


アニ「行くよ、上位陣が固まってるなら作戦立案はあそこでするべきだ」バシュッ



アルミン「ライナー!皆ガス切れかい?」

ライナー「アルミンか……アニとエレン、ミーナも。トーマスやナック達はどうした」

アルミン「トーマスが再起不能になったから下がってもらった。それより状況を教えてくれ」

ライナー「ああ、補給所にかなりの数の巨人が群がってる。アレをどうにかしないとガスの少ない俺達もお陀仏だ」


アルミン「補給所の奪還だね、それについては案がある。それよりも問題は鎧の巨人だ、もういつ現れてもおかしくない」

ライナー「……何?どうしてそれが分かる?」

アルミン「何故って、シガンシナ区の時もそうだったじゃないか。あの時は住民の避難が完了した直後に現れた」

ライナー「あ、ああ。そういえばそうだったな」

アルミン「鎧の巨人にも何かしらの出現条件があるんだと思う。その一番の候補がそれだからさ」


ライナー「なるほど一理あるな。だが現れる前にどうこう言っても仕方がない、作戦を教えてくれ」

アルミン「分かった、皆集まって!」


アルミン「まずコレだ。エレンとアニが付けているガス、それともう1人分。ほぼ満タンのガスがある」

ジャン「おい待てテメ―等、なんでそんなにガスがある?しかも予備だと!?」

アルミン「それは……」


アニ「死んだ兵士のガスを回収した。予備のガスもだ」

一同「「「なッ!?!」」」

ジャン「て、テメーッ!!死体から剥いだだと!?」

アニ「それがどういう事かは分かってるよ。だけどねジャン」

アニ「戦場で良識は通用しない。今重要なのは、どうやって生き残るかだ」


ジャン「――――ッッッ!!」ギリッ

ジャン「クソッ…………アルミン、続きを頼む」


アルミン「時間が無い、続けよう。この満タンのガス、全員で分けるには少ないから補給所の奪還は必須だ」

「だからガスは分けない。このガスを使って3人が先行、補給所付近の巨人を引き付ける」

「この3人は道中の巨人は無視して補給所付近の安全を確保してくれ。残りは補給所へ直行する」


「補給所内に着いたら散弾銃を用意、中の巨人の数に合わせて上位陣が1人1体を仕留める」

「上位陣以外はリフトに乗って囮になる、散弾銃は目潰しだ。それを合図に斬りかかってくれ」

「補給が終わったら3人分のガスを建物の屋上に置いて離脱。補給所に入ってからはスピードが命だ、何か質問はある?」

ジャン「……3人だけで引き付ける事ができるか?通常種でも数が多い方に行くだろ」

アルミン「巨人はまず距離で狙いを決める。ある程度距離があれば多い方に行くけど、近ければ少ない方でも追う」


アルミン「奇行種については、コレはもう運次第だ。アイツ等の行動パターンは報告されているだけで30種以上ある」

マルコ「3人に対する合図は?」

アルミン「補給所には信号弾もある、これを脱出口の反対に水平撃ちする。外の兵に誤認させない為と、奇行種対策だ」

アルミン「他に無い?……よし。一番危険な囮だけど、もう決めてある」

アルミン「まずエレンとアニ。それともう1人はライナー、君がベストだ……」

ライナー「待て、上位順ならわかるがベルトルトの代わりにエレンが入ってる理由は?」


アルミン「囮の3人以外も必ず巨人に出くわす。周りのフォローには万能型の遊撃手が必要だ、それをベルトルトにやってもらう」

ライナー「……まあ妥当な判断だな、いいだろう。なに、これだけガスがあれば生き残るのはそう難しくない」

エレン「いつもと同じだ。アルミンの策なら問題無い」

アニ「決めたんならさっさと行かない?ちょっとずつ集まってきてるよ、巨人」

アルミン「良し……総合指揮はジャンに任せる、マルコと僕が補助に回ろう。ベルトルトはさっきも言ったように遊撃だ」

ジャン「俺が隊長ってか?ハハッ、何の冗談だ……」


アルミン「本気だよ、君が一番指揮官として優秀だ。やるべき事を素早く理解し、必要な時に決断を迷わない」

ジャン「おいおい、褒め殺しか?マルコと言いお前と言い、なんだって俺を推すんだか……」パシッ

ジャン「………いいぜ、やってやる」

ジャン「ライナー、エレン、アニ、先行しろ!俺達も直ぐに出るッ!!」

アニ「了解、先行くよ」バシュッ


ライナー「最善を尽くそう」バシュッ

エレン「後は任せたぜ、ジャン」バシュッ

ジャン「……っし。行くぞテメー等、戦闘準備ッ!あの3人が命懸けで囮やってくれんだ、俺等が動かねーでどうするッッ!!!」

一同「「「ウ…ォォ……ウオオオォォォォォッッッ!!!!」」」


巨人「―マァ―――。」キョロキョロ

エレン「ッラアァァッッ!!」ザンッ!


