神谷奈緒「ペルソナー!なんて」(299)


―――現実世界、CGプロ事務所、第4会議室

「ふぅ…」

加蓮を救いだし、何とか戻っては来たものの、みんなその表情はあまり明るいとは言えない。
そりゃそうだ、突然黒幕が現れたかと思ったら、何一つはっきりしたことも聞き出せないままに逃げられたんだから。

「色々話し合いたいところではありますけど、まずは事務所を出るのが先決です。僕たちは部外者なのですから」

誰もが口を開くのも億劫になっている状況でも、白鐘さんは冷静だ。

「だな。下手に誰かに見つかって、騒ぎ立てられても面倒だ」

「じゃあ、私がちょっくら事務所の様子を見てくるよ!」

「…待ってよ」

それぞれが動き出そうとしたところで、加蓮がみんなを制止する。

「ねぇ、確かに私はあの女にたぶらかされてたのかもしれない。だけど、卯月を酷い目に遭わせたのは事実なんだよ?なんでアンタらそんなに平気な顔していられるわけ?」


加蓮も加蓮なりに、責任を感じているらしい。
まぁ、コイツもなんだかんだ結構気負うタイプだからな。

「ねぇ」

「あぁー…卯月、どうだ?」

「えぇっ!?わ、私っ!?そういわれてもなぁ…」

卯月が困ったような顔をして加蓮の手を取る。

「えっと、私、全然怒ってないよ?ていうか、加蓮ちゃんがあんなことしちゃったのも、もとはと言えば私にも悪いところがあったからなわけで…」

「卯月が悪いことなんてひとつもないじゃん。全部私が勝手に…」

「ううん、人と人との関係って、どんなことでもどっちかが百パーセントってことはないと思うんだ。加蓮ちゃんが嫌な気持ちになっちゃったのだって、きっと私にも責任があるはず。だから」

卯月はそこで言葉を切って加蓮を抱きしめる。

「これからは、もっともっと仲良くしよっ!それでいいよ、ね!」

「………ばっかじゃないの…どんだけお人よしなわけ…?」

卯月の肩に顔を押しつけているから表情はわからないけど、声でわかる。
涙ぐんでるな、加蓮。


卯月も卯月だ。
コイツ、そろそろいい人から聖人へクラスチェンジしてもいいんじゃないか?

「そういうことだよ、加蓮。アタシらとしては、卯月がこう言ってる以上特に言う事はない。むしろ、お前があそこまで追い詰められてたのに、なんにもしてやれなくてゴメンな」

「私も。ゴメン、加蓮」

「…だから、なんで二人まで謝るわけ?ホントに…アンタらどんだけお人よしなの…」

卯月から身を離した加蓮が、こんどはアタシと凛に勢いよく抱き着く。

「ゴメン…ゴメンねぇぇええ…!」

よ、よせよ、そんなに号泣されると、うつっちまうだろ…。






パリィン!





―――我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、さらなる絆を見出したり・・・

絆は即ち、まことを知る一歩なり。

汝、”月”のペルソナを生み出せし時、

我ら、更なる力の祝福を与えん・・・







>北条加蓮『月』と新たな絆を紡いだ!






「奈緒、っ泣かないでよ…っ」

「り、凛こそ!」

「うわあああん!」

「良かったねぇ、なんとかなって」

「ホントですねぇ…」

「えっとさ、とりあえずりせちーたちを事務所から出してあげた方がいいんじゃ」

「杏ちゃん、いけずだにぃ」

「そ、そうだったな」

なんてーか、高まってきちゃって思わず…ってやつだ。


―――事務所近くの喫茶店、『シャガール』

お店の人は、日に二度も大所帯で来るアタシ達を見てどう思うんだろうか。
とにかく、加蓮もだいぶ落ち着いてきたみたいだ。

「北条さんも疲れているでしょうから、手短に。本当はもう少し休ませてあげたいのですが、生憎僕らも長居できないので」

「ううん、大丈夫…っていうか、この人たち何者?」

そういえばいろんなことが立て続けに起こったせいで、紹介を忘れていた。
今更ながら、加蓮に白鐘さんたち特別捜査隊のことを説明する。

「へー、奈緒たちの先輩ってわけだ」

「なんかこっぱずかしいな…先輩ってよ」

「完二は学校に慕ってくれる後輩なんていないもんねー」

「うるっせーな、だいたいテメーはいつもいつも」

「はいはい、脱線しないの」

今は加蓮の話を聞くのが先だ。


「それで、加蓮はアイツにテレビの中の事を聞いたって言ってたけど…」

「うん…でも、さっき話したことで全部だよ。あの声を聞いてたら、なんか卯月をテレビの中に落とさなきゃって」

「今までにあの人に会ったことは?」

「ない、と思う」

「奈緒ちゃんは、あの人になにか言われてましたよね、『思い出させてあげる』とか」

「あぁ」




―――おあっ!す、スイマセン…。


―――あの、大丈夫ですか?多分思いっきりぶつかってはいないと思い―――

―――そう、あなた。


―――はい?

―――…あなたは…そうね。


―――…託すわ。




アタシがマヨナカテレビの噂を初めて聞いた日の帰り。
駅へ向かう道すがら、ぶつかりかけた女の人。

今考えればあんなに怪しい出来事は無い。

何で忘れてたのか…多分あの女がやったんだろう。
なにせ、指ぱっちんでアタシはそのことを思い出したんだから。

とりあえず、アタシはあの女と出会った時の事をみんなに話した。

「そんなことが…」

「鳴上先輩も、見かけはただの人間だった黒幕に力を授かったと言っていました。やはりあの女性がこれまでの事件の黒幕と言う事で間違いないでしょう」

「ってことは、しろっち達の時でいうイザナミが、あの女の人?」

「そういうことになるんでしょうね…し、しろっち!?」

「そっかぁ…じゃあ、あの人を捕まえれば万事解決ってことですね!」

「た、たぶんそういうことになると思いますが…あの、しろっちって…」

「だけど、その前にアイツが最後に言ってたことが気になるよねぇ」

「うん…『最後のチャンス』って」

「それと『絶望』か」


『絶望』はなんだかわからないけど、また何かし仕掛けてくるってことで良いんだろう。
だけど、『最後のチャンス』ってどういうことだ?

「次の事件を最後に、犯行をやめる…そういう意味にも取れますが」

「生田目のヤローと違って、今度のはあの女が自分でやってたんだろ?じゃあよ、その次の事件て奴を、バッチリ止めて、きっちりシメてやりゃあカンペキだろ」

巽さんの言葉は正しい。
でも、一抹の不安はぬぐいきれない。

「とにかく」

停滞気味の会議の空気を切り替えるべく、リーダーとして発言する。

「黒幕の顔がわかった。まだアイツが何かするつもりなのはわかった。そして、向こうはそれを最後にするつもりだっていうこともわかった。今日はもうこのくらいで良いだろ。どうせ、マヨナカテレビに何かが映らないと次の手を打つこともできないし」

「そうだね、敵は神出鬼没だもんね」


―――夜、神谷宅、奈緒の部屋

あの後、特別捜査隊の面々と別れて加蓮を家まで送り、やっとこさ帰ってきた。
こういう時家が遠いと不便だよなぁ。

ここのところ天気が良くないおかげか、ちょっと前からうっすら雨が降り始めている。

天気が悪いことに感謝するなんて、なんかおかしなもんだよな。
運動会前の小学生か、アタシは。

…イマイチかな、今のは。

そんなあほなことを考えているうちにマヨナカテレビが映る時間になった。



ヴン…キュゥーンヒュイピュゥーン…



しかし、画面は何もうつさない。
今回も成功、か。


けど、素直に喜べない。

加蓮があの女に唆された事実。
人の心を誘惑する術を持った敵。

アイツは次が最後だと言った。
けど、それを額面通り受け取ってもいいのかな。

「ダメだ、わっかんねー」

ボスッ、とベッドに倒れこみながらアタシはそう呟いた。
そのままぼんやりと考え事をしているうちに、アタシは夢の世界へといつの間にか旅立っていた。


―――同時刻、CGプロ事務所前

「うっひゃー、最近帰りが遅くなってきたよなー」

奈緒Pである。
彼は、最近舞い込んできたとあるプロジェクトの詰めを行っていたため、こんな遅くまで残る羽目になったようだ。

「この仕事はノってくると途中でやめられないから怖いよ」

ぶつぶつ言いながらもその顔は楽しそうであるところを見ると、無理やり残されたわけでもなさそうだ。

「しかしまぁ加蓮も戻ってきて良かったこと。これでこっちの企画もすすめられるしな」

相変らず多い独り言を吐きだしながらも、てきぱきと戸締りを進める彼。

「うー、寒い寒い。最近冷え込んできたよなぁ…んん?」

彼がふと見やると、見覚えのある人影が佇んでいた。
彼が遅くなると時たま現れる謎の美女だ。

「どーもー。今お帰りですか?お互い大変ですね」

「…」

彼の言葉に返事を返すでもなく、女性は薄く微笑むだけだった。


(やっぱり美人だよな)

奈緒Pはそんなことを思いつつ、話を続ける。

彼はもともと人懐っこい方だが、空気を読む力には長けている。
ここまでコミュニケーションをすれ違わせてしまう相手に、何故こんなにもなれなれしく話しかけてしまうのか。

自分でもその違和感には気づいていなかった。

「そーだ、前々から聞こうと思ってたんですけど、お姉さんアイドルなんかに…」

「…ふふ」

「え?」

それまで一歩も動かなかった女が、突然奈緒Pに歩み寄り、顔を近づけてきた。
そのままでは唇が触れてしまう、あわやというところで女の顔が横に逸れる。

「…貴方の見ている現実…貴方が心を寄せる偶像…それが確かなものだと誰に証明できて…?」

彼の耳元に唇を寄せた女は、小さな、しかしはっきりとした声で囁く。
その瞬間、奈緒Pの目の焦点が合わなくなった。

「…信じていたものに裏切られた時…人は最高の絶望に心を引き裂かれる…」

そして女は、ゆっくりと彼からその身を離し、どこかへ歩み去った。


「…あれ?」

しばらく後、目の焦点が戻ってきた奈緒Pは、奇妙な感覚に陥る。

「えーっと、俺何してたんだっけ…あ、あのお姉さんは…」

きょろきょろとあたりを見回すが、深夜のこの辺りに人影はない。

「うーん…なんか大事な話をしてた気がするんだけど…なんだっけな」

どうにもすっきりしない。
だが、それは疲れのせいだと言う事にして彼は家路を急ぐことにした。

「…種は蒔いた…あとは芽吹くのを待つだけ…水と肥料は…貴方たち自身で遣るのよ」

奈緒Pの視界に入らない遠くの影でそうつぶやいた女は、今度こそ夜の闇に溶け込んで消えた。


―――翌日、CGプロ事務所、第4会議室

「改めてだけど…みんな、本当にゴメン。それと、私を仲間に入れて欲しいんだ」

次の日、『開かずの第4会議室』に集まったアタシ達の会合は、加蓮の謝罪で幕を開けた。

「そんな、加蓮ちゃん昨日も謝ってくれたんだし」

「いいや、何度謝ったって足りないくらいの事を、私はしたんだよ」

こういう時、加蓮は頑固だ。
それがわかってるアタシと凛は余計なことは言わず「よろしく」とだけ言う。

「むむ、かみやんとしぶりんはなんか大人だねっ」

「茶化すなって。アタシと凛は、未央たちよりも少しだけ加蓮の事を知ってるからな」

「そういうこと」

一番の被害者である卯月が気にしてないんだし、アタシらもあれこれ考えたり加蓮を責めたりはもうしない。
それよりも、今は目の前の敵を倒すだけだよな。

「昨日の今日で何かいい案が出るとも思えませんし、今日はこれだけでお休みにしてもいいんじゃないですか?」


「そうだ!それがいい!いやぁお休みはいいなぁ!」

菜々さんの至極まっとうな意見と杏の強烈な後押しによって、今日の会議はこれでお開きとなった。

「あ、ねぇねぇかみやん」

各々の時間を過ごそうと散っていく中で、未央がアタシに話しかけてくる。

「ん?どうした」

「えっとさ、かれりんも仲間になるんだし、あの子の武器になる物探しに行こうかなって」

言ってることは普通だけど、なんとなく歯切れが悪い。
何か話したいことでもあるんだろうか。






>空いた時間は未央と過ごそうか…。





「いいぞー、行こうか」

「う、うん!」


―――CGプロ所有倉庫

「かれりんのイメージはどれかなー。個人的になんか殴りかかったりする系のはちょっと違うんだよねー」

ガサゴソと小道具入れをあさりながら未央が言う。

「しぶりんとかみたいな暗器系?そっかそういえばかれりんネイルが趣味だったよねー、うわーちゃんみお痛恨のミス!わかってたらかれりんを鉄の爪にしたのになー」

なんとなくイメージはわかる。

「飛び道具はどうだ?手裏剣とかみたいな。アイツ指先器用だぞ」

「そっかー、それもありだね。でもそんな武器に使えるほど鋭い手裏剣て…え?ウソまじであるよ、こういうのって良いの?こういう倉庫に置いといて」

ウチの事務所の倉庫はいったいなんなんだ。

「そーだなー、鞭も捨てがたいけど、今んとこ菜々さんしか飛び道具系いないし、かれりんには手裏剣で頑張ってもらおう」

そんなにたくさんあるんだな、手裏剣。
っと、そうだったそういえば。

「なー、未央」

「んー?なーにーかみやん」


「お前さ、アタシになんか言いたいことあったんじゃないのか?」

「…どしてー?」

「いや、なんとなくだけど、誘われた時にちょっと思った」

「…そっかー」

未央が、作業の手を止めてこちらに向き直る。

「いやぁさすがかみやんするどいねぇ。よっ、気遣いの女!」

「お、おい、茶化すなって…それよりどうかしたのか?」

「うん…悩みっていうか、いや、悩み自体は解決したんだけど誰かに聞いてもらいたくてさ」

少し悩みながらも、嬉しそうに未央が話し始める。

「実は私さ、お父さんから『アイドルなんかやめろ』ってずーっと言われてたんだ」

「え、そうなのか?」

初耳だ。
家族の話するときも、そんなことはおくびにも出して無かったじゃないか。


「あはは、隠してたからねー。友達にこんなこと言っても仕方ないし。

ほら、私最近になるまで全然お仕事とかなかったじゃん?

そのくせ学校の成績は、びっくりするほど良い訳でもないし。

お父さん、基本的にノリが良くていいお父さんだと思うんだけど、芸能界にいいイメージがなくって、養成所通うのとかも大反対されたんだー」

未央は懐かしそうに想い出を語る。

「顔合わすたびに『やめろ』って言われてた時期もあったし、ちょっと辛かったかなー。

でもさ、ここで同郷のかみやんに会って、しかも学校まで一緒でっていう運命のイタズラがあって、ずいぶん救われたんだよね。

あぁ、仲間がいるんだ私にはってさ」

そりゃ、アイドル目指してます!とかアイドルやってます!って友達は、身近にはなかなかいないだろう。
確かにアタシも未央と出会うまでは少し心細かった覚えがある。


「それでもしばらく売れない日々が続いてたけど、ほら、ペルソナとかシャドウとか色々やってるうちになんかアイドル活動の方もいい感じに回ってきたじゃん。

言い方は悪いかもしれないけど、犯人サマサマかな、なんちゃってー」

確かに、未央の言うとおり、テレビの中の世界の冒険でアタシ達は強くなった。
身体だけじゃなくて心もだ。

「自分のシャドウを受け入れたおかげで、しっかり努力できるようになったっていうかさ。

そういうとこあると思うんだ。

で、最近テレビとか雑誌とかのお仕事がちょっとずつ増えてきたあたりでお父さんがあんまり私と話してくれなくなって、ちょっとへこんでたわけさ、このちゃんみおは」

「お父さん、やっぱり反対なのか?」

「そこですよ!お母さんに聞いたの私!

そしたら、こっそりお父さんの部屋の鍵を開けて中を見せてくれたんだけど…」

「うん」


「今まで私がやったお仕事、テレビなら録画して、雑誌は切り抜いてぜーんぶ保管しててくれたんだ!」

そりゃすごい。

「しかもそれ、私が自分で持って来たり家に見本として届いた奴じゃなくて、お父さんが全部自分で録画したり買って来たりしたやつなんだって!」

「愛されてるじゃないか未央」

「私それを聞いたら嬉しくってさぁ!

それと、お母さんが言ってたんだ『大事な娘がやりたいことなら応援してやりたい。けど、芸能界は怖いところだ。途中で未央の心が折れるならそれも仕方ない。けど、もしあいつに才能があって羽ばたいていけるようなら、それを後押しして、間違った道に進まないように導いてやるのが親の務めだ』てお父さんが言ってたって」

「…良いお父さんだな」

「うん!やっぱり、反対してたのも心配だったからだし、私ががんばったらそれを応援してくれるのもやっぱりお父さんだからなんだな、って思ったら、もっと頑張らなきゃって思ってさ」

未央がアタシの手を取る。


「ありがとうね、かみやん!」

「今の話、ほとんどアタシ関係なかったように思えるんだけど…」

「ううん、私がこんな風に思えるようになったのも、かみやんがいてくれたからだよ!

最初からずっと一緒に戦ってきて、ずっとアタシらを支えてくれたかみやんがいたからここまで来られたんだもん。

みんな、どんな時でもかみやんなら拾ってくれるって思うからかみやんのことからかったり相談したりするんだよ。

どんな小さなボケだって、忘れず打ち返してくれる」

「アタシは漫才師か」

「ほら、そういうとこ」

未央がおかしそうに笑う。

「結構嬉しいんだよ?そういうのって。

今のはおふざけだけど、かみやんは悩みだって苦しみだって一緒に拾ってくれるからねー。

まったくぅ、かみやんは良い子ですなぁ」

なんだよ、からかってのか?


「あはは、そうじゃないって」

笑いながらアタシの頭をポンポンと叩く未央。
なんとなく釈然としない、一応年上なのになぁ。

「それだけみんな、かみやんのこと頼りにしてるってことなのさっ。

だから、コンゴトモヨロシク…ね☆」






パリィン!





―――我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、ついに真実の絆を得たり。

真実の絆・・・それは即ち、

真実の目なり。

今こそ、汝には見ゆるべし。

”魔術師”の究極の力、”マダ”の

汝が内に目覚めんことを・・・







>本田未央『魔術師』と確かな絆を紡いだ!






菜々さんの時と同じだ。
これが、確かな絆…。

「アタシも…未央の事頼りにしてるぞ。この冒険の最初の仲間が未央で良かったと思ってる」

「おお!嬉しいこと言ってくれるねぇ!」

「だから、これからもよろしくな、相棒」

「おうよ!…アレ?」

なぜか、未央の体から現実世界では出せないはずのペルソナの光が溢れ出た。
ジャックランタンが愉快そうに中を舞い、姿を消す。

代わりに未央の背後に現れたのは…。

「私の…新しいペルソナ…?」

筋肉質な黒い体に赤いまだら模様、炎の剣を持つペルソナだ。



「そっか、スルトっていうんだ…」



スルトはひとつうなずくと消えていった。
スルトか…昔見たアニメで聞いたことあるなぁ、持ってる剣の方が有名だった気がする。



「えへへー、かみやん、私また強くなったみたいだから、どんどん頼ってくれちゃっていいからね!」




そのあとは、未央と一緒にだべりながら長い時間を過ごした。


―――数日後、CGプロ事務所

「なぁ、早苗さん、正義ってなにかな」

ある日、アタシが事務所に行くと光がそんなことを早苗さんに質問していた。

「どうしたのー?光ちゃん、急に」

「いや、ほら、アタシさ、特撮ヒーローとか大好きで、よくそういう話してるじゃんか」

「そうね」

「昔の作品は、わかり易くていいんだ。皆をひどい目にあわそうとしてる悪いやつがいて、ヒーローがそいつを倒す。そしたら平和が守られてめでたしめでたしってなるのが多い」

「ふんふん」

「だけど、最近のやつはなんていうか『悪いやつにも事情があって本当は悪いやつもそんなに悪くなかったんだー!』みたいな感じが多い気がしてさ」

「あー、なんか最近そっちの方が流行ってるらしいわよね」

「正義の味方として描かれてる主人公が戦ってる相手が、実は悪じゃない、ってなるとなんかすっきりしないっていうか…正義と悪ってなんなんだろうって」

「なるほどねぇ…どうかな?奈緒ちゃん」


「うえぇ!?あ、アタシか?」

突然の早苗さんのフリにアタシはうろたえる。

「そ、奈緒ちゃんアニメとか特撮とか好きなんでしょ?だったらなんか一言あるかなぁって」

「いや、まぁそんなたいそうな意見とかは無いけど…」

「奈緒さん、頼むよ、アタシもいろんな人の意見聞きたいし」

光の真剣なまなざしに、アタシも居住まいを正す。
こりゃあ真剣に答えてやらないとな。

「えぇっと、何について意見を言えばいいんだ?正義と悪について?それとも最近の流れ?」

「うーん…両方!」

「そ、そうか…えーっと」

頭の中で考えをまとめながら、アタシは話し始める。

「まず、正義とはって話だけど、これはどれが正義だって決めることは難しいと思うな、アタシは」

「なんでだ?」


「光の好きな特撮の話でいえば、町の人たちを襲って傷つける怪人は悪だよな?そんで、町の人たちを助けるヒーローは正義」

「うん」

「これはまぁあってるって言ってもいいとアタシは思う。何故って、これはそれがそういうものだって描かれてる物語だからな」

「そういうものとして描かれてる、かぁ…」

「だけど、ここでこの町の人を襲ってた怪人が実は『町の人を襲わないと自分の家族が殺されてしまう』って事情を抱えてたらどうする?」

「それは…うーん…それでも町の人を襲うのは悪いことだしな…」

「そう思うだろ。じゃあ例えを変えるぞ。隣の国を滅ぼさないと自分の国が滅ぶから、その国の将軍はミサイルの発射ボタンを押した。こうなるとどうだ」

「それはもう正義とか悪の話じゃない気がする…」

「だよな。ミサイルを発射した側からすれば、自分の国の為の正義だと思うわけだし、打たれた側の国は、自分の国を脅かす悪の仕業だって思うわけだ」

「見方によって違うのが正義と悪なのか…」

「法律をよりどころにするか、とか、そういう難しいことは、アタシにはわからない。けど、正義ってそれを行う人にとって正しいから正義なんだと思うよ。ヒーローがヒーローとして皆に受け入れられるのは、多くの人が正しいと思うことをしてるからじゃないかな」


「うーん…わかったようなわからないような」

「アタシもわかんないから正直困ってるよ…早苗さーん」

し慣れない話をしたせいで疲れ切ったアタシは、横でニヤニヤ聞いている早苗さんに助け船を求める。

「あら、なにかしら奈緒ちゃん」

「いや、アタシみたいなガキが考えた話なんかよりも、早苗さんみたいに元警察官な大人が話した方が絶対光の為に良いって」

「ふっふっふ、あたしはそうは思わないんだなー」

チッチッチ、と指を振りながら早苗さんが答える。

「確かにあたしなら、正義がどんなものか答えられるわよ?元警察官としての、あまりほめられたものではない正義の話とかね」

「警察なのに誉められないの?」

「大人にはね、色々あるのよ、うん」

早苗さんは優しく光に微笑む。

「でもね、さっき奈緒ちゃんが言ったように、正義っていうのはそれを信じる人、受け取る人によって違うの。


あたしからすれば、答えなんかでるわけないのよ、そんなの。

でも」

ここで言葉を切って、早苗さんはアタシ達を見つめる。

「答えが出なくても、今の若い子たちがそうやって頭を悩ませて『正義とは、悪とは』って考えることが大事なんだと、お姉さん思うなー。

だから、そういう話の展開に疑問を持てる光ちゃんは偉いし、なんとなくでも考えられてる奈緒ちゃんもとっても偉いと思うわよ」

『正義の反対は、また別の正義である』そんな名言を聞いたことがある。
これもなんかのアニメの受け売りだけど。

正義とは何か、考えることが大切、か。

「そうねぇ、強いて言えば、そうやっていろんな正義に理解を示せるようになれれば一番いいのかもしれないわね、それはそれで大変そうだけど」

「そっかぁ…うん、アタシ、どんな悪者からもきちんと話を聞けるヒーローを目指すよ!」







パリィン!






