娼婦「男さん、愛しています」 (37)

胸糞展開あり、処女厨にはおすすめしない

立ったら書く

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男「娼館…ですか?」

先輩「そうそう。お前確か、まだ女知らないよな?」

男「ええ、まぁ…」

先輩「女はいいぞ?やわらかくてしっとりしてて、癒してくれる。俺らみたいな明日をも知れない奴らにとっちゃ、最高の存在だ」

男「でも、金が…」

先輩「今日だけおごってやるよ。ほら、行くぞ!」グイッ


ー娼館ー

受付「あら先輩ちゃん、お久ー。後ろの子はお連れさん?」

先輩「最近、新人がはいったって聞いてさ。こいつも初めてだから、頼むよ」

受付「了解。先輩ちゃんはいつもの売れっ子ちゃんよね?」

先輩「もちろん。じゃあ男、後でな?」ヒラヒラ

男「あ、ちょっとま…」

男「(行ってしまった…)」


男「(俺達軍人は、いつ死んでもおかしくない。戦友は増えては減り、減っては増える)」

男「(故郷に恋人がいても、独り身でも、誰にでも死は訪れる)」

男「(もちろん、この俺だって……)」

娼婦「……あのー、大丈夫ですか?」

男「!? わ、あ!」ビクッ

娼婦「あ、ごめんなさい。部屋に来ないから、迎えに来たんですけど…」

男「すいません、考え事してて……、」


男「(その瞬間、俺は思わず息を呑んだ)」

男「(目の前に立つ、華奢で儚く、異国の色彩の繊細な外見をした少女)」

男「(鈴を転がしたような声は心に沁み、庇護欲をかき立てる)」

男「(娼館の趣味なのか、身にまとう白い質素な服が、より少女の儚さを引き立てていた)」


娼婦「……?お客さん、大丈夫ですか?」

男「! す、すいません、娼館とか初めてで、緊張してて…」

娼婦「ふふっ、大丈夫ですよ。私も、ここに来たばかりですから」ニコッ


男「(苦し紛れの言い訳に、少女が微笑んでくれたことに心底安堵した。それと同時に、今まで感じたことのない胸の高鳴りが起きた)」


男「(部屋まで案内され、ベッドの上に座らされた。早速しゃがみこんで俺の前をくつろげようとする彼女を、俺は必死に制止した)」

男「ちょ、ちょっと待って!ください!」アタフタ

娼婦「え? も、もしかして何か、不手際でもありましたか?」アセアセ

男「そうじゃないです!でも待って、離れて、待って!」ガサゴソ

娼婦「え、え?」


男「(しばしの混乱の後、少女を少し距離を置いてベッドの上に座らせる。少女も混乱が解けたのか、申し訳なさそうな顔をしていた)」

男・娼婦「「あの…」」

男・娼婦「「!!」」

男「ど、どうぞ」

娼婦「いえいえ、お客さんがお先に」

男「……えっと、じゃあ俺から」

男「あなたは……えーっと…」

娼婦「あ、娼婦です。私の名前」

男「…娼婦さんは、ここに来たばかりって言ってましたよね」

娼婦「はい。あ、もしかしてそれが原因ですか?ですよね、もっと経験豊富な人のほうが……」ショボン

男「あっいや違っ、ただの世間話でっ」アセアセ

娼婦「ふふっ、冗談です。お客さんも初めてですよね」ニコッ

男「は、はい」ドキッ


男「(ふたたび感じた胸の高鳴りは、自分の彼女に対する思いを自覚するには十分だった)」

男「(しばらくの雑談をし、時に致そうとする彼女を止め、また雑談をする)」

男「(彼女をもっと笑わせたい、ずっと笑顔でいて欲しい。そう思った俺は、彼女に向き直って言った)」


男「あの、俺、男って言います」

娼婦「男さん、ですか。いいお名前ですね」

男「その、よかったら、また来るんで、今日みたくお話しませんか?」

娼婦「お話……ですか?」キョトン

男「い、嫌ですか……?」

娼婦「…ふふっ、そんなこと、ありませんよ。是非、待ってます」ニコッ

