幼馴染「久しぶり」 男「え……」(40)

幼馴染「何?そんな変な顔しちゃってびっくりするにしてももうちょっとリアクションしてくれないと」

男「……幼馴染、だよな?なんでお前……っていうか学校同じだったんだな」

幼馴染「気づいてなかったの?ひどーい……私もさっき知ったばっかりだし、おあいこかな」

男「また会えるなんて思ってもみなかった」

幼馴染「私も。廊下から覗いたらたまたま見かけて、びっくりしたよ」

男「そっか。この学校ってそんなに広くないのに、知らないうちにすれ違ってたんだなあ」

幼馴染「すれ違うだけならまだしも、クラス合同授業で一緒だったこともあるんだよ?それで気づかないなんて……お互いバカだよね」

男「ははっ、間違いない。それで、何か用?」

幼馴染「あ、そういうこというんだ?男が何歳までおねしょしてたかまで知ってる私にむかって」

男「ばっか、それを言うならお互い様だろ」

幼馴染「あ、そっか。男ってなかなか弱み見せないからねぇ……友達少ないんじゃない?」

男「う、うううるせえな。関係ないだろ」

幼馴染「あ、本当にいないんだ……ごめんね。変なこと言っちゃって」

男「いいよ、変に気を使われる方が痛々しい……それで、今回は相談ごとしに来たんじゃないのか?」

幼馴染「ん?順調だよ。ただ、なんかやる気が起きないだけ。なんだろうなぁ、抜け落ちた感覚かな?」

男「抜け落ちたって……その年でカツラはきついんじゃないか?」

幼馴染「髪の話なんてしてないって。そういうつまんないこと言わなくていいから」

男「くぅ……まともに返されると意外と傷つくんだぞ」

幼馴染「知らないけどさ……なんていうか何にもする気になれなくて。それで、男を見つけて、私の心の隙間を埋めてくださいって思ったわけ」

男「俺は喪黒福造かよ……」

幼馴染「あ、分かっちゃった?」

男「そりゃ、お前が俺の家に入り浸って見てたからわかるっつうの……しかもビデオデッキまで持ち込んで」

幼馴染「そうだっけ?一緒に見てたのは覚えてるんだけど」

男「ああ、でもお前は途中で寝ちゃって結局うちで飯食っておばさんが迎えに来てた」

幼馴染「あ、あれ?そうだっけ?あはは……」

男「そうだよ。懐かしいなぁ……」

幼馴染「そうだね……男が引っ越してからだから……もう2年振りになるんだ」

男「そんなに?俺たちも年食ったな」

幼馴染「そうだね。本当に……ねえ、男って今彼女いるの?」

男「……友達もいないのにいるようにみえるか?」

幼馴染「あ、あはは……だよね……ごめん……」

男「謝らなくてもいいけど。ていうか友達くらいいるし」

幼馴染「あ、いるんだ。よかったぁ」

男「なんでお前に心配されなきゃいけないんだよ、ったく」

幼馴染「あ、いや……別にそういうこと言いたいんじゃなくて、あのね、わかるでしょ?」

男「わからん」

幼馴染「本当に?」

男「まったくもってわからん」

幼馴染「…………」ジーッ

男「……見つめてもだめ」

幼馴染「わかってるじゃん」

男「あ、違うぞ。応えてやらないってだけでだな……」

幼馴染「そうやってどんどん墓穴掘るのも懐かしい。ねえ、再会したばっかでもっと話したいこともあるし、どこかに食べに行かない?」

男「あと一つ授業が済んだらな。別にいいよ。どうせうちは両親とも遅いから」

幼馴染「おじさんたちやっぱり仕事忙しいんだ?」

男「まあな。これで仲が悪かったらもっとスレた人間になってただろうなあ」

幼馴染「おじさんたちが仲悪いのなんて想像つかないけどね」

男「ああ。そろそろ時間やばいんじゃないか?教室に戻ったほうがいいぞ」

幼馴染「あ、ホントだ!じゃ、じゃあまた放課後!」

男「またな」

友「なーなー、あの子誰?」

男「幼馴染だ。中学まで一緒だったんだけど、俺が途中で転入してきたじゃん」

友「男って転入生だっけ?あ、それじゃ前の学校で一緒だった子かぁ」

男「それと俺の元カノ。今フリーらしいから狙えば?」

友「流石に男のお下がりは……あ、ちょっと耳がもげる!」

男「そういう言い方はよくないんじゃないかぁぁぁああ?」