ライナー「おいエレン!刃の消耗は極力抑えろ!!いつでも補給できる物じゃないんだッ!!」バッ――ギュルンッ

アニ「道中のは無理に殺る必要ないよ、補給所付近で嫌って程やれるんだから落ち着きな」ギュルンッ――バシュッ

エレン「っ――悪い、気を付ける……」バシュッ――ギュンッ

ライナー「お前腕はいいんだから、頭に血が上りやすいのはどうにかしろよ……」タッ―ダダダダッ

アニ「言って聞かせるよりこっちが合わせる方が簡単だよ、ライナー」ダダダッ―タンッ


エレン「2人してなんだよ、これでも大分マシになったんだぞ」バッ――ギュンッ

アニ「そうだね。2体殺っただけで刃駄目にしてたし」ギュルンッ――ヒュッ

ライナー「よし、射程に入ったな。ここからが本番だ、気を引き締めろッッ!!」ダンッ――ギュルンッ

エレン「了解!行くぞ、アニ!!」ギュンッ

アニ「ああ、さっさと釣ってしまおう」バシュッ



補給所に飛び込んだのを見送って約15分、驚異的なスピードで作業は行われたのだろう。
地面に平行に放たれた信号弾の反対側から次々と飛び出す姿が見える。

エレン「合図だ、補給所まで急ごう!!」バシュッ――ギュンッ

アニ「何とか3人共助かりそうだね」バシュッ――ギュンッ

誘導しつつ隙を見て巨人を倒すのはもう十分だろう、補給所への経路をいくつか思い浮かべたその時だった。


ライナー「ああ、ガスにもまだ余裕が―――グッ!?」バシュッ

十分に距離が開いていると思っていた5m級が、驚異的な跳躍力でライナーの足に食らいつく。

ライナー「ウオォォォッッ!!!」ブンッ――ザシュッ

素早く身を翻したライナーは足に食らいつく巨人の顔を切り裂き、転がるように屋根へ着地した。

エレン「ライナー!無事か!?」


ライナー「ッ――駄目だ足をやられた。俺は置いていけ……、俺を背負って飛べば揃ってお陀仏だぞ」

エレン「おいライナー!何諦めてんだッ!!」

ライナー「さっさと行け!囮は引き受けるッッ!!……ベルトルトにはよろしく言っておいてくれ」

ライナーはここで死ぬ覚悟を決めたのだ。
俺達を生かすために。


エレン「ッッッ……アニッ!行くぞ!!ライナー、殿は任せた!!!俺達の命はお前の働きに預けるッッ!!!」ザッ――バシュッ

精一杯の感謝を込めて声を張り上げる。

アニ「ライナー……アンタは今日、私達の命を救った。この事は忘れないよ」ザッ――バシュッ

アニは静かに、最大限の敬意を込めて敬礼した。
受け取った時間は無駄にできない。


ライナー「ハハッ、信頼ってのは重てぇなぁ……重てぇよ。覚悟が揺らいじまうだろうが……それでも」

ライナー「俺は俺の戦士としての務めを果たすッッ!!」



   ガシャンッ―――

アルミン「クゥッ――ジャン!何人着いた!?」ダッ

ジャン「お前で22人、中に残ってた奴含めて35人だ!!銃は用意してある、やるか!?」

アルミン「ああッ!巨人の数は!?」

サシャ「3~5m級が7体です!」

ジャン「俺、サシャ、マルコ、コニー、ベルトルト、後はミーナとフランツが斬撃担当だ、アルミンはリフトの指揮を任せるッ!」

アルミン「了解ッ!!」ダダダッ



アルミン「よし数は増えてない、続行するよ」

   ガラガラガラ―――ガシャン

巨人「――――ニタァ。」グルンッ

ハンナ「………ヒッ!?」ガタガタガタ

アルミン「まだだ、まだ撃っちゃ駄目だ……」ジッ

巨人「――――。」ズンズンズン

アルミン「――――っ、てェッッ!!!」

一同「「「ッッ!!」」」ズガガガガンッ

ジャン「今だッッ!!」ダッ――ザンッ!!


