佐村河内「誰ですか?私の演奏会で携帯を鳴らした」(57)

佐村河内「お馬鹿さんは?」

女「すみません…電源を切り忘れてて」

佐村河内「言い訳はいいです。あなたを営業妨害で訴えます」

女「そ、そんな」



俺「ちょっと待った」ガタッ


佐村河内「なんですか?」

俺「携帯の音、聞こえたんですか…?」

佐村河内「ええ。はっきりとね。あなたも聞こえたでしょう?」

佐村河内「そちらのお馬鹿さんが鳴らした着信音を」

女「うぅ…」

俺「お前のおちんこはどんな感じだ!?」

佐村河内「な、やめなさい!」

俺「おらぁ!」ズルンッ

佐村河内「なっ……」

俺「中々よろしい感じじゃねえか!味はどうだ!?」ジュポジュポ

佐村河内「やめろ!あっ」


俺「確かに聞こえました。演奏を遮るには十分な着信音が」

女「ごめんなさい…」

佐村河内「ええ。その通りです」

俺「…おかしいですねえ」

佐村河内「はい?」

俺「聞こえたんですよね。着信音」

???「佐村河内さんの耳、私なら直せます」

佐村河内「科学的にありえません!」

小保方「あり得るんです!私のSTAP細胞なら!!」

佐村河内「何度も言っているでしょう」

佐村河内「そこのお馬鹿さんのせいで!!!」

佐村河内「私の神聖なる演奏会を中断しているんですよ!!」バンッ←なんか杖で床を叩く音

女「ひぃぃい」ガクブル

俺「佐村河内さん。あなた耳が聞こえないはずでは?」

佐村河内「!」

女「!」

観客「!」


佐村河内「なな…何を?」

俺「それなのにどうして聞こえたんですか?」

観客「た、確かに」

観客「どういうことだ?」
ざわざわざわざわ


佐村河内「くっ…!」


男「あなた本当は聞こえてるんでしょう?」

佐村河内「しししし失礼なことを言うな!?私の耳は聞こえない!」

佐村河内「ほら!?これがその障害者手帳だ」サッ

俺「ならどうして着信音が聞こえたんです!?」

佐村河内「そ、それは………」

女「…」ジー

観客「…」ジー


佐村河内「そう!振動だよ!!」

佐村河内「着信音の振動でわかったんだ!」

俺「振動ですか…?」

佐村河内「あ、ああ!音は聞こえないが、振動で伝わるんだよ!」

佐村河内「あなた方にはわからないだろうがね!」

俺「なるほど…」

観客「そういうものなのか?」

観客「さあ?でも盲目や失聴の人は他感覚が健常者より優れているらしいが」

ざわざわざわざわ ざわざわざわざわ

佐村河内「ニヤリ」

佐村河内「そういうことだ!」

佐村河内「さ。もういいでしょう。これ以上はあなたも営業妨害で訴えます」

俺「…わかりました。確かにその可能性は俺には否定出来ない」

佐村河内「なら…」

俺「ではこうして今、俺と普通に会話しているのは?」

佐村河内「!」

女「!」

観客「!」

女「確かにさっきから普通に会話している…」

観客「どういうことだ??」

観客「やはり聞こえているのか?」

ざわざわざわざわ ざわざわざわざわ


佐村河内「くぅっ!」

俺「どうなんです!?」


佐村河内「ぐぎぎぎぃ…」

佐村河内「そ、そうだ!読唇術だ!」

佐村河内「読唇術であなたが話していることがわかったんです」

俺「読唇術とは、口の動きで言葉が分かるというやつですか?」

佐村河内「その通りだ!私の読唇術は完璧ですからね」

佐村河内「会話などたやすいことです」

観客「読唇術か…」

爺「うむ。素人のワシでも多少の会話なら唇で読める」

爺「きゃつの言うことも一理あるのお…」

ざわざわざわざわ ざわざわざわざわ

佐村河内「フフ」

佐村河内「さあ。分かりましたね。今なら寛大な心であなたを訴えないであげます」

佐村河内「分かったなら席に着き…」




俺「お か し い で す ね え」

佐村河内「な、何がおかしいんだ!」

俺「佐村河内さん。女さん」

俺「そして観客の皆さん。俺に注目してください」

佐村河内「ふん…何を言って」チラッ

女「…」チラッ

観客「…」チラッ



「「「あ!!!!!!!!」」」








佐村河内「マスクをしているだとぉぉぉぉお!!!!?」


俺「その通りです。俺は重度の花粉症でねえ…失礼ながら今までずっとマスクをしていたんですよ」