友「わ、悪かったって。ていうかよく元カノとあんなに仲良くできるな。俺は絶対無理だぜ」

男「俺はお前と違って即物的な愛に飢えてないからな」

友「よくわからんけど、プラトニックってことか」

男「猿みたいにサカってないで一人に絞って彼女を作れって言ってるだけだ」

友「えー?俺はいつでも情熱的に燃え上がる恋を求めてるだけだから。ヤりたくて彼女作ってるわけじゃないし」

男「お前を見てると恋とか愛とかすごくどうでも良くなるよ」

友「そう?」

先生「愛やら恋やら随分青春を謳歌してるようですね、男くん、友くん」

男「……」

友「あはは、そう見えます?先生」

先生「ええ。だからといって授業を聞いていないのは感心しませんが。特に友くんは僕の授業の成績があまり芳しくないとか……」

友「数学ってどうにも情熱を感じないというか、機械的であんまり好きじゃないんだよね」

先生「じゃあ友くんは情熱的な補習がお望みですか?春休みはないものと思ってくださいね」

友「あ、すいませんっす。ちゃんと聞きます」

先生「よろしい。では、55pの問題を……」


キーンコーンカーンコーン

男「なんとか無事に終わったな……先生の問題攻めにはまいったけど」

友「男はいいよなぁ……数学が得意で」

男「まあ、人並みにはできるからな」

友「とかいいつつ、学年何位だっけ?一桁だったと思うんだけど」

男「7位。まだ上に6人いるって思うと気が重い」

友「あははは、もっと気を抜けって。俺なんて下に3人しかいないんだ」

男「お前はもっと危機感を持ったほうがいいんじゃないか……?」

友「あ、そうそう。幼馴染ちゃんのことだけど、ちゃんと慰めてやれよー?」

男「……余計なお世話だって」

友「変な意味でな!」

男「言わんでいい!」

幼馴染「や、やっほ」

男「来たか……ってなんでそんな離れてるんだ?」

幼馴染「あ、あはは……聞こえちゃった……」

男「えっ」

友「ぶふっ」

男「わ、笑うなよ」

幼馴染「あ、お友達?」

男「そうだよ。さっきのは全部こいつが勝手に言ったことだから気にしないでいい」

友「えー?男だってその気だったんじゃない?」

男「ちょっと黙ってろ」

幼馴染「男に友達がいるって本当だったんだ……」

男「そこで疑ってたのかよ」

友「あ、ご挨拶が遅れまして。俺は友って言いますー。男の数少ない友人です」

幼馴染「やっぱり少ないんだ……友達」

男「うっせ」

幼馴染「あ、私は幼馴染っていって、男とは子供の頃からの付き合い」

友「付き合いっていうのは男女のアレじゃなくて?」

幼馴染「え、何言ってるんですかこの人」

男「こう言う奴だから、気にすんな」

友「二人して傷つくなぁ。ただの冗談じゃん」

幼馴染「……品のない冗談ですね」

男「まあ、それは……悪い奴ではないんだが」

友「あー、それじゃ、邪魔者は消えるから」

男「変に気を回すなよ。別に何かするわけでもないし」

友「え、しないの?」

男「しねえよ」

友「でも彼女は期待してるみたいだけど」


幼馴染「は、はぁ!?もういいですから帰ってください!」

友「ぐふっ、美人さんにボロカスに言われるのもなかなか……」

幼馴染「ひぃぃ、気持ち悪い!」

男「うわ、お前ってそういう趣味?」

友「そういう趣味かと聞かれたら答えるけど、俺って結構趣味が広k」

男「聞いてねえから帰れ。話が進まん」

友「少しくらい聞いてけよー」

男「もういいからそういうの……それじゃあな。俺ら帰るから」

友「あい。またあしたー」

幼馴染「変な友達だね」

男「ちょっと空気読めないだけだ」

幼馴染「ちょっと?」

男「……かなり」

幼馴染「素直でよろしい……って別に悪口言うつもりじゃなかったんだけど」

男「わかってるって。それで、どこ行く?飯にはまだ少し早いし」

幼馴染「それなら買い物に付き合ってよ。ご飯の用意もしないといけないし」

男「へ?ファミレスでも行くもんだと思ってたんだけど」

幼馴染「私もそう思ってたんだけど、男とゲーセン行ったりカラオケ行ったりいって時間潰すより気楽だし……一応苦学生して通わせてもらってるから遊びにお金使うのもちょっとね」

