前スレ 美琴「ねぇねぇ!」上条「はいはい、今度はなんだ?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1326123565/)
引き続き禁書SS
※ご注意
このSSは上琴目録です。まったり系なのでバトル、シリアス等は殆どありません
原作無視のトンデモ設定を多分に含みます。原作通りじゃなきゃ嫌! という方は見ないほうがいいかも?
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342353390
前スレまでの主な人物紹介
御坂美琴
このSSの主人公。ダメダメ両親sの一存で、上条さんの妹ポジションに収まる。現在妹レベル4のブラコン。
上条さんとインデックスという親友兼、家族を得て順風満帆な毎日を送る。
しかし、上条さんとインデックスが甘やかすせいか、メンタル面が弱体化している。
上条当麻
もう一人の主人公。兄レベル5『絶対遵守』の使い手。妹には絶対に逆らえないシスコンの鏡である。
初めは状況に流されるままだったが、今ではすっかりお兄ちゃんが板についてきた。
相変わらず不幸との接戦人生を強いられている。
インデックス
上条さんちの最後の良心。ただし食が絡むとダメ人間になり下がってしまう困ったシスターさん。
暴走しがちな美琴を諌め、ヘタレそうになる上条さんを叱咤するなど八面六臂の大活躍を見せる。
誰にでも分け隔てなく優しいが、変態行動を繰り返す白井黒子だけは苦手な様子。
一方通行
言わずと知れた学園都市最強の男。その実態は可愛い生き物をこよなく愛する伝道師。
特に猫に目が無いようで、スフィンクスを愛でるため、連日上条さんちに通うマメな人。
打ち止め
黄泉川さんちのマスコット的存在。可愛い物好きの一方通行と一番波長が合う様子。
見た目は幼女だが、侮れない鋭さを持っている。
番外個体
一方通行と打ち止めが織りなす素敵空間に馴染めない常識人。悪意の塊なのにいつも空回りしている。
同じく苦労人の上条さんに興味を抱く。そして興味は恋へと昇華したが報われない可哀想な人。
スフィンクス
インデックスのペット。ヒエラルキーにはシビアな美猫ちゃん。
一方通行≧禁書≧上条>>>越えられない電磁波の壁>>>美琴、これが彼のジャスティス。
CASE 351 扇風機
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「赤ちゃん出来ちゃったー!」ブオーン!!
上条「…………」
禁書「みこと……」
美琴「な、なんでつっこんでくれないのよ!?///」カァァ
禁書「扇風機をシャツで覆って何してるのかな?」
美琴「ぎゃああーー!? 真顔で聞かないでーー!?」ギャース
上条「お前なぁ……。女の子がお腹を出すなんて、はしたないぞ」ヤレヤレ
美琴「うう……渾身の一発ギャグだったのに……」グッスン
上条「……(インデックス!)」チラッ
禁書「……(わかってるんだよ!)」コクリ
幻想目録「「わ、わぁーい、すごーい、超おもしろーい」」ボーヨミ
美琴「ほ、ほんと!?」パァァ
上条「カミジョウサン、ウソツカナイ」
禁書「……(みことのセンスは理解不能なんだよ……)」ゲンナリ
CASE 352 修行
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「ちょろっとお隣に、お料理修業に行ってくるわね」
上条「おお、迷惑かけないようにな」
禁書「完成したらご馳走するんだよ!」
上条「いや、それはちょっと……」ギクッ
禁書「むぅぅ! 二度とそんなこと言えないように、ちゃんと美味しいご飯を作ってみせるからね!!」プンスカ
上条「ちゃんとは……無理だろ」
禁書「ひどっ!?」ガビーン
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
禁書「まったく! とうまのデリカシーの無さには困ったものなんだよ!」プンプン
舞夏「まあ基本に忠実に作れば、食べれるものが出来るはずだぞー」
美琴「そうね、変にレシピを弄らなければ大丈夫よ」ウンウン
禁書「ただのカレーじゃとうまをギャフンと言わせられないかも。……敢えて甘さで勝負してみようかな?」ドバー!!
舞夏「な、何を入れたんだシスター?」ギョッ!?
禁書「ふぇ? お砂糖と生クリームだけど」
美琴「…………」ポカーン
禁書「あ、でも甘さだけだと味が単調になるかも! 逆転の発想で、ハバネロとラー油も入れてみよう」ドバー!!
美琴「ス、ストーップ!? インデックス、何してんのよー!?」ガビーン
禁書「入れ過ぎちゃったかな? ならゴーヤを入れて味を調えるんだよ」ドボドボッ
美琴「うっ、カレーなのにピンク色……」
舞夏「あ、兄貴ー、試食を頼めないかー?」
土御門「待ってましたー、って臭っ!?」ガビーン
CASE 353 試食
土御門「…………」ガクガク
上条「…………」ブルブル
禁書「さあ、召し上がれ♪」ニコニコ
物体X『』ズモモモ
上条「……(無ぅぅぅぅ理ぃぃぃぃぃ!!! デス・クッキングだろうとは覚悟してたが、これは無理っ!!)」フルフル
土御門「……(ピンクのルーにやたらカラフルな具!? そして常軌を逸したこの臭い!? これが噂に聞くブタの餌かッ!!)」
上条「……(助けて御坂! お兄ちゃんをこの窮地から救っておくれ!!)」チラッ
美琴「……(ごめんお兄ちゃん。私に出来ることは何もないわ……)」フイッ
舞夏「……(二人とも、骨は拾ってやるぞー)」ニコニコ
上条「……(ここが上条さんの死に場所か……)」ゴクリ
土御門「……(舞夏ぁ~……それはあんまりだにゃー……)」ガックリ
禁書「どうして食べてくれないの? ……もしかして、美味しくなさそうかな?」ウルウル
上条「そそ、そんな事ありませんのことよ!?」オロオロ
土御門「ど、独創的なカレーを視覚で楽しんでたんだぜい!?」アタフタ
禁書「そうなんだ……。良かったぁ」ニコッ
土御門「カミやん……」
上条「ああ、漢には避けては通れない戦いがあるよな。そして……」
土御上条「「今がそのときだ!!!」」パックンチョ!!
CASE 354 討死
美琴「ねぇねぇ!」
上条「み…さか……?」
美琴「しっかりして! お兄ちゃん!?」ユッサユッサ
上条「ごめん……もう何も感じないんだ……甘いのか辛いのか……生きているのかさえも……」
美琴「やだっ!! 死んじゃやだよぉぉっ!!!」ポロポロ
上条「泣くなよ……せめて、最期は笑顔……で……」ガクリ
美琴「お兄ちゃん……?」ユッサユッサ
上条「…………」
美琴「うそ……やだよ……こんなのウソよ……」プルプル
上条「…………」
美琴「おにいちゃぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」ブワワ
禁書「いくらなんでも大げさなんだよっ!!!」プンスカ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
土御門「…………」
舞夏「兄貴ー、またウソを吐いたなー? 食べたふりをしただろー」ジトー
土御門「…………」ギクッ
舞夏「ウソは嫌いだぞ。そしてウソツキはもっと嫌いだー」プイッ
土御門「ぐふっ!?」グサッ
土御門元春 兄レベル5『幾万の戯言』の使い手。義妹の為の嘘なら相手を100%騙せるが、義妹には100%看破される。
CASE 355 反省会
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「インデックスも反省してるし、もう許してあげてよ」
禁書「ごめんなさい……」ションボリ
上条「うっ、しかしですねえ。食べ物を無駄にするなんてのは、決して許されることでは……」
美琴「今度は失敗しないように、私がしっかり監督するから、ね?」
上条「……御坂がそこまで言うなら」ヤレヤレ
美琴「やった! インデックスも今度はちゃんとレシピ通りに作るんだからね?」
禁書「うん……ありがとう、みこと」
美琴「友達なんだから当たり前でしょ? それより、あの物体Xを処分しないと…」
ステイル「ちょっと待ったぁぁーーーーーーーーーー!!!」ガチャ
上条「ステイル!?」
禁書「もうバイトは終わったのかな?」
ステイル「話は土御門から聞いている。インデックスの手料理を食べれるんだってね!」
美琴「え、食べるの?」
ステイル「当然だ!! 僕だって彼女の手料理を味わってみたいんだ!!」
上条「ステイル、お前……」
ステイル「止めてくれるな! 以前にも言ったろう。例え生ゴミ以下のシロモノでも、僕は恐れずに食べると!!」キリッ
禁書「……少し嬉しいけど、激しく傷つくんだよ」ホロリ
CASE 356 雨の日スペシャル
美琴「ねぇねぇ!」
上条「しっ! 今は黙って見守ろう」
美琴「だ、大丈夫かしら……?」
禁書「はい、召し上がれ♪」
物体X『』ズモモモ グチョグチャ
ステイル「」
上琴「「なんか進化してるぅぅーーーーーーーーー!?」」ガビーン
ステイル「……(こ、これは想像以上だ。皿の中がカオスと化しているッ!?)」
ステイル「……(これを完食するには、未知へと立ち向かう『勇気』)」
ステイル「……(全てを受け入れる『寛容さ』。正しく完食へと筋道を立てる『知識』)」
ステイル「……(決して諦めない『根気』。そしてなにより彼女への『愛情』。それら全てが最高水準で必要になるだろう)」チラッ
禁書「…………」ドキドキ
ステイル「……(上条当麻は一口で沈んだらしい。悔しいが彼のインデックスに向ける愛情は疑いようがない。その彼をもってしても…)」
ステイル「……(違う! そうじゃないだろうステイル=マグヌス!! 彼女のために生きて死ぬ、覚悟はあるはずだ!!)」パクッ!
上琴「「逝ったーーーーーーーーーーーー!?」」
禁書「二人ともうるさいんだよ!」プンスカ
ステイル「…………」モグモグ
禁書「ど、どうかな?」
ステイル「…………」ゴックン
禁書「…………」ドキドキ
ステイル「インデックス、君はすごいね」
禁書「おいしかったの!?」
ステイル「キミなら……最高の……キリング・シェフになれる……ぐはあっ!?」オロロロ
禁書「殺人シェフなんてあんまりかも!?」ガビーン
ステイル「カレーなのに生臭いってどうなんだい……」ガクリ
上条「残念だが当然、ステイルらしい最期といえる」ナム
美琴「飲み込んだだけでも立派だと思う……」
CASE 357 そうめん流し
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「そうめん流しをしましょう!」
禁書「さんせー!」
上条「普通のそうめんでいいだろ。第一竹なんて何処にも…」
ステイル「こんなこともあろうかと、竹なら既に確保している」デデン
上条「マジで!?」ガビーン
禁書「流石は英国紳士かも!」
土御門「……夏休みを禁書目録と楽しく過ごすためにって、あらゆる準備をしてる様なヤツだにゃー」ヤレヤレ
ステイル「なっ!?///」カァァ
禁書「ステイルはお気遣い紳士なんだね♪」キラキラ
ステイル「あ、あらゆる状況を想定して、準備を怠らないのが一流の魔術師だから当然さ///」テレテレ
舞夏「上条当麻たちは、竹を割って流し台を準備してもらっていいかー?」
上条「りょーかい!」
CASE 358 並び順
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「……この並び順はおかしくない?」
禁書「そーめん♪ そーめん♪」1
美琴「大丈夫かな……?」2
ステイル「中々風流だね」3
土御門「これは……」4
上条「一口も食べれる気がしない……」5
舞夏「それじゃあ流すぞー」
CASE 359 開始直後にラスボス
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「全然そうめんが流れてこないの……私、二番目なのに……」ショボーン
上条「原因はやっぱり……」チラッ
舞夏「行くぞー」チャプン
禁書「頂くんだよっ!」チュルリン
舞夏「ほい、次ー」チャプン
禁書「なんの!」チュルリン
舞夏「どんどんいけー」チャプン
禁書「まだまだ余裕かも!」チュルリン
舞夏「そらそらー」チャプン
禁書「ここは抜かせないんだよ!」チュルリン
上条「……わんこソバみたいになってやがる」ゲンナリ
土御門「明らかな配置ミスだぜい……」
ステイル「いいじゃないか。僕は満足だよ」ニコニコ
美琴「インデックスー! ちょっとは手加減しなさいよー!」プンスカ
CASE 360 選手交代
禁書「流石にもう食べられないかも……」ケプッ
舞夏「そろそろ流し役を交代してもらえるかー?」
禁書「任せてほしいんだよ!」チャプン
美琴「ん、おいし♪」チュルチュル
舞夏「おいしいなー♪」チュルチュル
ステイル「うん、美味しいね」ズズー
土御門「普通に食べるより、うまく感じるぜよ」ズズー
上条「こねーよ!? 上条さんのトコまで流れてこねーよ!?」ガビーン
土御門「相変わらずだにゃー、カミやんは」ヤレヤレ
上条「ああもうっ、不幸だーーーーーーーーーーー!!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
上条「信じられない事が起きた。そうめん流しが始まったと思ったら、一口も食べれずに終わっていた……」ズーン
美琴「そんなに落ちこまないでよ」
上条「んなこと言ったって……」
美琴「はい、どうぞ♪」スッ
上条「おおっ!! これは全滅したはずのそうめん!?」
美琴「えへへ、こうなるんじゃないかなーって、最初に分けておいたの」
上条「み、御坂ぁ……」ジーン
美琴「お腹すいてるでしょ? 食べて食べて♪」
上条「ううっ、感動のあまり、涙でそうめんが見えねえ……」チュルチュル
といったところで今回は終了
まさかの2スレ目ですが、今後ともよろしくですー
ペルソナいいっすねー、菜々子とクマが可愛いってなわけで投下ー
CASE 361 転倒
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「あそこにアイスクリーム屋さんができてるわ!」
禁書「昨日まで無かったのに!?」
上条「移動式のお店なんだろ。食べたいのか?」
電磁目録「「うん♪」」テッテッテ
上条「慌てて走ると危ないぞー」ヤレヤレ
禁書「平気なんだよ!」テッテッテ
美琴「小さな子供じゃないんだし、お兄ちゃんは心配性なんだからッ、きゃっ!?」コケッ ボキッ!!
禁書「みこと!?」
美琴「~~~~~~~~ッッ!!!」ズキズキ
上条「御坂っ!!」ササッ
禁書「大丈夫!? ケ、ケガは……ッ!?」ギョッ!?
美琴「へ、平気よ……ちょっと痛いけど、手で顔を庇ったから」ズキズキ
上条「ッ!? すぐに病院へ……ここからなら救急車より直接運んだ方が早いな!」ヒョイ
美琴「きゃあ!?///」
上条「なるべく揺らさないようにするから、少しだけ我慢してくれよ!!」ダダッ
美琴「おおおお姫様だっこ!?///」アウアウ
上条「なに呑気に構えてんだよ! お前、手が折れてるぞ!!」タッタッタ
美琴「え……」プラーン
CASE 362 骨折
美琴「ねぇねぇ……」
上条「はいはい、もう大丈夫だからな」ナデナデ
美琴「うう、痛い……痛いよぅ……」メソメソ
禁書「やっぱり折れてるの?」
冥土帰し「うん、綺麗にぽっきり折れているね?」
禁書「どのくらいで完治するのかな?」
冥土帰し「普通、骨がくっつくまでの固定が二カ月、完治まで更にもう一カ月はかかるね?」
美琴「海は? プールは? 夏祭りはどうなるの……」ズーン
上条「右手が折れてるからな。残念だけど……」
美琴「そんなぁ……」グッスン
上条「先生、何とかなりませんか?」
冥土帰し「僕を誰だと思っている? 普通なんて常識は、僕に適用されない」
CASE 363 入院
美琴「ねぇねぇ!」
上条「ああっ!? こ、こら! 大人しくしてなさい!」メッ
禁書「そうだよみこと。動かしたりしたら、治りが遅くなっちゃう」
美琴「そうだけど……暇なんだもん」ブーブー
上条「家まで入院グッズを取りに帰るから、御坂が無茶しないように見張っててくれな?」
禁書「任せて!」
美琴「あっ、ゲコ太のぬいぐるみも持ってきて!」
上条「はいはい」クスッ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
美琴「全治一週間かぁ……」
禁書「学園都市の技術はすごいね」
美琴「魔術はもっと便利なんじゃないの? こう……ピカーっと光ったらケガが治ったりして」
禁書「そこまで万能じゃないんだよ」クスクス
美琴「ちぇー」
禁書「一週間の辛抱だよ。イベント目白押しなんだから、ちゃんと治しておかないとね」
美琴「はぁーい」
CASE 364 個室
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「私、入院しないとダメなのよね?」
上条「特別な治療法で、入院は必須らしいからな」
美琴「お兄ちゃんたちは家に帰るのよね……?」ションボリ
禁書「毎日お見舞いに来るから安心して?」
上条「学校が終わったらすぐに来るから、そんな悲しそうな顔すんなって」ナデナデ
美琴「うん……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
夜――
看護師「消灯時間だから電気を消すわね?」
美琴「はい」
看護師「寝返りを打たないように気をつけてね」pi
シーン……
美琴「真っ暗ね……。まだ眠くないし暇だよ、ゲコ太ぁ~」ジタバタ
ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ
美琴「足音……看護師の人かしら?」ハテ?
ペタ、ペタ、ペタ
美琴「この部屋の前で止まった……?」
CASE 365 アンビリーバボー
美琴「…………」
シーン……
美琴「あ、あれ? 誰も入ってこない……部屋の前に誰か居るはずなのに」
シーン……
美琴「……うぅっ、何だか怖くなってきちゃった。お兄ちゃん……インデックスぅ……」ウルッ
御坂妹「このヘタレ」
美琴「きゃああーーーー!? お、おばっ、お化けーーーーーーー!?」ギャース
御坂妹「失敬な。こんなに可愛いお化けが居てたまりますか、とミサカは憤慨します」
美琴「ふぇ……?」
御坂妹「しかしサプライズお見舞いは大成功です、とミサカはお姉さまの間抜けヅラに満足しました」ニヘラ
美琴「ア、アンタねえ……」プルプル
御坂妹「病院で無様に泣かれてはミサカの沽券に関わるので、今日だけはここで就寝します、とミサカは簡易ベッドを運び込みます」
美琴「一緒に寝てくれるの!?」
御坂妹「……あの人に頼まれては断れませんから、とミサカは顔を赤らめながら呟きます」
美琴「わぁーい、やったー、バンザーイ♪」キャッホゥ!!
御坂妹「…………」クスッ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
上条「心配だ……。御坂は怖がったりしてないかな」ウロウロ
禁書「だからクールビューティーに頼んだんでしょ?」
上条「最善手は打った。けど心配なもんは心配なんです! 夜の病院ってマジで怖いんだぞ」
禁書「……そう言われてみると、なんだか心配になってきたかも」オロオロ
上条「と、とりあえず携帯は肌身離さずチェックしておこう」
CASE 366 魔法少女、再臨
美琴「ねぇねぇ!」
禁書「なにかな?」
美琴「カラダを拭いてもらっていい? 昨日はお風呂に入れなかったのよねー」
禁書「お安い御用なんだよ。お湯をもらってくるから、ちょっと待ってて」トテトテ
美琴「……暇だし、服を脱いで準備してよっと」
シュルシュル
美琴「んんー? 片手が塞がってると、思うように…………うんしょっと、よし、脱げた!」
ガラガラ
黒子「ぅお姉様あああああああああああ!!! 入院されたと聞き、飛んでまいりました……わ?」
美琴「げっ」
黒子「ここ、これはぁぁ!? お姉様の艶めかしい裸体が露わにぃぃーーー!?」プシューー!!
美琴「ちょ、鼻血が!?」ガビーン
黒子「ぐへへへ……据え膳食わぬは淑女の恥ですの」ニギニギ
美琴「この……ッ!!」ビリビリ
黒子「あらお姉様、病院内での能力使用は拙いのではなくって?」ニヤリ
美琴「くっ……」
黒子「千載一遇のチャンス、遠慮はしませんわぁーーー!!!」
ガラガラ
禁書「そこまでなんだよっ!!」デデン
CASE 367 凛々狩る
美琴「インデックス!」パァァ
禁書「私が来たからにはもう安心なんだよ」ニコッ
黒子「フフン、たかがシスターの一人、風紀委員のわたくしの障害にはなりませんの」ニヤリ
禁書「忠告は一度だよ。心を入れ替えてお見舞いするならよし。それが出来ないって言うなら……」
黒子「なんだと言いますの?」
禁書「リリカル☆トカレフ☆キルゼムオール」ゴゴゴ
黒子「こ、このプレッシャーは!?」
禁書「超能力など花拳繍腿、サブミッションこそ王者の技よ」ニッコリ
黒子「殺らなければ殺られるッ!? ですのにカラダが動かない!?」ガクブル
禁書「カラダは正直なんだよ。天敵と相対したとき、原初の本能が理性を凌駕するでしょう?」
黒子「ええいっ!! 黒子、何故動きませんの!?」アセアセ
禁書「ひと思いに意識を狩ってあげる」
黒子「ひょえ!?」ガシッ
禁書「シスターチキンウイングフェイスロック!!!」グググ
黒子「ぎゃあああーーーーーー!? タップタップタップですのォォォーーーーー!?」メキメキメキ
美琴「あわわわ……」ガクブル
CASE 368 友情は見返りを求めない!
美琴「ね、ねぇ……」
黒子「どうかされましたの、お姉様?」
美琴「スゴイ音がしてたけど大丈夫……?」
黒子「はい、絶妙な手加減を加えていたようで、何ともありませんわ」
禁書「シスターは無暗に人を傷つけないんだよ」エッヘン
黒子「その志は風紀委員にも通じますのよ」ウンウン
禁書「くろこみたいな誇り高いジャッジメントがいれば、学園都市の平和に不安はないかも」ニコニコ
黒子「……わたくしなど、まだまだですの///」テレテレ
美琴「不思議な友情が芽生えてる……」ポカーン
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
美琴「黒子は風紀委員の仕事で帰っちゃったし、急に静かになったわね」
禁書「確かにそうかも」クスッ
ガラガラ
佐天「御っ坂さぁぁーーーーーーーーーーーーん!!!」ドタバタ
美琴「わっ、慌ててどうしたの?」
佐天「はい、これお見舞いの品です。って聞いてくださいよ!?」アタフタ
禁書「お、落ち着いて?」
佐天「留年ですよ留年!? これが落ち着いてられるかってんのよ!!」ギャース
美琴「えっと、話が見えないんだけど……」
佐天「期末で赤点パーティーで課題で留年なんだよぉぉ……」シクシク
美琴「……期末考査で赤点を大量に取ったから、ペナルティーの課題をこなさないと、留年しちゃう助けて?」
佐天「御坂さんだけが頼りなんです~~~」ウルウル
美琴「あはは、大げさねぇ」
禁書「とうまは大丈夫なのかな……?」
CASE 369 向上心
小萌「今から期末テストを返却しまーす」
番外個体「問題のレベルが低すぎて楽勝だったぜー。あ、あなたには難しかったかもだけどー」チラチラ
上条「……(早く終われ早く終われ早く終われ早く終われ早く終われ早く終われ)」ゴゴゴ
一方通行「……(今日はまずシャンプーをして、それからブラッシングを念入りに……)」ニッコニコ
番外個体「なんつー分かり易さだろうね……」ゲンナリ
土御門「カミやんの気持ちは痛いほど分かるぜよ。最愛の妹の元へ飛んでいきたいに違いないにゃー」ウンウン
青ピ「素敵な笑顔や……。この胸の高鳴りはなんなん?///」ポケー
土御門「気の迷いですたい」ヤレヤレ
小萌「返却された人から下校してくださいねー。因みに成績順で返しますからそのつもりでお願いしまーす」
クラス一同「「「「「うげぇー……」」」」」
小萌「まずは全科目満点で学年一位の一方通行ちゃんでーす。みなさん拍手なのです」スッ
一方通行「どォも」パシッ ピューーーー!!
クラス一同「「「「「……(何をあんなに急いでるんだろう?)」」」」」ハテ?
小萌「次は学年二位の番外個体ちゃんでーす。ワンツーフィニッシュなんて先生は鼻が高いのですよー」スッ
番外個体「ま、当然だね(上条当麻はどうせビリだろうから、廊下で待ってよっと)」
小萌「次は学年十三位の上条ちゃんでーす。とっても頑張りましたねー。開発は相変わらずですが、補って余りある結果なのですよー」スッ
上条「先生サンキュー!」パシッ タッタッタ
クラス一同「「「「「上条がクラスで三番目……だと……?」」」」」
番外個体「あっ、待ってよ!? ミサカもおねーたまのお見舞いに行くってばー!!」タッタッタ
CASE 370 お見舞い
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「とっても賑やかね」ニコニコ
佐天「いとおかし……糸っぽいお菓子のこと?」
禁書「『いと』は大変や大層、『おかし』は趣のある様って意味なんだよ」
佐天「な、なるほどなー」カキカキ
御坂妹「ファーストキスはレモン味でしたか? とミサカは絶対零度の視線を末の妹に送ります」ジトー
番外個体「子供ハミガキの味がしたよ……///」テレテレ
御坂妹「…………」イライライラ
番外個体「ちょ、悪意が一気に膨らんで……いたたたたっ!?」ズキズキズキ
上条「白井もお見舞いに来てくれたんだろ? 良かったな」ナデナデ
美琴「うん♪」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
スフィンクス「にゃーん?」
一方通行「シスターたちが居なくても、俺がキッチリ世話するから心配いらねェ」ナデナデ
スフィンクス「にゃあー♪」スリスリ
一方通行「時間はたっぷりあるからなァ。今日は念入りにトリミングしてやンよ♪」ニコニコ
といったところで今回は終了
何週間ぶりかの祭日はありがたいですねー
誘導を考えてなかったのは私のミスです。マジですみません
不満もありましょうが、ここは寛大な御心でお許しくださいませ。
謝罪と投下を要求……じゃなくって開始ー
CASE 371 退院
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、退院おめでとうな」
禁書「おめでとー♪」
美琴「うん、ありがと///」テレテレ
上条「手続きも済んだし、部屋を引き払う準備はできてるか?」
禁書「忘れ物はないかな?」
美琴「昨日の内にまとめてるから大丈夫よ」
上条「そんじゃ荷物は俺が持つから、リハビリも兼ねてゆっくり歩いて帰ろうな」
美琴「うん♪ 一週間ぶりの我が家かぁ……なんだか新鮮で楽しみ♪」ルンルン
禁書「ふふ、特に変わり映えはしないと思うよ?」クスクス
美琴「そんな事ないわよー。ゲコ太グッズに囲まれて暮らせるありがた味を思い知ったもん」
幻想目録「「…………」」ギクッ
CASE 372 模様替え
美琴「たっだいまー♪」ガチャ
上条「た、ただいま帰りましたよっと」
禁書「の、のどが渇いたから麦茶淹れるね!」パタパタ
美琴「あれ? なんか雰囲気が違う……。模様替えしたの?」ハテ?
上条「あ、ああ。夏だし涼しげな感じにちょいちょいと」
美琴「ふ~ん……あ、手洗いとうがいをしなくっちゃ!」パタパタ
上条「……セーフか?」ホッ
美琴「ああ~~~~~~~~~~!!!!」ギャース
上条「アウトか……」ガックリ
美琴「ちょっとどういうこと!? ゲコ太グッズが一つもないんだけど!?」パタパタ
上条「その……景観といいますか、両生類が暑苦しいと申しますか……撤去しました」
美琴「そんなっ!?」ガビーン
禁書「はい、麦茶なんだよ」コトッ
美琴「……インデックスもグルなの?」
禁書「わ、私は反対したんだよ!? でもとうまが……」チラッ
美琴「おーにーいーちゃーんー?」ニッコリ
上条「ご、誤解すんなよ!? お兄ちゃんは御坂の成長を願って、断腸の思いで…」オロオロ
美琴「元に戻して」
上条「いや、だから…」
美琴「今すぐ元に戻しなさぁーーーーーーーーーーい!!!!!」ガァァ
上条「……イエス、マイシスター」ゲンナリ
CASE 373 CM
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ? っつーか緑が目に痛い……」
美琴「ピョン子はピンクよ?」
上条「……そうですね」ガックリ
テレビ『ジュネスは毎日がお客様感謝デー。来て、見て、触れてください』
テレビ『エヴリディ・ヤングライフ! ジュネス!』
禁書「エヴリディ・ヤングライフ♪ ジュネス♪」キャッキャ
上条「イ、インデックスさん……?」プルプル
美琴「CMのものまね……上手ね……っ」プルプル
禁書「……あっ///」カァァ
CASE 374 中毒性
上条「ふぃー、いい湯だった」ホカホカ
テレビ『エヴリディ・ヤングライフ! ジュネス!』
電磁目録「「エヴリディ・ヤングライフ♪ ジュネス♪」」キャッキャ
上条「……お、お前ら、何して…ぷふっ、くくく、あっはははははは!!!」ゲラゲラ
美琴「あっ///」カァァ
禁書「あ、あのコマーシャルには抗えない魔力があるのかも……///」テレテレ
CASE 375 洗脳完了
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
禁書「月末にジュネスが学園都市に出店するんだよ!」
美琴「行ってみようよ、ねぇ!」ユッサユッサ
上条「そうだな、食品なんかも安売りしてるみたいだし、オープンしたら行ってみるか」
禁書「やったー♪」
テレビ『エヴリディ・ヤングライフ! ジュネス!』
上琴目録「「「エヴリディ・ヤングライフ♪ ジュネス♪」」」キャッキャ
禁書「名物ビフテキが楽しみかも!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
テレビ『エヴリディ・ヤングライフ! ジュネス!』
番外個体「エヴリディ・ヤングライフ♪ ジュネス♪ ……なんつってね」ニコニコ
芳川「…………」
番外個体「あ……」
芳川「あなたも可愛いトコあるのね」プークスクス
番外個体「ち、ちがっ!? ミサカはクラスであの人がやってたからつい……ってそれも違う!?///」ギャース
CASE 376 MCS
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「期末テストは大丈夫だった?」
禁書「また赤点パーティーは……さすがにないよね?」
上条「フッフッフ、開発以外は九割オーバーの好成績を収めました!!」エッヘン
美琴「へぇー、凄いじゃない!」パチパチ
禁書「努力が実を結んだんだね」
上条「それだけじゃねーよ。全てはMCSのおかげだ」
禁書「MCS?」ハテ?
上条「Mikoto・Cheer・System の略だ」デデン
美琴「……なにそれ?」
CASE 377 セルフ・リミットブレイク
回想――
上条「ハァ……またケアミスで赤点取っちまうのかなぁ」ゲンナリ
美琴「お兄ちゃん頑張って! やる前から諦めちゃダメよ」
上条「おう、任せろ!」シャキーン
美琴「その意気よ!」
上条「……ハッ!? こ、これは使えるかも……」ピコーン!
美琴「どうかしたの?」
上条「御坂っ!! 頼みがある!」ズズイ
美琴「ふにゃあ!?///」ドッキーン
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
上条「んで、携帯に録音したコイツを試験直前に聴くとだな」ポチッ
『お兄ちゃん頑張って!』
上条「うおおおおおおっ!!! 漲ってきたぜぇぇーーーーー!!!」シャキーン!!
禁書「すごい……! とうまの気迫が尋常じゃないんだよ!?」
美琴「は、恥ずかしぃぃ……///」テレテレ
禁書「呆れるほどアホだけど、効果は絶大かも……」ゴクリ
CASE 378 散髪
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「なんか髪の毛が伸びた気がするんだけど」
禁書「ほんとだ。とうまのツンツンが2cmくらい長いんだよ」
上条「あー、確かに最近床屋に行ってないな」
美琴「私が切ってあげよっか?」
上条「マジで!?」
美琴「うん、長さを整えるだけなら簡単よ」
上条「じゃあ頼もうかな。いやー、御坂に散髪してもらえるなんて、お兄ちゃん感激ですよ」ニコニコ
禁書「ハサミと櫛を持ってくるね」テッテッテ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
美琴「お兄ちゃんの髪って、意外にサラサラよねー」チョキチョキ
上条「そうか?」
美琴「そうよ、普段はウニの棘みたいだもん」チョキチョキ
上条「はは、いつもは整髪料で立ててるもんな」
美琴「知ってるわよ。毎朝無駄に時間かけてセットしてるし」チョキチョキ
上条「無駄は酷いだろ……てか気持ちよくて、何だか眠い……」ウトウト
美琴「こら! 動いたら危な……あっ」チョキチョキザクッ!!
禁書「み、みこと? 切り過ぎじゃないのかな……?」
CASE 379 髪は死んだ
美琴「ま、まだ平気よ。反対側も同じ長さに…」チョキチョキ
上条「…………」カクン
美琴「…すれば」チョキチョキザクッ!!
禁書「わわっ、反対側はもっと短くなったんだよ!?」ガビーン
美琴「どどどどうしようー!?」オロオロ
禁書「残念だけど、一番短いところに合わせるしかないと思う」
美琴「や、やってみる」チョキチョキ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
上条「…………」ツルリーン☆
美琴「ねぇねぇどうしよう!? お兄ちゃんの髪が大変なことに……ッ!?」ギャース
禁書「~~~~~~~~~ッッ///」プルプル
CASE 380 オルタナティブ
禁書「時間を戻せない以上、代替案が必要なんだよ」
美琴「……代替案?」ションボリ
禁書「私はカエル顔のお医者さんに頼むのが無難かなって思うんだよ」
美琴「また変な薬を飲ませるの!?」
禁書「でも、あのままよりは……」チラッ
上条「…………」ツルリーン☆
禁書「ま、ま、マシなんじゃ…ぷぷっ///」プルプル
美琴「笑い事じゃないわよ!?」
禁書「こほんっ……魔術は基本的にとうまには効かないし、ここは科学の力に縋るしかないかも」
美琴「だったら木山先生に…………ダメだ、不安しか感じない」
禁書「とうまが目を覚ますまで時間がないんだよ」
美琴「うう、どっちに頼むのが正解なの……?」
といったところで今回は終了。前スレに引き続き次回の展開アンケートをお願いします
A.安定の冥土帰し頼み
B.助けて、木山先生!!
締め切りは今日いっぱいでよろしくですー
SAOおもしろい……ってなわけで投下ー
CASE 381 脱ぎ女
美琴「木山先生っ!!」バンッ
木山「なんだ騒々しい……おや、君は」
美琴「何も聞かずに来てください!」グイグイ
木山「強引だな」ズルズル
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
上条「…………」ツルリーン☆
木山「とても涼しげだな」
美琴「涼しげじゃ困るのよ……」ションボリ
禁書「科学の力でどうにか出来ないのかな?」
木山「手段を選ばなければ可能だろうが……ここに来るまで走らされたから、少し暑いな」シュルシュル パサッ
禁書「どうして服を脱いでるの!?」ガビーン
美琴「クーラーの温度を下げるから服を着てーーー!?」pipipi
CASE 382 解決策
美琴「はぁ……相変わらずマイペースなんだから」ゲンナリ
木山「解決策は大別して二つある」
禁書「二つも?」
木山「一つ目は物理的に頭髪を再生する場合だ。これは私の研究分野と異なるから、他の研究者の協力が前提になる」
美琴「……もしかしてゲコ太先生?」
木山「そうなるな。彼は非常に優秀な医師であり研究者だ。解決法の一ダース程度、捻り出すのはわけないだろう」
禁書「うーん、またとうまが凶暴になられても困るんだよ」
美琴「もう一つのプランは?」
木山「君は私の研究成果を知っているはずだ。察しはつくんじゃないか?」
美琴「幻想御手……脳科学……もしかして」ムムム
木山「人間の認識なんて曖昧なものさ。脳を少し弄って、最初からハゲだったと認識させればいい」クスッ
禁書「なんだか怖いこと言いだしたんだよ!?」ガビーン
CASE 383 ハゲ
美琴「ハゲのままなんてダメに決まってるでしょーが!!」ガァァ
木山「面倒くさいな。いっそごはんですよを髪として擬態させるか……」
禁書「頭が磯臭くなっちゃうかも!?」
木山「だったら発想の転換だ。キミたちの脳を弄って、無類のハゲ好きにすれば……」
美琴「脳を弄るって発想を転換しなさいよ!?」ガビーン
木山「……これだから子供は嫌いだ」
美琴「ああもう! どーすりゃいいのよー!?」
上条「んん……なんだよ」
電磁目録「「目を覚ましちゃったーーーーーー!?」」ギャース
木山「やあ、久しぶりだね。その節は世話になった」
上条「えっと……お久しぶりです」オズオズ
美琴「ももも、もう少し寝てたらどうかしら! ほら、まだ夜だし!」アセアセ
上条「いやお客さんが来てるのに、そういうわけには……あれ? 妙に頭が涼しく感じる」ハテ?
