ミカサ「あの何でもない日々」(57)
ーーーシガンシナ区 夜
アルミン「うーん...これもだめか...」
アルミン「よし!もういっかい...あれ?もう材料が残ってないや...」
ガチャ...
おじいさん「こら!いつまで起きとるか!」
アルミン「わぁっ!ごめんなさい!すぐに寝るから」ドタバタ
おじいさん「ランプを消してはやく寝なさい。ん?何を作っとるんじゃ?」
アルミン「あ...いや...アハハ...これは遊び道具だよ」
おじいさん「うーむ...熱中する事も悪くはないが夜更かしは禁物じゃぞ」
アルミン「はい...」
スタスタ...バタン
おじいさん「...随分、懐かしい物を作っておる」ボソッ
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーーーーー朝
エレン「朝から水汲みも楽じゃねぇな...」ガラガラガラ...ジャバ...
タッタッタッ...
アルミン「おーい!エレン!」
エレン「アルミン!?どうしたんだ?そんなに慌てて」
アルミン「もうすぐ出来そうなんだ!羽の角度が違ってたみたいで今からもう一度削りだそうと...」
エレン「本当か!?いつ思いついたんだよ?」
アルミン「今朝だよ!今朝!突然ひらめいたんだ!」
エレン「よし!さっそく材料を採りに行こうぜ!ちょっと待っててくれ!鋸持って来る!」
アルミン「うん!」
タッタッタッ...
エレン「持って来た!アルミン行こうぜ!」
ミカサ「エレン。どこに行くの?」
エレン「!!」ビクッ!!
エレン「何だよ...いるならいるって言えよ」アセアセ...
アルミン「おはようミカサ」ニコッ
ミカサ「おはようアルミン」ニコッ
ミカサ「エレン...水汲みは終わったの?」ジロッ
エレン「いや、まだ途中だ...そうだミカサ!俺が汲み上げるからこれ台所の水瓶まで運んどいてくれ!」
ミカサ「それはエレンの仕事でしょう?台所が片付かなくてカルラおばさんが困ってる」
エレン「俺は大事な用事が出来たんだ!頼む!」
ミカサ「またそうやって家事をサボろうとする。だからカルラおばさんに」
エレン「お前は俺の母さんかよ!...とにかく急ぐんだ!」ポイッ...ガラガラガラ...
エレン「これ、まかせたからな!」ジャバ...ドンッ!
ミカサ「ちょっと...」
エレン「行こうぜ!アルミン」パシッ...ダッ!
アルミン「ちょっとエレン...水汲みはいいのかい?」キョロキョロ..アセアセ..
ミカサ「...」ハァ...
アルミン「...ごめんねミカサ。森に行くから後から来てよ...本当にごめんね」
ミカサ「わかった」ショボン
エレン「アルミーン!早く来いよー!」
アルミン「待ってよー!エレン!」
タッタッタッ...
ーーーーー
ーーー
ーー
アルミン「もう...水汲みミカサに押しつけちゃダメだよ。かわいそうじゃないか」
エレン「大丈夫だって。ミカサは家族なんだしさ...それよりこの前、もっと切り出しとくんだったな」
アルミン「軽い素材がいいからね。あれがいちばん良かったから」
アルミン「ねぇエレン。そろそろミカサに教えてあげてもいいんじゃない?」
エレン「は?まだだよ。実際に飛ばしてからだ。目の前で失敗したらカッコ悪いだろ?」
アルミン「フフフッ...エレンもそんな事気にするの?」ニコニコ
エレン「な...なんだよ/// 気にしちゃ悪いかよ//」
アルミン「悪い事じゃないさ」アハハ
エレン「からかうんじゃねぇよ//」
アルミン「でも本当に飛ばせたらびっくりすると思うよ」
エレン「そうだな。だからミカサには秘密してあるんだ」
ザッザッ...