ベルトルト「ッ!」ダッ――ザンッ!!

コニー「殺ったッッ!」ザンッ!!

サシャ「他はッ!?」ザンッ!!

ミーナ「あ……あぁあぁぁ―――」ドスッ

フランツ「あっ!?」ザシュッ

ハンナ「フランツッッ!!」

アルミン「ジャン!ベルトルト!!」


ミーナ「ウアァァァァァッッッ!!!!」ブンッ―――ザシュッ!!

恐怖をかき消すために叫ぶ、少しでも時間稼ぎをと刃を全力で振り飛ばす。


巨人「―――ッ―――。」オロオロ

投げつけた刃は巨人の顔を潰し、怯ませた。

ジャン「(目を潰したかッ)ナイスだミーナ!下がれッッ!!」ダッ――ザンッ!!

アルミン「ベルトルトッ!急いでッッ!!」

フランツ「ダアァァッッ!!!」ブシュッ!!

刃を握りしめ、全力で突き出す。
屈みこんできた巨人の目を狙った刃は、直前に開かれた口の中に狙いを外された。


巨人「――ングッ―――。」ブチュッ

後頭部から抜ける刃も気にせずに巨人が腕を咀嚼する。

フランツ「ギ――アアァァッッ!?!」

ベルトルト「クッ!!」ザンッ!!

ジャン「ハンナ、フランツの応急処置!他はガスの補充を急げッッ!!」

ハンナ「フランツ、フランツ!しっかりして!!生きてるわ、アナタは生きてるっ!!」グルグル――ギュッ


フランツ「グッ、ウゥゥ……腕、、腕がぁぁ……」

アルミン「君達のガスだ!さあ立って!!」



ジャン「さあ、脱出だッ!行け行けッッ!!ハハッ!俺は生きてるぞッッ!!!」バシュッ――ギュンッ

訓練兵a「これで生き残れるッ!」バシュッ


訓練兵b「急げ急げ!エレン達も直ぐに来るぞ!!」バシュッ

ベルトルト「(ライナー、、、)…………。」バシュッ

アルミン「次は穴か……鎧もまだ――――ッッ!?!」

  カッ―――、ズズンッ―――!!!

ジャン「おい、なんだ今の揺れ―――鎧の巨人ッッ!?」ザッ

今夜はここまでです。ヤバイ、今度から戦闘とか無い奴書くようにしよう
次で最後になる予定なのでちょっと遅くなるかもしれません

こんな時間だけど見てる人いる?完結まで行ったから人がいるなら投下する

おし、投下するよ!