男「よかっ…!!」パァア


男「(彼女の言葉に夢見心地になった俺は、その後どうやって帰ったか覚えていない)」

男「(帰り際渡された彼女の名刺を大切に仕舞い、その夜は眠った)」


ー数ヵ月後ー

男「しょ、娼婦さんお願いします」キョロキョロ

受付「あら、男ちゃん。このごろよく来るわねぇ。もしかして、惚れてるの?」

男「!!」ドキッ

受付「相変わらず素直ねえ。そんなんじゃ、すぐ騙されちゃうわよ?」カラカラ

男「受付さん…!///」キッ

受付「やーね、すぐ赤くなっちゃって。娼婦ちゃんでしょ、待ってるわよ」

男「え?」ポカーン

受付「そろそろ来る筈だって、さっき念入りに身づくろいしてたのよ。おアツいことね」

男「いっ、行ってきますっ!!!///」ダダッ

受付「行ってらっしゃ~い。そろそろ、キスぐらいしてみたら~?」

受付…「…聞いてないし。まったく、いつまで青臭いことやってんのかしら。もっとガバッとイっちゃえばいいじゃない」

先輩「男にそんなの無理だよ、分かってんでしょ?」

受付「あらま、先輩ちゃんじゃない。どうしたのその顔、男前が増してるわよ」

先輩「ははは、姫の機嫌を損ねてしまってな。思いっきりやられた」ボロッ

受付「どーせまたヘンなことやったんでしょ。売れっ子ちゃん、単純だから」

先輩「否定はしない」


男「し、失礼します…」ギィィ

男「(何度も訪れ見慣れた部屋に、今日は少しだけ違うところがあった。窓際の花と、かすかに香る甘い匂い)」

男「(どちらもほとんど自己主張をしない、大人しい感じがこの部屋の住人に合っていた)」

娼婦「あ、男さん!いらっしゃい、待ってましたよ」ニコッ

男「娼婦さん、こんばんは。お花、買ったんだ」

娼婦「はい。今日、通りで見かけて。綺麗ですよね」

男「確かに。娼婦さんに似て、綺麗だ。名前はなんていうの?」

娼婦「あ、ありがとう…/// えと、名前はわからないんです」テレテレ

男「そうなんだ。どこで買ったの?」

娼婦「5歳くらいかな、籠にいっぱい入れて売ってたんです。それで、いっぱい買いすぎちゃって、他の部屋にも…」

男「へえ…やっぱ娼婦さんは、優しいね」

娼婦「そんなこと、ないです/// 偶然見かけたってだけで…」

男「でも、優しいよ。そうだ、昨日先輩が話してたんだけど……」


男「(彼女と過ごす時間はゆるやかで、ぬるま湯に浸るような心地よさがあった)」

男「(どんなにつらいことがあっても、この瞬間だけは全て忘れて、笑うことが出来た)」

ー戦場ー

ドガーン...パラララ...

友人「ぐぁああああっ!!!」

男「友人!くそっ、友人が腕をやられた!誰か衛生兵を呼んでくれ!」

同期「そんな余裕ねえよ、今こん中飛び出してったら、あっという間にミンチだ!」

男「…っ!仕方ない、応急処置だけでも…」

友人「いいよ、男。どうせ無駄だ」ゼーハー・・・

男「友人?無駄なんてことはない、今手当てすれば…」

友人「両腕がお釈迦になったんだ、これ以上戦えねえ。貴重な薬を無駄遣いするくらいなら、しないほうがいい」ググッ

男「、友人……」

友人「…なあ、誰か爆弾持ってるか?あったら、一個くれ」

同期「お前、もしかして……」

友人「最後くらい、一花咲かせてーんだよ、協力してくれや」ニカッ

男「……故郷の妹はいいのか?最後の家族だろう?」

友人「…いいんだよ、もう。それに、こんな腕じゃ抱きしめることも出来ねえ」

同期「…分かった。 ……寂しく、なるな」ポイッ

友人「さんきゅ。じゃあ、逝ってくるか。あ、それと男」

男「……?」

友人「俺の妹は、お前に惚れてる。俺の代わりに幸せにしてやってくれ」

男「友人……!!お前、」ハッ

友人「じゃーな、お先に向こうで待ってるぜ」ダッ


ドーン...