―――我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、ついに真実の絆を得たり。

真実の絆・・・それは即ち、

真実の目なり。

今こそ、汝には見ゆるべし。

”法王”の究極の力、”コウリュウ”
”正義”の究極の力、”スラオシャ”の

汝が内に目覚めんことを・・・







>片桐早苗『法王』、南条光『正義』と確かな絆を紡いだ!






「難しい話はこれでおしまい」と早苗さんが手を打つ。

「そうだ光ちゃん、その難しい正義のお話ってなんの作品なの?お姉さんちょっと興味あるんだけど」

「あ、じゃあ一緒に見ようよ!奈緒さんも、まだ最近の作品の傾向について聞いてないし」

「ん、そうか、そうだなぁ…じゃあアタシは…」

そのあとは、三人でああでもないこうでもないといいながら、特撮を見つつ長い時間を過ごした。


―――また数日後、とあるショッピングモール

「あー!そこにいるのは奈緒ちゃんじゃなーい?」

たまには普通のおでかけも良いだろうと、凛、加蓮、アタシの三人で近場のショッピングモールをぶらぶらしていたら、突然声をかけられた。

「私よーわ・た・しぃー!日高舞よー!」

「ちょ、ちょっと舞さん!?」

お、おう…あれは伝説のアイドルさんじゃないか…。
凛も加蓮も若干引いてる。

ていうか、周りのお客さんがものすごい注目してる。
日高さんは意に介して無い感じだけど、一緒にいる女の人は必死だ。

「ちゅ、注目!舞さん注目集めてますから!」

「いいじゃないのー、どうせ注目されるお仕事してるんだから!どーもー日高舞でーす!」

「やめてくださいいいいい!」

半泣きだぞ。
こりゃアタシ達も協力した方がいいな…。

なんとか日高さんを抑えたアタシ達は、とりあえずその場から離れて、適当なカフェに入ることにした。


―――喫茶店『シャガール』

「もう!舞さんはホントに勝手なんですからっ!」

「ごめんなさいったらー」

プンプン怒っている連れの人に可愛らしく?謝って見せる日高さん。
なんとなく見覚えがあるな。

「えっと、日高さん」

「舞で良いわよ」

「舞さん、お久しぶりです。それで…隣の人は」

「あら、知り合いじゃなかったかしら?」

「どこかでお見かけしたことはあると思うんですけど…」

凛もか。
加蓮は「マジで?」という顔をしている。

「えー、夏のフェスの時、あなたレッスン場とか行かなかったの?」

「律子さんも一緒にレッスン受けてたんですから、あたしが行けるわけないじゃないですか」

「もー、いつまでも膨れないでよー、ほら、ケーキあーん」


「あー…ってはっ!そ、そんなので簡単に機嫌なんかなおりませんよ!」

「えーっと、夏のってことは…もしかして765の?」

「あ、はい!あたしは、765プロで事務員をやっています、音無小鳥です!」

そっか、思い出した。
夏のフェスの時、会場の765ブースで見かけたんだ。

765にはとても優秀な事務員さんがいるって聞いてたけど、それがこの人か。

そういえばたまにネットで話題に上がるな『765プロは事務員まで可愛い』とか。

「でも、なんで765プロの事務員さんと舞さんが一緒にいるんですか?」

別に悪い訳じゃないけど、なんとなく不思議な組み合わせだ。

「あー、私と同期なのよ、この子、現役時代」

「ちょっと舞さん!?」

現役時代?

「ってことは」

「もしかして」

「音無さんて元アイドルなんですか!?」


「は、はいぃ、恥ずかしながら…」

へぇ…元アイドルが芸能事務所の事務員か。
なんていうか、すごく安定したコースなのかな?

「へぇぇ!綺麗ですもんね!」

加蓮が遠慮のない感想を述べる。

「う、うぅぅ…舞さぁん」

「なに恥ずかしがってんのよ、初心なネンネジャあるまいし」

「あたしは充分初心で…なんでもありません!」

なんだろう、菜々さんと同じ匂いを感じる。

「だけど、舞さんと同期かー、それじゃあ運が悪かったですよね」

「いいえ、運が悪かったのは私の方」

「どういうことですか?」

「この子、私と直接対決する前にアイドル辞めちゃったからねー」

「舞さん、それ以上は…」

口調はやんわりだけど、音無さんの目は本気で話をやめるよう訴えかけている。


「はぁ…あなたも、そろそろいいんじゃないの?自分の過去と決別しても」

「あたしはとっくに割り切ってますよ。だから事務員に徹してるんですし」

「アイドルの為に生きるんだったら、自分のつらい経験を今のアイドルたちに共有しておくのも、立派な役目の一つだと思わない?」

「…」

「あ、あの、なんだかわからないですけど喧嘩はその…」

さっきまでのおふざけトーンが嘘みたいなマジテンションだ。

「ごめんねぇ、昔の話になると小鳥はマジだから」

「舞さんが、嫌だっていうのに無理やり話を進めるからですよーだ」

「だって仕方ないじゃーん、私あなたとだったら本気で天下獲れると思ってたし。ていうか今でも思ってるし」

なんだかわからないけど、この二人は単なる昔からの知り合いってわけでもなさそうだ。

「はいはい、この話はここでおしまいです!」

「はーい」

「でも、そうね…ひとつ言えるとしたら…」

音無さんの目がアタシ達一人一人をとらえる。


「あたしは今の生き方に満足できてるわ。だからあなた達も、後悔の無いようにね!」

「「「…はい!」」」

「そ・れ・でー、色々とCGプロのお話を聞きたいんだけど…ズバリ、三人の中で受け…んんっ!もとい弄られるのは誰なのっ?やっぱり奈緒ちゃん?」

「え、えぇっ?なんで急にそんな」

「やっぱりそうよねぇ!伊織ちゃんと近いって話もあるけど、あたしは響ちゃん寄りに違いないと思ってたのよぉ!」

「小鳥、あなたも大概じゃない」

「しょうがないでしょ!舞さんと違って旦那も娘もいないあたしは、日々妄想にふけるしかないんです!」

「たまの休みにこたつ潜って女腐らせてるあなたにも大いに問題があると思うけど?」

「ああー!言ったー!舞さん言っちゃいけないこと言ったー!」

あぁ、なんだかおふざけトーンが戻ってきた。
この後は、大人のお姉さま二人のおごりでいろんなものを食べながら、ガールズトーク?に花を咲かせた。


―――さらに数日後、CGプロ事務所

今日は、何やら重大発表があるとかで事務所のほとんどのメンバーが集まっている。
いないメンバーも、よほどの用事か、さもなくばこの時間の仕事をずらせなかったか位のものらしい。

「何が始まるんです?」

「第三次大戦だ」

「だりー、ユッコ、お前ら昨日コマンドーみたろ」

「「でへへ」」

指定された時間まではまだまだ余裕があるのに、みんな早めに集まって思い思いに過ごしている。

「奈緒ちゃーん」

いつにもまして人数の多い事務所でアタシを呼ぶ声がする。
ちひろさんだ。

「ちょうどいいところに。あの、この資料配っておいてもらえますか?」

「これは?」

「今日この後の会議で使う資料です。アンケートがほとんどなんですけど、たぶん先に目を通しておいてもらった方が話も早いと思うので」


「へぇ。別にいいけど…なんでアタシ?」

「奈緒ちゃん頼みやすいし、この手の仕事上手じゃないですか。それに、奈緒ちゃんだけじゃありませんよ!」

見ると、清美や留美さんもテキパキと書類を配っている。
あれ?二人は自分の所属してるグループに配ってるけど…。

「それじゃ行ってくるけど、アタシはキュート組に配ればいいの?」

「あ、はい、奈緒ちゃんキュートなんで」

「アタシはクールだっ!」

「そうでしたっけ?」

「のワの」という顔をする事務員。
くっそ、覚えてろよっ!

そこそこ人数はいるものの数分で配布は終了する。
こういうのはコツがあるんだよな。

「終わったよー、ちひろさん」

「ありがとうございますー。いやーみんな手際よくて助かりますねぇ。奈緒ちゃんアイドル引退したら事務員として働きません?」


「事務員か…」

この間会った音無さんを思い出す。
いつになるかわかんないけど、そういう道もあるのか…でも。

「お電話ありがとうございまぁす♪神谷奈緒でぇす♪…って感じ?ないない、アタシには向いてないって」

「そうかな、結構ノリノリに見えたけど」

「…凛、いつからそこにいた」

「奈緒が高い声出した辺りから」

「なんだよ!なんなんだよ!別にいいだろ、ちょっと余所行きの声出してみただけだぁ!」

「『お電話ありがとうございまぁす♪』」

「…ぐ、加蓮っ!」

「「『神谷奈緒でぇす♪』」」

「お前らぁ!いい加減にしろぉ!」

「わー、奈緒が怒ったー」

「どうしよ凛、怒って真っ赤になってる奈緒可愛いよ」


「そうだね加蓮、私なんか十センチも身長違うから、睨み付けてるつもりが完全に上目遣いだよ、可愛いね」

「凛!!加蓮!!ばか!!」

「はいはい、泣かないの」

「泣いてねぇよっ!」

「奈緒は可愛いなー」

アタシは本気で怒ってるんだけど、こいつらは全く怖くないらしい。
やめろ、頭をなでるな!

「アタシは年上なんだぞ!」

「でた『年上なんだゾ』」

「小っちゃい体で必死に年上の威厳を保とうとする奈緒可愛い」

「あああああああああもう!!」

「そのくらいにしないと、あとで奈緒Pさんにおこられちゃいますよー」

ちひろさんも、もっと早く止めに入ってくれよな!


「『なんで俺のいる前でやらないんだ』って」

「アンタバカァ!?」

「はい奈緒、どーどーどー」

「ふー、ふー、ふー」

あぁ、なんでアタシはこうやって弄られる運命にあるんだろうか。

「じゃ、私たちは行くから、どーぞごゆっくりー」

「奈緒、あとでね」

人の事をからかうだけからかって、二人は何処かへ行ってしまった。

「あはは、奈緒ちゃんは愛されてますねぇ」

「慕ってくれてるのはわかるけどさ…もうちょっとやり方あるだろうに」

「まぁまぁ、奈緒ちゃんはあれぐらいじゃ自分たちを嫌ったりしないって信頼されてるんですよ」

「ちひろさんは大人だよなぁ…アタシの事ひどくいじったりしないしさ」

「あら?弄って欲しいのかしら?」

「そうじゃねえって!」


「ふふふ」

おかしそうに笑うちひろさん。

「はぁ…」

「まぁほら、そういう風に騒げるのも、若い人の特権ですよ」

「ちひろさんだってそんなこと言うような年じゃないだろ?」

「私は…大人にならなきゃいけませんでしたから」

常に笑みを絶やさないちひろさんの顔に、ほんの少し陰りが見える。
あれ、アタシなんか地雷ふんじゃったかな。

「あ、そんな顔しないで、奈緒ちゃん。大したことじゃないから」

「あ、うん…なんか、ごめんなさい」

「だから気にしないでって。ホントに大した話じゃないの。私が昔貧乏してたってだけの話だから」

「え、そうなの?」

そういえばちひろさんの昔の話は聞いたことがなかった。

「うん、子供のころにね。だけど、今はちゃんと稼いで暮らしていけてるし、貯金だってある。だから、今となっていい思い出、かな」


ニコニコと笑うちひろさん。
だけどなんでだろう、なんか、もっと深い事情がある気がする。

けど、そこに踏み込むにはまだ勇気が足りない、かな。

「おーす、みんなー、おつかれー」

あ、Pさんだ。

「これから、重大発表第一弾を行うから、速やかに会議室集合なー。お、皆アンケートはすでに持ってるんだな、関心関心。それも書いてもらうから、無くしたりすんなよー」

言うだけ言って、自分はさっさと会議室へ引っ込む。
重大発表か、なんなんだろうな。

「奈緒Pさん張り切ってますね。でも、今回はそんなに張り切らなくても良かったんじゃないかしら」

「どういうこと?」

「ふふ、まぁ話を聞けばわかりますよ。それじゃ、いってらっしゃい」

なんとなく訳知り顔のちひろさんに見送られ、アタシも会議室へ向かった。


―――CGプロ、大会議室

「おーし、みんな集まったなー?おはようございます!」

『おはようございまーす!』

「うん、良い挨拶だ!今日皆に集まってもらったのはほかでもない、とある番組への出演を検討するためなのだ!」

Pさんの言葉にみんなざわつきだす。

「とある番組?」

「なんだよP、もったいぶらずに言っちまえよ!」

「そうネー!」

「まぁまぁ、その番組の名前は、今は明かさない。みんなにはこれから、さっき配られたであろうアンケートを記入してもらう。その内容をみて、メインの出演者を決めることになるので、そのつもりでな!」

「メインのということは、サブの出演者もいると言う事ですか?」

「お、良い質問だなありす」

「橘です」

「今ありすから質問が出たように、メインの出演者のほかにサブの出演者も募集する。今回かなりの人数がキャスティングされるから、みんなアンケートは真剣に書けよー!」


と言われてもどんな番組だかもわからないんじゃなぁ…。

「あ、そうそう言い忘れてたけど、生のバラエティだからな!」

生バラエティ!?

「それって!『生っすか!?』みたいな!?」

「いい線だぞ、真尋!」

生バラエティ…アイドルが出る…しかも結構な大人数。
あれかな、何回かに渡って分けて出演てことなのかな。

「詳細は、出演が決まった者から順々に話していくのでそのつもりで!」

「では、よろしく!」と叫んで、Pさんは風のように消えた。
これ、そんなに大人数集める必要あったのか?

「それだけ気合の入った企画だと言う事を言いたいのよ、彼は。わかるわ」

「川島さん」

「やだもー奈緒ちゃんたら、ミズキって呼んで☆」

「川島さん」

「ミズキショック!」


アホなことやってないで、アンケート書いちゃうか…なになに『公式プロフィールへ掲載したこと以外で最近興味のわいたことは』か…。

この手のアンケート、アタシはそれなりに時間がかかってしまう方だ。
どうにかこうにか書き上げて、さて提出、と思ったらそういえばどこに提出すればいいのかわからないことに気づいた。

そういえばあの人言ってなくないか。

「おっちょこちょいなとこあるよなぁPさん」

そう呟きながら会議室を出てうろついていると、ちょうどそのPさんとぶつかりそうになった。

「おわっ!」

「お、おう、奈緒すまん、大丈夫か?」

「い、いや、アタシもゴメン」

お互い前方不注意だ。

「それよりコレ、アンケートアンタに出せば良かったのか?どこに出せばいいのか言ってくれなかったから、結構みんな困ったと思うぞ」

「あれ?そうだったか…なんか普通に手渡されてたから全然気づかなかった」

「しっかりしなよ、疲れてるんじゃないか?」


「かもなー、最近忙しくなってきたし」

言葉のわりに嬉しそうなのは、この人が根っからの仕事人間だからなんだろう。

「とにかく、これは確かに受け取りました、っと。お疲れ、奈緒」

「おう。じゃあアタシは帰るけど、いいかな?」

「あぁ…そうだ、奈緒」

「ん?」

ほぼPさんに背中を向けつつあったアタシは、呼び止められたので向き直る。
なんだかPさんの様子がおかしい。ぼんやりしてる。

「最近なんか変わった事とかあるか?」

「いや、特に。わりと好調だけど」

「ホントか?俺になにか隠してたりしないか?」

「あぁ、隠さなきゃいけないようなことも…まぁないしな」

一瞬ペルソナとかの事が頭をよぎったけど、これはノーカンてことにさせてくれ。

「ホントか?ホントなんだな?信じていいんだな?」

「…なぁ、Pさんどうしたんだ?いつもならそんなに食い下がって来ないじゃないか」


どうしたんだろう。
やっぱり疲れてるのかな。
すこし嫌な予感がしたけど、それを振り払って尋ねる。

「え…あ、あぁなんだっけ、どうしたんだ俺、えーっと」

突然眠りから覚めたように頭を振るPさん。

「ゴメンな、奈緒。最近ちょっと寝不足で、今変なこと言ったかも」

「なんだ寝不足かよ。脅かすなって」

「アレ、俺なんかまずいこと言った?」

「いや、なんかちょっとぼんやりしてるみたいだったけど、寝不足って言ったらそんな感じかな」

「そーか。アンケートまとめたらゆっくり寝るかなー」

「頑張るのはいいけど、倒れないでくれよ?…Pさんのことは…その…頼りにしてるんだし、さ」

Pさんはアタシの言葉を聞くなりニヤニヤしだす。
あぁもうコイツは!人がせっかく本気で心配してやってんのに!

「…帰る!」

「お、おいおい奈緒!怒るなって」


アタシの機嫌が悪くなったのを見て取ったPさんが、後ろから頭を撫でてくる。

「心配してくれてありがとうな、嬉しかったぞ」

「…ふん」

「気を付けて帰れな」

「Pさんも」

「「それじゃ」」


―――数日後、CGプロ事務所、会議室

アンケートを取られてから数日後、アタシ達はPさんから呼び出された。

「なんだろ」

「この間のアンケートの結果じゃない?」

加蓮と凛はいつもと変わらない。

「え!え!だとすると!私達選ばれちゃった感じ!?」

「やりましたね未央ちゃん!!!」

「うわあ!頑張らないと!」

未央と茜と卯月はテンションが高い。

「おかしいなぁ…ずっと寝ていたいってアンケートに書いたのに」

「んもー、杏ちゃんてばおちゃめさん☆」

あんきらも変わらないな。

「…ど、どうしよう…なんで私が選ばれたのかな…」

「なんでしょうこのトントン拍子なんで今年のナナはこんなに運がいいんですかもういっそ宝くじでも買いますか」


緊張しているらしき小梅と菜々さん。

「やっぱり、はじめてははじめちゃんと…ふふ」

「わぁ、素敵です」

やっぱり相変らずな楓さんと肇。

なんだ、ほとんどいつも通りじゃんか。
タイミング的に考えて、こないだのアンケートに関する話だろうっていうのは予想つくけど…ほんとに生バラエティにでられるのかな?

なんとなく普段の感じで行くとアタシはバラエティに出演て嫌な予感しかしないけど…。

「お、みんなそろってるなー?遅刻は無し、うん、感心感心」

現れたなPさん。
さ、どんな話をするんだ。

「ここに集められた時点で何人かはこれからする話に予測が立ってると思うけど…改めて発表させてもらうぞ!」

そこまで言ったPさんは言葉を切り、たっぷりと時間を使ってアタシ達の顔を見回す。






「お前たちは、今度放送される『生っすか!?サンデー』特別企画『生っすか!?SPECIAL』へのゲスト出演が決まった!!」





「な」

「生すかって…」

「あの『生っすか!?』」

『マジで(ですか)!?』

「おう、マジもマジ大マジだ!しかも、765さんとこのアイドルとコンビなりトリオなり組んでそれぞれで企画に挑戦してもらう。単なるゲストじゃ終わらないからな!」

「うおおおおおお!!奈緒Pさんすごいよ!」

「燃えてきましたああああああ!!!!」

こりゃすごい。
てっきり週ごとに違うゲストで、とかいう話だと思ってたら大型番組に一挙出演か…。

「も、もう組むアイドルは決まってるんですかっ?」

「うん、暫定的だけど、ほぼ決まってる。企画によってはすぐに準備に入る物もあるし、当日まで知らされないのもあるから、これから個別に話していくことになるな」


「だったら杏はその場で聞いて終わるやつがいいなー」

「あ、お前の奴はすぐ準備はいるぞー、一番時間と手間がかかるから」

「そんな!ひどいよ!横暴だよ!」

「まぁまぁ、企画を聞いたら多分お前も乗り気になるぞ?」

「そんなわけないじゃないか!杏はひとえに休むことだけを考えて…」

「その休むことが仕事になる、といったらどうする?」

「なん…だと…」

流れるような会話。
コントか。

「おい、杏P!杏まんざらでもなさそうだから連れてっちゃってくれ!」

「アイサー!」

「え?ちょ、こら!」

Pさんが部屋の外に声をかけると、控えていたらしい杏Pさんが現れて杏をかっさらっていく。


「今回は、きらりは杏ちゃんと一緒じゃないのかにぃ?」

「いつもいつも一緒でも、絵に面白味がないからなー。だけど、お前にもちゃんと楽しい企画持ってきたから、期待してていいぞ」

「うきゃー☆奈緒Pちゃんはやっぱりやる男だにぃ☆」

「そんじゃ、奈緒と菜々さん以外は事前打ち合わせありだから、誰から話し合いするか決めてくれなー」

ふーん、アタシと菜々さんは…ってちょっと待て。

「お、おいPさん!」

「どうした奈緒、今日も可愛いな」

「ば、バカ!ふざけるな!それよりも、なんでアタシと菜々さんが事前打ち合わせなしなんだ!?」

「なんだよ、聞いてなかったのか?企画によっては当日お知らせもありだって言ったろ」

「そ、そうじゃなくてさぁ…」

アタシと菜々さんは、ってとこが心配なんだよ!
どう考えても…その…いじられというか…。


「あぁ、お前が気にしてることはなんとなくわかった。大丈夫だよ奈緒」

「どういうことだよ」

「お前の企画は、知られるとマズイっていうより、その場のアドリブ力を試したいやつなんだ。そーだな、この際お前と組むアイドルも教えてやろう、我那覇響だ」

「響さん?」

「あぁ、夏も一緒にライブしたし、彼女のパフォーマンス力は知ってるだろ?なにより、親しみやすいキャラクターとともに彼女はクールなダンスで売ってる」

「ま、まぁな」

「お前もずっと『カッコいい系のがいい』って言ってたからなぁ。ひびきんはカッコいい系だよなぁ、奈緒ぉ?」

言われてみればそうだよな…。

「う、うん」

「ついにお前にもそういう仕事が回してやれるかもしれない、とこういうわけだぁ。どんな類のかはちょっといえないけど、お前と響ちゃんにはパフォーマンスをしてもらう。自分の力を最も魅力的に発揮してもらうには、今回の企画を深く知らないで臨んでくれた方がいいんだ」


ぴ、Pさん、そんなにアタシの事を考えててくれたのか。
そっかぁ、ついにアタシにもカッコいい系の仕事が…。

「へへ、そういうことなら深くは聞かないよ。本番まで、基礎レッスンにでも力を入れるさ」

「わかってくれたか!」

「おう!なんたって、念願の仕事だもんな!」

「よかったね、奈緒」

「おめでとう」

凛も加蓮もPさんも、とても優しい顔で微笑んでいる。
あぁ、アタシは良い仲間に恵まれたな!

「あはは、浮かれちゃって奈緒は可愛いな」

「おい、凛、こいつぅ」


「な、奈緒Pさん!ナナは…」

「菜々さん」

「は、はい」

「バラエティですから」

「はい…」

そんなこんなで、それぞれの企画はスタートした。




ついにアタシにもクールな仕事が回ってくるかぁ…!
や、やっぱり、決めのポーズくらい考えておいた方がいいのかな!



