柳清良「かりそめの愛を」 (53)

亜子「で、何の話?」

愛海「人を紹介してほしいの」

亜子「どんな人を?」



愛海「……清良さんの弱点を、探せる人を」

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愛海「うひひひ……清良さん、今日こそ指の運動をですね」

愛海「そんなことしたらダメよ愛海ちゃん~、お注射しちゃいますよ♪」ニコニコ

愛海「おっと!これを見ても、まだそんな余裕でいられますか~?」

愛海「!?そ、それは……!」

愛海「清良さん。あたしはね、あなたの秘密を握っているんですよ」キリッ



亜子「………」

愛海「い、一体それをどうするつもりなの、愛海ちゃん!?」アセアセ

愛海「これをプロデューサーにバラされたくなかったら……」ニヤニヤ

愛海「そのふくらみを、我が手に!」スッ

愛海「あの秘密がなければ……愛海ちゃんなんかに……!」

愛海「よかったじゃないですか、クスリを使わずに済んで」ガバッ

愛海「んんんんんんんっ!」ビクビクン



愛海「みたいな感じでね?攻略できたらなーって」

亜子「今の流れでアタシに抱きつく必要あったん?」

亜子「つまり、清良さんの弱点を掴むための情報収集がしたいと」

愛海「いぇ~す」

亜子「んー……心当たりはあるよ」

愛海「ほほう」

亜子「信頼度の高い順で松、竹、梅の三人」

愛海「どんな人なのか気になるなぁ、失敗してほしくないし」

亜子「じゃあ、迷った末に一番人が選びやすい竹から……」

亜子「一言で言うと、ニンジャやね。隠れ身の術や、分身もできるらしいよ」

愛海「竹でいいのそれ!?」

亜子「欠点は、彼女が忍者ではなくニンジャであるということかな」

愛海「え?」

亜子「忍者をやる時は、必ず忍び装束を着ないとダメなんだってさ」

愛海「……ものすごく目立たないそれ?」

亜子「うん。周囲から激しく浮くレベル。本人は至って気にしないけど」

愛海「そ、それじゃダメじゃん!」

愛海「松は?」

亜子「沈着冷静、頭脳明晰、趣味は諜報活動と、三拍子揃った逸材や」

愛海「パネェですね」

亜子「この間もOLに間違えられたんやって。尾行もバッチリかも」

愛海「じゃあ、松でお願いします!」



亜子「………」スッ

愛海「?」

亜子「紹介料」クイクイ

愛海「……いくら?」

亜子「500マニー」

愛海「くっ……」チャリン

亜子「毎度ありー♪」


prrrr prrrr


亜子「……あ、もしもしマキノさん?今いいですか?」

亜子「えっとですね、ちょっと頼みたいことがあって……え?」

愛海「?」

亜子「今忙しくて手が離せないって。これは仕方ないね」ピッ

愛海「えー……」

亜子「じゃ、マニー返すよ」チャリン



愛海「……あれ?あと100マニー……」

亜子「迷惑料。さっき抱きついたついでに、揉んだやろ?」

愛海「ぐ、ぐぬぬ……!」

愛海「となると……もう残ってるの、梅しかないよね」

亜子「梅はなー、情報収集する必要すらないんよ。この場で済んじゃうかも」

愛海「マジですか」

亜子「多分今は暇してるから、呼べばすぐ来ると思う。やる気もバリバリあるで~」

愛海「最初からそれ呼べば良かった気が……」

亜子「紹介料は100……と言いたいところだけど、今回は特別にタダでご提供!もってけ泥棒!」

愛海「じゃあ、梅で」

愛海「………」



裕子「どどどどど」



愛海「………」



裕子「どどどど、どどどどどどど」

愛海「あの……なに?その、どどどどって」

裕子「あれ、知らないんですか?ジョジョの奇妙な冒険で使われてる、有名な効果音ですよ」

裕子「ちなみに今とってるポーズは、花京院典明です」ズアッ

愛海「………」

裕子「亜子ちゃんから事情は聞きました!清良さんの弱点が知りたいそうですね!」

愛海「………」

裕子「私が来たからには、もう大丈夫!このサイキックパワーで、何もかもまるっとお見通s」

愛海「すいません、チェンジで」

裕子「あれっ!?」

愛海「ちょっと亜子ちゃん、これは一体……ってもういないし!?」

裕子「レッスンがあるとかで、さっき出て行きましたけど」

愛海「う~~~ううう、あァんまりだよぉぉ……こんなポンコツあたしに押しつけていくとか」

裕子「ぽ、ポンコツなんかじゃありません!ちゃんと探せるんですからね!」

愛海「ホントに?」