男「(友人の妹は、その知らせを聞いたとき、兄似の笑顔をくしゃくしゃに歪めて泣き喚いた)」

男「(叩きつけるような、人殺し、という一言が忘れられない)」


ーー
ーーー
ーーーー

娼婦「男さん?」

男「、あ、な、何?」

娼婦「…何か、つらいことでもあったんですか?」

男「! そ、それは…」

娼婦「……無理に話さなくてもいいですけど、私に何か出来ることがあったら、何でも言ってください」

娼婦「男さんのこと、心配ですから」ニコッ

男「娼婦さん……」



男「(彼女は、俺が軍人であることを知らなかった)」

男「(聞けば彼女は、戦争で家族を失い、生きるために娼館に来たという)」

男「(戦火の中、身一つで生きてゆくことを選んだ彼女は、誰よりも気高く、美しかった)」

男「(そんな彼女に、自分が人殺しであることを、人を殺して稼いだことを明かす勇気は俺にはなかった)」

ー宿舎ー

先輩「よお、最近娼婦ちゃんとうまくいってる?」

男「先輩こそ、売れっ子さんとは仲直りしたんですか?」

先輩「ぐっ、な、なぜそれを・・・!」

男「受付さんがものすごい笑顔で言いふらしてましたよ」

先輩「うわああ、受付ちゃんの薄情者!あと、仲直りはしたよバーカバーカ!」ダッ

男「あ、いっちゃった……見かけによらず、打たれ弱いよな、あの人…」

同期「男、今何話してたんだ?先輩が傷だらけで泣きながら走ってたんだが…」

男「あー、実はかくかくしかじかで…」

同期「なるほど…。なあ、お前これから時間あるか?」

男「どこか行くのか?」

同期「…友人の、墓参りだよ」



男「(友人の遺体はばらばらで、唯一勲章と手足の破片、顔の上部が回収できたくらいだった)」

男「(それでもまだ、判別が出来ただけマシだろう)」

男「(念入りに手入れがされた友人の墓は、寂れた墓地でひときわ目立っていた)」


同期「新品の花に、立派な供え物。あいつ、本当に愛されてたんだな」

男「……ああ」

同期「…俺たちも、いつかはこうなるんだろうか。安らぎとは程遠い戦場で、悼む暇もないまま、はらわたぶちまけて」

男「……」

同期「…まずは、近況報告でもするか。あの後、俺達は勝ったよ。お前のおかげで」

同期「お前が主力のところを叩いてくれたから、敵方も総崩れで、戦果を収めることが出来た」

同期「……いつか、勲章つけたいって言ってたよな、お前」

男「……」

同期「でももう、つけらんねぇや……」ポタポタ


男「(その後、友人にいくつか話をして、来る途中買った花を置いて、墓地を後にしようとした)」

男「(その途中、見知った影を見かけた)」


男「娼婦さん…?」


男「(寂れた墓地の隅に一人たたずむ彼女は、どこか神聖な空気を放っていた)」

男「(その手には小ぶりの花束があり、彼女も誰かの墓参りに来たのだと推測できた)」


娼婦「……あ、男さん。こんにちは」ニコッ

男「こんにちは。娼婦さんもお墓参り?」

娼婦「……はい、そんな感じです」

娼婦「男さんは、これからどうします?」

男「どうするって…特に用はないかな。娼婦さんは?」

娼婦「私、このあと暇なんです。それで、よろしかったら、お散歩でもしませんか?」

男「い、いいんですか?///」

娼婦「勿論。ちょっと、一緒に行きたいところがあって」

今日はもう落ちる
見てくれてありがとう



女の子「あ、おねーちゃん!さっきはありがとう!」ニコッ

娼婦「私こそ、綺麗なお花をありがとう」


男「(通りを歩いていると、一人の少女が声をかけてきた。口振りから察するに、件の花の子らしい)」

男「(少女の持つ籠には少し空きが出来ており、彼女の花束と同じ種類の花が詰まっていたから、彼女はここで買ったのだろう)」



女の子「お姉ちゃんの隣の人、彼氏さん?デート中なの?」

男「え!?えっと…」

娼婦「ふふっ、そうよ。お姉ちゃんたち、ラブラブなの」


男「(そういって彼女は、イタズラっぽく笑って俺の腕に手を回す。少女が顔に手を当てて、指のすき間からのぞいた目と目が合った)」


男「しょ、娼婦さん!?///」アタフタ

女の子「ふぁあ、ラブラブなんだね~…/// 邪魔しちゃって、ごめんね?」

娼婦「そんなことないわよ。じゃあね?」ニコッ

女の子「うん、彼氏さんもまたね~」フリフリ

男「あ、うんまた…///」フリフリ

娼婦「じゃ、行きましょうか、彼氏さん?」ギュッ

男「ぅあっ! は、はい…///」


男「(そのまましばらく歩くと公園が見え、彼女はようやく腕を開放してくれた。適当なベンチに座り、飲み物を買いに走る)」