美琴「きき気のせいでしょ!? きっとお兄ちゃん、疲れてんのよ!」
上条「そうなのかな……あ」ポリポリ
禁書「……(髪の毛無いのに頭掻いちゃったーーーーーーーーーーー!?)」ガビーン
CASE 384 カミキリムシ
美琴「ね、ねぇねぇ」
上条「な……無い。上条さん自慢のツンツンヘアーが何処にも無い!?」ツルリーン☆
美琴「あ、あのね? わ、私がお兄ちゃんの髪を…」オズオズ
上条「ちくしょー!! 人が寝てる隙に髪を根こそぎ刈り取るなんて、人間のやることかよ!?」ガァァ
美琴「あう……」ションボリ
上条「絶対に許さねえ……ッ!! 見つけたらぶっ飛ばしてやる!!」ムカムカ
美琴「…………」
上条「御坂っ!」
美琴「ひゃい!?」ビクッ
上条「犯人を見なかったか? 部屋の中に侵入してからの犯行だし、気付かないとも思えねえ」
美琴「え、えっと……」
上条「言いにくいヤツなのか? ……まさか透明になる能力者の仕業!?」
美琴「そ、そうなのよ。こっそり髪の毛を切る、怪人カミキリムシが切っていったの!」デデン
上条「マジかよ、怖ぇ……」
美琴「…………」アセアセ
上条「けど良かったぜ」
美琴「な、なにが?」
上条「被害に遭ったのが俺で本当に良かったよ。もし御坂とインデックスだったらって思うと悔やみきれなかった」ニコッ
美琴「うぐっ……」ズキッ
禁書「もう、下手なウソなんて吐くから良心が痛むんだよ」ヤレヤレ
木山「困ったものだ」
CASE 385 クライアント
木山「キミは上条君だったか?」
上条「はい、そうですけど」
木山「赤の他人なら放っておくところだが、君には以前借りを作ったままだったな」
上条「ど、どうだったかなぁ」アセアセ
木山「私自身にキミの髪を元に戻す手段は無い。だが機会を提示することは出来る」
上条「機会、ですか?」
木山「そうだ。今現在、私が開発に携わっている とあるMMORPGに参加して自力でクリアしてもらいたいんだ」
上条「ゲームをクリアするのと髪の毛に何の因果関係があるってんだ……?」
木山「最速クリアを果たしたプレイヤーには、クライアントが何でも一つだけ願いを叶えられる権利を与えるそうだ」
上条「何でもって……」
美琴「いくらなんでも大げさじゃない?」
木山「そうでもないさ。なにせそのクライアントとは学園都市統括理事長だからね」
上琴「「!?」」
禁書「私やみことも参加できるのかな?」
木山「もちろん可能さ」
美琴「な、何言ってんのよ!? そんなのダメに決まってんでしょ!」
上条「……確かに統括理事長ってーと、碌なイメージがないもんな」
禁書「虎穴に入らずんば虎子を得ずなんだよ」
美琴「でも…」
禁書「統括理事長がどんな人かは知らないけど、美琴が頼った先生なら信じられるよ」ニコッ
上条「それは……そうだな」ウン
美琴「……大丈夫かしら」
木山「話は決まったようだな。では私のラボについてきてくれ」
CASE 386 MMORPG
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「MMORPGってなに?」ハテ?
上条「なんて説明すればいいのか、う~ん……?」
禁書「大規模多人数同時参加型オンラインRPGのこと。アバターを作って仮想世界を冒険するんだよ」スラスラ
美琴「へぇー、詳しいのね」
禁書「みこと達が学校に行ってる間に、ステイルとハマってたから当然かも」エッヘン
上条「ニート魔術師で、そのうえネトゲ廃人だったなんて……」oh
禁書「そこまで酷くないんだよ!?」ガビーン
木山「うちのラボはどうしてこんなに暑いのだろう……」シュルシュル
禁書「また脱いでるーー!?」
上条「ええっ!?///」チラチラ
美琴「チラ見すんな!」プンスカ
CASE 387 βテスター
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「これがパッケージみたいだけど、SMOって何の略かしら?」
禁書「サイエンス&マジック・オンライン!?」
木山「ほう、知ってるとは意外だな」
禁書「知ってるも何も、この前までβテスターをしてたんだよ!」
木山「経験者か……。なら餞別代りにβ版で作成したPCを製品版にコンバートしてあげよう」カタカタカタカタ
禁書「やった! それなら随分攻略が楽になるかも」パァァ
木山「ここにアカウントを入力してくれ」
禁書「はーい」カタカタカタカタ
木山「ふむ、魔術師 Lv.28とはやり込んでいるようだ。……うん? 『自動書記(ヨハネのペン)』……ユニークスキルまで所持しているのか」
禁書「ふっふーん、ステイルも羨む魔術師垂涎のレアスキルなんだよ」フフン
木山「これは興味深い」ムムム
上条「……完全に置いてけぼりなんですが」ゲンナリ
美琴「サッパリ分かんないわ」
CASE 388 キャラメイク
木山「待たせたね。それではキミたちのアバターを作成しよう」
美琴「アバター……化身?」ハテ?
木山「SMOは仮想の学園都市を舞台にしたMMORPGなんだ。仮想といっても五感全てをリンクさせるから、プレイヤーにとっては現実と変わらない」
禁書「だから現実との齟齬を減らすために、自分とそっくりなアバターを使って遊ぶんだよ」
上条「本格的だなぁ」
木山「見た目だけではないよ。ゲーム内での職業やスキルも現実に即してある」
禁書「私とステイルは魔術師だったんだよ」
上条「……(学園都市が舞台なのに魔術師……? なんかキナ臭くなってきたぞ)」
木山「まずはこのヘッドギアをかぶってくれ」スッ
美琴「うわ、だっさいわねー」
木山「機能性重視で設計したからな。これでも学習装置(テスタメント)の技術を流用した最新機器なのだがね」
美琴「…………」
上条「どれどれ……おお、ジャストフィット!」スポッ
美琴「……(学習装置か……。あれから一年も経つのよね)」スポッ
木山「ではアバター作成に取り掛かる」カタカタカタ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
木山「御坂君はやはり『超電磁砲(レールガン)』か。発電系能力では最強の一角だな」
美琴「うーん、変わり映えしないわねぇ」
禁書「とうまは? 一応能力者のはずなんだけど……」
上条「もしかして幻想殺しのせいで発現しなかった、上条さんの真の能力がついに…」ワクワク
木山「上条君は『思念使い(マテリアライズ)』。精神系能力にカテゴリされる、読心や洗脳に精通した能力のようだ」
美琴「地味ね」
禁書「地味なんだよ」
上条「……ちくしょう、どうせ上条さんは地味系能力者ですよーだ」ションボリ
CASE 389 ログイン
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「やるからには絶対にクリアするからね。気合い入れていくわよー!」
禁書「任せてほしいんだよ!」
上条「んじゃ部屋に帰って始めるとすっか」
木山「待て、ここでプレイするといい。人数分の機材を用意するのも大変だろう?」
上条「いいんですか?」
木山「ああ、構わない。長くても二日程度でクリア出来るだろうからね」
禁書「え」
木山「β版と違い、ゲーム中の主観時間は現実の365倍速で設定しているんだ。フフ、学園都市としてもネトゲ廃人なんて遠慮したいんだろう」クスッ
禁書「……は、廃人じゃないもん///」プイッ
美琴「一年が一日、つまり攻略には主観時間で二年もかかるってわけか」フム
木山「攻略以外にも様々な要素を盛り込んであるから退屈はしないだろう」
上条「へぇ、どんな?」
木山「ギルド……まあ組織を結成したり、好きなプレイヤー同士で結婚できたり色々だ」
美琴「けけけ、結婚!?///」カァァ
上条「なんだとっ!! 可愛い御坂は誰にも渡さん!!」ガタッ
美琴「……///」モジモジ
禁書「はいはい、さっさとログインするんだよ」ヤレヤレ
木山「バーチャルとはいえ限りなくリアルな世界だ。存分に楽しんでくるといい」ニヤリ
CASE 390 ゲームスタート
ミコト「ねぇねぇ!」
トウマ「はいはい、今度はなんだ……って髪がある!? 上条さんのツンツンヘアーが復活してる!」パァァ
イン「ここは現実じゃないからね。在りし日のとうまを再現してくれるんだよ」
上条「故人みたいに言わないで!?」ガビーン
ミコト「あ、あはは……」
イン「一見すると学園都市とまったく同じだけど、油断はしないで」キリッ
トウマ「どうしてだ?」ハテ?
イン「このゲームのメインクエストは、第七学区にある『窓のないビル』の第100階層にいるボスを撃破することなんだけど」
ミコト「けど?」
イン「ゲーム自体の自由度が高いのが曲者なんだよ。およそ考えつく限りのことが実行出来ちゃう……」
ミコト「え、それって」
イン「攻略そっちのけで犯罪行為に手を染めるプレイヤーが少なからず存在するんだよ」
トウマ「うげ、性質わりぃな」ゲンナリ
ミコト「ちょっと大丈夫なの? 私とお兄ちゃんはまだレベル1なのよ」オロオロ
イン「油断さえしなければ大丈夫かも。なんたって私がついてるからね!」フフン
トウマ「……かつてないほどインデックスが頼もしく見える」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
現実世界 某所――
アレイ☆「一万人目のログインを確認した。これよりゲームを開始しようと思うがいかがか?」
ローラ『よろしくてよ』
アレイ☆「フフフ、いみじくも幻想殺しや一方通行が参加しているわけだが、彼らは仮想世界の救世主足り得るかな?」
ローラ『禁書目録やステイルたちも参加しているにつき。面白くなりそうね』ニッコリ
といったところで今回は終了
これから数回は木山センセールートの展開が続く予定ですー
忘れてはいけない、これは上条さんのハゲを治すためのファンタジーであると!
では投下ー
CASE 391 初期レベル
仮想学園都市 第七学区――
ミコト「ねぇねぇ!」
トウマ「はいはい、今度はなんだ?」
ミコト「能力が超弱体化してるんだけどー!?」ピリリーン
トウマ「あっははは、なんだよそれ。静電気か?」
ミコト「笑い事じゃねーっつの! こんなんじゃマトモに戦えないわよ……」ションボリ
イン「地道にレベル上げするしかないんだよ」
ミコト「レールガンを使えるようになるのは何年後になるのかしら……?」トオイメ
トウマ「ふっふっふ、それに引き換え上条さんは平常通りですのことよ!!」
イン「えっ、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』まで実装されてるの?」
トウマ「そうみたいだぞ。ほら、ステータスのスキル欄に表示されてるし」
ミコト「お兄ちゃんばっかズルい……」ジトー
トウマ「コイツはきっと、この世界でも御坂を守るためにある力なんだ。だからそんなに拗ねんなよ」ナデナデ
ミコト「な、なら許す……///」テレテレ
イン「でも実戦でいきなり使うのは危ないから、ちょっと試してみよっか?」ペタペタペタ!
トウマ「イ、インデックスさん? 見覚えあるそのカードは…」ギョッ!?
イン「――灰は灰に――塵は塵に――吸血殺しの紅十字!!」ブンッ!!
ゴオオオオオオオオオォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
トウマ「なにその馬鹿デカイ炎剣、しかも二本も…ってぎゃああああああああああああああ!?」パキーン!!
ミコト「相変わらずふざけた能力よねぇ」スゲー
トウマ「いきなり何てことしやがるッ!!」プンスカ
CASE 392 PK
トウマ「こら、インデックス! もし幻想殺しで消せなかったらどうするつもりなんだ!」プンスカ
イン「大丈夫だよ。例え消し炭になったって蘇生アイテムで生き返せるから」シレッ
トウマ「そういう問題!?」ガビーン
ミコト「……(ちょっと前の自分をみてるみたいで恥ずかしい……///)」
イン「この世界は弱肉強食で容赦がないんだよ? 私はPKしないだけ優しい方かも」
トウマ「PK……?」
イン「別のプレイヤーを殺して所持品を強奪したり強さを誇示する人たちを、PK(プレイヤーキラー)って言うんだよ」
ミコト「そんなのが許されるの!?」
イン「そのためのジャッジメントとアンチスキルかも」
トウマ「でも現行犯逮捕なんて難しいだろ。マップを見る限り、マジで学園都市と同じ広さじゃねーか」
イン「フフン、そこは安心してほしいんだよ」
ミコト「どうして?」ハテ?
イン「みことたちの頭の上に表示されているマーカーを見て」
ミコト「フムフム、頭の上ね」▽グリーン
トウマ「マーカーって……あ、御坂の頭んとこにある緑色のヤツか?」
イン「うん、グリーンが一般プレイヤーを表してるの。それに対してPKや悪質なプレイヤーのマーカーはレッドだから誰でも見分けがつくんだよ」
ミコト「へぇー、それじゃあオレンジ色は?」
イン「オレンジは軽犯罪を犯したプレイヤー。盗みとか他のプレイヤーに攻撃をしかけたりとか色々あるけど、基本的に嫌われ者なんだよ」
上琴「「…………」」ササッ
イン「どうして露骨に距離をとるのかな!?」▼オレンジ
クロコ「風紀委員ですの!!」シュン!
CASE 393 ログアウト
クロコ「インデックスさん……シスターともあろう貴女が犯罪に手を染めるなんて」
イン「ご、誤解なんだよ!?」アセアセ
クロコ「事情は支部で伺います。ではお姉様、上条さん、ごきげんよう」シュン!
ミコト「インデックスが逮捕されちゃった……」ポカーン
トウマ「ま、まあ白井が一緒だし、あんまり心配いらないんじゃないか? ……つーか白井がゲームをしてるなんて意外だ」
ミコト「いや、むしろ心配なのは私たちなんだけど。あんな話を聞いたあとじゃあ……ねえ?」
トウマ「……お互い初心者だもんな」ガックリ
ミコト「少し時間をロスしちゃうけど、ログアウトしてインデックスが戻るのを待ったほうが良くない?」
トウマ「ん、そうだな」
ミコト「決まりね。えっと、メニューからログアウトを選んでっと…………あれ?」
トウマ「ログアウトの項目が無いぞ。どうなってんだ?」
ミコト「マニュアルには…………載ってない。もしかしてバグかしら?」
トウマ「おいおい、こんな致命的なバグなんて普通あり得ねえだろ……」
ミコト「ど、どうしよう」オロオロ
トウマ「ともかく風紀委員の支部に行こう。経験者のインデックスと合流するべきだ」
ミコト「そうね……え、なに、きゃあ!?」シュン!
トウマ「御坂っ!! クソッ、敵の攻撃か!? 突然消えるなんて……う、うおっ!?」シュン!
CASE 394 異常事態
仮想学園都市 窓のないビル前――
トウマ「くッ……ここは?」
ミコト「お兄ちゃん!」タッタッタ
トウマ「御坂! ……良かった、無事だったか」ホッ
ミコト「安心してる場合じゃないのよ、周りを見て」ヒソヒソ
トウマ「ん?」キョロキョロ
学生A「どうなってんだよ! 第十六学区に居たはずなのに、何でこんなトコに強制転移されるんだ!!」
学生B「ログアウト出来ないって、運営は何考えてるんだ!」
学生C「え、マジかよ」
学生D「……本当だ、ログアウトできない!?」
学生E「う、うそ……なんで」
トウマ「拙いな。加速度的に不安が広がってやがる」
ミコト「せめて私の能力が使えたら……」
トウマ「無いもの強請りしても仕方ねえよ。今は俺たちの置かれてる状況を把握しないと…」
アレイ★『やあ諸君、この度はSMOに参加頂きありがとう。私は学園都市統括理事長のアレイスター=クロウリーだ』
上琴「「!?」」
CASE 395 デスゲーム
ミコト「ね、ねぇ」
トウマ「ああ……多分アイツが黒幕だ」
アレイ★『この場に集められた一万人のSMOプレイヤーの諸君に告げる。今この時より、私と諸君らの闘争を開始する』
学生A「な、何言ってんだ」
学生B「サービス開始日だけの限定イベント……とか?」
アレイ★『このビルの100階層にいる私を撃破すれば諸君らの勝ちだ。達成したプレイヤーと所属するギルド全員の願いを叶えてやろう』
学生C「なんだ、やっぱりイベントか」ホッ
学生D「でもログアウトできないのはなんで……?」
アレイ★『ただし諸君らには相応のリスクを背負ってもらう。気付いているプレイヤーもいるだろう? ログアウトは禁止させてもらった、つまり逃走は許可されない』
アレイ★『諸君らが私を滅するのが先か、私が諸君らを殲滅するのが先か。大いに楽しもうではないか』
学生E「んなモン、こっちが断然有利じゃないか。蘇生アイテムはいくらでも購入できるし、ボスは100階層固定だろ?」
学生F「しっかりレベル上げすりゃいつか勝てるもんな!」
学生G「それに今は夏休みだ。時間ならいくらでもあるぜ!」
アレイ★『簡単だと思うかね? ならば制限をかけさせて貰おう。まず一つ、この世界での死は現実世界に準ずる。つまり蘇生は出来ない』
アレイ★『二つ、現時刻から二年後、私はあらゆる制約から解放され諸君らの掃討を開始する』
アレイ★『気を付けたまえ。命は一つしかない、そして諸君らに残された時間も有限だ』
アレイ★『言い忘れたが、外部に助けを求めても無駄だ。全ては統括理事会の管制下にあるのでね。……では今しばらく100階層で待つとしよう』
ミコト「死んだらお終いって、これはゲームでしょ……?」ボーゼン
トウマ「……さっきの炎剣喰らってたらマジで死んでたのかよ」ガクブル
イン「とうま! みこと!」シュン!
トウマ「ぎゃああーーーー!? オレンジが出たーーーーー!?」ギャース
イン「ふざけてる場合じゃないんだよ! 混乱に巻き込まれる前に移動するよ!」
CASE 396 大混乱
仮想世界 第七学区 路地裏――
イン「ここまで離れれば平気かな……?」
ミコト「平気って、あちこちで騒ぎが広がってるみたいよ」
トウマ「こんな事になっちまったんだ、無理ねえよ」
ミコト「黒子たちはどうしてるかな……。無理してなければいいんだけど」
トウマ「ともかく風紀委員の支部へ行こう。俺たちにも手伝えることがきっとあるさ」
イン「ダメだよ」
ミコト「インデックス……?」
イン「今、私たちが最優先に考えるべきなのはレベル上げなんだよ」キッパリ
トウマ「はぁ? お前何を…」
イン「とうまは黙って。……いい? 混乱が起きている今こそ他のプレイヤーと差をつけるチャンスかも」
ミコト「……アレイスター=クロウリーを倒すため?」
イン「半分正解」
トウマ「そんなの後から考えりゃいいだろ! 今はこの混乱を収めねえと…」
イン「とうまとみことに死んで欲しくないんだよッ!!!」
上琴「「ッ!?」」
イン「混乱が収まればみんなレベリングを始める! だけどMMORPGの経験値やレアアイテムは有限なんだよ」
イン「β版だと二カ月で10階層までしかいけなかった。とうまが思ってるほど時間に余裕は無いはずだよ」
イン「この先を生き残るには効率よくレベリングをして、誰よりも強くならなきゃいけない! ……何かを犠牲にする事になったとしても」
イン「だけど立ち止まる暇はないんだよ。二年以内にクリアしないと、どれだけの人が犠牲になるか分からないんだから……」
トウマ「…………ッ」ギリッ
CASE 397 パワーレベリング
イン「辛いかもしれないけど、二人にはわかってほしいんだよ……」ションボリ
トウマ「そんな顔すんなよ」ナデナデ
イン「とうま……?」
トウマ「ごめんな。考えてもみりゃ、その決断は俺が下すべきだったんだよな。インデックスも御坂も、絶対に守るって決めてるんだからさ」
ミコト「インデックスが背負い込む必要なんてない。少しは美琴センセーを頼りなさい」ニコッ
イン「……うんっ!!」ゴシゴシ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
イン「じゃあ気を取り直して、パワーレベリングの説明に入るんだよ」
ミコト「ぱわーれべりんぐ?」ハテ?
イン「簡単に説明すると、低レベルプレイヤーを分不相応な高級装備と高レベルプレイヤーの高火力支援で手早くレベル上げすることなんだよ」スラスラ
トウマ「うわ、えげつねえ」
イン「他のプレイヤーの近くでするのは迷惑行為になるから注意が必要かも。今回は無視だけど」シレッ
ミコト「い、いいのかな……?」
イン「はい、二人ともこの装備に着替えて!」ポイポイッ
トウマ「明らかに初期装備にするような防具じゃないんだが……」
イン「ちょっと小突かれたら死んじゃうんだから文句は受け付けないんだよ」
ミコト「レベル1だもんね」クスッ
トウマ「……手段を選べるほど強くないなら、選べるだけ強くなればいいんだよな。よし、気合い入れてレベル上げするぞ!!」
ミコト「任せなさい!!」
CASE 398 チート
第二十三学区 戦闘機試験場――
ミコト「ねぇねぇ!」
トウマ「はいはい、今度はなんだ?」
MUGINO.mkⅡ「はぁーまづらぁぁーーーーーーー!!!」ギュインギュイン
ミコト「あのバケモノはなんなのよーーーー!?」ギャース
トウマ「俺が知るかーーーー!?」
イン「24時間ごとに復活する、ここにしか出現しないレアモンスターなんだよ。――『聖ジョージの聖域』展開」ピシピシ
トウマ「あ、あのインデックスさん……? 不吉な音を立てて空間がひび割れていくのですが……」ガクブル
イン「時間がおしてるんだよ。このあと第七学区の河原に現れるビリビリ中学生を狩りにいかないと――続いて『竜王の殺息』解放」キラッ
MUGINO.mkⅡ「!?」ズドオオオオォォォォーーーーーーーーン!!!!!!
ミコト「一撃で倒しちゃった……」ポカーン
トウマ「まるでチートだ……チートなシスター……チスターさんだ……」アングリ
イン「二人とも呆けてる暇はないんだよ!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
とあるファミレス――
シズリ「んー、なんだろうなー? 無性にムカついたんだけど、なんだろうなー」ハテ?
ヅラ「気のせいじゃねぇの? って、なんで俺のPC名がヅラなんだよ!? 浜はどこ行った!?」ガビーン
シズリ「私でさえ三文字しか使ってないんだ。浜面如き、二文字で十分でしょ」
ヅラ「どんな理屈だ! てか絹旗はいいのかよ!」ガァァ
リコウ「きぬはたはいいと思うよ?」
サイアイ「超当然です。そんな細かい事を気にするなんて浜面キモイ、超キモイです」プイッ
ヅラ「……ちくしょう、ゲーム内でもこんな扱いかよ」グッスン
CASE 399 成長
窓のないビル 第26階層――
ミコト「ったく、キリが無いわねっ!!」ビリビリッ!!
駆動鎧『』プスプス
イン「流石にこの辺まで来ると、雑魚敵も頑丈なんだよ。――巨人に苦痛の贈り物を!」ブンッ!
オジギソウ『』メラメラ
トウマ「よっしゃー! 次は俺の番…」
ミコト「お兄ちゃん、邪魔っ!」ブォン!!
ザシュッ!!
駆動鎧『ぎゃああああああああああああああああああああ!!!』マップタツ
ミコト「いっちょ上がりっと♪」
トウマ「…………」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
トウマ「あれから二カ月が経ちました。今や御坂もすっかりチートキャラ化してしまい、上条さんの存在価値が疑われるのも時間の問題です」
ミコト「あはは、何言ってんのよ。幻想殺しの防御力はある意味最強じゃない」バシバシ
イン「とうまは重要な存在なんだよ」ニコニコ
トウマ「そ、そうか?」パァァ
電磁目録「「攻撃はまったく役に立たないけどね」」シレッ
トウマ「ふ、不遇だあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」ブワワ
CASE 400 ギルド
ミコト「ねぇねぇ!」
トウマ「はいはい、今度はなんだ?」
ミコト「最新のギルドランキングが発表されたわよ」
トウマ「かなり頑張ったんだが、一位と二位は別格だからなぁ。俺たちは前回から横ばい、三位のままだろ」
ミコト「我が『ラブリーゲコ太団』は常にトップを目指してるってのに、もっとやる気を出しなさいよ!」プンスカ
トウマ「……そんなトンチキギルドに所属してるかと思うと、たまに死にたくなるんだよ」ゲンナリ
ミコト「な、なによぅ、ゲコ太かわいいじゃない……」ションボリ
イン「私は気に入ってるんだよ」ニコッ
ミコト「やーん、さっすがインデックスはわかってるー♪」ギューッ
イン「わわっ、急に抱きつくと危ないんだよ!?」アタフタ
トウマ「……フレンドと名刺交換するこっちの身にもなってくれよ。毎回笑われるんだからな」ズーン
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
イン「こほん、静粛に。これよりラブリーゲコ太団の今後の方針を決める会議を始めるんだよ」
ミコト「はい!」シュビ!
イン「なにかな?」
ミコト「窓のないビル攻略も三人だと辛くなってきたし、余所のギルドと同盟する事を提案するわ」
トウマ「そうだな、一方通行のギルドなら最強だし申し分ない…」
ミコト「却下!!」ガァァ
イン「私も反対かな。……二人の仲が悪過ぎて連携どころじゃないもん」ゲンナリ
トウマ「かといって攻略組以外だと意味が無いし、……どうする?」ムムム
ここまでの戦況――
勝利条件:アレイスター=クロウリーの撃破
敗北条件:SMOに参加する一万人のプレイヤー全ての死亡
ゲーム初日:SMOのログインユーザーが一万人を突破。同時に自発的ログアウトが不可となり、大混乱を招く
一週間経過:風紀委員の活躍で混乱は収束へと向かうが、そのどさくさでMMO初心者や低年齢プレイヤーを中心に約1000人が脱落
二週間経過:βテスター組が無茶なレベリングを行い、一般のプレイヤーから強い反感を買う
三週間経過:βテスター組すら霞むほどの悪辣シスターの猛威に全プレイヤーが閉口する
四週間経過:一部の高レベルプレイヤーのみで編成された精鋭部隊により、窓のないビル第10階層まで攻略される
のちにSMOをクリアして生還を目指す彼らを指して『攻略組』と呼称されるようになる
一カ月経過:大小様々なギルドが組織される。精神的不安による犯罪の増加もあり、この時点での脱落者総数が2000人を超える
二カ月経過:序盤の山場である第30階層を攻略するため、攻略組による大規模共同作戦が提案される
ギルドランキング――
一位:夜明けの三毛猫団(4名)
二位:白い翼(ソロ)
三位:ラブリーゲコ太団(3名)
四位:銀鮭騎士団(4名)
五位:ロイヤル☆ガード(427名)
六位:天草式十字生協(20名)
七位:俺の根性(ソロ)
※()内は構成人数
といったところで今回は終了
次回同盟するギルドをアンケートで決めたいと思います。前レスのギルドランキングから好みのギルドを選んで投票してください
三位を選んだ場合は同盟なしルートになります。先着5レスで一番多いものが反映されるのでよろしくですー
投下ー
CASE 401 団長会議
ミコト「今日集まってもらったのは、第30階層を攻略するためなんだけど……」
Ax「…………」
カキネ「なんで第一位のクソ野郎が居るんだ?」ムカッ
シズリ「シャケ弁うめぇ」モグモグ
ミサキ「正直攻略とかどーでもいいしぃー。 期限が来たらラスボスの方からお出ましになるんでしょ?」
グンハ「作戦会議なんざ根性ねえぞ!! 真っ向勝負でぶちのめせばいいだろ」
ミコト「…………」
Ax「アホらし」ガタッ
カキネ「あぁ?」
Ax「作戦もクソも必要ねェ。俺一人で十分だ」テクテク
グンハ「なにぃぃ!? 俺の根性試しの相手は奪わせんぞ!」タッタッタ
カキネ「……ま、精々攻略に励んでくれ。俺は勝手にさせてもらう」スタスタ
シズリ「なんだか気分じゃないし、今回はパスさせてもらうわ」スタスタ
ミコト「……行っちゃった」
ミサキ「協調性のない人たちねぇー」ヤレヤレ
ミコト「アンタがそれを言う?」
ミサキ「私は協力してもいいわよぉ? シスターさんをうちのギルドに移籍させてくれるならね☆」
ミコト「帰れ」シッシ
CASE 402 慢心
Lo「同盟? ってミサカはミサカは突然の提案に首を傾げてみる」ハテ?
イン「情報屋の話によると、第30階層のボスは厄介な相手らしいんだよ」
トウマ「だからお互い協力した方がいいと思うんだ」
Lo「ミサカは大賛成だよ、ってミサカはミサカは副団長権限で同盟を支持してみたり」
キキョウ「第30階層のボス……後方のアックア、魔術師 Lv.60 大剣と水属性の魔術を使い分け、二重聖人の特性を持つ、か」カタカタカタ
ワースト「Lv.60!? ミサカなんてまだLv.32なのに……」ゴクリ
トウマ「……仮想世界でもアックアと戦うのか」ガクブル
イン「心配いらないかも。アクセラレータが前衛、私とみことが後衛で戦えば負けるはずないんだよ」
キキョウ「そう上手くいくかしら?」カタカタカタ
Lo「きっと大丈夫! ヒーローさんも番外個体も、そしてミサカだって戦うんだから! ってミサカはミサカは意気込んでみたり!」
ワースト「正直ミサカたち三人は役に立たない予感ビンビンだぜー?」
Lo「気持ちで負けたらダメよ! ってミサカはミサカはお姉さんぶって注意を促したり!」プンスカ
トウマ「神裂たちにも協力して貰った方が良くないか?」
イン「ダメ」キッパリ
トウマ「なんでだよ?」
イン「だってかおりが一緒だと、ドロップアイテム全部持っていかれるんだもん!」
トウマ「言いがかりだろ……」
CASE 403 生協
ステイル「らっしゃーせー」
トウマ「おっす」
ステイル「何だキミか。インデックスは一緒ではないのかい?」
トウマ「……段々態度が露骨になってきやがったな」ゲンナリ
ステイル「かなりマイルドになったと自覚してるんだがね」
トウマ「まあいいや。今日は神裂は居ないのか?」
ステイル「神裂なら第29階層まで仕入れに出かけてる」
トウマ「ダンジョンに仕入れ?」ハテ?
ステイル「彼女が戦えば高確率でレアアイテムをドロップさせるからね。うちも売るものに困らないって寸法さ」
トウマ「あ、あはは……インデックスがパーティーを組みたがらないわけだ」
ステイル「分かっているだろうが、本人には言うなよ」
トウマ「ああ」
カンザキ「ただいま戻りました」
トウマ「おっす、お邪魔してるぜ」
カンザキ「か、上条当麻……!?」
CASE 404 ステータス
カンザキ「うちの店に来るなら、私に一言連絡があっても……」ゴニョゴニョ
トウマ「どうしたんだ?」
カンザキ「い、いえ何でもありません!」アセアセ
トウマ「そっか?」
カンザキ「そんな事より今日は何用です?」
トウマ「明日、第30階層の攻略が決まったんだ。ボスはアックアらしい」
カンザキ「!?」
ステイル「ただのプログラムとはいえ、神の右席の一角が相手とはね」
トウマ「インデックスには勝算があるみたいだけど、どうもな……」
カンザキ「あなたの懸念も尤もです。アレはまさに規格外ですから」
トウマ「そこで相談したいんだけど、この世界の聖人って現実並にチートなのか?」
カンザキ「そうですね……参考までにあなたのステータスを表示してもらえますか」
トウマ「おう」pi
トウマ LV.54
Class.思念使い(マテリアライズ)
HP.28195/28200
TP. 1240/ 1240
Str.144
Vit.310
Int. 44
Dex.126
Agi.138
Luk. 3
ステイル「こ、幸運が……」プルプル
トウマ「うっせー! 笑いたきゃ笑えよ!!」ガァァ
ステイル「しかもHPが何気に5減ってるんだが……」プルプル
トウマ「ここに来る途中で転んだんだよ!」
CASE 405 聖人
トウマ「くそっ、馬鹿にしやがって」プンスカ
カンザキ「…………」
トウマ「ん、どうかしたのか?」
カンザキ「話すより見て貰ったほうが早いですね」pi
カンザキ Lv.38
Ciass.魔術師
HP.79800/79800
MP.28000/28000
Str.452
Vit.374
Int.395
Dex.511
Agi.593
Luk.999
トウマ「…………」ポカーン
カンザキ「理解出来ましたか?」
トウマ「レベルに20近い差があるってのに、圧倒的じゃねえか……」
カンザキ「聖人相手に正面からぶつかるのは愚策です。現実以上に聖人の幸運が凶悪ですから」
トウマ「そっか、命中と特に回避は幸運がもろに影響するもんな」
カンザキ「攻撃を命中させるのにも苦労するでしょう。特にあなたは戦力外といっても過言ではない」ウン
トウマ「ほっとけよ!?」
CASE 406 恩
カンザキ「怒らないでください。悪気はありません」
トウマ「そこは疑ってねえよ」
ステイル「幸運が3もあるなんて意外だったよ」プークスクス
トウマ「お兄ちゃんは運が悪いからって、御坂がラックの種を三つもゲットしてきてくれたんだ」ニコニコ
ステイル「そ、そうだったのかい」
トウマ「いやぁ~、あんなに兄想いの優しい妹がいるなんて上条さんは三国一の、いや、宇宙一の幸せ者ですよ」ニッコニコ
カンザキ「妹……ですか」
トウマ「滅茶苦茶かわいいんだぜー。見てくれよこの写真! 地上に舞い降りた天使そのものだろ?」ニコニコ
カンザキ「は、はあ」
トウマ「……まだ中学生なのに、こんなクソったれな状況でも腐らずに頑張ってる。友達やインデックスを守るってな」
カンザキ「…………」
トウマ「だから御坂は絶対に守る。どんな手を使ってでも、ここからアイツを救い出してみせる」
カンザキ「彼女の盾になるつもりですか? ……死にますよ」
トウマ「俺は死んだりしねえよ」ニカッ
カンザキ「あなたには本物の天使と相対して生還した実績がありますからね。ですがやはり心配です」
ステイル「だが同行は出来ない。僕らにも果たすべき仕事がある」
カンザキ「ええ、ですからこれを」スッ
トウマ「なんだこれ?」ハテ?
