ウォーグレイモン『たいち…たいち…』 (30)
光子郎「核ミサイルはどうやら一発」
光子郎「九分後に、世界中のどこかで爆発します」
太一「そんな」
光子郎「インドネシアからのメールです『何とか敵を倒して』」
太一「何とかって言ったって、こいつら全部倒せるわけないだろ」
光子郎「核ミサイルは信管さえ作動させなければ爆発しないそうです」
光子郎「もしこれがゲームなら時計を持っているのは一体だけ」
光子郎「そいつを倒せば、信管は作動しないはず…」
太一「どうやってその一体を見つけんだよ」
光子郎「それは、一体ずつ倒していくしか…」
太一「そんなことしてたらっ!日が暮れちまう!!」
光子郎「…だって」
光子郎「これしか方法、ないでしょ」
ウォーグレイモン『たいち…たいち…』
ウォーグレイモン『たい…』
太一「じゃあもう無理だな」
ウォーグレイモン『!?』
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光子郎「ちょ!?諦めないでくださいよ」
太一「いや、無理だこれ無理ゲーだよ」
太一「一匹でもあんなに手こずってたのにさ、勝てるわけねえじゃん」
光子郎「たとえ絶望的でも、何か方法が…」
太一「ねえよ、あと十分切ってんだろ?」
太一「あーあー、俺もハワイ行きてー」
光子郎「何を現実逃避してんですか!?」
光子郎「核ですよ!?核!!僕たちだって死んじゃうかもしれないのに!!」
太一「うっせーな、奴は射程2万キロのミサイルをランダムに飛ばしたんだろ?」
太一「だったらそんなのピンポイントで東京へ飛んでくるかよ」
光子郎「それは、まあ…」
光子郎「あ、アルメニアからメールです『自分だけ助かれば良いのかよ!お前ら最低だな!』って」
太一「知るか!自分でなんとかしろ!」
太一「いつもいつも俺達にばっかり戦わせやがって…!」
太一「大体ウォーグレイモンもメタルガルモンももうボロボロなんだぞ!?」
太一「それをこれ以上戦わせるって、鬼かよ!!」
太一「なあそうだろ!?ヤマト」
ヤマト『…』
タケル『パタモン!!パタモン!!僕もそっちに行くよ!!パタモーン!!』
ヤマト『…確かに、そうかもな』
光子郎「や、ヤマトさんまで…」
太一「というわけで、残された時間をせいぜい楽しもうぜ」
光子郎「ハートが強いんだか弱いんだか…」
太一「なあに、いざとなったら熱斗くんとロックマンがなんとかしてくれるって」
光子郎「ゲームと現実ごっちゃにするといずれ痛い目みますよ」
太一「へいへい」カチカチ
太一「ん?なんだこれ、戦国ランス?お前のパソコン面白そうなソフト入ってんな」
光子郎「か!勝手に触らないでくださいよ!!」
太一「いいじゃねえか、やらせろよ」
光子郎「こ、子供はやっちゃダメなんです!!」
光子郎「とにかく、諦めないで方法を探してみましょうよ!」
太一「えー」
光子郎「ここで頑張れば空さんだって太一さんのこと見直すかもしれませんよ?」
太一「なんで空の話になるんだよ」
ヤマト『なんだ、お前らまた喧嘩してんのかよ』
太一「か、関係ねーだろ!ヤマトには!」
ウォーグレイモン『たいち…』
太一「第一あいつさ、特別すっげえ可愛いってわけでもないしよ」
