井沢・オブ・ザ・ヴァルハラ(37)

「ーーありがとう」

「あああァ“アアァアッア““ー!」

  
荒れ果てた大地に、左右の大木に結ばれた鎖に両手繋がれ喉笛を切り裂かれた短髪の青い瞳をした少年に  

四肢と首を有刺鉄線に繋がれた黒い短髪に大きな瞳の端正な顔立ちをした少年のような少女がいた。


「ああ~あ“あ“あ“ぁアアー!!」
 
「うるせぇ」


少女を助ける為に必死に鎖を引きちぎろうとする少年の背後から蹴りが浴びせられた。

少年は体勢を崩しかけるも踏みとどまった。  
蹴りを浴びせたのは、濃い赤色の上下スーツを着た口髭と顎髭を生やした灰色の髪をした中年の男だった。

男は少女に目をやると薄ら笑みを浮かべて有刺鉄線の先に視線を向けた。

結ばれた先にはベースボールジャケットを着た赤色の髪をした太ったデカい男と荒れ狂う馬だった。


スーツの男「可哀想になぁ……お前のせいで死ぬなんてな」

少年「アアァアア““ア“ア“ア“ア”ー!!!」
   
声にならない叫びを上げ少年は暴れ狂いスーツの男に飛びかかろうとしたが届かない。

スーツの男「オメェもなかなか諦めの悪い奴だな……蟹江!」

少年「アアアアアアア“ア“!!?」
 

蟹江と呼ばれた大男は懐からリボルバーを取り出し上空に向け発砲した。


馬「ブルァアアア!!」


有刺鉄線に結ばれた馬達は別々の方向にそれぞ蹄を鳴らしながら走り出した。

繋がれた少女の四肢と首が急激に締まり……千切れ地面に肉片飛び散らせながら叩きつけられた。


「ァじぁアアァアア“ー!!!」 


少女の首を地面に千切れた少年は左腕を食いちぎり、その勢いで右腕の鎖も引きちぎった。

スーツの男は動揺しながら小走りで蟹江の元に行きそのまま消えた。


少年「アァ~アァアァ~」


少年は右腕の鎖を引きずり唾液と涙を流しながら、少女の首の元に足を進めた。

少年「アアァアア~」

少年は残った右腕で少女の首を抱きかかえ大切そうに頬をさすり、胸に抱きかかえたまま両膝をついた。

少年「アァアァ……ア“ア“ァア“ア“あ“あ“あ“あ“あ“あ”」


言葉にならない少年の叫びが荒れた大地に木霊した。

アパートの一室

「はぁっ?!」ガバッ

『大丈夫かい?』
  
「はぁ……はぁ……心配するな」


言葉を喋る二輪車の上で、眠っていたリーゼントのそばかす顔のブルージーンズ履いた筋肉質な上半身裸の少年が目を覚ました。

少年は強張った表情で部屋中を見渡した。 

部屋の床一面にブルーシートが敷かれ、勉強机と壁に掛けられたカレンダーが眼に入る。


『ヒロミ、今日はどんな夢を見たの?』

ヒロミ「相変わらずのクソさ……エルメス」

エルメス「一度、病院に行った方が良いんじゃないかな」

ヒロミ「そこまでの時間の余裕はない」
 

ヒロミと呼ばれた少年の名は井沢ひろみ。 

言葉を喋る二輪車(モトラド)の名はエルメス。

エルメス「そういえば、今日は合宿じゃなかったけ?」

井沢ひろみ「そうだな」 
 
 
井沢は真顔でフェアバーンサイクスダガーを投げてカレンダーに突き刺し、そのまま首を回しながら勉強机に向かった。
   
椅子に掛けてある黒のランニングシャツを着て引き出しから銃の清掃道具一式を取り出した。


井沢「さてと……」


勉強机の下からリュックサックを取り出し、チャックを開けてバックサイド・ショルダーホルスターを装着した。

次に45口径に改造したポリマーフレーム銃、グロック17を分解し勉強机に置いた。

同じ要領で、7.65×22mm弾を使用する黒仕上げの木製グリップパネルのsig p210にパーカッション式からダブルアクションに改造した44口径のリボルバー・カノンなどを分解した。