カンザキ「『神の祝福』というレアアイテムです。持ち主に大いなる祝福を与えるらしいのですが……」
ステイル「鑑定したんだが、使い方も効果もいまいち分からないんだ」
カンザキ「信念があるなら死地に赴くのを止めはしません。ですがせめて、お守り代わりに受け取ってください」
トウマ「サンキューな、神裂」
カンザキ「い、いえ……こんなモノであなたに受けた恩を返せるとは思いませんから」
CASE 407 作戦確認
ミコト「ねぇねぇ!」
トウマ「はいはい、今度はなんだ?」
ミコト「確認しておくわよ。まずは私とインデックスが先制攻撃をしかける」
イン「任せてほしいんだよ」
ミコト「次に一方通行が突撃してボスを釘付けにする」
Ax「…………」
Lo「もう、お返事しないとダメよ! ってミサカはミサカは叱りつけてみたり!」メッ
Ax「……(一刻も早くクリアして、スフィンクスちゃンに会いてェ……)」プルプル
ミコト「その間に芳川さんが解析して全体に指示を。打ち止めは回復アイテム係ね。あとは隙を見計らって各自攻撃。以上よ」
キキョウ「妥当な作戦ね」
ワースト「攻撃っつっても相手はLv.60のバケモノだぜー? ミサカたちの攻撃が通用するとは思えないんだけどー」
トウマ「優秀なアタッカーが三人もいるんだ。俺たちは防御と回復に専念、生き残ることを最優先に動こう」キリッ
ワースト「え、どったの? いつになくマジモードじゃん///」
トウマ「誰一人欠けることなく現実に帰るんだ。……絶対に死なせたりしねえ」
ワースト「わーお、それ死亡フラグじゃね?」
トウマ「なら背中は任せた。お前なら信頼できるからな」
ワースト「任せておきなよ。ミサカは優秀だからね……///」テレテレ
CASE 408 ボス攻略
ミコト「ねぇねぇ!」
トウマ「御坂、気を抜くな」
アックア「…………」
ミコト「あのマッチョが30階層のボスなんでしょ?」
トウマ「ああ……」ゴクリ
イン「先手必勝なんだよ! ――聖ジョージの聖域、起動」
アックア「――聖母の慈悲は厳罰を和らげる」
イン「聖母崇拝? そんな魔術じゃこれは防げないかも! ――対聖人用術式を組み込み中、構築完了。『竜王の殺息』解放」キラッ
ミコト「こっちも全力全壊でいくわよっ!!」ビリビリッ!!
アックア「――時に、神の理へ直訴するこの力。慈悲に包まれ天へと昇れ!!」ミス!
イン「無効化された!? 竜王の殺息には罰や処刑以外の術式も織り込んでたのに……!」
ミコト「くッ、突っ込んでくる!」
トウマ「インデックスさがれ!!」
アックア「隙だらけであるッ!!」ブォン!!!
イン「ッ!? ――敵の攻撃を解析、最適解としてソーロルムの伝承を引用、ゼロにする!」ミス!
アックア「ほう、ソーロルムの術式か」
ミコト「一方通行!」
Ax「三下が指図してンじゃねェよ」ビュン!
アックア「むっ!」
Ax「ギャハ、水風船みてェに破裂しちまえ」ピト
アックア「……今、何かしたのか?」ミス!
Ax「血流操作が効かねェだと……!?」
アックア「苦しまぬよう、一太刀で終わらせてやろう!」ブォン!!!
Ax「チッ」キンッ!
アックア「ッ、……なるほど、伊達にここまで登ってきたわけではないようであるな」
CASE 409 システム
ミコト「どうして攻撃が効かないのよ!?」ビリビリッ!!
イン「こっちの攻撃は確かに命中してるはずなのにMiss表示が出てる……」
アックア「はあああぁぁッ!!!」ブォン!!!
Ax「何度やっても無駄…があああァァァッ!?」ザシュッ!!
アックア「油断は禁物である。数合も打ち合えば、攻略法の一つも見えてくる」
Ax「がはッ!! ……ク、クソがァァ……」ー13000
ワースト「うそっ!? 反射が破られた……!」
Lo「た、助けないと! ってミサカはミサカは…」
ワースト「飛び出すなってば! ミサカたちが行ったとこで、死体が増えるだけだよ!」
トウマ「ッ!!」ダダッ
アックア「恨みは無いが死んでもらおう。こちらも仕事なのでな」
Ax「こ…んなとこで……俺は……」
トウマ「うおおおおおおおおッッ!!!」ブンッ!!
アックア「!」ミス!
トウマ「番外個体! 一方通行をッ! 早くッ!!」シッ! ブンッ!!
アックア「ほう、中々に鋭い」ミス! ミス!
トウマ「まだまだァァーー!!」ブンッ!!
アックア「仮想世界とはいえ、随分と成長したものだ。幻想殺し、いや上条当麻」ミス!
トウマ「!?」
ワースト「あの人が抑えてる間に回復を!」
Lo「しっかりして!」⇒ハイポーション
Ax「ハァ……ハァ……お、俺のことはいい。それより解析を急げ……」+1000
キキョウ「アナライズ完了。……これは拙いわね」カタカタカタ
イン「何が!?」
キキョウ「攻撃が命中しないのは、後方のアックアのLukが高すぎるせいよ。想定外なんてものじゃない、カンストを通り越して限界突破してる」
イン「……二重聖人の恩恵かも。悔しいけど、今のアックアは無敵なんだよ」ギリッ
ミコト「いくら回避率に影響するからって、そんなのアリなの……?」
イン「アリなんだよ」
キキョウ「パラメータが全てのRPGだもの。システムには逆らえないわ」
CASE 410 カルネアデスの板船
トウマ「お前、ただのプログラムじゃ…」
アックア「はあッ!!」ブォン!!!
トウマ「くッ!」-2500
アックア「大した守備力だが、そう何度も凌ぎきれまい!!」ビュッ!!
トウマ「へっ、上条さんは守りに定評があんだよ!!」ミス!
ワースト「流石にタイマンの接近戦は強いねぇー。無駄かもだけど、ミサカも援護するよ!」
ミコト「私も前線に…」
キキョウ「待ちなさい。ここは彼を殿に撤退することを提案するわ」
イン「ッ!?」
ミコト「バカ言ってんじゃないわよ!! そんなの認めるわけないじゃない!!」ガァァ
ワースト「ニート生活で脳が腐ったの? 全然笑えないんだけど」イラッ
キキョウ「じゃあ玉砕覚悟で戦って全滅する? Lukを下げる手段も無しに勝つのは不可能なのに?」
ミコト「そんなのやってみなきゃ分かんないでしょーが!!」
イン「……みこと」フルフル
ミコト「インデックス……? ア、アンタもお兄ちゃんを囮にして逃げろって言うの?」ワナワナ
イン「……とうまのストレージに、ありったけの回復アイテムを渡して時間を稼いで貰うのが最善策かも」
キキョウ「一番打たれ強い彼が適任なのよ。全員が生き延びるにはこの策しかないのよ」
ミコト「でも、だからって……ッ!」
アックア「カルネアデスの板船か」
トウマ「か、カルネアですの? ……白井的なナニかか?」ハテ?
アックア「いつかの再現だな。いいだろう、上条当麻を犠牲にするのならば、他の雑魚は見逃してやる」
ミコト「バカにすんなっ!! お兄ちゃんを見殺しにしてまで私は生きたくない!!」
トウマ「御坂……」
アックア「美しい兄妹愛である。だがそれを受け入れるほど、お前はヤワな男ではあるまい」
トウマ「……たりめーだっての」
といったところで今回は終了。ここでルート分岐になります
A.上条さんが単身、シス魂を燃やし尽くしてアックアと戦う。ブラックリベリオンルート
B.全滅上等! 総員玉砕特攻だ! 黒の剣士ルート
これだ! と思うほうをレスってくださいませ。締めは今日いっぱいでー
※Bルートは一時的に超シリアス&鬱展開になるのでご注意!
>ステイル「しかもHPが何気に5減ってるんだが……」プルプル
>トウマ「ここに来る途中で転んだんだよ!」
この上条さんの台詞に可愛いとか思った俺は末期
黒の剣士なら上条さんソロプレイヤーになるのか…ならアスナは美琴…最初に死んでしまったクランの子は誰になるのか…
竜使いは誰になり竜は誰が当て嵌まりソロ上条さんと復活させるのか…
ヤベぇマジ楽しみで仕方ないんだけど
ソロモンよ、わたしは帰ってきたッ
てなわけで投下ー
アレイスター=クロウリーが引き起こしたサイバーテロ。それはSMO(サイエンス&マジック・オンライン)という名の仮想学園都市を
舞台にしたMMORPGに参加した一万人の人間をゲーム内に閉じ込め、ゲームオーバー=死亡という過酷な条件のデスゲームを参加者に強いるのだった。
現実世界 某所――
アレイ☆「……ウィリアム=オルウェルが第30階層で暴れているのだが」
ローラ『ま、まさか抜け駆け!?』
アレイ☆「彼は60階層の担当だと認識していたのだがね」
ローラ『もうっ! あの傭兵崩れったら、私の楽しみを台無しにするつもり!?』
アレイ☆「その様だな。幻想殺しと一方通行のパーティーを絶賛殲滅中だ」
ローラ『攻略組でも最有力候補じゃない! こうしてはいられなし!』
アレイ☆「まあそちらの聖人が保険をかけている。幻想殺しの性格を考慮すれば、全滅はあり得ないだろう」
ローラ『……だと良きことね』
アレイ☆「いずれにせよ、これはゲームであっても遊びではない」
ローラ『あなたはそうかもしれないけれど、魔術サイド(私たち)にとっては得難いレクリエーションにつき♪』
アレイ☆「科学と魔術は水と油ではないのか?」
ローラ「私だってゲームしたいもの。禁書目録とステイルばかり楽しむなんてズルイじゃない♪」
アレイ☆「では私も精々楽しませて貰うとしよう。フフ、一万人全員が討死するのも一興か」
仮想世界 窓のないビル 第30階層――
アックア「いつかの再現だな。いいだろう、上条当麻を犠牲にするのならば、他の雑魚は見逃してやる」
後方のアックアの提案に一同は凍りついた。現実を見据えて、冷徹な判断を下したインデックスと芳川も例外でない。
ただのプログラムが何を? という困惑はある。しかし状況を打破する好機でもあった。
わずかな逡巡の後、全員の視線が上条に集まる。
トウマ「……俺が残れば、みんなは見逃してくれるんだな?」
アックア「約束は守ろう」
アックアから言質を取ると、上条はホッと息を吐き仲間たちに向き直る。そして穏やかな口調で語りかける。
トウマ「聞いての通りだ。ここは俺が何とかするから、みんなは先に離脱してくれ」
後方のアックアを打倒する手段を持たない以上、上条の行為は妥当なモノだ。撤退するにも犠牲を前提にした足止めが必要だった。
事実、芳川や一方通行は内心がどうあれ受け入れるように頷いた。インデックスと打ち止めは震えながら俯いているが反対しなかった。
だが美琴だけは明確な拒絶を示していた。
ミコト「――わけないでしょ」
トウマ「御坂……?」
肩を震わせ、血を吐くように声を絞り出す。親の敵を見るような鋭い眼光が、泰然と構えるアックアを捉える。
上条を失うかもしれない怒りと恐怖に、美琴は冷静さを失っていた。
そして皮肉にも、この場で一番甘い人間である美琴が事態を動かすことになる。
ミコト「アンタを、お兄ちゃんを犠牲になんて出来るわけないでしょうが!!」
トウマ「ま、待て!?」
上条の制止を振り切って、美琴はアックアへと躍りかかった。
ミコト「はああっ!!」
アックア「迷いの無い、良い太刀筋である」
ミコト「ッ、余裕かましてんじゃないわよ!」
変幻自在の砂鉄の剣を操り、絶え間なく斬撃を繰り出す美琴。フェイントや電撃を織り交ぜながら攻める姿は、まるで鬼神だ。
並の相手なら反応すら出来ないだろう。しかし、相手は後方のアックア。正真正銘のバケモノである。
アックアは斬撃を手に持つ大剣で弾き、電撃を巨体に似合わぬ軽快なステップで避ける。
それでも回避不可能な攻撃が、いくつかアックアに突き刺さる。しかし限界値を超えたラックが、ダメージを与えることを阻む。
ミコト「くッ、なんでダメージが通らないのよ!」
アックア「幼いながらに大した腕だ。数年も研鑽すれば、一流の使い手になれるだろう」
ミコト「うるさいっ!!」
アックア「それだけに残念である」
ミコト「ッ!?」
勝敗は一瞬だった。美琴の猛攻を捌き続けていたアックアが、攻めに転じた瞬間に戦いは終わっていた。
数メートルはある、アスカロンの刀身から繰り出された斬撃。
電撃を避け、美琴が次の攻撃に移る一瞬を縫って踏み込み、神速をもって放たれた一撃。美琴は回避すら許されず、咄嗟に砂鉄の剣で受け止める。
現実なら砂鉄の剣諸共、美琴は哀れな肉塊になるはずだった。だがパラメータが支配する仮想世界が、わずかな拮抗を許した。
アックアの斬撃と美琴の斬撃の威力の差が、スリップダメージとして美琴のHPバーをガリガリと削る。
アックア「我が一撃に反応するとは。よく修練を積んでいるようであるな」
ミコト「……よく喋るプログラムね(ヤバイ、HPが……あと五秒も持たない!?)」
アックア「だが折角の才能と努力も、慢心ひとつで水泡に帰す。それを胸に刻むがいい」
開始からほんの十秒にも満たない攻防。しかし圧倒的な技量とパラメータの差が勝敗の天秤を一瞬で傾けた。
鍔迫り合う、ただそれだけで美琴のHPバーは緑から黄色、ついには危険域である赤まで擦り減らされる。
美琴は必死に打開策を検討するが、無情にもその明晰な頭脳が、すでに詰みであると回答する。
上条を守ろうとして、自ら死地に飛び込んだことに後悔はない。しかし自分が死ねば、彼女の優しい兄はきっと己を責めるだろう。
死を目前にして、美琴は心の中で最愛の兄に詫びた。
ミコト「でも、みんなが逃げる時間くらいは稼げたよね……?」
恐怖を押し殺し、数秒後に訪れるであろう死を待つように瞳を閉じる。
しかしそんな絶望を振り払うかのように、美琴の耳へ、頼もしい声が届く。
トウマ「御坂は絶対に死なせねえッ!!」
ミコト「え……」
美琴とアックアが競り合っている場に、上条が勢いよく踏み込み、硬直していたアックアの横っ面に渾身の右を叩きこんだ。
アックア「ぐ、おっ!?」
トウマ「シッ!」
堪らずたたらを踏んだアックアに、殴りつけた勢いのまま上条が追撃をかける。牽制の左ジャブ、左腕を引きながらの右フック、
右を振りぬき生じた遠心力を込めた回し蹴りを、流れるような淀みの無い所作で叩きこむ。
三連撃、そのどれもが速く鋭かったが、歴戦の兵であるアックアには十分に対処可能だった。
咄嗟に大剣を手放し、ジャブを右手で払い、フックを返す右腕でガード、そしてバックステップで回し蹴りの範囲から離脱する。
態勢を崩された状況から、見事に上条の攻撃を捌き切ったアックアだが、その表情は驚愕に染まっていた。
アックア「ダメージを受けた? ……なるほど、ここでもその右手はイレギュラーなのか」
トウマ「番外個体っ!!」
上条の声に、番外個体だけでなく、一方通行とインデックスも動き出す。
番外個体はまっすぐ美琴の元へ走り、一方通行たちは不利を承知でアックアの足止めにかかる。
ワースト「おねーたま! みんなが足止めしてるうちに逃げるよ!」
ミコト「ま、まって……」
ひょいと美琴をかついで走り出す番外個体。
ワースト「死にぞこないは黙ってろ!」
HPバーを残り一ミリにまで消耗させられた美琴は足手まといだった。
そして何より上条の自分を呼ぶ声、そこに込められた意味を理解できないほど、番外個体は愚鈍ではない。
番外個体は美琴を一顧だにせず、離れたところに待機していた芳川と打ち止めに合流する。
窓のないビルのそれぞれの階層には上下を行き来する階段がある。そこは敵キャラが侵入できない、いわゆる安全地帯だ。
そこまで一気に駆け抜けた番外個体たちは、ひとまず危機を脱した事に安堵する。
だがそれも束の間、番外個体はその場の全員のストレージから有用なアイテムを引っ張りだす。
ワースト「悪いけど、回復は街に戻ってからにして。回復アイテムは全部ミサカが持っていくからさ」
ヨシカワ「正直、あなたが戻っても死人が増えるだけだと思うけど」
Lo「番外個体……」
彼女は仲間を援護するため、死地に戻るつもりだった。
ワースト「ぎゃは☆なーに泣きそうなツラしてるんだ」
Lo「だって、あそこに戻ればきっと……」
ワースト「まあ……多分そうなるだろうね。でも約束しちゃったんだよねぇー。あの人の背中を守るってさ」
ミコト「だったら、私も……」
ワースト「それは許可できないなー。ほれっ」
番外個体は、30階層攻略前、密かに上条から預かっていた『お守り』を美琴に投げて渡す。
ミコト「これは……?」
ワースト「さあね? ミサカも詳しい効果は知んないけど、ありがたーいお守りらしいよ」
ミコト「もしかして、お兄ちゃんが?」
ワースト「ミサカが無茶しないようにって寄越したみたい。でも実際に無茶したのは、おねーたまだったわけだ」
ミコト「だってお兄ちゃんが…」
ワースト「はいはい、あの人はミサカが連れて帰るから。第一位とシスターさんだけじゃ頼りないからね」
必死に立ち上がろうとする美琴に、番外個体はいつもの人の悪い笑みで一瞥すると、戦場に向け駆けていった。
ミコト「自分だけ安全なトコにいるなんて、冗談じゃないわよ。私だって戦え……る……」
Lo「お姉様っ!?」
ヨシカワ「気絶したようね。死ぬ一歩手前で駄々捏ねられても困るから好都合よ」
仮想世界とはいえ、瀕死の状態が続けば精神的な負担は計り知れない。
意識を手放した美琴を抱きかかえた芳川と打ち止めは、歯がゆさを噛みしめながら窓のないビルから離脱した。
一方、見事美琴たちを離脱させた上条、インデックス、一方通行の三人は絶望と対峙していた。
暴風の如きアックアの攻撃を、回避し、相殺し、あるいは防御する。反撃しようにも上条の右手以外は有効打たりえず
そのうえ上条の攻撃力自体が低く、決定力に欠けていた。
トウマ「……一方通行、何か作戦はないか?」
Ax「あったら実行してる」
トウマ「だよなぁ」
イン「勝つことは考えないで。今は負けないように防戦に徹して、離脱の機会を待つしかないんだよ」
パーティー内で、一番MMORPGの経験が豊富なインデックスは考える。
勝つ見込みが無いなら逃げる、それはこの手のゲームでは基本であり、リスボーンが許されない現状では当然の判断だ。
だが目の前の敵は隙を見せず、仮に無策のまま背を向ければ瞬殺されるのは目に見えている。
ならば隙を作ればいい。
インデックスは上条と一方通行のHPバーを横目に見る。
イン(とうまの残りHPは半分、アクセラレータなんてもう赤だ。ここはまだ余裕のある私が前に出るべきかも)
そう分析するが、今の自分ではアックアの相手は無理だとも自覚する。
近接戦での奥の手である『ソーロルムの術式』はすでに晒してしまった。アックア程の使い手に、二度も有効と思えるほどインデックスは楽観主義ではない。
あらゆる魔術を保有する禁書目録とはいえ、インデックス自身のステータスがアックアに遠く及ばない以上、拮抗は不可能だった。
アックア「警告を無視して牙を剥いた以上、生きて帰れるとは思わぬことだ」
トウマ「そうかよ。けど、はいそうですかって諦められるか! 俺はまだ死ぬわけにはいかねえんだよ」
アックア「先程の少女がその理由か」
トウマ「ああ、そうだよ。……つーか、お前本当にプログラムなのか? まさか本人だったりしない?」
上条は違和感を覚えていた。今まで倒してきたボスキャラにも見知った顔が幾つかあった。
アニェーゼたちを酷い目に遭わせた司教、C文書を巡って対峙した神の右席の一角など、そのどれもが感情を表さない偽物だった。
トウマ「一定のダメージを与えたら行動パターンが変わるボスはいたけど、こんな風に会話が成立したのは、あんたが初めてだ」
アックア「…………」
トウマ「もし本物のアックアなら、なんでこんなふざけたゲームに加担してんだよ!」
アックア「是非もなし。最早、敵と話す舌は持たん!」
イン「とうまっ!?」
Ax「クソっ! 現実ならこンな野郎に……ッ!!」
上条の問いかけに答える言葉は無く、何の打開策も無いまま決死の撤退戦は始った。
アックア「ハアッッ!!」
Ax「ぐ、このッ、脳筋野郎が調子に乗りやがって!」
撤退戦は熾烈を極めた。本来ならば、一方通行の能力はアックアの戦闘スタイルと相性が良いはずである。
しかし仮想世界を支配するシステムは、ゲームとしての公正さを演出するため、プレイヤー間の格差を極力排するように構築されていた。
つまり絶対的なスキルは存在しない。物理攻撃には無敵とも言える『ベクトル操作』は、かなりの制限を受けていた。
Ax(ヤバイな……。こっちじゃ代理演算は要らねェが、一度操作すると、ほンの一瞬だが次の操作までにラグが発生しやがる)
アックア「守りに徹するか。だが……ッ!」
Ax「チッ、三下が調子付いてンじゃねェぞ!」
袈裟がけに繰り出された斬撃を、一方通行は大きく距離を取って回避する。
歴戦の勇士であるアックアにとって、弱体化した一方通行の弱点を見破るのは容易かった。
威力をセーブした初撃を反射させた刹那、二重聖人の高パラメータをにモノを言わせ、強引に二撃目を叩きこむ。
何とも力押しで戦術も何もあったものではないが、反射後のラグを突くという一点において最適解に違いない。
現状、一方通行はアックアの二撃目を警戒して、避けに徹するしかなかった。
トウマ「まずいぞ。ターゲットを一方通行に絞られてる!」
イン「好都合なんだよ。今のうちに聖人に効果が見込める魔術の詠唱に入るから、とうまは私を護衛して!」
トウマ「ッ、わかった!」
インデックスは考えた。ラックの高さに任せた、システムの恩恵をフル活用する難敵への対処法。
あらゆる攻撃をシステム的に回避されるなら、絶対に回避不可な方法で攻めればいい。
幸いにもヒントは美琴が身をもって教えてくれていた。そして禁書目録たるインデックスには、それを実行に移す術がある。
イン(今なら最小限の犠牲で撤退できる……。理屈はわかってるし冷徹になるべき場面だけど、それをやれば二度とみことに顔向け出来ないかも!)
◇ ◇ ◇
仮想学園都市 商業区
八千人のプレイヤーと無数のNPC(ノンプレイヤーキャラ)が共存する仮想学園都市。
ここ商業区は日常の生活用品から食品、武器や回復アイテムに至るまで、あらゆるプレイヤーのニーズに応える重要な地区である。
基本的なアイテムは、NPCが経営する店で揃えられるのだが、中には例外もある。
SMOというゲーム自体が自由度を売りにしたMMORPGなので、プレイヤーが店を開いて商売を営むケースも少なからずあるのだ。
迷宮とも言える『窓のないビル』を探索したり、学園都市各地で発生するクエストを攻略することで得られるレアアイテムや
スキルによるアイテムクリエイションで生成した商品を、NPCより安く販売する商人プレイヤーたち。
彼らは、己に直接ゲームを攻略する技量が無いのを自覚した上で、攻略組をサポートするため裏方に徹した、文字通りの縁の下の力持ちだ。
そんな事情がある中で、唯一攻略組でも通用する戦力を有する商人ギルドが存在する。
――天草式十字生協
魔術師のクラスにも拘らず、最強のフロントアタッカーとの呼び声高い、神裂火織率いる武闘派商人ギルドである。
ステイル「だというのに、インデックスの援護すら出来ないなんて……」
カンザキ「それは言わない約束ではありませんか。私だって、出来る事なら最前線で戦いたい」
ステイル「……脳筋バトルマニアめ」
カンザキ「なっ!?」
ステイル「やれやれ、せっかく株を上げるチャンスだというのに。悲しい宮仕えの性だね」
カンザキ「……後方のアックアが相手では、あなたの炎なんてマッチ同然ではないですか」
ステイル「せ、攻めるだけが僕の本質じゃない! 今回の戦闘でも必ず役に立てたはずだ!」
カンザキ「湿気たマッチに出番があるとは思えませんが?」
ステイル「……現実だと噛ませ犬のくせに」
カンザキ「…………」
ステイル「…………」
カンザキ「やめましょう、不毛すぎます」
ステイル「そうだね。ま、精々 上条当麻が上手く死ねるように祈ってやるか」
カンザキ「甚だ不本意ですが、アレさえ持っていれば最悪の事態は回避できるでしょう」
◇ ◇ ◇
窓のないビル 第30階層――
一方通行がアックアの注意を引き、上条が護衛をしている傍らで、インデックスは朗々と詠う。
ユニークスキル『自動書記(ヨハネのペン)』。ゲーム内で唯一人にしか習得が許されないユニークスキル、彼女はその担い手だった。
十万三千冊の魔術書から最適なモノを検索、応用、発動までをオートでこなす攻防一体の魔術の極致。
並のスキルとは一線を画す、反則スレスレのスキルをインデックスは躊躇い無く振るっていた。
イン「――検索、聖人に極めて有効である処刑に関する術式に範囲を限定。該当件数は十三……最適な術式を取捨選択します」
その声音と表情に普段のあどけなさは無く、かつて上条の記憶を奪った事件を彷彿とさせる、無機質な詠唱が紡がれる。
イン「――選定、ウェスタの乙女の伝承を引用。及び、対聖人用の術式を組み込み中……命名、『聖なる炎の消失は、不純の証として処刑せよ』完全発動まで五秒」
五秒
――アックアの周囲が陽炎のように揺らめく
四秒
――大声で一方通行の名を叫ぶ上条
三秒
――事態を察した一方通行が、ベクトル操作でアックア周辺の地面を隆起させる
二秒
――ダメージは無いものの、ほんの一瞬だけアックアの態勢に不備が生じた
一秒
――上条がインデックスを抱き上げ、一目散に戦場からの離脱を計り、一方通行もそれに続く
零秒
処刑の概念が組み込まれた聖炎が、後方のアックアを包み込んだ。
アックア「ぐおッ!? こ、これは一体……?」
限界値を超えたラックを誇るアックアを、消える事のない聖なる篝火が責め苛む。
その事実に、冷静沈着な彼にも動揺が走る。例外である『幻想殺し』ならいざ知らず、人間の魔術師如きに手傷を負わされるのは慮外だ。
しかしそれも無理もないことだった。
ウェスタの乙女。その処女性は永遠に燃え盛る聖炎を象徴する。
聖人の弱点である処刑の概念を含み、対象の周囲を炎で包んでスリップダメージを与え続ける魔術。
どんなにラックが高かろうが、スリップダメージは特殊スキルがない限り回避不能なのだ。
致命には程遠いが、離脱の時間を稼ぐには十分だった。上条たちは安全圏を目指し疾走する。
Ax「オイ! 暴食シスターを寄越せ!」
トウマ「おう!」
イン「わわっ、急に放り投げるなんて酷いんだよ!?」
完全にデッドウエイトと化しているインデックスを、能力のリソースに余裕のある一方通行に投げて寄越す。
重量が減った上条は、高レベルのパラメータの恩恵を遺憾なく発揮し、常人の限界を超えた速さで戦場を駆け抜ける。
イン「二人とも急いで!」
Ax「チッ、意外に距離があるな……ってオイ、オマエは走りながら何してンだ?」
トウマ「いや、御坂は無事に脱出出来たかなーと思ってさ」
Ax「……救いようの無ェ シスコンだなァ」
イン「とうま! ボス部屋から脱出できたけど、ボスが迷宮フロアまで追ってこないなんて保障はないんだよ!」
トウマ「はいはい」
システム上、パーティーメンバーの所在はメニューを開けばすぐに確認できる。
出来るのだが、未だ死地を脱していない状況でやる事じゃないだろう……と、一方通行とインデックスは嘆息する。
二人の呆れなど何処吹く風な上条だったが、偶然にもある不自然な点に気付いた。
トウマ「あれ?」
イン「もういいからメニューを閉じて! もっと急ぐんだよ!」
トウマ「ちょっと待て!? 番外個体が、まだ脱出してないぞ!」
Ax「はァ!?」
先に脱出させた美琴たちの所在を示すアイコンは、窓のないビルの外に居ることを示していた。
しかし、番外個体のアイコンだけが何処にも表示されていない。
トウマ「表示自体されないってことは、『隠密(ハイディング)』のスキルを使ってるか……」
イン「死んじゃった場合だけ。でも私のフレンドリストにワーストの名前があるから、間違いなく前者だね」
トウマ「こっちに戻ってきてるってのか!?」
イン「まあマッピングは事前に済ませてあるし、安全圏に到着するまでに会えるはずなんだよ」
Ax「チッ、クソガキが……」
トウマ「そんな不機嫌になるなよ。逆の立場なら、お前だって同じ事するだろ?」
Ax「するかボケ。テメェの基準で計るんじゃねェよ」
トウマ「へいへい、上条さんが悪うございまし……ッ!?」
唐突に走った悪寒を頼りに、上条は転がるように真横へステップする。刹那、元居た場所に、見覚えのある大剣が突き刺さっていた。
上条の背を嫌な汗が伝う。視線を大剣から、恐らく投擲されたであろう方向に向けると、そこには赤く燃え盛る巨人がいた。
その圧倒的なインパクトに呆けたのか、上条は致命的な隙を晒してしまう。
一秒にも満たない、ほんの僅かな隙。
しかし、それで十分だった。アックアがフロアに突き刺さった大剣を抜き、上条に肉薄し、今まさに必殺の一撃を繰り出そうとする。
それを許すだけの隙を晒してしまっていた。
スローモーションのように緩慢に振り下ろされる大剣を見ながら、上条は今までにない濃厚な死の気配を感じていた。
死を目前にして、思考が加速しているのだろうか、上条は必死に凶刃から逃れようとするがカラダは動いてくれない。
トウマ(クソッ、動けよ!! 右手だけでいいんだ! これさえパリィ出来れば仕切り直せるのに!)
そんな願いも空しく、カラダは鉛になったかのように動かない。
一方通行たちに視線を向ければ、驚愕と苦渋をないまぜにしたような表情が映る。
トウマ(助けは……無理、か)
ゆっくりと、しかし確実に大剣が迫る。
トウマ(何か、何か手は無いのか!?)
絶対に諦めない不屈の意思で、必死に思考を走らせる。だが現状を打破する術がないのは、上条自身が一番理解していた。
トウマ(クソっ!! 俺はこんなトコで死んじまうのか……!)