※作者でございます。

少し短めですが、これにてコミュ回十一話は終了です。

次回は、ちゃんとアイドルのお仕事もしてもらわなきゃ!ということで
「生っすか!?SPECIAL」をお送りします。

今までは地の文アリの形式で書いてきましたが、次回十二話のみ通常の所謂SS調でお送りします。
なので、雰囲気が違っても驚かないでね!

テレビを見ている感じでお暇な方はお付き合いください。

(過去最長になっちゃって大変ということは内緒)

ではでは。


>>28

訂正
L4 アタシら→私たち


おはようございます。

笑いのセンスをください。

今回はいわゆる一般的なSS様式でお送りします。
いまさらですが、765プロのメンバーはみんな年齢が『2』の時点より一つ上ということでお願いします。

では、第十二話『生っすか!?SPECIAL』放送開始です。


―――ブーブーエス、Aスタジオ、放送開始

『生っすかー!?』


――――サンデー!


春香「はい、今週もはじまりました!ここ赤坂のブーブーエスTVから765プロダクション所属のアイドルが総出演でお送りする生放送バラエティ、『生っすか!?サンデー』!」

千早「今週はなんと、スペシャル編成でお届けします」

千早「題して『生っすか!?SPECIAL』!」

春香「司会は私、天海春香と!」

千早「如月千早と」

美希「星井美希なの!そしてそしてー」

春香「今週はスペシャルなので特別ゲストがいます!この方たちです!」


『こんにちは!シンデレラガールズプロダクションから来ました!ニュージェネレーションの…』

卯月「島村卯月です!」

凛「渋谷凛です」

未央「本田未央だよっ!」

春香「はい!最近話題沸騰中のCGプロからニュージェネレーションの皆さんが遊びに来てくれました!」

卯月「うわー、これ、生放送なんですよね!緊張しちゃうなあ」

凛「卯月、そういうのはカメラの前で言わない方が…」

卯月「あぁっ!そ、そうだね、凛ちゃん!」

美希「前も思ったけど、なんだか卯月は春香と同じ匂いがするの」\ドッ ワハハハ/

千早「やっぱり美希もそう思うかしら」

未央「似てますよね、この二人って」

春香「ちょっとちょっとそこの皆さん!聞こえてますよ!ていうかこれ生放送!」


春香「もう、全国放送でなんの話してるんだか…」

春香「あぁっといけない!進行しないと!」\ガンバッテー/

春香「あ、ありがとうございまーす!」キャピ

美希「春香あざといの」\ワハハ/

春香「うるさいよ美希!…ゴホン」

春香「本日の『生っすか!?サンデー』は特別編成、『生っすか!?SPECIAL』としてお送りします!」

春香「放送時間も大幅に拡大!さらにさらに、ゲストはこの三人だけじゃないんです!だよね、卯月ちゃん!」

卯月「はい!今回は、私達CGプロのメンバーがこの番組にお邪魔して、765プロの先輩方といろんなことにチャレンジしていこう!という企画になってます!」

春香「対決アリ、協力アリ!魅力のたっぷり詰まった生放送ですよ!生放送!」

千早「ということで、番組の概要も伝え終わったことだし、私たちは下がるわね、春香」

春香「へっ?」


美希「あれ?聞いてないの?さすがに司会六人は多いから春香と卯月のダブル司会で行くってハ…プロデューサーが」

卯月「」
春香「プロデューサーさん!?」

3カメ、袖の765Pへズーム

765P「のワの」

春香「謀りましたね!?この長丁場を何にも告げずに可愛い女の子二人に丸投げなんて…」ヨヨヨ

カンペ『その方が面白いと思ったので』サッ

美希「さすがプロデューサー、やり口がえげつねぇの。しかもなんだかんだ言って春香ノリノリだし」

千早「そういうことだから春香。じゃあ行きましょう、渋谷さん、本田さん、美希」

凛「卯月、頑張ってね」

未央「ファイトだよ!しまむー!」

卯月「ちょ、ちょっと待って!二人は知ってたの!?」

凛未央「…」ソソクサ

卯月「ちょっとぉ!」


春香「あぁ、ホントに行っちゃった…」

卯月「どどどどどうしましょう春香さん!私生放送の司会なんて…しかもこんな大きな番組の」アワアワ

春香「…大丈夫だよ、卯月ちゃん!」

春香「私たちはこれまで、このくらいの苦境は乗り越えて来た!」

春香「もっと辛いことだってあった…だけど、負けないでここまで来たんだよ!」

春香「…なんでかわかる?」

卯月「春香さん…いいえ…」

春香「それは、いつだって自分たちの事を信じてきたから!」バン!

春香「私達を支えてくれるプロデューサーさんたちを信じてきたから!」バン!

テロップ『※騙したのはプロデューサーです。』\クスクスクス/

春香「トップアイドルという夢があるから!」ババン!

卯月「春香さん…!」

春香「だから卯月ちゃん!負けないで!バラエティで鍛えられたこの春香さんが、卯月ちゃんを導いてあげるから!」

卯月「はい!春香さん!」



バックスクリーン『ぐ…くくく…\パコッ/あいたっ!』
↑以前の『生っすか』で春香が段ボールを開けそこなったシーン

テロップ『※バラエティ慣れした人の姿。』\ワハハハハハハハハ/


春香「ちょちょちょっと!さっきの変なテロップと良い、今の恥ずかしい映像と良い!生放送なのになんでそんなすぐ対応が出来るんですか!」

カンペ『ウチの事務員は有能です。 By 765P』

春香「小鳥さァん!」

卯月「え、ええっと…とりあえず、オープニングで時間取りすぎなので一旦CMでーす!」


―――CM中

春香「はっ…気づいたら卯月ちゃんに進行させてしまった…」

卯月「だ、大丈夫ですよ春香さん、これからですこれから!」

響「すごいぞ春香!最初から爆笑をかっさらってるじゃないかー!」

春香「頼れる先輩を演出するはずが…なぜこんなことに…」ドンヨリ

765P「よし、少し押してるけどおおむね問題ないな!」

春香「問題大有りですよ!なんですか!台本と全然流れ違うじゃないですか!」

765P「えー?そうかぁ?俺の持ってる台本には沿ってるんだけどなー」

春香「私に台本渡したの…プロデューサーさんですよね…っ」グググッ…

765P「えー?あははは」ギリギリ…

凛「卯月、すごかったよ」

未央「うん!春香さんのノリにもちゃんとついていってたし、CM振りまでしちゃってさ!」

卯月「えへへ…春香さんがうまく誘導してくれたからだよ」

凛「そうなの?」

卯月「うん。春香さんはやっぱりすごいなぁ…」


未央「へぇー、失礼だけど、そんな風には見えなかったな」

響「春香のバラエティ慣れは本物だぞ。」

凛「響さん」

響「なんていうか、カメラ向けられると自然と美味しい方へ美味しい方へ体が動くらしいさー」

未央「なんというバラエティ体質」

凛「そっか、バラエティ的にはさっきの春香さんの立ち位置の方が美味しいもんね」

響「まぁ、今日はそんな体質を封印して先輩風吹かせたかったみたいだけど…あの様子じゃ自分無理だと思うな」

765P「いてててて…ほら春香!CM明けるぞ!CM!」ギリギリ…

春香「えっ、ヤダ、もう!?」

春香「プロデューサーさん!進行自体は変わらないんですよね?」

765P「あぁ、次は真とCGの茜ちゃん紹介だ!」

春香「了解ですっ!」


響「な?」

凛「受け入れてる、ね」

未央「これがプロか」

卯月「島村卯月、行きます!」


―――放送再開

春香卯月「「生っすかー!?」」


―――サンデー!


春香「はい、ということでオープニングではドタバタしてしまいましたが!」

卯月「ここからは私たち二人で進めさせて頂きます!」

春香「まず最初はこちらの企画!」



デーデン!
『まこあかCHALLENGE!』



春香「まこ、あか…誰の事かわかるかな?」

卯月「それでは現場と中継がつながっています。現場の真さーん?」


―――都内某所、スタジオから42.195km地点

真「キャッピピピピピピーン☆こちら現場の」

春香『回線切って!急いで!』

真「な、なんでだよぅ!」

春香『真、そういうのいいから普通に自己紹介してもらえる?』

真「ちぇっ、最初くらい可愛くいこうと思ったのに…」

真「えっと、こちら、765プロ所属のアイドル、菊地真です!」

\キャーマコトサマー!/\マコトオウジー!/\ダイテー!/

真「うわぁ、すごい声援だな…みんなありがとー!」

真「そして、もう一人は…」

茜「ボンバー!!!!CGプロから来ました!日野茜です!!」キーン

茜「今日は!よろしくお願いします!!」キィィィン

真「うわ、こっちもすごい声…」

真「ということで、ボクのお相手は日野茜さんです!」

茜「ボンバー!」


春香『げ、元気な子だよね、茜ちゃん…』

卯月『二人は今どこにいるんですかー?』

真「ボク達は今、赤坂のブーブーエスからちょうど42.195kmの所にいます!」

卯月『42.195kmということは…』

春香『そうです!フルマラソンですよ、フルマラソン!』

真「大正解!今回のボクたちの企画は…」


真茜「「せーの…『番組終了までにスタジオまで辿りつけるか ver.フルマラソン』でーす!」」


春香『はい、真たちには、これからフルマラソンに挑戦してもらいます!』

卯月『番組終了までにたどり着けないと罰ゲームがあるそうなので、頑張ってくださいね!』

真「うん、それはいいんだけどさ…」

春香『どうしたの?真』


真「この企画って、前に響がやってたのとほとんど同じじゃないか」

真「今更ボク達が同じことやるのって、テレビ的にどうなのかなって…」

真「それに、ボクと茜じゃ、番組終了までにっていうリミットじゃ長すぎるんじゃないかなって…」

茜「往復しますか!!」

春香『スタッフさん!アイドルに気を使われてますよ!』\アハハハハ/

春香『真、安心して。ただ走るだけじゃ確かに代わり映えしない企画だよ』

春香『だけど、今回は一味ちがうよ!』

真「え?そうなの?ボクたちは何も聞いてないけど…」


―――ブーブーエス、Aスタジオ

春香「はい、ここでもう一件中継をつなぎまーす」

卯月「呼んでみましょう、雪歩さーん!」


―――都内某所、スタジオからおよそ35km地点

雪歩「は、はい!こちらは765プロの萩原雪歩ですぅ!そして…」

肇「CGプロから来ました。藤原肇です。どうぞよろしくお願いします」

雪歩「今私たちは、真ちゃんたちが走ってくるマラソンコースの途中にいます」

真『え!?雪歩たちが?なんで…』

雪歩「そんなの決まってるよ!頑張ってる真ちゃんと茜ちゃんをねぎらうためだよぉ!」

肇「そういうことです。では、雪歩さん」


雪歩肇「せーの…『ランナーを、美味しいお茶でもてなそう!』」


真『どういうこと?』

春香『雪歩たちは、真と茜ちゃんが走るマラソンコースの給水ポイントで二人を待っています!』

卯月『長丁場になりますから、水分補給はしっかりと、ですね!』

春香『ただし!ただの給水ポイントかと思ったら大間違い!』

春香『二人には、給水ポイントに用意される「THE 茶の湯」セットで雪歩と肇ちゃんのもてなしを受けてもらいます!』


卯月『お釜から畳からぜんぶちゃんと用意されてるんですよ!』

春香『茶の湯の作法を間違えたらその時点でアウト!お茶会が終わって十分間はそこから動けません!』

茜『えぇっ!私お茶の作法なんかわかりませんよ!』

春香『そう思って、マラソンのコースの何処かにはお茶のマナーワンポイントを書いた看板を立てておきました!』

卯月『マナーを覚えるのに多少時間を使ってもスムーズに試練を乗り越えるか!』

卯月『はたまたルール無用で突っ走って、十分のロスを相殺するか!』

卯月『決めるのは自分次第です!』

真茜『そんなぁ…』

春香『給水ポイントは全部で四つ!おもてなしされる時間を考えると、全部引っかかったら間違いなく一時間以上のロス!』

卯月『これなら早く着きすぎる心配はありませんね!二人とも頑張ってください!』

真『しょうがないなぁ…』

茜『やるからには負けません!全力で行きます!』

真『…へへっ、そうだね!やってやろう!茜!』

茜『はい、ボンバー!』


春香『目標達成できたら、それぞれプロデューサーさんからご褒美が出るらしいので』

真茜『『おっしゃー!!』』


―――ブーブーエス、Aスタジオ

春香「うわー、気合いの入り方が違うね!」

卯月「雪歩さんたちも大丈夫ですかー?」

雪歩『はい!このために良い茶葉とお茶菓子を用意してくださったみたいですし、私やりますぅ!』

肇『自分の作品が映るのは少し恥ずかしいですけど、頑張ります』

春香「では、両陣営準備が整ったようなので、私天海春香がスタートの号令をかけさせて頂きます!」

春香「行きますよー…よーい…」

卯月「スタート!!」


パァン! ウオオオオオオ!


春香「そ、そんな…卯月ちゃ~ん」

卯月「すいません!あの、765Pさんがどうしてもって…」

春香「またPさん!?」

カンペ『スマン、つい』

春香「つい、じゃないですよー!」

卯月「と、とにかくはじまりました『まこあかCHALLENGE!』!二人は時間内にスタジオにたどり着けるのでしょうか!」

卯月「ここで、レギュラーコーナーをもじった企画をお送りします!『りつかれちゃーん』!」


―――どこか景色のいい崖の上

『りつかれちゃん』

律子「…」←海の向こうを見つめ佇む、スーツにコート

加蓮「…」←律子に何か語りかけている、普段着

律子「…」←悲しそうな笑みを浮かべ加蓮の方を振り向く

加蓮「…っ…っ!」←何かを必死に訴えている

律子「…」←黙って首を振る

加蓮「…っ」←律子にかけより思いっきり抱きしめる



BGM『隣に…』in


―――ブーブーエス、Aスタジオ

卯月「はい、全身タイツシュールコントに対抗して、秋月律子さんと北条加蓮ちゃんによるサイレントドラマでした!」

卯月「スタッフさん曰く『お好きなセリフを想像して遊んでね!』とのことです」

卯月「なんか、とっても壮大なお話しに見えましたよね!それはそうと…」

卯月「春香さん、落ち着きましたか?」

春香「ご心配おかけしました!」キャルーン

卯月「もう大丈夫ですか?」オイ、ソノイチダトボロボロノPサンウツッチマウゾドケロ!

春香「もちろん!」ズズッ…ズズッ

卯月「そういえば私達はなにかやらなくてもいいんですか?春香さん」オッケーデース

春香「…『頑張ってください』」ボソッ

卯月「はい?」

春香「今、プロデューサーさんに聞いたら『頑張ってください』だって!」オォォォォォン…

卯月「は、はい…?頑張りますけど」

春香「うんうん、それならいいんだよアハハハハハ」\カッカー!/


卯月「春香さん?春香さん大丈夫ですか!?」

春香「はい!さっそく次のアイドルを紹介しちゃいましょう!」

卯月「えぇっ!?了解です!?つづいてのアイドルは!?」

卯月「ええっと…765プロからは星井美希さん!」

春香「CGプロからは、双葉杏ちゃん!です!」

春香卯月「「どうぞ!」」ガラガラーッ

春香「んん?」

卯月「なにやら台が運ばれてきましたけど…」

春香「人が寝ていますね」

卯月「はい、これは…」

春香「美希と杏ちゃんだね…」

卯月「えっと…布団にくるまってます」

春香「うん、すっごく熟睡してますね」

春香「ちょっと美希!杏ちゃん!本番ですよ!本番!」ユサユサ

卯月「お、起きてくださーい」ユサユサ


美希「…んー、うるさいの」ボヤーン

杏「…杏は今圏外です」グデーン

春香「ケータイじゃないんだから!」\ワハハ/

卯月「生放送ですよ!二人とも映ってますよ!」

美希「…え?あぁ、大変なの!杏、杏、ミキたち眠っちゃったみたいなの!」ユサユサ

杏「なら良いじゃないかーそのままでー。杏は一度寝たら起きないのだー」

美希「それはマズイの!ハ…プロデューサーとお仕事はちゃんとするって約束したし!それに、見てるみんなにこの幸せをおすそ分けしてあげないと!」

杏「んー…美希は良い子だねー。…よいしょっと」ググッ

春香「や、やっと起きてくれた…ということで自己紹介お願いします!」

美希「はいなの!みんなー、星井美希だよ!知ってると思うけど」\ミキミキー!/

杏「双葉杏でーす。私の印税生活のためにみんなお布施よろしくねー」\ウオオオオアンズチャーン!/

卯月「二人はなんでこの台の上で寝てたんですか?」

美希「それは、今回ミキたちが挑戦した企画とミッセツにカンケイしているの」

杏「そういうこと。じゃー、面倒だからちゃっちゃと企画発表しちゃおうか」



美希杏「「せーの…『究極のお昼寝グッズをつくろー』」」


春香「お昼寝グッズ?」

美希「ミキたちね、今回何かすることに決まった時に、『何がやりたいですか』って聞かれたの」

杏「んで、『疲れることは嫌だから寝てたい』って言ったら」

美希「二人のプロデューサーが面白がってこの企画を持ってきてくれたの」

卯月「なるほど…って言っていいんでしょうかこの場合」

春香「まぁ美希も杏ちゃんもお昼寝すきだもんね!」

美希「うん!最近忙しいからあんまりお昼寝できないけど、だからこそ短い時間での充実した睡眠は必要不可欠なの!」

杏「どーせ寝るなら気持ちいい方が良いもんねー」

春香「そんなお二人のために番組スタッフが総力を結集し、とある寝具メーカーさんとコラボレーション!」

卯月「まずは、その企画開始からを追いかけたVTRがあるそうなので、掛け声お願いします!」



美希「はい!では~、VTR~?」

杏「あ…杏も言う感じ?そんじゃすたーとー」


――――『究極のお昼寝グッズを作れ!』VTR

ナレーション『現代のアイドル界において、類稀なる才能を発揮する二人のアイドル』

ナレ『業界のトップをひた走る765プロダクション所属の星井美希』

ナレ『所属人数と個性で独特の売り出しをかける新進気鋭のCGプロダクション所属、双葉杏』

ナレ『圧倒的な存在感とパフォーマンスで観客を魅了する星井と、ニートアイドルという時代の最先端斜め上に君臨する双葉』

ナレ『一見するとまるで違う二人に強烈に共通するキーワード、それは「お昼寝」』

美希「お昼寝するときはね…なんて言うか救われてなきゃいけないの…独りで、静かで、豊かで…」

杏「寝たいから寝てるんだよ?我寝る、故に我あり!」

ナレ『今回「生っすか」スタッフは、そんな二人のお昼寝ライフを全力で支援すべく世界的寝具メーカー「ティモンズ」とコラボレーション』

ナレ『「究極のお昼寝グッズ」を作り上げるべく、企画をスタートさせた』

ティモンズ社員(以下ティ)「よろしくお願いします!」

美希「よろしくお願いしますなの!」

杏「おねがいしまーす」


ティ「今回は、『究極のお昼寝グッズ』を製作しようということですが、お二人ともなにかイメージはありますか?」

美希「えっとね、ミキが考えたのは…」


―――Aスタジオ

春香「へー、すごくちゃんと会議したんだね!」

美希「当たり前なの!お昼寝には中途半端な気持ちで取り組んではならないの!」

卯月「美希さんてこんなに熱い人だったんですね!」

春香「いや、私も初めて見るくらい燃えてるんだけど…」\ワハハハ/

春香「これは、二人にできれば欲しい要素を書き出してもらってるところかな?」

杏「そだよー」

卯月「へー…どんな」

ティ『え?えぇっ?「寝起きにおにぎりを握ってくれる」!?』\イソクセー!/

卯月「へ!?」

ティ『双葉さんは…「睡眠時間に応じて預金残高が増える」!?』\ハタラケアンズー/

春香「ティ、ティモンズの社員さん困っちゃってるけど」

美希「だって、『何でもいいから書いてみてください』って言われたから…」


春香「何でもにも限度があるでしょ!?」

美希「起きてすぐにおにぎりが食べられたら幸せだと思ったんだけどなー」

卯月「そ、そこじゃないと思います」

杏「流石に杏のはネタのつもりだったんだけど、美希のがことごとくあんな感じで社員さんも計りかねちゃった感じあるんだよねー。いやー、失敗失敗」

春香「絶対反省するとこ間違ってるよね!?」


―――VTR

ナレ『二人の希望を取り入れつつ、企画は進んでいく』

ティ「こちら試作品三号なんですが…」

美希「おにぎり枕なの!」

杏「磯臭いんだけど…」

…→体験中→体験中→体験中→…

美希「これで寝るととんでもなくお腹すくの…起きてもおにぎりできてるわけじゃないし…」

テロップ『当たり前である』

ティ「こちら試作品五号です」

美希「なんか固いの」

杏「おー、小銭入り?いい夢見られそうじゃないか」

…→体験中→体験中→体験中→…

美希「かたこったの…」

杏「寝心地は最悪だね…」


―――Aスタジオ

春香「あぁ、あんなトンデモリクエストも一応考慮して作ってくれてたんだ…」

杏「世界的寝具メーカーの意地だね」

卯月「やらせたの杏ちゃんだよ!?」

美希「途中からミキ達も自分の要望とかどうでもよくなって、純粋に寝心地を求めだしたの」

春香「初めからそうしようよ…」

ナレ『試作品も十号を超えたあたりから、二人の目にも真剣さが芽生えだした』

春香「もっと早くから芽生えても良かったかと!」


―――VTR

美希「横になった時の頭の沈み具合が…」

杏「でも、お昼寝ならソファが多くなるよ?ということは体の下の物を問わない材質が…」

ナレ『二人の真剣な討論を聞いたティモンズ社員は、後にこう述べた』

ティ「なんていうか、正直お二人を舐めていましたね」

ティ「『いくらお昼寝好きったって、こっちはプロなんだ。アイドルだか何だか知らないけど、素人の意見が通用するのか?』って」

ティ「もちろん、我々はお客様のご意見ご感想がすべて。それを調査し製品に反映させることはすこしも怠ってきたつもりはありません」

ティ「だからこそ、今さらポッと出の意見がどこまで役に立つんだっていう思いはありましたね」

ティ「だけど、そんな思いも彼女たちの話し合いを聞いたら吹っ飛んでしまいました」

ティ「『誰よりもお客様の立場で』そう思っていた我々なんて足元にも及ばないほどのお昼寝にかける情熱」

ティ「自らの快適への妥協なき精神」

ティ「これがトップアイドルか、と思いましたよ、えぇ」

ティ「彼女たちは、お昼寝のプロです」キリッ


ナレ『本職すらも唸らせる彼女たちのお昼寝学。担当プロデューサーはその姿に何を思うのか』

765P「えぇ、あれが『星井美希』です」

765P「自分が力を傾けると決めたことには全力で、そう決めたら誰よりも輝いてみせる」

765P「今のアイツには、誰も適いませんよ」ニカッ

杏P「いやいや、ウチの杏だって負けてませんよ」

杏P「普段やる気がないように見せかけていても、一度動き出すとすごいんですアイツ」

杏P「あの小さな体で、身の回りのすべてをねじ伏せ納得させてしまう」

杏P「それが『双葉杏』です」ニヤリ

765P「いや美希は…」

杏P「いやいや杏は…」

ナレ『我々にはわからない世界もあるものである』


―――Aスタジオ

\ワハハハハハ/

春香「なに、なんでプロジェクトなんとかみたいになってるの?」

春香「それと!プロデューサーさんたちもなにやってるんですか!」

春香「しかも最後の含み笑いなんですかアレ!なんでちょっと『良いこと言ったぜ俺』みたいな顔してるんですか!」

春香「お昼寝グッズ作ってるんでしょ!?」

卯月「は、春香さん落ち着いて!」

美希「春香と言えど、このプロジェクトをバカにするのは許せないの」

杏「いやー、途中からなんか変なスイッチはいっちゃってさー、あは」

春香「卯月ちゃーん、卯月ちゃんだけだよ味方は…」

卯月「それで!できたんですか?究極のお昼寝グッズ!」キラキラ

春香「」

美希「もちろんなの!」

杏「それこそが、さっき杏たちがくるまってた布団と枕なのだよ」

卯月「これが!」


美希「そうなの!これはつまり人間工学に基づいて…」


~約五分間ノンストップで美希による究極お昼寝グッズ解説~


美希「というわけで、体にとってもやさしいお昼寝グッズなの!」

春香「美希って突然びっくりするほど頭良くなるよね…」

美希「む~、バカにしちゃ、ヤ!」

春香「いやいや、普段をバカにしてるんじゃないよ、頭いいときが異常なんだって」

杏「まぁ確かに杏も美希が物理学の話始めたときはびっくりしたもんね…」

春香「枕で物理学…?」

美希「あぁ、それなら…」

春香「い、いやいいよ美希!それよりこのお昼寝グッズ、テレビをご覧の皆さんにも手に入れるチャンスがあるんだよね?」

美希「そうだったの!こちらの究極お昼寝グッズ、なんと税込4980円で販売するの!」

杏「このあとCMが入ったら、今画面の下の方に出てる電話番号に電話してねー、テレホンショッピングってヤツだよー」


美希「番組中に注文してくれた人には、美希と杏のサインを入れてあげるから、これでみんなでお昼寝しよっ、あはっ☆」

杏「これが売れたら杏にも多少お金が入るだろうから、しっかり貢いでねー」

卯月「ちょ、ちょっと杏ちゃんてば…あれ?」

カンペ『お前にお金なんか入らんぞ。対価はお昼寝セットだけだ。 By 杏P』

杏「んなっ!なんてことだ!」

杏「あんまりだ!横暴だ!杏は深く傷ついたぞ!週八日のお休みを要求するー!」

春香「あはは…杏ちゃんはぶれないね」

春香「ということで、『美希と杏の究極お昼寝セット』は税込4980円でのご提供です!」

春香「この後CMに入りましたらこちらの電話番号にお電話ください!美希と杏ちゃんのサイン入りです!」シタヲユビサシ

春香「ということで、『美希と杏の究極のお昼寝グッズを作ろう』はここまで!」

卯月「二人ともありがとうございました!」

美希「みんなー、またねー☆」

杏「うぐぐ、こんなことが、こんなことがー」ズルズル

春香「一旦CMです!」


―――CM


―――あなたの暮らしに、水瀬の技術。


『Discovery for the future』


―――水瀬グループ。


―――CM明け、Aスタジオ

春香「生っすかー!?」


―――サンデー!