アルミン「(鎧に向かったのが2人だけ?ライナーはやられたのか?)ジャン、壁に上るのは後だ。2人のフォローに回ろう」ギュンッ

ジャン「ああ!?どうやってだよッ!アイツにゃ大砲も効かないらしいじゃねぇか!!刃なんぞ簡単に折れちまうぞ!!」ギュンッ

アルミン「僕達はシガンシナからずっと対策を考えてきた」バシュッ

アルミン「攻撃は2人に任せる。僕らのやることは2人に他の巨人を近づけさせない事だ!!」

ジャン「チッ、ここでやらなきゃどうせお陀仏かッッ!……ベルトルト!本部への連絡を頼むッ!!」


ジャン「下っ端は押しのけて指令に直接言って来い!内容は鎧の巨人出現交戦中、救援求む。だッ!!」

ジャン「マルコ、お前は何人か連れ戻して来いッ!!サシャとコニーはアルミンに続けッッ!!!」



エレン「鎧の巨人ッッ!!」バッ

アニ「ライナーがいた場所のすぐ傍だった」ザッ――カシャンッ

エレン「ガスは交換は出来たな?行こう、ずっと対策は考え続けてきたんだ。アイツを殺れば一先ず安全だ」バシュッ――ギュンッ


アニ「ああ……冷静に、静かに、機械的に削り落として、藁のように死なせよう」バシュッ―――ギュンッ

エレン「何だ?アイツ……」タンッ――ダダダッ

アニ「走らないね、門を探しているのか?」ダダダッ

エレン「何にしても丁度良い、俺達に背を向けてくれている」ダンッ――パシュッ

アニ「焦るな、正確に狙わないと一瞬であの世行きだよ」ギュルンッ

エレン「分かってる。死ぬなよ、アニ」ギュンッ


アニ「エレンこそ」パシュッ


アルミン『これを見てくれ、ハンネスさん達生き残った兵士から貰った情報を基に描いた鎧の巨人の姿だ。正確性は高い』

『鎧も全身が硬い筈はないってずっと思ってたんだけど、この絵を再現していく中でそれは確信に変わった』

『一番目立つのここだ、こういった間接の内側の部分。硬い表皮の間に柔らかい部分がある』

『もし全身が硬く、それでいて柔軟性も持つのならこんな隙間は必要ない。この部分は普通の巨人と同程度の硬さだろう』


『ただ、このようにうなじは常に守られている。弱点を一撃で、とはいかない』

『だから動きを止めて消耗させる』

『巨人の持久力は再生過程で大きく削られる。再生の余力が無くなるまで削り続けたら、硬い表皮が剥がれる可能性がある』

『いや、そう思う理由はちゃんとあるんだ。この巨人は文字通り鎧を纏っている、最初から硬いわけじゃない』

『つまり通常種に再生という特殊能力があるように、鎧には加えて表皮を硬化させる特殊能力があると考えられる』

『巨人の再生力は有限だ、硬化能力も有限である可能性が高い』


『余力が無くなれば弱点に硬化能力を集中させるために他の箇所の硬化を解くだろう。後は繰り返しだ、弱点を晒すまで削る』

『これで倒せないなら、もう大砲や刃の性能を上げるしか無い。うん……実質、人類では鎧の巨人を倒せないって事になる』


エレン「(よし、射程内に入った!周りに巨人もいない、チャンスッ!!)」クイッ、バシュッ――ギュンッ

アニ「(私は左足か……)」コクン、――ギュルンッ

鎧の巨人はまだ2人に気付く様子は無い、言葉のやり取りも無く加速した。


ワイヤーを交差させ、一歩間違えれば衝突する軌道で2人は宙を駆ける。
お互いに衝突の心配もせず疾駆、身動ぎ1つで触れてしまう距離で交差し、斬撃を繰り出す。

アニ「(硬度に問題は無いね、アルミンの予想通りだ。続行しよう)」

エレン「(ああッ!隙間全部削り落としてやるッッ!!)」

何年も寝食を共にして格闘術を、巨人殺しの技術を研鑽してきた2人に言葉は必要ない。
目線1つでお互いを理解し、無様に倒れた鎧の巨人を削り取る。


腕を突いて立とうとすればエレンが肘窩を削ぎ、足が再生したと思えば間髪入れずにアニが削ぎ落とす。
刃を変え、位置を変え、同時に、交互に、隙間という隙間を正確に、深く抉り取る。