男「へぇ、ってことは寮生?あの家からだと遠いしな」

幼馴染「うん。電車で通学してたら始発でもギリギリだし、寮にしたの」

男「わざわざこんな田舎の学校に通わなくても向こうならもっといいとこあっただろ」

幼馴染「……まあ、いけたらそうしたんだけど」

男「あ、ごめん」

幼馴染「いいよ。それより、貧乏学生と一緒に買い物に行ってくれる?」

男「了解……って、お前寮にキッチンとかついてんの?」

幼馴染「家庭科室みたいなとこがあるからそこ使うよ。基本自由に使えるから」

男「へえ、寮ってそんな感じなんだ」

幼馴染「もともと学校を改装して寮にしてるからね。あ、でも部屋はちゃんと別れてるから安心して」

男「安心?」

幼馴染「あ、なんでもない」

男「あ、そ。そんじゃスーパー行くか。」

幼馴染「うん。あ、それだったら学校の前のとこ寄ってけばよかったね」

男「今からもどるのもあほらしいだろ。寮の近くにあるからそこでいいじゃん」

幼馴染「そだね。それじゃ、何作ろっか?」

男「そうだな……なんか今日は魚が食べたい気分だな」

幼馴染「さ、魚はちょっと練習中で……ほかに何かない?」

男「そんじゃ揚げ物とかは?」

幼馴染「いいけど油もったいないよ」

男「あ、そっか。それじゃ豚生姜」

幼馴染「待ってました!男は昔から好きだったもんねー」

男「なにこれ?マギー司郎的なやつだったの?」

幼馴染「あはは…………うちも忙しいから……学食もあるし……」

男「ああ、わかった。それじゃ、早速買い出し行きますか」

幼馴染「よーし、任せてー」

スーパー

男「えーと、調味料ってある?」

幼馴染「先生に言えば借りれるからそのへんは大丈夫……ご飯も学食で使う分を量り売りしてくれるし」

男「へえ、寮生活って窮屈なもんだと思ってたんだけど意外と融通きくんだな」

幼馴染「まあね。ただ、夜はこっそり彼氏連れてきてる子がいたりして寝れなかったりするけど」

男「よくバレないもんだな」

幼馴染「バレてるけどいちいち口を出してこないだけかも。寮の先生面倒くさがりだし」

男「それは……難儀してるな、お前も」

幼馴染「まあね。ところで、生姜ってチューブでいい?本物つかう?」

男「保存しても使うとこないしチューブでいいんじゃないか?それなら置いとけるだろ」

幼馴染「だね。じゃあチューブにしとく。それじゃあ、私お会計してくるからちょっと待ってて」

男「いいよ、作るのお前だし俺が出すって」

幼馴染「え?」

男「悪いか?」

幼馴染「何言ってんの、男も作るんだよ」

男「……じゃあ半分」

幼馴染「そうそう、無理しなくても一応奨学金も出てるし気を使わなくていいから」

男「おう。レシートもらっとけよ」

幼馴染「うん。それじゃ、ちょっと待ってて」


幼馴染「おまたせ。それじゃ、帰ろっか?」

男「おう」

幼馴染「あーあ、買い物してたらもう暗くなっちゃったね」

男「最近は少し日が伸びてきたけどな。それでもまだ早い」

幼馴染「ねえ、手繋いでもいい?昔を思い出して」

男「……言ってる間に捕まえてるじゃん」

幼馴染「まあね。嫌だった?」

男「嫌じゃないけど。昔っていつのこと言ってるんだ?」

幼馴染「好きな方でいいよ。付き合ってた頃か、ちっちゃかった頃か」

男「そういう気なのか?」

幼馴染「どうだろうね。今はちょっとわかんないや」

男「……あ、そ。寮の人達に冷やかされても知らないぞ」

幼馴染「はは、それもいいかなぁ。男ならそれでもいい」