アルミン「確か...こっちだったよね?」
エレン「そのはずだけどな...道間違えたかな?」キョロキョロ
アルミン「エレン!合ってるよ!ほら小さな池がそこに」ユビサシ
「おい!」
アルミン「!」ビクッ!!
エレン「なんだ?」クルッ
のっぽの不良「お前ら!ここは誰の場所だかわかってんのかよ!」
エレン「なんだよ。誰のもんでも無いだろうが」
アルミン「ちょっとエレン...いきなり喧嘩腰はまずいよ...」ヒソヒソ
のっぽの不良「はあ?ここは俺たちの縄張りだぞ!勝手に入っていいと思ってんのか!?」
エレン「じゃあ名前でも書いとけ!バカが!」
のっぽの不良「なにぃ...」グヌヌ
陰気な不良「おーい!焚き火の準備が出来たぜ!さっき釣った魚を...あー!!お前らなんだよ!入って来るなよなぁ!!」
アルミン「ちょっと、森のなかで焚き火!?危ないからやめた方がいいと...」
のっぽの不良「うるせぇなッ!!この異端者がッ!!俺たちの縄張りで何しようが勝手だろッ!!」
エレン「誰が異端者だって?...お前、またボコボコにしてやろうか?」ギロッ
陰気な不良「へっ。今日は二人だけみたいだなぁ」ニヤニヤ
のっぽの不良「ミカサがいなけりゃ、エレンなんか恐くねぇ」ヘッヘッヘッ
エレン「なにッ!!」ググ...
アルミン「エレン...行こう。こんなの相手にしちゃダメだ。回り道しよう」ヒソヒソ
エレン「でも...友達のことを馬鹿にした奴を許せないんだ。俺は」
アルミン「エレンが気にする事じゃないさ。僕たちには他にやることがあるだろう?ねっ?行こう」ヒソヒソ
エレン「...わかった。アルミンがそう言うなら」クルッ
陰気な不良「お前ら、何をヒソヒソはなしてんだぁ?おらぁ!かかって来いよエレンッ!!」
アルミン「悪かったよ。邪魔して。僕たちは出て行くから。縄張りから」クルッ
エレン「...」
ザッザッ...
のっぽの不良「どうしたエレンッ!逃げんのか!?腰抜けがッ!!」ヘッヘッヘッ
陰気な不良「お前らそのまま仲良く壁の外まで出て行ってくれよ!その異端者と一緒によぉ」ハッハッハッハッ
のっぽの不良「アッハッハッハッ...そりゃあいいな!」ゲラゲラ
アルミン「...」
エレン「...やっぱり駄目だ」ググッ...ポイッ
アルミン「...え」
クルッ...ザッザッダッダッ!!
エレン「このくそ野郎がッ!!」ドカッ!!
のっぽの不良「ぐあっ!」
陰気な不良「てめぇやりやがったな!!」ボコッ!!
エレン「ぐっ...効くかそんなもんッ!!」ブンッ...ボコッ!!
陰気な不良「ぐえっ」
のっぽの不良「この野郎ッ!ふざけんなッ!!」ドカッ!!
ドカッ!!ボコッ!!ドスッドカッ!!...
アルミン「やめろッ!!エレンに何をするんだ!」ガシッ
のっぽの不良「あ?放せ...よっ!」ドカッ!!
アルミン「ぐっ...」ドサッ
のっぽの不良「引っ込んでろよ。お前は後からだ」
エレン「ケンカの最中によそ見すんなッ!!」ボコッ!!
のっぽの不良「ぐあっ!」ドサッ!
エレン「大丈夫か?アルミン」ハァ...ハァ...
アルミン「...大丈夫。これくらい平気さ...エレン君こそ大丈夫かい!?唇切れてるよ...」
エレン「こんなの大したことねぇって」
陰気な不良「くそぅ...エレンの奴しぶといなぁ」ハァハァ...
のっぽの不良「二人がかりでケリつけるか...」ハァハァ...