佐村河内「ああああああ!」

観客「マスクをしている口の動きなんてわからないぞ!」

爺「あの小僧!やりおったか!」

女「じゃあ本当に佐村河内さんの耳は聞こえて…」

佐村河内「…」プルプル

俺「さあ、佐村河内さん。もう白状しましょうよ」

佐村河内「…」プルプル

女「…」ジー

観客「…」ジー

佐村河内「…がぅ」

俺「?」

佐村河内「違う!違うんだ!!私は本当に!!…」

俺「佐村河内さん!」

佐村河内「…私は嘘をついていました」

俺「佐村河内さん…じゃあ」

女「…」

観客「…」

佐村河内「ええ。着信音が振動で分かるというのも、読唇術も嘘です」

俺「では認めるんですね。本当は耳が聞こえていると」

佐村河内「は?」

俺「え?」

佐村河内「耳は聞こえてませんよ?」

俺「この期に及んでまだ…!」

観客「そうだ!!!」

ざわざわざわざわ ざわざわざわざわ

佐村河内「見栄を張ってしまいましてねえ。私一人でも会話が出来ると思わせたかったですよ」

佐村河内「障害者扱いされるのは好きじゃありませんから」


俺「じゃあどうやって着信音や俺の言葉が分かったんですか?」

佐村河内「それはですね…」

佐村河内「おーい!」

???「ハイ!」

佐村河内「手話師です。実は彼にこっそり手話で伝えて貰ってたんです」

佐村河内「ですよね!」ニヤリ

手話師「」バッバッバッ

俺「!」

女「!」

観客「!」

佐村河内「いやあ、皆さん。お騒がせしてすみません」

観客「…」

ざわざわざわざわ ざわざわざわざわ

佐村河内「これもそこのお馬鹿さんが携帯を鳴らしたせいです」

女「あぅぇ…」

佐村河内「では今一度私の演奏会をお楽しみ下さい!」

佐村河内「もちろんそこの女はつまみ出してね」

女「…」ポロポロ

佐村河内「貴方もよろしいですね?」

手話師「」バババババ

俺「くっ…」


佐村河内「ニヤア」


佐村河内「では演奏を再開しま…」





「待たれい!!!!!!!!」


佐村河内「!」

俺「!」

女「!」

観客「!」


佐村河内「…今度は何ですか?」

手話師「…」バババババ





爺「おかしいのぉ…」







爺「そこの手話師。ワシには何をやっとるのかさっぱりわからん」


佐村河内「え?」

俺「?」

女「?」

観客「?」

手話師「!」バッバッバッ

俺「どういうことですか?」

爺「ワシは少しばかり手話に造詣があっての」


爺「じゃがワシには分からんのじゃよ。そこの手話師の言葉が」

佐村「なっ…な」

爺「貴様。フェイクじゃろ?」

俺「…」ゴクリ

女「…」ゴクリ

観客「…」ゴクリ

手話師「…」


手話師「ワタシ日本語ワカリマセーン!!」

佐村河内「お、おい!?」

南アフリカから来たオッサン「サイナラー!!!!」タタタッ


佐村「あああ!?」

俺「…」

女「…」

観客「…」

爺「やはりの」


佐村河内「ぐはあっはぁ…」

俺「もう言い逃れは出来ませんね」

女「…」

観客「なんてやつだ!」

ざわざわざわざわ ざわざわざわざわ


佐村河内「畜生!」





佐村河内「ちくしょうぉぉおおお!!!!」


・・・・・・
・・・
・・



女「あ、ありがとうございました!」

俺「いや。俺は何もしてませんよ」

女「で、でも…」

俺「まあ演奏会で携帯を鳴らすのは感心しませんけどね」

俺「他のお客さんに迷惑がかかったのは事実だ」

女「…ごめんなさい。電源は切っていたんですけど…」

女「お尻のポケットに入れていて、何かの拍子に点いちゃったみたいです…」


俺「ははは。普通のコンサートホールでは電波が届かないように出来ているんですがね」

俺「ここは公民館だからそんな設備はない」

俺「不注意と不運が重なってしまったようだ」

女「………はぃ」

俺「でもそのおかげで彼の嘘が発覚したんです」

俺「そういった意味では神が起こした必然かもしれませんね」

女「…」


俺「では俺はこれで…」

女「あ、あの!」

俺「?」

女「お名前を教えていただけませんか!?」

俺「…」

俺「…名乗るほどの者じゃありませんよ」

女「………ぁ」