裕子「ちょっと待ってください……ムムムン!」



裕子「あ、いました。多分あっちです!」スタスタ

愛海「え、ちょっとどこへ……」

清良「………」





裕子「ホラ、ちゃーんといたじゃないですか。清良さんです」ヒソヒソ

愛海「……誰も清良さんを探せとは言ってないんだけど」ヒソヒソ

裕子「!?」

愛海「いや、驚かないでよ。ってかどうするの、これから」ヒソヒソ

清良「………」ウツラ ウツラ



裕子「……居眠り、してるみたいですね。これはチャンスですよ」ヒソヒソ

愛海「あぁ、ダメダメ。素人はこれだから……」ヒソヒソ

裕子「え?」ヒソヒソ

愛海「一見無防備に見えて、その実まったくガードは崩れてないの」ヒソヒソ

愛海「あの秘密の花園には、見えない蜘蛛の巣状のピアノ線が張り巡らされているのよ……!」ヒソヒソ

裕子「違いますよ、そういうチャンスじゃなくて」ヒソヒソ

裕子「清良さーん……そのまま、ゆっくり深呼吸してください」

清良「……?」

裕子「全身の力を抜いて、頭をからっぽに……私の声だけを、聞いてください」

清良「………」スー ハー

裕子「そうです、吸ってー、吐いてー……はい、全身から力が抜けますよー」



愛海「……チャンスって、催眠術をかけるチャンス?」ヒソヒソ

裕子「そうです!」ヒソヒソ

裕子「はい、力が抜けてもう動けません、動けませんけどそれが気持ちいいんです」

清良「………」

裕子「清良さんは水の中で……波に揺られて、そう、とっても気持ちが良いんですよー」

清良「………」

裕子「波が大きく揺れます、揺れるんです、右に左に、どんどん大きく揺れますよー」

清良「………」ユラユラ

愛海「これ、サイキックとは違うような気がするんだけど」ヒソヒソ

裕子「ちょっと黙ってて下さい」ヒソヒソ

裕子「身体がどんどん重くなって、沈んでいきますよー。揺れるたびに沈んでいきますよー」

裕子「周りもどんどん暗くなって、視界も狭くなっていきますよー」

裕子「でもそれが、とーっても気持ちいいんです。すごーく、安心できるんです」

清良「………」ユラユラ

裕子「沈んでー、沈んでー……私が数を数えると、今度は何も感じなくなっていきますよー」

裕子「深くて暗ーい、でも安心できる、心地よーい眠りに……そのまま、すとーんと……」

清良「………」

裕子「1、2の……3!ムン!」ババッ



愛海「(……ひょっとしてガチでやってるのだろうか)」

裕子「……かかりました!催眠術は成功です!」

愛海「えっ」

裕子「今ならどんな質問も清良さんは、無意識のうちに答えてしまいます」

裕子「今の清良さんから秘密を聞き出せば、弱みを掴めるかもしれません!」

愛海「!……な、なるほど」

裕子「催眠術を解除すれば、質問の時の記憶は一切残りませんから」

愛海「これは確かに、千載一遇の大チャンスかも……!」

P「おい、何やってんだ?」

愛海「!?」

P「……清良さんに催眠術?」

裕子「はい、私のサイキックパワーが効いたんです」

愛海「(いつの間にサイキックしたんだろう)」



P「………」ジー

裕子「な、何ですかその目は」

清良「………」

P「清良さんが付き合ってくれてるだけじゃないのか?」

愛海「……あー」

裕子「じ、じゃあ質問をしてみて下さい!」

裕子「今の清良さんなら無意識ですし、何でも答えてくれますから!」

P「ん?今何でも答えるって言っt」

愛海「待って、プロデューサー」

清良「………」



愛海「……あたしが、質問する」ニヤッ

愛海「名前を教えてください」

清良「……柳、清良です……」

愛海「歳は?」

清良「……23、です……」

P「おいおい、そんなありきたりな質問してどうするんだ」

P「もっと聞くべきことがあるんじゃないのか?」

愛海「あたしは清良さんの弱点を知りたいんですよ」

P「何?」

愛海「今の清良さんは無意識、つまりウソはつけない」

愛海「もし見栄を張っていたとしたら、23とは答えないはず……」

P「公式発表の年齢を疑ってたのか?」

愛海「あたしはもうちょっと上だと思ってました」

裕子「確かに奏さんや菜帆さんみたいな、とても17歳には見えないアイドルもいますしね」

P「……裕子は恐れを知らないなぁ」

裕子「え?」

愛海「体重は?」

清良「……47kg……」

愛海「スリーサイズ、上から順に」

清良「……85、58……88……」