陰気な不良「やっちまえ!」ダッ!
のっぽの不良「決着だ!のしてやる!」
エレン「かかって来やがれ!」
ドカッ!!ボコッ!!...ドスッ!!...ボコッ!!ボコッ!!...
ドゴッ!!...ドサッ...
エレン「...くそッ...」ウウウ...
陰気な不良「やったぜ!二人がかりなら余裕だなぁ!」ハッハッハッハッ
のっぽの不良「どーだエレン?思い知ったか?」ヘラヘラ
陰気な不良「日頃のお返しにもう少し蹴っとくか?」
のっぽの不良「そーだな」ケラケラ
ドゴッ...ドカッ...ドカッドカッ...
エレン「...ぐっ...ぐあっ...」
アルミン「...」スクッ...
...ツカツカツカ
アルミン「やめろッ!!もういいだろッ!!」ビクビク...
アルミン「僕が代わりになる...」
のっぽの不良「はあ?」
陰気な不良「何言ってんだ?おまえ?」
エレン「...アル..ミン...」
アルミン「僕を好きなだけ蹴るなり殴るなり...すればいいだろッ!!そのかわりエレンには手を出すなッ!!」
陰気な不良「...だとよ?」
のっぽの不良「こいつ異端者のくせに生意気だな。ボコボコにしてやろうぜ」ヘラヘラ
陰気な不良「いつもみたいになぁ」ハッハッハッハッ
エレン「...クソ...やめろ...」グググ...
ザッザッ...ジリジリ...
陰気な不良「ほらほらいくぞぉ?」
のっぽの不良「最後までしっかり立ってろよ?」
アルミン「...くっ」
ガシッ...ブンッ.........ドサッ!!!..ゴロゴロ
のっぽの不良「...いってぇ...」
陰気な不良「な?なんだ!?」ナゲラレタ!?クルッ
ミカサ「ふんっ!!」ブンッ
ドゴッ!!...ドサッ!!...
陰気な不良「ぐあぁっいってぇ!!!」ゴロゴロ
ミカサ「私の友達と大切な家族に...」
ミカサ「何をする。」ジロッ
アルミン「!?...ミカサ!」
のっぽの不良「やべぇ!!ミカサだ!」
陰気な不良「鼻が凄い痛いんだけど...なぁ?折れてない?俺の鼻、折れてない?」オロオロ
のっぽの不良「折れてねぇって!!とにかく逃げるぞ!!」ダッ!
陰気な不良「すげぇいてぇんだよ?ちょっと待ってくれよぉ」
ダッダッ...タッタッタッ...
ミカサ「大丈夫アルミン!?」クルッ
アルミン「僕よりもエレンが!」
ミカサ「エレンッ!!」バッ
エレン「よお...ミカサ。よくここがわかったな...家の手伝いは終わったかよ?」ヘヘヘ...
ミカサ「酷い傷...唇から血が出てる...これでおさえて」ハイ、ハンカチ
エレン「いてぇ...こりゃあ...母さんに喧嘩したのバレるな」
ミカサ「...エレン」
アルミン「ごめんねミカサ...エレンをこんな目に合わせてしまって」
エレン「アルミンは悪くないだろ?...あいつらがアルミンのこと馬鹿にしたから...我慢できなかっただけだ」
ミカサ「もうわかったから...家に帰ろう?はやく傷の手当てを...」
エレン「駄目だ。まだやることがあるから、それが終わってからだ」ヨット...フラフラ
アルミン「エレンまた今度にしよう!歩くのだってやっとに見えるよ!?」オロオロ
エレン「平気だって。これくらい何ともねぇ」ヘヘヘ
エレン「アルミンは平気か?」
アルミン「エレンに比べたらこれくらいかすり傷だよ」アハハ...