迫りくる死神の鎌に、絶望へと落とされそうになった瞬間、アックアの大剣の軌道が僅かに逸れ、上条の真横の床を穿った。
何が起こったのか理解していない上条だったが、これ幸いと転がるように間合いを取り、どうにか死から遠ざかることに成功する。
そんな上条に一瞥もくれず、アックアはある一点を凝視していた。
アックア「磁力でアスカロンに干渉したのか。出てこい、隠れても無駄である」
ワースト「やっべ、バレちゃった!?」
アックアが放つ怒気も何処吹く風な様子で、物陰から現れたのは傍若無人に定評のある番外個体その人だった。
場にそぐわぬ軽いノリだが、番外個体は油断なく先に離脱するよう一方通行に目配せをする。
意を汲み取った一方通行は応戦を主張するインデックスを抱え、すぐさま安全区域へと走り去った。
それを見届けた番外個体は、アックアと睨み合う上条の横へ、トコトコと移動する。
ワースト「相変わらず絶対☆絶命、綱渡りプレイ中みたいだね」
トウマ「お前なぁ……」
ワースト「んで、こちらの火だるまマッチョさんは、ミサカたちを見逃すつもりは無いのかな?」
アックア「フフ、中々に肝の据わった娘だ」
ワースト「だろー? その肝っ玉ミサカに免じて、ここはひとつ見逃してくんない?」
アックア「それは無理な相談だ」
ワースト「ちぇー」
何の気負いも感じない姿に、上条は場違いにも笑みをこぼす。
トウマ「馬鹿だなぁ。お前もインデックスたちと逃げてりゃ良かったのに」
ワースト「一緒に死地に残ったんだから、そこんとこは察して欲しいよね。ミサカ的にはさ」
トウマ「……ごめん、サンキューな」
ワースト「感謝も謝罪も要らないってば。それより今はどーにかして、この場を切りぬけないと」
トウマ「だな!」
状況は変わらず絶望的で最早撤退も敵うまい。二人はそう理解したうえでアックアと対峙する。
十中八九、上条たちは敗北する。しかし上条の表情は晴れやかだった。
本当は願ってはいけない、こんな展開は上条にとって忌避すべきものだった。
自分以外の、平和の中で生きていられた誰かを連れて死線を潜るなんてのは、彼の信念を根底から揺るがす事態だ。
だが、それでも嬉しさを感じずにはいられなかった。頼もしさを覚えずにはいられなかった。
この瞬間、常に一人で戦うのを善しとしていた上条は、彼女の行為に確かに救われていたのだから。
トウマ「お前を死なせるわけにはいかねえからな。……倒すぞっ!!」
ワースト「ぎゃは☆あなたこそ、さっきみたいな醜態さらすなよ!」
トウマ「うっせーよ!」
お互いに軽口を叩きあいながら、二人は絶望へと立ち向かっていった。
仮想学園都市 第七学区 夜明けの三毛猫団アジトにて――
ミコト「う……ん……?」
イン「みこと、気がついた?」
ミコト「ええ……あ、くッ!」
イン「無理に起きあがったらダメ! 結構な時間、瀕死の状態が続いたから神経に負担がかかってるんだよ!」
目を覚ました美琴は、気絶前の状況を思い出し飛び起きようとしたが、激しい頭痛に襲われ顔をしかめる。
仮想世界なのでダメージを受けても流血したりはしない。痛覚もシステムがある程度は和らげてくれる。
しかし、精神的なストレスだけは如何ともしがたく、瀕死の状態が続けば、それだけメンタルに負荷が蓄積するのは自明だった。
当の美琴はそれどころではなく、状況の推移を知りたいと、視線でインデックスに訴える。
イン「落ち着いて聞いてほしいんだよ……」
そう前置きしてから、インデックスが淡々と事務的に語り出した。
窓のないビル第30階層から辛くも脱出に成功し、二時間が経過したこと。
未だ上条と番外個体が帰還していないこと。
二人の捜索のために、自分たち以外の攻略組ギルドが駆り出されたこと。
今までのボスがボス部屋から出られなかったのと異なり、アックアは迷宮フロアまで行動範囲があること。
上記の事実から30階層の探索、及びボス攻略はリスクが高すぎるため一時凍結が決定したこと。
ポツリ、ポツリと語られる言葉が脳に浸透するにしたがって、美琴はカラダの震えを抑えきれなくなっていった。
ミコト「ね、ねぇ……お兄ちゃんたちは、い、生きているのよね……?」
イン「それは……」
美琴の縋るような視線に耐えられず、インデックスは俯き答えに窮する。
否、答えに窮するというのは正確ではない。彼女は答えを知っているのだ。伊達に暇を持て余してゲーマーをしていたわけではない。
その知識が、経験が、何よりフレンドリストが、上条たちの辿った結末を雄弁に語っていた。
死亡したプレイヤーはフレンドリストから自動削除される。つまりはそういうことだった。
黙りこむインデックスに埒が明かないと判断したのか、美琴はサッとメニューウインドウを開き、フレンドリストを閲覧する。
目の前に表示されたウインドウを、右手で高速スクロールさせ目当ての項目を探す。
ミコト「あ、あれ? どうして……? お、おかしいわね……」
リストの一番上に表示されるべき、大好きな兄の名前がどこにも表示されていない。
苦手意識が抜けきらない、少し意地悪な末の妹の名前も同様だ。
隅から隅まで読み返しても見つからない。一体どうなっている、バグならば早急に改善してほしいと、美琴は独りごちる。
ミコト「これってバグよね? まったく、こんな世界に閉じ込めておいて、システム管理までお座なりってどうなのかしら」
イン「みこと……」
ミコト「ま、こんな時こそ、この美琴様の出番よね。ちょろっとシステムをハッキングして…」
イン「みことッ!!」
ミコト「なによ……そんな大声出して」
親友の悲痛な叫びが、現実の非情さを運んでくる。カラダの震えは、いよいよ病的なレベルにまで進行し歯が上手く噛みあわない。
ダメだ、これ以上目の前の親友を喋らせてはダメだ。
――キット、トリカエシノツカナイコトニナル
イン「本当はみことも気付いてるはずだよね……」
ミコト「な、なんのことよ」
イン「とうまたちの捜索っていうのは正確じゃないの。本当はアイテムドロップ……遺留品の回収なんだよ」
ミコト「やめて……やめてよ……」
イン「最後に私が見た、とうまとアックアの位置関係から考えても、とても離脱できるようには思えない……」
ミコト「うそ、うそよ……騙そうたって、そうはいかないんだから……」
イン「戦って勝つなんてもっと無理。とうまとワーストがどんなに上手く立ち回っても、絶対にアックアには届かない……」
ミコト「そんなわけないっ!! お兄ちゃんが負けるなんて、あるはずがないっ!!」
インデックスの言葉に美琴が激昂する。百人が百人とも納得する冷静な分析に違いないが、美琴だけは認められるはずもなかった。
ミコト「レベル4の量子変速が起こした大爆発を、右手一本で防いでみせた!」
イン「うん……」
ミコト「私が逆立ちしたって敵わない、学園都市最強にだって勝って、私と妹達を救ってくれたっ!!」
イン「うん……」
ミコト「黒子のピンチにも駆け付けてくれた……!」
イン「うん……」
ミコト「ボロボロになっても、信念を貫いて仲間がいる戦場に向かっていったのよ……」
イン「うんっ……」
ミコト「北極の海に沈んだ時だって、か、帰ってきてくれたんだから……っ」
イン「うんッ……ひっく……」
ミコト「だから……だからぁ……」
イン「私だって、私だって信じたくないんだよ……でも、とうまも、ワーストも、うぐっ、もういないんだよっ……」
ミコト「……っ、ひっ、い……イヤああぁああぁあああァァアアアアアーーーーー!!!!」
◇ ◇ ◇ ◇
ヨシカワ「人って、あんな泣き声を上げることができるのね……」
Lo「ぐすっ、ひっく……」
Ax「まだ三分の一も攻略してないってのに、こンなンで本当にクリアできるのかよ……ッ」
ヨシカワ「それでも前に進むしかないわ。あの子たちに報いるためにもね」
Ax「クソがっ!!」
窓のないビル 第30階層――
現在探索を禁止されている、上条たちが消息を絶ったフロアを二人の魔術師が検分していた。
カンザキ「この学ランは……」
ステイル「あの男の装備品だろう。他には何も落ちていないが……」
カンザキ「はい、恐らくここで決戦が行われたのでしょう」
ステイル「だろうね。この荒れ具合、ここが戦場だったに違いない」
カンザキ「流石は後方のアックアといったところでしょうか。システムの補修が追いついていません」
神裂の言葉通り、辺りは戦闘の傷跡が痛々しいばかりに広がっていた。
そこら中の地面は抉れ、隆起し、まるで絨毯爆撃されたかのような有様だ。
ステイル「上条当麻は脱落したようだね」
カンザキ「ええ……」
ステイル「これからどうする?」
カンザキ「どう、とは?」
心ここに在らずな同僚に、赤髪の魔術師は深いため息を吐く。
ステイル「今回ばかりは直接手を貸してやったらどうだい」
カンザキ「し、しかし、それでは……」
ステイル「インデックスは兎も角、御坂美琴は拙い。上条当麻を失った彼女が、どういった行動に出るかなんてサルでも分かる」
カンザキ「復讐……ですか」
ステイル「そして親友である彼女も、それに付き合うだろう」
カンザキ「確かに……。ですがこの世界は最長であと一年十カ月も続くのですよ? 無駄に長く苦しむならいっそ…」
ステイル「それは神の視点を持つモノの驕りだ。仮想世界とはいえ彼女たちは、今、この世界で必死に生きているんだ」
カンザキ「…………」
ステイル「これは僕個人の勝手な願いだが、御坂美琴に肩入れしてくれないか?」
カンザキ「…………」
同僚の頼みを聞き入れるべきか否か。ひとつの決意をした神裂火織は検分が終わるまで、それ以上何も喋らなかった。
といったところで今回は終了
このシリアス展開はあと二回ほど続くので、ゆるい内容希望のかたにはご迷惑をおかけします。すまんのう
久々に投下ー
デスゲーム開始から三カ月経過
仮想学園都市 第十七学区 操車場――
夜の帳が下りた人気のない操車場、そこに剣戟の鋭い音が響く。
ミコト「やああっ!!」
カンザキ「…………」
美琴は手にした片手剣を巧みに操り、相対する神裂を果敢に攻め立てる。目にも留まらぬ剣閃は、全てが必殺のそれである。
対照的に、神裂は最小限の動作で美琴の斬撃をいなし続ける。
一見拮抗しているように見えるが、肩で息をする美琴に対し、神裂は明らかに余裕を持って戦っていた。
その状況が数分続き、美琴の疲労が限界に達したと判断した神裂は、守勢から一転、攻勢へと切り替えた。
愛刀である七天七刀の柄に手をかけ、音速超の抜刀術で美琴に猛然と襲いかかる。
カンザキ「速さは及第点ですが、まだまだ動作に無駄が多い!」
ミコト「くッ」
カンザキ「守りも同様です。攻め一辺倒ではアックアはおろか、私にすら届きませんよ」
ミコト「ま、まだまだァァーーーッ!!」
前後左右、オールレンジに繰り出される神裂の斬撃を、美琴は剣でパリィし、或いは避け、それでも満身創痍になりながら凌ぎきった。
その事実に神裂は感嘆する。
カンザキ「今回はまだ意識があるようですね。目を見張る成長ぶりです」
ミコト「そう何度も……楽に倒せると……思うな……」
カンザキ「一応褒めているのですが」
ミコト「そりゃ、どうも……」
皮肉とも取れる神裂の称賛に、ぎこちなく答えた瞬間、美琴の全身から力が抜けその場に崩れ落ちた。
カンザキ「負けず嫌いもここまで極まれば、ある種の才能ですね」
神裂は回復ポーションで美琴を治療しながら、ひと月前の出来事を思い返していた。
◆ ◆ ◆
ひと月前
仮想学園都市 商業区――
神裂火織は困っていた。商売が立ち行かないとか、ギルドメンバーが問題を起こしたという類ではなく、己より年下の少女に困らされていた。
ミコト「お願いします! 私に剣を教えてくださいっ!!」
カンザキ「ちょっ!?」
出会いがしら、上条もかくやと言わんばかりの土下座を極める美琴に神裂はギョッとする。
お客A「おい見ろよ。あそこで土下座してる子、もしかして超電磁砲じゃないか……?」
お客B「うわぁー、いい年した大人が女の子に土下座させるなんて酷くね?」
風評被害が発生した。
カンザキ「評判が!? うちの店の評判がーーっ!?」
ミコト「私に出来ることなら何でもしますから、どうか! どうかお願いします!!」
カンザキ「と、ともかく頭を上げてください!」
ミコト「あなたしか頼れる人がいないんです! だから首を縦に振ってもらえるまでは出来ませんっ!!」
カンザキ「いくらでも教えてやるから土下座はやめろド素人がァァッ!?」
ステイル「やれやれ、僕が危惧していた状況になっていないのは僥倖だけど、これはどういう事だい?」
イン「……みことはとっても強い女の子なんだよ」
ステイル「君が支えてあげたのか?」
イン「そのつもりだったんだけどね。……多分ステイルが想像してるとおりかも」
ステイル「立つ鳥跡を濁さず、ね。あの男も最低限の責任は果たしたわけか」
上条当麻と番外個体の脱落から僅か二日後、御坂美琴は行動を開始していた。
◇ ◇ ◇ ◇
現在
仮想学園都市 第十七学区 操車場――
ミコト「う、うぅ……?」
カンザキ「気がつきましたか」
ミコト「なんとか……いたた、また倒されちゃったのか。ホント聖人ってチートよね」
悪態をつきながら身を起こす美琴に、神裂は苦笑する。
カンザキ「現実と違い、ここでは複雑な制御術式なしで力を振るえますからね」
ミコト「やってらんないわよ。こっちが一回斬る間に、神裂さんてば十回くらい斬ってるでしょ?」
カンザキ「正確には十一回です」
ミコト「くっそー、目では追えてたと思ったのになぁ」
カンザキ「視覚だけに頼るべきではない。もっと五感を研ぎ澄まし、あらゆる状況に対処しうる感覚を養いなさい」
ミコト「……神裂さんって野生児みたい」
カンザキ「ッ!!」
美琴の暴言に、神裂の七天七刀の鞘が高速で閃く。
ミコト「あいたっ!?」
カンザキ「あなたのタフさは兄譲りだと感心しますが、いらん事をほざく口も兄譲りのようですね」
ミコト「あ、あはは……」
ここ一カ月の間、美琴は神裂から剣の手ほどきを受けていた。これはインデックスたちと相談して決めた事で
万能型の美琴を攻撃に特化させるための処置だった。
再編したパーティーにおいて、一方通行は敵の攻撃を一身に集めるタンク(叩かれ役)であり、インデックスはパーティーの
継戦能力を高めるヒーラー(回復役)だった。
そこに足りないのは、圧倒的な攻撃力で敵を駆逐するダメージディーラー(攻撃役)だ。
美琴ならば無難にこなせるだろう。しかし万能型といえば聞こえが良いが、裏を返せば器用貧乏に他ならない。
圧倒的強者と相対した場合、それでは抗しえない。美琴に求められるのは、どんな相手も問答無用で叩き伏せる速さと攻撃力だ。
なのでテコ入れをすることにしたのである。
カンザキ「しかし、あなたの順応力の高さには驚かされます。短期間でここまで上達するとは……」
ミコト「そんなの買いかぶりよ。剣を振れば振るだけ熟練度の数値が上昇するんだもん」
仮想世界を支配するのが、公平を旨とするシステムである以上、美琴の言葉は正しい。
SMOはレベルとスキルの併用制をとっているので、単純なパラメータはレベルに、能力や魔術や武器などの習熟はスキルに依存する。
能力と魔術は初期適正のものしか習熟発展できないが、武器や体術、料理に裁縫などは経験を積むだけで誰でも上達できるのだ。
カンザキ「だとしてもです。第一、ダメージソースに剣を選ぶこと自体が異端なのですよ?」
ミコト「常識で考えれば、電撃や超電磁砲で戦うほうが効率的でしょうね。でも、この世界を飛び越えるには常識なんて邪魔なだけ」
カンザキ「……敵を、上条当麻の敵を討つためですか」
自分の口から出た言葉に、神裂は鬱屈した気分になる。
目の前の快活な少女が復讐に身を焦がす。美琴を気に入り始めている神裂は、複雑な心境だった。
ミコト「あはは、そんな事のために頑張ったりしませんってば」
美琴の予想外にあっけらかんとした答えが、神裂を呆けさせる。
カンザキ「は……?」
ミコト「そりゃお兄ちゃんの敵は憎いけど、そればかりに囚われるのは私らしくないもの」
作りモノの空に浮かぶ月を見上げ、美琴は悪戯っぽく言葉を紡ぐ。
ミコト「目の前のハードルが高ければ高いほど、飛び越えてやらなきゃ気が済まない、なんてね♪」
カンザキ「……あなたは強いのですね」
ミコト「それこそ買いかぶりよ。……よし、休憩はおしまい。今度こそ一本取らせてもらうんだから!」
気持ちを切り替え、やる気を漲らせる美琴に神裂は苦笑する。
カンザキ「意気込みは十分ですが、勝算はあるのですか?」
ミコト「フフン、剣だけだと勝てないでしょうね」
不敵に微笑み、剣を構える美琴の全身から紫電が迸る。
カンザキ「帯電……?」
ミコト「電撃を放出するだけが能じゃないのよ。『電磁加速(リニアアクセル)』――――こんな風に生体電流を弄ってやればッ!!」
カンザキ「ッ!?」
雷鳴の如きスピードで、美琴は神裂に斬りかかった。
◇ ◇ ◇ ◇
仮想学園都市 第七学区 夜明けの三毛猫団アジト――
美琴が神裂の手ほどきを受けている同刻、インデックスと一方通行は頭を悩ませていた。
イン「とうまの抜けた穴をアクセラレータが埋めて、みこと主体で攻めるのは決定事項として、あと一手欲しいっていうのが本音かも」
Ax「オマエもアタッカーに回ればいいだろ。折角の高火力を遊ばせとく道理は無ェ」
イン「う~ん、基本はそれで良いと思う。でもアックア相手には悪手なんだよ」
Ax「……あくまでオリジナルの考えた戦法でいくつもりか?」
苦虫を噛み潰したように一方通行の表情が歪む。
イン「心配なのは私も同じなんだよ。でもアクセラレータも理解してるでしょう? これは みことにしか出来ないって」
Ax「チッ……いっそ垣根のヤツに、ラック補正の効かないフィールドを形成してもらうか?」
イン「かきねって、あの羽根の人?」
Ax「あァ」
イン「信頼できるの?」
Ax「無理だ」
インデックスの問いに、コンマ01秒で返答が飛んでくる。大体の事情を察したインデックスは深いため息を吐く。
イン「こんな時くらい協力し合えないのかな?」
Ax「あンな野郎と協力だァ? 背中を預けた瞬間に、バッサリ斬られるのがオチだっつの」
イン「じゃ、じゃあ、みさきのギルドに…」
Ax「数が多いだけの素人集団に期待できンのか? 俺たちがやってンのは殺し合いなンだが」
イン「……無駄に死人が増えるだけかも」
Ax「第四位は能力の性質上、今回は役に立たねェし、第七位は……意思の疎通が出来ねェ」
イン「天草式はボス攻略に出てこないんだよ……」
Ax「連携もクソもありゃしねェなァ……」
今度は示し合わせたように、二人の口からため息が漏れる。
倦怠感溢れる不健全な空気を察したのか、打ち止めが二人の元へ駆け寄ってくる。
Lo「もうっ、二人とも諦めムードなんてらしくない! ってミサカはミサカは発破をかけてみたり!」
Ax「つゥか本当に上手くいくのか?」
イン「うん、きっと上手くいく。みことがアックアと競り合った時、攻撃力で劣るみことにダメージがいったのを覚えてるかな?」
Ax「……スリップダメージか。だが肝心の攻撃力は確保できるのかよ。ハッキリ言って、超電磁砲が発揮できる最大火力は俺らに及ばねェぞ」
イン「火力なら出せるよ。自爆覚悟の特攻戦法になっちゃうけどね」
Ax「オイオイ……」
イン「だから私のリソースはみことの回復だけに振り分ける必要があるんだよ」
Ax「ハァ……ま、オマエがそこまで言うなら信用してやるよ。不本意だが壁役くらいこなしてやる」
イン「ありがとう、アクセラレータ!」
Ax「生前の上条の苦労が偲ばれるぜェ……」
イン「それはどういう意味なのかな!?」
Ax「さァな」
イン「むぅぅ! 私もみことも、とうまに迷惑なんてかけてなかったもん!」
Ax「ハイハイ、ぼちぼち晩飯にすっか」
イン「うんっ! 今日のごはんは何かなー……って、あれ?」
上手く話を逸らした一方通行は、頭上にハテナマークを浮かべるインデックスを連れて食事を取りに行った。
Lo「スルーされちゃった? も、もしかしてお姉さまのスルー体質がミサカにも!? ま、待ってー!? ってミサカはミサカは二人を追いかけてみたりぃぃ!」
◇ ◇ ◇ ◇
仮想学園都市 第七学区 繁華街――
今まで順調に進んでいた窓のないビル攻略。しかし一か月前に、攻略組でも最強と目されるギルドが敗走して以来
一階層も進まず停滞していた。
それまではデスゲームといっても、危険な地区や窓のないビルに近寄らなければ死の危険はあまりなかった。
だが停滞した一カ月という時間が、タイムリミットの存在を多くのプレイヤーに意識させ、恐怖と混乱を引き起こした。
二年経てば問答無用に抹殺される。なのに攻略は遅々として進まず、人々の不安は日に日に増していく。
そんな背景に、仮想学園都市の治安も悪化の一途を辿っていた。
SV「ヒャッハー!! 死にたくなけりゃ装備品とアイテム全部置いていきな!」
女学生「そ、そんな……」
SV「抵抗しても無駄だぜぇ? なんつっても俺ァ、攻略組の幻想殺しなんだからよォ?」
女学生「幻想殺し!?」
SV「名前くらいは聞いたことあるだろう? 悪いこた言わねえ、さっさと出すもん出せや!」
悪化する治安は、容赦なく弱者に牙を剥く。この様な光景は最早、日常茶飯事になりつつあった。
しかし、捨てる神があれば拾う神がいるように、懸命に治安維持に努めるプレイヤーもまたいた。
クロコ「ジャッジメントですの! 風紀委員の職責に従い、あなたを拘束します!」
SV「あァん? テメエ、俺を誰だと……って、ゲエッ!?」
クロコ「おや? どこの三下かと思えば、黒妻さんに成り済ましていたスキルアウトではありませんか」
SV「誰が三下だっ!! 俺には蛇谷っつー立派な名前があるんだ!」
クロコ「蛇谷だからPC名がスネークバレーですの? 創意工夫を感じない、センスのない名前ですこと」
SV「余計な世話だ!」
女学生「き、気をつけて! その人、自分を幻想殺しだって言ってました!」
クロコ「……なんですって?」
SV「ひいっ!?」
クロコ「よりにもよって、その名を語りますの……」
SV「そ、それがなんだってんだ! 攻略組だか何だか知らねえが、全然音沙汰ねえだろうが! どうせ狩り場やレアアイテムを独占して…がァッ!?」
自分のしたことを棚に上げ、燻っていた不満を噴出させた蛇谷だったが、最後まで吐き出す事は出来なかった。
頭二つ分も身長差のある黒子に投げ飛ばされたからだ。
敬愛する御坂美琴を想えば、先程の暴言は黒子にとって許し難いものだった。
この世界に囚われた人々を解放するため、命がけで攻略に挑み、最愛の人を失ってしまった一つ年上の先輩。
今でも忘れはしない。颯爽として凛々しかった彼女が、あらゆる感情を失った姿を。そして己の無力さ加減を。
もうダメだと思った。憎き恋敵の死をもって、世界も彼女も終わってしまったとしか思えなかった。
だがそれでも立ち上がり、悲しみを押し殺して前に進む姿を見せられたのだ。だからこそ白井黒子の憤りは筆舌に尽くしがたかった。
クロコ「こんなところで略奪行為に勤しんでいる小者が、賢しらに吠えないでもらえませんこと?」
SV「なっ!」
クロコ「あら? なけなしのプライドでも傷つきましたのかしら?」
SV「クソっ!! いつも上から見下しやがって……ッ! 高位能力者ってのは、そんなに偉いのかよ!」
蛇谷が吐き出した言葉に、黒子は自身の怒りが急速に冷めていくのを自覚した。
クロコ「……レベルや能力の優劣だけで戦えるわけではありません」
SV「は?」
クロコ「大切な何かのために、死の恐怖を抑え込み前線に出る勇気がどれ程のものか、あなたは御存じですの?」
SV「…………」
クロコ「かく言うわたくしも、攻略組に参加するには技量も覚悟も足りていません。ですがそこで腐るほど、恥知らずではありませんのよ」
例え攻略に貢献できずとも、後方の安全を確保するくらいは自分にも出来る。
それが人一倍正義感の強い、白井黒子の意地と誇りだった。
クロコ(たったの三カ月でこのザマとは……。思いのほかタイムリミットは短いのかもしれませんわね)
◇ ◇ ◇ ◇
仮想学園都市 第十七学区 操車場――
想像を絶する難敵として立ちはだかった後方のアックアを撃破し、以降の攻略に繋げるために始めた特訓。
その成果に神裂火織は驚愕していた。
カンザキ「ぐッ、かはっ、ハァ……ハァ……い、今の一撃は一体……?」
美琴が能力で身体強化を施してからの攻勢は、まさに疾風迅雷を体現していた。
素早さ極振りのアサシンすらぶっちぎる勢いでの連続攻撃。パラメータの優位性すら覆しかねない程の速さだった。
事実、神裂をもってしても対応可能になるまで防戦一方だったのだ。
だがそのスピードすらフェイクに過ぎなかった。
カンザキ「咄嗟に『唯閃』で迎撃したというのに、HPを五割近く持っていかれるなんて……」
上手くパリィが成功すれば、敵の斬撃をデメリット無しで無効化できるのだが、アレはそんな次元の一撃ではなかった。
魔術師の、戦士として長年培った勘が、奥義での迎撃以外に活路は無いと告げていた。
そして躊躇い無く『唯閃』を繰り出したというのに、神裂は美琴に競り負けた。
カンザキ「あれは聖人の本気を凌駕する一閃でした。正直、受けた身としても信じられません」
ミコト「…………」
カンザキ「初見で唯閃を破られたのは複雑ですが、先程の技を詳しく知りたい。……美琴?」
即席とはいえ、一ヶ月間 手塩にかけて育てた弟子の成長ぶりに興奮気味の神裂だったが、沈黙したままの美琴に違和感を覚える。
技の反動で気を失ったのかと、美琴のHPバーを確認した瞬間、神裂は岩のように固まった。
カンザキ「え、HPバーが、ぜ、全損している……」
有体に言って、美琴は死んでいた。
数分後
ミコト「いやー、まさか技の反動で死んじゃうなんて予想外よねー」
カンザキ「何を呑気に構えてるんですか!?」
あははー、と笑い飛ばす美琴に神裂が食ってかかる。
カンザキ「偶然あなたが『神の祝福』を所持していたから良かったものの、そうでなければ確実に死んでいたんですよ!?」
番外個体が去り際に託したお守りは、一回限りの自動蘇生を可能とするレア中のレアアイテムだった。
ミコト「うわぁー、超レアアイテムを無駄にしちゃったのか。勿体ない」
カンザキ「一度きりの保険がパーです! 何を考えてるんですか!?」
ミコト「効果なんて知らなかったんだし、しょーがないじゃない。インデックスの回復補助無しで、アレを使えば即死亡ってのが確認できただけでも良しとしないとね」
カンザキ「あ、あなたという人は……」
ミコト「……もしもお兄ちゃんか、あの子が持っていれば死なずに済んだかもしれないのかな?」
カンザキ「……その通りです。悔やんでも悔やみきれません」
悔やみきれない過去が、暗澹たる思いを運ぶ。それを振り切るように美琴は勢いよく頭を下げる。
ミコト「今日まで稽古をつけてくれて、本当にありがとうございました!」
カンザキ「……礼には及びません。私としても、十分に得るものがありました」
ミコト「私、絶対にこのゲームを……この世界を飛び越えてみせます。他の誰でもない、私自身の意思で!」
胸を張り強い意志を宿した瞳で、美琴は高らかに宣言する。
ミコト「もう一度、あの男に挑みます。お兄ちゃんを殺した、あの男に」
カンザキ「彼は私とは比べ物にならないほど強いですよ?」
ミコト「だからって、引くわけにはいかないから。だから今度こそ勝ってみせる」
その為の準備は完了している。インデックスと一方通行も同様だろう。
ならば、恐れることは何もない。
カンザキ「フフ、その意気込みは高く買いますが、得物がその有様では勝てるものも勝てませんよ」
ミコト「ふぇ? ……あ゛」
指摘されて見てみれば、美琴が使っていた剣が中ほどからポッキリと折れていた。
ミコト「どど、どうしよう!? これって結構な業物だったのにぃぃ!?」
カンザキ「仕方ありませんね。不肖の弟子に餞別を差し上げましょう」
そう言うと、神裂は腰に差してある七天七刀を美琴の眼前に差しだした。
ミコト「ええーーっ!? ちょ、え、貰っちゃっていいの!?」
カンザキ「貸すだけですよ。アックアを倒したら返しにきなさい」
ミコト「神裂さん……」
感動に胸を震わせながら、師の愛刀を受け取る。聖人の膂力にも耐えるこの刀ならば、アスカロンにも対抗しうるだろう。
神裂の優しさと期待を感じずにはおれない美琴だった。
ミコト「武士の魂、確かに借り受けました」
カンザキ「私は武士ではありませんっ!?」
ミコト「あ、侍だったっけ?」
カンザキ「違います!」
ミコト「えー、お兄ちゃんから神裂さんはロンドンで十指に入る武士だって聞いてたのに」
カンザキ「兄妹揃ってふざけやがって……ッ、魔術師に決まってるだろうがド素人がああァアアア!!!」
ミコト(その出で立ちで魔術師はないわー。ステータスだって筋力極振りの脳筋スタイルでしょうに)
色々と台無しな師弟愛がそこにあった。
仮想学園都市 第七学区 夜明けの三毛猫団アジト――
ミコト「たっだいまー」
イン「おかえりなさい、みこと!」
ミコト「死ぬほど疲れたー、ていうか実際死んじゃったし」
イン「もう、冗談でも死ぬなんて言ったらダメだよ」
ミコト「はいはい、それよりよそ様のギルドに長居するのも悪いから、帰る支度をしなさい」
イン「はーい」
ミコト「芳川さん、今日もうちの大飯食らいがお世話になりました」
イン「お、大飯食らいは酷いかも!」
ヨシカワ「現実と違って食費はタダ同然だから気にしないで。大飯食らいでも全然平気よ」
イン「二人とも酷いんだよ!?」
ここは仮想世界なので、必ずしも食事を摂る必要はないのだが、インデックスは食事を欠かしたことが皆無だった。
ミコト「打ち止めたちにも挨拶したいんだけど、もう寝てたりする?」
ヨシカワ「打ち止めは、ね。彼はあなたと顔を合わせ辛いのでしょうね。レベリングするんだって出かけたわ」
ミコト「まあ仕方ないわよね。私だってそうだし」
イン「もう、今はパーティーの仲間同士なんだから仲良くするべきかも」
ミコト「私たちの関係はこれでいいのよ。慣れ合いなんて鳥肌が立つっての」
かつての怨敵と仲良くしている自分を想像できない美琴だった。そしてこれからも友誼を結ぶなんて、まっぴら御免だと悪態をつく。
しかし難儀なことに、その能力には絶大な信用を置いているとも自覚していた。
ミコト「帰ってきたら伝えてください。――こっちの準備は整った。アンタの力を貸して欲しい、ってね」
ヨシカワ「そう……。分かったわ」
近く訪れるであろう決戦の機運に、芳川は緊張した面持ちで頷いた。
第七学区 ラブリーゲコ太団アジト――
疲れた体を押して、何とかギルドのアジト……上条の部屋へと帰り着くと、美琴はベッドに倒れ込んだ。
ミコト「あーもうクタクタだぁー……」
イン「みこと! 寝るならパジャマに着替えないとダメなんだよ!」
ミコト「いーじゃん別にー。ただのデータなんだから皺にならないしー」
イン「そういう問題じゃないんだよ!」
ミコト「はいはい、わかってるわよー……」
イン「だったらすぐに着替え……ハァ、もう寝てる」
疲労が限界に達したのか、美琴はスヤスヤと寝息を立てていた。
イン「とうまが居なくなった途端にズボラになるんだから」
インデックスはため息を一つ吐くと、ベッドの脇にあるテーブルに目をやる。
テーブルの上には綺麗な宝石のようなモノが置いてあった。
イン「……とうま、みことは元気になったんだよ」
ぽつり、とインデックスは宝石に語りかける。
イン「状況が許さないのは分かってる。でも……本当はもっと悲しむべきなのに……みことが戦わなくたって、いいはずなのに」
イン「それもこれも、全部とうまのせいなんだよ……。こんな呪いみたいな遺言を残すから……」
怒りとも悲しみともつかない複雑な感情の籠った声音。
インデックスは、美琴が立ち直った日のことを思い出していた。
◆ ◆ ◆
ひと月と、一日前
第七学区 ラブリーゲコ太団アジト――
まだ日が高いにも関わらず、部屋の中は真っ暗だった。何処となく空気は淀んでおり、およそ人が暮らしているとは思えない有様だ。
そんな退廃的な雰囲気を醸す部屋で、御坂美琴は抜けガラのように力なくベッドに横たわっていた。
イン「みこと……」
上条たちの死から数日、散々泣き暮らした美琴は生きながら死んでいた。
大好きな親友の声も届かず、ゆっくりと、緩慢に、だが確実に腐っていくだけの存在に成り果てていた。
大好きな兄の喪失が、溌剌な少女を残酷なまでに破壊し尽くしていた。
イン「攻略は、私とアクセラレータで何とかしてみせるから心配いらないよ。みことはゆっくり休んでいて」
掛け値なし、本心からの言葉だった。
心がポッキリ折れてしまった美琴を鞭打つなど、インデックスには出来なかった。
失った人が大切なほど、その死を受け入れるのに時間がかかるものだから。
ゆっくりでいい、時間が悲しみを忘れさせてくれるまで、美琴が再び立ち直るまで、自分を鞭打つとインデックスは決意していた。
イン「じゃあ、行ってくるね」
そう言って部屋を出ようとしたインデックスの視界の端に、キラリと光る宝石のような物体が映る。
テーブルの上に置かれていたソレに、インデックスは覚えがあった。
――『思念使い(マテリアライズ)』
精神系の能力で、主に想いや記憶を結晶化することが出来る能力。この宝石モドキは想いを結晶化したものだった。
戦闘にはまるで役に立たないと、上条がぼやいてたのをインデックスは覚えている。
しかし上条の遺品は、彼が愛用していた黒の学ランだけで、その学ランは美琴が大事にしまっていた。
イン「たしかアイテムとして使用すれば、結晶化した内容を再生できるはずだけど……」
結晶と美琴の間で視線を彷徨わせながら逡巡するインデックス。
もし仮に上条が美琴に向けてメッセージを残していたとすれば、彼女に聞かせるのが正か否か判断に迷う。
死者の言葉に生者が引きずられる危うさを、インデックスは危惧していた。
だが皮肉にも、その迷いが美琴に結晶の存在を気付かせる時間を与えてしまった。
ミコト「それ……お兄ちゃんの……?」
虚ろな目をした美琴が小首をかしげながら問いかけてくる。
ミコト「ねえ、インデックス……そうなんでしょ……?」
昨日から一言も喋らなかった美琴の言葉に、安堵しながらインデックスは頷いた。
美琴の目に触れてしまった以上、危惧はありこそすれ誤魔化しは無意味だった。
イン「再生してみる?」
ミコト「うん……」
幽鬼のように頼りなく首を縦に振る美琴。その瞳は絶望に染まっており、表情から一切の感情を窺えない。
しかし――
トウマ『あー、テステス、……ちゃんと吹き込めてんのか? まあいいや』
ミコト「あ……」
トウマ『これを聞いてくれてるのは御坂とインデックスなのか? そうであって欲しいっつーかお前ら無事だよな!?』
ミコト「あ、ああ……」
トウマ『い、いやきっと大丈夫だ。御坂は少し不安だけど、インデックスがいるから大丈夫なはずだ、うん』
ミコト「お兄ちゃん……ッ」
トウマ『と、ともかく、もしもに備えて遺言を残しておくからな。んで、これを聞いてるってことは俺は死んでるんだよな……ぐすっ、自分で言って悲しくなってきた』
ミコト「ばかっ! ホントに……バカなんだからぁ……」
上条の声が一句一句耳に入るたびに、美琴の瞳から雫がポロポロとこぼれ出す。
失われたと思った感情が、堰を切ったように溢れて止まらなかった。
トウマ『くっそー何だこれ。戦う前から士気下がりまくりなんですが……。おっと、時間がないから手短に済まさないと拙いんだった』
イン「とうまは、やっぱりとうまなんだよ……」
呆れ半分、懐かしさ半分でインデックスがため息を漏らす。
トウマ『んんっ! まずはあれだ、俺が死んでも誰も恨まないで欲しいんだ』
ミコト「…………」
トウマ『ふざけたゲームに巻き込まれたのは事実だし、俺だってムカつくけど、今は攻略を最優先に考えて欲しい』
イン「…………」
トウマ『迫ってくるタイムリミットにみんな怯えてる。本当は優しいはずの人も、疑心暗鬼に囚われて自分から不幸になってる』
トウマ『だから俺たちが立ち止まるわけにはいかないんだ。次のボス、アックアは強敵だ。あいつの強さを正しく再現されてるなら犠牲者が出るかもしれねえ』
美琴たちの脳裏に、理不尽なまでの強さを見せつけた二重聖人の姿がよぎる。
トウマ『それは近接戦しか出来ない俺の可能性が高いんだろう。……つーか死んじまったんだよな』
トウマ『もう御坂のワガママを聞いてやれないと思うとお兄ちゃんは……うっうっ……』
ミコト「ぐすっ……」
トウマ『……悪い、また脱線しちまった。支離滅裂になったけど、俺が望むのは、二人には幸せに生きて欲しいってことだけなんだよ』
ミコト「そんなの無理よ……。お兄ちゃんがいないんじゃ、私……もう笑えないよぉ……」
トウマ『失う悲しみに負けないでくれ。一方通行のとこの連中や白井たち、他にも大切な人たちはたくさんいるはずなんだ』
イン「うん……」
トウマ『悲しいからって、そいつらを見殺しにしていい理由にはならねえ。それに戦うべき時に戦わないと、後できっと後悔すると思うんだ』
ミコト「黒子……初春さん、佐天さん……。わ、私は……」
かつてボロボロになりながらも、仲間を見殺しには出来ないと戦場へ向かう兄の背中がフラッシュバックする。
トウマ『本当なら俺が守るべきなんだけどな。ハハ、大切な妹を危険な目に遭わせようとするなんて兄貴失格だな』
ミコト「そんなことないっ! 私が無茶したせいで……ッ」
取りとめのない上条の言葉に、僅かなノイズが混じり出す。
トウマ『もう限界か。能力は全然使ってなかったからこんなもんか』
ミコト「ま、待って!」
トウマ『これで本当にお別れだ。美琴、どうか仲間を大切に、インデックスと仲良く……幸せにな』
ミコト「こんなの一方的すぎる……私はお兄ちゃんみたいに強くないッ! もう幸せになんて……なれないわよぉ……」
嗚咽を漏らしながら泣き崩れる美琴。彼女には上条の願いを受け入れる事など不可能だった。
強さと優しさを兼ね備えた彼女を支える、一番重要な柱が折れてしまったから。
それさえあれば、どんな困難にも立ち向かえる。上条当麻という心の拠り所を失った美琴に、最早再起は無理だと思われた。
だが……
トウマ『あ、そうだ! もし死んじまっても、クリアすれば特典で生き返して貰えたりすんのかな? あはは、さすがに無……――』
ミコト「ッ!?」
流石に無理かな、と言い終える前に結晶は再生を止めた。
イン「まったく、もう少し要点をまとめてから録音すればいいのに。……ふふっ、でも とうまらしいね」
ミコト「そうよ……自力でクリアさえすれば……またお兄ちゃんに……」
ブツブツと、まるで熱に浮かされたようにうわ言を漏らす美琴の瞳に、強い意思の光が灯る。
イン「みこと……?」
次の日の朝、御坂美琴は周囲が驚くほど明るさを取り戻していた。
◇ ◇ ◇ ◇
現在
第七学区 ラブリーゲコ太団アジト――
イン「下手な希望なんてみせるから、みことは無理ばかり重ねてるんだよ……?」
物言わぬ結晶に、インデックスはが非難を浴びせる。
イン「今はいい。でもクリアして、もしその希望が砕かれたらどうするの?」
この世に死者を生き返らせる魔術など存在しない。
灰は灰に、塵は塵に。
それがこの世の理なのだから。
だというのに、上条の言葉が美琴に希望を与えてしまった。
兄の死を受け入れずに済む道を提示されたのだ。美琴がそれを信じるのは必然だった。
イン「とうまは残酷だよ……」
情の深い親友が、最愛の人の死を二度も突きつけられて正気でいられるわけがない。
だからこそ、ゆっくり時間をかけて立ち直るべきだった。
イン「私はこのゲームをクリアするのが怖くて仕方がないんだよ……」
白い修道女は、今夜も親友の代わりに涙を流す。
といったところで今回は終了
シリアスはあと一回でおしまい。まったり上琴目録が恋しくなってきましたー
間に合わんかったぁぁーーーーーー!?