P「普段なら答えてくれそうもない質問だが、今のところ大体合ってるな」

裕子「何で清良さんの体重やスリーサイズが合ってるって分かるんです?」



P「……俺はプロデューサーだからな」キリッ

裕子「あ、そっか。流石プロデューサーですね!」

愛海「清良さん、好きな人はいますか?」

清良「……はい」

愛海「誰が好きですか?」

清良「……事務所の皆が、好きです」



P「まー、確かに好きな人はと問われたら……」

裕子「私もこう答えちゃいますね、多分」

愛海「もっと突っ込まないとダメかぁ」

愛海「じゃあ、その……清良さんが恋愛してみたい人って、いますか?」

清良「……はい」



裕子「恋愛してみたい人って、何だか変な聞き方ですね」

愛海「清良さんは無理にでも引き出さないと、ボロを出さない気がするの」

P「ま、マジかー……いやー、清良さんにそこまで想われていたとは」

裕子「プロデューサー?」

P「いやまぁ、確かにね。うん。彼女とは長いこと一緒にやってきたしなー」ニヤニヤ

P「しかし参ったなぁーもー、心の準備がハッハハハ」ニヤニヤ

愛海「その人は……プロデューサーの、ことですか?」


P「逆プロポーズとか情けないなぁー俺いやホントマジで申し訳

清良「いいえ」





P「」

愛海「来たっ……!」ガタッ

裕子「そ、それじゃ……一体どなたなんですか?」

清良「……初恋の、人……」



P「」



愛海「初恋の人……ね」

裕子「……初恋かぁ~」

愛海「いつから知り合ったんです?」

清良「……中学の頃……図書室で……」

愛海「中学!?」



P「」



裕子「す、進んでますね……!」

愛海「清良さんにも中学生だった頃があったんだ……」

裕子「どんな人だったんですか?」

清良「……私の、憧れ……クールだけど、本当は温かい人……」

愛海「へぇ~」

清良「俗な大人は嫌っていたけれど……動物や子どもには、とても優しかった……」



P「良ぉお~~~~~しよしよしよしよしよし」スリスリスリスリスリ

愛海「ち、ちょっともう!……いきなり何っ!?」

裕子「動物や子ども……あっ」

愛海「プロデューサーッ!」バシッ

清良「……彼を好きになった女の子も、たくさんいた……」

愛海「それは何人くらい?」

清良「……10人、くらい?」

裕子「そ、そんなに!?」

愛海「ハーレム系主人公……!?」



P「……美羽だろ、未央、美嘉、美穂、美優さん、美世で……」ブツブツ

裕子「あれ、何のカウントしてるんでしょう?」

愛海「さぁ……」

清良「でも……あの子だけは、違ってた」

裕子「あの子?」

清良「……リボンの似合う女の子……ずっと彼と一緒で……とても、愛されてた」

愛海「あたしなら皆ウェルカムしちゃうのに。贅沢過ぎる……」

清良「あの子でなく、私が隣に……前はそんな事ばかり、思って……」

裕子「それじゃあ、清良さんは……」

清良「………」

裕子「あ、あれ?清良さん?」



P「リボンと言えば……まゆ?……まゆが好きなのは……あれ?つまり俺じゃないのか?」ブツブツ

愛海「……ち、ちょっと待って」

裕子「どうしました?」

愛海「今清良さんって、催眠状態なんだよね?」

裕子「そうですけど」

愛海「催眠状態って事は、指示があるまで動けないって事だよね!?」

裕子「あ、はい。確かにそうですね」



愛海「(……質問してる場合じゃなかったっ……!)」

愛海「(清良さんが、無防備であたしの前にいる……)」

愛海「(だったら、わざわざ弱みを握る必要すらないじゃない……!)」

愛海「(やってしまったっ……!流石のあたしも、これは猛省っ……!)」

愛海「清良さん!絶対に動かないで下さいね!いいですか、絶対ですよ!」

清良「………」

裕子「愛海ちゃん?」

愛海「あたしのこの指、手汗で馴染む……!」ワキワキワキワキ

愛海「我慢できぬと、轟き叫ぶゥ!!」グワシッ

愛海「清良さんっ!いっただっきまぁーす!!」パンッ


ガシッ


愛海「アイエエエ!?」

愛海「……催眠術って、成功してたんじゃ?」

清良「そうね。導入までは良かったと思うの」

愛海「導入?」

清良「落とした後に、指示を聞かせるための手順が抜けてたから」

裕子「あー……や、やっぱり」

愛海「という事は……もう、完全に起きて……だから……」



愛海「あ、もうダメ?」

清良「勘の良い子は、嫌いじゃありませんよ♪」キュッ



アバーッ!