男「…………」

幼馴染「…………」

男「あー、もう。そういう態度取るから……ダメだからな」

幼馴染「ちぇ、彼女いないんでしょ?」

男「口でちぇって言うなよ。いないけど、そういう気分じゃない」

幼馴染「……だったら期待させないでよ」

男「勝手に期待しただけだろ」



幼馴染「はぁ……ご飯作ろっか。今日は男の好きな豚生姜焼きでーす」

男「無理すんなよ」

幼馴染「してない」

男「あ、そ。じゃあ手伝うから、指示してくれ」

幼馴染「じゃあとりあえず玉ねぎとって。あと調味料混ぜてて。だいたい醤油1酒1みりん1で生姜入れといてね」

男「あいよ」


ジョウズニヤケマシター

幼馴染「はい。これが出来たものです」

男「料理番組みたいだな……でも普通にいい匂いだ」

幼馴染「そりゃ、私の愛が入ってるから?」

男「俺も手伝ってるんだけど」

幼馴染「じゃあ二人分の愛が入った……愛の結晶だね」

男「寒っ」

幼馴染「いいから食べよ。愛が冷めるのはよくないし」

男「その設定続けるのかよ」

幼馴染「いいじゃんいいじゃん。それじゃ、いただきます」

男「いただきます」

幼馴染「うん、美味しい」

男「懐かしい味だ。最近食ってなかったからなぁ」

幼馴染「じゃあまた一緒につくろうか?」

男「そのうちな」

幼馴染「そのうちなんて言わないで毎日でも」

男「それはこっちの身がもたない」

幼馴染「前は毎日でも一緒にいたのに」

男「昔と今じゃ違うだろ。それにお前は女で、俺は男だ。わからないわけないだろ」

幼馴染「だから、私は女であなたは男。じゃあわかるでしょ?どうするかくらい」

男「…………やっぱずるいわ、お前」

幼馴染「やっと気付いた?私はずるいよ」

男「でも」

幼馴染「あーあーあーあー」

男「言わせろよ」

幼馴染「否定の言葉は受け付けてませーん」

男「いいから聞けって」

幼馴染「聞くけど、泣かせたら許さない」

男「自分のことだろ……で、な。今日お前にまた会えてよかったよ。やっぱり懐かしいし、あんまり変わってなくてホッとした」

幼馴染「あ、これダメだ。振られるやつじゃない」

男「もう気付いたか。いいだろ、一回くらい俺にフらせろ」

幼馴染「え?」


男「いや、なんでも。それで、やっぱりお前とはいい友達でいたい」

幼馴染「やっぱり。まあダメ元だったけどさぁ」

男「別に俺なんて大したことないだろ。ちょっと変わりもんだけど友のほうがずっといい男だ」

幼馴染「男がよかったの。あーあ……ちょっとトイレ」グスッ

男「上を向いて?」

幼馴染「うっさい。見ら、れたもんじゃない、顔にな、るし」

男「泣き顔なんて何回も見てるだろ。いまさら気にしない」

幼馴染「私が、気にする……じゃあ、ね」

タッタッタッ

男「…………はぁ」

幼馴染「な、なんかごめんね。こういう雰囲気にするつもりじゃなかったんだけど」

男「おれも。そんなに俺を思ってくれてたとは思わなかった」

幼馴染「もういいじゃん、それは……」

男「はは、さて、泣き止んだことだしそろそろ帰るわ」

幼馴染「なんか今日は泣かされただけになっちゃったなぁ。なんか釈然としない」

男「一緒に飯作って食ったろ」

幼馴染「それはそうだけど……あ、そうだ。私の部屋に来ない?そろそろ教室締めるし」

男「いや、帰る……」

幼馴染「ちょっとだけでいいから」

男「帰るって。教室締めるんならもう消灯だろ」

幼馴染「じゃあ私が男の家に行く」

