初めて投稿させて頂きます
ことほのうみで、かなりドロドロした内容になります
とりわけことりちゃんが好きな人は気に障るかもですので、ご注意下さい
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その日、海未ちゃんと穂乃果ちゃんが付き合ってることを知りました。
海未ちゃんから告白したんだって。それで、穂乃果ちゃんがOKしたみたい。
3人で帰ってる途中にね、突然、海未ちゃんが「ことりには言っておきたくて……」って、切り出して。
その一言の後、海未ちゃんはしばらく黙っていたんだけど。その時にちょうど、海未ちゃんを挟んで向こう側を歩いている穂乃果ちゃんの真っ赤な顔が目に入って、そこで海未ちゃんが次の言葉を言う前にはもう、ことりは全部気付いちゃったの。
ああ、そうか。私は、遅かったんだ、って。
「私は、穂乃果と、その……お付き合いすることになりました」
「ことりちゃん、どうしたの?」
穂乃果ちゃんから声を掛けられて、足を止めていた自分に気付きます。
「あっ、ううん。何でも無いの。ちょっと、ビックリしちゃって」
その時、ことりはちゃんと上手に笑えてたかな? 二人のことをしっかりお祝い出来てたかな? 心の底から、喜んでいるように見えてたかな?
おめでとう! なんて口にしても、心の中はもう何も分からないくらいにグチャグチャで。
どうしてもっと早く行動しなかったんだろう。どうして自分の気持ちをもっと早く打ち明けなかったんだろう。
どうして、どうして、どうして、どうして!
どうして、海未ちゃんなの!!
「ちょっと前に、海未ちゃんから告白されて。海未ちゃんったら、おかしいんだよ。穂乃果の全てを私に下さい! なんて、言うんだから」
穂乃果ちゃんが嬉しそうにそう言うと、海未ちゃんが「穂乃果! そ、その事は!」なんて慌て出しちゃって、でもそうやってる海未ちゃんもすっごく楽しそうで。
ことりは、ぼーっと、それが遠い世界のお話で、もう自分には全然関係の無いような、そんな気持ちでそのやり取りを見ていたんだけど、穂乃果ちゃんはそんな現実逃避すら許してくれなくて。
「あのね、私達三人は、ちっちゃい頃からずっと一緒だったでしょ? だから、もし私達二人が付き合っても、ことりちゃんが大事な大事な友達ってことには一切変わりがなくて、それでそれで、えーっと……」
友達。そう、ことりと穂乃果ちゃんは友達。トモダチ、なんだよね。大事な大事な、トモダチ。
「う~ん、えっと、上手く言えないんだけど、ことりちゃんもずっと一緒だからねっ!」
ずっと一緒。でも、それは、あくまで友達として。大事な友達として、なんだよね。
「つまり、私と穂乃果が付き合ったとして、ことりと私たちとの友情は変わらない。だからことりには、私たちが付き合ったことで変な遠慮はして欲しくない、と。そういうことを言いたいんですよね?」
「そう! うん、さっすが海未ちゃん」
……ああ、それは何て残酷な宣言なんでしょう。
ことりと、穂乃果ちゃんと、海未ちゃんは、これからもずっと一緒。
穂乃果ちゃんと海未ちゃんはそう言ってくれるけれど、でもその関係は、決してずっと一緒じゃないよ。
現にこうして、変わっちゃったんだから。
ことりと穂乃果ちゃんは友達として。海未ちゃんと穂乃果ちゃんは恋人として。これから、お付き合いしていくことになるんだよ。
此の世に神様が居るのなら、何て残酷なことを思い付くんだろう! って、思わず叫びそうになっちゃいました。
ことりはこれから、一番大好きな人のことを一番近い位置から、だけれど自分の手には絶対に届かない場所で、ずっとただ眺めていることを、ここで約束させられてしまったんです。
「ありがとう、海未ちゃん。穂乃果ちゃん。ことりたち、ずっと友達で居ようね」
口ではそんな風に簡単に言えるけれど、二人が付き合うようになってから、ことりたちの関係は、やっぱり少しずつ変わっていってしまいました。
それが、海未ちゃんと穂乃果ちゃんのせいなのか、それともことりのせいなのかは分かりません。きっと、どっちにも原因があったようにも思います。
穂乃果ちゃんと海未ちゃんは、ことりが一人にならないように変に気を遣ってくれる節があったから、μ’sの練習が終わって帰る時だって、これまでしていたように「ことりちゃん、一緒に帰ろ?」って、ことりを誘ってくれました。
でも、誘ってくれるまではこれまでと同じでも、その帰り道はこれまで通りには当然いきません。
三人で帰っている時、穂乃果ちゃんと海未ちゃんは自然に手を繋いでいて、時々目を合わせては軽く頬を染めるんです。
そんな光景を見る度に、苦しくて苦しくて、胸がいっぱいになって。
どうしてこんなに辛い思いをしなきゃいけないんだろう、って何回も思ったりしました。
一方でことりも、二人が二人きりで居る時間を邪魔しちゃいけないんだって、出来るだけ二人から離れるように気を遣っていました。
でも、もしかしたらそこには、当て付けのような意味もあったのかも。
海未ちゃんも穂乃果ちゃんも優しいから、ことりがわざと二人を避けるようにすれば、きっともっとことりのことを構ってくれるだろう、っていう。そんな汚くて、醜くて、虚しい打算が、ことりの胸の内に。
でも、そんなことをしている自分自身が許せなくて、二人の幸せを心から願ってあげられない自分が惨めで、こんな人間が二人の傍に居ちゃいけないんだ、って思い込みが更にことりと二人の距離を引き離していって。
気付けば、仲の良かった幼馴染の3人組は、何処にも居なくなっちゃってました。
もうこれ以上一緒に居たくなんて無いのに、一緒に居たってとにかく苦しくなるだけで、でもμ’sっていう大きな鎖に縛られて、穂乃果ちゃんから、海未ちゃんから、逃げ出すことが出来ない状況と、ギスギスした関係だけが、ことりには残されていたんです。
今日はここまでにさせて頂きます
続きはまた明日、投下致します
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました!