P「は……ハハ!やっぱり清良さん、起きてたんじゃないですか!」

裕子「え!?」

P「ほら、途中から指示しなくても喋ってくれてただろ?」

裕子「あっ……じ、じゃあ、恋愛したい人って言うのも、私達を引っ掛けるための?」

清良「………」

P「……清良さん?」



清良「うーん……いない、と言えば嘘になっちゃうかな?」

裕子「え?」

P「」

愛海「ど、どういうこと……?」

清良「私的には、別に知られても構わない秘密だし」

P「で、では……清良さんにとって、その男は……」



清良「はい。今でも忘れられない、憧れの人ですね」



P「ぐわあああああああああーーーッ!!」ドゴォ

愛海「く、クロコダイ~~~~ン!!」

裕子「そ、そんな堂々と思い人がいますとか言っちゃっていいんですか!?」

清良「あら、どうして?」

裕子「どうしてって……」

清良「どうせ私の片思いだし。叶いようがない恋ですもの」

裕子「え?」

愛海「も、もうやめて清良さん!とっくにプロデューサーのライフはゼロなんですよ!」

P「」

清良「……ちょっと焦らし過ぎちゃいましたか」

P「ま、漫画の主人公……!?」ガバッ

清良「私が看護婦を目指したのも、その漫画がきっかけでしたから」

清良「この仕事を続けていれば、もしかしたら……彼みたいな人に、出会えるかもって」

裕子「意外にロマンチックだったんですね、清良さんって……」

愛海「でも漫画の主人公が初恋の人って……」

清良「あら、いけない?」

P「いやいや、誰だって二次元に恋くらいしますよ清良さん。つーか二人とも失礼だろ!」

愛海「……立ち直り早いねプロデューサー」

清良「それで?愛海ちゃんは、私の弱点を知ってどうしたかったの?」

愛海「え、あっ……いえー、その、別に……」

裕子「えっと、愛海ちゃんは清良さnむがっ!?」

愛海「き、清良さんが完璧過ぎて、本当に弱点なんてあるのかなーって!あは、あははは……」モガモガ

P「……あるんですか?」

清良「プロデューサーは、どこが弱点だと思います?」

P「そうですね、多分うなじ辺りが弱そ……痛っ!」バシッ

愛海「あ、ほら!プロデューサー、見て!もうレッスンの時間じゃない?」

P「ん?あぁ、もうそんな時間か」

愛海「さ、さぁー、今日もレッスン、頑張ろー!早く行こっ、プロデューサー!」グイグイ

P「あ、あぁ……っておい、あんまり引っ張るなって」

愛海「そ、それじゃー清良さん!残念だけど、また今度!」

清良「……そう♪レッスン頑張ってね、愛海ちゃん」

愛海「あははは……が、頑張ります……」

清良「……まだまだ修行が足りないようね、あの子も」

裕子「あの、清良さん」

清良「?」

裕子「私のエスパーとしての勘なんですけど……」

裕子「清良さんがアイドルに転向したのって、プロデューサーがその主人公に」

清良「ううん。と言うか、その逆」

裕子「え?」

清良「プロデューサーと彼って、もうぜーんぜん。丸っきり、似ても似つかないくらい」

裕子「そ、そこまで?」

清良「憧れの人は、今でもずっと、私の中で変わらない……」

清良「恋愛してみたいっていうのも、別に嘘じゃないの。彼みたいな人が本当にいるのならね」

清良「看護婦でいた間は結局、そんな人見つからなかったんだけれど……」

清良「まぁ……それはそれで、良かったんじゃないかなって」

清良「いつまでも手の届かない、憧れのままで在り続けるって、素敵なことだと思うから」

裕子「それじゃ、どうしてアイドルに……?」

清良「……初恋の相手と、結婚したい相手が違ってるなんて、良くあることでしょう?」

裕子「初恋の相手と、結婚したい相手……」



裕子「え?……つまりそれって」

清良「あらやだ、記憶を飛ばせるお薬探さなきゃ」

裕子「!?」

清良「冗談よ、冗談♪」



おわり

凝り過ぎた…

土屋亜子(15)
http://i.imgur.com/5npDZi8.jpg
http://i.imgur.com/IZ13k5n.jpg

棟方愛海(14)
http://i.imgur.com/0fshOXh.jpg
http://i.imgur.com/gbtbASp.jpg

堀裕子(16)
http://i.imgur.com/NuFHRdc.jpg
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柳清良(23)
http://i.imgur.com/5qPmcjT.jpg
http://i.imgur.com/nLa0jXI.jpg

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