男「ダメだって……お前ってそんなに聞き分け悪かったっけ?」

幼馴染「いいじゃん、ちょっとだけだから」

男「わかったって。ちょっとだけな」

幼馴染「やった!じゃあ早く行こう」

男「なんかさっきから流されてばっかりな気がするぞ……」

幼馴染の部屋

男「元教室って言ってたけど意外とちゃんとしてるんだな」

幼馴染「一応寮として使えるくらいには改装してるから。ってそれよりせっかく女の子の部屋に来たのに第一声がそれ?」

男「お前がまだシルバニアファミリーで遊んでるとは思わなかった」

幼馴染「あ、違、これは……」

男「しかも、これ、俺が作ったやつじゃね?この木の人形」

幼馴染「あはは……流石に捨てられなくてここまで持ってきちゃった」

男「物持ちがいいって言ってやろう」

幼馴染「このサボテンも男と一緒に育ててたやつだよ」

男「まだ生きてたのかこいつ……なんか膨らんでるな。つぼみ?」

幼馴染「うん。もうそろそろ咲きそうなんだけど」

男「…………で」

幼馴染「……ん?」

男「どういうつもりでさっき振られた相手を部屋に招いたんだ?」

幼馴染「心変わりがあるかなと思って。なかったら……そうだね。環境的には据え膳ってやつ?」

男「心変わりもないし、襲うつもりもない」

幼馴染「でも、もう出られなくなるよ?そろそろ時間だ」

ピンポンパンポン

男「なんだこのチャイム……」

幼馴染「消灯のチャイム。これで寮の施錠がされて朝までは出られないよ」

男「あ、な……そこまでするか?」

幼馴染「私は本気だから」

男「はぁ……先生に言えば出してもらえるだろ」

幼馴染「ここ、女子寮だし不審者扱いだと思うよ?よくて停学じゃないかな」

男「じゃあ……」

幼馴染「もうわかったでしょ?今日は泊まっていきなよ」

男「そうするしかないか……」

幼馴染「そうそう。それじゃ、男はベッド使っていいから」

男「そういうわけにも……」

幼馴染「無理やり泊めさせてるんだから気を遣うことないと思うけど?」

男「でもだな……」

幼馴染「はいはい、消灯しちゃったからシャワー室も使えないけど一日くらいお風呂入らなくても大丈夫だよね?」

男「それは大丈夫だけど」

幼馴染「それじゃ、ちょっと着替えるから向こうむいてて」

男「お、おう」

幼馴染「あ、別に見てもいいけど」

男「見ねえよ!」

幼馴染「あはは、声抑えて抑えて。ほかの子もいるんだから」

男「ぐっ……」

幼馴染「はい、着替え終わったよ」

男「はぁ……それじゃ、もうねるわ。朝早く出てけば大丈夫だろ」

幼馴染「そだね。じゃあ寝ようか。はいはい、詰めて詰めて」

男「ちょっと、おい!なんでベッドに入ってきてるんだ!」

幼馴染「ん?別に男がベッドって言ったけど私がどこで寝るかは言ってないよね?そういうことだから、おやすみ」

男「ぐっ、流石に……」

幼馴染「ふふ、分かる?私成長してるでしょ?どことは言わないけど」

男「そ、そりゃな」

幼馴染「そういえば、こうやって寝るのも久しぶり。幼稚園のころはよく一緒に寝てたよね」

男「ああ。つーか小学生まで一緒に寝てただろ。お泊まり会したときは勝手に俺の布団に入ってきてたし」

幼馴染「え、あ、気付いてた……?恥ずかしいなぁ」

男「今更赤くなっても遅い。もっと恥ずかしいことしてるくせに」

幼馴染「……ねえ、どうして私と付き合えないの?」

男「今訊くのか?」

幼馴染「うん……やっと覚悟決めたから」

男「そっか……じゃあ言うぞ」

幼馴染「うん」