エレン「さっきは...ありがとな」
アルミン「気にしないでよ」
エレン「なぁミカサ」
ミカサ「なに?」
エレン「...悪かったな」ボソッ
ミカサ「?」キョトン
ミカサ「どういう意味?」
エレン「...なんでもねぇ//」
エレン「行こうぜ。この先だ」
ーーーー
ーーー
ザザザ...サササ...
アルミン「ここだよ!ここ!」
エレン「おお!あった!あった!」
ミカサ「何これ?...木?」
アルミン「ミカサ、これは竹って言う植物だよ!」
ミカサ「たけ?」
エレン「ここの森のこの辺りにしか生えてないんだぜ!」
アルミン「内地には沢山生えてる所もあるみたいだけど、この辺りはめったに見かけないんだよ」
ミカサ「へぇ」ホェー。ミアゲル
エレン「アルミン!来てみろよ!まだ残ってるぞ!この前切り出しに使ったやつ!」
アルミン「よかった。生えてるのを切り倒すのは苦労するからね」
ミカサ「これはなんに使うの?」
アルミン「これかい?これを使って...」
エレン「わわわ!?アルミン!まて待て!!」
ミカサ「?...エレン何をそんなに慌てているの?」
アルミン「あっ!そうだった...ごめんねミカサ。今はまだ秘密だ」
エレン「そうだ。秘密だ」
ミカサ「そう...」シュン
エレン「じゃあさっそく」
ギコギコ...
エレン「こんなもんか?」
アルミン「充分だよ」ウンウン
アルミン「うちに行こう。道具があるから」
エレン「そうだな」
ミカサ「エレン傷の手当ては?」
エレン「は?大丈夫だって言ったろ?これくらい」
ミカサ「ダメ!傷口からバイ菌が入ったらどうするの!」ガシッ...ジー。
エレン「おい!わかった!わかったから肩を掴むな!手を放してくれ」
ミカサ「わかったならいいけど...」
アルミン「じゃあ僕があとで作って持って行くよ」ニコニコ
エレン「俺も一緒に作りたかったな...」
ミカサ「エレン」ジー。
エレン「わかったって言ってんだろ!消毒でも包帯でもお前の好きにすればいいだろうが!!」
ミカサ「...うん///」
エレン「...ったく」ナンデスコシウレシソウナンダヨ?
アルミン「じゃあ行こうか」アハハハ
ーーーーー
ーーーー
ーーー
こんばんは。
でわ、続き。
ーーーーーエレンの家
エレン「ただいま」
ミカサ「ただいま」
カルラ「おかえり...エレンッ!ミカサに水汲み押しつけてどこいってたんだい!」
エレン「ご...ごめん母さん」
カルラ「それにまたそんなに泥だらけになって...あんた唇どうしたの?怪我してるじゃない!?あんたまたケンカを」
ミカサ「違うのカルラおばさん!エレンは木からおちた鳥の雛を巣に戻すのに木からおちたの!」
エレン「...そ...そうなんだよ。足が滑ってさぁ...」アハハ...ハハハ...
カルラ「そう。」ジー。
ミカサ「...」
エレン「...」ビクビク
カルラ「はやく顔を洗ってらっしゃい。傷に薬塗ってあげるから」
エレン「はい」
ミカサ「カルラおばさん!私が手当てする!」
カルラ「あら?じゃあミカサお願いね。いつものとこに薬があるから」フフッ
ミカサ「はい!」
ーーー
ーー
カルラ「終わったらお昼にしなさいね。もうすぐできるから」
エレンミカサ「「はーい」」
エレン「母さんこっちでやるから」
...ガチャ...バタン
エレン「...何とかバレずに済んだな」ホッ
エレン「なかなかさっきの言い訳はよかったな。...でも俺は木からおちたりしねぇからな」
ミカサ「誰のためにこんな事が身についたと思ってるの?」
エレン「...あーあー悪かったな」ヤレヤレ
ミカサ「エレンは嘘が苦手ね...さっきもカルラおばさんの前でビクビクして」
エレン「う..うるせぇな!お前の話に合わせるのでやっとだったんだ。いいだろうが...別に...」
エレン「それにな、俺は嘘が嫌いだ。そんな自分を曲げるようなことはしたくないんだよ」フンッ..プイッ
ミカサ「ハァ...それでもついていい嘘だってあるはずよ」
エレン「それでも俺はな!...」クルッ
ヌリヌリ...