銃の部品を丁寧にスプレーを浴びせながら布で磨いて行く。

全てを磨き終えると次は、弾を弾倉に込めていき、動作確認を行い机に並べていった。


井沢「………」 


リュックから銀色の背中に銀色のジャケットを取り出し着るとファスナーを鳩尾部分まで上げた。

50口径に改造したAMTハードボーラー(ロングスライド)×2をリュックから取り出し、ショルダーホルスターに入れた。

次にカノンをバックサイドホルスターに残りは左に入れた。


井沢「ふぅ~」


今度はドライバーや先切りハンマーなど工具品とS&W CKSURIナイフなどの刃物系を左右の懐にしまった。


井沢「行くぞ、エルメス」

エルメス「随分と大荷物だね」 
井沢「合宿だからな」
  
 
エルメスを押して、玄関先の扉を開けて外に出てアクセルを全開にして稻豊中月光に向かった。

宗教団体・幸せのくに 教祖部屋

ガチャ


「何のご用意でしょうか?」

「竹田新聞の者ですが……少しお話を伺わせて貰えませんか?」

「ああ、いいですよ」


大量の髑髏が飾られた異様な異質を支配するのは上下白服を着た20代後半の端正な顔の男と 
それを護衛する20、30、40代の三人の男だった。

部屋に入って来た者達も異様だった。

肘までしか袖口がないワイシャツと上にベストを身にまとった目つきが鋭い短髪の頬がこけた20代の若者と
坊主頭のミッドナイトブルージャケットの下にOCPという戦闘服のTシャツとパンツを着た17歳ぐらいのやんちゃそうな少年だった。
 
二人は祭壇に腰掛ける白い男を凝視しながら近付いた。

白い男「椅子がなくてすみません」

坊主頭「お構いなく。そんなことよりインタビューしてよろしいでしょうか?」

白い男「どうぞ、何でも聞いて下さい」


坊主頭はパンツの右ポケットからメモとペンを取り出して質問し始めた。


坊主頭「幸せのくにの教義にはどんな意味がありますか?」

白い男「みんなでやれば怖くないという、集団行動の大切さを教義としております」

坊主頭「なる程……」カキカキ

30代の男「」ジー

若者「」ジー    


坊主頭と白い男がインタビューしている中で30代の髪を立てた目つきが鋭い男と同じく頬が痩けた目つきが鋭い若者は互いを睨みあっていた。

そして突然


ドン!

白い男「チクショウめぇえええー!!」

坊主頭「っ?!」


祭壇の後ろに隠れていた白い男がクロスボウガンで坊主頭を狙撃しようと立ち上がった。

だが

ドン!

白い男の額に穴が開き、そのまま大の字で倒れた。


若者「怪我は?」

坊主頭「ああ……大丈夫だ。ふぅ」

白い男が引き金を引く前に若者が左手で放ったスタームルガーGP140の銃弾が撃ち抜いた。 

坊主頭は頬つたって流れる汗をp228を握りしめた右腕で拭いヒップホルスターに拳銃をしまった。

若者は周りを見渡して安全確認を行い、そのまま部屋の出入り口に足を進めた。

30代の男「……」チャッ


背後からまだ生きていた30代の男が若者を銃撃しよう標準を向けた。

若者は落ち着いた様子で振り返り、スタームルガーをバックサイドホルスターに戻すと、パンツの中に無造作に突っ込んでいたハイパワーを取り出し30代の男の額を撃ち抜いた。