春香「さてさて、さっそく番組を進めて…」

卯月「春香さん!すごいですよ」

春香「どうしたの?卯月ちゃん」

卯月「先ほどの美希さんと杏ちゃんの『究極のお昼寝グッズ』なんですけど、CMが入った瞬間から電話が鳴りやみません!」

春香「回線が込み合っております!数は充分に用意しているそうなので!焦らずお電話ください!」

卯月「番組も、まだまだ続きますからね!」

春香「その通り!」

春香「それではさっそく、次のアイドルを御紹介いたしましょう!」

春香「現場の響ちゃーん!」


―――ブーブーエス社内、控室付近

響「はいさーい!自分、我那覇響だぞ!自分たちは今、みんなと同じ建物の違うところにいるんだ!」

\ヒビキーン!/\カンペキー!/\ナンクルナイサー!/

響「そして、自分と一緒に企画に挑んでくれるのは!」

奈緒「か、神谷奈緒でし…す!よろしくお願いします!」

響「あはは、奈緒、緊張してるのかー?でも、自分が一緒だから大丈夫!どんな企画だってなんくるないさー!」

奈緒「は、はい」

響「固いさー!夏には一緒のステージでやったんだし、いつもの感じでいいぞ!」

奈緒「じゃ、じゃあ…よろしく!」

\ウオオオ!ナオチンデレター!/

奈緒「で、デレたとか言うなっ!」

春香『うんうん、さっそく盛り上がってきてるね!』

響「でも春香ー」

春香『どうしたの、響ちゃん』


響「自分、今回何やるのか何にも聞いてないんだ。奈緒は何か聞いてるかー?」

奈緒「いや、なんかぶっつけでパフォーマンスをやらされるとかなんとか…」

奈緒「てっきり『響CHALLENGE』みたいな体当たり系だと思ってたんだけど…」

響「それは真がやってるもんな」

響「というわけで自分たちが何をやるのかそろそろ教えてもらいたいぞ」

春香『そっか、そういえば二人は自分が何をやらされるか知らないんだったね』

春香『響ちゃんと奈緒ちゃんには、お互いに共通する「あること」にスポットを当てた企画に挑んでいただきます!』

響「自分たちに共通する」

奈緒「あること?」

響「奈緒は何か思いつくかー?」

奈緒「いや、アタシもさっぱり…」


―――Aスタジオ

春香「二人ともいい感じに混乱してきてるね!」

卯月「えぇ、可愛いですね!」

奈緒『か、かわっ…?』

春香「赤くなってる奈緒ちゃん可愛い!でも、その横できょとんとしてる響ちゃんも可愛い!」

響『え、えぇっ!?そ、そんな改めて言われると恥ずかしいぞ…』

春香「さぁぁぁて!」

卯月「テレビをご覧の皆さんはお分かりになったのではないでしょうか!」

春香「二人に挑戦してもらう企画はこちら!」


テロップ『恥ずかしがり屋の昼下がり!可愛い衣装でプリプリプリンセス!』デデーン!!


響『は…?』

奈緒『』

春香「お願いします!」


―――控室付近

響「ちょ、え、春香どういう」ガチャッドタドタドタドタ

響「は?え?え?なに?だれ?なんなんだこの人たち!?」

奈緒「(やられた理解したPさんだコレなんだよなにが生放送に出番がだよ「ひびきんはかっこいい系だよな~」じゃねぇよ結局コレかよ)」

卯月『普段はダンスパフォーマンスでカッコいい系中心の響さん!』

卯月『しかしながらその低身長とわがままボディには、溢れんばかりの可愛い魅力が詰まっています!』

卯月『「自分カンペキ」を自称しながらもその実直球で褒められることに弱く赤面する姿に悶絶するスタッフも多いという情報が入っています!』

春香『一方CGプロの神谷奈緒ちゃんは、別名「恥じらい乙女」とも呼ばれ、とにかく褒め言葉に弱い!』

春香『普段の強気な態度も相まって、照れ出した時のギャップにファンは萌え殺されているという話があるとかないとか!』


春香『普段は気が強いけど、実は恥ずかしがり屋』

春香『我々はこの共通点に光明を見出しました!』

卯月『今お二人を取り囲んでいるのは、今までのお仕事などで響さんと奈緒ちゃんを見かけて』

卯月『「ぜひ可愛らしくコーディネートしたい!」「私色に染め上げたい!」という思いの下集ったメイク、スタイリストの皆さんです!』

コーディネーター’s「「「「「「ふふふ、お姉さんたちに任せなさい…」」」」」」

響「た、確かに自分たまには体張りまくり以外の企画もやってみたいとは言ったけどコレはっ!」

響「な、奈緒!奈緒もなんか言ってやるんだ!じゃないとこのお姉さんたちに自分たちは良いように…」

奈緒「…」

奈緒「…」ダッ

響「あ!逃げ…」

コーディネーター1「あら、逃がさないわよー」

コーデ2「二人とも髪の毛長いからいじりがい在りそうねー」

奈緒「やだやだやだやだ恥ずかしい恰好だってわかっててやらされるなんて死んじゃう死んじゃう」ガタガタブルブル


コーデ3「お宅のPさんたちからは『ぷりっぷりに可愛くしてやってください』って言われてるから楽しみにね!」

響「そ、それってまさか真が前にやってたような…」サーッ

響「や、やだぞ!自分あんな恰好恥ずかしすぎて…」

コーデ4「はい、じゃあ行きましょうねー」ガシッ

コーデ5「いやー、二人とも小っちゃくて可愛いから腕の振るい甲斐があるわー」ガシッ

響「いーやーだーはなせー!春香ー!覚えてろー!」ズルズル

奈緒「これは夢だこれは夢なんだ…」ズルズル

コーデ6「それじゃ、スタジオにお返ししますねー」


―――Aスタジオ

春香「まさかの裏方さんが中継締めだったよ」

春香「奈緒ちゃんはずいぶんショック受けてたみたいだけど大丈夫かな?」

卯月「大丈夫だと思います。奈緒ちゃん本人の希望としてはカッコいい系がいいみたいですけど、なんていっても可愛いカッコが似合いますから!」

春香「だよね!ちなみに二人の身体データなんですが、わりと似通っていて双子コーデの可能性もありかと」

卯月「わぁ!それも素敵ですね!」

春香「二人のコーディネートは、完成を楽しみにするとして、只今真たちマラソンチームと中継が繋がってます!」

春香「さっそく呼びかけて見ましょう、真ー!」


―――第一休憩ポイント

真「はい、マラソン挑戦中の真です!」

茜「茜です!!」

真「ボクたちは、数分前に第一休憩ポイントにたどり着きました」

真「ペースは二人ともほぼ一緒ですね」

茜「目標は完走ですから!競争じゃありませんもんね!」

春香『なるほど』

真「それよりも春香ー」

春香『どうしたの真』

真「なんだよ響の企画ぅ。いいなぁ、ボクもぷりっぷりに可愛くコーディネートしてもらいたかったなー」

真「なんで今回に限って企画が逆転しちゃうかなー」

春香『あ、あははー…』

雪歩「いいんだよそれで!真ちゃんにああいうのは似合わないんだからぁっ!」

真「うわっ、雪歩!」


春香『あ、雪歩、おもてなし側の調子はどうー?』

卯月『うわぁ!雪歩さんも肇ちゃんもお着物だ!可愛い!』

肇「あ、ありがとうございます…!」

雪歩「今ちょうどお湯が沸いて、そろそろ始められますぅ」

春香『では、お茶の作法に則って、もてなされてください!』

真「あ、そうだった…途中に看板出してたんだっけ…全然見てなかったえへへ」

雪歩「まぁそもそもきちんと茶の湯に招かれるような状態じゃないから、基本的な動作についてしか指摘しないよぉ」

肇「はい、あくまでレクリエーションだとおもって、心静かにお茶を楽しむ機会だととらえてださい」

真「そ、そういわれるとちょっと気が楽かな…お邪魔しまーす」ゴソゴソット

雪歩「はい、真ちゃんアウトですぅ」

真茜「えぇっ!?」

真「そんな!いきなりだなんて!」

肇「ここには襖がないので、襖を開ける時の作法などについては触れませんが、茶室への入り方に問題アリ、です」


茜「でも、今真さんは丁寧に静かに入りましたよ!?」

雪歩「はい、その点の気遣いはだいじですぅ」

雪歩「けど、お茶室に入るときは、後ろに並んでいる人がいたらその人へ『お先に失礼します』と会釈をするのがマナーなんですぅ」

真「そういうものなんだ…」

春香『ということで、連帯責任で二人とも十分間のペナルティーとなります!』

茜「難しいですねぇ…」

春香『ですがここでルール変更です!』

春香『今のを見る限りでは、今後もすべてのポイントで引っかかるのは必至』

春香『加えてスタッフさんが「茶室のセット作ったくらいじゃマナー云々のペナルティーつけんの難しくね?」って今さら思ったらしいので』

春香『この先の休憩ポイントでは、毎回雪歩先生と肇先生による茶の湯講座を開催いたします!』

春香『二人はそこでひとしきり講座を聞きながらお茶を楽しんだ後にレースに戻っていただきます!』

真「ずいぶん今さらだね…」


春香『この急場しのぎ感、これぞ生放送ですよ!生放送!』

卯月『というわけで、雪歩さん、肇ちゃん、よろしくお願いしますね!』

雪歩「了解ですぅ!」

肇「任せて下さい」

春香『ちなみに、あんまりのんびりしてるとエンディングに間に合わなくなっちゃうから気を付けてね!』

卯月『茶の湯講座で女子力アップを狙うか…余裕を持ってゴールをするか…悩みどころですね!』

真「女子力…」ゴクリ

春香『それじゃ!引き続き頑張ってね!』

卯月『「まこあかCHALLENGE」でした!』


―――都内某所、個室居酒屋の風景

ガヤガヤ

「うふふ、それじゃあ…」

「えぇ、乾杯しましょう…ふふ」

あずさ楓「「かんぱーい」」

あずさ「こく…こく…あぁ、美味しいわぁ」

楓「やっぱり、人生お酒は避けられませんね…ふふ」

あずさ「あらあら~、相変わらずダジャレが冴えてますね~」

楓「ありがとうございます…あずささんも相変わらずのようですね」

あずさ「えぇ、元気ですよ~。でも最近はいそがしいからちょっと疲れてるかもしれないわねぇ」

楓「それはそれは…温泉とか行きたくなりませんか?」

あずさ「なるわよ~そりゃ~。いいわね~温泉」

楓「そういえば夏のフェスの後にまとまった休みが取れて…そこで温泉に行ったんですけど…」

あずさ「うんうん」コクコク


楓「そこで飲んだ幻の地酒っていうのがおいしくて…」

あずさ「えぇ~いいなぁ。私も飲みたかったです」

楓「数が少ないみたいでなかなか手に入らないとか…あ、たこわさお願いします」

あずさ「私はシーザーサラダを頼もうかしら、店員さーん」

ガヤガヤ


―――Aスタジオ

春香「えーっと、今のは放送事故ではございません」

卯月「只今の映像は、765プロの三浦あずささんと我が事務所の高垣楓さんが、都内某所の居酒屋で『女子会』をしている様子をそのままおさめたものです」

春香「あずささん曰く『私たちは他の子にはできないことをするわね』とのことで、この一言を聞いたプロデューサーさんたちがこの企画を進めたそうです」

卯月「二人ともとってもリラックスしていましたけど…これって良いんでしょうか?」

春香「『そろそろ夕方だから平気?』いや、そういうことじゃないような…」

春香「この後も赤裸々な女子トークが合間に入るそうなので、お楽しみ!?」

卯月「さて、ここまでで大体半分の企画を御紹介したわけなんですが…」

春香「まだ半分!?これは盛りだくさんですよぉみなさん!」

卯月「さっそく六つ目の企画の御紹介と参ります!」

卯月「Bスタジオの亜美さん!真美さん!」


―――Bスタジオ

亜美真美「「はーい!」」

亜美「テレビをご覧の兄ちゃんたちー!双海亜美だよーん!」

真美「ヨガしながら見てる姉ちゃんたちー!双海真美だよーん!」

亜美「そしてそしてー」

真美「今宵真美たちの手にかかる哀れな犠牲者は…コイツだぁー!」

菜々「ぎ、犠牲者っ!?なんですかナナそれ聞いてな…あ゛!」

菜々「ン゛ン゛ッ!…きゃはっ☆ウサミン星からやってきたキュートなメルヘンアイドル!」キャピッ

菜々「CGプロ所属のウサミンこと『永遠の十七才』安部菜々でーす!」ウィンク☆

\アナベベー!/\ムリスンナー!/

菜々「ちょ!誰ですか今無理すんなとか言ったの!ナナはリアルJKですから!無理とか一切してませんから!」

亜美「うんうん、掴みはばっちりだねい」

真美「こんだけリアクションが大きいと、真美たちも腕の振るい甲斐があるよー!」

菜々「…腕?振るう?」


菜々「あの、お二人は企画内容を御存じなんですか?」

亜美「そりゃそーっしょー」

真美「だまし討ちが面白いのは、ひびきんとかみたいな弄られキャラにやるからだもんねー」

菜々「え、でもナナは聞いてな…」

春香『はい!続いてのアイドルは、我が765プロが誇る芸能界イタズラツインズ亜美真美と!』

卯月『CGプロダクション所属、癒し系惑星ウサミン星からやってきた安部菜々ちゃんです!』

菜々「あの、卯月ちゃん、ナナは企画を聞かされてないんですが…」

春香『それでは亜美、真美。企画の発表お願いできる?』

亜美「りょーかいはるるん!」

真美「ほんじゃいっくよー!」

亜美真美「『イタズラVS!』」

菜々「いたずらばーさす?」

菜々「どういうことなんですかコレ!?」


亜美「これからべべ姉ちゃんには、亜美たちの後ろのセットでしばらく過ごしてもらうよ!」

真美「トーゼン単なるセットなわけがなくて、真美たちが趣向を凝らしたイタズラがいたるところに仕掛けられているのだ!」

亜美「そして、いたずらに引っかかった時のリアクションの度合いをべべ姉ちゃんのプロデューサー判断でポイントとして加算します!」

真美「時間内にびっくりポイントが限界を超えず、十個のイタズラに耐えきればべべ姉ちゃんの勝ち!」

亜美「なんと商品として最新型の炬燵がプレゼントされちゃうよ!」

菜々「こ、こたつ…そういえば十年愛用したのが壊れて…ってハッ」

菜々「こ、こたつですかぁ!ウサミン星に炬燵はありませんでしたから!ぜひ使ってみたいですね!」

真美「んっふっふ~、そう簡単にいくかなー?」

亜美「まぁ精々頑張りたまえよ、べべ姉ちゃん」

春香『お、話がまとまったようですね』

卯月『えっと、ちなみに菜々ちゃんがそれに失敗した場合ってどうなるんですか?』

菜々「卯月ちゃん余計なことはっ」


亜美「おおっとぉ、言い忘れてたよー」

真美「うづきんナイスー!」

卯月『えへへ』

亜美「べべ姉ちゃんが時間内にイタズラを十個見つけられなかったとき!」

真美「もしくはびっくりポイントが限界を超えちゃったとき!」

亜美真美「「ナナP兄ちゃんから、『ファン垂涎、菜々悶絶!珠玉のウサミン語録』が公開されるってー!!」」

菜々「な、なんですってえええええ!!」

菜々「聞いてないですよそんなの!」

亜美「だって」

真美「今言ったもん」

亜美真美「「ねー☆」」

菜々「この双子は息をぴったし合わせ寄ってからに…」

菜々「Pさんも!ナナに何をさせるつもりなんですか!」

カンペ『菜々は何もしないぞ?俺が音声流すだけだもん』


菜々「そうじゃなくてぇ!!」

亜美「まぁまぁべべ姉ちゃん」

真美「姉ちゃんがこのイタズラに耐えきっちゃえばいいことじゃないですかぁ」

亜美「それともー」

真美「真美たちのイタズラに恐れをなしてー」

亜美真美「「敵前逃亡しちゃったりぃ~?」」

菜々「な、そ、そんなことをするわけないじゃないですか!」

菜々「ウサミン星人はそんな姑息なマネ…」

亜美「じゃ決まりねん!」

菜々「あぁ!しまった!」

真美「そんじゃ真美たちはAスタジオへ行くからべべ姉ちゃん頑張ってねー」ピュー

菜々「あぁ!そんな…」


―――Aスタジオ

亜美真美「「Aスタジオのみんなー、さっきぶりー!」」

\ウオオオオオ!!/

春香「はい、お隣のBスタジオから亜美と真美が来てくれました!」

春香「見事に菜々さんを乗せてきてくれたね!さすがイタズラツインズ!」

亜美「んっふっふ~、もっとほめたたえてくれてもいいのだよ、はるるん」

真美「まぁ、べべ姉ちゃんてジッサイのせやすいけどね!」\ワハハ/

卯月「菜々ちゃんは隣のスタジオで途方に暮れているようです」

菜々『や、やらないといけないんですもんね、そうですよね』ガタガタ

春香「お、追い詰められちゃってる…」プフッ

卯月「菜々ちゃん頑張って!」

菜々『卯月ちゃん…!』

卯月「みんな菜々ちゃんが驚く顔が見たいはずです!」シンケン

菜々『ナナの味方はいないってことですね、わかりました』


春香「さ、菜々さんの準備は良いかな?」

菜々『こうなったらやってやります!絶対にこたつを持って帰ります!』

亜美「その意気やよし!」

真美「見事我らを超えて見せよ!」

亜美真美「「『我、良からぬことを企むものなり!』始めぇ!!」」


―――Bスタジオ

菜々「で、では、このお家の形のセットに入ればいいんですね…」ガチャリ

菜々「中はリビングみたいな感じですか…ソファにテーブル、暖炉まであります」シンチョウニ

菜々「火はもちろん入ってませんけど」ジリジリ


春香『さぁ、菜々さんがセットに足を踏み入れました』

卯月『こちらの声は届いていません。頑張って菜々ちゃん』

春香『ちなみに二人はどんなイタズラを仕掛けたの?』

亜美『はるるん、それ聞いたら面白くないっしょー』

真美『視聴者の兄ちゃん姉ちゃんも一緒にびっくりしてもらわないとさー』

春香『そっか、ごめんごめん』

真美『あ、でもありがちな奴なら一個だけ教えてあげる』

真美『今べべ姉ちゃんが歩いてる足元にバナナの皮が置いてあってー』


菜々「へ?」ズルッ

菜々「あんぎゃあ!」スッテーン

\ドッワハハハ/


真美『ああなります』

春香『あははははは!』

卯月『「あんぎゃあ」って…』プルプル

亜美『これで終わると思ったら大間違い!双海姉妹のイタズラはいつだって時代の一歩先をいくのだ!』


菜々「こ、こんな古典的な手に…」ググッ

菜々「気を付けないとなぁ…コレ皮を放っておくとまた転びそうなんで捨てておきましょう」

菜々「ゴミ箱は…あった」ポイ

菜々「ふう…」ヒュー

菜々「ん?」ヒュー…

菜々「なんでゴミ箱なのにこんな深いところへ落ちたみたいな音が」…ヒュー…

菜々「しかも長い…」


春香『あ!これ某夢の国のゴミ箱にもある!』

卯月『ゴミを捨てると変な音が鳴るんですよね!』

亜美『そうそう!そんでもって覗き込むと…』


菜々「どんな仕掛けで…」ヒョイ

ッパァーーーーン!!

菜々「どわっひゃあああああ!!」


亜美『巨大クラッカーが犠牲者を襲うのだ!』

春香『…っ…っ!』バンバン

卯月『「どわひゃあ」って!「どわひゃあ」って!』プルプルプルプル


菜々「はぁ…はぁ…そうだ、ナナは今試されているんだ…うかつに動いてはいけないんだ…あれ?」

菜々「壁に電光表示が…『30 / 100pt』?」

菜々「もしかして今の一連の流れで30ポイントたまっちゃったんですか!?」

菜々「その横の表示は…『イタズラ…2』」

菜々「これは体験したイタズラの数ですか…え?」

菜々「まだ二つで30ポイントですか!?早いですよ!マズイですよ!」

菜々「そんなペースじゃナナ絶対にぃ!!…ってあれ?」

電光表示『35 / 100pt』

菜々「なんで今増えたんですか?ナナ今イタズラになんか引っかかって…」

菜々「もしかして取り乱したからですか!?ちがうんですPさん今のは!」

菜々「今のはだって違うじゃないですか!なんか…こう…ねぇ!」

電光表示『40 / 100pt』

菜々「ミミミイイイイイイン!?」


春香『あっははははは!!』バンバンバンバン!!