ウォーグレイモン『たいち…』
太一「あんな奴だったら光のほうが全然ましだぜ」
ウォーグレイモン『た、たいち…』
光子郎「その発言は色々問題ですよ、太一さん」
ウォーグレイモン『…』
太一「さて、死ぬ前に腹ごしらえでもしてくるか」スック
太一「十分あればカップ麺くらい食えるだろ」
光子郎「ええ!?どんだけ余裕綽々なんですか!?」
光子郎「わかってますか!?ヤバいんですって!現在進行形で今世界がヤバいんですって!!」
太一「ったく、世界の危機を子供に任せるなってんだよな(笑)」スタスタ
光子郎「何笑ってんですか!?え?なんで今笑ったんですか!?」
光子郎「…ってああ!行っちゃったし」
光子郎「ああもう!自分が選ばれし子供だっていう自覚が全くないよあの人」
光子郎「どうしよう、どうしよう…」
ヤマト『俺も腹減って来たな』グー
光子郎「もう勝手にしてください…」
ウォーグレイモン『こうし…ろう』
光子郎「!」
太一「おおっす、戻ったぞ光子郎」
光子郎「太一さん!遅いですよ!!」
太一「わりいわりい、豚骨にするかシーフードにするか迷っちまってさ」
光子郎「この局面でよくもまあ、そんな死ぬほどどうでもいいことを…」
太一「結局トマトにしたんだけどな(笑)」
光子郎「笑うな!!何がおかしかったんですか!!今何がおかしかったんですか!?」
光子郎「ってそんなこと言ってる場合じゃない」
光子郎「太一さん、聞いてください」
太一「なんだよ」
光子郎「ウォーグレイモンはまだ戦えるそうです」
太一「あ?」
光子郎「むしろ、本人戦いたがってます!任せておけって言ってました!」
太一「光子郎あのな、そういう問題じゃないんだよ、さっき俺が言ったのは」
太一「わかるか?」
光子郎「え、ええっと…?」
太一「あんだけボロボロにやられたウォーグレイモンをだな」
ウォーグレイモン『たいち…』
太一「どう考えても勝ち目の無い敵と戦わすなんてこと自体が」
ウォーグレイモン『たいち…!』
太一「問題だっていってるんだよ、たとえ本人が望んで」
ウォーグレイモン『タイチぃ!!!!』
太一「うぉっ!ビックリした」
太一「なんだよウォーグレイモン、いきなりデカい声出して」
ウォーグレイモン『タイチが無視するからだろ!』
太一「別にそんなつもりは…」
ウォーグレイモン『とにかく!まだ僕は戦えるよ!太一!』
太一「え?うーん、でもなあ」
ピピピ
ウォーグレイモン『?』
太一「お!三分経ったか」
光子郎「はいあと残り五分~~~!!!」
光子郎「お願いしますよ!!もうほんとに!!」
光子郎「今からでも頑張れば、偶然時計を持ってる奴を仕留められるかもしれないじゃないですか!!」
太一「そんな都合よくいくかぁ?」ズルズル
光子郎「食うなーー!!」
太一「わかったよ、そう興奮すんなって」ズルズル
光子郎「…」
太一「ご馳走様」ゲフウ
太一「さて、腹も一杯になったし、そろそろやるか!」
太一「な?ウォーグレイモン」
ウォーグレイモン『任せておけ』
ヤマト『こっちも準備完了だ』ゲフウ
メタルガルルモン『奴のいる場所はわかるか?』
光子郎「みんな…!」
光子郎(やっとやる気になってくれた!!)