エレン「いてて!何すんだよ!ミカサ!」
ミカサ「怪我したところに薬を塗ってるの...動くと口に入ってにがいわよ」
エレン「もっとやさしく出来ないのかよ!」モゴモゴ
ミカサ「動かないの。ずれるから」ヌリヌリ
ミカサ「?...手にも傷が...見せて」パシッ
エレン「いいよ!これくらい」パッ..ヒッコメル
ミカサ「だめ。見せて」ハイ
ミカサ「さっき言ったじゃない。好きにしていいって...」
ミカサ「あれは...嘘なの?」
エレン「うーん...」コマッタナ
ミカサ「ほら。はやく」ミセテ
エレン「...。わかったよ...」ホレ。
ーーーーー
ーーーー
ーーー
エレン「ごちそうさま」
ミカサ「ごちそうさまでした」
カルラ「二人とも食べ終わった?終わったなら食器下げてちょうだい」
ミカサ「カルラおばさん、食器洗うの手伝うね」
カルラ「ありがとうミカサ。あんたきっといいお嫁さんになるわよ」フフッ
ミカサ「///」カチャカチャ
エレン「あー...」ボケーー。
(アルミンどうしてるかな...来ないなぁ...まだ作ってんのか?)
コンコン...
「ごめんくださーい」
カルラ「あら?...この声は?」
エレン「!...はい!」ダッ
ガチャ...
アルミン「エレン!出来たよ!」
エレン「本当か!」
アルミン「飛ぶんだ!本当に飛ぶんだ!」
エレン「よし!今から飛ばしに行こうぜ!」
アルミン「うん!」
エレン「ミカサ!一緒に行こうぜ!いいもの見せてやる」
カルラ「どうしたのそんなにはしゃいで?...あらアルミンいらっしゃい」カチャカチャ..クルッ
アルミン「こんにちは!カルラおばさん」
ミカサ「今、洗い物をしてるの。待ってて」カチャカチャ...イソイソ..アセアセ
カルラ「ミカサ。行っておいで」ニコッ
ミカサ「え?...でもまだお手伝い終わってないよ?」
カルラ「エレンについて行きたい...って顔に書いてあるよ」ウフフ
ミカサ「///」
カルラ「それにあの子にはミカサが必要みたいだからね」
ミカサ「/////」モジモジ
カルラ「アルミンもエレンも待ってるよ。あとは私がやっとくから...さぁ行っておいで」ニコニコ
ミカサ「ありがとう。カルラおばさん」パァァ
カルラ「気を付けて行くんだよ」ウフフ
ミカサ「はい!いってきます」ニコッ
タッタッタッ...
エレン「ミカサ遅いぞ!母さんと何話してたんだよ?」
ミカサ「なんでもない///」
アルミン「お待たせミカサ。ようやく秘密は終わりだからね」ニコニコ
ミカサ「うん」ニコニコ
タッタッタッ...
カルラ「エレーーン!」イエカラサケブ
エレン「!...なんだ?」クルッ
カルラ「あんた!ミカサをまた変なことに巻き込んだら承知しないからね!!」
エレン「い゙...なんだよ..」バレタカ!!?
エレン「わかってるよッ!!」サケブ
ミカサ「いってきまーす」フリフリ
カルラ「...」フリフリ...ニコニコ
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーーーーー街の外の草っぱら
アルミン「見てよ!」ハイコレ!