だが落とさせはせん、落とさせはせんぞーー!! ってなわけで中途半端ですが投下ー
一万人のプレイヤーを絶望に叩き落としたデスゲーム。
その唯一の終了条件であるゲームクリアを目指す御坂美琴とインデックスたち。
道半ばで上条当麻と番外個体という犠牲を払いながらも、クリア特典という一縷の希望を繋ぐため歩を進める。
その先に待ち受ける残酷な真実など知る由も無く……
仮想学園都市 窓のないビル前――
初めての犠牲を出した敗戦から約ひと月、ついに再戦の日が訪れた。
ヨシカワ「各種アイテムに装備、細かな戦術も万全?」
Ax「抜かり無ェよ」
Lo「ミサカたちはお留守番だけど、みんなが無事に帰ってこれるように応援してる、ってミサカはミサカは激励してみたり」
ミコト「ま、なんとかなるわよ。勝てるだけの準備はしたもの」
イン「朗報を期待して欲しいんだよ」
ミコト「それじゃ、行ってくるわね」
本来レイドボス攻略のセオリーは複数のパーティーで行うものだが、今回は一パーティー、しかもたったの三人で挑む。
Lo「ヨシカワ……」
ヨシカワ「信じましょう。とても強い子たちだもの」
Lo「うん、……ヒーローさん、番外個体、みんなを守ってあげて、ってミサカはミサカは必勝を祈願してみる」
往く者、待つ者、違いはあれど戦う意味に違いはなかった。
窓のないビル 第30階層――
前回の攻略では、成す術なく逃げ帰った忌まわしい迷宮区。その薄暗い通路に白刃が閃く。
ミコト「いやー、七天七刀はサイコーね。敵が豆腐みたいだわ」バッサバッサ
イン「…………」
雑魚モンスターがポップする端から容赦のない斬撃が雨あられと降り注ぐ。
ミコト「おらおらァァーーー!!」ザシュッ!!
Ax「…………」
かつての殺戮者すら閉口してしまう、いわゆる中二的無双状態だった。
ミコト「それで攻撃してるつもり? 遅すぎんのよド素人がッ!!」ズバァァッ!!!
イン「みこと……」
ミコト「この身すでに、鬼神なり! なーんちゃって……インデックス?」ハテ?
イン「すっかり脳筋になっちゃったんだね」ホロリ
ミコト「ええっ!?」ガビーン
Ax「上条の野郎も草葉の陰で泣いてるかもなァ」
ミコト「なっ、泣いてないわよ!!」
イン「ごめんね、とうま。みことが人斬り抜刀斎になるのを止められなかったんだよ……」
ミコト「人なんて斬ってないもん! プログラムっ! 相手はプログラムでしょ!?」
Ax「明らかに人型のモンスターもいたけどなァ」
ミコト「ちょ、決戦前に士気を挫くようなこと言うなっ!?」
イン「あ、もうボス部屋だ」
Ax「無駄口叩いてないで最後の準備を済ませろ」
ミコト「……言ってることは間違ってないけど、言葉の端々から悪意を感じる」ゲンナリ
これがイジメか……、と肩を落とす美琴を余所に、重厚な扉で区切られた決戦場に三人は踏み込んだ。
アックア「…………」
広い円状のボス部屋、その中央に後方のアックアは居た。
圧倒的巨躯を誇る二重聖人。味方に希望を、敵には絶望を与える最強の傭兵。
聖剣アスカロンを肩に乗せ、尋常ならざる威圧感を部屋全体に撒き散らしながら悠然と佇む。
目を閉じ、口を閉じ、しかしその威圧感は雄弁に語っている。
――御託はいい、さっさとかかって来い、と。
ミコト「……上等じゃない。すぐにその余裕をぶち壊してやるわよ! インデックス、一方通行っ!!」
イン「了解かも!」
Ax「フン、三下に言われるまでも無ェよ」
美琴は得物を手にアックアへと突撃し、一方通行は詠唱を開始したインデックスの護衛に入る。
先程のユルイ雰囲気は何処へやら、剣呑な空気を切り裂き、因縁のボス攻略の幕は切って落とされた。
◇ ◇ ◇ ◇
商業区 天草式十字生協――
激闘が行われている一方で、必要悪の教会が誇る赤髪の神父と露出狂の疑いのある聖人は呑気にお茶を啜っていた。
ステイル「そろそろかな?」
カンザキ「ええ、もう交戦した頃でしょう」
ステイル「正直なトコ、どうなんだい?」
カンザキ「勝率は五分、といったところでしょうか。勝てるだけの条件と布石は十分ですから」
ステイル「愛刀まで貸し与えるなんてね」
カンザキ「七天七刀とアスカロンの性能は互角、勝てるかどうかは彼女たち次第……」
ステイル「まあ精々期待させてもらうよ。僕らと戦う時まで、潰れてもらっては張り合いがないからね」
カンザキ「フフ、そうですね。彼女と本気で死合う……心躍るひと時が味わえそうだ」
ステイル「……これがジャパニーズ☆Hi・To・Ki・Riか」
カンザキ「し、失礼ですね!? 私は断じて人斬りなどではありませんっ!!」
ステイル「そうかい」
◇ ◇ ◇ ◇
窓のないビル 第30階層――
ぶつかり合う鋼と鋼。空間が軋むような鋭い金属音が木霊する。
片や極限まで研ぎ澄まされた長大な日本刀、片や敵を圧壊せんとばかりに巨大化した騎士剣。
およそ科学の最先端とは縁遠い、原始的であるが神話の再現のような剣戟が繰り広げられていた。
ミコト「――電磁加速(リニアアクセル)、はああっ!!」
アックア「ぬぅ、オオッッ!!」
機先を制した美琴の七天七刀が、幾筋もの流星となってアックアへと降り注ぐ。
無数の剣閃、どれもが疾風の如く敵を切り裂かんとアックアに殺到する。
しかし常人には視認さえ許さない白刃の流星雨を、アックアは危なげ無く迎撃する。
超重量兵器であるアスカロンを、まるで羽根のように軽々と振るい流星を粉砕し、あまつさえ美琴に斬撃を繰り出す。
アックア「速さだけでは私には届かん!」
ミコト「くッ」
美琴の斬撃が夜空に煌めく流星だとすれば、アックアの一撃は空を塗りつぶす彗星だ。
凶兆を示す彗星、その意に恥じぬ致命の一撃を、美琴は懸命に受け流す。
一合、二合と切り結ぶうちに、目に見えて美琴のHPバーが削れていく。
仮想世界を支配するシステムが、人の耐久限界を超えた挙動を行う美琴にペナルティーを与えるからだ。
アックア「急激なパワーアップに驚いたが、なるほど玉砕覚悟の特攻とはな」
ミコト「まだまだギアを上げてくわよっ!!」
アックア「死に急ぐか」
ミコト「それは……どうかしら?」
不敵な笑みを浮かべる美琴は、宣言通り一段二段と加速する。
圧倒的スピードを頼りに、美琴の斬撃は加速度的に鋭さを増していく。
地を蹴り、壁を蹴り、天井を蹴り、360°絶え間なく降り注ぐ白刃が斬撃の結界を形成する。
ミコト「無限の剣閃、アンタに見切れるかしら!」
アックア「素晴らしい速度と攻撃密度である。しかしッ!!」
ミコト「んなっ!?」
戦闘中にも関わらず、美琴は素っ頓狂な声を上げる。
だがそれは無理も無い。
美琴が放った四方八方から襲い来る斬撃。剣一本ではおよそ捌ききれない密度、まさに必殺というに相応しい技。
だがそれでもアックアを仕留めるには至らない、いや傷つけることすら叶わなかった。
巨漢の聖人は美琴が繰り出す斬撃を正確に視認し、それに合わせるようにアスカロンを振るい身を守った。
ただそれだけ。
言うは易いが行うは難し、そんな離れ業をアックアは当然のようにやってのけた。
ミコト「なんつー動体視力と反射速度よ! けどまだ…ッ!?」
防がれはしたが速度的アドバンテージは未だ美琴にある。
故に攻撃を続行しようとした美琴だが、そうは問屋が卸さなかった。
超高速で動き続ける美琴に何かが撃ち込まれる。
ミコト「っと危ないわね。これって水? 見た目と違って器用な真似を…うひゃ!?」
一発や二発ではない。無数の水滴が散弾のように美琴へ殺到する。
美琴はそれを速度に任せて回避し、あるいは七天七刀で斬り払う。
アックア「ちょこまかと良く動く。だがこれは躱せまい!」
アックアが必殺を確信し吼える。
その瞬間、美琴の頭上に巨大な水球が現出する。ボス部屋全体を覆う、あまりに巨大な水の塊だった。
一秒と待たずに自分たちを圧殺するであろう水球を視界に捉え、美琴は自問する。
力任せに叩き斬る? ――No、質量に押し負けるのが関の山だ。
回避に専念する? ―――No、あれは避けられる類の攻撃ではない。
電気分解を試みる? ――No、電磁加速を解いた瞬間に一刀両断されるのがオチだ。
攻撃に専念する? ―――Yes、御坂美琴のロールはダメージディーラー。その本分をまっとうするのが正しい判断だ。
刹那にも満たない思考を破棄すると、美琴はアックアへ吶喊する。
アックア「この距離、お前の刃では我が魔術の発動を阻止できん!」
それは事実だった。
アックアの号令の下、高密度の水球が降下を開始する。
美琴の両手で構えた七天七刀がアックアに届く、その紙一重で水球が全てを押しつぶす――
Ax「ああ、こりゃロシアで殺りあったバケモノと同種の魔術だな」
ことはなく、後方で待機していた一方通行が瞬く間に解析、操作しアックアの魔術を無効化する。
不発に終わった大魔術。歴戦の傭兵たるアックアに動揺は無く、眼前に迫った美琴の一撃に対処するべくアスカロンを持つ手に力を込める。
しかし圧倒的に時間が足りない。
一方通行の援護を信じて、フルスロットルで迫る美琴に対処するには絶望的なまでに時間が足りない。
ミコト「もらったあああああッ!!」
アックア「うおおっ!?」
攻撃のみに意識を集中し、一方通行が作った最高のタイミングで、美琴の全力の一太刀がアスカロンごとアックアを弾き飛ばした。
Ax「やったか……?」
さながらミサイルの如き爆発力で壁に叩きつけられたアックア。
これで倒せたとは一方通行も思っていないが、それなりのダメージは期待していた。
事実、手痛いダメージを負わせたようで、アックアが巨体をよろめかせながら立ち上がる。
アックア「ぐうぅ……とてつもなく重い一撃だった。驚嘆に値するほどの……な」
ミコト「今の私に出来る最高の一太刀だもん。軽いなんて言わせないわよ」
アックア「捨て身の戦法かと思ったが、そうか、禁書目録のバックアップで……」
ミコト「そ、インデックスが居る限り、HPの心配なしで攻めれるってわけ」
アックア「そしてあの白い能力者が禁書目録を守る。……よく対策を練ったものだ」
ミコト「先に一方通行を撃破しようとしても無駄よ」
アックア「だろうな。あの不可思議な防御を突破する前に、貴様が邪魔をするのだろう」
ミコト「チェックメイト。アンタはもう詰んでるわ」
アックア「確かにこのままではジリ貧だな」
自身の不利をあっさり認めるアックア。
だが言葉とは裏腹に彼の口角はつりあがり、その瞳には未だ闘志の光がギラついている。
アックア「ならば戦い方を変えるまでッッ!!!」
ミコト「!?ッ」
戦神咆哮、場の空気を一変させるほどの気迫でアックアは美琴へ襲いかかった。
アックアの猛攻を捌き、持ち前のスピードで再び主導権を握りつつある美琴。
その後方で回復魔術を行使しながら、インデックスは戦況を分析していた。
イン(ここまでは予定通り、電磁加速を常時発動していればアックアと五分に戦える)
能力による基礎能力の強引な底上げ、得物の重量差、一方通行と自分によるバックアップ。
それら全てが美琴に有利な状況を維持し、格上であるアックアとの拮抗を許している。
イン(でも本当にジリ貧なのは私たちだ)
一方通行による守りとインデックスの魔術支援は問題ない。
しかし美琴の電磁加速だけは違う。
イン(みことは常に限界を超えた能力行使をしているのに、アックアはそうじゃない。この差は大きいんだよ)
魔術でHPの回復は出来ても、フルスロットルで消耗される精神力は別だ。
一瞬の判断ミスで総崩れになる危険を孕んだ拮抗だった。
イン(チャンスは一度きり。状況を打破するのは、みことのレールガンだけかも)
Ax「心配すンな、必ずチャンスは来る。俺たちはテメェの役割をこなす事だけ集中すりゃいいンだ」
油断なく戦況を見つめる一方通行にインデックスはひとつ頷くと、回復魔術が途切れぬよう意識を集中した。
二メートルを超えるかという巨体が重量200kgの大剣を手に、超音速で迫って来る。
ただ重いだけでも速いだけでもない。戦士としての確かな技量を伴った剣技が容赦なく美琴を襲う。
アックア「せいッ! ハッ!! ぬんッ!!!」
ミコト「わわっ、ちょっと!?」
大地を穿つ振り下ろしを美琴は鼻先数センチで躱し、その逆再生のような斬り上げをバックステップで距離を取り回避する。
そしてそれを読んでいたかのように横薙ぎが美琴を追撃するが、今度は逆に前へ身を投げ出すことで避けてみせる。
当たれば即致命傷、だが一連の攻防で美琴は確信を得ていた。
聖人である神裂との特訓で戦闘技術の大幅な底上げを。
支えてくれる仲間との絆は立ち向かう勇気を。
何より愛する人を取り戻す、その決意が美琴に力を与えてくれている。
あとはチャンスを待つだけだ。
――切り札を切るタイミングを誤らなければ勝てる。
ミコト「やれる! 相手の全力についていけてる!」
アックア「なにが全力なのだ?」
ミコト「え……」
アックアの問いに戦場は音を失った。
美琴は目を見開き、一方通行は恐怖を思い出し、インデックスは表情を強張らせる。
アックア「覚悟はいいか? この姿を晒した以上、貴様らに与えられるのは死のみだ」
ミコト「氷の翼……?」
後方のアックア、水を司る『神の力(ガブリエル)』の顕現。
アスカロンを大上段に構え、巨大な一対の水翼を背負う、魔術師を超えた魔術師がそこにいた。
Ax「躱せええェェェェェェェェッッ!!!」
一方通行の絶叫が第二幕の狼煙になった。
アックアの水翼が大きく広がった途端、大量の身の丈ほどもある氷の槍が戦場にばら撒かれた。
一方通行はインデックスの正面に立ちふさがり、危なげなく氷槍を反射で処理していく。
一方、美琴は必要最低限のみ得物で破壊し、大半は避けてやり過ごす。
いみじくも、かつて彼女の師が天使と相対した時の再現のような戦いぶりだった。
ただ神裂が戦ったのは戦闘理念が不確かな大天使であり、当のガブリエルは本来の力の片鱗を見せる程度だった。
アックア「そこかァァッ!!!」
ミコト「ッ!?」
しかしアックアは違う。
敵を打倒することに特化した戦闘思考。二重聖人の性能を十全に発揮し、美琴たちを屠るために全神経を傾ける。
氷槍で美琴の回避先を指定し、回避後の僅かな硬直を逃さずアスカロンで斬りかかる。
回避は無理だと瞬時に判断した美琴は七天七刀でアスカロンの腹を打ち、何とか直撃だけは免れようとする。
その判断は間違いではなかったが、アックアの手札は美琴の読みを上回っていた。
轟!!
一対の水翼が規格外の破壊力をもって美琴を薙ぎ払う。
アスカロンの一撃をいなした刹那のことだった。
成す術なく吹き飛ばされる美琴に、ノーバウンドで壁に叩きつけられる以外の結果は用意されていなかった。
ミコト「かはっ……!?」
壁に激突した衝撃で肺の中が空っぽになる。
幸いインデックスの支援のお陰で、HPバーを全損させる事態は免れたものの、今まさに止めを刺さんとするアックアが美琴の視界に飛び込んだ。
アックア「まずは一人!」
ダメージが抜けず朦朧としている美琴に、死の断頭台が落とされる。
そこへ白い影が割って入る。
Ax「させるかよっ!!」
アックア「フッ、これを待っていた」
Ax「しまっ……!」
咄嗟に美琴の盾になるため割って入る一方通行。が、それはアックアの目論見通りだった。
アックアは振り下ろしかけていたアスカロンの軌道を変え、大地を一蹴りロケット噴射のようにインデックスへと斬りかかる。
距離にして30メートル、アックアにとっては無いに等しい距離だ。
アックア「戦の常道を往かせてもらう!!」
イン「!?」
無理に軌道を変えた時に身を捻ったのか、遠心力が上乗せされたアスカロンの一撃がインデックスを叩き斬る。
斬られる、と理解していても美琴の状態を考えればインデックスに詠唱を止める事はできない。
『歩く教会』をもってしても殺しきれない斬撃に、インデックスはボールのようにバウンドしながら地面を転がる。
即死しなかったのは僥倖だが、HPバーはミリ残りとなり最早虫の息だ。
コンマ01秒遅れで一方通行はインデックスの援護に入ろうとするが、一対の水翼による氷槍の雨から半ば気絶している美琴を守るために動けずにいた。
アックア「法王級の防御結界か。流石の防御力だが次は耐えられまい」
イン「う、うぅ……い、癒しの女神パナケイヤの神話を引用――」
アックア「この期に及んで仲間の回復を優先するとは。……だが敵である限り容赦はせん」
神の右席としての本領、神の力を解放して僅か数瞬の攻防で戦況は完全にアックアに傾いていた。
誰一人まともに動けない状況で、無慈悲な凶刃がインデックスの頭上に落とされた。
といったところで今回は中断
残りは明日にでもー
半端なトコで切ってすみませぬ
ではでは残りを投下ー
◇ ◇ ◇ ◇
夢……夢を見ている
本当の絶望を知った日……微かな希望を見出した日……力を求めて弟子入りした日……
「いいですか、戦うということは自分と向き合う事に他ならない」
――向き合う?
「そうです。刃を向ける以上、死ぬか殺すか……それが戦闘の掟です」
――こ、殺すって……
「ピンときませんか?」
――当たり前でしょ! 最初から殺すつもりで戦ったりしないわよ。話せば分かることだって…
「それは強者の驕りですよ。相手が格下で、生殺与奪を貴女が握っているからこその甘えです」
――甘え……
「プログラムを相手にしている時はいい。ですがもし貴女より強い敵、しかも生きた人間が相手ならどうです?」
――そ、それは……
「答えを持っていないなら覚悟しなさい。貴女が弱ければ大切なものを奪われる。迷いは自分を殺すことになる」
――…………
「納得いかないという顔ですね」
――どんな理由があったとして、殺せばいいなんて考えを認めたくない。綺麗ごとだとしても、譲れない一線があるもの
「大切な人が殺されそうにな状況でも、同じことが言えますか?」
――そう言える自分になるために、私は努力したい……いいえ、守りたいもの全てを守れる自分になってみせる!
逆境に負けまいとする強い意思が、御坂美琴の意識を繋ぎとめる。
歯を食いしばり立ち上がる美琴。その目に絶体絶命の親友が映った。
◇ ◇ ◇ ◇
アックア「せめて苦しまずに逝くがいい」
イン「……ッ」
アックアの死刑宣告に、インデックスは目をつむり身を固くする。
上条に続き、親友の自分までも美琴を悲しませる。それはインデックスにとって許容できるコトではない。
しかし現状を打破する術を、インデックスは持ち得ない。
ふと、インデックスの脳裏に一人の英雄がよぎる。
かつて禁書目録の宿命に身一つで立ち向かい、ついにはインデックスを地獄の底から助け出した、彼女だけのヒーロー。
イン(とうま……助けて、とうまっ!!!)
インデックスの命運が尽きるまさにその時、アックアとインデックスの間に一筋の雷光が奔った。
鋭い金属音が聞こえたかと思えば、苦悶の声を漏らしながらたたらを踏むアックアが涙で滲む視界に映る。
――禁書目録のヒーローは死んだ。私の未来と引き換えに
「ごめん、私がドジったせいで酷い目に遭わせちゃった」
――そして今またヒーローが守ってくれた。残された者の悲しみを知る、私と同じ運命に翻弄された女の子が
見慣れたシャンパンゴールドの髪が、自分を護るように立ちふさがる華奢な背中が、インデックスの心に熱を灯す。
――だったら泣きごとを言ってる場合じゃない。私もまだ戦える!
イン「みこと……ッ!」
ミコト「まだやれるわよね? 私たちはこんなところで終わるわけにはいかないんだから」
イン「当たり前なんだよ!」
Ax「はァ……なァに熱血してるンだか」
満身創痍になりながらも(一方通行を除く)、漲る闘志は未だ果てることはなかった(一方通行を除く)。
アックア「フフ、心技体どれもが充足している。相手にとって不足なしである」
ミコト「そっちこそ一人のくせに頑張るじゃない」
アックア「聖人とは戦術兵器であり、いわばワンマンアーミーなのだ。仲間と共闘していては全力など出せん」
イン「悲しいね……」
アックア「戦場に感傷を持ちこむな。私と貴様たちは敵同士、さあ構えろ」
そう言い放ちアスカロンを床に突き刺し、徒手で構えをとるアックア。
アックア「ここからは一切の慢心を捨てる。アスカロンを捨てた以上、今までの戦法は通じぬものと思え!」
剣士としての戦いを放棄し、無双の剛腕と天使クラスの魔術を駆使して戦うスタイルに切り替える。
戦士としての矜持より、ただ勝利を収めることのみに主眼を置く。一切の妥協を許さぬ冷徹な傭兵が覚悟を示す。
打ち合わせる武器が無ければ、二重聖人のラック補正を破れない。
ただの一撃を貰っただけで重傷、戦況は圧倒的に不利、だというのに美琴たちの表情に諦めはない。
双方共に余力を残すつもりはない。否が応にも決着の機運が高まっていた。
一触即発の空気、その緊張を破ったのはアックアの雄たけびだった。
アックア「破アアァァァァッッ!!!」
大地を揺るがす戦神の咆哮が解き放たれる。
尋常ではないテレズマも同時に解放されたのか、アックアが背負う水翼がみるみる内に巨大化していく。
Ax「コイツは……」
イン「敵も本気ってコトかも。でも逆に言えば、もうこれ以上は無いんだよ」
Ax「オリジナル、いけンのか?」
ミコト「フン、私を誰だと思ってんのよ」
対する美琴は七天七刀を鞘に収め、腰だめに構える。
目を閉じ、呼吸を整え、全神経を七天七刀に収束させる。
ミコト「この一太刀に全てを懸けるまでよ。二人とも、私に力を貸して!」
イン「まかせてっ!!」
Ax「ハッ、オマエこそ俺を誰だと思ってやがる」
三人が覚悟を決めた瞬間、アックアの肥大し続ける水翼から無数の氷槍が射出される。
Ax「暴食シスター!」
イン「わかってる! このチャンスは見逃さないんだよ!」
前から一方通行、インデックス、美琴の一文字の陣形を敷く。
本来ならダメージディーラーである美琴が突撃するはずだが、後方支援の二人が前に出た。
一方通行がベクトル操作で直撃コースの氷槍だけを砕き、そのすぐ後ろでインデックスが攻撃魔術の詠唱に入る。
絶え間なく降り注ぐ氷槍を処理しながら、一方通行はタイミングを計っていた。
Ax(この弾幕は牽制……本命はあの馬鹿デカイ二枚の羽根か。今の俺だと一枚をぶっ壊すのが精々だろうな)
ちらりとインデックスに視線を送ると、彼女は詠唱をしながらコクリと頷く。
Ax(シスターは問題ねェ。オリジナルも上手くやるだろう。あとは俺次第か……なら勝ったも同然だろォが!!)
口角を吊り上げ表情を歪める一方通行。
科学が産み落とした最強の怪物は、このひと月の間ひたすらにストレスを溜めていた。
一度能力を振るえば有象無象の区別なく、どんな敵だろうが粉砕してきた。上条当麻以外、ただ一度の例外を除いて。
その最強たる一方通行を、あろう事か目の前の聖人は苦も無く下したのだ。
とても許容できるコトではない。
己のようなバケモノを倒して良いのは、上条当麻(ヒーロー)だけだと決まっている。
Ax「だったら間違いは正さねェとなァッ!!!」
敵の本命が、全長10メートルに届きそうなまでに巨大化した水翼が振り下ろされる瞬間、一方通行が飛び出した。
アックアは冷静に、冷徹に、冷酷に戦況を分析し必勝の戦術を執る。
敵の少女は物理攻撃同士を競り合わせる事で、ラック補正を無視したスリップダメージを与えてくる。
ならば武器を捨て魔術で攻めればいい。
――アスカロンを破棄
敵の少年は二重聖人の全力すら反射する防御を持っている。
だが反射にはラグが存在すると知っている。
――水翼を全力展開
敵の魔術師は厄介な回復魔術を使用する。攻撃魔術も多彩で一番油断できない存在だ。
しかし攻勢はかけられまい。あくまで敵の主軸は剣士の少女、魔術師の支援なしでは継戦能力を維持できない。
――牽制の氷槍を連続射出
さあ準備は整った。
アックア「ありったけの力を込めた双翼、その質量に圧殺されるがいい!!」
左右の翼を、僅かな時間差で振り下ろす。
Ax「プログラム風情が、調子づいてンじゃねェェッ!!!」
白髪の少年が予想通り防御行動をとった。
弾丸のように飛び出し、振り下ろした左翼を殴りつけ粉砕される。
――想定通り、残る右翼にて全てを薙ぎ払う!
左翼が破壊されたコンマ01秒後、残った左翼が一方通行ごと、後ろに控える少女たちを叩き潰さんと振るわれる。
これを破るには、剣士の少女の捨て身の一太刀が必要になる……
――否! 想定外の魔力反応!?
イン「魔女狩りの王イノケンティウス!! その身を盾とし水翼を破壊せよ!」
戦場に眩い光が降臨する。
炎の巨人イノケンティウス、その燃え盛る巨体が残る水翼に組み付き拮抗する。
アックア「馬鹿な!? たかが魔女狩りの王如きが、我が渾身の一撃と拮抗するなど……!!」
イン「ふっふーん、術者によって劇的に威力が変わるのが魔術の醍醐味でしょう?」
アックア「面白い! だがもう手は残っていま……ッ!?」
ドヤ顔で勝ち誇るインデックス。その後方で居合の構えをとる美琴とアックアの視線が交錯する。
アックア(なんだと……まだ何か奥の手があるというのか?)
仲間が作ってくれた刹那の勝機。
その到来を信じ、極限まで集中力を高めていた美琴が勝利を決定づけるために駆けだす。
ミコト「――電磁加速(リニアアクセル)」
紫電を纏い超音速で無防備なアックアに肉薄する。
アックア(迂闊っ!! しかし我が身が二重聖人である限り、決して刃が届く事はない)
驚愕に染まったアックアに向け、美琴は七天七刀を抜刀する。
ミコト「電磁抜刀(レールガン)・神浄……ッ!!」
鞘をレールに見立て、刀身を弾丸とする超電磁砲。
超音速の突進から音速の数倍で放たれた一閃。
その美琴の全てを込めた穢れなき一閃は、遥かな高みに君臨していた二重聖人の胴を切り裂いた。
キン、と美琴が納刀したと同時にアックアの巨体が崩れ落ちる。
アックア(完全に裏をかかれた。執拗なまでにスリップダメージに拘ったのは、この必殺をモノにするためであったか……)
己の甘さを自戒し、相手の粘り強さに惜しみない尊敬を。
アックア「……見事である」
ミコト「きゃああーーーー!? 熱い熱い熱いーーーーーっ!!!」
アックア「…………」
己の完敗を認め賛辞を送ったアックアだったが、賛辞を贈られた相手は大惨事だった。
イン「みことーー!?」
Ax「馬鹿野郎っ、さっさと回復してやれ!! オリジナルが火達磨になってンぞ!?」
――電磁抜刀・神浄……超電磁砲を応用した神速の一閃、ただし使用者の命を代償に発動する諸刃の刃でもある
CASE 411 大勝利
ミコト「ねぇねぇ! ちょー熱いんですけどー!?」メラメラ
イン「か、回復ーーー!!」
ペカーー
ミコト「ううっ、あつかったよぉ……」メソメソ
Ax「あっぶねェ……! あと一秒回復が遅かったら死ンでたぞ」
イン「ごめんね、みこと……」ションボリ
ミコト「だ、大丈夫、死ななきゃ安いわ」ヨロヨロ
アックア「フッ……」クスッ
Ax「コイツ……! まだ生きてやがる!」
イン「!?ッ、すぐに止めを…」
ミコト「待って!!」
イン「みこと!?」
ミコト「もう勝負はついてる。私たちの目的はゲームをクリアする事であって、無駄な殺戮じゃない」フルフル
イン「で、でもボスを仕留めないと次の階層に進めないんだよ?」オロオロ
ミコト「どうかしら? 直接剣を交えたから何となく分かっちゃうのよね……アンタ、本当はプログラムなんかじゃなくて、プレイヤーなんでしょ?」
アックア「勝者には知る権利があるか……。そうだ、私は運営側のプレイヤーだ」
インAx「「!?」」
CASE 412 暴露
アックア「私だけではない。大体の魔術サイドのプレイヤーは運営側についているのである」
イン「ええーーっ!? そんなの聞いてないんだよ!」ガビーン
Ax「キナ臭さ倍増ってか」ケッ
ミコト「理事長の目的は何? どうして魔術師がそれに協力してるの?」
アックア「科学サイドの思惑は知らん。こちら側は……まあ、暇つぶし、いや娯楽といったところか?」フム
ミコト「ご、娯楽ですって……!?」ワナワナ
Ax「笑えねェ冗談だ」ムカッ
イン「たくさんの人が死んでるんだよ!?」
アックア「……ああ、お前たちは知らないのだな」
ミコト「何をよ!!」ズズイ
アックア「ここでの死は現実の死に繋がると言ったな。あれは嘘だ」シレッ
ミコインAx「「「…………………は?」」」ポカーン
おうふ、急な来客ッ!! しばし中断しますー
CASE 413 生存確認!
ミコト「ねぇねぇ!」
アックア「なんだ?」
ミコト「お兄ちゃんは生きてるの!? 現実に戻ればまた会えるの!?」ユッサユッサ
アックア「ああ、すでにログアウトし目覚めているだろう」
ミコト「あ、あはは……」ペタン
イン「みこと……よかったね」
ミコト「うん……うんっ!!」ポロポロ
アックア「事前に記憶の一部を改竄すると知っていたとはいえ、不安に思うのも当然であるな」
Ax「改竄だァ?」ハテ
アックア「デスゲームの件だ。例のデバイスでログインした時点で、デスゲームがフェイクであるという記憶が改竄されたのである」
Ax「……そう言われてみれば、確かに事前説明を受けたような?」
イン「それも聞いてないんだよ!?」ガビーン
ミコト「……きっと木山先生が説明し忘れたに違いないわ。にしても改竄……間違いなく食蜂が絡んでるわね」ゲンナリ
CASE 414 一抜けた
ミコト「……ハッ!? ねぇねぇ!」
イン「なにかな?」
ミコト「もう死んでも大丈夫だって分かったわけだし、わざとゲームオーバーになればすぐにお兄ちゃんに会えるのよね?」
Ax「!?」
イン「それはそうだけど……途中で放り出すのは、みことらしくないかも」ジトー
ミコト「や、やだなぁー、そんな無責任なコトするわけないじゃん」アセアセ
イン「当たり前なんだよ。まずはこの情報を他のプレイヤーと共有するべきかも」
ミコト「そうね、一方通行も打ち止めたちに教えたいわよね」チラッ
Ax「ぐふっ……スフィンクスちゃン……今、帰るから……安心し…て……」ガクリ
パリーン!!
アックア「自害だと……?」ポカーン
ミコト「あ、あの野郎逃げやがった!?」ガビーン
イン「毎日うわ言のようにスフィンクスに会いたいって言ってたもんね……」ゲンナリ
CASE 415 昨日の敵は今日の友
ミコト「くっそー! 私だってお兄ちゃんに会いたいのを我慢してるってのにぃぃーー!!」プンスカ
イン「あ、そういえばワーストも とうまと一緒にログアウトしてるんだよ」
ミコト「ッ!? ちょっとアンタ!」
アックア「何か用であるか?」
ミコト「私たちのギルドに入りなさい拒否権は認めないわ今すぐ次の層を攻略するわよつーか最速でクリアするのよ!!!」ガァァ
アックア「は?」
ミコト「アンタがお兄ちゃんをログアウトさせたんだから責任とって攻略を手伝いなさいっ!!」ビシッ
アックア「…………」ポカーン
イン「ああなったらテコでも動かないんだよ。協力してもらえるかな?」ヤレヤレ
アックア「……仕方あるまいな」ヤレヤレ
テッテレー
アックアがパーティーインしたことで、攻略速度が飛躍的に向上した!!
CASE 416 最後の一撃
アックア「ひとつ疑問があるのだが、どうやって最後の一撃を通したのだ?」
ミコト「んー、単純な話。私のラックが聖人並になったからよ」シレッ
アックア「……普通にレベル上げしても無理だと思うのだがね」
ミコト「偶像の理論だっけ? 神の子の特徴ってヤツ? アンタを倒すための特訓中に一回死んじゃったのよ」ケラケラ
イン「笑い事じゃないんだよ」ヤレヤレ
ミコト「いやー、びっくりしたわよ実際。復活してステータスを確認したらラックがめっちゃ上がってるんだもん」
イン「多分システム的なバグじゃないかな? 製品版は今のところリスポーンを禁止してるから」
ミコト「ま、なんにせよ切り札として機能したんだし、いいじゃない」
アックア「フッ、まんまとしてやられたのである」
ミコト「はいはい無駄話はここまで。さっさと次の階層に行くわよー」テクテク
イン「そのまま行くの!? ……まったく、みことはせっかちなんだから」ハァ
アックア「苦労しているのだな」
イン「あなたも他人事じゃないんだよ?」
アックア「で、あるか?」
イン「で、あるんだよ」ニコッ
このあと美琴たちが仮想世界の真実を全プレイヤーに暴露したことにより、蔓延していた絶望感は徐々に取り払われていった
CASE 417 ハゲ、未だ治らず
上条「ぎゃあああーーーーー!!! 死んだーー……ってあれ?」ガバッ
木山「やあ、お帰り」
上条「……あの世って殺風景なトコなんだな」キョロキョロ
木山「おかしなコトを言うな君は。ここは私の研究室だよ」クスッ
上条「え?」キョトン
――木山せんせー説明中
上条「はあっ!? 統括理事長が言った事が全部ブラフ!?」ガビーン
木山「なんでも暇を持て余したから企画したそうだ」
上条「メチャクチャだ……」ガックシ
木山「プレイヤーたちの精神的なケアは心配いらない。第五位の全面協力でトラウマも残らないさ」
上条「そういう問題じゃねーだろ! ああぁぁ、今この瞬間も御坂たちは……心配すぎてハゲそうだ」オロオロ
木山「ハゲるにしても髪がないわけだが」
上条「…………」ツルリーン☆
CASE 418 不思議な薬の片割れ
上条「そうだった……元はといえばハゲ条さんを髪条さんに戻す為の冒険だった……」ズーン
木山「安心したまえ」スッ
上条「……安心なんて出来ねえよ。てかそれ何?」
木山「冥土帰し印の薬だよ。君たちがクリア出来なかった場合を想定して、一応取り寄せておいたんだ」
上条「マジで!?」
木山「マジだ」
上条「やった! これで失ったマイヘアーを取り戻せるッ!!」イヤッホゥ!!