光子郎「今から、アドレス送ります!」
太一「そうだよな、やるしかない…」
太一「ごめん、光子郎」
光子郎「いえ」
光子郎「…あと三分」
太一「残された時間、思い切り暴れてやろうぜ!」
太一「な!アグモン!!」
光子郎「…」
光子郎「え?」
光子郎「…アグモン?」
太一「ん?」
アグモン『あれ?』
ガブモン『あ…』
光子郎「…」
光子郎(退化してるぅぅーーー!!!)ガビーン
光子郎「もうだめだー!!世界は核の炎に包まれるんだー!!」
太一「いっひっひひひひ!なぁに退化してんだよ~、アグモン」ゲラゲラ
光子郎「笑うなーーー!!あんたがさっさと出撃しなかったせいでしょうがー!!」
アグモン『ごめんねぇ、たいちぃ』
太一「もういいよ、これでいっそ諦めついただろ」
光子郎「はあ、そうですね…あ、麦茶貰います」
太一「あーあ、光子郎が途中でう○こ行ってなきゃ核が落ちることもなかったのにな」
光子郎「う○こじゃない!!っていうか別に僕のせいってわけでもないでしょ!?」
太一「まあそうなんだけどさ」カチカチ
光子郎「?なにやってるんですか」
太一「マインスイーパー」
光子郎「ホントに余裕ありますね」
太一「…」カチカチ
光子郎「あ、それ一個上です」
太一「ん」カチカチ
光子郎「…」
太一「…」カチカチ
太一「おお、クリア」
光子郎「ね?言った通りでしょ」
太一「やるなあ」
太一「…」
太一「そういやさ、核ミサイルってどうなったんだ」
光子郎「さあ、もうどこかに落ちたんじゃないですか?」
太一「気になるな、調べて見ろよ」
光子郎「ええ」カチカチ
光子郎「!!?」
光子郎「…」サー
光子郎「た、大変です!!」
太一「なんだよ」
光子郎「ミサイルは、まだ落ちてません、そして…」
光子郎「その発射先は、東京だそうです」
太一「なん…だと…?」
太一「おいどうすんだよおい、おい!」
光子郎「だから言ったのに!!諦めないで頑張ろうってあれほど言ったのに!!」アワワワワ
ヤマト『おい!ちょっとまて!そういえばタケルがいないぞ!?』
太一「んなことは今どーでもいいんだよ!!このブラコン野郎!!」
ヤマト「!?」
太一「くそ、絶体絶命じゃねえか」
太一「奴を倒すのはもう無理として、なんとか生き延びるには…」
太一「!そうだ、デジタルワールドだ!デジタルワールドに逃げられないのか!?光子郎!!」
光子郎「えっと、でも確か向こうから帰って来れなくなるってゲンナイさんが言ってたような」
太一「死ぬよりましだろ、早く!早くゲートを」
光子郎「というわけでゲンナイさん、お願いします」」
ゲンナイ「無理じゃ」
光子郎「無理だそうです」
太一「無理かああああああああああ!!」
光子郎「!ちょっと、太一さん!これ見てください!」
太一「…あ?なんだよ、もうみんな死ぬんだろ?どうでもいいよ」ドヨーン
光子郎「違うんです!凄いんですよ!!」
光子郎「エンジェモンが奴と戦ってるんです!!」
太一「!」
光子郎「それに、タケルくんも一緒です!!」
太一・ヤマト「!!?」
ヤマト『た、タケルがパソコンの中に!?』
太一「うおお!!すげえすげえ!!ガンガン倒してるじゃん!!三国無双かよ!!」
光子郎「どうやら世界中のみんなのメールでパワーアップしたみたいです」
光子郎「いうなればアレは、スーパーエンジェモン!!」
太一「光子郎お前、ネーミングセンスねえなぁ」
光子郎「ほっといて下さい!!」
光子郎「そうこうしているうちにもう、あと一匹ですよ」
太一「時間は!?」
光子郎「あと一分です」
ヤマト『意外に残ってるな』
光子郎「いままでのやり取りはきっと走馬灯みたいなものだったんでしょう」
太一「くそ、それにしても、もう時間がないってのになんて素早い奴なんだ」
太一「エンジェモンの攻撃が全然当たらねえ!!」
太一「なんとかならないのか!光子郎!」
光子郎「そういえば、世界中からのメールのせいでエンジェモンのレスポンスが下がってるような気がします」
太一「!」
太一「なるほど、だったらやることは一つだな」
光子郎「ええ」カタカタカタカタ
光子郎「いっけええええ!!」ターン!
光子郎「フィルターかけました」
太一「よし!」
太一「こころなしかエンジェモンの動きが早くなったような」
ヤマト『そうか?あんまり変わってないように見えるぞ』
光子郎「ああ!!あと十秒!!」
エンジェモン『ヘブンズ!!ナックルゥーー!!』
光子郎「九!」
タケル『いっけええええ!!』
光子郎「八!」
テントモン『うおおおおお!!』
光子郎「七!」
ディアボロモン『!?』
光子郎「六!」
ズバシュッツ!!
光子郎「!」
光子郎「…あ、倒しましたね」
太一「え?まじで」
太一「意外にあっさりだったな」
光子郎「そうですね」
太一「…」
太一「じゃあ、マインスイーパーでもやるか」
光子郎「またですか…」
おわり
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