ジャン「マジかよ、アイツ等。あんなに動けんのか……」タンッ

アルミン「2人いればミカサ以上ってのは伊達じゃないね。ジャン、次はアレを釣ってくるから頼んだよ」バシュッ

ジャン「おうッ!鎧の奴手も足も出ねぇみたいだからな、俺らが近づかせなきゃ問題ねぇッ!!」ダッ

アルミン「(本当にそうだろうか、意思を持つ巨人がこうも容易くやられるものか?嫌な予感がする……)」ギュンッ

一瞬振り返った先では鎧の巨人の硬い表皮が、足元からバラバラと崩れ落ちていた。


表皮の崩壊は止まらず、ついに残すはうなじだけとなる。
その状況に違和感を覚え、アルミンは足を止めた。

アルミン「(まて、何で足元からなんだ?本当に切羽詰ったなら、たいしてダメージにならない腹か背中からにする筈)」タンッ

ジャン「おい、どうしたアルミン!!何かあったのかッ!?サシャとコニーはアレを殺って来い!」タンッ

コニー「おうッ!」バシュッ

サシャ「任されましたッ!!」ギュルンッ

アルミン「(逃走するにも、壁を壊すにも足は必要じゃないか。なら、アレの意味する所は……!?)」


見つめる先ではエレンが弱点に迫り、今にも斬撃を繰り出そうとする瞬間だった。

アルミン「エレン!それは罠だッッ!!下がれええぇぇぇッッッッ!!!!!」



エレン「(鎧が崩れていく……弱点を晒した時がお前の最後だッ!)――ッラアアァァァッッ!!!」

崩れ落ちてくる破片を無視し、鎧の巨人の上体を抉りながら駆け昇る。
アニは何十回目かの膝裏を抉り、体勢を整えた所だった。

アニ「(……いける?)―――!?エレンッッ下がってッッッ!!!」


鎧の巨人が今までの鈍さを感じさせないスピードで体を捻る。
迫り来る腕、最早躱せる距離ではない。

エレン「(再生箇所の取捨選択!?躱しきれないッッ)――ゴフッ!!」

弾かれる、まるで鬱陶しい虫を払うかのように容易く。
今までの嬲られ様は何だったのかと思えるほどに、それは容易く行われた。

アニ「(弾かれただけ、まだ生きてる。だから冷静になれ、心凍らせろ、私の役目はコイツを死なせる事だ)――フッ!!」


一瞬の停滞、そして弾かれるように足を削る。
再生箇所を取捨選択できるとわかった時点で、ここ以外を狙う余裕が無くなったのだ。
削る、抉る、削る……その速度は変わらず、より正確に、深く、削ぎ落とし続ける。

死なせるのだ、藁のように……。
お前など道端に転がる石ほども価値が無い、苦しむ事も考える事も許さない。藁のように死ね。
削る、抉る、削る、抉る、削る、抉る。

一瞬前よりも的確に、一瞬前よりも正確に、今までよりもさらに機械的に。
ほら早く、お前に殺された奴らが手招きしているぞ。早く来い、こっちに来い、死んでなお地獄を見せてやると。

だから……


アニ「死ね。」

再生が終わった瞬間に刃を振り抜く。

カキン――

そんな音と共に、あっけなく刃が折れた。

アニ「(やられたッ、こんな単純な手にッッ)――ッ」


肉を最初から硬化させて再生したのだ。
今までは再生が始まったらすぐに抉っていたのを、持久力を削ぐために再生が終わってから抉ろうとしたのが間違いだった。
素早く身を翻し、アンカーの射出体勢に入る、鎧の腕はもうすぐそばまで迫っていた。

アニ「あ――(間に合わない。ごめんね、エレン……)」


鎧の指が頭に触れる、その直前だった。

巨人「グルルオオォォォォアアアァァァ!!!!」


新たに現れた巨人が鎧の腕を取る。流れるような動作で鎧の肩を破壊し、そのまま地面に叩きつけた。

アニ「え――?」

硬直した鎧を、巨人は扉から引き離すように投げ飛ばす。
先ほどの固め技、そして今の投げ、アニには覚えがあった。

アニ「エ……エレン?」ズキズキ




知っている。私はこの光景を、この状況を知っている。

グリシャ『アニ、君も手を出しなさい』

そうだ、グリシャお父さん。グリシャお父さんが何かを言っていた。

グリシャ『エレンだけでは届かないかもしれないのだ』

何にだった?何に届かないのだった?頭が痛い。

グリシャ『だが、君と共になら……力の使い方は彼等の記憶が教えてくれる、心をしっかりと保つのだ』

―――こころ?そうだ、お父さん……


アニ父『いいかアニ、武術とはまず己の心を支配する事から始まる』

アニ父『怒り、悲しみ、恐怖。武を学ぶ上で必ず相対する心の病だ』

巨人が憎い、殺す事しか選択でき無かった弱い自分が憎い。
お父さんとの思い出が武術ばかりなのがちょっと悲しい、エレンが私を一度も責めないのが悲しい。
エレンやアルミンを失うのが怖い、何も残せずに死ぬのが怖い。

アニ父『だがそれらを捨てるのは駄目だ。怒りも悲しみも恐怖も、全てを支配し己の糧にしろ』

でも心を氷のように冷たくしないと、きっと感情が溢れ出てしまう。
だから私はあの日に決めたのだ。巨人を死滅させるまで心を凍らせよう、機械のように心揺らすことなく戦おうって。


アニ父『まあ確かにお前はちょっと感情的な所があるからな。でも覚えておけ』

アニ父『心を支配し己の奥深く……最も大切な場所に置いた時、お前はもっともっと強くなれる』

アニ父『なんたって、俺と母さんの子供だからな』

うん……うん。
強くなるよ、お父さん。誰よりも、ずっとずっと、だから……


だから私にエレンを守る力をちょうだい……。


アニ「(意識を強く持て、心を燃やせ、今までの氷は全部頭に入れて)ハッ――ハッ――ハッ―――」

アニ「(力を、心を支配しろ。頭はクールに、体はホットに……。私やるよ、お父さん)――――フゥ――フゥ……」

アニ「(噛み千切るッッ!!!)―――ガリッ!!」




痛い、全身が震えて焼けるように痛む。
指一本動かすだけでガンガンと全身が警告を鳴らす。
俺はどうなったんだっけ?