坊主頭「ナイスショット」


坊主頭は笑みを浮かべながらそう言うと若者と共に部屋を出た。

稲豊中学校


「ココ」

「え?」

「だから合宿所はココ」
 
「はぁあああぁあ?!!」


卓球部顧問である70歳代ぐらいのバーコードハゲから宣告された合宿場所は学校だった。


「どうゆう事だ!柴崎!!テメェなんで夏をこんな場所で過ごさなきゃならねぇんだよ!!」


七三分けの癖のある顔した少年が顧問でハゲの柴崎に襟首をつかんで詰め寄った。


井沢「落ち着け、前野。まずは話を聞いてからどうするか決めろ」

 
前野と呼ばれた七三分けの少年は掴んでいた襟首を話を鬼の形相で柴崎の顔を見つめた。


前野「柴崎……どういう事か説明しろぉ」

「それは私から説明します」

「花代先生?!」
 

井沢以外の卓球部員から花代先生と呼ばれた、Yシャツとビジネススカートを着てヒールを履いた黒のストレートロングの綺麗な顔立ちの女教師が柴崎の背後から現れた。


花代「アンタ達……なめんじゃないわよ………」


花代は前野とそのとなりにいる栗頭の小柄の少年を睨み付けた。

それを見て井沢は何故、学校で合宿しなければならないのか察した。


花代「おりゃあ!!」

前野・栗頭「うわぁああああ?!」


答案用紙と思われる紙が花代よって天井高くばらまかれた。
 
それを眺めながら井沢はスポーツ刈りをしたそこそこ男前な少年に近付いた。


井沢「竹田」

竹田「なんだ?」


竹田と呼ばれた卓球部部長を務める少年に井沢は話かけた。

井沢「ちょっと一時間ほど居なくなる」

竹田「ああ、わかった。何時ものヤツだな」

井沢「それじゃ」

竹田「後で予定表を渡すから」

井沢「悪いな……」


竹田は井沢の妙な癖を熟知していた。

それは『一時間居なくなる』

だが、意外と真面目で意外にかなり実力を持っている為

『居なくなる時は前もって言う』という条件にそれを許していた。


井沢は後ろの出入り口の引き戸から音を鳴らさずに部室を出た。

保健室

コンコン


「どうぞ」


白衣を羽織りその下に黒のシャツを着て緑のスカートとヒールを履いたスカートと同じ色の一つ結びにした長い後ろ髪の保険医が、優しそうな声で応対した。

引き戸を開けたのは井沢だった。

保険医「なんだ……君か」


またかと言わんばかりに脚を組ながら肘をついて冷たい目線で井沢を見つめた。


井沢「不満があるのか?涼子」

涼子「いや‥……今日はやけに早いなと思ったんだ」

井沢「そうか………ほら」


井沢は涼子と呼んだ保険医に茶封筒を投げて渡した。

涼子は左手で受け止め、茶封筒を開け中身を確認した。

涼子「ふむ……」

井沢「問題あるか?」

涼子「いや、ない」

井沢は腕を組みながら涼子を見つめた。


涼子「で……何の情報が欲しい?」

井沢「赤井と蟹江は今、何をしている?」

涼子「スーパーの駐車場で人身売買の取引をしているみたいだ」

井沢「どこの?」

涼子「ここからは追加料金だ」

井沢「」ポイ


井沢は投げやり気味に茶封筒を机に投げた。


涼子「スーパー高橋の北出入り口付近で取引をやる」

井沢「そうか……じゃあな」

涼子「ああ、また」

井沢は涼子からそれだけ聞くと保険室を出た。

シャァアア


若者「丹保先生、ありがとうございます」

丹保涼子「気にするな。これぐらいたいしたことではない」


カーテンが閉められたベッドから若者と坊主頭が現れた。

苗字で呼ばれた涼子こと丹保涼子は笑みを浮かべながら、頭を下げる若者を見つめた。


涼子「郁紀君も大変だな」

郁紀「いえ……そんなことはありません」