俺「じゃあこれで」






「許さん…許さんぞぉおお」


俺「!」

女「!」

佐村河内「ここにまで私をコケにしたお馬鹿さんはあなた方が初めてですよ…」

佐村河内「絶対に許さんぞぉぉお」

女「ひっ」ビクッ

俺「…まだ何かあるんですか?」



佐村河内「あなたを名誉毀損で訴えます」


俺「何を言うかと思えば…名誉毀損だと?」

佐村河内「確かに私の耳は3年前から聞こえる」

佐村河内「だが難聴であることは事実だ!科学的なデータもある!!」

佐村河内「それをあなたはまるで私が健常者のよう聞こえると言いましたよねえ?」


佐村河内「これは私に対する侮辱であり名誉毀損です」

佐村河内「敏腕弁護士を雇って、必ずあなたを訴えますから」

女「そ、そんな…」

俺「……なんて奴だ」

佐村河内「フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」






「まったく。往生際が悪い奴じゃの」


佐村河内「!」

俺「!」

女「!」

爺「さっきから聞いておれば…まるで反省しておらんの」

俺「爺さん…」

女「お爺さん…」

佐村河内「……またあなたですか」

佐村河内「あなたも名誉毀損で訴えますよ?」


爺「ふぁっふぁっ。佐村河内よ。貴様が今すべきことは名誉毀損で訴えることかの?」


爺「貴様がすべきことは、貴様を信じて、音楽を愛してくれたファンに謝罪することじゃないのかの?」

佐村河内「分かっていますよ。私は嘘を付いたことは反省していますし、ファンの皆さんにも真摯謝罪します」

佐村河内「ただそれとこれとは別です。私は天地神妙に使って難聴なのです」

佐村河内「だから私は事実でないことをでっちあげた人を名誉毀損で訴えるのですよ」

俺「…」

女「…」


爺「違うな」

佐村河内「何が違うんです!?」

爺「貴様は反省も、真摯な謝罪の心も持っとらんよ」

佐村河内「は?」

爺「貴様にあるのは、自分の嘘を暴かれたことに対する不当な怒りだけじゃよ」

佐村河内「!」

爺「自分のことしか考えとらん」

佐村河内「くっ…」プルプル

爺「しっかり自分を見つめ直すことじゃな」


佐村河内「………ふふふ。言いでしょう…あなたも名誉毀損で訴えてあげますよ!」

俺「佐村河内…」ギリッ

女「…」ギリッ

佐村河内「覚悟して下さいね」ニタァ

爺「ふん。おい」

黒服達「「「「「「「はっ!!!」」」」」」」

佐村河内「!」

俺「!」

女「!」


爺「弁護士の用意をしておけ」

黒服「はい。超一流の弁護士軍団を用意しておきます」

佐村河内「なっ…」

爺「貴様が弁護士を立てると言うのなら」

爺「ワシは何人何十人の弁護士を立てて法廷で待っているぞ」

佐村河内「くぅぃぃぃぃぃいいいいいいあえあえいい!!!!」

佐村河内「あばばばばばばばば」タタタ


爺「ふん。逃げよったか」

俺「助かったよ。爺さん」

女「ありがとうございます」ペコリ

爺「なあに。あの手の人間の執着心は凄いからの」

爺「それに久しぶりに骨のある若者に出会えてワシは満足じゃ」

俺「…爺さん、何者だ?」

爺「名乗るほどの者じゃありゃせんよ」

俺「…」

女「…」

爺「…」





「「「はははは」」」


爺「さて…ワシも帰るとするかの」

俺「じゃあな」

女「さようなら」ペコリ

爺「…女よ。そやつを逃がすんじゃないぞ」

女「は、はい//」

俺「?」




爺「これにて一見落着!」





おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月21日 (金) 09:20:19   ID: WnDfE0xs

爺かっこえええええええええええええええええええええ

2 :  SS好きの774さん   2014年03月29日 (土) 22:20:16   ID: kENyD5kL

佐村河内ウザイ

3 :  SS好きの774さん   2014年10月20日 (月) 22:30:29   ID: Q9dBXft1

良スレみっけた^^

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