エレン「ぐっ……(そうだ、鎧の奴に弾き飛ばされて……虫の息とは言えよく生きてるな、俺)」

遠くにアニが飛び回る姿が見えた、まだ彼女は戦っているのだ。

エレン「クソッ!!痛ッッ……(動け、動けよ俺の体。なんでアニ一人に戦わせてんだッッ!!)」


あの日あの時、アニ一人に決断させた時に決めたのだ。
昔みたいに不器用で無愛想だけど優しいアニに戻れるように、俺がアニを守るって。

エレン「ま…けてねぇ……俺は、、まだ死んでないッッ!!」

   ドクン―――

心臓が跳ね上がる、頭がズキズキと痛む。
コレは……父さんの事を思い出そうとした時の……

グリシャ『人類は辿り着かなければならない、力の使い方は彼等の記憶が教えてくれる。心を強く保てッッ!!』


力……そうだ、力だ。
アニ、アニを助ける力が欲しい。巨人は駆逐する、でもその後にアニが居ないのは絶対に認めない。
心を強く……。それはアニが教えてくれた、武術の基礎。

アレがあるから、俺はどれだけ熱くなっても頭の隅に冷静な自分が置ける。
アレのおかげで何度命拾いしたか。
大丈夫だ、やれる。

力に手を伸ばせ、俺ならやれる。
アニを守るんだ。負ければ死ぬ、勝てば生きる、戦わなければ勝てない!アニは死なせないッッ!!





アルミン「(ッッ――エレン……)ジャン!アニ1人じゃそう長くは持たないッ!誰か1人向かわせてくれッッ!!」

ジャン「―――ッ、おうッッ!!マルコ、この場の指揮は任せた!俺が行くッッ!!」

僅かな迷いの後、素早く判断を下したジャンが返事も聞かず走り出そうとした直後だった。

巨人「ウオォオオオォォオォォォッッッ!!!!!」

エレンが墜落した付近に巨人が出現し、間も置かずに駆けだした。
鎧が伸ばした腕、おそらくアニを掴もうとした手を取り、叩きつける。
ダメージに硬直した鎧を、アニから遠ざけるように投げ飛ばした。


ジャン「な、なんだ……ありゃ。なんで巨人があんな所から現れて、鎧の奴をブッ飛ばす?」

アルミン「(今の技は――)分からない……けどチャンスだ。アイツはアニに構わず鎧を狙ってる、利用しない手は無い」

今の技をアルミンは知っていた、もう何年も彼等の闘いを見てきたのだ。
癖一つの見分けもつく、見間違えるはずがなかった。

ジャン「なんか知ってるって顔だな、まあいい。あの2体に巨人を近づけない、それでいいんだな?」

アルミン「うん、それでいい。今の所は……だけど」


ジャン「了解。……で、何を知ってるんだ?」

アルミン「ハハハッ、突拍子が無いし根拠も僕の記憶だけだ。後にしてくれると嬉しいね」

ジャン「ケッ、ちゃんと説明するまで死ぬな――――ッッッ!?次から次になんなんだ一体ッ!?!」

先ほどまでアニが張り付いていた建物が崩れる、そこには初めて見る女姿の巨人が現れていた。

アルミン「さっきまでアニが居た場所に女型の巨人?ハッ、ハハハハハッ!!!!」

ジャン「おいどうしたアルミンッ!アニが巨人に潰されておかしくなったかッッ!?」


女型の巨人が踊る、誰が見てもそれは奇行種としか言えない行動だった。
綺麗な足捌きで円を描き、腕を振り、奇妙な構えを取り、腕を合わせて、振り向く。
その一連の動作は、先の巨人が見せた技と同様、アルミンが何年も見続けた儀式だった。