郁紀と呼ばれた若者は謙虚に言った。


坊主頭「ご協力感謝します。それでは我々はこれで」

涼子「ああ………それと」

郁紀「なんですか?」

坊主頭は頭は感謝を述べると郁紀と保険室から出ようとしたが呼び止められた。

 
涼子「アイツは君達よりも実力が上だぞ。気を付けろ」

郁紀「ご心配いただきありがとうございます」 

郁紀は礼を言うと坊主頭と共に保険室を出た。


一人保険室に残された涼子は 


涼子「」ニヤリ


何故かニヤついていた。

精神病院 駐車場

ガチャ
 

坊主頭「郁紀さん、何かあったらすぐに連絡を」

郁紀「すまない……だが心配しなくていいありがとう」


心配する坊主頭に郁紀は無表情で礼を言い車を降りてある病室に向かった。

精神病院 226号室前

シャッ

 
郁紀「……いないのか」


郁紀は226号室を覗き穴から中を確認したが誰もいなかった。


「あの~」

郁紀「」チャキッ 


背後から声が聞こえた為、パンツに無造作に突っ込んでいたイパワーを取り出そうとしたが看護士だと判ると元に戻した。


看護士「津久葉さんのご親族の方ですか?」

郁紀「……友人です」

看護士「でしたら、大広間で先ほど来た同じ友人さん達とお話していますよ」

郁紀「……ありがとうございます」


郁紀は笑顔でそう言う看護士に無表情で礼を言って大広間に向かった、

大広間 
 
津久葉「青海ちゃん~私、退院したらスケートに行きたいなぁ」

青海「そうね……退院したらすぐにでも行きましょう、一緒に」

津久葉「ねぇ……郁紀くんも誘おうよぉ~」

青海「向坂くんは……」

「郁紀はアメリカでの仕事が忙しくてまだ、帰国出来ないって言ってたからムリかもな」

津久葉「そっかぁ~残念だなぁ~」


幼い少女みたいな口調で喋る津久葉瑶に対し友人である戸尾耕司はここに居ない向坂郁紀について何とかごまかした。 

その様子を郁紀こと向坂郁紀は珍しく安堵した表情しながら、近くにいた看護士に話かけた。

 
向坂郁紀「すみませんがこれを……」

看護士「これは?」
  

看護士に渡されたのは茶封筒でそれを『話が終わったら銀髪の男性にそれを渡してほしい』と言って大広間を後にした。

銀髪の男性こと耕司は何か後ろから懐かしい気配を感じて振り返った。

だが、視線の先には誰も居なかった。

青海「どうしたの?」

耕司「……」


恋人である青海こと高畠青海が心配そうな顔で聞いた。


耕司「いや……何でもない」


耕司は何とも言えない顔で応対した。

駐車場

ガチャ


坊主頭「お帰りなさい。どうでした?」

郁紀「変わらずだ」

坊主頭「そうですか……」


郁紀の口元を緩めた顔を見て、坊主頭は安堵した。


郁紀「カツオ……出してくれ」

カツオ「了解」


郁紀は坊主頭こと磯野カツオに車を出すように言った。

カツオは慣れた手つきでエンジンをかけた。


プルルルルル


車が出る瞬間、郁紀の携帯が鳴った。

第四章 スウィーニー・スクワッド ×

第四章 償い ○


次回が第五章 スウィーニー・スクワッドになります。


ややこしくてすみません。

『アローハー、元気~郁紀くん』

郁紀「……なぜ番号を知っている」


郁紀は電話をかけてきた妖艶な声をする女性に質問した。


『あら~私にとって番号調べるぐらいはちょちゃのこさいさいよ』

郁紀「それを言うならお茶の子さいさいだ……それより何のようだ?」

『ちょっと伝えたい事が会ってねぇ~』


郁紀は本能的に嫌な予感がした。


『沙耶ちゃんのこと覚えている?』

郁紀「……」


郁紀は不快そうな顔で助手席の扉を開け、煙草を吸い始めた。