エレン「おお!これか!」
ミカサ「これ?...」
アルミン「おじいちゃんの本に載ってたんだけど...詳しい作り方が書いてなくてさ。...本の絵を頼りになんとか形にしたんだ。」
エレン「はやく飛ばしてみてくれよ」ワクワク
ミカサ「...」
アルミン「これの真ん中の軸を手のひらで挟んでこうやると...」
シュルシュル...フワッ...クルクルクルクル...ポトッ
エレン「おお!本当に飛んだ!」
ミカサ「...」
アルミン「本当はもっと飛ぶはずなんだけどなぁ...本に載ってた絵みたいにはいかないや。...コツがいまいちなんだよね...」アハハ...
エレン「どうだミカサ!凄いだろ?」
ミカサ「...」
エレン「よし!今度は俺が...それ!」
クルクル...ポトッ
エレン「あれー?...なんで飛ばないんだよ?」ウーン
ミカサ「かして」
エレン「いいぜ。無理だと思うけどな」ヘヘッ
ミカサ「たしか...こうだった」
シュルシュル...ビュン!...ブーン............ポトッ
アルミン「飛んだ!凄いやミカサ!!」
エレン「マジかよ!?すげぇな!」
ミカサ「...」
アルミン「ミカサ...あれの飛ばし方、知ってたの?」
ミカサ「...」グスッ...
エレン「どうしたんだよ?なんで泣いてんだよ?」オイオイ..
ミカサ「あれは...タケトンボ。...昔、私のためにお母さんがお父さんに頼んで作ってくれたの」グスッ...ヒック...
ミカサ「飛ばし方は...お母さんが教えてくれたのよ」グスッ...ニコッ..ウルウル
アルミン「あ...」
エレン「...」
ミカサ「その時を思いだしちゃった」グスッ...グスッグスッ...
アルミン「ミカサ...」
エレン「お前...」
ミカサ「ごめんね...もう...大丈夫だから」グスッ...ゴシゴシ
アルミン「ミカサにそれあげるよ!」
ミカサ「ほんと?」
アルミン「また作ればいいからさ。それに飛ぶこともわかったから」ニコッ
ミカサ「ありがとうアルミン」ニコッ
ミカサ「私も作ってみたい。アルミン作り方教えて」
エレン「俺にも作り方教えてくれよアルミン!材料足りなきゃまた取りに行くからさ」
アルミン「もちろんだよ!それにまだまだ材料は残ってるから心配いらないよ」ニコニコ
エレン「そうだミカサ!もういっかい飛ばしてみてくれよ!飛ばし方覚えるからさ」
アルミン「そうだった!飛ばし方知っておかないと。ねぇミカサ僕にも教えてよ」
ミカサ「うん」ニコッ
エレン、チガウ。コウヤッテ...コウ。
コウカ?
チガウ。
ボクガヤッテミルネ。エイッ!
デキタ!!
アルミンハ、ノミコミガハヤイネ
ヨシッ!!コンドコソ...
ソレ!...ナンデトバナインダヨ...。
エレン、アキラメナイデ。
...ザッザッザッ
「おい!エレンッ!!」
エレン「あ?」クルッ
ガキ大将「お前さっきはよくもこいつをやってくれたな!!」
陰気な不良「...鼻血止まらなくて大変だったんだからな!」
のっぽの不良「さっきの借りは返してやるから覚悟しろよ」ヘッヘッヘッ
エレン「はあ?そいつはミカ......俺が殴ってやったんだ!悔しかったらかかってきやがれ!」ギリッ
ミカサ「...」ジロッ...ザッザッ
陰気な不良「!!!」ビクビク
ガキ大将「うっ...ミカサもいるのか...」
のっぽの不良「大丈夫だって...仲間集めてきたからな!」ビビルナヨ...
ゾロゾロ...
ヤベェ...ミカサガイルゾ
マジカヨ!!キイテネェッテ!!
オチツケッテ...コッチハゴニンモイルンダゾ..
ザワザワ...
アルミン「まずいよ...五人もいるよ!?」オドオド...