卯月『菜々ちゃんっ…がんば…っ…って』ブルブル

亜美『もううづきんも我慢しないで笑っちゃえばいいと思うなー』

真美『こりゃあべべ姉ちゃんじゃー真美たちの相手にはならないっぽいねー』


ガコン!!

菜々「ひょええええ!」ピョーン

シリモチツイタラブーブークッションー

菜々「ち、ちがうんですこれは!!」ブー

……数分後……

菜々「なんなんですかぁ…」ズルズル

菜々「一歩歩けば何か飛び出すし…」クルッポー

菜々「引き出し開けたら昔懐かしのポスターとか出てくるし…」オカモトナツキデス

菜々「五つ目でもうカウンターは95ポイントまで行ったのに、そこから1ポイントずつしか上がらないし…」チラッ

電光表示『99 / 100pt』


菜々「残り時間は一分、時間的にもノルマ的にも最後ですし…」カチカチ

菜々「絶望しかありませんよぉ!」ミミミン…


春香『ヒィ…ヒィ…いよいよ最後だね!』

卯月『…!…!』ピクピク

亜美『うづきん頑張りすぎて失神しそうになってるよ』

真美『ちかたないね、べべ姉ちゃんのリアクション面白いんだもん』

亜美『亜美、『ひょえええ』とかリアルで言う人初めてみたかもしんない』

真美『真美も真美も』

春香『さぁ!菜々さんが最後にクローゼットに手をかけました!』

菜々「あまりに大きいんで最後まで触れませんでしたけど…こうなったら意地です!」

菜々「ここで驚かなければポイントは増えない…ここで驚かなければポイントは増えない…」

菜々「括目せよ!ナナの鋼の精神力!」

菜々「ナナ、いきまーす!」ガチャッ





心「はぁい!アナタの心にシュガシュガスウィート!佐藤心ことしゅがーはぁとだよ☆」ババーン

菜々「」




心「菜々先輩に、えーい!物理的はぁとアタックー☆」ポーイ

菜々「」ポコン

心「もー、菜々先輩ったら遅いんだからー、ふつーこんな怪しいとこ最初に開けるでしょー?今度からは気を付けろよ☆」

菜々「」

心「あれー?菜々先輩気絶してるー。じゃいいやー」キョロキョロ

心「あ、カメラあった…はぁい!最近CGプロに入りましたしゅがーはぁとでーす!」キャピッ

心「みんなー、ちゃんとしゅがーはぁとって呼んでね☆…呼べよ☆」

心「これでも二十六で結構年なんで、超特急で応援よろしくー☆」キラン

菜々「」

心「ほんじゃ、出番終わったんで…おつかれっしたー」トコトコ…バタン

菜々「」


電光表示『9999 / 100pt OVER KILL!』


カンカンカーン!


春香『しゅ、しゅうりょー!』


―――Aスタジオ

卯月「菜々ちゃーん!」ヘンジシテー

亜美「ありゃあ」

真美「あれはダメなカンジだねい」

春香「えっと、今のはCGプロ新人の佐藤心さんだそうですが…」

春香「あれも亜美と真美の仕込みなの?」

亜美「んーん」

真美「スタッフって言うかべべ姉ちゃんのP兄ちゃんがいくつか嬉々として企画してたよ」

春香「ど、どーりで…」

亜美「兄ちゃんたち亜美たちが聞いたことないようなおもちゃとか仕込むから、成功するかどうか心配だったけど」

真美「むしろそっちのが反応良かったよねー」

春香「あ、あはは」

卯月「菜々ちゃん、大丈夫でしょうか…」


亜美「まぁ見てのとーり」

真美「カウンターは振り切ったから真美たちの勝ちだねー!」

亜美「ということでべべ姉ちゃんのはずかちいシーン100連発!」

真美「どーぞ!」


―――ウサミンの恥ずかしいシーン

テロップ『ある日の事務所』

菜々「ウッサミーン!ナナ、只今帰還…って誰もいないんですか…」キョロキョロ

菜々「では、今のうちに…」ゴソゴソ

ピッ○エレキバーン

菜々「これこれ…あぁ、効く気がする~」ア~

菜々「『ピッ○エレキバン、ためすにはってみっかい?』なんて」キキ○リン

菜々「おぉ、今のは結構モノマネイケてたんじゃないですかね」ブツブツ


テロップ『またある日の事務所』

菜々「えぇっ!?幸子ちゃん今度はスカイダイビングやったんですかぁっ!?」

幸子「フフーン、ボクは世界一カワイイですからね!あんなこと物の数じゃありませんよ!」

菜々「ふえー、ナナにはとても真似できません…」

幸子「フフン、もっとほめたたえてもいいんですよ?」

菜々「よっ!さすが幸子ちゃん!まったくぅ、恐れ入谷の鬼子母神ですよ!」

幸子「きしも…?」

菜々「あぁっ!その…」

菜々「やばぁ、今の若い子は鬼子母神なんて…」ボソボソ



……


―――Aスタジオ

春香「いやぁ今のはどうなんでしょうねー」

亜美「恥ずかしシーン特集っていうかさ」

真美「べべ姉ちゃんてあんなもんじゃないの?」

春香「二人とも手厳しい!」

卯月「今の映像って菜々ちゃんおかしなところありました?」ポカン

亜美「うづきんはそのままでいいよ…」

真美「純粋に育って行ってね…」

卯月「?」


春香「ま、まぁ!会場を見る限りでは菜々さんのファンの皆は喜んでくれてるみたいだし、良かったんじゃないかなっ!?」

春香「ね!?みなさん!?」

\アナベベマジジュウナナサイ!/

春香「ということで『イタズラVS』、対決を制したのは」

亜美「亜美と!」

真美「真美でした!」

亜美真美「「これにてイタズラ完了!まったねー☆」」スタコラサッサー


―――都内某所、個室居酒屋

ガヤガヤ

あずさ「夏にご一緒したときにも思ったんですけど…楓さんてほっそりしてて綺麗ですよね~。うらやましいわ~」

楓「そんな…私からすればあずささんのそのスタイルには憧れちゃいます、ふふ」

あずさ「やっぱり、お互いお仕事だから体型維持には気を使ってると思うんだけど…楓さんはどんなことを?」

楓「私はストレッチくらいですよ。ダンスレッスンもありますし」

あずさ「やっぱりそうよねぇ」

楓「あ、でもお散歩ならたまにします。のんびりとあまり余計なことを考えずに…」

あずさ「良いですね~、私もお散歩は好きなんだけど、すぐに自分が何処にいるのかわからなくなっちゃって…」

楓「そういえば…あずささん方向音痴でしたもんね…お歌は上手なのに、音痴じゃないのに方向音痴、ふふ」


あずさ「あらあら~、うふふ」

あずさ楓「「ふふうふふ」」

テロップ『実はだいぶ出来上がってる二人』

あずさ「そういえばこの間…」

ガヤガヤ…アレ?アレカエデチャンジャナイ?オーイ…


―――Aスタジオ

卯月「生っすかー?」


―――サンデー!


春香「あれはだいぶ出来上がってるね」

卯月「そうなんですか?」

春香「うん、楓さんはわからないけど、あずささん酔いが回ってくると手振りが大きくなるんだよ」

春香「昔事務所の慰安旅行に行ったとき、絡まれたプロデューサーさんと律子さんが大変そうだったなぁ…」

卯月「楓さんも酔っぱらうと近くにいる人に絡むそうですよ!」

卯月「近くにいる子が抱きしめられたり撫でられたりつつかれたりするらしいです」

春香「へぇー、でも楓さんくらい美人だったらちょっと嬉しいかも」

春香「あ!あぁっと!ば、番組すすめないといけませんよね!あはは」\ハルルンガンバー/

春香「えへへ…続いてのアイドルはこの人です!」

卯月「やよいさーん!」


―――ブーブーエス近く、大きな公園

やよい「…」ニコニコ

春香『あ、アレ?やよいー?』

卯月『カメラの方向いてませんけど…どこを見てるんでしょう?』

\ニョワー☆ダイカイジュウキラリンダニィ!/\ワー!ワー!/\エイ、ビーム!/

やよい「…はわっ!?」ヤヨイチャンヤヨイチャン!

やよい「す、すいません!こちら高槻やよいでーす!」ハーイ

やよい「今私たちは、ブーブーエスの近くの大きな公園に来ていまーす!」

春香『私たち、ということは、もちろんゲストが?』

やよい「はい!きらりさーん!」

\ニョワッ!?/

やよい「私たちの出番ですよー!」

\ニョワアアアアアアア!/キラリンダーッシュ!

きらり「ごめんなさいだにぃ、ついついみんなと盛り上がっちゃって…」\キラリネーチャーン/

やよい「ううん、きらりさんもあの子たちもすごく楽しそうだったから、平気かなーって!」


きらり「やよいちゃんやっさすぃー☆」

やよい「ほらほらきらりさん、テレビの前のみなさんにご挨拶しなきゃですよ!」

きらり「はいだにぃ!にゃっほーい!きらりん☆ぱわーできらきらハピハピ☆諸星きらりだよ!」

春香『おぉ、やっぱりやよいはお姉さんしてるねぇ』

やよい「そんなことないですよお」

卯月『えっと、二人はいったいどんなことをやってくれるんですか?』

やよい「はーい!それじゃあさっそく行きますよきらりさん!」

きらり「はいだにぃ!」


やよいきらり「「せーの…『はぴはぴ☆きらりんやよいのスマイル体操EX』ー!」」


やよい「私たちが今いるこの公園にはとくせつステージがくまれて、たくさんのお客さんが来てくれてまーす!」

きらり「かっわいいちびっこちゃんたちとー、パパ、ママたちだにぃ!」

やよい「えっと…スタッフさん達のお話ではだいたい千人くらい来てくれてるんですよぉー!」

やよい「そこで、ここにいるみんなと、スマイル体操で元気に踊っちゃいまーす!」


春香『千人!?』

卯月『すごいですねぇ…公園ってあそこのですよね、ホントに近くの』

春香『うん。すごいなぁやよいは!』

やよい「えへへー」

きらり「それじゃあさっそく始めるかにぃ!」

春香『あ、きらりちゃん待って!』

きらり「にぃ?」

春香『実は、やよいたちのステージには特別ゲストがいるはずなんだけど…まだ来てないかな?』

やよい「特別ゲスト…ですかぁ?私聞いてませんけど…」ブロロロロ…

やよい「?」キキーッ

きらり「ステージの横に車が止まったにぃ」ガチャッ

やよい「あれがゲストさんですか?」


「―――いや、ちょっとマジでダメだってこんなカッコは!」

「―――じ、自分も恥ずかしいぞ!いくら自分がカンペキでも…」

コーデ「うるっさいわねぇ!女は度胸!覚悟を決めなさい!」

コーデ2「そーよぉ、せっかくめちゃめちゃ可愛くしてあげたんだからみんなに見せないともったいないわよぉ」

奈緒「ムリムリムリムリマジでムリだって違うんだちがうんだよこれは手違いなんだよそうなんだろPさんアレなんでPさんいねぇんだ?せめていつものゴシックだろなんだよこれなんなんだよキラキラフリフリってきらりの着てる服よりももっとぷりぷりじゃねーか違うんだってアタシはそういうんじゃないだだってこんなん絶対からかわれるんだから…」ブツブツブツブツ

響「な、奈緒!しっかりするさ!現実から逃げちゃいけない!」ユサユサ

奈緒「あはははははははははははははははは響さん似合ってるじゃんその服どうしたの」ガクンガクン

響「奈緒おおお!」ユサユサユサユサ

奈緒「響さんだって恥ずかしいだろ!?」ガバッ

響「そ、そりゃこれは恥ずかしいけどさ…」

奈緒「スカート短すぎだし色合いめっちゃパステルだしなんか狙いすぎた魔法少女じゃんかこんなん…」ゼツボー


響「髪の毛もそれっぽい感じにツーサイドアップだもんな…これ、地元の皆に見られたらどんな顔されるか…うぎゃ~自分のクールなイメージがー!」ウガー

コーデ「うだうだ言ってないで、さっさと行ってこおおおい!」ドーン

奈緒「うわあああああ!」ズザー
響「うぎゃああああ!」ズザー

やよい「あー!響さん!」

きらり「うきゃー☆奈緒ちゃんかっわいいにぃ!」ギュー

奈緒「き、きらり…マジでやめて恥ずかしいから」/////

響「や、やよいー、自分おかしくないか…?」

やよい「全然ですぅー!響さんとってもかわいいかなーって!」

響「うー…それなら良いんだけど…やっぱり恥ずかしいぞ」/////

きらり「奈緒ちゃんも今度きらりんルームにつれてったげゆー!」スリスリ

奈緒「えぇっ!?いや、それはホラ…な?す、スタッフさんたちも笑うんじゃねえよっ!」//////

春香『はぁい、やってまいりました、先ほどメイクルームに連れて行かれた響ちゃんと奈緒ちゃんですねー』

卯月『二人ともとってもかわいくなってます!』


春香『コンセプトは「魔法少女のお姫様」らしいからね!』

春香『今まで私たちが着たことのある衣装のどれよりもプリップリだよ!』

卯月『二人が特別ゲストということは…』

春香『その通り!二人にはあの格好でスマイル体操に参加してもらいます!』

春香『もちろんステージに上るって意味だよ』キャルーン

響「えぇっ!?自分そんなの聞いてないぞ!?」

奈緒「む、ムリだって!着せられただけでも恥ずかしいのに、そんなことしたら死んじゃう!」

春香『二人には企画の一切を伝えないで進めてるもん、知らないのは当然だよ』ケロリン

卯月『頑張ってくださいね!』

奈緒「そ、そんなぁ…」

響「うー…よ、よぉっし!」パシン

響「こうなったら自分、やってやるぞ!奈緒!」

奈緒「え?」

響「自分はいつもいつもカンペキを目指してやってきた。こんなところでその誇りに傷をつけるわけにはいかないさー!」


奈緒「で、でも…アタシやっぱり恥ずかしい」

響「大丈夫!奈緒だって、カンペキな自分に負けないほど可愛いさー!」

奈緒「か、かわ」////

響「ここまできたら、自分たちをからかって楽しんでるやつらを骨抜きにして見返してやるぞ!やられっぱなしは悔しいからな!」

奈緒「響さん…」

響「奈緒!自分たち二人ならなんくるないさー!」ニパッ

奈緒「…」

奈緒「…お、おっし!」パシン

奈緒「響さんありがとう。アタシもなんか吹っ切れた!」

響奈緒「「やってやるさー(ぜ)!」」

春香『お、なんか魔法少女物のアニメさながらにまとまったみたいだね!』

卯月『なんか、響さんも奈緒ちゃんも輝いてます!』

春香『それじゃあやよいー!お願い!』

やよい「わっかりましたぁ!みなさんいっきますよー!」

\ワーイ/


~ジャーンジャジャジャッ♪

やよい「みんな集まってー!スマイル体操いっくよー!」

きらり「いぇーい!」

やよい響「絶対ハッピー!♪」

\イチ、ニィ!/

きらり奈緒「全体ハッピー!♪」

\サン、シィ!/


やよい「さあ第一スマイル体操始め!!♪」

やよい「好きなことをひとつ♪」

やよい「Let’s wish wish♪」\ウィッシュウィッシュ!/

やよい「何でもかーんでもOK☆OK☆♪」

やよい「夢とは明日の準備体操♪」


響「心も体もほら絶好調♪」

きらり「デキールような♪」

奈緒「ヤレールような♪」

響奈緒きらり「元気いっぱいになったなら♪」

響奈緒きらり「ピカ♪」

\ピカ!/

響奈緒きらり「ピカ♪」

\ピカ!/

『始めちゃおう♪』


やよい「みんないっしょにー!!」



『世界中笑顔なーれ♪アッハッハッハ♪』

『ひとつひーとつ願いがかないますように♪』

\ハイハイ!/

『ス、マ、イ、ル体操♪』

『夢見るエクササイズ♪』

『世界中笑顔になーれ♪アッハッハッハ♪』

『ス、マ、イ、ル体操♪』

『私らしく笑ってみよう♪』

『君らしく笑ってみよう♪』

『さあスマイル&ピース♪』

\ゼッタイハッピー!/\ゼンタイハッピー!/


やよい「みんなじょうずですー!」

きらり「にょわああああ!きらりんテンションあがってきたにぃ!」

きらり「響ちゃん!奈緒ちゃん!いっくよぉー!」

響「え?」

奈緒「うぇえ!?」

やよい「きらりさん!どこ行っちゃうんですかー!?」

きらり「やよいちゃんはそのままみんなの前でお手本しててー☆」

きらり「きらりたちはステージの下でみんなと一緒に踊るにぃ!!」

奈緒「こ、こら、きらり勝手に…」グイッ

響「おおっ!?」グイッ

きらり「きらりん☆ぱわーぜんかああああああい!!」ダダダダダッ

響奈緒「「あわわわわわ!」」ズルズルズルズル

やよい「はわっ!行っちゃいました…あ!」


キュイキュゥキュイゥイーン、ティー♪


やよい「嬉しいときは笑ってごらん♪」

「悲しいときは泣いてごらん♪」

「それもスマイル体操♪」

「涙があるから♪」

「笑顔が大事なんだ♪」

「だから笑う時は♪」

「思いっきり笑おー!♪」

\オー!!/


『世界中笑顔になーれ♪アッハッハッハ♪』

『ひとつひーとつ願いがかないますように♪』

\ハイハイ!/

『ス、マ、イ、ル体操♪』

『夢見るエクササイズ♪』

『世界中笑顔になーれ♪アッハッハッハ♪』

『ス、マ、イ、ル体操♪』

『私らしく笑ってみよう♪』

『君らしく笑ってみよう♪』

「さあ♪」

\スマイル&ピース!/

\ゼッタイハッピー/\ゼンタイハッピー/

\ゼタイハッピー/\ゼンタイハッピー/

………


ワー、ワー!

やよい「みんなありがとーございまーす!」ガルーン

響「みんなちゃんと踊れてて、自分びっくりだぞ!」

奈緒「めちゃめちゃ楽しかったぜー!」

きらり「もうきらりハピハピでおかしくなっちゃいそうだにぃ☆」

奈緒「こ、これ以上ハピハピしてセット壊したりしないでくれよ…」\ワハハ/

響「なんだかんだ言って、奈緒もノリノリだったじゃないかー」

奈緒「いや、やっぱりステージ始まったらさ…って自分が恥ずかしいカッコしてんの忘れてたぁ!」///

きらり「うきゃー、やっぱり奈緒ちゃん可愛いにぃ☆」

春香『やよいお疲れー!』

卯月『とっても素敵なステージでしたよ!』

やよい「ありがとうございまーす!」

春香『どうだった?やよい』

やよい「とっても楽しかったかなーって!」


やよい「みなさんどうでしたかー?」

\ワーイ!/\サイコー!/\ヤヨイチャーン!/

春香『うわぁ!すごい歓声!』

卯月『大成功ですね!』

やよい「はい!」

春香『では、やよいときらりちゃんの企画は大成功ということで、締めの一言お願いしてもいいかな?』

やよい「はーい!きらりさん!」

きらり「アレをやるんだにぃ?」ニョワー

奈緒「アレ?」

響「あ、自分わかったぞ!やよいといえばコレだぞ奈緒」サッ

奈緒「手…?あ!」

やよい「いいですかーみなさん!こーんな風に片手をあげてくださーい!」サッ

ザワザワアレダヨナ?ウンソウデショ…サッサッサッササササザザザッ

奈緒「おー、壮観だ」

やよい「準備おっけーですかぁ?いきますよー!」



やよい「うっうー!」

やよいきらり「「ハイ、たーっち!」」パァン!

響奈緒「「たーっち!」」パァン!

\\\ターッチ!!!///


『いぇいっ♪』



やよいきらり「「ありがとうございましたー!!」」

春香『高槻やよいと諸星きらりちゃんでした!』

パチパチパチパチ


―――CM

冬馬「この『ゲキ落ちくんハイパーエコタイプ』は!」

翔太「おトイレの気になる汚れや!」ニパッ

北斗「ガス代にこびりついた頑固な油汚れまで☆」キラッ

冬馬「元から存在してなかったかのように落としてしまう」ババッ

冬馬「どんなにしつこい汚れも、コイツで楽勝、だぜ!」

翔太「お家も芸能活動も、クリーンにねっ」ウィンク

北斗「チャオ☆」

ナレ『環境への配慮もバッチリ!「ゲキ落ちくんハイパーエコタイプ」!』


※作者でございます。

前半はここまで。

いやぁ…バラエティって表現すんの難しいですな。

ではでは、続きは近日中に…できれば。

お暇な方はお付き合いください。

では。

乙です。

昼寝セットの電話番号が表示されない不具合発生中なんですが。


>>178

ちひろ「あ、プロデューサーさん!もしかしてそれ、受信料が払われてないんじゃないですか?そういう特別な情報を受け取りたいときは月々80000MCのプラチナ会員コースに入らないと」

すいませんあの昼寝セット時価ネットたなかで扱わないんですか?


>>181

たなか社長「さきほどちひろさんという方がすべて差し押さえて行かれてしまいまして・・・」


こんばんは。
一週間くらい空いてしまうかと思いきや、そんなこともなく。

さてさて、チャンネルはブーブーエスで、引き続きお楽しみください


―――マラソン企画第二休憩ポイント

雪歩「お茶の間のみなさん、萩原雪歩ですぅ」

肇「藤原肇です」

雪歩「急きょの予定変更により、これからはこちらでお茶会マナー講座を開催いたします」

肇「拙い講義になるかと思いますが、温かく見守っていただければ幸いです」ペコリ

雪歩「そして、受講生はこちらの二人です」スッ

真「ぜぇ…ぜぇ…き、菊池真でーす…っ!」

茜「はぁ…はぁ…日野茜です!!!」

肇「二人とも、大丈夫ですか?」

真「距離は大したことないんだけど…」

茜「こうやって途中で中途半端に止まってお茶なんかいただいちゃうと…」

真「結構足に来るんだよね…正座だし」フゥ

雪歩「正座は疲れないよぉ、ね?肇ちゃん」

肇「はい、慣れれば正座でいる方が楽になりますよ」


真「ホントかなぁ…」

雪歩「それでは、さっそく講義にまいりますぅ」

肇「こちらへどうぞ」

真茜「「は~い」」ザッ

雪歩「まずは、服装と持ち物についてのおはなしですぅ」

肇「格式のあるお茶会の場合は着物が必須ですが、もうすこし敷居の低いお茶会であればこの限りではありません」

肇「ただし、洋装の場合靴下は白、ストッキングなどで足の指が見える場合も履かなくてはなりません」

真「へぇ~」モゾモゾ

茜「なんでですか?」モゾモゾ

雪歩「お茶の席では、足の指が見えるのは失礼にあたるんですぅ。見栄えの問題ですかねぇ」

肇「服装自体に関しては、節度のある派手すぎない物といったところでしょうか」

肇「オフィスカジュアル…というとわかりやすいかもしれません」


雪歩「小物に関しては、全部そろえるのが大変だという人はまず懐紙と菓子切を…」

真「うん…うん」シンケン

茜「…」ウツラウツラ


~十分後~


雪歩「―――という感じなんですが」

真「むむむむむ…」ムムム

茜「…はっ」ガクン

肇「あらあら、少し退屈でしたか?ふふ」

真茜「「え、えへへ」」///

雪歩「眠気覚ましにお茶ですぅ」ササッ

真「ありがとう雪歩」

茜「いただきますっ!」ズズッ

雪歩「まだまだ先は長いんだし、頑張ってね」


真「うん!今のはちょっと難しかったけど…走ってる間に頭を整理して、次のポイントではもっとちゃんと雪歩たちの話を聞けるように頑張るよ!」

肇「あ、あら…?なんだか頑張る方向が変わってきているような…」

真「これで女子力をグーンとアップして、ボクも可愛い服を着る仕事を…」

茜「お茶ありがとうございました!!!元気百倍です!!真さん行きましょう!!」

真「うん!じゃあまたね!」ダダダーッ

肇「行ってしまいました」

雪歩「やっぱり真ちゃんはああやってパワフルに走る姿が似合うなぁ…」ポエ~

雪歩「はっ!!す、すいませんボーっとしちゃって!」

雪歩「あうぅぅ、す、スタジオにお返ししますううう!!」

肇「また次のポイントでお会いしましょう、では」ペコリ


―――Aスタジオ

春香「雪歩ありがとー!」

卯月「さぁ、番組もそろそろ中盤。春香さん、突然ですが質問です」

春香「何かな卯月ちゃん」フフン

卯月「私たちって…なんでしたっけ?」

春香「私たちは…」

春香「私たちは……………」ググッ

卯月「…」ゴクリ

春香「…なんだっけ?」ズコー

卯月「は、春香さん!?そんなアドリブされてもっ」アタフタ

春香「あはは、ゴメンゴメン卯月ちゃん一生懸命で可愛いから、つい」のワの

春香「私たちはそう…アイドルです!」

卯月「アイドルとは、歌って踊って、皆さんに夢と希望をプレゼントするお仕事です!」

卯月「バラエティ一直線で進んできたこの番組ですが、やっぱり自分たちの本来のお仕事もきちんとお見せしないと」


春香「そうだね、このままだと私たち単なる女芸人の集まりになっちゃうもんね」\ワハハ/

卯月「ちゃんと用意してあります!次のアイドルさんたち!お願いします!」

バッ!バッ!ジャーン!!