レスありがとうございます!
少し時間に余裕があるので、続きを投下します
キッカケはある日の練習終わりのこと。
いつも通り(このいつも通りって言うのも、海未ちゃんと穂乃果ちゃんが付き合いだしてからのことなんですけど)、普通に着替えるよりもずっと、時間を掛けてことりが着替えている最中に、海未ちゃんが「ことり、帰りましょう?」と声を掛けてくれました。
その後ろには、穂乃果ちゃんの姿。
「ごめんね、海未ちゃん。ことり、着替えるのが遅いから、先に穂乃果ちゃんと帰ってて? きっとすぐに追い付くから」
「そう、ですか……」
海未ちゃんは悲しそうな表情で、でもすぐに返事をして、部室を出て行きました。
穂乃果ちゃんも「ことりちゃん、早く来てね」って、泣きそうな顔で一言、すぐに海未ちゃんの後を追い掛けて行きます。
これももう、日常の光景です。
最初の頃は、ことりちゃんが着替えるまで待ってる! って穂乃果ちゃんは言ってくれていたんですけど、ことりがそれを一度強く拒否してからは、二人ともことりが着替え終わるのを待つことは無くなりました。
だから、このやり取りもお互いに「フリ」でしか無くて、一応やっているだけなんです。
友達っていう体裁を取っておく為だけの、フリ。こんな風に言っちゃうのは、海未ちゃんと穂乃果ちゃんに失礼かな?
でも、本当は二人とも分かってるんだよね?
部室から、二つの影が寄り添って一つになった影を見て、ポツリ。
「ことりはもう、二人に一生追い付くことなんて、出来ないんだから」
とっくに着替え終わっているのに、万が一にだって二人に追い付きたくないから、今日もしばらく部室で適当に時間を潰します。
携帯を弄ったり、μ’sの衣装を考えたり、宿題をしたり……。
30分もしたところで、いつもは帰り支度を始めるんですけど、今日は突然、部室にノックの音が飛び込んできて。
「ことり、居るんでしょ?」
そのノックの後に、険のある声が続きました。
「……真姫ちゃん?」
「入るわよ」
ことりが返事をする前に、真姫ちゃんが扉を開けて部室に入ってきます。
「こんな時間まで、何をしてたわけ?」
「真姫ちゃんの方こそ、忘れ物でもしたの?」
「質問に質問で返さないでよ」
「私は、ちょっと用事があって。ほら、宿題とか、次のライブの衣装とか、家でやったり考えるよりも、部室の方が捗るかな~って」
「嘘ね」
不機嫌な様子を少しも隠そうとしないで、真姫ちゃんはことりに次々と言葉をぶつけてきます。
なんで、真姫ちゃんはこんなに怒ってるんでしょう。
「嘘って、ことり、嘘なんて吐いてないよ」
ことりがそう言うと、今度は眉をへの字に曲げる真姫ちゃん。
「そんなに、私は信用出来ないかしら?」
「信用、って……」
もしかして真姫ちゃん、ことりのことを心配してくれてるのかな。普段はツンツンしているけど、真姫ちゃんは優しい子ですね。
「何か、悩んでいることがあるなら、相談してくれたって良いじゃない。私達は、同じμ’sっていうスクールアイドルの仲間なんだから」
仲間。いつも素直じゃない真姫ちゃんからストレートに思いをぶつけられて、ことりはちょっぴり驚いちゃいました。
「ことり、そんなに何かに悩んでるように見えたかな?」
「だって、明らかにおかしいわ。穂乃果と海未と、何かあったんでしょう? あなた達、ずっと仲が良かったのに、突然一緒に帰らなくなるし。それに、何だかギクシャクしていて。そのせいで、最近はμ’sもおかしな雰囲気だから」
「……そっか、そうだよね」
ことりのせいで、海未ちゃんと穂乃果ちゃんだけじゃなくて、μ’sのみんなにも迷惑を掛けちゃっていたんだ。
「他のメンバーだって、心配してたのよ。でも、あなたたちのことだから、きっと一時的なモノだろうと思って、みんな、様子を見ていて。でも、ね」
いつまで経ってもことりたちが仲直りする様子を見せないから、真姫ちゃんは心配になって、いつも部室に残っていることりのことを見に来てくれたんだ。
「やっぱり真姫ちゃん、優しいね」
「なっ、別に優しくなんて」
別にそこは否定しなくたって良いのに。おかしくって、思わず笑っちゃう。
「ふふっ、真姫ちゃんってば、照れ屋さんなんだから」
「あ、アナタねー。もう……」
頬を赤く染める真姫ちゃんを見ながら、心の中で感謝の気持ちを抱くと同時にことりは、この悩みが誰かに打ち明けることで解決する性質のものじゃないということを、冷静に考えていました。
「ねえ、ことり。私は、アナタの力になりたいの。だから、悩んでることがあれば、話して欲しい。それとも、この私じゃ、力になれないかしら?」
この私、という部分を少し冗談めいた口調で強調して、扉の前に居た真姫ちゃんがことりの方に向かって歩いて来ます。
イスに座っていたことりとの距離を詰める真姫ちゃんの頬は、未だにまだ赤くて。
(あ……)
ことりはその一瞬、気付いてしまったんです。気付きたくなかった。気付くべきじゃなかった、ことに。
取り敢えずここまでにします
続きはまた夜か、明日投下します!
ありがとうございました!
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