木山「だが副作用が…」
上条「そんなの関係ねえ!」ゴクゴクゴク
木山「説明も聞かずに薬を飲むのはいただけないな」ヤレヤレ
上条「死ななきゃ安いぜ!」キリッ
木山「……良くも悪くも君たちは兄妹なのだな」
上条「うおっ!? か、からだが……!?」モジャモジャ
CASE 419 めたもるふぉーぜ
木山「ふむ、これは興味深い」シゲシゲ
バーン!!
番外個体「ここに上条当麻が居るって聞いたんだけど!」
木山「やれやれ、ドアを乱暴に開けるのは勘弁して欲しいのだが」
番外個体「え、あ……ご、ごめんなさい」ペコリ
木山「その姿……御坂美琴のクローンなのか?」
番外個体「そうだけど……」
木山「ならば問題はないか。上条君ならそこにいるぞ」
番外個体「?? 何処にいるの?」ハテ
木山「君の足元だ」
番外個体「足元?」チラッ
黒猫「にゃーん」ウルウル
番外個体「真っ黒な子猫……?」キュン
CASE 420 帰還
仮想世界――
アレイ☆「よくぞここまで来た。私がこの世界の支配者…」
アックア「問答無用っ!!」ブンッ!!
ザクッ!!
アレイ☆「ぬおっ!? ま、待て…」
ミコト「待てと言われて待つ馬鹿はいないっつーの。――電磁抜刀・神浄!」
ザシュッ!!!
アレイ☆「ごっ、があああああああああああああああああ!?!?」ブシュューーー!!
アックア「一刀! 両断ッッ!!!」ブゥゥゥン!!!
ボグシャァ!!!
アレイ☆「…………」シーン
イン「酷いリンチを見たんだよ……」ゲンナリ
◇ ◇ ◇ ◇
現実世界――
美琴「よっしゃー! クリアしてやったわよ!!」ムクッ
禁書「……戻ってこれたのかな?」キョロキョロ
木山「随分と早い帰還だな。もう半日はかかると思ったのだが」
番外個体「!?」ビクッ
美琴「一刻も早くお兄ちゃんに会いたかったんだもん。ていうかお兄ちゃんは何処!?」
木山「上条君なら…」
番外個体「おおお、お帰りおねーたま! ミ、ミサカ、用事があるから失礼するね」アセアセ
黒猫「にゃにゃっ!?」ジタバタ
美琴「わあ、かわいー♪ その子、アンタの猫ちゃんなの?」パァァ
番外個体「そそ、そう! さっきそこで拾ったんだ」アセアセ
美琴「ふーん、きちんと世話すんのよ」
番外個体「も、もちろんだよ!」スタコラサッサー
美琴「あんなに慌てちゃって、変なの」ポカーン
木山「いいのかい? 君の兄君が連れ去られてしまったようだが」
美琴「はい……?」ハテ?
といったところで今回は終了
次回からは平常の上琴目録に戻りますー
投下ー
CASE 421 めぐりあい宇宙
黄泉川さんち――
番外個体「たっだいまー♪」ルンルン
黄泉川「お帰り。何か良い事でもあったのか? ずいぶんとご機嫌じゃんよ」
番外個体「へっへー、じゃ~ん♪」ヒョイ
黒猫「みぃ~、みぃ~!(離せ! 離しやがれーー!!)」ジタバタ
黄泉川「おおっ、小猫か! こりゃ可愛いじゃん」
一方通行「うるせェ、スフィンクスちゃンの昼寝を邪魔するンじゃね……え?」ピタ
黒猫「みぃ~……(御坂ぁ……)」ウルウル
一方通行「ッッ!?!?」ズキュゥゥゥゥン!!!
番外個体「カワイイだろー♪ でもこの子はミサカのだから、あげないもんね」ニコニコ
一方通行「…………」プルプル
番外個体「どったの? 震えてるよ」ハテ?
一方通行「ぷりてィ……///」キュン
黒猫「みぅ?(ん?)」
ヒョイ
番外個体「ああっ!?」
一方通行「今日からオマエもうちの猫ちゃンだ。よしよし、良い子だなァ♪」ナデナデ
黒猫「みぃ!?(ぎゃああーーーー!? 上条さんは野郎に撫でられて喜ぶ趣味はありませーーーん!?)」ギャース
番外個体「ちょ、返せよ!? その子はミサカのって言っただろー!!」アセアセ
黄泉川「目がハートになってるじゃん。アイツの猫ちゃんスキーにも困ったもんだな」ヤレヤレ
CASE 422 ポケットの中の戦争
黒猫「みぅ! みぅーーっ!!(離せっつってんだろ! 俺を何処へ連れてくつもりだ!!)」ジタバタ
一方通行「そンなに暴れたら落としちまう…」
黒猫「みゃあ!!(うおおおーーーーっ!!)」ピョン!
ツルッ
一方通行「しまったッ!?」ガビーン
黒猫「みゃふぅ~~♪(やった、脱出成功♪ あとは着地を…)」ヒューン
スポッ
黒猫「みゃみゃあ!?(暗っ!?)」ポケットイン
一方通行「…………」
黒猫「みぃ!? みぃ~……(それに生温かっ!? うう、不幸だ……)」モゾモゾ
一方通行「……///」プルプル
番外個体「第一位っ!! ミサカの猫を……って、なんで悶えてるの?」ハテ?
一方通行「お、俺のポケットの中で天使が……まいったァ……俺はまいったァ///」メロメロ
黒猫「みぅ!!(ぷはぁ!!)」ヒョコ
番外個体「ポッケから顔だけ出してる……///」プルプル
CASE 423 逆襲の御坂
木山せんせーの研究所――
美琴「ねぇねぇ!」
禁書「わかってる、とうまを取り戻しに行くんだよ!」
木山「ならば、これを持っていきたまえ」ポイッ
美琴「っとと、何これ?」キャッチ
禁書「お薬のビンじゃないのかな」
木山「現在上条君に投与してある薬の解除薬だ。それを経口摂取すれば、髪がフサフサの状態で人間に戻れるだろう」
美琴「ありがと、んじゃ行きましょう!」タッタッタ
禁書「うん!」テッテッテ
◇ ◇ ◇ ◇
黄泉川さんち――
バーン!
美琴「こら妹っ!! お兄ちゃんを返してもらいに来……」ピタァ
禁書「どうしたの? ……はっ」チラッ
黒猫「みっ、みぃー(えっと、右前足を出しつつ左後足を……難しいな)」ヨチヨチ
番外個体「や~んカワイイー♪ プルプル震えながら歩いてるー♪」メロメロ
一方通行「あンよが上手♪ あンよが上手♪」●REC
黒猫「みゃうっ!?(ぬあっ!? 前足と後足が絡まって……ッ!?)」コケッ
コロン
番外個体「転んだ!?」
黒猫「みゃあ……。みぃぃ~~~っ!!(痛い……。ともかく起きあがっ……うぐぐ……起きあがれない!?)」ジタバタ
一方通行「頑張れっ! 自力でおっきするンだ!」●REC
黒猫「みゃぁぁーーーーーー!!?(くっそぉぉッ!! 思うように歩けねーし、起きあがれねぇぇーー!?)」ジタバタ
電磁目録「「~~~~~~ッッ///」」プルプル
CASE 424 正義、再び……
黒猫「……みぅぅ(……ちくせう)」ションボリ
番外個体「きゃは☆いじけるなよー」ナデナデ
一方通行「オマエの電磁波を嫌がってるンだろ。邪魔だ、失せろ、あっちいけ」シッシ
黒猫「……みっ!(……あっ!)」
番外個体「うん? 何か面白いモノでも見つけたのかにゃーん?」チラッ
美琴「か、かわい~~~っ♪」メロメロ
禁書「みこと、しっかりして! あれはとうまなんだよ!」ユッサユッサ
美琴「ハッ、そうだった……!」
番外個体「ゲッ、おねーたま!?」
美琴「何がアンタの猫よ! 今すぐお兄ちゃんを返しなさい!!」ガァァ
一方通行「騒ぐンじゃねェ。ケンカなら外でやれ」ヒョイ
黒猫「みゃっ!?(こら、離せ一方通行!?)」ギャース
美琴「ちょっと、お兄ちゃんが嫌がってるじゃない!」
一方通行「はァ? 何処に上条がいるってンだ?」ハテ?
禁書「その黒猫ちゃんは、とうまが薬で変身した姿なんだよ」
黒猫「みゃあ! みゃあ!(インデックスの言う通りなんだ! 分かったら離してくれ!)」コクコク
一方通行「…………」
番外個体「第一位?」
一方通行「この小猫ちゃンが上条だと? それがどォした、そンな事実じゃ俺の正義は揺るがねェ」キリッ
電磁目録「「カワイイは正義!?」」ハッ!
CASE 425 満場一致
美琴「た、たしかにカワイイけど、お兄ちゃんは嫌がってるじゃない」
黒猫「みっ、みっ(そうだそうだ)」コクコク
禁書「とうまを元の姿に戻すお薬もあるんだよ」
番外通行「「!?」」
美琴「だから…」
番外個体「ま、待ってよおねーたま。解除薬があるなら、何もそんなに焦らなくてもいいじゃん」アセアセ
黒猫「みゃっ!?(ちょっ!?)」ガビーン
一方通行「そォだ考え直せ、一日や二日このままでも誰も困らねェだろ?」ウンウン
黒猫「みゃみゃあ!!(馬鹿言うな、俺が困るんだよ!!)」ジタバタ
番外個体「ほら、こんなに小さくてもっふもふだよ?」
美琴「うっ、で、でも……」
一方通行「抱いてみろ。そうすりゃ俺たちの気持ちを理解できるはずだ」スッ
黒猫「みぅ……(み、御坂ぁ……)」ウルウル
美琴「わあ……てのひらサイズだ」ギュッ
黒猫「みぃ、みぃ!(今だ! 早く解除薬とやらを上条さんに!)」モゾモゾ
美琴「あははは、暴れないでよ、くすぐったいってばー♪」ニコニコ
禁書「み、みこと! 私も抱っこしてみたいんだよ」ウズウズ
美琴「えーっ、私も今抱っこしたばかりなのに」
番外通行「「……( 計 画 ど お り )」」ニヤリ
――数十分後
禁書「ねぇ、みこと」
美琴「うん、お薬は明日でいいや」ナデナデ
黒猫「みゃあああーーーーー!?!?(なんでだーーーーーー!? つーかピリピリする、めっちゃピリピリする!?)」ギャース
CASE 426 電磁波(中)
美琴「ねぇねぇ!」
黒猫「みぅみぅ(はいはい、今度はなんだ?)」
美琴「誰に抱っこされるのが一番気持ちいい?」
黒猫「みぃ~?(んー、そうだなぁ……)」チラッ
禁書「わ、私なのかな?」ドキドキ
黒猫「……(ごめん、お前は何と言いますか扱いが雑なんです。もっと丁寧に扱って欲しい)」チラッ
美琴「やっぱり私よね!」ワクワク
黒猫「……(もちろん! ……と、応えたいのは山々なのですが、いかんせん電磁波がキツイです。ひげの辺りがピリピリするんだよ)」チラッ
番外個体「えっ……もしかしてミサカ?///」カァァ
黒猫「みぃ!(イグザクトリー! とても柔らかで良い匂いがして、電磁波も心地良いんです。アレだ、電気風呂みたいな感覚?)」スリスリ
番外個体「~~~~~~~ッ///」ギューッ
黒猫「みふぅ~///(あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~、スゲー癒される……///)」フニャフニャ
電磁目録「「そ、そんなぁ……」」ガビーン
CASE 427 ムツゴロウ検定一級
番外個体「へへっ……えへへ……///」ナデナデ
黒猫「みゃあ~♪」ゴロゴロ
番外個体「今晩はミサカのベッドで一緒に寝ようね♪///」ニコニコ
黒猫「みぃ♪」
ヒョイ
番外個体「ああっ、また!?」
一方通行「調子に乗ってンじゃねェぞクソガキ」
黒猫「みゃみゃあ!?(ハッ! 俺は一体なにを……つーか何時の間にか一方通行に抱っこされてやがる!?)」ガビーン
番外個体「嫌がってるだろ! 返せっ、返してよ!」プンスカ
一方通行「誰が嫌がってるンだァ?」ナデナデ
黒猫「みゃあ! みゃ……あ?(上条さんに決まってるだろうが! さっきも言ったが野郎に撫でられて喜ぶ趣味は……あ、あれ?)」
一方通行「よォしよしよし」ナデナデ
黒猫「みゃあ~~♪」ゴロゴロ
番外個体「うそっ!? あんなに嫌がってたのに……」
一方通行「美学が足りねェオマエに一つ教えてやる。これがムツゴロウ検定一級の悪党だ、クソガキ」キリッ
禁書「冗談でもそんな子供騙しに引っかかるわけ…」ヤレヤレ
美琴「ねぇねぇインデックス! どこで資格を取れるのかしら!?」キラキラ
禁書「騙されないでっ!?」ガビーン
CASE 428 プリスキン的なアレ
美琴「ねぇねぇ!」
黒猫「みぅみぅ……みゃ!?(はいはい、今度はなんだ……ハッ!?)」
番外個体「正気に返ったの!?」
黒猫「みゃみゃあーー!!(離せっ!! 何でかは知らんが、ここはヤバイ)」ジタバタ
一方通行「流石はヒーロー、一筋縄じゃいかねェか」
美琴「ほら嫌がってるでしょ! それはアンタの美学に反するんじゃないの?」
一方通行「鳴かぬなら、鳴かせてみせよう、ホトトギスってなァ!」ナデナデ
黒猫「み゛!?(ぎゃああーー!? 殺猫的なキモチ良さでまた理性ががが……!)」
番外個体「おねーたま!」
美琴「ええ、一時休戦してでもお兄ちゃんを取り返すわよ!」
禁書「……私はアクセラレータに撫でるコツを教えて貰いたいかも」ボソッ
美琴「!?」ガーン
一方通行「いいぜェ、暴食シスターは見所があるからな。だがオリジナル、テメェは駄目だ」ナデナデ
黒猫「みゃ……みゃうー……(み……御坂……お兄ちゃんはもう……)」グッタリ
美琴「お兄ちゃん! そんなヤツに負けないで……!」
黒猫「み、みゃあ!(うぐぐ……絶対遵守でも抗いきれない! 何かもう一手、もう一手あれば……!)」
スフィンクス「にゃあー(手を貸そうか少年、まさに猫の手だが)」ヒョコ
一方通行「スフィンクスちゃン!?」
禁書「久しぶりなんだよ」ウン
黒猫「みっ……!(ス、スフィンクス! 助けに来てくれたのか……!)」パァァ
スフィンクス「にゃーん(フッ、待 た せ た な )」キリッ
CASE 429 番外幻想 反逆の上条さんR2
美琴「ねぇねぇ!」
黒猫「みぅみぅ(はいはい、今度はなんだ?)」※スフィンクスの登場により解放されました
美琴「えへへ……///」ギューッ
黒猫「みぎゃーーーー!?(のわああーーー!? 毛が逆立つーーーー!?)」ピリピリ
禁書「みこと、私にも抱っこさせて!」
ヒョイ
美琴「ああっ!?」
黒猫「みぃ~(やれやれ、助かったぜ)」
禁書「あははっ♪ ちっちゃくてカワイイかも」ギューーーッッ!!!
黒猫「ふぎゃああーー!?(いってぇぇーーー!? ちょ、インデックスさん力強すぎ!!)」ギャース
番外個体「なにやってんだか」ヤレヤレ
ヒョイ
禁書「ワ、ワースト?」
番外個体「嫌がるコトするなよなー。この人怯えてるじゃん」ナデナデ
黒猫「みふぅー(あれー? いつも傍若無人なワーストさんが女神の如き包容力を……ま、気持ちいいからどーでもいいや)」ゴロゴロ
番外個体「今日のところはミサカが預かるから……///」ニッコニコ
美琴「そ、そんなのダメよ!」アセアセ
番外個体「あ、寝ちゃった」ナデナデ
黒猫「Zzzz……(すまん御坂。ここは寝たふりでやり過ごそう)」スヤスヤ
番外個体「これはもう早急にベッドで寝かせる必要があるね。てなわけでミサカも寝るから、またねおねーたま///」イソイソ
美琴「ぐぬぬ、こうなったら……」
CASE 430 幻想殺しの消失
美琴「ねぇねぇ!」
番外個体「はいはい、まだ帰ってなかったの?」
美琴「……えいっ!」
ヒョイ
黒猫「み゛!?(な、なんだぁ!?)」ビクッ
番外個体「ちょっ!?」
美琴「こうやって右手に触れていれば、電磁波は無効化されるはず! ……肉球ぷにぷにしてる」プニプニ
黒猫「みぅぅぅ……(でででで電磁波あばばばば……)」ピリピリ
番外個体「ッ!」
ヒョイ
番外個体「何やってんだおねーたま!」ガァァ
美琴「え、だってお兄ちゃんの右手なら…」オロオロ
番外個体「右手なんてあるわけないじゃん! 今この人は四足歩行の猫ちゃんなの!」プンスカ
禁書「……みこと、右手じゃなくて右前足なんだよ」
美琴「!?」ガビーン
番外個体「やっぱおねーたまには任せられない。さあ帰った帰った」シッシ
黒猫「みゃあー(あのぅ……お気持ちは大変ありがたいのですが、解除薬を飲ませていただければ万事解決なのでは?)」ウルウル
番外個体「あなたの背中はミサカが守るから。……ね?///」テレテレ
黒猫「……みぃ(……はぁ、言葉が通じないってのは不便だなぁ)」
翌日、解除薬を飲むと幻想殺しも復活したそうな
といったところで今回は終了
今月は映画にゲームとネタ満載で嬉しい限りですなー
投下ー
CASE 431 取り戻した日常
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「…………」
上条「どうしたんだ?」ハテ?
美琴「…………」ギューッ
上条「ハハ、ホントにどうしたんだよ。今日の御坂は甘えん坊だなぁ」
美琴「だって、こんな風に甘えられるのが嬉しいんだもん。当たり前の日常が、どれだけ貴重か思い知ったもん……」
上条「そうだな」ナデナデ
美琴「もうあんな思いは嫌なんだから……」
上条「……わかってる」
美琴「もう絶対に負けたらダメなんだから……約束、なんだから……」
上条「ああ、約束だ。御坂のお願いには逆らえないからな」
禁書「むうーっ!! 私の世界に侵入するとは生意気な! 闇霊さんめ、速攻で返り討ちにしてあげるんだよ!」ピコピコ
美琴「…………」ウルッ
上条「だ、大丈夫だから! インデックスが遊んでるのはフルダイブ式のゲームじゃないから!」アセアセ
CASE 432 ゲーム禁止令
美琴「ねぇねぇ!」
禁書「この侵入者、結構手強いかも」ピコピコ
美琴「ねえってばー!」ユッサユッサ
禁書「回復!? フフフ、この私に舐めプなんていい度胸かも。バックスタブいただきなんだよ!」ピコピコ
美琴「インデックス! 無視しないでよ!」
禁書「くっ、流石に脳筋は堅いんだよ。こうなったら距離をとって魔法で狙い撃ちするしか!」ピコピコ
美琴「……インデックスが無視する」クスン
上条「スゲー、インデックスまじでうめえ」
美琴「お兄ちゃんまで!?」ガビーン
◇ ◇ ◇ ◇
一時間後
美琴「一週間ゲーム禁止!」
禁書「ええーっ!?」ガーン
上条「おっ、インデックスがやめたなら次は上条さんの番だな♪」
美琴「お兄ちゃんもゲーム禁止っ!!」ガァァ
上条「なんで俺まで!?」
CASE 433 賞品
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「統括理事会から賞品の希望アンケートが届いたんだけど」
上条「あー、例のクリア特典か」
禁書「最新のゲーミングPCが欲しいんだよ! もちろんフルダイブ環境もセットで!!」キラキラ
美琴「インデックスは商店街の飲食フリーパス、と」カキカキ
禁書「ああっ!?」ガビーン
上条「まああんな事件があったんだ。諦めてくれ」ポン
禁書「うう~~、仕方ないんだよ……」ガックリ
美琴「私は何にしよっかなー」
上条「カエルは無しの方向でお願いします」
美琴「なんでよ! それにカエルじゃなくてゲコ太っ!!」ガァァ
上条「ああケロヨシだったな、うん」ニヤニヤ
美琴「分かってておちょくってるなー! このっ、このっ!!」ポカポカ
上条「あはは、何のコトやら皆目見当がつきませんな」
禁書「ふふん、みことのお願いは私が決めてあげるんだよ」カキカキ
CASE 434 黒服
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「早く出ないと遅刻しちゃうわよ」
上条「おう、んじゃ行ってきます」
禁書「二人とも行ってらっしゃい」
美琴「行ってきまーす♪」
禁書「むふー♪」ニヤリ
◇ ◇ ◇ ◇
通学路
上条「おっと、もう分かれ道か」
美琴「うう……また放課後ね」ションボリ
上条「ああ、御坂も車に気をつけて行くんだぞ」フリフリ
美琴「はぁーい」フリフリ
美琴「はぁ、学校はお兄ちゃんもインデックスも居ないから退屈なのよねー」テクテク
黒服「失礼、御坂美琴さんですね?」
美琴「……そうだけど、誰?」
黒服「統括理事会の命で貴女をお迎えにあがりました」
美琴「!?」
CASE 435 拒否権
美琴「統括理事会が今更なんの用?」バチッ!
黒服「おやおや、こちらは穏便に済ませたいのですが」
美琴「だったらこのまま大人しく消えなさい」
黒服「それは承服しかねます。私もガキの使いではありませんので」
美琴「そう。なら少し痛い目にあって…」
黒服「いいのですか? ここで騒ぎを起こせば、貴女も貴女の兄君も些か困ったコトになりますよ」
美琴「くッ……」ギリッ
黒服「ご理解いただき幸いです。ではお車を用意しておりますので、こちらへ」
◇ ◇ ◇ ◇
車内
黒服「時間が押してますので簡単に説明させてもらいます」
美琴「…………」
黒服「目的地に到着次第、こちらへ着替えてください」スッ
美琴「え、これって……?」
CASE 436 四人目
とある高校
上条「おいーっす」
土御門「おはよーさん、カミやん」
青ピ「……今日も幸せオーラ全開やね。どうせ可愛い妹ちゃんと仲よう登校したんやろ、そうなんやろ!?」ガァァ
上条「違うぞ」
青ピ「へ……? そうなん?」
上条「可愛いなんて陳腐な言葉じゃ足りねえ。全国妹ランキング一位間違いなしの超絶ふつくしい御坂と、この上なく楽しく登校したんだよ」デデン
土御門「なんだと! 舞夏を差し置いて一位とは聞き捨てならねえぜよ!!」ガタッ
上条「いいぜ。どっちの妹が素晴らしいか、ここで白黒つけようじゃねーか」
土御門「ハッ、新参が調子に乗りやがって。同じレベル5だろうが、上には上が居ることを教育してやる!」
上条「上等だ! 『絶対に負けてはならない』という御坂の願いを遵守する以上、俺に敗北はねえ!!」ゴゴゴゴ
土御門「それがどうした! 神だろうが騙しきるオレの嘘に不可能はない!」ドドドド
青ピ「……なんやろな、この疎外感」ションボリ
一方通行「コアラの○ーチ食うか?」スッ
青ピ「君だけや……! 君だけが僕に優しいっ!! 結婚してください!」
番外個体「なーにやってんだかねえ(ま、またあの薬を飲んでくれないかな? そうしたら……///)」ドキドキ
ガラガラ
小萌「おはよーございますなのですよー。今日はまたまた転校生がやってきたのですー」
CASE 437 飛び級
小萌「男子のみなさんに朗報なのですー。転校生は可愛い女の子だったりしまーす」
青ピ「僕ぁ真実の愛を見つけたし、どーでもええよ」
土御門「オレも舞夏以外は興味無いからなんでもいいぜよ」
上条「俺も御坂にちょっかい出さねえなら何でもいいや」ウン
吹寄「貴様ら……」ビキビキ
姫神「フフフ。上条君もすっかり変態の一員になってしまった……。でも負けない」
小萌「はいはーい、静粛にー。今度の転校生は飛び級の天才ちゃんなのですよー」
一同「おおっ!」スゲー
小萌「では入ってきてくださーい。みなさん拍手ー、ぱちぱちぱち」パチパチパチ
ガラガラ
美琴「…………」テクテク
上条「あ、あれ? おい土御門」
土御門「なんだ?」
上条「目がおかしくなっちまった。転校生がマイラブリーシスターに見えるんですが」ゴシゴシ
土御門「どっからどう見ても超電磁砲ぜよ」
美琴「あっ、お兄ちゃん♪」フリフリ
上条「ここにおる! お兄ちゃんはここにおりますぞーーー!!!」ガタッ
CASE 438 捲土重来
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「何かいきなり拉致られたと思ったら、常盤台を強制卒業させられて飛び級でここに編入されちゃったんだけど!?」アタフタ
上条「なんですと!?」ガビーン
美琴「どどど、どうしよう!? こんなの絶対おかしいわよ!?」オロオロ
上条「落ち着くんだ御坂。逆に考えるんだ、学校でも一緒にいられるなら別にいいさと、こう考えるんだ!」
美琴「そ、そうか!」
上条「大覇星祭も一端覧祭も御坂と同じクラスで参加できるし!」
美琴「毎日お兄ちゃんと一緒……?///」イヤンイヤン
上条「これはもう片時も離れるなという天の配剤に違いあるまいっ!!」
美琴「馬鹿ぁ……そ、そんなコト言われたら……ふにゃー///」ビリビリッ!!
上条「ほら、突然の漏電にも対応できる! やっぱこれは必然なんだよ」パキーン
小萌「はわー、ホームルームそっちのけで二人だけの世界なのです……」ションボリ
姫神「大丈夫。諦めなければ試合終了じゃない……!」
土御門「無駄無駄、カミやんは世界に七人しかいない最強のシスコンの一角なんだぜい? 妹以外なんてアウトオブ眼中ぜよ」ケラケラ
番外個体「……ッ」イライラッ
一方通行「あ、ラッキーコアラ」パァァ
青ピ「え、それ都市伝説とちゃうの!?」ガビーン
CASE 439 犠牲者
禁書「むふふー、みことの驚く顔が目に浮かぶんだよ♪」
ステイル「まったく無茶をする」ヤレヤレ
禁書「あんな悲しい思いをしたんだから当然の処置かも。それに私はまだ怒ってるんだよ?」ジトー
ステイル「そ、そんな目で見られてもだね、悲しい宮仕えの性というか……」オロオロ
禁書「ふーん」ジトー
ステイル「僕を責めるのは筋違いだろう!?」
禁書「ステイルが黙ってたせいで、みことはとぉぉーーーーーーーーっても悲しんだのに。サイテー」ジトー
ステイル「ぐはっ!?」グサッ
禁書「一歩間違えれば心が壊れてたかもしれないんだよ。そうだというのに、ステイルときたら!」プンスカ
ステイル「だ、だからといって勝手に他人の進路を決めるのはどうなんだい?」
禁書「みことの進路はお嫁さんだから問題ないもん。誰も不幸にならないんだもん!」プイッ
◇ ◇ ◇ ◇
常盤台中学
黒子「は……? お姉さまが飛び級で進学された?」ポカーン
教師「本人の強い希望と、統括理事会の後押しがあったそうだ」
黒子「え、えっ?」オロオロ
教師「ハハハ、これで我が校のレベル5も食蜂だけになってしまったな。白井は高位のレベル4だから特に期待しているぞ」
黒子「お、お姉さまと黒子を繋ぐ貴重な接点がががッ……!?」
ピロリーン♪
黒子「このような時にメール……ッ、お姉さまから!?」pi
From 美琴お姉さま
Sub あのね
――――――――――
やっほー♪ お兄ちゃんと同じ高校に通うことになったの!
幸せすぎでおかしくなっちゃいそう ヾ(*´∀`*)ノ キャッキャッ♪
黒子「黒子は……黒子は不幸すぎておかしくなりそうですのォォォーーー!!!!」ギャース
CASE 440 有頂天
美琴「ねぇねぇ!」
禁書「おかえりなさい、みこと」
美琴「ただいまー! あのね、私ね、おに、おおお、お兄ちゃんと一緒のクラスで、とと、飛び級でね!?」ワタワタ
禁書「もう、みことったら。少し落ち着いて?」ニコニコ
美琴「う、うん! すぅ~~、はぁ~~……よし落ち着いた」
禁書「それで何かあったのかな?」
美琴「えっとね、その……お兄ちゃんと同じ学校に、しかも同じクラスに通うことになったの///」テレテレ
禁書「それはビックリかも」
美琴「でしょ? でも嬉しいなぁ……///」
禁書「ふふ、よかったね みこと」ニコニコ
美琴「うんっ!!」
上条「……ところでこの燃え尽きた物体は何でせう?」
ステイル「」マッシロ
禁書「さあ? 私は知らないんだよ」プイッ
といったところで今回は終了
つい先月、大量の缶コーヒーを買いこんだのは私だけではないハズー
投下ー
CASE 441 中止
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「今日は何の日でしょうか? 回答時間は10秒! じゅう、きゅう、はち、なな」
上条「えーっと、今日は四月一日だから…」
ゲコッ ゲコッ ゲコッ ゲコッ
美琴「あ、電話だ。……ママから?」pi
美鈴『やっほー美琴ちゃん元気してるー?』
美琴「うん、そっちは?」
美鈴『そりゃ元気いっぱいよ。今日だってジムに行くし、離婚するの中止したし♪』
美琴「ふ~ん………………え、今なんて?」ピシリ
美鈴「あれー? ケータイのバッテリーが切れかかってるー。じゃあ美琴ちゃんまたねー」ボーヨミ
美琴「待ちなさいよ! そんな今更何言って……切れちゃった」プツッ
上条「なあインデックス、今日って何の日だっけ?」
禁書「んー、イースターマンデーじゃないのかな」
CASE 442 家庭崩壊再び
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「ママたち離婚を取り止めにするって……」オロオロ
上条「はぁ?」
禁書「うん?」ハテ?
美琴「どど、どーしよう!? このままだと三人で暮らせなくなっちゃう!?」
禁書「ええっ!?」ガビーン
美琴「私、そんなのやだよ! ねぇお兄ちゃん、一体どうすればいいの!?」
禁書「私も嫌なんだよ! とうまとうま、……とうま?」
上条「二人とも何をそんなに慌ててんだよ。別にいいじゃねーか、親が離婚しようが復縁しようがさ」
電磁目録「「ッ!?」」
CASE 443 冷静
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「お兄ちゃんこそ何でそんなに冷静なのよ!」
禁書「そうなんだよ! とうまは危機感が足りてないかも!」
上条「そうかぁ?」
美琴「うう~! もっと真剣に考えてっ!!」ガァァ
上条「俺たちの勝利条件は今の生活を維持する事。そして両親sの復縁は、勝利条件を脅かさない。だから慌てる必要も無い」スラスラ
美琴「な、なんで?」
上条「御坂は規則に厳しい常盤台を卒業しただろ。インデックスは最初から何も問題ないし、現状をとやかく言われる筋合いは誰にも無いじゃん」
美琴「……ほんとに?」
禁書「いまいち釈然としないのだけど……」
上条「まあさっきのは建前で、本音を言えばだな」ギューッ!!
禁書「ちょっと、とうま!?///」
美琴「お、お兄ちゃん!?///」
上条「お前らの笑顔を曇らすようなマネは絶対にさせねえ。誰だろうと、何が起ころうと絶対にな。だから心配すんな」
美琴「……うん、わかった///」テレテレ
禁書「わ、わかったから! 恥ずかしいから放してー!?///」カァァ
CASE 444 誤算
美鈴「おっかしいなー。何のリアクションも返ってこないなんて……う~ん」
詩菜「あらあら、どうされたんですか?」
美鈴「今日はエイプリルフールでしょう? せっかくだから美琴ちゃんをからかってやろうと思って電話したんだけど」
詩菜「うふふ、美鈴さんのイタズラ癖には困ったものですね」クスクス
美鈴「だって美琴ちゃんってば、最近は当麻君とインデックスちゃんの事ばかりで、私の相手をしてくれないんだもん」
詩菜「そうですね。私も少し寂しいです」
美鈴「でしょう?」
詩菜「でも美琴さんを悲しませるような嘘はいけませんよ」メッ
美鈴「ぶーぶー! 詩菜さんキビシー!」
詩菜「あらあら、聞き分けのない人には■■……しちゃいますよ?」ニッコリ
美鈴「ひっ!?」ビクッ
詩菜「ふふ、冗談です♪」
美鈴「あ、あはは……(絶対うそだぁぁーー!? ■■って何、■■って何なの刀夜さーん!?)」
◇ ◇ ◇ ◇
刀夜「ひっ!?」ゾクゾクッ
旅掛「おや、どうしましたか上条さん」
刀夜「いえ……かあさ、もとい詩菜がキレた気配を感じまして」
旅掛「ハッハッハ! なるほどなるほど」
刀夜「普段が穏やかなだけに、怒ると怖くて……ハハ、御坂さんの前ですみません」
旅掛「とんでもない! そこも含めて彼女の魅力ですからな」ワッハッハ
刀夜「そ、そうですか」
CASE 445 万愚節
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「さっきのクイズなんだけど、答えはエイプリルフールだったのよ」
禁書「いわゆる万愚節だね」
上条「たしか嘘をついてもいい日なんだよな」
美琴「うん。だからね、誰かにイタズラしない?」ニヤニヤ
禁書「…………」チラッ
上条「…………」コクリ
美琴「あ、ああーーっ!! いま目でサインを送ってた!?」
上条「はて?」ニヤニヤ
禁書「気のせいだよ」ニヤニヤ
美琴「うそだっ!! その顔は私をいじめる時の顔だー!?」ギャース
幻想目録「「…………」」フイッ
美琴「目ぇ逸らすなーー!」プンスカ
CASE 446 嘘
禁書「とうまとうまー」
上条「はいはい、何でございますかインデックスさん?」
禁書「とうまの妹は酷い人間なんだよ。人を騙して遊ぼうなんて信じられない」
上条「完全に同意ですな。うちのミコっちゃんは良い子だと思っていたので、裏切られた気分です」
美琴「だ、だって今日は嘘をついても許される日だし」オロオロ
禁書「言い訳なんてしていいわけ?」
上条「まったく、何時からミコっちゃんは悪い子になってしまったのか。罰として今日から一人で寝てもらいますからね」
美琴「!?」ガーン
上条「ナデナデしたり抱きしめたり、あとは手を繋いで通学するのも禁止ですね」
禁書「もう一緒にお風呂に入らないかも」
美琴「え、うそ……」
幻想目録「「うん、うそ♪」」
美琴「…………」
上条「あはは、嘘に決まってるだろ。御坂を甘やかせないなんて、上条さんは寂しくて死んでしまいます」ニヤニヤ
禁書「私もみことに甘えてもらえないと寂しいんだよ」ニヤニヤ
上条「ですよねー♪」
禁書「うん、私たちはみことが大好きなんだもん♪」
美琴「……///」プルプル
上条「おやおやー? ミコっちゃん、お顔が真っ赤ですのことよ?」ニヤニヤ
禁書「きっと照れてるんだよ。みことは照れ屋さんだから」ニヤニヤ
美琴「うっ、うるさぁぁーーーい!!!///」プンスカ
CASE 447 つい
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「私は怒ってるんだからね!」プンスカ
禁書「ごめんね、みこと。少しだけ反省してるかも?」
美琴「少しだけ!? しかもなんで疑問形なのよっ!!」
上条「むむ、ではこの上条、不肖の兄として腹を切って詫びる所存! インデックス、介錯を頼む」キリッ
禁書「承知したんだよ」
美琴「ええっ!? それはやりすぎ…」
上条「まあ嘘だけどな♪」ニッコリ
美琴「またか! また騙したのか!?」プンスカ
禁書「やだなー、せっかくの万愚節なんだから満喫しないと損でしょう?」ニッコリ
美琴「だからって、どーして私ばっか騙すのよー!」
幻想目録「「表情をコロコロ変える御坂(みこと)が可愛くて、つい♪」」テヘ
美琴「つい♪ じゃねーっつの!///」テレテレ
CASE 448 プチ家出
禁書「みことみことー」
美琴「ふん……」プイッ
上条「調子に乗ったお兄ちゃんたちが悪かったからさ、機嫌を直してくれよ」
美琴「知らない。意地悪な二人なんて嫌いなんだから」ツーン
上条「そんなっ!?」ガビーン
禁書「ううっ……みことに嫌われちゃった」ヨヨヨ
上条「もう生きてる意味がねえ……」
禁書「出家して悔い改めるしかないのかも……」
美琴「なーんてね♪ やーい、騙されてやんのー♪」チラッ
シーン……
美琴「あ、あれ? 二人ともどこ行っちゃったの!?」キョロキョロ
◇ ◇ ◇ ◇
バンッ!!