エレン「さっきは油断したが、今度は負けねぇさ」ヘヘッ
ミカサ「アルミン。タケトンボ預かっておいて」ハイ。
アルミン「ちょっとミカサまで...」
ミカサ「大丈夫...アルミンは私が守ろう」ニコッ
アルミン「ミカサ...」
エレン「ミカサ。俺一人でも大丈夫だって」
ミカサ「なに言ってるの?私は私の...」
ガキ大将「お前ら行くぞッ!!かかれッ!!」
不良達「「「うおぉぉーッ!!」」」
「ーーー大切なものを守りたいから」
ーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーーーー
まだ続きます。
でわ、また。
ーー
ーーー
ーーーーウォール・ローゼ 壁上
...バリッ
ハンネス「うん...」
ハンネス「まずくも、うまくもねぇ...」バリバリ...モグモグ...
ミカサ「...」
アルミン「...」
ハンネス「いつも通りだ」ミズヲトリダス
ゴクッゴクッ...プハッ
ハンネス「まぁいつものことじゃねぇか」
ハンネス「あのワルガキの起こす面倒の世話をするのは...」
ハンネス「昔っからお前らの役目だろ?」
ミカサ「...」
アルミン「...」
ハンネス「腐れ縁ってやつだよ」
ハンネス「まったく...お前らは時代とか状況は変わってんのに...」
ハンネス「やってることはガキンチョの頃のままだぜ」
ハンネス「だろ?」
ミカサ「...」
アルミン「ハハ...街のガキ大将と巨人とじゃ背の高さが違いすぎるよ」
ハンネス「まぁ...しっかしあのバカはロクにケンカも強くねぇクセに、相手が三人だろうと五人だろうとお構いなしに突っ込んでったよな」
ハンネス「そんでミカサや兵士に止められる頃にはボロボロだ」
ハンネス「ただな...」
ミカサ「...」
アルミン「...」
ハンネス「勝った所はついぞ見たことねぇが...負けて降参した所も見たことがなかった」
ハンネス「あいつは時々、俺でもおっかねぇと思うぐらい執念が強ぇ...何度倒されても何度でも起き上がる」
ハンネス「そんな奴がだ...ただ大人しく連れ去られて行くだけだと思うか?」
ミカサ「...」
アルミン「...」
ハンネス「いいや。力の限り暴れまくるはずだ」
ハンネス「ましてや敵はたったの二人だ。相手が誰であろうと手こずらせ続ける」
ハンネス「俺やお前らが来るまでな。エレンはいつもそうだろ?」
ミカサ「...」!...
アルミン「...」!...
ハンネス「俺は...あの日常が好きだ。...エレンに言わせりゃそんなもんは、まやかしの平和だったかもしれんが...」
ハンネス「やっぱり俺は役立たずの飲んだくれ兵士で十分だったよ」
ハンネス「あの何でもない日々を取り戻すためだったら...俺は何でもする」
ハンネス「どんだけ時間が掛かってもな...」
ハンネス「俺も行くぞ」
ハンネス「お前ら三人が揃ってねぇと、俺の日常は戻らねぇからな」
アルミン「...」ギッ
ミカサ「...」ギッ
......間違ってた...
...いつの頃からだろう...
...エレンが離れて行くとばかり思ってた...
バリバリ...ボリバリ...
...思いだした...
.....私が追いかけてたんだ
.........いつも。
ゴトゴト...ゴトゴト...
ミカサ「来た」
アルミン「壁の上を馬で駆けて来るとは...」
....追いかけても...追いかけても...
......追いつけなかったけど...
......いつもどこかで待っていてくれる
「夜までだ!!夜までにこの森に着けばまだ間に合うかもしれない!!」
...待っててねエレン
......私...必ず...
...あなたに追いついて見せるから。
このSSまとめへのコメント
これ続きないのですか?
(●^o^●)
良かった良かった。でも気になるよな。
こういうのって結構好き