春香「おぉ!いつの間にかこのスタジオの中央に大きなステージが!」

春香「まぁ私セッティングしてるの見てましたけどね」\ワハハ/

卯月「もう!春香さん!」

春香「ごめんごめん、ふふっ」

千早「春香?ふざけるのもそのぐらいにして紹介してもらいたいのだけれど」

春香「ごめんね千早ちゃん!つづいてのアイドルは、765プロの歌姫如月千早とCGプロ期待の新星渋谷凛ちゃん!」

千早「よろしくお願いします」

凛「精いっぱい頑張らせてもらうよ」

卯月「そして!別の企画から出張で参加してくださいました!三浦あずささんと高垣楓さんです!!」


あずさ「どうも~」フリフリ

楓「…ふふ」フリフリ

春香「番組も半ば、私たちのアイドル力も見せつけていかないとね!ということでこの四人のカルテットライブです!」

卯月「さっそく歌っていただきましょう、一曲目はこちら『SMOKY THRILL』です!」


『Smoky Thrill / 竜宮小町』


『知っらぬがー仏ほっとけない♪』

『くーちびるポーカーフェイス♪』

『Yo 灯台 もと暗し Do you know!?♪』

『うーわさの Funky girl♪』



………


凛「次は千早さんと、この歌を届けるよ」

千早「一瞬も聞き漏らさないでくださいね」


『Never say never / 渋谷凛』


凛「振り返らず前を向いて♪」

千早「そしてたくさんの笑顔をあげる♪」

『いつもいつもまっすぐに見つめて♪』



……


あずさ「それでは、楓さんよろしくお願いしますね」

楓「…はい!」


『こいかぜ / 高垣楓』


あずさ「ココロ風に閉ざされてく♪」

楓「数えきれない涙と♪」

『言えない言葉抱きしめ♪』


……


春香「いやぁ、流石この四人が揃うとなんていうか迫力が違うよね!」

卯月「凛ちゃーん!かっこいいよー!」

凛「卯月、ありがと」

千早「バラエティなのに、こんなしっかりとしたステージを用意してくれて…感謝してもしきれません」

千早「次で最後の曲になります、曲名は…」


春香「おぉーっと千早ちゃん!そうは問屋が卸さないよ!」

春香「自分でも『バラエティなのに』って言ったんだから、このままカッコいいままで終わらせるわけにはいきません!」

千早「え?で、でも台本には『First step』と書いて…」

春香「もー、千早ちゃんたら!ここでしっとり系の曲を歌ったら、この後の企画の人が出づらいでしょー、ここは、バラエティらしく明るく元気な曲でばばーんと盛り上げてもらわないと!」

凛「う、卯月?」

卯月「頑張ってね!凛ちゃん!」

あずさ「あらあら~何を歌うのかしら?」

楓「ここまできたら歌わにゃソングソング…ふふ」

春香「お姉さま方は乗り気だよ?」

千早「はぁ…それで、何を歌うのかしら?」

春香「流石千早ちゃん!それでは追加ゲストを招いて最後の一曲と参りましょう!どーぞ!」


スタジオノトビラバーン!!ダイシャゴロゴローポイッ

「ちょ、ちょっといくらなんでもあんまりじゃないか!?」ドサッ

「なんでアタシらだけこんな扱いなんだよぉ!」ドサッ

春香「いらっしゃーい!響ちゃん、奈緒ちゃん」

卯月「あ、そろそろ時間押してるんで、ステージの方にお願いします!」

奈緒「は?」

響「ちょっと待ってよ!自分たちなんにも…」

春香卯月「「それでは行きましょう!『キラメキラリ』!」」

響奈緒千早凛「「「「」」」」

あずさかえで「「あらあらうふふ」」

\フレーフレーガンバレ!サーイコーオ!フレーフレーガンバレ!サイコー!/



……


春香「ありがとうございました!」

卯月「如月千早さん、三浦あずささん、高垣楓さん、我那覇響さん、渋谷凛ちゃん、神谷奈緒ちゃんでした!」

響「おい春香!自分は全然納得して…な、なんだよ」ドタバタドタバタ

奈緒「こ、こんなのがあと何回あるんだよぉ!」ソッチオサエロセーノ!

響奈緒「「ちょっとおおおおぉぉぉぉ…!」」ワッセーワッセー…

千早「な、なんか、少し気の毒ね…こほん、最後の曲には少し驚いたけど、こうしてみなさんに歌を届けられて楽しかったです。またお会いしましょう」

凛「私はこの素敵な先輩方にまだまだ全然及ばないけど、自分なりにみんなへ思いを届けたつもり。今日のパフォーマンスで、少しでもなにか伝わればいいかな」

あずさ「普段と違うメンバーで歌うのも楽しいですね~。また機会があったらやりたいです…ライブとか?うふふ」

楓「……あ、そうだ、そうですね…応援、よろしくおねがいしますね、ふふ」

あずさ「私たちは、まだこのあとテレビに映る場面があると思うのでお楽しみに~」

春香「そういえば、アレって何時間ぐらい録画されてたんですか?」

楓「わからないんです」

卯月「というと?」


あずさ「プロデューサーさんによると、メモリーが完全にいっぱいになっちゃってるらしくて~、録画可能時間のギリギリまで撮ってたらしいんです~」

春香「よ、よくわかんないけど、それって多分結構すごい時間だよね…」

卯月「じゃあすごく盛り上がったんですね!いいなぁ」

楓「ふふ…卯月ちゃんも、大人になったら一緒に飲みましょう」

卯月「はい!約束ですね!」

春香「それでは、ここで一旦『りつかれちゃん』です!みなさんありがとうございましたー!」


―――マンションの一室

『りつかれちゃん』

加蓮「…♪」←料理中、私服にエプロン

ガチャ

加蓮「…!」←火を止めて玄関へ

律子「…」←出迎えた加蓮にカバンを渡してリビングへ、スーツ

加蓮「…?」←律子になにやら聞いている

律子「…」←めんどくさそうな顔。加蓮を払いのける

ドサッ

加蓮「…っ」←倒れた状態からさらに問い詰める

律子「…!」←冷たい目で何か言い返す

ダッ

加蓮「……」←台所から包丁を持ってきて構える

律子「…っ!」←焦って言い訳してる風

加蓮「…」←ハイライト消失


引きの画で加蓮と律子の影が重なる

BGM『relations』in


―――Aスタジオ

卯月「な、なんか今回はサスペンス風でしたね!」

春香「律子さんも加蓮ちゃんも演技上手だよねぇ、声出さないで演技するのって難しいはずなのに」

春香「では、番組を進めて参りましょう、雪歩~」


―――第三休憩ポイント

雪歩「はぁい、こちらマラソン企画第三休憩ポイントですぅ」

真「…」ゼェハァ…

肇「第二ポイントから引き続きまして、今回はお茶席に入るあたりのことをお話ししていきます」

茜「…」ゼェゼェ…

雪歩「受講生の二人には、すでにお座敷へ入ってもらってるんですが…真ちゃん?」

真「な…なに、雪歩?」ゼェハァ

雪歩「お茶の席で息を切らしているのはあまりいいことじゃないと思うんだけど…」

真「いやいや、それは息が切れることの合間にこの企画を持ってきたスタッフさんにいってよ!」ゼェ

茜「そうですよ!!」ハァ

肇「お二人とも、お静かにおねがいしますね?」

真「あ、ハイ…」ハァ

茜「す、すいません…」ハァ


肇「それでは、お茶席の説明に入ります。お茶席には濃茶席、薄茶席、立礼席というのがあります。これは…」


…十分後…


雪歩「以上がお茶席の種類とそれぞれの形式についての説明ですぅ。わかりましたか?」

真「…zzz」カクン

茜「…zzz」カクン

肇「あらあら、ずいぶんとお疲れの様ですね」フフ

雪歩「真ちゃん、茜ちゃん、終わったよ!」ユサユサ

真「…ふぁ?」

茜「…すいません!」ガタッ

肇「講座は終わりましたので、マラソンを再開してもいいですよ?」フフ

真「あぁ…そんな今度はボクまで寝ちゃったのか…」

雪歩「はい、眠気覚ましのお茶ですぅ!」

茜「ありがとうございます!!」


雪歩「ちなみに、この企画で使っているお茶碗は、全部肇ちゃんが作ったものなんですよ。ね、肇ちゃん」

肇「は、はい…少し恥ずかしいですが…」///

雪歩「いよいよ次が最後の休憩ポイント、第四ポイントでは、お茶の飲み方と会場を出るまでを解説いたしますぅ」

肇「この企画、おもてなししている私たちは楽しいですけど…テレビ的には大丈夫なんでしょうか?」

雪歩「気にしたら負けですぅ!じゃ、真ちゃんたち頑張ってね!」

真「うーん、美味しいお茶とお茶菓子で元気いっぱいだ!行くよ茜!」

茜「はい!雪歩さん肇さん、また会いましょう!ボンバー!」ダダダダダ


―――Aスタジオ

春香「雪歩…強くなったね…っ!」グッ

卯月「着物でビシッと講義をしている雪歩さんたちと、ランナーの格好で息を荒くしながら講義を受ける真さんたちの対比が、なんというか何とも言えませんね!」

春香「真たちの場違い感が思いのほか面白い絵になってるから、スタッフさんたちがホッとしているらしいよ」

カンペ『ちょ、春香ちゃん!?』

春香「えへへ」コツン

卯月「さて、残す企画はあと二つですよ春香さん!」

春香「そうだね!さっそく次のアイドルと中継が繋がってるよ!伊織ー!」


―――仮設モニタールーム

伊織「はーい!こちら765が誇るスーパーアイドル水瀬伊織ちゃんでーす!」キャピ

\イオリーン/

伊織「どーもありがとー!もちろん、私だけじゃないわよ!さっ、挨拶しなさい」

小梅「…し、白坂小梅…です…よ、よろしくおねがいします…」ペコ

伊織「この伊織ちゃんと組むんだから、もっとしゃっきりしないさいよね!」ポンポン

小梅「…が、がんばる、ます…」

春香『伊織と小梅ちゃんは何をやってくれるのかな?』

伊織「私たちのすることは、実はもう終わってるのよ。ね、小梅」

小梅「…う、うん…」

卯月『どういうことなんでしょう?』

伊織「私たちは、これから来る生贄を監視するだけよ」

小梅「…そ、そう…イケニエ…えへへ…」

春香『生贄…ってまた物騒だね』

伊織「にひひっ、事実そうなんだからしょうがないでしょ?それより春香、アンタ司会なんだから流れはわかってるんでしょ、そろそろ来るわよ」


春香『あ、そうだ!』

春香『実はこの企画、出演者が他にもいるんです!』

卯月『もうすぐ現場に到着するみたいなんですけど…あ、スタッフさんから中継のOKきました!』

卯月『そちらにつないでみましょう』

春香『じゃあ伊織、いったんこっちは切るからね!』

伊織「わかったわ!くれぐれも、ばれるようなヘマするんじゃないわよ」

春香『まかせて!』


―――Aスタジオ

卯月「さて、それでは繋いでみましょう、李衣菜ちゃんたちー!」


―――ブーブーエス前広場

李衣菜「はーいどーもー!CGプロダクション所属の超ロックアイドル、多田李衣菜でーす!」

幸子「同じくCGプロ所属の超絶カワイイアイドル、輿水幸子です!」

拓海「同じくCGプロの特攻隊長、向井拓海だ!」

李衣菜「今私たちは、ブーブーエスTVの玄関前広場に来ています!」

幸子「茜さんたちが帰ってくる時のために、なにやらレッドカーペットが用意されているのが見えますが…」

拓海「実はアタシら何も聞かされないままここへ連れてこられたんだけど、何をやらされるんだ?」

春香『ふふっ、三人とも初めまして!』

李衣菜「わっ!春香さんですよねっ!ウッヒョー、トップアイドルと喋っちゃったー!」

幸子「李衣菜さん、はしゃぐとみっともないですよ…」

春香『あはは、元気いっぱいみたいで良かった!』

春香『えっと、広場の端っこの方に、ブルーのシートで包まれた建物みたいなの無いかな?』

拓海「ブルーシートで包まれた…?あ、アレか?」キョロキョロ


卯月『スタッフさん、お願いします!』

\ウオオオオオオ!/

李衣菜「わわっ!」

幸子「何やらスタッフさんたちが大勢で一気にシートを引きはがしに行きましたけど…」

拓海「出てきたのは…ぼろっちぃ建物だな」

李衣菜「あ!なんか看板が立ったよ!」

幸子「えっと、なになに…」

拓海「『伊織と小梅の挑戦状』…ってコレ…」

三人「「「お化け屋敷ィィィ!?」」」

春香『伊織、小梅ちゃん!お願い!』

伊織小梅『せーの…「二人で、さいきょうのお化け屋敷を作ろう」!』

三人「「「えええええええええ!?」」」


―――仮設モニタールーム

伊織「そういうことよ」

李衣菜『あ、アレ?急に別の声も入ってきた!』

小梅「…み、みんな…驚いた…?」

幸子『小梅さん!?コレはどういうことなんですか…』

伊織「どうもこうもないわ、小梅と私はホラーとか怪談とか大好きでねー」

小梅「…プ、プロデューサーさんが…組んでくれた…」

伊織「ちなみに『さいきょう』にどんな漢字を入れるかはアンタたち次第よ、『最強』でも『最恐』でも『最凶』でも好きな字を入れなさい!」

拓海『そ、そんなこと聞いてねェよッ!まさか…アタシらにあのお化け屋敷を体験とか言うんじゃねぇだろうな!』

伊織「あら、その状況で他に選択肢なんてあるのかしら」

小梅「…い、伊織さんと…頑張って作った…た、多分楽しいから…」キラキラ

伊織「そうね、小梅、アンタのセンスには正直びっくりだったわ。作ってる側の私まで背筋が寒くなりかけたもの、にひひっ」

小梅「…い、伊織さんこそ…どんな時に人が驚くのか…よ、よく知ってた…えへへ…」


李衣菜『や、やめてよぉ!入る前からそんなおどろおどろしい褒めあい聴きたくないから!』

幸子『り、李衣菜さん怖いんですか?ぼ、ボクはカワイイのでお、おおおおおお化け屋敷の一つや二つっ』

拓海『無理すんなって…オイ、ホントにやんのかよこれ…』チラッ

伊織「あーら、怖いのかしらーん」ニヤ

拓海『んだと?』ピキ

伊織「『特攻隊長』なんて大層な肩書名乗っておいて情けないったらないわねぇ…それともそれはただの飾りかしらぁ?」ニヤニヤ

拓海『…上等だよ…吠え面かかせてやっからなこのでこっぱちィ!』

伊織「なぁんですってぇ!」

拓海『李衣菜、幸子、このまま舐められておわれっか!行くぞ!!』

李衣菜『えー!ちょっと拓海さんあんなわかりやすい挑発にわざわざ乗らなくても…』

拓海『バカヤロ!あんなこと言われて、お前は悔しくないのかよッ!』

李衣菜『えぇっ!?だって私じゃないし言われたの!』ギャーギャー


幸子『はぁ…こうなるんですね…え、何ですかこれ』ポン


『カメラ付きヘルメット』※挑戦系バラエティでよくあるやつ


幸子『コレつけて中の様子をレポートしながら?』ギャーギャー

幸子『…スタッフさんもだいぶ無茶を…』ダイタイリーナオマエハー

幸子『そりゃボクはカワイイですから?』タクミサンダッテー

幸子『それくらい簡単ですけど…もしもボクに何かあったらどう責任を…』フシャー

幸子『ま、スカイダイビングすらこなしたボクにかかればなんてことはありませんよ!うん!』グルルルル

幸子『さてと…お二人、いつまでやってるんですか?これ生放送ですから、いつまでもそんなことやってると出番なくなりますよ!』エ?ヤベッ!

伊織「覚悟はできたみたいね、にひひっ」

小梅「…じゃ、じゃあ…逝ってらっしゃい…」フリフリ


幸子『小梅さん?なんかいまおかしいニュアンスを感じたんですけど…』

小梅「…」ニコニコ

幸子『小梅さん?小梅さあああああん!?』

伊織「それじゃ!」

小梅「…ス、スタート…!」


―――お化け屋敷内部

伊織『ここからは、私と小梅、そしてAスタジオの春香と卯月が実況解説をしていくわ』

春香『お化け屋敷の中を実況なんて、なんか新鮮で楽しいね!』

小梅『…ふ、普通は…中を映すと仕掛けがわかっちゃって…こ、困るから…』

卯月『あ、入って来ましたよ!』


李衣菜「ちょ、拓海さん!なんで私が先頭なの!?」

拓海「う、うるせえな!どうでもいいだろそんなこと!」

幸子「そそそそんなこといって怖いんじゃないですか拓海さん!」

拓海「お前に言われたかねー!」


伊織『この屋敷内には、いたるところにカメラとマイクが仕掛けてあるから、あの三人の持ってるカメラ以外からも情報が拾えるわ』

春香『さすが伊織!』

伊織『にひひっ、もっと褒めていいのよ?』

卯月『これは、順路に沿って回っていく感じですか?』

小梅『…う、うん…』

伊織『謎解きとか込みにしようかと思ったけど、それだと確実に枠内で収まんないでしょうから、今回は見送ったわ』

春香『伊織の「今回は」って言葉が怖いんだけど…』アハハ

春香『ちなみに、どのくらいで出られる計算になってるの?』

伊織『一応、お化け屋敷が得意な人だったら十分、苦手な人でも二十分では抜けられるようにしたつもりだけど…』

小梅『…あ、あの三人の感じだともっとかかるかも…』

春香『そしたらゴールできないまま中継終了もあるかもね!』

伊織『それはそれで楽しいわ』ニヤ


李衣菜「うぎゃああああああ!!」ピョーン

幸子拓海「「なになにヤダヤダ!!」」バタバタ

李衣菜「変な音した!変な音!」アウアウ


春香『あそこ何か仕掛けが?』

伊織『まだないわ。多分、ドアがキーってなる音にでも驚いたんでしょ』

小梅『…良い…』ホッコリ

卯月『小梅ちゃん良い顔してます!』


李衣菜「は、入りますよー…」ソロー

幸子拓海「「…」」ギュッ

李衣菜「な、何もない部屋です…」ホッ


伊織『お化け屋敷に何にもない部屋なんてそうそうあるかしらねー』


拓海「は、はやく次の部屋行こうぜ…」

幸子「そ、そうですね!」タタッ

バタンッ!

李衣菜「ぎゃっ!」

拓海「お、おい李衣菜!でっけぇ音たてんじゃねえよ!」

李衣菜「わ、私じゃないよ!」

幸子「じゃ、じゃあひとりでに…」ガチャガチャ

幸子「…アレ?」

拓海「今度はなんだよ幸子ォ!」

幸子「いや、このドアが開かなくて…」ガコン

拓海「何の音だよ今の」ズズッ…

李衣菜「何か引きずるような…」ズズズッ…

幸子「えっと…なんか…部屋が狭くなってる気がしませんか…?」ズズズズッ…

拓海「あぁそういえば…」ズズズズズスズッ…

李衣菜「気のせいじゃないよぉ!壁が迫ってきてるよぉ!」ガチャチャガガチャ!


李衣菜「えぇ!?うそぉこっちの扉も開かないよ!」ダンダン!

拓海「閉じ込められたってのかよ!」ズズズズ…

李衣菜「やだやだやだやだぁ!潰されちゃうよぉ!」ダンダンダンダン!

幸子「そんな…これはお化け屋敷なんですから…」ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ…

幸子「な、なんで開かないんですかああああああ!!!」ガチャガチャガチャガチャ!

拓海「ど、どーすんだよォ!」


春香『こ、コレまだ一個目の部屋なんだよね?』プクク

伊織『怖がりを連れて来いとは言ったけど、これは予想以上ね…』

小梅『…み、みんな良い顔してる…』ゾクゾク

卯月『だ、大丈夫なんですかアレ!』アタフタ

伊織『当たり前じゃない、これはアトラクションなのよ?ほら』


チャリン

拓海「!?カギだ!幸子!」ヒロッテポーン

幸子「あ、あわわ!え、えっと…」ガチャガチャガチャ

李衣菜「は、はやくぅ!」

幸子「い、今やってますよ!」ガチャリ

幸子「!あきましたっ!」

拓海「飛び込めぇええええ!」

三人「「「うわああああ!!」」」バーン

ドーン!

三人「「「た、助かった…」」」

拓海「ったくよぉ…殺す気かァ!」


春香『いや、危機一髪だったねぇ』

伊織『ちなみに、間に合わなくてもホントに押しつぶしたりはしないわよ。あれは、出られたからこその閉まりきる演出』

春香『最初から結構すごいのが来たね…』

小梅『…これは…まだまだ…じ、序の口…』


李衣菜「で、でも…これでギブアップしたくても戻れなくなったんだよね…」

三人「「「…」」」


伊織『あの李衣菜って子、いいとこ気づくじゃない』

春香『どういうこと?』

小梅『…お、お化け屋敷は…どうしても進めなければ戻ってもいい…ふ、普通は…』

小梅『…も、もちろん、私たちが作ったのも同じ…』

伊織『だけど、目の前で退路が立たれたのを見ちゃうと、なんとなく「後戻りできないんだ」ってことで頭がいっぱいになっちゃうでしょ?』

卯月『なるほど…』

春香『さすが…ホラーを知り尽くした女たちだね!』

伊織小梅「「にひひ(…)」」


幸子「と、とりあえず前に進みましょう!」

拓海「そうだなっ、そもそもギブしねーでクリアしちまえばいいんだもんな!」

李衣菜「そうだそうだ!よし、進もう!」

拓海「あ、バカ李衣菜!むやみに動くな!」

李衣菜「へ?」カベカラテガバリィ!