美琴「おにいちゃーん! インデックスー! さっきのは嘘っ!! ほんとは大好きだからー!?」アセアセ
上条「うん、知ってる」ニヤニヤ
禁書「私たちが部屋に居ないのに気付いてから部屋を飛び出すのに、たったの三秒だったんだよ」ニヤニヤ
美琴「あ、あ、ああああ///」プルプル
上条「寂しくなって上条さんを探すミコっちゃん萌えー」ニヤニヤ
禁書「違うんだよ。みことは私を探そうとしたんだよ」
上条「いや俺だろ」
美琴「アンタたちはぁぁーーーーーーーー!!!///」ガァァ
CASE 449 きこえなーい
上条「御坂さーん?」
美琴「あー! あー! きこえなーい!」
禁書「……耳を塞いで拗ねちゃったんだよ」
上条「ならばその防御を突き破るまで!」
禁書「どうするの?」ハテ?
上条「御坂(せかい)の中心で愛を叫ぶ! 俺は御坂が大好きだあああああああああああああああああああ!!!!」
禁書「私もみことを愛してるううううううううううううううううううううう!!!!」
美琴「~~~~~ッ///」カァァ
上条「お兄ちゃんだけど、愛さえあれば関係ないよねっ!!!」クワッ
禁書「何がとは聞かないけど、多分大丈夫なんだよっ!!!」キリッ
美琴「き、きこえなーい……///」
CASE 450 語尾
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ? 好き好き大好き御坂あいしてるー!」
美琴「ふにゃ!?///」
禁書「どうしたの? みことだーいすき♪」
美琴「ご、ごご、語尾がおかしい……///」モジモジ
上条「どこが? 世界で一番ミコっちゃんが好き!」ハテ?
禁書「どこもおかしくないんだよ。みことラブなんだよ」
美琴「わかったから! 二人の気持ちはよーっくわかったから!///」イヤンイヤン
上条「うそだな」キッパリ
禁書「うそだよ」キッパリ
美琴「はぇ?///」
上条「宇宙よりデカイこの気持ちを、そう簡単に伝えきれるわけがないっ!!」
禁書「なら伝えきれるまで叫ぶんだよ、とうま!」
上条「おう! お兄ちゃんは、御坂のお兄ちゃんで本当に幸せだああああああああああああああああああッ!!!!」
美琴「あ、愛が痛い……///」フニャー
レベル5とレベル4の間には、隔絶した差があると思い知らされたミコっちゃんなのだった
といったところで今回は終了
あかん、オンタイムで投下できんかったー!?
投下ー
CASE 451 お花見
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「お花見したい!」
禁書「さんせーなんだよ!」
上条「そうだな、じゃあクラスの連中や一方通行たちを誘ってみるか」ウン
美琴「私はお弁当を作るわね」
禁書「みこと、私も手伝うね」
美琴「えっ、こ、こっちは一人で十分だからお兄ちゃんを手伝ってあげて?」アセアセ
上条「そうだぞインデックス! え、えっと何か、何か手伝ってもらえる事は……」アセアセ
禁書「むぅぅーー!! 二人とも馬鹿にして!」プンスカ
美琴「だ、だって……」
上条「死人が出てからじゃ遅いだろ?」
禁書「ひどっ!?」ガビーン
◇ ◇ ◇ ◇
お隣さんち
ステイル「フムフム、なるほど……お花見か」
土御門「……壁に紙コップを当てて何をしてるのかにゃー?」
ステイル「土御門、早急にお花見の準備が必要みたいだ。僕は先行してベストプレイスを確保する」キリッ
土御門「涙ぐましい努力だぜい……」ホロリ
CASE 452 千客万来
とある公園
ステイル「勢い勇んで来たはいいが」
花見客A「」デン
花見客B「」デデン
花見客C「」デデデン
――以下略
ステイル「クソッ、完全に出遅れた! 何処か……まだ何処か空き場所が残っていないか」キョロキョロ
ベストプレイス『』テッテレー
ステイル「あった!!」パァァ
黒子「ありましたの!」パァァ
ステイル「うん?」ハテ?
黒子「はい?」ハテ?
CASE 453 争奪戦
ステイル「……悪いけど、そこは僕が最初に目をつけたんだ。君は別の場所をあたってくれ」
黒子「なっ! わたくしの方が先に見つけましたのに!」
ステイル「いいや、僕の方が早かった」フフン
黒子「あなたの主観なんて当てになりませんの! ここは公平にじゃんけんで決着をつけましょう」
ステイル「いいだろう、Fortis913! 我が名が最強である理由をここに証明する!」クワッ
黒子「わたくしも風紀委員の末席に名を連ねるもの。勝たせていただきますの!」キリッ
ステイル「では……」
黒子「いざ……」
ステ黒「「最初はグー! じゃんけんぽんっ!!」」
ステイル「」チョキ
黒子「」グー
黒子「やりましたわ! わたくしの勝利ですの!」キャッキャ
ステイル「…………」
黒子「さあ約束通り、ここは譲っていただきますわよ」
ステイル「……何を言っているんだい? 僕は負けていないんだが」
黒子「あなたこそ何をおっしゃってるんですの?」ハテ?
ステイル「僕のハサミ(イノケンティウス)は良く切れるんだ。グーだろうがチョキだろうが真っ二つさ」ゴゴゴゴ
黒子「い、一体何を……大気が揺らめいている!?」
ステイル「出番だ! 我が身を喰らいて力と…」
初春「白井さーん、遊んでないでさっさと場所を確保してくださいよ。まったく、肝心な時に役に立たないんだから」テキパキ
佐天「シートを敷いてっと。うん、中々の立地だね」テキパキ
ステ黒「「…………」」ポカーン
CASE 454 宴会
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「みてみて、桜が満開っ! こんな良い場所でお花見できるなんて、黒子に頼んで正解だったわね♪」
上条「流石テレポーターだな」ウン
黒子「まあこの程度、わたくしに掛かれば当然ですの」エッヘン
初春「とか何とか言って、あちらの神父さんと遊んでただけじゃないですか」ヤレヤレ
佐天「だよねー」
黒子「に、認識の相違ですの」アセアセ
禁書「はむっ、あむっ、もぐもぐ」
ステイル「ああっ、そんなにがっついて……。他の人の分まで食べ尽くすつもりかい」オロオロ
禁書「ふぇ?」ハテ?
土御門「その馬鹿デカイ重箱を一人で平らげるつもりかにゃー?」
禁書「?? このお弁当は私の分なんだよ? ねぇ、みこと」
美琴「そうだけど、もしかして足りなかった?」
禁書「ううん、とっても美味しくて満足かも♪」モグモグ
美琴「ふふ、良かった。あ、土御門のお兄さんたちも遠慮せず食べてくださいね」ニコニコ
土御門「同じ重箱がもう一つ……おっ、かなり美味しいぜよ」モグモグ
ステイル「……(インデックスの分=残りの人間の分……だと……?)」
打ち止め「お呼ばれされたら即参上ーっ! ってミサカはミサカはシスターさんの隣を確保してみるー♪」テッテッテ
番外個体「やっほー☆」
禁書「三人ともいらっしゃい♪」
一方通行「よォ」
ステイル「出たな、ホワイトパーソンめ!!」ギリッ
一方通行「はァ?」
CASE 455 酔っ払い
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何、って酒くさっ!?」
美琴「にゃははは♪ お兄ちゃんも楽しんでるかぁ~、ういっく///」フラフラ
上条「誰だよ、御坂に酒飲ませたの!?」
小萌「あれれー? ここに置いてた泡の出る麦茶が消えたのですよー」ハテ?
黄泉川「今日は無礼講、細かいコトは気にせず飲みまくろうじゃん♪ ごくごくごく……ぷはーっ!!///」
吹寄「そんな無茶苦茶な……」
青ピ「ギャハハハ! おっかしいわ~、あないな所に黄色いぞうさんが走っとる~///」
一方通行「何処だっ!?」キョロキョロ
佐天「違いますよぉ~、黄色いぞうさんじゃなくてピンクのカバさんじゃないですか~、ひっく///」
青ピ「あ、ホンマや~///」
一方通行「クソッ、何処にも見当たらねェ!! ハッ、もしかして俺の心が汚れてるから見えないのか!?」ガーン
初春「もー佐天さんってば……お花は私の本体なんですから……むにゃ///」スヤスヤ
上条「……カオスだ」ガックリ
美琴「ほらほらぁ~、ノリ悪いぞぉ~♪///」ギューッ
上条「勘弁してくれよ。インデックからも何か言って…」チラッ
禁書「アハハハ、世界が回ってるんだよ~♪///」フラフラ
上条「お前もかっ!?」
美琴「お兄ちゃん、あ~ん♪///」
上条「へ? あ~……んぐっ!?」スポッ
ゴキュゴキュゴキュ
上条「――ぷっはー! おまっ、いきなり……あ、あれ? 世界が回りゅ?///」フラフラ
美琴「きゃははは♪ お兄ちゃんカッコイイー!///」パチパチパチ
番外個体「あわわ、何だかえらい事に……」
黒子「あぁ~ん、おっきなお姉さまも素敵ですの~♪///」ムチュー
番外個体「ぎゃああーー!? ちょ、このっ、ミサカにキスしようとすんなぁぁーーー!!!」ギャース
CASE 456 覗き見
美琴「にゃんにゃん♪///」
上条「わんわん!///」
美琴「んふふー、わらしはねぇ、おにーたんのころがね、らいしゅきなの~///」イチャイチャ
上条「ういー、お兄ちゃんもなぁ、みしゃかのころがな、ずんどこべろべろなんらろ?///」イチャイチャ
美琴「ふにゃー///」イヤンイヤン
禁書「あーっ、まら二人らけれいちゃいちゃしてぇー! わらしらって、みことがだいしゅきなんらからー///」ギューッ
美琴「えへー、わらしもしゅきー♪///」
上条「おれも……うぷっ!? な、なんらかキモチ悪く……オエーーーッ」オロロロ
◇ ◇ ◇ ◇
花見現場から少し離れた場所
海原「フフ、今日も御坂さんは素敵ですね」ジー
土御門「オイ、一体何をしている?」
海原「もちろん御坂さんを見守っているんですよ」ジー
土御門「……どこまで堕ちれば気が済むんだ。貴様もレベル5(兄レベル)だろうに」
海原「何を言ってるのかわかりませんね」ジー
偽海原(エツァリ)
兄レベル5『超絶加速(ハイパークロックアップ)』の使い手。妹が心配すぎて、つい変装して監視してしまう能力(超スピードで)
ただし今現在は妹(ショチトル)を蔑ろにしているため、能力が大幅に劣化している。
CASE 457 二日酔い
美琴「ねぇねぇ……」
上条「はいはい、今度は……うえぇ……キモチわりぃ……」
禁書「うう……これが噂に聞く二日酔いなのかも」
上条「二人とも待ってろ……。ちょっくら薬局まで薬を、くうぅー、頭いてぇ……」ヨロヨロ
禁書「わわっ、さすがに無茶なんだよ」
美琴「そうよ、今日は家でゆっくりしてよ?」
上条「そ、そうだな」
禁書「えっとね、寝るのが二日酔い回復の近道ってテレビで見たよ」
上条「じゃあ三人で寝るか」
美琴「うんっ! って、あいたた!?」ズキズキ
◇ ◇ ◇ ◇
三十分後
美琴「すぅ……すぅ……」スヤスヤ
上条「両方から腕枕とか。つーか普通に重いんですが……まあしゃーないよな」ウン
禁書「くぅ……くぅ……」スヤスヤ
CASE 458 寝過ごした
美琴「…………」スヤスヤ
上条「ぐぅ……ぐぅ……」スヤスヤ
禁書「……ハッ、おなかすいた!」ムクリ
美琴「んぅ?」
上条「ふぁぁ~~、……今何時だ?」
時計『23:30』チクタク
上条「は?」
美琴「うそ、一日中寝てたっていうの……?」
禁書「ありえないんだよ!? 今日はまだ一回もご飯を食べてないんだよ!?」ガビーン
CASE 459 大雨
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「天気予報でお昼から大雨が降るんだって」
上条「それは拙いな。食材の買い置きが底をついてたような……」
禁書「大ピンチかも!?」ギャース
美琴「今のうちに買い出しに行きましょ」
◇ ◇ ◇ ◇
禁書「いーっぱい、お買い物したんだよ♪」ルンルン
上条「それが二日後には完全消滅してるんだよなー」チラッ
禁書「何が言いたいのかな!?」
上条「そういや大雨が降ったら桜も散るんだよな」
美琴「今日が見納めかぁ……」
禁書「そうだね……って、とうま! 話題を逸らそうたって無駄なんだからね!」プンスカ
CASE 460 葉桜
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度は何だ?」
美琴「桜、散っちゃったね……」
上条「あっという間だったよなぁ」シミジミ
禁書「散り際の潔さが、ソメイヨシノの魅力と言っても過言ではないかも」
美琴「…………」
禁書「みこと?」ハテ?
美琴「あはは、なんだかね、どんな事にもいつか終わりが来るのかーって考えたら、ちょろっと寂しいなって」
上条「なーにおセンチになっていやがりますか」ポン
美琴「わ、私だってたまには感傷的になるわよ! 悪い!?///」
禁書「悪くはないけど、終わりじゃないんだよ」
美琴「えっ?」
上条「よーく見てみろよ。花が散っても新しい葉が芽吹いてるだろ」
禁書「きれいな葉っぱが生えそろう頃、またお散歩しよう? きっと木漏れ日が気持ちいいんだよ」
美琴「……うん!」
といったところで今回は終了
実際は四月を前に散ってしまわれたっていう、何とも風情に欠ける春でしたー
投下ー
CASE 461 その涙は突然に
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
禁書「ひぐっ、ぐすっ、ううぅ……」シクシク
美琴「何故かインデックスが泣いてるんだけどー!?」
上条「ええーっ!?」ガビーン
禁書「とうまぁ……みことぉ……」メソメソ
上条「どど、どうしたんだよ!? あれか、お腹空いたのか!?」オロオロ
禁書「ちがっ、うくっ……」ポロポロ
美琴「レコーダーのHDがクラッシュしちゃったとか!?」オロオロ
禁書「ううっ……うわあーーーん!!!」ポロポロ
上琴「「ぎゃあーーー!! 一体どうすりゃいいのーーー!?」」
CASE 462 おぞましき夢
美琴「ねぇ、落ち着いた?」
禁書「うん……」
上条「どこか痛いのか? もしかして拾い食いしたのが当たっちまったのか!?」オロオロ
禁書「私の胃はそんなに軟弱じゃないんだよ……」
美琴「何か辛い事があるなら教えて?」
上条「俺も御坂もインデックスの味方だぞ。何でも頼ってくれよ」
禁書「うん……。あのね、夢を見たんだよ」
美琴「こわい夢?」
禁書「うん……とても怖くて、寂しくて、おぞましい夢……」
CASE 463 衝撃のファーストブリット
禁書「ハーッハッハッハ! このインデックスに逆らう愚か者には天の裁きが下るんだよ」
市民A「うわああっ! 白い悪魔が来たぞーーっ!?」
市民B「警備員も風紀委員もヤツに壊滅させられたんだ! もうおしまいだーっ!?」
市民C「見ろっ! 空に巨大な……あれは魔法陣、なのか?」
禁書「欲望に塗れた人類は、このインデックスが粛清するんだよ!」
◇ ◇ ◇ ◇
禁書「――って夢をみたんだよ」
上条「ぷっ、あっはっはっは!!」
美琴「あ、あり得ないでしょ、そんなの……ぷくく」
禁書「わ、笑い事じゃないかも!!」プンスカ
CASE 464 撃滅のセカンドブリット
上条「待ていっ!!」
禁書「その声は……とうまっ!!」
上条「今日こそテメェのふざけた幻想をぶち殺す!」
禁書「そんな事より私に協力しない? そうすれば世界の半分をあげるんだよ」
上条「んなもんいるか! お前に協力するくらいなら死んだほうがマシだ!」
禁書「むうう! とうまのわからず屋ーーーっ!!!」
◇ ◇ ◇ ◇
禁書「――それから私と とうまが殺し合うんだよ」
上条「~~~~~~ッッ」プルプル
美琴「と、特撮ヒーローものの見過ぎじゃ……ぶふっ」プルプル
禁書「真面目に聞いて欲しいかも!」プンスカ
CASE 465 抹殺のラストブリット
上条「うおおおッ!! インデックスゥゥゥーーーー!!!」グオッ
バキッ!!!
禁書「ごはッ!?」メキャ
上条「やったか……?」
禁書「……フッフッフ」
上条「ッ!?」
禁書「この程度で私を倒せると思ったのかな?」
上条「ま、まずっ…」
禁書「貧弱! 貧弱ゥ!」スッ
ズガガガガガッ!!!!
上条「ぐわあああああああッ!?」グンニャリ
◇ ◇ ◇ ◇
禁書「――みたいな感じで、とうまは手も足も出ずにやられちゃうんだよ」
美琴「もう少し頑張りなさいよ。これじゃ瞬殺じゃない」
上条「情けねえ……。もうちょっと粘れよ夢の中の俺」
禁書「とうまは頑張ったけど、私が強すぎたんだよ……」ゴクリ
CASE 466 瞬殺のファイナルブリット
美琴「よくもアイツを殺ってくれたわね!」
禁書「フンっ」スッ
美琴「ちょ、きゃああーーーー!?」ピチューン
◇ ◇ ◇ ◇
禁書「――みことの出番はこれだけだったんだよ」
上条「くくくっ、これが本当の瞬殺じゃねーか」プークスクス
美琴「そんなに弱くないっつーの!」プンスカ
CASE 467 夢の終わりに
禁書「十万三千冊がある限り、このインデックスこそが地上の支配者なんだよ!」
狂信者A「ジーク・ライヒ!」
狂信者B「ジーク・カイザー・インデックス!!」
ステイル「ジーク・カイザー・インデックス!!」
禁書「世界は我が神聖インデックス帝国が支配した! 全てが私にひれ伏したんだよ!」
◇ ◇ ◇ ◇
禁書「――ここで目が覚めたんだよ」
上条「も、もうどこから突っ込んでいいのか分かりません」ケラケラ
美琴「神聖インデックス王国のほうが権威が高まるんじゃないかしら?」
禁書「こんな夢をみるなんて、私は罪深いシスターなのかも……」ガックリ
CASE 468 抑止力
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「真剣に心配して損したわね」
上条「まったくですね」ウン
禁書「二人とも真剣に考えて欲しいかも! 私の十万三千冊には世界を何十回も滅ぼして余りある力が…」
美琴「馬鹿ねぇ、インデックスがそんなつまんない事に力を使うはずないでしょ」
上条「仮に魔道書を使えても、妖怪食っちゃ寝のままだろ」
禁書「とうまから微妙に悪意を感じるんだよ……」
上条「心配しなくても」
美琴「インデックスが間違えそうな時は、私たちが止めてあげる」
禁書「……瞬殺だったのに?」
美琴「な、なにおーー!!」
禁書「きゃあーー♪ みことが怒ったんだよーー!」テッテッテ
美琴「こらーっ!! 待ちなさーーーい!!」タッタッタ
上条「あーお前ら、家の中で走り回るんじゃありません」
CASE 469 食っちゃ寝
禁書「ねぇねぇ」
美琴「なーに、インデックス?」
禁書「安心したらお腹がへったんだよ」クゥゥゥ……
美琴「しょーがないわねぇ、何が食べたい?」
禁書「うーんとね、おにぎり!」
美琴「りょーかい」
禁書「梅とね、シャケとね、ツナマヨが食べたい!」
美琴「はいはい」クスッ
◇ ◇ ◇ ◇
禁書「ふぁぁーー……」
上条「デカイ欠伸だなぁ、って、ふあああーーー……はふぅ、うつっちまった」
禁書「お腹いっぱいで、なんだか眠くなってきて…………ぐぅ」
上条「あーあ、こんなとこで寝やがって。仕方ねえな」ヒョイ
禁書「ぐぅ……ぐぅ……」スヤスヤ
上条「やっぱり妖怪食っちゃ寝だな」クスッ
美琴「インデックスだけお姫さまだっこしてもらってる……」ゴゴゴゴ
上条「マイシスター!?」ガビーン
CASE 470 おぞましき夢・アナザー
一方通行「…………」ズーン
番外個体「第一位のヤツ、どーしちゃったの?」
打ち止め「分かんない、ってミサカはミサカは元気のないあの人を心配してみたり」
番外個体「まあどーせ大した理由じゃないだろ」
打ち止め「でもでも、あの人は繊細だから、ってミサカはミサカは……あ」
スフィンクス「にゃあー」スリスリ
一方通行「スフィンクスちゃン……」
スフィンクス「にゃうー?」
一方通行「イッパイアッテナは死ンでないよな? きっと何処かで生きてるよな?」ポロポロ
番外信号「「誰それ?」」ハテ?
といったところで今回は終了
なんとかCASE 500までは続けていきたいですなー
糖化ー
CASE 471 熱暴走
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「なんかクーラーがスゴイ音立ててるんだけど!?」
クーラー『』グガゴゴゴ!!
禁書「だ、大丈夫なのかな?」オロオロ
上条「まさか壊れたりしませんよねえ……?」
美琴「そんなまさかぁ…」
クーラー『』プスプスプス
上琴目録「「「ぎゃああーーー!!! 言ってるそばから煙を噴いたーーー!?」」」ギャース
CASE 472 脳も熱暴走
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ? ……てか暑すぎなんですが」フラフラ
美琴「クーラー直せそう?」
上条「あー、どうにも無理っぽいな。室外機が完全にぶっ壊れてたから」
禁書「とうまぁ……暑いんだよ……ううっ」パタリ
上条「インデックスーー!?」
美琴「35℃もあるのに修道服なんて着てるからー!」ギャース
上条「とと、とにかく着替えさせてアイシングを!? いや、それとも冷えぴたがいいのか!?」オロオロ
美琴「そうだ! いっそ三人で水風呂に入ればいいじゃない!」
上条「それだっ!!」
◇ ◇ ◇ ◇
上条さんち お風呂場――
チャプーン♪
美琴「///」モジモジ
禁書「///」テレテレ
上条「ふぅ、生き返ったぜ」ヤレヤレ
CASE 473 水着を着ているのか否か、重要なのはそこだ
美琴「ね、ねぇねぇ……///」チャプチャプ
上条「はいはい、今度はなんだ?」チャプチャプ
美琴「ひ、ひんやりして気持ちいいね///」テレテレ
上条「まったくですなぁ。そのままだとお湯みたいだったけど、氷を入れたのが功を奏しましたな」
美琴「えへへ……へくちっ!」
上条「いかん、冷やしすぎたか!? すぐにお湯を足して温めねばっ!!」
美琴「ううん、それよりギュッてして欲しい。そっちのほうが温かいから……///」モジモジ
上条「わかった! うおおおおっ!!! 燃え上がれ、上条さんの小宇宙(コスモ)!!!」ギューーッ!!
美琴「ふ、ふにゃー///」プスプス
禁書「ううっ……水風呂は気持ちいいけれど、は、恥ずかしいんだよ///」カァァ
CASE 474 叫ぶと必殺技みたい
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「クーラーを買い換えましょう!」
禁書「一刻も早い復旧が望まれるんだよ!」※暑さ対策のため、サマーワンピにお着換え済み
上条「ふむん、出費は痛いが背に腹は代えられないか……」
◇ ◇ ◇ ◇
とある家電量販店――
禁書「あ、これがいいかも!」
美琴「CMでやってるプラズマクラスターが出るヤツね」
上条「却下」
禁書「ええっ!?」ガビーン
上条「なんたらクラスターなんて非科学的なもんは要りません。こっちの特価品で十分です」
禁書「科学的かどうかなんてどーでもいいんだよ! プラズマクラスターっていう響きが重要かも!!」ガァァ
美琴「あはは、なんだか必殺技みたい」ケラケラ
上条「プラズマァァ……クラスタあああああああああああああッ!!! みたいな?」グオォォ!!
美琴「か、かっこいい!」キラキラ
禁書「エコーがかかれば完璧かも!」
CASE 475 危急存亡の秋
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「結局インデックスが欲しがったのにするの?」
禁書「…………」ウルウル
上条「インデックスにはいつも助けられてるし、それにすっか」ウン
禁書「わぁーい! さっすがとうまなんだよ♪」キャッホゥ
美琴「じゃあ店員さんを呼んでくるわね」クスッ
◇ ◇ ◇ ◇
数分後
美琴「え……」
上条「い、今なんと?」ワナワナ
店員「お客様には大変ご迷惑をおかけしております。本日ご購入された場合、取り付け工事は明日の昼以降になります」ペコペコ
上条「マジかよ……。あの灼熱地獄で一晩明かせと……?」
美琴「無理ムリっ!! 死んじゃうってば!?」ブンブン
禁書「ききゅーそんぼーのときかも……ッ」ガビーン
CASE 476 ヒャダルコ
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「窓を全開にしても ちっとも涼しくなんないんだけど!?」ワタワタ
禁書「ホントどーするの!? このままだとローストインデックスになっちゃうかも!?」オロオロ
上条「フフン、こんなこともあろうかと! 風鈴を用意しておいた!」
風鈴『』チリンチリーン
上条「どうだ、これで少しはマシに…」
禁書「ならないよ!」
美琴「焼け石に水ね……」
上条「ですよねー……」
美琴「あ、そうだ。ステイルさんならひんやり系の魔術とか使えるんじゃないかしら?」
禁書「ステイルが得意なのはメラ。ヒャダルコは使えないんだよ」フルフル
◇ ◇ ◇ ◇
土御門さんち――
ステイル「僕の炎はメラなんかじゃない……メラゾーマ、いやメラミくらいはあるはず……」ズーン
土御門「どんまい♪」プークスクス
CASE 477 再起動
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「再起動させよう。もうそれしか手は無いわ」キリッ
禁書「なっ、そんなの無茶なんだよ!?」
上条「ここまで必死に働いて、もうボロボロのアイツを鞭打つってのか!?」
美琴「やんなきゃ次は私たちが死ぬ番ってだけ。だからやるしかないのよ」
禁書「そんなのってあんまりかも……」
上条「この世界は残酷すぎる……ッ」
美琴「二人ともどいて。……私がやる」
上条「どけるかよ。手を汚すしかないってんなら、それは俺の役目だ」
美琴「お兄ちゃん……」
上条「…………」ゴクリ
禁書「とうま……」
上条「ッ、動けええええええええええええええええええええええええええ!!!!」pi
クーラー『』グゴゴゴッ、プスプス
上琴目録「「「やっぱダメだーー!?」」」ガビーン
CASE 478 真夏の夜の夢
美琴「ねぇねぇ……ってあれ? ここは何処?」キョロキョロ
9982号「おや、またお会いしましたねお姉さま、とミサカは思いがけない再会に顔を綻ばせます」
美琴「えっ」
9982号「驚くことはありません。お盆なので帰ってきました、とミサカは身も蓋も無い事実を教えます」
美琴「そ、そっか。でも……うん、また逢えて嬉しいわ」ニコッ
9982号「はい、ミサカも嬉しいです」
美琴「他の子たちも帰ってきてるの?」
9982号「10031名 全て学園都市を観光中です。もちろん幽霊としてですが、とミサカは注釈します」
美琴「ちょっとしたホラーね」クスッ
9982号「学園都市はミサカたちの故郷ですから、とミサカは多少の怪奇現象が起きても我慢して欲しい旨を伝えます」
美琴「か、怪奇現象……?」ギクッ
9982号「あっ、とミサカは怖がりな姉に対して失言であったと察します」
美琴「こっ、ここ、怖くなんてないわよ!? ええ、全然平気ですとも!?」ガクガク
9982号「…………」ニッコリ
美琴「ほ、本当だからね!? そ、それよりさ――」アセアセ
◇ ◇ ◇ ◇
美琴「――それよりさー、もうどうでもいいからチュッチュしようぜ♪」チュッチュ
禁書「とうまー!? みことが暑さで変になっちゃったんだよ!?」ギャース
上条「ちゅっちゅぺろちゅっちゅぺろぺろ♪」チュッチュ
禁書「とうまもーー!?」ガビーン
CASE 479 デイブレイク
美琴「ねぇねぇ!」
上条「――ぅん? なんだ、もう朝か?」
美琴「おはよ、今日も暑いわよー」
上条「うへー、マジか……。あれ、インデックスはまだ寝てるの?」
美琴「いや、それが……」チラッ
禁書「チュッチュいやいや、ぺろぺろコワい……」ウーンウーン
上条「顔中唾液まみれでうなされてるぅぅーーーー!?」ガビーン
美琴「一体インデックスの身に何があったっていうの?」ゴクリ
CASE 480 真ん中で二つに折る、ひんやり冷たいアンチクショウ
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「昨日買ったクーラーはまだ来ないのかしら」ワクワク
禁書「そろそろなんだよ。ううっ、これで チュッチュぺろぺろは回避できるかも」シクシク
上条「ハハ、なんだよそれ」
禁書「笑い事じゃないんだよっ!! あと少しで私までおかしくなる所だったんだからね!!」ガァァ
美琴「そういえば昨晩の記憶が曖昧なのよねぇ。なんでだろ?」ハテ?
禁書「し、知らないほうが幸せなこともあるのかも!?」アセアセ
上条「言われてみれば、俺もよく覚えてないなぁ」
禁書「とうまは深く反省して!!」ビシッ
上条「なんで俺だけー!?」ガビーン
Prrrr Prrrr
上条「電話? ――もしもし」pi
店員『上条様のお電話でしょうか? こちらINDEX電気の○○ですが』
上条「ああ、昨日の」
店員『お客様には大変ご不便をおかけします。配送の手違いが御座いまして、ご購入戴いたエアコンの取り付けが明日にずれ込んでしまいました』
上条「え」
◇ ◇ ◇ ◇
夜
上条「あっちィィーー……」グッタリ
美琴「…………」グッタリ
上条「クーラーは配送ミスで届かないし、インデックスは風呂場に立て篭もるし……不幸だ」
美琴「ねぇ……」
上条「うん?」
美琴「暑くて仕方ないからさぁ、今日もチュッチュしようぜ♪」チュッチュ
上条「ちょっ、えっ、御坂さん!?」ゾクッ
禁書「主よ、大切な隣人を救えない無力な子羊を許したまえ……」ガクブル
といったところで今回は終了
ついに地球が人類を駆逐するのを決定した模様。扇風機がまるで役に立ちませーーん!?
早朝に投下ー
CASE 481 帰国
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「インデックスが居ないんだけど、どこ行ったか知らない?」
上条「土御門んちに行ってる。ステイルと仕事の打ち合わせらしい」
美琴「ふ~ん」
ガチャ
禁書「ただいまー」
美琴「おかえり! ねぇねぇインデックス」
禁書「なにかな?」ハテ?
美琴「明日ケーキを買いに行かない? 初春さんにケーキ屋さんのクーポンを貰ったのよ」
禁書「ケーキ!? もちろん行く……わけにはいかないんだった。ううっ、ケーキィ……」ズーン
美琴「なんで?」
禁書「明日はイギリスに帰らなきゃいけないんだよ」
美琴「……え」
CASE 482 圧倒的拒否ッ
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「どどど、どうしよう!? インデックスが帰国するって!?」アウアウ
上条「そっかぁ、達者でな」
禁書「うん、とうまも元気でね」ニコッ
上条「ハハ、元気だけが取り柄ですからね。まあすぐに…」
美琴「ヤダっ!!!」
上条「み、御坂さん……?」
美琴「インデックスが帰っちゃうなんて絶ッッッッ対に嫌っ!!!」プイッ
上条「…………」チラッ
禁書「…………」コクリ
CASE 483 出会いと別れ
美琴「ねぇねぇ!」
禁書「はいはい、今度はなにかな?」
美琴「急な帰国の原因はお仕事なんでしょ?」
禁書「うん、どうしても私の知識が必要なんだよ」
美琴「じゃあお仕事が終われば、すぐに帰ってくるのよね?」
禁書「それは……」フイッ
美琴「えっ……ちょっと、冗談でしょ……?」
禁書「…………」
美琴「わ、私をからかってるんでしょ? いつもみたいに二人して私が慌てるのを面白がってるんでしょ……?」プルプル
禁書「ごめんなさい、みこと」
美琴「そ、そんな……」ペタン
上条「今生の別れってわけじゃないんだ。笑って送り出してやろう?」
美琴「ッ、なんでお兄ちゃんはそんな平然としてられるのよ!!」ガァァ
上条「あのな御坂。どんな素晴らしい出会いにも、いつか別れの時がくるんだよ」
美琴「そんなの……ッ!!」
上条「そうやって出会いと別れを繰り返して、人は成長するもんだと上条さんは思うな」
美琴「だからって、いくらなんでも突然すぎるわよ……」ションボリ
◇ ◇ ◇ ◇
土御門さんち――
ステイル「…………」グッ
土御門「うっひょー! 仕事とはいえ禁書目録と二人でイギリス旅行! テンション上がってきたあああああああああああ!!!」
舞夏「と、内心では大はしゃぎなステイル少年でしたとさー」ニヤニヤ
土御門「いやん、このムッツリス・ケ・ベ♪」ニヤニヤ
ステイル「う、うるさいな!///」カァァ
CASE 484 成長
美琴「ねぇねぇ」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「明日、空港までインデックスのお見送りに行こ?」
上条「いいのか……?」
美琴「良くない……けどさ、私の我がままでインデックスを困らせるのはもっと良くない」
上条「おお、御坂が成長を!」
美琴「私だって成長するっての。寂しいけど我慢するわよ……」
上条「ん?」
美琴「会おうと思えば飛行機でひとっ飛びだし、電話やメールだってあ、あるし!」
上条「あー……」
美琴「ぜ、全然へーき。へーき、なんだからぁ……」ウルウル
上条「よしよし、偉いぞ御坂」ナデナデ
禁書「うっうっ、もらい泣きしそうかも」グスッ
CASE 485 最後の晩餐
禁書「ねぇねぇ、みこと」
美琴「ん、なーに?」ゴシゴシ
禁書「今日の晩ごはんは、みことのカレーが食べたいんだよ」
美琴「カレーでいいの?」
禁書「うん! みことのカレーが大好きだから」
上条「カレーといえば、インデックスのデスクッキングを思い出しますな。うぷっ、思い出しゲロが……!?」
禁書「酷いんだよ! そこまで不味くなかったもん!!」プンスカ
ガチャ
土御門「そうだ! アレは不味いとかいう次元じゃなかったぜよ」
ステイル「酷いカレーだったね……」ゲンナリ
舞夏「アレをカレーだと言い張るのは、あらゆる料理への冒涜だぞー」
禁書「みんなしてあんまりかもっ!?」ガビーン
CASE 486 ブクブク
禁書「ハァ、髪が長いのも考えものだね。お手入れが大変なんだよ」チャプン
美琴「…………」ブクブク
禁書「みこと?」ハテ?