アルミン「おかしくなったって!?違うよ!女型のあの踊り、アレはワイクルー・ラーム・ムエって言う儀式だ!!」

ジャン「ハァ!?だからどうしたってんだよ思考能力を持った巨人が増えただけじゃねぇかッッ!!」


アルミン「あの儀式を知ってるのはもうこの世に3人しかいない!僕とエレンと、アニだけなんだ!!」

アルミン「つまり、理由は分からないけど女型はアニで、さっき鎧を投げ飛ばした巨人はエレンだ」

ジャン「………良し、それが事実だと前提で動いてやる。それで、鎧に勝てるのか?」

アルミン「アニとエレンの対人格闘の成績は知ってるだろ?あれは殺さないように加減してる。今は加減の必要が無い」

ジャン「ハハッ、そりゃ怖えぇな……全員聞けッ!あの3体に他の巨人共を近づけるなッッ!!」


ジャン「鎧と戦ってる2体は見ての通り巨人を狙う奇行種だ、しかも2体の間で仲間意識もあるらしい!」

ジャン「アニもエレンもやられちまった今、あの2体に鎧をぶっ殺させるしかねぇッ!」

ジャン「あの3体なら鎧以外は俺等でも倒せない事は無いからな!鎧を始末してくれるまでは援護するぞッッ!!!」




その時、意識を飛ばしかけたエレンの目に映ったのは何年も見続けたアニのワイクルーだった。
鎧を挟んだ先にいるそれは、姿形だけ取れば女型の巨人である。だがその動き、癖は見間違いようも無い。
意識が急速に戻り、視界もはっきりする。


エレンもまた返礼として、鎧の巨人を挟むようにワイクルー・ラーム・ムエを行う。
その動作は僅かな癖により小さな差があるとはいえ、2体の巨人の型は同一だった。

2体の間で確かな意識のやり取りが行われた、それは同門同士の対決禁止。

ワイクルー・ラーム・ムエが終わる、2体の巨人は既に完全に意識を取り戻していた。
お互い自分がどのような姿であるのかも理解し、構える。
鎧の巨人も2体の構えに反応し、2体の正体を探るのを止めて闘いに意識を向けた。


エレン「グオアアアァァァァアアアアッッッ!!!」

大きく吠える。
構えは崩さずに踏み込み、鎧で覆われた上腕を肘で撃つ。
反応すら許さず行われた一撃は自らも壊しながら、硬化した表皮の上から腕を叩き抉った。

鎧の巨人「ガアアァァァァァアアアアッッ!!!」

しかし鎧は怯まない。そのまま体当たりを仕掛け、硬直したエレンを押し倒す。


馬乗りの状態から無事な腕を振り下し顔を破砕するのと、エレンの足が体に巻きつくのはほぼ同時だった。
顔を抉られたエレンは鎧の巨人に足を巻きつけた状態で固まる、鎧が無理やり振りほどく前に追撃は来た。

アニ「キイィイィアアァアァァアアアッッ!!」

絶叫と共に疾駆。
足を振り上げると同時に左手を使い鎧の頭を固定、無意識に硬化させた膝が首を撃つ。
音が響いた。
それは超大型が扉を蹴破った音に勝るとも劣らない破砕音。


巨人化し硬化能力を備えたアニの全力の蹴りは、鎧で覆われた首を千切り抉ったのだ。
鎧の巨人が沈む、再生を終えたエレンが巻き付けた足で引きずり倒し、アニに受け渡した。
アニの足は先の蹴りで完全に粉砕してしまっている、だが鎧はまだ生きているのだ。

理解したアニは頭の再生を急ぐ鎧を抱え、狙いやすくする。
再びエレンの肘が撃ち出される。
その一撃は鋭く、千切られ硬化していない肉を表に見せたくびから、うなじを一息に抉り取った。


その一撃は鋭く、千切られ硬化していない肉を表に見せた首から、うなじを一息に抉り取った。

アニが鎧を離して再生を終えた体で一歩下がり、構える。
エレンもそれに合わせ、鎧を挟んだ位置で構える。
お互いに目線は鎧の巨人から離さない。抉ったうなじと体、その2つが蒸発しきるまで油断する気は一切無い。