男「俺はまだ失恋を引きずってる」

幼馴染「え、うん?そうなの?」

男「まあな……恥ずかしい話だけど。それなのに、お前は俺にモーションかけてきて、あの時俺を振った幼馴染と今のお前の姿が噛み合わなくて」

幼馴染「いいよ、続けて」

男「なんだか、混乱してる。それが理由」

幼馴染「え?それだけ?」

男「まあ……そうだな、また振られるのが怖いだけかもしれない」

幼馴染「私だって怖いよ。大好きなのに伝わってないんじゃないかって」

男「ごめんな……俺、弱くて」

幼馴染「そうだったね。男はいつも私より泣いてた」

男「今はお前の方が泣き虫だ」

幼馴染「あはは、そうかも。今ちょっと、見せられない顔してる」ギュッ

男「どれどれ」

幼馴染「あっ」

男「いや、いつも通り、可愛い幼馴染だ」

幼馴染「あ、ありがとう……」

男「なんかおかしいよな」

幼馴染「え?」

男「お互い好きなのにすれ違ってる」

幼馴染「……うん。変わってると思う」

男「話してみて気付いた。やっぱり俺、幼馴染が好きだ」

幼馴染「グスッ、今更?私も大好き……」

男「さっきはああいって突き放しちゃったけど、俺とやり直してもらえないか?」

幼馴染「やだ」

男「えっ?」

幼馴染「……なんて嘘。うそうそ。さっき泣かされた仕返し」

男「ここまでやってドッキリだったら俺もうダメかもしれない」

幼馴染「嘘だから安心してよ。私もここで男を離したら……実家に帰ってニートになる」

男「じゃあちゃんと付き合わないとな」

幼馴染「あは、男の顔真っ赤だ。照れちゃった?」

男「うるさいな……お前こそ……」

幼馴染「そりゃ、好きな子と一緒に布団に入ってるんだし、緊張するし……」

男「なあ、ちょっとこっち向いてくれ」

幼馴染「え?あっ……んちゅ」

男「ぷはっ、あはは、生姜焼きの匂いがする」

幼馴染「もう……デリカシーないなぁ」

男「そういうのわかって付き合ってくれるんだろ」

幼馴染「まあ、ね。ねえ、私からもキスしていい?」

男「聞かなくていい。ほら、こっち来て……」



男「なんか唇が腫れぼったい」

幼馴染「調子に乗ってキスしすぎたかな?もー、純情カップルだね、私たち」

男「純情ってステップ踏み外してるとおもうけどな」

幼馴染「でも、私は結ばれたかったなぁ」

男「ぶっ、いや……流石に寮では……」

幼馴染「寮じゃなかったら?」

男「……まあ、俺も男だしな」

幼馴染「それじゃ、楽しみにしてるね」

男「さ、さて、学校行くか」

幼馴染「あ、ちょっと!」

男「なに?」

幼馴染「ほら、サボテン。花を付けてる」

男「サボテンの花って意外と綺麗だな」

幼馴染「でも、サボテンばっかりじゃなくて」

チュッ

幼馴染「こっちも向いてね」

男「もちろんだ。それじゃ、学校いくか」

幼馴染「ふふ、見せ付けてやろうか」

男「いいぞ。手でも繋ぐか」

幼馴染「あ、うん……本当にやるとは思わなかった……」

男「そりゃな、初恋から失恋して二度目の初恋がかなったんだ。誰かに見せつけたいよ」

幼馴染「それじゃ、いこっか」ギュッ

男「おう」ギュッ

終わりです。

お目汚し失礼しました

いい感じに書いてるけどエロゲからのインスピレーションなんで……

3時間位で書いたんで多少粗があってもすまんな
過去話はちょっとだけ構想練ってるのでそのうち。

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