美琴「…………」ブクブク
禁書「あまり長湯すると湯あたりしちゃうよ?」
美琴「…………」ブクブク
禁書「…………」
美琴「…………」ブクブク
禁書「そういえば、ラストオーダーは肩まで浸かって100数えて上がるって言ってたんだよ」
美琴「…………」ブクブク
禁書「もう少しだけ温まってから上がろ?」クスッ
美琴「うん……」
◇ ◇ ◇ ◇
上条「あいつら何時間風呂に入ってるんだよ……」
CASE 487 早寝
美琴「ねぇねぇ」
禁書「はいはい、今度はなにかな?」
美琴「お兄ちゃん、先に寝ちゃってる……」
上条「ぐぅ」スヤスヤ
禁書「あは、少し長湯しすぎちゃったかも」クスッ
美琴「ちぇー、今夜は三人で語り明かすつもりだったのに」
禁書「それは楽しそうだね」
美琴「でしょ?」
禁書「でも、それはまた今度に取っておけばいいんだよ」
美琴「……そうね、湿っぽくなるのも嫌だし早く寝ちゃいますか!」
CASE 488 Time to say good-bye
第二十三学区 空港――
美琴「ねぇねぇ!」
禁書「はいはい、今度はなにかな?」
美琴「忘れ物はない?」
禁書「うん」
美琴「パスポートは持った?」
禁書「うん」
美琴「ハンカチとティッシュは大丈夫?」
禁書「うん」
美琴「ケータイはちゃんと充電してる?」
禁書「うん」
美琴「毎日メールするから」
禁書「うん」
美琴「お仕事だからって、無茶してケガなんてしたらダメなんだから」
禁書「うん」
美琴「それから、えっと……食べ過ぎてお腹を壊さないようにね」
禁書「みことのご飯に慣れてるから、むしろ食欲不振になっちゃうかも」
美琴「~~~~~ッ」
禁書「みこと、行ってきます」ヨシヨシ
美琴「いっ、いって、ふぐッ……いっで……らっしゃい」ポロポロ
CASE 489 また会う日まで
上条「あーあ、行っちまったな、インデックスのヤツ」
美琴「うん……」
上条「そんな顔すんなって。またすぐに会えるさ」ポン
美琴「うん……」
上条「にしても超音速旅客機で帰るとは……」
美琴「うん……」
上条「一時間後にはロンドンだな」
美琴「うん……」
上条「ま、その程度の距離ってことだ。深刻になるほど離れちゃいねーよ」ナデナデ
美琴「うん、そうよね……。こんな風に落ち込んでも仕方ないよね」
上条「そうそう、御坂に深刻な顔は似合いませんことよ」
美琴「なによー!」プンスカ
上条「あはは、やっぱ元気な御坂でないと」
美琴「もう! デリカシーがないんだから」プクー
美琴(元気でね、インデックス。また会う日まで……)
CASE 490 今明かされる衝撃の真実ゥ
美琴「インデックスが帰国して一週間かぁ……」ポケー
上条「会いたい?」
美琴「そりゃ会いたいわよ」
上条「会いたくて会えないどこぞのアーティストよろしく、アンニュイな美琴たんなのでした」
美琴「たん言うなー」
上条「そんな元気のないマイシスターに、今明かされる衝撃の真実ゥ」ニッコリ
ガチャ
禁書「たっだいまー!」ヒョコ
美琴「へ……?」
上条「おかえり、インデックス。予定通り一週間ジャストだな」
禁書「頑張ったんだよ」エッヘン
美琴「え、なんで? お仕事に専念するために帰国したんじゃ……」
禁書「えー、そんなの一言もいってないよ?」
上条「ただの出張だよなー?」ニヤニヤ
禁書「うん、ただのしゅっちょーだったんだよ」ニヤニヤ
美琴「…………」プルプル
上条「御坂は可愛いなぁ」ニヤニヤ
禁書「みことの可愛さは世界一かも」ニヤニヤ
美琴「ア、アンタたちはーーーーーーーッ!!!///」カァァ
といったところで今回は終了
ミコっちゃんの弄られライフも残すところ一回となりましたー
| 人 .( ( | |\
| ) (;.__.;) ) ) | | .|
|_ (;;:::.:.__.;) __(__| .\|
|―(;;(´・ω・`) ――-\≒
/(´・ω・`) < > \
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
|____.うんこ風呂._____|
明日って今さー!
すみませぬ、年末修羅場モード突入で投下できませんでした!!
きょ、今日からお休み貰えたので寝る前に投下ー
CASE 491 とある日常
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「もうすぐクリスマスでしょ。吹寄さんたちとパーティーを企画してるんだけど、お兄ちゃんも参加でいいわよね?」
上条「もちろん」ウン
美琴「インデックスは?」
禁書「う~ん、ステイルたちとミサに出ないとだから途中で抜けちゃうかも」
美琴「平気へーき。そんなに遅くならないようにするから」
禁書「じゃあ参加したいんだよ!」
美琴「オッケー♪」
禁書「チキンにケーキにプレゼント……今から待ちきれないかも!?」
上条「やれやれ、すっかり世俗に染まってしまうとは。シスターとしてどうなんですかね?」
禁書「郷に入っては郷に従えなんだよ」キリッ
美琴「あはは……って! もうこんな時間!?」
上条「遅刻は不味いっ! 御坂、急ぐぞ!!」ダダダダッ
美琴「あ、待ちなさいよ! インデックス、行ってきまーす!」ダダダダッ
禁書「ふふっ、お勉強がんばってね」
CASE 492 相棒
禁書「さてと、二人とも学校に行っちゃったし…」
ピンポーン ガチャ
ステイル「やあインデックス。暇なら僕と…」
禁書「ごめんなさい、今日は先約があるから無理なんだよ」
ステイル「先約だって……? ま、まさかあの忌々しいホワイトパーソンと遊ぶつもりなのかい!?」ガーン
禁書「ううん、アクセラレータじゃないよ」
ステイル「そ、そうか」ホッ
禁書「今日からSMOのクリスマス限定イベントだからね。ランキング一位を取るために相棒が来日するんだよ」
ステイル「またゲームかい。まあ付き合うのも吝かでは…………えっ」
禁書「なーに?」ハテ?
ステイル「僕はここに居るんだけど、当然君の相棒はぼ…」
ピンポーン ガチャ
アックア「来たのである、相棒よ」ヌッ
禁書「待ってたんだよ!」パァァ
アックア「フッ、待たせたのである」キリッ
禁書「久々の全力全壊での共闘だよ。同じ場所からログインすれば遅延もないし正直負ける気がしないかも」ニヤリ
アックア「腕が鳴る。かつての攻略組の実力を示す時であるッ!!」
ステイル「」サラサラ
土御門「カミや~ん、さっき巨漢マッチョがカミやんちに、ってステイル!? ど、どうしたんだ!」ガビーン
舞夏「兄貴ー、早く登校しないと遅刻だぞー」
土御門「いやしかし! 真っ白な灰になってるステイルを放っておくわけには…」
舞夏「遅刻はメッだぞー」ニコー
土御門「はい、遅刻は不味いにゃー行ってくるぜいっ!!」スタコラサッサー
CASE 493 大丈夫じゃない、問題だ
番外個体「クリスマスか……」
一方通行「ハッ、どいつもこいつも浮かれやがって。みっともねェ」ヤレヤレ
番外個体「第一位は予定とかないの?」
一方通行「スフィンクスちゃンと静かに過ごす」デデン
番外個体「あ、それ無理」
一方通行「ハァァッ!?!?」ガタッ
番外個体「スフィンクスと上位個体は、おねーたま達と企画してるクリパに参加するから」シレッ
一方通行「ふざっけンな!! クリスマスってのはなァ、家族とゆっくり過ごす日と決まってンだ!!」ガァァ
番外個体「あひゃひゃひゃひゃ!! 寂しいオバサン二人と過ごす性夜。残念だが当然、第一位らしいクリスマスといえる」ゲラゲラ
土御門「図らずもみんなで仲良くクリスマスだにゃー」
青ピ「オンリーでロンリーやないクリスマス!! うっひょーー! 漲ってきたでええええ!!!」ヒャッホゥ
土御門「ハァ、オレは舞夏と二人っきりで過ごしたかったぜよ」
青ピ「黙らんかいシスコン軍曹」
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、授業中だけど今度はなんだ?」
美琴「小萌せんせーが今にも泣きそうだわ!?」オロオロ
上条「!」
小萌「授業中なのに……。先生の授業はそんなにつまらないのですねー……」グッスン
吹寄「貴様ら、いい加減に…」キラーン
ガシッ
上条「ええっ、吹寄大明神さま何故この上条めの肩を掴みその広大なおでこを輝かせていらっしゃるのでせう!?」
吹寄「…しろォォォーーーーーーーー!!!」グオッッ
ガスッッ!!!
上条「俺はまじめに授業を受けてたってのに理不じんごッ!?」バターン
美琴「ちょ、落ち着いて吹寄さん!?」アウアウ
CASE 494 弱酸性ミリオンミサカ
御坂妹「これより第19999回ミサ会議を開催します、とミサカは高らかに宣言しました」
打ち止め「議題はどのミサカがお姉様たちのクリスマスパーティーに参加するのか? ってミサカはミサカは伝えてみたり」
御坂妹「なお参加するミサカは二人とします。これはホスト側に迷惑をかけない配慮、とミサカは懇切丁寧に説明します」
◇ ◇ ◇ ◇
MNW――
10777号『ここはこのミサカが、とミサカは間髪いれずに名乗りを上げます』
19090号『ミ、ミサカのほうが学園都市在住な分 負担がかからない、とミサカは思い切って自己主張してみます』
10039号『その条件ならばミサカも満たしています、とミサカは検体番号19090号に追従します』
10777号『異議あり! 遠距離組にとって死刑宣告にも等しい無慈悲な論理です、とミサカは怒りを露わに抗議します』
13577号『しかし現実問題としてミサカがホイホイ帰郷なんて出来ませんよ? とミサカは指摘します』
10777号『ぐぬぬ……そ、それでも』
番外個体『まあミサカと最終信号の参加は確定しちゃたんだけどなー』
19090号『えっ』
10039号『どういう事ですか? 説明しなさい、とミサカは呼んでないはずの末の妹を問い詰めます』
番外個体『ミサカは上条当麻とおねーたま、ついでに第一位のクラスメイトだよ。参加は当然じゃん』
10777号『……これよりミサカは空港へ向かいます、とミサカはハイジャックも辞さない覚悟で帰郷を決意します』
打ち止め『わわっ、犯罪はダメ! ってミサカはミサカは慌てて自重をお願いしてみる!?』
10039号『あっ、検体番号10032号の姿が見えません、とミサカは報告します』
打ち止め『ホントだっ!? ええっと10032号は……あの人の学校にむかってる! ってミサカはミサカは10032号の行動力に驚いてみたり』
19090号『…………』
13577号『無言でどこへ行こうというのです? とミサカは牽制しつつおもむろにダッシュします』
10039号『抜け駆けは許さない、とミサカは会議を放棄して実力行使に出ます』
19090号『ま、負けません! とミサカは――』
◇ ◇ ◇ ◇
打ち止め「あわわわ……現実とミサカネットワークが喧々囂々の大惨事に!? ってミサカはミサカは騒乱の始まりに頭を抱えてみたり……」
CASE 495 品行方正?
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「結構な人数になったんだけど、場所をどこにしようかなーって」
上条「個室サロンは論外として、う~ん、なるべくお金がかからない場所じゃないとなぁ」
吹寄「貴様の部屋を提供してくれればいいわよ」
上条「吹寄テメェ……。脊髄反射よろしく暴力を振るっておいて何たる高圧的な態度っ!!」ガァァ
吹寄「なに? もしかして自分に非が無いとでも言うのかしら?」ジトー
上条「あるわけないだろが! ここ最近の上条さんは品行方正、成績優秀な優等生ですことよ!?」
吹寄「ほう」
上条「御坂からも何か言ってやってくれ!」
美琴「え、えと……その……///」モジモジ
上条「マイシスター?」ハテ?
吹寄「あのねぇ上条当麻、御坂さんが言い難そうだから言ってあげるけどね――」
CASE 496 嫉妬パワー
◆◆◆◆
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「お弁当にしましょ♪」
上条「いやー、ミコっちゃんの美味しい弁当が食べれるなんて幸せだなぁ」イチャイチャ
美琴「バ、バカ言ってないで席動かしなさいよ!///」イチャイチャ
男子A「…………」ギリッ
◆◆◆◆
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「両親sがお正月にみんなで旅行したいんだって。もちろんインデックスも一緒よ」
上条「寒いの嫌だし沖縄とか良さそうだよな」ウン
美琴「いいわねそれ!」
男子B「憎しみで人を殺せたら……」イライラッ
◆◆◆◆
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「隣のクラスの人にカラオケ行かないかって誘われて、男の人だったから断ったんだけど……お兄ちゃん?」キョロキョロ
土御門「カミやんなら『俺の御坂は誰にも渡さんっ!!』って叫びながら隣のクラスに殴りこみに行ったぜよ」ケラケラ
美琴「も、もう……///」テレテレ
番外個体「富士の樹海で遭難すればいいのに……」ムカムカ
CASE 497 反逆の物語
吹寄「――みたいな感じでクラスの雰囲気が一時期最悪だったわけ! 所構わずイチャついてんじゃないわよ!!」ガァァ
美琴「ごめんなさい……///」モジモジ
吹寄「御坂さんは悪くないわ。そこの節操なしの鈍感バカが悪いに決まってるのよ」
上条「なんでだよ!? 俺も悪くねえだろ!」
青ピ「いいやカミやんが悪い。クリスマス前に幸せを見せつけるなんて極刑ものやで?」
男子A「そうだそうだ!」
男子B「目に毒なんだよ! ふざけんなリア充がッ!!」
男子C「もう十分良い目をみたろ。今日こそ俺たちの嫉妬パワーで天に滅してくれるわ!!」
男子D「ヒャッハー! リア充は粛清だァァーーー!!!」
上条「……いいぜ」
青ピ「なんや潔いやん。いつもなら不幸だー言うて逃げるのに」ハテ?
男子A「なんにせよ好都合だ。溜まりに溜まったモテナイ野郎の悲しみをぶつけ…」
土御門「られるわけないにゃー。お前らシスコンの逆鱗に触れちまったんだぜい?」ニヤリ
青ピ「へ?」
上条「俺から御坂(しあわせ)を奪おうってんなら……まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!!」ギロッ
青ピ「ひぃっ、こわっ!?」
男子B「て、撤収、撤収ーー!! よく分かんないが今の上条はヤバイ!」タッタッタ
上条「待てやゴラァァァーーーーーーッ!!!」ダダダダダダッ!!!
青ピ「ぎゃあああーー!! カミやんがキレたーーーー!?」ダダダダダダッ!!!
CASE 498 竜虎相搏つ
吹寄「ったく、相変わらず男子はバカばっかなんだから」ヤレヤレ
美琴「あ、あはは」
吹寄「まあ女子は百年の恋も冷めたようだけどね。御坂さんとしては安心したでしょ?」
美琴「それは…」
土御門「わーお、校庭でカミやん&番外個体のタッグが大暴れしてるにゃー」ゲラゲラ
美琴「…………」ピキ
吹寄「み、御坂さん?」
土御門「あの二人、意外とお似合いかも。番外個体は美人だし、シスコンといえどコロッといっちまう可能性もあり得るぜよ」ニヤニヤ
吹寄「何煽ってるのよ土御門! 御坂さんも気にしない方が…」
美琴「ちょろっと行ってくる」ガタッ
◇ ◇ ◇ ◇
青ピその他「「「「「…………」」」」」プスプス
番外個体「ふふん、楽勝だったね」
上条「シスコン舐めんな。てか何故にワーストさんまで参戦したのでせう?」ハテ?
番外個体「そ、そりゃアレよ。いつか約束した……その、あなたの背中はミサカが守ってあげるって……覚えてない?///」カァァ
上条「あー覚えてる覚えてる。その直後に二人してぶっ殺されましたなぁ」シミジミ
番外個体「そこは忘れていいから! ……こほん、ところでさ、今度のパーティーが終わったあと よかったらミサカと…///」テレテレ
美琴「させるかああああああああああああああああああ!!!!」ズシャアアアアアアアアアアアア!!!
番外個体「…………」
上条「えっ、どっから降ってきたの!?」ガビーン
CASE 499 ミサカたちの挽歌
美琴「おい、妹」ドドドドド
番外個体「何かな、おねーたま?」ゴゴゴゴゴ
美琴「そろそろ決着をつけておきたいのよね。いい加減目障りだわ」
番外個体「御託はいいからかかってきなよ。泣かしてやるからさあ!!」
上条「なんで二人ともケンカ腰なの!? ケンカの原因は知らねえけど、ここは平和的に話し合いで…」オロオロ
美琴番外「「お兄ちゃん(あなた)は黙ってて!!!」」ギロッ
上条「に、睨まなくてもいいだろ……」ションボリ
美琴「尺の都合上、瞬殺してあげるから感謝しなさい」バチバチッ
番外個体「くッ、さすがに能力じゃ敵わないか。だったらミサカは数で対抗してやる!」
美琴「数?」
番外個体「どうせ覗き見してるんでしょ。ここは一時休戦して、全員でおねーたまを排除するよ!」
御坂妹「了解、とミサカは末の妹の提案に乗っかるべく姿を現します」チャキ
19090号「ごめんなさいお姉様、とミサカは銃口を向ける不義理を詫びておきます」チャキ
10039号「同じ人を想ってしまった以上、この戦いは不可避だった、とミサカはそれらしい理由を述べてみます」チャキ
13577号「抜け駆けしたお姉様が悪いのですよ、とミサカはかつてない気迫で戦いに臨みます」チャキ
美琴「うわっ、どこに潜んでたのよアンタたち!?」
番外個体「ハッハー!! 戦いは数だよおねーたま!」
妹達「「「「対超電磁砲用ゴム弾、一斉掃射」」」」
タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタッッ!!!!
美琴「あいたっ!? ちょ、なにこれ、能力を受け付けない弾って、痛い痛い!?」
上条「ッ、御坂はやらせんっ!」シュバッ
美琴「!」
上条「この兄の目の黒いうちは御坂にいてえっ!? や、ヤバイ、これフツーに痛いっつーかやめてマジでぎゃああああああああ!?!?」
美琴「ああっ、お兄ちゃんが蜂の巣に!?」
上条「御坂……ケガはないか……?」ボロボロ
美琴「う、うん」
上条「へへ……やっぱ俺って、不可能を可能に……ぐはっ」パタリ
美琴「よくもお兄ちゃんを……! 絶対に許さないんだからぁぁーーー!!!」バリバリッ!!!
妹達「「「「!?」」」」
番外個体「お、おねーたま? 姉妹同士の軽いスキンシップでマジになんなよなー……って、あっ……死んだはずの10031号が手招きしてる」ギャース
ズドォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!
CASE FINAL とある三人の上琴目録
とある高校 校庭――
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「なんで私たちが校庭清掃なんてしなくちゃいけないのよ。今日はクリスマスパーティーの準備…」
上条「中止に決まってんだろ! 校庭に特大のカミナリなんぞ落としやがって!」ガァァ
美琴「あう……」シュン
上条「クリスマスイブも当日も、ペナルティーの奉仕活動で予定が埋まっちまってるよ!」
美琴「わ、私だけが悪いんじゃないもん!」
上条「上条さんなんて完全に被害者ですことよ!?」
美琴「なによ! 元はといえばお兄ちゃんがちゃんとゴム弾を防がなかったのがいけないんじゃない!」
上条「なんという無理ゲー。上条さんは幻想に対しては無敵ですがリアルには脆弱なんです!」
美琴「そんなことない! アンタは、お兄ちゃんは最強だもん!!」
上条「うぐっ、そのような無垢な信頼を寄せられると……」
美琴「うー」ジー
上条「……ハァ、わかったよ。あとで小萌先生に掛け合ってみるから機嫌直せって」ナデナデ
美琴「ホントに!?」パァァ
上条「おう」
美琴「やったー! そうと決まればパパーっと終わらせるわよ!」
上条「はいはい」ヤレヤレ
とある病院――
御坂妹「経過はどうですか? とミサカは一応末の妹の心配をしてる風を装います」
番外個体「あー退屈ー、おねーたまのカミナリに撃たれたからって入院は大げさだっての」
御坂妹「流石はレベル4。ただのミサカとは格が違った、とミサカは称賛します」パチパチパチ
番外個体「それ程でもあるけどねー♪」フフン
御坂妹「ではミサカは用事があるので、とミサカはそそくさと病室を後にします」イソイソ
番外個体「なんの用事?」ハテ?
御坂妹「クリスマスパーティーの参加権を懸けたあみだくじです、とミサカは素直に教えます」
番外個体「は? それって中止になったんじゃないの?」
御坂妹「あの人とお姉様の泣き土下座で中止は回避されましたよ、とミサカは想像してこみ上げる笑いを堪えます」プクク
番外個体「聞いてないよ!?」
御坂妹「入院してるんだから当然です、とミサカは暗にケガ人は寝てろと切って捨てます」
番外個体「クソっ、こうなったら無理やり退院して…」
冥土帰し「それは困るね? キミは滅多に検査にすら来ないから、この機会に徹底的に検査と調整をする予定なんだがね?」ヌッ
御坂妹「ざまあ、とミサカは煽ってみます」プークスクス
番外個体「……ぎゃは☆ あまりのムカつきっぷりに、ミサカ色んな意味でキレちゃいそう」イラッ
上条さんち――
禁書「やったー! クリスマス限定レイドボス撃破なんだよ!」
アックア「久々に骨のある強敵だったのである」
ステイル「あの程度の相手なら、僕と彼女の二人でも勝てたさ」
アックア「フッ、我ら三人が力を合わせたからこそ余裕を持って勝利できたのである。でなければもっと苦戦を強いられただろう」
ステイル「……そうだね」
アックア「洗練された炎の魔術の妙、まことに見事である。その実力、炎に限定すればフィアンマに勝るとも劣らぬ腕前か」
ステイル「そちらこそ理不尽なまでのワンマンアーミーじゃないか。共闘するのも一苦労だったよ」
アックア「また機会があればパーティを組みたいものだな」ニヤリ
ステイル「望むところだ」ニヤリ
アックア「ではお暇するのである。何故かヴィ……こほん、第三王女がクリスマスくらい帰国せよとうるさいからな」
ステイル「ハァ、第三王女も苦労人だね」ヤレヤレ
アックア「?」
ステイル「まあいいさ。空港まで送ろう」
アックア「むっ、ならば学園都市ならではの土産を見繕ってほしいのである」
ステイル「ああ、任せてくれ」
ガチャ バタン
禁書「……行っちゃった」
美琴「たっだいまー」
上条「さーて、ちゃちゃっとパーティーの準備を済ませちまうか」
禁書「あっ、おかえりなさーい♪」パタパタ
美琴「ただいまインデックス」
上条「あれ、今日もアックアが来てるんじゃなかったっけ?」
禁書「もう帰っちゃったんだよ。目的は果たしたからね」
上条「そっか、じゃあインデックスも飾り付け手伝ってくれな」
禁書「まかせてほしいかも!」キリッ
美琴「私はお料理に専念するからお願いね」
ピンポーン
上条「はいはい、今開けますよっと」
ガチャ
吹寄「お邪魔するわよ。御坂さん一人に料理させるわけにはいかないから手伝いに来たわ」
一方通行「俺はクソガキの付き添いだ」
打ち止め「お呼ばれされれば即参上っ! ってミサカはミサカは初めてのパーティーに興奮を抑えきれなかったり♪」
スフィンクス「にゃー♪」
吹寄「へえ、御坂さん お料理上手なのね」
美琴「あはは、そりゃまあ毎日欠食児童を養ってますから」チラッ
吹寄「そういえば大覇星祭の打ち上げでもたくさん食べてた記憶が」チラッ
禁書「誰が欠食児童なのかな!?」
上条「まあまあインデックスさん、真実なんだから怒らなぎゃあああああああああああ!?」
禁書「がるるるるッ!!!」ガブガブ
上条「血に染まる! せっかくのクリスマスが血に染まっちゃいますぞーーー!?」ドクドク
打ち止め「わあー、真っ赤な血が滝みたいに流れてる、ってミサカはミサカは二人のコントに合の手をいれてみる」
上条「できれば止めて欲しいのですがー!?」
一方通行「…………」スヤスヤ
スフィンクス「…………」スヤスヤ
上条「一人と一匹がベッドで安らかに眠っているだと!? 一方通行! テメエも手伝えよ!」
禁書「とうまうるさい。ラストオーダー、クリスマスツリーの飾り付けをしよう?」
打ち止め「うん♪」
上条「なんで上条さんが怒られてんの!? 意味も無く噛みつかれて血まみれだというのに!」ガビーン
吹寄「まったく、相変わらずね上条当麻は」ヤレヤレ
美琴「い、いざって時には頼りになるんですよ。能ある鷹は爪を隠すというか、なんていうか」
吹寄「ふふっ、御坂さんも相変わらずのお兄ちゃんっ子よねえ」クスクス
美琴「……///」テレテレ
ピンポーン ガチャ
土御門「メリー苦しみます、カミやん」
青ピ「メリー苦しみなさい、カミやん」
上条「現在進行形で苦しんでるよ! つか普通にクリスマスを祝えよ!?」ガビーン
禁書「わわっ、とうまってば血まみれなんだよ!?」
上条「なに今更驚いてんだ! さも自分は関係ない風を装っていやがりますが、お前の仕業ですからねインデックスさん!?」
禁書「ふぇ?」ハテ?
上条「……このヤロウ、俺への噛みつき攻撃は無意識でやってんのか」ゲンナリ
青ピ「何言うてんの? 美少女に噛みつかれるやなんて、僕の業界やとご褒美やで? って、ああっ!?」
土御門「どうかしたのかにゃー?」
青ピ「ケーキ買ってくるの忘れてた……」
上条「オイオイ、予約してたケーキを受け取るのはお前らの担当だったろ」
吹寄「簡単なお遣いすらこなせないなんて、貴様らは……」
美琴「…………」ジトー
青ピ「ああん♪ そない蔑みの視線を送られると、ボクぁもう……!」ゾクゾク
土御門「いやー、キレイさっぱり忘れてたぜい」ケラケラ
禁書「誰にでも失敗はあるんだよ。それより早く家にあがっておこたで温まるといいかも。外は寒かったでしょう?」ニコニコ
土御門「にゃー、そんじゃお言葉に甘えるぜよ」
青ピ「天使や! 聖夜に天使が降臨されたッ!!」
吹寄「ほんと現金なんだから」ヤレヤレ
上条「怪しい……」
吹寄「は?」
美琴「ケーキを忘れたのにインデックスが怒らないなんて、あり得ない……」
吹寄「せっかくのクリスマスなんだし、そんな些細なことで怒ったりしないでしょ」
上条「いいやあり得ないね! ついうっかりインデックスのお菓子を食べただけで、頭から血の噴水が出るほど噛みつくのに!」
美琴「ええ、あり得ないわ! ついうっかりインデックスのプリンを食べただけで、一晩中ぐずるのに!」
禁書「二人とも言い過ぎかも!///」カァァ
上条「何が狙いだと思う? 自分がケーキを受け取りに行くと言いだして、あわよくばケーキ屋で余計なものまで買い食いするってのが濃厚だと思うんだが」ヒソヒソ
美琴「あー、それっぽいわね」ヒソヒソ
上条「インデックスの食い意地の悪さには困ったもんだな」ヒソヒソ
美琴「そういう事言わない! 成長期だからお腹がへって当たり前なの!」メッ
上条「ご、ごめんなさい。……インデックス、お腹が空いてるなら遠慮せずに言うんだぞ?」
禁書「むううーっ!! 私は腹ペコキャラじゃないんだよ! いいから二人ともケーキを受け取りに行くんだよ!!」ガァァ
上条「はいはい、んじゃちょっと出るから留守番頼むわ」
美琴「いってきまーす」
吹寄「変なのに絡まれないように気をつけるのよ」クスクス
吹寄「さてと、残りのお料理、頑張って完成させないとね」
土御門「おおう、おこた温かいにゃー」ホクホク
青ピ「一方通行くんが幼女と猫とベッドで寝とる!?」
一方通行「…………」スヤスヤ
スフィンクス「…………」スヤスヤ
打ち止め「むにゃむにゃ……ってミサカはミサカは……」スヤスヤ
青ピ「こ、ここが桃源郷やったんか!? こうなったら僕も混ぜて…」ハァハァ
土御門「青ピ! あぶなーい!?」
青ピ「へ?」
吹寄「幼女にまで欲情するんじゃない! この変態があああああああああああッ!!!」キラッ
ドゴッッ!!!
青ピ「ひでぶっ!?」バターン
吹寄「まったく、油断も隙もあったもんじゃないわ」ヤレヤレ
土御門「怖ぇー……吹寄おでこDX今年最後の犠牲者ぜよ」ガクブル
吹寄「こういう時にもう一人女子が居てくれたら助かるのに。番外個体がケガで入院してるから仕方ないんだけどね」
土御門「にゃー? そういえば姫神は?」ハテ?
吹寄「…………あ」
土御門「すっかり忘れてたぜよ!? やっべぇ、ナチュラルにはぶっちまったぞ……!」ガビーン
吹寄「ケータイ! ケータイはどこ!?」アタフタ
◇ ◇ ◇ ◇
姫神ちゃんち――
姫神「今日は楽しいクリスマス。……だというのに。私は安定のクリボッチ」クスン
携帯『』シーン
姫神「……虚しいけどチキンとケーキ。買いに行こうかな」
携帯『着信中 お凸DX』ヴヴヴヴヴ
姫神「あ……」パァァ
第七学区――
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、今度はなんだ?」
美琴「今どこに向かってるの? ケーキは受け取ったし早く戻らないと不味くない?」
上条「そろそろ御坂妹たちも来る時間だもんな」ウン
禁書「いいからいいから♪ 二人とも黙ってついてくるんだよ」
上琴「「?」」
◇ ◇ ◇ ◇
とある病院――
禁書「とうちゃーく♪」
上条「って、いつもの病院じゃねーか! うわ、いつものとか超常連みたいで嫌過ぎる!?」
美琴「常連でしょ」
禁書「常連なんだよ」ウン
上条「ですよねー。は、はは……」ガックリ
美琴「けど病院って…………あ、そっか」
禁書「そうなんだよ」ウン
とある病室――
番外個体「…………」
冥土帰し「ふむ、どこも異常は見当たらないね?」
番外個体「ま、最近は規則正しい生活を送ってるからね。ガッコーに通ってるし」
冥土帰し「結構なことだ」ウン
番外個体「……ハァ、超退屈なんですけどー? 検査終わったなら退院していい?」
冥土帰し「まだ調整が残ってるね?」
番外個体「それは年明けって事で……ダメ?」
冥土帰し「ダメだ。『ぎゃはは! 約束なんてのはなぁ、破るためにあるんだよ!』とか平気で言いそうだね?」
番外個体「チッ」
冥土帰し「君も大概だよねえ」ヤレヤレ
番外個体「じゃあせめてケータイ返してよ」
冥土帰し「病院内での使用は禁止だね? それに…」
番外個体「うがあああああああああああ!!!! いいじゃん少しくらい! ミサカだってあの人に…」ガァァ
コンコン
禁書「メリークリスマスなんだよ!」
美琴「妹ー、お見舞いに来てあげたわよ」
上条「ケガさせたのはミコっちゃんですけどね。よっ、元気してるか?」
番外個体「あ」パァァ
冥土帰し「……それにお人好しの彼らだからね? 退屈はしないだろうよ?」ニッコリ
第七学区 上条さんちへの帰り道――
禁書「ワーストとっても喜んでたね」
上条「クリスマスなのに一人ってのは寂しいもんな」
美琴「インデックスのお陰であの子も楽しく過ごせたみたい。ありがとね」
禁書「ふっふっふ、私はお気遣いシスターさんだからね。当然の配慮かも」ドヤァ
上条「……普段から上条さんにも配慮して欲しいもんだ」ボソッ
禁書「なにか言ったかな、とうま?」
上条「いいえ何も!? あ、あっははー、インデックスはシスターの鑑だなぁ、なんて」ギクッ
美琴「もう、仕方ないんだから」クスクス
上条「それより早く帰ろうぜ。みんなを待たせてるし、天気予報じゃ雪が降るらしくて実際めっちゃ寒いし!」ブルブル
美琴「なら」チラッ
禁書「こうすればいいんだよ!」コクリ
ギュッ
上条「おわっ!?」
美琴「こうやって手をつないだら温かいでしょ?///」
禁書「三人ならどんな寒さにも負けないんだよ!」
上条「たしかに温かいけど三人で手をつないでるから円になってるんですが……。これじゃ歩けないだろ」
禁書「マイムマイムみたいに回るともっと温かいかも!」
美琴「それー、やっちゃうぞー♪」クルクル
上条「ぎゃあ! なんか怪しげな儀式みたいになってる!?」ガビーン
禁書「周りから熱い視線を感じるんだよ///」クルクル
上条「それ不審者を見る眼差しですから!?」クルクル
美琴「ねぇねぇ!」クルクル
上条「はいはい、今度はなんだっつーかオマエら落ちつけ!?」
美琴「やーよ! これからも色んな事に付き合ってもらうんだから♪」
禁書「とうま、覚悟はいい? 私はできてるんだよ!」
上条「羞恥心は投げ捨てるモノではありませんぞ!? ああもう、不幸……じゃないけど何なんだこれーー!!」ギャース
美琴「ねぇねぇ!」
上条「はいはい、何でも付き合うから風邪引かないうちに帰ろうぜ」
禁書「それじゃお家まで競争なんだよ! よーい、どーん!!」
美琴「あっ、フライングなんてズルイわよ! こらー、待ちなさーい!!」
上条「ったく、呆れるほど不幸(しあわせ)だな」
といったところでこのSSは終了
ここまでお付き合い頂き感謝感激雨あられです。当初の目標の五倍も続いちゃいましたね……。
また何かしら書くと思いますので、見かけたら読んでやってくださいませ。ではではー
おつ!最後に遭遇できてよかったぜ
次回作も禁書予定?
明日がきてくれた~。
次回作できたらスレタイ教えてくれるとありがたいです
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