李衣菜「」キュ~

拓海「李衣菜ああああああ!」ダダダ

拓海「おらっ…っと」カツギッ

拓海「おい幸子!ボケッとしてんな!逃げるぞ!」

幸子「は、はいっ!」


伊織『お、順調に階段に向かってくれてるわね』

伊織『正直一階はドッキリ系の仕掛けしか置いてないから好都合だわ』

小梅『…本番は…に、二階から…』


拓海「おい李衣菜、李衣菜!」パンパンパン

李衣菜「ぶふっ!お、起きましたぁ!りーな起きました!」

拓海「ふぅ…ビビらせやがって…」

幸子「でも、慌てて二階に上がってきたのは良いんですけど…」

扉ズラーッ

幸子「建物の造りを見る限りだと…出口へは上から降りてこないとたどり着けそうにないし…」

拓海「今昇ってきた以外に階段が見当たらねーところを見ると…この扉を開けて探せってことだよな…」

李衣菜「も、もう私が先頭ヤダよ!?ねぇ、もういいよねぇ!?」

拓海「わ、わかった…次はアタシが先頭やってやる」

李衣菜「拓海さんんんん!」ギュゥッ

拓海「こ、こんなんでビビってたら特攻隊長の名折れだ!これ以上あのでこっパチの好きにさせてたまるかよ!」


伊織『きーっ、またでこっぱちなんて言ってるわアイツ!』

春香『あはは、伊織も拓海さん乗せるためとはいえけっこう挑発したもんね』

小梅『…だ、大丈夫…拓海さんも…す、すぐに怖がる…ふふ…』

卯月『私、小梅ちゃんが怖くなってきました…』


拓海「オラァ!」ドカン

拓海「来るならこいやぁ!」ドスドス

李衣菜幸子「「お、お邪魔しま~す」」コソコソ

拓海「ここは外れか…ちっ、装飾もこってやがるな、照明がランプだぜ」ユラユラ

拓海「次の部屋行くぞ」フッ…

三人「「「え?」」」

バタン!

拓海「お、おい」

李衣菜「私でも幸子ちゃんでもないよ!!」

幸子「なんなんですかやめて下さい真っ暗は嫌なんですボクくらいとダメなんですよおおおお!!」バンバンバンバン

拓海「落ち着け幸子!」ウフフフフ・・・

拓海「!?」


――――うふふふ…

拓海「おい李衣菜、お前ついにおかしくなったのか?変な声で笑うなよ」ウフフフフ…

李衣菜「私じゃないって!!幸子ちゃん!幸子ちゃん!」ウフフフフフ…

幸子「嫌です嫌です嫌ですごめんなさいごめんなさいごめんなさい」ウフフウフフフ…

――――可愛い…生贄さんですねぇ…うふふ…

拓海「お、おい、冗談だよな?イケニエって聞き間違いだよな?」ウフフ…シュル

李衣菜「な、なんか布のこすれる音がするよぉ…」ウフフ…シュルル

幸子「開けてください開けてください」バンバン

拓海「ぎゃあああああ!」ピト

李衣菜「なんですかぁ!?」

拓海「首筋になんかしゅるって!しゅるって!」

―――ま…コホン私は喉がとっても渇いてるんですよぉ…

李衣菜「ジュースなら買ってきてあげるよぉ!」グスグス


―――知ってますかぁ…?人の血って…あったかくて…とってもおいしいんですよ…

拓海「ばばばばばかじゃねーのそそそそんなんでビビるかと思って…」

―――飲むときはぁこんな風に…首元にぃ…

まゆ「ガッとやって♪」カリッ

拓海「か、噛まれたああああああああ!」ダダダダダダッ

拓海「うぎゃああああああ!」ドアバガーン

李衣菜幸子「「おいていかないでぇぇぇえぇ!!」」ダダダダッ

まゆ「…あらぁ、行っちゃいましたぁ。入れ歯の模型首筋に当てただけなんですけどねぇ?」


春香『お、おぉ…今のは結構びっくりするんじゃないかな?』

伊織『今回は、お化け屋敷に登場する怪物の類をCGプロのアイドルにやってもらってるわ!』

小梅『…ひ、一人目は…吸血鬼で…佐久間まゆさんです…!』

まゆ「どうも~」

伊織『キャストのみんなには私たちの声が聞こえるの』

小梅『…ま、まゆさん…と、とってもよかった…』

まゆ「いいえ~、これも小梅ちゃんの演技指導のおかげですからぁ」

卯月『へぇ!小梅ちゃんが演技指導したんですか?』

小梅『…ち、ちょっとね…』

伊織『ちょっとなんて何言ってんのよ、キャストの演技指導とかメイクとかその辺殆どアンタの仕事だったじゃない!もっと胸張っていいのよ?』

小梅『…えへへ…』


春香『ちなみに伊織はどんな部分を担当したの?』

伊織『私はびっくりポイントの配置とか、順路とか。でも、アイデア出しとか大まかな流れは二人で決めたわ』

まゆ「せっかくだからもうちょっとこのお衣裳とかお見せしたかったんですけど…」

小梅『…た、拓海さん…ドア突き破っちゃったから…し、仕方ない…』

伊織『まったく、どんな馬鹿力だってのよ!』

小梅『…と、とりあえず私たちは拓海さんたちを追いかけます…ま、まゆさん…ありがとうございました…』

まゆ「はぁい、頑張ってくださいねぇ」フリフリ


拓海「はぁ…はぁ…」

李衣菜「た、拓海さ~ん、おいていかないでよぉ」タタッ

拓海「す、すまねぇ…」

幸子「…つ、次はボクが行きます!」グッ

李衣菜「さ、幸子ちゃん!?」

拓海「あ、アタシが言えた義理じゃねぇけど、強がらなくてもいいんだぜ?」

幸子「いえ、ここに入ってから、まだ先頭をやってないのはボクだけですし、お二人にばかり負担はかけられませんから…」

拓海「幸子…」

李衣菜「幸子ちゃん…」


伊織『お化け屋敷だっつってのになんか深刻すぎない?』

小梅『…お、追い詰められて…そこまで頭が回ってないんだと…思う…』


幸子「ボクだってやればできるんです!そうです!あの時のスカイダイビングに比べたらこんなのっ…」バン

李衣菜「幸子ちゃん…カッコいい!」

拓海「へっ、こりゃ負けてらんねぇな!」

幸子「この部屋は…階段はありませんね…」オソルオソル

李衣菜「本棚がたくさん…」

拓海「図書室…的なことか」ペラリ…ペラリ…

李衣菜「なんか…聞こえなかった?」ペラ…ペラ…

拓海「よ、よせよ…」ブツブツ…ブツブツ…

拓海「」ブツブツ…ブツページ…

幸子「あ…あぁ…」ガタガタ

李衣菜「どうしたの幸子ちゃん!」ブツページ…ブ4ページ…

幸子「誰か…誰かいます…本棚の奥…」ブルブルユビサシ

李衣菜「え?」オソルオソル


―――45ページ…46ページ…

李衣菜「おばあ…さん?」ペラリ…ペラリ…

―――47ページ…48ページ…

幸子「なんで向こう向いたままぶつぶつ言ってるんですかぁ!」

―――50ページ…クルリ

幸子李衣菜「「ヒィ!」」

?「1ページ…足りなぁぁぁぁぁいぃぃぃぃ!!」ガダダダダダダッ

幸子李衣菜「「いやぁー!!!」」ダダダッ

拓海「はっ!アタシは何を…」

?「まぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇ」ゾゾゾゾゾゾ

拓海「うぎゃああああああ!!!」ダダダダダッ

?「…これで、うまく行きましたか?」


春香『あれもCGプロの?』

伊織『えぇ、紹介するわ、CGプロの鷺沢文香よ!』

文香「…どうも、みなさん鷺沢文香と申します」

卯月『あぁ!文香さんですか!ぜんぜんわかりませんでした、すっごく怖いんですもん!』ドキドキ

小梅『…ふ、文香さんの…目のないおばあさんメイクは…自信作…』ドヤ

文香「…私の役割は、番町皿屋敷の伝説を西洋風にリメイクしたもの…らしいです」

小梅『…ふ、文香さんが…本が好きって話をしたら…い、伊織さんが設定を作ってくれた…』

伊織『にひひっ、やっぱり共感できる役どころの方が熱の入り方が違うでしょ?』

文香「…えぇ、なんというか、本を大事にしてた妖怪なんだろうな、と」

文香「…よほど落丁が許せなかったんでしょうか」

伊織『ご想像にお任せするわ』


李衣菜「ぎゃあああああああ!なつきちのゾンビいいいいい!?」


伊織『あれ?さっそくやってるわね』

小梅『…よ、用意したトラップに…ことごとく引っかかる三人…』

春香『えっと、伊織、せっかく盛り上がってきてるとこ申し訳ないんだけど、そろそろコーナーの時間が終わっちゃうよ?』

伊織『え、もうそんな時間!?』

伊織『まったく、あの三人がモタモタしてるから!』

小梅『…し、しかたない…私たちも…気合を入れすぎた…かも…』

伊織『それもそうね』

伊織『春香、いったんコーナー締めましょ』

春香『りょーかい!スタジオに戻りまーす!』


―――Aスタジオ

春香「いやぁ、あれでまだまだ半分行ってないらしいよ」イヤアアアアア!!

卯月「えぇ!?私クリアできる気がしません…」ウギャアアアアア!!

春香「私もちょっとパスかなー」ヒエエエエエエエエ!!

春香「でも、このお化け屋敷、挑戦してみたいと思った方もいらっしゃるんじゃないでしょうか!」

春香「そんな方のために!」

伊織『明日から二か月間、『伊織と小梅のさいきょうお化け屋敷』は入場料五百円でみんなにも遊んでもらえるようになるわ!』

小梅『…し、小学生以下のお子さんは…ほ、保護者同伴での入場となります…』

伊織『見事クリアできたら、私たちがデザインしたモンスターストラップをプレゼントするわよ、じゃんじゃん挑んできなさい!』

小梅『…こ、怖さは折り紙つきなので…それでもいい方は…頑張ってください…』

春香「でも、一般公開されるのに今日内容を放送しちゃって良かったの?」アアアアタクミサンンンン

伊織『問題ないわ。アレはパターンAだから』

卯月「パターンA?」リイナアアアアアアア


小梅『…い、伊織さんも私も…す、スタッフさんも考えてるうちに盛り上がっちゃって…』

伊織『パターンが五つできちゃったのよね。日替わりでパターンがちがうから、コンプリートしてみてちょうだい!』

春香「す、すごい情熱だね…」ボクハ・・・ボクハァアアア

卯月「私も一個くらいは挑戦してみます!」フンス

春香「ということで、『伊織と小梅のさいきょうお化け屋敷』に挑戦したい方は、五百円持ってブーブーエス前広場へ!」

卯月「午前十一時から午後五時までです!」

春香「果たして李衣菜ちゃんたちは番組終了までにクリアできるんでしょうか?」モウイヤアアアアアアア

卯月「只今の企画プレゼンターは、水瀬伊織さんと白坂小梅ちゃんでした!」

伊織『どーもありがとー!』

小梅『…ま、またね…』


伊織小梅『せーの…にひひっ(…)』


―――都内某所、個室居酒屋

ガヤガヤ

あずさ「あらあら~それじゃお二人もCGプロの~」クラクラ

早苗「そーなのよー!いやー、まさかこれが今度の『生っすか』の為の収録だと思わなくってさー、ごめんねー邪魔しちゃってー」ヒック

あずさ「いえいえ~、お酒は大勢で飲んだ方が楽しいですよ~」

瑞樹「ちょ、ちょっと早苗さんったら」

早苗「もー、あずさちゃんが良いって言ってんのよ?瑞樹は堅いんだからぁー」

楓「そうですよ瑞樹さん、多分映像も人数多い方が面白いですよー」

瑞樹「あなたも結構飲んでるわね…」

早苗「ほら!アンタも飲みなさいって!ね!」

瑞樹「いや、カメラまわってるとこでそんなに乱れるわけには…」

早苗「飲みなさいっての!」グイッ

楓「飲みましょう」コクコク

あずさ「うふふ」コクコク


瑞樹「仕方ないわね…」グイッ

瑞樹以外「「「おぉ~」」」

楓「それでこれは女子会なんですけど…」

瑞樹「女子会!?それで!?」シンケン

早苗「あ、あたしテーブル一緒にしてもらってくるね、店員さーん…」

ガヤガヤ


―――Aスタジオ

春香「なんとなく…飲み会が長くなってテープが切れたって言う理由がわかったね」

卯月「えっと…『テープはこの後CGプロの柊志乃さんと高橋礼子さんが乱入してきたあたりで途切れています』というメモが回ってきました」

卯月「ちなみに、後でその飲み会の話を聞いていけなかったことを悔しがっていた人がいたとかいないとか」

春香「まだ未成年の私たちにはわからない世界だね…」

春香「っとと!そうだ中継が繋がっています!」

春香「これが最後ですね…雪歩!」


―――最終休憩ポイント

雪歩「はい!こちら萩原雪歩ですぅ!」

雪歩「真ちゃんたちは今ちょっと遅れていて…」

肇「あ!雪歩さん見えました!いらっしゃいましたよ!」

雪歩「ホントですか肇ちゃん!では、さっそく準備を!」

肇「はい!」

ダダダダダッ

真「はぁ…はぁっ…」

茜「ふぅ…ふぅ…」

雪歩「真ちゃん!スポーツドリンク!」

肇「茜さん、落ち着いて飲んでくださいね」

真茜「「ん…ん…」」コクコク

真茜「「ぷはぁ!」」

雪歩「いけますか!?」


真茜「「もちろん!!」」

雪歩「それでは講義に入りましょう、肇ちゃん!」

肇「では、時間も押してきているので、すこし急ぎ足で講義を進めます」

肇「最後の講義はお茶の実際のいただき方と退出の仕方」

肇「まずお点前の始まりですが、茶席によって異なります。薄茶席の場合は…」


…十分後…


肇「最後は身支度を整え、預けていた荷物を受け取り退出、と」

肇「以上がお茶会の簡単な作法です」

真「む、むずかしいなやっぱり…」

茜「あ、足がまた…」ジンジン

肇「やっぱり話に聞くだけでは難しいですから、こんど家にいらしてください、お着物もご用意してご教授いたします」

真「え!?いいの!」


肇「もちろんです、雪歩さんも茜さんも一緒に、ね」

雪歩「ぜひぜひですぅ!」

茜「うぅ…興味はありますけどじっとしてるのはやっぱり苦手かなぁ…」

肇「ふふ、あまり堅苦しく考えなくていいですよ」

真「行ってみようよ茜…ってそうだった!ここでのんびりしてちゃいけないんだった!」

真「ごめん肇!また今度詳しく話聞かせて!茜、行こう!」

茜「まずはゴールしてから、ですね!」

真茜「「ラストスパートおおおおおお!!」」

雪歩「果たして真ちゃんたちは番組終了までにスタジオに到着できるでしょうか」

肇「私たちの茶の湯講座もここまで。あとはゴールでお会いしましょう」

雪歩「それではスタジオにお返ししますぅ」


―――Aスタジオ

春香「雪歩、肇ちゃんありがとー!」

卯月「只今お送りした企画で二人が講義してくれた内容は、ブーブーエス出版から『アイドルが先生』シリーズ第一弾として発売されることが決定いたしました!」

卯月「今回の『茶の湯』他、『お菓子作り』、『眼鏡選び』など、ジャンルも続々検討中です!」

卯月「詳しくは、ブーブーエスのホームページをチェックしてください!」

春香「ここで、一旦CMです!」


―――CM

ナレ『あの、衝撃の前作から一年…』ドン!

亜美「ハルシュタインの…」

真美「ぼーれい?」

亜美真美「「なにそれー?」」

ナレ『世界を救った少女たちに迫る、新たな事件の影』

光「アタシはヒカル!こっちは相棒のレイナール!」

麗奈『チッ!』

ナレ『新しい仲間と新しいロボット』

亜美「ごめんね…キサラギ」

真美「もう一度…マミたちに力を貸して…!」

千早『くっ』

ナレ『回りだした歯車は…止まらない』

ナレ『運命の向かう先は「理想郷(アルカディア)」かそれとも…』

テロップ『主題歌:「inferno」如月千早&萩原雪歩』バーン!


春香「…久しぶりね、アミ、マミ、そして…キサラギ」

亜美真美「「お前は…!」」

ナレ『劇場版 無尽合体キサラギ2 ~見せM@S 魅せM@s 行っちゃいM@S~』

ナレ『来春、始動…』


響「い、いぬ美~!ハム蔵~!どこ行っちゃったんだ~?」

いぬ美「わふっ」

ハム蔵「ヂュイッ!」

ナレ『同時上映、「いぬ美とハム蔵のBrad New Day!」』


―――Aスタジオ

春香卯月「「生っすかー!?」」


―――サンデー!