郁紀「ふぅ………忘れるワケないだろ……」

『やっぱり~私の読みが当たったわ~』


女性は嬉しいそうな声をデッド越しに上げた。

それを聞いて郁紀は、なおさら不快そうな顔した。


郁紀「とっと用件を言え、こっちはこれからしご……」

『稻豊市に向かうでしょう?』
 
郁紀「何故、それを……」

『別にそれくらいの情報を手にするのは簡単よ~取引しない?』


おちょくるような口調で女性は取引を持ちかけた。

郁紀「何をすればいい?」

『かつてあなたは“LSDの男たち”とよばれていたLSD特捜部……通称スウィーニー・スクワッドで』
 
『副隊長を勤めていたわよね?』

郁紀「過去の話だ」

『今の話でもあるのよ』


女性はニヤつきながら電話越しにこう言った。


『元スウィーニー・スクワッド隊長、ケン・リーチャーを始末して』


郁紀はため息つきながら問いかけた。


郁紀「理由は?」

『理由はねぇ~アイツが……‥私が育てていた大麻の畑を勝手に燃やしたから~』  

郁紀「なるほど……」

『あなたの仕事は赤井と蟹江を抹殺することでしょう~ついでにケンも~ってカンジ~シンプルでしょう?』

郁紀「ケンは生まれ変わってべつの人物になっている、どうやってみつけるんだ」

『簡単よ~これから赤井と蟹江がスーパーで人身売買やるっていう情報を私の知り合いに流したから』

『ケンもその知り合いから情報を聞いて多分、襲撃してくると思うからその時あなたが赤井達もろともケンを始末すればいいわ~』


『成功報酬は沙耶ちゃんをあなたが望んでいる姿に蘇らせる~素晴らしい提案でしょ~』

郁紀「本当……素晴らし過ぎて涙が出てくる」


郁紀は皮肉混じりに女性にそう言った。


『別に失敗しても~津久葉ちゃんが鉄の処女に入れられたりする事はないから安心して~』

『後、スーパーの場所は稻豊中学校で保険医やってる私の知り合いでありあなたの元主治医に聞いてね~』

郁紀「元主治医?」

『バァ~イ~郁紀くん』


そのまま、電話は切れたものの郁紀は元主治医の顔を思いだし溜め息をついた。


カツオ「誰からの電話ですか?」


カツオが心配そうに訊ねた。

郁紀は一息ついて


郁紀「魔女からのありがたい連絡だった」


と一言述べた。

さらに続けて

郁紀「悪いが、稻豊についたら稻豊中学校に向かってくれ」

カツオ「どうして?」


カツオは不思議そうな顔で言った。


郁紀「今回のターゲットに関する重要な情報がそこで聞けるからだ」


カツオは静かに頷き、車の運転に集中した。

稻豊中学校 保険室

コンコン


涼子「どうぞ」


ガラガラ 


郁紀「お久しぶりです」

涼子「ああ………久しぶりだね。会ったのはあの時以来だ」

郁紀「……」

涼子「まぁ~それよりも情報が欲しいだろ?前もって話は聞いているからあん……」


コンコン

涼子がそう言う前に来客が来た。

郁紀とカツオは瞬時にベッドに向かい、音を鳴らさずカーテンを閉めた。


出入り口の引き戸が開けられ現れたのは……

 
涼子『なんだ……君か』

井沢『不満があるのか?涼子』 

井沢だった。

郁紀は何故か井沢が、ケン・リーチャーの生まれ変わりだと感じた。


涼子は報酬を貰って情報をもたらすと井沢はそそくさと出て行った。

カーテンを開けた郁紀は何とも言えない顔しながら礼を言って郁紀とカツオは感謝を述べて、保険室から出ようとするが呼び止められた。


郁紀は適当に切り返すとその何とも言えない顔しながら保険室を出た。

それを察した涼子はニヤついた。

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