男「(腕がいいのか軽食屋は大繁盛で、行列で散々待たされてから戻ると、彼女はベンチのそばの花壇に見入っていた)」



男「娼婦さん?」

娼婦「あ、男さん。すいません、勝手に離れちゃって」パッ

男「いや、それはいいんだけど……。この花を見てたの?」

娼婦「ええ、元は私の故郷に咲いてた花らしいんです。昔、戦争が起きる前に持ち込まれたそうで」

男「へえ…。変わった形の花弁だね。でも、どこかで見たような…」

娼婦「まあ、花屋でも普通に売ってますからね。それより男さん、お飲み物いくらでした?」

男「え、いいよいいよ。俺が好きで買ってきたようなものだし」

娼婦「でも…」ショボン

男「じゃあ代わりに、娼婦さんの故郷の話を聞かせてよ。興味がわいてきてさ」

娼婦「……いいですよ、今日はお勉強の時間ですね」ニコッ


男「(彼女が故郷について話す姿は、とても生き生きとしていた)」

男「(いつもどこか悲しげな目をしている彼女は、故郷の話の時だけ子供のように目を輝かせた)」



娼婦「…あ、もうこんな時間。そろそろ帰らなきゃ、ですね」

男「ほんとだ。よかったら、送っていくよ」

娼婦「いいんですか?ありがとうございます」

男「これでも一応、力に自信あるからね」

娼婦「ふふっ、頼りにしてます」ニコッ


男「(彼女を娼館に送り届けるまでの間、とりとめのない話をいくつかした)」

男「(売れっ子さんの初恋の話、鬼の部隊長が実は愛妻家な話、受付さんが髭をそり忘れたときの話)」

男「(しばらくたつと会話も途切れて、微妙な沈黙が漂った)」


男・娼婦「「あの…」」

男・娼婦「「!!」」

男「ど、どうぞ」

娼婦「…なんか、前にもこんなことありましたね」クスッ

男「…そうですね。じゃあ今度は、娼婦さんからどうぞ」

娼婦「あ、はい…男さんは、ここで生まれたんですよね?」

男「あぁ、うん…。娼婦さんは確か、北の生まれだっけ」

娼婦「はい。男さん、ご家族はいらっしゃいますか?」

男「いるけど…。え、何?どうしたの?」

娼婦「実は最近、私の家族が生きているかもしれないって聞いたんです」

男「!! ってことは…!」

娼婦「……はい。無理を承知でお願いします。男さんに、私の故郷に行ってもらいたいんです」


男「(彼女の故郷とこの国は、数年前開戦してからずっと、互いに渡航禁止状態にある)」

男「(唯一許可されているのが、運び屋と一部の政府関係者のみ。それ以外は、下手すると殺されかねなかった)」

男「(以前彼女に職業を聞かれ、咄嗟に運び屋と答えた俺は、彼女が縋るに相応しい存在だった)」


男「リキノ村、か…」


男「(彼女の故郷であるリキノ村は、戦争が始まって真っ先に侵攻された村だ)」

男「(今は半植民地化していて治安も落ち着いているが、少し前は本当にひどかったらしい)」

男「(勿論運び屋でもなんでもない俺が、任務に関係のないところに赴くわけにも行かず頭を抱えていると、思いがけない話が転がり込んできた)」


同期「男。お前、リキノ村って知ってるか?」

男「えっ!?あ、ああ」


男「(ちょうど考えていたことを言われ、勢いよく跳ね起きる。それに驚いたのか同期は目を丸くした)」


同期「いやなんかな、リキノ村にいくみたいなことを部隊長が言っててさ。しばらく目立った戦闘もないから、上層部が戦果を欲してるらしい」

男「なるほど…。でも、なんでリキノ村なんだ?あそこは、確かもう随分前に降伏しただろ」

同期「それがなんかさ。ずっと別の戦場に出てた奴が帰ってきて、そいつを旗印に決起したんだと」

男「ああ、なるほど。でも、どうせろくな戦力もないから現地の奴らで十分だろ?」

同期「それがさー。窮鼠猫を噛むっつーの?ジリ貧だからこそ逆に強くてさー。そこで俺達精鋭部隊に白羽の矢が立ったってことだ」

男「後半はよく分からんが、そうするにやばいんだな。まああそこは割りと早めに降伏してたから、締め付けもゆるかったしな」

同期「あ~あ、やんなるよ。友人に続いて、今度は俺の番かねぇ」

男「縁起でもないこと言うなよ。じゃあ、俺は外行ってくる」

同期「あ、お前あれか!例の彼女だろ!?ずりーなー、ずりーよお前ー!」

男「羨ましかったら、お前も真似ればいいだろ。金ならあるだろ?」

同期「チクショー!童貞仲間がまた一人減ったー!!」


男「(同期の悲痛な叫びを背に、足早に娼館に向かって歩く。頭の中には、先ほど言われたことがぐるぐると渦巻いていた)」

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