春香「はい、たくさんのアイドルが出演したこの番組も、いよいよ最後の企画になります!」

卯月「最後の企画は…なんでしょう」

春香「ウチは残り一人だから予想がつくけど…どうやらツイッターとかではCGプロからどのアイドルが来るかって大予想合戦になってるみたいだよ」

卯月「私も、正直この組み合わせはとっても意外でした!」

春香「ふふふっ、あんまり焦らすのもアレだし、行こうか!」

卯月「はい!」

春香「それでは中継を繋いでみましょう、響ちゃん!」


―――ブーブーエス社内、廊下

響「はいさーい…」

春香『あれ?どうしたの響ちゃん、元気ないよー?』

響「こんなふりっふりの格好をさせられるだけならまだしも、散々さらし者にされた上に台車で転がされたりまでして元気な方がスゴイと思うぞ…」

卯月『あれ、響さんと奈緒ちゃんですか?またお二人が?』

奈緒「アタシらはお手伝いなんだ。この後の企画の」

卯月『というと?』

響「見てればわかるぞー。あ、来た」ソーイエバトウマクンサーガヤガヤ

奈緒「はぁ…なぁ響さん、ホントにやんなきゃいけないのか?」

響「ここまで来たらもう恥なんて概念は忘れた方が良いぞ…これが終わったら自分たちも解放されるんだから」タタッ

奈緒「うー…わかった」タタッ


響奈緒「「お兄ちゃんたちっ!」」キャルーン

冬馬「おわっ!なんだ!」

北斗「おやおや、可愛いエンジェルちゃんたち、どうかしたのかな?」

翔太「あ、この人よく見ると」

冬馬「が、我那覇響じゃねーか!それにこっちは…おぉあ!?」

冬馬「CGプロのなおちんだ!」

翔太「なおちん?」

北斗「へぇー、知らなかったな、冬馬が今を時めくトライアドプリムスのファンだったとは」

冬馬「そ、そんなんじゃねーよ!ただなおちんはその趣味が…」ゴニョゴニョ

冬馬「それよりも、我那覇、お前こんなとこでそんな格好して何を…」

響「お兄ちゃん!ヒビキ、お兄ちゃんたちについてきてほしいところがあるんだっ!」ヤケクソ

冬馬「あぁ?なんだよソレ、それよりもなんでこんなところにだな…」


奈緒「お、お願いお兄ちゃん!」//////////

冬馬「ぐふっ…よ、よろこ…って違う!大体お前ら今生放送中じゃなかったか?見ればカメラも回ってるし…なんかの企画」

響「…いいから来いって言ってるのがわからないのか?」ボソッ

奈緒「…こっちは恥ずかしくて死にそうなんだからよ」ボソッ

冬馬「お、おう…」

北斗「おっと、情熱的なエンジェルちゃんたちだね」

翔太「北斗くんのその余裕はどこから来るのさ…」

響「いいから!」グイッ

奈緒「こっち!」グイッ

Jupiter「「「お、おいおいおい…」」」ズルズルズル…


春香『えー、今のは大人気男性アイドルユニット「jupiter」の三人ですね』

卯月『響さんと奈緒ちゃんが連れて行っちゃいましたけど…あの三人が最後の企画挑戦者ですか?』

春香『もうちょっと見てればわかるよ。カメラさん、追いかけましょう!』


―――小会議室

響「じゃ、自分たちはこれで」

冬馬「おい、連れてくるだけじゃなくて…」

奈緒「何か?」キッ

冬馬「ごめんなさい」

響「行こう、奈緒」ガチャッ

奈緒「うん、響さん」スタスタスタ

冬馬「なんなんだよ…」

北斗「なにか始まるんじゃないかな、ホラ、なんかステージもあるだろ」

翔太「なんか、お笑いのステージみたいだよね!」


春香『お、翔太君が結構いいこと言ったね!』

卯月『こちらの声は、向こうには届いていないんですね』

春香『うん、純粋に楽しんでもらいたいもんね!』


冬馬「しっかし何が何やら…」テンテケテンテン…♪

冬馬「ん?」チャンカチャンカ…♪

タリラリラーラッチャラーララーララーラチャララー♪

未央「はいどーもー!」

貴音「どうも」


Jupiter「「「」」」


卯月『始まりましたね!』

春香『最後のアイドルは、765プロ「銀色の女王」こと四条貴音さんと』

卯月『CGプロの元気印、本田未央ちゃんで「漫才」です!』


未央「ミオです!」ハァイ

貴音「たかねと申します」ペコリ

未央「二人合わせて」

未央「"たかミオ"で…」
貴音「"らぁめんず"です」キリッ

未央「ってちょっと!」ガクッ

貴音「なんでしょう」

未央「なんでしょうじゃないよ!」

未央「たかねっち、コンビ名間違ってるよ!」

未央「私たちは、ミオとたかねで"たかミオ"でしょ!」ズビシッ

貴音「はて」クビカシゲ

未央「いやいや『はて』じゃないよ!」

未央「一緒に会議したじゃん!」

未央「"たかミオ"で行くことにしたじゃん!」


冬馬「な、765の四条貴音じゃねーか…」

北斗「これはこれは、漫才とはびっくりだねぇ」

翔太「くふふ…なんか四条さんが漫才師らしい青ブレザー着てツッコまれてるだけですでにおかしいんだけど…くふっ」


貴音「私は"らぁめんず"にしないということに納得いたしておりませぬ」

未央「納得してなかったの!?」

貴音「大体なぜ"らぁめんず"ではいけないのですか!」

未央「いるから!いるんだよたかねっち!」

未央「"ラーメンズ"っていう大先輩がいるから!しかも売れっ子!」

貴音「ふ…笑止!」

未央「な、なにがさっ」

貴音「私とて、その程度のことは存じ上げております」

貴音「"らーめんず"は1996年に多摩美術大学学生だった小林賢太郎氏と片桐仁氏が結成した…」

未央「知ってるじゃん!めちゃめちゃ知ってるじゃん!」


春香『貴音さんのラーメン好きをこういう風に持ってきたんだね…』ジッ

卯月『は、春香さん、目が真剣です』


未央「ならダメなのわかるでしょ!」

貴音「だから笑止だと言うのです」

未央「どゆこと?」

貴音「彼らは"らーめんず"、私たちは"らぁめんず"…」

貴音「わかりませんか?…みお」

未央「ごめん、私にはわからないよ」

貴音「ふっ」ドヤァ

未央「いや、勝ち誇った顔しなくていいから」

貴音「私たちと彼らとでは…平仮名と片仮名という違いが…」

未央「違わないよそんなの!」

貴音「一緒ではありません!」

貴音「"らーめんず"と"らぁめんず"…」

貴音「その二つは似て非なるもの…」

貴音「らぁめんで例えるならば…」

貴音「二十郎新宿店と二十郎西新宿店くらい違うのです!」


冬馬「くくっ、知るかよっ」プルプル

北斗「これは…」プルプル

翔太「あははははは!」


未央「そんなものの違いなんて誰もわかんないよ!」

貴音「違います!新宿店の方がまず席の数が多く野菜の量も若干の…」

未央「結局それくらいの些細な違いなんじゃんか!」

未央「せめて『塩ラーメンと豚骨ラーメンくらい違うのです』くらい言ってよ!」

貴音「ではそれで」

未央「人のを取るな!っていうかそうじゃないでしょ!」

未央「そもそも、漫才っていうのは会話芸なんだから、文字じゃないとわからない違いなんてダメなんだよ!」

貴音「ですから"らーめん"と"らぁめん"で…」

未央「たかねっちじゃどっちにしろ発音のしわけなんてできてないから!」

貴音「面妖な!」


春香『出た!貴音さんの決め台詞!』

卯月『こういう言葉が似合いますよねぇ』


未央「一番面妖なのはたかねっちでしょ!」

貴音「ふむ…」

未央「な、なにさ急に黙ったりして」

貴音「いえ、先程から大きな声を出し続けておりますので、みおはいったいどうしたのかと…」

未央「たかねっち!それも原因たかねっちだから!君が出させてるの!」

貴音「面妖な」

未央「この短時間で二回目!?」

貴音「それで、何故"らぁめんず"がダメなのかという話ですが」

未央「まだ続けるの?」

貴音「自分達の好きなものから名前をいただくことの、何がいけないと言うのでしょうか」

未央「さっきからの流れ全無視で新しく問題提起してきたの!?」

未央「大体さ、『自分達の好きなものから』ってさらっと言ったけど、なんで私がラーメン好きなの前提?」

貴音「みおはらぁめんが嫌いだと申すのですか!?」ブワッ

未央「い、いたい!怖い!詰め寄らないでビックリするから!」


未央「も、もちろん嫌いじゃないよ?」

未央「でも、取り立てて好きなものってあげるほどじゃないっていうか…」

貴音「ふ…残念です」

未央「なんで今嘲笑されたの私」

貴音「私とこんびを組もうとするものが、こともあろうにらぁめんをそれほどでもないなどと…」

未央「漫才にラーメン関係あるか!」

貴音「甘すぎます!!」クワッ

貴音「らぁめんと漫才には、同じ呼吸が求められるのですっ!」

未央「は、はいっ!?」


貴音「良いですか、まずすぅぷを煮込むときの火加減、温度」

貴音「これは漫才で言えば会場の温まり具合、お客様のてんしょんと言い換えても良いでしょう」

貴音「次に具材、これは我々の用意してきた『ねた』の数々です」

貴音「これを、すぅぷやお湯の温度を気にしながら正しい順番で煮込み、またトッピングしていく…」

貴音「最後にそれを食したお客様の感想…」

貴音「『おいしい』であればらぁめん」

貴音「『面白い』であれば漫才」

貴音「どうですかみお」ドヤァ

未央「いや、思わず黙って聞き入ったけどさ」

未央「確かに割と上手く例えられてると思うよ?」

未央「だけど、なんでそれをちゃんと会議の時に言ってくんなかったのさ!」

貴音「今思いつきました」

未央「さも前から思ってたことみたいな顔するんじゃない!」ビシッ


貴音「まったく!みおは先ほどから私の言うことすべてに文句をおっしゃいますね!」

未央「たかねっちが全くもって人の話を聞かないからだよ!」

貴音「そんなに私の案にけちをつけるおつもりならば、みおにはそれなりの考えがあってのことだと捉えてよろしいのですね?」

未央「だから“たかミオ”でって…」

貴音「ないのですね?であれば“らぁめんず”ということに」

未央「人の話を聞きなさいっての!」

貴音「なんですか文句ばかり!」

未央「なんでさっきから私が怒られてるの!?」

未央「こんなんじゃ漫才なんて出来やしないよ!」

貴音「…」

未央「な、なにさまた急に黙ったりして…」

貴音「いえ、みおの言うとおりでした」

貴音「私たちには、お互いの話を聞くという、こんびにおいて一番大切なことを忘れていたように思います」


未央「うん、聞いてくれなかったのはおもにたかねっちな気がするけど、それはいいや」

貴音「お互いの主張が強すぎても駄目。単体では美味しい食材でも、くせの強すぎる物を考えなしに一緒にしてはいいらぁめんはできません…」

貴音「くしくも先ほど私が自分で申し上げたように、漫才はらぁめんと同じ…」

貴音「きちんと調和をはかることも大切なのですね」

未央「たかねっち…わかってくれたんだね!」

貴音「えぇ…みお、私は心を入れ替えます」

貴音「二人で調和し、美味なるらぁめんのごとく素晴らしいこんびにしようではありませんか!」

未央「そうだね、たかねっち!」

貴音「では、それを気付かせてくれた素晴らしきらぁめんからいただいてやはりこんび名は“らぁめんず”に…」

未央「結局何一つわかってないじゃないか!」

未央「もういい加減にしろ!」ビシッ

貴音未央「「どうも、ありがとうございました」」ペコリ


Jupiter「「「お、おぉ~」」」パチパチパチ


春香『うん、いい感じにまとまってたね!』

卯月『二人ともとっても面白かったです!』

未央「あ、ホント?」

卯月『あ、音声繋がったんですね』

春香『すごかったよ!ちゃんと漫才になってるんだもん』

春香『ネタは二人で考えたの?』

貴音「二人で、と言いますか」

未央「あはは、実はコレ、企画会議の時のやり取りを元にして作ったんだ」

未央「だから、言っちゃえばノンフィクションかな!」

春香『実際にこんなやり取りしてたんだ…』

卯月『会議に立ち会ったスタッフさんたちが大変そうにしてた理由が、なんとなくわかりましたね』アハハ・・・

冬馬「おい、天海」


春香『あ、冬馬君。忘れてた』

冬馬「忘れてたじゃねぇよ!急になんなんだよコレは!」

春香『いや、貴音さんたちもお客さんいた方がやりやすいって言ってたから』

冬馬「だったらお前らのいるスタジオでやるか、客を普通に集めればいいだろ!?」

未央「あんまり多いと恥ずかしいじゃん!」

冬馬「それくらい覚悟の上だろ!」

貴音「天ケ瀬冬馬…」

冬馬「な、なんだよ…」

貴音「そのような些末な事よりも、私は今の漫才の感想を伺いたいと思います」

冬馬「お、おう…そうだな…」

冬馬「ちょっと聞いただけでボケとツッコミのキャラがわかりやすく役割分担できてたのは良かったな」

冬馬「四条の売りであるミステリアスをうまくボケに転用して、しかも番組を見てるファンならニヤリとできるネタの仕込み」

冬馬「仮に四条のラーメン好きを知らなくても、話を聞かない四条に振り回される本田っていう構図で笑いは誘えるし」

冬馬「それとやっぱり決め台詞である『面妖な』の…」


春香『冬馬君長いよ、もう尺無いから進めるよ』

冬馬「勝手に巻き込んどいて扱い酷くないか!?」

北斗「まぁまぁ冬馬、いいじゃないか可愛いエンジェルちゃんたちの意外な一面をいっぱい見せてもらったんだし」

翔太「そうだよ、漫才なんて久しぶりにちゃんと見たしさっ」

北斗「だよね」

冬馬「わ、わかったよ…」

北斗「そういうわけで、後は765とCGのエンジェルたちにお任せするよ。またね、チャオ☆」

翔太「jupiterをよろしくねー」

冬馬「テレビの前の皆、またな!」

未央「あ、じゃあここで私たちの企画も終わりだね!」

貴音「では春香、卯月、後は頼みましたよ」

春香『はい!jupiterの皆さんと、貴音さんと未央ちゃんでした!』

卯月『ありがとうございました!』

卯月『次は「りつかれちゃん」、いよいよラストです!』


―――夜の駅前

『りつかれちゃん』

加蓮「…」←ギターをつま弾く、私服

律子「…」←通りすがり、加蓮のギターを聴く、スーツ

加蓮「…」←一曲終わり、律子の方を見る

律子「…」←拍手しながら加蓮に近付く

律子「…」←何事か言いながら加蓮に名刺を渡す

加蓮「…」←一瞥するも名刺は受け取らない

律子「…」←ふっと微笑み、名刺を加蓮の脇に置いて立ち去る

加蓮「…」←ギターを片づけ立ち去ろうとするも、律子のおいていった名刺に気付いて止まる

加蓮「…」←しばらく迷って名刺を拾い、大事そうにポケットにしまうと歩き去った

BGM「目が逢う瞬間」in


―――Aスタジオ

卯月「な、なんか…すっきりしてましたね今回は」

春香「これまでの奴はその場面に行くまでの過程が気になったけど、コレは先が気になるよね」

卯月「なにはともあれ『りつかれちゃん』はここまで!」

楓「『りつかれちゃん』、おつかれちゃん…ふふ」

卯月「か、楓さん!」

春香「あ、ディレクターさんが悔しがってる」

春香「なになに…『今の洒落をドヤ顔でテロップ出すための企画だったのに楓さんに先こされた』?」

春香「そんなくだらないこと企んでるからですよ!」

凛「ダメだよ楓さん、紹介があるまでは静かにしてないと」

楓「ごめんなさい、つい…」

千早「りつかれ…っおつかれっ…くっ、くふっ…ふふふふふふ」プルプル

卯月「番組もいよいよラストということで、今までの企画に出てくれたアイドルの皆さんがスタジオに駆けつけてくれています!」


春香「うわー!二十人くらいいるんだよね!」

伊織「やっぱり、この伊織ちゃんがいないと締まらないでしょ?」

杏「いおりんが頑張ってくれるなら、やっぱり杏は寝てても…」

きらり「もー、杏ちゃん、めっ☆」

千早「は、春香っ、このまま放っておくと番組が進ま、ないわよっ?」ブルブル

春香「そ、そうだね!」

春香「真たちの企画に同行しているスタッフさんから、もう間もなく二人がこのスタジオに到着するという連絡がありました!」

あずさ「それをみんなでお出迎えしようということなのよね~」

卯月「その通りです!」

卯月「入口には雪歩さんたちが待っているみたいなんですけど、様子はどうでしょうか?」


―――ブーブーエス、入り口

雪歩「春香ちゃんたちー!」

春香『雪歩!そっちの様子はどう?』

雪歩「多分、時間をみるともうすぐ見えてくる頃だと思うんだけど…」

肇「あ!雪歩さん、見えてきましたよ、真さんと茜ちゃんです!」

真茜「「うおおおおおお!」」ドドドドドド

雪歩「ホントですぅ!」

肇「それでは、私たちもスタジオに戻ります。お出迎えの準備を!」


―――Aスタジオ

春香「はいはーい、どうもありがとう!」

卯月「では、響さんと奈緒ちゃんはこのゴールテープをお願いします!」ビーッ

響奈緒「「りょーかい(だぞ)!」」タタッ

美希「それにしてもやっぱり真君はすごいの」

菜々「そうですねぇ…ナナにはもうそんな体力は…」

亜美真美「「姉ちゃんなんか言ったー??」」

菜々「いいえ何にも!」

加蓮「よく考えたら私たちって、番組の最初から居た意味なかったんじゃないですか?」チラッ

律子「それを言わないの」メソラシ

未央「あ、雪歩さんとふじやんだ!」

やよい「あー!雪歩さん!そこだとゴールテープ切っちゃいますよぉ!」

雪歩「ひぃん!そうだった!そんなこともわからない私は、穴掘って埋まってますぅ~」ザッ

貴音「落ち着きなさい、雪歩」


小梅「…も、もうすぐ来るって…」

響「な、なぁ、それって誰に聞いたんだ?」オソルオソル

小梅「…えへへ」ニコリ

奈緒「来た!」

春香「42.195kmの距離を超え、今二人の勇者が凱旋をしようとしています!」



真茜「「ゴールだああああああ!!」」パーン!



春香「やりました!菊地真と日野茜!」

春香「アイドルもやればできるんだ!見事番組中にフルマラソンを達成いたしました!」

全員『おめでとう!!』

卯月「今のお気持ちは?」サッ

真「ふぅ…ふぅ…途中途中の中途半端な休憩がけっこうきつかったけど…」

真「一緒に走る仲間がいたから、なんとか達成できました!」

真「茜、ありがとう!」サワヤカスマイル


\キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!/

卯月「茜ちゃんは?」

茜「私も同じ気持ちです!!!」

茜「なんていうか…普段のランニングとかそんなのよりすっごい達成感があって気持ちいいです!!」

春香「二人とも本当にお疲れ様!」

春香「じゃあ、この企画は無事終了ということで、締めてもらえるかな?」

真「わかった!行くよ、茜」



真茜「「せ~の…『まこあかCHALLENGE』大・成・功!!」」



春香「CMの後はいよいよエンディング!」


―――CM

ナレ『あの夏の感動を、もう一度…』


『私たちは、765シンデレラです!!』


ナレ『全国のアイドルが一堂に会したあのドリームフェスティバルがDVD&ブルーレイに』

ナレ『特典映像には、出演アイドルのリハーサル風景も収録』

ナレ『今年、一番アツかった日を知っていますか』

ナレ『「ドリームサマーフェスティバル」 NOW ON SALE』


―――Aスタジオ

全員『生っすかー!?』


―――サンデー!


春香「長々と続いてきたこの番組も、いよいよエンディングです!」

卯月「なんていうか、長かったはずなのに、あっという間な気もします」

春香「すっごいいろんなことやったもんね!」

春香「これだけあった企画をなんとかさばけたのも、卯月ちゃんが一緒に居てくれたからだよ!」

卯月「いえいえ!春香さんがリードしてくれなかったら、私なんて番組の初めの方で泣いちゃってますよ!」

春香「いやいや卯月ちゃん」

卯月「いえいえ春香さん」

響「えっとー、春香、二人だけで褒めあってないで番組を進めてほしいぞ」

千早「まったくね」

春香「あ、あはは…そうだったね」のワの


卯月「ひ、引き続きこちらのスタジオには本日出演してくれたアイドルのみんなが来ています!」

アイドルたち『いえ~い!!』

春香「さっきはメインの参加者だけだったけど…」

春香「今はもう協力してくれたみんながスタジオに詰めかけてすごいことになってます!」

卯月「全部で三十人くらいでしょうか」

春香「アイドルがコレだけ集まったら、やることは一つでしょ!」

春香「テレビ欄を眺めながら『あれ?まだ結構時間余ってるよね?』って思った方!大正解!」

加蓮「まぁ、こうやってみんなステージ衣装に着替えているところを見ればわりと一目瞭然だと思うけど」

律子「そういうこと言わないの」

卯月「最後に、私たちみんなのステージをお届けします!」

凛「最初の曲は、私たちシンデレラガールズプロダクションのアイドルで…」





CGプロアイドル『「We Have A Dream」!』


\ワアアアアアアアアアアアアアアアア!!/





―――都内某所、パーティ会場

「では、僭越ながら私奈緒Pが乾杯の音頭を取らせていただきます!カンパーイ!」

『カンパーイ!!』

怒涛の生放送が終わって、今はもう夜。
アタシ達は『生っすか!?SPECIAL』の打ち上げ会場に来ている。

もともとの言いだしっぺであるらしいアタシのPさんが乾杯の音頭を取って、打ち上げパーティの始まりだ。

正直まだ興奮冷めやらぬって感じで、なんかふわふわした感じだ。
まぁいっぱい恥ずかしい思いしたもんな…。

「奈緒!お疲れだぞっ!」

「お疲れ、響さん」

今日一日一緒に辱めを受けた者同士、なんかすごく仲良くなった気がする。
それにしても、アタシもなんであんなわかりやすいPさんの猿芝居に引っかかったかな…よく考えたら響さんてバラエティ出るたびに弄られてるじゃんか。

「なんか自分、今回の仕事でまたひとつ強くなった気がするぞ」

「それはアタシもそう思う」

なんていうか、ゴシック系の可愛いのじゃないのもいいかと思うような…いや、ナイナイ。
ダメだ、アタシはだんだんPさんに染められてきてるな…染めっ!?


「うあああ!」

「ど、どうしたんだ奈緒!?」

自分で考えてたことが恥ずかしくなって悶えるアタシと、急に悶えだしたアタシにビビる響さん。

「おー、奈緒楽しんでるかー?」

「あ、Pさん」

「そういえば、奈緒のプロデューサーは今回の統括プロデューサーだったんだよな」

「そゆこと。いやー、響ちゃん、ウチの奈緒がお世話になりましたっ!」

何だこの人、もう酔ってんのか?

「ふふん、なんくるないさー。自分、カンペキだからな!」

「765Pさんの言うとおり、響ちゃんも奈緒も弄れば弄るほど輝くなぁ」

「うぎゃ~!プロデューサーのやつ、他の事務所の人になんてこと言ってるんだ!!」

「せ、セクハラだぞPさん!」

「へっへっへ、すまんねぇ」

まったくこの人は。


「まぁ、プロデューサーの立場から言わせてもらえば、今回の生放送はなかなかいい出来だったと思う。特に、お前達二人は結構雑な扱いをされたのに、怒らずに流されてくれたしな」

「そりゃ、なぁ」

「そうだぞ、別にみんな本気でいやがらせしようとしてるわけじゃないのはわかるし」

「そうやって怒らないでいてくれるのがわかるから、二人には任せやすいんだ。ぞんざいな扱いに文句もあるかもしれないけど、これで案外頼りにしてるからね」

それだけ言うとPさんは、他の参加者のところへ行ってしまった。
まぁ一応統括だったんだから、全員に一言ずつくらい言っておきたいんだろう。

「ウチのプロデューサーもそうだけど、奈緒のプロデューサーも仕事できるよなぁ」

「仕事人間だからなぁ…体壊さなければいいけど」

「自分も、プロデューサーがちゃんと休んでるのか不安になることがあるぞ…頑張りすぎるプロデューサーを持つと、お互い苦労が絶えないなー」

そんな話をして、響さんと笑いあう。
会場を見渡せば、いたるところで会話の花が咲いている。

夏以来、ウチと765プロは本当に仲良くなったよなぁ。

アタシは今日の生放送の締めを思い出した。


―――最後にビッグサプライズ!!


―――『765×CINDELLA GIRLS = ∞』


―――『アンリミテッドスーパーライブ~The world is all one!!~』


―――来春開催決定!合同ライブですよ!合同ライブ!


本当にびっくりした。
だって、誰もそんな話聞いてなかったんだからな。

発表した春香さん本人も、直前に765Pさんからカンペを渡されるまで知らなかったって言うし。

なんでアタシ達の周りの大人はこうサプライズ好きなんだろうか。

「でも、なんだかんだ言って楽しかったなー。自分、また奈緒と組んで何かやりたいぞ!」

「え、ホント?」

「うん!今回は恥ずかしいカッコさせられたけど、次はかっこいい服で二人でダンスするのとか良いよな!トライアドプリムスだと、奈緒はダンスよりだろ?自分もダンスは得意だしさ!」

「そっか…そうだな!」

それはぜひともお願いしたい。
Pさんに掛け合えば検討位してもらえるかな。

「でもさ、アタシと響さんじゃ、また騙されても気づかなさそうだよな…」

「はっ!そうだ、そうかもしれない…うぅ~、どうすればいいんだー?」

そうだ、ライブの時のユニットとしてお願いすればいいんだ。
ライブの出し物ならそこまでの無茶はさせられないよな…?


「ねぇ奈緒P、奈緒と響さんの出たシーンって切り取ってDVDに焼けたりしないかな」

「それは私も気になります。でぃーぶいでぃーの事は良くわかりませんが、あの可愛い二人の姿をもう一度と言わず何度でも眺めたいものです」

「あ、じゃあ私は高槻さんたちとスマイル体操しているシーンを…」

「スイマセン、ナナが気を失ったところはカットで…」

「お、おい、お前ら…」

「「勝手な事言うなー!!」」

あんなシーン何度も見られてたまるか!!







パリィン!






―――我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、ついに真実の絆を得たり。

真実の絆・・・それは即ち、

真実の目なり。

今こそ、汝には見ゆるべし。

”皇帝”の究極の力、”オーディン”の

汝が内に目覚めんことを・・・







>765プロの仲間たち『皇帝』と確かな絆を紡いだ!






―――深夜、都内某所

「ういー、飲んじゃったなァー」

ほろ酔い上機嫌で歩いてくる男性は、奈緒Pだ。
ここは彼の住むアパートのすぐ下。

おぼつかない足取りに、感覚の鈍った手で自宅の鍵を探しながら鼻歌なんかを歌っている。

「あんな大型生放送、なっかなかできるもんじゃねえぞォー、どうだ、おそれいったかーははは」

ここ最近、自分の担当するアイドルたちが目覚ましい躍進を遂げていることがうれしくてたまらないらしい。

「ういー、ヒック…んん?」

ポケットをゴソゴソして鍵を探していた彼は、近くの街頭の下に佇む人影を見とめる。

「あらー?こんばんはー、奇遇ですねぇー」

彼が時たま会う、銀髪の女性。
奈緒たちの追う黒幕その人だ。

「いやー、すいませんねぇー酔っぱらっちゃってーへっへっ」

「…いいえ、かまわないわ…むしろ好都合…」


「んー?」

彼女の言葉を聞き取れなかった彼が顔をしかめるのもかまわず、女は奈緒Pの顔に手を当て、囁いた。

「…あなたは見るわ…近いうちに信じられない物をね…。

…なぜあなたの事務所のアイドルが、ああも立て続けに失踪じみた事件を起こすのか…。

…そして、その度関わっているらしい子が誰なのか…考えたことがあって?」

「…な、お…」

彼女のささやきが鼓膜を揺らすたびに、ただでさえアルコールで鈍った彼の頭はより深い澱みに囚われていく。

「…世の中には知らなくていいことがある…けど、それを知ってしまったらどうなるのかしらね…」

薄く微笑んだ彼女は、いつものように姿を消した。
そして、奈緒Pは今あったことを覚えてはいない。





考えることを放棄した彼の脳にただ一つしっかりと残っているのは…担当アイドルへの疑念のみだった。




※作者でございます。

いやー、ようやく投下終わった!
バラエティとかコメディかける人ってすごい!

以上で生っすか!?SPECIAL編は終わりでございます。

次回からまた奈緒視点の地の文SSにもどります。

こういう能天気な回もいいじゃない。

とりあえず疲れたので今日はここまで。

次はまたスレたてます。


神谷奈緒「誰が為のペルソナ」


で行きますか、今考えました。

ではではまた一週間前後にお会いしましょう。

おつおつ
生っすかだけで一本行けるんじゃないですかね…


>>294

正直書きながら同じこと思ってました。
まぁ日常回の延長ってことで!たまにはアイドル活動してもらわないとね!

いつか生っすか単体で、加筆修正したのをあげられたらいいかもしれないとか思ってます。

面白かった!
だが、こういうのかくときって、地の文あるのと無いのとだと、どっち書きやすいんだろ...


>>296

おお!面白かったと言っていただけるのであれば嬉しいです!

個人的には、どちらが難しいと言うよりは双方気を付けるところが違うという感じですかね。

しいて言うなら発言者のかっこの前に名前をいちいち入れるのが面倒なところはあります。

そのおかげで書き分けがしやすいという利点もありますが。

新スレ立てましてございます。

神谷奈緒「誰が為のペルソナ」
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