やがて鎧の巨人は蒸気だけを残して消滅する、それと同時に2体は倒れ込みうなじから2人が現れた。

エレン「ハァッ、ハァッ―――終わった、のか?」

アニ「フゥッ、フゥッ――コイツは、仕留めたね。いい肘だった……フフッ」

いつもの様に心を氷で覆った冷たい笑いではない、幼い頃はいつも見れた顔。

それは何年かぶりのアニの笑顔だった。





巨人「――――ァ。」ズシン…

ジャン「ハッ、ハッ、ハッ――もう刃が持たねぇぞ!!」

アルミン「鎧が倒れた!2人は完全に蒸発するまで待つつもりだ!!」

ジャン「弱点抉ってまだ復活するって?なんの悪い冗談だ。ある程度距離を取って様子を見るぞ、撤退だ……」

アルミン「うん、それでいいと思う。皆下がろうッッ!!」


???「おいガキ共ちょっと待て、誰か状況説明しろ」

アルミン「え?っっ、はいッ!!」ザッ



アニ「立体起動装置が無事でよかった、これで上がれるね」バシュッ

エレン「俺のはぶっ壊れたけどな、アニに背負って貰うのは変な感じがする」ダキッ

アニ「ま、使うなら扱いに慣れた奴が良いしね。私の装置なら私が使うべきさ」タンッ


エレン「それは分かってるけどな。お?アルミン達がこっちに来てるな、先頭は……誰だ?」

  ヒュンッ――――ザッ

リヴァイ「おいテメ―等、ウチの団長がお呼びだ。黙ってついてこい」

アニ・エレン「「(人類最強ッ!?どうしてここに……)ハッ!!」」ザッ




その後、2人から巨人化能力を聞いたエルヴィン・スミスはアルミンから先に提案された作戦をドット・ピクシス司令に上申。
作戦は採用され、2人の巨人化能力で大岩を運び穴を塞ぐ事となった。
調査兵団の精鋭達の支援の下行われた作戦は、想定された死者の数を大幅に下回ったがそれでも傷は大きかった。


無数の死者が出た中、104期生の上位陣もまた10名の内2名を失った。
穴の封鎖作戦の最中にジャンを庇って戦死したマルコ・ボット。
そしてアニとエレンを生かす為に片足が使えないまま囮となり、死体も発見されなかったライナー・ブラウンである。

特に同郷であり親友であったベルトルトの悲しみは深く、暫くは意思の疎通も困難なほどであった。
しかし療養中に見舞いに行ったエレンの言葉に奮起。現在では復帰し、調査兵団へと所属を決めた。
生き残った上位10名の内、調査兵団を志望しなかったのはミカサ1人。

ミカサは随分と前から探し人をしており、その相手を見つける為には死亡率の高い調査兵団は駄目らしい。
迷い無く立ち去る姿を振り返ったベルトルトの表情は酷く歪んでいて、まだ完全にライナーの死から立ち直れていない事が伺えた。



俺とアニは調査兵団の預かりとなった。
2人を同じ場所に置く事は賛否が分かれたが、アルミンの私情を抜いた説明により、一先ずは同じ場所に置かれる事となったのだ。
まあ実際の所、俺とアニが巨人化した時に対処できるのが調査兵団しか無いというのも理由だろう。

今回の戦いで失ったモノは大きいが、得たモノもまた大きかった。
ライナーに繋がれた命を無駄にしない為にも、俺達はまだ戦い続けるのだ。



おわり

ミカサが原作からしてマジチートさんだから幼馴染の性能を軒並み上昇させたんだけど
エレンがエレンさんになってたのと、ちょっと駆け足過ぎたのは反省。

今度はアニとエレンが結ばれた後の話を書く番だ

あと原作√は原作が手元に無い時に書き始めるものじゃないね!思い出すのに苦労した
原作との性能差(※あくまでもイメージです)

  ミカサ
格闘術  5→7
立体起動6→7
斬撃 6→7
馬術 5→5
座学 5→5

  アニ
格闘術 5→7
立体起動4→5
斬撃 5→6
馬術 3→3
座学 3→4

  エレン
格闘術 4→6
立体起動3→4
斬撃 3→4
馬術 3→3
座学 2→3

  アルミン
格闘術 1→2
立体起動2→4
斬撃 2→1
馬術 2→4
座学 6→8


>>315
エレン「アニ可愛い」ボソッ アニ「っ!?」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1367380817/l50)
これで我慢して、次書くならミカサだし


乙おつ!
やっぱ>>1のアニとエレン良いな。
いつか続きやる予定ある?

>>318
原作がもう少し進んで、猿とかユミルとか同郷組の詳しい設定が出たらやるかも。
その頃にはアニメ熱も冷めて進撃ssも下火になってるだろうけど

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